説明

タッチスクリーンおよび位置感知システムの使用のための再帰反射体

タッチスクリーンシステムおよびプリズムフィルムは、三角キューブコーナーを有する複数の再帰反射素子を有する再帰反射基板を含む。金属化層が再帰反射素子の少なくとも一部を覆って配置される。一実施形態では、プリズムフィルムは、再帰反射素子を覆って載置される2つの着色基板を有する。別の実施形態では、単一の基板が再帰反射素子を覆って載置される。赤外線スペクトルにおいては透明性が高いが可視光スペクトルにおいては不透明でもあり、プリズムフィルムに暗い外観を与える基板の色が選択されることが、しばしば所望される。例えば、プリズムフィルムは面により平行な方向に約4度から縁により平行な方向に18度の間の範囲の傾斜および約0.002〜0.008インチの間のキューブ奥行を伴う、または縁により平行な方向に約5.5〜22度の傾斜、および約0.0005〜0.004インチの間のキューブ奥行を伴う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、米国仮特許出願第61/020,921号(2008年1月14日出願)および米国仮特許出願第61/080,393号(2008年7月14日出願)の利益を主張し、両出願は、本明細書に参考として援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、概して、タッチスクリーンまたは位置感知システム内の対象物の位置を検出するためのシステムおよび方法、ならびにそれによって使用される再帰反射またはプリズムフィルムに関する。該システムは、タッチスクリーンおよび/または位置感知システムに対して、不透明対象物を対照によって引き立たせるための好適な背景を提供する、金属化三角キューブコーナー再帰反射素子を有する、プリズムフィルムを含み、プリズムフィルムは、タッチスクリーンアプリケーションおよび/または位置感知システム内の対象物の検出を容易にするために、電磁スペクトルの選択された部分において透明性が高い。
【背景技術】
【0003】
タッチスクリーンに関連するいくつかの位置検出システムは、不透明な対象物(例えば、指、スタイラス等)による放射線(例えば、光)の遮断を感知する。そのようなシステムは、概して、表示域表面に平行なタッチスクリーンの領域にわたって放射線を透過するための放射線トランスミッタを利用する。タッチスクリーンの領域を通過する放射線を検出し、不透明対象物によるこの放射線のなんらかの遮断の存在および位置を感知するために、放射線受信器が使用される。
【0004】
米国特許第4,507,557号に開示されるように、再帰反射シート材料が、タッチスクリーンのアクティブ領域の周囲に配置されてもよい。再帰反射シート材料は、概して、発生源から受信される放射線を発生源に向かって後方反射するように配設される。例示的な再帰反射シート材料は、概して、平滑な前面と、裏面上に複数の再帰反射キューブコーナープリズムとを有する、アクリル、ポリカーボネート、またはビニル等の透明樹脂層を含む。平滑な前面への入射光は、シートを通過し、再帰反射素子に作用し、入射方向に対して公称180度の方向に、平滑な前面を通して後方反射される。
【0005】
タッチスクリーンアプリケーションおよび/または位置検出システムにおける特定の従来の再帰反射シート材料の使用に関する1つの問題は、汚れおよび/または湿気が、構造に浸透し、再帰反射シート材料の再帰反射性に悪影響を及ぼし得ることである。タッチスクリーンアプリケーションおよび/または位置検出システムに使用される従来の再帰反射シート材料に関する別の問題は、不透明対象物が対照させられる、対象となる領域(例えば、検出領域)全体にわたって、均一な背景を得ることが困難なことである。多くの従来の再帰反射シート材料の設計は、不均一な背景を提供し、検出された信号が非常に低い、特にコーナー領域またはその近傍の、複数の部分を有する。これは、そのような領域内の不透明対象物の移動を検出することを困難にする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記を考慮して、金属化シートの光学的および機械的性能の利益を提供する、再帰反射シート設計の必要性がある。
【0007】
本発明の一側面は、表示領域の少なくとも一部の上方に電磁放射線を出力するための、少なくとも1つの電磁放射線源と、表示領域の少なくとも一部の周辺部に沿って配置されるプリズムフィルムから反射される、電磁放射線を受信するように配置される、カメラとを含む、タッチスクリーンシステムに関し、プリズムフィルムは、面により平行な方向に約4度から縁により平行な方向に18度の間の範囲の傾斜、および約0.002と0.008インチとの間のキューブ奥行を有する、三角キューブコーナーを有する、複数の再帰反射素子を含む。
【0008】
本発明の別の側面は、複数の三角キューブコーナー再帰反射素子を有する、再帰反射基板と、再帰反射素子の少なくとも一部を覆って配置される、金属化層と、再帰反射基板の少なくとも一部を覆って配置される、第1の基板とを含む、プリズムフィルムに関し、第1の基板は、平滑な外面を有する。
【0009】
本発明の別の側面は、縁により平行な方向に約4と18度との間の範囲の傾斜、および約0.002と0.008インチとの間のキューブ奥行、または縁により平行な方向に約5.5と22度との傾斜、および約0.0005と0.004インチとの間のキューブ奥行、または面により平行な方向に約8と35度との傾斜、および0.001と0.012インチとの間のキューブ奥行を伴う、三角キューブコーナーを有する、複数の再帰反射素子を有する、ピン留めされていない再帰反射基板を含む、反射フィルムに関する。
【0010】
本発明の別の側面は、縁により平行な方向に約4と18度との間の範囲の傾斜、およびフィルムが使用されるディスプレイのサイズに基づいて選択されるキューブ奥行を伴う、三角キューブコーナーを有する、複数の再帰反射素子を有する、プリズムフィルムを含む、赤外反射フィルムに関する。
【0011】
本発明の上記および他の特徴は、以下により十分に説明され、特許請求の範囲、本発明の特定の例示的実施形態を詳細に記載する以下の説明において具体的に指摘されるが、これらは、本発明の原理が採用され得る種々の方法のうちのいくつかを示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明のこれらの特徴およびさらなる特徴は、以下の説明および図面を参照して明らかとなる。
