タッチパネル汚れ付着防止材
【課題】 タッチパネル等の液晶表示装置表面への指紋又は皮脂汚れを完全に防止可能な、低価格の汚れ付着防止材を提供する。
【解決手段】 極めて細い繊維状の材料から成るメッシュ材１によってタッチパネル２の表面を覆う構成とすることで、操作者の指がこのメッシュ材１に触れることになり、タッチパネル２の液晶表示装置表面に直接触れることが無い。しかるに、操作指を介して指紋や皮脂が液晶表示装置表面に付着しないので、使用中の液晶表示装置表面の指紋跡を全く見えなくする事ができる。
【解決手段】 極めて細い繊維状の材料から成るメッシュ材１によってタッチパネル２の表面を覆う構成とすることで、操作者の指がこのメッシュ材１に触れることになり、タッチパネル２の液晶表示装置表面に直接触れることが無い。しかるに、操作指を介して指紋や皮脂が液晶表示装置表面に付着しないので、使用中の液晶表示装置表面の指紋跡を全く見えなくする事ができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、公知のタッチパネル又は携帯電話等の液晶表示装置表面への指紋、皮脂等の付着を防止する汚れ付着防止材に関する。
【背景技術】
【０００２】
近年、液晶表示を用いた携帯情報端末或いは自動車用ナビゲーション装置等としての液晶表示装置が多く普及している。
また、これら液晶表示装置と公知のタッチセンサーの機能を組み合わせて、タッチパネル操作入力装置としても利用されることが知られている。
【０００３】
かかるタッチパネルの検出用センサーとしては、操作する指の押圧力を感知して上記液晶表示装置上の押圧箇所を特定し、操作位置座標として検出する方式と、該液晶表示装置表面に具備したマトリックス形状のＸ−Ｙ透明電極対が成す静電容量の値を電気的に検出することによって、操作指の位置を特定するもの、或いは該液晶表示装置の対辺に設置したＬＥＤと受光素子とによって操作指位置を検出する等の技術が公知となっている。
【０００４】
このように、液晶表示装置表面を指で操作して操作入力を行うタッチパネルでは、該タッチパネル表面に付着した指紋や皮脂汚れが問題となっている。
さらに、タッチセンサーを具備しない液晶表示装置においても、特に小型の携帯情報端末においては、該液晶表示装置表面に容易に指が触れることに起因して、同様に指紋及び皮脂汚れが問題になっている。
【０００５】
そこで従来より、上記問題に鑑み液晶表示装置の表面に界面活性物質よりなるハードコートを施す、或いはフッ素樹脂でコーティングする等によって指紋付着の軽減と、付着した指紋のふき取り易さを改善して液晶表示装置表面の見栄えを良好に保つ、汚れ付着防止手段に関する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【０００６】
【特許文献】
【特許文献】 特開２００５−１８６５８４号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
しかしながら、従来の技術では指紋付着の軽減が可能ではあるものの、完全に無くすことはできていない。また、界面活性物質をハードコート加工する等、係る汚れ付着防止手段の製造プロセスが複雑で結果的に高価な材料となっていた。
【０００８】
さらに、係る加工を施した汚れ付着防止部材を、上記液晶表示装置とは別体のシート状部材とし、ユーザーが後から該シート部材を液晶表示装置に貼り付ける場合には、該シート部材と該液晶表示装置との間に滞留した気泡によって見栄えが悪くなるといった欠点があることは明白である。
【０００９】
加えて、前記静電容量方式のタッチパネルにおいては、前記液晶表示装置の表面に厚みのある非導電性部材を貼付することによって、操作指の検出感度が低下する場合がある。
【００１０】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、低コストで、指紋や皮脂の付着を完全に防止して長期間、液晶表示装置の見栄えを良好に保つことができ、またユーザーが後から本発明のタッチパネル汚れ付着防止材を液晶表示装置へ装着する場合にも、気泡等による見栄え悪化の問題が全く無く、さらに静電容量方式のタッチパネルにおける検出感度低下を起こさない、新規のタッチパネル汚れ付着防止材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００１１】
本発明のタッチパネル汚れ付着防止材はタッチパネル表面と並走する複数の繊維状細線材料によって構成されることを特徴とする。
【００１２】
本発明のタッチパネル汚れ付着防止材の一態様においては、該タッチパネル表面と並走してメッシュ状に編まれた繊維状細線材料によって構成される。
【００１３】
本発明のタッテパネル汚れ付着防止材の一態様においては、太さ０．３ｍｍ以下であり、且つ間隔は太さの２倍以上とした繊維状細線材料を、上記タッチパネル表面と並走させたメッシュ状にして構成される。
【００１４】
本発明のタッチパネル汚れ付着防止材の一態様においては、複数の極細単繊維を拠り合わせた糸状の材料によって形成した上記繊維状細線材料によって構成される。
【００１５】
本発明のタッチパネル汚れ付着防止材の一態様においては、樹脂成型材料によって上記繊維状細線材料を形成する。
【００１６】
本発明のタッチパネル汚れ付着防止材の一態様においては、伸縮性のある上記繊維状細線材料によって構成される。
【００１７】
本発明のタッテパネル汚れ付着防止材の一態様においては、略黒色である上記繊維状細線材料によって構成される。
【００１８】
本発明のタッチパネル汚れ付着防止材の一態様においては、略透明若しくは乳白色の光透過性である上記繊維状細線材料によって構成される。
【００１９】
本発明のタッチパネル汚れ付着防止材の一態様においては、シリコンゴム皮膜等の滑り止めを塗布した上記繊維状細線材料によって構成される。
【００２０】
