説明

タイヤバランサー装置

【課題】 回転主軸の先端部にタイヤ・ホイールを装着した状態で高速回転し、発生する遠心力からアンバランス量及びアンバランス位置を測定するもので、ホイールのリム内周面に明かりが当り作業の利便性を図ったタイヤバランサー装置の提供。
【解決手段】 本体1の側面には主軸4に周りに複数のライト10,10・・・を取付け、該ライト10,10・・・の明りが該主軸4に装着したホイール3のリム内周面を照らすようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はタイヤを装着したホイールのバランスを調整する為に作業性を考慮したタイヤバランサー装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の車輪は車軸を中心として完全にバランスしていなくてはならず、該タイヤがアンバランス状態にあれば、高速回転時には小さなアンバランス量であっても大きな遠心力として作用する。この遠心力はタイヤを早期に磨耗させることは勿論、運転操作上も危険である為、完全にバランスのとれた状態にて使用されている。
【0003】
ところで、タイヤ並びにタイヤを装着するホイールは、製作・組立て時には完全にバランスされていない為に、車両の軸に装着するに先だってタイヤバランサー装置にてアンバランスを修正している。ここで、タイヤバランサー装置の構造を詳しく説明することは省略するが、一般には回転主軸をある間隔をおいて2箇所に設けた軸受けで軸支し、該回転主軸の先端部にタイヤ・ホイールを装着して回転することで、アンバランス量に起因して生じる遠心力を上記軸受け部にて測定し、所期のアンバランス量を検出している。
【0004】
このアンバランス量はタイヤ・ホイールのアンバランス箇所と共に表示パネルに表示される為、表示された重量のウエイト(重り)を所定の箇所に取付けることが出来る。ところで、タイヤ・ホイールのアンバランスを測定する場合、タイヤバランサー装置の主軸に該ホイールを装着して高速回転するが、測定に先立ってウエイトが取付けられるリム内側の内径、ウエイトが取付けられるリム外側の内径、リム外側と内側間の距離(リム幅)、スケールレバーと内側重りが取付けられるリム内側までの距離の測定が行われる。
【0005】
上記内側及び外側とはウエイトを取付けるに適した比較的平らな部位であり、これらの各部位の測定が専用のスケールレバーを用いて行われる。図6はスケールレバーにてリム内側内径、リム幅、及びディスタンスを測定する各作業工程を示している。同図の(イ)はホイール、(ロ)は主軸、(ハ)はホイール受け、(ニ)は固定ハンドル、(チ)はコーンを夫々表している。
【0006】
(a)はホイール(イ)が主軸(ロ)に装着されている場合であり、該ホイール(イ)は主軸(ロ)に取着されているホイール受け(ハ)に当ってコーン(チ)で位置決めされ、そして固定ハンドル(ニ)を締付けることで、該ホイール(イ)は主軸(ロ)に固定される。この状態で、本体に備わっているスケールレバー(ホ)を引出してリム内側内径が測定される。又、リム内側までのディスタンスLが測定される。ここで、測定されたリム内側内径及びディスタンスLは装置に入力される。
【0007】
(b)スケールレバー(ホ)をさらに引き伸ばし、リム外側までの距離(すなわちリム幅)を測定し、このデータは同じく本体に入力される。
(c)スケールレバー(ホ)を元の位置に戻し、スタートボタンを押すならば主軸(ロ)と共にホイール(イ)は高速回転し、ホイール(イ)のバランス測定が行われる。
【0008】
(d)ホイール(イ)が所定の時間回転することでバランス測定が完了するならば、リム内側及びリム外側でのアンバランス量が表示パネルに表示される。そして、アンバランス量を是正する為に取付ける重りの位置がホイール(イ)の真上になるように該ホイール(イ)が回転し、ホイール内側の真上には表示パネルに表示された大きさの内側重り(ヘ)が取付けられる。ここで、具体的な取付け方法は限定しないが、一般的に両面テープが使用されている。
【0009】
(e)内側重り(ヘ)を取付けた後で、NEXTボタンを押すならば、該ホイール(イ)が所定の角度回転して停止する。そして、該リムの外側真上には表示パネルに表示された所定の外側重り(ト)が取付けられる。
このように、スケールレバー(ホ)にてホイール(イ)のリム内側内径、ディスタンスL,及びリム幅を測定して入力し、その後、ホイール(イ)を回転することで該ホイール(イ)のアンバランス量が測定される。そして、アンバランス量を是正する為に、リム内側へのウエイトの取付け位置、及びリム外側へのウエイトの取付け位置は、ホイールが自動的に回転して真上に来るように制御されている。
【0010】
ところで、タイヤバランサー装置は屋内に設置されていて、タイヤを装着したホイールが主軸に取付けられた場合、該ホイール内周面には照明の光が入りにくく、薄くらくなる。その為に、上記スケールレバー(ホ)を用いてリム内径の測定、リム幅の測定、並びにリム内側へのウエイトの取付け、リム外側へのウエイトの取付け作業がし難くなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
