説明

タグ管理システム

【課題】定期的に複数のタグから信号が送信されても衝突する可能性を低くし、管理精度を高めることのできるタグ管理システムを提供することを目的とする。
【解決手段】複数のタグと、複数のタグに対して確認信号を発報する発報装置と、確認信号を受信した1つ以上の前記タグそれぞれから当該タグを識別する識別信号を定期的に受信する受信装置とからなるタグ管理システムにおいて、発報装置は時間長T0を1周期として確認信号を周期的に発報し、複数のタグそれぞれは、T0=T1×m(mは1以上の整数)を満たす時間長T1からなる各タイムスロットの計時を行うタイマを備えており、確認信号を受信すると、前記タイマをリセットし、その後、時間長T0以上である特定の周期毎に少なくとも1回、一のタイムスロット内で識別信号を受信装置へ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のタグそれぞれから定期的に送信された信号を受信することで、各タグを管理する管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、タグを保持する利用者のプレゼンス管理(所在管理)を行うシステムが提案されている。
このシステムでは、管理対象となるエリアに備えられた受信装置が、複数の利用者それぞれが保持するタグから定期的に送信される信号を受信することで、当該エリアに存在するタグの個数を管理する。
【0003】
ここで、複数のタグそれぞれから定期的に信号を送信する技術が、特許文献1に記載されている。特許文献1では、各タグにタイマを設定し、通常はタグをスリープ状態にして、タイマにて設定された時間になると、各タグを送信タイミングを異ならせるために、それぞれをずらして起動させて信号を送信する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−87876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、各タグのタイマは必ずしも一致しているとは限らない。そのため、各タグをそれぞれずらして起動して信号を送信したとしても、図12(a)〜(c)にて示すような信号の衝突が起こる可能性がある。図12(a)、(b)それぞれは、タグ#1及びタグ#2それぞれが送信する信号の一部が重なることによる衝突を示し、(c)は全体が重なることによる衝突を示している。
【0006】
このような衝突が起こると、信号の受信側では、正常に受信できない場合があり、十分な管理が行えない可能性がある。
そこで、定期的に複数のタグから信号が送信されても衝突する可能性を低くし、管理精度を高めることのできるタグ管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、複数のタグと、確認信号を発報する発報装置と、前記確認信号を受信した1つ以上のタグそれぞれから当該タグを識別する識別信号を定期的に受信する受信装置とからなるタグ管理システムであって、前記発報装置は、時間長T0を1周期として、前記確認信号を周期的に発報し、前記複数のタグそれぞれは、T0=T1×m(mは1以上の整数)を満たす時間長T1からなる各タイムスロットの計時を行うタイマと、前記確認信号を受信する受信手段と、前記確認信号が受信されると、前記タイマをリセットするリセット手段と、前記タイマのリセット後、時間長T0以上である特定の周期毎に少なくとも1回、前記タイマにて計時される一のタイムスロット内で前記識別信号を前記受信装置へ送信する送信手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この構成によると、タグ管理システムにおける複数のタグそれぞれは、発報装置から発報される確認信号の受信を契機にタイマをリセットするので、その後、タグそれぞれが計時するタイムスロットの時間長で送信される識別信号は、一部重複による衝突が生じることはない。なぜなら、一のタグが確認信号を受信した後、他のタグが確認信号の受信するのは周期T0の整数倍の時間経過後、つまりは時間長T1の整数倍の時間経過後となっているので、前記一のタグと前記他のタグそれぞれが計時する各タイムスロットにずれが生じることはないからである。また、通常、図12(a)、(b)にて示すような信号の一部が重複する衝突が起こる確率は、図12(c)にて示すような信号全体が重複する衝突が起こる確率よりも大きい。そのため、管理システムは、定期的に複数の信号が送信されても衝突する可能性を低くし、管理精度を高めることができる。
【0009】
ここで、前記発報装置は、前記確認信号を送信する際に、識別信号の送信に用いるべき一のタイムスロットを指定する指定情報をも発報し、前記送信手段は、前記発報装置から発報された指定情報にて指定された一のタイムスロットで、前記識別信号を送信するとしてもよい。
この構成によると、タグ管理システムの発報装置側で、各タグが使用するタイムスロットを指定している。そのため、発報装置が各タグに対して指定すべきタイムスロットが重複しないように指定することで、衝突する可能性を低くすることができる。
【0010】
ここで、前記識別信号は、UHF帯を用いた無線通信により送信され、前記送信手段は、前記UHF帯のうち複数の周波数チャネルから一の周波数を選択して、選択した一の周波数にて前記識別信号を送信するとしてもよい。
この構成によると、タグ管理システムの各タグは、識別信号をUHF帯のうち複数の周波数チャネルから一の周波数を選択し、選択した周波数で送信するので、衝突の可能性がさらに低くなる。
【0011】
ここで、前記識別信号の送信開始から終了までの時間長Tは、T1≧T×n(nは2以上の整数)を満たす値であり、前記送信手段は、前記一のタイムスロット内において、前記識別信号をn回送信するとしてもよい。
この構成によると、タグ管理システムの各タグは、一のタイムスロット内で識別信号を複数回送信するので、通信における誤り率を低減することができる。
【0012】
ここで、 前記送信手段は、前記リセット手段でタイマがリセットされた後、所定の時間が経過するまでの間は前記特定の周期で前記識別信号を送信し、前記所定の時間の経過後においては、前記特定の周期よりも長い周期毎に少なくとも1回、前記タイマにて計時される一のタイムスロット内で前記識別信号を送信するとしてもよい。
この構成によると、各タグは、タイマをリセットしてから所定の時間が経過すると識別信号を送信する周期を、現在の周期から長い周期へと変更するので、従来タグに備わっている電池の寿命を延ばすことができる。
【0013】
ここで、前記発報装置は、複数のエリアからなるエリア群に入場するための入り口に配置され、前記受信装置は、前記タグ管理システムにおいて複数台存在し、複数の受信装置それぞれは、エリア毎に配置されており、各エリアには、電力を消費することで動作する電気機器が備えられており、前記タグ管理システムは、さらに、前記エリア毎に、当該エリアに備えられた受信装置が受信した識別信号が示すタグの個数に応じて、当該エリアに備えられた電気機器の制御を行う機器制御装置を備えるとしてもよい。
