説明

タペンタドールおよび関連化合物の調製のための中間体化合物とプロセス

本発明は、3−[(1R,2R)−3−(ジメチルアミノ)−1−エチル−2−メチルプロピル]フェノール(タペンタドール)、その塩、および、その立体異性体および薬学的に許容される塩を含む式(A)の関連化合物の調製のプロセス、および、そのようなプロセスで使用される特定の中間物について開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3−[(1R,2R)−3−(ジメチル−アミノ)−1−エチル−2−メチルプロピル]フェノール塩酸塩(タペンタドール)および化学式(A)の関連化合物の調製プロセス、ならびに、そのプロセスにおいて形成される特定の中間体に関する。
【背景技術】
【0002】
疼痛管理市場は、治療を受けている痛みの重症度に応じてセグメント化されている。
・軽度疼痛(例えば頭痛)は、一般的に、アスピリンなどの店頭薬で治療する。
・中度疼痛(例えば関節炎)は、多くの場合、一般的に一般開業医からの処方箋を必要とする、コデインまたはヒドロコドンのような弱いオピオイドで治療する。
・重度疼痛(例えば癌の痛み、慢性腰痛)は、モルヒネ、オキシコドンやフェンタニルなどの強力なオピオイドで治療し、これはまた、多くの場合、専門家によって提供された処方箋を必要とする。
【0003】
オピオイドは、疼痛緩和のゴールドスタンダードであり続けるが、それらの欠点もよく認識されている:
・重要な副作用−例えば呼吸抑制、悪心、嘔吐、めまい、鎮静作用、便秘
・耐性−慢性患者はしばしばオピオイドに対する耐性を発現し、同時に副作用のレベルを上げる、効果的な痛みの緩和を達成するために強力な用量を必要とする;
・依存−依存症の懸念が、処方する臨床医に適切な用量よりも少なく処方するような影響を与える可能性があること;および
・乱用の可能性−悦楽のための利用。
【0004】
タペンタドール塩酸塩は、中度から重度の急性疼痛を軽減するための経口薬である。タペンタドールは、この活性成分は、オピオイドについて知られている副作用なしに痛みの顕著な阻害を生じさせるため、中枢作用性鎮痛薬の間で特別な位置を呈している。
【0005】
痛みの現在利用可能な薬理学的治療は、以下の鎮痛薬を含む:非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、シクロオキシゲナーゼII(COX−II)阻害剤、アセトアミノフェンおよびオピオイド。多数の利用可能な鎮痛薬にもかかわらず、60%〜80%の疼痛に悩まされている患者は、現在十分に治療されていない。タペンタドールは、患者の痛みが現在存在する薬剤によって、効果的に管理することができないという、これらの患者のギャップを埋める手助けとなる。
【0006】
タペンタドールは、オピオイド(麻薬)と非オピオイドの二通りに作用する。それは、一つの分子中に、μ−オピオイド受容体アゴニズムおよびノルエピネフリン再取り込み阻害の、2つの作用メカニズムを仮定したユニークな薬理学的プロファイルを有する。即時放出および徐放製剤の形態で開発されている。
【0007】
タペンタドール(1)の化学構造は、化合物(+21)として、EP−A−0693475号において開示されている。タペンタドールの合成は、実施例1および実施例24のステップ1〜3において記載され、以下に概説する(スキーム1):
【化1】

【0008】
上述のスキームにおける、タペンタドールの合成前駆体は、(2R,3R)−3−(3−メトキシ−フェニル)−N,N,2−トリメチルペンタナミン(7)であり、これは、(2S,3R)−1−(ジメチルアミノ)−3−(3−メトキシフェニル)−2−メチル−3−ペンタノール(5)の第三級ヒドロキシ基を、塩化チオニルによる対応するハロゲン化物(6)への連続する変換、ならびに水素化ホウ素亜鉛、シアノ水素化ホウ素亜鉛、および/またはシアノ水素化ホウ素スズで処理することによる続いてのClの除去、によって除去することで得ることができる。この手順は、ハロゲン化物を、積極的な塩素化剤である塩化チオニルの過剰量を使用して調製するという、欠点を有する。更に、水素化ホウ素亜鉛、シアノ水素化ホウ素亜鉛、シアノ水素化ホウ素スズなどの水素化試薬は、工業規模で使用する場合、相当な火災および健康上の危険性を呈する。主な欠点は、しかしながら、立体異性体の分離用カラムキラルクロマトグラフィーの使用である。
【0009】
国際公開第WO2004/108658号は、以下(スキーム2)に概説するように、(2S,3S)−1−(ジメチルアミノ)−3−(3−メトキシフェニル)−2−メチル−3−ペンテノール(9)を、(2R,3S)(7)および、(2R,3S)−3−(3−メトキシフェニル)−N,N,2−トリメチルペンタナミン(10)の混合物へ変換することによって、(2R,3R)−3−(3−メトキシ−フェニル)−N,N,2−トリメチルペンタナミン(1)を得るための代替的なプロセスを開示する。
【化2】

【0010】
得られた、(2R,3R)および(2R,3S)−3−(3−メトキシフェニル)−N,N,2−トリメチル−ペンタナミンの混合物を、次に、所望の(2R,3R)−3−(3−メトキシフェニル)−N,N,2−トリメチルペンタン−アミン(7)を得るために、その個々の立体異性体(7)および(10)に分離し、それは、次に、例えばEP−A−0693475に記載されているように、濃縮した臭化水素酸を用いて加熱することによって、タンペンタドールへ変換することができる。
【0011】
国際公開第WO2005/000788号は、以下に概説するように、(2S,3S)−1−(ジメチルアミノ)−3−(3−メトキシフェニル)−2−メチル−3−ペンタノールを、(2S,3R)および(2R,3S)−3−(3−メトキシフェニル)−N,N,2−トリメチルペンタナミンの混合物へ変換することによって、(2R,3S)−3−(3−メトキシ−フェニル)−N,N,2−トリメチルペンタナミンを得るための代替的な方法を開示する。
【化3】

【0012】
国際公開第WO2004/108658および国際公開第WO2005/000788号の両方のプロセスは、所望の(2R,3R)立体異性体を得るために分離しなければならない、[3−(3−メトキシフェニル)−N,N,2−トリメチルペンタナミンを、(2R,3R)および(2R,3S)立体異性体の混合物として得るという欠点を有する。所望ではない(2R,3S)立体異性体は、所望の(2R,3R)立体異性体へ変換することはできず、化学廃棄物として処分する必要があり、これは如何なる工業規模生産にとっても経済的に望ましくない。
【0013】
国際公開第WO2008/012047号は、更に、1−(3−メトキシフェニル)プロパン−1−オンから開始する、タペンタドールの別の調製方法(スキーム4)を開示する:
【化4】

【0014】
国際公開第WO2008/012283号は、国際公開第WO2008/012047号と同じ、タペンタドール調製方法を開示するが、いくつかの変更点;(2S,3R)−1−(ジメチルアミノ)−3−(3−メトキシフェニル)−2−メトキシペンタン−3−オールを、(R)−3−(3−メトキシフェニル)−N,N,2−トリメチルペント−3−エン−1−アミンへの変換が、塩化水素の代わりに無水トリフルオロ酢酸を使用して行われたという変更点を備える。
【0015】
上述したタペンタドールの調製方法の主な欠点は、異なるキラル剤およびキラルクロマトグラフィーを用いたエナンチオ選択的分離の必要性である。他の欠点は、グリニャール試薬の使用であり、その試薬は、特別な機器、追加の乾燥溶剤、不活性雰囲気および他の安全対策を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上記のプロセスは、商業的な実行可能性が低い、高度な反応条件および分離技術を含む。従って、費用対効果が良く、容易に入手可能な試薬を使用し、容易にスケール変更でき、工業的に実現可能である、光学的に活性な純粋形態で、タペンタドールを得るためのプロセスの開発のための、満たされていない必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、その立体異性体およびその薬学的に許容される塩を含む3−[(1R,2R)−3−(ジメチル−アミノ)−1−エチル−2−メチルプロピル]フェノール塩酸塩(タペンタドール)および化学式(A)の関連化合物の調製についてのプロセス、ならびにそのようなプロセスで使用される特定の中間体を開示する。本発明のプロセスは、従来技術のプロセスの欠点を含まず、そのプロセスにおいて、問題のエナンチオ選択的分離ステップを回避し、安全且つ安価である試薬およびステップのみを用い、容易に工業的スケールで実施可能である。一実施形態によると、本発明は、ステップ(a)、(b1)、(c1)、(d)および(e);または(a)、(b2)、(c2)、(d)および(e)を含む、化学式(A):
【化5】

または、その立体異性体、薬学的に許容可能な塩、またはそれらの組み合わせの化合物を調製するプロセスを提供する。
a)化学式(II)の化合物を得るための、1−(3−メトキシ−フェニル)−プロパン−1−オンおよび化学式(I)のホスホネート化合物の間の、ホーナー・ワズワース・エモンズ(HWE)反応ステップ:
【化6】

式中、各Rは、独立的に、任意に電子吸引基によって置換されたアルキルまたはアリールであり、好ましくは、Rは、2,2,2−トリフルオロエチル、フェニルまたはo−トリルであり、
R’は、(i)−NRであり、式中、RおよびRはそれぞれアルキルであり、(ii)−ORであり、式中Rはアルキル、アリール、またはアルキルアリール、であり、または(iii)アミノ基に変換され得る官能基であり、好ましくは、NMe基であり、且つ、
R’は、H、アルキル、アリール、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、アルキルアリール、またはシクロアルキルである。
b1)およびc1)化学式(III)の化合物:
【化7】

を得るために、化合物(II)を水素化し、R’がNMe以外である場合、任意に化学式(III)の化合物を化学式(IV)の化合物に変換するステップ:または、
【化8】

b2)およびc2)任意に、R’がNMe以外である場合、化学式(II)の化合物を化学式(V)の化合物に変換するステップ;および
【化9】

化学式(IV)の化合物を得るために、化合物(V)を水素化するステップ;
【化10】

d)ステップ(c1)または(c2)において得られた化学式(IV)の化合物を化学式(VI)の化合物へ還元するステップ:および
【化11】

e)化学式(VI)の化合物を、化学式(A)の化合物へ変換するステップ:
【化12】

【0018】
一実施形態において、プロセスは、ステップ(a)、(b1)、(c1)、(d)、および(e)を含む。他の実施形態において、プロセスは、ステップ(a)、(b2)、(c2)、(d)、および(e)を含む。いくつかの実施形態において、R’はNMe以外であり、且つ、ステップ(c1)および(b2)が実施される。他の実施形態において、しかしながら、R’はNMeであり、且つ、ステップ(c1)も(b2)も実施されない。それぞれの可能性は、本発明の別の実施形態を表している。
【0019】
一実施形態によると、R’はメチルであり、且つ、本発明のプロセスは、タペンタドール、もしくは、その立体異性体または薬学的に許容可能な塩を生成する。本実施形態によると、プロセスは、ステップ(a)、(b1)、(c1)、(d)、および(e)、または(a)、(b2)、(c2)、(d)、および(e)を含む:
a)化学式(II−a)の化合物を得るための、1−(3−メトキシ−フェニル)−プロパン−1−オンおよび化学式(I−a)のホスホネート化合物の間のホーナー・ワズワース・エモンズ(HWE)反応ステップ:
【化13】

式中、各Rは独立的に、任意に電子吸引基と置換されたアルキルまたはアリールであり、好ましくは、Rは、2,2,2−トリフルオロエチル、フェニル、またはo−トリルであり、且つ、
R’は、(i)−NRであり、式中RおよびRはそれぞれアルキルであり、(ii)−OR3であり、式中Rはアルキル、アリール、またはアルキルアリールであり、または(iii)アミン基へ変換し得る官能基であり、好ましくはNMe基である;
b1)およびc1)化学式(III−a)の化合物を得るために、化学式(II−a)の化合物を水素化するステップ:および
【化14】

任意に、式中R’はNMe以外である場合、化学式(III−a)の化合物を化学式(IV−a)の化合物へ変換するステップ:または
【化15】

b2)およびc2)任意に、式中R’はNMe以外である場合、化学式(II−a)の化合物を、化学式(V−a)の化合物へ変換するステップ:および
【化16】

化学式(IV−a)の化合物を得るために、化合物(V−a)を水素化するステップ:
【化17】

d)ステップ(c1)または(c2)によって得られた化学式(IV−a)の化合物を、化学式(VI−a)の3−(3−メトキシフェニル)−N,N,2−トリメチルペンタン−1−アミンへ還元するステップ:および
【化18】

e)3−(3−メトキシフェニル)−N,N,2−トリメチルペンタン−1−アミンを3−[3−(ジメチルアミノ)−1−エチル−2−メチルプロピル]フェノールまたはその立体異性体へ変換するステップ:
【化19】

