説明

タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ

【課題】低燃費性と耐摩耗性とウェットグリップ性のバランスを向上する。
【解決手段】ジエン系ゴム成分100質量部に対して、BET比表面積が220〜400m/gかつCTAB吸着比表面積が180〜400m/gであるシリカを硫黄含有シランカップリング剤及び疎水化剤で表面処理した表面処理シリカ10〜200質量部を配合してなるタイヤ用ゴム組成物である。また、該ゴム組成物を用いてなる空気入りタイヤである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面処理シリカを含有するタイヤ用ゴム組成物、及びそれを用いた空気入りタイヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車タイヤに要求される特性は低燃費性のほか、操縦安定性、耐摩耗性、乗り心地など多岐にわたり、これらの性能を向上するために種々の工夫がなされている。たとえば、低燃費化、すなわち転がり抵抗の低減を図る場合、充填剤(フィラー)の充填量を減量する方法などが行なわれている。しかしながら、いずれの方法によっても、補強性の低下による耐摩耗性の低下や、ウェットグリップ性(湿潤路面でのグリップ性能)の低下を免れない。
【0003】
低燃費性向上のためには、タイヤを構成するゴム組成物のヒステリシスロスを低減して低発熱性にすることが有効であり、充填剤としてシリカが用いられている。しかしながら、シリカは、粒子表面にシラノール基(Si−OH)を有し、親水性であるため、粒子同士が凝集しやすく、分散性に劣るという問題がある。そのため、シランカップリング剤を配合して、シリカの分散性を向上しているが、更なる低燃費化が求められている。
【0004】
そのため、ゴム組成物中でのシリカの分散性を改良するため、シリカをシランカップリング剤で予め表面処理することが提案されている。
【0005】
例えば、下記特許文献1,2には、スルフィドシランカップリング剤でシリカを処理した表面処理シリカを、タイヤ用ゴム組成物に配合することが開示されている。しかしながら、スルフィドシランカップリング剤のみで表面処理したシリカでは、ゴム成分への分散が不十分である。
【0006】
下記特許文献3,4には、スルフィドシランカップリング剤と有機シラン化合物と疎水化剤とで処理した表面処理シリカを、タイヤ用ゴム組成物に配合することが開示されている。また、下記特許文献5には、メルカプトシランカップリング剤と、アミノシランカップリング剤と、脂肪酸とで処理した表面処理シリカを配合することが開示されている。更に、下記特許文献6には、硫黄含有シランカップリング剤と、脂肪酸、ポリエーテル、高級アルコール及び界面活性剤等の疎水化剤とで処理した表面処理シリカを配合する点が開示されている。これらの文献に開示された表面処理シリカであると、低燃費性と耐摩耗性のバランスを改善することができるものの、低燃費性と耐摩耗性とウェットグリップ性のバランスについては不十分であり、更なる改善が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−169559号公報
【特許文献2】特開2010−189647号公報
【特許文献3】特開2010−059269号公報
【特許文献4】特開2010−059270号公報
【特許文献5】特開2010−059271号公報
【特許文献6】特開2010−059272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、以上の点に鑑み、低燃費性と耐摩耗性とウェットグリップ性のバランスを向上することができるタイヤ用ゴム組成物、及びそれを用いた空気入りタイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るタイヤ用ゴム組成物は、ジエン系ゴム成分100質量部に対して、BET比表面積が220〜400m/gかつCTAB吸着比表面積が180〜400m/gであるシリカを硫黄含有シランカップリング剤及び疎水化剤で表面処理した表面処理シリカ10〜200質量部を配合してなるものである。また、本発明に係る空気入りタイヤは、かかるゴム組成物を用いてなるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るゴム組成物であると、上記所定のBET比表面積及びCTAB吸着比表面積を持つシリカを硫黄含有シランカップリング剤及び疎水化剤にて予め表面処理し、得られた表面処理シリカをジエン系ゴム成分に配合したことにより、低燃費性と耐摩耗性とウェットグリップ性のバランスを顕著に向上することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施に関連する事項について詳細に説明する。
【0012】