【0014】
この構成によると、タグ管理システムは、エリアそれぞれに対して、当該エリアに存在するタグの個数に応じて当該エリアに備えられた電気機器を制御するので、当該エリアに居るタグの所有者にとって当該エリアを適切な環境とすることができる。
ここで、前記エリア群において複数箇所に入り口が設けられ、前記発報装置は、前記タグ管理システムにおいて複数台存在し、各発報装置は前記複数の入り口毎に配置されており、前記タグ管理システムは、さらに、前記複数の発報装置が発報する確認信号の発報タイミングが同一となるように制御する管理装置を備えるとしてもよい。
【0015】
この構成によると、複数の入り口毎に発報装置が備えられており、これら発報装置は確認信号を送信するタイミングが同一となるよう制御されている。そのため、各タグはどの発報装置から確認信号を受信しても、識別信号の送信時においては、他のタグが送信する識別信号と一部重複することはない。これにより、管理システムは、複数の入り口がある場合でも、定期的に複数の信号が送信されても衝突する可能性を低くし、管理精度を高めることができる。
【0016】
ここで、前記タグ管理システムにおいて、前記エリア群は複数存在し、前記発報装置は、前記タグ管理システムにおいて複数台存在し、各発報装置は前記エリア群毎に配置されており、前記タグ管理システムは、さらに、前記複数の発報装置が発報する確認信号の発報タイミングが同一となるように制御する管理装置を備えるとしてもよい。
この構成によると、タグ管理システムは、複数のエリア群毎に発報装置が備えられており、これら発報装置は確認信号を送信するタイミングが同一となるよう制御されている。そのため、各タグはどの発報装置から確認信号を受信しても、識別信号の送信時においては、他のタグが送信する識別信号と一部重複することはない。これにより、管理システムは、複数のエリア群がある場合でも、各エリア群における管理精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】プレゼンス管理システム1の概要を示す図である。
【図2】タグリーダ10a、10bの構成を示すブロック図である。
【図3】LF起動信号が発報されるタイミングを示す図である。
【図4】タグ20aの構成を示すブロック図である。
【図5】タグ20a、20bが送信する識別信号の送信のタイミングを示す図である。
【図6】プレゼンスリーダ30aの構成を示すブロック図である。
【図7】管理制御装置40aの構成を示すブロック図である。
【図8】プレゼンス管理システム1の動作概要を示す流れ図である。
【図9】送信許可フラグの変更処理の動作を示す流れ図である。
【図10】識別信号送信処理の動作を示す流れ図である。
【図11】識別信号の送信周期を変更した場合における送信のタイミングを示す図である。
【図12】(a)及び(b)は信号の部分衝突を示し、(c)は信号の全体衝突を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態であるプレゼンス管理システム1について、図面を参照しながら説明する。
1.実施の形態1
1.1 概要
実施の形態に係るプレゼンス管理システム1は、図1にて示すように、タグリーダ(以下、「TR」ともいう。)10a、10bと、タグ20a〜20gと、プレゼンスリーダ(以下、「PR」ともいう。)30a〜30dと、管理制御装置40a〜40dと、ゲート制御装置(以下、「GU」ともいう。)50と、照明機器60a〜60dと、空調機器70a〜70dとから構成されている。
【0019】
プレゼンス管理システム1は、管理対象フロア2内のエリアA〜Dにおいて、利用者の所在状況、例えば、エリア毎に何人の利用者がいるかを管理し、その状況に応じて照明機器60a〜60dの照度や、空調機器70a〜70dの温度や風力を制御する。
TR10aは、利用者が管理対象フロア2への入室時において、当該利用者に対して扉80の開錠を許可するか否かの認証処理に用いられるものである。TR10bは、利用者が管理対象フロア2からの退出時において、当該利用者に対する認証処理に用いられるものである。
【0020】
また、TR10a及び10bは、認証処理を行うために、一定の周期(T0)毎に、LF(LowFrequency)帯(135kHz帯)の一周波数を用いてLF起動信号を発報している。
タグ20a〜20gは、管理対象フロア2への入室時及び管理対象フロア2からの退出時における認証処理に用いられる。さらに、タグ20a〜20bは、利用者が管理対象フロア2への入室した後、退出するまでの間、特定の周期毎に1回、UHF(UltraHigh Frequency)帯(400MHz帯)の一周波数を用いて当該タグを識別する識別情報を含む識別信号を送信する。ここで、識別情報とは、具体的には、タグ20a〜20gそれぞれに一意に与えられた識別子である。
【0021】
PR30a〜30dは、図1にて示すようにエリアA〜Dに配置されている。PR30a〜30dは、配置されたエリアを通信可能な範囲とし、配置されたエリア内に存在する1つ以上のタグから送信された識別信号を受信するものである。
管理制御装置40a〜40dは、図1にて示すようにエリアA〜Dに配置されており、各管理制御装置は、配置されたエリア内に存在する1つ以上のタグの個数、つまりは存在する利用者数に応じて、当該エリアに配置された照明機器及び空調機器の制御を行うものである。
【0022】
GU50は、TR10a及びTR10bの認証処理の結果に応じて、扉80の電子錠の開錠及び施錠を制御するものである。
以下、各装置の詳細について説明する。
1.2 タグリーダ10a
タグリーダ10aは、図2にて示すように、I/F(InterFace)部110と、通知部130と、LF帯送受信部140と、小電力受信部(UHF帯受信部)150と、HF(High Frequency)帯送受信部160と記憶部170と、制御部180とから構成される。
【0023】
(1)I/F部110
I/F部110は、GU50と予め定められた通信規格(例えばRS−485規格)に従って通信を実行する機能を有する。具体的には、I/F部110は、GU50から送信されてくる信号を制御部180に伝達する機能と、制御部180から伝達されてきた認証結果の情報をGU50に送信する機能を有する。
【0024】
(2)通知部130
通知部130は、タグリーダ10aの化粧パネルに備えられたLEDあるいはLCD(Liquid Crystal Display)を用いてタグリーダ10aにおけるエラーの発生等の状態の通知や、認証に係る情報をユーザに通知する機能を有する。
(3)LF帯送受信部140
