説明

タイヤ

【課題】排水性を向上させること。
【解決手段】タイヤ1は、トレッド踏面部16aに、該トレッド踏面部16aのタイヤ幅方向Hの両端に各別に開口する溝部41が配設され、溝部41は、タイヤ周方向の一方側から他方側に向けて延在しながら、トレッド踏面部16aのタイヤ幅方向Hの両端に各別に至り、該溝部41には、当該溝部41において他の部分よりも幅狭の狭窄部41aが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば下記特許文献1に示されるように、トレッド踏面部に、該トレッド踏面部のタイヤ幅方向の両端に各別に開口する溝部が配設されたタイヤが知られている。前記溝部は、タイヤ幅方向に延在するとともに、タイヤ幅方向の一方側から他方側に向かうに従い、途中まではタイヤ周方向の一方側から他方側に向けて延在し、以降はタイヤ周方向の他方側から一方側に向けて逆向するように延在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−156905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来のタイヤでは、排水性を向上させることについて改善の余地があった。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、排水性を向上させることができるタイヤを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係るタイヤは、トレッド踏面部に、該トレッド踏面部のタイヤ幅方向の両端に各別に開口する溝部が配設されたタイヤであって、前記溝部は、タイヤ周方向の一方側から他方側に向けて延在しながら、前記トレッド踏面部のタイヤ幅方向の両端に各別に至り、該溝部には、当該溝部において他の部分よりも幅狭の狭窄部が設けられていることを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、溝部が、タイヤ周方向の一方側から他方側に向けて延在しながら、トレッド踏面部のタイヤ幅方向の両端に各別に至るので、当該タイヤの走行時に、溝部内の水を円滑に流動させてタイヤ幅方向の外側に排出させ易くすることが可能になり、排水性を向上させることができる。
また溝部に、前記狭窄部が設けられているので、トレッド踏面部における溝部の占有面積を小さく抑え、該溝部によりトレッド踏面部に区画される陸部の大きさを確保して剛性の高い陸部とすることが可能になり、当該タイヤのコーナリングフォースを確保し易くすることができる。
以上より、当該タイヤによれば、コーナリングフォースを確保しつつ、排水性を向上させることができる。
【0008】
また、前記狭窄部は、当該溝部のうち、前記トレッド踏面部のタイヤ幅方向の両端に位置するタイヤ周方向の両端部と、タイヤ赤道部上に位置するタイヤ周方向の中央部と、の間に位置するように一対配設されていてもよい。
【0009】
この場合、狭窄部が、当該溝部のうち、タイヤ周方向の両端部と中央部との間に位置するように一対配設されているので、一対の狭窄部間の距離を長く確保して、トレッド踏面部において離間した各部分での陸部の剛性を高め易くすることが可能になり、当該タイヤのコーナリングフォースを一層確保し易くすることができる。
【0010】
また、当該タイヤをタイヤ径方向の外側から見たタイヤ平面視において、前記溝部のうち、前記狭窄部における溝幅中心線は、タイヤ周方向の端部および中央部における各溝幅中心線よりも、タイヤ周方向に沿って延在する基準線に対してなす傾斜角度が小さく、前記狭窄部を画成する壁面のうち、タイヤ径方向の外側を向く底壁面からタイヤ径方向の外側に向けて延設された一対の側壁面は、当該溝部により前記トレッド踏面部に区画される陸部が弾性変形したときに、互いに当接するように構成されていてもよい。
【0011】
この場合、前記タイヤ平面視において、溝部のうち、狭窄部における溝幅中心線が、タイヤ周方向の端部および中央部における各溝幅中心線よりも、前記傾斜角度が小さく、かつ狭窄部を画成する一対の側壁面が、陸部が弾性変形したときに互いに当接するように構成されているので、当該タイヤが例えばコーナリング走行などして陸部が弾性変形したときに、前記一対の側壁面が互いに当接することで陸部の更なる変形を規制することが可能になり、当該タイヤのコーナリングフォースをより一層確保し易くすることができる。
【0012】
また、車軸に取り付けられる取り付け体と、該取り付け体をタイヤ径方向の外側から囲繞するリング状体と、前記取り付け体と前記リング状体との間にタイヤ周方向に沿って複数配設されるとともに、これらの取り付け体とリング状体とを相対的に弾性変位自在に連結する連結部材と、前記リング状体の外周面側にその全周にわたって配設され、外周面に前記トレッド踏面部が設けられたトレッド部材と、を備えていてもよい。
【0013】
この場合、連結部材が、取り付け体とリング状体とを相対的に弾性変位自在に連結するとともに、トレッド部材が、リング状体の外周面側に配設されており、トレッド部材が、取り付け体とリング状体との相対的な弾性変位に追従して変位しながら変形することから、トレッド部材の変形量を抑えることができる。これにより、溝部の形状を維持し易くすることが可能になり、排水性を確実に向上させることができる。
【0014】
また、前記溝部を画成する壁面には、表面が外部に露出する被視認体が配設され、前記被視認体の表面は、前記トレッド踏面部よりも反射輝度が高くてもよい。
【0015】
この場合、被視認体の表面が、トレッド踏面部よりも反射輝度が高いので、周囲からの視認性を向上させることができる。これにより、当該タイヤが装着された車両の存在を周囲から認識させ易くすることが可能になり、例えば当該車両と、周囲の歩行者や他の車両と、の接触を効果的に防止して良好な安全性を確保し易くすること等ができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る非空気入りタイヤによれば、排水性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る一実施形態において、非空気入りタイヤの一部を分解した概略斜視図である。
【図2】図1に示す非空気入りタイヤをタイヤ幅方向の一方側から見たタイヤ側面図である。
【図3】図1に示す非空気入りタイヤにおける第1分割ケース体をタイヤ幅方向の一方側から見た平面図、または第2分割ケース体をタイヤ幅方向の他方側から見た平面図である。
【図4】図2の要部を示す拡大図である。
