説明

タイヤの台上試験装置及びこれを用いた台上試験方法

【課題】簡単な構成で定量的にタイヤの泥濘地の走行性能を評価する。
【解決手段】タイヤTの泥濘地の走行性能を試験するための台上試験装置1である。上面側が解放されることにより泥材料Mが出し入れ可能に収容された泥桶部2と、前記泥桶部2を床面Fに対して前後方向に移動可能に支持する移動台3と、リム組みされた前記タイヤTを回転駆動可能に支持するとともに該タイヤTを上方から前記泥桶部2に収容された泥材料Mに押し付け可能なタイヤ支持部4と、前記タイヤTの回転駆動によって移動する前記移動台3の前後方向の力を測定する測定部5とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容易かつ定量的にタイヤの泥濘地の走行性能を評価しうるタイヤの台上試験装置及びこれを用いた台上試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タイヤの泥濘地の走行性能を評価する方法として、屋外の泥濘地のテストコースを実車で走行させ、ドライバーによる官能評価等を行う実車評価方法が知られている。
【0003】
しかしながら、この実車評価方法では、ドライバーの感性によりその評価が行われるため、評価結果が定量的でないという問題があった。さらにこの方法では、泥濘地の硬さ等の路面状況が、天候等によって変化する他、テストコースの場所によって大きく異なるため、評価結果にばらつきが出るという問題があった。また、このようなテストコースでは、該コースの整地や維持費等が大きいという問題があった。関連する技術としては、下記の技術文献がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−300278号公報
【特許文献2】特開2003−315236号公報
【特許文献3】特開2010−54419号公報
【特許文献4】特開2006−131067号公報
【特許文献5】特開2008−249560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上のような問題点に鑑み案出なされたもので、簡単な構成で定量的にタイヤの泥濘地の走行性能を評価する台上試験装置及びこれを用いた台上試験方法を提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のうち請求項1記載の発明は、タイヤの泥濘地の走行性能を試験するための台上試験装置であって、上面側が解放されることにより泥材料が出し入れ可能に収容された泥桶部と、前記泥桶部を床面に対して前後方向に移動可能に支持する移動台と、リム組みされた前記タイヤを回転駆動可能に支持するとともに該タイヤを上方から前記泥桶部に収容された泥材料に押し付け可能なタイヤ支持部と、前記タイヤの回転駆動によって移動する前記移動台の前後方向の力を測定する測定部とを含むことを特徴とする。
【0007】
また請求項2記載の発明は、前記移動台は、上面に前記泥桶部を着脱自在に固着しうる基台と、該基台を前後方向に移動させる車輪とを含む請求項1記載のタイヤの台上試験装置である。
【0008】
また請求項3記載の発明は、前記タイヤの回転駆動によって後方に移動しようとする移動台を、前方に引っ張る牽引具をさらに含む請求項1又は2記載のタイヤの台上試験装置である。
【0009】
また請求項4記載の発明は、前記牽引具は、床面に対して固定された電動機と、該電動機と前記移動台との間を連結するとともに前記電動機によって巻取られる連結具とを含む請求項3記載のタイヤの台上試験装置である。
【0010】
また請求項5記載の発明は、前記測定部は、ロードセルからなり、前記連結部は、前記電動機と前記ロードセルとの間を連結する第1連結体と、前記ロードセルと前記移動台との間を連結する第2連結体とを含む請求項4記載のタイヤの台上試験装置である。
【0011】
また請求項6記載の発明は、タイヤの泥濘地の走行性能を試験するための台上試験方法であって、上面側が解放された泥桶部に泥材料を収容する工程と、前記泥桶部を床面に対して前後方向に移動可能に支持する工程と、リム組みされた前記タイヤを上方から前記泥桶部に収容された泥材料に押し付けて回転駆動させる工程と、前記タイヤの回転駆動によって移動する前記移動台の前後方向の力を測定する測定工程とを含むとを特徴とするタイヤの台上試験方法である。
