説明

タイヤ状態監視装置

【課題】構成の簡素化及び低コスト化を図りつつ、車輪の前後位置を判定することができるタイヤ状態監視装置を提供すること。
【解決手段】タイヤ状態監視装置は、車両1のドアノブ1aに車両1の前後方向に延びる磁界を発生させる車両側LF送信アンテナ31を備えるとともに、車輪2それぞれに設けられるタイヤセンサユニット3を備える。各タイヤセンサユニット3は、磁気センサ13を有する。受信機ユニット4は、受信されたデータ信号に含まれる磁界の向きに関する情報に基づき該データ信号が、車両1の前側の車輪2に設けられたタイヤセンサユニット3から送信されたデータ信号であるのか、後側の車輪2に設けられたタイヤセンサユニット3から送信されたデータ信号であるのかを判定するユニットコントローラを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に設けられた複数の車輪のタイヤ状態を監視するためのタイヤ状態監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に設けられた複数のタイヤの状態を運転者が車室内で確認できるようにするための装置として、無線方式のタイヤ状態監視装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載されたタイヤ状態監視装置は、車両の車輪にそれぞれ装着される複数の送信機と、車両の車体に搭載される受信機とを備えている。各送信機は、対応するタイヤの状態、即ちタイヤ内の圧力を検出し、検出されたタイヤの状態を示すデータを含むデータ信号をRF送信アンテナを通じて無線送信する。また、各送信機は、LF受信アンテナを備える。
【0003】
一方、受信機は、LF送信アンテナ、及びRF受信アンテナを備えるとともに、LF送信アンテナは各車輪それぞれに対応するように車両のドアに配置されている。なお、このLF送信アンテナは、キーレスシステムのカードに向けて信号を送信するためにドアに設けられている。
【0004】
そして、タイヤ状態監視装置においては、受信機は、各送信機のRF送信アンテナからのデータ信号をRF受信アンテナを通じて受信して、タイヤの圧力に関する情報を車室内に設けられた表示器に必要に応じて表示させる。また、タイヤ状態監視装置では、受信されたデータ信号が複数のタイヤのうちのどのタイヤに設けられた送信機から発信されたものであるのかを、言い換えれば、受信されたデータ信号に関連するタイヤ(車輪)の位置を、受信機において判定するようになっている。具体的には、受信機は、特定したい車輪に近いLF送信アンテナから、その特定したい車輪の送信機に、タイヤの圧力に関する情報とID情報を送信するように信号を送信する。そして、特定したい車輪の送信機からの信号に基づき、車輪の位置を特定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−268612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1においては、車輪位置を判定するには、車輪1つに対し、1つのLF送信アンテナを設ける必要があり、タイヤ状態監視装置としての部品点数が多く、構成が複雑であるとともにコストが嵩んでしまう。
【0007】
本発明は、構成の簡素化及び低コスト化を図りつつ、車輪の前後位置を判定することができるタイヤ状態監視装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、車両に設けられた複数の車輪のタイヤ状態を監視するためのタイヤ状態監視装置であって、前記車両の側部に、該車両の前後方向に延びる磁界を発生させる磁界発生部を備えるとともに、前記車輪それぞれに設けられるタイヤセンサユニット、及び前記車両の車体に設置された受信機ユニットを備え、前記各タイヤセンサユニットは、前記磁界発生部から発生した磁界の向きを検出し、該磁界の向きに応じた磁界向きデータ信号を発生する磁気センサと、前記データ信号を無線送信する送信部とを有し、前記受信機ユニットは、前記各タイヤセンサユニットから送信されるデータ信号を受信する受信部と、受信されたデータ信号に含まれる磁界の向きに関する情報に基づき該データ信号が前記車両の前側の車輪に設けられた前記受信機ユニットから送信されたデータ信号であるのか、後側の車輪に設けられた前記受信機ユニットから送信されたデータ信号であるのかを判定する車輪位置判定部と、を有する。