【0020】
一つの現在好ましい実施形態において、本プロセスの生成物は、タペンタドール(即ち、3−[(1R,2R)−3−(ジメチルアミノ)−1−エチル−2−メチルプロピル]フェノール)である。いくつかの実施形態において、タペンタドールを調製するためのプロセスは、ステップ(a)、(b1)、(c1)、(d)および(e)を含む。別の実施形態において、タペンタドールを調製するためのプロセスは、ステップ(a)、(b2)、(c2)、(d)および(e)を含む。いくつかの実施形態において、R’はNMe以外であり、且つ、ステップ(c1)および(b2)を実施する。いくつかの実施形態において、R’はNMeであり、且つ、ステップ(c1)も(b2)も実施しない。それぞれの可能性は、本発明の別の実施形態を表している。
【0021】
特定の実施形態において、本発明のプロセスのステップ(a)は、少なくとも一つの添加剤存在下において実施されるホーナー・ワズワース・エモンズ(HWE)反応を含む。特定の実施形態において、添加剤は、金属のトリフルオロ酢酸塩またはトリフルオロメタンスルホン酸塩であり、例えば、トリフルオロメタンスルホン酸塩添加剤は、Sn(OSOCFであり得る。追加の実施形態において、添加剤は、アミンと組み合わせて使用され、好ましくは、N−エチルピペリジンなどの三級アミンと組み合わせて使用される。追加の実施形態において、添加剤は、無機および有機塩基から選択される。無機塩基の非限定的な例は、アルカリ金属、水素化アルカリ土類金属、およびアルコラートを含む。それぞれの可能性は、本発明の別の実施形態を表している。特定の実施形態において、水素化アルカリ金属は水素化ナトリウムである。有機塩基の非限定的な例は、DNU、DBNおよびジイソプロピルエチルアミンを含む三級アミンである。本発明の原理によれば、有機塩基は、例えば、塩化リチウムまたは臭化リチウムなどの、アルカリ金属またはアルカリ土類金属ハロゲン化物と組み合わせて使用され得る。
【0022】
ステップ(a)の生成物、即ち、化学式(II)または(II−a)の化合物は、Z−異性体、E−異性体、またはそれらの任意の混合物の形態で得られ得る。それぞれの可能性は、本発明の別の実施形態を表す。
【0023】
様々な実施形態において、化学式(III)の化合物を得るための、化学式(II)の化合物の水素化のステップ(ステップb1)、または、化学式(IV)の化合物を得るための、対応するジメチルアミド誘導体(V)の水素化のステップ(ステップc2)は、有機溶媒中で、水素雰囲気下、溶媒存在下で実行される。特定の実施形態において、触媒は、銅、亜鉛、ニッケル、ルテニウム、パラジウム、白金、ロジウム、およびそれらの酸化物から成る群から選択される。それぞれの可能性は、本発明の別の実施形態を表す。追加の実施形態において、触媒は担体(例えば、固体および液体の担体)と組み合わせて使用され、担体は、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、チタニア、珪藻土、カオリン、活性炭、カーボン、グラファイト、ゼオライト、モンモリロナイトなど、粘度、およびアルカリ土類金属ケイ酸塩を含む。それぞれの可能性は、本発明の別の実施形態を表す。いくつかの実施形態において、触媒はラネーニッケルである。別の実施形態において、触媒は、Pd/Cである。
【0024】
いくつかの実施形態において、化学式(III)の化合物を得るための、化学式(II)の化合物の水素化のステップ(ステップb1)、または、化学式(IV)の化合物を得るための、対応するジメチルアミド誘導体(V)の水素化のステップ(ステップc2)は、約200barまでの水素圧で、好ましくは、約1〜約200barの水素圧で実行される。また、水素化は、約5〜約40barの水素圧で実行される。別の代替的な水素化は、約50〜約100barの水素圧で実行される。
【0025】
特定の実施形態において、水素化のステップは、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、白金、チタン、ジルコニウムおよびパラジウムを含む遷移金属の錯体から成る群から選択される触媒の使用を含む。それぞれの可能性は、本発明の別の実施形態を表す。いくつかの実施形態において、触媒は、キラルリン配位子などのキラル配位子に結合するか、または会合している。
【0026】
本発明の原理によると、水素化の生成物(即ち、ステップ(b1)または(c2)の生成物)は、光学活性な形態、好ましくはトレオ異性体の形態で得られ得る。他の実施形態において、水素化の生成物は、ラセミ混合物として得られる。他の実施形態において、生成物は、異なるジアステレオマー混合物、例えば、任意の比率での(R,R)、(R,S)、(S,R)、または(S,S)異性体として得られ得る。それぞれの可能性は、本発明の別の実施形態を表す。
【0027】
別の実施形態において、アミドの3−(3−メトキシフェニル)−N,N,2−トリメチルペンタン−1−アミンへの還元(ステップd)は、還元剤を用いて実行される。いくつかの実施形態において、還元剤は、ボラン、およびそのジメチルスルフィド、ピリジン、トリエチルアミン等との錯体;三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、アルミニウム‐、チタン‐、もしくはコバルト‐塩化物などのルイス酸の存在下での、またはトリメチルクロロシランもしくはオキシ塩化リンの存在下での、水素化ホウ素リチウムおよびナトリウム;またはAlHおよびそのアミンとの錯体、LiAlH、ナトリウムビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムヒドリド(Red−Al)、ならびに水素化ジイソブチルアルミニウムなどの水素化アルミニウムから成る群から選択される。それぞれの可能性は、本発明の別の実施形態を表す。特定の実施形態において、還元剤は、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体の存在下での水素化ホウ素ナトリウムである。
【0028】
本発明のプロセスは、更に、化学式(A)の化合物または、化学式(VI)のその前駆体を、その薬学的に許容される塩へ変換するステップを含む。例えば、化学式(A)の化合物がタペンタドールの場合、そのプロセスはタペンタドールまたは化学式(VI−a)のその前駆体を、その薬学的に許容可能な塩、好ましくは塩酸塩へ変換するステップを含む。
【0029】
本発明は、更に、上述のプロセスで生成される、特定の中間体に関する。第1の態様によると、本発明は、化学式I−aの構造によって表されるホスホネート化合物を提供し、
【化20】

式中、各Rは独立的に、任意に電子吸引基と置換したアルキル、またはアリールであり、好ましくは、式中、Rは2,2,2−トリフルオロエチル、フェニル、またはo−トリルであり、且つ、R’はN(CHである。
【0030】
一実施形態において、化学式(I−a)で表されるホスホネート化合物は、タペンタドールのような、しかしそれに限定されない、炭素−炭素二重結合を備えた化合物の調製のために使用される。
【0031】
第2の態様によると、本発明は、化学式(II)の構造で表される化合物を提供し:
【化21】

式中、R’は、−NRであり、式中、RおよびRはそれぞれ、アルキルであり、好ましくは、RおよびRがそれぞれメチルであり、且つ、R’がアルキル、アリール、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、アルキルアリール、またはシクロアルキルであり、好ましくは、R’がメチルである。一実施形態において、RおよびRおよびR’は、それぞれメチルである。
【0032】
一実施形態において、この化合物は、Z異性体として存在する。別の実施形態において、この化合物は、ZおよびE異性体の混合物として存在する。一つの現在好ましい実施形態において、化合物(II)中のR’は、メチルである。別の現在好ましい実施形態において、化学式(II)中のR’は、N(CHである。それぞれの可能性は、本発明の別の実施形態を表す。
【0033】
第3の態様によると、本発明は、化学式(III)の構造によって表される化合物、または、その立体異性体を提供する。いくつかの実施形態において、この化合物は、光学的に活性な形態、好ましくは、トレオ異性体として存在する:
【化22】

式中、R’は、(i)−NRであり、式中、RおよびRはそれぞれ、アルキルであり、好ましくは、式中RおよびRはそれぞれメチルであり、(ii)−ORであり、式中、Rはアルキル、アリール、またはアルキルアリールであり、または(iii)アミン基へ変換可能な官能基であり、好ましくはNMeであり、且つ、
R’は、アルキル、アリール、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、アルキルアリール、またはシクロアルキルであり、好ましくは、式中R’はメチルである。
【0034】
いくつかの実施形態において、この化合物は、ラセミ混合物として存在する。一つの現在好ましい実施形態において、化合物(III)中のR’は、メチルである。他の現在好ましい実施形態において、化学式(III)中のRは、N(CHである。それぞれの可能性は、本発明の別の実施形態を表す。
【0035】
本発明の更なる実施形態および適用可能性の全範囲は、本明細書中にこの後詳細に記載した内容から、明確になるであろう。しかしながら、詳細な記載および特定の実施例は、本発明の好ましい実施形態を示しているが、本発明の精神および範囲内で、様々な変更および修正が、この詳細な説明から当業者に明らかになるであろうから、例示の目的によってのみ成されるものであることを理解すべきである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本明細書中に企図されているように、本出願者らは新規のプロセスを発見し、それによってタペンタドールおよび化学式(A)の類似化合物を、いくつかのステップで、化学式(II)の化合物から、工業規模で調製し得る。プロセスは、化学式(A)の化合物の調製についての以下のスキーム5〜7において、または、タペンタドールおよびその立体異性体の調製についての以下のスキーム8〜10において示されるように、ステップ(a)、(b1)、(c1)、(d)および(e)、または、(a)、(b2)、(c2)、(d)、および(e)を含む(ここで、ステップ(c1)および(b2)は任意)。そのプロセスは、ラセミ生成物、または、例えば、エナンチオマーまたはジアステレオマーリッチまたはピュアなどのような、光学的に活性な生成物をもたらし得る。
【0037】
一般に、化学式(A)の調製のためのプロセスは、以下のステップを含み:
a)化学式(II)の化合物を得るための、1−(3−メトキシ−フェニル)−プロパン−1−オンおよび化学式(I)のホスホネート化合物の間のホーナー・ワズワース・エモンズ(HWE)反応ステップ;
b1)およびc1)化学式(III)の化合物を得るために、化合物(II)を水素化するステップであって、任意に、R’がNMe以外の場合、化学式(III)の化合物を化学式(IV)に変換するステップ;または
b2)およびc2)任意に、R’がNMe以外の場合、化学式(II)の化合物を化学式(V)の化合物へ変換し、化合物(V)を化学式(IV)の化合物を得るために水素化するステップ;
d)ステップ(c1)および(c2)で得られた化学式(IV)の化合物を、化学式(VI)の化合物へ還元するステップ;および
e)化学式(VI)の化合物を、化学式(A)の化合物へ変換するステップ。
【0038】
一実施形態において、そのプロセスは、以下のスキーム5において示されているように、ステップ(a)、(b1)、(c1)、(d)および(e)を含む。
【化23】

別の実施形態において、プロセスは、以下のスキーム6において示されるように、ステップ(a)、(b2)、(c2)、(d)および(e)を含む。
【化24】

【0039】
いくつかの実施形態において、R’はNMe以外であり、且つ、ステップ(c1)および(b2)を実行する。他の実施形態において、しかしながら、R’はNMeであり、且つステップ(c1)も(b2)も実行しない。これらの実施例に従って、本発明のプロセスは、ステップ(a)、(b1)、(d)、および(e)、または、(a)、(c2)、(d)および(e)を含む(スキーム7):
【化25】

別の態様によると、R”はメチルである。一つの特定の実施形態において、本反応の生成物は、3−[(1R,2R)−3−(ジメチルアミノ)−1−エチル−2−メチルプロピル]フェノール(タペンタドール)であるか、または、その立体異性体または薬学的に許容可能な塩である。一実施形態において、タペンタドールまたはその立体異性体の調製プロセスは、以下のスキーム8に示されているように、ステップ(a)、(b1)、(c1)、(d)および(e)を含む。
【化26】

別の実施形態において、タペンタドールまたはその立体異性体の調製プロセスは、以下のスキーム9に示されるように、ステップ(a)、(b2)、(c2)、(d)、および(e)を含む。
【化27】

いくつかの実施形態において、R’はNMe以外であり、且つ、ステップ(c1)および(b2)を実行する。他の実施形態において、しかしながら、R’はNMeであり、且つ、ステップ(c1)も(b2)も実行しない。これらの実施形態に従って、本発明のプロセスは、ステップ(a)、(b1)、(d)および(e)または、(a)、(c2)、(d)、および(e)を含む(スキーム10):
【化28】

【0040】
それぞれの可能性は、本発明の別の実施形態を表す。前述のプロセスは、タペンタドールなどの光学的に活性な化合物と同様に、ラセミ化合物を調製するために使用され得ることは、理解されている。
【0041】
一実施形態において、本発明のプロセスは、光学的に活性な形状での、化学式(A)の化合物を調製するために、使用され得る:
【化29】

【0042】
別の実施形態において、本発明のプロセスは、光学的に活性な形態のタペンタドールを調製するために使用され得る。そのプロセスは、以下のステップを含む:
a)化学式(II−a)の化合物を得るための、1−(3−メトキシ−フェニル)−プロパン−1−オンおよび化学式(I−a)のホスホネート化合物の間のホーナー・ワズワース・エモンズ(HWE)反応ステップ:
【化30】

式中、RおよびR’は上述に定義する通りであり、
b1)およびc1)化学式(III−a)の化合物を得るために、キラル触媒存在下において、化学式(II−a)の化合物を水素化するステップ:および
【化31】

任意に、式中R’はNMe以外である場合、化学式(III−a)の化合物を、化学式(IV−a)の化合物へ変換するステップ:または
【化32】

b2)およびc2)任意に、R’はNMe以外である場合、化学式(II−a)の化合物を化学式(V−a)の化合物へ変換するステップ:および
【化33】

化学式(IV−a)の化合物を得るために、キラル触媒の存在下で、化学式(V−a)の化合物を水素化するステップ:
【化34】

d)ステップ(c1)または(c2)によって得られた化学式(IV−a)の化合物を、化学式(VI−a)の(1R,2R)−3−(3−メトキシフェニル)−N,N,2−トリメチルペンタン−1−アミンへ還元するステップ:および
【化35】

e)(1R,2R)−3−(3−メトキシフェニル)−N,N,2−トリメチルペンタン−1−アミンを、3−[(1R,2R)−3−(ジメチルアミノ)−1−エチル−2−メチルプロピル]フェノール(タペンタドール)へ変換するステップ
【化36】

