説明

タイマスイッチ

【課題】高齢者でも容易に設定を行うことができるタイマスイッチを提供する。
【解決手段】造営材に配設される器体10と、器体10の前面に設けた枢支部により回動自在に枢支された操作ハンドル30と、操作ハンドル30の前面側に、操作ハンドル30の開口窓33a〜33dを露出させる位置と開口窓33a〜33dを覆う位置との間で回動自在に枢着されたハンドルカバー40と、器体10の前面に設けられてタイマ制御を行う設定時刻及びその制御内容を含めた負荷Lの制御に関わる設定をスイッチ制御部2を介して行うための設定操作部とを有し、設定操作部は、器体10前面に露出する操作摘みVol1〜Vol4から成り、スイッチ制御部2は、操作摘みVol1〜Vol4の回動位置に応じて前記設定を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイマスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、予め決められた時刻に負荷をオン/オフさせるためのタイマスイッチが提供されており、例えば特許文献1に開示されているようなものがある。この従来例は、図4に示すように、器体(図示せず)の前面に、現在時刻等を表示する液晶表示部8と、タイマ制御の設定を行うためのキー部11a〜11dから成る設定操作部とを配置するとともに、器体の内部に、器体前面に露出した操作子(図示せず)が押されるとスイッチ入力を発生する操作スイッチSW1、負荷L及び商用電源ACの直列回路の両端間に電気的に接続されて負荷Lへの電源供給をオン/オフする開閉素子と、操作スイッチSW1からのスイッチ入力があると開閉素子のオン/オフを反転させるとともに、タイマ制御の設定時刻がくるとタイマ制御の制御内容に応じて開閉素子のオン/オフを制御するスイッチ制御部2等を備えた回路基板(図示せず)を収納している。また、液晶表示部8及びキー部11a〜11dに対向する部位に開口窓32a〜32eが形成され、器体の前面に回動自在に枢支されて、裏面側で操作スイッチSW1の操作子を押操作可能とした操作ハンドル30を設けるとともに、該操作ハンドル30の前面側に、開口窓32a〜32eを露出させる位置と開口窓32a〜32eを覆う位置との間で回動自在に枢着されたハンドルカバー40を設けている。
【0003】
以下、この従来例の回路構成を図5を用いて説明する。この回路は、開閉素子としてのトライアック1と、マイクロコンピュータから成るスイッチ制御部2と、操作スイッチSW1及び設定操作部たるキー部11a〜11dからの設定入力を監視する入力回路部3と、タイマ制御等のスイッチ制御に関わる設定データを記憶するEEPROMのような不揮発性メモリから成るメモリ4(記憶部)と、電源回路5と、停電検出回路6と、駆動回路7と、設定表示部たる液晶表示部8(LCD)とを主要な構成として備える。尚、スイッチ制御部2は、クロック回路(図示せず)から与えられるクロックをカウントすることによって現在の時刻を計時する計時タイマ2aと、後述する遅延時間を計時する遅れタイマ2bとを備えている。また、スイッチ制御部2の演算機能によって、設定操作部の設定操作に応じて負荷Lの制御に関わる設定内容をメモリ4に記憶させる設定機能と、液晶表示部8の表示を制御する表示制御機能と、操作スイッチSW1から操作信号が入力されるとトライアック1のオン/オフを反転させるとともに、計時タイマ2aにより計時された現在時刻がメモリ4に記憶されたタイマ制御の設定時刻になるとタイマ制御の制御内容に応じてトライアック1のオン/オフを制御する制御機能とが実現されている。
【0004】
本回路では、商用電源AC及び負荷Lの直列回路が電気的に接続される一対の負荷接続端子Ta,Tb間にトライアック1を接続してあり、駆動回路7がスイッチ制御部2の出力端子P1から与えられる制御信号に応じてトライアック1をターンオン又はターンオフしている。
【0005】
入力回路部3は、操作スイッチSW1やキー部11a〜11dに対応するスイッチSW2〜SW5の操作を監視しており、操作スイッチSW1の操作子やキー部11a〜11dが押されると、操作スイッチSW1及びスイッチSW2〜SW5のスイッチ入力をスイッチ制御部2に与えるようになっている。
