説明

タイヤトレッド用ゴム混合物

【解決手段】 本発明は、少なくとも1種類のジエンゴム、1500〜10000g/モルの分子量および15〜50%のビニル含有量を有する液体ポリブタジエン、少なくとも1種類の極性フィラー、115〜200g/kgの沃素吸着量および125〜160mL/100gのDBP−量を有する少なくとも1種類の高構造カーボンブラックおよび少なくとも1種類のグリセリドおよび/またはファクチスを含有する、良好な摩耗挙動、良好なウエットグリップ性および氷および雪上での良好な牽引力と同時に良好なドライ制動を示す、硫黄で加硫可能なゴム混合物、特にタイヤ用トレッドのゴム混合物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種類のジエンゴム、少なくとも1種類の極性フィラーおよびカーボンブラックを含有する、硫黄で加硫できるゴム混合物に関する。更に本発明は、タイヤトレッドの自動車道路と接触する部分の少なくとも一部分が硫黄で加硫されたゴム混合物より成るタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤ、特にタイヤトレッドの走行性能がタイヤトレッドのゴム組成に相当に依存しているので、タイヤトレッドゴム混合物への特に高度な要求がある。ゴム混合物においてフィラーのカーボンブラックの一部または全部を珪酸に交換することによって、走行性能が最近では全体として高い水準に高められている。逆に抑制されてしまうタイヤ特性の知られた対立する課題が既に珪酸含有タイヤトレッド混合物の場合にも存在する。更に、例えばウエットグリップ性およびドライ制動の改善は、一般にロール抵抗の悪化、冬期特性および摩耗挙動の悪化を惹き起こす。
【0003】
これらの対立する課題を解決するために、多種多様の提案が既になされている。例えば非常に色々の、変性もされたポリマー、樹脂、可塑剤および高分散性フィラーがゴム混合物のために使用されそして、加硫特性を変性によって混合物の製造に影響を及ぼすことが試みられている。
【0004】
ヨーロッパ特許出願公開第1,052,270号明細書(A)からは、氷上でのグリップ性を良好にするために、なかでも液体ポリマー、例えばポリブタジエンを含有するタイヤトレッド混合物が公知である。ドイツ特許出願公開第3,804,908号明細書(A1)からは、冬期特性を良好にするために液体ポリブタジエンを含有するタイヤトレッド混合物も同様に公知である。ヨーロッパ特許出願公開第1,035,164号明細書(A)でもビニル含有量の多い液体ポリブタジエンがタイヤトレッドのために慣用の可塑性化油の代替として提案されている。従来の混合物において液体ポリブタジエンを用いることはタイヤのドライ制動に既に全くマイナスの影響を及ぼす。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、タイヤの場合 に良好な摩耗挙動、良好なウエットグリップ性および氷や雪上での良好な牽引性を良好なドライ制動と当時にもたらすタイヤトレッド用ゴム混合物を提供することである。これらの性質については特に高い総合的水準が達成されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、少なくとも1種類のジエンゴム、1500〜10000g/モルの分子量および15〜50%のビニル含有量を有する液体ポリブタジエン、少なくとも1種類の極性フィラー、115〜200g/kgの沃素吸着量および125〜160mL/100gのDBP−量を有する少なくとも1種類の高構造カーボンブラック(Hochstrukturruss)および少なくとも1種類のグリセリドおよび/またはファクチスを含有するゴム混合物によって解決される。
【0007】
驚くべきことに本発明者は、液体ポリブタジエンと高構造カーボンブラックおよびグリセリンおよび/またはファクチスとの特別な組合せによってフィラー含有ジエンゴム混合物において、液体ポリブタジエンの添加によって混合物中で一般に生じるドライ制動の悪化という欠点が完全に相殺されることを見出した。その際に、他の上述のタイヤ性能は高水準に保持されている。
