説明

タブ端子のテーピング方法および装置

本発明によるタブ端子のテーピング方法は、タブ端子を磁気パーツフィーダーに供給、搬送する工程と、搬送されたタブ端子を、保持溝底に小磁石を埋設したピックアップドラムに供給し、その保持溝にタブ端子を保持する工程と、保持されたタブ端子の圧延部の方向が、ピックアップドラム外周接線と平行になるように位置修正する工程と、保持されたタブ端子をテーピングドラムの保持溝に移載する工程と、テーピングドラムと摺接するテープ押圧ロールと、該テーピングドラムとの間に粘着テープを供給して、テーピングドラムに把持されたタブ端子を、押圧ロールで押圧しながら粘着テープ上に接着固定する工程と、タブ端子が固定された粘着テープの接着面側に透明テープを供給して、粘着テープを被覆する工程と、被覆された粘着テープを巻き取る工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、電解コンデンサ等に使用される、棒状で方向性を有するタブ端子をテーピングする方法、および装置に関する。
【背景技術】
ダイオードや電解コンデンサ等に使用されるタブ端子は、銅メッキの上に錫や半田メッキを施した鉄線(CP線)からなるリード部分と、アルミ棒をプレスにより圧偏した圧延部とから構成されている。このような棒状で方向性のあるタブ端子にアルミ箔を巻回して電解コンデンサを作製する際、タブ端子をテープに整列させて接着しこれをロール状に巻き取とったテープロールを、自動挿入機や自動製造機に装着し、このテープロールをほどきながらタブ端子を自動挿入機や自動製造機に供給する方法が採られる。
このような棒状で方向性のあるタブ端子を一定方向に揃えてテープに配列させるには、振動を利用して整列する方法が用いられる。振動を利用する場合、タブ端子本体の方向を揃えることはできるが、このタブ端子をテープに接着する際に、リード部端の位置や圧延部の方向が揃っていないと、接着テープからリード部がはみだしたり、圧延部が一定方向に揃っていない状態でテーピングされることがある。このテープロールをそのまま包装箱に収納すると、はみだしたリード部が箱に引掛かって曲がったりする等の問題が生じる。
またこのような状態のテープロールを自動挿入機に装着すると、タブ端子のリード部や本体部が自動挿入機のガイド等に接触してタブ端子を変形させてしまい、製品の歩留まりが低下するという問題がある。
さらに、上記テーピング方法においては、タブ端子等を数十ないし数百本ごとに振動装置に供給して整列配置し、テーピングを施す方法が採られている。しかしながら、これら供給された数十ないし数百本のタブ端子は、振動装置内で複雑に移動しその供給順序が入り乱れてしまうため、テーピングされた後のタブ端子のロット管理等が困難となり、品質管理面での問題も生しる。タブ端子を供給した順にテーピングされれば、不良品の除去等も容易になる。
また、近年、電解コンデンサ等の小型化の要請により、圧延部を偏方させたタブ端子が用いられているが、このような偏方型のタブ端子をテーピングする際は、偏方方向も考慮したテーピングが必要となる。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、タブ端子を大量に供給した場合であっても、順序よく等間隔に該電子部品を配列させて接着テープ上に供給するとともに、圧延部が偏方して設けられてなるタブ端子であっても、その偏方方向を一定に揃えて粘着テープ上に供給できる、電子部品のテーピング方法およびテーピング装置を提供することにある。
【発明の開示】
上記目的を達成するために、本発明によるテーピング方法は、圧延部を有するタブ端子が等間隔で、かつ、該圧延部が所定方向に向くようにテーピングする方法であって、
所定ケースに収納されてなる前記タブ端子を、磁気パーツフィーダーに供給して、所定間隔に配列させて1本ずつ搬送する工程と、
搬送された前記タブ端子を、ドラムの外周に保持溝が等間隔に設けられてなり、その保持溝底に小磁石を埋設したピックアップドラムに、1本ずつ供給し、その保持溝に前記タブ端子を保持する工程と、
前記ピックアップドラムに保持されたタブ端子を、そのタブ端子の圧延部の方向が、前記ピックアップドラム外周接線と平行になるように位置修正する工程と、