【0043】
そのプロセスは、更に、化学式(A)の化合物または化学式(VI)のその前駆体を、その薬学的に許容可能な塩へ変換するステップを含む。例えば、化学式(A)の化合物がタペンタドールである場合、そのプロセスは、タペンタドールまたは化学式(VI−a)のその前駆体を、その薬学的に許容可能な塩へ、好ましくは、塩酸塩へ変換するステップを含み得る。
【0044】
本発明は、更に、上述したプロセスにおいて生成された特定の中間体に関する。第1の態様によると、本発明は、化学式I−aの構造によって表されるホスホネート化合物を提供し:
【化37】

式中、各Rは、独立的に、任意に電子吸引基に置換されたアルキルまたはアリールであり、好ましくは、式中、Rは2,2,2−トリフルオロエチル、フェニル、またはo−トリルであり、且つ、R’は、N(CHである。
【0045】
一実施形態において、化学式(I−a)の構造によって表されるホスホネート化合物は、タペンタドールなどの、しかしそれには限定されない、炭素−炭素の二重結合を含む化合物の調製に使用される。
【0046】
第2の態様によると、本発明は、化学式(II)の構造によって表される化合物を提供する:
【化38】

式中、R’は、NRであり、式中、RおよびRはそれぞれアルキルであり、好ましくは、式中、RおよびRはそれぞれメチルであり、且つ、R”は、アルキル、アリール、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、アルキルアリール、またはシクロアルキルであり、好ましくは、式中R”は、メチルである。好ましくは、R、RおよびR”のそれぞれはメチルである。
【0047】
一実施形態において、この化合物は、Z異性体として存在する。他の実施形態において、この化合物は、ZおよびE異性体の混合物として存在する。一実施形態において、化合物(II)中のR”はメチルであり、化合物は、化学式(II−a)の構造によって表される:
【化39】

それぞれの可能性は、本発明の別の実施形態を表す。
【0048】
第3の態様によると、本発明は、化学式(III)の構造によって表される化合物、またはその立体異性体を提供する。いくつかの実施形態において、この化合物は、光学的に活性な形態で、好ましくは、トレオ異性体として存在する。いくつかの実施形態において、この化合物は、ラセミ混合物として存在する。それぞれの可能性は、本発明の別の実施形態を表す。
【化40】

式中、R’は(i)−NRであり、式中、RおよびRはそれぞれ、アルキルであり、好ましくは、式中RおよびRはそれぞれメチルであり、(ii)−ORであり、式中Rはアルキル、アリール、またはアルキルアリールであり、または(iii)アミン基へ変換され得る官能基であり、好ましくはNMe基であり、且つ、
R”はアルキル、アリール、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、アルキルアリール、またはシクロアルキルであり、好ましくは、式中、R”はメチルである。
【0049】
第4の態様によると、本発明は、化学式(IV)の構造で表されるアミド化合物またはその立体異性体を提供する。いくつかの実施形態において、この化合物は、光学的に活性な形態で、好ましくはトレオ異性体として存在する:
【化41】

式中、R”は、アルキル、アリール、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、アルキルアリール、またはシクロアルキルであり、好ましくは、式中R”は、メチルである。
【0050】
他の実施形態において、この化合物はラセミ混合物として存在する。
【0051】
一実施形態において、化合物(IV)中のR”はメチルであり、且つ、化合物は化学式(IV−a)の構造によって表されるか、その立体異性体であり、好ましくはトレオ異性体である。
【化42】

【0052】
第5の態様によると、本発明は、化学式(V)の構造で表されるアミド化合物を提供する:
【化43】

式中、R”はアルキル、アリール、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、アルキルアリール、またはシクロアルキルであり、好ましくは、式中R”はメチルである。
【0053】
一実施形態において、この化合物はZ異性体として存在する。別の実施形態において、この化合物は、ZおよびE異性体の混合物として存在する。
【0054】
一実施形態において、化合物(V)のR”はメチルであり、且つ、化合物は化学式(V−a)の構造によって表される:
【化44】

【0055】
化学的定義
「アルキル」基は、直鎖、分岐鎖および環状アルキル基(シクロアルキル)を含む任意の飽和脂肪族炭化水素を指す。一実施形態において、アルキル基は、C〜C12アルキルとしてここで指定された1〜12の炭素を有する。別の実施形態において、アルキル基は、C〜Cアルキルとしてここで指定された1〜6の炭素を有する。別の実施形態において、アルキル基は、C〜Cアルキルとしてここで指定された1〜4の炭素を有する。アルキル基は、非置換か、または、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ カルボニル、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシル、チオおよびチオアルキルから選択された一つ以上の基によって置換され得る。「ヘテロアルキル」は、S、O、Nなどの一つ以上のヘテロ原子を含む、アルキル基である。
【0056】
「シクロアルキル」基は、非芳香族の単環または多環式環系を指す。一実施形態において、シクロアルキル基は、3〜10個の炭素原子を有する。別の実施形態において、シクロアルキル基は、5〜10個の炭素原子を有する。単環式シクロアルキル基の非限定的な例は、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどを含む。アルキルシクロアルキルは、本明細書において定義されるシクロアルキル基へ結合する本明細書において定義されるアルキル基である。シクロアルキル基は、非置換か、または上記でアルキルに対して定義された一つ以上の置換基で置換され得る。
【0057】
「アリール」基は、6〜14の環炭素原子を含む、芳香族環系を指す。アリール環は、単環、二環、三環などであり得る。アリール基の非限定的な例は、1−ナフチル、および2−ナフチルなどを含む、フェニル、ナフチルである。「アルキルアリール」基は、本明細書中で定義されるアリール基へ結合した本明細書中で定義されるアルキル基である。アリール基は非置換か、または、利用可能な炭素原子を介して、本明細書中の上記でアルキルに対して定義された一つ以上の基で置換され得る。
【0058】
「ヘテロアリール」基は、原子が、窒素、硫黄、および酸素から選択される、少なくとも一つのヘテロ原子環を含む、ヘテロ芳香族系を指す。ヘテロアリールは、5つ以上の環原子を含む。ヘテロアリール基は、単環、二環、三環などであり得る。また、ベンゾヘテロ環もこの定義に含む。ヘテロアリールの非限定的な例は、チエニル、ベンゾチエニル、1−ナフトチエニル、チアントレニル、フリル、ベンゾフリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、プリニル、イソキノリル、キノリル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、プテリジニル、カルボリニル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリルなどを含む。ヘテロアリール基は、非置換か、または、利用可能な原子を介して、本明細書の上記でアルキルに対して定義された一つ以上の基で置換され得る。
【0059】
本明細書において使用される、用語「電子吸引基」は、隣接する原子からの価電子を引き付ける置換基、即ち、隣接原子に関して電気陰性である置換基を指す。電子吸引基の非限定的な例は、ニトロ、アシル、ホルミル、スルホニル、トリフルオロメチル、シアノ、ハロなどを含む。いくつかの実施形態において、電子吸引基は、2,2,2−トリフルオロエチルである。
【0060】
本明細書で使用されるように、用語「アミン基へ変換され得る官能基」は、以下のような離脱基を含むが、それに限定されない:
(i)ハロゲン(F,Cl,Br,I)、より好ましくはCl
(ii)−OR基、式中Rは、C1〜C6直鎖または分岐鎖アルキル、C〜C10アリール、または、C〜C12アルキルアリールである。好ましくは、Rは、C〜C直鎖または分岐鎖アルキル、フェニルまたはベンジルである。より好ましくは、Rはメチルまたはエチルである。
(ii)N
(iii)イミダゾリル
(iv)−OR、式中Rは、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、N−ヒドロキシマレイミド、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸イミド、N−ヒドロキシフタルイミド、N−ヒドロキシスクシンイミド、N−ヒドロキシスルホスクシンイミドナトリウム塩、2−、3−、または4−ニトロフェノール、ペンタフルオロフェノール、2,4,5−トリクロロフェノール、エトキシアセチレンなどから誘導される。
(v)−OR、式中Rは、アシル、ジアルキル、もしくはジアリールホスフェート、またはリン含有酸のその他の誘導体、ホウ素含有誘導体等、または、
(vi)−OR、式中Rは、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、1−エチル−3−(3’−ジメチルアミノ)カルボジイミド塩酸塩(EDCまたはWSC)などのような、カルボジイミドから誘導される、イソ尿素である。
(vii)−SR、式中Rは、2−メルカプトピリジン、2−チアゾリン−2−チオールなどから誘導される。
(viii)4−(4,6−ジメトキシ−(1,3,5)−トリアジン−2−イル)−4−メチル−モルホリニウムクロリド(DMTMM)などの塩化もしくはフッ化シアヌル誘導体;N−エチル−5−ゲニルイソオキサゾリウム−3’−スルホネート、N−エチルベンズイソオキサゾールテトラフルオロホウ酸塩などのイソオキサゾリウム塩;2−ブロモ−3−エチル−4−メチルチアゾリウムテトラフルオロホウ酸塩(BEMT)などの、向山試薬−2−クロロ−1−メチルピリジニウムヨウ化物など。
【0061】
それぞれの可能性は、本発明の別の実施形態を表す。
【0062】
本明細書中で使用されるように、用語「異性体」は、立体異性体および立体配座形態のみならず、全ての可能性のある幾何異性体を含み、同じ結合の配列によって結合した同じ原子から成っているが、互換性の無い、異なる三次元構造を有する。立体異性体は、ジアステレオマー、エナンチオマー、および/または、前述の化合物の基本的な分子構造の配座異性体を含む。より特定的には、立体中心(キラル中心とも呼ばれる)は、RまたはSまたはR、Sまたはd、D、l、L、またはd、l、D、Lとして指定される。更に、本発明の幾つかの化合物は、一つ以上の二重結合を含む。本発明は、シス、トランス、EおよびZ異性体を含む全ての構造的および幾何的異性体を包含し、独立してそれぞれ発生する。上述の特性の任意の組み合わせもまた、企図される。
【0063】
用語「ジアステレオマー」は、同一の化学構造と、複数の立体中心を含む分子に適用され、これらの立体中心の内の一つ以上で、構成が異なる。ジアステレオマーは、syn−構成またはanti−構成を有し得る。
【0064】
用語「エナンチオマー」は、同一の化学構造と、一つ以上の立体中心を含む分子に適用され、一つのエナンチオマーの各立体中心は、他のエナンチオマーの対応する立体中心と異なっている。
【0065】
本発明の化合物の全ての立体異性体が企図されており、混合物またはピュアもしくは実質的にピュアな形態のいずれかである。本発明の化合物は、任意の原子において、不斉中心を有し得る。その結果、化合物は、エナンチオマーまたはジアステレオマーの形態、またはその混合物の形態で存在し得る。本発明は、任意のラセミ体(即ち、各エナンチオマーを等しい量含む混合物)、エナンチオマーリッチな混合物(即ち、一つのエナンチオマーがリッチな混合物)、ジアステレオマーリッチな混合物(即ち、一つのジアステレオマーがリッチな混合物)、ピュアなエナンチオマーまたはジアステレオマー、またはそれらの任意の混合物の使用を企図している。
【0066】
ピュアな立体異性体の形状は、実質的に、前述の化合物または出発材料の、他のエナンチオマー形態の同じ基本的分子構造も、ジアステレオマー形態の同じ基本的分子構造も無い、異性体を指す。適切には、用語「立体異性的にピュアまたはリッチな」化合物は、少なくとも約50%の立体異性体過剰度(即ち、一つの異性体が最小約75%および、他の可能性のある異性体が最大約25%)から約100%までの立体異性体過剰度を有する(即ち、一つの異性体が約100%であり、他の異性体が無い)化合物を指し、好ましくは、約75%〜約100%の立体異性体過剰度を有する化合物、より好ましくは、約90%〜約100%の立体異性体過剰度を有する化合物、更により好ましくは、約94%〜約100%の立体異性体過剰度を有する化合物、最も好ましくは、約97%〜約100%の立体異性体過剰度を有する化合物を指す。用語「エナンチオマー的にリッチまたはピュア」および「ジアステレオマー的にリッチまたはピュア」は、同様に定義されるが、それぞれ件の混合物の、エナンチオマーまたはジアステレオマー的に過剰であることを指す。
【0067】
本発明のプロセスは、タペンタドールの調製に適用される場合、スキーム11および12に記載された非限定的な実施形態において例示される。本発明のプロセスは、本明細書において説明したとおり、化学式(A)の他の化合物および関連する化合物を調製するために、更に備えられ、使用され得ることは明らかである。
【化45】

