説明

ソーラ電源装置

【課題】 任意の場所に設置され負荷の要求に合わせて任意の電圧を出力し得る太陽電池を用いたソーラ電源装置を提供する。
【解決手段】 発電面を露光して配置される太陽電池2を収納する平面状ケース1は取付具3を介し任意の設置場所4にセットされる。太陽電池2には出力制御部5が連結され、出力制御部5は多種類の負荷の駆動に必要な出力電圧を出力する。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、太陽電池を利用した電源装置に係り、特に、動作電圧の異なる多種類の負荷を駆動し得る可変出力電圧を有するソーラ電源装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
太陽電池を用いてその電気エネルギにより負荷を駆動するものは近年次第に数を増してきている。このためのソーラ電源装置も各種のものが採用されている。
この場合、ソーラ電源装置としては、太陽電池で充電された蓄電池の出力をそのまま負荷に供給するように構成されていた。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
然し乍ら、一般に給電すべき負荷の要求する電源電圧は多様であり、その負荷を駆動するに必要、且つ十分の電力を供給することが必要になる。常時一定の出力電圧を負荷側に送る電源装置の場合には、出力電力の不足や出力電力の余剰が生じ負荷側の要求との整合性を欠く問題点がある。一方、負荷に応じて直列接続する蓄電池の数を変化させる手段もあるが、操作が煩雑であり、装置構造が複雑となり、高価なものとなる問題点がある。
【0004】
本考案は、以上の問題点を解決するもので、負荷の要求に見合う出力電圧を供給でき、多種類の負荷の駆動が円滑に行なわれるソーラ電源装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本考案は以上の目的を達成するために、太陽光線のエネルギを電気エネルギに変換する太陽電池を用いた電源装置であって、前記太陽電池をその発電面を露光せしめて収納する平面状ケースと、設置場所に前記平面状ケースを取り付けるための取付具と、前記太陽電池からの電力を蓄電する蓄電池を備えると共に負荷要求に合わせて前記蓄電池の出力電圧を変換するDC−DCコンバータを備えた出力制御部とを設けたソーラ電源装置を構成するものである。更に具体的に、前記設置場所がカメラ用三脚であり、前記取付具が前記平面状ケースを前記カメラ用三脚にねじ固定するねじ固定具であり、前記設置場所が鉄板などの磁性体からなり、前記取付具が、磁石であり、前記設置場所が比較的滑らかな面からなり、前記取付具が前記平面状ケース側に固着される吸盤であることを特徴とするものである。また、前記磁石は設置場所の取付面の形成に磁石がなじむように弾性体により支持されるようにされている。
【0006】
平面状ケースに太陽電池をその発電面を露光せしめて配置することにより、太陽光線のエネルギが吸収され太陽電池内において電気エネルギに変換される。この電気エネルギは蓄電池に充電される。一方、蓄電池にはDC−DCコンバータが連結され負荷側の要求電圧に応じた出力電圧が出力される。従って、必要な電力のみが出力され無駄な電力消費が防止される。一方、平面状ケースは取付具を介して所望の設置場所に簡単に取り付けられる。これにより、広範囲用途への使用が可能になる。
【0007】
【考案の実施の形態】
以下、本考案のソーラ電源装置の実施の形態を図面を参照して詳述する。図1は本考案の基本的構成を示すものである。平面状ケース1には多数個の太陽電池2が収納されている。太陽電池2はその発電面を露光して配置される。太陽電池2は公知技術であり、PN接合半導体の一種である光起電素子を使用したシリコン光電池が一般に使用されている。
【0008】
以上の太陽電池2を収納した平面状ケース1は取付具3を介し、所望の設置場所4に設置される。また、太陽電池2は出力制御部5に連結される。出力制御部5は負荷の要求に応じた出力電圧を送るものであり、図7にその基本構成を示し、図8にその具体的回路構成の一例を示す。
【0009】
図7に示すように、出力制御部5は蓄電池7とDC−DCコンバータ8とから構成される。なお、太陽電池2と蓄電池7との間には、太陽電池が発電していない時に電流の逆流防止をするダイオード6が挿入されておりDC−DCコンバータ8は蓄電池の出力電圧を負荷9を駆動するに必要な出力電圧に変換するためのものである。
【0010】
図8に示すように、DC−DCコンバータ8は直流を直流に変換するもので本例では制御IC10,トランジスタ11,各種のコンデンサ,コイル,抵抗等と出力電圧を大まかに調整するスイッチ29と、細かく調整する可変抵抗器13等からなる。図2に示した出力電圧調整ツマミ14は可変抵抗器13に連結され、これを駆動することにより出力部6の出力電圧端子15から所望の出力電圧,出力電流の電気を負荷9側に送る。本例では出力電圧は4つのステップからなり、例えば出力電圧は24V乃至12V,12V乃至6V,6V乃至3V,3V乃至2Vの4段階となり、これに対応する出力電流は0.5A乃至1A,1A乃至2A,2A乃至3A,3Aの4段階となり約10Wの出力が得られる。勿論、これは一例に過ぎず、任意の電圧,電流を発生させることができる。
【0011】
次に、本考案の具体例を図2乃至図6により説明する。図2,図3は太陽電池2を収納した平面状ケース1を設置場所の1つであるカメラ用三脚16にねじ固定具17を用いて取り付けた実施の形態を示す。なお、出力制御部5は図8に示した構成要素を内部に収納した箱体18を有するものからなり、前記したように箱体18の表面には出力電圧調整ツマミ14と出力電圧端子15が設けられている。また、出力制御部5と平面状ケース1とはフレキシブルの送電ケーブル19により連結される。
【0012】
図3に示すように、ねじ固定具17は平面状ケース1の背面に固定される可変継手20とこれに連結するねじ板21と、ロックねじ22等からなり、カメラ用三脚16の取付板23にねじ板21を搭載し、ロックねじ22でねじ板21を取付板23に固定するように構成される。なお、本例のねじ固定具17は取付具の一例であり、カメラ用三脚16側と連結される適宜の構造の機構が採用されてもよい。
【0013】
平面状ケース1をカメラ用三脚16に取り付けることにより、任意の位置に太陽電池2をセットすることができ、極めて便利に使用される。
【0014】
図4は自動車24のルーフパネル25に平面状ケース1をセットしたものである。なお、この場合、送電ケーブル19により連結された出力制御部5は例えば自動車24の車内に取り込まれ、電圧の調整が行なわれる。
【0015】
自動車24のルーフパネル25に平面状ケース1を取り付ける取付具が図5および図6に示されている。図5は取付具として磁石26を使用したものであり、ルーフパネル25は磁性体の鉄板から形成される。磁石26は平面状ケース1に直接固定してもよいが、ルーフパネル25のように曲面状の部材の設置場所の場合には磁石26とルーフパネル25との密着度が不十分となる。そのため、磁石26はゴムや合成樹脂やスプリング等の弾性体27を介して平面状ケース1に固定される。これにより、曲面形状のその他の磁性体の設置場所に平面状ケース1を簡単に固定することができる。
【0016】
図6は取付具として吸盤28を用いたものである。吸盤28は可撓性および弾性を有するため曲面の設置場所になじみ易く、且つ設置場所が鉄板のような磁性体でなくてもよく広範囲に使用される。なお、吸盤28は図示のように平面状ケース1に直接固定することができる。
【0017】
以上の磁石26や吸盤28の取付具を使用することにより、平面状ケース1を任意の設置場所に簡単に取り付けることができる。
【0018】
以上の説明において、各構成要素の形状や配置は1つの実施の形態を示したものでそれ等に限定されたものではない。
【0019】
【考案の効果】
1)本考案の請求項1のソーラ電源装置によれば、平面状ケースに太陽電池を発電面を露光して設置することにより、太陽エネルギを有効に吸収することができると共に、出力制御部を採用することにより、任意の出力電圧で負荷側を駆動することができる。このため、電力消費を低減することができる。また、取付具により設置場所に容易にセットすることができる。
2)本考案の請求項2のソーラ電源装置によれば、平面状ケースをカメラ用三脚に取り付けることにより持ち運び自在となり、任意の場所で使用することができる。
3)本考案の請求項3のソーラ電源装置によれば、取付具として磁石を用いることにより、磁性体からなる設置場所に極めて簡単にセットすることができる。
4)本考案の請求項4のソーラ電源装置によれば、磁石は弾性体を介して平面状ケース側に取り付けられるため、設置場所が曲面状のものであっても確実に取り付けることができる。
5)本考案の請求項5のソーラ電源装置によれば、取付具として吸盤を用いることにより、設置場所が磁性体でなくとも容易に取り付けられ、且つ曲面状の設置場所にも容易に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の全体構成図。
【図2】設置場所としてカメラ用三脚を用いた本考案の実施の形態を示す斜視図。
【図3】図2の側面図。
【図4】設置場所としての自動車のルーフパネルに取り付けられた本考案の平面状ケース等を示す斜視図。
【図5】取付具として磁石を用いた図4のA−A線拡大断面図。
【図6】取付具として吸盤を用いた図4のA−A線拡大断面図。
【図7】本考案の出力制御部の一例を示す構成図。
【図8】本考案の出力制御部の詳細構成図。
【符号の説明】
1 平面状ケース
2 太陽電池
3 取付具
4 設置場所
5 出力制御部
6 逆流防止ダイオード
7 蓄電池
8 DC−DCコンバータ
9 負荷
10 IC
11 トランジスタ
12 出力電圧切換スイッチ
13 可変抵抗器
14 出力電圧調整ツマミ
15 出力電圧端子
16 カメラ用三脚
17 ねじ固定具
18 箱体
19 送電ケーブル
20 可変継手
21 ねじ板
22 ロックねじ
23 取付板
24 自動車
25 ルーフパネル
26 磁石
27 弾性体
28 吸盤