【図5】図1に示す非空気入りタイヤを構成するトレッド部材のタイヤ平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る非空気入りタイヤの一実施形態を図1から図4を参照しながら説明する。なおこの非空気入りタイヤ(タイヤ)1は、例えばJIS T 9208に規定されるハンドル形電動車いす等、低速度で走行する小型車両に採用してもよい。
この非空気入りタイヤ1は、図示されない車軸に取り付けられる取り付け体11と、取り付け体11をタイヤ径方向の外側から囲繞するリング状体13と、取り付け体11とリング状体13との間にタイヤ周方向に沿って複数配設されるとともに、これらの取り付け体11とリング状体13とを相対的に弾性変位自在に連結する連結部材15と、リング状体13の外周面側にその全周にわたって配設されたトレッド部材16と、を備えている。
【0019】
ここで、取り付け体11、リング状体13、およびトレッド部材16はそれぞれ、共通軸と同軸に配設されている。以下、この共通軸を軸線Oといい、この軸線Oに沿う方向をタイヤ幅方向Hといい、該軸線Oに直交する方向をタイヤ径方向といい、該軸線O回りに周回する方向をタイヤ周方向という。なお、取り付け体11、リング状体13、およびトレッド部材16は、タイヤ幅方向Hの中央部が互いに一致させられて配設されている。
【0020】
取り付け体11は、図1および図2に示されるように、前記車軸の先端部が装着される装着筒部17と、装着筒部17をタイヤ径方向の外側から囲繞する外リング部18と、装着筒部17と外リング部18とを連結する複数のリブ19と、を備えている。
装着筒部17、外リング部18、およびリブ19は例えばアルミニウム合金等の金属材料で一体に形成されている。装着筒部17および外リング部18はそれぞれ、円筒状に形成され前記軸線Oと同軸に配設されている。複数のリブ19は、前記軸線Oを基準とする点対称に配置されている。
【0021】
外リング部18の外周面には、タイヤ径方向の内側に向けて窪み、かつタイヤ幅方向Hに延びるキー溝部18aがタイヤ周方向に間隔をあけて複数形成されている。キー溝部18aは、外リング部18の外周面において、タイヤ幅方向Hの両端のうちの一方側にのみ開口し他方側は閉じている。
なお、外リング部18において、タイヤ周方向で隣り合うキー溝部18a同士の間に位置する部分には、タイヤ径方向に貫通する肉抜き孔がタイヤ幅方向Hに間隔をあけて複数配置されてなる孔列18cが、タイヤ周方向に間隔をあけて複数形成されている。また、リブ19にも、タイヤ幅方向Hに貫通する肉抜き孔19aが形成されている。
【0022】
また、外リング部18におけるタイヤ幅方向Hの一方側の端縁において、キー溝部18aと対応する位置に、タイヤ幅方向Hの他方側に向けて窪み、かつ板材28が嵌め込まれる凹部18bが形成されている。板材28には貫通孔が形成されていて、凹部18bを画成する壁面のうち、タイヤ幅方向Hの一方側を向く壁面に、該凹部18bに嵌め込まれた板材28の貫通孔に連通する雌ねじ部が形成されている。なお、これらの雌ねじ部および貫通孔はタイヤ周方向に間隔をあけて複数形成されている。
【0023】
そして、取り付け体11には、円筒状の外装体12が外嵌されている。外装体12の内周面には、タイヤ径方向の内側に向けて突出するとともにタイヤ幅方向Hの全長にわたって延びる突条部12aが、タイヤ周方向に間隔をあけて複数配設されており、これらの突条部12aは、取り付け体11におけるキー溝部18aに各別に嵌合している。そして、外装体12は、突条部12aがキー溝部18aに嵌合された状態で、凹部18bに嵌め込んだ板材28の貫通孔を通してボルトを雌ねじ部にねじ込むことにより、取り付け体11に固定されている。この状態において、突条部12aは、板材28と、凹部18bを画成する壁面のうち、タイヤ幅方向Hの他端に位置して一方側を向く他端壁面と、によりタイヤ幅方向Hに挟み込まれている。
【0024】
なお、キー溝部18aを画成する壁面のうち、タイヤ周方向で互いに対向する一対の側壁面と底壁面とは直角をなしている。また、突条部12aの外表面のうち、外装体12の内周面から立ち上がる一対の側壁面と、タイヤ径方向の内側を向く頂壁面と、は直角をなしている。さらに、突条部12aおよびキー溝部18aのタイヤ周方向の大きさは互いに同等になっている。
また、リング状体13は外装体12よりもタイヤ幅方向Hの大きさ、つまり幅が大きくなっており、図示の例では、リング状体13は円筒状に形成されている。
【0025】
連結部材15は、取り付け体11の外周面側とリング状体13の内周面側とを連結しており、図示の例では、連結部材15は、外装体12の外周面とリング状体13の内周面とを互いに連結する第1弾性連結板21および第2弾性連結板22を備えている。
連結部材15は、第1弾性連結板21が一のタイヤ幅方向Hの位置にタイヤ周方向に沿って複数配置され、かつ第2弾性連結板22が前記一のタイヤ幅方向Hの位置とは異なる他のタイヤ幅方向Hの位置にタイヤ周方向に沿って複数配置されるように、タイヤ周方向に沿って複数(図示の例では60個)設けられている。
すなわち、複数の第1弾性連結板21は、タイヤ幅方向Hにおける同一の位置にタイヤ周方向に沿って複数配置されるとともに、複数の第2弾性連結板22は、第1弾性連結板21からタイヤ幅方向Hに離れた同一のタイヤ幅方向Hの位置にタイヤ周方向に沿って複数配置されている。
【0026】
なお、複数の連結部材15は、外装体12とリング状体13との間において、前記軸線Oを基準に互いに点対称となる位置に各別に配置されている。また、全ての連結部材15は互いに同形同大となっている。さらに、連結部材15の幅はリング状体13の幅より小さくなっている。
そして、タイヤ周方向で隣り合う第1弾性連結板21同士は互いに非接触とされ、タイヤ周方向で隣り合う第2弾性連結板22同士も互いに非接触となっている。さらに、タイヤ幅方向Hで隣り合う第1弾性連結板21および第2弾性連結板22同士も互いに非接触となっている。
なお、第1弾性連結板21および第2弾性連結板22それぞれの幅は互いに同等になっている。また、第1弾性連結板21および第2弾性連結板22それぞれの厚さも互いに同等になっている。
【0027】
ここで、第1弾性連結板21のうち、リング状体13に連結された一端部21aは、外装体12に連結された他端部21bよりもタイヤ周方向の一方側に位置し、第2弾性連結板22のうち、リング状体13に連結された一端部22aは、外装体12に連結された他端部22bよりもタイヤ周方向の他方側に位置している。