【0006】
電源回路5は、負荷接続端子Ta,Tb間に交流入力端が接続された全波整流器DBと、全波整流器DBの直流出力端子間に接続された抵抗R1,R2の直列回路と、抵抗R2と並列に接続されたツェナーダイオードZDと、コレクタ・ベース間に抵抗R1が接続されたトランジスタTr1から成るシリーズレギュレータとで構成され、トランジスタTr1のコレクタはスイッチ制御部2の電源端子P4に接続されている。全波整流器DBの交流入力端子には負荷接続端子Ta,Tbを介して交流電圧が印加され、この交流電圧を全波整流器DBにより全波整流して直流電圧に変換した後、シリーズレギュレータで定電圧化してスイッチ制御部2等に動作電源を供給している。尚、負荷Lのオフ時には負荷接続端子Ta,Tbを介して負荷Lの漏れ電流が流れるので、この漏れ電流が全波整流器DBで全波整流されて電源回路5に与えられ、電源回路5により動作電源が生成される。また、本回路では、電源回路5の出力電圧によって充電されるコンデンサC1を備えており、停電発生時に電源回路5からの電源供給が無くなると、コンデンサC1からスイッチ制御部2へ動作電源が供給される。
【0007】
停電検知回路6は、ゲート・ソース間に抵抗R2が接続されるとともに、ドレインが抵抗R3を介して定電圧Vccにプルアップされた電界効果トランジスタ(以下、トランジスタと言う)Tr2を有しており、トランジスタTr2のドレイン電圧がスイッチ制御部2の入力端子P3に印加される。ここで、商用電源ACが正常に供給されている場合は抵抗R2の両端間に電圧が発生するので、トランジスタTr1のゲート・ソース間に電圧が発生して、トランジスタTr1のドレイン・ソース間が導通し、スイッチ制御部2の入力端子P3の電圧レベルはローレベルになる。一方、停電時には抵抗R2の両端電圧がゼロになるので、トランジスタTr1のドレイン・ソース間がオフになり、スイッチ制御部2の入力端子P3の電圧レベルはハイレベルになる。
【0008】
点灯表示部たる発光ダイオードLDは、スイッチ制御部2の出力端子P2から供給される駆動電流により励磁されて点灯する。該発光ダイオードLDからの光は、操作ハンドル30の前面に設けられた導光部材31を介して外部に出射されるようになっている。
【0009】
ここで、キー部11a,11bは、時間設定のための設定スイッチSW2,SW3の操作釦であり、キー部11aを押せば時刻を遅くしたり、後述の遅延時間を長くでき、キー部11bを押せば、時刻を早めたり遅延時間を短くすることができる。また、キー部11cは、スイッチ制御部2の動作モードを設定モード又は制御モードの何れかに切り替えるための切替スイッチSW4の操作釦であり、キー部11dは、スイッチ制御部2の制御モードを手動制御モード又はタイマ制御モードに切り換えるための切替スイッチSW5の操作釦である。そして、各キー部11a〜11dを押操作すると、入力回路部3を介して各スイッチSW2〜SW5のスイッチ入力がスイッチ制御部2に与えられるようになっている。
【0010】
以下、本従来例の動作説明をする。キー部11cを一定時間(例えば、3秒間)長押しすると、切替スイッチSW4のスイッチ入力が入力回路部3を介してスイッチ制御部2に与えられ、スイッチ制御部2の動作モードが現在時刻設定モードに切り替わり、その後キー部11cを押して切替スイッチSW4のスイッチ入力がスイッチ制御部2に与えられる毎に、スイッチ制御部2の動作モードが現在時刻設定モード→遅延時間設定モード→入時間設定モード→切時間設定モード→現在時刻設定モード→…のようにサイクリックに切り替えられる。尚、遅延時間設定モードとは、操作スイッチSW1による負荷Lのオフ操作時に、負荷Lへの電源供給を継続して、電源供給の停止を遅らせる遅延時間を設定するモードである。また、入時間設定モードとは、負荷Lへの電源供給を開始する24時間タイマの入時間を設定するモードであり、切時間設定モードとは、負荷Lへの電源供給を終了する24時間タイマの切時間を設定するモードである。尚、スイッチ制御部2が上記の各設定オードで動作している間にキー部11a〜11dが一定時間操作されず、スイッチ制御部2に操作スイッチSW2〜SW5からの設定入力が一定時間無ければ、スイッチ制御部2は設定モードを終了して制御モードに移行する。