【0012】
また請求項7記載の発明は、前記タイヤの回転駆動によって後方に移動しようとする移動台を、前方に引っ張る工程をさらに含む請求項6記載のタイヤの台上試験方法である。
【0013】
また請求項8記載の発明は、前記測定工程は、温度が18〜23℃及び湿度が80%以上の雰囲気で行われる請求項6又は7に記載のタイヤの台上試験方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明のタイヤの泥濘地の走行性能を評価する台上試験装置では、上面側が解放されることにより泥材料が出し入れ可能に収容された泥桶部と、前記泥桶部を床面に対して前後方向に移動可能に支持する移動台と、リム組みされた前記タイヤを回転駆動可能に支持するとともに該タイヤを上方から前記泥桶部に収容された泥材料に押し付け可能なタイヤ支持部と、前記タイヤの回転駆動によって移動する前記移動台の前後方向の力を測定する測定部とを含む。即ち、タイヤ支持部が、泥桶部に収容された泥材料にタイヤを押し付けて回転させることにより、タイヤと泥材料との間に摩擦力を生じさせる。そして、測定部が、前記摩擦力による移動台の前後方向の力を測定することによりタイヤの泥濘地での走行性能が評価される。従って、本発明の台上試験装置は、天候の変化の影響を受けることがない屋内で実施でき、かつ実車を走行させる必要がなく、簡易かつ定量的、さらにコストを抑制してタイヤの泥濘地の走行性能を評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態のタイヤの台上試験装置の全体を示す正面図である。
【図2】図1の要部を示す概略斜視図である。
【図3】図1の概略側面図である。
【図4】泥材料の状態を測定方法を説明する概略側面図である。
【図5】(a)、(b)は、本発明の効果を立証する実験に使用されるタイヤのトレッドパターンである。
【図6】(a)、(b)は、図5のタイヤによる本発明の台上試験の結果を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1乃至3に示されるように、本実施形態のタイヤの台上試験装置1は、タイヤの泥濘地の走行性能(以下、単に「マッド性能」という場合がある。)を試験するためのものであって、泥材料Mが出し入れ可能に収容された泥桶部2と、該泥桶部2を支持する移動台3と、前記タイヤTを回転駆動可能に支持するタイヤ支持部4と、前記移動台3の前後方向の力を測定する測定部5と、移動台3を前方に引っ張る牽引具6とを含んで構成される。なお、本明細書では、前記「前方」とは、移動台3から測定部5に向かう方向(図2では、左側)とし、その逆の方向を「後方」と定義する。
【0017】
本発明において、マッド性能の測定対象となるタイヤには、例えば、乗用車用、トラック用又は自動二輪車用など種々のカテゴリーの空気入りタイヤ(以下、単に「タイヤ」という場合がある。)Tが含まれる。
【0018】
本実施形態の泥桶部2は、例えば、下面2b及び側面2cを有しかつ上面2a側が解放された箱体状で形成され、該上面2a側から前記泥材料Mが出し入れされる。このような泥桶部2は、泥材料Mを確実に保持するために、例えば、プラスチック性材料、木製材料等からなるのでもよいが、耐久性が良く、泥材料Mの水分を吸収しないステンレスやアルミ、鉄等の金属性材料からなるものが望ましい。また、泥桶部2の大きさについては、移動台3の前後方向の力を精度よく測定しつつ台上試験装置1の大型化を防ぐために、その長さLは、80〜160cm、幅Wは、40〜100cm及び深さDは、15〜60cmが望ましい。
【0019】
前記泥材料Mは、特に限定されるものでなく、種々の粘度及び/又は材料が使用され、本実施形態では、土材料と水との混合材料で形成される。前記土材料は、粒径が砂より小さいシルト(粒径が1/16mm以下)や粘土(粒径が1/256mm以下)のものが望ましい。
【0020】
また、泥材料Mは、例えば、マッド性能の評価条件を一定とするために、泥材料Mの硬さや粘性を統一することが望ましい。このような硬さとしては、図4に示されるように、例えば直径8cmかつ比重7〜8の金属球体Sを泥材料Mの上方20cmの高さHから泥材料Mに落下させたときの、金属球体Sの沈み込み量D1を基準に定めることができ、本実施形態では、沈み込み量D1が3〜5cmとなるものを採用している。このような泥材料Mは、水分量を調節することにより容易に調整され、例えば、土材料と水との体積比が、10:1〜1:1で形成される。
