説明

タイミング制御装置及びその制御方法

【課題】汎用性の高いタイミング制御が可能なタイミング制御装置を提供すること。
【解決手段】本発明にかかるタイミング制御装置は、識別情報と期待値データからなるタイミング制御情報を複数記憶する記憶部1013と、何れかのタイミング制御情報を選択的に出力する選択回路1018と、複数のデータ出力装置からそれぞれ出力されるデータの何れかを切替信号S2に基づき選択し出力する選択回路1011と、選択回路1018から出力される期待値データと、タイミング制御情報の切り替わりに同期して選択回路1011から出力されたデータと、に基づき基準データを生成する基準データ生成部と、基準データと選択回路1011の出力データとが一致する場合に一致信号を出力する比較部1016と、一致信号に応じたタイミング信号を出力する出力制御部1017と、を備え、選択回路1018は一致信号が出力されると次のタイミング制御情報に選択を切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイミング制御装置及びその制御方法に関し、特に汎用性の高いタイミング制御を行うのに適したタイミング制御装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、アプリケーションの多様化により、エンジンやモータ等の複数の制御対象を1つのマイコンにて制御することが求められている。ここで、従来のマイコンは、制御対象ごとに専用のタイマを備えるのが一般的である。つまり、従来のマイコンは、制御対象の数に応じた数のタイマを備えるのが一般的である。そのため、従来のマイコンでは、回路規模が増大するという問題があった。
【0003】
このような問題に対する解決策が、特許文献1及び特許文献2に開示されている。図16は、特許文献1に開示されたタイミング信号発生装置を示すブロック図である。図16に示すタイミング信号発生装置は、タイマ11の計時する値が指定された時間的位置に一致したことを検出し、タイミング信号を発生する装置である。このタイミング信号発生装置は、タイミング信号の変化点の時間的位置について指定する位置情報と、このタイミング信号の出力端子及びその変化点での信号変化について指定する出力制御情報と、を複数記憶するメモリ部13と、この位置情報とタイマ値とが一致したとき一致検出パルスを発生する一致検出部14と、メモリから読み出された出力制御情報と一致検出パルスとを基に指定されたタイミング信号を生成する出力制御部17と、一致検出パルスが出力されたとき、メモリに対して次の各情報のアドレス信号を発生するアドレスカウンタ部15と、を備える。それにより、1つの一致検出部を用いるだけで多数のタイミング信号を発生させることが可能となる。
【0004】
このように、図16に示すタイミング信号発生装置は、多数のタイミング信号を発生させる場合でも、複数の一致検出部を備える必要が無いため、回路規模の増大を抑制している。
【0005】
図17は、特許文献2に開示されたタイマ/カウンタ回路を示すブロック図である。図17に示すタイマ/カウンタ回路は、インクリメンタ1と、ラッチ回路2と、レジスタブロック3Aと、一致フラグ4Aと、クリア制御部5と、動作制御部6と、中央処理装置7と、データバス8と、内部バス9と、転送制御回路10と、を備える。レジスタブロック3Aは、バッファ回路30と、カウンタ31A〜31Dと、一致検出機能を有するタイマレジスタ32と、一致検出機能を有しない一致データ記憶回路33A〜33Dと、を有する。
【0006】
一致データ記憶回路33A〜33Dは、それぞれカウンタ31A〜31Dに対応するタイマ値を記憶する。転送制御回路10は、一致データ記憶回路33A〜33Dのうち何れかの一致データ記憶回路に記憶されたタイマ値をタイマレジスタ32に転送する。タイマレジスタ32は、一致データ記憶回路33A〜33Dの何れかから転送されたタイマ値と、対応するカウンタのカウント値と、の一致を検出して一致信号Fを出力する。一致フラグ4Aは、タイマレジスタ32からの一致信号Fに応じて対応する割込信号(IA〜IDの何れか)を発生する。
【0007】
このように、図17に示すタイマ/カウンタ回路は、一致検出機能を有するCAMセルからなる回路規模の大きなタイマレジスタを複数備える代わりに、一致検出機能を有しないRAMセルからなる回路規模の小さい一致データ比較回路を複数備えることにより、回路規模の増大を抑制している。
【0008】
そのほか、特許文献3にはマイコンを備えた車両制御装置が開示されている。このマイコンは、各種制御で個々に使用する制御用カウンタの値をベース処理にて所定時間間隔で計数し、更にそのカウンタ値に基づいて各種制御の実施タイミングを判断するとともに、そのタイミングに到達すると該当する処理を実施する。このマイコンは、定時割り込み処理において基準カウンタをカウントアップするとともに、制御用カウンタのカウントアップのタイミング毎に、基準カウンタを参照することによりベース処理の遅れを算出し、その遅れが制御用カウンタによる一回分の計数動作幅に達していれば制御用カウンタの値を補正する。
【0009】
また、特許文献4には、安価な構成で始動用キーの認証照合精度を向上させるためのパルス幅変調信号を生成する車載エンジン制御装置が開示されている。この車載エンジン制御装置に設けられたマイクロプロセッサは、2つのタイマ回路部により第1及び第2の駆動制御用タイマTIM1,TIM2を構成し、クランク角センサと同期動作する点火・燃料噴射制御用の制御出力信号を生成する。各制御出力信号は、複数の気筒選択用ゲート回路により気筒別に分配され、対応するエンジン駆動用機器を順次駆動する。
【0010】
認証照合完了までは、第1の駆動制御用タイマTIM1で生成されたパルス幅変調信号は、認証用ゲート回路を介してイモビライザに送信され、イモビライザは、受信したパルス幅変調信号の周期、デューティに対応した周波数及び振幅の無線信号をトランスポンダに送信して、始動用キーから暗証番号を読み出す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平9−139732号公報
【特許文献2】特開平9−171418号公報
【特許文献3】特開2002−303201号公報
【特許文献4】特開2008−169709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献1に開示されたタイミング信号発生装置(タイミング制御装置)において、出力制御部17は、1つの基準時刻用タイマ11のタイマ値と、メモリ部13に記憶されたタイマ値と、が一致する場合に、対応する出力端子からタイミング信号を発生する。つまり、出力制御部17は、複数のタイマのタイマ値に基づいて1つのタイミング信号を発生していない。そのため、関連する技術のタイミング信号発生装置は、汎用性の高いタイミング制御を行うことができないという問題があった。
【0013】
また、特許文献2に開示されたタイマ/カウンタ回路(タイミング制御装置)において、一致フラグ4Aは、カウンタ31Aのカウント値と一致データ記憶回路33Aに記憶されたタイマ値とが一致した場合に、割込信号IAを発生する。また、一致フラグ4Aは、カウンタ31Bのカウント値と一致データ記憶回路33Bに記憶されたタイマ値とが一致した場合に、割込信号IBを発生する。また、一致フラグ4Aは、カウンタ31Cのカウント値と一致データ記憶回路33Cに記憶されたタイマ値とが一致した場合に、割込信号ICを発生する。また、一致フラグ4Aは、カウンタ31Dのカウント値と一致データ記憶回路33Dに記憶されたタイマ値とが一致した場合に、割込信号IDを発生する。
【0014】
このように、一致フラグ4Aは、1つのカウンタ回路のカウント値と対応するタイマ値とが一致した場合に、対応する1つの割込信号(IA〜IDの何れか)を発生している。つまり、一致フラグ4Aは、1つのカウンタ回路のカウント値のみに基づいて1つの割込信号を発生することしかできず、複数のカウンタ回路のカウント値に基づいて1つの割込信号を発生することができない。そのため、関連する技術の関連する技術のタイマ/カウンタ回路は、このような割込信号を用いてタイミング制御を行おうとしても、汎用性の高いタイミング制御を行うことができないという問題があった。
【0015】
特に近年では、顧客要求の多様化により、同じ機能を実現する場合でもマイコンに備えられたカウンタの組み合わせ等に差異が生じている。そのため、様々な顧客の要求に対応可能な汎用性の高い製品開発が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明にかかるタイミング制御装置は、複数のデータ出力装置のうち何れかのデータ出力装置の識別情報と、対応する期待値データと、によって構成されるタイミング制御情報を複数記憶する記憶部と、複数の前記タイミング制御情報のうち何れかのタイミング制御情報を選択的に出力する第1選択回路と、前記複数のデータ出力装置からそれぞれ出力されるデータの何れかを、前記第1選択回路から出力されているタイミング制御情報に含まれる識別情報に基づいて選択し出力する第2選択回路と、前記第1選択回路から出力されているタイミング制御情報に含まれる期待値データと、前記第1選択回路によって選択されるタイミング制御情報の切り替わりに同期して前記第2選択回路から出力されたデータと、に基づいて基準データを生成する基準データ生成部と、前記基準データと、前記第2選択回路から出力されているデータと、を比較しそれらが一致する場合に前記一致信号を出力する比較部と、前記一致信号に応じたタイミング信号を出力する出力制御部と、を備え、前記第1選択回路は、前記一致信号が出力された場合に、前記複数のタイミング制御情報のうち何れかのタイミング制御情報から次のタイミング制御情報に選択を切り替えて出力する。
【0017】
本発明にかかるタイミング制御装置の制御方法は、複数のデータ出力装置のうち何れかのデータ出力装置の識別情報と、対応する期待値データと、によって構成されるタイミング制御情報を複数記憶し、複数の前記タイミング制御情報のうち何れかのタイミング制御情報を選択的に第1選択回路から出力し、前記複数のデータ出力装置からそれぞれ出力されるデータの何れかを、前記第1選択回路から出力されているタイミング制御情報に含まれる識別情報に基づいて選択して第2選択回路から出力し、前記第1選択回路から出力されているタイミング制御情報に含まれる期待値データと、前記第1選択回路によって選択されるタイミング制御情報の切り替わりに同期して前記第2選択回路から出力されたデータと、に基づいて基準データを生成し、前記基準データと、前記第2選択回路から出力されているデータと、を比較しそれらが一致する場合に一致信号を出力し、前記一致信号に応じたタイミング信号を出力し、前記一致信号が出力された場合に、前記複数のタイミング制御情報のうち何れかのタイミング制御情報から次のタイミング制御情報に選択を切り替えて前記第1選択回路から出力する。
【0018】
上述のような回路構成により、汎用性の高いタイミング制御を行うことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明により、汎用性の高いタイミング制御を行うことが可能なタイミング制御装置及びその制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態1にかかるタイミング制御装置を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1にかかるタイミング制御装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図3】本発明の実施の形態1にかかるタイミング制御装置の変形例を示すブロック図である。
【図4】関連する技術のタイミング制御装置を示すブロック図である。
【図5】関連する技術のタイミング制御装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図6】本発明が適用される制御システムの概要を示すブロック図である。
【図7】本発明が適用される制御システムの動作を示すタイミングチャートである。
【図8】本発明が適用されるエンジン制御システムを示すブロック図である。
【図9】本発明が適用されるエンジン制御システムの動作を示すタイミングチャートである。
【図10】本発明の実施の形態2にかかるタイミング制御装置を示すブロック図である。
【図11】本発明の実施の形態2にかかるタイミング制御装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図12】本発明の実施の形態3にかかるタイミング制御装置の一部を示すブロック図である。
【図13】本発明の実施の形態3にかかるタイミング制御装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図14】本発明の実施の形態4にかかるタイミング制御装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図15】本発明が適用されるプロセッサシステムの概略図を示す。
【図16】関連する技術のタイミング信号発生装置を示すブロック図である。
【図17】関連する技術のタイマ/カウンタ回路を示すブロック図である。
【図18】本発明の実施の形態6にかかるタイミング制御装置を示すブロック図である。
【図19】本発明の実施の形態6にかかるタイミング制御装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図20】本発明が適用される制御システムの概要を示すブロック図である。
【図21】本発明が適用される制御システムの動作を示すタイミングチャートである。
【図22】本発明が適用されるエンジン制御システムを示すブロック図である。
【図23】本発明が適用されるエンジン制御システムの動作を示すタイミングチャートである。
【図24】本発明の実施の形態7にかかるタイミング制御装置を示すブロック図である。
【図25】本発明の実施の形態7にかかるタイミング制御装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図26】本発明の実施の形態8にかかるタイミング制御装置を示すブロック図である。
【図27】本発明の実施の形態8にかかるタイミング制御装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図28】本発明の実施の形態9にかかるタイミング制御装置を示すブロック図である。
【図29】本発明の実施の形態9にかかるタイミング制御装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図30】関連する技術のタイマ/カウンタ回路を示すブロック図である。
【図31A】関連する技術のタイマ/カウンタ回路の課題を説明するためのタイミングチャートである。
【図31B】関連する技術のタイマ/カウンタ回路の課題を説明するためのタイミングチャートである。
【図32】実施の形態10にかかるタイミング制御装置を示すブロック図である。
【図33】実施の形態10にかかるタイミング制御装置の動作を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。なお、図面は簡略的なものであるから、この図面の記載を根拠として本発明の技術的範囲を狭く解釈してはならない。また、同一の要素には、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0022】
実施の形態1
図1は、本発明の実施の形態1にかかるタイミング制御装置100の概要を示すブロック図である。本実施の形態にかかるタイミング制御装置100は、複数のデータ出力装置(図1の例ではカウンタA,B)からそれぞれ出力されるデータに基づいてタイミング信号を生成することにより、汎用性の高いタイミング制御を行うことができることを特徴とする。以下、詳細に説明する。
【0023】
図1に示すように、タイミング制御装置100は、選択回路(第2選択回路)1011と、選択回路(第1選択回路)1018と、切替信号生成部1012と、記憶部1013と、演算部1014と、データ保持部1015と、比較部1016と、出力制御部1017と、を備える。記憶部1013は、n(nは2以上の整数)個の制御情報格納部ST1〜STnを有する。なお、選択回路1011,1018と、切替信号生成部1012と、記憶部1013と、演算部1014と、データ保持部1015と、比較部1016と、出力制御部1017と、によって1つの条件比較部が構成される。図1では、タイミング制御装置100が1つの条件比較部を有した場合の例であるが、タイミング制御装置100は2以上の条件比較部を有した回路構成であっても良い。また、演算部1014とデータ保持部1015とにより基準データ生成部が構成される。
【0024】
また、タイミング制御装置100の外部には、CPU(不図示)が設けられている。CPUは、例えば、タイミング制御装置100からの要求に応じて当該タイミング制御装置100に対してタイミング制御情報を与える。
【0025】
選択回路1011には、外部に設けられたカウンタA及びカウンタBからそれぞれ出力されたデータが入力される。データ出力装置であるカウンタA及びカウンタBは、それぞれ独自のタイミング(以下、データ更新タイミングと称し、その周期をデータ更新周期と称す)でデータを出力する。例えば、カウンタA及びカウンタBは、それぞれ独自のデータ更新タイミングでカウント値をインクリメントし出力する。なお、データ出力装置の数は適宜変更可能である。
【0026】
選択回路1011は、選択回路1018から出力された切替信号S2(後述)に基づいて、複数のデータ出力装置からそれぞれ出力されるデータの何れかを選択し出力する。図1の例では、選択回路1011は、切替信号S2に基づいてカウンタA及びカウンタBからそれぞれ出力されるデータの何れかを選択し出力する。選択回路1011から出力されたデータは、演算部1014及び比較部1016に入力される。
【0027】
記憶部1013において、各制御情報格納部ST1〜STnには、タイミング制御情報が予め格納される。具体的には、各制御情報格納部ST1〜STnには、複数のデータ出力装置のうち何れかのデータ出力装置の識別情報と、対応する期待値データと、が予め格納される。なお、制御情報格納部ST2〜STnには、それぞれ一つ前の制御情報格納部ST1〜ST(n−1)に格納される期待値データとの相対値が期待値データとして格納される。
【0028】
本実施の形態では、カウンタAの識別情報が"0"、カウンタBの識別情報が"1"である場合を例に説明する。例えば、制御情報格納部ST1には、識別情報として"0"が、期待値データとして"1"が格納される。制御情報格納部ST2には、識別情報として"1"が、期待値データとして"2"が格納される。
【0029】
選択回路1018は、切替信号生成部1012から出力された切替信号S1(後述)に基づいて、制御情報格納部ST1〜STnにそれぞれ格納されたタイミング制御情報のうち何れかのタイミング制御情報を選択し出力する。具体的には、選択回路1018は、選択したタイミング制御情報に含まれる識別情報を切替信号S2として選択回路1011に出力するとともに、当該タイミング制御情報に含まれる期待値データを演算部1014に出力する。
【0030】
例えば、選択回路1018は、制御情報格納部ST1に格納されているタイミング制御情報を選択する。この場合、選択回路1018は、識別情報である"0"を切替信号S2として出力するとともに、期待値データ"1"を出力する。選択回路1011は、識別情報"0"に対応する切替信号S2に基づいて、カウンタAから出力されるデータを選択し出力する。
【0031】
演算部1014とデータ保持部1015とからなる基準データ生成部は、選択回路1018によって選択されるタイミング制御情報の切り替わりに同期して選択回路1011から出力されたデータと、期待値データと、に基づいて基準データを生成する。より具体的には、演算部1014は、選択回路1011から出力されるデータと、選択回路1018から出力される期待値データと、を加算して出力する。データ保持部1015は、選択回路1018によって選択されるタイミング制御情報が切り替わった場合、その切り替わり直後に演算部1014から出力された演算結果(基準データ)を保持する。つまり、データ保持部1015は、選択回路1018によって選択されるタイミング制御情報が切り替わった場合、その切り替わり直後における選択回路1011の最初の出力データと期待値データとの加算値(基準データ)を保持する。
【0032】
例えば、選択回路1018が、制御情報格納部ST1に格納されるタイミング制御情報から制御情報格納部ST2に格納されるタイミング制御情報に選択を切り替えて出力し始めた場合について説明する。この場合、選択回路1018は、識別情報である"1"を切替信号S2として選択回路1011に出力し始めるとともに、期待値データ"2"を演算部1014に出力し始める。また、選択回路1011は、識別情報"1"に対応する切替信号S2に基づいて、カウンタBから出力されるデータを選択し出力し始める。演算部1014は、選択回路1011から出力されているデータ(例えば、"5")と、期待値データ"2"とを加算して出力する。そして、データ保持部1015は、演算部1014の演算結果"7"を保持する。