このように、従来のタイヤバランサー装置には上記のごとき問題がある。本発明が解決しようとする課題はこの問題点であって、主軸に装着したホイールのリム内径及びリム幅の測定、並びにウエイトの取付け作業がし易いように、ホイールのリム内周面を照射することが出来る照明装置(ライト)を備えたタイヤバランサー装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係るタイヤバランサー装置の基本構造は従来と同じであり、本体には水平に軸支されてホイールを装着する主軸を備えている。そして、本体側面であって上記主軸の周囲にはライトを取付けている。ライトの具体的な形態は自由であるが、主軸に装着したホイールのリム内周面を照らすことが出来るように配置されている。
【0013】
ところで、上記ライトはタイヤのバランス測定作業中連続して点灯しても構わないが、明りを必要とする時に自動的に点灯するように制御されている。すなわち、スケールレバーを引き出すと同時に点灯し、バランスウエイトと取付ける為にホイールの回転が停止すると同時に点灯するように制御されている。
【発明の効果】
【0014】
本発明のタイヤバランサー装置にはライトが主軸を中心とした周りに取付けられ、ライドが点灯することでホイールのリム内周面が明るくなる。従って、ホイールのリム内側及び外側の内径を測定し易く、またホイールの内側内周面及び外側内周面にウエイトを取付ける際に便利である。そして、ライトはタイヤバランサー装置を操作する際の作業動作に対応して点灯するように制御されている。すなわち、スケールレバーを使ってホイール内径を測定する時、及びアンバランスの測定が終わってウエイトを取付ける際に、ホイールの回転が停止すると自動的に点灯するように制御されている為に便利である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係るタイヤバランサー装置の正面図。
【図2】本発明に係るタイヤバランサー装置の平面図。
【図3】本発明に係るタイヤバランサー装置の側面図。
【図4】スケールレバーを使用してリム内径を測定する場合。
【図5】リムの内周面に内側ウエイト及び外側ウエイトを取付ける場合。
【図6】従来のホイールバランサー装置のスケールレバーを用いて、リム内径、リム幅、及びディスタンスを測定する方法。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1〜図3は本発明に係るタイヤバランサー装置の概略図を示し、図1は正面図、図2は平面図、図3は側面図を夫々表している。同図の1は本体、2は表示部・操作部、3はホイール、4は主軸、5はタイヤをそれぞれ示している。上記本体1の上部には表示部・操作部2が取着され、主軸4は本体1の側面から水平に延び、該主軸4は本体1内に所定の距離をおいて2箇所に設置している軸受けに軸支され、車輪のアンバランス量に基づいて発生する遠心力は上記軸受けに作用する反力として検出される。
【0017】
本体1の内部にはブレーキモータ(図示なし)が取付けられ、ベルトを介して上記主軸4を回転駆動することが出来、主軸4の先端部に装着されているホイール3を主軸4と共に高速回転することが出来る。該ホイール3にはタイヤ5が装着されているが、高速回転することでアンバランス状態にあるタイヤ5を装着したホイール3に発生する遠心力は両軸受けに作用し、両軸受けに働く負荷を検出すると共に、アンバランス量とその位置が演算されて求められる。
【0018】
上記主軸4の先端部にはホイール受け6を設け、ホイール3の軸穴は主軸4に嵌ると共にハブ7はホイール受け6に当接し、そしてコーン8はハブ穴に嵌ってセンタリングされ、ハンドル9を締めてロックされる。従って、タイヤ5を装着したホイール3は主軸4と共に回転することが出来、アンバランス状態にある位置及びアンバランス量が上記表示部・操作部2に表示される。
【0019】
ところで、タイヤバランサー装置の操作方法は従来と共通しているが、操作がし易いようにライト10,10・・・を取付けている。複数のライト10,10・・・は、本体1の側面に設けたボス13の表面に取付けられ、主軸4を中心とした周りに配列されている。主軸4に装着されたホイール3の内部は光が差し込み難くて薄暗く、その為に、該ライト10,10・・・が点灯することでホイール3の内周面を照らすことが出来る。
【0020】
図1〜図3に示すホイール3は主軸4に取着されているホイール受け6に当ってコーン8で位置決めされ、そして固定ハンドル9を締付けることで該ホイール3は主軸4に固定されている。この状態で、本体1に備わっているスケールレバー11を引出してリム内側内径が測定される。又、リム内側までのディスタンスLが測定される。ここで、測定されたリム内側内径及びディスタンスLは本体1に設けた記憶部に入力される。
【0021】
そして、スケールレバー11をさらに引き伸ばし、リム外側までの距離(すなわちリム幅)を測定し、このデータも同じく本体1に入力される。
図4はスケールレバー11を操作してリム12の内径を測定する場合であり、(a)はリム内側内径を測定する為にスケールレバー11の先端を内周面に当接し、(b)はリム外側内径を測定する為にスケールレバー11の先端を内周面に当接する。
【0022】