本発明のタッチパネル汚れ付着防止材の一態様においては、上記タッチパネル面の可視方向における表面に、任意の色彩より成る図柄を印刷形成した上記繊維状細線材料によって構成される。
【００２１】
本発明のタッチパネル汚れ付着防止材の一態様においては、長手方向に所定のピッチで電気導電性と非導電性とを繰り返し具備した材料で形成される上記繊維状細線材料によって構成される。
【発明の効果】
【００２２】
本発明のタッチパネル汚れ付着防止材によれば、極めて細い繊維状の材料から成るメッシュ材によって前記タッチパネル表面を覆う構成としたから、操作者の指は該繊維状の材料に触れることになり、該タッチパネルの液晶表示装置表面に直接触れることが無い。しかるに、操作指を介して指紋や皮脂が液晶表示装置表面に付着しないので、使用中の液晶表示装置表面の指紋跡を全く見えなくする事が可能な、タッチパネル汚れ付着防止材を提供することができる。
【００２３】
尚、上記繊維状材料表面に付着した指紋は、所謂布製品に素手で触れた場合と同じであり、当該布製品の色調に関係無く、目視可能な指紋跡が残留しないことは説明するまでも無い。
【００２４】
本発明のタッチパネル汚れ付着防止材における前記繊維状細線材料は、該繊維状細線材料の太さと、複数配置される該繊維状細線材料の間隔を適宜調整することによって、前記液晶表示装置の発光輝度を妨げることなく所望の見易さを維持した上で、材料の必要な強度を確保し、且つ操作指が直接外液晶表示装置表面に触れないことによって、指紋及び皮脂の付着を完全に防止することができる。
【００２５】
また、本発明のタッチパネル汚れ付着防止材における前記繊維状細線材料は、糸状の素材をメッシュ状に編んだ構造としたから、所謂女性用のストッキング等と類似又は同一の工程で製造することができるから、低価格で容易に製造することができる。
【００２６】
さらに、本発明のタッチパネル汚れ付着防止材における前記繊維状細線材料は、公知の樹脂成型材料からなることとしたから、非常に低価格で供給することができる。
【００２７】
また、本発明のタッチパネル汚れ付着防止材における前記繊維状細線材料は、伸縮性のある素材によって構成したから、タッチパネル表面に対して、容易に且つ均一にフィットして見栄えが向上すると共に、装着し易さが改善される。
【００２８】
また、本発明のタッチパネル汚れ付着防止材における前記繊維状細線材料は、黒色材料によって構成したから、前記液晶表示装置の非通電時に黒色意匠とすることで見た目の質感が向上する。
【００２９】
一方では、本発明のタッチパネル汚れ付着防止材における前記繊維状細線材料を、略透明材料によって構成すれば、前記液晶表示装置の通電時に輝度低下が少なく視認性が向上する。
【００３０】
さらに、本発明のタッチパネル汚れ付着防止材における前記繊維状細線材料は、前記液晶表示装置表面と接触する部位にシリコンゴム皮膜等の滑り止めを塗布したから、指先による操作時に、該液晶表示装置表面を覆う当該タッチパネル汚れ付着防止材が滑ることによる操作上の違和感を無くすことができる。
【００３１】
加えて、本発明のタッチパネル汚れ付着防止材における前記繊維状細線材料は、前記タッチパネル面の可視方向における表面に、任意の色彩より成る図柄を印刷形成したから、前記液晶表示装置の非通電時に任意の意匠を付与することができ、従って、該タッチパネルの非動作時にも意匠としての価値を持たせることができる。
【００３２】
また、本発明のタッチパネル汚れ付着防止材における前記繊維状細線材料は、長手方向に所定のピッチで電気導電性と非導電性とを繰り返し具備した材料で形成するものとしたから、当該発明のタッチパネル汚れ付着防止材を前記静電容量式のタッチパネルに装着しても、前記操作指の検出感度が低下するといった問題が発生しない。
【図面の簡単な説明】
【００３３】
【図１】 本発明の実施形態に係る、タッチパネル汚れ付着防止材を装着したタッチパネルを構成して成る液晶表示装置の平面図と側面図である
【図２】 本発明の実施形態に係る、タッチパネル汚れ付着防止材を装着したタッチパネルの断面拡大図と操作指を併記した図である。
【図３】 本発明の実施形態に係る、繊維状細線材料によって形成したメッシュ形状を表す図である
【図４】 本発明の実施形態に係る、繊維状細線材料の太さと配置を表す図である
【図５】 本発明の実施形態に係る、繊維状細線材料へ塗布した滑り止め防止材を表す図である
【図６】 本発明の実施形態に係る、タッチパネル汚れ付着防止材を装着したタッチパネルにおける液晶表示装置へ通電中の表示画像である
【図７】 本発明の実施形態に係る、タッチパネル汚れ付着防止材を装着したタッチパネルにおける液晶表示装置の非通電中に表示される意匠である
【図８】 本発明の実施形態に係る、繊維状細線材料を所定のピッチで部分的な導電性を持たせた図である
【図９】 本発明の実施形態に係る、タッチパネル汚れ付着防止材を袋状に成型して携帯電話機器への装着を表した図である
【発明を実施するための形態】
【００３４】
以上の如く、本発明のタッチパネル汚れ付着防止材は、同目的の従来技術とは異なり、操作指を介した指紋や皮脂の付着による液晶表示装置の汚れが全く無い、優れた汚れ防止機能を具備している。
【実施例１】
【００３５】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
図１は本発明の実施形態に係る、タッチパネル汚れ付着防止材を装着したタッチパネルを構成して成る液晶表示装置の平面図と側面図であり、１は本発明のタッチパネル汚れ付着防止材であって、２は公知のタッチパネル付き液晶表示装置（以下、タッチパネルと称す）である。
【００３６】
図２は、図１における本発明のタッチパネル汚れ付着防止材１を装着したタッチパネルの横断面の拡大図と操作指３を表し、１ａは繊維状細線材料の断面形状の例であり、また、２はタッチパネルである。
【００３７】
