説明

タイン

【課題】タインを地中に打ち込むことによりタインの内部に形成されるプラグが容易にタインから抜け出ることを可能にする。
【解決手段】タイン100は、先端112が開口している中空の円筒形状のタイン本体110を備えている。タイン本体110の円周面にはタイン本体110の長さ方向に延びる開口部114が形成されており、開口部114はタイン本体110の中心軸を中心として180度以上210度以下の円周角を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芝生のエアレーション作業時に使用するタインに関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフ場などの広大な芝生地においては、芝生のメインテナンス作業として、芝生のコアリング(穿孔)作業が定期的に行われる。このコアリング作業は、地面の通気性及び通水性を向上させるとともに、芝生の根を意図的に裁断することにより、芝生の根の成長を促進させるためのものである。
【0003】
コアリング作業はコアリング専用の装置を用いて行われる。このコアリング専用の装置は複数のタインと加圧空気源とを備えており、複数のタインの各々は加圧空気の圧力を受けて順番に往復運動を行い、先ず、地面に打ち込まれ、その後に、地面から抜き出されるようになっている。
【0004】
タインは、通常、中空の円筒形状のタイン本体を有しており、タイン本体の先端は開口端となっており、さらに、円周面をなす側面にはタインの長さ方向に延びる開口部が形成されている。
【0005】
タイン本体の開口端をなす先端は環状のブレードを形成しており、地面に鋭く突き刺さるようになっている。
【0006】
タイン本体が地面に突き刺さると、先端の開口端から土壌がタイン本体の内部に導かれ、タイン本体が地面から抜き出された後に、タイン本体の内部の土塊はタイン本体の側面の開口部から芝生上に排出される。
【0007】
タイン本体の側面の開口部から排出された土塊はタイン本体の内部の形状と同一の形状、すなわち、円筒形状をなしており、プラグと呼ばれる。
【特許文献1】特開2007−49923号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
タインを用いて芝生のエアレーション作業を行う場合、作業効率はタインを地面に打ち込む頻度に比例する。すなわち、単位時間当たりのタインの打ち込み回数を多くすれば、芝生のエアレーション作業の効率は上昇する。
【0009】
タインを地面に打ち込む頻度を上げる際に最も重要なファクターはプラグをタインから抜き出す際のスムーズさである。すなわち、タインを地面に打ち込むことによりタインの内部に圧送された土塊(プラグ)がタインから抜けずにそのまま残ってしまうと、タインの次の打ち込みによっても新たな土塊(プラグ)を取り出すことができず、タインを地面に打ち込む頻度を上げたとしても、エアレーション作業の作業効率は上昇しない。このため、タインを地面に打ち込むことによりタインの内部に圧送された土塊が、タインを地面から抜き出したときに、確実にタインから抜け出るようにすることが要求される。
【0010】
図12は特開2007−49923号公報(特許文献1)に記載された従来のタイン500の斜視図、図13はタイン500の側面図である。
【0011】
図12及び図13に示すように、同公報に記載されたタイン500においては、円周面をなす側面501にタインの長さ方向に延びる開口部502が形成されている。
【0012】
タイン500を地中に打ち込むことにより形成される土塊(プラグ)は、タイン500が地中から地上へ抜け出された後、開口部502から排出される。
【0013】
しかしながら、図13から明らかであるように、開口部502は円周面をなす側面501の円周方向において1/4乃至1/3程度の領域内に形成されているにすぎない。すなわち、開口部502は、全円周角360に対して約90度乃至約120度程度の円周角を有する開口をなしているにすぎない。
【0014】
土塊(プラグ)はタイン500の内部形状と同一の形状、すなわち、円筒形状をなしており、タイン500の内径と同一の内径を有している。
【0015】
これに対して、開口部502の開口幅(図13の紙面と垂直方向における開口部502の長さ)は、開口部502が約90度乃至約120度程度の円周角しか有していないため、タイン500の内径よりも小さい。
【0016】
このため、特開2007−49923号公報(特許文献1)に記載された従来のタイン500においては、土塊(プラグ)が開口部502から抜け出にくく、ひいては、タイン500を地面に打ち込む頻度を上げたとしても、芝生のエアレーション作業の効率自体は上がらないという問題点があった。
【0017】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、タインを地中に打ち込むことによりタインの内部に形成される土塊(プラグ)が容易にタインから抜け出ることを可能にするタインを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