また、1つの連結部材15における第1弾性連結板21および第2弾性連結板22の各一端部21a、22aは、リング状体13の内周面において、タイヤ幅方向Hの位置を互いに異ならせて、タイヤ周方向における同一の位置に連結されている。
【0028】
図示の例では、第1弾性連結板21および第2弾性連結板22それぞれにおいて、一端部21a、22aと他端部21b、22bとの間に位置する中間部分21c、22cに、タイヤ周方向に湾曲する湾曲部21d〜21f、22d〜22fが、このタイヤ1をタイヤ幅方向Hから見たタイヤ側面視で、当該連結板21、22が延びる方向に沿って複数形成されている。両連結板21、22それぞれにおいて、複数の湾曲部21d〜21f、22d〜22fのうち、前述の延びる方向で互いに隣り合う各湾曲部21d〜21f、22d〜22fの湾曲方向は、互いに逆向きになっている。
【0029】
第1弾性連結板21に形成された複数の湾曲部21d〜21fは、タイヤ周方向の他方側に向けて突となるように湾曲した第1湾曲部21dと、第1湾曲部21dと一端部21aとの間に位置しかつタイヤ周方向の一方側に向けて突となるように湾曲した第2湾曲部21eと、第1湾曲部21dと他端部21bとの間に位置しかつタイヤ周方向の一方側に向けて突となるように湾曲した第3湾曲部21fと、を有している。
第2弾性連結板22に形成された複数の湾曲部22d〜22fは、タイヤ周方向の一方側に向けて突となるように湾曲した第1湾曲部22dと、第1湾曲部22dと一端部22aとの間に位置しかつタイヤ周方向の他方側に向けて突となるように湾曲した第2湾曲部22eと、第1湾曲部22dと他端部22bとの間に位置しかつタイヤ周方向の他方側に向けて突となるように湾曲した第3湾曲部22fと、を有している。
図示の例では、第1湾曲部21d、22dは、第2湾曲部21e、22eおよび第3湾曲部21f、22fよりも、前記タイヤ側面視の曲率半径が大きくなっている。なお、第1湾曲部21d、22dは、第1弾性連結板21および第2弾性連結板22の前記延びる方向における中央部に配置されている。
【0030】
さらに、両弾性連結板21、22の各長さは互いに同等とされるとともに、両弾性連結板21、22の各他端部21b、22bは、図4に示されるように、前記タイヤ側面視で、外装体12の外周面において前記各一端部21a、22aとタイヤ径方向で対向する位置から前記軸線Oを中心にタイヤ周方向における一方側および他方側にそれぞれ同じ角度(例えば20°以上135°以下)ずつ離れた各位置に各別に連結されている。また、第1弾性連結板21および第2弾性連結板22それぞれの第1湾曲部21d、22d同士、第2湾曲部21e、22e同士、並びに第3湾曲部21f、22f同士は互いに、タイヤ周方向に突となる向きが逆で、かつ大きさが同等になっている。
【0031】
これにより、各連結部材15の前記タイヤ側面視の形状は、図4に示されるように、タイヤ径方向に沿って延在し、かつ両連結板21、22の各一端部21a、22aを通る仮想線Lに対して線対称となっている。
また、両弾性連結板21、22それぞれにおいて、前述した延びる方向の中央部から前記一端部21a、22aにわたる一端側部分は、該中央部から前記他端部21b、22bにわたる他端側部分よりも厚さが大きくなっている。これにより、連結部材15の重量の増大を抑えたり、連結部材15の柔軟性を確保したりしながら、第1、第2弾性連結板21、22において大きな負荷がかかり易い一端側部分の強度を高めることができる。なお、これらの一端側部分と他端側部分とは段差なく滑らかに連なっている。
【0032】
ここで本実施形態では、外装体12、リング状体13および複数の連結部材15は、一体に形成されている。
さらに本実施形態では、外装体12は、タイヤ幅方向Hの一方側に位置する一方側分割外装体25と、タイヤ幅方向Hの他方側に位置する他方側分割外装体26と、に分割されている。また、リング状体13は、図1に示されるように、タイヤ幅方向Hの一方側に位置する一方側分割リング状体23と、タイヤ幅方向Hの他方側に位置する他方側分割リング状体24と、に分割されている。なお図示の例では、外装体12およびリング状体13はそれぞれ、タイヤ幅方向Hの中央部で分割されている。
【0033】
そして、一方側分割外装体25および一方側分割リング状体23は、第1弾性連結板21と一体に形成され、他方側分割外装体26および他方側分割リング状体24は、第2弾性連結板22と一体に形成されている。
さらに本実施形態では、一方側分割外装体25、一方側分割リング状体23および第1弾性連結板21、並びに他方側分割外装体26、他方側分割リング状体24および第2弾性連結板22はそれぞれ、鋳造若しくは射出成形により一体に形成されている。
以下、一方側分割外装体25、一方側分割リング状体23および第1弾性連結板21が一体に形成されたものを第1分割ケース体31といい、他方側分割外装体26、他方側分割リング状体24および第2弾性連結板22が一体に形成されたものを第2分割ケース体32という。
【0034】
ここで、射出成形としては、第1、第2分割ケース体31、32それぞれの全体を各別に同時に成形する一般的な方法であってもよいし、第1、第2分割ケース体31、32それぞれにおいて、一方側、他方側分割外装体25、26、一方側、他方側分割リング状体23、24、並びに第1、第2弾性連結板21、22のうちの一部をインサート品として残りを射出成形するインサート成形でもよいし、あるいはいわゆる二色成形等であってもよい。
また、第1、第2分割ケース体31、32それぞれにおいて、一方側、他方側分割外装体25、26と、一方側、他方側分割リング状体23、24と、第1、第2弾性連結板21、22と、は、互いに異なる材質で形成してもよいし、同一の材質で形成してもよい。なお、この材質としては、金属材料や樹脂材料等が挙げられるが、軽量化の観点から樹脂材料、特に熱可塑性樹脂が好ましい。
なお、第1、第2分割ケース体31、32それぞれの全体を各別に同時に射出成形する場合には、外装体12に形成された複数の突条部12aをゲート部分としてもよい。
【0035】
第1、第2分割ケース体31、32それぞれにおいて、第1、第2弾性連結板21、22のタイヤ幅方向Hの中央部と、リング状体13のタイヤ幅方向Hの中央部と、外装体12のタイヤ幅方向Hの中央部と、は互いに一致し、外装体12は、リング状体13よりも幅が小さく、かつ第1弾性連結板21および第2弾性連結板22の各幅と同等になっている。
【0036】
そして、一方側分割リング状体23、および他方側分割リング状体24それぞれのタイヤ幅方向Hの端縁同士が、例えば溶着、融着若しくは接着等により連結されている。なおこれらのうち、溶着の場合には例えば熱板溶着等を採用してもよい。
