タイヤモデル作成装置、タイヤモデル作成方法、及びプログラム
【課題】簡易に、部材モデルのコード本数分布が良好なタイヤモデルを作成する。
【解決手段】タイヤの周方向に対して所定の角度で複数のコードが配列され周方向に対して所定の長さを有する部材の部材モデルを変形した変形後の部材モデルを備えたタイヤモデルの幅方向に変形後の部材モデルを複数の分割領域に分割し(104)、上記所定の角度、上記所定の長さ、変形前の部材モデルの幅方向に隣り合うコード間の距離、及び複数の分割領域の各々の所定箇所からタイヤモデルの回転軸までの距離の各々に基づいて、分割領域の各々について幅方向に隣り合うコード間の距離を演算し、該演算されたコード間の距離に基づいて、複数の分割領域の各々についての、変形後の部材モデルの幅方向における単位長あたりのコード本数を演算し(106)、該演算された分割領域の各々のコード本数に応じた物性値を前記タイヤモデルに定義する(108)。
【解決手段】タイヤの周方向に対して所定の角度で複数のコードが配列され周方向に対して所定の長さを有する部材の部材モデルを変形した変形後の部材モデルを備えたタイヤモデルの幅方向に変形後の部材モデルを複数の分割領域に分割し(104)、上記所定の角度、上記所定の長さ、変形前の部材モデルの幅方向に隣り合うコード間の距離、及び複数の分割領域の各々の所定箇所からタイヤモデルの回転軸までの距離の各々に基づいて、分割領域の各々について幅方向に隣り合うコード間の距離を演算し、該演算されたコード間の距離に基づいて、複数の分割領域の各々についての、変形後の部材モデルの幅方向における単位長あたりのコード本数を演算し(106)、該演算された分割領域の各々のコード本数に応じた物性値を前記タイヤモデルに定義する(108)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤモデル作成装置、タイヤモデル作成方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、FEM(有限要素法)に代表されるシミュレーションを用いて製品開発することが広く行われている(例えば、特許文献1参照。)。より良い製品開発の目的から、特に近年のシミュレーションではその要求精度も高くなっており、そのためには高精度なモデルを用いることが必須である。一方、タイヤ製品はその製造プロセスや素材のため、正確なモデル化が困難なものの一つである。特に、ゴムで被覆されたコードにより構成される補強層は、その分布が製品完成後には目に見える状態に無いため、モデル化が困難な要素の一つといえる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−111229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来は、補強層のモデルの分布を通常一定値で与えることも多かった。仮に分布を与える場合には実際のタイヤから計測して物性値として取り込むことになるので、その工数の大きさや、実在しないタイヤ設計案の解析を行うことはできなかった。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決するために成されたものであり、従来技術と比較して、簡易に、部材モデルのコード本数分布が良好なタイヤモデルを作成することができるタイヤモデル作成装置、タイヤモデル作成方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1の発明のタイヤモデル作成装置は、タイヤの周方向に対して所定の角度で複数のコードが配列され前記周方向に対して所定の長さを有する部材の部材モデルを変形した変形後の部材モデルを備えたタイヤモデルの回転軸からの半径方向の距離が最大の前記変形後の部材モデルの箇所から最小の前記変形後の部材モデルの箇所までの特定領域を分割した分割点で、前記変形後の部材モデルを前記タイヤモデルの幅方向に分割する分割手段と、前記所定の角度、前記所定の長さ、前記変形前の部材モデルの前記幅方向に隣り合うコード間の距離、及び前記分割手段によって分割された前記変形後の部材モデルの複数の分割領域の各々の所定箇所から前記回転軸までの距離の各々に基づいて、前記分割領域の各々について前記幅方向に隣り合うコード間の距離を演算する第1の演算手段と、前記第1の演算手段で演算されたコード間の距離に基づいて、前記複数の分割領域の各々についての、前記変形後の部材モデルの前記幅方向における単位長あたりのコード本数を演算する第2の演算手段と、前記第2の演算手段で演算された分割領域の各々のコード本数に応じた物性値を前記タイヤモデルに定義する定義手段と、を備えている。
【0007】
このように、本発明によれば、変形後の部材モデルの幅方向における単位長あたりのコード本数に応じた物性値をタイヤモデルに定義することができ、従来技術と比較して、簡易に、部材モデルのコード本数分布が良好なタイヤモデルを作成することができる。
【0008】
また、請求項2に記載のように、請求項1に記載のタイヤモデル作成装置の前記第1の演算手段は、前記分割領域のうち、赤道線を含む第1の分割領域については、コサイン則により演算したコード間の距離を演算結果とし、前記第1の分割領域以外の第2の分割領域については、コサイン則により演算したコード間の距離よりも長い距離となるように補正したコード間の距離を演算結果とするように構成してもよい。
【0009】
また、請求項3に記載のように、請求項2に記載のタイヤモデル作成装置の前記第1の演算手段は、前記第2の分割領域については、前記第1の分割領域の演算結果と前記第2の分割領域の演算結果との差が、前記第1の分割領域の演算結果と前記コサイン則によって演算された前記第2の分割領域のコード間の距離との差の1.5倍以上で、かつ4倍以下となるように補正するように構成してもよい。
【0010】
また、請求項4に記載のように、請求項1〜請求項3のいずれか1項記載のタイヤモデル作成装置において、 前記タイヤモデルには、複数のコードが前記タイヤの中心から放射状に配列された部材のモデルが含まれ、変形後の部材のモデルの周方向に隣り合うコード間の距離を、前記部材のモデルの変形前の半径及び変形後の半径と、変形前の部材のモデルの周方向に隣り合うコード間の距離とに基づいて演算する第3の演算手段と、前記第3の演算手段で演算されたコード間の距離に基づいて、前記変形後の部材の前記周方向における単位長あたりのコード本数を演算する第4の演算手段と、を更に備え、前記定義手段は、更に前記第4の演算手段によって演算されたコード本数に応じた物性値を前記タイヤモデルに定義するように構成してもよい。
【0011】
また、請求項5に記載のように、請求項1〜請求項4のいずれか1項記載のタイヤモデル作成装置において、前記所定の角度、前記所定の長さ、及び前記分割手段によって分割された前記変形後の部材モデルの複数の分割領域の各々の所定箇所から前記回転軸までの距離の各々に基づいて、前記分割領域の各々について前記周方向に対するコードの角度を演算する第5の演算手段を更に備え、前記定義手段は、更に前記第5の演算手段で演算された前記分割領域毎の角度の各々に応じた物性値を前記タイヤモデルに定義するように構成してもよい。
【0012】
請求項6の発明のタイヤモデル作成方法は、タイヤの周方向に対して所定の角度で複数のコードが配列され前記周方向に対して所定の長さを有する部材の部材モデルを変形した変形後の部材モデルを備えたタイヤモデルの回転軸からの半径方向の距離が最大の前記変形後の部材モデルの箇所から最小の前記変形後の部材モデルの箇所までの特定領域を分割した分割点で、前記変形後の部材モデルを前記タイヤモデルの幅方向に分割する分割ステップと、前記所定の角度、前記所定の長さ、前記変形前の部材モデルの前記幅方向に隣り合うコード間の距離、及び前記分割ステップによって分割された前記変形後の部材モデルの複数の分割領域の各々の所定箇所から前記回転軸までの距離の各々に基づいて、前記分割領域の各々について前記幅方向に隣り合うコード間の距離を演算する第1の演算ステップと、前記第1の演算ステップで演算されたコード間の距離に基づいて、前記複数の分割領域の各々についての、前記変形後の部材モデルの前記幅方向における単位長あたりのコード本数を演算する第2の演算ステップと、前記第2の演算ステップで演算された分割領域の各々のコード本数に応じた物性値を前記タイヤモデルに定義する定義ステップと、を備えている。
【0013】
また、請求項7の発明は、コンピュータを、タイヤの周方向に対して所定の角度で複数のコードが配列され前記周方向に対して所定の長さを有する部材の部材モデルを変形した変形後の部材モデルを備えたタイヤモデルの回転軸からの半径方向の距離が最大の前記変形後の部材モデルの箇所から最小の前記変形後の部材モデルの箇所までの特定領域を分割した分割点で、前記変形後の部材モデルを前記タイヤモデルの幅方向に分割する分割手段、前記所定の角度、前記所定の長さ、前記変形前の部材モデルの前記幅方向に隣り合うコード間の距離、及び前記分割手段によって分割された前記変形後の部材モデルの複数の分割領域の各々の所定箇所から前記回転軸までの距離の各々に基づいて、前記分割領域の各々について前記幅方向に隣り合うコード間の距離を演算する第1の演算手段、前記第1の演算手段で演算されたコード間の距離に基づいて、前記複数の分割領域の各々についての、前記変形後の部材モデルの前記幅方向における単位長あたりのコード本数を演算する第2の演算手段、及び前記第2の演算手段で演算された分割領域の各々のコード本数に応じた物性値を前記タイヤモデルに定義する定義手段、として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、従来技術と比較して、簡易に、部材モデルのコード本数分布が良好なタイヤモデルを作成することができる、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】タイヤモデル作成装置としてのパーソナルコンピュータの概略図である。
【図2】タイヤモデル作成プログラムのメインルーチンのフローチャートである。
【図3】タイヤの断面図の一例である。
【図4】(A)は2枚のベルトの平面図、(B)は2枚のベルトを重ね合わせた状態の平面図である。
【図5】設計データに含まれている情報を説明するための図である。
【図6】暫定的に作成されたタイヤモデルの模式図である。
【図7】暫定的に作成されたタイヤモデルの断面図(半面)である。
【図8】分割する処理を説明するための図である。
【図9】他のベルトを分割した場合について説明するための図である。
【図10】本実施の形態の拡張率について説明するための図である。
【図11】コサイン則を説明するための図である。
【図12】コサイン則によって演算されたコード間距離と実測したコード間距離とを比較するための図である。
【図13】変形後のカーカスのコード間距離の演算方法を説明する説明図である。
【図14】コサイン則によって演算された角度と実測した角度とを比較するための図である。
【図15】角度の演算方法について説明するための図である。
【図16】角度に関する実験結果を説明するための図である。
【図17】実施例の計算結果と実験値とを比較するための図である。
【図18】図17における比較に用いたセンター接地長とショルダー接地長との関係を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。本実施形態は、タイヤの挙動解析のためのタイヤモデル(解析モデル)の作成に本発明を適用したものである。
【0017】
図1にはタイヤモデルを作成するタイヤモデル作成装置としてのパーソナルコンピュータの概略が示されている。このパーソナルコンピュータは、データ等を入力するためのキーボード10、予め記憶された処理プログラムに従ってタイヤモデルを作成するコンピュータ本体12、及びコンピュータ本体12の演算結果等を表示するCRT14から構成されている。
【0018】
なお、コンピュータ本体12には、記録媒体としてのフレキシブルディスク(FD)が挿抜可能なフレキシブルディスクユニット(FDU)を備えている。なお、後述する処理ルーチン等は、FDUを用いてフレキシブルディスクFDに対して読み書き可能である。従って、後述するプログラムや処理ルーチンは、予めFDに記録しておき、FDUを介してFDに記録された処理プログラムを実行してもよい。