【図1】図1は、本発明の側面に従った、タッチスクリーンシステムの概略図である。
【図2】図2は、本発明に従った、図1のタッチスクリーンシステムの断面である。
【図3】図3および4は、本発明に従った、プリズムフィルム実施形態の断面図である。
【図4】図3および4は、本発明に従った、プリズムフィルム実施形態の断面図である。
【図5】図5は、図3および4に示すような傾斜キューブコーナー再帰反射素子のアレイを有する、プリズムフィルムの平面図である。
【図6】図6は、本発明の側面に従った、例示的な傾斜キューブコーナー再帰反射構造の平面図である。
【図7】図7は、図6に示すような傾斜キューブコーナー再帰反射素子の2つのアレイを有する、プリズムフィルムの平面図であり、アレイ内のキューブコーナー再帰反射素子は、相互に対して90度回転している。
【図8】図8は、図6に示すような傾斜キューブコーナー再帰反射素子のピン留めされていないプリズムフィルムの平面図である。
【図9】図9は、線9−9に沿った図5の断面図である。
【図10】図10は、本発明の側面に従った、異なる三角キューブコーナーに対するカメラ信号の例示的なプロットである。
【図11】図11〜18は、本発明の側面に従った、傾斜(度)およびキューブ奥行(mil)の関数としてグラフ表示される、最小信号/範囲の例示的なプロットである。
【図12】図11〜18は、本発明の側面に従った、傾斜(度)およびキューブ奥行(mil)の関数としてグラフ表示される、最小信号/範囲の例示的なプロットである。
【図13】図11〜18は、本発明の側面に従った、傾斜(度)およびキューブ奥行(mil)の関数としてグラフ表示される、最小信号/範囲の例示的なプロットである。
【図14】図11〜18は、本発明の側面に従った、傾斜(度)およびキューブ奥行(mil)の関数としてグラフ表示される、最小信号/範囲の例示的なプロットである。
【図15】図11〜18は、本発明の側面に従った、傾斜(度)およびキューブ奥行(mil)の関数としてグラフ表示される、最小信号/範囲の例示的なプロットである。
【図16】図11〜18は、本発明の側面に従った、傾斜(度)およびキューブ奥行(mil)の関数としてグラフ表示される、最小信号/範囲の例示的なプロットである。
【図17】図11〜18は、本発明の側面に従った、傾斜(度)およびキューブ奥行(mil)の関数としてグラフ表示される、最小信号/範囲の例示的なプロットである。
【図18】図11〜18は、本発明の側面に従った、傾斜(度)およびキューブ奥行(mil)の関数としてグラフ表示される、最小信号/範囲の例示的なプロットである。
【図19】図19は、本発明のプリズムフィルムと従来のフィルム材料との例示的な比較である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の詳細な説明において、対応する構成要素は、それらが本発明の異なる実施形態に示されているかどうかにかかわらず、同一の参照番号が与えられている。明確かつ正確な態様で本発明を図示するために、図面は必ずしも縮尺通りではなく、特定の特徴は、多少概略的な形態で示され得る。
【0014】
本願の目的で、特定の用語は、本明細書に定義されるような特定の意味で使用され、他の用語は、例えば現在のASTMの定義等の産業界で認められている慣例に従っている。
【0015】
本明細書で使用する「キューブコーナー素子」(「キューブコーナープリズム」または「キューブコーナー」または「キューブコーナー再帰反射素子」とも呼ばれる)という用語は、3つの相互に交差する面からなる素子を含み、それらの二面角は、概して、約90度であるが、必ずしも正確に90度である必要はない。
【0016】
本明細書で使用する「キューブ形状」という用語は、一次屈折光線の方向へのキューブ周囲の投影によって画定される、二次元の幾何学的図形を意味する。例えば、三角キューブは、三角形であるキューブ形状を有する。
【0017】
本明細書で使用する「再帰反射基板」という用語は、その第2の表面上に形成される、雄または雌のいずれかのキューブコーナー素子のアレイを有する、材料の厚さを意味する。第1の表面は平坦であってもよく、または背面上のキューブコーナー素子のアレイに概して対応するパターンで、多少平坦でなくてもよい。雄キューブコーナー素子に対して、「基板厚さ」という表現は、キューブコーナー素子が置かれる材料の厚さを意味する。雌キューブコーナー素子に対して、「再帰反射基板厚さ」という表現は、雌キューブコーナー素子が空洞を形成する材料の全厚さを意味する。
【0018】
本明細書で使用する「キューブ軸」という用語は、キューブコーナー素子の3つの交差面によって画定される、内部空間の三等分線である中心軸を意味する。本明細書で使用する「傾斜キューブコーナー」という用語は、シート表面に垂直ではないその軸を有する、キューブコーナーを意味する。傾斜は、キューブ軸と垂直なシート表面との間の角度として測定される。傾斜がある場合、シート表面に垂直な平面図は、全てが120度とは限らない、頂点における面角を示すことに留意されたい。
【0019】
本明細書で使用する「面により平行な傾斜」(または面により平行である方向への「傾斜」、もしくは面により平行な方向への「傾斜」)および「縁により平行な傾斜」という用語は、一次屈折光線に対するキューブの配置を指す。キューブ面と一次屈折光線との間の角度が、全てが35.26°に等しいとは限らない場合、キューブは、35.26°とは最も異なる一次屈折光線に対する面角が、35.26°よりもそれぞれ大きいか、または小さいかに応じて、「面により平行」または「縁により平行」である。一次屈折光線が、再帰反射体の前面に公称垂直である、シートまたは他の再帰反射体の場合、面により平行なキューブに対して、選択されたキューブ面はまた、非傾斜キューブの任意の面よりも、反射体前面により平行になることができる。
【0020】