【0008】
硫黄で架橋し得るゴム混合物は少なくとも1種類のジエンゴムを含有している。その際本発明の意味において液体ポリブタジエンはジエンゴムに該当しない。ジエンゴムは、少なくとも一部が共役ジエンから誘導される不飽和炭素鎖を持つあらゆるゴムである。ジエンゴムまたは複数のジエンゴムが天然ゴム(NR)、合成ポリイソプレン(IR)、ポリブタジエン(BP)およびスチレン−ブタジエン−コポリマー(SBR)より成る群から選択される場合が特に有利である。これらのジエンエラストマーは本発明のゴム混合物に良好に加工することができ、加硫したタイヤにおいて良好な加硫特性を示す。
【0009】
ゴム混合物はジエンゴムとしてポリイソプレン(IR、NR)を含有していてもよい。この場合にはシス−1,4−ポリイソプレン並びに3,4−ポリイソプレンが適している。シス−1,4−割合が>90%のシス−1,4−ポリイソプレンを使用するのが特に有利である。第一にポリイソプレンはチグラー・ナッタ触媒を含有する溶液中で立体特異的に重合することによるかまたは微細なリチウムアルキレンの使用下に得ることができる。第二に天然ゴム(NR)は天然ゴム中のシス−1,4の割合が99%より多いシス−1,4−ポリイソプレンが適する。
【0010】
ゴム混合物がジエンゴムとしてポリブタジエン(BR)を含有する場合には、シス−1,4−並びにビニル−ポリブタジエン(40〜90%のビニル割合)が適し得る。例えば希土類タイプの触媒の存在下に溶液重合によって製造できる90重量%より多いシス−1,4−割合のシス−1,4−ポリブタジエンを使用するのが特に有利である。
【0011】
スチレン−ブタジエン−コポリマーはポリマーを基準として約10〜45重量%のスチレン含有量および10〜70重量%のビニル含有量(ポリマー全体を規準として1,2−結合したブタジエンの含有量)を有する溶液重合されたスチレン−ブタジエン−コポリマー(S−SBR)である。このものは例えば有機溶剤中でアルキルリチウムの使用下に製造することができる。S−SBRは連結されていても、末端基が変性されていてもよい。しかしながら乳化重合されたスチレン−ブタジエン−コポリマー(E−SBR)並びにE−SBRとS−SBRとの混合物も使用することができる。E−SBRのスチレン含有量は約15〜50重量%であり、スチレンと1,3−ブタジエンとを水性エマルジョン中で共重合することによって得られる従来技術から公知の種類を使用することができる。
【0012】
混合物は上述のジエンゴムの他に、別の種類のゴム、例えばスチレン−イソプレン−ブタジエン−ターポリマー、ブチルゴム、ハロブチルゴムまたはエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)も含有していてもよい。
【0013】
ゴム混合物は1,500〜10,000g/モルの分子量および15〜50%のビニル含有量を有する液体ポリブタジエンを含有する。特に2,000〜5,000g/モルの分子量および20〜35%のビニル含有量の液体ポリブタジエン、例えば Ricon(R)130(製造元:Ricon Resins Inc., USA)を使用するのが有利である。この種の液体ポリブタジエンを用いて良好な冬期特性の他に特に良好な加工性が達成される。液体ポリブタジエンは同時に粘度を下げる作用を果たすので、他の可塑化剤の量を減らすことができる。
【0014】
液体ポリブタジエンは、あらゆる種類のタイヤ特性に関して適切な価格で最適な効果を達成するために、好ましくは天然ゴム、合成ポリイソプレン、ポリブタジエンおよびスチレン−ブタジエン−コポリマーより成る群から選択される100重量部のジエンゴム当たりに10〜50重量部、特に好ましくは15〜30重量部の量で使用される。
【0015】