【0019】
また、コンピュータ本体12にハードディスク装置等の大容量記憶装置(図示省略)を接続し、FDに記録された処理プログラムを大容量記憶装置(図示省略)へ格納(インストール)して実行するようにしてもよい。また、記録媒体としては、CD−ROMやDVD等の光ディスクや、MD,MO等の光磁気ディスクがあり、これらを用いるときには、上記FDUに代えてまたは更に対応する装置(例えば、CD−ROM装置、CD−RAM装置、DVD−ROM装置、DVD−RAM装置、MD装置、またはMO装置等)を用いればよい。
【0020】
また、パーソナルコンピュータの他に、ワークステーションやスーパーコンピュータをタイヤモデルの作成に用いてもよいことは勿論である。
【0021】
次に、本実施の形態の作用として、コンピュータ本体12で実行されるタイヤモデル作成プログラムの処理ルーチンについて図2に示すフローチャートを参照して説明する。
【0022】
図2は、タイヤモデル作成プログラムの処理ルーチンを示すものである。
ステップ100では、タイヤモデルの作成対象となるタイヤの設計案(タイヤ形状、構造、材料など)を定める。例えば、コンピュータ本体12のハードディスクに、予め複数種類のタイヤのCADデータ(タイヤ形状、構造、材料などの設計データ)等の設計データを記憶しておき、タイヤモデルの作成対象となるタイヤの設計データを選択して読み込むことにより、タイヤモデルの作成対象となるタイヤを設定することができる。ここで、この設計データには、タイヤを加硫するためのプラダー(図示しない)等によって変形(拡張)される前の補強材(補強層)としてのベルト(以下、変形前ベルトと称する場合がある)の設計データが含まれている。
【0023】
タイヤ製造工程によって変形される前の補強材としてのベルトは、成形前の部品状態に対応する。成形前の部品状態には、補強層の周方向の長さ、及び補強層を構成するコードの周方向に対する角度が規定されており、この周方向の長さ及び周方向に対する角度も設計データに含まれている。更にまた、変形前の補強層のタイヤ幅方向における単位長あたりのコード本数(以下、これを単位幅あたりの打ち込み本数、或いは単に打ち込み本数という場合もある)を規定するためのコード間の距離(コード間距離)も設計データに含まれている。なお、コード間距離については後述する。
【0024】
ここで、タイヤモデルの対象となるタイヤのタイヤ断面の一例を図3を参照して説明する。タイヤ20は、タイヤの骨格となるカーカス22を有している。このカーカス22は、ビード26により折り返されている。このカーカス22の内側はインナーライナー24とされ、インナーライナー24の延長上にはビードゴム36が配置されている。
【0025】
また、折り返されたカーカス22により形成される略三角形状の領域はビードフィラー28とされている。カーカス22の上方には、ベルト30が配置されており、このベルト30の半径方向外側には溝が形成されたトレッドゴム32が配置されており、カーカス22のタイヤの軸方向外側にはサイドゴム34が配置されている。なお、図3に示す例ではベルト30は2枚のベルト30A及び30Bから構成された場合が図示されているが、ベルト30は1枚または3枚以上のベルトから構成されていてもよい。
【0026】
ここでベルトの構成について説明する。ベルトは複数本のスチール製のコードの表面をゴムで覆ってシート状としたものであり、図4(A)に示すように、上層のベルト30Aを構成するコードの配列方向44Aと下層のベルト30Bのコードの配列方向44Bとが異なるように配置するのが通常である。このため、同図(B)に示すように、ベルト30Aとベルト30Bとを重ねた場合、各ベルトの配列方向44A、44Bによって菱形形状が形成される。
【0027】
また、最終的なタイヤが製造されるまでに、補強材としてのベルトが拡張し、ベルトの拡張率(最終的なタイヤの補強材の半径Qを、変形前の補強材の半径Uで割った値E(=Q/U)、図10も参照。)はタイヤの幅方向で異なるため、タイヤの幅方向の各位置でベルトの角度(タイヤの周方向に対するベルトの角度)が異なる。従って、単位幅あたりの打ち込み本数も、タイヤの幅方向の各位置で異なる。
【0028】
そこで、本実施の形態では、上記設計データには、更に、図5に示すように、最終的なタイヤの回転軸からの半径方向(径方向)の距離が最大の最終的なタイヤのベルト(変形後の補強材である変形補強材)の箇所Aの位置情報、最終的なタイヤの回転軸からの半径方向の距離が最小の最終的なタイヤのベルトの箇所Bの位置情報、最終的なタイヤの回転軸から上記箇所Aまでの距離Rmax、及び最終的なタイヤの回転軸から上記箇所Bまでの距離Rminが含まれていることとする。なお、説明の便宜上、ベルト30Bについてのみ図5に示したが、ベルト30Aに関する同様の情報も上記設計データに含まれている。なお、これら変形後の部材の形状を示す設計データは、無負荷状態における形状を示す設定データである。
【0029】
次のステップ102では、上記設計データに基づいて、暫定的にタイヤモデルを作成する。ここで、「暫定的にタイヤモデルを作成する」とは、ステップ104以降の処理で定義される打ち込み本数の情報が含まれていないタイヤモデル(暫定的なタイヤモデル)を作成することである。例えば、ステップ102では、図6に示すように、暫定的なタイヤモデルとしてモデル80を作成する。モデル80は、要素80a,80b,80c,・・・の集合体であり、各要素80a,80b,80c,・・・は数値解析が可能なデータである。例えば、各要素80a,80b,80c,・・・には2次元の3角形・4角形からなる膜要素、または3次元のソリッド要素などが挙げられる。また、各要素は、座標のデータが定義された節点を用いて定義されている。なお、このタイヤモデルには変形後の無負荷状態のベルトのモデル(変形補強材のモデル)が含まれている。
【0030】
次のステップ104では、上記ステップ102で暫定的に作成されたタイヤモデルの回転軸からの半径方向の距離が最大の変形補強材のモデルの箇所から最小の変形補強材のモデルの箇所までの特定領域を分割した分割点で、変形補強材のモデルをタイヤの幅方向に分割する。なお、説明の便宜上、1枚のベルトについての処理について以下説明する。
【0031】
図7は上記ステップ102で作成されたタイヤモデルの断面図(半面)である。
まず、同図に示されるように、上記ステップ102で作成されたタイヤモデルのベルト32Bのモデル(変形補強材のモデル)50の上記箇所A及び上記箇所B、並びに上記Rmax及び上記Rminを抽出する。
【0032】
次に、図8に示すように、箇所Aから箇所Bまでの領域(特定領域)Sを半径方向にN(Nは2以上の整数)分割する。なお、図8にはN=3の場合が示されている。そして、半径方向にN分割された線とベルト50のモデルとの交点を分割点とし、この分割点でベルト50のモデルをタイヤの幅方向に分割する。なお、箇所Aから箇所Bまでの領域Sを半径方向にN分割する場合には、例えば、等分割にすることが好ましい。
【0033】
なお、図8の例では、成形後の補強層(ベルト)の形状が形成するタイヤの赤道部と端部とのタイヤ径方向の寸法差(タイヤ径方向寸法差)に基づき、所定の分割条件(例えば等分割)にて径方向分割された点(分割点)を通過する少なくとも1以上の水平方向規定線と、成形後の補強層の形状との交点が図示されている。
【0034】
以上のようにしてステップ104では、上記ステップ102で暫定的に作成されたタイヤモデルの回転軸からの半径方向の距離が最大(距離Rmax)の変形補強材のモデルの箇所Aから最小(距離Rmin)の変形補強材のモデルの箇所Bまでの特定領域Sを分割した分割点で、変形補強材のモデルをタイヤの幅方向に分割する。なお、N=3の場合、図8に示すようにタイヤモデルが半面のときには変形補強材のモデルは3分割されるが、タイヤモデルが両面のときには変形補強材のモデルは5分割される。また、分割されたN個の変形補強材のモデルの各々を分割領域(または分割モデル、幅方向分割領域)と称する場合がある。
【0035】
また、図9に示すように、ベルト50のラインが変わると、分割点の位置も変わることとなる。
【0036】
次のステップ106では、設計データに含まれる変形前のベルトの周方向の長さ、周方向に対するコードの角度、コード間距離、上記ステップ104で分割されたN個の分割領域(分割モデル)の各々の所定箇所からタイヤモデルの回転軸までの距離の各々に基づいて、上記ステップ104で分割されたN個の分割領域(分割モデル)の各々についてタイヤの幅方向における単位長あたりの打ち込み本数を演算する。
【0037】
ここで、タイヤモデルの特性と打ち込み本数の演算について詳細に説明する。一般に、補強層としてのベルトはゴムとコードとからなる。そのヤング率はゴムに比べてコードのほうが10000倍程度大きいため、補強層の剛性はほとんどコードで決まっていると考えてよい。その場合、補強層の剛性は、単位幅あたりのコード本数の変化に比例する。つまり、変形解析において、単位幅あたりのコード本数は、精度を左右する要因となる。
【0038】
予測計算の役割の一つとして、存在しないものの性能を予測して製品開発の効率を上げるというものがある。予測計算では、打ち込み本数の変化を実測から得ることはできない。そこで、本実施の形態では、以下のように打ち込み本数を計算する。
【0039】
製品内での分布の変化は、補強材が「部品として製造された状態」から「製品形状」への変化に依存していると考えられる。このときの最も大きな変化として、タイヤ製造時の拡張率(図10も参照。)がある。そこで、前記打ち込み本数の分布はその拡張率の変化の大きさに応じて求めることが望ましい。
【0040】
また、一般的なシミュレーションモデルでは、補強層を構成する要素に材料物性を与える。材料物性は一つの要素に対して一つ定義するのではなく、ある程度の数の要素に対して一つの材料物性を定義することが普通であるので、その材料グループの境界位置を決めるための情報として拡張率を用いることが最も主旨にかなう。
【0041】
なお、この場合、幅方向に見て、要素数や長さなどは均等に分かれないが、打ち込み本数に最も大きく影響を与える要素が考慮されることになるので、高精度なモデルとなる(例えば、境界位置の決め方の悪い例として、タイヤ幅方向の要素の数で分けたりすることなどが考えられる。)。
【0042】
そこで、前述のように分割した分割領域毎に打ち込み本数を演算する。本実施の形態では、この拡張率に応じた打ち込み本数を、コサイン則(例えば、タイヤ工学、グランプリ出版、ISBN4-87687-219-8、148ページ等)を利用して演算する。このコサイン則は、例えば、成形前のベルトの周方向長さ、成形前のベルトのコードの周方向に対する角度、成形前のベルトのコード間距離、及び成形後のベルトの形状を用いたものである。
【0043】
より具体的に説明すると、図11(A)に示すように、ベルト30A、30Bを構成する各コードの配列方向44A、44Bによって形成される菱形形状(図中点線で示す)は、ベルト30A、30Bに加わる内圧や変形によって同図(B)に示すように、パンタグラフ状に変化する。同図(B)では、ベルト30A、30Bを構成する各コードの配列方向44A、44Bによって形成される実線で示す菱形形状60が図中矢印A方向(タイヤの周方向)に伸びると共に図中矢印B方向に縮むことにより点線で示す菱形形状60に変形する場合を示している。
【0044】