本実施形態に係るゴム組成物において、ゴム成分としては、硫黄含有シランカップリング剤の硫黄原子を含む官能基と反応し得る不飽和結合を持つジエン系ゴムが用いられる。ジエン系ゴムとしては、特に限定されないが、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、スチレン−イソプレンゴム、ブタジエン−イソプレンゴム、スチレン−ブタジエン−イソプレンゴム、ニトリルゴム(NBR)、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマーなどが挙げられ、これらはそれぞれ単独で、または2種以上混合して用いることができる。より好ましくは、NR、SBR、BR、又はこれらのブレンドゴムである。
【0013】
本実施形態に係るゴム組成物には、表面処理シリカが配合される。該表面処理シリカとしては、(a)硫黄含有シランカップリング剤と疎水化剤とで表面処理されたシリカ、及び、(b)硫黄含有シランカップリング剤とアミノシランカップリング剤と疎水化剤とで表面処理されたシリカを用いることができ、これらの表面処理シリカはそれぞれ単独で用いても、併用してもよい。
【0014】
該表面処理シリカを作製する際の処理対象となるシリカとしては、粒子表面にヒドロキシル基(シラノール基)を有する各種の親水性シリカが挙げられ、例えば、湿式沈殿法シリカ、湿式ゲル化法シリカ、乾式シリカなどが挙げられる。本実施形態では、BET比表面積が220〜400m/gであり、かつCTAB吸着比表面積が180〜400m/gであるシリカを用いることを特徴とする。このようなBET比表面積及びCTAB吸着比表面積の高いシリカを処理対象として用いることにより、耐摩耗性とウェットグリップ性を向上して、これらと低燃費性とのバランスを向上することができる。BET比表面積やCTAB吸着比表面積が上記下限値未満であると、耐摩耗性とウェットグリップ性、とりわけウェットグリップ性に劣り、低燃費性と耐摩耗性とウェットグリップ性のバランス向上効果が不十分となる。
【0015】
BET比表面積は、BET法による窒素吸着比表面積であり、ISO 5794に記載のBET法に準拠し測定される。BET比表面積は、220〜300m/gであることが好ましい。
【0016】
CTAB吸着比表面積は、ASTM D3765−80の方法に準拠し、CTAB(セチルトリメチルアンモニウムブロミド)を吸着させてその吸着量を測定することにより得られる。CTAB吸着比表面積は、180〜300m/gであることが好ましく、より好ましくは200〜300m/gである。
【0017】
上記表面処理シリカは、かかる特定のBET比表面積及びCTAB吸着比表面積を持つシリカを、硫黄含有シランカップリング剤及び疎水化剤で表面処理することにより得られる。該表面処理シリカは、表面処理していない未処理シリカや、硫黄含有シランカップリング剤単独で処理されたシリカよりもゴムへの分散性に優れる。詳細には、シリカに表面処理された硫黄含有シランカップリング剤は、シリカとジエン系ゴムポリマーとを結合させることができ、シリカに補強性の効果を付与するとともに、分散性を向上する。また、シリカに表面処理された疎水化剤は、シリカ表面を疎水性にすることで、シリカのゴムへの分散性を向上する。
【0018】
硫黄含有シランカップリング剤としては、下記一般式(1)で表される化合物を用いることが好ましい。該化合物は、シリカのシラノール基と反応し得るアルコキシ基と、ゴムポリマーと反応し得る硫黄原子を含む官能基Aとを有するものである。
【0019】
(R(RSi−A …(1)
(式中、Rは炭素数1〜3のアルコキシ基、Rは炭素数1〜40のアルキル基、アルケニル基又はアルキルポリエーテル基、m=1〜3、m+n=3であり、Aは下記一般式(2)〜(4)のいずれかである。)
−R−S−R−Si(R(R …(2)
−R−SH …(3)
−R−S−CO−R …(4)
(式中、R,Rはそれぞれ独立に炭素数1〜8のアルキレン基、Rは炭素数1〜16のアルキレン基、Rは炭素数1〜5のアルキレン基、Rは炭素数1〜18のアルキル基、xは2〜8である。)
【0020】
上記式(1)において、Rは、より好ましくはメトキシ基又はエトキシ基である。また、Rは、炭素数1〜4のアルキル基又はアルケニル基であることが好ましく、より好ましくは炭素数1〜4のアルキル基である。Rについて、上記アルキルポリエーテル基とは、−O−(R−O)−R(ここで、Rは炭素数1〜4のアルキレン基、Rは炭素数1〜16のアルキル基、k=1〜20であることが好ましい。)で表される。なお、R,Rは、それぞれ1分子中に複数有する場合、それらは同一でも異なってもよい。また、m,nについては、m=3及びn=0であることが好ましい。
【0021】
また、R,Rは、より好ましくは、それぞれ独立に炭素数2〜4のアルキレン基である。Rは、より好ましくは炭素数2〜4のアルキレン基である。Rは、より好ましくは炭素数2〜4のアルキレン基である。Rは、より好ましくは炭素数5〜9のアルキル基である。xは2〜8であり、より好ましくは2〜4である。なお、xは通常分布を有しており、即ち、硫黄連鎖結合の数が異なるものの混合物として一般に市販されており、xはその平均値を表す。なお、上記式(2)中のR、R、m、nは、上記式(1)と同じである。
