タンク設備及びその構築方法
【課題】タンクの開口部から内部に向かって物品の一部又は全部を装填する際、その被装填物の一部又は全部の重量を、既設タンクに負担を掛けることなく支持することを可能にするタンク設備を提供する。
【解決手段】タンク設備1は、開口部3を備えたタンク2と、前記開口部から前記タンクの内部に向かって一部又は全部が装填される被装填物6と、該タンクの外部又は周囲に存在する基盤4上に設置され、前記被装填物の一部又は全部の重量を支持する重量支持部材5とを具備する。
【解決手段】タンク設備1は、開口部3を備えたタンク2と、前記開口部から前記タンクの内部に向かって一部又は全部が装填される被装填物6と、該タンクの外部又は周囲に存在する基盤4上に設置され、前記被装填物の一部又は全部の重量を支持する重量支持部材5とを具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンク、特に既設タンクを利用したタンク設備を及びこの設備を構築する方法に関する。当該設備におけるタンクの使用目的又は設置目的は、そのタンク本来の(又は設置当初の)使用目的又は設置目的であっても、別の又は新たな目的であってもよい。
【背景技術】
【0002】
タンクを利用して何らかの設備を構築する技術の典型例は、タンクの外部に補強材を設置する、タンクが設置されている基盤を強化するなどの作業を通じて行われるタンクの改修又は補強に係る技術である(特許文献1〜9)。これらの技術では、設備の構築作業(要するに改修又は補強)の前後で、タンクの使用目的又は設置目的は変わらない。他にも、建築物基礎部の既設ピット部に補修、断熱処理等を施し、管路を形成して全体として蓄熱槽を構築する例も知られている(特許文献10、非特許文献1)。これは、設備の構築作業の前後で、タンクの使用目的又は設置目的が変わる例といえる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-61965号公報
【特許文献2】特開昭64-84891号公報
【特許文献3】特開平9-156688号公報
【特許文献4】特開2006-168799号公報
【特許文献5】特開平10-194383号公報
【特許文献6】特開平3-36374号公報
【特許文献7】特公平5-14046号公報
【特許文献8】特開昭61-72125号公報
【特許文献9】特開2008-231891号公報
【特許文献10】特許第3961477号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】「I.世界貿易センタービルにおける蓄熱システムの構築と運転−遊休ピットを有効活用した水蓄熱システムの実現」(電設技術、平成15年12月号、3-10頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、タンクを利用して設備を構築しようとする際、タンクの開口部から内部に向かって、何らかの目的を達成するための物品(例えば物質移動を行うための配管、物質の撹拌を行うための撹拌装置、物質の性質を測定するための計測機器、それらの位置決めを行う保持部材)の一部又は全部を装填する必要に迫られる場合がある。この場合、これらの被装填物には、その一部であれ全部であれ、それぞれに固有の重量があるので、当該被装填物の一部又は全部の重量をタンクに負担を掛けることなく支持するための格段の工夫が必要になる。なぜなら、タンクの中には、時間の経過により強度が劣化しているもの、物品の一部又は全部が内部に装填されることを前提に設計されていないもの、物品の一部又は全部が装填されることを前提に設計されているとしても、設計時の想定を超える重量を支持可能なほどの強度になるように設計されていないものがあり得るからである。
【0006】
しかし、上記の従来技術では、タンクの開口部から内部に向かって、何らかの目的で物品の一部又は全部を装填するというケース自体が射程外であるか、射程内であっても、その被装填物の一部又は全部の重量を、タンクに負担を掛けることなく支持するという課題や解決手段などの技術的事項が具体的に想定されていない。
【0007】