そして、変形前の初期半径r(周方向の長さを2πで割った値)、変形前の周方向に対するコードの角度θであったものが、変形後に半径r’、コード角度θ’になると、菱形の対角線と周長との関係から、図11(C)に示す式が成立する。これをコサイン則という。同図に示すように、コサイン則では、角度付ベルトが周方向に伸びると、幅方向に縮む変形を伴う。このとき、ベルトを構成するコード(スチール等の高剛性のものが多い)は不伸長と考えて差し支えない程度の変形しかない。すると、同図における変形前の「r×sinθ」と変形後の「r’×sinθ’」との比(下記数式参照)を取ったとき、それは局所的なベルト幅の変化率を示す。局所的なベルト幅の変化率とは、すなわち、幅方向に隣り合うコード間の距離(上記菱形形状60の幅方向の対角線の長さ)の変化を示す。コード間距離に応じて単位幅あたりの打ち込み本数が定まるため、これにより、打ち込み本数を推定していることになる。初期の半径rにおける角度θは、部材作成時にわかっているので、半径の変化(変形後の半径)がわかれば、コサイン則により変形後のコードの角度もわかり、コード間距離の変化率もわかる。なお、変形後の半径は分割領域毎に異なり、Rmin以上Rmax以下の範囲内の値をとる。ここでは、ステップ104で分割されたN個の分割領域(分割モデル)の各々の所定箇所からタイヤモデルの回転軸までの距離とする。
【0045】
【数1】
【0046】
これにより、設定データに含まれる変形前のコード間距離と、上記求めたコード間距離の変化率とから変形後のコード間距離が求まり、変形後の幅方向における単位長あたりの打ち込み本数が得られる。これを分割領域毎に演算して求める。
【0047】
次のステップ108では、上記ステップ106で分割領域毎について演算された打ち込み本数の各々を、タイヤモデルにおける変形後のベルトのタイヤ幅方向における単位長あたりの打ち込み本数として用い、当該打ち込み本数に応じてタイヤモデルの膜要素やシェル要素等の各要素毎の物性値を定義する。これにより最終的なタイヤモデルが規定され作成される。
【0048】
このように、本実施の形態のタイヤモデル作成装置によれば、成形後の補強層の打ち込み本数分布条件を与える幅方向分割領域を規定してタイヤモデルを規定するので、従来技術と比較して、簡易に、補強材のモデルの打ち込み本数分布の精度が良好なタイヤモデルを規定し作成することができる。
【0049】
なお、ここでは、周方向に対して傾斜したコードを備えた部材として、ベルト等の補強材を例に挙げて説明したが、これに限定されず、例えば、ビード26、或いはバイアス構造タイヤのカーカス等であってもよい。
【0050】
ところで、実際のタイヤでは製造工程にてゴム流れやその他の部材からの力が作用するので、コサイン則の式のとおりにならないことがある。
【0051】
図12は、コサイン則によって演算されたコード間距離(理論値)と実測したコード間距離(実測値)とを比較するための図である。図12に示すように、実際に計測されるコード間距離は、タイヤの幅方向のベルト赤道部(センター部)では、理論値に近いが、タイヤの幅方向のベルト端部(ショルダー部)では、理論値と乖離する。
【0052】
そこで、上記ステップ106において、例えば、センター部ではコサイン則を利用した理論値そのもの、それ以外の部分では、該理論値よりも疎なコード間距離値を与える、すなわち、該理論値よりもコード間距離が長くなるよう補正して、各分割領域の打ち込みを求めてもよい。
【0053】
なお、コード間距離の補正値は、ショルダー側になるにつれて大きくなるようにすればよい。また、センター部からショルダー部にかけて拡張率に応じて滑らかに内挿して求めてもよい。なお、この内挿方法は線形補間であってもよいし、その他の方法であってもよい。
【0054】
以下、具体例を説明する。ここで、幅方向分割領域(分割領域)のうち、赤道線を含む領域をセンター部領域、端部を含む領域をショルダー部領域と称すると共に、当該センター部領域及び当該ショルダー部領域との間の領域(当該センター部領域及び当該ショルダー部領域との間に形成される領域)を中間部領域と称する。
【0055】
センター部領域については、コサイン則を用いて前述したようにコード間距離を計算して打ち込み本数を求める。すなわち、理論値をそのまま用いる。
【0056】
センター部領域以外の分割領域(中間部領域及びショルダー部領域)については、センター部領域について計算した上記コード間距離に、当該分割領域についてコサイン則を用いて計算したコード間距離とセンター部領域について計算された上記コード間距離との差に、予め定められた係数(以下、係数kという)を乗算した値を加算して、当該分割領域のコード間距離を求めて、打ち込み本数を求める。
【0057】
例えば、センター部領域では変形前のコード間距離Aに対してBという値がコサイン則により計算され、センター部領域ではない分割領域では、変形前のコード間距離Aに対してCという値がコサイン則により計算されたとする。実際にモデルに使うコード間距離は、センター部領域についてはBをそのまま用いるが、それ以外の分割領域ではCという値を、「B+(C−B)×k」に置き換えて(補正して)モデル化する。
【0058】
このようにすることで、センターからの差を拡大して実測に近いものにする。なお、このときの係数kは、タイヤのサイズや形状などに応じて定められるが、1.5以上4以下が望ましい。
【0059】
また、上記実施の形態に加え、更に、ボディプライとしてのカーカスについても、コードの打ち込みの分布に応じた物性値をタイヤモデルに与えるようにしてもよい。前述したように、タイヤモデルには、複数のコードがタイヤの中心から放射状に配列された(すなわち、ラジアル方向に配列された)カーカスのモデルも含まれており、このカーカスの変形後のコード間距離(周方向に隣り合うコード間の距離)を演算して当該演算したコード間距離により定まるコード本数に応じた物性値をタイヤモデルに定義する。
【0060】
ボディプライ(ここではカーカス22)は、特にラジアルタイヤの場合、拡張率(周方向の長さの変化)のみによって、周方向における単位長あたりの打ち込み本数が定まる。これは剛性の分布があることを意味しているので、カーカス22においても打ち込みの分布を与えることが予測精度上は望ましい。
【0061】
そこで、図13に示すように、タイヤモデルの変形前の半径をR0、コード間距離をX0とし、変形後の半径をR1とすると、変形後のコード間距離X1は、次式で表される。
X1=X0×R1/R0
【0062】
このように、カーカス22のコード間距離は半径に比例する。これにより、コード間距離X1を計算して、周方向における単位長あたりの打ち込み本数を求める。そして、求めた打ち込み本数に応じた物性値をタイヤモデルに定義する。
【0063】
更にまた、コサイン則にて規定された計算を用いてコード角度分布条件を前述した幅方向分割領域のそれぞれに与えるようにしてもよい。
【0064】
前述したように、部材が製造されてから最終的なタイヤが製造されるまでに、補強層が拡張し、その拡張率はタイヤの幅方向で異なるため、タイヤの幅方向の各位置でベルトのコードの角度(タイヤの周方向に対するベルトのコードの角度)の分布を与えることで、更に予測精度を上げることができる。
【0065】
この場合、前述のように、ベルトのモデルをタイヤの幅方向に複数に分割したときの各分割領域毎に、コサイン則を利用して、ベルトのコード角度を物性値として与える。具体的には、ステップ106において、上記打ち込み本数に加え、角度分布を以下のように求める。
【0066】
設計データに含まれる変形前ベルトの上記周方向の長さ(所定の長さ)、上記周方向に対するコードの角度(所定の角度)、予め定められた係数(所定係数)、及び上記ステップ104で分割されたN個の分割領域(分割モデル)の各々の所定箇所からタイヤモデルの回転軸までの距離の各々に基づいて、N個の分割領域の各々についてタイヤの周方向に対する角度を演算する。
【0067】
ここで、タイヤモデルの特性について説明する。タイヤは一方向強化材の組合わせを積層構造で持つため、タイヤの内圧時変形の幅方向分布は補強材(例えばベルト)の周方向に対する角度の分布(角度分布)に影響を受ける。これはタイヤの剛性が補強層への内圧時張力に大きく依存することから明らかである。本来は滑らかに変化させるために幅方向の要素一つ一つに異なる角度を与えたい。しかしながら、こうすることでモデリングの複雑化やポスト処理の煩雑化が生じることがある。
【0068】
そのため、詳細を後述するように、必要十分な分割の数値を把握する必要があり、この観点で補強層の幅方向分割数Nの適正数を調べた結果(図16の実験結果1参照。)、幅方向に5分割以上(半面で3分割)のグループ分けを施すことによって変形挙動を十分滑らかに模擬できることが分かった。これにより、大切なポイントはセンター(中心、赤道線)とショルダー端までの角度変化の大きさであり、その間の変化はある程度滑らかにそれを模擬できる程度にあればよいということが分かる。
【0069】
このとき、傾斜角度の分布は、部材角度からの変化で規定される。その変化の計算は図11に示すようにコサイン則を利用して求める(例えば、下記式(1)、(4)、(5)等参照)。このコサイン則は、例えば、成形前の補強層の周方向長さ、成形前の補強層のコードの赤道線からの角度、及び成形後の補強層の形状を用いたものである。
【0070】
なお、実際のタイヤでは製造工程にてゴム流れやその他の部材からの力が作用するので、コサイン則の式のとおりにならないことがある。
【0071】
図14に示すように、複数のタイヤから実際の角度を計測して比較したところ、このときの変化は主にショルダー部(端部)に現れ、コサイン則を利用して計算した角度を比較すると以下の2点の特徴があることが分かった。1点目は、「センター角度はコサイン則を利用して計算した角度に比較的近い」ということであり、2点目は、「センターからショルダーまでの角度変化はコサイン則を利用して計算した角度に比べて落差が大きくなる」ということである。これらのことから、コサイン則を利用して計算するだけでは不十分であり、ショルダー側になるにつれて大きく補正すればよいと分かった。また、センターでもショルダー端でもない部分についてはそれらの角度を拡張率(図10参照)に応じて滑らかに内挿しておけば良いと分かった。なお、この内挿方法は線形補間であってもよいし、その他の方法であってもよい。例えば、タイヤセンターのベルトの角度をT1、タイヤショルダのベルトの角度をT2としたとき、その間のある部分についてはこの拡張率の違いに応じた値を計算する。
【0072】
そこで、コサイン則にて規定された計算値を補正してコード角度分布条件を幅方向分割領域のそれぞれに与えるようにしてもよい。
【0073】
ここで、図15を参照しながら、半面で3分割した場合について説明する。この場合、図15に示すように、3つの分割領域(分割モデル)M1、M2、M3の各々に定義するための角度を演算する必要がある。箇所Aを含む分割領域M1の角度θ1は、以下の式(1)から求められる。
【0074】
【数2】
ここで、上記所定の角度をα、上記所定の長さを2πで割った値をr(=(所定の長さ)/2π)とする。なお、上述したようにタイヤモデルの回転軸からベルトまでの距離が最大の箇所が箇所Aであり、その距離がRmaxである。
【0075】
また、箇所Bを含む分割領域M3の角度θ3は以下の式(2)から求められる。
【0076】
【数3】
このように、コサイン則で求めた角度xをそのまま分割領域M3のコード角度θ3として用いず、当該角度xと、分割領域M1のコード角度θ1と、係数βを用いてθ3を求める。ここで、βは所定の係数であり、タイヤの部材の種類毎に異なるが、このβの値としては、1.5〜4程度が考えられる。例えば、ショルダー部領域に与える角度の値は、コサイン則によって求められたセンター部領域のコード角度とコサイン則によって求められたショルダー部領域のコード角度との差の1.5倍以上で、かつ4倍以下の値が考えられる。また、上述したようにタイヤモデルの回転軸からベルトまでの距離が最大の箇所が箇所Bであり、その距離がRminである。
【0077】
また、幅方向の両端の分割領域M1とM3との間の分割領域M2の角度θ2は以下の式(3)から求められる。
【0078】
【数4】
このように、コサイン則で求めた角度yをそのまま分割領域M3のコード角度θ2として用いず、当該角度yと、分割領域M1のコード角度θ1と、係数βを用いてθ2を求める。ここで、R´は、分割領域M2の幅方向の中間位置であり、かつ半径方向の中間位置を分割領域M2の所定箇所Cとした場合の当該所定箇所Cからタイヤモデルの回転軸までの距離である。
【0079】