【0009】
この発明によれば、車両の側部に設けられ磁界発生部から発生した磁界は、磁界発生部から前後方向に延びるとともにループ状に形成される。このため、前側車輪の磁気センサで検出される磁界の向きと、後側車輪の磁気センサで検出される磁界の向きとは逆になる。よって、この磁界の向きの違いから車輪の前後位置を判定することができる。したがって、タイヤ状態監視装置においては、車両の側部に少なくとも1つ磁界発生部が設けられていれば、各タイヤセンサユニットの磁気センサからのデータ信号に基づき車輪の前後位置を判定することができる。したがって、車輪の前後位置を判定するために、車輪それぞれに対応してLF送信アンテナを1つずつ(片側に2つ)配置した背景技術と比べると、タイヤ状態監視装置としての部品点数を減らし、構成を簡素化することができるとともに低コスト化を図ることができる。
【0010】
また、前記磁界発生部は、低周波信号を受信可能なキーレスエントリー用携帯機へ前記低周波信号を送信する送信アンテナよりなるものでもよい。
この発明によれば、磁界発生部として、キーレスエントリー機能の送信アンテナを利用した。よって、タイヤ状態監視装置においては、キーレスエントリー機能で使用される既存の構成を用いつつ、タイヤセンサユニットに磁気センサを追加するだけの構成で、車輪の前後位置を判定することができる。
【0011】
また、前記受信機ユニットは、前記車両のイグニッションスイッチがオンされると前記タイヤセンサユニットを前記磁界を検出する磁界検出モードに切り替えるための起動信号を送信するとともに、前記磁界発生部に磁界を発生させるものでもよい。
【0012】
この発明によれば、運転者は、自身が登場した車両のタイヤの状態を、車両のエンジンが始動された際に的確に把握することが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、構成の簡素化及び低コスト化を図りつつ、車輪の前後位置を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態のタイヤ状態監視装置が搭載された車両を示す概略構成図。
【図2】図1のタイヤセンサユニットの回路構成を示すブロック図。
【図3】携帯機の回路構成を示すブロック図。
【図4】タイヤ状態監視装置の作用を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明をキーレスエントリーシステムを利用するタイヤ状態監視装置に具体化した一実施形態を図1〜図4にしたがって説明する。
図1に示すように、タイヤ状態監視装置は、車両1の4つの車輪2にそれぞれ取り付けられる4つのタイヤセンサユニット3と、車両1の車体に設置される受信機ユニット4とを備えている。また、車両1のドアノブ1a(側部)には、車両1の所有者が携帯するキーレスエントリー用の携帯機40にリクエスト信号(低周波信号)を送信する車両側LF送信アンテナ31が設けられている。車両1における各車輪2は、ホイール部5と、このホイール部5に装着されるタイヤ6とを含む。なお以後、適宜に、前側左側の車輪2を符号FLで示し、前側右側の車輪2を符号FRで示し、後側左側の車輪2を符号RLで示し、後側右側の車輪2を符号RRで示す。
【0016】
図2に示すように、各タイヤセンサユニット3は、圧力センサ11、温度センサ12、磁気センサ13、センサユニットコントローラ14、タイヤ側LF受信回路15、及び送信部としてのタイヤ側RF送信回路16が設けられている。圧力センサ11、温度センサ12、磁気センサ13、センサユニットコントローラ14、タイヤ側LF受信回路15、及びタイヤ側RF送信回路16は、タイヤセンサユニット3に内蔵された電池(図示せず)から供給される電力によって駆動される。
【0017】
圧力センサ11は、対応するタイヤ6内の圧力(内部空気圧)を検出して、その検出によって得られたタイヤ内圧力データをセンサユニットコントローラ14に出力する。温度センサ12は、対応するタイヤ6内の温度(内部空気温度)を検出して、その検出によって得られたタイヤ内温度データをセンサユニットコントローラ14に出力する。磁気センサ13は、ホールセンサやGMR磁気センサ等が用いられ、車両1の車両側LF送信アンテナ31から発生する磁界の向きを検出して、その検出によって得られたタイヤ磁界向きデータをセンサユニットコントローラ14に出力する。