図１に示す如く、本発明のタッチパネル汚れ付着防止材１は、タッチパネル２を覆うように、該タッチパネル２と略密着して配置される。また、図２に示すように、操作指３によってタッチパネル２の表面側の所定部位を押圧すると、繊維状細線材料１ａを介して押圧力Ｆが作用し、図示しない公知のタッチ検出機能により、タッチパネル２表面の所定部位が押圧されたことが検知される。
【００３８】
以上の如く、構成したから本発明のタッチパネル汚れ付着防止材によると、操作指３とタッチパネル２とが直接触れることが無いので、該タッチパネル２の表面に操作指３の指紋又は皮脂が付着することなく、タッチパネル２の表面が汚れないといった優れた効果を得ることができる。
【００３９】
また、前記繊維状細線材料１ａの表面に付着した指紋は、所謂布製品に素手で触れた場合と同じであり、目視可能な指紋跡は残留しない。
【００４０】
図４は、本発明のタッチパネル汚れ付着防止材１の前記繊維状細線材料１ａにおける配置要件を表した図であり、係る図に示す如く該繊維状細線材料１ａの太さＤに対して、複数配置した該該繊維状細線材料１ａの配置間隔Ｇは
Ｇ＞Ｄ×２
としてある。
【００４１】
ところで、一般的な糸素材は有色であるため、タッチパネル２の液晶表示装置が発光表示する光源を透過しない。その為、該タッチパネル２をタッチパネル汚れ付着防止材１で覆うことによって、該タッチパネルの表示輝度低下／及び視認性低下が発生するという問題が考えられる。
【００４２】
そこで本発明のタッチパネル汚れ付着防止材１は前記繊維状細線材料１ａの太さＤを０．３ｍｍ以下とすると共に、該繊維状細線材料１ａの太さに対して、２倍以上の間隔Ｇを隔てて該繊維状細線材料１ａを配置することによって、上記タッチパネル２の輝度低下と視認性低下を最小限に抑えることができる。
さらに、上記繊維状細線材料１ａは透明若しくは光透過性の乳白色材料で構成することによって、上記タッチパネル２の輝度低下と視認性低下をより改善することも可能である。
【００４３】
尚、図１における本発明のタッチパネル汚れ付着防止材１は、タッチパネル２の表面と並走する２組の繊維状細線材料１ａが直交することによって、該２組の繊維状細線材料１ａの交差部において四角形を成すが如く配置したが、かかる繊維状細線材料１ａの配置は、図３に示す如き三角形状を成すように配置しても良い。
【００４４】
さらに、上記繊維状細線材料１ａに、伸縮性を持たせると前記タッチパネル２への密着性が良く、見栄えが向上すると共にタッチパネル２への、該タッチパネル汚れ付着防止材１の装着性が良くなる。
【００４５】
一方、上記繊維状細線材料１ａに、伸縮性を持たせることによって、操作指３がタッチパネル汚れ付着防止材１に触れた時に、タッチパネル２の表面を該タッチパネル汚れ付着防止材１が滑ることによって操作性が悪化することも考えられる。
しかるに、本発明のタッチパネル汚れ付着防止材１の繊維状細線材料１ａは、図５に示す如く、タッチパネル２の表面と接する部分にシリコンゴム等から成る滑り止め１０を塗布してある。これによって、上記タッチパネル汚れ付着防止材１の滑りが防止され操作性が改善する。
【００４６】
以上の如く構成して、本発明のタッチパネル汚れ付着防止材は、極めて細い繊維状の材料から成るメッシュ材によって前記タッチパネル表面を覆う構成としたから、操作者の指がタッチパネル表面に直接触れることが無い。しかるに、操作指を介して指紋や皮脂が液晶表示装置表面に付着しないので、使用中の液晶表示装置表面の指紋跡を全く見えなくする事が可能な、タッチパネル汚れ付着防止材を提供することができる。
【００４７】
さらに、本発明のタッチパネル汚れ付着防止材は、前記繊維状の材料の太さと配置間隔を適宜設定したから、タッチパネルにおける液晶表示装置の表示輝度低下を最小限に抑えて視認性を悪化させることが無い。
【００４８】
加えて、本発明のタッチパネル汚れ付着防止材は、伸縮性のあるメッシュ素材によって構成したから、タッチパネルへの装着性が良く、且つタッチパネル表面に対して良好に密着させることができる。
【００４９】
また、本発明のタッチパネル汚れ付着防止材は、タッチパネルと接触する部位に滑り止めを配したから、操作時に該タッチパネル汚れ付着防止材がタッチパネル表面を滑ることがなく、操作感が悪化しない。
【実施例２】
【００５０】
一般的な、タッチパネルは当該パネルの非動作時／又は非通電時に、該パネルの表面は通常、略黒色をしており何の意匠的価値も持っていない。
そこで、本発明のタッチパネル汚れ付着防止材１によって非動作中にタッチパネル表面に所定の意匠を描くことによって、当該タッチパネル非動作中の意匠的価値をもたらすように構成した。
【００５１】
以下、添付図面を参照して、本発明の第二の実施形態について説明する。
【００５２】
図７は本発明のタッチパネル汚れ付着防止材１の前記繊維状細線材料１ａの表面に、所望の画像を印刷形成したものを表している。
【００５３】
前記タッチパネル２が非通電の状態においては、該タッチパネルの液晶表示装置が発光しないので、該タッチパネル汚れ付着防止材１の背面は黒色である。
然るに、該タッチパネル汚れ付着防止材１の前記繊維状細線材料１ａ表面に付着した印刷色は、周囲環境からの光源を反射して所望の意匠として目視される。
【００５４】
次に、タッチパネル２に通電すると、図６に示すが如く所定の表示画像がタッチパネル２の前記液晶表示装置に発光表示される。
この時、該液晶表示装置の発光輝度は、周囲環境の明るさに比較して十分に高く設定されている。これによって、周囲環境が明るくても該液晶表示装置の画像が鮮明に目視可能となっているのである。
【００５５】
しかるに、前記繊維状細線材料１ａの表面に印刷した所望の画像は、上記液晶表示装置の発光光源による影となるから、前記非通電の場合の如き印刷画像としては目視されない。
このようにして、タッチパネル２の通電中には通常の表示機能として作用し、一方タッチパネル２の非通電中にはタッチパネル汚れ付着防止材１に印刷した所望の意匠が表示されることになるから、該タッチパネル２の非通電時にも、意匠表示としての付加価値を与えることが可能になる。