【0033】
比較部1016は、選択回路1011から出力されているデータと、データ保持部1015に保持されているデータと、を比較し、一致する場合に一致信号を出力する。例えば、比較部1016は、選択回路1011から出力されるカウンタBの出力データが"7"になった場合、データ保持部1015に保持されているデータと一致するため、一致信号を出力する。
【0034】
切替信号生成部1012は、比較部1016からの一致信号に基づいて切替信号S1を生成する。具体的には、切替信号生成部1012は、比較部1016から一致信号が出力される毎に、選択回路1018が次の制御情報格納部に格納されているタイミング制御情報を選択し出力するように、切替信号S1を出力する。それにより、選択回路1018は、比較部1016から一致信号が出力される毎に、制御情報格納部ST1に格納されたタイミング制御情報から制御情報格納部STnに格納されたタイミング制御情報までを順に切り替えて選択し、出力する。
【0035】
出力制御部1017は、比較部1016から一致信号を受け取ると、当該一致信号に応じたタイミング信号T1を出力する。例えば、出力制御部1017は、比較部1016から一致信号を受け取ると、当該一致信号に同期してタイミング信号T1の論理値を反転させる。
【0036】
このように、本実施の形態にかかるタイミング制御装置100は、複数のデータ出力装置からそれぞれ出力されるデータに基づいてタイミング信号を生成することができる。つまり、本実施の形態にかかるタイミング制御装置100は、複数のデータ出力装置からそれぞれ出力されるデータに基づいて、汎用性の高いタイミング制御を行うことができる。
【0037】
さらに、本実施の形態にかかるタイミング制御装置100は、タイミング信号T1の論理値変化のタイミングを、当該タイミング信号T1の直前の論理値変化のタイミングを基準にして相対的に指定している。そのため、本実施の形態にかかるタイミング制御装置100は、複数のデータ出力装置がそれぞれ独自のデータ更新タイミングでデータを出力する場合であっても、制御情報格納部ST1〜STnに格納されたそれぞれのタイミング制御情報を用いて確実にタイミング制御を行うことができる。
【0038】
さらに、本実施の形態にかかるタイミング制御装置100は、記憶部1013に予めn個のタイミング制御情報を格納し、これらを順番に用いてタイミング制御を行っている。したがって、少なくともn個のタイミング制御(タイミング信号T1の論理値変化)の全てが完了するまでは、タイミング制御装置100からCPUに対してタイミング制御情報を要求するための割込みは発生しない。このように、本実施の形態にかかるタイミング制御装置100は、タイミング制御にCPU等を介在させる必要が無いため、タイミング制御の応答性を高めることが可能である。また、CPUに対する割込みの発生頻度が低下するため、CPUや周辺バスへの負荷が軽減される。さらに、本実施の形態にかかるタイミング制御装置100は、低消費電力化のためにCPUがスリープモード(CPUによる命令実行を停止させるモード)に移行している場合でも、タイミング制御を継続させることができる。
【0039】
(タイミングチャート)
次に、図1に示すタイミング制御装置100の動作を、図2を用いてさらに具体的に説明する。図2は、図1に示すタイミング制御装置100の動作を示すタイミングチャートである。図2の例では、カウンタAは、カウント値を"0"に初期化後(時刻t0)、独自のデータ更新タイミングでカウント値をインクリメントし出力している。カウンタBは、カウント値を"0"に初期化後(時刻t0)、カウンタAより小さい周期のデータ更新タイミングでカウント値をインクリメントし出力している。
【0040】
図2の例では、制御情報格納部ST1には、識別情報として"0"が、期待値データとして"1"が、格納されている。制御情報格納部ST2には、識別情報として"1"が、期待値データとして"2"(相対値)が、格納されている。
【0041】
まず、選択回路1018は、切替信号S1に基づいて制御情報格納部ST1に格納されたタイミング制御情報を選択し出力する。具体的には、選択回路1018は、識別情報である"0"を切替信号S2として出力するとともに、期待値データ"1"を出力する。選択回路1011は、識別情報"0"に対応する切替信号S2に基づいて、カウンタAから出力されるデータを選択し出力する。
【0042】
カウンタAの初期化直後において、演算部1014は、選択回路1011から出力されているデータ"0"と期待値データ"1"とを加算した結果"1"を出力する。そして、データ保持部1015は、演算部1014の演算結果"1"を保持する。つまり、データ保持部1015は、カウンタAの初期化直後における選択回路1011の出力データ"0"と期待値データ"1"とを加算した結果"1"を保持する。
【0043】
比較部1016は、選択回路1011から出力されるカウンタAの出力データが"1"になった場合、データ保持部1015に保持されているデータと一致するため、一致信号F1を出力する(時刻t1)。出力制御部1017は、比較部1016から一致信号F1を受け取ると、当該一致信号F1に同期してタイミング信号T1をLレベルからHレベルに反転させる(時刻t1)。
【0044】
また、切替信号生成部1012は、比較部1016から一致信号F1を受け取ると、選択回路1018が次の制御情報格納部ST2に格納されているタイミング制御情報を選択するように、切替信号S1を出力する(時刻t1)。それにより、選択回路1018は、制御情報格納部ST2に格納されたタイミング制御情報を選択し出力する。具体的には、選択回路1018は、識別情報である"1"を切替信号S2として出力するとともに、期待値データ"2"(相対値)を出力する。選択回路1011は、識別情報"1"に対応する切替信号S2に基づいて、カウンタBから出力されるデータを選択し出力する。
【0045】
選択回路1018によって選択されるタイミング制御情報が切り替わった直後において、演算部1014は、選択回路1011から出力されているデータ"5"と期待値データ"2"とを加算した結果"7"を出力する。そして、データ保持部1015は、演算部1014の演算結果"7"を保持する。つまり、データ保持部1015は、選択回路1018によって選択されるタイミング制御情報が切り替わった場合、その切り替わり直後における選択回路1011の最初の出力データ"5"と期待値データ"2"とを加算した結果"7"を保持する。
【0046】
比較部1016は、選択回路1011から出力されるカウンタBの出力データが"7"になった場合、データ保持部1015に保持されているデータと一致するため、一致信号F1を出力する(時刻t2)。出力制御部1017は、比較部1016から一致信号F1を受け取ると、当該一致信号F1に同期してタイミング信号T1をHレベルからLレベルに反転させる(時刻t2)。
【0047】
また、切替信号生成部1012は、比較部1016から一致信号F1を受け取ると、選択回路1018が次の制御情報格納部ST3に格納されているタイミング制御情報を選択するように、切替信号S1を出力する(時刻t2)。それにより、選択回路1018は、制御情報格納部ST3に格納されたタイミング制御情報を選択し出力する。
【0048】
このようにして、タイミング制御装置100は、カウンタAの出力データに基づきタイミング信号T1を立ち上げ(時刻t1)、カウンタBの出力データに基づきタイミング信号T1を立ち下げる(時刻t2)。
【0049】
(タイミング制御装置100の変形例)
図3は、図1に示すタイミング制御装置100の変形例を示すブロック図である。図3に示すタイミング制御装置100aは、記憶部1013に相対値の期待値データ及び絶対値の期待値データを混在させて格納できることを特徴とする。
【0050】
タイミング制御装置100aは、図1に示すタイミング制御装置100と比較して、選択回路(第3選択回路)1019をさらに備える。なお、選択回路1011,1018,1019と、切替信号生成部1012と、記憶部1013と、演算部1014と、データ保持部1015と、比較部1016と、出力制御部1017と、によって1つの条件比較部が構成される。
【0051】
また、タイミング制御装置100aは、各制御情報格納部に、期待値データ及び識別情報に加え当該期待値データが絶対値か相対値かを識別する付加情報をさらに格納する。選択回路1018は、この付加情報に応じた切替信号S3をさらに出力する。それにより、選択回路1018から出力される期待値データが相対値の場合には、選択回路1019は、データ保持部1015から出力されるデータを選択して比較部1016に出力する。一方、選択回路1018から出力される期待値データが絶対値の場合には、選択回路1019は、当該期待値データを選択して比較部1016に出力する。タイミング制御装置100aのその他の回路構成及び動作については、図1に示すタイミング制御装置100と同様であるため、その説明を省略する。
【0052】
このように、図3に示すタイミング制御装置100aは、相対値の期待値データ及び絶対値の期待値データを用いてタイミング制御を行うため、タイミング制御装置100よりも汎用性の高いタイミング制御を行うことができる。
【0053】
(関連する技術のタイミング制御装置の説明)
次に、単純にデータ出力装置の数を増やし、相対値の期待値データを用いずにタイミング制御を行った場合の問題点について、図4及び図5を用いて説明する。図4は、関連する技術のタイミング制御装置500を示すブロック図である。図5は、関連する技術のタイミング制御装置500の動作を示すタイミングチャートである。
【0054】
関連する技術のタイミング制御装置500は、図1に示すタイミング制御装置100と異なり、各制御情報格納部に絶対値の期待値データ及び識別情報を格納する。また、関連する技術のタイミング制御装置500は演算部1014及びデータ保持部1015を有さず、選択回路1018から出力される期待値データは直接比較部1016に入力される。関連する技術のタイミング制御装置500のその他の回路構成については、本実施の形態にかかるタイミング制御装置100と同様であるため、その説明を省略する。
【0055】
なお、図5の例では、カウンタA及びカウンタBは図2の場合と同様の動作を示す。制御情報格納部ST1には、識別情報として"0"が、期待値データとして"1"が、格納されている。制御情報格納部ST2には、識別情報として"1"が、期待値データとして"2"が、格納されている。
【0056】
まず、選択回路1018は、切替信号S1に基づいて制御情報格納部ST1に格納されたタイミング制御情報を選択し出力する。具体的には、選択回路1018は、識別情報である"0"を切替信号S2として出力するとともに、期待値データ"1"を出力する。選択回路1011は、識別情報"0"に対応する切替信号S2に基づいて、カウンタAから出力されるデータを選択し出力する。
【0057】
比較部1016は、選択回路1011から出力されるカウンタAの出力データが"1"になった場合、選択回路1018から出力される期待値データと一致するため、一致信号F1を出力する(時刻t1)。出力制御部1017は、比較部1016から一致信号F1を受け取ると、当該一致信号F1に同期してタイミング信号T1をLレベルからHレベルに反転させる(時刻t1)。
【0058】
また、切替信号生成部1012は、比較部1016から一致信号F1を受け取ると、選択回路1018が次の制御情報格納部ST2に格納されているタイミング制御情報を選択するように、切替信号S1を出力する(時刻t1)。それにより、選択回路1018は、制御情報格納部ST2に格納されたタイミング制御情報を選択し出力する。具体的には、選択回路1018は、識別情報である"1"を切替信号S2として出力するとともに、期待値データ"2"を出力する。選択回路1011は、識別情報"1"に対応する切替信号S2に基づいて、カウンタBから出力されるデータを選択し出力する。
【0059】
比較部1016は、選択回路1011から出力されるカウンタBの出力データが"2"になった場合に、選択回路1018から出力される期待値データと一致するため一致信号F1を出力するはずである。しかしながら、カウンタBの出力データは、時刻t2の時点で既に期待値データ"2"を超えた"5"を示している。したがって、比較部1016は、選択回路1011から出力されるカウンタBの出力データと選択回路1018から出力される期待値データとが一致することが無いため、一致信号F1を出力することができない。つまり、関連する技術のタイミング制御装置500は、制御情報格納部ST2に格納されているタイミング制御情報を用いてタイミング制御することができない。
【0060】
このように、関連する技術のタイミング制御装置500は、複数のデータ出力装置がそれぞれ独自のデータ更新タイミングでデータを出力する場合、制御情報格納部ST1〜STnにそれぞれ格納されたタイミング制御情報の時間的順序性を保証することができない。そのため、関連する技術のタイミング制御装置500は、所望のタイミング制御を行うことができないという問題がある。
【0061】
(本発明が適用される制御システムの説明)
本発明にかかるタイミング制御装置は、例えば、図6に示すようにマイクロコンピュータ(以下、単にマイコンと称す)に搭載される。図6は、図3に示すタイミング制御装置100aの変形例として2つの条件比較部101、102を有するタイミング制御装置100bを搭載したマイコン200と、マイコン200によって制御される制御対象装置300と、を備えた制御システムを示すブロック図である。なお、図6に示すタイミング制御装置100bは、タイミング信号T1を生成する条件比較部101と、タイミング信号T2を生成する条件比較部102と、を備える。各条件比較部101,102は、選択回路1011,1018,1019と、切替信号生成部1012と、記憶部1013と、演算部1014と、データ保持部1015と、比較部1016と、出力制御部1017と、によって構成される。各条件比較部101,102の詳細な構成及び動作については、図3に示すタイミング制御装置100aの条件比較部と同様であるため、その説明を省略する。なお、複数のタイミング信号を生成するタイミング制御装置は、1つのタイミング信号を生成するタイミング制御装置が複数在る場合と等価である。
【0062】
図6に示すマイコン200は、タイミング制御装置100bと、時間分割コントローラ210と、プログラム処理を行うCPU201と、プログラム等を格納するRAM202と、基準クロックを生成するクロック生成部203と、タイマ204,205と、ADコンバータ206と、通信I/F207と、を備える。また、制御対象装置300は、制御ドライバ301,302と、制御対象303と、ASIC304と、電流検出センサ305と、速度信号センサ306と、を備える。
【0063】
タイマ204、タイマ205、ADコンバータ206及び通信I/F207は、いずれもデータ出力装置である。タイマ204は、クロック生成部203によって生成された基準クロックに同期してカウント値をインクリメントし出力する。タイマ205は、制御対象装置300から出力された速度情報(パルス信号)に基づきカウント値をインクリメントし出力する。ADコンバータ206は、制御対象装置300から出力された電流値情報(アナログ値)をデジタルデータに変換して出力する。通信I/F207は、制御対象装置300から出力された監視結果(デジタル値)をデジタルデータとして出力する。なお、図6の例では、複数のデータ出力装置として、タイマ204、タイマ205、ADコンバータ206及び通信I/F207が用いられているが、これに限られない。仕様に応じて様々な種類のデータ出力装置が用いられる。また、図6の例では、制御対象装置300からマイコン200に対して速度情報、電流値情報及び監視結果が供給されているが、これに限られない。制御対象装置300からマイコン200に対して供給される情報は、仕様に応じて適宜変更可能である。
【0064】
時間分割コントローラ210は、タイマ204、タイマ205、ADコンバータ206及び通信I/F207からそれぞれ出力されるデータを順に選択して時間分割データとして出力する。
【0065】
タイミング制御装置100bは、時間分割データに含まれる複数のデータに基づいてパルス波形のタイミング信号T1,T2を出力する。つまり、タイミング制御装置100bは、複数のデータ出力装置204〜207からそれぞれ出力されるデータに基づいてパルス波形のタイミング信号T1,T2を出力する。なお、本実施の形態では、マイコン200が時間分割コントローラ210を備えた場合を例に説明するが、これに限られない。マイコン200は時間分割コントローラ210を備えない構成に適宜変更可能である。この場合、タイミング制御装置100bに設けられた各条件比較部101,102には、複数のデータ出力装置からそれぞれ出力されたデータが直接供給される。
【0066】
タイミング信号T1は、制御対象装置300に設けられた制御ドライバ301に供給される。タイミング信号T2は、制御対象装置300に設けられた制御ドライバ302に供給される。なお、図6の例では、マイコン200から制御対象装置300に対して2つのタイミング信号T1,T2が供給されているが、これに限られない。タイミング信号の数は、制御対象装置300の仕様に応じて適宜変更可能である。
【0067】
制御ドライバ301,302は、それぞれタイミング信号T1,T2に基づいて制御対象303を駆動する。制御対象303は、例えば車載エンジンであって、制御ドライバ301,302によって回転運動が制御される。例えば、制御ドライバ301は、タイミング信号T1に基づいて制御対象303の回転速度を加速する。制御ドライバ302は、タイミング信号T2に基づいて制御対象303の回転速度を制限する。
【0068】
ASIC304は、制御対象303の状態監視を行い、その監視結果をデジタルデータとして通信I/F207に出力する。例えば、ASIC304は、制御対象303が通常動作しているか停止しているか等の状態を監視するために用いられる。電流検出センサ305は、制御対象303に流れる電流を検出し、その検出結果を電流値情報(アナログ値)としてADコンバータ206に出力する。例えば、電流検出センサ305は、制御対象303に所望の電流が流れているか否かを確認するために用いられる。速度信号センサ306は、制御対象303の回転速度を検出し、その検出結果を速度情報(パルス信号)としてタイマ205に出力する。
【0069】
上記したように、図6に示すタイミング制御装置100bは、複数のデータ出力装置からそれぞれ出力されるデータに基づいてタイミング信号T1,T2を生成する。つまり、図6に示すタイミング制御装置100bは、複数のデータ出力装置からそれぞれ出力されるデータに基づいて、汎用性の高いタイミング制御を行うことができる。さらに、図6の例では、複数のデータ出力装置のいくつかが、制御対象303から得られる情報(速度情報等)に応じたデータを出力している。それにより、図6に示すタイミング制御装置100bは、制御対象303から得られる様々な種類の情報に基づいて、当該制御対象303をタイミング制御することが可能である。つまり、図6に示すタイミング制御装置100bは、制御対象303から得られる様々な種類の情報に基づいて制御対象303をどのように制御すべきか判断し、汎用性の高いタイミング制御をリアルタイムに行うことが可能である。
【0070】
(タイミングチャート)
次に、図6に示す制御システムの動作を、図7を用いてさらに具体的に説明する。図7は、図6に示す制御システムの動作を示すタイミングチャートである。
【0071】
図7に示すように、タイマ204は一定間隔でカウント値を増加させている。タイマ205は、制御対象装置300からの速度情報(パルス信号)に基づいてカウント値を増加させている。したがって、制御対象303の回転速度が速くなるとタイマ205のカウント値の増加速度は上昇し、制御対象303の回転速度が遅くなるとタイマ205のカウント値の増加速度は低下する。ADコンバータ206は、制御対象装置300からの電流値情報(アナログ値)をデジタルデータに変換して出力している。通信I/F207は、制御対象装置300からの監視結果(制御対象303の状態)をデジタルデータとして出力する。例えば、通信I/F207は、制御対象303が停止している場合にデータ"00h"(16進数)を出力し、制御対象303が通常動作している場合にデータ"01h"を出力する。
【0072】
本実施の形態では、タイマ204の識別情報が"0"、タイマ205の識別情報が"1"、ADコンバータ206の識別情報が"2"及び通信I/F207の識別情報が"3"である場合を例に説明する。
【0073】
条件比較部101において、制御情報格納部ST1には、識別情報として"3"が、絶対値の期待値データとして"01h"が予め格納されている。制御情報格納部ST2には、識別情報として"0"が、絶対値の期待値データとして"600h"が予め格納されている。制御情報格納部ST3には、識別情報として"0"が、相対値の期待値データとして"100h"が予め格納されている。なお、各制御情報格納部には期待値データが絶対値か相対値かを識別する付加情報も格納されているが、以下の説明では特に言及しない。
