説明

タイヤの検査装置

【課題】回転させながらタイヤを検査する検査装置において、搬送に必要な時間を短縮して、1つのタイヤを検査するためのサイクルタイムを短縮することができるタイヤの検査装置を提供する。
【解決手段】タイヤの検査装置10は、タイヤTのサイドウォール部4を支持する回転支持部23a,23b,23cと、回転支持部が支持する位置を避けた搬送支持部28a,28b,28cと、搬送支持部を上下動させる上下駆動部29a,29b,29cとを備え、上下駆動部は、タイヤTが載置された搬送支持部を回転支持部の上方から下方へ移動させて搬送支持部に載置されたタイヤTを回転支持部へ移載し、回転支持部の下方から上方へ搬送支持部を移動させて載置されたタイヤTを搬送支持部へ移載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転させながらタイヤを検査するタイヤの検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、タイヤは、成型ドラム上にインナーライナー、カーカス、ベルト、トレッド等の部材を積層して未加硫タイヤを成型し、これをモールド内に装入し、ブラダーを用いたシェーピングによって拡張変形させてモールド成形面に押圧しつつ加熱することにより加硫してタイヤを製造する。
【0003】
製造されたタイヤには製造中の部材のばらつきや加硫成型工程のばらつき等によって、タイヤ形状等に異常が生じることがある。このようなタイヤは安定性や耐久性が悪いおそれ高いことから、出荷するに先立ち回転軸回りにタイヤを回転させながらタイヤを検査することがある(例えば、下記特許文献1、2参照)。
【0004】
特許文献1及び2に開示されたタイヤの検査装置では、タイヤ径方向に拡径及び縮径可能に設けられたチャック機構が、上方よりタイヤの中空部に挿入されてビード部を保持することで、タイヤの検査を行う検査部へタイヤを搬入したり、あるいは、検査部からタイヤを搬出する。このような検査装置では、検査部にタイヤを搬入した後にチャック機構を縮径させてからタイヤの中空部から抜き取ってチャック機構が検査を妨げることのない位置まで待避させて検査を行う必要がある。また、検査終了後は、チャック機構をタイヤの中空部に挿入した後に拡径してタイヤをチャック機構に保持させてからタイヤを検査部から搬出する必要がある。そのため、タイヤの搬送(搬入及び搬出)に時間がかかり、1つのタイヤを検査するために必要なサイクルタイムを短縮することが困難であるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−29432号公報
【特許文献2】特開2007−279057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記問題を考慮してなされたものであり、回転させながらタイヤを検査するタイヤの検査装置において、タイヤの搬送に必要な時間を短縮して1つのタイヤを検査するために必要なサイクルタイムを短縮することができるタイヤの検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るタイヤの検査装置は、タイヤの回転軸回りにタイヤを回転させる回転テーブルと、タイヤを搬送する搬送部とを備え、前記回転テーブルに支持されたタイヤを回転させながら検査するタイヤの検査装置において、前記回転テーブルは、タイヤのサイドウォール部を支持する回転支持部と、前記回転支持部をタイヤの回転軸回りに回転させる回転駆動部とを備え、前記搬送部は、タイヤのサイドウォール部における前記回転支持部が支持する位置を避けた位置を支持する搬送支持部と、前記搬送支持部を上下動させる上下駆動部とを備え、前記上下駆動部は、タイヤが載置された前記搬送支持部を前記回転支持部の上方から下方へ移動させて前記搬送支持部に載置されたタイヤを前記回転支持部へ移載し、前記搬送支持部をタイヤが載置された前記回転支持部の下方から上方へ移動させて前記回転支持部に載置されたタイヤを前記搬送支持部へ移載することを特徴とする。
【0008】