ゴム混合物は少なくとも1種類の極性フィラーを含有している。極性フィラーとしては当業者に知られたあらゆるフィラー、例えば水酸化アルミニウムおよび層状珪酸塩を使用できる。しかしながら極性フィラーとしては珪酸を使用するのが有利である。その際に混合物中の珪酸と高構造カーボンブラックとの重量比は10:1〜1:2である。珪酸は、天然ゴム、合成ポリイソプレン、ポリブタジエンおよびスチレン−ブタジエン−コポリマーより成る群から選択される100重量部のジエンゴム当たりに20〜110重量部、好ましくは70〜90重量部の量で使用できる。珪酸は、タイヤゴム混合物用のフィラーとして適する、当業者に知られている珪酸である。35〜350m/g、好ましくは145〜270m/gの窒素表面積(BET−表面積:DIN66131および66132niよる)および30〜350m/g、好ましくは120〜285m/gのCTAB−表面積(ASTM D3765による)を有する微細化した沈降珪酸を使用する場合が特に有利である。この種の珪酸は例えばタイヤトレッドのゴム混合物において加硫物の特に良好な物理的性質をもたらす。更に混合物の加工に際して、一様な製品特性の他に混合時間の減少によって改善された生産性をもたらすという長所をもたらすことができる。従って珪酸としては例えばDegussa社の市販品名VH3タイプ並びに高分散珪酸、いわゆるHD−珪酸(例えばDegussa社のUltrasil 7000)を使用することができる。
【0016】
加工性を改善するためにおよび極性のフィラー、特に珪酸をジエンゴムに結合させるために、ゴム混合物においてシラン−カップリング剤を使用することができる。シラン−カップリング剤は、ゴムあるいはゴム混合物を混合する間に(その場で)または既に予備処理段階(予備変性段階)にフィラーをゴムに添加する前に珪酸の表面シラノール基または他の極性基と反応する。その際にシラン−カップリング剤としてはゴム混合物において使用するために当業者に知られているあらゆるシラン−カップリング剤を使用することができる。従来技術から公知のかゝるカップリング剤は、珪素原子に脱離性基として少なくとも1つのアルコキシ基、シクロアルコキシ基またはフェノキシ基を有しそして他の官能基として、場合によっては脱離後にポリマーの二重結合と化学反応し得る基を有している二官能性オルガノシランである。後者の基には、例えば以下の化学基がある:−SCN、−SH、−NHまたは−Sx− (ただしx=2〜8)。シラン−カップリング剤としては例えば3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−チオシアナート−プロピルトリメトキシシランまたは硫黄原子数2〜8の3,3’−ビス(トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィッド、例えば3,3’−ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(TESPT)、相応するジスルフィッドまたは異なるスルフィッドを色々な含有量で有する硫黄原子数1〜8のスルフィッドよりなる混合物を使用することができる。この場合、TESPTは例えば工業用カーボンブラック(Degussa社の市販品名 X50S)との混合物としても添加することができる。例えば国際特許出願公開第99/09036号明細書から公知の様なブロック化されたメルカプトシランもシランカップリング剤として使用することができる。
【0017】
シランカップリング剤は、100重量部のフィラー、特に珪酸を規準として、0.2〜30重量部、好ましくは1〜15重量部の量で使用した時に、ゴムへのフィラーの最適な結合を行うことができる。
【0018】
本発明のゴム混合物は、115〜200g/kgの沃素吸着量(ASTM D1510)および125〜160mL/100gのDBP−量(ASTM D2414)を有する少なくとも1種類の高構造カーボンを含有する。例えばHV 3396タイプ(製造元:Columbian Chemicals Company, USA )のカーボンブラックを使用することができる。
【0019】
混合物には、特にタイヤの場合に良好なドライ制動挙動を達成するために、天然ゴム、合成ポリイソプレン、ポリブタジエンおよびスチレン−ブタジエン−コポリマーより成る群から選択される100重量部のジエンゴム当たりに10〜70重量部、特に好ましくは10〜20重量部の高構造カーボンブラックを配合する。