【0011】
スイッチ制御部2の動作モードが制御モードに切り替えられた状態でキー部11dを押すと、切替スイッチSW5のスイッチ入力が入力回路部3を介してスイッチ制御部2に与えられ、スイッチ制御部2による制御モードが手動制御モード又はタイマ制御モードに交互に切り替えられる。ここで、手動制御モードとは、操作スイッチSW1からのスイッチ入力のみに応じて負荷Lのオン/オフを反転させる制御モードであり、タイマ制御モードとは、計時タイマ2aの計時した現在時刻がタイマ制御の設定時間(入時間又は切時間)になると負荷Lをオン/オフさせる制御モードである。
【0012】
而して、キー部11a〜11dの押操作を組み合わせ、各種モードの切替や時刻の設定を行うことで、負荷Lの手動制御、タイマ制御等を行うことができる。
【特許文献1】特開2006−210084号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上記従来例では、キー部11a〜11dの押操作を組み合わせることで各種モードの切替や時刻の設定を行うため、操作方法が直感的に理解し難く、例えば高齢者には容易に設定を行うことができないという問題があった。
【0014】
本発明は、上記の点に鑑みて為されたもので、高齢者でも容易に設定を行うことができるタイマスイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、造営材に配設される器体を備え、当該器体の前面にタイマ制御を行う設定時刻及びその制御内容を含めた負荷の制御に関わる設定を行うための設定操作部を配置し、器体前面の略全体を覆うような寸法であって、設定操作部に対向する部位に開口窓が形成され、器体の前面に設けた枢支部により回動自在に枢支された操作ハンドルを設けるとともに、当該操作ハンドルの前面側に開口窓を露出させる位置と開口窓を覆う位置との間で回動自在に枢着されたハンドルカバーを設け、器体の内部に、器体前面に露出させた操作子が操作ハンドルで押されると操作信号を発生する操作スイッチと、負荷及び商用電源の直列回路に電気的に接続されて負荷への電源の供給をオン/オフする開閉素子と、負荷の制御に関わる設定内容を記憶する記憶部と、現在時刻を設定する現在時刻設定機能、設定操作部の設定操作に応じて負荷の制御に関わる設定内容を記憶部に記憶させる設定機能、操作スイッチから操作信号が入力されると開閉素子のオン/オフを反転させるとともに、現在時刻設定機能により設定された現在時刻が記憶部に記憶されたタイマ制御の設定時刻になるとタイマ制御の制御内容に応じて開閉素子のオン/オフを制御する制御機能を有するスイッチ制御部とを収納したタイマスイッチであって、設定操作部は、器体前面に露出する一乃至複数の操作摘みから成り、スイッチ制御部は、操作摘みの回動位置に応じて前記設定を行うことを特徴とする。
【0016】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、設定操作部の操作摘みは、押操作することで器体内側に押し込められた位置と器体外側に突出した位置との間で移動自在であって、器体外側に突出した状態でのみ回動可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明によれば、設定操作部を器体前面に露出する一乃至複数の操作摘みから構成し、スイッチ制御部が操作摘みの回動位置に応じてタイマ制御を行う設定時刻及びその制御内容を含めた負荷の制御に関わる設定を行うので、複数の押釦を操作して設定する場合と比較して設定方法を直感的に理解することができ、高齢者でも容易に設定を行うことができる。
【0018】