本発明に係るタイヤの検査装置では、搬送支持部の上下動によって回転テーブルへのタイヤの搬入と回転テーブルからのタイヤの搬出とが可能であるため、タイヤの搬送に必要な時間を短縮して1つのタイヤを検査するために必要なサイクルタイムを短縮することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、タイヤの搬送に必要な時間を短縮して1つのタイヤを検査するために必要なサイクルタイムを短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係るタイヤの検査装置において検査するタイヤの断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るタイヤの検査装置の平面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るタイヤの検査装置の断面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るタイヤの検査装置の動作を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るタイヤの検査装置の動作を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るタイヤの検査装置の動作を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態に係るタイヤの検査装置の動作を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態に係るタイヤの検査装置の動作を示す図である。
【図9】本発明の一実施形態に係るタイヤの検査装置の動作を示す図である。
【図10】本発明の一実施形態に係るタイヤの検査装置の動作を示す図である。
【図11】本発明の変更例に係るタイヤの検査装置の平面図である。
【図12】図11のA−A断面図であって、(a)が搬送支持部を回転テーブルの回転軸から離れる方向へ移動させる前の状態を示し、(b)が搬送支持部を回転テーブルの回転軸から離れる方向へ移動させた後の状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0012】
本実施形態において検査対象となるタイヤTは、トレッド部1と、左右一対のビード部2と、トレッド部1とビード部2との間に介在する左右一対のショルダー部3及びサイドウォール部4とよりなる。トレッド部1の径方向内側には、スチールコードや高強度有機繊維コードをタイヤ径方向に配列した1層又は複数層からなるカーカスプライ5が配されている。カーカスプライ5は、トレッド部1から両側のサイドウォール部4を経てビード部2でビードコア6の内側から外側に巻き上げられることにより係止されている。また、トレッド部1におけるカーカスプライ5の径方向外側にはスチールコードよりなる複数枚のベルト7が配されている。
【0013】
本実施形態におけるタイヤの検査装置(以下、検査装置という)10は、上記構成のタイヤTを回転させながら検査するものであり、図2及び図3に例示するように、複数(例えば、本実施形態では3つ)の検査部20と搬出台40とが一列に等しい間隔に設けられている。
【0014】
複数設けられた検査部20のうち、第1検査部20aは検査装置10の外部から検査対象のタイヤTが載置され、第1検査部20aに隣接して配置された第2検査部20bは第1検査部20aから搬送されたタイヤTが載置され、第3検査部20cは第2検査部20bから搬送されたタイヤTが載置される。
【0015】
第1検査部20aは、タイヤTを回転軸Laの回りに回転させる回転テーブル21aと、回転テーブル21aに載置されたタイヤTを第2検査部20bへ搬送する搬送部22aとを備える。
【0016】
回転テーブル21aは、タイヤTのサイドウォール部4を支持する回転支持部23aと、回転支持部23aを回転軸Laの回りに回転させる回転駆動部24aとを備える。
【0017】
