説明

タッチパネルつき液晶表示装置を備えた分析装置

【課題】設定項目や操作項目の指示をタッチパネルにより行うとともに、操作ボタンの配置領域によって測定データを表示する領域が制約を受けにくくする。
【解決手段】測定データを表示している画面とは別に操作ボタンをまとめて配置した操作パネル画面を用意し、測定データを表示している画面から必要に応じて操作パネル画面に切り換えることができるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下水・河川水、工場排水などに含まれる汚濁成分などの測定に用いる水質分析計等、複数の設定項目や操作項目をもつ分析装置であって、表示装置を備えた分析装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
そのような分析装置の一例は水質分析計である。水質分析計には、試料中に含まれる全有機体炭素(TOC)のみを測定するTOC計の他に、TOCと窒素化合物(全窒素:TN)をともに測定できるTOC/TN計(特許文献1参照。)、窒素化合物とリン化合物をともに分析する全窒素(TN)/全リン(TP)計(特許文献2参照。)、TN、TP及び有機汚濁物質を測定できるようにした水質分析計(特許文献3参照。)などもある。
【0003】
そのような水質分析計では、設定項目として測定条件、測定スケジュールなど、操作項目として測定履歴の表示、測定履歴の保存、測定データや測定履歴の印刷、測定履歴の検索など、を指定して表示させたり動作をさせたりすることができるようになっている。
【0004】
TOC計に限らず、複数の設定項目や操作項目をもつ分析装置では、設定項目や操作項目の指示を入力する方法として、タッチパネルつき液晶を使用して測定データとともに画面上に表示される操作ボタンを使用してすべての操作を行なう方法と、タッチパネルを使用せず、各機能を動作させる機械的な専用キーを設置し、そのボタンを操作する方法がとられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-24717号公報
【特許文献2】特開2007-86041号公報
【特許文献3】特開2001-56332号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
操作を行うための専用のキーは、表示されている測定データによっては使用しないものであっても常に配置されることになり、キー配置のためのスペースが多く必要になる。
【0007】
タッチパネルを使用する方法は、設定項目や操作項目の数が多くなると、操作ボタンの数も多くなるので、測定データを表示する領域が少なくなり、一度に表示できる測定データの情報量が少なくなる。
【0008】
そこで、本発明は水質分析計又はその他の分析装置において、設定項目や操作項目の指示をタッチパネルにより行うとともに、操作ボタンの配置領域によって測定データを表示する領域が制約を受けにくくすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では、測定データを表示している画面とは別に、測定項目又は操作項目のための操作ボタンをまとめて配置した操作パネル画面を用意し、測定データを表示している画面から必要に応じて操作パネル画面に切り換えることができるようにした。
【0010】
すなわち、本発明の分析装置は、試料導入部及び試料導入部から導入された試料中の成分を検出する検出部を少なくとも含む分析部と、分析部の動作を制御する動作制御部と、分析部で検出された成分の濃度を少なくとも算出する演算部と、タッチパネルつき液晶表示装置と、液晶表示装置に表示する画面を構成して液晶表示装置での画面表示を実行する液晶コントローラと、タッチパネルの触れられた位置を認識するタッチパネルコントローラと、液晶コントローラを介して液晶表示装置に操作を指示する操作ボタンのみが配置された操作パネル画面と、演算部により算出されたデータを表示する領域と操作パネル画面を開く呼出しボタンが配置されたデータ表示画面を少なくとも表示するとともに、タッチパネルコントローラからの信号に基づき、液晶表示装置に表示する画面の切換えと、動作制御部及び演算部への操作の指示を行う表示制御部と、を備えている。
【0011】
本発明はTOC計、TOC/TN計、TN/TP計、TN、TP及び有機汚濁物質を測定できる水質分析計に限らず、測定される成分にかかわらず、測定条件や測定結果を表示する表示装置を備えた分析装置であれば本発明の対象となる。
【0012】
