説明

タイヤ装着用スパイクパッドユニット

【課題】 通常のタイヤを脱着する作業等を行わずに、ユニットを装着するだけでスパイクタイヤと同等の滑り止め性能を付与することができる。
【解決手段】 外側ベース30に内接する内側ベース40は、円板面上に屹立させた内側ベースフランジ部42の周方向に形成した複数の内側ベースフランジ側面孔部43に連接レバー20の一部がそれぞれ挿入されるように構成されており、外側ベース30に対して相対的に回動させることにより、連接レバー20が外側ベース30上の支点を中心として回動し、連接レバー20に接続するスパイクパッド10がタイヤのトレッド面に押し当てられ、密着、固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、普通のタイヤに装着してスパイクタイヤやスタッドレスタイヤと同等の滑り止め性能を実現することができるタイヤ装着用スパイクパッドユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
氷雪路での車両の安全走行を実現するための手段としては、スタッドレスタイヤを使用したり、金属製のタイヤチェーンを装着したりすることが一般的である。また、近年は耐久性や強度に優れた合成ゴムや合成樹脂を用いた軽量のラバーチェーンも開発されており、網目形状やスパイクの配置などにさまざまな工夫が行われ、登坂性能や制動性能等の向上が図られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、例えば、スタッドレスタイヤは事前に普通タイヤを脱着する交換作業が必要であり、一般路上を走行する場合と氷雪路上を走行する場合との切り替えが煩雑で柔軟に行えないという問題がある。また、上記の切り替えが煩雑である理由から、スタッドレスタイヤは、オフシーズンなどに別のタイヤホイールに装着した状態で冬用タイヤとして別途保管している場合が多く、余分な保管スペースを要するという問題もある。一方、いわゆるチェーンの類は、スタッドレスタイヤに比べると切り替えは容易であるが、工具を用いてのセッティングなどチェーンの装着において作業が煩雑であるという問題があった。
【0004】
【特許文献1】 特開2000−309213号公報 第2頁〜第6頁 図1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであって、通常のタイヤを脱着する作業等を行わずに、通常のタイヤにスパイクパッドユニットを装着するだけで容易にスパイクタイヤやスタッドレスタイヤと同等の滑り止め性能を付与することが可能なタイヤ装着用スパイクパッドユニットを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のタイヤ装着用スパイクパッドユニットは、タイヤのトレッド面に密着するように断面が円弧状に形成され、前記円弧の外側となる表面にスパイクピンを配した複数の略矩形のスパイクパッドと、前記スパイクパッドのタイヤ装着時車両外側となる側方に、前記スパイクパッド面に略直角に付設され、途中に支点となる部分を有する連接レバーと、前記連接レバーの前記支点となる部分を回動可能に固定して支点とするための支点孔を円周上に複数有し、内接する円板状の内側ベースと略同径の円形孔を有するリング状の外側ベースと、前記外側ベースに形成された前記円形孔と略同径の外径を有し、前記外側ベースに対して回動可能に内接する円板であって、前記円板のタイヤ装着時車両外側となる板面上に屹立させたフランジ面の周方向に形成した複数の長孔部に、前記連接レバーの前記支点から前記スパイクパッドと反対側の末端までの一部がそれぞれ挿入されるように構成され、前記外側ベースに対して円周方向に相対的に回動させることにより、前記連接レバーを前記外側ベース上の支点を中心として回動させ、前記スパイクパッドをタイヤのトレッド面に押し当て、密着、固定させることが可能な内側ベースと、前記内側ベースを前記外側ベースに対して円周方向に相対的に回動させる際、前記スパイクパッドがタイヤのトレッド面に固定された状態で前記回動を固定させる固定化手段と、で構成されることを特徴とする。
【0007】
上記構成によれば、タイヤのトレッド面の全面ではなく、必要且つ十分な部分をスパイクパッドで覆う構成としているので、タイヤの側面方向からの装着が可能であり、従来のチェーンのように装着に係る車両の移動やジャッキアップが不要で、容易に装着することができる。また、滑り止め性能を発揮するスパイクパッドは、固定化手段によりタイヤに強固に押し付けられ、密着するので、適切な滑り止め性能を付与することができる。