回転支持部23aは、空洞部27aが形成されたリング状の基部25aと、その基部25aの外周部に周方向に間隔をかけて複数(例えば、本実施形態では4つ)配置された支持片26aとを備える。回転支持部23aには、支持片26aがタイヤTのサイドウォール部4を支持するようにタイヤTが載置される。このようにタイヤTが回転支持部23aに載置された状態で、タイヤTのビード部2の内方に形成された中空部9と基部25aの空洞部27aとが上下に繋がる。
【0018】
回転支持部23aは、支持片26aの下面より下方に延びる支柱30aを介して回転駆動部24aに連結されており、回転駆動部24aで発生した動力を受けて回転軸Laの回りに回転する。これにより、回転テーブル21aは、回転支持部23aに載置されたタイヤTを回転軸Laの回りに回転させる。
【0019】
搬送部22aは、タイヤTのサイドウォール部4の下面をタイヤTの周方向に間隔をあけて支持する複数(例えば、本実施形態では4つ)の搬送支持部28aと、搬送支持部28aを上下動させる上下駆動部29aとを備える。複数の搬送支持部28aは、タイヤTのサイドウォール部4において回転支持部23aの支持片26aが支持する位置を避けた位置を支持するように配置されている。
【0020】
第2検査部20b及び第3検査部20cは、検査する内容が異なるのみで、各検査部の構造は同一である。
【0021】
つまり、第2検査部20bは、回転テーブル21bと、回転テーブル21bに載置されたタイヤTを第3検査部20cへ搬送する搬送部22bとを備える。
【0022】
回転テーブル21bは、タイヤTのサイドウォール部4を支持する回転支持部23bと、回転支持部23bを回転軸Lbの回りに回転させる回転駆動部24bとを備える。
【0023】
回転支持部23bは、空洞部27bが形成されたリング状の基部25bと、その基部25bの外周部に周方向に間隔をかけて複数(例えば、本実施形態では4つ)配置された支持片26bとを備える。回転支持部23bには、支持片26bがタイヤTのサイドウォール部4を支持するようにタイヤTが載置される。このようにタイヤTが回転支持部23bに載置された状態で、タイヤTのビード部2の内方に形成された中空部9と基部25bの空洞部27bとが上下に繋がる。
【0024】
回転支持部23bは、支持片26bの下面より下方に延びる支柱30bを介して回転駆動部24bに連結されており、回転駆動部24bで発生した動力を受けて回転軸Lbの回りに回転する。これにより、回転テーブル21bは、回転支持部23bに載置されたタイヤTを回転軸Lbの回りに回転させる。
【0025】
搬送部22bは、タイヤTのサイドウォール部4の下面をタイヤTの周方向に間隔をあけて支持する複数(例えば、本実施形態では4つ)の搬送支持部28bと、搬送支持部28bを上下動させる上下駆動部29bとを備える。複数の搬送支持部28bは、タイヤTのサイドウォール部4において回転支持部23bの支持片26bが支持する位置を避けた位置を支持するように配置されている。
【0026】
また、第3検査部20cは、回転テーブル21cと、回転テーブル21cに載置されたタイヤTを第3検査部20cに隣接して設けられた搬出台40へ搬送する搬送部22cとを備える。
【0027】
回転テーブル21cは、タイヤTのサイドウォール部4を支持する回転支持部23cと、回転支持部23cを回転軸Lcの回りに回転させる回転駆動部24cとを備える。
【0028】
回転支持部23cは、空洞部27cが形成されたリング状の基部25cと、その基部25cの外周部に周方向に間隔をかけて複数(例えば、本実施形態では4つ)配置された支持片26cとを備える。回転支持部23cには、支持片26cがタイヤTのサイドウォール部4を支持するようにタイヤTが載置される。このようにタイヤTが回転支持部23cに載置された状態で、タイヤTのビード部2の内方に形成された中空部9と基部25cの空洞部27cとが上下に繋がる。
【0029】
回転支持部23cは、支持片26cの下面より下方に延びる支柱30cを介して回転駆動部24cに連結されており、回転駆動部24cで発生した動力を受けて回転軸Lcの回りに回転する。これにより、回転テーブル21cは、回転支持部23cに載置されたタイヤTを回転軸Lcの回りに回転させる。