【0021】
図1乃至3に示されるように、前記移動台3は、上面7aに泥桶部2を着脱自在に固着する基台7と、該基台7を移動させる車輪8とを含む。
【0022】
本実施形態の基台7は、例えば、板状からなり、泥桶部2よりも広い面積を有する。また、基台7は、泥材料Mが収容された泥桶部2及びタイヤTに負荷される荷重に耐え得る強度が必要である。また、基台7と泥桶部2とは、例えば、L字型の固定部材13により固着され、ボルト13a等で着脱される。これにより、試験後は、移動台3から泥桶部2を取り外し、泥材料Mの廃棄や泥桶部2の洗浄等、メンテナンスを容易に行うことができる。
【0023】
また、本実施形態の車輪8は、基台7の下面7bに取り付けられ、泥材料Mが収容された泥桶部2、タイヤTに負荷される荷重及び基台7とを合わせた耐荷重性能が必要である。
【0024】
前記タイヤ支持部4は、リム組されたタイヤTを回転駆動可能に支持する支持軸14と、該支持軸14を回転させる駆動具15と、タイヤTを上方から泥桶部2に収容された泥材料Mに押し付ける押圧具16とを含む。
【0025】
前記リムは、正規リムであり、かつ、タイヤ内腔に充填される空気圧は正規内圧にそれぞれ設定されるのが望ましい。
【0026】
本明細書において前記「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば標準リム、TRAであれば "Design Rim" 、ETRTOであれば "Measuring Rim"とする。また、前記「正規内圧」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" であるが、タイヤが乗用車用である場合は一律に180KPaとする。
【0027】
前記支持軸14は、その一端側に、タイヤTが取り付けられ、他端側に、ブラケットBの一端部が取り付けられる。支持軸14とタイヤTとは、同一の中心軸(タイヤTの回転軸)を有する。ブラケットBは、例えばL字状の金属材料からなり、支持軸14を回動可能に片持ち状に保持する。
【0028】
前記駆動具15は、例えば、周知の電動機15cと、支持軸14を回転させる例えばプーリー等の回転体15aと、電動機15cの回転力を前記回転体15aに伝達する例えばベルトやチェーン等の動力伝達具15bとからなる。本実施形態の回転体15aは、支持軸14の他端部に固定されている。これにより、電動機15cの回転力が、動力伝達具15bを通して支持軸14に伝えられ、タイヤTが回転する。また、本実施形態の電動機15cは、ブラケットBの他端側に固着される。
【0029】
前記押圧具16は、例えば、周知のシリンダー17装置と、該シリンダー17装置を保持するシリンダー保持具18とからなる。シリンダー17装置の可動部17Aの前端には、前記ブラケットBの他端側が接続される。これにより、シリンダー17装置の可動部17Aがのびると、ブラケットBが押し下げられ、支持軸14を通してタイヤTが押し下げられる。逆に、前記可動部17Aが縮むと、タイヤTが引き上げられる。なお、可動部17Aの伸縮を円滑に行うために、ガイド19が設けられるのが望ましい。ガイド19は、例えば棒状体をなし、その一端が可動部17Aに接続され、他端部側はシリンダー保持具18に移動可能に貫通して取り付けられる。
【0030】
また、前記シリンダー保持具18は、例えば、移動台3が移動する床面Fから片持ちにのびるL字状の構造体Kの端部で保持される。これにより、タイヤT、支持軸14、駆動具15及び押圧具16が固定される。
【0031】
前記測定部5は、本実施形態では、移動台3の前方に設けられ、移動台3の前後方向の力を測定する。このような測定部5として、例えば、ロードセル5Aが望ましい。
【0032】
前記牽引具6は、床面Fに対して固定された周知構造の電動機9と、該電動機9と移動台3との間を連結する連結具10とを含む。
【0033】