以上のように、設計データに含まれる変形前ベルトの所定の角度α、上記所定の長さ、予め定められた係数(所定係数)β、及び上記ステップ104で分割されたN個の分割領域(分割モデル)の各々の所定箇所(A、B、C)からタイヤモデルの回転軸までの距離の各々(Rmax、Rmin、R´)に基づいて、N個の分割領域の各々についてタイヤの周方向に対する角度θ1、θ3、θ2を演算する。
【0080】
次のステップ108では、上記ステップ106で分割領域M1、M2、M3の各々について演算された角度θ1、θ3、θ2の各々を、分割領域M1、M2、M3のタイヤモデルの周方向に対するコード角度として定義する。これにより最終的なタイヤモデルが規定され作成される。
【0081】
このように、タイヤモデルの回転軸からの半径方向の距離が最大の箇所Aから最小の箇所Bまでの特定領域Sを分割した分割点で、変形補強材のモデルをタイヤの幅方向に分割し、所定の角度α、所定長さ、所定係数β、及び分割された変形補強材のモデルのN個の分割領域の各々の所定箇所から回転軸までの距離の各々に基づいて、分割領域の各々について周方向に対するコード角度を演算するので、従来技術と比較して、簡易に、補強材のモデルの角度分布の精度が良好なタイヤモデルを規定し、作成することができる。
【0082】
また、コード角度分布条件は、計算に基づいて規定されると共に、この計算の方法は、成形前の補強層の周方向長さ、成形前の補強層のコードの赤道線からの角度、及び成形後の補強層の形状を用いたコサイン則にてタイヤモデルを規定するので、従来技術と比較して、簡易に、補強材のモデルの角度分布の精度が良好なタイヤモデルを規定し作成することができる。
【0083】
なお、上記ステップ106で、分割領域M1、M3の角度を演算する際に、所定箇所A、Bから回転軸までの距離Rmax、Rminを用いた例について説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、分割領域M1の角度を演算する際に分割領域M1の幅方向の中間位置であり、かつ半径方向の中間位置を分割領域M1の所定箇所Dとした場合の当該所定箇所Dからタイヤモデルの回転軸までの距離RDを用いても良い。また、分割領域M3の角度を演算する際に分割領域M3の幅方向の中間位置であり、かつ半径方向の中間位置を分割領域M3の所定箇所Eとした場合の当該所定箇所Eからタイヤモデルの回転軸までの距離REを用いても良い。
【0084】
また、上記では所定係数βを用いて分割領域M2、M3の角度を演算する例について説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、所定係数βを用いずに、以下の式(4)から分割領域M2の角度θ2を演算してもよい。
【0085】
【数5】
ただし、Rm2は、分割領域M2の幅方向の中間位置であり、かつ半径方向の中間位置を分割領域M2の所定箇所Fとした場合の当該所定箇所Fからタイヤモデルの回転軸までの距離である。
【0086】
同様に、所定係数βを用いずに、以下の式(5)から分割領域M3の角度θ3を演算してもよい。
【0087】
【数6】
ただし、Rm3は、分割領域M3の幅方向の中間位置であり、かつ半径方向の中間位置を分割領域M3の所定箇所Gとした場合の当該所定箇所Gからタイヤモデルの回転軸までの距離である。
【0088】
この場合、タイヤモデルの回転軸からの半径方向の距離が最大の箇所Aから最小の箇所Bまでの特定領域Sを分割した分割点で、変形補強材のモデルをタイヤの幅方向に分割し、所定の角度α、所定長さ、及び分割された変形補強材のモデルのN個の分割領域の各々の所定箇所から回転軸までの距離の各々に基づいて、分割領域の各々について周方向に対する角度を演算するので、従来技術と比較して、簡易に、補強材のモデルの角度分布の精度が良好なタイヤモデルを規定し、作成することができる。ただし、所定係数βを用いたほうがより好ましい。これは、所定係数βを用いない場合には、特定領域Sを分割するメリットが小さくなるからである。
【0089】
また、上記では、幅方向分割領域毎に与えられるコード角度分布条件が、計算に基づいて規定された数値に基づいた例について説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、幅方向分割領域毎に与えられるコード角度分布条件が、実測に基づいて規定された数値に基づくものであってもよい。また、幅方向分割領域毎に与えられるコード角度分布条件が、予め取得された統計(統計データ)に基づいて規定された数値に基づくものであってもよい。また、幅方向分割領域毎に与えられるコード角度分布条件が、計算、実測、または予め取得された統計の少なくとも1つに基づいて規定された数値に基づくものであってもよい。
【0090】
また、補強層の中間部領域に与える補正計算値は、ショルダー部領域に与える補正計算値と同様に求めることができる。その際、中間部領域に与える補正計算値は、ショルダー部領域と同様、コサイン則によって求められたセンター部領域のコード角計算値とコサイン則によって求められた中間部領域のコード角計算値との差の1.5倍以上4倍以下となる。
【0091】
また、ショルダー部領域に与える補正計算値と中間部領域に与える補正計算値は、全体のアンバランス及び誤差を抑えるべく、極力近い補正値(係数)を与えることが好ましい。
【0092】
また、本実施の形態では、成形後の補強層のコード角度分布条件が各幅方向分割領域に与えられたタイヤモデルを有限要素化して用いている。
【0093】
また、タイヤ周方向には不等分割のメッシュを用い、最も細かい周方向メッシュと最も粗い周方向メッシュの比が最大/最小で2から10であるようにしてもよい(更に好ましくはメッシュの比は、2から6である)。
【実施例】
【0094】
次に、実施例について図17を参照して説明する。本実施例としてモデル化・試作したタイヤは、タイヤサイズ:225/45R17であり、このタイヤを幅7.5インチのリムに組み、4.41kN荷重負荷時の接地形状を計測した。タイヤの構造は、いずれも2枚のボディプライ、角度付スチールベルト2枚、その外層に周方向ナイロン補強層を二層持つ。なお、前述した図16の実験結果も、同様の条件で行ったが、ここでは詳細な説明を省略する。
【0095】
本実験では、以下のパラメータを変化させ、10種類のモデル、及び比較例としての従来モデルの各々について計測し、実際の値(実験値)と比較した。
・ベルトのコード間距離分布
・ベルトのコード角度分布
・係数k
・ベルト打ち込み・角度分割数(1の場合は分割しない)
・ボディプライのコード間距離分布
【0096】
なお、ここでは、図18に示すように、タイヤのセンター部とショルダー部(接地総幅80%位置)の接地部周方向長さの比率(ショルダー接地長/センター接地長)により接地域の形状を単一値にて表現し、その正確さを各種モデル化の差で検証した。例えば、数値が小さいときは接地形状が丸いことを示し、逆に1に近い場合は矩形に近いことがわかる。また、実施例10のボディプライのコード間距離の分布は、ボディプライを拡張率に従って3分割して定義した。図17から明らかなように、実施例10が実験値に最も近いことがわかる。
【符号の説明】
【0097】
10 キーボード
12 コンピュータ本体
14 CRT
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤモデル作成装置、タイヤモデル作成方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、FEM(有限要素法)に代表されるシミュレーションを用いて製品開発することが広く行われている(例えば、特許文献1参照。)。より良い製品開発の目的から、特に近年のシミュレーションではその要求精度も高くなっており、そのためには高精度なモデルを用いることが必須である。一方、タイヤ製品はその製造プロセスや素材のため、正確なモデル化が困難なものの一つである。特に、ゴムで被覆されたコードにより構成される補強層は、その分布が製品完成後には目に見える状態に無いため、モデル化が困難な要素の一つといえる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−111229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来は、補強層のモデルの分布を通常一定値で与えることも多かった。仮に分布を与える場合には実際のタイヤから計測して物性値として取り込むことになるので、その工数の大きさや、実在しないタイヤ設計案の解析を行うことはできなかった。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決するために成されたものであり、従来技術と比較して、簡易に、部材モデルのコード本数分布が良好なタイヤモデルを作成することができるタイヤモデル作成装置、タイヤモデル作成方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1の発明のタイヤモデル作成装置は、タイヤの周方向に対して所定の角度で複数のコードが配列され前記周方向に対して所定の長さを有する部材の部材モデルを変形した変形後の部材モデルを備えたタイヤモデルの回転軸からの半径方向の距離が最大の前記変形後の部材モデルの箇所から最小の前記変形後の部材モデルの箇所までの特定領域を分割した分割点で、前記変形後の部材モデルを前記タイヤモデルの幅方向に分割する分割手段と、前記所定の角度、前記所定の長さ、前記変形前の部材モデルの前記幅方向に隣り合うコード間の距離、及び前記分割手段によって分割された前記変形後の部材モデルの複数の分割領域の各々の所定箇所から前記回転軸までの距離の各々に基づいて、前記分割領域の各々について前記幅方向に隣り合うコード間の距離を演算する第1の演算手段と、前記第1の演算手段で演算されたコード間の距離に基づいて、前記複数の分割領域の各々についての、前記変形後の部材モデルの前記幅方向における単位長あたりのコード本数を演算する第2の演算手段と、前記第2の演算手段で演算された分割領域の各々のコード本数に応じた物性値を前記タイヤモデルに定義する定義手段と、を備えている。
【0007】
このように、本発明によれば、変形後の部材モデルの幅方向における単位長あたりのコード本数に応じた物性値をタイヤモデルに定義することができ、従来技術と比較して、簡易に、部材モデルのコード本数分布が良好なタイヤモデルを作成することができる。
【0008】
また、請求項2に記載のように、請求項1に記載のタイヤモデル作成装置の前記第1の演算手段は、前記分割領域のうち、赤道線を含む第1の分割領域については、コサイン則により演算したコード間の距離を演算結果とし、前記第1の分割領域以外の第2の分割領域については、コサイン則により演算したコード間の距離よりも長い距離となるように補正したコード間の距離を演算結果とするように構成してもよい。
【0009】
また、請求項3に記載のように、請求項2に記載のタイヤモデル作成装置の前記第1の演算手段は、前記第2の分割領域については、前記第1の分割領域の演算結果と前記第2の分割領域の演算結果との差が、前記第1の分割領域の演算結果と前記コサイン則によって演算された前記第2の分割領域のコード間の距離との差の1.5倍以上で、かつ4倍以下となるように補正するように構成してもよい。
【0010】
また、請求項4に記載のように、請求項1〜請求項3のいずれか1項記載のタイヤモデル作成装置において、 前記タイヤモデルには、複数のコードが前記タイヤの中心から放射状に配列された部材のモデルが含まれ、変形後の部材のモデルの周方向に隣り合うコード間の距離を、前記部材のモデルの変形前の半径及び変形後の半径と、変形前の部材のモデルの周方向に隣り合うコード間の距離とに基づいて演算する第3の演算手段と、前記第3の演算手段で演算されたコード間の距離に基づいて、前記変形後の部材の前記周方向における単位長あたりのコード本数を演算する第4の演算手段と、を更に備え、前記定義手段は、更に前記第4の演算手段によって演算されたコード本数に応じた物性値を前記タイヤモデルに定義するように構成してもよい。
【0011】