本発明は、以上の事情に鑑みてなされたものであり、タンクの開口部から内部に向かって物品の一部又は全部を装填する際、その被装填物の一部又は全部の重量を、タンクに過度の負担を掛けることなく支持することが可能なタンク設備(換言すればタンクに掛かる重量負荷が軽減される設備)自体及びその構築方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための、本発明のタンク設備の第1の形態は、タンクを利用して構成される設備であって、開口部を備えたタンクと、前記開口部から前記タンクの内部に向かって一部又は全部が装填される被装填物と、該タンクの外部又は周囲に存在する基盤上に設置され、前記被装填物の一部又は全部の重量を支持する重量支持部材とを具備することを特徴とする。
【0009】
なお、「前記被装填物の重量の全部・・・が、前記重量支持部材で支持されている」とは、被装填物の全部の重量が重量支持部材のみにより支持され、タンクにより支持されることがないことを意味している。これに対し、「被装填物の重量の・・・一部が、重量支持部材で支持されている」とは、被装填物の一部の重量が重量支持部材のみにより支持され、当該一部の重量がタンクにより支持されることがないことを意味しているので、被装填物のうち当該一部を除いた残部の一部又は全部の重量が、タンク及びその他の重量支持手段のうち少なくともいずれか一方により支持されていることが、その意味に含まれることになる。それ故、被装填物の重量の一部がタンクにより支持されていても、「被装填物の重量の・・・一部が、重量支持部材で支持されている」ことに該当する場合がある。
【0010】
本発明の第2の形態は、第1の形態に係る設備であって、前記タンクの開口部を封じ又は閉じる蓋部材を更に備えることを特徴とする。
【0011】
本発明の第3の形態は、第2の形態に係る設備であって、前記蓋部材の一部又は全部の重量が、前記重量支持部材で支持されていることを特徴とする。
【0012】
本発明の第4の形態は、第3の形態に係る設備であって、前記蓋部材の近傍又は周辺に別の部材を更に設け、この別の部材の一部又は全部の重量が、前記重量支持部材で支持されていることを特徴とする。
【0013】
本発明の第5の形態は、第1乃至第4のうちいずれかの形態に係る設備であって、当該タンクが既設タンクであることを特徴とする。
【0014】
本発明の第6の形態は、複数個の構造単位を備え、各構造単位が、開口部を備えたタンクと、前記開口部から前記タンクの内部に向かって一部又は全部が装填される被装填物と、該タンクの外部又は周囲に存在する基盤上に設置され、前記被装填物の一部又は全部の重量を支持する重量支持部材とを具備することを特徴とする。
【0015】
本発明の第7の形態は、第6の形態に係る設備であって、前記複数個の構造単位のうち少なくとも一つが具備するタンクが、既設タンクであることを特徴とする。
【0016】
本発明の第8の形態は、タンクを利用して構成される設備の構築方法であって、タンクの外部又は周囲に存在する基盤上に重量支持部材を設置する工程と、前記タンクの開口部から内部に向かって一部又は全部が装填される被装填物の一部又は全部の重量を、前記重量支持部材で支持する工程とを備えたことを特徴とする。
【0017】
なお、「被装填物の重量の全部・・・を、前記タンクの外部又は周囲に存在する基盤上に設置された重量支持部材で支持する」とは、被装填物の全重量を重量支持部材のみにより支持し、タンクにより支持しないことを意味している。これに対し、「被装填物の重量の・・・一部を、前記タンクにより支持することなく、前記タンクの外部又は周囲に存在する基盤上に設置された重量支持部材により支持する」とは、被装填物の一部の重量を重量支持部材のみにより支持し、当該一部の重量をタンクにより支持しないことを意味しているので、被装填物の重量のうち当該一部を除いた残部の一部又は全部を、タンク及びその他の重量支持手段のうち少なくともいずれか一方により支持することが、その意味に含まれることになる。それ故、被装填物の重量の一部をタンクにより支持することが、「被装填物の重量の・・・一部を、前記タンクの外部又は周囲に存在する基盤上に設置された重量支持部材により支持する」ことに該当する場合がある。
【0018】
本発明の第9の形態は、第8の形態に係る設備の構築方法であって、前記タンクの開口部を蓋部材により封じ又は閉じる工程を更に有することを特徴とする。
【0019】
本発明の第10の形態は、第9の形態に係る設備の構築方法であって、前記蓋部材の一部又は全部の重量を、前記重量支持部材で支持する工程を更に有することを特徴とする。
【0020】
本発明の第11の形態は、第10の形態に係る設備の構築方法であって、前記蓋部材の近傍又は周辺に別の部材を更に設け、この別の部材の一部又は全部の重量を前記重量支持部材で支持する工程を備えたことを特徴とする。