また、一方側分割外装体25、および他方側分割外装体26それぞれのタイヤ幅方向Hの端縁同士は、タイヤ幅方向Hに離れている。これにより、取り付け体11に外嵌される外装体12の内周面にバリが生ずることが防止されている。
【0037】
また、第1分割ケース体31および第2分割ケース体32は、これら31、32を前述のように連結する前の状態では、図3に示されるように互いに同形同大となっている。
そして、前述のように連結するに際し、各連結部材15が前記タイヤ側面視で前述のように線対称となるように、第1分割ケース体31および第2分割ケース体32それぞれのタイヤ周方向の位置を合わせつつ、これらの両分割ケース体31、32のタイヤ幅方向Hの向きを互いに逆向きにした状態で、第1分割ケース体31および第2分割ケース体32の各リング状体13のタイヤ幅方向Hの端縁同士を突き合わせて連結する。
【0038】
トレッド部材16は円筒状に形成され、リング状体13の外周面側を全域にわたって一体に覆っており、図示の例では、トレッド部材16の内周面は全域にわたって、リング状体13の外周面に密接している。トレッド部材16は、例えば、天然ゴムまたは/およびゴム組成物が加硫された加硫ゴム、あるいは熱可塑性材料等で形成されている。熱可塑性材料として、例えば熱可塑性エラストマー若しくは熱可塑性樹脂等が挙げられる。熱可塑性エラストマーとしては、例えばJIS K6418に規定されるアミド系熱可塑性エラストマー(TPA)、エステル系熱可塑性エラストマー(TPC)、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、スチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)、ウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)、熱可塑性ゴム架橋体(TPV)、若しくはその他の熱可塑性エラストマー(TPZ)等が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えばウレタン樹脂、オレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、若しくはポリアミド樹脂等が挙げられる。なお、耐摩耗性の観点ではトレッド部材16を加硫ゴムで形成するのが好ましい。
【0039】
また、トレッド部材16の外周面に設けられたトレッド踏面部16aには、該トレッド踏面部16aのタイヤ幅方向Hの両端に各別に開口する溝部41が配設されている。なお図示の例では、トレッド部材16の外周面の全体が、トレッド踏面部16aとなっており、溝部41は、トレッド踏面部16aに、タイヤ周方向に間隔をあけて複数配置されている。
そして本実施形態では、溝部41は、図5に示されるように、タイヤ周方向の一方側から他方側に向けて延在しながら、トレッド踏面部16aのタイヤ幅方向Hの両端に各別に至っている。なお図示の例では、溝部41は、タイヤ周方向の一方側から他方側に向けて延在しながら、タイヤ幅方向Hの他方側から一方側に向けて延在している。
【0040】
さらに本実施形態では、溝部41には、当該溝部41において他の部分よりも幅狭の狭窄部41aが設けられている。狭窄部41aは、当該溝部41のうち、トレッド踏面部16aのタイヤ幅方向Hの両端に位置するタイヤ周方向の両端部41bと、タイヤ赤道部CL上に位置するタイヤ周方向の中央部41cと、の間に位置するように一対配設されている。溝部41のタイヤ周方向の中央部41cは、タイヤ赤道部CLをタイヤ幅方向Hに横断している。また、溝部41のタイヤ周方向の両端部41bは、タイヤ周方向の中央部41cをタイヤ幅方向Hに挟むように配置されており、これらの両端部41bの溝幅と中央部41cの溝幅とは、互いに同等となっている。そして、一対の狭窄部41aは、タイヤ赤道部CLをタイヤ幅方向Hに挟むように配置されている。
【0041】
ここで図示の例では、狭窄部41aは、該狭窄部41aをタイヤ周方向に挟み込む一対の接続部41d、41eを介して、溝部41におけるタイヤ周方向の端部41bおよび中央部41cに各別に接続されている。
一対の接続部41d、41eのうち、溝部41におけるタイヤ周方向の端部41bと狭窄部41aとを接続する第1接続部41dは、前記端部41bから狭窄部41aに向かうに従い漸次、幅狭になっている。ここで、第1接続部41dを画成する壁面のうち、タイヤ径方向の外側を向く底壁面からタイヤ径方向の外側に向けて延設された一対の側壁面は、タイヤ幅方向Hの外側または内側を向いている。そして、これらの一対の側壁面のうち、タイヤ幅方向Hの外側を向く側壁面が、タイヤ幅方向Hの外側に向けて張り出すことにより、第1接続部41dが、前記端部41bから狭窄部41aに向かうに従い漸次、幅狭になっている。
【0042】
また図示の例では、第1接続部41dを画成する一対の側壁面は、前記端部41bを画成する一対の側壁面、および狭窄部41aを画成する一対の側壁面それぞれに、段差なく滑らかに連なっている。そして、第1接続部41dを画成する一対の側壁面のうち、タイヤ幅方向Hの外側を向く側壁面と、前記端部41bを画成する一対の側壁面のうち、タイヤ幅方向Hの外側を向く側壁面と、は、当該非空気入りタイヤ1をタイヤ径方向の外側から見たタイヤ平面視において、タイヤ幅方向Hの内側に向けて突となる曲線状をなすように連結されている。
【0043】
また、一対の接続部41d、41eのうち、溝部41におけるタイヤ周方向の中央部41cと狭窄部41aとを接続する第2接続部41eは、前記中央部41cから狭窄部41aに向かうに従い漸次、幅狭になっている。ここで、第2接続部41eを画成する一対の側壁面は、タイヤ幅方向Hの外側または内側を向いており、本実施形態では、これらの一対の側壁面のうち、タイヤ幅方向Hの内側を向く側壁面が、タイヤ幅方向Hの内側に向けて張り出すことにより、第2接続部41eが、前記中央部41cから狭窄部41aに向かうに従い漸次、幅狭になっている。
【0044】
また図示の例では、第2接続部41eを画成する一対の側壁面は、前記中央部41cを画成する一対の側壁面、および狭窄部41aを画成する一対の側壁面それぞれに、段差なく滑らかに連なっている。そして、第2接続部41eを画成する一対の側壁面のうち、タイヤ幅方向Hの内側を向く側壁面と、前記中央部41cを画成する一対の側壁面のうち、タイヤ幅方向Hの内側を向く側壁面と、は、前記タイヤ平面視において、タイヤ幅方向Hの外側に向けて突となる曲線状をなすように連結されている。
【0045】
ここで本実施形態では、溝部41は、前記タイヤ平面視において、タイヤ赤道部CL上の対称中心Cを基準として点対称をなしている。