以下に、「発明の実施の形態」において使用される参照符号を用いて、上述の課題を解決するための手段を説明する。これらの参照符号は、「特許請求の範囲」の記載と「発明の実施の形態」の記載との間の対応関係を明らかにするためにのみ付加されたものであり、「特許請求の範囲」に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いるべきものではない。
【0019】
上記の目的を達成するため、本発明は、第一の態様として、先端(112)が開口している中空の筒形状のタイン本体(110)を備えるタイン(100)であって、前記タイン本体(110)の円周面(115)には前記タイン本体(110)の長さ方向に延びる開口部(114)が形成されており、前記開口部(114)は前記タイン本体(110)の中心軸を中心として180度以上210度以下の円周角を有しているタイン(100)を提供する。
【0020】
本発明に係るタイン(150)においては、前記開口部(114)の円周方向における両縁(117)は、前記タイン本体(110)の内側から前記タイン本体(110)の外側に向かって広がる方向に傾斜するテーパ形状に形成されていることが好ましい。
【0021】
本発明に係るタイン(200)においては、前記開口部(114)を除く前記タイン本体(110)の円周面(115)は、前記開口部(114)の円周方向における両縁(118)が前記開口部(114)に対して外側に広がるように形成されていることが好ましい。
【0022】
本発明は、第二の態様として、先端(112)が開口している中空の筒形状のタイン本体(110)と、前記タイン本体(110)の長さ方向に延びる少なくとも一つのブレード(120)と、を備えるタイン(300)であって、前記タイン本体(110)の円周面(115)には前記タイン本体(110)の長さ方向に延びる開口部(114)が形成されており、前記開口部(114)は前記タイン本体(110)の中心軸を中心として180度以上210度以下の円周角を有しており、前記ブレード(120)は前記開口部(114)を除く前記タイン本体(110)の円周面(115)から外側に延びているタイン(300)を提供する。
【0023】
本発明に係るタイン(300)は二つの前記ブレード(120)を備え、前記円周角は180度とすることができ、この場合、前記二つの前記ブレード(120)の各々は前記開口部(114)の円周方向における両縁(117)の各々に沿って延びており、かつ、前記二つの前記ブレード(120)は前記開口部(114)の前記タイン本体(110)の長さ方向における両端(116A)を越えて延びていることが好ましい。
【0024】
本発明に係るタイン(400)は前記二つの前記ブレード(120)間において前記タイン本体(110)の前記円周側面(115)から外側に延びるブレード(130)をさらに備えることができる。
【0025】
本発明は、第三の態様として、先端(112)が開口している中空の筒形状のタイン本体(110)と、前記タイン本体(110)の長さ方向に延びる少なくとも一つのブレード(120、130)と、を備えるタインであって、前記タイン本体(110)の円周面(115)には前記タイン本体(110)の長さ方向に延びる開口部(114)が形成されており、前記開口部(114)は前記タイン本体(110)の中心軸を中心として180度以上210度以下の円周角を有しており、前記開口部(114)を除く前記タイン本体(110)の円周側面(115)は、前記開口部(114)の円周方向における両縁(118)が前記開口部(114)に対して外側に広がるように形成されており、前記ブレード(120、130)は前記開口部(114)を除く前記タイン本体(110)の円周側面から外側に延びているタインを提供する。
【発明の効果】
【0026】
図12及び図13に示した従来のタイン500における開口部502の開口幅はタイン500の内径よりも小さく、さらに、タイン500が地中に打ち込まれることによりタイン500の内部に形成されるプラグの直径はタイン500の内径に等しい。このため、従来のタイン500には、タイン500の内部に形成されるプラグが開口部502から抜けにくいという問題点があった。
【0027】
これに対して、本発明の第一の態様に係るタインにおいては、タイン本体に形成されている開口部はタイン本体の中心軸を中心として180度乃至210度の円周角を有するように形成されている。すなわち、タイン本体の内部に形成されるプラグの直径は開口部の開口幅に等しい。このため、タインが地中から抜き出されたときに、タイン本体の内部に形成されているプラグは開口部から容易に抜け出ることができる。このため、本発明に係るタインによれば、従来のタイン500における問題点、すなわち、タイン500の内部に形成されるプラグが開口部502から抜けにくいという問題点は解消され、タインを地面に打ち込む頻度を上げることにより、芝生のエアレーション作業の効率を上げることが可能である。