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 太陽光線のエネルギを電気エネルギに変換する太陽電池を用いた電源装置であって、前記太陽電池をその発電面を露光せしめて収納する平面状ケースと、設置場所に前記平面状ケースを取り付けるための取付具と、前記太陽電池からの電力を蓄電する蓄電池を備えると共に負荷要求に合わせて前記蓄電池の出力電圧を変換するDC−DCコンバータを備えた出力制御部を設けることを特徴とするソーラ電源装置。
【請求項2】 前記設置場所がカメラ用三脚であり、前記取付具が前記平面状ケースを前記カメラ用三脚にねじ固定するねじ固定具である請求項1に記載のソーラ電源装置。
【請求項3】 前記設置場所が鉄板などの磁性体からなり、前記取付具が、磁石である請求項1に記載のソーラ電源装置。
【請求項4】 前記磁石と前記平面状ケース間には変形可能な弾性体が介設されてなる請求項3に記載のソーラ電源装置。
【請求項5】 前記設置場所が比較的滑らかな面からなり、前記取付具が前記平面状ケース側に固着される吸盤である請求項1に記載のソーラ電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【登録番号】第3031717号
【登録日】平成8年(1996)9月11日
【発行日】平成8年(1996)12月3日
【考案の名称】ソーラ電源装置
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平8−5588
【出願日】平成8年(1996)5月28日
【出願人】(000150165)株式会社竹内製作所 (2)
【出願人】(392034458)