請求項2の発明によれば、設定操作を行いたい操作摘みのみを器体外側に突出させ、他の操作摘みを器体内側に押し込めた状態とすることができるので、設定操作時に他の操作摘みが操作の邪魔をすることがなく、したがって操作性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係るタイマスイッチの実施形態について図面を用いて説明する。尚、本実施形態の基本的構成は従来例と共通であるので、共通する部位には同一の番号を付して説明を省略するものとする。また、以下の説明では、図1(a)における上下左右を上下左右方向、紙面手前側を前方向、紙面奥側を後方向と定めるものとする。
【0020】
本実施形態は、照明負荷である負荷Lをオン/オフさせるものであって、図1(a),図2に示すように、造営材(図示せず)に配設される器体10と、器体10の前面に設けた後述する枢支部により回動自在に枢支された操作ハンドル30と、操作ハンドル30の前面側に、操作ハンドル30の後述する開口窓33a〜33dを露出させる位置と開口窓33a〜33dを覆う位置との間で回動自在に枢着されたハンドルカバー40とを有する。
【0021】
器体10は、図2に示すように、合成樹脂材料から略直方体状に形成され、その左右方向の寸法は、従来周知の埋込配線器具用の取付枠50に貫設された窓孔(図示せず)の左右方向の寸法と略等しい寸法に形成されている。取付枠50の窓孔を囲む両側片51には、配線器具を取り付けるための器具取付孔52が3対ずつ設けてあり、器体10の前側の両側壁に各々突設された取付爪(図示せず)を該器具取付孔52に係合することで、器体10を取付枠50に保持させている。
【0022】
取付枠50の上下の枠片53には、各々ボックス螺子(図示せず)を挿通するための長孔54が形成されており、この長孔54を通したボックス螺子を壁面等の造営面に埋設された埋込ボックス(図示せず)の螺子部に螺合することによって取付枠50が造営材に固定される。また、各枠片53には、プレート螺子用のねじ孔55が形成されており、取付枠50の前面側には合成樹脂材料により矩形枠状に形成されたプレート枠(図示せず)がプレート螺子を用いてねじ止めされている。このプレート枠の前面には、化粧プレート20が着脱自在に取着され、プレート枠と化粧プレート20とで取付枠50の前面側に取着されるプレートが構成される。尚、プレート枠及び化粧プレート20の前面には、取付枠50の窓孔よりも長寸且つ幅広の窓孔(図示せず)が貫設されており、これら窓孔から本実施形態の機能面が露出するようになっている。
【0023】
器体10の内部には、従来例でも説明したスイッチ制御部2や電源回路5の構成部品や外部電線を接続するための複数の端子(図示せず)等を実装するとともに放熱板(図示せず)を固定したプリント配線板から成る回路基板(図示せず)が収納されている。ここに、回路基板に実装される個々の端子は、器体10の後壁に貫設された電線挿入孔(図示せず)を通して器体10内部に挿入される外部電線を導電性を有する板ばねから成る鎖錠ばねのばね力によって接続保持する速結端子(図示せず)で構成してあり、鎖錠ばねを押圧して電線の鎖錠状態を解除するための解除釦(図示せず)も器体10内部に収納されている。尚、複数の端子としては従来例でも説明した一対の負荷接続端子Ta,Tbがある。
【0024】
また、器体10の内部には、前述の回路基板の他にもプリント配線板から成る回路基板(図示せず)が収納され、該回路基板の前面には、モーメンタリ型の押釦スイッチから成る操作スイッチSW1や、ロータリスイッチから成る設定操作部たる操作摘みVol1〜Vol4、点灯表示部たる発光ダイオードLD等の回路部品が実装され、操作スイッチSW1、操作摘みVol1〜Vol4、発光ダイオードLDが各々器体10の前面に開口した窓孔(図示せず)を介して露出している。
【0025】