また、請求項5に記載のように、請求項1〜請求項4のいずれか1項記載のタイヤモデル作成装置において、前記所定の角度、前記所定の長さ、及び前記分割手段によって分割された前記変形後の部材モデルの複数の分割領域の各々の所定箇所から前記回転軸までの距離の各々に基づいて、前記分割領域の各々について前記周方向に対するコードの角度を演算する第5の演算手段を更に備え、前記定義手段は、更に前記第5の演算手段で演算された前記分割領域毎の角度の各々に応じた物性値を前記タイヤモデルに定義するように構成してもよい。
【0012】
請求項6の発明のタイヤモデル作成方法は、タイヤの周方向に対して所定の角度で複数のコードが配列され前記周方向に対して所定の長さを有する部材の部材モデルを変形した変形後の部材モデルを備えたタイヤモデルの回転軸からの半径方向の距離が最大の前記変形後の部材モデルの箇所から最小の前記変形後の部材モデルの箇所までの特定領域を分割した分割点で、前記変形後の部材モデルを前記タイヤモデルの幅方向に分割する分割ステップと、前記所定の角度、前記所定の長さ、前記変形前の部材モデルの前記幅方向に隣り合うコード間の距離、及び前記分割ステップによって分割された前記変形後の部材モデルの複数の分割領域の各々の所定箇所から前記回転軸までの距離の各々に基づいて、前記分割領域の各々について前記幅方向に隣り合うコード間の距離を演算する第1の演算ステップと、前記第1の演算ステップで演算されたコード間の距離に基づいて、前記複数の分割領域の各々についての、前記変形後の部材モデルの前記幅方向における単位長あたりのコード本数を演算する第2の演算ステップと、前記第2の演算ステップで演算された分割領域の各々のコード本数に応じた物性値を前記タイヤモデルに定義する定義ステップと、を備えている。
【0013】
また、請求項7の発明は、コンピュータを、タイヤの周方向に対して所定の角度で複数のコードが配列され前記周方向に対して所定の長さを有する部材の部材モデルを変形した変形後の部材モデルを備えたタイヤモデルの回転軸からの半径方向の距離が最大の前記変形後の部材モデルの箇所から最小の前記変形後の部材モデルの箇所までの特定領域を分割した分割点で、前記変形後の部材モデルを前記タイヤモデルの幅方向に分割する分割手段、前記所定の角度、前記所定の長さ、前記変形前の部材モデルの前記幅方向に隣り合うコード間の距離、及び前記分割手段によって分割された前記変形後の部材モデルの複数の分割領域の各々の所定箇所から前記回転軸までの距離の各々に基づいて、前記分割領域の各々について前記幅方向に隣り合うコード間の距離を演算する第1の演算手段、前記第1の演算手段で演算されたコード間の距離に基づいて、前記複数の分割領域の各々についての、前記変形後の部材モデルの前記幅方向における単位長あたりのコード本数を演算する第2の演算手段、及び前記第2の演算手段で演算された分割領域の各々のコード本数に応じた物性値を前記タイヤモデルに定義する定義手段、として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、従来技術と比較して、簡易に、部材モデルのコード本数分布が良好なタイヤモデルを作成することができる、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】タイヤモデル作成装置としてのパーソナルコンピュータの概略図である。
【図2】タイヤモデル作成プログラムのメインルーチンのフローチャートである。
【図3】タイヤの断面図の一例である。
【図4】(A)は2枚のベルトの平面図、(B)は2枚のベルトを重ね合わせた状態の平面図である。
【図5】設計データに含まれている情報を説明するための図である。
【図6】暫定的に作成されたタイヤモデルの模式図である。
【図7】暫定的に作成されたタイヤモデルの断面図(半面)である。
【図8】分割する処理を説明するための図である。
【図9】他のベルトを分割した場合について説明するための図である。
【図10】本実施の形態の拡張率について説明するための図である。
【図11】コサイン則を説明するための図である。
【図12】コサイン則によって演算されたコード間距離と実測したコード間距離とを比較するための図である。
【図13】変形後のカーカスのコード間距離の演算方法を説明する説明図である。
【図14】コサイン則によって演算された角度と実測した角度とを比較するための図である。
【図15】角度の演算方法について説明するための図である。
【図16】角度に関する実験結果を説明するための図である。
【図17】実施例の計算結果と実験値とを比較するための図である。
【図18】図17における比較に用いたセンター接地長とショルダー接地長との関係を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。本実施形態は、タイヤの挙動解析のためのタイヤモデル(解析モデル)の作成に本発明を適用したものである。
【0017】
図1にはタイヤモデルを作成するタイヤモデル作成装置としてのパーソナルコンピュータの概略が示されている。このパーソナルコンピュータは、データ等を入力するためのキーボード10、予め記憶された処理プログラムに従ってタイヤモデルを作成するコンピュータ本体12、及びコンピュータ本体12の演算結果等を表示するCRT14から構成されている。
【0018】
なお、コンピュータ本体12には、記録媒体としてのフレキシブルディスク(FD)が挿抜可能なフレキシブルディスクユニット(FDU)を備えている。なお、後述する処理ルーチン等は、FDUを用いてフレキシブルディスクFDに対して読み書き可能である。従って、後述するプログラムや処理ルーチンは、予めFDに記録しておき、FDUを介してFDに記録された処理プログラムを実行してもよい。
【0019】
また、コンピュータ本体12にハードディスク装置等の大容量記憶装置(図示省略)を接続し、FDに記録された処理プログラムを大容量記憶装置(図示省略)へ格納(インストール)して実行するようにしてもよい。また、記録媒体としては、CD−ROMやDVD等の光ディスクや、MD,MO等の光磁気ディスクがあり、これらを用いるときには、上記FDUに代えてまたは更に対応する装置(例えば、CD−ROM装置、CD−RAM装置、DVD−ROM装置、DVD−RAM装置、MD装置、またはMO装置等)を用いればよい。
【0020】
また、パーソナルコンピュータの他に、ワークステーションやスーパーコンピュータをタイヤモデルの作成に用いてもよいことは勿論である。
【0021】
次に、本実施の形態の作用として、コンピュータ本体12で実行されるタイヤモデル作成プログラムの処理ルーチンについて図2に示すフローチャートを参照して説明する。
【0022】
図2は、タイヤモデル作成プログラムの処理ルーチンを示すものである。
ステップ100では、タイヤモデルの作成対象となるタイヤの設計案(タイヤ形状、構造、材料など)を定める。例えば、コンピュータ本体12のハードディスクに、予め複数種類のタイヤのCADデータ(タイヤ形状、構造、材料などの設計データ)等の設計データを記憶しておき、タイヤモデルの作成対象となるタイヤの設計データを選択して読み込むことにより、タイヤモデルの作成対象となるタイヤを設定することができる。ここで、この設計データには、タイヤを加硫するためのプラダー(図示しない)等によって変形(拡張)される前の補強材(補強層)としてのベルト(以下、変形前ベルトと称する場合がある)の設計データが含まれている。
【0023】
タイヤ製造工程によって変形される前の補強材としてのベルトは、成形前の部品状態に対応する。成形前の部品状態には、補強層の周方向の長さ、及び補強層を構成するコードの周方向に対する角度が規定されており、この周方向の長さ及び周方向に対する角度も設計データに含まれている。更にまた、変形前の補強層のタイヤ幅方向における単位長あたりのコード本数(以下、これを単位幅あたりの打ち込み本数、或いは単に打ち込み本数という場合もある)を規定するためのコード間の距離(コード間距離)も設計データに含まれている。なお、コード間距離については後述する。
【0024】
ここで、タイヤモデルの対象となるタイヤのタイヤ断面の一例を図3を参照して説明する。タイヤ20は、タイヤの骨格となるカーカス22を有している。このカーカス22は、ビード26により折り返されている。このカーカス22の内側はインナーライナー24とされ、インナーライナー24の延長上にはビードゴム36が配置されている。
【0025】
また、折り返されたカーカス22により形成される略三角形状の領域はビードフィラー28とされている。カーカス22の上方には、ベルト30が配置されており、このベルト30の半径方向外側には溝が形成されたトレッドゴム32が配置されており、カーカス22のタイヤの軸方向外側にはサイドゴム34が配置されている。なお、図3に示す例ではベルト30は2枚のベルト30A及び30Bから構成された場合が図示されているが、ベルト30は1枚または3枚以上のベルトから構成されていてもよい。
【0026】
ここでベルトの構成について説明する。ベルトは複数本のスチール製のコードの表面をゴムで覆ってシート状としたものであり、図4(A)に示すように、上層のベルト30Aを構成するコードの配列方向44Aと下層のベルト30Bのコードの配列方向44Bとが異なるように配置するのが通常である。このため、同図(B)に示すように、ベルト30Aとベルト30Bとを重ねた場合、各ベルトの配列方向44A、44Bによって菱形形状が形成される。
【0027】
また、最終的なタイヤが製造されるまでに、補強材としてのベルトが拡張し、ベルトの拡張率(最終的なタイヤの補強材の半径Qを、変形前の補強材の半径Uで割った値E(=Q/U)、図10も参照。)はタイヤの幅方向で異なるため、タイヤの幅方向の各位置でベルトの角度(タイヤの周方向に対するベルトの角度)が異なる。従って、単位幅あたりの打ち込み本数も、タイヤの幅方向の各位置で異なる。
【0028】
そこで、本実施の形態では、上記設計データには、更に、図5に示すように、最終的なタイヤの回転軸からの半径方向(径方向)の距離が最大の最終的なタイヤのベルト(変形後の補強材である変形補強材)の箇所Aの位置情報、最終的なタイヤの回転軸からの半径方向の距離が最小の最終的なタイヤのベルトの箇所Bの位置情報、最終的なタイヤの回転軸から上記箇所Aまでの距離Rmax、及び最終的なタイヤの回転軸から上記箇所Bまでの距離Rminが含まれていることとする。なお、説明の便宜上、ベルト30Bについてのみ図5に示したが、ベルト30Aに関する同様の情報も上記設計データに含まれている。なお、これら変形後の部材の形状を示す設計データは、無負荷状態における形状を示す設定データである。
【0029】
次のステップ102では、上記設計データに基づいて、暫定的にタイヤモデルを作成する。ここで、「暫定的にタイヤモデルを作成する」とは、ステップ104以降の処理で定義される打ち込み本数の情報が含まれていないタイヤモデル(暫定的なタイヤモデル)を作成することである。例えば、ステップ102では、図6に示すように、暫定的なタイヤモデルとしてモデル80を作成する。モデル80は、要素80a,80b,80c,・・・の集合体であり、各要素80a,80b,80c,・・・は数値解析が可能なデータである。例えば、各要素80a,80b,80c,・・・には2次元の3角形・4角形からなる膜要素、または3次元のソリッド要素などが挙げられる。また、各要素は、座標のデータが定義された節点を用いて定義されている。なお、このタイヤモデルには変形後の無負荷状態のベルトのモデル(変形補強材のモデル)が含まれている。
【0030】
次のステップ104では、上記ステップ102で暫定的に作成されたタイヤモデルの回転軸からの半径方向の距離が最大の変形補強材のモデルの箇所から最小の変形補強材のモデルの箇所までの特定領域を分割した分割点で、変形補強材のモデルをタイヤの幅方向に分割する。なお、説明の便宜上、1枚のベルトについての処理について以下説明する。
【0031】
図7は上記ステップ102で作成されたタイヤモデルの断面図(半面)である。
まず、同図に示されるように、上記ステップ102で作成されたタイヤモデルのベルト32Bのモデル(変形補強材のモデル)50の上記箇所A及び上記箇所B、並びに上記Rmax及び上記Rminを抽出する。
【0032】