【化46】

【0068】
プロセスは、以下のステップを含み:
a)1−(3−メトキシ−フェニル)−プロパン−1−オン(11)およびホスホネート(15)の間のホーナー・ワズワース・エモンズ(HWE)反応を介した、化学式(16)のタペンタドール中間体の調製プロセスであって、式中Rはアルキルまたはアリールであり、好ましくは、2,2,2−トリフルオロエチル、フェニル、またはo−トリルのような電子吸引基を含み、且つ、R’は、(i)−NRであり、式中RおよびRはそれぞれアルキルであるか、(ii)−ORであり、式中Rはアルキル、アリール、またはアルキルアリールであるか、または、(iii)アミン基へ変換可能な官能基であり、好ましくはNMe基である。
【0069】
一実施形態において、R’はORであり、式中、Rはアミンの活性により取り除かれ得、例えば、Rは直鎖または分岐鎖アルキル、アリール、およびアルキルアリールである。他の実施形態において、Rは、C〜C直鎖または分岐鎖アルキル、フェニル、またはベンジルである。一つの現在好ましい実施形態において、Rはメチルまたはエチルである。式中、R’がO−Alk(即ち、O−アルキル)である化学式(16)の化合物は、好ましくはこのステップで使用される。他の現在好ましい実施形態は、R’がNRである場合、RおよびRのそれぞれがメチル(CH、Me)、即ち、R’=N(CH、即ちNMeである)。
【0070】
R’がNMe以外の場合、(16)のエステル基は、誘導体(17)のジメチルアミド基へ変換される。R’がNMeの場合、そのようなステップは実行されず、化合物(17)は、直接的に反応(11)および(15)から得られる。それぞれの可能性は、本発明の別の実施形態を表す。
【0071】
b)およびc)オレフィン(16)または(17)は、次に、有機金属触媒を用いて水素化される。好ましくは、反応は、立体選択的反応であり、その結果、光学的に活性な(18)または(19)が得られる。しかしながら、ラセミ生成物が得られる非立体選択的反応もまた、企図されている。代替的に、オレフィン(16)は、エステル(18)へ水素化され得、且つ、その後、アミド(19)へ変換されるか、または、オレフィン(16)は、アミド(19)へ次に水素化されるアミド(17)へ変換され得る。従って、プロセスは、水素化の後に、アミド化(ステップ(b1)および(c1))または、アミド化の後に水素化(ステップ(b2)および(c2))、または、R’がNMeの場合(この場合、任意のステップ(b2)および(c1)は実行されない)水素化のみを含み得る。それぞれの可能性は、本発明の別の実施形態を表す。
d)次のステップは、(19)のアミド基のアミン(7)への還元を含む。
e)最後に、プロセスは、(7)におけるフェニル基の、所望の化合物(1)への脱保護のステップを含む。
【0072】
これらのステップもそれぞれ、および任意の組み合わせで、そのようなステップから得られた化合物と同様に、本発明の一部であると考えられる。このプロセスは、以下のディスカッションと実施例において、より詳細に説明する。当業者にとっては、その記載が非限定的であることは明らかであり、且つ、様々な変化形がなされ、別の実施形態が実施され得るということは、当業者にとって明らかである。
【0073】
ステップ(a)
化合物(11)、それはここで原材料として使用され、利用可能な試薬であり、例えば国際公開第WO2007/044796A2号公報に記載されている公知の方法によって製造され得、その内容は参照により本明細書中に組み込まれる。
【0074】
ホスホネート(15)は、ミカエリス−アルブーゾフ反応[Bhattacharya,A.K.;Thyagarajan,G.Chem.Rev.1981,81,415−430]、ミカエリス−ベッカー反応[Worms,K.H.;Schmidt−Dunker,M.In Organic Phosphorus Compounds;Kosolapoff,G.M.and Maier,L.Ed.;Wiley:New York,1976,Vol.7,pp.27−28;Muller,E.(ed.)Methoden der Organishen Chemie (Houben−Weyl);George Theime Verlag: Stuttgart,1964,Vol 12/1,p.446]、アルキルホスホネートアニオンのアシル化[Organic Syntheses,Coll.Vol.9,p.88(1998);Vol.73,p.152(1996)]または、ホスホン酸エステル交換[Still,W.C.;Gennari,C.Tetrahedron Lett.1983,24,4405−4408;Bodnarchuk,N.D.;Malovik,V.V.;Derkach,G.I.Zh.Obshch.Khim.1970,40,1210]によって調製され得る。ホスホネート(15)の調製のいくつかの例は、実験部分に示されている。前述の参考文献の内容は、その全体が参照によって本明細書中に組み込まれる。
【0075】
化合物(16)および(17)(または、より一般的には、化合物(II)、(II−a)、(V)または(V−a))は、四置換オレフィンを表し、4つの異なる炭素架橋基を有する。このような化合物の効率的な位置選択および立体選択的合成は、有機合成における特定の課題を提示する。現在、四置換オレフィンへの最も頻繁に使用されるルートは、別の一般的な手法は、既存のオレフィンの変換である一方[A.B.Flynn and W.W.Ogilvie.Stereocontrolled Synthesis of Tetrasubstituted Olefins.Chem.Rev.2007,107,4698−4745]、異なる種類のアルキニルカルボメタレーションストラテジを採用する。オレフィンメタセシス、ラジカルシーケンス、およびイノラート化学などのストラテジは、四置換オレフィンを形成するための実行可能な技術となりつつある[Mitsuru Shindo, Seiji Mori. Torquoselective Olefination of Carbonyl Compounds with Ynolates: Highly Efficient Stereoselective Synthesis of Tetrasubstituted Alkenes. [SYNLET, 2008, No. 15, pp 2231−2243]。前述の参考文献の内容は、その全体が参照によって本明細書中に組み込まれる。任意のこれらの方法が、本発明のプロセスにおいて、アルケン化合物の調製のために使用され得る。
【0076】
他の古典的な二重結合形成方法は、ウィッティヒおよびホーナー・ワズワース・エモンズ(HWE)反応であり、その内のHWEは、本出願において記載される方法について現在好まれている。すぐれた選択性を有する四置換アルケンの都合の良い調製に基づく、金属トリフルオロメタンスルホン酸塩と三級アミンを用いることによる、メチルビス(2,2,2−トリフルオロエチル)−ホスホノ酢酸またはエチル2−フルオロ−2−ジエチルホスホノ酢酸とアリールアルキルケトンとの反応に基づく、いくつかの有望な方法が存在する[Sano S., Yokoyama K., Fukushima M., Yagi T., Nagao Y., Chem. Commun., 559−560 (1997); Sano S., Ando T., Yokoyama K., Nagao Y., Synlett, 777−779 (1998); Sano S., Yokoyama K., Teranishi R., Shiro M., Nagao Y., Tetrahedron Lett., 43, 281−284 (2002); Sano S., Yokoyama K., Shiro M., Nagao Y., Chem. Pharm. Bull., 50, 706−709 (2002)]。前述の参考文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0077】
これらの方法、および特にHWE反応は、本発明の方法に適用することができる。しかしながら、当業者には、他の方法が、化学式(16)および(17)の化合物、または、より一般的には、化学式(II)、(II−a)、(V)、および(V−a)の化合物の生成のために使用し得ることは明らかである。
【0078】
一実施形態において、本発明は、化学式(16)のタペンタドール中間体、もしくは、より一般的には、化学式(II)または(II−a)の化合物、または、それらのアミド誘導体(V)および(V−a)を、添加剤の存在下で1−(3−メトキシ−フェニル)−プロパン−1−オン(11)およびホスホネートを反応させることによって、調製するための方法に関する。添加剤の非限定的な例は、アミン、好ましくは、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、ピリジン、ルチジン、およびピコリンなどの第三級アミン、好ましくは、N−エチルピペリジン、と共にまたは組み合わせた、金属トリフルオロアセテート、または、例えばLa(OTf)、Y(OTf)、Yb(OTf)、Sc(OTf)、Hf(OTf)、Ga(OTf)、好ましくは、セリウムトリフレートであるランタノイドトリフレート、もしくはAl(OTf)、Ti(OTf)、Zn(OTf)、Fe(OTf)、好ましくは、Sn(OSOCF、などのトリフルオロメタンスルホネート(トリフレート)である。
【0079】
他の添加剤は、無機および有機塩基であり、これらに限定されないが、アルカリ金属およびアルカリ土類金属水素化物、ならびにアルコラート、例えば、水素化カリウム、水素化ナトリウム、水素化カルシウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシドなど、カリウムビス(トリメチルシリル)アミドなどのアルカリ金属アミド;例えば塩化リチウムまたは臭化リチウムなどのアルカリまたはアルカリ土類金属ハロゲン化物のような塩と共にまたはその存在下におけるDNU、DBN、ジイソプロピルエチルアミンのような第三級アミンである。現在好ましい塩基は、水素化ナトリウムである。
【0080】
好ましくは、Sn(OSOCFおよびアミンの存在下における反応は、例えば還流温度のような、約−10℃〜約80℃の温度で実施される。反応は、任意の好ましい溶媒内で実施され、その溶媒は、例えば、C〜C14芳香族炭化水素、C〜Cエステル、C〜Cエーテル、DMFなどのC〜Cカルボン酸アミド、ハロゲン化炭化水素、または任意の比率におけるこれらの溶媒の適切な混合物から成る群より選択され得る。現在好ましい溶媒は、塩化メチレン(ジクロロメタン)、塩化エチレン(ジクロロエタン)、クロロベンゼン、およびジクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素である。
【0081】
好ましくは、反応は、水素化ナトリウムまたは他の塩基添加剤存在下で、例えば還流温度などの、約−10℃〜約80℃の温度で実施される。反応は、任意の適切な溶媒内で実施され、その溶媒は、例えば、C〜C14芳香族炭化水素、C〜Cエステル、C〜Cエーテル、DMFなどのC〜Cカルボン酸アミド、ハロゲン化炭化水素、またはこれらの溶媒の適切な混合物から成る群より選択され得る。好ましい溶媒は、THFなどのエーテル、またはDMFなどのカルボン酸アミド、または任意の比率におけるこれらの溶媒の混合物である。
【0082】
電子吸引基を担うホスホネート(15)(または、より一般的には、化学式(I)または(I−a)の化合物)は、主にZ−異性体として、四置換アルケン(16)および(17)(または、より一般的には、化合物(II)、(II−a)、(V)または(V−a))を生成する傾向にある
【0083】
式中R=Alk、アラルキルであるホスホネート(15)(またはより一般的には、化学式(I)または(I−a)の化合物)は、E−およびZ−異性体の混合物として、四置換アルケン(16)および(17)(またはより一般的には、化合物(II)、(II−a)、(V)、または(V−a))を生成する傾向にある。
【0084】
炭素−炭素二重結合の形成のための発明の方法は、Z−異性体優勢、E−異性体およびZ−異性体の混合、E−異性体優勢の形態の生成を企図している。E−異性体およびZ−異性体の混合物が形成される場合、それらは、二つの異性体を任意の比率で含み得る。
【0085】
化合物(16)および(17)(またはより一般的には、化合物(II)、(II−a)、(V)、または(V−a))は、次のステップで使用するのに十分にピュアであるが、もし必要であれば、任意の適切な技法、例えば、結晶化やカラムクロマトグラフィーによって精製し得る。
【0086】
比較的高価な、リン酸のトリフルオロエタノール誘導体が、HWE反応において副産物として形成される場合、それらは、トリフルオロエタノールの形態で再利用され得、且つ、その後、ホスホネート(15)または、化学式(I)または(I−a)の類似ホスホネート化合物の調製のために再利用される。
【0087】
任意的に、エステル(16)を、その内容が本明細書へ参照によって組み込まれる[Organic Syntheses, Coll. Vol. 7, p.41 (1990); Vol. 61, p.24 (1983)]に記載の手順と同様に、直接的に、ジメチルアミンを用いた反応によって、ジメチルアミド誘導体(17)へ変換し得るか、または、代替的に、対応する酸(20)へエステル(16)を加水分解した後に、ジメチルアミンを用いてアミド化することによって間接的に変換し得る:
【化47】

【0088】
エステル(16)の対応する酸(20)への加水分解(即ち、けん化反応)は、塩基および有機溶媒の存在下で実施され得る。適切な塩基は、例えば、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムなどのアルカリ金属およびアルカリ土類の炭素塩および水酸化物;ピペリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、ピリジン、ルチジンなどの第一級、二級、三級アミン;アンモニアおよび塩基性樹脂など、を含むが、それらに限定されない。現在の優先順位が与えられている塩基は、NaOHまたはKOHなどの水酸化物、特に好ましくはNaOHである。けん化に適切な量の塩基は、例えば、各エステル基について少なくとも約1当量、好ましくは、約1〜約5当量、より好ましくは約1〜約3当量である。適切な溶媒は、アルコール、エーテル、DMF、NMP,DMSO、水、またはこれらの溶媒の適切な混合物を含むがそれらに限定されない。それぞれの可能性は、本発明の別の実施形態を表す。好ましい溶媒の幾つかの例は、THF、またはTHF−水混合物である。
【0089】
けん化反応は、好ましくは、約20℃〜約100℃、特に好ましくは約50℃〜約75℃の温度範囲で実施される。けん化の反応時間は、一般的に、約15分〜約48時間、好ましくは、約30分〜約18時間、より好ましくは約1時間〜約5時間である。 前述のけん化は、通常の、上昇させた、または下降させた圧力で、好ましくは通常の圧力で実行され得る。
【0090】
塩基は、適当な溶媒中で溶液として使用され得、好ましい塩基溶液は、水中の水酸化ナトリム溶液などの、水中の無機水酸化物の溶液である。
【0091】
けん化の後、生成物を精製せずにアミド化ステップへ移行し、これは通常活性化試薬の存在下で実行される。代替的に、エステル(16)の加水分解は、例えば、ブタ肝臓エステラーゼ(PLE、Sigma、E−2884)などの酵素によって実行され得る。
【0092】
本発明は、更に、化学式(17)の中間体を調製するためのプロセスを含み、そのプロセスは、化合物(20)の−COOH基を活性化酸誘導体(20A)へ変換した後、ジメチルアミンまたはその塩または誘導体によって、活性化酸誘導体(20A)のアミノ分解を含む。
【化48】