【0021】
本発明の第12の形態は、第8乃至第11のうちいずれかの形態に係る設備の構築方法であって、当該タンクが既設タンクであることを特徴とする。
【0022】
本発明の第13の形態は、タンク設備の構築方法であって、開口部を備えたタンクと、前記開口部から前記タンクの内部に向かって一部又は全部が装填される被装填物と、該タンクの外部又は周囲に存在する基盤上に設置され、前記被装填物の一部又は全部の重量を支持する重量支持部材とを具備する構造単位を一個又は複数個備えるタンク設備に、前記構造単位を少なくとも一個増設することにより、より大きなタンク設備にすることを特徴とする。
【0023】
(用語の定義及び解釈)
なお、本発明の特許請求の範囲、明細書及び図面の記載において、次に掲げる用語の定義及び解釈は、別段の定義又は解釈が設定されている場合を除き、以下のとおりとする。
【0024】
(1) 「タンク」とは、内部に何らかの物質を収容又は格納可能な内部空間を備える容器、装置その他の物品をいう。
(2) 「既設タンク」とは、現に設置されているタンクをいう。それ故、現に設置されているものである限り、内部に何らかの物質を格納する内部空間を備えるように設計されていると否とに拘らず、結果として内部に何らかの物質を格納可能な内部空間を備えるに至っている物品であれば、「既設タンク」に該当する。
(3) 「開口部」とは、タンクの内部と外部とを連結又は連通する開放部分をいい、タンクの設置当初からそのタンクに設けられていたもののみならず、設置後の必要に応じて新設されたものも「開口部」に該当する。
(4) 「設備」とは、ある目的の達成に必要なものを備え付けられたものをいう。その「ある目的」とは、設備の使用目的又は設置目的の意であり、その語義に特に制限はない。従って、この「ある目的」は、タンク本来の使用目的又は設置目的と同じであっても異なっていてもよい。「ある目的の達成に必要なもの」は、タンクそれ自体である場合もあれば、そうでない場合もある。尤も、「タンクを利用して」構築される「設備」においては、タンクは不可欠な構成要素となることは言うまでもない。
(5) 「基盤」とは、タンクの外部又は周囲において重量支持部材の設置を可能ならしめる建築物、構造物等の基礎部分をいい、その限りにおいて、地盤である必要はなく、水平の主面を有する必要もない。「基盤」は、タンクの設置のために形成された既存の基盤であれば足りるものの、その既存の基盤を更に強化した部分であってもよく、新たな基盤として追加的に形成した部分(例えば地盤基礎改良処理により形成した基盤)であってもよい。
(6) 「被装填物」とは、何らかの目的を達成するために、タンクの開口部から内部に向かって、一部又は全部が装填される物品をいう。この「何らかの目的」は、文字通りの意味であり、タンクの使用目的又は設置目的と同じ目的である場合もあれば、それと異なる目的である場合もある。
(7) 「重量支持材」は、タンクの外部又は周囲に存在する基盤上に設置されるとともに、被装填物の一部又は全部の重量を支持する部材である。なお、「基盤上に設置される」とは、ある部材が、基盤の上に直接設置されることのみを意味するものではない。ある部材が、基盤の上に間接的に(例えば別の部材、部品等の物品を介して)設置されることや、一部を基盤に埋没させ、残部を当該基盤から露出させているために、基盤の上に直接又は間接的に設置されているような外形となることも、「基盤上に設置される」に該当する。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、タンクを利用して設備を構築しようとする際、タンクの開口部から内部に向かって物品の一部又は全部を装填するときに、その被装填物の一部又は全部の重量が、タンクにより支持されることなくタンクの外部に存在する基盤上に設置した重量支持部材に支持される。それ故、その被装填物の一部又は全部の重量の負担がタンクに掛からない、換言すればタンクに掛かる重量負荷が軽減される設備及びその構築方法を実現することができる。
【0026】
より具体的には、本発明によれば、例えば、タンクの強度が時間の経過により劣化していても或いは、タンクが、物品の一部又は全部が内部に装填されることを前提に設計されていなくても又は設計時の想定を超える重量を支持可能なように設計されていないものであっても、当該タンクを利用した設備及びその構築方法を実現することができる。
【0027】