【0020】
本発明のゴム混合物は更に少なくとも1種類のグリセリド(グリセリンのエステル)および/またはファクチスを含有する。これらの物質は可塑剤として役立ちそして混合物中の通例の可塑剤を全部または一部交換してもよい。グリセリドとしては、環境に優しい植物起源のまたは動物起源の天然トリグリセリドを使用してもよい。ファクチスは不飽和の動物性、植物性または合成油(例えば菜種油またはひまし油)と硫黄、硫化水素、塩化二硫黄、四塩化珪素またはジイソシアネートとの反応生成物あるいは架橋生成物である。更なる詳細は例えば J. Schnetgerの “Lexikon der Kautschuk-Technik”、 Huthig Buch Verlag、第二版、ハイデルベルグ、1991に記載されている。
【0021】
本発明の別の有利な一つの実施態様によれば、混合物はグリセリドとして価格的に有利でかつ加工性の良い菜種油を天然ゴム、合成ポリイソプレン、ポリブタジエンおよびスチレン−ブタジエン−コポリマーより成る群から選択される100重量部のジエンゴム当たりに5〜10重量部の量で含有している。
【0022】
タイヤ性能、“摩耗”、“ドライ−およびウエット制動性”および氷および雪上での牽引性を特に高い水準とするために特に有利に使用される混合物は、
10〜80重量部の天然ゴム、
0〜70重量部のポリブタジエン、
0〜80重量部の溶液重合したスチレン−ブタジエン−コポリマー、
10〜50重量部の液体ポリブタジエン、
20〜110重量部の珪酸、
10〜70重量部の高構造カーボンブランクおよび
5〜20重量部の菜種油
を含有しそして天然ゴム、ポリブタジエンおよび溶液重合したスチレン−ブタジエン−コポリマーの重量部が加算して100である。
【0023】
ゴム混合物は更に上述の物質の他に別の添加物、例えばフィラー、例えばアルミノ珪酸塩、チョーク、澱粉、酸化マグネシウム、二酸化チタンまたはゴムゲル、および別の可塑剤、例えば芳香族、脂肪族またはパラフィン系鉱油可塑剤(例えばMES(mild extraction solvate) またはTDAE (treated distillate aromatic extract))を含有していてもよい。
【0024】
更に本発明のゴム混合物は通例に使用される添加物を通例の重量部で含有していてもよい。これらの添加物には例えば老化防止剤、例えば、N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン(6PPD)、N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン(IPPD)、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン(TMQ)および他の物質、例えばJ.Schnetger、"Lexikon der Kautschuktechnik"、第2版、Huethig Buch出版社、ハイデンベルグ、1991、第42〜48頁から公知のもの、活性化物質、例えば酸化亜鉛および脂肪酸(例えばステアリン酸)、ワックス、樹脂および素練り助剤、例えば2,2’−ジベンズアミドジフェニル−ジスルフィッド(DBD)がある。
【0025】
加硫は硫黄または硫黄提供物質の存在下で実施され、その際に若干の硫黄提供物質が同時に加硫促進剤として作用してもよい。硫黄および硫黄提供物質は最後の混合段階で当業者によって慣用される量(硫黄0.4〜4phr、特に好ましくは1.5〜2.5phrの量)でゴム混合物に添加される。
【0026】
更にゴム混合物は、必要とされる加硫時間および/または必要とされる加硫温度を制御しそして加硫物の性質を改善するために、加硫に影響を及ぼす物質、例えば加硫促進剤、加硫遅延剤および加硫活性化剤を通例の量で含有していてもよい。加硫促進剤は例えば以下の促進剤の群から選択することができる:チアゾル系促進剤、例えば2−メルカプトベンゾチアゾール;スルフェンアミド系促進剤、例えばベンゾチアジル−2−シクロヘキシルスルフェンアミド(CBS);グアニジン系促進剤、例えばN,N’−ジフェニルグアニジン(DPG);ジチオカルバマート系促進剤、例えばジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛;ジスルフィッド。これらの促進剤は互いに組合せて使用してもよく、その場合には相乗効果を得ることが可能である。