また、連結具10は、電動機9とロードセル5Aとの間を連結する第1連結体11と、ロードセル5Aと移動台3との間を連結する第2連結体12とを含む。これにより、電動機9の駆動により、移動台3が前後方向に移動できる。第1連結体11は、例えば、ボールねじやワイヤなど各種部材を採用することができる。本実施形態のように、ボールねじが採用される場合には、移動台3を円滑に前後方向に移動させるため、移動補助レールQが設けられるのが望ましい。また、移動補助レールの端部には、移動台3の移動を拘束する固定台Pが設けられる。第2連結体12は、例えば金属製の棒状体やワイヤが望ましい。このような第1連結体11及び第2連結体12は、電動機9の巻取り力による歪が小さく、精度良く前後方向の力を測定するのに役立つ。
【0034】
次に、以上のように構成された本発明の台上試験装置1を用い、タイヤ駆動時のマッド性能を試験する方法の例が説明される。先ず、台上試験装置1は、例えば、図示しない空気調和設備が設けられた室内に載置される。そして、この空気調和設備によって、室内の温度が18〜23℃及び湿度が80%以上の雰囲気に調整されるのが望ましい。これにより、泥桶部2の泥材料Mの水分の蒸発が抑制され、泥材料Mの硬さや粘性が一定の状態でマッド性能の試験を繰り返し行うことができるため、該試験の再現性が高められる。なお、室内の温度が23℃を超えると、湿度を80%以上とするための加湿量が多くなり、費用が増加するおそれがある。逆に室内の温度が18℃未満になると、温度制御について費用が増加するおそれがある。
【0035】
次に、本実施形態では、上面2a側が解放された泥桶部2に泥材料Mを収容する工程が行われる。泥材料Mは、タイヤTを回転駆動させたとき、効率良く摩擦力やせん断力を生じさせるため、5〜25cmの深さで収容されるのが望ましい。また、泥材料Mは、前記土材料と水とを、例えば小型撹拌器で泥桶部2全体に亘り撹拌し、シャベル等で固めるのが望ましい。これにより、泥材料Mの水分量均一化されるため、さらに再現性の良いマッド性能の試験を行うことができる。なお、一層再現性を高めるため、マッド性能の試験毎にシャベルで泥桶部2の泥材料Mを固めるのが望ましい。
【0036】
次に、泥桶部2を床面Fに対して前後方向に移動可能に支持する工程が行われる。即ち、移動台3と泥桶部2とが、固定部材13によって固定される。これにより、泥桶部2は、前後方向に移動できる。
【0037】
次に、前記押圧具16によって、リム組みされたタイヤTを上方から泥桶部2に収容された泥材料Mに予め定められた荷重で押し付けるとともに、該タイヤTを前記駆動具15により、前方に進むように回転駆動させる工程K1が行われる。これにより、移動台3には、押圧具16による押圧力Nと、タイヤTの回転運動による泥材料Mに対するせん断力及び摩擦力が負荷されることにより、後方への力f1とが作用する。なお、泥材料Mに、一定の押圧力Nが作用するように、押圧具16のストローク等を制御させるのが望ましい。
【0038】
次に、タイヤTの回転駆動によって生じる移動台3の後方向の力f1の経時変化を測定部5で測定する工程K2が行われる。なお、この工程で測定される後方向の力f1には、泥材料M、泥桶部2及び移動台3の床面Fに対する摩擦力fo(図示しない)が、後方向の力f1と反対向きの力として作用している。このため、移動台3に泥材料Mを収容した泥桶部2(即ち、タイヤTは、泥材料Mから離間させる)を載置して前記電動機9で引張り、抵抗力を測定部5により測定する。この抵抗力が、前記摩擦力foである。従って、前記後方向の力f1と前記摩擦力foとの和(f1+fo)から、タイヤの泥濘地の駆動時の走行性能が定量的に評価される。
【0039】
次に、実車走行における通常走行時でのマッド性能を評価する試験方法が説明される。この方法では、前記回転駆動させる工程K1の後、タイヤTの前記回転駆動により後方に移動しようとする移動台3を、電動機9によって前方に引っ張る工程K3が行われる。
【0040】
次に、このときに作用する前方向の力f2の経時変化を測定部5で測定する。また、この工程で測定される前方向の力f2には、前記工程K2の場合とは逆に、泥材料M、泥桶部2及び移動台3の床面Fに対する摩擦力foが含まれる。従って、前方向の力f2と前述の摩擦力foとの差(f2−fo)から、タイヤの泥濘地の通常走行時の走行性能が定量的に評価される。この工程K3では、移動台3の前方への移動速度は、0.01〜0.5km/hに制御されるのが望ましい。
【0041】
また、押圧具16による押圧力Nは、前後方向の力を精度よく測定するため、例えば、3〜7kN程度に設定されるのが望ましい。同様の観点より、タイヤTの回転速度は、例えば0.1〜0.5km/h程度に設定されるのが望ましい。