そして前記タイヤ平面視において、溝部41のうち、狭窄部41aにおける溝幅中心線Laは、タイヤ周方向の端部41bおよび中央部41cにおける各溝幅中心線Lb、Lcよりも、タイヤ周方向に沿って延在する基準線Lsに対してなす傾斜角度θが小さくなっている。さらに図示の例では、溝部41のうち、タイヤ周方向の端部41bの溝幅中心線Lbは、タイヤ周方向の中央部41cの溝幅中心線Lcよりも、前記傾斜角度θが大きくなっている。
【0046】
以上のように構成された複数の溝部41は互いに同形同大に形成され、タイヤ周方向に隣り合う溝部41同士は、互いに非開口となっている。
そして、溝部41におけるタイヤ周方向の中央部41cが、当該溝部41に対してタイヤ周方向の一方側に位置する溝部41における狭窄部41aと、当該溝部41に対してタイヤ周方向の他方側に位置する溝部41における狭窄部41aと、にタイヤ幅方向Hに挟み込まれるように、複数の溝部41が、トレッド踏面部16aに配設されている。
【0047】
またトレッド踏面部16aには、溝部41により区画される陸部42が配設されており、図示の例では、陸部42は、タイヤ周方向に隣り合う溝部41同士の間に区画され、タイヤ周方向に複数配設されている。陸部42は、タイヤ周方向の一方側から他方側に向けて延在しながら、トレッド踏面部16aのタイヤ幅方向Hの両端に各別に至っており、さらに図示の例では、タイヤ周方向の一方側から他方側に向けて延在しながら、タイヤ幅方向Hの他方側から一方側に向けて延在している。
陸部42は、タイヤ周方向に隣り合う溝部41同士のうち、タイヤ周方向の両端部41b同士の間に各別に配設された一対の周端小陸部42aと、タイヤ周方向の中央部41c同士の間に配設された中央小陸部42bと、一対の周端小陸部42aと中央小陸部42bとを各別に接続するとともに、周端小陸部42aおよび中央小陸部42bよりも幅狭の一対の接続小陸部42cと、が一体に連設されてなる。
【0048】
ここで、溝部41の前記狭窄部41aを画成する一対の側壁面は、当該溝部41によりトレッド踏面部16aに区画される陸部42が弾性変形したときに、互いに当接するように構成されている。さらに本実施形態では、狭窄部41aを画成する一対の側壁面は、当該非空気入りタイヤ1を正規条件下で平坦路面に接地させたときに、互いに近接または当接するように構成されている。ここで正規条件とは、荷重を、当該非空気入りタイヤ1の適用車両と同等にすることを意味し、平坦路面とは、理想的な平滑路面を意味する。
なお図示の例では、溝部41の一対の狭窄部31aのうち、タイヤ周方向の一方側に位置する狭窄部41aは、当該溝部41を間に挟んでタイヤ周方向に隣り合う陸部42同士のうち、タイヤ周方向の一方側に位置する陸部42における中央小陸部42bと、タイヤ周方向の他方側に位置する陸部42における周端小陸部42aと、の間に位置している。また、前記一対の狭窄部41aのうち、タイヤ周方向の他方側に位置する狭窄部41aは、当該溝部41を間に挟んでタイヤ周方向に隣り合う陸部42同士のうち、タイヤ周方向の一方側に位置する陸部42における周端小陸部42aと、タイヤ周方向の他方側に位置する陸部42における中央小陸部42bと、の間に位置している。
【0049】
また本実施形態では、トレッド踏面部16aには、表面が外部に露出する被視認体43が配設されている。被視認体43は、タイヤ赤道部CL上に、タイヤ周方向の全長にわたって配設されている。図示の例では、被視認体43が、トレッド踏面部16aにタイヤ周方向に複数配設されるとともに、タイヤ周方向に隣り合う被視認体43同士のうち、タイヤ周方向の周端部同士が、タイヤ幅方向Hに互いにずらされてタイヤ周方向に互いに重複することにより、被視認体43は、タイヤ周方向の全長にわたって連続的に配設されている。
なお被視認体43は、前記タイヤ平面視においてタイヤ赤道部CLに対して傾斜するようにタイヤ周方向に延在しており、被視認体43のタイヤ周方向に沿った長さLは、例えばトレッド踏面部16aのタイヤ周方向に沿った全長の約35%以下などとなっていてもよい。
【0050】
また被視認体43は、前記溝部41を画成する壁面に配設されている。被視認体43は、溝部41を画成する壁面のうち、タイヤ径方向の外側を向く底壁面に配設されており、被視認体43の表面は、タイヤ径方向の外側を向いている。なお図示の例では、被視認体43は、溝部41の中央部41cおよび第2接続部41eにおける底壁面に配設されており、被視認体43の外周縁は、前記タイヤ平面視において、溝部41における中央部41cおよび第2接続部41eの底壁面の外周縁に沿って延在している。
また被視認体43は、前記底壁面に形成されタイヤ径方向の外側(配置凹部の開口方向)に向けて開口する配置凹部44内に配置されており、図示の例では、被視認体43は、表面と反対の裏面が、配置凹部44を画成する壁面のうち、タイヤ径方向の外側を向く図示しない底面に固着されるシート状に形成されている。そして被視認体43は、前記タイヤ平面視(開口方向から見た正面視)において、配置凹部44と同形同大に形成されており、被視認体43の外周縁と配置凹部44の内周縁とは、互いの全周にわたって当接している。
【0051】
また被視認体43は、配置凹部44の前記底面に、例えば接着等により固着されており、被視認体43の表面は、溝部41の底壁面と面一となっている。なお接着には、例えば加硫接着や、接着剤による接着などを採用してもよく、この接着は、トレッド部材16の加硫成形時に行ってもよく、トレッド部材16と被視認体43とを個別に形成した後に行ってもよい。
そして被視認体43の表面は、トレッド踏面部16aよりも反射輝度が高くなっている。
【0052】
以上説明したように、本実施形態による非空気入りタイヤ1によれば、溝部41が、タイヤ周方向の一方側から他方側に向けて延在しながら、トレッド踏面部16aのタイヤ幅方向Hの両端に各別に至るので、当該非空気入りタイヤ1の走行時に、溝部41内の水を円滑に流動させてタイヤ幅方向Hの外側に排出させ易くすることが可能になり、排水性を向上させることができる。
また溝部41に、前記狭窄部41aが設けられているので、トレッド踏面部16aにおける溝部41の占有面積を小さく抑えることが可能になり、該溝部41によりトレッド踏面部16aに区画される陸部42の大きさを確保して剛性の高い陸部42とすることが可能になり、当該非空気入りタイヤ1のコーナリングフォースを確保し易くすることができる。
以上より、当該非空気入りタイヤ1によれば、コーナリングフォースを確保しつつ、排水性を向上させることができる。
【0053】