前記ピックアップドラムに保持されたタブ端子を、ドラム外周に保持溝が等間隔に設けられてなるテーピングドラムの該保持溝に、一本づつ移載する工程と、
前記テーピングドラムと摺接してなるテープ押圧ロールと、該テーピングドラムとの間に粘着テープを供給して、前記テーピングドラムに把持されたタブ端子を、前記押圧ロールで押圧しながら該粘着テープ上に接着固定する工程と、
タブ端子が固定されてなる粘着テープの接着面側に、透明テープを供給して、粘着テープを被覆する工程と、
被覆された前記粘着テープを巻き取る工程、
とを含んでなるものである。
本発明によるテーピング方法によれば、タブ端子を大量に供給した場合であっても、順序よく等間隔に該タブ端子を配列させて接着テープ上に供給するとともに、圧延部が偏方して設けられてなるタブ端子であっても、その偏方方向を一定に揃えて粘着テープ上に供給できる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の一実施態様において使用する、磁気パーツフィーダーおよびピックアップドラムを示す平面図である。
図2は、ピックアップドラムの周縁部の拡大図である。
図3は、通常の電解コンデンサに使用されるタブ端子の側面図である。
図4は、圧延部が偏方したタブ端子の側面図である。
図5は、本発明の一実施態様における、タブ端子圧延部の方向修正工程を説明するための図である。
図6は、本発明の一実施態様における、タブ端子の供給工程からテープ巻き取り工程までを示した概略図である。
発明の具体的説明
本発明によるテーピング方法およびテーピング装置を図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明によるテーピング方法は、タブ端子の供給工程、圧延部の方向修正工程、テープ接着工程、テープ巻き取り工程に大別することができる。以下、各工程について詳細に説明する。
1.タブ端子の供給工程
タブ端子をテーピングする際は、通常、複数本(数十〜数百本)のタブ端子が所定ケースに収納された状態で、パーツフィーダーに供給される。このタブ端子収容ケースは、所定数のタブ端子のリード部先端を下側にして直立状態に保持する円筒状のケースでも、所定数のタブ端子を横向きに並べて保持する矩形状のケースでもよく、特にタブ端子収納ケースの形態が限定されるものではない。
所定ケースに収容されたタブ端子は、適当な振動搬送装置等(図示せず)に供給することにより、ある程度ほぐされて、数本の塊の状態になる。
このような状態で、タブ端子が、磁気パーツフィーダーに供給される。図1は、磁気パーツフィーダおよびピックアップドラムを示す平面図である。磁気パーツフィーダ2には、タブ端子1の長さに見合う間隔を空けて左右平行な側壁3で区画された移送通路が設けられている。その側壁3の両外側には、一対の磁石4(N極とS極)が対向して設けられており、移送通路を横断する磁界が形成されている。一対の磁石4の間隔は、入口側で広く出口側で狭くなっており、それにより磁界が出口側ほど強くなっている。
移送通路へ供給されたタブ端子1は、磁界の作用により、リード部先端1aが一方の側壁に吸引され、圧延部1bが他方の側壁に向いた状態で整列する。次いで、磁気パーツフィーダ2を振動により左右に微小振動することにより、タブ端子1は通路出口側に向かって徐々に強くなる磁界により、自然と出口側へ送り出される。また、このように磁気パーツフィーダーを振動させることにより、一本づつ配列した状態でタブ端子を搬送することができる。
磁気パーツフィーダーの振動は、適当な振動装置等(図示せず)により行うことができる。
3.タブ端子圧延部の方向修正工程
磁気パーツフィーダーの出口側で、タブ端子は順次、ピックアップドラムにより保持される。ピックアップドラム5は、図2に示すように、外周に等間隔で多数の保持溝6を設けたドラムに、その保持溝に対抗してドラム外周に等間隔で棒状の小磁石7が埋設された構造を有する。この保持溝6は、R形状(半円形)を有してなり、タブ端子のリード部の線径より少し大きい溝幅となるよう形成されている。
図1に示すように、ピックアップドラム5を一定角速度で節動回転させて、磁気パーツフィーダー2の出口から、タブ端子1を順次、このピックアップドラム5の保持溝6に嵌入する。タブ端子のリード部1aは、保持溝6の底に設けられた小磁石7の作用によって保持される。図1に示すように、ピックアップドラム5を磁気パーツフィーダ2の出口側に食い込む程度に近接して配置することにより、タブ端子が保持溝に確実に挿入される。