ここで、リム内径を測定する為にスケールレバー11を本体1から引き出すならば、ボス13の表面に取付けたライト10,10・・・が点灯してリム12の内周面を照らすことが出来る。すなわち、作業者がスイッチを操作することなく、スケールレバー11を引き出すことでライト10,10・・・のスイッチが自動的にONするように制御されている。スケールレバー11を引出してリム12の内側内径を測定する場合、及び外側内径を測定する場合にライト10,10・・・は点灯し、測定が終わってスケールレバー11を元の位置に戻すならばスイッチがOFFとなって消灯する。
【0023】
スケールレバー11を元の位置に戻し、表示部・操作部2に設けているスタートボタンを押すならば主軸4と共にホイール3は高速回転し、タイヤ5を装着したホイール3のバランス測定が行われる。
ホイール3が所定の時間回転することでバランス測定が完了するならば、リム内側及びリム外側でのアンバランス量が表示パネルに表示される。そして、アンバランス量を是正する為に取付けるウエイトの位置がホイール3の真上になるように該ホイール3が回転し、ホイール内側の真上には表示部・操作部2に表示された大きさの内側ウエイトが取付けられる。ここで、具体的な取付け方法は限定しないが、一般的に両面テープが使用されている。
【0024】
図5(a)は内側ウエイト14をリム12の上側内周面15に貼着する場合を示している。そして、この場合もランプ10,10・・・が点灯してリム内周面を明るく照らすことが出来る。すなわち、リム内周面が明るくなることで内側ウエイト14を正しく取付けることが出来る。ところで、ライト10,10・・・はホイール3が回転して内側ウエイト14が取付けられるように停止すると同時に点灯するように制御されている。
【0025】
図5(b)は外側ウエイト16をリム12の上側内周面15に貼着する場合を示している。そして、この場合もランプ10,10・・・が点灯してリム内周面を明るく照らすことが出来る。すなわち、リム内周面が明るくなることで外側ウエイト16を正しく取付けることが出来る。そして、ライト10,10・・・は内側ウエイト14を取付ける場合と同じく、ホイール3が回転して外側ウエイト16が取付けられるように停止すると同時に点灯するように制御されている。
【0026】
内側ウエイト14を取付けた後で、NEXTボタンを押すならば、該ホイール3は所定の角度だけ回転して停止する。そして、該リム12の外側真上には表示部・操作部2に表示された所定の外側ウエイト16が取付けられる。
このように本発明では、スケールレバー11にてホイール3のリム内側内径、リム外側内径、ディスタンスL,及びリム幅を測定する場合、その後、ホイール3を回転することで該ホイール3のアンバランス量が測定され、そして、アンバランス量を是正する為に、リム内側へ内側ウエイト14を取付ける場合、及びリム外側へ外側ウエイト16の取付け場合に上記ランプ10,10・・・は自動的に点灯することが出来るように制御されている。
ところで、実施例ではリム内周面を照らす照明装置として複数のライト10,10・・・を取付けているが、湾曲した細長いライトとすることも可能であり、ライトの具体的な形態は限定しない。
【符号の説明】
【0027】
1 本体
2 表示部・操作部
3 ホイール
4 主軸
5 タイヤ
6 ホイール受け
7 ハブ
8 コーン
9 ハンドル
10 ライト
11 スケールレバー
12 リム
13 ボス
14 内側ウエイト
15 上側内周面
16 外側ウエイト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転主軸の先端部にタイヤ・ホイールを装着した状態で高速回転し、発生する遠心力からアンバランス量及びアンバランス位置を測定し、表示パネルにはアンバランス量を表示するタイヤバランサー装置において、本体の側面には主軸の周りにライトを取付け、該ライトの明りが該主軸に装着したホイールのリム内周面を照らすようにしたことを特徴とするタイヤバランサー装置。
【請求項2】
回転主軸の先端部にタイヤ・ホイールを装着した状態で高速回転し、発生する遠心力からアンバランス量及びアンバランス位置を測定し、表示パネルにはアンバランス量を表示するタイヤバランサー装置において、本体の側面には主軸の周りにライトを取付け、該ライトの明りが該主軸に装着したホイールのリム内周面を照らすようにし、リムの内側内径及び外側内径を測定する場合にスケールレバーを引き出すと同時にライトが点灯するように制御したことを特徴とするタイヤバランサー装置。
【請求項3】
回転主軸の先端部にタイヤ・ホイールを装着した状態で高速回転し、発生する遠心力からアンバランス量及びアンバランス位置を測定し、表示パネルにはアンバランス量を表示するタイヤバランサー装置において、本体の側面には主軸の周りにライトを取付け、該ライトの明りが該主軸に装着したホイールのリム内周面を照らすようにし、リム内側及びリム外側にバランスウエイトを取付ける際にホイールの回転が停止すると同時にライトが点灯するように制御したことを特徴とするタイヤバランサー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−79864(P2013−79864A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−220075(P2011−220075)
【出願日】平成23年10月4日(2011.10.4)
【出願人】(000185916)小野谷機工株式会社 (38)
【Fターム(参考)】