本発明の側面に従った、例示的な位置検出システム100を図1に図示する。図1は、隆起したフレームまたは枠106によって包囲される、スクリーン領域または表示域104を有する、ディスプレイ102(例えば、コンピュータディスプレイ、タッチスクリーンディスプレイ等)の平面図を示す。コンピュータディスプレイとの関連で示されるが、位置検出システム100は、任意の種類の光学位置検出システムに使用されてもよい。ディスプレイスクリーン102の表示域104に対して、概して実質的に垂直である、枠106の内面には、プリズムフィルム(本明細書において、再帰反射フィルム108とも称される)が備わっている。プリズムフィルム108は、以下に詳細に考察するが、表示域104(本明細書において、検出域とも称される)の少なくとも一部の周囲に、再帰反射表面を提供する。つまり、プリズムフィルム108は、発生放射線源からの放射線を発生源に向かって後方反射する表面を提供する。プリズムフィルム108の組成物は、接着剤または他の付着手段の使用によって、フレーム106に直接適用されてもよく、または最初に粘着テープの形態で製造されてもよく、それは続いて枠106の内面に適用される。対象となる領域内の対象物の可能な検出を最適化するために、プリズムフィルムに関連する最大入射角の面が、表示域、検出域、および/またはディスプレイに実質的に平行であるように、プリズムフィルムを整列させることが望ましくあり得る。
【0021】
図1に示す位置検出システム100は、2つの放射線源110、112をさらに含む。放射線源110、112は、好ましくは点光源(または実質的に点光源)である。第1の源110は、表示域104の一方の角に配置されてもよく、第2の源112は、表示域104のもう一方の角に配置されてもよい。好ましい実施形態では、第1の放射線源110および第2の放射線源112は、共通の側面114を有する。図1に示すように、側面114は、ディスプレイ102の他の3つの側面上に提供されるプリズムフィルム108が、備わっていない場合がある。当業者は、放射線源の正確な位置が、環境、用途等を含む種々の設計考察に応じて異なり得ることを容易に理解するであろう。同様に、当業者は、表示域の周囲全体が、プリズムフィルム108によって包囲されてもよいことを理解するであろう。
【0022】
放射線源110、112は合わせて、表示域104全体を放射線で照射し、それは、表示域104の面に平行な方向に延在する。放射線源は、電磁放射線の任意の所望のスペクトルを提供し得る。つまり、放射線源は、任意の所望の周波数範囲または任意の所望の波長で作用するように選択されてもよい。例えば、この源は、赤外放射線、無線周波放射線、可視光放射線、発光ダイオード(LED)、レーザー等の源であってもよい。好ましい実施形態では、源110、112は、赤外線発光ダイオードである。
【0023】
表示域の周囲に提供されるプリズムフィルム108は、表示域内の矢印で示されるように、それぞれの発生源に向かって赤外放射線を後方反射する。したがって、例えば、図1に示すように、点光源110から発生する赤外放射線の光線は、ディスプレイスクリーンの側面に外向きに延在し、点光源110に戻る。以下により詳細に考察するように、電磁放射線は、プリズムフィルム108によってその源に向かって後方反射される。
【0024】
以下においてより詳細に考察するように、プリズムフィルム108は、多層を有する再帰反射フィルムを備え、層のうちの1つは、入射を反射する、複数の三角キューブコーナー再帰反射素子を含む。プリズムフィルム108を備える他の層のうちの1つ以上は、赤外放射線の大部分が通過することを可能にし(例えば、約74%〜約100%のダブルパス透過率)、かつ実質的に可視光を遮断するように機能し、それによってフィルムに暗い外観をもたらす。本発明のこれらの側面は、以下にさらに考察される。
【0025】
動作中、例示的な位置検出システム100は、フレーム106の枠内の対象物109の存在および位置を検出するように動作する。放射線が、共通の側面を有する別々の角に位置する、源110、112(例えば、赤外線LED)から発生すると仮定すると、放射線は外向きに横断し、点放射線源110、112のそれぞれの上に位置する、対応するレンズ115、116に後方反射される。レンズ115、116は、点光源によって透過され、かつカメラ117、118のそれぞれによって受信される電磁放射線を撮像する、光学開口としての機能を果たす。レンズは、源から離れた任意の所望の距離に配置されてもよい。好ましくは、距離は、10mm未満である。より好ましくは、距離は、1.0mm〜1.5mmである。
【0026】
カメラ117、118は、ラインスキャンカメラおよび/またはエリアスキャンカメラであってもよい。カメラ117、118は、概して、感光素子(例えばピクセル)のアレイによって形成される電荷結合素子(CCD)センサの形式で、画像取得デバイスを含む。ラインスキャンカメラは、概して、ピクセルの単一の線上で画像を取得する。従来のカメラのようなエリアスキャンカメラは、取得された画像の長さおよび幅に対応する二次元フレームを生成する、ピクセルのCCDセンサ(通常、長方形の形状)を含む。
【0027】
動作中、反射された放射線は、対応するレンズ(例えば、放射線源に応じてレンズ115またはレンズ116)を通過し、CCDセンサによって検出される対象物の画像を形成する。光量は、ビデオパルス信号に変換され、次いで出力される。CCDセンサは、フォトダイオードアレイ上で検出された放射線を電気信号に変換し、測定された量を出力する。ラインスキャンカメラの1つの単走査線は、概して、観察された線の全ての点に関する輝度の一次元マッピングとして見なされてもよい。直線スキャンは線を生成し、Y軸上に、階調レベルで与えられる各点の輝度を示す(例えば、8ビットCCDセンサに対して0〜255レベル、または10ビットCCDセンサに対して0〜1023)。カメラ117、118からの出力は、対象物109のXおよびY座標位置を示す出力信号を生成する、制御ユニット119(図1に示すような)によって処理することができる。当業者は、エリアカメラからのスキャンが、観察されたエリアの全ての点に関する輝度の二次元マッピングを生成することを容易に理解するであろう。
【0028】