適切な活性化酸誘導体は、酸塩化物(X=Cl)であり得る。酸塩化物形成は、塩化チオニル、塩化オキサリル、ホスゲン、POCl、PCl、PClなど、好ましくは塩化チオニルを使用して実行することができる。化学式(17)の化合物を生成するために、酸塩化物は、ジメチルアミンまたはジメチルアミン発生試薬を用いて処理する。反応は、好ましくは、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素、エステル、エーテル、ニトリル、ケトン、アミド、およびそれらの混合物、好ましくは、ジクロロメタン、トルエン、またはジイソプロピルエーテルを含むがそれらに限定されない有機溶媒の存在下で実施される。
【0093】
適切な活性化酸誘導体は、また、混合された酸無水物(20)でもあり得、これは、例えば、メチル、エチル、またはイソプロピルクロロホルメート、塩化ピバロイル、またはBoc無水物、好ましくはBoc無水物を用いた処理によるなどの、当業者に公知な任意の方法によって調製され得る。アミド(17)の調製は、混合無水物が得られるように、Boc無水物などの活性化炭素塩溶液を、塩基存在下で有機溶媒中の化合物(20)の溶液へ導入し、続いて、混合無水物をジメチルアミンまたはジメチルアミン発生試薬と接触させることによって実施され得る。この反応はまた、好ましくは、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素、エステル、エーテル、環状エーテル、およびそれらの混合物;好ましくは、エチルアセテート、またはTHF;最も好ましくは、エチルアセテートなどであるがそれらに限定されない、有機溶媒の存在下で実施される。有機塩基は、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、ピリジン、ルチジン、およびピコリンから選択され得、最も好ましくはピリジンである。
【0094】
同じまたは類似の条件が、対応するカルボン酸へのけん化及びアミド化を介して、より一般的な化合物(II)または(II−a)をアミド(V)または(v−a)へ変換するために、使用され得る。
【0095】
ステップ(b)および(c):
本発明における次のステップは、化学式(18)のタペンタドール中間体の調製に関し、好ましくは、適切な固体触媒存在下の水素である還元剤を用いた化学式(16)の化合物の還元を含む。また、化学式(17)のアミド中間体は、化学式(19)に還元される。更に別の実施形態では、中間体(16)は、化学式(18)の化合物へ還元され、更に、アミド化反応を介して、化合物(19)へ変換される。更に別の実施形態において、中間体(16)は化学式(19)の化合物へ還元される、アミド(17)へ変換される。より一般的には、その方法は、化学式(II)の還元によって、R’がNMe以外である場合、化合物(III)の化学式(IV)のアミドへの変換によって、化学式(III)の中間体の調製へ適用され得る。また、化合物(II)は、第1に、化学式(V)の化合物へアミド化され得、これは化学式(IV)の化合物へ還元される。それぞれの可能性は、本発明の別の実施形態を表す。
【0096】
水素化のために使用される公知の固体触媒は、本発明において使用され得る。これらは、少なくとも一つの部材が、銅、亜鉛、ニッケル、ルテニウム、パラジウム、白金、ロジウム、およびそれらの酸化物から成る群から選択される触媒を含むが、それらに限定されない。そのような触媒において、少なくとも一つの追加金属が、促進剤として使用され、且つ、クロム、モリブデン、タングステン、マグネシウム、バリウム、アルミニウム、カルシウム、ジルコニウム、マンガン、ニッケル、ケイ素、およびそれらの酸化物から成る群から選択され得る。
【0097】
その触媒は、典型的には、固体または液体の担体と共に使用される。そのような固体触媒について使用される担体の例は、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、チタニア、珪藻土、カオリン、活性炭、カーボン、グラファイト、ゼオライト、モンモリロナイトなど、粘度、アルカリ土類金属ケイ酸塩などを含む。これらの触媒は、そのままでも使用され得るが、好ましくは、使用する前に、還元処理などの適切な活性化処理に供する。そのような活性化処理は、当業者に公知の従来の方法によって実行され得る。
【0098】
ニッケル系の触媒の例は、ラネーニッケル、ニッケル−珪藻土、ニッケル−クロム酸化物などを含むがそれらには限定されず、好ましくは、ラネーニッケルである。例えば、ルテニウム、パラジウム、白金、ロジウムまたはその酸化物を含む貴金属系の固形触媒は、そのような金属またはその酸化物が、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、チタニア、活性炭、カーボン、グラファイトなどの担体によって担持されている固形触媒を含み、好ましくはPd/Cである。
【0099】
本反応の適切な溶媒は、アルコール、特にメタノール、エタノール、プロパノール、もしくはブタノールのような低級アルコール、またはエチレングリコール、ジエチレングリコール、エチレングリコールモノメチル、もしくはモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチル、もしくはモノエチルエーテル、またはアセトンもしくはメチルイソブチルケトンのようなケトンを含むがそれらに限定されない。溶媒は、また、溶媒の混合物、または1もしくは複数の溶媒と水の混合物、例えば、メタノールと水の任意の比率での混合物であり得る。好ましい溶媒は、エタノールおよびイソプロパノールである。
【0100】
水素化は、例えば、水素圧が、約200barまで、好ましくは水素圧が約1bar〜約200barで、最も好ましくは水素圧が約5〜40barで実施される。反応は、例えば、温度が約0℃〜約80℃で、特には、約25℃〜約30℃で実施される。
【0101】
任意に、オレフィン(16)は、エステル(18)に水素化され得、且つ、その後、上述のアミド結合形成方法によって、アミド(19)へ変換され得る。
【0102】
別の実施形態において、本発明は、四置換アルケン(16)の不斉水素化による化合物(18)、および、四置換アルケン(17)の不斉水素化による化合物(19)の調製プロセスを含み、ここで、化合物(16)および(17)は、E−およびZ−異性体の混合物である。より一般的には、本発明は、四置換アルケン(II)の不斉水素化による化合物(III)、および、四置換アルケン(V)の不斉水素化による化合物(IV)の調製プロセスを含み、ここで、化合物(II)および(V)は、E−およびZ−異性体の混合物である。別の実施形態において、本発明は、四置換アルケン(II−a)の不斉水素化による化合物(III−a)、および四置換アルケン(V−a)の不斉水素化による化合物(IV−a)の調製プロセスを含み、ここで、化合物(II−a)および(V−a)は、E−およびZ−異性体の混合物である。
【0103】
四置換炭素−炭素二重結合の不斉水素化に使用される公知の触媒は、本発明の触媒として使用され得る。そのような触媒の中で、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、白金、チタン、ジルコニウム、パラジウムなどの遷移金属の錯体が最も効果的である。任意に、触媒は、例えば、キラルリン配位子などのキラル配位子に会合するか、結合し得る。
【0104】
ルテニウム系触媒の例は、RuCl〔(R)−BINAP〕N(C、{RuCl(ベンセン)〔(R)−BINAP〕}Cl、{RuCl(p−シメン)〔(R)−BINAP〕}Cl、{RuBr(p−シメン)〔(R)−BINAP〕}Brを含むが、それらに限定されない。好ましくは、Ru触媒は、Ru(COD)−(メタリル)およびキラルビスリン配位子の混合物のHBFの2当量によるプロトン化によって、in situで調製される。不斉水素化触媒について使用される公知のキラルビスリン配位子[Chem. Rev. 2003, 103, 3029−3069, その内容は、参照によって本明細書中に組み込まれる]は、本発明のプロセスにおいて配位子として使用され得、好ましくは、(S,S)−DIOP、(R,R)−Me−DuPhos、(S,S,R,R)−TangPhos、(S)−Cn−TunaPhosであり、式中n=1〜6であり、最も好ましくは、(S)−BINAP、(S)−MeO−BIPHEPまたはC3−TunaPhosである:
【化49】

【0105】
本発明のプロセスにおいて使用するのに適したロジウム系触媒の例は、ロジウム錯体〔Rh(ジエン)Cl〕を含むがそれらに限定されず、式中、ジエンは、1,5−ヘキザジエン、1,5−シクロオクタジエン、ノルボルナジエンであり、キラルホスフィン配位子と配位結合し、好ましくは、例えば、(R)−N−メチル−N−〔2−(ジアルキルアミノ)エチル〕−1−(S)−1’,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル〕エチルアミンなどの、(アミノアルキル)−フェロセニルホスフィン配位子と配位結合する:
【化50】

式中、R=(a)−N(CH−、(b)NEt2、(c)NBu、(d)−N(CH−である。
【0106】
錯体は、〔Rh(nbd)〕BF(nbd=ノルボルナジエン)〔Organic Syntheses, Vol. 82, p.22 (2005)〕と、利用可能なフェロセニルホスフィン〔WO 2005/068478〕の混合によって調製した。これらの参考文献の内容は、参照によって本明細書中に組み込まれる。
【0107】
ロジウム錯体の追加の例は、〔Rh(1,5−シクロオクタジエン)(BPPM)〕ClOであり、式中、キラルホスフィン配位子は、以下の式〔Tetrahedron Letters, 1978, No. 29, pp. 2583 − 2584、内容は参照によって本明細書中に組み込まれる〕のピロリジンホスフィンであり得る:
【化51】

式中、
【化52】

【0108】
本発明のプロセスにおける使用に適したイリジウム系触媒の例は、Ir(Py)(PCy)(COD)〕PF(クラブツリー触媒)、Ir(COD)(BINAP)〕BARF、イリジウムと以下の一般式のホスフィノ−オキサゾリン(PHOX)配位子との錯体を含むがそれらに限定されない:
【化53】

BAr=テトラキス〔3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル〕ホウ酸
【0109】
不斉水素化のための上述の触媒は、均質触媒として使用され得るか、または、不均一系触媒を形成する不溶性の支持形態にグラフトし得る。
【0110】
水素化は、例えば、約200barの水素圧にて、好ましくは約1〜約200barの水素圧にて、最も好ましくは、約50〜約100barの水素圧にて実施される。反応は、例えば、約0℃〜約80℃、特に約25℃〜約30℃の温度で実施される。
ステップ(d)
【0111】
次のステップにおいて、タペンタドール中間体(7)は、化合物(19)を還元剤を用いて還元することによって調製する。より一般的には、このステップは、アミン(VI)を生成するための中間体(IV)の還元、またはアミン(VI−a)を生成するための(IV−a)の還元を含み得る。
【0112】
還元剤は、例えば、ボラン、およびそのジメチルスルフィド、ピリジン、トリエチルアミン等との錯体;三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、アルミニウム‐、チタン‐、もしくはコバルト‐塩化物などのルイス酸の存在下での、またはトリメチルクロロシランもしくはオキシ塩化リンの存在下での、水素化ホウ素リチウムおよびナトリウム;またはAlHおよびそのアミンとの錯体、LiAlH、ナトリウムビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムヒドリド(Red−Al)、もしくは水素化ジイソブチルアルミニウムなどの水素化アルミニウムであり得る。好ましくは、還元剤は、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体の存在下で水素化ホウ素ナトリウムである。
ステップ(e)
【0113】
最終的に、タペンタドールベースは、化合物(7)の芳香環のOH基を脱保護することによって調製される。より一般的には、化学式(A)の化合物は、化合物(VI)の芳香環のOH基を脱保護することによって調製される。
【0114】
脱保護は、BBr、酢酸中のHBr、ピリジン−HBr、第四級アンモニウム塩、2−(ジエチルアミノ)−エタンチオール、HCl、トリフルオロ酢酸、アニソール、およびAlClなどであるがこれらに限定されない試薬、好ましくは、臭化水素酸を使用することによって実施し得る。所望の化合物は、適切な溶媒によって反応混合物から抽出される。適切な溶媒は、ハロゲン化炭化水素、C〜C14芳香族炭化水素、C〜C脂肪族炭化水素、C〜Cエステル、およびC〜Cエーテルまたはそれらの溶媒の任意の比率における適切な混合物を含む。好ましい溶媒は、ジクロロメタンまたはジクロロエタンである。
【0115】
タペンタドール塩酸塩は、ジクロロメタンまたはジクロロエタン溶液から、塩化水素または塩化水素発生混合物の添加によって塩酸塩として分離し得る。他の適切な薬学的に許容可能な塩は、当業者に公知な方法によって調製し得る。従って、いくつかの実施形態において、本発明は更に、化学式(1)の化合物を変換するステップ、または、より一般的には化学式(A)の化合物をその薬学的に許容可能な塩に変換するステップを含む。用語「薬学的に許容可能な塩」は、本明細書において使用される場合、開示された化合物の誘導体を指し、ここで、親化合物は、その酸または塩基塩を作製することによって変更される。薬学的に許容可能な塩の例は、塩基性残基の無機または有機酸塩を含むが、それらに限定されない。薬学的に許容可能な塩は、例えば、非毒性無機または有機酸から形成された、親化合物の従来の四級アンモニウム塩を含む。例えば、非毒性塩は、1,2−エタンジスルホン酸、2−アセトキシ酸、2−ヒドロキシスルホン酸、酢酸、アスコルビン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、重炭酸、炭酸、クエン酸、エデト酸、エタンジスルホン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコヘプトン、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、グリコリルアルサニル酸、ヘキシルレソルシン酸、ヒドラバミン酸、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、ヒドロキシマレイン酸、ヒドロキシナフトエ酸、イセチオン酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリルスルホン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸塩、硝酸、シュウ酸、パモ酸、パントテン酸、フェニル酢酸、リン酸、ポリガラクツロン酸、プロピオン酸、サリチル酸、ステアリン酸、サブ酢酸、コハク酸、スルファミン酸、スルファニル酸、硫酸、タンニン酸、酒石酸、およびトルエンスルホン酸から選択される無機ならびに有機酸から誘導された塩を含むが、それらに限定されない。
【0116】
タペンタドールの場合、好ましい塩は、塩酸塩である。しかしながら、他の無機または有機酸の塩もまた、企図されている。
【実施例】
【0117】
本発明の代表的な特定の化合物は、以下の実施例および反応シーケンスにより、調製された。いずれの反応においても、得られる収率を最適化するための試みは行わなかった。当業者であれば、そのような収率が、反応時間、温度、溶媒、および/または、試薬を通常通りに変動させることを介して、どのように増加するか知っているであろう。特に断りのない限り、実施例で使用される物質は、容易に入手可能な商業的供給者から入手されたか、または、化学合成の当業者に既知の標準的な方法により合成された。各ステップにおけるワークアップ処置は、典型的な方法による適用が可能であって、単離および精製は、結晶化、再結晶、蒸留、分離、シリカゲルクロマトグラフィー、および、調製用HPLCなどといった従来の方法を、選択する、または、組み合わせることにより、必要に応じて行われる。
【0118】
出発物質は、以下の手順に従って調製された:
トリス(2,2,2−トリフルオロフェニル)ホスファイト;ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)リン酸;ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)クロロリン酸[J. Fluorine Chem., 113, p.65 (2002)]
ビス−(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスホノ酢酸[ARKIVOC 2003 (viii) 93−101]
エチルホスホン酸ビス−(2,2,2−トリフルオロエチル)エステル[Organic Syntheses, Vol. 82, p.147 (2005)]
メチル2−(ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)ホスホリル)プロパノエイト[Chem. Pharm. Bull. 50(9) 1300−1302 (2002)]
2−クロロ−N,N−ジメチルアセトアミド[Huaxue Shiji, 28(6), 371−372, 2000; Faming Zhuanli Shenqing Gongkai Shuomingshu, 1721392, 18 Jan 2006; JP 59098075 (1984); JP 04011542(1992)]
2−ブロモ−N,N−ジメチルアセトアミド[J. Org. Chem. 1982,47, 1284−1291]
上記の刊行物の内容は、本明細書にて参照として組み込まれている。
【0119】
実施例1
ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)2−(ジメチルアミノ)−2−オキソエチルホスホナート(14)の調製
【化54】