【0030】
搬送部22cは、タイヤTのサイドウォール部4の下面をタイヤTの周方向に間隔をあけて支持する複数(例えば、本実施形態では4つ)の搬送支持部28cと、搬送支持部28cを上下動させる上下駆動部29cとを備える。複数の搬送支持部28cは、タイヤTのサイドウォール部4において回転支持部23cの支持片26cが支持する位置を避けた位置を支持するように配置されている。
【0031】
本実施形態では、第1検査部20aに設けられた上下駆動部29aと、第2検査部20bに設けられた上下駆動部29bと、第3検査部20cに設けられた上下駆動部29cとが、共通の搬送機構31から構成されている。
【0032】
詳細には、第1検査部20aに設けられた搬送支持部28a、第2検査部20bに設けられた搬送支持部28b、及び第3検査部20cに設けられた搬送支持部28cは連結体32に取り付けられ、連結体32は搬送機構31に取り付けられている。
【0033】
搬送機構31は、連結体32を検査部の配列方向Xへ案内する第1リニアガイド33と、連結体32を第1リニアガイド33に沿って移動させる第1モータ34と、第1リニアガイド33が取り付けられたベース板37を上下方向へ案内する第2リニアガイド35と、ベース板37を第2リニアガイド35に沿って移動させる駆動部36とを備える。
【0034】
搬送機構31は、駆動部36の動作によってベース板37に設けられた連結体32を第2リニアガイド35に沿って上下動させて、連結体32に固定された搬送支持部28a、搬送支持部28b、及び搬送支持部28cを、図2に示すような支持片26a、支持片26b、及び支持片26cより下方に配置する下方位置と、図7に示すような、これらより上方に配置する上方位置との間で上下動させる。
【0035】
また、搬送機構31は、第1モータ34の動作によって連結体32を第1リニアガイド33に沿って検査部の配列方向Xに隣接する検査部の間隔だけ往復移動させる。これにより、搬送機構31は、搬送支持部28aを第1検査部20aからこれに隣接する第2検査部20bまでの間を往復移動させ、搬送支持部28bを第2検査部20bからこれに隣接する第3検査部20cまでの間を往復移動させ、搬送支持部28cを第3検査部20cからこれに隣接する搬出台40までの間を往復移動させる。
【0036】
そして、第1検査部20aには、図2及び図3に示すように、タイヤTの位置を調整する位置決め機構42と、タイヤ情報取得部46とが設けられている。
【0037】
位置決め機構42は、検査装置10の外部から載置された検査対象のタイヤTの回転軸Ltが第1検査部20aの回転テーブル21aの回転軸Laに一致するようにタイヤTの位置を調整する。
【0038】
具体的には、位置決め機構42は、回転テーブル21aの空洞部27の内方に複数(例えば、本実施形態では4つ)の移動体44を備える。複数の移動体44は、上下方向に移動するとともに、回転テーブル21aの回転軸Laを中心とする同一の円周上に位置するように、回転軸Laから近接及び離隔する方向へ同期して移動するように構成されている。このような位置決め機構42は、タイヤTの中空部9が回転テーブル21aの空洞部27と上下に繋がるようにタイヤTが第1検査部20aの回転テーブル21aに載置されると、タイヤTの中空部9に下方から複数の移動体44を挿入し、その後、回転テーブル21aの回転軸Laから離隔する方向へ複数の移動体44を同期して移動させる。これにより、複数の移動体44が、回転テーブル21aに載置されたタイヤTのビード部2に当接して、タイヤTの回転軸Ltが第1検査部20aの回転テーブル21aの回転軸Laに一致するようにタイヤTの位置を調整する。
【0039】
タイヤ情報取得部46は、例えば、タイヤTのサイドウォール部4に貼付されたバーコードラベルを読み込むバーコードリーダを備える。バーコードラベルには、例えば、タイヤTの品種を含むタイヤ情報が示されており、タイヤ情報取得部46がバーコードラベルに示されたタイヤ情報を取得する。
【0040】