また、重量支持部材は、タンクの強度を補う部材、即ち補強材を兼ねる部材又はその補強材に連結する部材であることが望ましい。重量支持部材がタンクの補強材を兼ねる部材又はその補強材に連結する部材であるということは、本発明に係る設備の構築と同時に、タンクの改修又は補強も実現できることを意味している。タンクの改修又は補強の際に、本発明に係る設備を構築することができれば、それは合理的又は効率的であるといえる。
【0028】
以上は、本発明の各形態に共通する効果であるが、特定の形態に固有の効果は以下のとおりである。
本発明の第2及び第9の形態によれば、被装填物の一部又は全部が内部に装填されたタンクの開口部が蓋部材により封じられる又は閉じられるので、タンクの内部の外気への露出や、その内部への塵埃の移動を防止又は抑制することができ、設備の動作の健全性を維持することができる。
【0029】
本発明の第3、第4及び第10、第11の形態によれば、被装填物の一部又は全部が内部に装填されたタンクの開口部を封じる又は閉じる蓋部材又はその近傍又は周辺の別部材の一部又は全部の重量も、重量支持部材により支持されるので、蓋部材やその近傍又は周辺の別部材の一部又は全部の重量の負担も、タンクに掛からない設備及びその構築方法を実現することができる。このような効果は、タンクの開口部を封じる又は閉じるという役割を追求して設計した結果、蓋部材やその近傍又は周辺の機器や装置の重量が増してしまった場合に特に有益である。そのように重量が増してしまっても、これらの形態によれば、増加した重量がタンクに過度に掛かる事態を回避でき、その分、蓋部材やその近傍又は周辺の機器や装置の設計の自由度が高まるからである。
【0030】
本発明の第5、第7及び第12の形態において、少なくとも一つのタンクは既設タンクである。既設タンクは、タンクの強度の経時的劣化が顕著であり、物品の一部又は全部が内部に装填されることを前提に設計されていないものも多く、また、そのように設計されていたとしても、通常、想定以上の重量に耐えられるように設計されていない。それ故、この第5、第7及び第12の形態によれば、上記の本発明の各形態に共通する効果及び特定の形態に固有の効果は、より強調され、顕著又は有益となる。
【0031】
本発明の第13の形態において、タンク設備は、被装填物の一部又は全部の重量を支持する重量支持部材を具備する構造単位を一個又は複数個備えているので、構造単位を増設してタンク設備をより大きくすることを容易におこなうことができ、構造単位を増設したタンク設備においても同様に本発明のタンク設備の効果を発揮することができる。
【0032】
本発明のその他の形態が奏する効果については、本発明の実施形態又は実施例において説明する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明にかかるタンク設備の一実施態様を示す説明図。
【図2】本発明にかかるタンク設備の他の実施態様を示す説明図。
【図3】本発明にかかるタンク設備の他の実施態様を示す説明図。
【図4】本発明にかかるタンク設備の他の実施態様を示す説明図。
【図5】本発明にかかるタンク設備の他の実施態様を示す説明図。
【図6】本発明にかかるタンク設備の構築方法の実施態様を示す説明図。
【図7】本発明にかかるタンク設備の構築方法の他の実施態様を示す説明図。
【図8】本発明にかかるタンク設備の他の実施態様を示す説明図。
【図9】本発明にかかるタンク設備の構築方法の他の実施態様を示す説明図。
【図10】本発明にかかるタンク設備の別の実施態様を示す説明図。
【図11】本発明にかかるタンク設備の別の実施態様を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、実施形態又は実施例により本発明を詳細に説明する。その際、必要に応じて図表を参照しつつ説明するが、各図表において同じ部分又は相当する又は共通する部分にはこれと同じ符号を付し、一部の説明を省略する。いうまでもなく、本発明は、図面に記載された実施の形態や実施例に限定されない。
【0035】
−本発明に係るタンク設備について−
【実施例1】
【0036】
図1は、本発明にかかるタンク設備の一実施態様を示す説明図である。
【0037】
なお、この図では、既設タンク、重量支持部材などの各構成要素の縮尺比は、現実のそれとは異なる。図中、各構成要素は、図を見る者による理解の便のため、敢えて強調的に描写されている(このことは、図2〜5、図8,10、11においても同様である)。
【0038】