LF帯送受信部140は、タグ20a〜20gと通信を実行するものであり、制御部180から伝達されたLF起動信号を変調して、LF帯でLFアンテナ141を介して送信する機能と、LF帯で送信されてきた、タグの識別情報を含む識別信号を受信して制御部180に伝達する機能とを有する。また、LF帯送受信部140は、タグ20a〜20gから送信されてきた信号を受信した旨を示す応答用LF起動信号を変調して、LF帯でLFアンテナ141を介して送信する機能をも有する。
【0025】
LF起動信号は、タグ20a〜20gとの通信が行われる前においては、タグ20a〜20gの識別情報を要求する旨を少なくとも含む。また、LF起動信号は、タグ20a〜20gとの通信により識別信号を受信した後においては、識別情報を受け取った旨の内容に加えて、プレゼンス管理のための識別信号の送信を許可する指示(以下、「第1コマンド」という。)を少なくとも含む。
【0026】
(4)小電力受信部150
小電力受信部150は、タグ20a〜20gからの信号をUHF帯でUHFアンテナ151を介して受信し、受信した信号を復調して制御部180に伝達する機能を有する。
(5)HF帯送受信部160
HF帯送受信部160は、非接触ICカード(図示せず)と通信を実行するものであり、制御部180から伝達された非接触ICカードの識別情報を要求する信号を変調して、HF帯(13.56MHz帯)でHFアンテナ161を介して送信する機能と、HF帯で送信されてきた信号を受信して制御部180に伝達する機能とを有する。
【0027】
(6)記憶部170
記憶部170は、HDD(Hard Disc Drive)、メモリ等を含んで構成され、タグリーダ10aが動作上必要とする各種データ、プログラムを記憶する機能を有する。また、記憶部170は、認証の際に参照する認証情報171を記憶している。
ここで、認証情報171は、管理対象フロア2の入退出が許可されたユーザが保持するタグ20a〜20g及び非接触ICカードを識別する識別子を含むものである。
【0028】
(7)制御部180
制御部180は、記憶部170に記憶されているプログラムを実行することによりタグリーダ10aの各部を制御する機能を有する。
制御部180は、HF帯送受信部160からHF帯送受信部160が読み取った非接触ICカードの識別情報を伝達されて認証情報171を用いて認証を行う機能を有する。
【0029】
制御部180は、以下の機能も有する。
制御部180は、図3にて示すように、所定の周期T0(=n×T1(nは1以上の整数))毎に1回、T1の時間長において、LF起動信号が発報されるようLF帯送受信部140の動作を制御する。本実施の形態では、n=5としている。ここで、時間長T1は、タグ20a〜20gからUHF帯で送信される識別信号の送信開始から終了までの時間長である。
【0030】
また、制御部180は、周期T0のうちLF起動信号を発報していない時間帯のうち一の時間帯T1で、タグからLF帯で送信された識別信号を受け取り、受け取った識別信号に含まれる識別子と認証情報171とを用いた認証処理を行う。その後、制御部180は、認証結果をI/F部110を介してGU50へ送信する機能を有する。
1.3 タグリーダ10b
ここでは、タグリーダ10bについて説明するが、構成要素は、図2にて示すようにタグリーダ10aと同様である。タグリーダ10aと異なる点は、タグリーダ10bが発報するLF起動信号の内容である。
【0031】
以下、その異なる点について説明する。
タグリーダ10bのLF帯送受信部140は、タグ20a〜20gとの通信が行われる前においては、タグリーダ10aと同様に、タグ20a〜20gの識別情報を要求する旨を少なくとも含むLF起動信号を発報する。
タグリーダ10bのLF帯送受信部140は、タグ20a〜20gとの通信により識別信号を受信した後においては、識別情報を受け取った旨の内容に加えて、プレゼンス管理のための識別信号の送信を禁止する指示(以下、「第2コマンド」という。)を少なくとも含むLF起動信号を発報する。
【0032】
1.4 タグ20a〜20g
タグ20a〜20gの構成要素は同じであるので、タグ20aについてのみ説明する。
タグ20aは、図4にて示すように、LF帯送受信部210、小電力送信部(UHF帯送信部)220、メモリ230、ボタン240、タイマ部250、電池260及び制御部270から構成されている。
【0033】
(1)LF帯送受信部210
LF帯送受信部210は、LFアンテナ211を介して、タグリーダ10a及び10bからのLF起動信号を受信して、受信したLF起動信号を復調して制御部270に伝達する機能と、制御部270から伝達されてきた識別信号を変調してLFアンテナ211を介して送信する機能とを有する。
【0034】
(2)小電力送信部220
小電力送信部220は、制御部270から伝達されてきた識別信号を変調してUHFアンテナ221を介して送信する機能を有する。
(3)メモリ230
メモリ230は、識別情報231を記憶している。
【0035】
(4)ボタン240
ボタン240は、ユーザからの操作を受け付けるボタンであり、ユーザの押下を受け付けた場合に、その旨を制御部270に伝達する機能を有する。
(5)タイマ部250
タイマ部250は、時間を計時する機能を有している。
【0036】
具体的には、タイマ部250は、水晶発振器と、値0から時間長T1までの時間をカウントする第1のカウンタと、値0から時間長T2(=m×T0=m×n×T1)までの時間をカウントする第2のカウンタとを有している。なお、mは1以上の整数であり、本実施の形態ではm=3としている。
第1のカウンタは、水晶発振器にて発振されるクロックにより初期値0から時間長T1までカウントすると、初期値0に戻り、再度カウントを行う。
【0037】
第2のカウンタは、水晶発振器にて発振されるクロックにより初期値が0から時間長T2までカウントすると、初期値0に戻り、再度カウントを行う。
(6)電池260
電池260は、UHF帯で識別信号を送信するための電力を小電力送信部220と制御部270に供給する機能を有する。
【0038】
(7)制御部270
制御部270は、タグ20aの各部を制御する機能を有する。制御部270は、図4にて示すように、LF帯送受信制御部271、タイマリセット部272、フラグ記憶部273及びUHF帯送信制御部274を有している。
(7−1)フラグ記憶部273
フラグ記憶部273は、UHF帯での識別信号の送信の可否を示す送信許可フラグを記憶している。具体的には、送信許可フラグは、0又は1の値であり、値0は送信を禁止する旨を示し、値1は送信を許可する旨を示す。
【0039】
(7−2)LF帯送受信制御部271
LF帯送受信制御部271は、LF帯での通信に係る制御を行うものである。
LF帯送受信制御部271は、LF帯送受信部210から伝達されてきた、識別信号を要求する旨を含むLF起動信号に応じて、メモリ230から識別情報231を読み出し、LF帯で送信すべき識別信号としてLF帯送受信部210に伝達する機能を有する。
【0040】
また、LF帯送受信部210からタグ20aから識別情報を受け取った旨の内容と第1コマンドとを含むLF起動信号が伝達されると、LF帯送受信制御部271は、送信許可フラグの値を1に設定する。