ここで、供給されるタブ端子は、図3に示すような通常の形態を有するものの他にも、図4に示すような圧延部1bの位置が一方向に偏方した小型電解コンデンサ用のタブ端子1も使用される。このような偏方のタブ端子においては、テーピングの際に圧延部が所定方向を向くように粘着テープに接着する必要がある。
本発明のテーピング方法においては、図5に示すように、ピックアップドラム5側面に設けてなるガイド板8により、保持溝に保持されたタブ端子の圧延部は、一旦、図5の1cまたは1dの方向のいずれかの方向に揃えられる。このように所定方向に揃えられたタブ端子の圧延部は、さらに、ガイド板8と摺接するように設けられた回転ブラシ9により、該圧延部が一方の方向を向くように修正される(図5の1dの方向)。回転ブラシ9は、ピックアップドラム5の回転と逆方向に回転しており、1cの方向を向いた圧延部は、回転ブラシ9によりブラッシングされる。この回転ブラシの作用により、タブ端子が保持溝内で回転して圧延部1cの方向が1dの方向に修正される。この際、タブ端子の圧延部が確実にブラッシングされるよう、回転ブラシは、図5に示すように、ガイド板と少し隙間を設けて配置するのが好ましい。このようにしてタブ端子圧延部を一定方向に揃えることにより、圧延部が偏方したタブ端子であっても、所定方向に圧延部を揃えて、タブ端子をテーピングすることができる。
4.テープ接着工程
ピックアップドラムに把持されたタブ端子は、図6に示すように、移載レバー10により、ドラム外周に保持溝が等間隔に設けられてなるテーピングドラム11の該保持溝に、一本づつ移載される。テーピングドラム11には、ピックアップドラムと同様に、外周に等間隔に多数の保持溝が設けられてなり、その保持溝に対向して外周に等間隔に棒状の小磁石が埋設された構造を有する。
このテーピングドラム11は、ピックアップドラム5と逆方向に一定角速度で節動回転するようになっている。ピックアップドラム11とテーピングドラム5との間に設けられた移載レバー10は、ピックアップドラム5の節動回転に同期して上下に揺動し、タブ端子1をピックアップドラム5の保持溝から外し、テーピングドラム11の保持溝に移載する。ピックアップドラムおよびテーピングドラムの回転角速度は、その移載位置でそれぞれの保持溝が対向するようにそれぞれ調整されている。またテーピングドラム上にタブ端子を確実に移載するため、テーピングドラム11の両側面には、図6に示すように、ガイド板12が設けられている。このガイド板の作用により、タブ端子をテーピングドラムへ移載する際に、タブ端子が保持溝から外れることなく、確実にタブ端子テーピングドラム上に保持することができる。また、タブ端子の移載ミスを低減させるため、ガイド板12にはその周囲にV溝を設けてもよい(図示せず)。
次に、テーピングドラム11と摺接して設けられたテープ押圧ロール13と、該テーピングドラム11との間に粘着テープ14aを供給して、前記テーピングドラム11に保持されたタブ端子1を前記押圧ロール13で押圧しながら、該粘着テープ14a上に接着固定する。すなわち、テーピングドラム11に移載されたタブ端子1は、テーピングドラムの回転により、テーピングドラム11に摺接して設けられたテープ押圧ロール13の位置まで運ばれ、そこでテープ押圧ロール13により接着テープ14a上へ押し付けられて接着固定される。
5.テープ巻き取り工程
続いて、タブ端子が固定されてなる粘着テープ14aの接着面側に、透明テープ14bを供給して、粘着テープ14aを被覆する。このようにして、接着テープ14a上に透明テープ14bを被覆することにより、タブ端子1を粘着テープと透明テープとで包み込む。このタブ端子が包み込まれた粘着テープ14の下面に保護テープ15を供給し、粘着テープ14を保護テープ15とともに巻取りカセットロールに巻き取る。
以上、本発明によるテーピング方法の一実施態様を説明したが、本発明がこれに限定されるものではない。また、本発明によるテーピング方法においては、検出装置等をピックアップドラムないしテーピングドラム近傍に設けて、不良品の検出を行っても良いことは言うまでもない。さらに、この検出装置とピックアップドラム等の運転を連動させて自動化運転を行ってもよい。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧延部を有するタブ端子が等間隔で、かつ、該圧延部が所定方向に向くようにテーピングする方法であって、