【0074】
条件比較部102において、制御情報格納部ST1には、識別情報として"2"が、絶対値の期待値データとして"100h"が予め格納されている。制御情報格納部ST2には、識別情報として"2"が、絶対値の期待値データとして"90h"が予め格納されている。なお、各制御情報格納部には期待値データが絶対値か相対値かを識別する付加情報も格納されているが、以下の説明では特に言及しない。
【0075】
まず、条件比較部101において、選択回路1018は制御情報格納部ST1に格納されたタイミング制御情報を選択し出力する(時刻t0)。具体的には、選択回路1018は、識別情報である"3"を切替信号S2として出力するとともに、絶対値の期待値データ"01h"を出力する。選択回路1011は、識別情報"3"に対応する切替信号S2に基づいて、通信I/F207から出力されるデータを選択し出力する。
【0076】
一方、条件比較部102において、選択回路1018は制御情報格納部ST1に格納されたタイミング制御情報を選択し出力する。具体的には、選択回路1018は、識別情報である"2"を切替信号S2として出力するとともに、絶対値の期待値データ"100h"を出力する。選択回路1011は、識別情報"2"に対応する切替信号S2に基づいて、ADコンバータ206から出力されるデータを選択し出力する。
【0077】
通信I/F207は、制御対象303の状態変化に応じてデータ"00h"を"01h"に切り替えて出力する(時刻t1)。このとき、条件比較部101は、通信I/F207の出力データと制御情報格納部ST1に格納された期待値データとが一致するため、タイミング信号T1をLレベルからHレベルに切り替える(時刻t1)。
【0078】
タイミング信号T1が立ち上がることにより、制御対象303の回転速度は加速される。そのため、タイマ205のカウント値の増加速度は上昇する。また、制御対象303に流れる電流値も上昇するため、ADコンバータ206から出力されるデジタルデータの値も上昇する(時刻t1〜t2)。
【0079】
なお、このタイミング制御(タイミング信号T1の立ち上がり)が完了すると、条件比較部101に設けられた選択回路1018は、次の制御情報格納部ST2に格納されているタイミング制御情報を選択し出力する(時刻t1直後)。具体的には、選択回路1018は、識別情報である"0"を切替信号S2として出力するとともに、絶対値の期待値データ"600h"を出力する。
【0080】
次に、ADコンバータ206から出力されるデジタルデータが"100h"になると、条件比較部102は、ADコンバータ206の出力データと制御情報格納部ST1に格納された期待値データとが一致するため、タイミング信号T2をLレベルからHレベルに切り替える(時刻t2)。即ち、条件比較部102は、制御対象303に流れる電流値が過剰になると、制御対象303の回転速度を制限するためにタイミング信号T2をLレベルからHレベルに切り替える。
【0081】
タイミング信号T2が立ち上がることにより、制御対象303の回転速度が一定速度以下に制限される。そのため、タイマ205のカウント値の増加速度は上昇しなくなる。また、制御対象に流れる電流値も上昇しなくなる(時刻t2〜時刻t4)。
【0082】
なお、このタイミング制御(タイミング信号T2の立ち上がり)が完了すると、条件比較部102に設けられた選択回路1018は、次の制御情報格納部ST2に格納されているタイミング制御情報を選択し出力する(時刻t2直後)。具体的には、選択回路1018は、識別情報である"2"を切替信号S2として出力するとともに、絶対値の期待値データ"90h"を出力する。
【0083】
一方、タイマ204のカウント値が"600h"に達すると、条件比較部101は、タイマ204のカウント値とデータ保持部1015に格納されたデータとが一致するため、タイミング信号T1をHレベルからLレベルに切り替える(時刻t3)。即ち、条件比較部101は、制御対象303が一定期間加速すると、制御対象303の回転速度を下げるためにタイミング信号T1をHレベルからLレベルに切り替える。なお、このときのタイマ204のカウント値は"600h"である。
【0084】
タイミング信号T1が立ち下がることにより、制御対象303の回転速度は減速される。そのため、タイマ205のカウント値の増加速度は減少する。また、制御対象303に流れる電流値も低下するため、ADコンバータ206から出力されるデジタルデータの値も減少する(時刻t3〜t5)。
【0085】
なお、このタイミング制御(タイミング信号T1の立ち下がり)が完了すると、条件比較部101に設けられた選択回路1018は、次の制御情報格納部ST3に格納されているタイミング制御情報を選択し出力する(時刻t3直後)。具体的には、選択回路1018は、識別情報である"0"を切替信号S2として出力するとともに、相対値の期待値データ"100h"を出力する。
【0086】
そして、ADコンバータ206から出力されるデジタルデータが"90h"まで減少すると、条件比較部102は、ADコンバータ206の出力データと制御情報格納部ST2に格納された期待値データとが一致するため、タイミング信号T2をHレベルからLレベルに切り替える(時刻t4)。即ち、条件比較部102は、制御対象303に流れる電流値が許容値まで減少すると、制御対象303の回転速度の制限を解除するためにタイミング信号T2をHレベルからLレベルに切り替える。
【0087】
さらに、タイマ205のカウント値が"700h"に達すると、条件比較部101は、タイマ205のカウント値とデータ保持部1015に格納されたデータとが一致するため、タイミング信号T1をLレベルからHレベルに切り替える(時刻t5)。即ち、条件比較部101は、制御対象303の回転速度を低下させて所定期間経過後に、制御対象303の回転速度を上げるためにタイミング信号T1をLレベルからHレベルに切り替える。
【0088】
このように、タイミング制御装置100bは、複数のデータ出力装置からそれぞれ出力されるデータに基づいてタイミング信号を生成する。つまり、タイミング制御装置100bは、複数のデータ出力装置からそれぞれ出力されたデータに基づいて、汎用性の高いタイミング制御を行うことができる。さらに、図6の例では、複数のデータ出力装置のいくつかは、制御対象303から得られる情報(速度情報等)に応じたデータを出力している。それにより、タイミング制御装置100bは、制御対象303から得られる様々な種類の情報に基づいて、当該制御対象303をタイミング制御することが可能である。つまり、タイミング制御装置100bは、制御対象303から得られる様々な種類の情報に基づいて制御対象303をどのように制御すべきか判断し、汎用性の高いタイミング制御をリアルタイムに行うことが可能である。
【0089】
さらに、タイミング制御装置100bは、相対値の期待値データ及び絶対値の期待値データを用いてタイミング制御を行うため、より汎用性の高いタイミング制御を行うことができる。
【0090】
実施の形態2
本発明にかかるタイミング制御装置の具体的製品への適用事例について、図8及び図9を用いて説明する。図8は、本発明にかかるタイミング制御装置100cを搭載したエンジン制御用マイコン200cと、エンジン制御用マイコン200cによって制御される4気筒エンジン(車載エンジン)300cと、を備えたエンジン制御システムを示すブロック図である。図9は、図8に示すエンジン制御システムの動作を示すタイミングチャートである。
【0091】
図8に示すように、エンジン制御用マイコン200cは、タイミング制御装置100cと、プログラム処理を行うCPU201と、プログラム等を格納するRAM202と、時間タイマ(第2タイマ)208と、角度タイマ(第1タイマ)209と、を備える。また、4気筒エンジン300cは、4つの気筒310,320,330,340と、回転角度センサ307と、を備える。気筒310は、燃料噴射制御部311と、点火制御部312と、を有する。燃料噴射制御部311は、制御ドライバ3111と、インジェクタ3112と、を有する。点火制御部312は、制御ドライバ3121と、イグナイタ3122と、を有する。気筒320,330,340の回路構成については、気筒310と同様であるため、その説明を省略する。
【0092】
エンジン制御用マイコン200cにおいて、時間タイマ208は、エンジン制御用マイコン200c内部で生成された一定周期の内部クロック(基準クロック)に同期してカウント値をインクリメントし出力する(図9の時間タイマ参照)。いわゆる、フリーランタイマである。
【0093】
角度タイマ209は、4気筒エンジン300cから出力されたパルス波形の角度信号(後述)に同期してカウント値をインクリメントし出力する(図9の角度タイマ参照)。言い換えると、角度タイマ209は、4気筒エンジン300cの回転軸が一定角度回転する毎に、カウント値をインクリメントし出力する。なお、角度タイマ209は、カウント値0を回転角度0度とし、回転角度が720度になるまでカウント値をインクリメントする。そして、角度タイマ209は、回転角度が720度に達するとカウント値を0に初期化する。言い換えると、角度タイマ209は、カウント値0を回転角度0度とし、4気筒エンジン300cの回転軸が2回転するまでカウント値をインクリメントする。そして、角度タイマ209は、4気筒エンジン300cの回転軸が2回転するとカウント値を0に初期化する。
【0094】
タイミング制御装置100cは、8つの条件比較部101〜108を有し、時間タイマ208及び角度タイマ209からそれぞれ出力されるデータに基づいてパルス波形の8つのタイミング信号T1〜T8を出力する。タイミング信号T1,T2は、4気筒エンジン300cに設けられた気筒310に供給される。同様に、タイミング信号T3,T4は気筒320に供給され、タイミング信号T5,T6は気筒330に供給され、タイミング信号T7,T8は気筒340に供給される。
【0095】
4気筒エンジン300cは、4つの気筒のピストン運動により、クランクシャフトの角度を変化させて回転軸を回転させる。各気筒は"吸気"、"圧縮"、"燃焼"及び"排気"の4つの工程の動作を繰り返すことでピストン運動を行う(図9の各気筒参照)。なお、4気筒エンジン300cは、これら4つの工程を1サイクル分行うことにより、回転軸を2回転分回転させる。
【0096】
気筒310において、燃料噴射制御部311は気筒内への燃料の噴射を制御する部である。制御ドライバ3111は、エンジン制御用マイコン200cからのタイミング信号T1に基づいてインジェクタ3112を駆動する。インジェクタ3112は、制御ドライバ3111によって駆動されることにより、気筒内へ燃料を噴射する。なお、気筒内への燃料の噴射は、図9に示すように"吸気"の工程にて行われており、時間タイマ208及び角度タイマ209からの各出力データに基づいてそのタイミングが制御される。
【0097】
また、気筒310において、点火制御部312は気筒内に噴射された燃料を点火する部である。制御ドライバ3121は、エンジン制御用マイコン200cからのタイミング信号T2に基づいてイグナイタ3122を駆動する。イグナイタ3122は、制御ドライバ3121によって駆動されることにより、気筒内に噴射された燃料を点火する。なお、気筒内に噴射された燃料の点火は、図9に示すように"燃焼"の工程にて行われており、時間タイマ208及び角度タイマ209からの各出力データに基づいてそのタイミングが制御される。
【0098】
なお、4つの気筒では、図9に示すように同時期にそれぞれ異なる工程の動作が行われる。そのため、4つの気筒の「燃料の噴射」及び「燃料の点火」は、それぞれ異なるタイミングで制御される。
【0099】
回転角度センサ307は、4気筒エンジン300cの回転運動の角速度を検出し、回転軸が一定角度変化する毎にパルス形状の角度信号を出力する。この角度信号は、エンジン制御用マイコン200cに設けられた角度タイマ209に入力される。角度タイマ209は、角度信号に同期してカウント値をインクリメントし出力する。それにより、タイミング制御装置100cは、角度タイマ209から出力されるデータに基づいて4つの気筒の「燃料の噴射」及び「燃料の点火」の各制御タイミングを検出する。
【0100】
このように、図8に示すタイミング制御装置100cは、時間タイマ208及び角度タイマ209からそれぞれ出力されるデータ(カウント値)に基づいて、気筒ごとに異なる「燃料の噴射」及び「燃料の点火」のタイミングを制御している。つまり、図8に示すタイミング制御装置100cは、複数のデータ出力装置からそれぞれ出力されたデータに基づいて、汎用性の高いタイミング制御を行うことが可能である。
【0101】
(タイミング制御装置100cの構成及び基本動作)
次に、タイミング制御装置100cの構成及び基本動作について、図10及び図11を用いて説明する。図10は、本実施の形態にかかるタイミング制御装置100cを示すブロック図である。図11は、本実施の形態にかかるタイミング制御装置100cの動作を示すタイミングチャートである。なお、図11では、タイミング信号T1〜T8のうちタイミング信号T1の波形のみ図示している。
【0102】
図10に示すように、タイミング制御装置100cは、条件比較部(タイミング信号生成部)101〜108を備える。各条件比較部101〜108の回路構成及び動作については、図1に示すタイミング制御装置100に設けられた条件比較部と同様であるため、その説明を省略する。条件比較部101〜108は、時間タイマ208及び角度タイマ209からそれぞれ出力されるデータに基づいて、それぞれパルス波形のタイミング信号T1〜T8を出力する。
【0103】
図11の例では、時間タイマ208は、カウント値を"0"に初期化後(時刻t0)、独自のデータ更新タイミングでカウント値をインクリメントし出力している。角度タイマ209は、カウント値を"0"に初期化後(時刻t0)、時間タイマ208と異なる周期のデータ更新タイミングでカウント値をインクリメントし出力している。
【0104】
図11の例では、制御情報格納部ST1には、識別情報として"1"が、期待値データとして"1"が、予め格納されている。制御情報格納部ST2には、識別情報として"0"が、相対値の期待値データとして"4"が、予め格納されている。なお、本実施の形態では、時間タイマ208の識別情報が"0"、角度タイマ209の識別情報が"1"である場合を例に説明する。
【0105】
まず、選択回路1018は、切替信号S1に基づいて制御情報格納部ST1に格納されたタイミング制御情報を選択し出力する(時刻t0)。具体的には、選択回路1018は、識別情報である"1"を切替信号S2として出力するとともに、期待値データ"1"を出力する。選択回路1011は、識別情報"1"に対応する切替信号S2に基づいて、角度タイマ209から出力されるデータを選択し出力する。
【0106】
角度タイマ209の初期化直後において、演算部1014は、選択回路1011から出力されているデータ"0"と期待値データ"1"とを加算した結果"1"を出力する。そして、データ保持部1015は、演算部1014の演算結果"1"を保持する。つまり、データ保持部1015は、角度タイマ209の初期化直後における選択回路1011の出力データ"0"と期待値データ"1"とを加算した結果"1"を保持する。
【0107】
比較部1016は、選択回路1011から出力される角度タイマ209の出力データが"1"になった場合、データ保持部1015に保持されているデータと一致するため、一致信号F1を出力する(時刻t1)。出力制御部1017は、比較部1016から一致信号F1を受け取ると、当該一致信号F1に同期してタイミング信号T1をLレベルからHレベルに反転させる(時刻t1)。
【0108】
また、切替信号生成部1012は、比較部1016から一致信号F1を受け取ると、選択回路1018が次の制御情報格納部ST2に格納されているタイミング制御情報を選択するように、切替信号S1を出力する(時刻t1)。それにより、選択回路1018は、制御情報格納部ST2に格納されたタイミング制御情報を選択し出力する。具体的には、選択回路1018は、識別情報である"0"を切替信号S2として出力するとともに、相対値の期待値データ"4"を出力する。選択回路1011は、識別情報"0"に対応する切替信号S2に基づいて、時間タイマ208から出力されるデータを選択し出力する。
【0109】
データ保持部1015は、選択回路1018によって選択されるタイミング制御情報が切り替わった場合、その切り替わり直後における選択回路1011の最初の出力データ"5"と期待値データ"4"とを加算した結果"9"を保持する。
【0110】
比較部1016は、選択回路1011から出力される時間タイマ208の出力データが"9"になった場合、データ保持部1015に保持されているデータと一致するため、一致信号F1を出力する(時刻t2)。出力制御部1017は、比較部1016から一致信号F1を受け取ると、当該一致信号F1に同期してタイミング信号T1をHレベルからLレベルに反転させる(時刻t2)。
【0111】
また、切替信号生成部1012は、比較部1016から一致信号F1を受け取ると、選択回路1018が次の制御情報格納部ST3に格納されているタイミング制御情報を選択するように、切替信号S1を出力する(時刻t1)。それにより、選択回路1018は、制御情報格納部ST3に格納されたタイミング制御情報を選択し出力する。
【0112】
このようにして、タイミング制御装置100cは、角度タイマ209の出力データに基づきタイミング信号T1を立ち上げ(時刻t1)、時間タイマ208の出力データに基づきタイミング信号T1を立ち下げる(時刻t2)。
【0113】
このように、本実施の形態にかかるタイミング制御装置100cは、複数のデータ出力装置からそれぞれ出力されるデータに基づいてタイミング信号T1〜T8を生成することができる。つまり、本実施の形態にかかるタイミング制御装置100cは、複数のデータ出力装置からそれぞれ出力されるデータに基づいて、汎用性の高いタイミング制御を行うことができる。
【0114】
さらに、本実施の形態にかかるタイミング制御装置100cは、タイミング信号T1〜T8の論理値変化のタイミングを、当該タイミング信号T1〜T8の直前の論理値変化のタイミングを基準にして相対的に指定している。そのため、本実施の形態にかかるタイミング制御装置100cは、複数のデータ出力装置がそれぞれ独自のデータ更新タイミングでデータを出力する場合であっても、確実にタイミング制御を行うことができる。
【0115】
さらに、本実施の形態にかかるタイミング制御装置100cにおいて、各条件比較部101〜108は、記憶部1013に予めn個のタイミング制御情報を格納し、これらを順番に用いてタイミング制御を行っている。したがって、少なくともn個のタイミング制御の全てが完了するまでは、各条件比較部101〜108からCPUに対してタイミング制御情報を要求するための割込みは発生しない。このように、本実施の形態にかかるタイミング制御装置100cは、タイミング制御にCPU等を介在させる必要が無いため、タイミング制御の応答性を高めることが可能である。また、CPUに対する割込みの発生頻度が低下するため、CPUや周辺バスへの負荷が軽減される。さらに、本実施の形態にかかるタイミング制御装置100cは、低消費電力化のためにCPUがスリープモード(CPUによる命令実行を停止させるモード)に移行している場合でも、タイミング制御を継続させることができる。
【0116】
実施の形態3
図12は、図10に示すタイミング制御装置100cの他の動作を説明するための図である。なお、図12は、条件比較部101に設けられた切替信号生成部1012、記憶部1013及び選択回路1018のみを図示している。図13は、本実施の形態にかかるタイミング制御装置100cの動作を示すタイミングチャートである。なお、図11では、タイミング信号T1〜T8のうちタイミング信号T1の波形のみ図示している。
【0117】
図12及び図13の例では、切替信号生成部1012は、比較部1016から一致信号F1が出力される毎に、選択回路1018が制御情報格納部ST1,ST2にそれぞれ格納されているタイミング制御情報を交互に選択し出力するように、切替信号S1を出力する。それにより、選択回路1018は、比較部1016から一致信号F1が出力される毎に、制御情報格納部ST1,ST2にそれぞれ格納されているタイミング制御情報を交互に切り替えて選択し、出力する。なお、この場合、記憶部1013は2つの制御情報格納部ST1,ST2を有していれば良い。
【0118】
図13の例では、制御情報格納部ST1には、識別情報として"1"が、相対値の期待値データとして"1"が、予め格納されている。制御情報格納部ST2には、識別情報として"0"が、相対値の期待値データとして"4"が、予め格納されている。なお、時間タイマ208の識別情報は"0"、角度タイマ209の識別情報は"1"である。
【0119】
図13に示すように、タイミング制御装置100cは、角度タイマ209の出力データに基づきタイミング信号T1を立ち上げ(時刻t1及び時刻t3)、時間タイマ208の出力データに基づきタイミング信号T1を立ち下げる(時刻t2及び時刻t4)。
【0120】