次に、図8に示すように、箇所Aから箇所Bまでの領域(特定領域)Sを半径方向にN(Nは2以上の整数)分割する。なお、図8にはN=3の場合が示されている。そして、半径方向にN分割された線とベルト50のモデルとの交点を分割点とし、この分割点でベルト50のモデルをタイヤの幅方向に分割する。なお、箇所Aから箇所Bまでの領域Sを半径方向にN分割する場合には、例えば、等分割にすることが好ましい。
【0033】
なお、図8の例では、成形後の補強層(ベルト)の形状が形成するタイヤの赤道部と端部とのタイヤ径方向の寸法差(タイヤ径方向寸法差)に基づき、所定の分割条件(例えば等分割)にて径方向分割された点(分割点)を通過する少なくとも1以上の水平方向規定線と、成形後の補強層の形状との交点が図示されている。
【0034】
以上のようにしてステップ104では、上記ステップ102で暫定的に作成されたタイヤモデルの回転軸からの半径方向の距離が最大(距離Rmax)の変形補強材のモデルの箇所Aから最小(距離Rmin)の変形補強材のモデルの箇所Bまでの特定領域Sを分割した分割点で、変形補強材のモデルをタイヤの幅方向に分割する。なお、N=3の場合、図8に示すようにタイヤモデルが半面のときには変形補強材のモデルは3分割されるが、タイヤモデルが両面のときには変形補強材のモデルは5分割される。また、分割されたN個の変形補強材のモデルの各々を分割領域(または分割モデル、幅方向分割領域)と称する場合がある。
【0035】
また、図9に示すように、ベルト50のラインが変わると、分割点の位置も変わることとなる。
【0036】
次のステップ106では、設計データに含まれる変形前のベルトの周方向の長さ、周方向に対するコードの角度、コード間距離、上記ステップ104で分割されたN個の分割領域(分割モデル)の各々の所定箇所からタイヤモデルの回転軸までの距離の各々に基づいて、上記ステップ104で分割されたN個の分割領域(分割モデル)の各々についてタイヤの幅方向における単位長あたりの打ち込み本数を演算する。
【0037】
ここで、タイヤモデルの特性と打ち込み本数の演算について詳細に説明する。一般に、補強層としてのベルトはゴムとコードとからなる。そのヤング率はゴムに比べてコードのほうが10000倍程度大きいため、補強層の剛性はほとんどコードで決まっていると考えてよい。その場合、補強層の剛性は、単位幅あたりのコード本数の変化に比例する。つまり、変形解析において、単位幅あたりのコード本数は、精度を左右する要因となる。
【0038】
予測計算の役割の一つとして、存在しないものの性能を予測して製品開発の効率を上げるというものがある。予測計算では、打ち込み本数の変化を実測から得ることはできない。そこで、本実施の形態では、以下のように打ち込み本数を計算する。
【0039】
製品内での分布の変化は、補強材が「部品として製造された状態」から「製品形状」への変化に依存していると考えられる。このときの最も大きな変化として、タイヤ製造時の拡張率(図10も参照。)がある。そこで、前記打ち込み本数の分布はその拡張率の変化の大きさに応じて求めることが望ましい。
【0040】
また、一般的なシミュレーションモデルでは、補強層を構成する要素に材料物性を与える。材料物性は一つの要素に対して一つ定義するのではなく、ある程度の数の要素に対して一つの材料物性を定義することが普通であるので、その材料グループの境界位置を決めるための情報として拡張率を用いることが最も主旨にかなう。
【0041】
なお、この場合、幅方向に見て、要素数や長さなどは均等に分かれないが、打ち込み本数に最も大きく影響を与える要素が考慮されることになるので、高精度なモデルとなる(例えば、境界位置の決め方の悪い例として、タイヤ幅方向の要素の数で分けたりすることなどが考えられる。)。
【0042】
そこで、前述のように分割した分割領域毎に打ち込み本数を演算する。本実施の形態では、この拡張率に応じた打ち込み本数を、コサイン則(例えば、タイヤ工学、グランプリ出版、ISBN4-87687-219-8、148ページ等)を利用して演算する。このコサイン則は、例えば、成形前のベルトの周方向長さ、成形前のベルトのコードの周方向に対する角度、成形前のベルトのコード間距離、及び成形後のベルトの形状を用いたものである。
【0043】
より具体的に説明すると、図11(A)に示すように、ベルト30A、30Bを構成する各コードの配列方向44A、44Bによって形成される菱形形状(図中点線で示す)は、ベルト30A、30Bに加わる内圧や変形によって同図(B)に示すように、パンタグラフ状に変化する。同図(B)では、ベルト30A、30Bを構成する各コードの配列方向44A、44Bによって形成される実線で示す菱形形状60が図中矢印A方向(タイヤの周方向)に伸びると共に図中矢印B方向に縮むことにより点線で示す菱形形状60に変形する場合を示している。
【0044】
そして、変形前の初期半径r(周方向の長さを2πで割った値)、変形前の周方向に対するコードの角度θであったものが、変形後に半径r’、コード角度θ’になると、菱形の対角線と周長との関係から、図11(C)に示す式が成立する。これをコサイン則という。同図に示すように、コサイン則では、角度付ベルトが周方向に伸びると、幅方向に縮む変形を伴う。このとき、ベルトを構成するコード(スチール等の高剛性のものが多い)は不伸長と考えて差し支えない程度の変形しかない。すると、同図における変形前の「r×sinθ」と変形後の「r’×sinθ’」との比(下記数式参照)を取ったとき、それは局所的なベルト幅の変化率を示す。局所的なベルト幅の変化率とは、すなわち、幅方向に隣り合うコード間の距離(上記菱形形状60の幅方向の対角線の長さ)の変化を示す。コード間距離に応じて単位幅あたりの打ち込み本数が定まるため、これにより、打ち込み本数を推定していることになる。初期の半径rにおける角度θは、部材作成時にわかっているので、半径の変化(変形後の半径)がわかれば、コサイン則により変形後のコードの角度もわかり、コード間距離の変化率もわかる。なお、変形後の半径は分割領域毎に異なり、Rmin以上Rmax以下の範囲内の値をとる。ここでは、ステップ104で分割されたN個の分割領域(分割モデル)の各々の所定箇所からタイヤモデルの回転軸までの距離とする。
【0045】
【数1】
【0046】
これにより、設定データに含まれる変形前のコード間距離と、上記求めたコード間距離の変化率とから変形後のコード間距離が求まり、変形後の幅方向における単位長あたりの打ち込み本数が得られる。これを分割領域毎に演算して求める。
【0047】
次のステップ108では、上記ステップ106で分割領域毎について演算された打ち込み本数の各々を、タイヤモデルにおける変形後のベルトのタイヤ幅方向における単位長あたりの打ち込み本数として用い、当該打ち込み本数に応じてタイヤモデルの膜要素やシェル要素等の各要素毎の物性値を定義する。これにより最終的なタイヤモデルが規定され作成される。
【0048】
このように、本実施の形態のタイヤモデル作成装置によれば、成形後の補強層の打ち込み本数分布条件を与える幅方向分割領域を規定してタイヤモデルを規定するので、従来技術と比較して、簡易に、補強材のモデルの打ち込み本数分布の精度が良好なタイヤモデルを規定し作成することができる。
【0049】
なお、ここでは、周方向に対して傾斜したコードを備えた部材として、ベルト等の補強材を例に挙げて説明したが、これに限定されず、例えば、ビード26、或いはバイアス構造タイヤのカーカス等であってもよい。
【0050】
ところで、実際のタイヤでは製造工程にてゴム流れやその他の部材からの力が作用するので、コサイン則の式のとおりにならないことがある。
【0051】
図12は、コサイン則によって演算されたコード間距離(理論値)と実測したコード間距離(実測値)とを比較するための図である。図12に示すように、実際に計測されるコード間距離は、タイヤの幅方向のベルト赤道部(センター部)では、理論値に近いが、タイヤの幅方向のベルト端部(ショルダー部)では、理論値と乖離する。
【0052】
そこで、上記ステップ106において、例えば、センター部ではコサイン則を利用した理論値そのもの、それ以外の部分では、該理論値よりも疎なコード間距離値を与える、すなわち、該理論値よりもコード間距離が長くなるよう補正して、各分割領域の打ち込みを求めてもよい。
【0053】
なお、コード間距離の補正値は、ショルダー側になるにつれて大きくなるようにすればよい。また、センター部からショルダー部にかけて拡張率に応じて滑らかに内挿して求めてもよい。なお、この内挿方法は線形補間であってもよいし、その他の方法であってもよい。
【0054】
以下、具体例を説明する。ここで、幅方向分割領域(分割領域)のうち、赤道線を含む領域をセンター部領域、端部を含む領域をショルダー部領域と称すると共に、当該センター部領域及び当該ショルダー部領域との間の領域(当該センター部領域及び当該ショルダー部領域との間に形成される領域)を中間部領域と称する。
【0055】
センター部領域については、コサイン則を用いて前述したようにコード間距離を計算して打ち込み本数を求める。すなわち、理論値をそのまま用いる。
【0056】
センター部領域以外の分割領域(中間部領域及びショルダー部領域)については、センター部領域について計算した上記コード間距離に、当該分割領域についてコサイン則を用いて計算したコード間距離とセンター部領域について計算された上記コード間距離との差に、予め定められた係数(以下、係数kという)を乗算した値を加算して、当該分割領域のコード間距離を求めて、打ち込み本数を求める。
【0057】
例えば、センター部領域では変形前のコード間距離Aに対してBという値がコサイン則により計算され、センター部領域ではない分割領域では、変形前のコード間距離Aに対してCという値がコサイン則により計算されたとする。実際にモデルに使うコード間距離は、センター部領域についてはBをそのまま用いるが、それ以外の分割領域ではCという値を、「B+(C−B)×k」に置き換えて(補正して)モデル化する。
【0058】
このようにすることで、センターからの差を拡大して実測に近いものにする。なお、このときの係数kは、タイヤのサイズや形状などに応じて定められるが、1.5以上4以下が望ましい。
【0059】
また、上記実施の形態に加え、更に、ボディプライとしてのカーカスについても、コードの打ち込みの分布に応じた物性値をタイヤモデルに与えるようにしてもよい。前述したように、タイヤモデルには、複数のコードがタイヤの中心から放射状に配列された(すなわち、ラジアル方向に配列された)カーカスのモデルも含まれており、このカーカスの変形後のコード間距離(周方向に隣り合うコード間の距離)を演算して当該演算したコード間距離により定まるコード本数に応じた物性値をタイヤモデルに定義する。
【0060】
ボディプライ(ここではカーカス22)は、特にラジアルタイヤの場合、拡張率(周方向の長さの変化)のみによって、周方向における単位長あたりの打ち込み本数が定まる。これは剛性の分布があることを意味しているので、カーカス22においても打ち込みの分布を与えることが予測精度上は望ましい。
【0061】
そこで、図13に示すように、タイヤモデルの変形前の半径をR0、コード間距離をX0とし、変形後の半径をR1とすると、変形後のコード間距離X1は、次式で表される。
X1=X0×R1/R0
【0062】
このように、カーカス22のコード間距離は半径に比例する。これにより、コード間距離X1を計算して、周方向における単位長あたりの打ち込み本数を求める。そして、求めた打ち込み本数に応じた物性値をタイヤモデルに定義する。
【0063】
更にまた、コサイン則にて規定された計算を用いてコード角度分布条件を前述した幅方向分割領域のそれぞれに与えるようにしてもよい。
【0064】
前述したように、部材が製造されてから最終的なタイヤが製造されるまでに、補強層が拡張し、その拡張率はタイヤの幅方向で異なるため、タイヤの幅方向の各位置でベルトのコードの角度(タイヤの周方向に対するベルトのコードの角度)の分布を与えることで、更に予測精度を上げることができる。
【0065】
この場合、前述のように、ベルトのモデルをタイヤの幅方向に複数に分割したときの各分割領域毎に、コサイン則を利用して、ベルトのコード角度を物性値として与える。具体的には、ステップ106において、上記打ち込み本数に加え、角度分布を以下のように求める。