第2検査部20b及び第3検査部20cでは、回転テーブル21b及び回転テーブル21cに支持されたタイヤTを回転させながらタイヤTの検査を行う。なお、第2検査部20b及び第3検査部20cにおいて行う検査は、特に限定されないが、ここでは、一例として、タイヤTの内周面をカメラで撮影して、タイヤに欠陥があるか否か検査する。
【0041】
第2検査部20bには、回転テーブル21bの空洞部27bの内方に、第2検査部20bの回転テーブル21bに載置されたタイヤTの内周面を照明する照明装置51と、タイヤTの内周面を撮影するカメラ52とが配設されている。照明装置51及びカメラ52は、検査駆動機構56に連結され回転テーブル21bに載置されたタイヤTの内周面に近接及び離隔可能に設けられている。第2検査部20bでは、照明装置51をタイヤTの内周面に沿わせて配置して、タイヤTの周方向に向けて光を照射した状態で、カメラ52がタイヤTの内周面を撮影する。
【0042】
第3検査部20cには、回転テーブル21cの空洞部27cの内方に、第3検査部20cの回転テーブル21cに載置されたタイヤTの内周面を照明する照明装置53と、タイヤTの内周面を撮影するカメラ54と、タイヤTの内周面の周方向に沿って湾曲しタイヤTの内周面を照らした光をカメラ54へ反射させる鏡55とが配設されている。照明装置53、カメラ54、及び鏡55は、検査駆動機構57に連結され回転テーブル21cに載置されたタイヤTの内周面に近接及び離隔可能に設けられている。第3検査部20cでは、照明装置53がタイヤTの内周面を照明した状態で、タイヤTのトレッド部1の内面に沿わせて配置した鏡55に映し出されたサイドウォール部4からビード部2までの内面をカメラ54が撮影する。
【0043】
搬出台40は、複数のローラ41が設けられたローラコンベヤであり、第3検査部20cから搬送されたタイヤTが載置され、これを検査装置10の外部へ搬出する。
【0044】
次に、上記構成の検査装置10の動作について、図4〜図10を参照して説明する。
【0045】
まず、図4に示すように、搬送支持部28a、28b、28cを下方位置に配置した状態で、検査装置10の外部から第1検査部20aの回転テーブル21aにタイヤTを載置する。なお、ここでは、第2検査部20bの回転テーブル21b及び第3検査部20cの回転テーブル21cには既にタイヤTが載置されている場合について説明する。
【0046】
次いで、図5に示すように、タイヤTが第1検査部20aの回転テーブル21aに載置されると、位置決め機構42は、タイヤTの回転軸Ltが第1検査部20aの回転テーブル21aの回転軸Laに一致するようにタイヤTの位置を調整する。
【0047】
タイヤTの位置の調整が終了すると、図6に示すように、回転駆動部24aを駆動して回転テーブル21aに載置されたタイヤTをその回転軸Ltの回りに回転させながら、タイヤ情報取得部46が、タイヤTのサイドウォール部4に貼付されたバーコードラベルを読み込んでタイヤTのタイヤ情報を取得する。第1検査部20aにおいてタイヤTの位置調整とタイヤ情報の取得を行っている間に、第2検査部20b及び第3検査部20cでは、回転テーブル21b及び回転テーブル21cに支持されたタイヤTを回転させながらカメラ52及びカメラ54でタイヤTの内周面を撮影しタイヤTの検査を行う。
【0048】
次いで、図7に示すように、搬送機構31が連結体32を第2リニアガイド35に沿って上方へ移動させて下方位置に配置した搬送支持部28a、28b、28cを上方位置まで移動させる。これにより、第1検査部20aの回転テーブル21aに載置されたタイヤTは搬送支持部28aに移載され回転テーブル21aの上方へ持ち上げられる。また、第2検査部20bの回転テーブル21bや第3検査部20cの回転テーブル21cに載置されたタイヤTも搬送支持部28b及び搬送支持部28cに移載され回転テーブル21b及び回転テーブル21cの上方へ持ち上がられる。
【0049】