このように、本実施の形態にかかるタイミング制御装置100cでは、比較部1016から一致信号F1が出力される毎に、選択回路1018が制御情報格納部ST1,ST2にそれぞれ格納されているタイミング制御情報を交互に選択して出力する。それにより、本実施の形態にかかるタイミング制御装置100cは、各データ出力装置のデータ更新周期に応じたパルス周期のタイミング信号T1〜T8を生成することができる。今回の例では、角度タイマ209のデータ更新周期(4気筒エンジン300cの回転数)に応じたパルス周期のタイミング信号T1〜T8が生成される。つまり、4気筒エンジン300cの回転数が変動した場合でも、それにあわせてタイミング信号T1〜T8のパルス周期も変動するため、制御対象(4気筒エンジン300c)の状態に応じたパルス周期のタイミング信号T1〜T8を生成することが可能である。
【0121】
なお、本実施の形態では、選択回路1018が制御情報格納部ST1,ST2にそれぞれ格納されているタイミング制御情報を交互に選択して出力する場合を例に説明したが、これに限られない。選択回路1018が制御情報格納部ST1〜STnにそれぞれ格納されているタイミング情報を繰り返し選択して出力する構成に適宜変更可能である。
【0122】
実施の形態4
図14は、図10に示すタイミング制御装置100cの他の動作を説明するためのタイミングチャートである。なお、図14では、タイミング信号T1〜T8のうちタイミング信号T1の波形のみ図示している。
【0123】
図14の例では、制御情報格納部ST1には、識別情報として"1"が、相対値の期待値データとして"1"が、予め格納されている。制御情報格納部ST2には、識別情報として"0"が、相対値の期待値データとして"4"が、予め格納されている。なお、時間タイマ208の識別情報は"0"、角度タイマ209の識別情報は"1"である。また、時間タイマ208では、カウント値は"9"までカウントアップされた後に"0"に初期化される。
【0124】
まず、選択回路1018は、切替信号S1に基づいて制御情報格納部ST1に格納されたタイミング制御情報を選択し出力する。具体的には、選択回路1018は、識別情報である"1"を切替信号S2として出力するとともに、期待値データ"1"を出力する。選択回路1011は、識別情報"1"に対応する切替信号S2に基づいて、角度タイマ209から出力されるデータを選択し出力する。
【0125】
角度タイマ209の初期化直後において、演算部1014は、選択回路1011から出力されているデータ"0"と期待値データ"1"とを加算した結果"1"を出力する。そして、データ保持部1015は、演算部1014の演算結果"1"を保持する。つまり、データ保持部1015は、角度タイマ209の初期化直後における選択回路1011の出力データ"0"と期待値データ"1"とを加算した結果"1"を保持する。
【0126】
比較部1016は、選択回路1011から出力される角度タイマ209の出力データが"1"になった場合、データ保持部1015に保持されているデータと一致するため、一致信号F1を出力する(時刻t1)。出力制御部1017は、比較部1016から一致信号F1を受け取ると、当該一致信号F1に同期してタイミング信号T1をLレベルからHレベルに反転させる(時刻t1)。
【0127】
また、切替信号生成部1012は、比較部1016から一致信号F1を受け取ると、選択回路1018が次の制御情報格納部ST2に格納されているタイミング制御情報を選択するように、切替信号S1を出力する(時刻t1)。それにより、選択回路1018は、制御情報格納部ST2に格納されたタイミング制御情報を選択し出力する。具体的には、選択回路1018は、識別情報である"0"を切替信号S2として出力するとともに、相対値の期待値データ"4"を出力する。選択回路1011は、識別情報"0"に対応する切替信号S2に基づいて、時間タイマ208から出力されるデータを選択し出力する。
【0128】
選択回路1018によって選択されるタイミング制御情報が切り替わった直後において、演算部1014は、選択回路1011から出力されているデータ"8"と期待値データ"4"とを加算した結果"12"を出力する。ここで、演算部1014の演算結果"12"は、時間タイマ208の出力データ(カウント値)の最大値"9"を超えている。この場合、データ保持部1015は、演算部1014の演算結果"12"から"10"(時間タイマ208のカウント値の最大値"9"+1)を減算した結果"2"を保持する。
【0129】
比較部1016は、選択回路1011から出力される時間タイマ208の出力データが"2"になった場合、データ保持部1015に保持されているデータと一致するため、一致信号F1を出力する(時刻t2)。出力制御部1017は、比較部1016から一致信号F1を受け取ると、当該一致信号F1に同期してタイミング信号T1をHレベルからLレベルに反転させる(時刻t2)。
【0130】
このようにして、タイミング制御装置100cは、角度タイマ209の出力データに基づきタイミング信号T1を立ち上げ(時刻t1)、時間タイマ208の出力データに基づきタイミング信号T1を立ち下げる(時刻t2)。
【0131】
このように、本実施の形態にかかるタイミング制御装置100cは、データ出力装置が周期性を有するデータ(カウント値)を出力するタイマ(カウンタ)等の場合でも、他の実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0132】
実施の形態5
本実施の形態では、本発明が適用されるプロセッサシステムの概要について説明する。なお、本発明は、以下で説明するプロセッサシステムに適用されるものではあるが、説明するプロセッサシステムは一例であり、他のプロセッサシステムに本発明を適用することも可能である。
【0133】
本発明が適用されるプロセッサシステムの概略図を図15に示す。図15に示すように、本発明にかかるプロセッサシステムは、複数のPE(Processing Element)を用いることにより処理性能の向上を実現するものである。また、本発明にかかるプロセッサシステムでは、PEによる機能ブロックの分類とは別に3つのサブシステムによる機能の分類を行う。図15に示すように、本発明にかかるプロセッサシステムでは、メインPE(Processing Element)サブシステム、IO(Input Output)サブシステム、HSM(Hardware Security Module)サブシステムを有する。
【0134】
メインPEサブシステムでは、予め内部に記憶されたプログラム又は外部から読み込んだプログラムに基づくプロセッサシステムに求められる具体的な処理を行う。IOサブシステムでは、メインPEサブシステム又はHSMサブシステムにより用いられる周辺装置が動作するための各種処理を行う。HSMサブシステムは、プロセッサシステムにおいて行われている処理のセキュリティ確認処理を行う。また、本発明にかかるプロセッサシステムでは、各サブシステムにクロック信号CLKa、CLKb、CLKc、CLKpが供給される。図15に示す例では、メインPEサブシステムにはクロック信号CLKaが供給され、IOサブシステムにはクロック信号CLKb、CLKpが供給され、HSMサブシステムにはクロック信号CLKcが供給される。これらのクロック信号CLKa、CLKb、CLKcは、システム全体構成の仕様に応じて、同一の周波数であっても、異なる周波数であっても良い。また、クロック信号CLKpは、周辺装置に与えられ、IOサブシステムに与えられるクロック信号CLKbとは非同期のクロック信号である。
【0135】
続いて、より具体的に各サブシステムについて説明する。メインPEサブシステムは、メインPEa、メインPEb、第1の命令メモリ、データメモリ、システムバスを有する。メインPEサブシステムでは、メインPEa、メインPEb、命令メモリ及びデータメモリは、システムバスを介して互いに接続される。第1の命令メモリは、プログラムを格納する。データメモリは、外部から読み込んだプログラム及びプロセッサシステム内で処理されたデータを一時的に記憶する。メインPEa及びメインPEbは、それぞれ命令メモリ、データメモリ等を利用しながらプログラムを実行する。なお、メインPEaは、冗長動作が可能なように構成される。冗長動作とは、ソフトウェア的には一つのプロセッサエレメントとして動作するが、ハードウェアとしては多重化された構成又は検査回路等が付加された構成により高信頼な動作を行う動作である。冗長動作の一例として、クロック毎に多重化された回路の出力結果が同一であるか否かを比較するロックステップ動作がある。
【0136】
IOサブシステムは、周辺バス、IOPE、周辺装置を有する。IOPEは、周辺装置を利用する上で必要な処理を行う。なお、IOPEはメインPEシステムの第1の命令メモリに記憶されているプログラムに基づき動作しても良く、他の記憶領域に記憶されているプログラムに基づき動作しても良い。周辺バスは、IOPE及び周辺装置を互いに接続する。
【0137】
図15では、周辺装置として、CANユニット、FLEXRAYユニット、SPIユニット、UARTユニット、ADCユニット、WDユニット、タイマを例示した。CANユニットは、自動車の車内通信規格の一つであるCAN(Controller Area Network)に基づく通信を行う。FLEXRAYユニットは、自動車の車内通信規格の一つであるFlex Ray規格に基づく通信を行う。SPIユニットは、3線又は4線のシリアル通信であるSPI(System Packet Interface)規格の通信を行う。UART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)ユニットは、調歩同期方式によるシリアル信号をパラレル信号に変換し、また、その逆方向の変換を行う。ADC(Analog to Digital Converter)ユニットは、センサ等から与えられるアナログ信号をデジタル信号に変換する。WD(Watch Dog)ユニットは、所定の期間が経過したことを検出するウォッチドックタイマ機能を提供する。タイマは、時間の計測、波形生成などを行う。図15の例では、上記ユニットを周辺装置としたが、他の機能を有するユニットを含むことも可能であり、また、一部のユニットのみを有する場合も考えられる。
【0138】
HSMサブシステムは、セキュリティPEと、第2の命令メモリとを有する。セキュリティPEは、システムバスに接続される。セキュリティPEは、メインPEサブシステムで実行されているプログラムの正当性又はプログラムを実行して得られるデータの正当性を判断する。第2の命令メモリには、プログラムを格納する。また、第2の命令メモリは、セキュリティPEのみがアクセスできるメモリである。第2の命令メモリは、第1の命令メモリと共に1つの記憶領域として設けられていても良いが、セキュリティPEのみがアクセス可能な領域としてアクセス制御されていることが必要である。
【0139】
上記説明の通り、本発明が適用されるプロセッサシステムでは、複数のPEにより処理能力を向上させながら、予期しない故障、予期しないプログラムの改変等の不具合に対して高い耐性を実現するものである。なお、ここまでに説明したプロセッサシステムは、本発明が適用されるプロセッサシステムの一例を示したものであり、例えば、命令メモリ及びデータメモリの配置及びシステム中の個数は、そのシステムのアーキテクチャにより種々考えられる。また、メモリと各プロセッサエレメントとの接続は、例えば、複数のバスを介して接続される構成であっても良く、バスを介さずにプロセッサエレメントと接続される構成であっても良く、アーキテクチャの設計により種々の構成が考えられ得る。
【0140】
上記したプロセッサシステムの説明は、本発明が適用されるプロセッサシステムの全体的な構成を説明するためのものである。本発明にかかるタイミング制御装置は、例えば、IOサブシステムの周辺装置の一つとして設けられる(不図示)。そして、このタイミング制御装置は、同じく周辺装置であるタイマ、ADCユニット等のデータ出力装置からそれぞれ出力されるデータに基づいて制御対象のタイミング制御を行う。
【0141】
ここで、本発明にかかるタイミング制御装置において、各条件比較部は、記憶部に予めn個のタイミング制御情報を格納し、これらを順番に用いてタイミング制御を行っている。したがって、少なくともn個のタイミング制御の全てが完了するまでは、各条件比較部からIOPE(或いは他のPE)に対してタイミング制御情報を要求するための割込みは発生しない。このように、本発明にかかるタイミング制御装置は、タイミング制御にIOPEを介在させる必要が無いため、タイミング制御の応答性を高めることが可能である。また、IOPEに対する割込みの発生頻度が低下するため、IOPEや周辺バスへの負荷が軽減される。
【0142】
さらに、本発明にかかるタイミング制御装置は、低消費電力化のために複数のPEがスリープモードに移行している場合でも、タイミング制御を継続させることができる。このように、本発明にかかるタイミング制御装置は、複数のPEを動作させなくてもタイミング制御を継続させることができるため、消費電力を効果的に低減することが可能である。
【0143】
なお、本発明は上記実施の形態1〜5に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。実施の形態2〜5では、タイミング制御装置が相対値の期待値データを用いてタイミング制御する場合を例に説明したが、これに限られない。タイミング制御装置は、絶対値の期待値データ及び相対値の期待値データを用いてタイミング制御する構成に適宜変更可能である。
【0144】
また、上記実施の形態2〜5では、タイミング制御装置がエンジン制御用マイコンに搭載された場合を例に説明したが、これに限られない。タイミング制御装置は、タイミング制御が必要な様々な装置に搭載されることができる。また、上記実施の形態2〜5では、タイミング制御装置がタイミング信号T1〜T8を生成する場合を例に説明したが、これに限られない。タイミング制御装置は、制御対象の仕様に応じて任意の数のタイミング信号を生成する構成に適宜変更可能である。この場合、タイミング制御装置は、生成するタイミング信号の数に応じた数の条件比較部を備える。
【0145】
ところで、近年、アプリケーションの多様化により、エンジンやモータ等の複数の制御対象を1つのマイコンにて制御することが求められている。ここで、従来のマイコンは、制御対象ごとに専用のタイマを備えるのが一般的である。つまり、従来のマイコンは、制御対象の数に応じた数のタイマを備えるのが一般的である。そのため、従来のマイコンでは、回路規模が増大するという問題があった。
【0146】
このような問題に対する解決策が、特許文献2に開示されている。図30は、特許文献2に開示されたタイマ/カウンタ回路を示すブロック図である。図30に示すタイマ/カウンタ回路は、インクリメンタ1と、ラッチ回路2と、レジスタブロック3Aと、一致フラグ4Aと、クリア制御部5と、動作制御部6と、中央処理装置7と、データバス8と、内部バス9と、転送制御回路10と、を備える。レジスタブロック3Aは、バッファ回路30と、カウンタ31A〜31Dと、一致検出機能を有するタイマレジスタ32と、一致検出機能を有しない一致データ記憶回路33A〜33Dと、を有する。
【0147】
一致データ記憶回路33A〜33Dは、それぞれカウンタ31A〜31Dに対応するタイマ値を記憶する。転送制御回路10は、一致データ記憶回路33A〜33Dのうち何れかの一致データ記憶回路に記憶されたタイマ値をタイマレジスタ32に転送する。タイマレジスタ32は、一致データ記憶回路33A〜33Dの何れかから転送されたタイマ値と、対応するカウンタのカウント値と、の一致を検出して一致信号Fを出力する。一致フラグ4Aは、タイマレジスタ32からの一致信号Fに応じて対応する割込信号(IA〜IDの何れか)を発生する。
【0148】
このように、図30に示すタイマ/カウンタ回路は、一致検出機能を有するCAMセルからなる回路規模の大きなタイマレジスタを複数備える代わりに、一致検出機能を有しないRAMセルからなる回路規模の小さい一致データ比較回路を複数備えることにより、回路規模の増大を抑制している。
【0149】
そのほか、特許文献3にはマイコンを備えた車両制御装置が開示されている。このマイコンは、各種制御で個々に使用する制御用カウンタの値をベース処理にて所定時間間隔で計数し、更にそのカウンタ値に基づいて各種制御の実施タイミングを判断するとともに、そのタイミングに到達すると該当する処理を実施する。このマイコンは、定時割り込み処理において基準カウンタをカウントアップするとともに、制御用カウンタのカウントアップのタイミング毎に、基準カウンタを参照することによりベース処理の遅れを算出し、その遅れが制御用カウンタによる一回分の計数動作幅に達していれば制御用カウンタの値を補正する。
【0150】
また、特許文献4には、安価な構成で始動用キーの認証照合精度を向上させるためのパルス幅変調信号を生成する車載エンジン制御装置が開示されている。この車載エンジン制御装置に設けられたマイクロプロセッサは、2つのタイマ回路部により第1及び第2の駆動制御用タイマTIM1,TIM2を構成し、クランク角センサと同期動作する点火・燃料噴射制御用の制御出力信号を生成する。各制御出力信号は、複数の気筒選択用ゲート回路により気筒別に分配され、対応するエンジン駆動用機器を順次駆動する。
【0151】
認証照合完了までは、第1の駆動制御用タイマTIM1で生成されたパルス幅変調信号は、認証用ゲート回路を介してイモビライザに送信され、イモビライザは、受信したパルス幅変調信号の周期、デューティに対応した周波数及び振幅の無線信号をトランスポンダに送信して、始動用キーから暗証番号を読み出す。
【0152】
しかしながら、特許文献2に開示されたタイマ/カウンタ回路(タイミング制御装置)において、一致フラグ4Aは、カウンタ31Aのカウント値と一致データ記憶回路33Aに記憶されたタイマ値とが一致した場合に、割込信号IAを発生する。また、一致フラグ4Aは、カウンタ31Bのカウント値と一致データ記憶回路33Bに記憶されたタイマ値とが一致した場合に、割込信号IBを発生する。また、一致フラグ4Aは、カウンタ31Cのカウント値と一致データ記憶回路33Cに記憶されたタイマ値とが一致した場合に、割込信号ICを発生する。また、一致フラグ4Aは、カウンタ31Dのカウント値と一致データ記憶回路33Dに記憶されたタイマ値とが一致した場合に、割込信号IDを発生する。
【0153】
このように、一致フラグ4Aは、1つのカウンタ回路のカウント値と対応するタイマ値とが一致した場合に、対応する1つの割込信号(IA〜IDの何れか)を発生している。つまり、一致フラグ4Aは、1つのカウンタ回路のカウント値のみに基づいて1つの割込信号を発生することしかできず、複数のカウンタ回路のカウント値に基づいて1つの割込信号を発生することができない。そのため、関連する技術の関連する技術のタイマ/カウンタ回路は、このような割込信号を用いてタイミング制御を行おうとしても、汎用性の高いタイミング制御を行うことができないという問題があった。
【0154】
特に近年では、顧客要求の多様化により、同じ機能を実現する場合でもマイコンに備えられたカウンタの組み合わせ等に差異が生じている。そのため、様々な顧客の要求に対応可能な汎用性の高い製品開発が求められている。
【0155】
本発明にかかるタイミング制御装置は、複数のデータ出力装置からそれぞれ出力されるデータを順に選択して時間分割データとして出力する時間分割コントローラと、前記時間分割データに基づきタイミング信号を生成するタイミング信号生成部と、を備え、前記タイミング信号生成部は、前記複数のデータ出力装置のうち何れかのデータ出力装置の期待値データを格納するタイミング制御情報格納部と、前記何れかのデータ出力装置の期待値データと、前記時間分割データに含まれ前記何れかのデータ出力装置に対応するデータ出力装置のデータと、を比較して一致する場合に一致信号を出力する比較部と、前記一致信号に応じた前記タイミング信号を出力する出力制御部と、を有する。
【0156】
本発明にかかるタイミング制御装置の制御方法は、複数のデータ出力装置からそれぞれ出力されるデータを順に選択して時間分割データとして出力し、タイミング制御情報格納部に格納された前記複数のデータ出力装置のうち何れかのデータ出力装置の期待値データと、前記時間分割データに含まれ前記何れかのデータ出力装置に対応するデータ出力装置のデータと、を比較して一致する場合に一致信号を出力し、前記一致信号に応じた前記タイミング信号を出力する。
【0157】
上述のような回路構成により、汎用性の高いタイミング制御を行うことができる。
【0158】
本発明により、汎用性の高いタイミング制御を行うことが可能なタイミング制御装置及びその制御方法を提供することができる。
【0159】
実施の形態6
図18は、本発明の実施の形態6にかかるタイミング制御装置100Xの概要を示すブロック図である。本実施の形態にかかるタイミング制御装置100Xは、複数のデータ出力装置からそれぞれ出力されるデータに基づいてタイミング信号を生成することにより、汎用性の高いタイミング制御を行うことができることを特徴とする。以下、詳細に説明する。
【0160】