【0066】
設計データに含まれる変形前ベルトの上記周方向の長さ(所定の長さ)、上記周方向に対するコードの角度(所定の角度)、予め定められた係数(所定係数)、及び上記ステップ104で分割されたN個の分割領域(分割モデル)の各々の所定箇所からタイヤモデルの回転軸までの距離の各々に基づいて、N個の分割領域の各々についてタイヤの周方向に対する角度を演算する。
【0067】
ここで、タイヤモデルの特性について説明する。タイヤは一方向強化材の組合わせを積層構造で持つため、タイヤの内圧時変形の幅方向分布は補強材(例えばベルト)の周方向に対する角度の分布(角度分布)に影響を受ける。これはタイヤの剛性が補強層への内圧時張力に大きく依存することから明らかである。本来は滑らかに変化させるために幅方向の要素一つ一つに異なる角度を与えたい。しかしながら、こうすることでモデリングの複雑化やポスト処理の煩雑化が生じることがある。
【0068】
そのため、詳細を後述するように、必要十分な分割の数値を把握する必要があり、この観点で補強層の幅方向分割数Nの適正数を調べた結果(図16の実験結果1参照。)、幅方向に5分割以上(半面で3分割)のグループ分けを施すことによって変形挙動を十分滑らかに模擬できることが分かった。これにより、大切なポイントはセンター(中心、赤道線)とショルダー端までの角度変化の大きさであり、その間の変化はある程度滑らかにそれを模擬できる程度にあればよいということが分かる。
【0069】
このとき、傾斜角度の分布は、部材角度からの変化で規定される。その変化の計算は図11に示すようにコサイン則を利用して求める(例えば、下記式(1)、(4)、(5)等参照)。このコサイン則は、例えば、成形前の補強層の周方向長さ、成形前の補強層のコードの赤道線からの角度、及び成形後の補強層の形状を用いたものである。
【0070】
なお、実際のタイヤでは製造工程にてゴム流れやその他の部材からの力が作用するので、コサイン則の式のとおりにならないことがある。
【0071】
図14に示すように、複数のタイヤから実際の角度を計測して比較したところ、このときの変化は主にショルダー部(端部)に現れ、コサイン則を利用して計算した角度を比較すると以下の2点の特徴があることが分かった。1点目は、「センター角度はコサイン則を利用して計算した角度に比較的近い」ということであり、2点目は、「センターからショルダーまでの角度変化はコサイン則を利用して計算した角度に比べて落差が大きくなる」ということである。これらのことから、コサイン則を利用して計算するだけでは不十分であり、ショルダー側になるにつれて大きく補正すればよいと分かった。また、センターでもショルダー端でもない部分についてはそれらの角度を拡張率(図10参照)に応じて滑らかに内挿しておけば良いと分かった。なお、この内挿方法は線形補間であってもよいし、その他の方法であってもよい。例えば、タイヤセンターのベルトの角度をT1、タイヤショルダのベルトの角度をT2としたとき、その間のある部分についてはこの拡張率の違いに応じた値を計算する。
【0072】
そこで、コサイン則にて規定された計算値を補正してコード角度分布条件を幅方向分割領域のそれぞれに与えるようにしてもよい。
【0073】
ここで、図15を参照しながら、半面で3分割した場合について説明する。この場合、図15に示すように、3つの分割領域(分割モデル)M1、M2、M3の各々に定義するための角度を演算する必要がある。箇所Aを含む分割領域M1の角度θ1は、以下の式(1)から求められる。
【0074】
【数2】
ここで、上記所定の角度をα、上記所定の長さを2πで割った値をr(=(所定の長さ)/2π)とする。なお、上述したようにタイヤモデルの回転軸からベルトまでの距離が最大の箇所が箇所Aであり、その距離がRmaxである。
【0075】
また、箇所Bを含む分割領域M3の角度θ3は以下の式(2)から求められる。
【0076】
【数3】
このように、コサイン則で求めた角度xをそのまま分割領域M3のコード角度θ3として用いず、当該角度xと、分割領域M1のコード角度θ1と、係数βを用いてθ3を求める。ここで、βは所定の係数であり、タイヤの部材の種類毎に異なるが、このβの値としては、1.5〜4程度が考えられる。例えば、ショルダー部領域に与える角度の値は、コサイン則によって求められたセンター部領域のコード角度とコサイン則によって求められたショルダー部領域のコード角度との差の1.5倍以上で、かつ4倍以下の値が考えられる。また、上述したようにタイヤモデルの回転軸からベルトまでの距離が最大の箇所が箇所Bであり、その距離がRminである。
【0077】
また、幅方向の両端の分割領域M1とM3との間の分割領域M2の角度θ2は以下の式(3)から求められる。
【0078】
【数4】
このように、コサイン則で求めた角度yをそのまま分割領域M3のコード角度θ2として用いず、当該角度yと、分割領域M1のコード角度θ1と、係数βを用いてθ2を求める。ここで、R´は、分割領域M2の幅方向の中間位置であり、かつ半径方向の中間位置を分割領域M2の所定箇所Cとした場合の当該所定箇所Cからタイヤモデルの回転軸までの距離である。
【0079】
以上のように、設計データに含まれる変形前ベルトの所定の角度α、上記所定の長さ、予め定められた係数(所定係数)β、及び上記ステップ104で分割されたN個の分割領域(分割モデル)の各々の所定箇所(A、B、C)からタイヤモデルの回転軸までの距離の各々(Rmax、Rmin、R´)に基づいて、N個の分割領域の各々についてタイヤの周方向に対する角度θ1、θ3、θ2を演算する。
【0080】
次のステップ108では、上記ステップ106で分割領域M1、M2、M3の各々について演算された角度θ1、θ3、θ2の各々を、分割領域M1、M2、M3のタイヤモデルの周方向に対するコード角度として定義する。これにより最終的なタイヤモデルが規定され作成される。
【0081】
このように、タイヤモデルの回転軸からの半径方向の距離が最大の箇所Aから最小の箇所Bまでの特定領域Sを分割した分割点で、変形補強材のモデルをタイヤの幅方向に分割し、所定の角度α、所定長さ、所定係数β、及び分割された変形補強材のモデルのN個の分割領域の各々の所定箇所から回転軸までの距離の各々に基づいて、分割領域の各々について周方向に対するコード角度を演算するので、従来技術と比較して、簡易に、補強材のモデルの角度分布の精度が良好なタイヤモデルを規定し、作成することができる。
【0082】
また、コード角度分布条件は、計算に基づいて規定されると共に、この計算の方法は、成形前の補強層の周方向長さ、成形前の補強層のコードの赤道線からの角度、及び成形後の補強層の形状を用いたコサイン則にてタイヤモデルを規定するので、従来技術と比較して、簡易に、補強材のモデルの角度分布の精度が良好なタイヤモデルを規定し作成することができる。
【0083】
なお、上記ステップ106で、分割領域M1、M3の角度を演算する際に、所定箇所A、Bから回転軸までの距離Rmax、Rminを用いた例について説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、分割領域M1の角度を演算する際に分割領域M1の幅方向の中間位置であり、かつ半径方向の中間位置を分割領域M1の所定箇所Dとした場合の当該所定箇所Dからタイヤモデルの回転軸までの距離RDを用いても良い。また、分割領域M3の角度を演算する際に分割領域M3の幅方向の中間位置であり、かつ半径方向の中間位置を分割領域M3の所定箇所Eとした場合の当該所定箇所Eからタイヤモデルの回転軸までの距離REを用いても良い。
【0084】
また、上記では所定係数βを用いて分割領域M2、M3の角度を演算する例について説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、所定係数βを用いずに、以下の式(4)から分割領域M2の角度θ2を演算してもよい。
【0085】
【数5】
ただし、Rm2は、分割領域M2の幅方向の中間位置であり、かつ半径方向の中間位置を分割領域M2の所定箇所Fとした場合の当該所定箇所Fからタイヤモデルの回転軸までの距離である。
【0086】
同様に、所定係数βを用いずに、以下の式(5)から分割領域M3の角度θ3を演算してもよい。
【0087】
【数6】
ただし、Rm3は、分割領域M3の幅方向の中間位置であり、かつ半径方向の中間位置を分割領域M3の所定箇所Gとした場合の当該所定箇所Gからタイヤモデルの回転軸までの距離である。
【0088】
この場合、タイヤモデルの回転軸からの半径方向の距離が最大の箇所Aから最小の箇所Bまでの特定領域Sを分割した分割点で、変形補強材のモデルをタイヤの幅方向に分割し、所定の角度α、所定長さ、及び分割された変形補強材のモデルのN個の分割領域の各々の所定箇所から回転軸までの距離の各々に基づいて、分割領域の各々について周方向に対する角度を演算するので、従来技術と比較して、簡易に、補強材のモデルの角度分布の精度が良好なタイヤモデルを規定し、作成することができる。ただし、所定係数βを用いたほうがより好ましい。これは、所定係数βを用いない場合には、特定領域Sを分割するメリットが小さくなるからである。
【0089】
また、上記では、幅方向分割領域毎に与えられるコード角度分布条件が、計算に基づいて規定された数値に基づいた例について説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、幅方向分割領域毎に与えられるコード角度分布条件が、実測に基づいて規定された数値に基づくものであってもよい。また、幅方向分割領域毎に与えられるコード角度分布条件が、予め取得された統計(統計データ)に基づいて規定された数値に基づくものであってもよい。また、幅方向分割領域毎に与えられるコード角度分布条件が、計算、実測、または予め取得された統計の少なくとも1つに基づいて規定された数値に基づくものであってもよい。
【0090】
また、補強層の中間部領域に与える補正計算値は、ショルダー部領域に与える補正計算値と同様に求めることができる。その際、中間部領域に与える補正計算値は、ショルダー部領域と同様、コサイン則によって求められたセンター部領域のコード角計算値とコサイン則によって求められた中間部領域のコード角計算値との差の1.5倍以上4倍以下となる。
【0091】
また、ショルダー部領域に与える補正計算値と中間部領域に与える補正計算値は、全体のアンバランス及び誤差を抑えるべく、極力近い補正値(係数)を与えることが好ましい。
【0092】
また、本実施の形態では、成形後の補強層のコード角度分布条件が各幅方向分割領域に与えられたタイヤモデルを有限要素化して用いている。
【0093】
また、タイヤ周方向には不等分割のメッシュを用い、最も細かい周方向メッシュと最も粗い周方向メッシュの比が最大/最小で2から10であるようにしてもよい(更に好ましくはメッシュの比は、2から6である)。
【実施例】
【0094】
次に、実施例について図17を参照して説明する。本実施例としてモデル化・試作したタイヤは、タイヤサイズ:225/45R17であり、このタイヤを幅7.5インチのリムに組み、4.41kN荷重負荷時の接地形状を計測した。タイヤの構造は、いずれも2枚のボディプライ、角度付スチールベルト2枚、その外層に周方向ナイロン補強層を二層持つ。なお、前述した図16の実験結果も、同様の条件で行ったが、ここでは詳細な説明を省略する。
【0095】
本実験では、以下のパラメータを変化させ、10種類のモデル、及び比較例としての従来モデルの各々について計測し、実際の値(実験値)と比較した。
・ベルトのコード間距離分布
・ベルトのコード角度分布
・係数k
・ベルト打ち込み・角度分割数(1の場合は分割しない)
・ボディプライのコード間距離分布
【0096】
なお、ここでは、図18に示すように、タイヤのセンター部とショルダー部(接地総幅80%位置)の接地部周方向長さの比率(ショルダー接地長/センター接地長)により接地域の形状を単一値にて表現し、その正確さを各種モデル化の差で検証した。例えば、数値が小さいときは接地形状が丸いことを示し、逆に1に近い場合は矩形に近いことがわかる。また、実施例10のボディプライのコード間距離の分布は、ボディプライを拡張率に従って3分割して定義した。図17から明らかなように、実施例10が実験値に最も近いことがわかる。