また、狭窄部41aが、当該溝部41のうち、タイヤ周方向の両端部41bと中央部41cとの間に位置するように一対配設されているので、一対の狭窄部41a間のタイヤ幅方向Hおよびタイヤ周方向の各距離を長く確保して、トレッド踏面部16aにおいて離間した各部分での陸部42の剛性を高め易くすることが可能になり、当該非空気入りタイヤ1のコーナリングフォースを一層確保し易くすることができる。
【0054】
また、前記タイヤ平面視において、溝部41のうち、狭窄部41aにおける溝幅中心線Laが、タイヤ周方向の端部41bおよび中央部41cにおける各溝幅中心線Lb、Lcよりも、前記傾斜角度θが小さく、かつ狭窄部41aを画成する一対の側壁面が、陸部42が弾性変形したときに互いに当接するように構成されているので、当該非空気入りタイヤ1が例えばコーナリング走行などして陸部42が弾性変形したときに、前記一対の側壁面が互いに当接することで陸部42の更なる変形を規制することが可能になり、当該非空気入りタイヤ1のコーナリングフォースをより一層確保し易くすることができる。
【0055】
また、連結部材15が、取り付け体11とリング状体13とを相対的に弾性変位自在に連結するとともに、トレッド部材16が、リング状体13の外周面側に配設されており、トレッド部材16が、取り付け体11とリング状体13との相対的な弾性変位に追従して変位しながら変形することから、トレッド部材16の変形量を抑えることができる。これにより、溝部41の形状を維持し易くすることが可能になり、排水性を確実に向上させることができる。
【0056】
また、被視認体43の表面が、トレッド踏面部16aよりも反射輝度が高いので、周囲からの視認性を向上させることができる。これにより、当該非空気入りタイヤ1が装着された車両の存在を周囲から認識させ易くすることが可能になり、例えば当該車両と周囲の歩行者や他の車両との接触を効果的に防止して良好な安全性を確保し易くすること等ができる。
またトレッド部材16が、リング状体13の外周面側にその全周にわたって配設されているので、トレッド踏面部16aに配設される被視認体43の表面積を確保し易くすることが可能になり、視認性を向上させ易くすることができる。
さらに前述のように、トレッド部材16の変形量が抑えられるので、被視認体43をトレッド踏面部16aから離脱させ難くすることが可能になり、視認性を確実に向上させることができる。
【0057】
また本実施形態では、トレッド部材16の内周面が全域にわたって、リング状体13の外周面に密接しているので、トレッド部材16が、タイヤ径方向の内側からリング状体13により支持されることとなり、走行時にトレッド部材16がタイヤ幅方向Hに撓み変形するのを抑えることが可能になり、被視認体43をトレッド踏面部16aから一層離脱させ難くすることができる。
【0058】
なお、被視認体43のタイヤ周方向に沿った長さLが、トレッド踏面部16aのタイヤ周方向に沿った全長の約35%以下となっている場合には、走行時に被視認体43がタイヤ周方向に撓み変形するのを抑えることが可能になり、被視認体43をトレッド踏面部16aから一層離脱させ難くすることができる。なお、被視認体43のタイヤ周方向に沿った長さLが、トレッド踏面部16aのタイヤ周方向に沿った全長の約35%よりも大きい場合には、被視認体43がタイヤ周方向に撓み変形するのを抑えることが困難になるおそれがある。
さらに、当該非空気入りタイヤ1が、例えば前記小型車両のような低重量の車両に装着され低速度で走行する場合などには、走行時にトレッド部材16が歪み変形し難いことから、被視認体43をトレッド踏面部16aから一層離脱させ難くすることができる。
【0059】
また、被視認体43が、前記溝部41を画成する壁面に配設されているので、走行時に被視認体43を路面に接触させ難くすることが可能になり、被視認体43をトレッド踏面部16aから一層離脱させ難くすることができる。
【0060】
さらに、被視認体43が、前記底壁面に配設されているので、被視認体43を当該非空気入りタイヤ1の走行方向から視認させ易くすることが可能になり、周囲からの視認性を確実に向上させることができる。
ここで前記底壁面は、溝部41の側壁面に比べて、走行時に歪み変形し難いことから、前述のように、被視認体43が前記底壁面に配設されることにより、該被視認体43をトレッド踏面部16aからより一層離脱させ難くすることができる。
【0061】
また、被視認体43が、前記配置凹部44内に配置されているので、被視認体43を配設することを起因として前記溝部41の容積が減少するのを抑えることが可能になり、例えば当該非空気入りタイヤ1の排水性を確保し易くすること等ができる。
さらに、被視認体43が、前記配置凹部44と同形同大に形成されているので、例えば、溝部41内を水が流動するときに、被視認体43がその外周縁から水圧を受けるのを抑え易くすること等が可能になり、被視認体43をトレッド踏面部16aからより一層離脱させ難くすることができる。
【0062】
また、タイヤ周方向に隣り合う被視認体43同士のうち、タイヤ周方向の周端部同士が、タイヤ幅方向Hに互いにずらされてタイヤ周方向に互いに重複しているので、トレッド踏面部16aに被視認体43をタイヤ周方向に連続的に配置することが可能になり、視認性を一層確実に向上させることができる。
また、被視認体43が、トレッド踏面部16aにタイヤ周方向に複数配設されているので、複数の被視認体43のうちの一部が離脱した場合であっても、他の被視認体43により視認性を確保し易くすることが可能になり、例えばこれらの複数の被視認体43と同等の範囲にわたって、1つの被視認体がタイヤ周方向に連続して配設されている場合に比べて、視認性を確保し易くすることができる。
【0063】
また本実施形態では、一方側分割外装体25、一方側分割リング状体23および第1弾性連結板21が一体に形成された第1分割ケース体31と、他方側分割外装体26、他方側分割リング状体24および第2弾性連結板22が一体に形成された第2分割ケース体32と、を備えているので、当該非空気入りタイヤ1の組み立てに際し、複数の連結部材15それぞれの両端部21a、22a、21b、22bを、取り付け体11およびリング状体13に各別に連結しなくても、第1、第2分割ケース体31、32を取り付け体11に装着すれば足りるため、製造時間を短縮することができる。
【0064】
また、第1、第2分割ケース体31、32を備えていることから、例えば、連結部材15の両端部21a、22a、21b、22bと取り付け体11およびリング状体13とを、締結部材等を用いて連結する場合と比べて重量を抑えることができる。