【0008】
また、本発明のタイヤ装着用スパイクパッドユニットは、請求項1に記載のタイヤ装着用スパイクパッドユニットであって、前記スパイクパッドは、タイヤのトレッド面と密着する側の表面に滑り止め加工が施されていることを特徴とする。
【0009】
上記構成によれば、スパイクパッドがずれたり外れたりすることを防止できるので、タイヤ装着用スパイクパッドユニットをタイヤに装着して走行している際により高い滑り止め性能を付与することができる。
【0010】
また、本発明のタイヤ装着用スパイクパッドユニットは、請求項1又は2に記載のタイヤ装着用スパイクパッドユニットであって、前記連接レバーは、前記スパイクパッドのタイヤ装着時車両外側となる側方に回動可能に付設されていることを特徴とする。
【0011】
上記構成によれば、連接レバーの回動によりスパイクパッドがタイヤのトレッド面に押し当てられる際にスパイクパッドが若干回動するので、トレッド面の曲面とスパイクパッドの円弧とが適切に密着し、スパイクパッドがずれたり外れたりすることを防止できる。そのため、タイヤ装着用スパイクパッドユニットをタイヤに装着して走行している際により高い滑り止め性能を付与することができる。
【0012】
また、本発明のタイヤ装着用スパイクパッドユニットは、請求項1又は2に記載のタイヤ装着用スパイクパッドユニットであって、前記連接レバーは、前記途中の支点となる部分で屈曲させた略くの字型の形状であって、前記支点となる部分から前記スパイクパッドまでの長さより、前記支点となる部分から前記スパイクパッドと反対側の末端までの長さの方が長いことを特徴とする。
【0013】
上記構成によれば、てこの原理により、連接レバーを回動させる力が、スパイクパッドをトレッド面に押し当てる力として効果的に伝達される。即ち、内側ベースと外側ベースとを相対的に回動させてスパイクパッドをトレッド面に押し当てる際、小さな回動力でスパイクパッドを強固に密着させることができる。
【0014】
また、本発明のタイヤ装着用スパイクパッドユニットは、請求項1から4のいずれか一項記載のタイヤ装着用スパイクパッドユニットであって、前記固定手段は、前記スパイクパッドをタイヤのトレッド面に押し当て、密着、固定させる方向への回動のみ許容し、逆方向の回動を抑止するラチェットで構成されることを特徴とする。
【0015】
上記構成によれば、寸法の違いや磨耗具合など、装着時のタイヤの外径が異なっても、フレキシブルに適切な力でスパイクパッドをトレッド面に押し当て、密着、固定することができる。
【0016】
また、本発明のタイヤ装着用スパイクパッドユニットは、請求項1から5のいずれか一項記載のタイヤ装着用スパイクパッドユニットであって、前記内側ベースおよび前記外側ベースは、前記内側ベースの円板の外周に均等な間隔で形成した複数の凹部に、断面が略H型状であって凹部を形成する軸部の高さが前記内側ベースおよび前記外側ベースの板厚と略同の複数の円柱状ピンの前記軸部を係合させてユニットを構成していることを特徴とする。
【0017】
上記構成によれば、簡易な構成で、内側ベースおよび外側ベースを、円周方向に相対的に回動可能で、しかも、回動時に回動に係る回転軸方向にずれたり外れたりすることのないユニットとすることができる。従って、製造時における組み立てを容易に行える。
【0018】
また、本発明のタイヤ装着用スパイクパッドユニットは、請求項6に記載のタイヤ装着用スパイクパッドユニットであって、前記外側ベースは、前記内側ベースと略同径の円形孔の任意の周上に、前記円柱状ピンの外径が通過可能な組立用切欠部を有することを特徴とする。
【0019】
上記構成によれば、内側ベースと外側ベースで構成されるユニットを容易に組み立てることができる。
【0020】
また、本発明のタイヤ装着用スパイクパッドユニットは、請求項6又は7に記載のタイヤ装着用スパイクパッドユニットであって、前記内側ベースおよび前記外側ベースで構成されるユニットは、その円周方向への相対的な回動に係る回動範囲を制限するためのストッパー機構を有することを特徴とする。
【0021】