図18に示すように、タイミング制御装置100Xは、時間分割コントローラ110Xと、条件比較部(タイミング信号生成部)101X〜103Xと、を備える。時間分割コントローラ110Xは、シーケンサ1101Xと、セレクタ1102Xと、付加情報出力部1103Xと、を有する。条件比較部101Xは、タイミング制御情報格納部1011Xと、比較部1012Xと、出力制御部1013Xと、を有する。同様に、条件比較部102Xは、タイミング制御情報格納部1021Xと、比較部1022Xと、出力制御部1023Xと、を有する。条件比較部103Xは、タイミング制御情報格納部1031Xと、比較部1032Xと、出力制御部1033Xと、を有する。なお、本実施の形態では、3つの条件比較部が備えられた場合を例に説明するが、1つ以上の条件比較部が備えられた回路構成にも適宜変更可能である。
【0161】
時間分割コントローラ110Xにおいて、セレクタ1102Xには、外部に設けられたカウンタAX、カウンタBX、カウンタCX及びADコンバータDXからそれぞれ出力されたデータが入力される。例えば、データ出力装置であるカウンタAX、カウンタBX、カウンタCX及びADコンバータDXは、それぞれ基準クロック(不図示)に同期してデータを出力する。具体的には、カウンタAX〜カウンタCXは、それぞれ基準クロックに同期してカウント値をインクリメントし出力する。ADコンバータDXは、基準クロックに同期して、外部からのアナログデータをデジタルデータに変換して出力する。なお、本実施の形態では、複数のデータ出力装置がそれぞれ基準クロックに同期してデータを出力する場合を例に説明するが、これに限られない。複数のデータ出力装置がそれぞれ独自のタイミング(以下、データ更新タイミングと称し、その周期をデータ更新周期と称す)でデータを出力する回路構成にも適宜変更可能である。また、データ出力装置の数は適宜変更可能である。
【0162】
シーケンサ1101Xは、基準クロックの周期及びデータ出力装置の数に応じた周期の切替信号S1Xを出力する。セレクタ1102Xは、シーケンサ1101Xから出力された切替信号S1Xに基づいて、複数のデータ出力装置からそれぞれ出力されるデータを順次選択し、時間分割データとして出力する。
【0163】
具体的には、シーケンサ1101Xは、基準クロックの4分の1周期の切替信号S1Xを出力する。このとき、シーケンサ1101Xは、セレクタ1102XがカウンタAX、カウンタBX、カウンタCX及びADコンバータDXの順に出力データを選択して出力するように、切替信号S1Xを出力する。それにより、セレクタ1102Xは、カウンタAX、カウンタBX、カウンタCX及びADコンバータDXからそれぞれ出力されるデータを、基準クロックの4分の1周期の期間ずつ順に出力する。言い換えると、セレクタ1102Xは、カウンタAX、カウンタBX、カウンタCX及びADコンバータDXからそれぞれ出力されるデータを、時間分割して時間分割データとして出力する。
【0164】
付加情報出力部1103Xは、時間分割データに含まれるデータ毎に付加情報を出力する。付加情報出力部1103Xは、例えば、セレクタ1102Xによって選択されているデータの出力元(データ出力装置)の識別情報を、付加情報として出力する。具体的には、付加情報出力部1103Xは、セレクタ1102XがカウンタAXのデータを選択して出力している場合、カウンタAXの識別情報として"0"を出力する。同様に、付加情報出力部1103Xは、セレクタ1102XがカウンタBXのデータを選択して出力している場合、カウンタBXの識別情報として"1"を出力し、セレクタ1102XがカウンタCXのデータを選択して出力している場合、カウンタCXの識別情報として"2"を出力し、セレクタ1102XがADコンバータDXのデータを選択して出力している場合、ADコンバータDXの識別情報として "3"を出力する。このようにして、付加情報出力部1103Xは、シーケンサ1101Xから出力される切替信号S1Xに同期して対応する付加情報(識別情報)を出力する。
【0165】
例えば、付加情報出力部1103Xから出力される付加情報(識別情報)は、時間分割データに含まれる対応するデータの最上位ビットに付加される。この場合、時間分割コントローラ110Xは、カウンタAX、カウンタBX、カウンタCX及びADコンバータDXからそれぞれ出力されるデータに付加情報(識別情報)を付加したものを、時間分割して時間分割データとして出力することとなる。
【0166】
条件比較部101Xにおいて、タイミング制御情報格納部1011Xには、CPU(不図示)からの命令に応じたタイミング制御情報が格納される。具体的には、タイミング制御情報格納部1011Xには、複数のデータ出力装置のうち何れかのデータ出力装置の識別情報と、対応する期待値データと、が格納される。例えば、タイミング制御情報格納部1011Xには、識別情報として"1"が、期待値データとして"yyy0"が、格納される。
【0167】
比較部1012Xは、時間分割コントローラ110Xからの付加情報に基づき取得されたデータ出力装置の識別情報と、タイミング制御情報格納部1011Xに格納された識別情報と、を比較するとともに、時間分割データに含まれる対応するデータと、期待値データとを比較し、それぞれ一致する場合に一致信号F1Xを出力する。例えば、比較部1012Xは、時間分割コントローラ110Xから出力された付加情報としての識別情報が"0"であって、かつ、そのときの時間分割データに含まれるデータが"yyy0"の場合、即ち、時間分割コントローラ110Xから転送されてくるデータが"0yyy0"の場合、タイミング制御情報格納部1011Xに格納された識別情報及び期待値データと一致するため、一致信号F1Xを出力する。
【0168】
出力制御部1013Xは、比較部1012Xから一致信号F1Xを受け取ると、当該一致信号F1Xに応じたタイミング信号T1Xを出力する。例えば、出力制御部1013Xは、比較部1012Xから一致信号F1Xを受け取ると、当該一致信号F1Xに同期してタイミング信号T1Xの論理値を反転させる。
【0169】
このタイミング制御が完了すると、条件比較部101XからCPUに対して次のタイミング制御情報を要求するための割込みが発生する。それにより、タイミング制御情報格納部1011Xには、CPUからの命令に応じた次のタイミング制御情報が格納される。例えば、タイミング制御情報格納部1011Xには、識別情報として"2"が、期待値データとして"zzz1"が、格納される。以降、同様の動作が繰り返されることにより、タイミング信号T1Xが制御される。
【0170】
条件比較部102X,103Xの回路構成については、条件比較部101Xと同様であるため、その説明を省略する。
【0171】
このように、図18に示すタイミング制御装置100Xでは、各条件比較部101X〜103Xが、複数のデータ出力装置からそれぞれ出力されたデータに基づいて1つのタイミング信号を生成することができる。つまり、図18に示すタイミング制御装置100Xは、複数のデータ出力装置からそれぞれ出力されたデータに基づいて、汎用性の高いタイミング制御を行うことができる。
【0172】
なお、シーケンサ1101Xの切替信号S1Xの周期、即ち、セレクタ1102Xによって選択されるデータが切り替わる周期(以下、データ切替周期と称す)は、データ出力装置の数及び各データ出力装置のデータ更新周期に依存するが、条件比較部の数には依存しない。したがって、仮に条件比較部が追加で設けられた場合でも、セレクタ1102Xのデータ切替周期は変わらないため、当該条件比較部の動作周波数をさらに高くする必要はない。
【0173】
(タイミングチャート)
次に、図18に示すタイミング制御装置100Xの動作を、図19を用いてさらに具体的に説明する。図19は、図18に示すタイミング制御装置100Xの動作を示すタイミングチャートである。図19の例では、カウンタAXは、データ"xxx0"、"xxx1"及び"xxx2"を基準クロックに同期して順に出力している。カウンタBXは、データ"yyy0"、"yyy1"及び"yyy2"を基準クロックに同期して順に出力している。カウンタCXは、データ"zzz0"、"zzz1"及び"zzz2"を基準クロックに同期して順に出力している。ADコンバータDXは、データ"aaa0"、"aaa1"及び"aaa2"を基準クロックに同期して順に出力している。
【0174】
図19の例では、タイミング制御情報格納部1011Xには、識別情報として"1"が、期待値データとして"yyy0"が、格納されている(時刻t0)。タイミング制御情報格納部1021Xには、識別情報として"2"が、期待値データとして"zzz0"が、格納されている(時刻t0)。タイミング制御情報格納部1031Xには、識別情報として"1"が、期待値データとして"yyy0"が、格納されている(時刻t0)。
【0175】
まず、カウンタAX〜カウンタCX及びADコンバータDXは、基準クロックの立ち上がりに同期して、それぞれデータ"xxx0"、"yyy0"、"zzz0"及び"aaa0"を出力する(時刻t1)。
【0176】
時間分割コントローラ110Xは、データ"xxx0"、"yyy0"、"zzz0"及び"aaa0"にそれぞれ付加情報(識別情報)"0"、"1"、"2"及び"3"を付加したものを、基準クロックの4分の1周期の期間ずつ順に時間分割データとして出力する(時刻t2、t3、t4及びt5)。
【0177】
次に、カウンタAX〜カウンタCX及びADコンバータDXは、基準クロックの立ち上がりに同期して、それぞれデータ"xxx1"、"yyy1"、"zzz1"及び"aaa1"を出力する(時刻t5)。
【0178】
時間分割コントローラ110Xは、データ"xxx1"、"yyy1"、"zzz1"及び"aaa1"にそれぞれ付加情報(識別情報)"0"、"1"、"2"及び"3"を付加したものを、基準クロックの4分の1周期の期間ずつ順に時間分割データとして出力する(時刻t6、t7、t8及びt9)。このような動作が繰り返される。
【0179】
条件比較部101Xにおいて、比較部1012Xは、時間分割コントローラ110Xから出力された付加情報としての識別情報が"1"であって、かつ、そのときの時間分割データに含まれるデータが"yyy0"の場合、タイミング制御情報格納部1011Xに格納された識別情報及び期待値データと一致するため、一致信号F1Xを出力する(時刻t3)。出力制御部1013Xは、比較部1012Xから一致信号F1Xを受け取ると、当該一致信号F1Xに同期してタイミング信号T1XをLレベルからHレベルに反転させる(時刻t3)。
【0180】
このタイミング制御が完了すると、条件比較部101XからCPUに対して次のタイミング制御情報を要求するための割込みが発生する。それにより、タイミング制御情報格納部1011Xには、CPUからの命令に応じた次のタイミング制御情報が格納される(時刻t3直後)。図19の例では、タイミング制御情報格納部1011Xには、識別情報として"2"が、期待値データとして"zzz1"が、格納される。
【0181】
条件比較部101Xにおいて、比較部1012Xは、時間分割コントローラ110Xから出力された付加情報としての識別情報が"2"であって、かつ、そのときの時間分割データに含まれるデータが"zzz1"の場合、タイミング制御情報格納部1011Xに格納された識別情報及び期待値データと一致するため、一致信号F1Xを出力する(時刻t8)。出力制御部1013Xは、比較部1012Xから一致信号F1Xを受け取ると、当該一致信号F1Xに同期してタイミング信号T1XをHレベルからLレベルに反転させる(時刻t8)。
【0182】
このようにして、条件比較部101Xは、カウンタBXの出力データに基づきタイミング信号T1Xを立ち上げ(時刻t3)、カウンタCXの出力データに基づきタイミング信号T1Xを立ち下げる(時刻t8)。同様にして、条件比較部102Xは、カウンタCXの出力データに基づきタイミング信号T2Xを立ち上げ(時刻t4)、ADコンバータDXの出力データに基づきタイミング信号T2Xを立ち下げる(時刻t9)。また、条件比較部103Xは、カウンタBXの出力データに基づきタイミング信号T3Xを立ち上げ(時刻t3)、カウンタAXの出力データに基づきタイミング信号T3Xを立ち下げる(時刻t6)。
【0183】
(タイミング制御装置を搭載したマイコンの説明)
本実施の形態にかかるタイミング制御装置100Xは、例えば、図20に示すようにマイクロコンピュータ(以下、単にマイコンと称す)に搭載される。図20は、図18に示すタイミング制御装置100Xを搭載したマイコン200Xと、マイコン200Xによって制御される制御対象装置300Xと、を備えた制御システムを示すブロック図である。なお、図20に示すタイミング制御装置100Xは2つのタイミング信号T1X,T2Xを出力している。
【0184】
図20に示すマイコン200Xは、タイミング制御装置100Xと、プログラム処理を行うCPU201Xと、プログラム等を格納するRAM202Xと、基準クロックを生成するクロック生成部203Xと、タイマ204X,205Xと、ADコンバータ206Xと、通信I/F207Xと、を備える。また、制御対象装置300Xは、制御ドライバ301X,302Xと、制御対象303Xと、ASIC304Xと、電流検出センサ305Xと、速度信号センサ306Xと、を備える。
【0185】
タイマ204X、タイマ205X、ADコンバータ206X及び通信I/F207Xは、いずれもデータ出力装置である。タイマ204Xは、クロック生成部203Xによって生成された基準クロックに同期してカウント値をインクリメントし出力する。タイマ205Xは、制御対象装置300Xから出力された速度情報(パルス信号)に基づきカウント値をインクリメントし出力する。ADコンバータ206Xは、制御対象装置300Xから出力された電流値情報(アナログ値)をデジタルデータに変換して出力する。通信I/F207Xは、制御対象装置300Xから出力された監視結果(デジタル値)をデジタルデータとして出力する。なお、図20の例では、複数のデータ出力装置として、タイマ204X、タイマ205X、ADコンバータ206X及び通信I/F207Xが用いられているが、これに限られない。仕様に応じて様々な種類のデータ出力装置が用いられる。また、図20の例では、制御対象装置300Xからマイコン200Xに対して速度情報、電流値情報及び監視結果が供給されているが、これに限られない。制御対象装置300Xからマイコン200Xに対して供給される情報は、仕様に応じて適宜変更可能である。
【0186】
タイミング制御装置100Xは、複数のデータ出力装置204X〜207Xからそれぞれ出力されるデータに基づいてパルス波形のタイミング信号T1X,T2Xを出力する。タイミング信号T1Xは、制御対象装置300Xに設けられた制御ドライバ301Xに供給される。タイミング信号T2Xは、制御対象装置300Xに設けられた制御ドライバ302Xに供給される。なお、図20の例では、マイコン200Xから制御対象装置300Xに対して2つのタイミング信号T1X,T2Xが供給されているが、これに限られない。タイミング信号の数は、制御対象装置300Xの仕様に応じて適宜変更可能である。
【0187】
制御ドライバ301X,302Xは、それぞれタイミング信号T1X,T2Xに基づいて制御対象303Xを駆動する。制御対象303Xは、例えば車載エンジンであって、制御ドライバ301X,302Xによって回転運動が制御される。例えば、制御ドライバ301Xは、タイミング信号T1Xに基づいて制御対象303Xの回転速度を加速する。制御ドライバ302Xは、タイミング信号T2Xに基づいて制御対象303Xの回転速度を制限する。
【0188】
ASIC304Xは、制御対象303Xの状態監視を行い、その監視結果をデジタルデータとして通信I/F207Xに出力する。例えば、ASIC304Xは、制御対象303Xが通常動作しているか停止しているか等の状態を監視するために用いられる。電流検出センサ305Xは、制御対象303Xに流れる電流を検出し、その検出結果を電流値情報(アナログ値)としてADコンバータ206Xに出力する。例えば、電流検出センサ305Xは、制御対象303Xに所望の電流が流れているか否かを確認するために用いられる。速度信号センサ306Xは、制御対象303Xの回転速度を検出し、その検出結果を速度情報(パルス信号)としてタイマ205Xに出力する。
【0189】
上記したように、図20に示すタイミング制御装置100Xは、複数のデータ出力装置からそれぞれ出力されるデータに基づいてタイミング信号T1X,T2Xを生成する。つまり、図20に示すタイミング制御装置100Xは、複数のデータ出力装置からそれぞれ出力されるデータに基づいて、汎用性の高いタイミング制御を行うことができる。さらに、図20の例では、複数のデータ出力装置のいくつかが、制御対象303Xから得られる情報(速度情報等)に応じたデータを出力している。それにより、図20に示すタイミング制御装置100Xは、制御対象303Xから得られる様々な種類の情報に基づいて、当該制御対象303Xをタイミング制御することが可能である。つまり、図20に示すタイミング制御装置100Xは、制御対象303Xから得られる様々な種類の情報に基づいて制御対象303Xをどのように制御すべきか判断し、汎用性の高いタイミング制御をリアルタイムに行うことが可能である。
【0190】
(タイミングチャート)
次に、図20に示す制御システムの動作を、図21を用いてさらに具体的に説明する。図21は、図20に示す制御システムの動作を示すタイミングチャートである。
【0191】
図21に示すように、タイマ204Xは一定間隔でカウント値を増加させている。タイマ205Xは、制御対象装置300Xからの速度情報(パルス信号)に基づいてカウント値を増加させている。したがって、制御対象303Xの回転速度が速くなるとタイマ205Xのカウント値の増加速度は上昇し、制御対象303Xの回転速度が遅くなるとタイマ205Xのカウント値の増加速度は低下する。ADコンバータ206Xは、制御対象装置300Xからの電流値情報(アナログ値)をデジタルデータに変換して出力している。通信I/F207Xは、制御対象装置300Xからの監視結果(制御対象303Xの状態)をデジタルデータとして出力する。例えば、通信I/F207Xは、制御対象303Xが停止している場合にデータ"00h"(16進数)を出力し、制御対象303Xが通常動作している場合にデータ"01h"を出力する。
【0192】
なお、図21の例では、タイミング制御情報格納部1011Xには、識別情報として"3"が、期待値データとして16進数の"01h"(絶対値)が格納されている(時刻t0)。タイミング制御情報格納部1021Xには、識別情報として"2"が、期待値データとして16進数の"100h"(絶対値)が格納されている(時刻t0)。識別情報としての"0"、"1"、"2"及び"3"は、それぞれタイマ204X、タイマ205X、ADコンバータ206X及び通信I/F207Xに相当する。
【0193】
まず、通信I/F207Xは、制御対象303Xの状態変化に応じてデータ"00h"を"01h"に切り替えて出力する(時刻t1)。このとき、条件比較部101Xは、通信I/F207Xの出力データとタイミング制御情報格納部1011Xに格納された期待値データとが一致するため、タイミング信号T1XをLレベルからHレベルに切り替える(時刻t1)。
【0194】
タイミング信号T1Xが立ち上がることにより、制御対象303Xの回転速度は加速される。そのため、タイマ205Xのカウント値の増加速度は上昇する。また、制御対象303Xに流れる電流値も上昇するため、ADコンバータ206Xから出力されるデジタルデータの値も上昇する(時刻t1〜t2)。
【0195】
なお、このタイミング制御(タイミング信号T1Xの立ち上がり)が完了すると、タイミング制御情報格納部1011Xには、次のタイミング制御情報が格納される(時刻t1直後)。図21の例では、タイミング制御情報格納部1011Xには、識別情報として"2"が、期待値データとして"600h"(絶対値)が格納される。
【0196】
次に、ADコンバータ206Xから出力されるデジタルデータが"100h"になると、条件比較部102Xは、ADコンバータ206Xの出力データとタイミング制御情報格納部1021Xに格納された期待値データとが一致するため、タイミング信号T2XをLレベルからHレベルに切り替える(時刻t2)。即ち、条件比較部102Xは、制御対象303Xに流れる電流値が過剰になると、制御対象303Xの回転速度を制限するためにタイミング信号T2XをLレベルからHレベルに切り替える。
【0197】
タイミング信号T2Xが立ち上がることにより、制御対象303Xの回転速度が一定速度以下に制限される。そのため、タイマ205Xのカウント値の増加速度は上昇しなくなる。また、制御対象に流れる電流値も上昇しなくなる(時刻t2〜時刻t4)。
【0198】
なお、このタイミング制御(タイミング信号T2Xの立ち上がり)が完了すると、タイミング制御情報格納部1021Xには、次のタイミング制御情報が格納される(時刻t2直後)。図21の例では、タイミング制御情報格納部1021Xには、識別情報として"2"が、期待値データとして"90h"(絶対値)が格納される。
【0199】