位置検出システム100の動作は、図1および2を参照して最もよく理解される。図2は、図1の関連構成要素の断面図である。図1および2から分かり得るように、放射線源110から放出される赤外放射線は、表示域104に放出される。表示域は、枠108の2つの側面に沿ってプリズムフィルム108を有し、そこに放射線源117が向けられる。放射線源117ら放出される赤外放射線は、プリズムフィルム108によって、ラインスキャンカメラ117に後方反射される。赤外放射線は、レンズ115からラインスキャンカメラ117に通過する。ラインスキャンカメラは、スキャナの線に沿った種々の点に対するラインスキャンカメラの解像度によって決定される、デジタル化輝度値を有する、対応する線画像を生成する。放射線を受信しない線画像における任意の位置に対して、論理値0が生成される。例えば、スタイラスまたはヒトの指等の不透明対象物109が表示域に入る場合、影が、レンズおよび対応するラインスキャンカメラ上に投影され、その結果、電荷は、その特定のピクセルまたはピクセル面積に対して、ラインスキャンカメラによって、ほとんどまたは全く検出されない。放射線が検出される位置において、放射線は、ラインスキャンカメラに関連する対応するCCDセンサに放電し、ラインスキャンカメラの解像度に応じて、実質的により高い信号値を生成する。2つの放射線源およびラインスキャンカメラの組み合わせが、図1に図示するように提供される場合、対象物109のXおよびY位置は、「三角形分割」によって決定されてもよい。この場合、図1に示すように、2つの角度θおよびθが測定され、これらの2つの角度の値、および2つの測定点間の距離「D」から、XおよびY座標が計算される。
【0029】
プリズムフィルム(本明細書において、再帰反射フィルムとも称される)108をここで考察する。図3を参照すると、本発明の側面に従った例示的なプリズムフィルム108が、断面図に示される。プリズムフィルム108は、第1の表面122および第2の表面124を有する、第1の基板120を含む。プリズムフィルム108の第1の表面122(前面とも称される)は、概して平坦(かつ典型的には平滑)である。第2の表面124もまた、概して平坦であり、第2の基板126に固定される。
【0030】
第2の基板126は、第1の表面128および第2の表面130を有する。図3に示すように、第2の基板126の第1の表面128は、概して平坦(かつ典型的には平滑)であり、概して、第1の基板120の第2の表面124と対面する。第2の基板126の第2の表面130もまた、概して平坦であり、再帰反射基板132に固定される。
【0031】
第1および第2の基板120、126は、高弾性を有するポリマー等の材料から成ることができる。ポリマーは、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアリレート、スチレン−アクリロニトリルコポリマー、ウレタン、アクリル酸エステル、セルロースエステル、エチレン性不飽和亜硝酸、硬質エポキシアクリレート、アクリル等が挙げられるがこれに限定されない、種々のポリマーから選択されてもよく、アクリルおよびポリカーボネートポリマーが好ましい。好ましくは、第1および第2の基板は、第1および第2の基板の全体を通して色付けされる、および/または均一に分布した染料を有する。一実施形態では、第1の基板120は、全体を通して分布した赤色染料を有し、第2の基板126は、全体を通して分布した青色染料を有する。別の実施形態では、第1の基板120は、全体を通して分布した青色染料を有し、第2の基板126は、全体を通して分布した赤色染料を有する。第1および第2の基板120、126の両方は、全体を通して均一に分布した染料を有する。当業者は、本発明の側面が、本明細書に考察される所望の機能性、美的外観等をもたらすために、任意の所望の色または色の組み合わせの使用を含むことを容易に理解するであろう。例えば、基板120、126は、全体を通して分布した、異なる有色染料を有してもよい。
【0032】
基板は、好ましくは、赤外波長において透明性が高く、可視光波長において不透明であるように選択され、それは実質的に黒色の外観を提供する。フィルムによって提供される明るい背景は、好ましくは、プリズムフィルム108の領域(例えば、検出域)内の対象物の検出を可能にするために、合理的に可能な限り明るく、かつ均一になるように製造される。
【0033】
再帰反射基板132は、第1の表面134および第2の表面136を有する。図3に示すように、第1の表面134は、概して平坦(かつ典型的には平滑)であり、概して、第2の基板126の第2の表面130と対面する。第2の表面136は、複数のキューブコーナー再帰反射素子140を含むか、または別様に画定し、ある用途で用いるための接着剤143と対面させられてもよい。その中に形成されるキューブコーナー素子140を含む再帰反射基板132は、高弾性を有するポリマー等の透明のプラスチック材料から成ることができる。ポリマーは、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアリレート、スチレン−アクリロニトリルコポリマー、ウレタン、アクリル酸エステル、セルロースエステル、エチレン性不飽和亜硝酸、硬質エポキシアクリレート、アクリル等が挙げられるがこれに限定されない、種々のポリマーから選択されてもよく、アクリルおよびポリカーボネートポリマーが好ましい。
【0034】
図4に図示する他の実施形態では、第1および第2の基板120、126は、単一の基板150に置き換えられてもよい。基板150は、前面152および反対の背面154を有する、可視光を吸収するための単一の染色層フィルムを有する。背面154は、第2の基板に関して上記に考察されるように、再帰反射基板132と対面する。前面152は、概して平滑である。一実施形態では、基板150は、黒色に色付けられる。単一の染色層に関連する利点は、フィルム構造全体をより薄くし、単一の染色層150への透過の均一性を増加させることである。
【0035】
好ましい一実施形態では、その中に形成されるキューブコーナー素子を含む再帰反射基板132は、アクリル、例えば、約1.49の屈折率を有するアクリル材料で作られる。当然のことながら、より高いまたは低い屈折率を有する他の好適な材料も、本発明の範囲から逸脱することなく採用することができる。キューブコーナー素子は、例えば、共同所有の米国特許第6,015,214号および第6,767,102号に記載される方法のいずれかを使用して、基板内に、または基板の不可欠な一部として形成することができ、それらの開示は、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0036】
以下により詳細に記載するように、基板の屈折率、キューブコーナー素子のサイズおよび傾斜は、所望の再帰反射性および均一性を提供するように選択されてもよい。本発明が、基板の一部として一体的に形成されるキューブコーナー素子に関して記載されている一方で、本発明が、基板とは別に形成され(例えば、鋳造または成形によって)、基板に接合されるキューブコーナー素子に適用可能であることを理解されたい。
【0037】