【0022】
上記官能基Aが上記式(2)で表されるスルフィドシランカップリング剤としては、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−トリエキトシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)ジスルフィドなどが好ましいものとして挙げられる。
【0023】
上記官能基Aが上記式(3)で表されるメルカプトシランカップリング剤としては、例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルジメチルメトキシシラン、メルカプトエチルトリエトキシシラン、及びエボニック・デグサ社製「VP Si363」(R:OC、R:O(CO)−C1327、R:−(CH−、m=平均1、n=平均2、k=平均5)などが好ましいものとして挙げられる。
【0024】
上記官能基Aが上記式(4)で表される保護化メルカプトシランカップリング剤としては、例えば、3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン、3−プロピオニルチオプロピルトリメトキシシランなどが好ましいものとして挙げられる。
【0025】
以上列挙した各硫黄含有シランカップリング剤は、それぞれ単独であるいは2種以上を組合せて用いることができる。
【0026】
上記疎水化剤は、シリカのシラノール基に対して水素結合等の相互作用によって結合ないし吸着されるものであり、シリカ表面の極性を表面処理によって小さく、即ち親水性をより小さくすることができる各種化合物が用いられる。疎水化剤としては、炭素数5〜30の脂肪酸及びその誘導体、変性液状ポリマー、高級アルコール及びそのグリシジルエーテル、並びにポリエーテル等が好ましいものとして挙げられ、これらは1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0027】
上記脂肪酸は、親水性のカルボキシル基でシリカ表面にシラノール基と結合し、炭化水素基で疎水性を発揮することから、疎水化剤として作用する。脂肪酸の炭素数は、10〜30であることが好ましく、より好ましくは10〜20である。脂肪酸としては、飽和脂肪酸でも、不飽和脂肪酸でもよく、また直鎖構造でも分岐構造を持つものでもよい。具体的には、ヘキサン酸、デカン酸、ドデカン酸、ミリスチン酸、イソミリスチン酸、パルミチン酸、イソパルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、ベヘニル酸等が挙げられ、これらはいずれか1種単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0028】
該脂肪酸の誘導体としては、脂肪酸金属塩、脂肪酸ハロゲン化物、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド等が挙げられる。脂肪酸金属塩としては、上記各種脂肪酸の亜鉛塩、ナトリウム塩、カリウム塩などが挙げられる。脂肪酸ハロゲン化物としては、上記各種脂肪酸の酸塩化物、酸臭化物が挙げられる。脂肪酸エステルとしては、上記各種脂肪酸とアルコールやポリアルキレングリコール等とのエステル化合物が挙げられる。脂肪酸アミドとしては、ラウリン酸ジエタノールアミドやミリスチン酸ジエタノールアミドなどの脂肪酸アルカノールアミドが挙げられる。
【0029】
上記変性液状ポリマーとしては、シリカのシラノール基と相互作用する官能基を持つ各種変性液状ポリマーを用いることができる。変性液状ポリマーは、常温で液状のポリマーであり、数平均分子量が1000〜50000であるものが好ましく用いられる。数平均分子量は、より好ましくは2000〜10000であり、更に好ましくは3000〜5000である。ここで、数平均分子量(Mn)は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)、溶媒:THF(テトロヒドロフラン)、40℃で測定される値である。
【0030】
変性液状ポリマーの官能基としては、アミノ基、カルボキシル基(−COOH)、酸無水物基、エポキシ基及びヒドロキシル基(−OH)からなる群から選択された少なくとも1種であることが好ましい。アミノ基としては、第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基のいずれでもよい。カルボキシル基としては、マレイン酸、フタル酸、アクリル酸、メタクリル酸などが挙げられる。また、酸無水物基は、マレイン酸やフタル酸などのジカルボン酸の無水物からなるものである。ヒドロキシル基には、メチロール基(−CHOH)やエチロール基などの他、フェノール基も含まれる。これらの官能基は、変性液状ポリマーの分子内に少なくとも1つあればよいが、シリカと相互作用しやすくするために、好ましくは官能基がポリマー末端に導入されていることであり、即ち、末端変性液状ポリマーを用いることが好ましい。