一方、タイマ204Xのカウント値が"600h"に達すると、条件比較部101Xは、タイマ204Xのカウント値とタイミング制御情報格納部1011Xに格納された期待値データとが一致するため、タイミング信号T1XをHレベルからLレベルに切り替える(時刻t3)。即ち、条件比較部101Xは、制御対象303Xが一定期間加速すると、制御対象303Xの回転速度を下げるためにタイミング信号T1XをHレベルからLレベルに切り替える。
【0200】
タイミング信号T1Xが立ち下がることにより、制御対象303Xの回転速度は減速される。そのため、タイマ205Xのカウント値の増加速度は減少する。また、制御対象303Xに流れる電流値も低下するため、ADコンバータ206Xから出力されるデジタルデータの値も減少する(時刻t3〜t5)。
【0201】
なお、このタイミング制御(タイミング信号T1Xの立ち下がり)が完了すると、タイミング制御情報格納部1011Xには、次のタイミング制御情報が格納される(時刻t3直後)。図21の例では、タイミング制御情報格納部1011Xには、識別情報として"0"が、期待値データとして"100h"(時刻t3からの相対値)が格納される。
【0202】
そして、ADコンバータ206Xから出力されるデジタルデータが"90h"まで減少すると、条件比較部102Xは、ADコンバータ206Xの出力データとタイミング制御情報格納部1021Xに格納された期待値データとが一致するため、タイミング信号T2XをHレベルからLレベルに切り替える(時刻t4)。即ち、条件比較部102Xは、制御対象303Xに流れる電流値が許容値まで減少すると、制御対象303Xの回転速度の制限を解除するためにタイミング信号T2XをHレベルからLレベルに切り替える。
【0203】
さらに、タイマ205Xのカウント値が"700h"に達すると、条件比較部101Xは、タイマ205Xのカウント値とタイミング制御情報格納部1011Xに格納された期待値データとが一致するため、タイミング信号T1XをLレベルからHレベルに切り替える(時刻t5)。即ち、条件比較部101Xは、制御対象303Xの回転速度を低下させて所定期間経過後に、制御対象303Xの回転速度を上げるためにタイミング信号T1XをLレベルからHレベルに切り替える。
【0204】
このように、本実施の形態にかかるタイミング制御装置100Xは、複数のデータ出力装置からそれぞれ出力されるデータに基づいてタイミング信号を生成する。つまり、本実施の形態にかかるタイミング制御装置100Xは、複数のデータ出力装置からそれぞれ出力されたデータに基づいて、汎用性の高いタイミング制御を行うことができる。さらに、図20の例では、複数のデータ出力装置のいくつかは、制御対象303Xから得られる情報(速度情報等)に応じたデータを出力している。それにより、本実施の形態にかかるタイミング制御装置100Xは、制御対象303Xから得られる様々な種類の情報に基づいて、当該制御対象303Xをタイミング制御することが可能である。つまり、本実施の形態にかかるタイミング制御装置100Xは、制御対象303Xから得られる様々な種類の情報に基づいて制御対象303Xをどのように制御すべきか判断し、汎用性の高いタイミング制御をリアルタイムに行うことが可能である。
【0205】
実施の形態7
本発明にかかるタイミング制御装置の具体的製品への適用事例について、図22及び図23を用いて説明する。図22は、本発明にかかるタイミング制御装置100aXを搭載したエンジン制御用マイコン200aXと、エンジン制御用マイコン200aXによって制御される4気筒エンジン(車載エンジン)300aXと、を備えたエンジン制御システムを示すブロック図である。図23は、図22に示すエンジン制御システムの動作を示すタイミングチャートである。
【0206】
図22に示すように、エンジン制御用マイコン200aXは、タイミング制御装置100aXと、プログラム処理を行うCPU201Xと、プログラム等を格納するRAM202Xと、時間タイマ(第2タイマ)208Xと、角度タイマ(第1タイマ)209Xと、を備える。また、4気筒エンジン300aXは、4つの気筒310X,320X,330X,340Xと、回転角度センサ307Xと、を備える。気筒310Xは、燃料噴射制御部311Xと、点火制御部312Xと、を有する。燃料噴射制御部311Xは、制御ドライバ3111Xと、インジェクタ3112Xと、を有する。点火制御部312Xは、制御ドライバ3121Xと、イグナイタ3122Xと、を有する。気筒320X,330X,340Xの回路構成については、気筒310Xと同様であるため、その説明を省略する。
【0207】
エンジン制御用マイコン200aXにおいて、時間タイマ208Xは、エンジン制御用マイコン200aX内部で生成された一定周期の内部クロック(基準クロック)に同期してカウント値をインクリメントし出力する(図23の時間タイマ参照)。いわゆる、フリーランタイマである。
【0208】
角度タイマ209Xは、4気筒エンジン300aXから出力されたパルス波形の角度信号(後述)に同期してカウント値をインクリメントし出力する(図23の角度タイマ参照)。言い換えると、角度タイマ209Xは、4気筒エンジン300aXの回転軸が一定角度回転する毎に、カウント値をインクリメントし出力する。なお、角度タイマ209Xは、カウント値0を回転角度0度とし、回転角度が720度になるまでカウント値をインクリメントする。そして、角度タイマ209Xは、回転角度が720度に達するとカウント値を0に初期化する。言い換えると、角度タイマ209Xは、カウント値0を回転角度0度とし、4気筒エンジン300aXの回転軸が2回転するまでカウント値をインクリメントする。そして、角度タイマ209Xは、4気筒エンジン300aXの回転軸が2回転するとカウント値を0に初期化する。なお、本実施の形態では、簡単のため、時間タイマ及び角度タイマのデータ更新タイミング(カウントアップタイミング)が同一である場合を例に説明する。
【0209】
タイミング制御装置100aXは、時間タイマ208X及び角度タイマ209Xからそれぞれ出力されるデータに基づいて、パルス波形の8つのタイミング信号T1X〜T8Xを出力する。タイミング信号T1X,T2Xは、4気筒エンジン300aXに設けられた気筒310Xに供給される。同様に、タイミング信号T3X,T4Xは気筒320Xに供給され、タイミング信号T5X,T6Xは気筒330Xに供給され、タイミング信号T7X,T8Xは気筒340Xに供給される。
【0210】
4気筒エンジン300aXは、4つの気筒のピストン運動により、クランクシャフトの角度を変化させて回転軸を回転させる。各気筒は"吸気"、"圧縮"、"燃焼"及び"排気"の4つの工程の動作を繰り返すことでピストン運動を行う(図23の各気筒参照)。なお、4気筒エンジン300aXは、これら4つの工程を1サイクル分行うことにより、回転軸を2回転分回転させる。
【0211】
気筒310Xにおいて、燃料噴射制御部311Xは気筒内への燃料の噴射を制御する部である。制御ドライバ3111Xは、エンジン制御用マイコン200aXからのタイミング信号T1Xに基づいてインジェクタ3112Xを駆動する。インジェクタ3112Xは、制御ドライバ3111Xによって駆動されることにより、気筒内へ燃料を噴射する。なお、気筒内への燃料の噴射は、図23に示すように"吸気"の工程にて行われており、時間タイマ208X及び角度タイマ209Xからの各出力データに基づいてそのタイミングが制御される。
【0212】
また、気筒310Xにおいて、点火制御部312Xは気筒内に噴射された燃料を点火する部である。制御ドライバ3121Xは、エンジン制御用マイコン200aXからのタイミング信号T2Xに基づいてイグナイタ3122Xを駆動する。イグナイタ3122Xは、制御ドライバ3121Xによって駆動されることにより、気筒内に噴射された燃料を点火する。なお、気筒内に噴射された燃料の点火は、図23に示すように"燃焼"の工程にて行われており、時間タイマ208X及び角度タイマ209Xからの各出力データに基づいてそのタイミングが制御される。
【0213】
なお、4つの気筒では、図23に示すように同時期にそれぞれ異なる工程の動作が行われる。そのため、4つの気筒の「燃料の噴射」及び「燃料の点火」は、それぞれ異なるタイミングで制御される。
【0214】
回転角度センサ307Xは、4気筒エンジン300aXの回転運動の角速度を検出し、回転軸が一定角度変化する毎にパルス形状の角度信号を出力する。この角度信号は、エンジン制御用マイコン200aXに設けられた角度タイマ209Xに入力される。角度タイマ209Xは、角度信号に同期してカウント値をインクリメントし出力する。それにより、タイミング制御装置100aXは、角度タイマ209Xから出力されるデータに基づいて4つの気筒の「燃料の噴射」及び「燃料の点火」の各制御タイミングを検出する。
【0215】
このように、図22に示すタイミング制御装置100aXは、時間タイマ208X及び角度タイマ209Xからそれぞれ出力されるデータ(カウント値)に基づいて、気筒ごとに異なる「燃料の噴射」及び「燃料の点火」のタイミングを制御している。つまり、図22に示すタイミング制御装置100aXは、複数のデータ出力装置からそれぞれ出力されたデータに基づいて、汎用性の高いタイミング制御を行うことが可能である。
【0216】
(タイミング制御装置100aXの構成及び基本動作)
次に、タイミング制御装置100aXの構成及び基本動作について、図24を用いて説明する。図24は、本実施の形態にかかるタイミング制御装置100aXを示すブロック図である。
【0217】
図24に示すように、タイミング制御装置100aXは、時間分割コントローラ110aXと、条件比較部(タイミング信号生成部)101X〜108Xと、を備える。時間分割コントローラ110aXは、シーケンサ1101Xと、セレクタ1102Xと、付加情報出力部としての識別情報出力部1103aXと、を有する。条件比較部101Xは、タイミング制御情報格納部1011Xと、比較部1012Xと、出力制御部1013Xと、を有する。条件比較部102X〜108Xの回路構成については、条件比較部101Xと同様であるため、その説明を省略する。
【0218】
シーケンサ1101Xは、データ更新タイミング(例えば、内部クロック)の2分の1周期の切替信号S1Xを出力する。それにより、セレクタ1102Xは、時間タイマ208X及び角度タイマ209Xからそれぞれ出力されるデータを、データ更新タイミングの2分の1周期の期間ずつ順に時間分割データとして出力する。
【0219】
識別情報出力部1103aXは、セレクタ1102Xによって選択されているデータの出力元(時間タイマ208X及び角度タイマ209X)の識別情報を出力する。具体的には、識別情報出力部1103aXは、セレクタ1102Xが時間タイマ208Xのデータを選択して出力している場合、時間タイマ208Xの識別情報として"0"を出力する。同様に、識別情報出力部1103aXは、セレクタ1102Xが角度タイマ209Xのデータを選択して出力している場合、角度タイマ209Xの識別情報として"1"を出力する。このようにして、識別情報出力部1103aXは、シーケンサ1101Xから出力される切替信号S1Xに同期して対応する識別情報を出力する。
【0220】
なお、本実施の形態では、識別情報出力部1103aXから出力される識別情報は、時間分割データに含まれる対応するデータの最上位ビットに付加される。つまり、本実施の形態では、時間分割コントローラ110aXは、時間タイマ208X及び角度タイマ209Xからそれぞれ出力されるデータに対し対応する識別情報を付加したものを、データ更新タイミングの2分の1周期の期間ずつ交互に時間分割データとして出力する。
【0221】
条件比較部101Xにおいて、タイミング制御情報格納部1011Xには、CPU201Xからの命令に応じたタイミング制御情報が格納される。具体的には、タイミング制御情報格納部1011Xには、複数のデータ出力装置のうち何れかのデータ出力装置の識別情報と、対応する期待値データと、が格納される。例えば、タイミング制御情報格納部1011Xには、識別情報として"1"が、期待値データとして"yyy0"が、格納される。
【0222】
比較部1012Xは、時間分割データに含まれる識別情報と、タイミング制御情報格納部1011Xに格納されている識別情報と、を比較するとともに、時間分割データに含まれる対応するデータと、期待値データとを比較し、それぞれ一致する場合に一致信号F1Xを出力する。例えば、比較部1012Xは、時間分割コントローラ110aXから出力された識別情報が"0"であって、かつ、そのときの時間分割データに含まれるデータが"yyy0"の場合、即ち、時間分割コントローラ110aXから転送されてくるデータが"0yyy0"の場合、タイミング制御情報格納部1011Xに格納された識別情報及び期待値データと一致するため、一致信号F1Xを出力する。
【0223】
出力制御部1013Xは、比較部1012Xから一致信号F1Xを受け取ると、当該一致信号F1Xに応じたタイミング信号T1Xを出力する。例えば、出力制御部1013Xは、比較部1012Xから一致信号F1Xを受け取ると、当該一致信号F1Xに同期してタイミング信号T1Xの論理値を反転させる。
【0224】
このタイミング制御が完了すると、条件比較部101XからCPU201Xに対して次のタイミング制御情報を要求するための割込みが発生する。それにより、タイミング制御情報格納部1011Xには、CPU201Xからの命令に応じた次のタイミング制御情報が格納される。例えば、タイミング制御情報格納部1011Xには、識別情報として"2"が、期待値データとして"zzz1"が、格納される。以降、同様の動作が繰り返されることにより、タイミング信号T1Xが制御される。このような動作は、条件比較部102X〜108Xの場合においても同様に行われる。
【0225】
このように、本実施の形態にかかるタイミング制御装置100aXでは、各条件比較部101X〜108Xが、複数のデータ出力装置からそれぞれ出力されたデータに基づいて1つのタイミング信号を生成することができる。つまり、本実施の形態にかかるタイミング制御装置100aXは、複数のデータ出力装置からそれぞれ出力されたデータに基づいて、汎用性の高いタイミング制御を行うことができる。
【0226】
なお、シーケンサ1101Xの切替信号S1Xの周期、即ち、セレクタ1102Xのデータ切替周期は、データ出力装置の数及び各データ出力装置のデータ更新周期に依存するが、条件比較部の数には依存しない。そのため、条件比較部の数が増加した場合でも、各条件比較部の動作周波数を高くする必要はない。
【0227】
また、条件比較部の数が変更された場合でも、時間分割データの信号線は影響を受けない。そのため、条件比較部の数は容易に変更可能である。
【0228】
また、複数の条件比較部は、いずれも同じ時間分割データを受け取って動作している。そのため、これら複数の条件比較部は容易に同期して動作することができる。
【0229】
また、データ出力装置の数が変更された場合でも、切替信号S1Xの周期を変更することで容易に変更可能である。
【0230】
(タイミングチャート)
次に、図24に示すタイミング制御装置100aXの基本動作を、図25を用いてさらに具体的に説明する。図25は、図24に示すタイミング制御装置100aXの動作を示すタイミングチャートである。なお、図25では、タイミング信号T1X〜T8Xのうちタイミング信号T1X,T2Xの波形のみ図示している。図25の例では、時間タイマ208Xは、データ更新タイミングで、データ"xxx0"、"xxx1"、"xxx2"、"xxx3"及び"xxx4"を順に出力している。角度タイマ209Xは、データ更新タイミングで、データ"yyy0"、"yyy1"、"yyy2"、"yyy3"及び"yyy4"を順に出力している。
【0231】
図25の例では、タイミング制御情報格納部1011Xには、識別情報として"1"が、期待値データとして"yyy1"が、格納されている(時刻t1)。タイミング制御情報格納部1021Xには、識別情報として"0"が、期待値データとして"xxx2"が、格納されている(時刻t1)。
【0232】
まず、時間タイマ208X及び角度タイマ209Xは、データ更新タイミングで、それぞれデータ"xxx0"及び"yyy0"を出力する(時刻t1)。時間分割コントローラ110aXは、データ"yyy0"及び"xxx0"にそれぞれ識別情報"1"及び"0"を付加したものを、データ更新タイミングの2分の1周期の期間ずつ順に時間分割データとして出力する(時刻t2及びt3)。
【0233】
次に、時間タイマ208X及び角度タイマ209Xは、データ更新タイミングで、それぞれデータ"xxx1"及び"yyy1"を出力する(時刻t3)。時間分割コントローラ110aXは、データ"yyy1"及び"xxx1"にそれぞれ識別情報"1"及び"0"を付加したものを、データ更新タイミングの2分の1周期の期間ずつ順に時間分割データとして出力する(時刻t4及びt5)。このような動作が繰り返される。
【0234】
条件比較部101Xにおいて、比較部1012Xは、時間分割コントローラ110aXから出力された識別情報が"1"であって、かつ、そのときの時間分割データに含まれるデータが"yyy1"の場合、一致信号F1Xを出力する(時刻t4)。出力制御部1013Xは、当該一致信号F1Xに同期してタイミング信号T1XをLレベルからHレベルに反転させる(時刻t4)。なお、このタイミング制御が完了すると、タイミング制御情報格納部1011Xには、CPUからの命令に応じた次のタイミング制御情報が格納される(時刻t4直後)。図25の例では、タイミング制御情報格納部1011Xには、識別情報として"0"が、期待値データとして"xxx2"が、格納される。
【0235】
そして、条件比較部101Xにおいて、比較部1012Xは、時間分割コントローラ110aXから出力された識別情報が"0"であって、かつ、そのときの時間分割データに含まれるデータが"xxx2"の場合、一致信号F1Xを出力する(時刻t6)。出力制御部1013Xは、当該一致信号F1Xに同期してタイミング信号T1XをHレベルからLレベルに反転させる(時刻t6)。
【0236】
このようにして、条件比較部101Xは、角度タイマ209Xの出力データに基づきタイミング信号T1Xを立ち上げ(時刻t4)、時間タイマ208Xの出力データに基づきタイミング信号T1Xを立ち下げる(時刻t6)。同様にして、条件比較部102Xは、時間タイマ208Xの出力データに基づきタイミング信号T2Xを立ち上げ(時刻t6)、角度タイマ209Xの出力データに基づきタイミング信号T2Xを立ち下げる(時刻t7)。
【0237】
実施の形態8
図26は、図24に示すタイミング制御装置の変形例をタイミング制御装置100bXとして示すブロック図である。なお、本実施の形態では、タイミング制御装置100bXがエンジン制御用マイコン200aXに搭載される場合を例に説明するが、これに限られず、タイミング制御の必要な様々な装置に搭載されることが可能である。
【0238】
図26に示すように、タイミング制御装置100bXは、時間分割コントローラ110bXと、条件比較部(タイミング信号生成部)101bX〜108bXと、を備える。時間分割コントローラ110bXは、シーケンサ1101Xと、セレクタ1102Xと、付加情報出力部としての切替情報出力部1103bXと、を有する。条件比較部101bXは、タイミング制御情報格納部1011Xと、比較部1012bXと、出力制御部1013Xと、を有する。比較部1012bXは、第1判定部1014Xと、第2判定部1015Xと、論理積回路(以下、単にANDと称す)1016Xと、を有する。条件比較部102bX〜108bXの回路構成については、条件比較部101bXと同様であるため、その説明を省略する。なお、本実施の形態では、簡単のため、時間タイマ及び角度タイマのデータ更新タイミング(カウントアップタイミング)が同一である場合を例に説明する。
【0239】
シーケンサ1101Xは、データ更新タイミング(例えば、内部クロック)の2分の1周期の切替信号S1Xを出力する。それにより、セレクタ1102Xは、時間タイマ208X及び角度タイマ209Xからそれぞれ出力されるデータを、データ更新タイミングの2分の1周期の期間ずつ交互に時間分割データとして出力する。
【0240】
切替情報出力部1103bXは、セレクタ1102Xによって選択されるデータの切り替わりタイミングの情報(切替情報)を出力する。言い換えると、切替情報出力部1103bXは、シーケンサ1101Xから出力される切替信号S1Xの情報(切替情報)を出力する。これにより、条件比較部101bX〜108bXは、データが変化したことを認識することができる。
【0241】
条件比較部101bXにおいて、タイミング制御情報格納部1011Xには、複数のデータ出力装置のうち何れかのデータ出力装置の識別情報と、対応する期待値データと、が格納される。
【0242】
第1判定部1014Xは、時間分割データに含まれるデータと、期待値データと、を比較して比較結果を出力する。例えば、第1判定部1014Xは、時間分割データに含まれるデータと期待値データとが一致する場合には比較結果として"1"を出力し、一致しない場合には比較結果として"0"を出力する。
【0243】