複数のキューブコーナー素子140は、アルミニウム、シルバー、ニッケル、ゴールド等の好適な金属で金属化される(142)。そのような金属化は、キューブコーナー素子の表面を覆って金属フィルムを蒸着(例えば、スパッタリングまたは真空蒸着)することによって、提供することができる。基板の金属化キューブコーナー側面は、接着剤143(例えば、コンスピキュイティテープと同様の製品を形成する)で被覆するか、または別様に接着剤143に埋め込まれてもよい。キューブコーナー素子の金属化は、ディスプレイが清浄されること、かつ別様に、再帰反射フィルム108の再帰反射性に対して悪影響を及ぼし得る汚染物質および/または湿気を受けないようにすることを可能にする。
【0038】
ここで図5〜9、および続けて図3を参照すると、再帰反射フィルム108は、アレイ200(図5)に配列されるか、または別様にアレイ200として形成される、複数の個々のキューブコーナー素子140(図3)を含む。各キューブコーナー素子140は、頂点204で交わる、3つの相互に垂直な(または実質的に垂直な)面202によって形成される。相互に垂直な面は、2面体の縁部206で相互と交差する。相互に交差する面202間の2面体の縁部206の角度は、一般的には二面角と称される。幾何学的に完全なキューブコーナー素子において、3つの二面角の各々は、正確に90度である。しかしながら、二面角のうちの1つ以上が、製造の不規則性または設計選択に応じて、90度とはわずかに異なり得ることを理解されたい。
【0039】
図6に図示するように、各キューブコーナー素子140は、3つの底縁部210を有する三角キューブ形状を有する。一実施形態では、各キューブコーナー素子140は、二等辺三角形のキューブ形状を有し、底縁部のうちの2つ(例えば、長さaおよびbを有する底縁部)は、ほぼ同一の長さである。あるいは、キューブコーナー素子140のうちの1つ以上は、非二等辺三角形のキューブ形状を有することができる。
【0040】
キューブコーナー素子140の底縁部210は直線であり、かつ共通面内にあることから、そのようなアレイは、溝の組を交差させることによって画定される。図5に示すように、各キューブコーナー素子140は、3つのV型溝212、214、216によって画定され、それぞれは、キューブコーナー素子の適合した対を形成するように交差パターンでアレイ200を横断する、3つの溝の組のうちの一部分である。通常、3つの溝の組の全てが同一の奥行に切断されるが、1つ以上の溝の組が、垂直にオフセットされてもよい(すなわち、他に対して浅くまたは深く切断される)。また、溝の組のうちの1つが水平にオフセットされてもよく、その結果、キューブ形状は三角形とは異なる。そのようなキューブは、それでもなお三角キューブコーナーと見なされ、本発明の範囲内である。図6に図示する実施形態では、側面aおよびbに隣接した面が、約38.5度(例えば、38.5211度)の半溝角を有する一方で、側面cに隣接した面は、約28.3度(例えば、28.2639度)の半溝角を有する。
【0041】
アレイ200(図7に示すような)は、アレイタイルを形成するために、複数回にわたって複製されてもよい(例えば、所望のサイズのほぼ正方形のタイルにおいて)。図7は、キューブコーナー素子の複数アレイが90度直角にシートの周囲を回転した、プリズムフィルム108の平面図を示す。例えば、図示されたシート108は、単一の再帰反射シート物品を形成するように結合される、第1のアレイ200および第2のアレイ201を含む。第2のアレイ201は、第1のアレイ200内のキューブコーナー素子に対して90度回転したキューブコーナー素子を含む。プリズムフィルムはまた、図8に図示するように、直線的配列で提供されてもよい。再帰反射シートが、結合されるキューブコーナー素子の複数アレイまたはタイルを含むことができ、各アレイまたはタイルは、他のアレイに対してある角度回転することを理解されたい(例えば、0度の相対的なキューブコーナー配向を伴う1つのアレイ、90度の相対的なキューブコーナー配向を伴う他のアレイ、180度の相対的なキューブコーナー配向を伴う他のアレイ、および約270度の相対的なキューブコーナー配向を伴う他のアレイ)。異なるキューブコーナー配向を有する複数のタイルを有するシートは、ピン留めシートと称される。全てが同一のキューブコーナー配向を有する、1つのタイルまたは複数のタイルを有するシートは、ピン留めされていないシートと称される。
【0042】
プリズムフィルムにおいて、キューブコーナー素子は、概して、適合した対の一部として、少なくとも1つの他のキューブコーナー素子と使用され、一般的には、そのような素子のアレイに使用される。そのようなアレイを図5〜8に示し、そのような適合した対を図9の断面図に示す。
【0043】
図6および8に図示され、図5、6、および7のアレイ内で反復されるキューブコーナー素子は、縁により平行な方向に約7度傾斜している。この例示的な実施形態では、各キューブコーナー素子は、約101ミクロン(約0.004インチまたは約4mil)の高さを有する。
【0044】
上記に考察されるように、本発明の一側面は、高輝度値を有する再帰反射フィルムの提供に関する。したがって、この目的を達成するために、高反射性プリズムシートが利用される。しかしながら、プリズムシートの選択は、均一性の要求を妥協する可能性がある。典型的なタッチスクリーンディスプレイの形状は、入射角が0〜60度に及ぶような形状である。当業者は、プリズムシートで均一な輝度を維持するためには、これが非常に大きな範囲であることを容易に理解するであろう。観測角もまた異なることから、高輝度および良好な均一性の組み合わせを得るために、キューブの形状およびサイズの選択において特別な注意が払われなければならない。
【0045】
プリズムシートの用途に対して、三角キューブコーナープリズムは、従来のルーリングまたはダイヤモンド旋削技術を使用して、基板に直接機械加工することができることから、最も一般的に使用される。等しい溝奥行を伴って切断される二等辺三角キューブコーナーに対して、形状およびサイズの関数として信号輝度および均一性をシミュレートするために、アルゴリズムが開発された。これらのキューブコーナーに対して、形状およびサイズは、キューブ傾斜およびキューブ奥行の2つのパラメータによって十分に決定される。当業者は、例えば、不等辺三角形および2段または3段切断の溝の組を含む、他の種類の三角キューブコーナーが可能であることを容易に理解するであろう。これらの場合、信号輝度および均一性を決定するのは、キューブ傾斜/キューブ奥行の組み合わせそれ自体ではなく、むしろ入射光の各方向に対するアクティブ開口のサイズである。