【0042】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施し得る。
【実施例】
【0043】
本発明の効果を確認するために、図5(a)及び(b)のトレッドパターンを有するタイヤT1、T2が試作され、本実施形態の台上試験装置及びこれを用いた台上試験方法により、泥濘地のタイヤ駆動時及び通常走行時の走行性能が評価された。図6(a)には、タイヤT1の前後方向の力の経時変化のグラフが、図6(b)には、タイヤT2の前後方向の力の経時変化のグラフが示される。これらのグラフでは、タイヤT2に比してタイヤT1は、最大となる前後方向の力が長く継続すること及び最大となる前後方向の力が小さいタイヤであることが示される。従って、本実施形態の台上試験装置を用いた試験方法では、異なるトレッドパターンのタイヤについて、定量的かつ異なる評価が可能であることが理解できる。なお、今回のテストでは、各タイヤが6回ずつ試験され、最大及び最小となるとなった前後方向の力のテスト結果を除く4回のテストの平均値で判断している。また、主な共通仕様は次の通りである。
タイヤサイズ:285/60R18
内圧:230kPa
タイヤTの回転速度:0.3km/h
移動台の移動速度:0.036km/h
タイヤTへの押圧力:5kN
泥材料の深さ:15cm
金属球体の沈み込み量:4cm
【符号の説明】
【0044】
1 台上試験装置
2 泥桶部
3 移動台
4 タイヤ支持装置
5 測定部
F 床面
M 泥材料
T タイヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤの泥濘地の走行性能を試験するための台上試験装置であって、
上面側が解放されることにより泥材料が出し入れ可能に収容された泥桶部と、
前記泥桶部を床面に対して前後方向に移動可能に支持する移動台と、
リム組みされた前記タイヤを回転駆動可能に支持するとともに該タイヤを上方から前記泥桶部に収容された泥材料に押し付け可能なタイヤ支持部と、
前記タイヤの回転駆動によって移動する前記移動台の前後方向の力を測定する測定部とを含むことを特徴とするタイヤの台上試験装置。
【請求項2】
前記移動台は、上面に前記泥桶部を着脱自在に固着しうる基台と、該基台を前後方向に移動させる車輪とを含む請求項1記載のタイヤの台上試験装置。
【請求項3】
前記タイヤの回転駆動によって後方に移動しようとする移動台を、前方に引っ張る牽引具をさらに含む請求項1又は2記載のタイヤの台上試験装置。
【請求項4】
前記牽引具は、床面に対して固定された電動機と、該電動機と前記移動台との間を連結するとともに前記電動機によって巻取られる連結具とを含む請求項3記載のタイヤの台上試験装置。
【請求項5】
前記測定部は、ロードセルからなり、
前記連結部は、前記電動機と前記ロードセルとの間を連結する第1連結体と、前記ロードセルと前記移動台との間を連結する第2連結体とを含む請求項4記載のタイヤの台上試験装置。
【請求項6】
タイヤの泥濘地の走行性能を試験するための台上試験方法であって、
上面側が解放された泥桶部に泥材料を収容する工程と、
前記泥桶部を床面に対して前後方向に移動可能に支持する工程と、
リム組みされた前記タイヤを上方から前記泥桶部に収容された泥材料に押し付けて回転駆動させる工程と、
前記タイヤの回転駆動によって移動する前記移動台の前後方向の力を測定する測定工程とを含むとを特徴とするタイヤの台上試験方法。
【請求項7】
前記タイヤの回転駆動によって後方に移動しようとする移動台を、前方に引っ張る工程をさらに含む請求項6記載のタイヤの台上試験方法。
【請求項8】
前記測定工程は、温度が18〜23℃及び湿度が80%以上の雰囲気で行われる請求項6又は7に記載のタイヤの台上試験方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−215550(P2012−215550A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−272567(P2011−272567)
【出願日】平成23年12月13日(2011.12.13)
【出願人】(000183233)住友ゴム工業株式会社 (3,458)