好ましい形態では、データ表示画面は最新の測定データを表示する測定データ表示画面と、過去の測定データを表示する測定履歴表示画面を含んでおり、操作パネル画面は、測定データ表示画面上の呼出しボタンにより指示され、測定履歴表示画面に切り換えるための操作ボタン及び測定停止を指示する操作ボタンが少なくとも配置された第1の操作パネル画面と、測定履歴表示画面上の呼出しボタンにより指示され、測定履歴データの処理を指示する操作ボタン及び測定データ表示画面に切り換えるための操作ボタンが少なくとも配置された第2の操作パネル画面を含んでいる。
【0013】
さらに好ましい形態では、データ表示画面として測定データ表示画面と測定履歴表示画面という異なる画面が表示される場合に、測定データ表示画面上の呼出しボタンの位置と測定履歴表示画面上の呼出しボタンの位置が液晶表示装置の表示画面上の等しい位置となっている。
【0014】
これにより、異なるデータ表示画面からそれぞれに関連した操作パネル画面へ切り換える際に、使用者は同じ位置のボタンを押せばよいので、操作の手順が一貫して分かりやすくなる。
【0015】
異なるデータ表示画面上の呼出しボタンが同じ表記の共通のボタンとなっていると操作がさらに容易になる。
【0016】
分析部の一例は、測定対象の試料水を、時間を異ならせて繰り返して導入し、少なくとも全有機体炭素濃度を測定する水質分析計を構成しているものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、タッチパネルつきの液晶表示装置に表示する画面として、操作を指示する操作ボタンのみが配置された操作パネル画面と、演算部により算出されたデータを表示する領域と操作パネル画面を開く呼出しボタンが配置されたデータ表示画面とを別の画面として、切り換えて表示するようにしたので、データを表示する領域が拡大し、ひとつの画面の情報量を増やすことができる。
【0018】
操作パネル画面には操作ボタンのみが配置されているので、操作パネル画面でできる操作が明確になる。
【0019】
また、1つの画面にデータを表示する領域と操作ボタンをともに配置する方法に比べて小型の液晶装置ですむようになり、分析装置のコスト化が低下する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】一実施例のTOC/TN計を示す概略構成図である。
【図2】同実施例における表示装置を示すブロック図である。
【図3】同表示装置においてLCDコントローラで構成される表示画面を概略的に示す図である。
【図4】同実施例における測定データ表示画面の例を示す図である。
【図5】同測定データ表示画面から開かれる操作パネル画面の例を示す図である。
【図6】同実施例における測定履歴表示画面の例を示す図である。
【図7】同測定履歴表示画面から開かれる操作パネル画面の例を示す図である。
【図8】同実施例の動作を示すフローチャートである。
【図9】他の実施例のTN/TP計を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。
図1は、本発明の分析装置の一実施例のTOC/TN計の概略構成図である。環境水などの試料が連続して流れる採水管1に、その試料の一部をTOC計本体2内の分岐部3を経てドレン出口12に排出する流路が接続されている。その試料用の流路の分岐部3には、オンライン測定用の試料を採取して分析部に導くために、試料注入機構18の8ポートバルブ14の1つのポートが接続されている。
【0022】
試料注入機構18は8ポートバルブ14とそれに接続されたマイクロシリンジ16で構成されており、マイクロシリンジ16は8ポートバルブ14の共通ポートに接続され、8ポートバルブ14の他のいずれのポートとも接続されるようになっている。
【0023】
8ポートバルブ14の共通ポート以外のポートには、試料用流路の分岐部3のほか、ICを測定するときに試料を酸性にするために添加する酸20につながる流路、校正用の標準液22につながる流路、希釈や洗浄に使用する純水24につながる流路、オフライン測定用の試料26につながる流路、試料中の炭素成分の全てをCO2に変換する触媒を備えたTC酸化反応部32の試料注入部34につながる流路、不要な気体を排出するためのドレン出口28につながる流路、不要な液体を排出するためのドレン出口12につながる流路がそれぞれ接続されている。
【0024】