LF帯送受信部210からタグ20aから識別情報を受け取った旨の内容と第2コマンドとを含むLF起動信号が伝達されると、LF帯送受信制御部271は、送信許可フラグの値を0に設定する。
【0041】
LF帯送受信制御部271は、送信許可フラグの値の設定が完了すると、その旨をタイマリセット部272へ通知する。
(7−3)タイマリセット部272
タイマリセット部272は、認証処理時において、第1及び第2のカウンタそれぞれをリセットするものである。
【0042】
タイマリセット部272は、 LF帯送受信制御部271から、送信許可フラグに対する値の設定完了の通知を受け取ると、第1及び第2のカウンタそれぞれをリセットする、つまり初期値へ戻す。
(7−4)UHF帯送信制御部274
UHF帯送信制御部274は、UHF帯での通信に係る制御を行うものである。
【0043】
UHF帯送信制御部274は、時間長T0内における時間長T1からなる5つのタイムスロットのうち一のタイムスロットを選択する。具体的には、UHF帯送信制御部274は、タイムスロットの個数を予め記憶しておき(ここでは、値5)、記憶している値のうち一の値をランダムに選択する。
UHF帯送信制御部274は、第1及び第2のカウンタを用いて、時間長T2内において、時間長T0で分割した3つの時間長のうち一の時間長T0において選択した一のタイムスロットの時間帯に到達すると、送信許可フラグが1である場合に、識別信号を小電力送信部220に送信させる。具体的には、UHF帯送信制御部274は、初期値が1である制御用カウンタを予め有している。UHF帯送信制御部274は、タイマ部250の第1のカウンタにて時間長T1が計時される度に、つまり初期値0へ戻る度に、制御用カウンタの値を1ずつカウントアップする。そして、ランダムに選択した一の値と同値になったときに、UHF帯送信制御部274は、選択した一のタイムスロットの時間帯に到達したと判断する。また、タイマリセット部272による第1及び第2のカウンタがリセットされた場合、及び第2のカウンタが時間長T2を計時する度にリセットされた場合、UHF帯送信制御部274は、当該制御用カウンタを初期値へリセットする。
【0044】
また、UHF帯送信制御部274は、タグリーダ10a及び10bからの要求信号を受信した時のみボタン240の押下による識別信号を小電力送信部220に送信させる。
(8)識別信号の送信の具体例
ここでは、UHF帯での識別信号の送信のタイミングについて、具体例を用いて説明する。
【0045】
図5は、タグ20aと20bそれぞれからUHF帯での識別信号の送信を行うタイミングを示す図である。
タグリーダ10aがタグ20aからの識別情報を受け取った旨の内容と第1コマンドとを含むLF起動信号t10を送信する。タグ20aはその信号を受信するとタグ20aのタイマ部250の第1及び第2のカウンタそれぞれをリセットする。なお、図中におけるタイマのリセットとは、第1及び第2のカウンタそれぞれのリセットを意味する。
【0046】
そして、タグ20aのUHF帯送信制御部274が一のタイムスロットを選択する(ここでは、選択されたタイムスロットは3番目であるとする。)。その後、タグ20aのUHF帯送信制御部274は、周期T2において、タグ20aの第1のカウンタによる計時が選択した3番目のタイムスロットの時間帯に到達すると、UHF帯で識別信号を送出するようタグ20aの小電力送信部220を制御する。ここでは、図5にて示すように、周期T2のうち最初の時間長T0における3番目のタイムスロットにて識別信号を送信している(t20、t21を参照。)。
【0047】
また、タグ20bは、タグ20bからの識別情報を受け取った旨の内容と第1コマンドとを含むLF起動信号t11を受信すると、タグ20bのタイマ部250の第1及び第2のカウンタそれぞれをリセットする。そして、一のタイムスロットが選択される(ここでは、選択されたタイムスロットは4番目であるとする)。その後、周期T2において、タグ20bの第1のカウンタによる計時が選択した4番目のタイムスロットの時間帯に到達すると、UHF帯で識別信号が送出される。ここでは、T2のうち最初の時間長T0における4番目のタイムスロットにて識別信号を送信している(t30、t31を参照。)。
【0048】
1.5 プレゼンスリーダ30a〜30d
プレゼンスリーダ30a〜30dの構成要素は同じであるので、ここでは、プレゼンスリーダ30aについて説明する。
プレゼンスリーダ30aは、図6にて示すように、I/F部310と、通知部330と、小電力受信部(UHF帯受信部)340と、制御部350とから構成される。
【0049】
(1)I/F部310
I/F部310は、管理制御装置40aと予め定められた通信規格(例えばRS−485規格)に従って通信を実行する機能を有する。具体的には、I/F部310は、管理制御装置40aから送信されてくる信号を制御部350に伝達する機能と、制御部350から伝達されてきた識別情報を管理制御装置40aに送信する機能を有する。
【0050】
(2)通知部330
通知部330は、プレゼンスリーダ30aの化粧パネルに備えられたLEDあるいはLCDを用いてプレゼンスリーダ30aにおけるエラーの発生等の状態の通知や、認証に係る情報をユーザに通知する機能を有する。
(3)小電力受信部340
小電力受信部340は、プレゼンスリーダ30aが設置されたエリアA内にある1つ以上のタグから送信された識別信号をUHF帯でUHFアンテナ341を介して受信し、受信した識別信号を復調して制御部350に伝達する機能を有する。
【0051】
(4)制御部350
制御部350は、プレゼンスリーダ30aの各部を制御する機能を有する。
制御部350は、小電力受信部340から識別信号を受け取ると、識別信号に含まれる識別情報を、I/F部310を介して管理制御装置40aへ送信する。
1.6 管理制御装置40a〜40d
管理制御装置40a〜40dは、同じ構成要素であるので、ここでは、管理制御装置40aについて説明する。
【0052】
管理制御装置40aは、図7にて示すように、履歴情報記憶部410、受信台数情報記憶部420、第1I/F部430及び第2I/F部440から構成されている。
(1)履歴情報記憶部410
履歴情報記憶部410は、プレゼンスリーダ30aから送信された識別情報の受信に係る履歴情報を記憶するものである。
【0053】
ここで、履歴情報とは、エリアA内に存在する1つ以上のタグ毎に送信された識別情報と、管理制御装置40aが当該識別情報を受信した日時を含むものである。
(2)受信台数情報記憶部420
受信台数情報記憶部420は、プレゼンスリーダ30aの管理対象であるエリアAに存在するタグの台数を記憶するものである。
【0054】
(3)第1I/F部430