【0046】
図10を参照すると、異なる三角キューブ設計に対する4つの異なるシミュレートされたカメラ信号を図示する、例示的なグラフが提供される。各信号の対象となる主なパラメータは、1)輝度の測定値である、全てのカメラアングルに対する最小信号値、および2)均一性の測定値である、最小信号値(例えば、信号範囲)で割られる最大信号値である。図10に示すように、4つの信号は、相対信号対カメラアングルを測定することによって、グラフ表示される。信号302は、キューブ奥行が1mil(0.001”)であり、キューブ傾斜が0度である場合の代表的な信号を図示する。信号304は、キューブ奥行が1mil(0.001”)であり、キューブ傾斜が8度である場合の代表的な信号を図示する。信号306は、キューブ奥行が4mil(0.004”)であり、キューブ傾斜が0度である場合の代表的な信号を図示する。信号308は、キューブ奥行が4mil(0.004”)であり、キューブ傾斜が8度である場合の代表的な信号を図示する。図10に示すように、約32度における信号の各々に対して、相対信号強度の急激な低下が生じ、それは、表示が中程度の入射角から大きい入射角に移行するにつれて、タッチスクリーンの一側面からタッチスクリーンの底縁部に画角が移行するためである。
【0047】
対象となるこれらのパラメータ(例えば、均一性および輝度)へのキューブコーナー設計の影響を理解するために、図11〜14および15〜18に示すように、信号最小値/範囲のプロットが、キューブ傾斜およびキューブ奥行の関数としてグラフ表示される。図11〜14は、キューブ傾斜およびキューブ奥行の関数として信号最小値/範囲をグラフ表示する。これらのプロットにおいて、面により平行な傾斜は、記号規則を使用して、縁により平行な傾斜と区別される。面により平行な傾斜は、負数として表される。縁により平行な傾斜は、正数として表される。グラフは、源とカメラとの間の距離が1.0mmである時に、17インチ(図11)、19インチ(図12)、22インチ(図13)、および30インチ(図14)のサイズを有するディスプレイに関する。こうすることで、改善された性能の3つの区域が存在する。
【0048】
区域Iとして識別される1つの区域(図11〜14の下側の区域に示されるような)は、大きな負数の傾斜を有する。この区域は、スクリーンサイズに応じて、約−8.0〜−34°の範囲の傾斜、および約1.0〜12.0mil(0.001”〜0.012”)超における最適化された性能を示す。例えば、図11は、約−8.0〜−34度の範囲の傾斜および約1〜9.5mil(0.001”〜0.0095”)のキューブ奥行における最適化された性能を図示する。図12は、約−9.0〜−34度の範囲の傾斜および約1.5〜10.5mil(0.0015”〜0.0105”)のキューブ奥行における最適化された性能を図示する。図13は、約−9.5〜−33度の範囲の傾斜および約1.5〜12mil(0.0015”〜0.012”)のキューブ奥行における最適化された性能を図示する。図14は、約−10〜約−30度の範囲の傾斜および約3〜12.0mil超(0.003”〜0.012+”)のキューブ奥行における最適化された性能を図示する。このようにして、キューブ奥行とディスプレイサイズとの間の関係が、この区域に対して発見された。
【0049】
別の区域(区域II)は、主に正数の傾斜であるが、大きいキューブ奥行を含有し(図11〜14の上部右側の区域)、概して、複製および柔軟性に関連する複雑さの理由から製造が困難である。
【0050】
第3の区域(概して、図11〜14の上部左側の区域に見られる区域III)は、約−2〜+22度の範囲の傾斜および約0.5〜9.5mil(0.0005”〜0.0095”)の奥行における最適化された性能を示す。例えば、図11は、約−2〜+22度の範囲の傾斜および約0.5〜6.5mil(0.0005”〜0.0065”)のキューブ奥行における最適化された性能を図示する。図12は、約−2〜+20度の範囲の傾斜および約1.0〜6.5mil(0.001”〜0.0065”)のキューブ奥行における最適化された性能を図示する。図13は、約−2〜+20度の範囲の傾斜および約1.0〜7.5mil(0.001”〜0.0075”)のキューブ奥行における最適化された性能を図示する。図14は、約−0〜約+20度の範囲の傾斜および約2〜9.5mil(0.002”〜0.0095”)のキューブ奥行における最適化された性能を図示する。このようにして、キューブ奥行とディスプレイサイズとの間の関係が、この区域に対して発見された。例えば、改善された性能のためのキューブ奥行は、ディスプレイのサイズが増加するにつれて増加する。したがって、最適なキューブ奥行は、スクリーンサイズを乗じる定数(K)によって決定されてもよい。定数Kは、ディスプレイのアスペクト比を考慮に入れる必要があり得る。図11〜14に示すように、ディスプレイの各々に対するアスペクト比は、16/10である。
【0051】
同様に、図15〜18は、17インチ(図15)、19インチ(図16)、22インチ(図17)、および30インチ(図18)のサイズを有するディスプレイに対する、キューブ傾斜およびキューブ奥行の関数として、信号最小値/範囲をグラフ表示する。源とカメラとの間の距離は、図11〜14の1.0mmとは対照的に1.5mmである。図15〜18は、概して、図11〜14に関して上記に考察される区域と同一の区域(区域I、II、III)を有する。対象となる両方の区域に対して、最適なキューブ奥行は、左(例えば、より小さいキューブ奥行)に移行されているように見て、範囲は、より狭いように見える。例えば、負数の傾斜区域(区域I)において、最適化された性能は、約−9〜−34度の範囲の傾斜および約0.5〜11.0mil(0.0005”〜0.011”)の奥行である。図15は、約−9〜−34度の範囲の傾斜および約0.5〜6.5mil(0.0005”〜0.0065”)のキューブ奥行における最適化された性能を図示する。図16は、約−9.5〜−34度の範囲の傾斜および約1.0〜7.0mil(0.001”〜0.007”)のキューブ奥行における最適化された性能を図示する。図17は、約−10〜−32度の範囲の傾斜および約1.0〜8.0mil(0.001”〜0.008”)のキューブ奥行における最適化された性能を図示する。図18を参照すると、最適化された性能は、約−10〜−32度の範囲の傾斜および約2.0〜11.0mil(0.002”〜0.011”)のキューブ奥行において図示される。