【0028】
本発明の第二の態様に係るタインによれば、本発明の第一の態様に係るタインと比較して、タイン本体の内部に形成される土塊(プラグ)にとって出口が一層大きくなることになる。このため、土塊(プラグ)がタイン本体から抜け出ることをより一層容易にすることが可能である。
【0029】
本発明の第三の態様に係るタインによれば、タイン本体の強度の低下を補償することが可能である。
【0030】
開口部の円周角を大きくすると、タイン本体の強度の低下は免れないが、タイン本体の側面(円周面)にブレードを形成することにより、ブレードがタイン本体に対する補強材として機能し、開口部を形成することに伴うタイン本体の強度の低下を補償することが可能である。
【0031】
また、タイン本体を地中に打ち込む際の抵抗をブレードにより減少させることができ、ブレードの補強材としての機能と相まって、開口部の強度低下を補うことができる。
【0032】
さらに、ブレードを開口部の縁に沿って形成することにより、開口部の縁における強度を向上させることができる。開口部の縁は構造上自由端となっているため、タインの地中への打ち込み時における圧力によって、変形しやすい。本発明に係るタインによれば、開口部の縁にブレードを形成することにより、開口部の縁における強度を高めることが可能である。
【0033】
特に、ブレードを開口部の両端(タイン本体の長さ方向における両端)を越えて形成することにより、タイン本体の強度をブレードにより大幅に向上させることが可能である。
【0034】
また、ブレードを設けることにより、芝生の根を切ることが容易になる。従来のタイン500においては、タイン500そのものでのみ芝生の根を切っていたため、芝生の根を効率的に裁断することは不可能であった。このため、従来は、芝生の根を切るための専用の道具(例えば、裁断用ブレード)を用いて、芝生の根を切ることが一般的であった。これに対して、本発明の第三の態様に係るタインによれば、タインを土中に打ち込む毎に、ブレードにより、芝生の根を効率的に裁断することが可能になる。このため、本発明の第三の態様に係るタインによれば、芝生の根を切るための専用の道具を用いることなく、コアリング作業と芝生の根の裁断作業とを同時に行うことが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
(第一の実施形態)
図1は本発明の第一の実施形態に係るタイン100の斜視図であり、図2は図1のA−A線における断面図である。
【0036】
本実施形態に係るタイン100は、中空の円筒形状のタイン本体110を備えている。
【0037】
タイン本体110は、例えば、ステンレス鋼からなる。
【0038】
タイン本体110の先端112は開口しており、先端112から一定長さの領域には先細のテーパ形状部111が形成されている。
【0039】
開口している先端112の円周縁はブレード状に加工されており、タイン100を地面に打ち込む際の抵抗を少なくしている。
【0040】
タイン本体110の末端には、タイン本体110よりも小径の円筒形状の装着部113が形成されている。タイン100は装着部113を介してエアレーション作業用装置(図示せず)に装着される。
【0041】
タイン本体110の円周面をなす側面にはタイン本体110の長さ方向に延びる開口部114が形成されている。開口部114は、その両端において、テーパ形状部111及び装着部113から所定の距離だけ離れている。
【0042】
さらに、図2に示すように、開口部114はタイン本体110の中心軸を中心として180度の円周角を有するように形成されている。すなわち、図2に示すように、開口部114を除くタイン本体110の側面(円周面)の断面は半円形状をなしている。
【0043】
なお、開口部114はその両端側(タイン100の長さ方向における両端側)の一定長さの領域116においてタイン本体110に対してテーパ状に形成されている。
【0044】
本実施形態に係るタイン100の使用方法は図12及び図13に示した従来のタイン500と同様である。具体的には、以下のように、使用される。
【0045】
タイン100は装着部113を介してエアレーション作業用装置(図示せず)に装着される。
【0046】
エアレーション作業用装置に装着されたタイン100は、エアレーション作業用装置により、地面に垂直に突き刺される。
【0047】
タイン本体110が地面に突き刺さると、開口している先端112から土壌がタイン本体110の内部に導かれ、タイン本体110の内部においてプラグと呼ばれる土塊を形成する。
【0048】
タイン本体110の開口部114がほぼ土中に埋まった後、タイン本体110は地中から抜き出される。
【0049】