器体10の前面側には、図2に示すように、操作スイッチSW1の操作子を操作するための操作ハンドル30が器体10の前面の略全体を覆う形で回動自在に取着されている。器体10の前面の左側端部には、操作ハンドル30を枢着するための枢支部たる軸部(図示せず)が設けられており、該軸部に操作ハンドル30後面の左端部に設けた軸受部(図示せず)を枢支させることで、操作ハンドル30が器体10に対して回動自在に取着される。尚、軸受部には操作ハンドル30を反操作方向に付勢するための付勢ばね(図示せず)を設けてあり、操作ハンドル30は前方向に付勢されている。而して、操作ハンドル30の右側部を押操作すると、操作ハンドル30が軸部を支点に回動し、操作ハンドル30の後面に設けた押突起(図示せず)によって操作スイッチSW1の操作子が押され、操作スイッチSW1がオンになる。一方、操作ハンドル30を押操作する力を無くすと、操作ハンドル30は操作スイッチSW1の操作子等の反力を受けて復帰し、操作スイッチSW1がオフになる。
【0026】
操作ハンドル30は、合成樹脂材料から略矩形板状に形成され、上下方向及び左右方向の寸法が各々化粧プレート20の窓孔の上下方向及び左右方向の寸法と略同じ寸法に形成されている。操作ハンドル30前面の右側部分には薄肉部35が形成されており、該薄肉部35には器体10の前記各窓孔に対応する部位に操作摘みVol1〜Vol4を挿通させる略円形状の開口窓33a〜33dが貫設されている。また、操作ハンドル30前面の左端部には、薄肉部35の前面よりも前方に突出した突台部34が設けられ、該突台部34の上下方向における略中央部には、導光部材31の突部が嵌め込まれる略矩形状の透孔34aが貫設されている。
【0027】
導光部材31は、透光性を有する合成樹脂材料で形成され、前面側の突部を透孔34aに嵌め込んだ状態で操作ハンドル30の後面側に取着されている。而して、器体10内に納装された発光ダイオードLDから照射される光が、導光部材31を介して透孔34aから前方へ出射されるようになっている。
【0028】
また、操作ハンドル30の前面には、操作摘みVol1〜Vol4が露出する部位(即ち、薄肉部35)を開閉自在に覆うハンドルカバー40が回動自在に取着されている。ハンドルカバー40は、上下方向及び左右方向の寸法が各々薄肉部35の上下方向及び左右方向の寸法と略同じ寸法に形成されており、その左端部の上下両端部からは側方に向かって突出するアーム41が各々突設されている。各アーム41の先端部には、突台部34の上下両側面に設けられた軸穴(図示せず)に枢支される回動軸(図示せず)が突設されており、突台部34の軸穴にアーム41の回動軸を軸支させることで、ハンドルカバー40は、開口窓33a〜33dを露出させる状態と開口窓33a〜33dを覆う状態とを選択自在として操作ハンドル30の前面に回動自在に取着されている。
【0029】
尚、ハンドルカバー40の裏面には、アーム41が突設された側と反対側の部位に枠状のリブ42が突設され、該リブ42で囲まれる部位に永久磁石43が挿入される。そして、リブ42の上下辺に各々形成された柱状突起42aを圧着や熱着等の方法で潰すことによって、永久磁石43がリブ42で囲まれた部位に保持されるようになっている。一方、操作ハンドル30には、永久磁石43と対向する部位の裏側に鉄片のような磁性体(図示せず)が装着されている。
【0030】
而して、ハンドルカバー40を閉じて操作ハンドル30の薄肉部35にハンドルカバー40を重ねると、操作ハンドル30の前壁を介して磁性体の前方に永久磁石43が配置され、永久磁石43の磁力で磁性体が吸引されることで、ハンドルカバー40が閉じた状態を保持する。また、ハンドルカバー40を閉じる際にハンドルカバー40をある位置(角度)まで回転させると、永久磁石43の磁力によってハンドルカバー40が閉位置まで自然に回転するため、ハンドルカバー40を最後まで押し込まなくても良くなり、ハンドルカバー40を閉じようとする力で操作ハンドル30が誤って押操作されてしまい(即ち、操作スイッチSW1の操作子が押されてしまい)、負荷Lのオン/オフが反転してしまうのを防止できる。
【0031】