【0018】
センサユニットコントローラ14は、CPU及び記憶部14a(RAMやROM等)を含むマイクロコンピュータ等よりなり、記憶部14aには各タイヤセンサユニット3に固有の識別情報であるIDコードが登録されている。このIDコードは、各タイヤセンサユニット3を受信機ユニット4において識別するために使用される情報であり、センサユニットコントローラ14からの送信信号に含められる。センサユニットコントローラ14は、タイヤ内圧力データ、タイヤ内温度データ、タイヤ磁界向きデータ、及びIDコードを含むデータを、タイヤ側RF送信回路16に出力する。タイヤ側RF送信回路16は、センサユニットコントローラ14からのデータを変調して変調信号を生成し、変調信号をタイヤ側RF送信アンテナ19から無線送信する。
【0019】
タイヤセンサユニット3のタイヤ側LF受信回路15は、受信機ユニット4から送信されたLF信号(例えば、後述する指令信号)を、タイヤ側LF受信アンテナ17を通じて受信するとともに、そのLF信号を復調して、センサユニットコントローラ14に送る。センサユニットコントローラ14は、受信機ユニット4からの指令信号を受信するのに応答して、指令信号中の指令内容に応じた動作を行う。具体的には、受信機ユニット4から送信される指令信号は、起動信号及び停止信号を含む。センサユニットコントローラ14は、受信機ユニット4からの起動信号の入力に応答して、タイヤセンサユニット3の動作モードを、車両1の車両側LF送信アンテナ31で発生する磁界を検出する磁界検出モードに切り替える。一方、センサユニットコントローラ14は、受信機ユニット4からの停止信号の入力に応答して、タイヤセンサユニット3の動作モードを、磁界の検出を停止し、タイヤ状態を検出するタイヤ状態検出モードに切り替える。
【0020】
図3に示すように、携帯機40は、コントローラ41、携帯機側RF送信回路42、携帯機側LF受信回路43を備えるとともに、ロックスイッチ48、及びアンロックスイッチ49を備える。また、携帯機側RF送信回路42には、携帯機側RF送信アンテナ45が接続されるとともに、携帯機側LF受信回路43には携帯機側LF受信アンテナ46が接続されている。
【0021】
コントローラ41は、CPU、RAM及びROMを含むマイクロコンピュータ等よりなり、ROMには固有の識別情報であるIDコード(識別コード)が登録されている。このIDコードは、携帯機40を、車両1のドアロック機構50において識別するために使用される情報である。
【0022】
携帯機40の携帯機側LF受信アンテナ46は、車両1から送信されてくるリクエスト信号(LF信号)を受信するとともに、携帯機側LF受信回路43は携帯機側LF受信アンテナ46で受信されたリクエスト信号を復調して復調信号を生成し、その復調信号をコントローラ41に送る。そして、コントローラ41は、リクエスト信号の入力に応答して、携帯機40のIDコードを含む信号(IDコード信号)を生成するとともに、そのIDコード信号を携帯機側RF送信回路42に送る。携帯機側RF送信回路42は、コントローラ41から送られたIDコード信号を変調し、その変調信号を携帯機側RF送信アンテナ45から送信する。
【0023】
図1に示すように、受信機ユニット4は、車体の所定箇所に設置され、例えば車両1のバッテリ(図示せず)からの電力によって動作する。受信機ユニット4は、車体の任意の箇所に配置された車両側RF受信アンテナ32を備える。車両側RF受信アンテナ32は、各タイヤセンサユニット3のタイヤ側RF送信アンテナ19から送信された変調信号を受信する。
【0024】
受信機ユニット4は、車輪位置判定部としてのユニットコントローラ33を備えるとともに、受信部としての車両側RF受信回路35、及び車両側LF送信回路30を備える。また、受信機ユニット4は、警報器37、及び表示器38を備えている。さらに、受信機ユニット4は、キー照合ユニット51、及びドアロック機構50を各ドアノブ1aに対応して備えている。ユニットコントローラ33はCPU及び記憶部(ROMやRAM等)を含むマイクロコンピュータ等よりなり、受信機ユニット4の動作を統括的に制御する。また、車両側RF受信回路35は、車両側RF受信アンテナ32を通じて受信した変調信号を復調し、データ信号をユニットコントローラ33に送る。
【0025】