第1I/F部430は、プレゼンスリーダ30aと予め定められた通信規格(例えばRS−485規格)に従って通信を実行する機能を有する。具体的には、第1I/F部430は、プレゼンスリーダ30aから送信されてくる識別情報を制御部450に伝達する機能と、制御部450から伝達されてきた情報をプレゼンスリーダ30aに送信する機能を有する。
【0055】
(4)第2I/F部440
第2I/F部440は、照明機器60a及び空調機器70aと予め定められた通信規格(例えばRS−485規格)に従って通信を実行する機能を有する。具体的には、第2I/F部440は、制御部450から伝達されてきたこれら機器の制御に係る信号を照明機器60a及び空調機器70aに送信する機能を有する。
【0056】
(5)制御部450
制御部450は、管理制御装置40aの各部を制御する機能を有する。
制御部450は、日時を計時する計時機能を有しており、プレゼンスリーダ30aから識別情報を受け取ると、計時機能により日時を取得する。制御部450は、受け取った識別情報と取得した日時からなる履歴情報を履歴情報記憶部410へ書き込む。
【0057】
制御部450は、エリアA内に存在するタグの台数、つまり利用者の人数を定期的(例えば、5分毎)に確認し、その結果に応じて、照明機器60a及び空調機器70aを制御する。
具体的には、制御部450は、履歴情報記憶部410に記憶されている履歴情報を基に、現在から過去5分の間において少なくとも1回受信した識別情報の個数を取得する。制御部450は、取得した個数に応じて、照明機器60aの照度が変更されるよう、及び空調の温度及び風力が変更されるよう照明機器60a及び空調機器70aに対して制御信号を送信する。例えば、取得した個数が0個である場合には、照明機器60aへ照明機器60aの電源をオフする旨を指示する制御信号を送信し、空調機器70aへ空調機器70aの電源をオフする旨を指示する制御信号を送信する。また、取得した個数が10個以上であれば、照明機器60aに対して照度を現在の設定よりも明るくする旨の制御信号を送信し、空調機器70aに対して温度及び風力を現在の設定よりも温度を低く及び風力を強くする旨の制御信号を送信する。
【0058】
1.7 動作
(1)動作概要
ここでは、タグリーダ10a、10b、タグ20a及びプレゼンスリーダ30aを用いて、プレゼンス管理システム1の動作に概要について、図8に示す流れ図を用いて説明する。
【0059】
タグリーダ10aは、周期T0内に1回、識別情報を要求する旨を含むLF起動信号を発報する(ステップS5)。以下において、識別情報を要求する旨を含むLF起動信号をLF起動信号(要求)と記載する。
タグ20aは、LF起動信号(要求)を受信すると、LF帯で識別信号をタグリーダ10aへ送信する(ステップS10)。
【0060】
タグリーダ10aは、タグ20aから識別信号を受信した後、LF起動信号を発報する際には、識別情報を受け取った旨の内容と、第1コマンドとを含めて発報する(ステップS15)。以下において、識別情報を受け取った旨の内容を含むLF起動信号(応答)と記載する。また、タグリーダ10aは、識別信号を受信すると、認証処理をも行っている。
【0061】
タグ20aは、第1コマンドを含むLF起動信号(応答)を受信すると、タイマ部250の第1及び第2のカウンタそれぞれをリセットして、UHF帯で識別信号を送信するためのタイムスロットを選択して、周期T2内に1回、選択したタイムスロットにてUHF帯で識別信号を送信する(ステップS20、S25)。このとき、プレゼンスリーダ30aは、タグ20aからUHF帯で送信された識別信号を受信する。プレゼンスリーダ30aは、受信した識別信号に含まれる識別情報を管理制御装置40aへ送信し、管理制御装置40aは、プレゼンスリーダ30aから送信された識別信号を含む履歴情報を記憶するととも、記憶している履歴情報を用いて定期的に照明機器60a及び空調機器70aの制御を行う。
【0062】
タグリーダ10bは、周期T0内に1回、LF起動信号(要求)を発報する(ステップS30)。
タグ20aは、LF起動信号(要求)を受信すると、LF帯で識別信号をタグリーダ10aへ送信する(ステップS35)。
タグリーダ10bは、タグ20aから識別信号を受信した後、LF起動信号(応答)を発報する際には、第2コマンドを含めて発報する(ステップS40)。タグ20aは、第2コマンドが含まれたLF起動信号(応答)を受信すると、UHF帯での識別信号の送信を抑止する。
【0063】
(2)LF起動信号(応答)の受信時の動作
以下において、タグ20a〜20gが、LF起動信号(応答)の受信した場合における動作(送信許可フラグの変更処理)について、図9にて示す流れ図を用いて説明する。
タグ20a〜20gは同様の動作を行うので、ここでは、タグ20aの動作について説明する。
【0064】
タグ20aのLF帯送受信部210は、タグリーダ10a、10bからLF起動信号(応答)を受信する(ステップS100)。
LF帯送受信制御部271は、受信したLF起動信号(応答)に第1コマンドが含まれるか否かを判断する(ステップS105)。
第1コマンドが含まれると判断する場合(ステップS105における「Yes」)、LF帯送受信制御部271は、フラグ記憶部273に記憶されている送信許可フラグの値を1に設定する(ステップS110)。第1コマンドが含まれない、つまり第2コマンドが含まれると判断する場合(ステップS105における「No」)、LF帯送受信制御部271は、送信許可フラグの値を0に設定する(ステップS115)。
【0065】
タイマリセット部272は、タイマ部250の第1及び第2のカウンタの値をリセットする(ステップS120)。
(3)UHF帯での識別信号の送信処理
以下において、タグ20a〜20gが、UHF帯での識別信号の送信処理について、図10にて示す流れ図を用いて説明する。
【0066】
タグ20a〜20gは同様の動作を行うので、ここでは、タグ20aの動作について説明する。
タグ20aのUHF帯送信制御部274は、識別信号の送信に用いる一のタイムスロットを選択する(ステップS200)。
UHF帯送信制御部274は、第1のカウンタの計時が前記選択したタイムスロットに到達したか否かを判断する(ステップS205)。
【0067】
第1のカウンタの計時が前記選択したタイムスロットに到達したと判断する場合(ステップS205における「Yes」)、UHF帯送信制御部274は、フラグ記憶部273に記憶されている送信許可フラグの値が1であるか否かを判断する(ステップS210)。値が1であると判断する場合(ステップS210における「Yes」)、UHF帯送信制御部274は、識別信号を小電力送信部220に送信させる(ステップS215)。
【0068】
第1のカウンタの計時が前記選択したタイムスロットに到達していないと判断する場合(ステップS205における「No」)、値が1でない、つまり値は0であると判断する場合(ステップS210における「No」)及びステップS215による識別信号の送信後、処理はステップS205へ戻る。
1.8 変形例