【実施例３】
【００５６】
前記静電容量式タッチセンサーを具備したタッチパネルは、公知の如くタッチパネル表面と操作指との間の静電容量変化に応動して機能するようになっている。従って、タッチパネル表面へ電気絶縁性のシート等を貼付するとかかる静電容量変化の妨げとなって、センサーの機能が正常に働かない場合がある。
そこで、本発明のタッチパネル汚れ付着防止材１の実施例３は、かかる課題を解決することを目的とする。
【００５７】
以下、添付図面を参照して、本発明の第三の実施形態について説明する。
【００５８】
図８は、前記静電容量式タッチパネル２の表面に、タッチパネル汚れ付着防止材１を装着した断面図であり、１ａは図の左右方向に直線的に配置された繊維状細線材料である。また、２はタッチパネル、２０はタッチパネル２の液晶表示装置における表面ガラス、２１は静電容量式タッチセンサーの電極である。
【００５９】
繊維状細線材料１ａは、ナイロン等の有機化合物から成り、通常は電気絶縁性を有している。しかし、本実施形態における繊維状細線材料１ａは、所定のピッチＰにおいて導電部１２と非導電部１１を交互に具備してなる。尚、当該導電部は繊維状細線材料１ａを部分的に加熱、炭化させることによって導電性を有するが如く形成される。
【００６０】
タッチパネル汚れ付着防止材１を装着しない場合、静電容量式タッチセンサーの検出する操作指３と電極２１との間の静電容量Ｃ１は、
Ｃ１＝εｓ／Ｄ１
（ε：比誘電率、ｓ：電極と指の対向面積、Ｄ１：指と電極の距離）である。
ところが、タッチパネル汚れ付着防止材１を装着して繊維状細線材料１ａの全体が非導電性であるとすると、静電容量式タッチセンサーの検出する操作指３と電極２１との間の静電容量Ｃ２は、
Ｃ２＝εｓ／Ｄ０
であり、Ｄ０＞Ｄ１であるから、Ｃ１＞Ｃ２となって、検出される静電容量Ｃ２の値はＣ１と比べて小さくなり、上記静電容量式タッチセンサーの検出感度が低下する。
【００６１】
そこで、本実施形態における繊維状細線材料１ａは、上記の如く所定のピッチＰで導電部位を有するものとしたから、等価的に前記操作指３の電気的位置は、上記タッチパネル２の液晶表示装置における表面ガラス２０の表面に位置することになる。
即ち、上記操作指３と電極２１との間の距離は等価的にＤ１となるので、該繊維状細線材料１ａを配設したにも関わらず上記静電容量式タッチセンサーの検出感度が低下しないといった優れた効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【００６２】
本発明のタッチパネル汚れ付着防止材は、タッチセンサー機能の有無に関わらず、操作指を介した指紋、皮脂、又はそれらに類似した汚れが、液晶、又はそれに類似した表示装置へ付着するのを防止する目的に対して有効であり、かかる汚れ付着防止材を低コストで供給可能とするものである。
【００６３】
さらに、本発明のタッチパネル汚れ付着防止材における最終的な使用形態は、該タッチパネル汚れ付着防止材に、図示しない枠材を付加して、前記タッチパネルに対して脱着可能にした上で、該タッチパネル汚れ付着防止材を該タッチパネルに装着しても良い。これによって、該タッチパネル汚れ付着防止材の過剰な汚れが発生した場合には、洗浄して再使用が可能になる。
【００６４】
加えて、図９に示す如く、本発明のタッチパネル汚れ付着防止材を袋状に縫製して、開口部にゴム紐１ｂを装着した上で、携帯情報端末を該袋状のタッチパネル汚れ付着防止材へ挿入して使用しても良いことは容易に想定される事象である。
【符号の説明】
【００６５】
１：タッチパネル汚れ付着防止材、２：タッチパネル、３：操作指、４：携帯情報端末、１ａ：繊維状細線材料、１ｂ：メッシュ、１０：滑り止め、２０：ガラス、２１：電極
【技術分野】
【０００１】
本発明は、公知のタッチパネル又は携帯電話等の液晶表示装置表面への指紋、皮脂等の付着を防止する汚れ付着防止材に関する。
【背景技術】
【０００２】
近年、液晶表示を用いた携帯情報端末或いは自動車用ナビゲーション装置等としての液晶表示装置が多く普及している。
また、これら液晶表示装置と公知のタッチセンサーの機能を組み合わせて、タッチパネル操作入力装置としても利用されることが知られている。
【０００３】
かかるタッチパネルの検出用センサーとしては、操作する指の押圧力を感知して上記液晶表示装置上の押圧箇所を特定し、操作位置座標として検出する方式と、該液晶表示装置表面に具備したマトリックス形状のＸ−Ｙ透明電極対が成す静電容量の値を電気的に検出することによって、操作指の位置を特定するもの、或いは該液晶表示装置の対辺に設置したＬＥＤと受光素子とによって操作指位置を検出する等の技術が公知となっている。
【０００４】
このように、液晶表示装置表面を指で操作して操作入力を行うタッチパネルでは、該タッチパネル表面に付着した指紋や皮脂汚れが問題となっている。
さらに、タッチセンサーを具備しない液晶表示装置においても、特に小型の携帯情報端末においては、該液晶表示装置表面に容易に指が触れることに起因して、同様に指紋及び皮脂汚れが問題になっている。
【０００５】
そこで従来より、上記問題に鑑み液晶表示装置の表面に界面活性物質よりなるハードコートを施す、或いはフッ素樹脂でコーティングする等によって指紋付着の軽減と、付着した指紋のふき取り易さを改善して液晶表示装置表面の見栄えを良好に保つ、汚れ付着防止手段に関する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【０００６】
【特許文献】
【特許文献】 特開２００５−１８６５８４号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
しかしながら、従来の技術では指紋付着の軽減が可能ではあるものの、完全に無くすことはできていない。また、界面活性物質をハードコート加工する等、係る汚れ付着防止手段の製造プロセスが複雑で結果的に高価な材料となっていた。
【０００８】