上記構成によれば、回動範囲が制限されているので、一旦組立用孔部から挿入して、その凹部を内側ベースの円板の周上に形成した凹部に係合させた円柱状ピンが脱落することがなく、組み立てたユニットが装着時や使用時に分解、脱落等することがない。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明のタイヤ装着用スパイクパッドユニットによれば、通常のタイヤを脱着する作業等を行わず、ユニットを装着するだけでスパイクタイヤやスタッドレスタイヤと同等の滑り止め性能を付与することができる。また、ユニットの装着には特殊な工具や作業等を必要とせず、且つ、車両の移動やジャッキアップも不要であるため、容易にスパイクタイヤへの切り替えを行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態におけるタイヤ装着用スパイクパッドユニットについて図面を用いて詳細に説明する。
【0024】
図1は、本発明の実施の形態におけるタイヤ装着用スパイクパッドユニットの装着時の外観を示す斜視図である。タイヤ装着用スパイクパッドユニット100は、主に、スパイクパッド10、連接レバー20、外側ベース30、内側ベース40、ラチェット部50、円柱状ピン60、ストッパー70、などで構成される。
【0025】
スパイクパッド10は、タイヤ200のトレッド面の円弧に沿うように、その断面が円弧状に形成された略矩形のパッドであり、外側表面には適切なトレッドパターンが形成され、適切な箇所にスパイクピン11が配置されている。スパイクパッド10は、連接レバー取付部12を介して連接レバー20と接続する。このスパイクパッド10は、スパイクパッド回動部14で、タイヤの回転軸と並行な軸を回動軸として回動可能に構成されており、後述する連接レバー20の回動により、スパイクパッド10がタイヤ200のトレッド面に押し当てられる際、タイヤとパッドが的確に密着するようになっている。
【0026】
図2は、本発明の実施の形態におけるタイヤ装着用スパイクパッドユニットのスパイクパッドの外観を示す斜視図である。スパイクパッド10の連接レバー取付部12の反対側末端には、固定金具15が形成されている。固定金具15は僅かに連接レバー取付部12側へ湾曲しており、タイヤ200の車両内側側面のふくらみに沿って密着して、連接レバー取付部12とともにタイヤチューブを適切に挟み込むような形状となっている。そのため、後述するように内側ベース40を強い力で回動させてスパイクパッド10の連接レバー取付部12の側がタイヤの中心方向に強く引っ張られる際にも、この固定金具15が適切な引っ掛かりとなり、パッドが外側に開いてしまうようなことがない。尚、タイヤの規格に応じてスパイクパッド10の幅の異なるユニットを製造することにより、太さが違うタイヤであっても、固定金具15が的確にタイヤ内側のふくらみに引っかかり、パッドをタイヤに強固に固定できるタイヤ装着用スパイクパッドユニットを選択することができる。また、スパイクパッド10のタイヤと接触する面(スパイク面の裏側)には、走行時のパッドの滑り等を防止するため滑り止め加工部16がある。
【0027】
尚、本実施の形態では、スパイクパッド10を5枚有するタイヤ装着用スパイクパッドユニットについて説明するがスパイクパッド10の枚数は限定されるものではなく、適切に滑り止め性能を発揮できるものであれば何枚の構成であってもかまわない。
【0028】
連接レバー20は、連接レバーA21と連接レバーB24で構成され(図3参照)、連接レバー支点27を支点として回動可能な略くの字型の形状を有する。連接レバーB24は、その一部が、後述する内側ベース40の内側ベースフランジ側面孔部43から内部へ進入するように構成されている。
【0029】
外側ベース30は、内側ベース40を内接するリング状の板であって、後述する円柱状ピン60により内側ベース40と回動可能に一体化されている。
【0030】
内側ベース40は、外側ベース30に内接する円板であって、円板上には内側ベースフランジ部42、内側ベースフランジ側面孔部43、内側ベース回動用把持部44、が形成されている。外側ベース30と内側ベース40は、内側ベース40の円板の中心を回動軸として、それぞれが相対的に回動可能となっている。本実施の形態では、内側ベース40を外側ベース30に対して時計回りに回動させると、内側ベースフランジ側面孔部43の端部が連接レバー20を押し上げるため、連接レバー支点27を中心として反時計回りに回動し、最終的にスパイクパッド10がタイヤ200のトレッド面に押し当てられる。内側ベース40を回動させる際には、内側ベース回動用把持部44を手動で回してもよいが、図7に示すような内側ベース回動ハンドル400を用いて、その突起を回動ハンドル用凹部45に係合させてハンドルで回動させるようにしてもよい。