上記実施の形態において、本発明の実施の手法について説明してきたが、本発明の実施形態がこれに限られないことは勿論である。以下、上記実施形態以外に本発明として含まれる各種の変形例について説明する。
【0069】
(1)上記実施の形態において、タイムスロットの選択方法は、ランダムに選択するものであってもよい。
または、予め決められたタイムスロットを選択するものであってもよい。具体的には、時間長T0において時間長T1で分割される各タイムスロットに順次番号を予め対応付けておき、各タグは、対応付けられている番号のうち一の番号を予め記憶しておくことで、識別信号の送信に用いるタイムスロットを選択することができる。
【0070】
(2)上記実施の形態において、タイムスロットはタグ自身で選択したが、これに限定されない。
タグリーダ10aがUHF帯での識別信号の送信に用いるタイムスロットを指定してもよい。
具体的には、タグリーダ10aは、n個のタイムスロットを順次番号(1〜n)を付与しておき、認証がなされた順に、1〜nのタイムスロットを順次各タグに割り当てる。
【0071】
または、一定個数ずつ飛ばしのタイムスロットの番号を割り当てるとしてもよい。または、新しく割り当てるタイムスロットを、直前に割り当てられたタイムスロットから時間的に最も離れたタイムスロットとなるよう番号を選択するとしてもよい。
(3)上記実施の形態において、プレゼンスリーダ30a〜30dへ識別信号を送信する際のUHF帯の周波数は、すべてのタグに対して同一のものであるとしてもよいし、それぞれ対して異なるものとしてもよい。
【0072】
または、タグリーダ10aがUHF帯での識別信号を送信に用いる周波数を指定してもよい。
または、タグそれぞれが、プレゼンスリーダ30a〜30dへ識別信号を送信する際に、UHF帯のうち複数の周波数チャネルから一の周波数を選択して、選択した一の周波数により識別信号を送信してもよい。
【0073】
(4)上記実施の形態において、タイムスロットの時間長T1は、識別信号の送信開始から終了までの時間長として、一のタイムスロットにおいてUHF帯で識別信号を1回送信するとしたが、これに限定されない。
識別信号の送信開始から終了までの時間長をT1’とした場合、タイムスロットの時間長T1を時間長T1’以上とし、つまり、T1≧q×T1’(qは1以上の整数)として、一のタイムスロット内にUHF帯で識別信号をq回送信するとしてもよい。
【0074】
(5)上記実施の形態において、第1のコマンドを含む識別信号(応答)を受信した以降は、常に周期T2毎にUHF帯で識別信号を送信するとしたが、これに限定されない。
タイマ部250の第1及び第2のカウンタがリセットされた後、所定の時間(例えば、r×T2(rは2以上の整数))が経過した後は、周期を変更して、例えば周期T3(>T2)毎にUHF帯で識別信号を送信するとしてもよい。
【0075】
図11において、この場合におけるタグ20aがUHF帯で識別信号の送信を行うタイミングを示す。ここでは、周期T3=5×T0=5/3×T2>T2としている。
タグリーダ10aがタグ20aからの識別情報を受け取った旨の内容と第1コマンドとを含むLF起動信号t100を送信する。タグ20aはその信号を受信するとタグ20aの第1及び第2のカウンタそれぞれをリセットする。そして、タグ20aのUHF帯送信制御部274が一のタイムスロットを選択する(ここでは、選択されたタイムスロットは3番目であるとする)。その後、タグ20aのUHF帯送信制御部274は、周期T2において、タグ20aの第1のカウンタによる計時が選択した3番目のタイムスロットの時間帯に到達すると、UHF帯で識別信号を送出するようタグ20aの小電力送信部220を制御する。ここでは、図5にて示すように、周期T2のうち最初の時間長T0における3番目のタイムスロットにて識別信号を送信している(t200、t201、t202を参照。)。
【0076】
タグ20aは、第1コマンドとを含むLF起動信号t100を受信した後、つまりは第1及び第2のカウンタをリセットした後、所定の時間(r×T2)が経過すると、識別信号を送信する周期をT2からT3へと変更して、識別信号の送信を継続する(t210、t211を参照。)。このとき、例えば、第2のカウンタの計時の周期を時間長T2から時間長T3へと変更する。
【0077】
なお、図11では、タグ20aは、周期T3に用いるタイムスロットと、周期T2で用いたタイムスロットとを同じものとしているが、周期が切り替わる際に、再度、使用するタイムスロットを選択してもよい。
(6)上記実施の形態において、管理対象フロア2への出入り口を1つして説明したが、これに限定されない。
【0078】
管理対象フロア2への出入り口は複数あってもよい。
この場合、各出入り口毎に、入室用のタグリーダ10aと退出用のタグリーダ10bが備えられて、各タグリーダの同期を取るための制御装置を備えることで実現できる。
制御装置は、各タグリーダに対してポーリングを行うことで、各タグリーダが同期するよう制御する。または、各タグリーダに同期信号を送信することで、各タグリーダが同期するよう制御する。
【0079】
これにより、利用者は、どの出入り口から入室しても、各タグの同期はとれていることになる。
(7)上記実施の形態において、管理対象フロア2は1つとして説明したが、これに限定されない。管理対象フロア2は複数あってもよい。
この場合、各フロアの出入り口毎に、入室用のタグリーダ10aと退出用のタグリーダ10bが備えられて、各タグリーダの同期を取るための制御装置を備えることで実現できる。同期方法は、上述しているので、ここでの説明は省略する。
【0080】
上記の場合は、各タグリーダ10aからLF起動信号(応答)を受信する度に、タグ20a〜20gは、タイマ部250の第1及び第2のカウンタそれぞれをリセットする構成となっている。
しかしながら、各フロア毎にタグリーダ10aが存在する場合に、各タグリーダの同期をとり、LF起動信号(応答)を受信する度に、タグ20a〜20gは、第1及び第2のカウンタそれぞれをリセットする構成とする必要はない。
【0081】
特定のタグリーダからのLF起動信号(応答)を受信した場合にのみ、タグ20a〜20gは、タイマ部250の第1及び第2のカウンタをリセットするとしてもよい。例えば、特定のタグリーダとは、利用者が最初に必ず入室するフロア(例えばビルであれば、1階フロア)の出入り口に設けられたタグリーダである。この場合、特定のタグリーダは発報するLF起動信号(応答)には、自身が特定のタグリーダである旨の情報が含まれている。
【0082】
これにより、タグ20a〜20gは、必ず第1及び第2のカウンタをリセットして同期をとるので、その後、他フロアの入室の認証時に同期を取る必要はない。また、各タグリーダの同期をとるための制御装置を設ける必要もない。
(8)上記実施の形態において、UHF帯での識別信号の送信の抑止を送信許可フラグの値に基づいて行ったが、これに限定されない。
【0083】