【0052】
正数の傾斜区域(区域III)において、約−2〜22度の範囲の傾斜および約0.5〜6.5mil(0.0005”〜0.0065”)の奥行において見られる。例えば、図15を参照すると、17インチディスプレイに対する最適化された性能は、約−2〜+22度の範囲の傾斜および約0.5〜4.0mil(0.0005”〜0.004”)のキューブ奥行において示される。図16を参照すると、最適化された性能は、約−2〜+20度の範囲の傾斜および約0.5〜4.5mil(0.0005”〜0.0045”)のキューブ奥行において示される。図17を参照すると、最適化された性能は、約−2〜+20度の範囲の傾斜および約0.5〜5.0mil(0.0005”〜0.005”)のキューブ奥行において示される。図18を参照すると、最適化された性能は、約0〜+20度の範囲の傾斜および約1.5〜6.5mil(0.0015”〜0.0065”)のキューブ奥行において示される。
【0053】
図11〜14および対応する図15〜18の比較から分かるように、最適なキューブ奥行および傾斜は、放射線源とカメラとの間の間隔(または距離)によっても影響を受ける可能性がある。例えば、放射線源とカメラとの間の間隔が大きいほど、最適な性能のために使用され得るキューブ奥行は小さい。
【0054】
図11〜18は、より浅いキューブ(より小さいキューブ奥行)が、より高い傾斜において、よりよく機能する傾向があることをさらに図示する。これは、区域III、ならびにそれがスクリーンサイズおよび源/カメラの間隔によってどのように変化するかを考慮することによって分かり得る。したがって、区域IIIに関連する2つの区域が、この観察を使用するために識別された。これらの区域は、種々のスクリーンサイズおよび源/カメラの間隔に対して高性能を提供することから選択される。これらの区域は、図11〜18の長方形ボックスによって識別される。例えば、ボックス1は、−4〜+18度の傾斜および2.0〜8.0mil(0.002”〜0.008”)のキューブ奥行を有する区域内に図示され、より大きいキューブサイズに対する高性能の奥行/傾斜の組み合わせを含有する。ボックス2は、5.5〜22度の傾斜および0.5〜4.0mil(0.0005”〜0.004”)のキューブ奥行を有する区域内に図示され、より小さいキューブサイズに対する高性能の奥行/傾斜の組み合わせを含有する。区域Iにおいて、種々のスクリーンサイズおよび源/カメラの間隔に対する高性能が、約8〜35度の間の範囲の傾斜および0.001と0.012インチとの間のキューブ奥行を有する区域内に見られる。
【0055】
図19は、ディスプレイ(例えば、タッチスクリーンディスプレイ)に使用した、2つの異なる種類のプリズムフィルムの比較を図示する。第1のフィルムは、好ましい区域(例えば、ボックス1およびボックス2によって覆われる区域)の外側にキューブ奥行を有した。第2のフィルムは、好ましい区域内(例えば、ボックス2内)にキューブ奥行を有した。図15は、最小信号値および信号範囲の両方における改善を図示する。信号400は、第1のフィルム(好ましい区域の外側にキューブ奥行を有する)に対してグラフ表示される。信号400は、180ピクセル前後でその最低点に達する。これは、システム100の2つのカメラ117、118(図1に図示)が、スクリーンの3つの表面のうちの2つしか見ることができないためである(例えば、水平および垂直に−90度)。180ピクセル範囲は、およそスクリーンの角の領域である。信号402は、第2のフィルム(好ましい区域内にキューブ奥行を有する)に対応し、同一領域内でより高い信号を示す(180ピクセルにおける信号400の信号強度の約2倍)。
【0056】
本発明は、特定の好ましい実施形態に関して示され、記載されてきたが、本明細書および添付図面を読み、理解することによって、当業者が同等の変更および修正を想到することは明らかである。特に、上記の素子(構成要素、アセンブリ、デバイス、組成物等)によって実行される種々の機能に関して、そのような素子を説明するために使用される用語(「手段」への言及を含む)は、別段の指示がない限り、本明細書に図示された、本発明の例示的な実施形態における機能を実行する開示された構造に構造的に同等ではないが、記載された素子の特定の機能を実行する(すなわち、機能的に同等な)任意の素子に対応するよう意図される。加えて、本発明の特定の特徴が、いくつかの図示された実施形態のうちの1つ以上のみに関して上記に記載され得た一方で、そのような特徴は、任意の所与または特定の用途に対して所望および有利であり得るように、他の実施形態の1つ以上の他の特徴と組み合わされてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリズムフィルムであって、
複数の三角キューブコーナー再帰反射素子を含む再帰反射基板と、該再帰反射基板の少なくとも一部を覆って配置される金属化層とを有する、ピン留めされていないプリズムフィルムを備え、
該再帰反射素子は、面により平行な方向に約4度と縁により平行な方向に18度との間の範囲の傾斜、および約0.002と0.008インチとの間のキューブ奥行を有する、プリズムフィルム。
【請求項2】
前記再帰反射基板の少なくとも一部を覆って配置される第1の基板をさらに含み、該第1の基板は、平滑な外面を有する、請求項1に記載のプリズムフィルム。
【請求項3】
前記第1の基板は、全体を通して均一に分布した黒色染料を有する、請求項2に記載のプリズムフィルム。
【請求項4】
前記第1の基板は、全体を通して均一に分布した赤色染料または青色染料を有する、請求項2に記載のプリズムフィルム。
【請求項5】
前記第1の基板と前記複数の再帰反射素子との間に配置される第2の基板をさらに含む、請求項2に記載のプリズムフィルム。
【請求項6】
プリズムフィルムであって、
複数の三角キューブコーナー再帰反射素子を含む再帰反射基板と、該再帰反射基板の少なくとも一部を覆って配置される金属化層とを有する、ピン留めされていないプリズムフィルムを備え、
該再帰反射素子は、縁により平行な方向に約5.5度と22度との間の範囲の傾斜、および約0.0005と0.004インチとの間のキューブ奥行を有する、プリズムフィルム。
【請求項7】