タイン本体110が地中から抜き出されると、タイン本体110の内部の土塊(プラグ)はタイン本体110の開口部114から芝生上に排出される。
【0050】
以後、上述の過程、すなわち、タイン100の地面への打ち込み、タイン100の地面からの抜き出しが繰り返して行われ、芝生に対して一定距離ごとにコアリング作業がなされる。
【0051】
本実施形態に係るタイン100によれば、次のような効果を奏する。
【0052】
図12及び図13に示した従来のタイン500における開口部502の開口幅はタイン500の内径よりも小さかった。タイン500が地中に打ち込まれることによりタイン500の内部に形成されるプラグの直径はタイン500の内径に等しい。このため、従来のタイン500には、タイン500の内部に形成されるプラグが開口部502から抜けにくいという問題点があった。
【0053】
これに対して、本実施形態に係るタイン100においては、タイン本体110に形成されている開口部114はタイン本体110の中心軸を中心として180度の円周角を有するように形成されている。すなわち、タイン本体110の内部に形成されるプラグの直径は開口部114の開口幅に等しい。このため、タイン100が地中から抜き出されたときに、タイン本体110の内部に形成されているプラグは開口部114から容易に抜け出ることができる。
【0054】
このため、従来のタイン500における問題点、すなわち、タイン500の内部に形成されるプラグが開口部502から抜けにくいという問題点は解消され、タイン100を地面に打ち込む頻度を上げることにより、芝生のエアレーション作業の効率を上げることが可能である。
【0055】
なお、本実施形態に係るタイン100は上記の構造に限定されるものではなく、種々の改変が可能である。
【0056】
本実施形態に係るタイン100においては、開口部114はタイン本体110の中心軸を中心として180度の円周角を有するように形成されているが、開口部114の有する円周角は180度には限定されない。発明者が種々の円周角を有する開口部114を備えるタイン100の試作を行った結果、開口部114の有する円周角は180度以上かつ210度以下が好ましいことが判明した。この範囲内の円周角であれば、本実施形態に係るタイン100とほぼ同様の効果を得ることができる。
【0057】
また、本実施形態に係るタイン100においては、タイン本体110は円筒形状として、すなわち、タイン本体110の横断面は円形をなすものとして形成されているが、タイン本体110の形状は円筒には限定されない。例えば、タイン本体110の横断面を楕円形にすることも可能である。
【0058】
図3は、本実施形態に係るタイン100の変形例であるタイン150の縦断面図(図2と同様の断面図)である。
【0059】
タイン150においては、開口部114の円周方向における両縁117は、タイン本体110の内側からタイン本体110の外側に向かって広がる方向に傾斜するテーパ形状に形成されている。
【0060】
このように、開口部114の円周方向における両縁117をテーパ形状にすることにより、タイン本体110の内部に形成される土塊(プラグ)にとって出口が広がることになり、土塊(プラグ)がタイン本体110から抜け出ることをより一層容易にすることが可能である。
【0061】
本変形例に係るタイン150は、肉厚のタイン本体110を有するタインに対して特に有効である。
【0062】
(第二の実施形態)
図4は本発明の第二の実施形態に係るタイン200の斜視図であり、図5は図4のB−B線における断面図である。
【0063】
本実施形態に係るタイン200においては、開口部114を除くタイン本体110の円周側面115は、開口部114の円周方向における両縁118が開口部114に対して外側に広がるように形成されている。すなわち、図5に示すように、タイン本体110の中心軸の方向から見ると、開口部114が形成されている領域におけるタイン本体110の円周側面はタイン本体110の円形の断面とは重なり合わずに、タイン本体110の円形の断面から外側に広がるように形成されている。
【0064】
この点を除いて本実施形態に係るタイン200は第一の実施形態に係るタイン100と同一の構造を有している。このため、第一の実施形態に係るタイン100と同一の構成要素に対しては同一の参照符号を用いる。
【0065】
本実施形態に係るタイン200によれば、第一の実施形態に係るタイン100と比較して、タイン本体110の内部に形成される土塊(プラグ)にとって出口が一層大きくなることになる。このため、土塊(プラグ)がタイン本体110から抜け出ることをより一層容易にすることが可能である。
【0066】
なお、必要に応じて、開口部114の円周方向における両縁118を図3に示したようなテーパ形状にすることが可能である。
【0067】
(第三の実施形態)
図6は本発明の第三の実施形態に係るタイン300の斜視図であり、図7は図6のC−C線における断面図である。
【0068】