さらに、係る加工を施した汚れ付着防止部材を、上記液晶表示装置とは別体のシート状部材とし、ユーザーが後から該シート部材を液晶表示装置に貼り付ける場合には、該シート部材と該液晶表示装置との間に滞留した気泡によって見栄えが悪くなるといった欠点があることは明白である。
【０００９】
加えて、前記静電容量方式のタッチパネルにおいては、前記液晶表示装置の表面に厚みのある非導電性部材を貼付することによって、操作指の検出感度が低下する場合がある。
【００１０】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、低コストで、指紋や皮脂の付着を完全に防止して長期間、液晶表示装置の見栄えを良好に保つことができ、またユーザーが後から本発明のタッチパネル汚れ付着防止材を液晶表示装置へ装着する場合にも、気泡等による見栄え悪化の問題が全く無く、さらに静電容量方式のタッチパネルにおける検出感度低下を起こさない、新規のタッチパネル汚れ付着防止材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００１１】
本発明のタッチパネル汚れ付着防止材はタッチパネル表面と並走する複数の繊維状細線材料によって構成されることを特徴とする。
【００１２】
本発明のタッチパネル汚れ付着防止材の一態様においては、該タッチパネル表面と並走してメッシュ状に編まれた繊維状細線材料によって構成される。
【００１３】
本発明のタッテパネル汚れ付着防止材の一態様においては、太さ０．３ｍｍ以下であり、且つ間隔は太さの２倍以上とした繊維状細線材料を、上記タッチパネル表面と並走させたメッシュ状にして構成される。
【００１４】
本発明のタッチパネル汚れ付着防止材の一態様においては、複数の極細単繊維を拠り合わせた糸状の材料によって形成した上記繊維状細線材料によって構成される。
【００１５】
本発明のタッチパネル汚れ付着防止材の一態様においては、樹脂成型材料によって上記繊維状細線材料を形成する。
【００１６】
本発明のタッチパネル汚れ付着防止材の一態様においては、伸縮性のある上記繊維状細線材料によって構成される。
【００１７】
本発明のタッテパネル汚れ付着防止材の一態様においては、略黒色である上記繊維状細線材料によって構成される。
【００１８】
本発明のタッチパネル汚れ付着防止材の一態様においては、略透明若しくは乳白色の光透過性である上記繊維状細線材料によって構成される。
【００１９】
本発明のタッチパネル汚れ付着防止材の一態様においては、シリコンゴム皮膜等の滑り止めを塗布した上記繊維状細線材料によって構成される。
【００２０】
本発明のタッチパネル汚れ付着防止材の一態様においては、上記タッチパネル面の可視方向における表面に、任意の色彩より成る図柄を印刷形成した上記繊維状細線材料によって構成される。
【００２１】
本発明のタッチパネル汚れ付着防止材の一態様においては、長手方向に所定のピッチで電気導電性と非導電性とを繰り返し具備した材料で形成される上記繊維状細線材料によって構成される。
【発明の効果】
【００２２】
本発明のタッチパネル汚れ付着防止材によれば、極めて細い繊維状の材料から成るメッシュ材によって前記タッチパネル表面を覆う構成としたから、操作者の指は該繊維状の材料に触れることになり、該タッチパネルの液晶表示装置表面に直接触れることが無い。しかるに、操作指を介して指紋や皮脂が液晶表示装置表面に付着しないので、使用中の液晶表示装置表面の指紋跡を全く見えなくする事が可能な、タッチパネル汚れ付着防止材を提供することができる。
【００２３】
尚、上記繊維状材料表面に付着した指紋は、所謂布製品に素手で触れた場合と同じであり、当該布製品の色調に関係無く、目視可能な指紋跡が残留しないことは説明するまでも無い。
【００２４】
本発明のタッチパネル汚れ付着防止材における前記繊維状細線材料は、該繊維状細線材料の太さと、複数配置される該繊維状細線材料の間隔を適宜調整することによって、前記液晶表示装置の発光輝度を妨げることなく所望の見易さを維持した上で、材料の必要な強度を確保し、且つ操作指が直接外液晶表示装置表面に触れないことによって、指紋及び皮脂の付着を完全に防止することができる。
【００２５】
また、本発明のタッチパネル汚れ付着防止材における前記繊維状細線材料は、糸状の素材をメッシュ状に編んだ構造としたから、所謂女性用のストッキング等と類似又は同一の工程で製造することができるから、低価格で容易に製造することができる。
【００２６】
さらに、本発明のタッチパネル汚れ付着防止材における前記繊維状細線材料は、公知の樹脂成型材料からなることとしたから、非常に低価格で供給することができる。
【００２７】
また、本発明のタッチパネル汚れ付着防止材における前記繊維状細線材料は、伸縮性のある素材によって構成したから、タッチパネル表面に対して、容易に且つ均一にフィットして見栄えが向上すると共に、装着し易さが改善される。
【００２８】
また、本発明のタッチパネル汚れ付着防止材における前記繊維状細線材料は、黒色材料によって構成したから、前記液晶表示装置の非通電時に黒色意匠とすることで見た目の質感が向上する。
【００２９】
一方では、本発明のタッチパネル汚れ付着防止材における前記繊維状細線材料を、略透明材料によって構成すれば、前記液晶表示装置の通電時に輝度低下が少なく視認性が向上する。
【００３０】
さらに、本発明のタッチパネル汚れ付着防止材における前記繊維状細線材料は、前記液晶表示装置表面と接触する部位にシリコンゴム皮膜等の滑り止めを塗布したから、指先による操作時に、該液晶表示装置表面を覆う当該タッチパネル汚れ付着防止材が滑ることによる操作上の違和感を無くすことができる。
【００３１】
加えて、本発明のタッチパネル汚れ付着防止材における前記繊維状細線材料は、前記タッチパネル面の可視方向における表面に、任意の色彩より成る図柄を印刷形成したから、前記液晶表示装置の非通電時に任意の意匠を付与することができ、従って、該タッチパネルの非動作時にも意匠としての価値を持たせることができる。