前記再帰反射基板の少なくとも一部を覆って配置される第1の基板を含み、該第1の基板は、平滑な外面を有する、請求項6に記載のプリズム反射フィルム。
【請求項8】
前記第1の基板と前記複数の再帰反射素子との間に配置される第2の基板をさらに含む、請求項7に記載のプリズムフィルム。
【請求項9】
プリズムフィルムであって、
複数の三角キューブコーナー再帰反射素子を含む再帰反射基板と、該再帰反射基板の少なくとも一部を覆って配置される金属化層とを有する、ピン留めされていないプリズムフィルムを備え、
該再帰反射素子は、面により平行な方向に約8度と35度との間の範囲の傾斜、および約0.001と0.012インチとの間のキューブ奥行を有する、プリズムフィルム。
【請求項10】
前記再帰反射基板の少なくとも一部を覆って配置される第1の基板と、該第1の基板と前記複数の再帰反射素子との間に配置される第2の基板とをさらに含む、請求項9に記載のプリズムフィルム。
【請求項11】
位置検出システムであって、
検出領域の少なくとも一部の上方に電磁放射線を出力するための少なくとも1つの電磁放射線源と、
該検出領域の少なくとも一部の周辺部に沿って配置されるプリズムフィルムから反射される電磁放射線を受信するように配置される、カメラであって、該プリズムフィルムは、面により平行な方向に約4度と縁により平行な方向に18度との間の範囲の傾斜、および約0.002と0.008インチとの間のキューブ奥行を伴う、複数の三角キューブコーナー再帰反射素子を含む、カメラと
を備える、位置検出システム。
【請求項12】
前記複数の再帰反射素子を覆って配置されることにより、汚染物質および/または湿気が該再帰反射素子と接触することを防止する、金属化層と、該複数の再帰反射素子と前記源との間に配置される、第1の基板とをさらに含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記源が、赤外線源であり、前記プリズムフィルムが、可視光で見られるときに実質的に不透明である場合に、該プリズムフィルムは、74%を超えるダブルパス透過率を有する、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記検出領域は、タッチスクリーンディスプレイである、請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
前記プリズムフィルムは、該プリズムフィルムに関連する最大入射角の面が、前記タッチスクリーンに実質的に平行であるように整列させられる、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
位置検出システムであって、
検出領域の少なくとも一部の上方に電磁放射線を出力するための、少なくとも1つの電磁放射線源と、
該検出領域の少なくとも一部の周辺部に沿って配置されるプリズムフィルムから反射される電磁放射線を受信するように配置される、カメラであって、該プリズムフィルムは、面により平行な方向に約8度と35度との間の範囲の傾斜、および約0.001と0.012インチとの間のキューブ奥行を伴う、複数の三角キューブコーナー再帰反射素子を含む、カメラと
を備える、位置検出システム。
【請求項17】
前記複数の再帰反射素子を覆って配置されることにより、汚染物質および/または湿気が該再帰反射素子と接触することを防止する、金属化層をさらに含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記再帰反射基板の少なくとも一部を覆って配置され、前記複数の再帰反射素子と前記源との間に配置される、第1の基板をさらに含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
前記源が、赤外線源であり、前記プリズムフィルムが、可視光で見られると実質的に不透明である場合に、該プリズムフィルムは、74%を超えるダブルパス透過率を有する、請求項16に記載のシステム。
【請求項20】
前記第1の基板と前記複数の反射素子との間に配置される、第2の基板をさらに含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項21】
位置検出システムであって、
検出領域の少なくとも一部の上方に電磁放射線を出力するための、少なくとも1つの電磁放射線源と、
該検出領域の少なくとも一部の周辺部に沿って配置されるプリズムフィルムから反射される電磁放射線を受信するように配置される、カメラであって、該プリズムフィルムは、縁により平行な方向に約5.5度と22度との間の範囲の傾斜、および約0.0005と0.004インチとの間のキューブ奥行を伴う、複数の三角キューブコーナー再帰反射素子を含む、カメラと
を備える、位置検出システム。
【請求項22】
前記複数の再帰反射素子を覆って配置されることにより、汚染物質および/または湿気が該再帰反射素子と接触することを防止する、金属化層をさらに含む、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記再帰反射基板の少なくとも一部を覆って配置され、前記複数の再帰反射素子と前記源との間に配置される、第1の基板と、該第1の基板と該複数の反射素子との間に配置される、第2の基板とをさらに含む、請求項21に記載のシステム。
【請求項24】
前記源が、赤外線源であり、前記プリズムフィルムが、可視光で見られるときに実質的に不透明である場合に、該プリズムフィルムは、74%を超えるダブルパス透過率を有する、請求項21に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公表番号】特表2011−510346(P2011−510346A)
【公表日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−543168(P2010−543168)
【出願日】平成21年1月12日(2009.1.12)
【国際出願番号】PCT/US2009/030694
【国際公開番号】WO2009/091681
【国際公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【出願人】(594177391)エーブリー デニソン コーポレイション (26)
【氏名又は名称原語表記】Avery Dennison Corporation
【出願人】(510194507)ネクスト ホールディングス リミテッド (1)
【Fターム(参考)】