本実施形態に係るタイン300は、第一の実施形態に係るタイン100と比較して、タイン本体110の長さ方向に延びる一対の第一ブレード120を追加的に備えている点において構造的に異なる。この点を除いて、本実施形態に係るタイン300は第一の実施形態に係るタイン100と同一の構造を有している。このため、第一の実施形態に係るタイン100と同一の構成要素に対しては同一の参照符号を用いる。
【0069】
第一ブレード120は、タイン本体110と同様に、例えば、ステンレス鋼からなる。
【0070】
一対の第一ブレード120の各々は、タイン本体110の開口部114に沿って開口部114と同一方向に延びるとともに、開口部114の円周方向における両縁117の各々から外側に向かって延びている。具体的には、一対の第一ブレード120の各々は開口部114の円周方向における両縁117の各々からタイン本体110の半径方向外側に延びている。
【0071】
また、図6に示すように、一対の第一ブレード120の各々は開口部114のタイン本体110の長さ方向における両端を越えて延びている。具体的には、一対の第一ブレード120の各々は開口部114における領域116の最下点116Aを越えてタイン本体110の長さ方向において延びている。
【0072】
一対の第一第一ブレード120の長さ(タイン本体110の長さ方向における長さ)及び幅(タイン本体110の側面115から外側に延びる方向における長さ)は相互に等しい。
【0073】
本実施形態に係るタイン300の使用方法は第一の実施形態に係るタイン100と同様である。
【0074】
本実施形態に係るタイン300によれば、第一の実施形態に係るタイン100による効果に加えて、次のような効果を奏する。
【0075】
タイン本体110の側面(円周面)115に一対の第一ブレード120を形成することにより、一対の第一ブレード120がタイン本体110に対する補強材として機能し、開口部114を形成することに伴うタイン本体110の強度の低下を補償することが可能である。
【0076】
また、一対の第一ブレード120がタイン本体110の側面115に形成されていることにより、タイン本体110を地中に打ち込む際の抵抗を一対の第一ブレード120により減少させることができ、一対の第一ブレード120の補強材としての機能と相まって、開口部114の強度低下を補うことができる。
【0077】
さらに、一対の第一ブレード120は開口部114の円周方向における両縁117に形成されているため、開口部114の両縁117における強度を向上させることができる。開口部114の両縁117は構造上自由端となっているため、タイン300の地中への打ち込み時における圧力によって、変形しやすい。本実施形態に係るタイン300においては、開口部114の両縁117に一対の第一ブレード120が形成されているため、開口部114の円周方向における両縁117における強度を高めることが可能である。
【0078】
特に、第一ブレード120は開口部114の両端(タイン本体110の長さ方向における両端)を越えて(具体的には、領域116の最下点116Aを越えて)形成されているため、タイン本体110の強度は第一ブレード120により大幅に向上する。
【0079】
また、第一ブレード120を設けることにより、芝生の根を切ることが容易になる。従来のタイン500においては、タイン500そのものでのみ芝生の根を切っていたため、芝生の根を効率的に裁断することは不可能であった。このため、従来は、芝生の根を切るための専用の道具(例えば、裁断用ブレード)を用いて、芝生の根を切ることが一般的であった。
【0080】
これに対して、本実施形態に係るタイン300によれば、タイン300を土中に打ち込む毎に、一対の第一ブレード120により、芝生の根を効率的に裁断することが可能になる。このため、本実施形態に係るタイン300によれば、芝生の根を切るための専用の道具を用いることなく、コアリング作業と芝生の根の裁断作業とを同時に行うことが可能である。
【0081】
なお、本実施形態に係るタイン300は上記の構造に限定されるものではなく、種々の改変が可能である。
【0082】
本実施形態に係るタイン300においては、2個の第一ブレード120が開口部114の円周方向における両縁117に沿って形成されているが、第一ブレード120の個数及び位置はそれらには限定されない。1個または3個以上の第一ブレード120を形成することが可能であり、さらに、タイン本体110の側面(円周面)115上であれば、任意の位置に形成することが可能である。
【0083】
また、本実施形態に係るタイン300においては、一対の第一ブレード120の各々は開口部114の円周方向における両縁117から、タイン本体110の中心軸からタイン本体110の半径方向外側に向かう方向に延びているが、一対の第一ブレード120はこれとは異なる方向に延びるように形成することも可能である。
【0084】
図8は、本実施形態に係るタイン300に対する変形例のタイン350の断面図(図7と同様の断面図)である。