【００３２】
また、本発明のタッチパネル汚れ付着防止材における前記繊維状細線材料は、長手方向に所定のピッチで電気導電性と非導電性とを繰り返し具備した材料で形成するものとしたから、当該発明のタッチパネル汚れ付着防止材を前記静電容量式のタッチパネルに装着しても、前記操作指の検出感度が低下するといった問題が発生しない。
【図面の簡単な説明】
【００３３】
【図１】 本発明の実施形態に係る、タッチパネル汚れ付着防止材を装着したタッチパネルを構成して成る液晶表示装置の平面図と側面図である
【図２】 本発明の実施形態に係る、タッチパネル汚れ付着防止材を装着したタッチパネルの断面拡大図と操作指を併記した図である。
【図３】 本発明の実施形態に係る、繊維状細線材料によって形成したメッシュ形状を表す図である
【図４】 本発明の実施形態に係る、繊維状細線材料の太さと配置を表す図である
【図５】 本発明の実施形態に係る、繊維状細線材料へ塗布した滑り止め防止材を表す図である
【図６】 本発明の実施形態に係る、タッチパネル汚れ付着防止材を装着したタッチパネルにおける液晶表示装置へ通電中の表示画像である
【図７】 本発明の実施形態に係る、タッチパネル汚れ付着防止材を装着したタッチパネルにおける液晶表示装置の非通電中に表示される意匠である
【図８】 本発明の実施形態に係る、繊維状細線材料を所定のピッチで部分的な導電性を持たせた図である
【図９】 本発明の実施形態に係る、タッチパネル汚れ付着防止材を袋状に成型して携帯電話機器への装着を表した図である
【発明を実施するための形態】
【００３４】
以上の如く、本発明のタッチパネル汚れ付着防止材は、同目的の従来技術とは異なり、操作指を介した指紋や皮脂の付着による液晶表示装置の汚れが全く無い、優れた汚れ防止機能を具備している。
【実施例１】
【００３５】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
図１は本発明の実施形態に係る、タッチパネル汚れ付着防止材を装着したタッチパネルを構成して成る液晶表示装置の平面図と側面図であり、１は本発明のタッチパネル汚れ付着防止材であって、２は公知のタッチパネル付き液晶表示装置（以下、タッチパネルと称す）である。
【００３６】
図２は、図１における本発明のタッチパネル汚れ付着防止材１を装着したタッチパネルの横断面の拡大図と操作指３を表し、１ａは繊維状細線材料の断面形状の例であり、また、２はタッチパネルである。
【００３７】
図１に示す如く、本発明のタッチパネル汚れ付着防止材１は、タッチパネル２を覆うように、該タッチパネル２と略密着して配置される。また、図２に示すように、操作指３によってタッチパネル２の表面側の所定部位を押圧すると、繊維状細線材料１ａを介して押圧力Ｆが作用し、図示しない公知のタッチ検出機能により、タッチパネル２表面の所定部位が押圧されたことが検知される。
【００３８】
以上の如く、構成したから本発明のタッチパネル汚れ付着防止材によると、操作指３とタッチパネル２とが直接触れることが無いので、該タッチパネル２の表面に操作指３の指紋又は皮脂が付着することなく、タッチパネル２の表面が汚れないといった優れた効果を得ることができる。
【００３９】
また、前記繊維状細線材料１ａの表面に付着した指紋は、所謂布製品に素手で触れた場合と同じであり、目視可能な指紋跡は残留しない。
【００４０】
図４は、本発明のタッチパネル汚れ付着防止材１の前記繊維状細線材料１ａにおける配置要件を表した図であり、係る図に示す如く該繊維状細線材料１ａの太さＤに対して、複数配置した該該繊維状細線材料１ａの配置間隔Ｇは
Ｇ＞Ｄ×２
としてある。
【００４１】
ところで、一般的な糸素材は有色であるため、タッチパネル２の液晶表示装置が発光表示する光源を透過しない。その為、該タッチパネル２をタッチパネル汚れ付着防止材１で覆うことによって、該タッチパネルの表示輝度低下／及び視認性低下が発生するという問題が考えられる。
【００４２】
そこで本発明のタッチパネル汚れ付着防止材１は前記繊維状細線材料１ａの太さＤを０．３ｍｍ以下とすると共に、該繊維状細線材料１ａの太さに対して、２倍以上の間隔Ｇを隔てて該繊維状細線材料１ａを配置することによって、上記タッチパネル２の輝度低下と視認性低下を最小限に抑えることができる。
さらに、上記繊維状細線材料１ａは透明若しくは光透過性の乳白色材料で構成することによって、上記タッチパネル２の輝度低下と視認性低下をより改善することも可能である。
【００４３】
尚、図１における本発明のタッチパネル汚れ付着防止材１は、タッチパネル２の表面と並走する２組の繊維状細線材料１ａが直交することによって、該２組の繊維状細線材料１ａの交差部において四角形を成すが如く配置したが、かかる繊維状細線材料１ａの配置は、図３に示す如き三角形状を成すように配置しても良い。
【００４４】
さらに、上記繊維状細線材料１ａに、伸縮性を持たせると前記タッチパネル２への密着性が良く、見栄えが向上すると共にタッチパネル２への、該タッチパネル汚れ付着防止材１の装着性が良くなる。
【００４５】
一方、上記繊維状細線材料１ａに、伸縮性を持たせることによって、操作指３がタッチパネル汚れ付着防止材１に触れた時に、タッチパネル２の表面を該タッチパネル汚れ付着防止材１が滑ることによって操作性が悪化することも考えられる。
しかるに、本発明のタッチパネル汚れ付着防止材１の繊維状細線材料１ａは、図５に示す如く、タッチパネル２の表面と接する部分にシリコンゴム等から成る滑り止め１０を塗布してある。これによって、上記タッチパネル汚れ付着防止材１の滑りが防止され操作性が改善する。
【００４６】
以上の如く構成して、本発明のタッチパネル汚れ付着防止材は、極めて細い繊維状の材料から成るメッシュ材によって前記タッチパネル表面を覆う構成としたから、操作者の指がタッチパネル表面に直接触れることが無い。しかるに、操作指を介して指紋や皮脂が液晶表示装置表面に付着しないので、使用中の液晶表示装置表面の指紋跡を全く見えなくする事が可能な、タッチパネル汚れ付着防止材を提供することができる。