次いで、図8に示すように、搬送機構31は、第1検査部20aの搬送支持部28aが第2検査部20bの上方へ位置するように検査部の配列方向Xの一方(以下、この向きを配列方向前方とする)X1へ連結体32を第1リニアガイド33に沿って移動させて、タイヤTを第2検査部20bの上方に配置する。このような連結体32の配列方向前方前方X1への移動に伴って、搬送支持部28bが第3検査部20cの上方に移動してタイヤTを第3検査部20cの上方に配置するとともに、搬送支持部28cが搬出台40の上方に移動してタイヤTを搬出台40の上方に配置する。
【0050】
次いで、図9に示すように、搬送機構31は、連結体32を第2リニアガイド35に沿って下方へ移動させて上方位置にある搬送支持部28a、28b、28cを下方位置まで移動させて、第2検査部20bの上方に配置されたタイヤTを搬送支持部28aから第2検査部20bの支持片26bに移載し、第3検査部20cの上方に配置されたタイヤTを搬送支持部28bから第3検査部20cの支持片26cに移載し、搬送台40の上方に配置されたタイヤTを搬送支持部28cから搬送台40のローラ41に移載する。
【0051】
これにより、第1検査部20aにおいてタイヤの位置調整とタイヤ情報の取得を終了したタイヤTが第1検査部20aの回転テーブル21aから第2検査部20bの回転テーブル21bへ移動し、第2検査部20bで検査を終了したタイヤTが第2検査部20bの回転テーブル21bから第3検査部20cの回転テーブル21cへ移動し、第3検査部20cで検査を終了したタイヤTが第3検査部20cの回転テーブル21cから搬出台40のローラ41に載置される。つまり、本実施形態では、検査部の配列方向前方X1にタイヤTが各検査部20a,20b,20cを移動し、第1検査部20aがタイヤの移動方向の最も上流側に位置する検査部となる。
【0052】
なお、上記のようにタイヤTが回転テーブル21aから回転テーブル21aへ移動するまでの間に、タイヤ情報取得部46が取得したタイヤ情報からタイヤTの品種を判別し、判別されたタイヤTの品種から決定される条件に第2検査部20bに設けられた照明装置51及びカメラ52の配置を設定する。つまり、第2検査部20bに設けられた照明装置51及びカメラ52の配置がタイヤTの品種毎に予め検査条件として定められており、第1検査部20aにおいて判別されたタイヤTの品種に応じた検査条件を満たすように照明装置51及びカメラ52を移動させる。
【0053】
また、第3検査部20cに設けられた照明装置53、カメラ54、及び鏡55の配置についても、これらの配置がタイヤTの品種毎に予め検査条件として定められており、第1検査部20aにおいて判別されたタイヤTの品種に応じた検査条件を満たすように照明装置53、カメラ54、及び鏡55を移動させる。
【0054】
次いで、図10に示すように、搬送機構31は、配列方向前方X1の反対向き(以下、この向きを配列方向後方とする)X2へ連結体32を第1リニアガイド33に沿って移動させて、搬送支持部28a、28b、28cを第1検査部20a、第2検査部20b、及び第3検査部20cの位置へそれぞれ戻す。
【0055】
その際、搬送支持部28a、28b、28cは、支持片26a,26b,26cの下方を配列方向後方X2に向けて移動するが、支持片26a,26b,26cの下面に設けられた支柱30a,30b,30cが搬送支持部28a、28b、28cの配列方向後方X2への移動の妨げとなる場合がある。
【0056】
このような場合、図11及び図12に例示するように、回転テーブル21a、21b、21cの回転軸La,Lb,Lcから離れる方向へ搬送支持部28a、28b、28cを移動させる移動機構47を設けてもよい。詳細には、移動機構47は、搬送支持部28a、28b、28cの連結体32側端部に取り付けられた回動軸48と、回動軸48を回動させる回動駆動部49とを備える。移動機構47は、図12(a)に示すような搬送支持部28a、28b、28cが連結体32から水平に突出した状態から、搬送支持部28a、28b、28cの先端が下方に向くように回動駆動部49が回動軸48を回動させることで、回転テーブル21a、21b、21cの回転軸La,Lb,Lcから離れる方向へ搬送支持部28a、28b、28cを移動させる。
【0057】