【0031】
上記変性液状ポリマーとしては、ジエン系液状ポリマーからなるものが好ましい。すなわち、ジエン系液状ポリマーをベースポリマーとして、これに官能基が導入されたものが好ましく用いられる。ジエン系液状ポリマーとしては、液状ポリブタジエン、液状ポリイソプレン、液状スチレン−ブタジエンゴム、液状ニトリルゴムなどが挙げられる。このような変性液状ポリマーは、例えば、アニオン重合等で合成された未変性の液状ポリマーに、上記官能基を有する化合物を反応させることで当該官能基を導入させることにより得られる。あるいはまた、上記官能基を有する重合性単量体を用いて重合することにより、官能基を有する液状ポリマーを得ることができる。このようなポリマーの重合方法及び変性方法自体は、従来から公知の方法によることができる。
【0032】
上記高級アルコールは、末端のヒドロキシル基でシリカ表面のシラノール基と水素結合し、炭化水素基で疎水性を発揮することから、疎水化剤として作用する。高級アルコールとしては、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等の炭素数12以上(より好ましくは炭素数12〜30)の飽和又は不飽和の脂肪族アルコールが挙げられ、これらはいずれか1種単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができる。また、高級アルコールのグリシジルエーテルとしては、これら飽和又は不飽和の脂肪族アルコールのグリシジルエーテルが挙げられる。
【0033】
上記ポリエーテルは、エーテル結合又は末端のヒドロキシル基でシリカ表面のシラノール基と水素結合し、アルキレン基を含む全体が表面処理前のシラノール基に対して親水性を小さくすることから、疎水化剤として作用する。ポリエーテルとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコールが好ましく用いられる。ポリアルキレングリコールの数平均分子量は特に限定されないが、500〜20000であることが好ましく、より好ましくは1000〜10000である。
【0034】
上記アミノシランカップリング剤としては、下記一般式(5)で示す化合物が好ましく用いられる。該化合物は、シリカのシラノール基と反応し得るアルコキシ基と、疎水化剤がカルボキシル基を有する場合、該カルボキシル基と反応し得るアミノ基を有するものである。
【0035】
(R(RSi−R10−(NH−R11−NH …(5)
式(5)中、Rは炭素数1〜3のアルコキシ基、Rは炭素数1〜40のアルキル基、アルケニル基又はアルキルポリエーテル基、R10は炭素数1〜16のアルキレン基、R11は炭素数1〜4のアルキレン基であり、p=1〜3、p+q=3、r=0〜5である。詳細には、Rは、より好ましくはメトキシ基又はエトキシ基である。Rは、より好ましくは炭素数1〜10、更に好ましくは1〜4のアルキル基又はアルケニル基である。Rについて、上記アルキルポリエーテル基とは、上記Rと同様、−O−(R−O)−R(ここで、Rは炭素数1〜4のアルキレン基、Rは炭素数1〜16のアルキル基、k=1〜20であることが好ましい。)で表される。なお、R,Rは、それぞれ1分子中に複数有する場合、それらは同一でも異なってもよい。R10は、炭素数1〜4のアルキレン基であることが好ましく、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基が挙げられる。R11としては、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基が挙げられる。pはより好ましくは2〜3である。また、rはより好ましくは0又は1である。
【0036】
このようなアミノシランカップリング剤の具体例としては、2−アミノエチルトリメトキシシラン、2−アミノエチルトリエトキシシラン、2−アミノエチルエチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルエチルジエトキシシラン等が挙げられ、これらは単独あるいは2種以上を組合せて用いることができる。
【0037】
上記(a)の表面処理シリカは、シリカを、硫黄含有シランカップリング剤と疎水化剤とで表面処理することにより得られる。好ましくは、まず、硫黄含有シランカップリング剤で表面処理した後、次いで、疎水化剤で表面処理することである。このような順番で処理することにより、粒子表面のシラノール基に反応によって結合させる硫黄含有シランカップリング剤の量を確保しやすい。表面処理方法は特に限定されるものではなく、通常の疎水化表面処理方法に準じて行うことができる。例えば、ミキサーやブレンダー中で、シリカを攪拌しながら、硫黄含有シランカップリング剤を添加し、次いで、疎水化剤を添加して攪拌すればよい。なお、これらの表面処理は、水やイソプロピルアルコール、トルエンなどの溶媒中にシリカを分散させた状態で行うこともできる。
【0038】