【００４７】
さらに、本発明のタッチパネル汚れ付着防止材は、前記繊維状の材料の太さと配置間隔を適宜設定したから、タッチパネルにおける液晶表示装置の表示輝度低下を最小限に抑えて視認性を悪化させることが無い。
【００４８】
加えて、本発明のタッチパネル汚れ付着防止材は、伸縮性のあるメッシュ素材によって構成したから、タッチパネルへの装着性が良く、且つタッチパネル表面に対して良好に密着させることができる。
【００４９】
また、本発明のタッチパネル汚れ付着防止材は、タッチパネルと接触する部位に滑り止めを配したから、操作時に該タッチパネル汚れ付着防止材がタッチパネル表面を滑ることがなく、操作感が悪化しない。
【実施例２】
【００５０】
一般的な、タッチパネルは当該パネルの非動作時／又は非通電時に、該パネルの表面は通常、略黒色をしており何の意匠的価値も持っていない。
そこで、本発明のタッチパネル汚れ付着防止材１によって非動作中にタッチパネル表面に所定の意匠を描くことによって、当該タッチパネル非動作中の意匠的価値をもたらすように構成した。
【００５１】
以下、添付図面を参照して、本発明の第二の実施形態について説明する。
【００５２】
図７は本発明のタッチパネル汚れ付着防止材１の前記繊維状細線材料１ａの表面に、所望の画像を印刷形成したものを表している。
【００５３】
前記タッチパネル２が非通電の状態においては、該タッチパネルの液晶表示装置が発光しないので、該タッチパネル汚れ付着防止材１の背面は黒色である。
然るに、該タッチパネル汚れ付着防止材１の前記繊維状細線材料１ａ表面に付着した印刷色は、周囲環境からの光源を反射して所望の意匠として目視される。
【００５４】
次に、タッチパネル２に通電すると、図６に示すが如く所定の表示画像がタッチパネル２の前記液晶表示装置に発光表示される。
この時、該液晶表示装置の発光輝度は、周囲環境の明るさに比較して十分に高く設定されている。これによって、周囲環境が明るくても該液晶表示装置の画像が鮮明に目視可能となっているのである。
【００５５】
しかるに、前記繊維状細線材料１ａの表面に印刷した所望の画像は、上記液晶表示装置の発光光源による影となるから、前記非通電の場合の如き印刷画像としては目視されない。
このようにして、タッチパネル２の通電中には通常の表示機能として作用し、一方タッチパネル２の非通電中にはタッチパネル汚れ付着防止材１に印刷した所望の意匠が表示されることになるから、該タッチパネル２の非通電時にも、意匠表示としての付加価値を与えることが可能になる。
【実施例３】
【００５６】
前記静電容量式タッチセンサーを具備したタッチパネルは、公知の如くタッチパネル表面と操作指との間の静電容量変化に応動して機能するようになっている。従って、タッチパネル表面へ電気絶縁性のシート等を貼付するとかかる静電容量変化の妨げとなって、センサーの機能が正常に働かない場合がある。
そこで、本発明のタッチパネル汚れ付着防止材１の実施例３は、かかる課題を解決することを目的とする。
【００５７】
以下、添付図面を参照して、本発明の第三の実施形態について説明する。
【００５８】
図８は、前記静電容量式タッチパネル２の表面に、タッチパネル汚れ付着防止材１を装着した断面図であり、１ａは図の左右方向に直線的に配置された繊維状細線材料である。また、２はタッチパネル、２０はタッチパネル２の液晶表示装置における表面ガラス、２１は静電容量式タッチセンサーの電極である。
【００５９】
繊維状細線材料１ａは、ナイロン等の有機化合物から成り、通常は電気絶縁性を有している。しかし、本実施形態における繊維状細線材料１ａは、所定のピッチＰにおいて導電部１２と非導電部１１を交互に具備してなる。尚、当該導電部は繊維状細線材料１ａを部分的に加熱、炭化させることによって導電性を有するが如く形成される。
【００６０】
タッチパネル汚れ付着防止材１を装着しない場合、静電容量式タッチセンサーの検出する操作指３と電極２１との間の静電容量Ｃ１は、
Ｃ１＝εｓ／Ｄ１
（ε：比誘電率、ｓ：電極と指の対向面積、Ｄ１：指と電極の距離）である。
ところが、タッチパネル汚れ付着防止材１を装着して繊維状細線材料１ａの全体が非導電性であるとすると、静電容量式タッチセンサーの検出する操作指３と電極２１との間の静電容量Ｃ２は、
Ｃ２＝εｓ／Ｄ０
であり、Ｄ０＞Ｄ１であるから、Ｃ１＞Ｃ２となって、検出される静電容量Ｃ２の値はＣ１と比べて小さくなり、上記静電容量式タッチセンサーの検出感度が低下する。
【００６１】
そこで、本実施形態における繊維状細線材料１ａは、上記の如く所定のピッチＰで導電部位を有するものとしたから、等価的に前記操作指３の電気的位置は、上記タッチパネル２の液晶表示装置における表面ガラス２０の表面に位置することになる。
即ち、上記操作指３と電極２１との間の距離は等価的にＤ１となるので、該繊維状細線材料１ａを配設したにも関わらず上記静電容量式タッチセンサーの検出感度が低下しないといった優れた効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【００６２】
本発明のタッチパネル汚れ付着防止材は、タッチセンサー機能の有無に関わらず、操作指を介した指紋、皮脂、又はそれらに類似した汚れが、液晶、又はそれに類似した表示装置へ付着するのを防止する目的に対して有効であり、かかる汚れ付着防止材を低コストで供給可能とするものである。
【００６３】
さらに、本発明のタッチパネル汚れ付着防止材における最終的な使用形態は、該タッチパネル汚れ付着防止材に、図示しない枠材を付加して、前記タッチパネルに対して脱着可能にした上で、該タッチパネル汚れ付着防止材を該タッチパネルに装着しても良い。これによって、該タッチパネル汚れ付着防止材の過剰な汚れが発生した場合には、洗浄して再使用が可能になる。