空気入り口42から取り込んだ空気から炭素成分を除去して精製ガスを生成し、流量を調節して送り出すためにガス精製・流量制御部40が設けられている。ガス精製・流量制御部40のガス出口には、ガス精製・流量制御部40で生成された精製ガスをスパージガス又はキャリアガスとしてマイクロシリンジ16に供給する流路41aと、キャリアガスとしてTC酸化反応部32に供給する流路41bと、オゾン発生部50に精製ガスを供給する流路41cが接続されている。
【0025】
TC酸化反応部32は、試料中の炭素成分をCO2に変換し、窒素成分をNOに変換する酸化触媒が充填されたTC燃焼管36、そのTC燃焼管36に試料とキャリアガスを導入するTC試料注入部34、及びTC燃焼管36を加熱する加熱炉38から構成されている。TC燃焼管36の下流部は水分を除去する除湿器やハロゲン成分を除去するハロゲンスクラバーなどを備えた除湿・ガス処理部44を経て、CO2を検出する赤外線ガス分析部46に接続されている。赤外線ガス分析部46の下流部は、NOを検出する化学発光分析部48に接続されている。化学発光分析部48にはオゾン発生部50からオゾンが供給されている。化学発光分析部48の下流部は、オゾンキラー52を介してドレン出口54に接続されている。
【0026】
試料注入機構18、TC酸化反応部32、ガス精製・流量制御部40、赤外線ガス分析部46及び化学発光分析部48は分析部を構成している。
赤外線ガス分析部46の出力及び化学発光分析部48の出力は演算部56に入力される。演算部56は、8ポートバルブ14及びマイクロシリンジ16の動作、並びに赤外線ガス分析部46及び化学発光分析部48の検出器感度を制御する動作制御部58が接続されている。演算部56にはレコーダ62が接続されている。
【0027】
演算部56と動作制御部58には後述の図2に示される表示装置100が接続されている。
【0028】
次に、図1を参照して測定動作を説明する。
【0029】
(TC測定及びTN測定)
動作制御部58からの制御信号により、8ポートバルブ14の切換えとマイクロシリンジ16の動作が行われる。まず、マイクロシリンジ16が分岐部3に接続されて、マイクロシリンジ16に一定量の試料が採取される。所定の希釈率が設定されている場合は、マイクロシリンジ16が純水24に接続されて、マイクロシリンジ16中の試料に所定量の純水が加えられる。次に、マイクロシリンジ16の試料がTC酸化反応部32のTC試料注入口34を経てTC燃焼管36に注入され、試料中の炭素成分がCO2に変換され、窒素成分がNOに変換される。TC燃焼管36で発生したCO2及びNOは、ガス精製・流量制御部40から流路41bを経て供給されたキャリアガスとともに除湿・ガス処理部44に送られ、冷却、除湿及びハロゲン除去された後、赤外線ガス分析部46でCO2が検出され、続いて化学発光分析部48でNOが検出される。それらの検出信号は演算部56に送られ、その信号からピーク値又はピーク面積が求められ、検量線データに基づいてTC濃度とTN濃度が求められる。求められたTC濃度とTN濃度は試料注入量、希釈率、測定日時などのデータとともに表示装置100に送られる。
【0030】
(IC測定及びTOC測定)
TC測定及びTN測定の時と同様にして、マイクロシリンジ16に一定量の試料が採取される。所定の希釈率が設定されている場合は、マイクロシリンジ16が純水24に接続されてマイクロシリンジ16中の試料に所定量の純水が加えられる。次に、マイクロシリンジ16が酸20に接続されてマイクロシリンジ16中の試料に少量の酸が加えられる。次に、マイクロシリンジ16がTC試料注入口34に接続され、ガス精製・流量制御部40から流路41aを経てスパージガスがマイクロシリンジ16に供給される。試料中のICから発生したCO2はスパージガスとともに除湿・ガス処理部44に送られ、冷却、除湿、ハロゲン除去された後、赤外線ガス分析部46でCO2が検出される。検出信号は演算部56に送られ、その信号からIC濃度が求められる。演算部56により、TC濃度からとIC濃度の差からTOC濃度が求められる。
【0031】
TOC濃度を単独で測定することもできる。TC測定及びTN測定の時と同様にして、マイクロシリンジ16に一定量の試料が採取される。所定の希釈率が設定されている場合は、マイクロシリンジ16が純水24に接続されてマイクロシリンジ16中の試料に所定量の純水が加えられる。次に、マイクロシリンジ16が酸20に接続されてマイクロシリンジ16中の試料に少量の酸が加えられる。次に、マイクロシリンジ16がドレン出口28に接続され、ガス精製・流量制御部40から流路41aを経てスパージガスがマイクロシリンジ16に供給される。試料中のICから発生したCO2はスパージガスとともにドレン出口28から排出され、マイクロシリンジ16にはTOCが残る。その後、マイクロシリンジ16の試料がTC酸化反応部32のTC試料注入口34を経てTC燃焼管36に注入され、試料中の炭素成分がCO2に変換され、TC燃焼管36で発生したCO2はキャリアガスとともに除湿・ガス処理部44を経て赤外線ガス分析部46に送られてTOCがCO2として検出される。