上記(b)の表面処理シリカは、シリカを、硫黄含有シランカップリング剤とアミノシランカップリング剤と疎水化剤とで表面処理することにより得られる。好ましくは、まず、硫黄含有シランカップリング剤とアミノシランカップリング剤とで予め表面処理し、次いで疎水化剤で表面処理することである。表面処理方法は特に限定されるものではなく、通常の疎水化表面処理方法に準じて行うことができる。例えば、ミキサーやブレンダー中で、シリカを攪拌しながら、硫黄含有シランカップリング剤とアミノシランカップリング剤を添加し、次いで、疎水化剤を添加して攪拌すればよい。硫黄含有シランカップリング剤とアミノシランカップリング剤は、いずれか一方を先に反応させてもよく、同時に反応させてもよいが、好ましくは硫黄含有シランカップリング剤で先に処理することである。なお、これらの表面処理は、水やイソプロピルアルコール、トルエンなどの溶媒中にシリカを分散させた状態で行うこともできる。
【0039】
このようにして製造することにより、硫黄含有シランカップリング剤とアミノシランカップリング剤が、シリカ表面のシラノール基にそれぞれ結合する。また、疎水化剤については、シリカ表面に残存しているシラノール基に対して化学的又は物理的に結合ないし吸着し、あるいはまた、疎水化剤がアミノシランカップリング剤のアミノ基と結合できる官能基(例えばカルボキシル基)を有する場合には、該疎水化剤がアミノシランカップリング剤に対して結合するものもある。
【0040】
そのため、(b)の表面処理シリカは、シリカ表面のシラノール基に結合した硫黄含有シランカップリング剤を有するともに、シリカ表面のシラノール基にアミノシランカップリング剤を介して結合した疎水化剤及び/又はシリカ表面のシラノール基に直接結合ないし吸着した疎水化剤を有すると考えられる。そのため、上記(a)と同様に、疎水化剤による優れた分散性と、硫黄含有シランカップリング剤による補強性及び分散性の効果が得られ、上記(a)と同等又はそれ以上の優れた効果が得られる。
【0041】
上記表面処理シリカにおいて、硫黄含有シランカップリング剤の使用量は、特に限定されないが、シリカ(親水性シリカ)100質量部に対して2〜20質量部であることが好ましく、より好ましくは4〜15質量部である。硫黄含有シランカップリング剤の使用量が少なすぎると、ゴム組成物に配合したときの補強性向上効果に劣る。
【0042】
疎水化剤の使用量は、特に限定されないが、シリカ(親水性シリカ)100質量部に対して0.5〜20質量部であることが好ましく、より好ましくは1〜10質量部である。疎水化剤の使用量が少なすぎると、表面処理シリカの分散性向上効果に劣る。
【0043】
アミノシランカップリング剤を使用する上記(b)の表面処理シリカにおいて、アミノシランカップリング剤の使用量は、特に限定されないが、シリカ(親水性シリカ)100質量部に対して0.5〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.8〜5質量部である。
【0044】
上記表面処理シリカのゴム組成物中における配合量については、ジエン系ゴム成分100質量部に対して10〜200質量部であることが好ましく、より好ましくは20〜120質量部であり、更に好ましくは40〜100質量部である。
【0045】
本発明に係るゴム組成物には、上記表面処理シリカとともに、表面処理していない未処理のシリカを配合してもよい。その場合、表面処理シリカと未処理シリカは、両者の合計量で、ゴム成分100質量部に対して20〜200質量部配合させることが好ましい。なお、未処理シリカを配合する場合、ゴム組成物に硫黄含有シランカップリング剤を別途添加することが好ましい。その場合、後添加の硫黄含有シランカップリング剤の配合量は、未処理シリカ100質量部に対して2〜20質量部であることが好ましい。該硫黄含有シランカップリング剤としては、上記一般式(1)で表される各種の硫黄含有シランカップリング剤を用いることができる。
【0046】
本発明に係るゴム組成物には、上記成分の他、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、亜鉛華、軟化剤、可塑剤、活性剤、カーボンブラック等の他の充填剤、滑剤等の各種添加剤を必要に応じて添加することができる。
【0047】
上記加硫剤としては、硫黄、硫黄含有化合物等が挙げられ、特に限定するものではないが、その配合量は上記ゴム成分100質量部に対して0.1〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5質量部である。また、加硫促進剤の配合量としては、上記ゴム成分100質量部に対して0.1〜7質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5質量部である。
【0048】