【0031】
また、外側ベース30と内側ベース40には、それぞれが相対的に回動する際、その回動範囲を制限するためのストッパー70が形成されている。このストッパー70と、円柱状ピン60については、タイヤ装着用スパイクパッドユニット100の組み立て手順の説明において詳述する。
【0032】
次に、図3は、本発明の実施の形態におけるタイヤ装着用スパイクパッドユニットの装着時における外観を正面から見た図である。ストッパー70は、その孔部から内側ベース40上に形成した逆凸状のストッパー用突起部46が突出しているため、図中のRで示す範囲しか回動できないようになっている。但し、この回動範囲で内側ベース40を時計回りに回動させることにより、スパイクパッド10がタイヤ200のトレッド面に的確に密着、固定されるように予め調整されている。
【0033】
次に、図4と図5は、本発明の実施の形態におけるタイヤ装着用スパイクパッドユニットの製造時における組み立て方法を説明するための図である。はじめに、外側ベース30と内側ベース40とは、双方の間に配置した円柱状ピン60により、回動可能で且つ双方が外れたりすることなく一体化されている。この部分の組み立て方法について説明する。
【0034】
その前に、円柱状ピン60の形状について説明する。図6は、本発明の実施の形態におけるタイヤ装着用スパイクパッドユニットに使用する円柱状ピンの形状を説明するための図である。(a)に示すような形状の円柱状ピン60は、(b)に示すように略H型の断面を有する外径Lの円柱状のピンであり、円板と円板の間に凹部61が形成される。円板と円板の間をつなぐ部分を円柱状ピン軸部62と称することにすると、この円柱状ピン軸部62の高さhは、外側ベース30や内側ベース40がスライドできる程度にそれらの板厚と略同となるように形成されている。
【0035】
図5に示すように、まず、外側ベース30の外側ベース組立用切欠部32と、内側ベース40に形成した内側ベース凹部41の1つが対向するように外側ベース30と内側ベース40を同一平面状に配置する。そして、円柱状ピン60を外側ベース組立用切欠部32から挿入し、途中(凹部61)まで挿入した時点で、その円柱状ピン軸部62が丁度内側ベース凹部41に係合するように内側ベース側へ移動させる。この後、次の内側ベース凹部41が外側ベース組立用切欠部32に対向する位置まで内側ベース40を相対的に回動させる。同様の手順で5つの円柱状ピン60を外側ベース30と内側ベース40の間に配置することができる。
【0036】
5つの円柱状ピン60を5箇所の内側ベース凹部41に配置した後、外側ベース組立用切欠部32にストッパー取付用ピン71を裏側から挿入し、ストッパー70をピンに挿入して止め輪72で回動可能に固定する。ストッパー70には細長い孔部が形成されているので、この孔部から内側ベース40上に形成したストッパー用突起部46を突出させ、内側ベース40の回動時に当該突起部が孔部をスライドするように組み立てる。この状態で外側ベース30と内側ベース40の双方は相対的に回動可能であり、且つ双方が回動軸方向にずれたり外れたりすることがない。また、ストッパー70が制限する範囲内でのみ回動可能である。
【0037】
更に、外側ベース30の任意の位置にラチェット部50を、内側ベース40の対向する位置にラチェット部レバー51を形成する。ラチェット部レバー51は、ばね52で常時ラチェット部50に押し当てられた状態であるため、内側ベース40は、時計回りに回動することはできるが、反時計回りに回動することはできない。従って、内側ベース40を可能な限り強く回動させておけば、スパイクパッド10がより強固にタイヤのトレッド面に密着、固定されることになる。
【0038】
次に、図4に戻り、スパイクパッド10に形成されている連接レバー取付部12において、連接レバー取付用孔部13と連接レバーA21の連接レバーA孔部22とを一致させ、ピン301、ワッシャ302、止め輪303で回動可能に固定する。連接レバーA21の反対側の末端付近には、I字状の連接レバーA支点用突起部23が形成されているので、これを外側ベース孔部31に挿入してから、突起形状と合致する連接レバーB24の連接レバーB支点用孔部25に嵌入する。その際、連接レバーB24は、内側ベース40の内側ベースフランジ側面孔部43から内側ベース40の中心部へ進入するように組み立てる。連接レバーB24の連接レバーB支点用孔部25と反対側の末端付近には、たとえ内側ベース40が回動し過ぎた場合でも連接レバーB24の末端が連接レバーB支点用孔部25から外れることがないように連接レバーB突起部26(図3参照)が形成されている。