【0085】
図8に示すように、変形例に係るタイン350においては、一対の第一ブレード120の各々は、開口部114の円周方向における両縁117から、タイン本体110の中心軸から半径方向外側に向かう方向に対して、斜め上方に向かって延びている。概略的には、一対の第一ブレード120はタイン本体110に対してV字型になるように配置されている。このように、第一ブレード120がタイン本体110の側面(円周面)115から外側に延びる方向を必要に応じて任意に決定することができる。
【0086】
なお、本実施形態に係るタイン300においては、第一の実施形態に係るタイン100に対して第一ブレード120を形成したが、第二の実施形態に係るタイン200に対して第一ブレード120を形成することも可能である。
【0087】
(第四の実施形態)
図9は本発明の第四の実施形態に係るタイン400の斜視図であり、図10は図9のD−D線における断面図である。
【0088】
本実施形態に係るタイン400は、第三の実施形態に係るタイン300と比較して、第二ブレード130を追加的に備えている。第二ブレード130を追加的に備えている点を除いて、本実施形態に係るタイン400は第三の実施形態に係るタイン300と同一の構造を有している。このため、第三の実施形態に係るタイン300と同一の構成要素に対しては同一の参照符号を用いる。
【0089】
第二ブレード130は、図10に示すように、一対の第一ブレード120の中間の位置において、タイン本体110の側面115からタイン本体110の半径方向外側に延びている。すなわち、タイン本体110の中心軸に関して、一対の第一ブレード120及び第二ブレード130は相互に90度の円周角をなす位置にそれぞれ配置されている。
【0090】
第二ブレード130の長さ(タイン本体110の長さ方向における長さ)は一対の第一ブレード120の長さに等しく、第二ブレード130の幅(タイン本体110の側面115から外側に延びる方向における長さ)は一対の第一ブレード120の幅と等しい。
【0091】
本実施形態に係るタイン400によれば、以下の効果を奏する。
【0092】
本実施形態に係るタイン400によれば、第二ブレード130を備えることにより、タイン本体110の開口部114の円周角を180度(または、180度以上)にすることに伴うタイン本体110の強度低下を一対の第一ブレード120とともに補償することが可能になり、さらに、タイン400を地中に打ち込む際の抵抗を第二ブレード130に分散させることができるため、一対の第一ブレード120の耐久性を向上させることができる。
【0093】
なお、本実施形態に係るタイン400は上記の構造に限定されるものではなく、種々の改変が可能である。
【0094】
例えば、本実施形態に係るタイン400においては、第二ブレード130は一対の第一ブレード120の中間に配置されているが、第二ブレード130の位置は一対の第一ブレード120の中間である必要はなく、必要に応じて、一対の第一ブレード120の間の任意の位置に配置することが可能である。
【0095】
また、本実施形態に係るタイン400においては、第二ブレード130は第一ブレード120と幅(タイン本体110の側面115から外側に延びる方向における長さ)が等しく設定されているが、必ずしもそのように設定する必要はない。
【0096】
図11は、本実施形態に係るタイン400に対する変形例のタイン450の断面図(図10と同様の断面図)である。
【0097】
例えば、第二ブレード130よりも第一ブレード120の耐久性を重視するような場合には、図11に示すように、第二ブレード130は第一ブレード120よりも長く設定することが可能である。このように、第二ブレード130を第一ブレード120よりも長く設定することにより、タイン450を地中に打ち込む際の抵抗を第一ブレード120よりも第二ブレード130に多く作用させ、第一ブレード120の耐久性を向上させることができる。
【0098】
あるいは、必要に応じて、第一ブレード120を第二ブレード130よりも長く設定することも可能である。
【0099】
また、本実施形態に係るタイン400または変形例に係るタイン450においても、図8に示したように、一対の第一ブレード120をV字型に配置することも可能である。この場合には、第二ブレード130は一対の第一ブレード120に対してほぼY字型になるように配置されることになる。一対の第一ブレード120及び第二ブレード130をこのように配置することにより、これら三個のブレード120、130がほぼ等円周角に配置されたことになり、各ブレード120、130に対するタイン200の打ち込み時の抵抗を等しく分散させることができるため、タイン200を地中に打ち込む際の最大抵抗を低下させることができるとともに、各ブレード120、130の耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】図1は本発明の第一の実施形態に係るタインの斜視図である。