このタンク設備1は、開口部3を備える既設タンク2と、既設タンク2の外部又は周囲に存在する基盤4上に設置された重量支持部材5(5a、5b)と、開口部3から既設タンク2の内部2aに向かって一部又は全部が装填された被装填物6(61,62)とを備えている。被装填物6は、固定手段7(71、72)により重量支持部材5に固定され、これにより被装填物6の一部又は全部の重量が、既設タンク2により支持されることなく、重量支持部材5により支持される。
【0039】
既設タンク2は、何らかの使用目的又は設置目的のために現に設置されているタンクであり、その典型例は、現に設置されている、水蓄熱槽、化学反応用又は混合用の撹拌槽、汚泥処理槽などである。
【0040】
なお、上記の典型例はいずれも、何らかの物質を積極的に収容するために設置された物品である。しかし、何らかの物質を積極的に収容するために設置された物品とはいえなくても、内部に何らかの物質を格納可能であれば、既設タンク2に該当し得ることは、「既設タンク」の定義及び解釈から明らかである。
【0041】
開口部3は、既設タンク2の内部2aと外部とを連結又は連通するものである。開口部3は、既設タンク2の設置当初から、その既設タンク2に設けられていたものであっても、設置後の必要に応じて新設したものであってもよい。例えば、設置当初の開口部の位置、大きさ、形状等が本発明に係る設備の構築のために不都合であるとき、その不都合を解消する必要から、既設タンク2の適当な位置に、適当な大きさ、形状等の開口部を新設することになる(設置当初の開口部については、状況が許せばこれを放置し、適当な方法でこれを封止してもよい)。こうして新設される開口部は、開口部3に該当する。
【0042】
基盤4は、既設タンク2の外部又は周囲において重量支持部材5の設置を可能ならしめるものである。基盤4は、既設タンク2の設置のために形成された既存の基盤と同じものであれば足りるが、その既存の基盤を更に強化した部分であってもよく、新たな基盤として追加的に形成した部分であってもよい。
【0043】
なお、既設タンク2は、既設タンク2の設置のために形成された既存の基盤上に、タンク設置用台座4aを介して設置されている。
重量支持材5は、既設タンク2の外部又は周囲に存在する基盤4上に設置されるとともに、被装填物6の一部又は全部の重量を支持する部材であり、2本の鉛直材5aと1本の水平材5bで構成されている。重量支持部材5は、被装填物6の一部又は全部の重量を支持するに足る構造を有することが必要である。それ故、2本の鉛直材5aと1本の水平材5bで構成されるだけでは重量支持材5全体として強度が不十分である場合には、鉛直材5aと水平材5bとの間に斜方材(図示せず)を介設する、鉛直材5aの数を増やし、それに応じて水平材5bや斜方材の数も増やす、などの必要な改善措置を講じるとよい。
【0044】
被装填物6は、その一部又は全部が開口部3から既設タンク2の内部2aに向かって装填される物品である。この図1では、被装填部材6として撹拌装置61と配管62が描かれているが、これは、被装填部材6をこれらの2種類のいずれか一方又は両方に限定する意図ではなく、単なる例示に止まる。また、この図1では、各被装填物61、62が、水平材5bを貫通しているように描かれているが、貫通している必要はない。
【0045】
撹拌装置61は、撹拌翼と、撹拌翼に回転力を伝達する回転軸と、回転軸を回転駆動させる駆動モータを備え、撹拌翼と撹拌翼が取り付けられている側の回転軸のかなりの部分が既設タンク2の内部2aに装填されている。撹拌装置61は、主として駆動モータ部分が水平材5bに固定されている。この結果、撹拌装置61では、その全部又は略全部の重量が重量支持部材5により支持されることになる。
【0046】
一方、配管62は、鉛直配管62aとこれと連通する水平配管62bとを備え、鉛直配管62aの開口端側のかなりの部分が既設タンク2の内部2aに装填されている。水平配管62bは、別の固定手段(図示せず)により支持されているので、配管62の一部(特に鉛直配管62a)の重量が水平材5bに掛かることになる。それ故、配管62は、その一部の重量が重量支持部材5により支持されることになる。
【0047】
鉛直配管62a、水平配管62b及び両配管の連結部は、配管62により目的物質の流通を実現できる限り(要するに配管62により所与の目的を達成できる限り)、いかなるの構成、寸法、材質、連結方法等であってもよい。