【0039】
以上の手順により、タイヤ装着用スパイクパッドユニットの組み立てが完了する。尚、図4では、説明の便宜上、スパイクパッド10を1つのみ表示しているが、上記同様の手順にて5つのスパイクパッド10が組み立てられることは言うまでもない。尚、タイヤ装着用スパイクパッドユニット100をタイヤ200から脱着する際は、上記のラチェット部レバー51を開放することにより、スパイクパッド10の密着、固定が解除される。
【0040】
上記手順で組み立てられたタイヤ装着用スパイクパッドユニット100は、組み立てられた状態で保管する。タイヤ200への装着時は、スパイクパッド10がトレッド面からやや離れた状態でタイヤ200の側面からユニットを水平に押すようにして装着し、内側ベース40を時計回りに強く回動させ、5つのスパイクパッド10を全て的確に密着させる。
【0041】
ところで、通常、車両の走行時には、路面の凹凸に応じてタイヤが内側にへこむことがある。本発明の実施の形態におけるタイヤ装着用スパイクパッドユニットは、内側ベース40の回動によって連接レバー20が強く押さえられており、且つタイヤがへこむ方向への連接レバー20の回動はフリーになっているので、スパイクパッド10がタイヤのへこみ具合に追随する。従って、走行時にスパイクパッド10にずれや外れが生じることがなく、ユニット全体としても堅牢性、耐久性の高いものとすることができる。
【0042】
以上のように、本発明のタイヤ装着用スパイクパッドユニットによれば、通常のタイヤを脱着する作業等を行わず、ユニットを装着するだけでスパイクタイヤやスタッドレスタイヤと同等の滑り止め性能を付与することができる。また、ユニットの装着には特殊な工具や作業等を必要とせず、且つ、車両の移動やジャッキアップも不要であるため、容易にスパイクタイヤへの切り替えを行うことができる。特に、タイヤ側面から装着が行えるため、チェーン等の装着が困難な場所で雪道に乗り上げ、車両が動けなくなった際などにも簡単な作業で容易に装着することができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明にかかるタイヤ装着用スパイクパッドユニットは、装着するだけで容易にスパイクタイヤやスタッドレスタイヤと同等の滑り止め性能を付与することができるという効果を有し、簡易な氷雪路対策用装備品として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】 本発明の実施の形態におけるタイヤ装着用スパイクパッドユニットの装着時の外観を示す斜視図である。
【図2】 本発明の実施の形態におけるタイヤ装着用スパイクパッドユニットのスパイクパッドの外観を示す斜視図である。
【図3】 本発明の実施の形態におけるタイヤ装着用スパイクパッドユニットの装着時における外観を正面から見た図である。
【図4】 本発明の実施の形態におけるタイヤ装着用スパイクパッドユニットの製造時における組み立て方法を説明するための図である(ユニット全体)。
【図5】 本発明の実施の形態におけるタイヤ装着用スパイクパッドユニットの製造時における組み立て方法を説明するための図である(外側ベースおよび内側ベース部分の拡大)。
【図6】 本発明の実施の形態におけるタイヤ装着用スパイクパッドユニットに使用する円柱状ピンの形状を説明するための図である。
【図7】 本発明の実施の形態におけるタイヤ装着用スパイクパッドユニットの内側ベース回動ハンドルの形状を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0045】
10 スパイクパッド
11 スパイクピン
12 連接レバー取付部
13 連接レバー取付用孔部
14 スパイクパッド回動部
15 固定金具
16 滑り止め加工部
20 連接レバー
21 連接レバーA
22 連接レバーA孔部
23 連接レバーA支点用突起部
24 連接レバーB
25 連接レバーB支点用孔部
26 連接レバーB突起部
27 連接レバー支点
30 外側ベース
31 外側ベース孔部
32 外側ベース組立用切欠部
40 内側ベース
41 内側ベース凹部
42 内側ベースフランジ部
43 内側ベースフランジ側面孔部
44 内側ベース回動用把持部
45 回動ハンドル用凹部
46 ストッパー用突起部
50 ラチェット部
51 ラチェット部レバー
52 ばね
60 円柱状ピン
61 円柱状ピン凹部