【0032】
表示装置100は図2に示されるような構成をしている。表示素子としてタッチパネルつきの液晶表示装置(LCD)102を備えている。LCD102への画面表示を制御するために、LCD102には液晶コントローラ(LCDコントローラ)104が接続されている。LCDコントローラ104は、LCD102に表示する画面を構成してLCD102での画面表示を制御する。その画面には、図3に示されるように、LCD102に表示する複数の画面106a〜106dが含まれる。それらの画面106a〜106dには、操作を指示する操作ボタンのみが配置された操作パネル画面(例えば図5、図7に例示されたもの。)と、演算部56により算出されたデータを表示する領域と操作パネル画面を開く呼出しボタンが配置されたデータ表示画面(例えば図4、図6に例示されたもの。)を含んでいる。
【0033】
LCDコントローラ104がLCD102に表示する画面を構成するために使用する画像データは、画面制御部114が画面制御部114内の記憶装置に保存しており、LCDコントローラ104がその画像データを読み出してLCD102に表示する画面を構成する。しかし、その画像データは、LCDコントローラ104に記憶装置を設け、LCDコントローラ104内のその記憶装置に保存するようにしてもよい。
【0034】
LCD102のタッチパネルの触れられた位置を認識するために、LCD102にはタッチパネルコントローラ108が接続されている。
【0035】
タッチパネルコントローラ108からの信号に基づき、LCD102に表示する画面の切換えと、動作制御部58への操作の指示を行うために、LCDコントローラ104とタッチパネルコントローラ108には表示制御部110が接続され、表示制御部110は演算部26及び動作制御部58に接続されている。
【0036】
表示制御部110は入力部112と画面制御部114を備えている。入力部112はタッチパネルが触れられたときにタッチパネルコントローラ108が認識した位置情報を入力し、画面制御部114へ送り出す。
【0037】
画面制御部114は、入力部112から送られた位置情報から、その位置に配置されているボタンが呼出しボタンである場合には、その呼出しボタンにより規定された表示画面をLCD102に表示するようにLCDコントローラ104に命令を出す。また、画面制御部114は、入力部112から送られた位置情報の位置に配置されているボタンが操作ボタンである場合には、その操作ボタンにより規定された内容の操作をするように装置側制御部(演算部56と動作制御部58)に命令を出す。
【0038】
LCD102の表示画面の例を図4から図7に示す。
【0039】
測定中の画面表示は、図4に示されるような最新の測定データを表示する測定データ表示画面120である。測定データ表示画面120には、演算部56により算出されたデータを表示する領域と、図5に示される第1の操作パネル画面122を開く呼出しボタンであるメニーボタン124が配置されている。
データを表示する領域には、オンライン試料を一定の時間間隔で複数回(この例では6回)測定した結果が表として表示されている。各回の測定データとして、TOC測定信号のピーク面積、測定結果に関する付加情報であるRMK(リマーク)、算出されたTOC濃度、試料注入量及び希釈率と、6回の測定データの平均値、標準偏差(SD)、変動係数(CV%)も表示される。
【0040】
測定データ表示画面120上には、データを表示する領域の外側に表を上下に移動させる上下ボタン126も配置されている。
【0041】
図4の測定データ表示画面120上のメニーボタン124が押されることにより開かれる図5の操作パネル画面122には、次のような項目の操作を装置側制御部56,58に指示するための操作ボタン128が配置されている。
「測定停止」
「履歴表示」
「検出器状態」
「測定条件」
「スケジュール」
「閉じる」
【0042】
「測定停止」は操作項目であり、このボタンが押されると、画面制御部114から動作制御部58に、測定動作を停止する命令が出される。
【0043】