配管62には、少なくとも鉛直配管62aを昇降動作させる昇降装置(図示せず)が付随していてもよく、その昇降装置を、更に別の固定手段(図示せず)により水平材5bに固定することにより、昇降装置の一部又は全部の重量を重量支持部材5により支持されるようにしてもよい。
【0048】
固定手段7は、被装填物6を重量支持部材5の適所に固定する手段(部材、器具、装置等)である。固定手段7が被装填物6を重量支持部材5に固定する手法には、特に制限はなく、溶接による固着やボルト−ナットの螺合を始めとする公知の手法を、状況と必要に応じて任意に採用することができる。固定手段7は、タンク設備1(特に被装填物6)の保守点検作業を容易にするために、被装填物6を重量支持部材5に着脱可能又は着脱自在に固定するものであってよい。
この図1では、固定手段7は、撹拌装置61の主として駆動モータ部分を水平材5bに固定する手段71と、鉛直配管62aを水平材5bに固定する手段72である。
【0049】
以上のように構成されるタンク設備1では、開口部3から既設タンク2の内部2aに向かって一部又は全部が装填された物品、即ち各被装填物61、62の一部又は全部の重量が、既設タンク2に支持されることなく、且つ、既設タンク2の外部又は周囲に存在する基盤4上に設置された重量支持部材5により支持される。それ故、タンク設備1の既設タンク2には、被装填物6の一部又は全部の重量の負担が掛からないものとなる。
より具体的には、例えば、時間の経過により強度が劣化していている既設タンク2或いは、物品の一部又は全部が内部に装填されることを前提に設計されていない又は設計時の想定を超える重量を支持可能なようには設計されていない既設タンク2を利用したタンク設備1であっても、当該既設タンク2には被装填物6の重量が過剰に掛からないものとなる。
【実施例2】
【0050】
図2は、本発明にかかるタンク設備の他の実施態様を示す説明図である。図1に示された実施態様と同じ構成機器には同一符号を付して説明を省略し、異なる点を中心に説明する。
【0051】
このタンク設備1は蓋部材8を備えている。蓋部材8は、被装填物6である配管62の一部又は全部が内部2aに装填された既設タンク2の開口部3を封じる又は閉じる部材である。ここで「封じる又は閉じる」と表現しているのは、既設タンク2の内部2aの封止の程度を厳格には問わないことを意図したものである。タンク設備1やタンク設備1における既設タンク2の使用目的又は設置目的により蓋部材8に期待される役割は変わる。比較的大きな塵埃が外部から内部2aに入り込まないようにすることが蓋部材8に期待される役割であれば、蓋部材8により開口部3を厳格に封止するまでもない。しかし、比較的小さな塵埃が外部から内部2aに入り込まないようにすることや、内部2aに収容される物質が外部に向かって配管62のみを通じて移動するようにすること(従って開口部3を通じて外部に放散しないようにすること)が蓋部材8に期待される役割であれば、開口部3及び鉛直配管62aと蓋部材8との隙間を残さないほどに、蓋部材8とにより厳格に封止する必要がある。これらのような、蓋部材8に期待される種々の役割相応の内部2aの密封の程度や違いを包括して、「封じる又は閉じる」と表現している。
【0052】
蓋部材8は、それに期待される役割が充足されるものである限り、いかなる構造、寸法、材質、封止機構等であってもよい。例えば、蓋部材8は、複数個の部材から一体物に構成可能で、且つ、当該複数の部材に分割可能に構成されていてもよい。
【0053】
蓋部材8の近傍又は周辺の別の部材(換言すれば、蓋部材8とは別の部材であって、蓋部材8の近傍又は周辺にあるもの)9に相当するものが、懸架手段9aと遮蔽手段9bである。懸架手段9aは、蓋部材8の外縁部において、蓋部材8と係合する手段(部材、器具、装置等)であり、主として水平材5bから蓋部材8を懸架することを目的として設置される。
【0054】
遮蔽手段9bは、蓋部材8を取り囲むように配置して、既設タンク2の内部2aと外部とを遮断する手段部材、器具、装置等)であり、例えば外部から既設タンク2の内部2aに塵埃が入り込むことを防止又は抑制することを目的として設置される。
【0055】
懸架手段9aは、蓋部材8と係合する結果、十分近接して配置することになるので、「蓋部材の近傍の(蓋部材とは)別の部材」に該当する。遮蔽手段9bは、蓋部材8と直接接触してはいないものの、これを取り囲むように配置する結果、近接して配置することになるので、「蓋部材の周辺の(蓋部材とは)別の部材」に該当する。
【0056】