そして、再び、検査装置10の外部から第1検査部20aの回転テーブル21aにタイヤTを載置し(図4参照)、第1検査部20aにおけるタイヤTの位置調整及びタイヤ情報の取得と(図5参照)、第2検査部20b及び第3検査部20cにおけるタイヤTの検査とを行った後(図6参照)、搬送支持部28a,28b,28cの上方位置への移動(図7参照)、搬送支持部28a,28b,28cの配列方向前方X1への移動(図8参照)、搬送支持部28a,28b,28cの下方位置への移動(図9参照)、及び搬送支持部28a,28b,28cの配列方向後方X2への移動(図10参照)とを順次繰り返して実行することで、第1検査部20aの回転テーブル21aの載置されたタイヤTを第1検査部20aから搬送台40まで順次移動させながら、第2検査部20b及び第3検査部20cにおいてタイヤTの検査を行う。
【0058】
以上のように本実施形態の検査装置10では、回転テーブル21においてタイヤTを支持する支持片26a,26b,26cと、搬送部22a,22b,22cにおいてタイヤTを支持する搬送支持部28a,28b,28cとが、タイヤTのサイドウォール部4の異なる位置を支持するため、搬送支持部28a,28b,28cの上下動によって搬送支持部28a,28b,28cと回転支持部23a,23b,23cとの間でタイヤTを移載することができ、タイヤの搬送に必要な時間を短縮して検査時間を短縮することができる。
【0059】
なお、本実施形態では、検査装置10に搬送支持部28a,28b,28cを径方向へ移動させる移動機構47を設けた場合についても説明したが、検査装置10では、タイヤTを回転支持部23a,23b,23cへ移載するために搬送支持部28a,28b,28cを回転テーブル21a,21b,21cの回転軸La,Lb,Lcから離れる方向(タイヤTの径方向)へ移動させる必要がないため、搬送支持部28から回転支持部23へタイヤTを移載してから回転支持部23の回転が開始するまでの間に搬送支持部28を径方向へ移動させれば良く、搬送支持部28を回転テーブルの回転軸La,Lb,Lcから離れる方向へ移動させる場合であってもタイヤTの搬送時間が長くなることがない。
【0060】
また、本実施形態の検査装置10では、複数の検査部20a,20b,20cに設けられた搬送支持部28a,28b,28cが連結体32によって連結されているため、隣接する検査部へ搬送するためにタイヤTを支持する搬送支持部28a,28b,28cを共通の搬送機構31によって移動させることができ、検査装置10を安価に製造することができる。
【0061】
また、本実施形態の検査装置10では、タイヤTの回転軸Ltが第1検査部20aの回転テーブル21aの回転軸Laに一致するようにタイヤTの位置を調整する位置決め機構42が、複数の検査部20a,20b,20cのうちタイヤの移動方向の最上流側に位置する第1検査部20aに設けられている。そのため、搬送機構31が隣接する検査部の間隔だけ配列方向Xに沿って連結体32を移動させることで、タイヤTの回転軸Ltを第2検査部20bの回転軸Lbや第3検査部20cの回転軸Lcに一致させることができ、タイヤの検査時間を大幅に短縮することができる。
【0062】
また、本実施形態の検査装置10では、タイヤTの移動方向の最上流側に位置する第1検査部20aにおいて第1検査部20aに載置されたタイヤTの品種を判別し、隣接する検査部へタイヤTを移動させる間に、判別されたタイヤTの品種から決定される条件を満たすように第2検査部20bに設けられた照明装置51及びカメラ52の配置や第3検査部20cに設けられた照明装置53、カメラ54、及び鏡55の配置を移動させる。そのため、検査時間が長くなることなく異なる品種のタイヤTを検査することができる。
【符号の説明】
【0063】
10…検査装置
20a…第1検査部
20b…第2検査部
20c…第3検査部
21a、21b、21c…回転テーブル
22a、22b、22c…搬送部
23a、23b、23c…回転支持部
24a、24b、24c…回転駆動部
25a、25b、25c…基部
26a、26b、26c…支持片
27a、27b、27c…空洞部
28a、28b、28c…搬送支持部