【００６４】
加えて、図９に示す如く、本発明のタッチパネル汚れ付着防止材を袋状に縫製して、開口部にゴム紐１ｂを装着した上で、携帯情報端末を該袋状のタッチパネル汚れ付着防止材へ挿入して使用しても良いことは容易に想定される事象である。
【符号の説明】
【００６５】
１：タッチパネル汚れ付着防止材、２：タッチパネル、３：操作指、４：携帯情報端末、１ａ：繊維状細線材料、１ｂ：メッシュ、１０：滑り止め、２０：ガラス、２１：電極
【特許請求の範囲】
【請求項１】
タッチパネル表面への指紋、皮脂等の汚れの付着を防止するタッチパネル用汚れ付着防止材であって、タッチパネル表面と並走する複数の繊維状細線材料によって構成されることを特徴とするタッチパネル汚れ付着防止材。
【請求項２】
前記繊維状細線材料は、前記タッチパネル表面と並走し、該繊維状細線材料によって略ｎ角形の形状が連なるが如く編まれたメッシュ形状を成すことを特徴とする請求項１に記載のタッチパネル汚れ付着防止材。
【請求項３】
前記複数の繊維状細線材料は、太さ０．３ｍｍ以下であり、且つ複数の繊維状細線材料が形成する間隔は、係る太さの２倍以上であることを特徴とする請求項１または請求項２に記載のタッチパネル汚れ付着防止材。
【請求項４】
前記繊維状細線材料は、複数の極細単繊維を拠り合わせた糸状の材料であることを特徴とする請求項１乃至３のいずれか１項に記載のタッチパネル汚れ付着防止材。
【請求項５】
前記繊維状細線材料は、樹脂成型材料であることを特徴とする請求項１乃至３のいずれか１項に記載のタッチパネル汚れ付着防止材。
【請求項６】
前記繊維状細線材料は、伸縮性を具備して成ることを特徴とする請求項１乃至５のいずれか１項に記載のタッチパネル汚れ付着防止材。
【請求項７】
前記繊維状細線材料は、略黒色であることを特徴とする請求項１乃至６のいずれか１項に記載のタッチパネル汚れ付着防止材。
【請求項８】
前記繊維状細線材料は、略透明若しくは乳白色の光透過性であることを特徴とする請求項１乃至６のいずれか１項に記載のタッチパネル汚れ付着防止材。
【請求項９】
前記繊維状細線材料の少なくとも前記タッチパネル側の表面に、シリコンゴム皮膜等から成る滑り止めを塗布したことを特徴とする請求項１乃至８のいずれか１項に記載のタッチパネル汚れ付着防止材。
【請求項１０】
前記タッチパネル面の可視方向における前記繊維状細線材料の表面に、任意の色彩より成る図柄を印刷形成したことを特徴とする請求項１乃至９のいずれか１項に記載のタッチパネル汚れ付着防止材。
【請求項１１】
前記複数の繊維状細線材料は、長手方向に所定のピッチで電気導電性と非導電性とを繰り返し具備した材料で形成されることを特徴とする請求項１乃至１０のいずれか１項に記載のタッチパネル汚れ付着防止材。
【請求項１】
タッチパネル表面への指紋、皮脂等の汚れの付着を防止するタッチパネル用汚れ付着防止材であって、タッチパネル表面と並走する複数の繊維状細線材料によって構成されることを特徴とするタッチパネル汚れ付着防止材。
【請求項２】
前記繊維状細線材料は、前記タッチパネル表面と並走し、該繊維状細線材料によって略ｎ角形の形状が連なるが如く編まれたメッシュ形状を成すことを特徴とする請求項１に記載のタッチパネル汚れ付着防止材。
【請求項３】
前記複数の繊維状細線材料は、太さ０．３ｍｍ以下であり、且つ複数の繊維状細線材料が形成する間隔は、係る太さの２倍以上であることを特徴とする請求項１または請求項２に記載のタッチパネル汚れ付着防止材。
【請求項４】
前記繊維状細線材料は、複数の極細単繊維を拠り合わせた糸状の材料であることを特徴とする請求項１乃至３のいずれか１項に記載のタッチパネル汚れ付着防止材。
【請求項５】
前記繊維状細線材料は、樹脂成型材料であることを特徴とする請求項１乃至３のいずれか１項に記載のタッチパネル汚れ付着防止材。
【請求項６】
前記繊維状細線材料は、伸縮性を具備して成ることを特徴とする請求項１乃至５のいずれか１項に記載のタッチパネル汚れ付着防止材。
【請求項７】
前記繊維状細線材料は、略黒色であることを特徴とする請求項１乃至６のいずれか１項に記載のタッチパネル汚れ付着防止材。
【請求項８】
前記繊維状細線材料は、略透明若しくは乳白色の光透過性であることを特徴とする請求項１乃至６のいずれか１項に記載のタッチパネル汚れ付着防止材。
【請求項９】
前記繊維状細線材料の少なくとも前記タッチパネル側の表面に、シリコンゴム皮膜等から成る滑り止めを塗布したことを特徴とする請求項１乃至８のいずれか１項に記載のタッチパネル汚れ付着防止材。
【請求項１０】
前記タッチパネル面の可視方向における前記繊維状細線材料の表面に、任意の色彩より成る図柄を印刷形成したことを特徴とする請求項１乃至９のいずれか１項に記載のタッチパネル汚れ付着防止材。
【請求項１１】
前記複数の繊維状細線材料は、長手方向に所定のピッチで電気導電性と非導電性とを繰り返し具備した材料で形成されることを特徴とする請求項１乃至１０のいずれか１項に記載のタッチパネル汚れ付着防止材。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【公開番号】特開２０１２−２３８２９２（Ｐ２０１２−２３８２９２Ａ）
【公開日】平成２４年１２月６日（２０１２．１２．６）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１１−１２１００４（Ｐ２０１１−１２１００４）
【出願日】平成２３年５月１２日（２０１１．５．１２）
【出願人】（５０４４３８２３３）
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２４年１２月６日（２０１２．１２．６）
【国際特許分類】
【出願日】平成２３年５月１２日（２０１１．５．１２）
【出願人】（５０４４３８２３３）
【Ｆターム（参考）】
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