第2判定部1015Xは、切替情報出力部1103bXから出力される切替情報に基づいて時間分割データに含まれるデータの出力元(データ出力装置)を識別し、タイミング制御情報格納部1011Xに格納されている識別情報と一致するか否かを判定する。例えば、第2判定部1015Xは、セレクタ1102Xによるデータの選択順序の情報を有しており、切替情報出力部1103bXから出力される切替情報に基づいて、そのときの時間分割データに含まれるデータの出力元を識別する。第2判定部1015Xは、時間分割データに含まれるデータの出力元の識別情報と、タイミング制御情報格納部1011Xに格納されている識別情報と、が一致する場合には判定結果として"1"を出力し、一致しない場合には判定結果として"0"を出力する。
【0244】
AND1016Xは、第1判定部1014Xの比較結果と第2判定部1015Xの判定結果との論理積を出力制御部1013Xに出力する。ここで、第1判定部1014Xから比較結果として"1"が出力され、第2判定部1015Xから判定結果として"1"が出力された場合、AND1016Xは、これらの論理積として一致信号F1Xを出力する。
【0245】
出力制御部1013Xは、上記したように、比較部1012bXから一致信号F1Xを受け取ると、当該一致信号F1Xに応じたタイミング信号T1Xを出力する。このような動作は、条件比較部102bX〜108bXの場合においても同様に行われる。
【0246】
このように、本実施の形態にかかるタイミング制御装置100bXの場合も、実施の形態6,7にかかるタイミング制御装置と同様の効果を奏することができる。さらに、本実施の形態にかかるタイミング制御装置100bXでは、時間分割コントローラから各条件比較部に対して識別情報を伝達する必要が無い。そのため、時間分割コントローラから各条件比較部に対する高速な信号伝達が可能となる。
【0247】
(タイミングチャート)
次に、図26に示すタイミング制御装置100bXの基本動作を、図27を用いてさらに具体的に説明する。図27は、図26に示すタイミング制御装置100bXの動作を示すタイミングチャートである。なお、図27では、タイミング信号T1X〜T8Xのうちタイミング信号T1X,T2Xの波形のみ図示している。また、時間タイマ208X及び角度タイマ209Xがそれぞれ出力するデータは、図25の場合と同様である。
【0248】
図27の例では、タイミング制御情報格納部1011Xには、識別情報として"1"が、期待値データとして"yyy1"が、格納されている(時刻t1)。タイミング制御情報格納部1021Xには、識別情報として"0"が、期待値データとして"xxx2"が、格納されている(時刻t1)。
【0249】
まず、時間タイマ208X及び角度タイマ209Xは、データ更新タイミングで、それぞれデータ"xxx0"及び"yyy0"を出力する(時刻t1)。時間分割コントローラ110bXは、データ"yyy0"及び"xxx0"を、データ更新タイミングの2分の1周期の期間ずつ順に時間分割データとして出力する(時刻t2及びt3)。
【0250】
次に、時間タイマ208X及び角度タイマ209Xは、データ更新タイミングで、それぞれデータ"xxx1"及び"yyy1"を出力する(時刻t3)。時間分割コントローラ110bXは、データ"yyy1"及び"xxx1"を、データ更新タイミングの2分の1周期に期間ずつ順に時間分割データとして出力する(時刻t4及びt5)。このような動作が繰り返される。
【0251】
なお、時間分割コントローラ110bXは、データ更新タイミングの2分の1周期のタイミングの情報を切替情報としてさらに出力している。
【0252】
条件比較部101bXにおいて、第1判定部1014Xは、時間分割データに含まれるデータが"yyy1"の場合、比較結果として"1"を出力する。また、第2判定部1015Xは、このデータ"yyy1"の出力元の識別情報が"1"である場合、判定結果として"1"を出力する。それにより、AND1016Xは一致信号F1Xを出力する(時刻t4)。出力制御部1013Xは、当該一致信号F1Xに同期してタイミング信号T1XをLレベルからHレベルに反転させる(時刻t4)。なお、このタイミング制御が完了すると、タイミング制御情報格納部1011Xには、CPUからの命令に応じた次のタイミング制御情報が格納される(時刻t4直後)。図27の例では、タイミング制御情報格納部1011Xには、識別情報として"0"が、期待値データとして"xxx2"が、格納される。
【0253】
条件比較部101bXにおいて、第1判定部1014Xは、時間分割データに含まれるデータが"xxx2"の場合、比較結果として"1"を出力する。また、第2判定部1015Xは、このデータ"xxx2"の出力元の識別情報が"0"である場合、判定結果として"1"を出力する。それにより、AND1016Xは一致信号F1Xを出力する(時刻t6)。出力制御部1013Xは、当該一致信号F1Xに同期してタイミング信号T1XをHレベルからLレベルに反転させる(時刻t6)。
【0254】
このようにして、条件比較部101bXは、角度タイマ209Xの出力データに基づきタイミング信号T1Xを立ち上げ(時刻t4)、時間タイマ208Xの出力データに基づきタイミング信号T1Xを立ち下げる(時刻t6)。同様にして、条件比較部102bXは、時間タイマ208Xの出力データに基づきタイミング信号T2Xを立ち上げ(時刻t6)、角度タイマ209Xの出力データに基づきタイミング信号T2Xを立ち下げる(時刻t7)。
【0255】
実施の形態9
本実施の形態では、複数のデータ出力装置のデータ更新周期が異なる場合の例を、図28及び図29を用いて説明する。図28は、図26に示すタイミング制御装置100bXと同様の構成のタイミング制御装置100cXを示すブロック図である。また、図29は、図28に示すタイミング制御装置100cXの動作を示すタイミングチャートである。なお、本実施の形態では、タイミング制御装置100cXがエンジン制御用マイコン200aXに搭載される場合を例に説明するが、これに限られず、タイミング制御の必要な様々な装置に搭載されることが可能である。
【0256】
図28に示すように、タイミング制御装置100cXは、時間分割コントローラ110cXと、条件比較部(タイミング信号生成部)101cX〜108cXと、を備える。時間分割コントローラ110cXは、シーケンサ1101Xと、セレクタ1102Xと、付加情報出力部としての切替情報出力部1103cXと、を有する。条件比較部101cXは、タイミング制御情報格納部1011Xと、比較部1012cXと、出力制御部1013Xと、を有する。比較部1012cXは、第1判定部1014Xと、第2判定部1015Xと、論理積回路(以下、単にANDと称す)1016Xと、を有する。条件比較部102cX〜108cXの回路構成については、条件比較部101cXと同様であるため、その説明を省略する。
【0257】
セレクタ1102Xには、時間タイマ208X及び角度タイマ209Xの各出力データに加え、ADコンバータ210Xの出力データが入力されている。なお、本実施の形態では、ADコンバータ210X及び角度タイマ209Xのデータ更新周期が、時間タイマ208Xのデータ更新周期の2倍である場合を例に説明する。
【0258】
シーケンサ1101Xは、時間タイマ208Xのデータ更新タイミング(例えば、内部クロック)の2分の1周期の切替信号S1Xを出力する。このとき、シーケンサ1101Xは、セレクタ1102Xが時間タイマ208X、角度タイマ209X、時間タイマ208X及びADコンバータ210Xの順に出力データを選択して出力するように、切替信号S1Xを出力する。それにより、セレクタ1102Xは、時間タイマ208X、角度タイマ209X、時間タイマ208X及びADコンバータ210Xから出力されたデータを、時間タイマ208Xのデータ更新タイミングの2分の1周期の期間ずつ順に時間分割データとして出力する。
【0259】
このように、時間分割コントローラ110cXは、複数のデータ出力装置からそれぞれ出力されるデータを、複数のデータ出力装置のそれぞれのデータ更新周波数の比率で選択して出力する。それにより、時間分割コントローラ110cXは、複数のデータ出力装置から出力されるデータを全て取り込んで時間分割データとして出力している。なお、時間分割コントローラ110cXは、同一のデータ出力装置から出力される同一のデータを繰り返し選択し出力してしまう可能性もある。そのような場合に備え、後段の各条件比較部は、あるデータに基づき一致信号を生成した場合には、次のタイミング制御情報が設定されるまでの間、同じデータに基づいて一致信号を生成しないように構成される。
【0260】
図28に示すタイミング制御装置100cXのその他の回路構成については、図26に示すタイミング制御装置100bXと同様であるため、その説明を省略する。
【0261】
時間分割コントローラ110cXは、複数のデータ出力装置から出力されるデータを単純に等間隔で選択し出力する場合よりも、切替信号S1Xの周期を大きくすることができる。そのため、時間分割コントローラ110cXは、複数のデータ出力装置から出力されるデータを効率良く時間分割データとして出力することができる。なお、複数のデータ出力装置から出力されるデータを単純に等間隔で選択し出力する場合、切替信号S1Xの周期は、「複数のデータ出力装置のデータ更新周期のうち最も短いデータ更新周期」を「データ出力装置の数」で除した周期に設定される必要がある。その場合、時間分割コントローラ及び各条件比較部の動作周波数が高くなるため、消費電力の増加や設計難易度の上昇等の問題が発生する。
【0262】
一般的に、タイミング制御に用いられる時間タイマ208X等のタイマでは、何れも同一周期で出力データが更新される。そのため、これらタイマ(カウンタ)から出力されるデータの選択頻度に重み付けがされた場合でも問題は発生しない。一方、ADコンバータ210X等では、時間タイマ208X等と異なり出力データの更新周期が長い。さらに、ADコンバータ210Xは多くのチャネルを持つものが多い。言い換えると、ADコンバータ210Xは更新周期の長いデータを同時に複数出力するものが多い。そのため、本実施の形態にかかるタイミング制御装置100cXは、特に時間タイマ及びADコンバータが混在する場合に、効率良くタイミング制御することが可能である。
【0263】
(タイミングチャート)
次に、図28に示すタイミング制御装置100cXの基本動作を、図29のタイミングチャートを用いてさらに具体的に説明する。なお、図29では、タイミング信号T1X〜T8Xのうちタイミング信号T1X,T2Xの波形のみ図示している。図29の例では、時間タイマ208Xは、データ更新タイミングで、データ"xxx0"、"xxx1"、"xxx2"、"xxx3"及び"xxx4"を順に出力している。角度タイマ209Xは、時間タイマ208Xの2倍の周期のデータ更新タイミングで、データ"yyy0"、"yyy1"及び"yyy2"を順に出力している。ADコンバータ210Xは、角度タイマ209Xと同じデータ更新タイミングで、データ"zzz0"、"zzz1"及び"zzz2"を順に出力している。
【0264】
図29の例では、タイミング制御情報格納部1011Xには、識別情報として"1"が、期待値データとして"yyy1"が、格納されている(時刻t0)。タイミング制御情報格納部1021Xには、識別情報として"0"が、期待値データとして"xxx2"が、格納されている(時刻t0)。
【0265】
時間タイマ208X、角度タイマ209X及びADコンバータ210Xは、それぞれデータ"xxx0"、"yyy0"及び"zzz0"を出力している(時刻t0)。その後、時間タイマ208X、角度タイマ209X及びADコンバータ210Xは、データ更新タイミングで、それぞれデータ"xxx1"、"yyy1"及び"zzz1"を出力する(時刻t1)。時間タイマ208Xは、次のデータ更新タイミングで、"xxx2"を出力する(時刻t3)。このとき、角度タイマ209X及びADコンバータ210Xの出力データは更新されない。
【0266】
その後、時間タイマ208X、角度タイマ209X及びADコンバータ210Xは、次のデータ更新タイミングで、それぞれデータ"xxx3"、"yyy2"及び"zzz2"を出力する(時刻t5)。時間タイマ208Xは、次のデータ更新タイミングで、"xxx4"を出力する(時刻t7)。このとき、角度タイマ209X及びADコンバータ210Xの出力データは更新されない。
【0267】
ここで、時間分割コントローラ110cXは、データ"xxx0"、"yyy1"、"xxx1"及び"zzz1"を、時間タイマ208Xのデータ更新タイミングの2分の1周期の期間ずつ順に時間分割データとして出力する(時刻t1、t2、t3及びt4)。
【0268】
その後、時間分割コントローラ110cXは、データ"xxx2"、"yyy2"、"xxx3"及び"zzz2"を、時間タイマ208Xのデータ更新タイミングの2分の1周期の期間ずつ順に時間分割データとして出力する(時刻t5、t6、t7及びt8)。
【0269】
なお、時間分割コントローラ110cXは、時間タイマ208Xのデータ更新タイミングの2分の1周期のタイミングの情報を切替情報としてさらに出力している。
【0270】
条件比較部101cXにおいて、第1判定部1014Xは、時間分割データに含まれるデータが"yyy1"の場合、比較結果として"1"を出力する。また、第2判定部1015Xは、このデータ"yyy1"の出力元の識別情報が"1"である場合、判定結果として"1"を出力する。それにより、AND1016Xは一致信号F1Xを出力する(時刻t2)。出力制御部1013Xは、当該一致信号F1Xに同期してタイミング信号T1XをLレベルからHレベルに反転させる(時刻t2)。なお、このタイミング制御が完了すると、タイミング制御情報格納部1011Xには、CPUからの命令に応じた次のタイミング制御情報が格納される(時刻t2直後)。図29の例では、タイミング制御情報格納部1011Xには、識別情報として"0"が、期待値データとして"xxx2"が、格納される。
【0271】
条件比較部101cXにおいて、第1判定部1014Xは、時間分割データに含まれるデータが"xxx2"の場合、比較結果として"1"を出力する。また、第2判定部1015Xは、このデータ"xxx2"の出力元の識別情報が"0"である場合、判定結果として"1"を出力する。それにより、AND1016Xは一致信号F1Xを出力する(時刻t5)。出力制御部1013Xは、当該一致信号F1Xに同期してタイミング信号T1XをHレベルからLレベルに反転させる(時刻t5)。
【0272】
このようにして、条件比較部101bXは、角度タイマ209Xの出力データに基づきタイミング信号T1Xを立ち上げ(時刻t2)、時間タイマ208Xの出力データに基づきタイミング信号T1Xを立ち下げる(時刻t5)。同様にして、条件比較部102bXは、時間タイマ208Xの出力データに基づきタイミング信号T2Xを立ち上げ(時刻t3)、ADコンバータ210Xの出力データに基づきタイミング信号T2Xを立ち下げる(時刻t8)。
【0273】
以上のように、上記実施の形態にかかるタイミング制御装置は、複数のデータ出力装置からそれぞれ出力されるデータに基づいてタイミング信号を生成することができる。そのため、上記実施の形態にかかるタイミング制御装置は、複数のデータ出力装置からそれぞれ出力されたデータに基づいて、汎用性の高いタイミング制御を行うことができる。
【0274】
さらに、上記実施の形態にかかるタイミング制御装置は、タイミング制御対象の状態に基づいて当該タイミング制御対象をどのように制御すべきか判断し、汎用性の高いタイミング制御をリアルタイムに行うことが可能である。
【0275】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。上記実施の形態では、タイミング制御装置がエンジン制御用マイコンに搭載された場合の例を主に説明したが、これに限られない。タイミング制御装置は、タイミング制御が必要な様々な装置に搭載されることができる。
【0276】
ここで、図30に示す関連する技術のタイマ/カウンタ回路において、一致フラグ4Aは、1つのカウンタ回路のカウント値と、対応するタイマ値と、が一致した場合に、対応する1つのタイミング信号(割込信号)を発生している。したがって、このタイマ/カウンタ回路を用いて複数のタイミング信号をパラレルに発生させる場合には、発生させるタイミング信号の数に応じた数のカウンタ回路を備える必要がある。この場合、カウンタ回路の数に応じてタイミング信号生成部(タイマレジスタや一致フラグ)の動作周波数を高速にしなければならなくなる(図31A及び図31B参照)。あるいは、各カウンタ回路のカウントアップ周期を低速にしなければならなくなる。特にエンジン制御分野では、100本程度のタイミング信号を発生させる場合もある。この場合、発生させるタイミング信号の数に応じてタイミング信号生成部の動作周波数を高速にすることは、技術的に困難である。
【0277】
一方、上記実施の形態にかかるタイミング制御装置において、セレクタ1102Xのデータ切替周期は、タイミング信号生成部(条件比較部)の数には依存しない。つまり、上記実施の形態にかかるタイミング制御装置では、タイミング信号生成部(条件比較部)の数が増加した場合でも、各タイミング信号生成部の動作周波数を高速にする必要はない。
【0278】
実施の形態10
図32は、図1に示すタイミング制御装置100の変形例をタイミング制御装置100dとして示すブロック図である。
【0279】
図32に示すタイミング制御装置100dは、図1に示すタイミング制御装置と比較して、演算部1014に代えて演算部1020を備え、かつ、選択回路(第4選択回路)1024をさらに備える。また、タイミング制御装置100dの外部には、制御部1025が設けられる。なお、制御部1025は、タイミング制御装置100dの内部に設けられても良い。図32に示すタイミング制御装置100dのその他の回路構成については、図1に示すタイミング制御装置と同様であるため、その説明を省略する。なお、演算部1020と、データ保持部1015と、比較部1016と、選択回路1024と、により、比較演算部1026が構成される。
【0280】
制御部1025は、制御信号ENを出力する部である。例えば、制御部1025は、比較演算部1026による比較を行う場合にLレベルの制御信号ENを出力し、比較演算部1026による比較を行わない場合、Hレベルの制御信号ENを出力する。
【0281】
選択回路1024は、制御部1025からの制御信号ENに基づいて、選択回路1018から出力された期待値データと、データ保持部1015に保持されたデータと、のうちの何れかを選択し、演算部1020に対して出力する。例えば、制御信号ENがLレベルの場合、選択回路24は、選択回路1018から出力された期待値データを選択し、演算部1020に対して出力する。つまり、制御信号ENがLレベルの場合、タイミング制御装置100dは、図1に示すタイミング制御装置100と同様の動作を実行する。一方、制御信号ENがHレベルの場合、選択回路24は、データ保持部1015に保持されたデータを選択して演算部1020に対して出力する。
【0282】
したがって、制御信号ENがLレベルの場合、演算部1020は、選択回路1011から出力されるデータと、選択回路1018から出力される期待値データと、を加算して出力する。一方、制御信号ENがHレベルの場合、演算部1020は、選択回路1011から出力されるデータと、データ保持部1015に保持されたデータと、の差分を出力する。
【0283】
次に、図33を参照して、図32に示すタイミング制御装置100dの動作を説明する。図33は、図32に示すタイミング制御装置100dの動作を示すタイミングチャートである。
【0284】
なお、図33の例では、カウンタAは、カウント値を"0"に初期化後(時刻t0)、独自のデータ更新タイミングでカウント値をインクリメントし出力している。カウンタBは、カウント値を"0"に初期化後(時刻t0)、カウンタAより小さい周期のデータ更新タイミングでカウント値をインクリメントし出力している。
【0285】
また、図33の例では、制御情報格納部ST1には、識別情報として"0"(カウンタAの識別情報)が、期待値データとして"1"(相対値)が、格納されている。制御情報格納部ST2には、識別情報として"1"(カウンタBの識別情報)が、期待値データとして"4"(相対値)が、格納されている。
【0286】
まず、選択回路1018は、切替信号S1に基づいて制御情報格納部ST1に格納されたタイミング制御情報を選択し出力する(時刻t0)。具体的には、選択回路1018は、識別情報である"0"を切替信号S2として出力するとともに、期待値データ"1"を出力する。選択回路1011は、識別情報"0"に対応する切替信号S2に基づいて、カウンタAから出力されるデータを選択し出力する。また、このとき、制御信号ENはLレベルを示している。したがって、選択回路1024は、選択回路1018から出力された期待値データ"1"を選択して出力する。
【0287】
カウンタAの初期化直後において、演算部1020は、選択回路1011から出力されているデータ"0"と期待値データ"1"とを加算した結果"1"を出力する。そして、データ保持部1015は、演算部1020の演算結果"1"を保持する。つまり、データ保持部1015は、カウンタAの初期化直後における選択回路1011の出力データ"0"と期待値データ"1"とを加算した結果"1"を保持する。
【0288】