【図2】図2は図1のA−A線における断面図である。
【図3】図3は、本発明の第一の実施形態に係るタインの変形例であるタインの縦断面図(図2と同様の断面図)である。
【図4】図4は本発明の第二の実施形態に係るタインの斜視図である。
【図5】図5は図4のB−B線における断面図である。
【図6】図6は本発明の第三の実施形態に係るタインの斜視図である。
【図7】図7は図6のC−C線における断面図である。
【図8】図8は、本発明の第三の実施形態に係るタインに対する変形例のタインの断面図(図7と同様の断面図)である。
【図9】図9は本発明の第四の実施形態に係るタインの斜視図である。
【図10】図10は図9のD−D線における断面図である。
【図11】図11は、本発明の第四の実施形態に係るタインに対する変形例のタインの断面図(図10と同様の断面図)である。
【図12】図12は従来のタインの斜視図である。
【図13】図13は図12に示した従来のタインの側面図である。
【符号の説明】
【0101】
100 本発明の第一の実施形態に係るタイン
110 タイン本体
111 テーパ形状部
112 先端
113 装着部
114 開口部
115 側面
117 開口部の両縁
120 第一ブレード
130 第二ブレード
150 第一の実施形態に対する変形例のタイン
200 本発明の第二の実施形態に係るタイン
300 本発明の第三の実施形態に係るタイン
350 第三の実施形態に対する変形例のタイン
400 本発明の第四の実施形態に係るタイン
450 第四の実施形態に対する変形例のタイン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端が開口している中空の筒形状のタイン本体を備えるタインであって、
前記タイン本体の円周面には前記タイン本体の長さ方向に延びる開口部が形成されており、前記開口部は前記タイン本体の中心軸を中心として180度以上210度以下の円周角を有しているタイン。
【請求項2】
前記開口部の円周方向における両縁は、前記タイン本体の内側から前記タイン本体の外側に向かって広がる方向に傾斜するテーパ形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のタイン。
【請求項3】
前記開口部を除く前記タイン本体の円周面は、前記開口部の円周方向における両縁が前記開口部に対して外側に広がるように形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のタイン。
【請求項4】
先端が開口している中空の筒形状のタイン本体と、
前記タイン本体の長さ方向に延びる少なくとも一つのブレードと、
を備えるタインであって、
前記タイン本体の円周面には前記タイン本体の長さ方向に延びる開口部が形成されており、前記開口部は前記タイン本体の中心軸を中心として180度以上210度以下の円周角を有しており、
前記ブレードは前記開口部を除く前記タイン本体の円周面から外側に延びているタイン。
【請求項5】
二つの前記ブレードを備え、前記円周角は180度であり、前記二つの前記ブレードの各々は前記開口部の円周方向における両縁の各々に沿って延びており、かつ、前記二つの前記ブレードは前記開口部の前記タイン本体の長さ方向における両端を越えて延びていることを特徴とする請求項4に記載のタイン。
【請求項6】
前記二つの前記ブレード間において前記タイン本体の前記円周側面から外側に延びるブレードをさらに備えることを特徴とする請求項5に記載のタイン。
【請求項7】
先端が開口している中空の筒形状のタイン本体と、
前記タイン本体の長さ方向に延びる少なくとも一つのブレードと、
を備えるタインであって、
前記タイン本体の円周面には前記タイン本体の長さ方向に延びる開口部が形成されており、前記開口部は前記タイン本体の中心軸を中心として180度以上210度以下の円周角を有しており、
前記開口部を除く前記タイン本体の円周側面は、前記開口部の円周方向における両縁が前記開口部に対して外側に広がるように形成されており、
前記ブレードは前記開口部を除く前記タイン本体の円周側面から外側に延びているタイン。
【請求項8】
前記開口部の円周方向における両縁は、前記タイン本体の内側から前記タイン本体の外側に向かって広がる方向に傾斜するテーパ形状に形成されていることを特徴とする請求項4乃至7の何れか一項に記載のタイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−22297(P2010−22297A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−188853(P2008−188853)
【出願日】平成20年7月22日(2008.7.22)
【出願人】(507414421)株式会社 環境保全センター (2)
【出願人】(508220847)有限会社ケービーエス (2)
【Fターム(参考)】