以下、本実施形態の回路構成について図面を用いて説明する。本実施形態の回路構成は、図3に示すように、遅れタイマ2b及び液晶表示部8を除いた以外は従来例の回路構成と同じである。尚、液晶表示部8が無いために、スイッチ制御部2では、液晶表示部8の表示を制御する表示制御機能が除かれるとともに、負荷Lの光出力を制御する調光機能が設けられている。また、キー部11a〜11dが操作摘みvol1〜vol4に変更されたのに伴って、入力回路部3では、操作スイッチSW1及び操作摘みVol1〜Vol4に各々対応する操作スイッチSW2〜SW5の操作を監視しており、操作スイッチSW1の操作子が押される、若しくは操作摘みVol1〜Vol4が回動されると、操作スイッチSW1及び操作スイッチSW2〜SW5のスイッチ入力をスイッチ制御部2に与えるようになっている。
【0032】
以下、本実施形態の動作について説明する。先ず、スイッチ制御部2の調光機能により負荷Lの光出力を設定する方法について説明する。操作摘みVol1を回動させると、操作摘みVol1の回動位置に応じて操作スイッチSW2のスイッチ入力がスイッチ制御部2に与えられ、スイッチ制御部2はスイッチ入力に応じた光出力の設定値をメモリ4に記憶する。記憶された光出力の設定値は、後述の手動制御又はタイマ制御において負荷Lを点灯させる際に読み出されて制御信号として駆動回路7に与えられ、駆動回路7は該制御信号に応じてトライアック1をオン/オフさせて位相制御を行い、負荷Lを設定値に応じた光出力で点灯させる。例えば、操作摘みVol1を周囲に銘記された「明」に向かって最大限まで時計回りに回動すれば、負荷Lを定格出力で点灯させることができ、「暗」に向かって最大限まで反時計回りに回動すれば、負荷Lを定格出力の10%で点灯させることができる。尚、操作摘みVol1の回動位置と負荷Lの光出力との対応関係は上記のものに限定されるものではない。
【0033】
次に、スイッチ制御部2の設定機能により現在時刻及びタイマ時間等のスイッチ制御に関する設定内容を設定する方法について説明する。現在時刻を設定する場合、操作摘みVol2を回動させて操作摘みVol2の周囲に銘記された12時間表示の目盛りに合わせると、操作摘みVol2の回動位置に応じて操作スイッチSW3のスイッチ入力がスイッチ制御部2に与えられ、スイッチ制御部2が内蔵する計時タイマ2aの時間を確定する。例えば、操作摘みVol2を「8」の目盛りに合わせれば、現在時刻は8時に設定される。
【0034】
入時刻を設定する場合、上記と同様に操作摘みVol3を回動させて操作摘みVol3の周囲に銘記された12時間表示の目盛りに合わせることで、操作摘みVol3の回動位置に応じて操作スイッチSW4のスイッチ入力がスイッチ制御部2に与えられ、スイッチ制御部2は入時刻を確定してメモリ4に記憶する。例えば、操作摘みVol3を「10」の目盛りに合わせれば、入時刻は10時に設定される。
【0035】
切時刻を設定する場合、上記と同様に操作摘みVol4を回動させて操作摘みVol4の周囲に銘記された12時間表示の目盛りに合わせることで、操作摘みVol4の回動位置に応じて操作スイッチSW5のスイッチ入力がスイッチ制御部2に与えられ、スイッチ制御部2は切時刻を確定してメモリ4に記憶する。例えば、操作摘みVol4を「12」の目盛りに合わせれば、切時刻は12時に設定される。
【0036】
ここで、本実施形態の操作摘みVol1〜Vol4は、図1(b)に示すように、押操作する毎に点線アまで押し込まれた位置と点線イまで突出した位置との間を移動自在となっており、点線イまで突出した状態でのみ回動できるようになっている。而して、設定操作を行いたい操作摘みVol1〜Vol4のみを突出させ、他の操作摘みVol1〜Vol4を押し込めた状態とすることができるので、設定操作時に他の操作摘みVol1〜Vol4が操作の邪魔をすることがなく、操作性を向上することができる。
【0037】
また、設定操作時に操作摘みVol1〜Vol4を回動する際に、操作ハンドル30が誤って押され、操作ハンドル30により操作スイッチSW1の操作子が押されてしまう可能性があるが、スイッチ制御部2の制御機能は、操作摘みVol1〜Vol4のうち少なくとも何れか1つが点線イまで突出した状態にある場合には、操作スイッチSW1からのスイッチ入力に応じたトライアック1のオン/オフ制御を停止しているので、負荷Lが誤ってオン/オフされることはなく、負荷Lの誤動作を防止することができる。
【0038】