UHF帯での識別信号の送信の抑止は、ボタン240による操作にて抑止を行ってもよいし、送信処理が起動されてから一定時間(例えば8時間)を経過すると抑止するとしてもよい。
(9)上記実施の形態において、識別信号の送信処理の起動時にタイムスロットが選択される構成としているが、これに限定されない。
【0084】
第1コマンドを含むLF起動信号(応答)を受信する度、つまりは送信許可フラグに値1を設定する度に、タイムスロットが選択される構成としてもよい。
または、UHF帯で識別信号を送信する周期T2毎に、タイムスロットを選択するとしてよい。
(10)上記実施の形態において、プレゼンスリーダ30a〜30dへ送信される識別信号は、時間長T2のうち最初に現れる時間長T0内の一のタイムスロット(選択されたタイムスロット)でUHF帯を用いて送信されたが、これに限定されない。
【0085】
UHF帯で識別信号が送信されるタイミングは、時間長T2において分割された複数の時間長T0のうちどの時間長T0内で行われてもよい。
この場合、UHF帯送信制御部274は、1つの制御用カウンタを有する代わりに、第1の制御用カウンタと第2の制御用カウンタとを有する。第1の制御カウンタは、初期値が1であり、タイマ部250の第1のカウンタにて時間長T1が計時される度に、つまり初期値0へ戻る度に、値を1ずつカウントアップする。第1の制御用カウンタは、タイムスロットの個数、つまり値nに到達すると、UHF帯送信制御部274により初期値1へリセットされる。第2の制御用カウンタは、初期値1であり、第1の制御用カウンタがリセットされると、値1ずつカウントアップされる。第1の制御用カウンタは、時間長T2内における時間長T0の個数、つまり値m(ここでは、m=3)に到達すると、UHF帯送信制御部274により初期値1へリセットされる。
【0086】
UHF帯送信制御部274は、予め記憶しているタイムスロットの個数(ここでは、値5)のうち一の値をランダムに選択する(以下、第1の選択値という。)。さらに、UHF帯送信制御部274は、時間長T2内における時間長T0の個数(ここでは、値3)をも予め記憶しており、その個数から一の値をランダムに選択する(以下、第2の選択値という。)。
【0087】
UHF帯送信制御部274は、第2の制御用カウンタの値が第2の選択値と同一となり、且つ第1の制御用カウンタの値が第1の選択値と同一になったときに、UHF帯送信制御部274は、選択した一のタイムスロットの時間帯に到達したと判断する。
これにより、UHF帯で識別信号が送信されるタイミングは、時間長T2において分割された複数の時間長T0のうちいずれかの時間長T0内で行われることになる。
【0088】
(11)上記実施の形態において、タグ20a〜20gは、UHF帯での識別信号を時間長T2において1回送信したが、これに限定されない。
タグ20a〜20gは、mが2以上の整数である場合において、時間長T2において分割されたm個の時間長T0のうちp個(pは2以上m以下の整数)の時間長T0を用いて、UHF帯で識別信号をp回送信してもよい。
【0089】
この場合、UHF帯送信制御部274が、上述した第2の選択値を、時間長T2内における時間長T0の個数(ここでは、値3)から1つ以上選択することで実現できる。
(12)上記実施の形態において、第1のカウンタは、初期値0から時間長T1までカウントアップするとしたが、これに限定されない。
第1のカウンタは、初期値をT1とし、T1から値0までカウントダウンする計時方法であってもよい。
【0090】
また、第2のカウンタについても同様に、初期値をm×nとし、T2から値1までカウントダウンする計時方法であってもよい。
(13)上記実施の形態において、タグとプレゼンスリーダとの間では、一方向(タグからプレゼンスリーダへの方向)の通信としたが、これに限定されない。
タグとプレゼンスリーダとの間において、双方向通信を行ってもよい。例えば、プレゼンスリーダは、タグから識別信号を受け取ると、その応答として受け取った識別信号に含まれる識別情報を含めた応答信号を送信する。タグは、自身の識別情報が含まれる応答信号を受信することで、プレゼンスリーダとの通信がなされている、つまり、管理対象のエリアに居ることを認識する。タグは、一定時間(例えば、5分)の間、自身の識別情報が含まれる応答信号を受信しない場合には、管理対象のエリアには居ないと判断し、UHF帯での識別情報の定期的な送信を抑止する。
【0091】
(14)上記実施の形態において、プレゼンスリーダと管理制御装置とを個別ものとしたが、これに限定されない。
プレゼンス管理システム1は、プレゼンスリーダと管理制御装置と1つの装置として実現されてもよい。
(15)上記実施の形態において、周期T2は、時間長T0のm倍(mは1以上の整数)であるとしたが、これに限定されない。
【0092】
周期T2は、時間長T1の整数倍であり、且つ時間長T0(=n×T1)以上であればよい。ここで、nは、1以上の整数であり、ここでは、実施の形態と同様にn=5とする。
例えば、時間長T2=n’×T1(n’はnより大きい整数。)とし、第2のカウンタが値n’に到達後、第1のカウンタが初期値0へ戻ると、当該第2のカウンタの値も初期値1へと戻るようにすることで、実現できる。
【0093】
(16)上記実施の形態において、タグ20a〜20gは、周期T2にて分割される複数の時間長T0のうち一の時間長T0内においてタイムスロットを選択したが、これに限定されない。
周期T2≧s×T0(s×n×T1)である場合において、T2に存在するs×n個の時間長T1のタイムスロットから一のタイムスロットを選択してもよい。
【0094】
(17)上記実施の形態において、タグ20a〜20gは、管理対象フロア2への入退出時の認証に用いるとしたが、これに限定されない。
タグ20a〜20gは、プレゼンス管理のみに用い、認証には非接触ICカードのみが用いられるとしてもよい。
この場合、タグリーダ10aのLF帯送受信部140は第1コマンドを含むLF起動信号のみを周期的に発報し、タグリーダ10bのLF帯送受信部140は第2コマンドを含むLF起動信号のみを周期的に発報する。
【0095】
(18)上記の実施の形態において、管理制御装置40a〜40dは、制御対象として照明機器60a〜60d及び空調機器70a〜70dとしたが、これに限定されない。
制御対象としては、これら以外に電動カーテン等のように、電力を消費することで動作する電気機器であればよい。
(19)上記実施の形態において、図3にて示すように、LF起動信号の送信時間(LF信号の送信開始から終了までの時間)は、時間長T1、つまりUHF帯で送信される識別信号の送信時間帯と同一であるとしているが、これに限定されない。
【0096】
LF起動信号を送信する周期T0が時間長T1の整数倍となっていればよく、LF起動信号の送信時間と時間長T1とに依存関係がある必要はない。