受信機ユニット4の車両側LF送信回路30は、モード切り替えのための指令信号(起動信号及び停止信号)、及びキーレスエントリー用のリクエスト信号をLF信号に変調して、左右のドアそれぞれの車両側LF送信アンテナ31から前後の各タイヤセンサユニット3に送信する。車両側LF送信アンテナ31は、左右それぞれ前後の車輪2の間に位置するように、ドアノブ1aに設置されている。
【0026】
ユニットコントローラ33は、車両側RF受信回路35からのデータ信号に基づき、発信元のタイヤセンサユニット3に対応するタイヤ6の内部空気圧及び内部温度を把握する。さらに、車両側RF受信回路35は、車両側RF受信アンテナ32を通じて受信された携帯機40からのIDコード信号を復調して、ユニットコントローラ33に送る。
【0027】
さらには、ユニットコントローラ33は、車両側RF受信回路35からのデータ信号に基づき、発信元のタイヤセンサユニット3が、車両1の前側の車輪2(FL,FR)に設けられたものであるのか、後側の車輪2(RL,RR)に設けられたものであるかを判定する。
【0028】
ユニットコントローラ33は、内部空気圧及び内部温度に関する情報等を表示器38に表示させる。表示器38は、車室内等、車両1の搭乗者の視認範囲に配置される。ユニットコントローラ33はさらに、内部空気圧や内部温度の異常を警報器(報知器)37にて報知させる。警報器37としては、例えば、異常を音によって報知する装置や、異常を光によって報知する装置が適用される。なお、このような異常を報知器としての表示器38によって報知させるようにしてもよい。この場合、異常の具体的内容を表示器38上に文字で表示することが好ましい。
【0029】
ユニットコントローラ33には、車両1のドアのロック・アンロックを行うためのドアロック機構50が接続されている。また、ユニットコントローラ33には、キー照合ユニット51が接続されている。このキー照合ユニット51には、ドアロック機構50が搭載されている車両1に適合する携帯機40のIDコードと同一の基準IDコードが記憶されている。
【0030】
そして、キー照合ユニット51は、ユニットコントローラ33から送られた携帯機40のIDコードと基準IDコードとを照合する。そして、キー照合ユニット51は、両IDコードが一致したとき、適合する携帯機40が車両1の近傍に存在していることを認識する。ユニットコントローラ33は、携帯機40が車両1の近傍に存在していることを認識している状態で、携帯機40の所有者がドアノブ1aに手をかさしたとき、又はロックスイッチ48若しくはアンロックスイッチ49が押圧操作されたとき、ドアロック機構50によるドアのロック又はアンロックを行う。
【0031】
図1に示すように、ユニットコントローラ33には、車両1に搭載されたエンジンの始動及び停止を行うために、車両1への搭乗者によって操作されるイグニッションスイッチ55が接続されている。ユニットコントローラ33は、イグニッションスイッチ55がオンされたときに、上述の起動信号を生成する。一方、ユニットコントローラ33は、イグニッションスイッチ55がオンされ、車輪2の前後位置が判定された後、上述の停止信号を生成する。
【0032】
次に、タイヤ状態監視装置の作用について説明する。なお、車両1の前側右側(FR)の車輪2、及び後側右側(RR)の車輪2の位置を判定する場合について説明する。
携帯機40を所有した搭乗者がドアを開けて車両1に搭乗し、イグニッションスイッチ55がオンされると、ユニットコントローラ33は起動信号を生成するとともに、その起動信号を左右両方の車両側LF送信アンテナ31から各タイヤセンサユニット3に送信する。各タイヤセンサユニット3においては、タイヤ側LF受信回路15は、タイヤ側LF受信アンテナ17を通じて受信された起動信号を復調して、センサユニットコントローラ14に送る。センサユニットコントローラ14は、起動信号に応答して、磁界検出モードに切り替える。
【0033】
また、ユニットコントローラ33は、右側のドアノブ1aの車両側LF送信アンテナ31に通電を開始させ、右側の車両側LF送信アンテナ31に磁界を発生させる。図4に示すように、右側の車両側LF送信アンテナ31で発生した磁界は、車両1前後の車輪2を通過するように形成される。そして、磁界検出モードにあるタイヤセンサユニット3においては、磁気センサ13によって磁界が検出されるとともに、その向きも検出される。ここで、車両1における右側の車両側LF送信アンテナ31から発生する磁界は、前側右側の車輪2の磁気センサ13に対しては、車幅方向に沿った車両1の外側から内側に向けて通過し、後側右側の車輪2の磁気センサ13に対しては、車幅方向に沿った車両1の内側から外側に向けて通過する。