次に、スイッチ制御部2の制御機能による制御動作について説明する。スイッチ制御部2による制御としては、手動制御とタイマ制御とがある。手動制御は、操作スイッチSW1からのスイッチ入力に応じて負荷Lのオン/オフを反転させる制御であり、タイマ制御は、計時タイマ2aの計時した現在時刻が設定時刻(入時刻又は切時刻)になると負荷Lをオン/オフさせる制御である。本実施形態では、基本的には設定操作時以外は常時タイマ制御を行っており、必要に応じて手動制御を行うことができるようになっている。
【0039】
先ず、手動制御について説明する。ハンドルカバー40を閉じた状態でハンドルカバー40(操作ハンドル30)を押操作すると、操作ハンドル30が回動して、操作ハンドル30の裏面で操作スイッチSW1の操作子が押圧され、入力回路部3を介して操作スイッチSW1からのスイッチ入力がスイッチ制御部2に入力される。この時、負荷Lがオフであれば、スイッチ制御部2は駆動回路7によりトライアック1をオンさせて負荷Lに電源を供給するとともに、発光ダイオードLDを消灯させる。負荷Lがオンであれば、スイッチ制御部2は駆動回路7によりトライアック1をオフさせて負荷Lへの電源供給を停止するとともに、発光ダイオードLDを点灯させて本実施形態の位置表示を行う。
【0040】
次に、タイマ制御について説明する。計時タイマ2aの計時した現在時刻がメモリ4に登録された入時刻になると、スイッチ制御部2は駆動回路7によりトライアック1をオンさせて負荷Lに電源を供給するとともに、現在時刻が切時刻になると、スイッチ制御部2は駆動回路7によりトライアック1をオフさせて負荷Lへの電源供給を停止する。このように、予め設定された設定時刻(入時刻及び切時刻)になると負荷Lをオン/オフさせているので、負荷Lを予め設定した時間帯に点灯させることで、家人が在宅していると見せかけて防犯効果を発揮することができる。
【0041】
ところで、タイマ制御を行わずに手動制御のみを行いたい場合には、操作摘みVol3及び操作摘みVol4で合わせる目盛りを同じにする、即ち、入時刻と切時刻とを同じ時間に設定すればよい(例えば、何れの摘みも「1」に合わせる)。このように操作摘みVol3,Vol4を設定すれば、スイッチ制御部2はタイマ制御を行わず、手動制御のみを受け付けるようにすることができる。
【0042】
次に、停電発生時及び復電時の動作について説明する。スイッチ制御部2の入力端子P3には停電検知回路6の出力が与えられており、スイッチ制御部2は入力端子P3の信号レベルを常時監視している。通電状態では、停電検出回路6の出力信号の電圧レベルがローレベルになり、スイッチ制御部2は、入力端子P3の信号レベルをもとに通電状態と判断し、通常の動作を行う。一方、停電が発生すると、停電検出回路6の出力信号の電圧レベルがハイレベルになるので、スイッチ制御部2は、入力端子P3の信号レベルをもとに停電状態と判断し、計時タイマ2aによる計時機能以外の不要な機能(例えば、トライアック1のオン/オフを制御する制御機能)を停止させることで、消費電力を抑制する。ここで、停電発生時には電源回路5からスイッチ制御部2への電源供給が停止し、スイッチ制御部2はコンデンサC1から電源供給を受けて動作するのであるが、停電時はスイッチ制御部2がその消費電力を低減させているので、コンデンサC1に蓄えられた電荷でより長い時間計時タイマ2aを動作させて、現在時刻を計時できるようにしている。また停電時の電力消費を抑制することで、コンデンサC1に静電容量の小さい小型の素子を使用でき、回路基板の小型化やコストダウンを図ることもできる。尚、スイッチ制御部2は、停電検知後も入力端子P3の信号レベルを監視しており、信号レベルがローレベルになると、商用電源ACが復電したと判断して、停止中の機能を再開させて、通常の動作を行う。
【0043】
一方、コンデンサC1が放電し終わるまで停電が継続すると、計時タイマ2aの計時動作が停止してしまい、現在の時刻が失われてしまう。その後、商用電源ACが復電すると、電源回路5からスイッチ制御部2への電源供給が再開され、スイッチ制御部2が動作を開始するとともに、操作摘みVol2の回動位置に応じて操作スイッチSW3のスイッチ入力がスイッチ制御部2に与えられ、スイッチ制御部2が内蔵する計時タイマ2aの時間を再度確定する。