29a、29b、29c…上下駆動部
30a、30b、30c…支柱
31…搬送機構
32…連結体
33…第1リニアガイド
34…第1モータ
35…第2リニアガイド
36…駆動部
37…ベース板
40…搬出台
42…位置決め機構
44…移動体
46…タイヤ情報取得部
47…移動機構
48…回動軸
49…回動駆動部
51…照明部
52…カメラ
53…照明部
54…カメラ
55…鏡
56…検査駆動機構
57…検査駆動機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤの回転軸回りにタイヤを回転させる回転テーブルと、タイヤを搬送する搬送部とを備え、前記回転テーブルに支持されたタイヤを回転させながら検査するタイヤの検査装置において、
前記回転テーブルは、タイヤのサイドウォール部を支持する回転支持部と、前記回転支持部をタイヤの回転軸回りに回転させる回転駆動部とを備え、
前記搬送部は、タイヤのサイドウォール部における前記回転支持部が支持する位置を避けた位置を支持する搬送支持部と、前記搬送支持部を上下動させる上下駆動部とを備え、
前記上下駆動部は、タイヤが載置された前記搬送支持部を前記回転支持部の上方から下方へ移動させて前記搬送支持部に載置されたタイヤを前記回転支持部へ移載し、タイヤが載置された前記回転支持部の下方から上方へ前記搬送支持部を移動させて前記回転支持部に載置されたタイヤを前記搬送支持部へ移載することを特徴とするタイヤの検査装置。
【請求項2】
前記搬送部は、前記回転テーブルの回転軸から離れる方向へ前記搬送支持部を移動させる移動機構を備えることを特徴とする請求項1に記載のタイヤの検査装置。
【請求項3】
前記回転支持部に支持されたタイヤの位置を調整してタイヤの回転軸を前記回転テーブルの回転軸に一致させる位置決め機構を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のタイヤの検査装置。
【請求項4】
前記回転テーブルと前記搬送部とを備えた検査部が間隔をあけて複数設けられ、
複数の前記搬送部は、前記検査部毎に設けられた前記搬送支持部と、前記検査部毎に設けられた前記搬送支持部を連結する連結体と、前記連結体を上下動及び前記検査部の配列方向に移動させる搬送機構とからなり、
複数の前記搬送部は、タイヤが載置された前記搬送支持部を隣接する前記検査部の前記回転支持部の上方まで移動させてから前記回転支持部の下方へ移動させて、隣接する前記検査部の前記回転テーブルにタイヤを移載することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のタイヤの検査装置。
【請求項5】
複数の前記搬送部は、前記回転テーブルに支持されたタイヤを前記検査部の配列方向へ順次移動させ、
タイヤの移動方向の最も上流側に位置する前記検査部に、前記回転支持部に支持されたタイヤの位置を調整してタイヤの回転軸を前記回転テーブルの回転軸に一致させる位置決め機構が設けられていることを特徴とする請求項4に記載のタイヤの検査装置。
【請求項6】
複数の前記搬送部は、前記回転テーブルに支持されたタイヤを前記検査部の配列方向へ順次移動させ、
タイヤの移動方向の最も上流側に位置する前記検査部が前記回転テーブルに支持されたタイヤのタイヤ情報を取得し、取得した前記タイヤ情報に基づいて最も上流側に位置する前記検査部より下流側に位置する前記検査部の検査条件を設定することを特徴とする請求項4又は5に記載のタイヤの検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−122762(P2012−122762A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−271684(P2010−271684)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【出願人】(000003148)東洋ゴム工業株式会社 (2,711)
【出願人】(507023016)日本機材株式会社 (3)
【Fターム(参考)】