【0034】
このため、車両1の右側において、前側の車輪2と後側の車輪2では、磁気センサ13で検出される磁界の向きが逆になる。そして、前側右側の磁気センサ13と後側右側の磁気センサ13とは、それぞれ異なる磁界向きデータを検出し、センサユニットコントローラ14に出力する。車両1の右側の各センサユニットコントローラ14は、磁界向きデータを含むデータ信号をタイヤ側RF送信アンテナ19を通じて受信機ユニット4の車両側RF受信回路35に送信する。
【0035】
車両側RF受信回路35は、各タイヤセンサユニット3から車両側RF受信アンテナ32を通じて受信された変調信号を復調して、ユニットコントローラ33に送る。そして、ユニットコントローラ33は、磁界向きデータに基づいて、それらデータ信号が前側右側のタイヤセンサユニット3から送信されたデータ信号であるのか、後側右側のタイヤセンサユニット3から送信されたデータ信号であるのかを判定する。そして、車両1の前側左側(FL)の車輪2、及び後側左側(RL)の車輪2の位置を判定も上記と同様に行われる。
【0036】
そして、車両1において、前後左右の車輪2の位置が判定されると、ユニットコントローラ33は停止信号を生成するとともに、その停止信号を左右両方の車両側LF送信アンテナ31から各タイヤセンサユニット3に送信する。すると、各タイヤセンサユニット3では、センサユニットコントローラ14がタイヤセンサユニット3の動作モードを、タイヤ状態検出モードに切り替える。
【0037】
その後、各タイヤセンサユニット3では、タイヤ状態が検出され、ユニットコントローラ33は、各タイヤセンサユニット3からのデータ信号に基づいて、発信元のタイヤセンサユニット3に対応するタイヤ6のタイヤ内圧力及びタイヤ内温度を把握する。
【0038】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)タイヤセンサユニット3に磁気センサ13を設けた。そして、車両1のドアノブ1aに設けられた車両側LF送信アンテナ31から発生した磁界の向きを磁気センサ13で検出するようにした。磁界は車両側LF送信アンテナ31からループ状に形成されるため、車両1の前側と後側では、磁気センサ13で検出される磁界の向きが逆になる。よって、この磁界の向きの違いから車輪2の前後位置を判定することができる。したがって、車両1の左右それぞれにおいて、前後2つの車輪2の前後位置を判定するために、左右片側それぞれで1つの車両側LF送信アンテナ31を用いればよい。したがって、車輪2の前後左右位置を判定するために、車輪2それぞれに対応してLF送信アンテナを1つずつ配置し、LF送信アンテナを4つ必要とした背景技術と比べると、タイヤ状態監視装置としての部品点数を減らし、構成を簡素化することができるとともに低コスト化を図ることができる。
【0039】
(2)車輪2の位置を判定するために用いられる車両側LF送信アンテナ31は、キーレスエントリーシステムで携帯機40にリクエスト信号(低周波信号)を送信するためにドアノブ1aに設置される既存の構成である。したがって、車両1に搭載の既存の構成を用いて車輪2の前後左右位置を判定することができ、タイヤ状態監視装置としての部品増加を抑え、低コスト化を図ることができる。
【0040】
(3)車両1のイグニッションスイッチ55がオンされると、タイヤセンサユニット3の動作モードを磁界検出モードに切り替えるため、ユニットコントローラ33はタイヤセンサユニット3に起動信号を送信するとともに、車両側LF送信アンテナ31に磁界を発生させる。そして、車輪2の位置が判定されると、タイヤセンサユニット3の動作モードをタイヤ状態検出モードに切り替えるため、ユニットコントローラ33はタイヤセンサユニット3に停止信号を送信するとともに、車両側LF送信アンテナ31による磁界の発生を停止させる。よって、搭乗者は、自身が搭乗した車両1のタイヤ6の状態を、車両1のエンジンが始動された際に的確に把握することが可能となる。
【0041】