【0044】
上述のように、設定操作部を器体10前面に露出する操作摘みVol1〜Vol4から構成し、スイッチ制御部2が操作摘みVol1〜Vol4の回動位置に応じて負荷Lの光出力の設定、タイマ制御における現在時刻及び入/切時刻の設定を行うので、複数の押釦を操作して設定する場合と比較して設定方法を直感的に理解することができ、高齢者でも容易に設定を行うことができる。
【0045】
尚、本実施形態では、図1(a)に示すように、操作摘みVol2〜Vol4を二等辺三角形の各頂点に位置するように配置しているので、各操作摘みVol2〜Vol4間の距離をバランスよく設定することができ、設定操作時において他の操作摘みが邪魔にならないために操作性が向上する。
【0046】
また、本実施形態では、各操作摘みVol2〜Vol4の周囲に12時間表示の目盛りが銘記されているが、24時間表示にしても構わない。この場合、午前・午後の区別をつけてタイマ制御を行うことができ、利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明のタイマスイッチの実施形態を示す図で、(a)はハンドルカバーを開いた状態の正面図で、(b)はA−A’線断面矢視図である。
【図2】同上のプレート枠及び化粧プレートを外した状態の全体斜視図である。
【図3】同上のブロック回路図である。
【図4】従来のタイマスイッチを示す正面図である。
【図5】同上のブロック回路図である。
【符号の説明】
【0048】
1 トライアック(開閉素子)
2 スイッチ制御部
4 メモリ(記憶部)
10 器体
30 操作ハンドル
40 ハンドルカバー
SW1〜SW5 操作スイッチ
Vol1〜Vol4 操作摘み(設定操作部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
造営材に配設される器体を備え、当該器体の前面にタイマ制御を行う設定時刻及びその制御内容を含めた負荷の制御に関わる設定を行うための設定操作部を配置し、器体前面の略全体を覆うような寸法であって、設定操作部に対向する部位に開口窓が形成され、器体の前面に設けた枢支部により回動自在に枢支された操作ハンドルを設けるとともに、当該操作ハンドルの前面側に開口窓を露出させる位置と開口窓を覆う位置との間で回動自在に枢着されたハンドルカバーを設け、器体の内部に、器体前面に露出させた操作子が操作ハンドルで押されると操作信号を発生する操作スイッチと、負荷及び商用電源の直列回路に電気的に接続されて負荷への電源の供給をオン/オフする開閉素子と、負荷の制御に関わる設定内容を記憶する記憶部と、現在時刻を設定する現在時刻設定機能、設定操作部の設定操作に応じて負荷の制御に関わる設定内容を記憶部に記憶させる設定機能、操作スイッチから操作信号が入力されると開閉素子のオン/オフを反転させるとともに、現在時刻設定機能により設定された現在時刻が記憶部に記憶されたタイマ制御の設定時刻になるとタイマ制御の制御内容に応じて開閉素子のオン/オフを制御する制御機能を有するスイッチ制御部とを収納したタイマスイッチであって、設定操作部は、器体前面に露出する一乃至複数の操作摘みから成り、スイッチ制御部は、操作摘みの回動位置に応じて前記設定を行うことを特徴とするタイマスイッチ。
【請求項2】
前記設定操作部の操作摘みは、押操作することで器体内側に押し込められた位置と器体外側に突出した位置との間で移動自在であって、器体外側に突出した状態でのみ回動可能であることを特徴とする請求項1記載のタイマスイッチ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−74936(P2009−74936A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−244342(P2007−244342)
【出願日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】