(i)ミカエリスベッカー反応により
a).CHCl(20mL)中イミダゾール(2.084g、30mmol)の溶液に、0℃にて、PCl(0.88mL、10mmol)、そして2,2,2−トリフルオロエタノール(20mmol)を加えた。30分撹拌後、水(0.18mL、10mmol)を加えた。塩を濾過により除去し、濾液を0℃にて10分間、2−ブロモ−N,N−ジメチルアセトアミド(8mmol)およびトリエチルアミン(1.69mL、12mmol)にて処置した。混合物は、室温で5時間撹拌された。反応は、水(20mL)でクエンチした。抽出およびカラムクロマトグラフィー(シリカゲル35g/ヘキサン−AcOEt(8:1から5:1))は、ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)2−(ジメチルアミノ)−2−オキソエチルホスホナート(2−ブロモ−N,N−ジメチルアセトアミドから48%)を無色油として提供した。
【0120】
H NMR(400MHz、CDCl)δ:3.25(d、J=21.6Hz、2H)、3,47(s、6H)、4.43(dq、J=8.3、8.2Hz、4H);13C NMR(100MHz、CDCl3)δ:37.1(s、NMe)、40.0(d、J=145Hz、P(O)CHC(O))、62.3(2、dq、J=39.1、5.6Hz、CFCH)、122.4(2、dq、J=277.4、8.4Hz、CF)、169.4(d、J=4.4Hz、C=O);31P NMR(CDCl)δ:24.67。
【0121】
b).ビス(2,2,2トリフルオロエチル)ホスファイト(5.0mmol、0.79mL)を、THF(20mL)中、10℃にて、水素化ナトリウム(0.420g、0.018mol)、および、HMPA(8.6mmol、1.5mL)の溶液に加えた。添加後すぐ、2−ブロモ−N,N−ジメチルアセトアミド(3.9mmol)を滴下した。反応温度は、4.5時間10℃で維持した。その後、反応を飽和塩化アンモニウム水溶液(2mL)にてクエンチし、標準的な水性ワークアップを行った。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、80%ヘキサン、20%酢酸エチル)による最終的精製は、無色油として所望の化合物(34%)を産出した。
【0122】
c).0℃にて、無水THF(25mL)中、カリウムtert−ブトキシド(705mg、6.33mmol)の溶液に、ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスファイト(1.00mL、6.33mmol)を加えた。その後、2−ブロモ−N,N−ジメチルアセトアミド(12.66mmol)を、シリンジにより加えた。添加のステップの完了後、反応が、TLCによる観察のもと1時間進行した。その後、反応を、塩化アンモニウム水溶液(20mL)の飽和溶液でクエンチした。水性相をジエチルエーテル(3×20mL)にて抽出した。組み合わせた有機抽出物を、水(3×20mL)および飽和塩化ナトリウム溶液(1×20mL)で洗浄した。溶媒を回転蒸発法により除去し、さらに粗物質を真空オイルポンプ下で濃縮した。最終的な生成物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、2:1ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、所望の化合物(41%)を産出した。
【0123】
(ii)ビス−(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスホノ酢酸より
a).塩化アシルを介して
ビス−(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスホノ酢酸(0.1mol)と塩化チオニル(100ml)の溶液を、室温にて3−5時間撹拌した。ジクロロエタン200mlを加え、過剰な塩化チオニルを溶媒の一部と共に留去し、完全に塩化チオニルを除去するため、この過程を2−3回行った。粗アシル塩化物の濃縮ジクロロエタン溶液を、−5〜5℃にて、HO100mL、HNMe40%水溶液、および、NaCOの混合物に加え、得られた混合物を2−3時間室温にて撹拌した。有機相を分離し、水相をジクロロエタン(3×30ml)で抽出した。組み合わせた有機抽出物を、水(3×20mL)および飽和塩化ナトリウム溶液(1×20mL)で洗浄した。回転蒸発法により、溶媒を除去した後、さらに粗物質を真空オイルポンプ下で濃縮した。残渣の蒸留により、ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)2−(ジメチルアミノ)−2−オキソエチルホスホナートを、78%の収率で得た。
【0124】
b).活性エステルを介して
ビス−(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスホノ酢酸(0.07mol)を、酢酸エチル100mlに溶解した。この溶液に、Boc無水物20.4g(0.093mol)に続いて、ピリジン(0.07mol)5.6gを加えた。混合物を15分間撹拌し、無水ジメチルアミン(0.07mol)を加えた。混合物を一晩撹拌した。混合物を5℃にて1時間撹拌し、ワークアップした。以下の蒸留ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)2−(ジメチルアミノ)−2−オキソエチルホスホナートを、80%の収率で得た。
【0125】
ホスホン酸エステル交換
ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)2−(ジメチルアミノ)−2−オキソエチルホスホナートは、類似の反応[Still, W.C.; Gennari, C. Tetrahedron Lett. 1983, 24, 4405−4408; Bodnarchuk, N. D.; Malovik, V. V.; Derkach, ;G. I. Zh. Obshch. Khim. 1970, 40, 1210, の各々の内容が参照として本明細書に組み込まれている]として記載されるように、ホスホン酸エステル交換により、調製した:
【化55】

ビス(フェニル)−2−(ジメチルアミノ)−2−オキソエチルホスホナート、および、ビス(o−トリル)−2−(ジメチルアミノ)−2−オキソエチルホスホナートを、上述の手順に従って調製した。
【0126】
実施例2
[1−(ジメチルカルバモイル)エチル]ホスホン酸ビス−(2,2,2−トリフルオロエチル)エステル(15)の調製
【化56】