【0027】
液体ポリブタジエンの使用量次第で、液体ポリブタジエンがマトリックス中に不可逆的に結合されるので、硫黄および加硫促進物質よりなる加硫系の量を合わせるのに好都合であり得る。
【0028】
本発明のゴム混合物の製造は慣用の仕方で行なわれ、その際に最初に一般に加硫系(硫黄および加硫促進物質)を除く全成分を含有する基本混合物を1段階以上の混合物段階で製造しそして次いで加硫系を添加することによって完成混合物を製造する。次にこの混合物を例えば押出工程によって更に加工しそして相応する型に入れる。この混合物はトレッド用の型に入れるのが特に有利である。こうして製造されるトレッド混合物未完成品をタイヤ未完成品、特に自動車用空気タイヤ未完成品の製造の際に、公知のように貼り付ける。しかしながらこのトレッドは、既にトレッドまでの全てのタイヤ部材が含まれたタイヤ未加工品の上にゴム混合物帯び状物の状態で巻き付けてもよい。この自動車タイヤの加硫後に、このタイヤは、良好なドライ制動性と同時に、良好な摩耗挙動、良好なウエットグリップ性および氷および雪上での良好な牽引性を示す。タイヤの場合には、全部のトレッドが唯一の混合物で製造されているかまたは例えばカップ構造およびベース構造を有していてもよく、少なくとも自動車道路と接触する面が本発明のゴム混合物で製造されていることが重要である。
【0029】
本発明を表1〜3に総括掲載した比較例および実施例によって更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されない。
【0030】
比較用混合物はVと表記しており、本発明の混合物はEと記している。混合物1〜6は以下の物質の種類および量に関してだけ相違している:液体ポリブタジエン、カーボンブラック、可塑化油および菜種油。既に液体ポリブタジエンが粘度低下作用をするので、液体ポリブタジエンを含有する混合物では可塑化油の量が混合物1および2に比べて減らされている。
【0031】
【表1】

【0032】
a 高シス−ポリブタジエン
b 溶液重合したスチレン−ブタジエン−コポリマー:VSL-5025(製造元: Bayer AG、ドイツ国)
c 分子量: 2500 g/mol、ビニル含有量: 20-35 %(Ricon(R)130:製造元: Ricon Resins Inc、米国)
d Silika VN 3(製造元:Degussa、ドイツ国)
混合物の製造は通例の条件のもとで実験室用接線式混合機(Labortangentialmischer)中で二段階で実施する。全ての混合物から試験体を160℃で加圧のもとで最適に加硫することによって製造しそしてゴム工業用のこれらの試験体を用いて典型的な材料特性を測定し、表2に総括掲載する。試験体の試験のために以下の試験法を利用した:
・ DIN53504に従う室温での引張強度
・ DIN53504に従う室温での破断点伸び
・ DIN53504に従う室温での100%、200%および300%伸び率での応力値
・ DIN53504に従う引張試験で破断エネルギー密度を測定する。その際に破断エネギー密度は破断するまでに必要とされる、試験体の容積を基準とする作業量である。
・ DIN53505に従う室温および70℃でのショアーA硬度
・ DIN53512に従う室温および70℃での反撥弾性
【0033】
【表2】

【0034】
更に、表1に記載の混合物よりなるトレッドキャップを有する205/55 R16の寸法の自動車タイヤを製造しそしてそのタイヤを用いてアスファルトおよびコンクリート上でのウエット制動並びに雪および氷上での制動実験を実施する。更に摩耗を測定した。混合物1を用いたタイヤのトレッド特性を100と仮定し、100より大きな値は相応する性質においての向上を意味する(評点)。実験の結果を表3に示す。
【0035】
【表3】

【0036】