本発明のゴム組成物は、通常に用いられるバンバリーミキサーやニーダー等の混合機を用いて、常法に従い混練し作成することができる。すなわち、ゴム成分に、上記表面処理シリカと、必要に応じて上記の他の添加剤を添加し、これらを混合(混練)することにより得られる。このようにして得られるゴム組成物は、空気入りタイヤのトレッドゴムやサイドウォールゴム等に用いることができる。好ましくは、空気入りタイヤの接地面を構成するトレッドゴムに用いることであり、常法に従い、例えば140〜180℃で加硫成形することにより、該トレッド部を形成することができる。
【実施例】
【0049】
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0050】
[使用成分の詳細]
・硫黄含有シランカップリング剤A:エボニック・デグサ社製「Si75」、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド
・硫黄含有シランカップリング剤B:東レ・ダウコーニング(株)製「Z−6062」、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン
・硫黄含有シランカップリング剤C:エボニック・デグサ社製「VP Si363」
・疎水化剤A:ステアリン酸、花王(株)製「ルナックS−20」
・疎水化剤B:ステアリルアルコール、花王(株)製「カルコール」
・疎水化剤C:変性液状ポリマー(カルボキシル基末端変性液状BR)、PTIジャパン製「HYPRO CTB2000X162」、数平均分子量=4800
・疎水化剤D:ステアリルグリシジルエーテル、日油(株)製「エピオールSK」
・疎水化剤E:変性液状ポリマー(OH基末端変性液状BR)、サートマー社製「Krasol LBH5000」、数平均分子量=5000
・アミノシランカップリング剤A:東レ・ダウコーニング(株)製「Z−6020」、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン
・シリカA:エボニック・デグサ社製「Ultrasil 7000GR」(BET=170m/g、CTAB=160m/g)
・シリカB:東ソー・シリカ株式会社製「ニップシールAQ」(BET=200m/g、CTAB=155m/g)
・シリカC:ローディア製「Zeosil Premium 200MP」(BET=220m/g、CTAB=200m/g)
・シリカD:エボニック・デグサ社製「Ultrasil 9000GR」(BET=240m/g、CTAB=200m/g)
・SBR:ランクセス(株)製「VSL5025−0HM」、スチレン−ブタジエンゴム
・BR:宇部興産(株)製「BR150B」、ポリブタジエンゴム
【0051】
[表面処理シリカ1](比較例)
100℃に予熱したヘンシェルミキサーに、1000gのシリカAを入れて撹拌し、80gの硫黄含有シランカップリング剤Aを噴霧した。20分間撹拌を続け、温度を120℃に上昇させた。さらに30分間撹拌を続け、表面処理シリカ1を得た。
【0052】
[表面処理シリカ2](比較例)
100℃に予熱したヘンシェルミキサーに、1000gのシリカAを入れて撹拌し、80gの硫黄含有シランカップリング剤Aを噴霧した。続いて30gの疎水化剤Aを添加し、20分間撹拌を続け、温度を120℃に上昇させた。さらに30分間撹拌を続け、表面処理シリカ2を得た。
【0053】
[表面処理シリカ3](比較例)
100℃に予熱したヘンシェルミキサーに、1000gのシリカBを入れて撹拌し、80gの硫黄含有シランカップリング剤Aを噴霧した。続いて30gの疎水化剤Aを添加し、20分間撹拌を続け、温度を120℃に上昇させた。さらに30分間撹拌を続け、表面処理シリカ3を得た。
【0054】
[表面処理シリカ4](比較例)
100℃に予熱したヘンシェルミキサーに、1000gのシリカCを入れて撹拌し、80gの硫黄含有シランカップリング剤Aを噴霧した。20分間撹拌を続け、温度を120℃に上昇させた。さらに30分間撹拌を続け、表面処理シリカ4を得た。
【0055】
[表面処理シリカ5](実施例)
100℃に予熱したヘンシェルミキサーに、1000gのシリカCを入れて撹拌し、80gの硫黄含有シランカップリング剤Aを噴霧した。続いて30gの疎水化剤Aを添加し、20分間撹拌を続け、温度を120℃に上昇させた。さらに30分間撹拌を続け、表面処理シリカ5を得た。
【0056】
[表面処理シリカ6](実施例)
100℃に予熱したヘンシェルミキサーに、1000gのシリカDを入れて撹拌し、80gの硫黄含有シランカップリング剤Aを噴霧した。続いて30gの疎水化剤Aを添加し、20分間撹拌を続け、温度を120℃に上昇させた。さらに30分間撹拌を続け、表面処理シリカ6を得た。
【0057】
[表面処理シリカ7](実施例)
100℃に予熱したヘンシェルミキサーに、1000gのシリカCを入れて撹拌し、80gの硫黄含有シランカップリング剤A、及び20gのアミノシランカップリング剤Aを噴霧した。続いて30gの疎水化剤Aを添加し、20分間撹拌を続け、温度を120℃に上昇させた。さらに30分間撹拌を続け、表面処理シリカ7を得た。
【0058】
[表面処理シリカ8](実施例)