62 円柱状ピン軸部
70 ストッパー
71 ストッパー取付用ピン
72 止め輪
100 タイヤ装着用スパイクパッドユニット
200 タイヤ
301 ピン
302 ワッシャ
303 止め輪
400 内側ベース回動ハンドル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤのトレッド面に密着するように断面が円弧状に形成され、前記円弧の外側となる表面にスパイクピンを配した複数の略矩形のスパイクパッドと、
前記スパイクパッドのタイヤ装着時車両外側となる側方に、前記スパイクパッド面に略直角に付設され、途中に支点となる部分を有する連接レバーと、
前記連接レバーの前記支点となる部分を回動可能に固定して支点とするための支点孔を円周上に複数有し、内接する円板状の内側ベースと略同径の円形孔を有するリング状の外側ベースと、
前記外側ベースに形成された前記円形孔と略同径の外径を有し、前記外側ベースに対して回動可能に内接する円板であって、前記円板のタイヤ装着時車両外側となる板面上に屹立させたフランジ面の周方向に形成した複数の長孔部に、前記連接レバーの前記支点から前記スパイクパッドと反対側の末端までの一部がそれぞれ挿入されるように構成され、前記外側ベースに対して円周方向に相対的に回動させることにより、前記連接レバーを前記外側ベース上の支点を中心として回動させ、前記スパイクパッドをタイヤのトレッド面に押し当て、密着、固定させることが可能な内側ベースと、
前記内側ベースを前記外側ベースに対して円周方向に相対的に回動させる際、前記スパイクパッドがタイヤのトレッド面に固定された状態で前記回動を固定させる固定化手段と、で構成されることを特徴とするタイヤ装着用スパイクパッドユニット。
【請求項2】
前記スパイクパッドは、タイヤのトレッド面と密着する側の表面に滑り止め加工が施されていることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ装着用スパイクパッドユニット。
【請求項3】
前記連接レバーは、前記スパイクパッドのタイヤ装着時車両外側となる側方に回動可能に付設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のタイヤ装着用スパイクパッドユニット。
【請求項4】
前記連接レバーは、前記途中の支点となる部分で屈曲させた略くの字型の形状であって、前記支点となる部分から前記スパイクパッドまでの長さより、前記支点となる部分から前記スパイクパッドと反対側の末端までの長さの方が長いことを特徴とする請求項1又は2に記載のタイヤ装着用スパイクパッドユニット。
【請求項5】
前記固定手段は、前記スパイクパッドをタイヤのトレッド面に押し当て、密着、固定させる方向への回動のみ許容し、逆方向の回動を抑止するラチェットで構成されることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載のタイヤ装着用スパイクパッドユニット。
【請求項6】
前記内側ベースおよび前記外側ベースは、前記内側ベースの円板の外周に均等な間隔で形成した複数の凹部に、断面が略H型状であって凹部を形成する軸部の高さが前記内側ベースおよび前記外側ベースの板厚と略同の複数の円柱状ピンの前記軸部を係合させてユニットを構成していることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項記載のタイヤ装着用スパイクパッドユニット。
【請求項7】
前記外側ベースは、前記内側ベースと略同径の円形孔の任意の周上に、前記円柱状ピンの外径が通過可能な組立用切欠部を有することを特徴とする請求項6に記載のタイヤ装着用スパイクパッドユニット。
【請求項8】
前記内側ベースおよび前記外側ベースで構成されるユニットは、その円周方向への相対的な回動に係る回動範囲を制限するためのストッパー機構を有することを特徴とする請求項6又は7に記載のタイヤ装着用スパイクパッドユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−208752(P2009−208752A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−84741(P2008−84741)
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【出願人】(504204384)有限会社ユイット (32)