さらに、第1弾性連結板21が、一のタイヤ幅方向Hの位置にタイヤ周方向に沿って複数配置されるとともに、第2弾性連結板22が、他のタイヤ幅方向Hの位置にタイヤ周方向に沿って複数配置されているので、タイヤ周方向で隣り合う連結部材15同士が干渉し合うのを抑えることが可能になり、その配設個数に制限が生ずるのを抑制することができる。
【0065】
また、第1弾性連結板21のうち、リング状体13に連結された一端部21aが、外装体12に連結された他端部21bよりもタイヤ周方向の一方側に位置し、第2弾性連結板22のうち、リング状体13に連結された一端部22aが、外装体12に連結された他端部22bよりもタイヤ周方向の他方側に位置しているので、この非空気入りタイヤ1に外力が作用したときに、第1弾性連結板21および第2弾性連結板22を弾性変形させ易くすることが可能になり、この非空気入りタイヤ1に柔軟性を具備させて良好な乗り心地性を確保することができる。
【0066】
さらに、第1分割ケース体31および第2分割ケース体32それぞれにおいて、リング状体13と外装体12との間には、第1弾性連結板21および第2弾性連結板22のうち、前記タイヤ側面視で、一定の方向に延びるいずれか一方だけが複数配設されていて、他の方向に延びる他方が配設されていないので、外装体12、リング状体13および連結部材15を形成するに際し、まず、構造が簡素で容易に形成することができる第1、第2分割ケース体31、32を各別に形成することによって、外装体12、リング状体13および連結部材15の全体が一体に形成されて構造が複雑なケース体を形成する場合と比べて、この非空気入りタイヤ1を容易かつ確実に形成することができる。
【0067】
また、第1、第2分割ケース体31、32がそれぞれ、鋳造若しくは射出成形により一体に形成されているので、この非空気入りタイヤ1をより一層容易に形成することができる。
しかも、前述のように、各分割ケース体31、32において、リング状体13と外装体12との間には、両弾性連結板21、22のうちの一方だけが配設されていることから、各分割ケース体31、32を鋳造若しくは射出成形により一体に形成するに際し、溶湯や溶融樹脂を、型の内部の隅々にまで確実に到達させ易くすることが可能になるとともに、型の構造が複雑になるのを抑えることも可能になり、この非空気入りタイヤ1をより一層容易かつ確実に形成することができる。
【0068】
また、連結部材15が、前記タイヤ側面視で前記仮想線Lに対して線対称に形成されているので、この非空気入りタイヤ1におけるタイヤ周方向の一方側に沿うばね定数と他方側に沿うばね定数とで差が生ずるのを抑えることが可能になり、良好な操縦性を具備させることができる。
【0069】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、前記実施形態では、被視認体43は、溝部41の中央部41cおよび第2接続部41eにおける底壁面に配設されているものとしたが、これに限られるものではなく、溝部41のタイヤ周方向の端部41bにおける底壁面などに配設されていてもよい。
また、前記実施形態では、被視認体43は、溝部41の底壁面に配設されているものとしたが、これに代えて溝部41の側壁面に配設されていてもよい。
【0070】
また前記実施形態では、被視認体43が、前記タイヤ平面視において配置凹部44と同形同大のシート状に形成されているものとしたが、配置凹部44内に配置される他の構成に適宜変更してもよく、例えば、被視認体43を、前記タイヤ平面視において配置凹部44よりも小さく形成してもよく、さらに、シート状に形成しなくてもよい。また配置凹部は、溝部41の側壁面に形成されていてもよく、さらに、前記配置凹部44はなくてもよく、被視認体43が、溝部41を画成する壁面に直接、例えば接着などにより固着されていてもよい。
【0071】
さらに前記実施形態では、被視認体43は、溝部41を画成する壁面に配設されているものとしたが、これに限られるものではなく、例えば陸部42の頂面に配設されていてもよい。
【0072】
また前記実施形態では、タイヤ周方向に隣り合う被視認体43同士のうち、タイヤ周方向の周端部同士が、タイヤ幅方向Hに互いにずらされてタイヤ周方向に互いに重複しているものとしたが、タイヤ周方向に互いに重複していなくてもよい。
さらに前記実施形態では、被視認体43が、タイヤ周方向に複数配設されるものとしたが、1つであってもよい。
さらにまた、前記実施形態では、被視認体43は、タイヤ周方向の全長にわたって連続的に配設されているものとしたが、これに限られるものではない。例えば、被視認体が、トレッド踏面部にタイヤ周方向の全長にわたって間欠的に配設されていてもよい。
また被視認体43はなくてもよい。
【0073】
また前記実施形態では、溝部41が、タイヤ周方向の一方側から他方側に向けて延在しながら、キー溝部18aが閉じられるタイヤ幅方向Hの他方側から一方側に向けて延在しているものとしたが、これに限られるものではなく、例えば、溝部が、タイヤ周方向の一方側から他方側に向けて延在しながら、キー溝部18aが開口するタイヤ幅方向Hの一方側から他方側に向けて延在していてもよい。
【0074】
また前記実施形態では、溝部41において、狭窄部41aは、接続部41d、41eを介してタイヤ周方向の端部41bおよび中央部41cに接続されているものとしたが、これに代えて、例えば狭窄部が、タイヤ周方向の端部および中央部を直結していてもよい。
さらに前記実施形態では、狭窄部41aを画成する一対の側壁面は、陸部42が弾性変形したときに、互いに当接するように構成されているものとしたが、これに限られない。
さらにまた、前記実施形態では、前記タイヤ平面視において、溝部41のうち、狭窄部41aにおける溝幅中心線Laは、タイヤ周方向の端部41bおよび中央部41cにおける各溝幅中心線Lb、Lcよりも、前記傾斜角度θが小さくなっているものとしたが、これに限られない。さらに、狭窄部の溝幅中心線が、前記基準線に対して傾斜しておらず、タイヤ周方向に沿って延在していてもよい。
【0075】
また前記実施形態では、狭窄部41aが、当該溝部41のうち、タイヤ周方向の両端部41bと、タイヤ周方向の中央部41cと、の間に位置するように一対配設されているものとしたが、これに限られない。例えば、狭窄部が、当該溝部のタイヤ周方向の両端部を構成し、トレッド踏面部16aにおけるタイヤ幅方向Hの両端に各別に開口していてもよい。さらに例えば、狭窄部は一対でなくてもよく、1つまたは3つ以上であってもよい。
【0076】
また、第1弾性連結板21における湾曲部21d〜21fの湾曲方向、および第2弾性連結板22における湾曲部22d〜22fの湾曲方向は、前記実施形態に限らず適宜変更してもよい。