表3から、最初に珪酸含有ジエンゴム混合物においての液体ポリブタジエンと高構造カーボンブラックおよび菜種油との組合せによって、ウエット路、ドライ路、氷路および雪路上での良好な制動挙動の他に特に僅かな摩耗、即ち非常に良好な摩擦挙動に特徴のあるタイヤを得ることができることがわかる。混合物6は液体ポリブタジエンを含有するにも係わらず、例えば混合物5においてわかる様なドライ制動性の悪化は認められない。特にドライ制動性および冬季特性における良好な挙動は種々の物質で個々に達成する効果からは予期できないものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種類のジエンゴム、1500〜10000g/モルの分子量および15〜50%のビニル含有量を有する液体ポリブタジエン、少なくとも1種類の極性フィラー、115〜200g/kgの沃素吸着量および125〜160mL/100gのDBP−量を有する少なくとも1種類の高構造カーボンブラックおよび少なくとも1種類のグリセリドおよび/またはファクチスを含有する硫黄加硫性ゴム混合物、特にタイヤトレッド用硫黄加硫性ゴム混合物。
【請求項2】
ジエンゴムまたは複数のジエンゴムが天然ゴム、合成ポリイソプレン、ポリブタジエンおよびスチレン−ブタジエン−コポリマーより成る群から選択される請求項1に記載のゴム混合物。
【請求項3】
液体ポリブタジエンが2000〜5000g/モルの分子量および20〜35%のビニル含有量を有する、請求項1または2に記載のゴム混合物。
【請求項4】
天然ゴム、合成ポリイソプレン、ポリブタジエンおよびスチレン−ブタジエン−コポリマーより成る群から選択される100重量部のジエンゴム当たりに10〜50重量部の液体ポリブタジエンを含有する、請求項1〜3のいずれか一つに記載のゴム混合物。
【請求項5】
極性フィラーとして珪酸を含有しそして混合物中の珪酸と高構造カーボンブラックとの重量比が10:1〜1:2である、請求項1〜4のいずれか一つに記載のゴム混合物。
【請求項6】
天然ゴム、合成ポリイソプレン、ポリブタジエンおよびスチレン−ブタジエン−コポリマーより成る群から選択される100重量部のジエンゴム当たりに10〜70重量部の高構造カーボンブラックを含有する請求項1〜5のいずれか一つに記載のゴム混合物。
【請求項7】
グリセリドとして菜種油を、天然ゴム、合成ポリイソプレン、ポリブタジエンおよびスチレン−ブタジエン−コポリマーより成る群から選択される100重量部のジエンゴム当たりに5〜10重量部の量で含有する請求項1〜6のいずれか一つに記載のゴム混合物。
【請求項8】
10〜80重量部の天然ゴム、
0〜70重量部のポリブタジエン、
0〜80重量部の溶液重合したスチレン−ブタジエンコポリマー、
10〜50重量部の液体ポリブタジエン、
20〜110重量部の珪酸、
10〜70重量部の高構造カーボンブランクおよび
5〜20重量部の菜種油
を含有し、そしてその際に天然ゴム、ポリブタジエンおよび溶液重合したスチレン−ブタジエン−コポリマーの重量部が加算して100である、請求項1〜7のいずれか一つに記載のゴム混合物。
【請求項9】
少なくとも一部分が、請求項1〜8のいずれか一つに記載の、硫黄で加硫されたゴム混合物より成る、タイヤトレッドの自動車道路と接触する部分を有するタイヤ。

【公表番号】特表2007−510768(P2007−510768A)
【公表日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−537308(P2006−537308)
【出願日】平成16年11月1日(2004.11.1)
【国際出願番号】PCT/EP2004/052743
【国際公開番号】WO2005/044909
【国際公開日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(390040431)コンテイネンタル・アクチエンゲゼルシヤフト (25)
【氏名又は名称原語表記】CONTINENTAL AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】