所定ケースに収納されてなる前記タブ端子を、磁気パーツフィーダーに供給して、所定間隔に配列させて1本ずつ搬送する工程と、
搬送された前記タブ端子を、ドラムの外周に保持溝が等間隔に設けられてなり、その保持溝底に小磁石を埋設したピックアップドラムに、1本ずつ供給し、その保持溝に前記タブ端子を保持する工程と、
前記ピックアップドラムに保持されたタブ端子を、そのタブ端子の圧延部の方向が、前記ピックアップドラム外周接線と平行になるように位置修正する工程と、
前記ピックアップドラムに保持されたタブ端子を、ドラム外周に保持溝が等間隔に設けられてなるテーピングドラムの該保持溝に、一本づつ移載する工程と、
前記テーピングドラムと摺接して設けられたテープ押圧ロールと、該テーピングドラムとの間に粘着テープを供給して、前記テーピングドラムに把持されたタブ端子を、前記押圧ロールで押圧しながら該粘着テープ上に接着固定する工程と、
タブ端子が固定されてなる粘着テープの接着面側に、透明テープを供給して、粘着テープを被覆する工程と、
被覆された前記粘着テープを巻き取る工程、
とを含んでなる、タブ端子のテーピング方法。
【請求項2】
前記タブ端子の位置修正が、ピックアップドラム側面に設けられたガイド板、および、そのガイド板と摺接して設けられてなる回転ブラシにより行われる、請求項1に記載のテーピング方法。
【請求項3】
前記磁気パーツフィーダーが、左右平行な側壁で区画するタブ端子の移送通路に、この通路を横断する方向の磁界が加えられてなり、その通路の入口側よりも出口側の方が磁界が強くなるように磁界が加えられてなる、請求項1に記載のテーピング方法。
【請求項4】
圧延部を有するタブ端子が等間隔で、かつ、該圧延部が所定方向に向くようにできるテーピング装置であって、
所定ケースに収納されてなる前記タブ端子を、磁気パーツフィーダーに供給して、所定間隔に配列させて1本ずつ搬送する手段と、
搬送された前記タブ端子を、ドラムの外周に保持溝が等間隔に設けられてなり、その保持溝底に小磁石を埋設したピックアップドラムに、1本ずつ供給し、その保持溝に前記タブ端子を保持する手段と、
前記ピックアップドラムに保持されたタブ端子を、そのタブ端子の圧延部の方向が、前記ピックアップドラム外周接線と平行になるように位置修正する手段と、
前記ピックアップドラムに保持されたタブ端子を、ドラム外周に保持溝が等間隔に設けられてなるテーピングドラムの該保持溝に、一本づつ移載する手段と、
前記テーピングドラムと摺接して設けられたテープ押圧ロールと、該テーピングドラムとの間に粘着テープを供給して、前記テーピングドラムに把持されたタブ端子を、前記押圧ロールで押圧しながら該粘着テープ上に接着固定する手段と、
タブ端子が固定されてなる粘着テープの接着面側に、透明テープを供給して、粘着テープを被覆する手段と、
被覆された前記粘着テープを巻き取る手段、
とを備えてなる、タブ端子テーピング装置。
【請求項5】
前記ピックアップドラム側面にガイド板が設けられてなり、そのガイド板と摺接するよう回転ブラシが設けられてなる、請求項4に記載のタブ端子テーピング装置。
【請求項6】
前記磁気パーツフィーダーが、左右平行な側壁で区画するタブ端子の移送通路に、この通路を横断する方向の磁界が加えられてなり、その通路の入口側よりも出口側の方が磁界が強くなるように磁界が加えられてなる、請求項4または5に記載のタブ端子テーピング装置。

【国際公開番号】WO2005/024867
【国際公開日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【発行日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−508755(P2005−508755)
【国際出願番号】PCT/JP2003/011101
【国際出願日】平成15年8月29日(2003.8.29)
【出願人】(392017004)湖北工業株式会社 (16)
【Fターム(参考)】