(20)上記の実施の形態で説明した手法は装置や集積回路で実現されてもよい。また、上記の手法の手順を記述したプログラムをメモリに記憶しておき、CPU(Central Processing Unit)などがメモリからプログラムを読み出して、読み出したプログラムを実行することによって、上記の手法が実現されるようにしてもよい。
【0097】
(21)上記の実施の形態で説明した手法の手順を記述したプログラムを記録媒体に格納して、頒布するようにしてもよい。
(22)上記実施の形態において、管理制御装置40a〜40dは、エリアに存在するタグの個数に基づいて、照明機器60a〜60d及び空調機器70a〜70dの制御を行ったが、これに限定されない。
【0098】
管理制御装置40a〜40dは、受信したタグの識別情報に基づいて、照明機器60a〜60d及び空調機器70a〜70dの制御を行ってもよい。例えば、管理制御装置40aは、識別情報がある特定の識別子Aを受信した場合には、対応する照明機器60aの照度を明るくするよう制御してもよい。また、管理制御装置40aは、識別情報がある特定の識別子Bを受信すると、対応する空調機器70aに対して温度を現在設定されている温度よりも低くするよう制御してもよい。
【0099】
これにより、タグを保持している個人毎に照明機器や空調機器の制御することができる。
(23)上記実施の形態及び上記変形例をそれぞれ組み合わせるとしてもよい。
(24)本発明におけるタグ管理システムとは、上記実施の形態におけるプレゼンス管理システム1に相当する。
【0100】
また、発報装置とは上記実施の形態におけるタグリーダ10aに相当し、受信装置とは上記実施の形態におけるプレゼンスリーダ30a〜30dに相当する。
また、確認信号とは、上記実施の形態におけるLF起動信号、特に第1コマンドを含むLF起動信号に相当する。
【符号の説明】
【0101】
1 プレゼンス管理システム
2 管理対象フロア
10a、10b タグリーダ(TR)
20a〜20g タグ
30a〜30d プレゼンスリーダ(PR)
40a〜40d 管理制御装置
50 ゲート制御装置(GU)
60a〜60d 照明機器
70a〜70d 空調機器
110 I/F部
130 通知部
140 LF帯送受信部
141 LFアンテナ
150 小電力受信部
151 UHFアンテナ
160 HF帯送受信部
161 HFアンテナ
170 記憶部
171 認証情報
180 制御部
210 LF帯送受信部
211 LFアンテナ
220 小電力送信部
221 UHFアンテナ
230 メモリ
231 識別情報
240 ボタン
250 タイマ
260 電池
270 制御部
271 LF帯送受信制御部
272 タイマリセット部
273 フラグ記憶部
274 UHF帯送信制御部
310 I/F部
330 通知部
340 小電力受信部
341 UHFアンテナ
350 制御部
410 履歴情報記憶部
420 受信台数情報記憶部
430 第1I/F部
440 第2I/F部
450 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のタグと、確認信号を発報する発報装置と、前記確認信号を受信した1つ以上のタグそれぞれから当該タグを識別する識別信号を定期的に受信する受信装置とからなるタグ管理システムであって、
前記発報装置は、時間長T0を1周期として、前記確認信号を周期的に発報し、
前記複数のタグそれぞれは、
T0=T1×m(mは1以上の整数)を満たす時間長T1からなる各タイムスロットの計時を行うタイマと、
前記確認信号を受信する受信手段と、
前記確認信号が受信されると、前記タイマをリセットするリセット手段と、
前記タイマのリセット後、時間長T0以上である特定の周期毎に少なくとも1回、前記タイマにて計時される一のタイムスロット内で前記識別信号を前記受信装置へ送信する送信手段とを備える
ことを特徴とするタグ管理システム。
【請求項2】
前記発報装置は、前記確認信号を送信する際に、識別信号の送信に用いるべき一のタイムスロットを指定する指定情報をも発報し、
前記送信手段は、前記発報装置から発報された指定情報にて指定された一のタイムスロットで、前記識別信号を送信する
ことを特徴とする請求項1に記載のタグ管理システム。
【請求項3】
前記識別信号は、UHF帯を用いた無線通信により送信され、
前記送信手段は、
前記UHF帯のうち複数の周波数チャネルから一の周波数を選択して、選択した一の周波数にて前記識別信号を送信する
ことを特徴とする請求項1に記載のタグ管理システム。
【請求項4】
前記識別信号の送信開始から終了までの時間長Tは、T1≧T×n(nは2以上の整数)を満たす値であり、
前記送信手段は、前記一のタイムスロット内において、前記識別信号をn回送信する
ことを特徴とする請求項1に記載のタグ管理システム。
【請求項5】
前記送信手段は、
前記リセット手段でタイマがリセットされた後、所定の時間が経過するまでの間は前記特定の周期で前記識別信号を送信し、前記所定の時間の経過後においては、前記特定の周期よりも長い周期毎に少なくとも1回、前記タイマにて計時される一のタイムスロット内で前記識別信号を送信する
ことを特徴とする請求項1に記載のタグ管理システム。
【請求項6】
前記発報装置は、複数のエリアからなるエリア群に入場するための入り口に配置され、
前記受信装置は、前記タグ管理システムにおいて複数台存在し、複数の受信装置それぞれは、エリア毎に配置されており、
各エリアには、電力を消費することで動作する電気機器が備えられており、
前記タグ管理システムは、さらに、
前記エリア毎に、当該エリアに備えられた受信装置が受信した識別信号が示すタグの個数に応じて、当該エリアに備えられた電気機器の制御を行う機器制御装置を備える
ことを特徴とする請求項1に記載のタグ管理システム。
【請求項7】
前記エリア群において複数箇所に入り口が設けられ、
前記発報装置は、前記タグ管理システムにおいて複数台存在し、各発報装置は前記複数の入り口毎に配置されており、
前記タグ管理システムは、さらに、
前記複数の発報装置が発報する確認信号の発報タイミングが同一となるように制御する管理装置を備える
ことを特徴とする請求項6に記載のタグ管理システム。
【請求項8】
前記タグ管理システムにおいて、前記エリア群は複数存在し、
前記発報装置は、前記タグ管理システムにおいて複数台存在し、各発報装置は前記エリア群毎に配置されており、
前記タグ管理システムは、さらに、
前記複数の発報装置が発報する確認信号の発報タイミングが同一となるように制御する管理装置を備える
ことを特徴とする請求項6に記載のタグ管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−71717(P2011−71717A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−220597(P2009−220597)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】