「履歴表示」も操作項目であり、このボタンが押されると、画面制御部114からLCDコントローラ104に、表示画面を測定データ表示画面120から図6の測定履歴表示画面に切り換える命令が出される。
【0044】
「検出器状態」も操作項目であり、このボタンが押されると、画面制御部114からLCDコントローラ104に、表示画面を検出器の信号を表示する画面に切り換える命令が出される。
【0045】
「測定条件」及び「スケジュール」は設定項目であり、これらのボタンが押されると、画面制御部114から演算部56、動作制御部58及びLCDコントローラ104に、押された操作ボタンにより指示される内容の情報をLCD102に表示するように命令が出され、LCD102のタッチパネルからそれらの項目を設定又は変更できるようになる。
【0046】
「閉じる」ボタンが押されると、画面制御部114からLCDコントローラ104に、操作パネル画面122を閉じて表示画面を測定データ表示画面120に戻す命令が出される。
【0047】
図6の測定履歴表示画面130、演算部56に保存されている測定履歴データを表示する領域と、図7に示される第2の操作パネル画面132を開く呼出しボタンであるメニーボタン134が配置されている。
【0048】
測定履歴データを表示する領域には、過去の測定データが測定日時とともに、TOC濃度、標準偏差(SD)、変動係数(CV%)及びRMKが表示される。
【0049】
測定履歴表示画面130上には、測定履歴データを表示する領域の外側に表を上下に移動させる上下ボタン136も配置されている。
【0050】
図6の測定履歴表示画面130上のメニーボタン134が押されることにより開かれる図7の操作パネル画面132には、次のような項目の操作を装置側制御部56,58に指示するための操作ボタン138が配置されている。
「履歴保存」
「印刷」
「検索」
「閉じる」
【0051】
これらの項目はいずれも操作項目である。「履歴保存」ボタンが押されると、画面制御部114から演算部56に、測定履歴を保存する命令が出される。
【0052】
「印刷」ボタンが押されると、画面制御部114から演算部56に、測定履歴をレコーダ62により印刷する命令が出される。
【0053】
「検索」のボタンが押されると、画面制御部114から演算部56に、LCD102のタッチパネルから入力される条件に従って測定履歴データを検索する命令が出される。
【0054】
「閉じる」ボタンが押されると、画面制御部114からLCDコントローラ104に、操作パネル画面132を閉じて表示画面を測定データ表示画面120に戻す命令が出される。
【0055】
この実施例では、測定データ表示画面120内のメニューボタン124と測定履歴表示画面130内のメニーボタン134は、LCD102上の同じ位置に配置されており、かつ同じ表示のボタンが使用されている。このように、表示画面120,130からそれぞれの操作パネル画面122,132を開く操作が同じ位置の同じボタンの操作であることにより操作性が向上する。
【0056】
表示装置100の動作を図8のフローチャートも参照して説明する。
【0057】
測定動作中はLCD102には測定データ表示画面120(図4)が表示されている。
【0058】
ユーザによりLCD102上に表示されているメニューボタン124が触れられると、タッチパネルコントローラ108がタッチパネルの信号を読み取り入力部112に通知する。入力部112はタッチパネルコントローラ108の情報から、触れられた位置の情報を取得し、画面制御部114へ通知する。
【0059】
画面制御部114は、通知された位置情報からその位置にはメニューボタン124が配置されていることを判断し、LCDコントローラ104を通して操作パネル画面122(図5)を表示する。
【0060】
ユーザにより操作パネル画面122に表示されているメニューから操作ボタン128が触れられると、上記と同様にタッチパネルコントローラ108がタッチパネルの信号を読み取り入力部112に通知し、入力部112に通知し、入力部112はタッチパネルコントローラ108の情報から、触れられた位置の情報を取得し、画面制御部114へ通知する。画面制御部114は、通知された位置情報から操作ボタン128の内容を判断し、必要な動作をLCDコントローラ104、演算部56及び装置制御部58のうちの必要なところに通知する。演算部56と装置制御部58は通知された内容に相当する装置の動作を行い、LCDコントローラ104は所定の表示を行う。
【0061】
操作パネル画面122中の「閉じる」ボタンが触れられると、LCD102の表示が測定データ表示画面120に戻る。