【符号の説明】
【0097】
10 キーボード
12 コンピュータ本体
14 CRT
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤの周方向に対して所定の角度で複数のコードが配列され前記周方向に対して所定の長さを有する部材の部材モデルを変形した変形後の部材モデルを備えたタイヤモデルの回転軸からの半径方向の距離が最大の前記変形後の部材モデルの箇所から最小の前記変形後の部材モデルの箇所までの特定領域を分割した分割点で、前記変形後の部材モデルを前記タイヤモデルの幅方向に分割する分割手段と、
前記所定の角度、前記所定の長さ、前記変形前の部材モデルの前記幅方向に隣り合うコード間の距離、及び前記分割手段によって分割された前記変形後の部材モデルの複数の分割領域の各々の所定箇所から前記回転軸までの距離の各々に基づいて、前記分割領域の各々について前記幅方向に隣り合うコード間の距離を演算する第1の演算手段と、
前記第1の演算手段で演算されたコード間の距離に基づいて、前記複数の分割領域の各々についての、前記変形後の部材モデルの前記幅方向における単位長あたりのコード本数を演算する第2の演算手段と、
前記第2の演算手段で演算された分割領域の各々のコード本数に応じた物性値を前記タイヤモデルに定義する定義手段と、
を備えたタイヤモデル作成装置。
【請求項2】
前記第1の演算手段は、前記分割領域のうち、赤道線を含む第1の分割領域については、コサイン則により演算したコード間の距離を演算結果とし、前記第1の分割領域以外の第2の分割領域については、コサイン則により演算したコード間の距離よりも長い距離となるように補正したコード間の距離を演算結果とする
請求項1に記載のタイヤモデル作成装置。
【請求項3】
前記第1の演算手段は、前記第2の分割領域については、前記第1の分割領域の演算結果と前記第2の分割領域の演算結果との差が、前記第1の分割領域の演算結果と前記コサイン則によって演算された前記第2の分割領域のコード間の距離との差の1.5倍以上で、かつ4倍以下となるように補正する
請求項2記載のタイヤモデル作成装置。
【請求項4】
前記タイヤモデルには、複数のコードが前記タイヤの中心から放射状に配列された部材のモデルが含まれ、
変形後の部材のモデルの周方向に隣り合うコード間の距離を、前記部材のモデルの変形前の半径及び変形後の半径と、変形前の部材のモデルの周方向に隣り合うコード間の距離とに基づいて演算する第3の演算手段と、
前記第3の演算手段で演算されたコード間の距離に基づいて、前記変形後の部材の前記周方向における単位長あたりのコード本数を演算する第4の演算手段と、を更に備え、
前記定義手段は、更に前記第4の演算手段によって演算されたコード本数に応じた物性値を前記タイヤモデルに定義する
請求項1〜請求項3のいずれか1項記載のタイヤモデル作成装置。
【請求項5】
前記所定の角度、前記所定の長さ、及び前記分割手段によって分割された前記変形後の部材モデルの複数の分割領域の各々の所定箇所から前記回転軸までの距離の各々に基づいて、前記分割領域の各々について前記周方向に対するコードの角度を演算する第5の演算手段を更に備え、
前記定義手段は、更に前記第5の演算手段で演算された前記分割領域毎の角度の各々に応じた物性値を前記タイヤモデルに定義する
請求項1〜請求項4のいずれか1項記載のタイヤモデル作成装置。
【請求項6】
タイヤの周方向に対して所定の角度で複数のコードが配列され前記周方向に対して所定の長さを有する部材の部材モデルを変形した変形後の部材モデルを備えたタイヤモデルの回転軸からの半径方向の距離が最大の前記変形後の部材モデルの箇所から最小の前記変形後の部材モデルの箇所までの特定領域を分割した分割点で、前記変形後の部材モデルを前記タイヤモデルの幅方向に分割する分割ステップと、
前記所定の角度、前記所定の長さ、前記変形前の部材モデルの前記幅方向に隣り合うコード間の距離、及び前記分割ステップによって分割された前記変形後の部材モデルの複数の分割領域の各々の所定箇所から前記回転軸までの距離の各々に基づいて、前記分割領域の各々について前記幅方向に隣り合うコード間の距離を演算する第1の演算ステップと、
前記第1の演算ステップで演算されたコード間の距離に基づいて、前記複数の分割領域の各々についての、前記変形後の部材モデルの前記幅方向における単位長あたりのコード本数を演算する第2の演算ステップと、
前記第2の演算ステップで演算された分割領域の各々のコード本数に応じた物性値を前記タイヤモデルに定義する定義ステップと、
を備えたタイヤモデル作成方法。
【請求項7】
コンピュータを、
タイヤの周方向に対して所定の角度で複数のコードが配列され前記周方向に対して所定の長さを有する部材の部材モデルを変形した変形後の部材モデルを備えたタイヤモデルの回転軸からの半径方向の距離が最大の前記変形後の部材モデルの箇所から最小の前記変形後の部材モデルの箇所までの特定領域を分割した分割点で、前記変形後の部材モデルを前記タイヤモデルの幅方向に分割する分割手段、
前記所定の角度、前記所定の長さ、前記変形前の部材モデルの前記幅方向に隣り合うコード間の距離、及び前記分割手段によって分割された前記変形後の部材モデルの複数の分割領域の各々の所定箇所から前記回転軸までの距離の各々に基づいて、前記分割領域の各々について前記幅方向に隣り合うコード間の距離を演算する第1の演算手段、
前記第1の演算手段で演算されたコード間の距離に基づいて、前記複数の分割領域の各々についての、前記変形後の部材モデルの前記幅方向における単位長あたりのコード本数を演算する第2の演算手段、及び
前記第2の演算手段で演算された分割領域の各々のコード本数に応じた物性値を前記タイヤモデルに定義する定義手段、
として機能させるためのプログラム。
【請求項1】
タイヤの周方向に対して所定の角度で複数のコードが配列され前記周方向に対して所定の長さを有する部材の部材モデルを変形した変形後の部材モデルを備えたタイヤモデルの回転軸からの半径方向の距離が最大の前記変形後の部材モデルの箇所から最小の前記変形後の部材モデルの箇所までの特定領域を分割した分割点で、前記変形後の部材モデルを前記タイヤモデルの幅方向に分割する分割手段と、
前記所定の角度、前記所定の長さ、前記変形前の部材モデルの前記幅方向に隣り合うコード間の距離、及び前記分割手段によって分割された前記変形後の部材モデルの複数の分割領域の各々の所定箇所から前記回転軸までの距離の各々に基づいて、前記分割領域の各々について前記幅方向に隣り合うコード間の距離を演算する第1の演算手段と、
前記第1の演算手段で演算されたコード間の距離に基づいて、前記複数の分割領域の各々についての、前記変形後の部材モデルの前記幅方向における単位長あたりのコード本数を演算する第2の演算手段と、
前記第2の演算手段で演算された分割領域の各々のコード本数に応じた物性値を前記タイヤモデルに定義する定義手段と、
を備えたタイヤモデル作成装置。
【請求項2】
前記第1の演算手段は、前記分割領域のうち、赤道線を含む第1の分割領域については、コサイン則により演算したコード間の距離を演算結果とし、前記第1の分割領域以外の第2の分割領域については、コサイン則により演算したコード間の距離よりも長い距離となるように補正したコード間の距離を演算結果とする
請求項1に記載のタイヤモデル作成装置。
【請求項3】
前記第1の演算手段は、前記第2の分割領域については、前記第1の分割領域の演算結果と前記第2の分割領域の演算結果との差が、前記第1の分割領域の演算結果と前記コサイン則によって演算された前記第2の分割領域のコード間の距離との差の1.5倍以上で、かつ4倍以下となるように補正する
請求項2記載のタイヤモデル作成装置。
【請求項4】
前記タイヤモデルには、複数のコードが前記タイヤの中心から放射状に配列された部材のモデルが含まれ、
変形後の部材のモデルの周方向に隣り合うコード間の距離を、前記部材のモデルの変形前の半径及び変形後の半径と、変形前の部材のモデルの周方向に隣り合うコード間の距離とに基づいて演算する第3の演算手段と、
前記第3の演算手段で演算されたコード間の距離に基づいて、前記変形後の部材の前記周方向における単位長あたりのコード本数を演算する第4の演算手段と、を更に備え、
前記定義手段は、更に前記第4の演算手段によって演算されたコード本数に応じた物性値を前記タイヤモデルに定義する
請求項1〜請求項3のいずれか1項記載のタイヤモデル作成装置。
【請求項5】
前記所定の角度、前記所定の長さ、及び前記分割手段によって分割された前記変形後の部材モデルの複数の分割領域の各々の所定箇所から前記回転軸までの距離の各々に基づいて、前記分割領域の各々について前記周方向に対するコードの角度を演算する第5の演算手段を更に備え、
前記定義手段は、更に前記第5の演算手段で演算された前記分割領域毎の角度の各々に応じた物性値を前記タイヤモデルに定義する
請求項1〜請求項4のいずれか1項記載のタイヤモデル作成装置。
【請求項6】
タイヤの周方向に対して所定の角度で複数のコードが配列され前記周方向に対して所定の長さを有する部材の部材モデルを変形した変形後の部材モデルを備えたタイヤモデルの回転軸からの半径方向の距離が最大の前記変形後の部材モデルの箇所から最小の前記変形後の部材モデルの箇所までの特定領域を分割した分割点で、前記変形後の部材モデルを前記タイヤモデルの幅方向に分割する分割ステップと、
前記所定の角度、前記所定の長さ、前記変形前の部材モデルの前記幅方向に隣り合うコード間の距離、及び前記分割ステップによって分割された前記変形後の部材モデルの複数の分割領域の各々の所定箇所から前記回転軸までの距離の各々に基づいて、前記分割領域の各々について前記幅方向に隣り合うコード間の距離を演算する第1の演算ステップと、
前記第1の演算ステップで演算されたコード間の距離に基づいて、前記複数の分割領域の各々についての、前記変形後の部材モデルの前記幅方向における単位長あたりのコード本数を演算する第2の演算ステップと、
前記第2の演算ステップで演算された分割領域の各々のコード本数に応じた物性値を前記タイヤモデルに定義する定義ステップと、
を備えたタイヤモデル作成方法。
【請求項7】
コンピュータを、
タイヤの周方向に対して所定の角度で複数のコードが配列され前記周方向に対して所定の長さを有する部材の部材モデルを変形した変形後の部材モデルを備えたタイヤモデルの回転軸からの半径方向の距離が最大の前記変形後の部材モデルの箇所から最小の前記変形後の部材モデルの箇所までの特定領域を分割した分割点で、前記変形後の部材モデルを前記タイヤモデルの幅方向に分割する分割手段、
前記所定の角度、前記所定の長さ、前記変形前の部材モデルの前記幅方向に隣り合うコード間の距離、及び前記分割手段によって分割された前記変形後の部材モデルの複数の分割領域の各々の所定箇所から前記回転軸までの距離の各々に基づいて、前記分割領域の各々について前記幅方向に隣り合うコード間の距離を演算する第1の演算手段、
前記第1の演算手段で演算されたコード間の距離に基づいて、前記複数の分割領域の各々についての、前記変形後の部材モデルの前記幅方向における単位長あたりのコード本数を演算する第2の演算手段、及び
前記第2の演算手段で演算された分割領域の各々のコード本数に応じた物性値を前記タイヤモデルに定義する定義手段、
として機能させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−11961(P2012−11961A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−152413(P2010−152413)
【出願日】平成22年7月2日(2010.7.2)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月2日(2010.7.2)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】
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