1).ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)2−(ジメチルアミノ)−2−オキソエチルホスホナート(14)(4.7g、14.2mmol)を、窒素下0℃にて、THF(20ml)中tert−BuOK(1.9g、17.0mmol)の溶液にゆっくりと加えた。混合物を30分間これらの条件で撹拌し、ヨウ化メチル(4.42ml、70.9mmol)を0℃の温度を維持しながら加えた。窒素下にて、14時間室温で撹拌後、反応混合物を、NHClの飽和水溶液で処理し、その後、AcOEt(50ml×3)で抽出した。抽出物を濃縮し、油状の残渣を得、その油状の残渣は、真空蒸留、または、シリカゲル[n−ヘキサン/AcOEt(2:1)]によるカラムクロマトグラフィーにより精製し、無色油として、目的化合物(65%)3.2gを得た。
【0127】
H−NMR(400MHz、CDCl)・:1.52(dd、J=19.8Hz、J=7.3Hz、3H)、3.48(s、6H)、3.87(1H、dq、J=22.9Hz、J=7.3Hz)、4.40(dq、J=8.3、8.2 z、4H);13C NMR(100MHz、CDCl)δ:12.4(d、J=7.7Hz、CHCH)34.4(s、NMe)、62.0(dq、J=38.3、6.1Hz、CFCH)、64.4(qd、J=37.6、5.0Hz、CH)、122.4(dq、J=277.4、8.4Hz、CF)、169.6(C=O)31P NMR(CDCl3)δ:24.67。
【0128】
EI−MSにより、分子量345.18のC14NOPを算出し、m/z値は、345.06であった;分析では、C14NOPを:C、31.32;H、4.09;F、33.02;N、4.06;P、8.97と算出し、本実験結果:C、31.26;H、3.85;F、33.0;N、3.86;P、8.67であった。
【0129】
真空蒸留による生成物は、ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)2−(ジメチルアミノ)−2−オキソエチルホスホナートのアルキル化中に形成される、ジメチル不純物2−3%を含み得る。この不純物は、さらなる反応に関与せず、[1−(ジメチルカルバモイル)エチル]ホスホン酸ビス−(2,2,2−トリフルオロエチル)エステルは、さらなる精製をせずに、使用可能である。
【0130】
b).テフロン(登録商標)被覆磁気撹拌棒、温度計、ゴム栓、および、アルゴン導入口を備えた火炎乾燥1−L三つ口丸底フラスコに、アルゴン下、ヘキサン中2.5Mn−ブチルリチウム溶液51.0mL(128mmol、2.41当量)、および、THF40mL、を入れ、20分間ドライアイス−イソプロパノール−水浴を用いて、内部温度−20℃±3℃まで冷却した。ゴム栓とアルゴン導入口を備えた別の火炎乾燥100−mL一つ口丸底フラスコに、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン(HMDS)29.2mL(139mmol、2.64当量)およびTHF40mLを、アルゴン下で入れた。混合物を撹拌し、内部温度を−15℃以下に維持しつつ、20分以上かけ、上述のn−ブチルリチウム溶液に、カニューレを介して滴下して移した。その後、100−mLのフラスコをTHF(210mL)で洗浄し、THF洗浄剤を、5分以上かけ大きい方のフラスコにカニューレで導入した。得られた透明溶液を、−20℃±3℃で20分間撹拌し、ドライアイス−アセトン浴を用いて、内部温度−75℃まで冷却した。その後、ゴム栓とアルゴン導入口を備えた別の100−mL一つ口丸底フラスコに、エチルホスホン酸ビス−(2,2,2−トリフルオロエチル)エステル14.5g(52.9mmol、1.00当量)、ジメチルカルバモイル塩化物7.84g(72.9mmol、1.38当量)、および、THF50mLを入れ、内部温度を−68℃以下に維持しながら、30分以上かけ、上述のリチウムHMDS溶液に、カニューレを介して滴下して移した。小さい方のフラスコをTHF(2×10mL)で洗浄し、THF洗浄剤を、5分以上かけ大きい方のフラスコにカニューレで移した。得られた淡黄色溶液を−75℃に再冷却し、2.5時間撹拌し、その後5分かけ1.0MHCl溶液130mLでゆっくりと酸性にし、30分かけ徐々に内部温度0℃まで温めた。溶液は、蒸留水100mlで希釈し、1−L分液漏斗に移した。フラスコを、ジエチルエーテル(3×50mL)で洗浄し、組み合わせた洗浄剤を、漏斗に移し、振盪し、層を分離し、水層をジクロロメタン(4×100mL)で抽出した。組み合わせた有機相を、(MgSO)乾燥させ、濾過し、回転蒸留法(35℃、20mmHg)により濃縮し、黄色油19gを得、その黄色油は、さらなる反応に使用すること、または、以下のように、蒸留またはカラムクロマトグラフィーにより精製することが可能であった:黄色油を、80mm径カラムにのせ、シリカゲル450グラム(25cm)でウェットパックし(4:1 ヘキサン:酢酸エチル)、ヘキサンと酢酸エチルの濃度勾配(2:1を2L、1:1を2L、1:2を1L)により順次溶出させた。所望の生成物を、一定量得られるまで、体積75−mLの画分で回収し、回転蒸発法(35℃、20mmHg)により濃縮し、真空下(25℃、0.01mmHg)で乾燥した。上記記載の手順は、82−88%の収率で、透明でわずかに黄色の油として、[1−(ジメチルカルバモイル)エチル]ホスホン酸ビス−(2,2,2−トリフルオロエチル)エステルを得た。
【0131】
実施例3
メチル3−(3−メトキシフェニル)−2−メチルペント−2−エノエート(16、R’=OCH)の調製
a).Sn(OSOCFとのHWE反応
無水ジクロロエタン(5ml)中、エチル−2−[ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスホノプロピオナート(1.24mmol)の溶液を、無水ジクロロエタン(10ml)中、Sn(OSOCF(0.6g、1.48mmol)の懸濁液に加え、アルゴン下5分間室温で撹拌した。N−エチルピペリジン(0.15g、1.36mmol)を加えた後、混合物をアルゴン雰囲気下1時間0℃にて撹拌し、その後加熱還流した。3−メトキシフェニルエチルケトン(11)(0.14g、0.88mmol)を、還流溶液にゆっくりと加えた。アルゴン雰囲気下(18−20時間)の反応を完了するためのTLCまたはGCの制御下で還流した後、反応混合物を水(10ml)に注ぎ、その後、塩化メチレンまたはクロロホルム(20ml×3)で抽出した。ヘキサン(50ml)を有機抽出物に加え、混合物をシリカゲルショートカラム[n−ヘキサン/CHCl(2:1)]を介して濾過した。濾液を、粗物質を得るため真空中で蒸発させたが、これは次のステップで使用可能であるか、または、シリカゲル[n−ヘキサン/MTBE(10:0.5)]のカラムクロマトグラフィーにより精製し、無色油として所望の化合物を収率75%で得ることが可能であった。
【0132】
b).NaHとのHWE反応
無水THF(15ml)中、NaH(油中60%、66mg、1.65mmol)の懸濁液に、0℃にて、無水THF(10mL)中、エチル−2−[ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスホノプロピオナート(1.24mmol)の溶液を加えた。混合物をアルゴン雰囲気下1時間0℃で撹拌し、その後加熱還流した。3−メトキシフェニルエチルケトン(11)(0.16g、1.0mmol)を還流溶液に加えた。
【0133】
不活性雰囲気下の反応を完了するためのTLCまたはGCの制御下での還流後(18−20時間)、5%HC1(15ml)を加え、その後MTBE(20ml×3)で抽出した。抽出物を、粗物質(E:Z=10:90)を得るために濃縮したが、これは次のステップで直接使用可能であったか、または、シリカゲル[n−ヘキサン/MTBE(10:0.5)]のカラムクロマトグラフィーにより精製し、それぞれ淡黄色および無色油として、E−異性体とZ−異性体を得ることが可能であった。
【0134】
メチル(Z)−2−メチル−3−(p−メトキシフェニル)−2−ペンテノエート:H−NMR(400MHz、CDCl):1.04(3H、t、J=7.5Hz)、2.02(3H、s)、2.38(2H、q、J=7.5Hz)、3.51(3H、s)3.82(3H、s)、6.40(d、1H)、6.87−6.92(2H、m)、7.22(1H、t)
EI−MSにより、分子量234.1256のC1418を算出し、m/z値は、234.1249(M1)であった;
分析では、C1418を:C、71.77;H、7.74と算出し、本実験結果:C、71.74;H、7.62であった。
【0135】
メチル(E)−2−メチル−3−(p−メトキシフェニル)−2−ペンテノエート:H−NMR(400MHz、CDCl):0.96(3H、t、J=7.5Hz)、1.73(3H、s)、2.59(2H、q、J=7.5Hz)、3.78(3H、s)3.82(3H、s)、6.42(d、1H)、6.87−6.92(2H、m)、7.22(1H、t)
EI−MSにより、分子量234.1256のC1418を算出し、m/z値は、234.1245(M1)であった。
分析では、C1418を:C、71.77;H、7.74と算出し、本実験結果:C、71.68;H、7.72であった。
【0136】
実施例4
3−(3−メトキシフェニル)−N,N,2−トリメチルペント−2−エンアミド(17)の調製
a).Sn(OSOCFとの反応
Z−異性体を、ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)−l−(ジメチルアミノ)−l−オキソプロパン−2−イルホスホナート(15)、および、3−メトキシフェニルエチルケトン(11)から、75%の収率および98.5%より高い純度で実施例3(a)に従い調製した。(Z)−3−(3−メトキシフェニル)−N、N、2−トリメチルペント−2−エナミド:
H−NMR(400MHz、CDCl)・:1.06(3H、t、J=7.5Hz)、2.20(2H、q、J=7.5Hz)、2.43(3H、s);3.18(3H、s)、3.83(3H、s)6.40(d、1H)6.84−6.90(2H、m)7.20(1H、t)
EI−MSにより、分子量247.33のC1521NOを算出し、m/z値は、247.32(M1)であった。
分析では、C1521NOを:C、72.84;H、8.56;N、5.66と算出し、本実験結果:C、72.80;H、8.58;N、5.46であった。
【0137】
同様の結果が、(ジアリールホスホノ)プロパノエート(ArO)P(O)CH(CH)C(O)NMeにて得られた:
Ar=Ph、Z−異性体(収率72%および純度98.6%)
=o−MeC、Z−異性体(収率76%および純度99.0%)。
【0138】
b).NaHとの反応
3−(3−メトキシフェニル)−N,N,2−トリエチルペント−2−エンアミドを、E−及びZ−異性体(7:93)の混合物として、実施例3(a)に従って調製した。
ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)−1−(ジメチルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イルホスホナートに代わり、ビス(エチル)−1−(ジメチルアミノ)−1−オキソプロパン−2−イルホスホナートと、3−(3−メトキシフェニル)−N,N,2−トリエチルペント−2−エンアミドを、E−及びZ−異性体(28:72)の混合物として、実施例3(a)(NaH、THF、55℃)に従って調製した。
【0139】
c).メチル3−(3−メトキシフェニル)−2−メチルペント−2−エノエートから
エタノール(20ml)中、粗物質メチル3−(3−メトキシフェニル)−2−メチルペント−2−エノエート(1.25mmol)の溶液に、10%水酸化ナトリウム水溶液(30g)を加えた。5時間室温にて撹拌後、反応混合物を蒸発させた。得られた残渣をヘキサン(10ml)で洗浄した。水層にジエチルエーテル(50ml)および6N塩酸(200ml)を加えた。混合物をジエチルエーテル(3×30ml)で抽出した。エーテル層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、対応する粗酸(収率88%)を得るため蒸発させた。無水ベンゼンまたはジクロロエタン(10ml)中の粗酸の撹拌溶液に、不活性雰囲気下0℃にて、蒸留した塩化チオニル(0.8ml、11.0mmol)を加えた。5時間還流し、減圧下で揮発性物質を除去した後、残渣を蒸留したテトラヒドロフラン(10ml)で希釈し、この溶液の50%に、ジメチルアミン水溶液(1.63g、11.0mmol)を、0℃にて加えた。2時間0℃にて撹拌後、反応を3N塩酸(10ml)でクエンチし、ジエチルエーテル(3×20ml)で抽出した。エーテル層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、蒸発させた。収率は64%であった。化合物は、次のステップで直接使用可能であったか、または、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル、5:1)により精製することが可能であった。
【0140】
(2R,3R)−メチル3−(3−メトキシフェニル)−2−メチルペンタノエート(18)の調製
a).Z−メチル3−(3−メトキシフェニル)−2−メチルペント−2−エノート(16)の還元による
不飽和エステル(16)(1mmol)を、ラネーニッケル(0.3g)存在下プロパン−2−オール(15ml)中にて水素化(15気圧、H、20℃、7時間)した。溶剤の濾過および蒸発により、粗物質メチルエリスロ−メチル3−(3−メトキシフェニル)−2−メチルペンタノエート((2R,3R)−メチル3−(3−メトキシフェニル)−2−メチルペンタノエート)(18)が残留した。HNMR(400MHz、CDCl)δ:0.82(3H、t、J=8.0Hz)、1.20(3H、dd、J=8.0Hz)、1.52(2H、m)2.80(2H、m);3.40(1H、m)、3.68(3H、s)、3.83(3H、s)、6.81−6.86(2H、m)、7.08(1H、s)、7.26(1H、m)。
EI−MSにより、分子量236.14のC1420を算出し、m/z値は、236.14(M1)であった。
分析では、C1420を:C、71.16;H、8.53と算出し、本実験結果:C、71.00;H、8.48であった。
【0141】
b).同じ結果が、活性炭(20bar、室温)にパラジウム10%を使用し、水素化することにより得られた。
【0142】
c).Ru系触媒を使用してのZ−メチル3−(3−メトキシフェニル)−2−メチルペント−2−エノエート(16)の水素化
触媒をRu(COD)(メタリル)、C3−TunaPhos、およびHBFMeOより、[J. AM. CHEM. SOC. 2003, 125, 9570−9571、その内容は参照として本明細書に組み込まれている]に従って調製し、脱気された乾燥MeOHまたはEtOH(3mL)に溶解することによりそのまま使用し、溶液を直接水素化に使用した。触媒溶液に基質(Ru:P:HBF:基質=1:1:2:20)を加えた。得られた混合物をオートクレーブに移し、H圧力50気圧をかけた。オートクレーブで18−20時間室温にて撹拌した。その後、反応溶液を留去し、触媒を除去するため、残渣をショートシリカゲルプラグに通した。その後、得られた水素化生成物は、エナンチオマー過剰率を同定するため、キラルGC(chiralselect1000またはガンマdex225)により直接分析した。所望の化合物は99%の転化率および95%eeで得られた。THF、塩化メチレン、またはトルエンもまた、溶剤として使用した。
【0143】
d).Rh系触媒を使用してのZ−メチル3−(3−メトキシフェニル)−2−メチルペント−2−エノエート(16)の水素化
ロジウム触媒を、[Tetrahedron Letters,Vol.29, No.46, pp 5969−5972, 1988、その内容は参照として本明細書に組み込まれている]に従い、1:1:1.3の比率でのRhCl(NBD)、AgBF4、キラル配位子(21a)と、THFおよびメタノール90:10の混合物におけるトリエチルアミン5mol%の混合によりそのまま調製した。
Z−メチル3−(3−メトキシフェニル)−2−メチルペント−2−エノエート(16)(1.0mmol)の水素化を、室温にてロジウム触媒0.5mol%存在下、および初期水素圧力50気圧で行った。水素化を、30時間で完了させた。その後、反応溶液を蒸発させ、生成物の定量的収率を得る目的で触媒を除去するため、残渣をショートシリカゲルプラグに通した。エナンチオマー過剰率は、キラル固定相カラムによるHPLC分析により、98.5%であると同定した。混合溶媒の代わりに、溶媒としてメタノールを使用することにより、立体選択性が少し低下した(94.0%ee)が、水素添加率が増加した。
【0144】
e).Rh系触媒を使用してのE−およびZ−メチル3−(3−メトキシフェニル)−2−メチルペント−2−エノエート(16)の水素化
同様のロジウム触媒を使用しての、実施例4(b)から異性体の混合物(E:Z=7:93)の水素化により、6:94の比率で(S)−および(R)−異性体の混合物を得た。
【0145】
f).イリジウム触媒を使用してのZ−メチル3−(3−メトキシフェニル)−2−メチルペント−2−エノエート(16)の水素化
イリジウム触媒(22d)を、[Adv. Synth. Catal. 2008, 350, 174 − 178、その内容は参照として本明細書に組み込まれている]に従い調製した。
磁気撹拌棒を備えた50−mLのオートクレーブを、基質(0.1mmol)およびジクロロメタン(0.5mL)に溶解したイリジウム触媒(1mol%)で満たした。オートクレーブは、Hで50barに加圧し、溶液を2−5時間室温にて撹拌した。圧力を少しずつやわらげ、溶媒を蒸発させた。残留物を、触媒を除去するため、ショートシリカゲルプラグに通した。濾液を、変換率およびeeを同定するため、GCにより直接分析した。変換率は、87%eeで99%であった。
【0146】
実施例6
(Z)−3−(3−メトキシフェニル)−N、N、2−トリメチルペント−2−エナミド(17)の水素化による(2R,3R)−3−(3−メトキシフェニル)−N,N,2−トリメチルペンタンアミド(19)の調製
水素化を、実施例5(a)に従って行った。
(2R,3R)−3−(3−メトキシフェニル)−N,N,2−トリメチルペンタンアミド(19)が、97%eeで得られ、
HNMR(400MHz、CDCl)δ:0.76(3H、t、J=8.0Hz)、1.18(3H、dd、J=8.0Hz)1.50(2H、m)、2.68(2H、m);3.40(1H、m)、3.47(6H、s)、3.80(3H、s)、6.80−6.86(2H、m)、7.08(1H、s)、7.24(1H、m)であった。
EI−MSにより、分子量249.17のC1523NOを算出し、m/z値は、249.17(M1)であった。
分析では、C1523NOを:C、72.25; H、9.30;N、5.62と算出し、本実験結果:C、72.0;H、9.48;N、5.28であった。
【0147】
b).ルテニウム系触媒を使用しての水素化
水素化を、実施例5(c)に従って行い、89%eeで所望の化合物を得た。
【0148】
c).ロジウム系触媒を使用しての水素化
水素化を、実施例5(d)に従って行い、92%eeで所望の化合物を得た。
【0149】
実施例7
(2R,3R)−メチル3−(3−メトキシフェニル)−2−メチルペンタノエート(18)から、(2R,3R)−3−(3−メトキシフェニル)−N,N,2−トリメチルペンタンアミド(19)の調製
(2R,3R)−メチル3−(3−メトキシフェニル)−2−メチルペンタノエートの(2R3R)−3−(3−メトキシフェニル)−N2−トリメチルペンタンアミドへの変換を、実施例4(c)に従って行った。
【0150】
実施例8
塩酸塩としての(2R,3R)−3−(3−メトキシフェニル)−N,N,2−トリメチルペンタン−1−アミン(7)の調製
三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート(3.5mL、30mmol)を乾燥テトラヒドロフラン25mlに溶解し、(−10)−(−5)℃で撹拌した。水素化ホウ素ナトリウム(1.1g、30mmol)を、この溶液に少量ずつ追加し、混合物を1−2時間室温にて撹拌した。0−5℃にまで冷却した後、(2R3R)−3−(3−メトキシフェニル)−N2−トリメチルペンタンアミド(1.25g、5mmol)を加え、混合物を室温にて攪拌し、TLCにて観察した。反応終了後、混合物を減圧下で濃縮し、固体を得、これを5%塩酸100mlに溶解し、その後塩酸相をジイソプロピルエーテル50mlで二回洗浄した。塩酸相はその後、氷浴で冷却しながら濃水酸化ナトリウム溶液でアルカリ性にし、50mlのジクロロメタンで2回溶媒抽出した。組み合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、溶媒を真空下にて留去し、残渣(5.2g)を2−ブタノンに溶解させた。その後、塩化水素を添加し、(2R3R)−3−(3−メトキシフェニル)−N2−トリメチルペンタン−l−アミン(75%)の塩酸塩を結晶化させた;m.p.:162−164℃;[・]RT=+25.0(c=0.95;メタノール)。
【0151】
実施例9
タペンタドールの調製
タペンタドールの調製は、EP−A−0693475(その内容は参照として本明細書に組み込まれている)に従って行った。(2R3R)−3−(3−メトキシフェニル)−N2−トリメチルペンタン−l−アミン塩酸塩4.3g(15mmol)を、濃臭化水素酸100mlに加えた。その後、混合物を2時間加熱還流した。室温まで冷却後、反応混合物を減圧下で濃縮した。残渣を、pH=8.0−8.5になるまで、濃炭酸水素ナトリウム溶液で処理した。ジクロロメタン(50ml×2)で抽出後、組み合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させた。その後、ジクロロメタンを減圧下で留去し、残渣(4g)を2−ブタノンに溶解させた。塩化水素を加えた後、タペンタドール塩酸塩(理論上98%)3.8gを結晶化させた;m.p.:190−194℃;[・]RT=+24.2°(c=1.10;メタノール)。
【0152】
本発明は、特に本明細書上記に示され、記載されるものに限定されるものではないことが、当業者には理解されるといえる。むしろ、本発明の範囲は、変形及び変更だけでなく、本明細書上記に記載の、様々な機能の組み合わせおよび部分的組み合わせの両方を含む。したがって、本発明は、特に記載される実施形態に限定されるよう構築されるものではなく、本発明の範囲および概念は、以下の特許請求の範囲を参照することで、より容易に理解されるであろう。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)、(b1)、(c1)、(d)および(e);または(a)、(b2)、(c2)、(d)および(e)のステップを含む、式(A):
【化1】