【0062】
操作パネル画面122中の「履歴表示」ボタンが触れられると、LCD102の表示が測定履歴画面130(図6)に切り換えられる。測定履歴画面130中のメニューボタン134が触れられると、上記と同様に操作パネル画面132(図7)が表示される。操作パネル画面132中の操作ボタン138が触れられたときの動作も上記と同様である。操作パネル画面132中の操作ボタン138のうちの「閉じる」ボタンが触れられと、測定データ表示画面120に戻る。
【0063】
測定データ表示画面120と測定履歴画面130中の上下ボタン126,136が触れられると、表示されているデータ画面が上下に移動する。
【0064】
操作パネル画面122中の「測定停止」ボタンが触れられると、測定動作が停止となる。
【0065】
図9は、本発明の分析装置の他の実施例のTN/TP計の概略構成図である。
【0066】
試料水供給機構を兼ねた試薬供給機構202は、試料水や試薬の一定量を計量して採取し、酸化反応部であるリアクタ204に供給し、リアクタ204で酸化処理された試料を吸光度測定部206の測定セル206aへ導くためのものである。吸光度測定部206は酸化処理された試料水の吸光度を測定する。
【0067】
リアクタ204は、ペルオキソ二硫酸カリウム溶液232の添加された水溶液試料に紫外線を照射したり、加熱して酸化反応させたりすることにより、試料水中の窒素化合物とリン化合物をそれぞれ硝酸イオンとリン酸イオンに酸化分解する。
【0068】
試薬供給機構202は、共通ポートと複数の分配ポートを備えた8ポートバルブ208、210と、8ポートバルブ208の共通ポートに接続されたシリンジポンプ212とで構成されており、8ポートバルブ210の共通ポートは連通管214を介して8ポートバルブ208の1つの分配ポートに接続されている。
【0069】
8ポートバルブ208のそれぞれの分配ポートには、試薬を供給するために、水酸化ナトリウム(NaOH)231につながる流路、ペルオキソ二硫酸カリウム溶液232につながる流路、pH値を調整するために添加する塩酸233につながる流路、硫酸234につながる流路、モリブデン酸アンモニウム溶液235につながる流路、L−アスコルビン酸溶液236につながる流路がそれぞれ接続され、残りの1つの分配ポートは気体導入・排出路として大気に開放されている。
【0070】
8ポートバルブ210のそれぞれの分配ポートには、プラントなどからオンラインで試料を採取するためのオンライン試料用の流路、試料容器などから試料を採取するためのオフライン試料用の流路、校正液237につながる流路、反応部204につながる流路、希釈水238につながる流路、吸光度測定部206の測定セル206aにつながる流路がそれぞれ接続され、残りのポートはドレイン用ポートとなっている。
【0071】
8ポートバルブ208、210は制御部224により動作が制御されるパルスモータ(図示略)によって駆動されることにより、それぞれの分配ポートのいずれかのポートがそれぞれの8ポートバルブの共通ポートに接続される。
【0072】
制御部224は吸光度測定部206の出力を入力し、TN濃度やTP濃度を算出する。また、制御部224は8ポートバルブ208、210及びシリンジポンプ212の動作を制御する。制御部224には、表示装置225のほか、レコーダ等(図示略)が接続されている。
【0073】
制御部224は本発明における動作制御部と演算部を含んだものであり、図1の実施例における動作制御部28と演算部56を含んだものに相当する。制御部224はこのTN/TP計の専用のコンピュータであってもよく、汎用のパーソナルコンピュータを接続して実現されたものであってもよい。
【0074】
このTN/TP計において、全窒素測定時は、試料水中に存在する硝酸イオン、亜硝酸イオン、アンモニウムイオン又は有機態窒素などの全ての窒素化合物は、試料水に試薬として酸化剤であるアルカリ性ペルオキソ二硫酸カリウム溶液が加えられ、リアクタ204で紫外線照射により又は120℃で30分間加熱されることにより硝酸イオンに変えられる。リアクタ204で酸化処理された試料は、その試料液のpHが2〜3に調整され、吸光度測定部206の測定セル206aにおいて波長220nmでの紫外線吸光度により硝酸イオン濃度が測定される。
【0075】