また、前記実施形態では、連結部材15として第1弾性連結板21および第2弾性連結板22をそれぞれ1つずつ備えた構成を示したが、これに代えて、1つの連結部材15に第1弾性連結板21および第2弾性連結板22がそれぞれ複数ずつ、互いのタイヤ幅方向Hの位置を異ならせて備えられた構成を採用してもよい。
また、連結部材15を、外装体12とリング状体13との間にタイヤ幅方向Hに沿って複数設けてもよい。
【0077】
また、第1弾性連結板21および第2弾性連結板22それぞれの他端部21b、22bは、前記実施形態に代えて例えば、外装体12の外周面において前記軸線Oをタイヤ径方向で挟んで互いに反対となる各位置に各別に連結してもよいし、あるいは、外装体12の外周面において、第1弾性連結板21および第2弾性連結板22の各一端部21a、22aにタイヤ径方向で対向する位置等に連結してもよい。
また、前記実施形態に代えて、両連結板21、22の各一端部21a、22aを、リング状体13の内周面にタイヤ周方向位置を互いに異ならせて連結してもよい。
【0078】
さらに、一方側分割外装体25と、他方側分割外装体26と、の間にタイヤ幅方向Hの隙間を設けなくてもよい。
また、外装体12およびリング状体13をタイヤ幅方向Hに3個以上分割してもよいし、分割しなくてもよい。
さらに、第1、第2分割ケース体31、32は、前記実施形態に限らず例えば、切削加工等で形成してもよい。
【0079】
また前記実施形態では、外装体12、リング状体13および複数の連結部材15は、一体に形成されているものとしたが、これに限られるものではなく、それぞれを個別に形成した後、互いに連結されてもよい。さらに、外装体12が、取り付け体11と一体に形成されていてもよい。
また前記実施形態では、連結部材15は、外装体12の外周面とリング状体13の内周面とを互いに連結するものとしたが、取り付け体11の外周面側とリング状体13の内周面側とを連結する他の構成に適宜変更してもよい。例えば、外装体12を備えない構成において、連結部材15が、取り付け体11の外周面とリング状体13の内周面とを互いに連結してもよい。
【0080】
また前記実施形態では、いわゆる非空気入りタイヤに本願発明を適用したが、これに限られるものではなく、例えば路上走行車などの自動車に好適に採用されるいわゆる空気入りタイヤに本願発明を適用してもよい。この場合であっても、前記実施形態のように、当該タイヤを正規条件下で平坦路面に接地させたときに、狭窄部を画成する一対の側壁面が、互いに近接または当接するように構成されていてもよい。なお、空気入りタイヤにおける正規条件とは、当該タイヤがいわゆる空気入りタイヤの場合には、荷重および内圧をそれぞれ、タイヤが生産または使用される地域毎の産業規格(例えば、日本国の「JATMA Year Book」、アメリカ合衆国の「TRA Year Book」、欧州の「ETRTO Standard Manual」等)に記載されている適用サイズにおける単輪の最大荷重(最大負荷能力)およびこれに対応する空気圧とし、リムを、前記産業規格に記載されている適用サイズにおける標準リム(または「Approved Rim」、「Recommended Rim」)にすることを意味する。また空気入りタイヤにおけるトレッド踏面部とは、前記産業規格に規定されている規定内圧・規定荷重でのトレッド部の接地面をいう。
【0081】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0082】
1 非空気入りタイヤ(タイヤ)
11 取り付け体
13 リング状体
15 連結部材
16 トレッド部材
16a トレッド踏面部
41 溝部
41a 狭窄部
41b 端部
41c 中央部
43 被視認体
CL タイヤ赤道部
H タイヤ幅方向
La、Lb、Lc 溝幅中心線
Ls 基準線
θ 傾斜角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレッド踏面部に、該トレッド踏面部のタイヤ幅方向の両端に各別に開口する溝部が配設されたタイヤであって、
前記溝部は、タイヤ周方向の一方側から他方側に向けて延在しながら、前記トレッド踏面部のタイヤ幅方向の両端に各別に至り、
該溝部には、当該溝部において他の部分よりも幅狭の狭窄部が設けられていることを特徴とするタイヤ。
【請求項2】
請求項1記載のタイヤであって、
前記狭窄部は、当該溝部のうち、前記トレッド踏面部のタイヤ幅方向の両端に位置するタイヤ周方向の両端部と、タイヤ赤道部上に位置するタイヤ周方向の中央部と、の間に位置するように一対配設されていることを特徴とするタイヤ。
【請求項3】
請求項2記載のタイヤであって、
当該タイヤをタイヤ径方向の外側から見たタイヤ平面視において、前記溝部のうち、前記狭窄部における溝幅中心線は、タイヤ周方向の端部および中央部における各溝幅中心線よりも、タイヤ周方向に沿って延在する基準線に対してなす傾斜角度が小さく、
前記狭窄部を画成する壁面のうち、タイヤ径方向の外側を向く底壁面からタイヤ径方向の外側に向けて延設された一対の側壁面は、当該溝部により前記トレッド踏面部に区画される陸部が弾性変形したときに、互いに当接するように構成されていることを特徴とするタイヤ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のタイヤであって、
車軸に取り付けられる取り付け体と、
該取り付け体をタイヤ径方向の外側から囲繞するリング状体と、
前記取り付け体と前記リング状体との間にタイヤ周方向に沿って複数配設されるとともに、これらの取り付け体とリング状体とを相対的に弾性変位自在に連結する連結部材と、
前記リング状体の外周面側にその全周にわたって配設され、外周面に前記トレッド踏面部が設けられたトレッド部材と、を備えることを特徴とするタイヤ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のタイヤであって、
前記溝部を画成する壁面には、表面が外部に露出する被視認体が配設され、
前記被視認体の表面は、前記トレッド踏面部よりも反射輝度が高いことを特徴とするタイヤ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−112106(P2013−112106A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258679(P2011−258679)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)