または、立体異性体、薬学的に許容される塩、またはその組み合わせの化合物の調製の方法であり:
a)式(II)の化合物を得る、1−(3−メトキシ−フェニル)−プロパン−1−オンおよび式(I)のホスホネート化合物間のホーナー・ワズワース・エモンズ(HWE)反応であって:
【化2】

各Rは、任意で電子求引性基で置換される、独立したアルキル又はアリールであって、好ましくはRが2,2,2−トリフルオロエチル、フェニルまたはo−トリルであり;
R’は、(i)−NRであって、RおよびRがそれぞれアルキルであり;(ii)−ORであって、Rがアルキル、アリールまたはアルキルアリールであり;または、(iii)アミン基、好ましくはNMe基に変換可能な官能基;であり,および、
R”は、H、アルキル、アリール、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、アルキルアリール、またはシクロアルキルである;
b1)およびc1):式(III)の化合物を得る、前記化合物(II)の水素化である:
【化3】

R’がNMe以外の場合、任意で、前記式(III)の化合物が式(IV)の化合物に変換する:
【化4】

b2)およびc2)RがNMe以外の場合、任意で、前記式(II)の化合物が式(V)の化合物に変換し:
【化5】

前記化合物(V)が水素化し、前記式(IV)の化合物を得る:
【化6】

d)前記(c1)または(c2)のステップにて得られる、結果として生じる前記式(IV)の化合物が式(VI)の化合物に変化する:
【化7】

e)前記式(VI)の化合物が、前記式(A)の化合物に変換する:
【化8】

方法。
【請求項2】
R”が、メチルであり、前記式(A)の化合物が、3−[3−(ジメチルアミノ)−1−エチル−2−メチルプロピル]フェノール、または、その立体異性体、薬学的に許容される塩、または組み合わせたものであり、好ましくは、前記化合物が、3−[(1R,2R)−3−(ジメチルアミノ)−1−エチル−2−メチルプロピル]フェノール(タペンタドール)、または、その薬学的に許容される塩である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記(a)、(b1)、(c1)、(d)および(e)、または(a)、(b2)、(c2)、(d)および(e)のステップを含む方法であり:
a)式(II−a)の化合物を得る、1−(3−メトキシ−フェニル)−プロパン−1−オンおよび式(I−a)のホスホネート化合物間のホーナー・ワズワース・エモンズ(HWE)反応である:
【化9】

b1)およびc1):式(III−a)の化合物を得る、前記化合物(II−a)の水素化であって:
【化10】

がNMe以外の場合、任意で前記式(III−a)の化合物が式(IV−a)の化合物に変換する:
【化11】

b2)およびc2)RがNMe以外の場合、任意前記式(II−a)の化合物が式(V−a)の化合物に変換し:
【化12】

前記化合物(V−a)が水素化し、前記式(IV−a)の化合物を得る:
【化13】

d)前記(c1)または(c2)のステップにより得られる、結果として生じる前記式(IV−a)の化合物が、式(VI−a)の(3−メトキシフェニル)−N,N,2−トリメチルペンタン−1−アミンに変化する:
【化14】

e)3−(3−メトキシフェニル)−N,N,2−トリメチルペンタン−1−アミンが、3−[3−(ジメチルアミノ)−1−エチル−2−メチルプロピル]フェノール、または、その立体異性体、薬学的に許容される塩、または組み合わせの化合物に変換する:
【化15】

請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記生成物がタペンタドールである、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記(a)、(b1)、(c1)、(d)および(e)のステップを含む、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記(a)、(b2)、(c2)、(d)および(e)のステップを含む、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記(a)のステップにて前記HWE反応が添加剤の存在下で行われる、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記添加剤が、無機または有機塩基である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記無機塩基が、アルカリ金属およびアルカリ土類の水素化物、および、アルコラート、好ましくは水素化ナトリウムから選択される;または、前記有機塩基が、第三級アミン、好ましくはDNU、DBN、もしくはジイソプロピルエチルアミンである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記有機塩基が、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のハロゲン化物、好ましくは、塩化リチウムまたは臭化リチウムと組み合わせて使用される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記(a)のステップにて、前記式(II)または(II−a)の化合物が、Z−異性体として形成される、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記(a)のステップにて、前記式(II)または(II−a)の化合物が、E−およびZ−異性体の混合物として形成される、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記(b1)または(c2)のステップにて、前記水素化が、有機溶媒中水素雰囲気下にて触媒の存在下で行われる、請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記触媒が、銅、亜鉛、ニッケル、ルテニウム、パラジウム、白金、ロジウム、およびそれらの酸化物から成る群から選択され、好ましくは、前記触媒がラネーニッケルまたはPd/Cである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記触媒が、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、チタニア、珪藻土、カオリン、活性炭、カーボン、グラファイト、ゼオライト、モンモリロナイト、粘土、およびアルカリ土類金属ケイ酸塩からなる群から選択される担体と組み合わせて使用される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記触媒が、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、白金、チタン、ジルコニウム、およびパラジウムから成る群から選択される遷移金属の錯体から成る群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記触媒が、不斉配位子、好ましくはキラルリン配位子と会合している、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記(b1)のステップにて得られる、前記式(III)または(III−a)の生成物、または、前記(c1)または(c2)のステップにて得られる、前記式(IV)または(IV−a)の生成物が、ラセミ混合物の形態である、請求項13〜17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記(b1)のステップにて得られる、前記式(III)または(III−a)の化合物、または、前記(c1)または(c2)のステップにて得られる、前記式(IV)または(IV−a)の化合物が、光学活性の形態、好ましくは、以下のいずれかの構造:
【化16】

で表されるトレオ異性体である、請求項13〜17のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記水素化が、最高で200barの水素圧で、好ましくは1から200barの水素圧で、より好ましくは5から40barの水素圧で行われる、請求項13〜19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
R’が、NMe以外であり、前記(c1)または(b2)のステップが行なわれる、請求項1〜20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
R’が、NMeであり、前記ステップ(c1)または(b2)が行なわれない、請求項1〜21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記(d)のステップにて、前記式(IV)または(IV−a)の化合物の前記還元が、ボラン、および、ジメチルスルフィド、ピリジン、または、トリエチルアミンとの、その錯体;ルイス酸存在下であって、前記ルイス酸は、好ましくは、三フッ化ホウ素ジエチルエーテルの錯体、および、アルミニウム−、チタン−、もしくは、コバルト−の塩化物である、ルイス酸存在下、または、トリメチルクロロシランもしくはオキシ塩化リンの存在下での、水素化ホウ素リチウム、または、水素化ホウ素ナトリウム;AlHおよびそのアミンとの錯体、LiAlH、水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム(Red−Al)、および、水素化ジイソブチルアルミニウムなどの水素化アルミニウム、から成る群より選択される還元剤を用いて行われ、好ましくは、前記還元剤が、三フッ化ホウ素ジエチルエーテルの錯体の存在下で水素化ホウ素ナトリウムである、請求項1〜22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
(a)、(b1)、(c1)、(d)および(e)、または(a)、(b2)、(c2)、(d)および(e)のステップを含む、タペンタドールの調製方法であり:
a)式(II−a)の化合物を得る、1−(3−メトキシ−フェニル)−プロパン−1−オンおよび式(I−a)のホスホネート化合物間のホーナー・ワズワース・エモンズ(HWE)反応である:
【化17】

b1)およびc1):式(III−a)の化合物を得る、キラル触媒の存在下での前記化合物(II−a)の水素化であって:
【化18】

任意で、R’はNMe以外の場合、前記式(III−a)の化合物を式(IV−a)の化合物に変換する:
【化19】

b2)およびc2)任意で、R’はNMe以外の場合、前記式(II−a)の化合物を式(V−a)の化合物に変換し;および、
【化20】

式(IV−a)の化合物を得る、キラル触媒の存在下での前記式(V−a)の化合物の水素化を行う;
【化21】

d)前記(c1)または(c2)のステップにより得られる、結果として生じる前記式(IV−a)の化合物が、(1R,2R)−3−(3−メトキシフェニル)−N,N,2−トリメチルペンタン−1−アミンに変化する:
【化22】

e)前記(1R,2R)−3−(3−メトキシフェニル)−N,N,2−トリメチルペンタン−1−アミンが、3−[(1R,2R)−3−(ジメチルアミノ)−1−エチル−2−メチルプロピル]フェノール(前記タペンタドール)に変換する:
【化23】

方法。
【請求項25】
前記式(A)の化合物または前記式(VI)のその前駆体が、その薬学的に許容される塩に変換するステップをさらに含む、請求項1〜24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記式(A)の化合物がタペンタドールであり、前記方法がさらに、タペンタドールまたは前記式(VI−a)のその前駆体が、その塩酸塩に変換するステップを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記式(I−a)の構造で表されるホスホネート化合物であって:
【化24】

各Rが、電子吸引性基で任意に置換される、独立したアルキル基またはアリール基であり、好ましくは、Rは2、2、2−トリフルオロエチル、フェニル、またはo−トリルであり、R’がN(CHである、
ホスホネート化合物。
【請求項28】
炭素−炭素二重結合を有する化合物の、好ましくは、前記化合物がタペンタドールの、調製のための、請求項27に記載のホスホネートの使用。
【請求項29】
前記式(II)の構造で表される化合物であって:
【化25】

が−NRであって、RおよびRがそれぞれアルキル基であり、好ましくは、RおよびRがそれぞれメチルである;およびR”が、アルキル、アリール、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、アルキルアリール、またはシクロアルキルであり、好ましくはR”がメチル基である、
化合物。
【請求項30】
前記化合物が、Z−異性体として存在する、請求項29に記載の化合物。
【請求項31】
前記化合物が、Z−およびE−異性体の混合物として存在する、請求項29に記載の化合物。
【請求項32】
R”がメチルであり、前記化合物が前記式(II−a)
【化26】

の構造で表される、請求項29に記載の化合物。
【請求項33】
前記式(V)
【化27】

の構造で表される請求項29に記載の化合物。
【請求項34】
R”がメチルであり、前記化合物が前記式(V−a)
【化28】

の構造で表される、請求項33に記載の化合物。
【請求項35】
その立体異性体を含む、前記式(III)の構造で表される化合物であって:
【化29】

Rが、(i)−NRであって、RおよびRがそれぞれアルキルであり、好ましくは、RおよびRがそれぞれメチルである;(ii)−ORであって、Rがアルキル、アリールまたはアルキルアリールである;または、(iii)アミン基、好ましくはNMeに変換可能な官能基;および
R”がアルキル、アリール、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、アルキルアリールまたはシクロアルキルである、好ましくは、R”がメチルである、
化合物。
【請求項36】
前記化合物が、光学活性の形態、好ましくはトレオ異性体として存在する、前記構造
【化30】

により表される、請求項35に記載の化合物。
【請求項37】
前記化合物がラセミ混合物として存在する、請求項35に記載の化合物。
【請求項38】
R”がメチルであり、前記化合物が、その立体異性体
【化31】

を含む前記式(III−a)の構造で表される、請求項35に記載の化合物。
【請求項39】
前記式(IV)の構造
【化32】

で表される、請求項35に記載の化合物。
【請求項40】
R”がメチルであり、前記化合物が、その立体異性体
【化33】

を含む前記式(IV−a)の構造で表される、請求項39に記載の化合物。


【公表番号】特表2013−515761(P2013−515761A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−546555(P2012−546555)
【出願日】平成22年12月26日(2010.12.26)
【国際出願番号】PCT/IL2010/001085
【国際公開番号】WO2011/080736
【国際公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(511224254)マピ ファーマ リミテッド (6)
【Fターム(参考)】