(4)タイヤセンサユニット3の動作モードを磁界検出モード又はタイヤ状態検出モードに切り替えるため、ユニットコントローラ33は車両側LF送信アンテナ31から起動信号又は停止信号を送信させる。また、車両側LF送信アンテナ31は、車輪2の前後位置の判定のための磁界も発生させる。すなわち、車両側LF送信アンテナ31は、起動信号又は停止信号の送信機能と、磁界発生機能とを兼用しており、各機能を発揮させるための構成を別々に設ける場合と比べると、タイヤ状態監視装置としての部品増加を抑え、低コスト化を図ることができる。
【0042】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 実施形態では、車両1の前側のドアノブ1aに設けた車両側LF送信アンテナ31を用いて車輪2の前後位置を判定したが、車両1の前後両方のドアノブ1aに車両側LF送信アンテナ31が設けられている場合、前側のドアノブ1aに設けた車両側LF送信アンテナ31を用いて車輪2の前後位置を判定してもよい。
【0043】
○ 磁界発生部は、実施形態ではキーレスエントリーシステムにおける車両側LF送信アンテナ31に具体化したが、車両1に搭載され、磁界を発生できるものであれば、車両側LF送信アンテナ31に限定されない。
【0044】
○ 実施形態では、磁界発生部としての車両側LF送信アンテナ31は、ドアノブ1aに設けられていたが、ドアミラーに設けられていてもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
【0045】
(イ)前記起動信号及び停止信号は、前記送信アンテナから送信される請求項3に記載のタイヤ状態監視装置。
(ロ)前記車輪の前後位置が判定されると前記タイヤセンサユニットをタイヤ状態を検出するタイヤ状態検出モードに切り換えるための停止信号を送信するとともに、前記磁界発生部からの磁界の発生を停止させる請求項3に記載のタイヤ状態監視装置。
【符号の説明】
【0046】
1…車両、2…車輪、3…タイヤセンサユニット、4…受信機ユニット、6…タイヤ、13…磁気センサ、16…タイヤ側RF送信回路(送信部)、31…磁界発生部としての車両側LF送信アンテナ、33…ユニットコントローラ(車輪位置判定部)、35…車両側RF受信回路(受信部)、40…キーレスエントリー用の携帯機、55…イグニッションスイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられた複数の車輪のタイヤ状態を監視するためのタイヤ状態監視装置であって、
前記車両の側部に、該車両の前後方向に延びる磁界を発生させる磁界発生部を備えるとともに、
前記車輪それぞれに設けられるタイヤセンサユニット、及び前記車両の車体に設置された受信機ユニットを備え、
前記各タイヤセンサユニットは、前記磁界発生部から発生した磁界の向きを検出し、該磁界の向きに応じた磁界向きデータ信号を発生する磁気センサと、
前記データ信号を無線送信する送信部とを有し、
前記受信機ユニットは、前記各タイヤセンサユニットから送信されるデータ信号を受信する受信部と、
受信されたデータ信号に含まれる磁界の向きに関する情報に基づき該データ信号が前記車両の前側の車輪に設けられた前記受信機ユニットから送信されたデータ信号であるのか、後側の車輪に設けられた前記受信機ユニットから送信されたデータ信号であるのかを判定する車輪位置判定部と、を有することを特徴とするタイヤ状態監視装置。
【請求項2】
前記磁界発生部は、低周波信号を受信可能なキーレスエントリー用携帯機へ前記低周波信号を送信する送信アンテナよりなる請求項1に記載のタイヤ状態監視装置。
【請求項3】
前記受信機ユニットは、前記車両のイグニッションスイッチがオンされると前記タイヤセンサユニットを前記磁界を検出する磁界検出モードに切り替えるための起動信号を送信するとともに、前記磁界発生部に磁界を発生させる請求項2に記載のタイヤ状態監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−71466(P2013−71466A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−209512(P2011−209512)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000204033)太平洋工業株式会社 (143)