100℃に予熱したヘンシェルミキサーに、1000gのシリカCを入れて撹拌し、80gの硫黄含有シランカップリング剤Aを噴霧した。続いて30gの疎水化剤Bを添加し、20分間撹拌を続け、温度を120℃に上昇させた。さらに30分間撹拌を続け、表面処理シリカ8を得た。
【0059】
[表面処理シリカ9](実施例)
100℃に予熱したヘンシェルミキサーに、1000gのシリカCを入れて撹拌し、80gの硫黄含有シランカップリング剤Aを噴霧した。続いて30gの疎水化剤Cを添加し、20分間撹拌を続け、温度を120℃に上昇させた。さらに30分間撹拌を続け、表面処理シリカ9を得た。
【0060】
[表面処理シリカ10](実施例)
100℃に予熱したヘンシェルミキサーに、1000gのシリカDを入れて撹拌し、100gの硫黄含有シランカップリング剤Aを噴霧した。続いて30gの疎水化剤Aを添加し、20分間撹拌を続け、温度を120℃に上昇させた。さらに30分間撹拌を続け、表面処理シリカ10を得た。
【0061】
[表面処理シリカ11](実施例)
100℃に予熱したヘンシェルミキサーに、1000gのシリカCを入れて撹拌し、80gの硫黄含有シランカップリング剤Bを噴霧した。続いて30gの疎水化剤Aを添加し、20分間撹拌を続け、温度を120℃に上昇させた。さらに30分間撹拌を続け、表面処理シリカ11を得た。
【0062】
[表面処理シリカ12](実施例)
100℃に予熱したヘンシェルミキサーに、1000gのシリカCを入れて攪拌し、80gの硫黄含有シランカップリング剤Cを噴霧した。続いて30gの疎水化剤Aを添加し、20分間攪拌を続け、温度を120℃に上昇させた。さらに30分間攪拌を続け、表面処理シリカ12を得た。
【0063】
[表面処理シリカ13](実施例)
100℃に予熱したヘンシェルミキサーに、1000gのシリカDを入れて攪拌し、80gの硫黄含有シランカップリング剤Cを噴霧した。続いて30gの疎水化剤Aを添加し、20分間攪拌を続け、温度を120℃に上昇させた。さらに30分間攪拌を続け、表面処理シリカ13を得た。
【0064】
[表面処理シリカ14](実施例)
100℃に予熱したヘンシェルミキサーに、1000gのシリカCを入れて攪拌し、80gの硫黄含有シランカップリング剤Aを噴霧した。続いて30gの疎水化剤Dを添加し、20分間攪拌を続け、温度を120℃に上昇させた。さらに30分間攪拌を続け、表面処理シリカ14を得た。
【0065】
[表面処理シリカ15](実施例)
100℃に予熱したヘンシェルミキサーに、1000gのシリカCを入れて攪拌し、80gの硫黄含有シランカップリング剤Aを噴霧した。続いて30gの疎水化剤Eを添加し、20分間攪拌を続け、温度を120℃に上昇させた。さらに30分間攪拌を続け、表面処理シリカ15を得た。
【0066】
[ゴム組成物の評価]
バンバリーミキサーを使用し、下記表1,2に示す配合(質量部)に従い、まず、第一混合段階で、硫黄と加硫促進剤を除く成分を添加混合し、次いで、得られた混合物に、最終混合段階で硫黄と加硫促進剤を添加混合してタイヤトレッド用ゴム組成物を調製した。共通配合については以下の通りである。なお、実施例及び比較例の各配合では、表面処理剤を除くシリカ分のトータルの質量が80質量部で一定となるように配合量を設定した。
【0067】
共通配合は、ジエン系ゴム成分100質量部に対して、プロセスオイル(昭和シェル石油(株)製「エキストラクト4号S」)40質量部、カーボンブラック(三菱化学(株)製「ダイヤブラックN339」)10質量部、亜鉛華(三井金属鉱業(株)製「亜鉛華1号」)3質量部、老化防止剤(住友化学(株)製「アンチゲン6C」)2質量部、ステアリン酸(花王(株)製「ルナックS−20」)2質量部、ワックス(日本精鑞(株)製「OZOACE0355」)2質量部、硫黄(鶴見化学工業(株)製「5%油入微粉末硫黄」)1.5質量部、加硫促進剤1(住友化学(株)製「ソクシノールCZ」)1.8質量部、加硫促進剤2(大内新興化学工業(株)製「ノクセラーD」)2.0質量部とした。
【0068】
得られた各ゴム組成物をトレッドゴムに用いて、常法に従い、185/70R14の空気入りラジアルタイヤを製造し、低燃費性(転がり抵抗)、ウェットグリップ性、耐摩耗性、これらの3性能のバランスを評価した。各評価方法は以下の通りである。
【0069】
・低燃費性:空気圧230kPa、荷重4.4kNとして、転がり抵抗測定用の1軸ドラム試験機にて、室温を23℃に設定し、80Km/hで走行させたときの転がり抵抗を測定した。結果は、比較例1の値を100とした指数で表示した。指数が小さいほど、転がり抵抗が小さく、従って低燃費性に優れることを示す。
【0070】
・ウェットグリップ性:上記タイヤを2000ccのFF車に装着し、湿潤路面(2〜3mmの水深で水をまいた路面)上を走行した。時速100kmでの摩擦係数を測定してグリップ性を評価した。比較例1の値を100とした指数で表示し、指数が大きいほど摩擦係数が大きく、ウェットグリップ性に優れることを示す。
【0071】