比較部1016は、選択回路1011から出力されるカウンタAの出力データが"1"になった場合、データ保持部1015に保持されているデータと一致するため、一致信号F1を出力する(時刻t1)。出力制御部1017は、比較部1016から一致信号F1を受け取ると、当該一致信号F1に同期してタイミング信号T1をLレベルからHレベルに反転させる(時刻t1)。
【0289】
また、切替信号生成部1012は、比較部1016から一致信号F1を受け取ると、選択回路1018が次の制御情報格納部ST2に格納されているタイミング制御情報を選択するように、切替信号S1を出力する(時刻t1)。それにより、選択回路1018は、制御情報格納部ST2に格納されたタイミング制御情報を選択し出力する。具体的には、選択回路1018は、識別情報である"1"を切替信号S2として出力するとともに、期待値データ"4"(相対値)を出力する。選択回路1011は、識別情報"1"に対応する切替信号S2に基づいて、カウンタBから出力されるデータを選択し出力する。また、このとき、制御信号ENはLレベルを示している。したがって、選択回路1024は、選択回路1018から出力された期待値データ"4"を選択して出力する。
【0290】
選択回路1018によって選択されるタイミング制御情報が切り替わった直後において、演算部1020は、選択回路1011から出力されているデータ"5"と期待値データ"4"とを加算した結果"9"を出力する。そして、データ保持部1015は、演算部1020の演算結果"9"を保持する。つまり、データ保持部1015は、選択回路1018によって選択されるタイミング制御情報が切り替わった場合、その切り替わり直後における選択回路1011の最初の出力データ"5"と期待値データ"4"とを加算した結果"9"を保持する。
【0291】
次に、データ保持部1015に保持されているデータ"9"と、カウンタBの出力データとが一致する前に、制御信号ENがLレベルからHレベルに切り替わっている(時刻t1')。より具体的には、カウンタBの出力データが"6"のときに、制御信号ENがLレベルからHレベルに切り替わっている(時刻t1')。それにより、選択回路1024は、データ保持部1015に保持されたデータ"9"を選択して出力する。それにより、演算部1020は、選択回路1011から出力されているデータ"6"と保持データ"9"との差分"3"を出力する。そして、データ保持部1015は、演算部1020の演算結果"3"を保持する。
【0292】
その後、カウンタBの出力データが"9"のときに、制御信号ENがHレベルからLレベルに切り替わっている(時刻t2')。それにより、選択回路1024は、再び選択回路1018から出力されている期待値データ"4"を選択して出力する。それにより、演算部1020は、選択回路1011から出力されているデータ"9"と期待値データ"4"とを加算した結果"12"を出力する。そして、データ保持部1015は、演算部1020の演算結果"12"を保持する。
【0293】
比較部1016は、選択回路1011から出力されるカウンタBの出力データが"12"になった場合、データ保持部1015に保持されているデータと一致するため、一致信号F1を出力する(時刻t2)。出力制御部1017は、比較部1016から一致信号F1を受け取ると、当該一致信号F1に同期してタイミング信号T1をHレベルからLレベルに反転させる(時刻t2)。
【0294】
また、切替信号生成部1012は、比較部1016から一致信号F1を受け取ると、選択回路1018が次の制御情報格納部ST3に格納されているタイミング制御情報を選択するように、切替信号S1を出力する(時刻t2)。それにより、選択回路1018は、制御情報格納部ST3に格納されたタイミング制御情報を選択し出力する。
【0295】
このようにして、タイミング制御装置100dは、カウンタAの出力データに基づきタイミング信号T1を立ち上げ(時刻t1)、カウンタBの出力データに基づきタイミング信号T1を立ち下げる(時刻t2)。ここで、タイミング制御装置100dは、制御信号ENがLレベルの場合、比較演算部1026による比較を行い(即ち、タイミング制御装置100と同様に動作し)、制御信号ENがHレベルの場合、比較演算部1026による比較を行わない。
【0296】
それにより、例えば、タイミング信号T1の変化タイミングを予め設定したタイミングから変更したい場合、制御情報格納部の情報を変更することなく、制御信号ENを切り替えるのみで容易に変更可能となる。このとき、制御信号ENによるタイミング信号T1の変化タイミングの変更は、その後の動作設定に影響を与えない。他方、制御情報格納部の情報を変更することでタイミング信号T1の変化タイミングを変更する場合には、変更対象のタイミングの後のタイミング情報は全て作り直す必要がある。
【0297】
さらに、制御信号ENによる制御によって制御情報格納部の情報を変更しなくてもタイミングの変更が容易に行えるため、リアルタイム性にほとんど影響を与えない。そのため、タイミング制御装置100dは高速動作を維持することができる。
【0298】
本実施の形態では、制御信号ENが制御部1025によって生成される場合を例に説明したが、これに限られない。制御信号ENは、予め設けられた他の回路によって生成されても良い。また、制御信号ENは、一つのみならず複数生成されても良い。それにより、リアルタイム性を維持しつつ、タイミング信号T1の変化タイミングを状況に応じてより細かく変更することができる。
【0299】
上記実施の形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
【0300】
(付記1)
複数のデータ出力装置からそれぞれ出力されるデータを順に選択して時間分割データとして出力する時間分割コントローラと、
前記時間分割データに基づきタイミング信号を生成するタイミング信号生成部と、を備え、
前記タイミング信号生成部は、
前記複数のデータ出力装置のうち何れかのデータ出力装置の期待値データを格納するタイミング制御情報格納部と、
前記何れかのデータ出力装置の期待値データと、前記時間分割データに含まれ前記何れかのデータ出力装置に対応するデータ出力装置のデータと、を比較して一致する場合に一致信号を出力する比較部と、
前記一致信号に応じた前記タイミング信号を出力する出力制御部と、を有するタイミング制御装置。
【0301】
(付記2)
時間分割コントローラは、
前記時間分割データに含まれる各データに対応する付加情報をさらに出力し、
前記タイミング制御情報格納部は、
何れかのデータ出力装置の期待値データに加え、当該何れかのデータ出力装置の識別情報をさらに格納し、
前記比較部は、
前記付加情報に基づき取得された前記データ出力装置の識別情報と、前記タイミング制御情報格納部に格納された識別情報と、を比較するとともに、前記時間分割データに含まれる対応する前記データと、前記期待値データと、を比較し、それぞれ一致する場合に一致信号を出力することを特徴とする付記1に記載のタイミング制御装置。
【0302】
(付記3)
前記時間分割コントローラは、
前記複数のデータ出力装置からそれぞれ出力されるデータの更新周期に応じた周期の切替信号を出力するシーケンサと、
前記切替信号に同期して前記複数のデータを選択的に切り替え前記時間分割データとして出力するセレクタと、
前記切替信号に同期して、前記セレクタから出力されているデータに対応する識別情報を前記付加情報として出力する付加情報出力部と、を備えた付記2に記載のタイミング制御装置。
【0303】
(付記4)
前記時間分割コントローラは、
前記付加情報を対応する前記データに付加し、当該データとともに前記時間分割データとして出力することを特徴とする付記3に記載のタイミング制御装置。
【0304】
(付記5)
前記時間分割コントローラは、
前記複数のデータ出力装置からそれぞれ出力されるデータの更新周期に応じた周期の切替信号を出力するシーケンサと、
前記切替信号に同期して前記複数のデータを選択的に切り替え前記時間分割データとして出力するセレクタと、
前記セレクタによって選択されるデータの切り替わりタイミングの情報を前記付加情報として出力する付加情報出力部と、を備え、
前記比較部は、
前記時間分割データに含まれるデータが前記期待値データと一致するか否かを判定する第1判定部と、
当該データを出力しているデータ出力装置を前記付加情報に基づいて識別し、その識別情報が前記タイミング情報格納部に格納された識別情報と一致するか否かを判定する第2判定部と、を有し、
前記比較部は、前記第1及び前記第2判定部の判定結果に基づいて前記一致信号を出力することを特徴とする付記2に記載のタイミング制御装置。
【0305】
(付記6)
前記時間分割コントローラは、
前記複数のデータ出力装置からそれぞれ出力されるデータを、当該複数のデータ出力装置のデータ更新周期のうち最も短いデータ更新周期をデータ出力装置の数で除した周期で選択的に切り替え、前記時間分割データとして出力することを特徴とする付記1〜5のいずれか一項に記載のタイミング制御装置。
【0306】
(付記7)
前記時間分割コントローラは、
前記複数のデータ出力装置からそれぞれ出力されるデータを、当該複数のデータ出力装置のそれぞれのデータ更新周波数の比率で選択的に切り替え、前記時間分割データとして出力することを特徴とする付記1〜5のいずれか一項に記載のタイミング制御装置。
【0307】
(付記8)
前記複数のデータ出力装置のうち少なくとも1つのデータ出力装置は、
前記タイミング信号によってタイミング制御される制御対象装置の状態に基づいて、データを出力することを特徴とする付記1〜7のいずれか一項に記載のタイミング制御装置。
【0308】
(付記9)
前記制御対象装置は、
車載エンジンであることを特徴とする付記8に記載のタイミング制御装置。
【0309】
(付記10)
前記複数のデータ出力装置のうち少なくとも一つのデータ出力装置は、
前記車載エンジンの回転軸の角度に応じたデータを出力する第1タイマであることを特徴とする付記9に記載のタイミング制御装置。
【0310】
(付記11)
前記複数のデータ出力装置のうち少なくとも一つのデータ出力装置は、
カウント値を一定間隔でカウントアップして出力する第2タイマであることを特徴とする付記9又は10に記載のタイミング制御装置。
【0311】
(付記12)
複数のタイミング信号生成部を備えた付記1〜11のいずれか一項に記載のタイミング制御装置。
【0312】
(付記13)
付記1〜12のいずれか一項に記載された前記タイミング制御装置と、前記複数のデータ出力装置と、を有するマイクロコンピュータと、
前記マイクロコンピュータによって動作が制御される前記制御対象装置と、を備えた、制御システム。
【0313】
(付記14)
複数のデータ出力装置からそれぞれ出力されるデータを順に選択して時間分割データとして出力し、
タイミング制御情報格納部に格納された前記複数のデータ出力装置のうち何れかのデータ出力装置の期待値データと、前記時間分割データに含まれ前記何れかのデータ出力装置に対応するデータ出力装置のデータと、を比較して一致する場合に一致信号を出力し、
前記一致信号に応じた前記タイミング信号を出力する、タイミング制御装置の制御方法。
【符号の説明】
【0314】
100,100a,100b,100c,100d タイミング制御装置
101〜108 条件比較部
210 時間分割コントローラ
1011 選択回路
1012 切替信号生成部
1013 記憶部
1014 演算部
1015 データ保持部
1016 比較部
1017 出力制御部
1018 選択回路
1019 選択回路
1020 演算部
1024 選択回路
1025 制御部
1026 比較演算部
ST1〜STn 制御情報格納部
200 マイコン
200c エンジン制御用マイコン
201 CPU
202 RAM
203 クロック生成部
204 タイマ
205 タイマ
206 ADコンバータ
207 通信I/F
208 時間タイマ
209 角度タイマ
300 制御対象装置
300c 4気筒エンジン
301 制御ドライバ
302 制御ドライバ
303 制御対象
304 ASIC
305 電流検出センサ
306 速度信号センサ
307 回転角度センサ
310,320,330,340 気筒
311 燃料噴射制御部
3111 制御ドライバ
3112 インジェクタ
312 点火制御部
3121 制御ドライバ
3122 イグナイタ
100X,100aX,100bX,100cX タイミング制御装置
101X〜108X,101bX〜108bX,101cX〜108cX 条件比較部
110X,110aX,110bX 時間分割コントローラ
1101X シーケンサ
1102X セレクタ
1103X 付加情報出力部
1103aX 識別情報出力部
1103bX,1103cX 切替情報出力部
1011X タイミング制御情報格納部
1012X,1012bX,1012cX 比較部
1013X 出力制御部
1014X 第1判定部
1015X 第2判定部
1016X 論理積回路
1021X タイミング制御情報格納部
1022X 比較部
1023X 出力制御部
1031X タイミング制御情報格納部
1032X 比較部
1033X 出力制御部
200X マイコン
200aX エンジン制御用マイコン
201X CPU
202X RAM
203X クロック生成部
204X タイマ
205X タイマ
206X ADコンバータ
207X 通信I/F
208X 時間タイマ
209X 角度タイマ
300X 制御対象装置
300aX 4気筒エンジン
301X 制御ドライバ
302X 制御ドライバ
303X 制御対象
304X ASIC
305X 電流検出センサ
306X 速度信号センサ
307X 回転角度センサ
310X,320X,330X,340X 気筒
311X 燃料噴射制御部
3111X 制御ドライバ
3112X インジェクタ
312X 点火制御部
3121X 制御ドライバ
3122X イグナイタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のデータ出力装置のうち何れかのデータ出力装置の識別情報と、対応する期待値データと、によって構成されるタイミング制御情報を複数記憶する記憶部と、
複数の前記タイミング制御情報のうち何れかのタイミング制御情報を選択的に出力する第1選択回路と、
前記複数のデータ出力装置からそれぞれ出力されるデータの何れかを、前記第1選択回路から出力されているタイミング制御情報に含まれる識別情報に基づいて選択し出力する第2選択回路と、
前記第1選択回路から出力されているタイミング制御情報に含まれる期待値データと、前記第1選択回路によって選択されるタイミング制御情報の切り替わりに同期して前記第2選択回路から出力されたデータと、に基づいて基準データを生成する基準データ生成部と、
前記基準データと、前記第2選択回路から出力されているデータと、を比較しそれらが一致する場合に前記一致信号を出力する比較部と、
前記一致信号に応じたタイミング信号を出力する出力制御部と、を備え、
前記第1選択回路は、
前記一致信号が出力された場合に、前記複数のタイミング制御情報のうち何れかのタイミング制御情報から次のタイミング制御情報に選択を切り替えて出力する、タイミング制御装置。
【請求項2】
前記基準データ生成部は、
前記第1選択回路から出力されているタイミング制御情報に含まれる期待値データと、前記第1選択回路によって選択されるタイミング制御情報の切り替わりに同期して前記第2選択回路から出力されたデータと、を加算し前記基準データとして出力する演算部を備えた請求項1に記載のタイミング制御装置。
【請求項3】
前記基準データ生成部は、
前記第1選択回路から出力されているタイミング制御情報に含まれる期待値データと、前記第1選択回路によって選択されるタイミング制御情報の切り替わりに同期して前記第2選択回路から出力されたデータと、に基づいて生成される前記基準データを保持するデータ保持部を備えた請求項1に記載のタイミング制御装置。
【請求項4】
前記基準データ生成部は、
前記第1選択回路から出力されているタイミング制御情報に含まれる期待値データと、当該タイミング制御情報に含まれる識別情報に基づき前記第2選択回路から最初に出力されたデータと、に基づいて前記基準データを生成する請求項1に記載のタイミング制御装置。
【請求項5】
前記比較部から一致信号が出力される毎に前記第1選択回路が複数のタイミング制御情報を所定の順序で選択的に出力するための切替信号を生成する切替信号生成部をさらに備えた請求項1に記載のタイミング制御装置。
【請求項6】
前記第1選択回路から出力されている期待値データと、前記基準データと、を選択的に出力する第3選択回路をさらに備え、
各前記タイミング制御情報は、
識別情報及び対応する期待値データに加え、さらに当該期待値データが相対値か絶対値かを識別する付加情報によって構成され、
前記第3選択回路は、
前記第1選択回路から出力されているタイミング制御情報に含まれる期待値データが絶対値である場合に、当該期待値データを選択して出力し、前記第1選択回路から出力されているタイミング制御情報に含まれる期待値データが相対値である場合に、前記基準データを選択して出力し、
前記比較部は、
前記第3選択回路から出力されているデータと、前記第2選択回路から出力されているデータと、を比較しそれらが一致する場合に前記一致信号を出力する請求項1に記載のタイミング制御装置。
【請求項7】
前記第1選択回路から出力されている期待値データと、前記基準データと、を外部からの制御信号に基づいて選択的に出力する第4選択回路をさらに備え、
前記基準データ生成部は、前記第4選択回路によって選択されたデータと、前記第1選択回路によって選択されるタイミング制御情報の切り替わりに同期して前記第2選択回路から出力されたデータと、に基づいて前記基準データを生成する、請求項1に記載のタイミング制御装置。
【請求項8】
前記複数のデータ出力装置のうち少なくとも1つのデータ出力装置は、
前記タイミング信号によってタイミング制御される制御対象装置の状態に基づいて、データを出力する請求項1に記載のタイミング制御装置。
【請求項9】
前記制御対象装置は、
車載エンジンである請求項8に記載のタイミング制御装置。
【請求項10】
前記複数のデータ出力装置のうち少なくとも一つのデータ出力装置は、
前記車載エンジンの回転軸の角度に応じたデータを出力する第1タイマである請求項9に記載のタイミング制御装置。
【請求項11】
前記複数のデータ出力装置のうち少なくとも一つのデータ出力装置は、
カウント値を一定間隔でカウントアップして出力する第2タイマである請求項9に記載のタイミング制御装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載された前記タイミング制御装置と、前記複数のデータ出力装置と、を有するマイクロコンピュータと、
前記マイクロコンピュータによって動作が制御される前記制御対象装置と、を備えた、制御システム。
【請求項13】
複数のデータ出力装置のうち何れかのデータ出力装置の識別情報と、対応する期待値データと、によって構成されるタイミング制御情報を複数記憶し、
複数の前記タイミング制御情報のうち何れかのタイミング制御情報を選択的に第1選択回路から出力し、
前記複数のデータ出力装置からそれぞれ出力されるデータの何れかを、前記第1選択回路から出力されているタイミング制御情報に含まれる識別情報に基づいて選択して第2選択回路から出力し、
前記第1選択回路から出力されているタイミング制御情報に含まれる期待値データと、前記第1選択回路によって選択されるタイミング制御情報の切り替わりに同期して前記第2選択回路から出力されたデータと、に基づいて基準データを生成し、
前記基準データと、前記第2選択回路から出力されているデータと、を比較しそれらが一致する場合に一致信号を出力し、
前記一致信号に応じたタイミング信号を出力し、
前記一致信号が出力された場合に、前記複数のタイミング制御情報のうち何れかのタイミング制御情報から次のタイミング制御情報に選択を切り替えて前記第1選択回路から出力する、タイミング制御装置の制御方法。
【請求項14】
前記第1選択回路から出力されているタイミング制御情報に含まれる期待値データが絶対値である場合に、当該期待値データを選択して第3選択回路から出力し、前記第1選択回路から出力されているタイミング制御情報に含まれる期待値データが相対値である場合に、前記基準データを選択して前記第3選択回路から出力し、
前記第3選択回路から出力されているデータと、前記第2選択回路から出力されているデータと、を比較しそれらが一致する場合に前記一致信号を出力する請求項13に記載のタイミング制御装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31A】
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【図31B】
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【図32】
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【図33】
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