このTN/TP計において、全リン測定時は、全てのリン化合物をリン酸イオンに変えて測定する。そのため、試料水中に存在するリン酸イオン以外の加水分解性リンや有機態リンもリン酸イオンに変えるために、中性状態で試薬として酸化剤であるペルオキソ二硫酸カリウム溶液が添加され、リアクタ204で紫外線照射により又は120℃で30分間加熱されることにより、リン酸イオンに変えられる。リン酸イオンは特有の光吸収を持たないので、冷却後の試料液に試薬として発色剤であるモリブデン酸アンモニウム溶液とL−アスコルビン酸溶液が添加されて発色させられ、吸光度測定部206の測定セル206aにおいて波長880nmでの吸光度によりリン酸イオン濃度が測定される。
【0076】
このTN/TP計において、試料水中の有機汚濁物質濃度も測定することができる。有機汚濁物質測定時は、試料水はリアクタ204を経ないで吸光度測定部206の測定セル206aに導かれる。すなわち、試料水は酸化処理が施されることなく、測定セル206aおいて所定の波長、例えば波長220nm近傍での吸光度により有機汚濁物質濃度が測定される。
【0077】
このTN/TP計においても、表示装置225は図2,3に示された表示装置100と同様の構成をしており、表示される画面の内容は図4から図7に示されたものをTN/TP計用に変更したものとなる。
【符号の説明】
【0078】
18 試料注入機構
32 TC酸化反応部
40 ガス精製・流量制御部
46 赤外線ガス分析部
48 化学発光分析部
56 演算部
58 動作制御部
100,225 表示装置
102 LCD
104 LCDコントローラ
110 表示制御部
112 入力部
114 画面制御部
204 リアクタ
206 吸光度測定部
206a 測定セル
224 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料導入部及び前記試料導入部から導入された試料中の成分を検出する検出部を少なくとも含む分析部と、
前記分析部の動作を制御する動作制御部と、
前記分析部で検出された成分の濃度を少なくとも算出する演算部と、
タッチパネルつき液晶表示装置と、
前記液晶表示装置に表示する画面を構成して前記液晶表示装置での画面表示を実行する液晶コントローラと、
前記タッチパネルの触れられた位置を認識するタッチパネルコントローラと、
前記液晶コントローラを介して前記液晶表示装置に操作を指示する操作ボタンのみが配置された操作パネル画面と、前記演算部により算出されたデータを表示する領域と前記操作パネル画面を開く呼出しボタンが配置されたデータ表示画面を少なくとも表示するとともに、前記タッチパネルコントローラからの信号に基づき、前記液晶表示装置に表示する画面の切換えと、前記動作制御部及び演算部への操作の指示を行う表示制御部と、
を備えた分析装置。
【請求項2】
前記データ表示画面は最新の測定データを表示する測定データ表示画面と、過去の測定データを表示する測定履歴表示画面を含んでおり、
前記操作パネル画面は、前記測定データ表示画面上の呼出しボタンにより指示され、前記測定履歴表示画面に切り換えるための操作ボタン及び測定停止を指示する操作ボタンが少なくとも配置された第1の操作パネル画面と、前記測定履歴表示画面上の呼出しボタンにより指示され、測定履歴データの処理を指示する操作ボタン及び前記測定データ表示画面に切り換えるための操作ボタンが少なくとも配置された第2の操作パネル画面を含んでいる請求項1に記載の分析装置。
【請求項3】
前記測定データ表示画面上の呼出しボタンの位置と前記測定履歴表示画面上の呼出しボタンの位置が前記液晶表示装置の表示画面上の等しい位置である請求項2に記載の分析装置。
【請求項4】
前記測定データ表示画面上の呼出しボタンと前記測定履歴表示画面上の呼出しボタンは同じ表記のボタンである請求項3に記載の分析装置。
【請求項5】
前記分析部は、測定対象の試料水を、時間を異ならせて繰り返して導入し測定する水質分析計を構成している請求項1から4のいずれか一項に記載の分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図8】
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【図9】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−19700(P2013−19700A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−151185(P2011−151185)
【出願日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】