・耐摩耗性:各タイヤを2000ccのFF車に装着して、2500km毎に前後ローテーションさせながら、10000km走行後の残溝深さを測定した。残溝は4本のタイヤの平均値とし、比較例1の値を100とした指数で表示した。指数が大きいほど、耐摩耗性に優れることを示す。
【0072】
・3性能のバランス:低燃費性とウェットグリップ性と耐摩耗性のバランスの指標であり、(ウェットグリップ性×耐摩耗性)/低燃費性により算出した。この値が高いほど良好である。
【0073】
結果は表1,2に示す通りであり、比較例2〜10のように、ゴム混合時に、シリカと硫黄含有シランカップリング剤や疎水化剤を添加して混合したものでは、コントロールである比較例1に対して、低燃費性の改善効果が小さいか、又はほとんど得られず、また、耐摩耗性も不十分であった。なお、比較例10では、低燃費性は優れたものの、ウェットグリップ性に劣り、3性能のバランスには劣っていた。比較例11では、シリカを予め表面処理したものの、比表面積が規定値を外れるシリカに対して硫黄含有シランカップリング剤のみで表面処理したものであったため、低燃費性や耐摩耗性の改善効果が不十分であり、ウェットグリップ性にも劣っていた。比較例12,13では、シリカを硫黄含有シランカップリング剤と疎水化剤で予め表面処理したものであったが、処理対象シリカの比表面積が規定値を外れるものであったため、耐摩耗性の改善効果が小さく、またウェットグリップ性が悪化しており、3性能のバランスの改善効果が不十分であった。比較例14では、比表面積が規定値内のシリカを予め表面処理したものであったが、硫黄含有シランカップリング剤のみで処理したものであったので、耐摩耗性の改善効果が小さく、またウェットグリップ性が悪化しており、3性能のバランスの改善効果が不十分であった。
【0074】
これに対し、実施例1〜11であると、BET比表面積及びCTAB吸着比表面積の高いシリカを硫黄含有シランカップリング剤及び疎水化剤にて予め表面処理したシリカを用いたことにより、比較例1に対して、低燃費性と耐摩耗性とウェットグリップ性のバランスが顕著に改善されていた。また、表面処理シリカを用いた比較例11〜14に比べて、ウェットグリップ性と耐摩耗性に優れていた。特に、疎水化剤として、変性液状ポリマーを用いた実施例5,11では、ウェットグリップ性の改善効果に優れていた。
【0075】
【表1】

【0076】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジエン系ゴム成分100質量部に対して、BET比表面積が220〜400m/gかつCTAB吸着比表面積が180〜400m/gであるシリカを硫黄含有シランカップリング剤及び疎水化剤で表面処理した表面処理シリカ10〜200質量部を配合してなるタイヤ用ゴム組成物。
【請求項2】
前記硫黄含有シランカップリング剤が、下記一般式(1)で表されるものであることを特徴とする請求項1記載のタイヤ用ゴム組成物。
(R(RSi−A …(1)
(式中、Rは炭素数1〜3のアルコキシ基、Rは炭素数1〜40のアルキル基、アルケニル基又はアルキルポリエーテル基、m=1〜3、m+n=3であり、Aは下記一般式(2)〜(4)のいずれかである。)
−R−S−R−Si(R(R …(2)
−R−SH …(3)
−R−S−CO−R …(4)
(式中、R,Rはそれぞれ独立に炭素数1〜8のアルキレン基、Rは炭素数1〜16のアルキレン基、Rは炭素数1〜5のアルキレン基、Rは炭素数1〜18のアルキル基、xは2〜8である。)
【請求項3】
前記疎水化剤が、炭素数5〜30の脂肪酸及びその誘導体、変性液状ポリマー、高級アルコール及びそのグリシジルエーテル、並びにポリエーテルよりなる群から選択された少なくとも1種であることを特徴とする請求項1又は2記載のタイヤ用ゴム組成物。
【請求項4】
前記表面処理シリカは、前記硫黄含有シランカップリング剤及び前記疎水化剤とともに、下記一般式(5)で表されるアミノシランカップリング剤で表面処理された表面処理シリカであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
(R(RSi−R10−(NH−R11−NH …(5)
(式中、Rは炭素数1〜3のアルコキシ基、Rは炭素数1〜40のアルキル基、アルケニル基又はアルキルポリエーテル基、R10は炭素数1〜16のアルキレン基、R11は炭素数1〜4のアルキレン基であり、p=1〜3、p+q=3、r=0〜5である。)
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のゴム組成物を用いてなる空気入りタイヤ。

【公開番号】特開2012−180453(P2012−180453A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−44350(P2011−44350)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【出願人】(000003148)東洋ゴム工業株式会社 (2,711)
【Fターム(参考)】