懸架手段9aは、蓋部材8の一部又は全部の重量並びに懸架手段9a自体の重量の一部又は全部が重量支持部材5により支持されるようにするための手段なので、その目的が達成可能である限り、いかなる構造、材質、懸架方法等であってもよい。遮蔽手段9bは、例えば外部から既設タンク2の内部2aに塵埃が入り込むことを防止又は抑制することを目的として設置される手段であるので、その使用目的又は設置目的が達成可能である限り、いかなる構造、材質、取り付け方法等であってもよい。それ故、遮蔽手段9bの重量の一部を既設タンク2により支持されるように取り付けてもよい。
【0057】
また、必要に応じて、懸架手段9aにより蓋部材8を懸架することなく(従って懸架手段9aを設けることなく)、蓋部材8の重量の全部を既設タンク2により支持されるようにしてもよく、このとき同時に遮蔽手段9bを設置しても設置しなくてもよい。
【0058】
遮蔽手段9bは、遮蔽機能を果たす部分と当該部分を懸架する部分とが一体的に構成されているが、両部分を別々の部材又は部品として構成してもよい。
蓋部材8及び遮蔽手段9bの一方により他方の機能を代替できる場合には、当該他方の設置を省略してもよい。
固定手段7のうち、固定手段73は、蓋部材8を重量支持部材5(特にその水平材5b)から懸架する懸架手段9aを、水平材5bに固定するための手段であり、固定手段74は、遮蔽手段9bの一部を水平材5bに固定するための手段である。固定手段73により懸架手段9aが水平材5bに固定される結果、蓋部材8の一部又は全部の重量並びに懸架手段9a自体の重量の一部又は全部が重量支持部材5により支持される。また、固定手段74により遮蔽手段9bの一部が水平材5bに固定される結果、遮蔽手段9bの重量の一部又は全部が重量支持部材5により支持される。
【0059】
タンク設備に昇降装置(図示せず)を設けて、懸架手段9a、従って蓋部材8を昇降させ、これにより開口部3の開閉を行うようにしてもよく、この場合、当該昇降装置の一部又は全部の重量を重量支持部材5により支持するようにしてもよい。また、昇降装置(図示せず)を設けて、遮蔽手段9bの昇降又は開閉させるようにしてもよく、この場合、当該昇降装置の一部又は全部の重量を重量支持部材5により支持するようにしてもよい。
【0060】
以上のように構成されるタンク設備1では、開口部3から既設タンク2の内部2aに向かって一部又は全部が装填された物品、即ち被装填物(配管)62の一部又は全部の重量並びに蓋部材8又はその近傍又は周辺の(蓋部材8とは)別の部材9の一部又は全部の重量が、既設タンク2に支持されることなく、且つ、既設タンク2の外部又は周囲に存在する基盤4上に設置された重量支持部材5により支持される。それ故、タンク設備1は、被装填物6並びに蓋部材8又はその近傍又は周辺の別の部材9の一部又は全部の重量の負担が既設タンク2に掛からないものとなる。
【0061】
より具体的には、例えば、時間の経過により強度が劣化していている既設タンク2或いは、物品の一部又は全部が内部に装填されることを前提に設計されていない又は設計時の想定を超える重量を支持可能なようには設計されていない既設タンク2を利用したタンク設備1であっても、被装填物6並びに蓋部材8及びその近傍又は周辺の別の部材7の重量が、当該既設タンクに過剰に掛からないものとなる。
【実施例3】
【0062】
図3は、本発明に係るタンク設備の他の実施例を示す説明図である。以下、図1及び2に示す実施態様と異なる点を焦点に当てて説明する。
【0063】
この実施態様のタンク設備では、被装填物として配管62、計測装置63を備えている。配管62は、その先端(タンク2内に装填される側の先端)に拡散装置(デフューザ)62cを備える。計測装置63は、例えば、タンク2内に収容される物質の温度、濃度、流速その他のパラメータを計測するための装置である。
【0064】
重量支持部材5が設置される予定の位置及びその周辺の基盤4には、必要に応じて、重量支持部材5の重量を基盤4により支持するに足る基礎強化部4bが設けられる。
【0065】
タンク設備1の水平材5bには装填補助部材10が取り付けられている。 この装填補助部材10は、被装填物6(62、63)の一部又は略全部が開口部3を通じて既設タンク2の内部2aに装填されるように取り付けることを補助する役割を果たす部材であり、より具体的には、開口部3を通じてタンク2内に入り、タンク内部2aの空間途中(すなわちタンク2の内部底面に到達しない位置)まで延垂又は懸架される部材である。この装填補助部材10は、配管62及び計測装置63の一部又は全部がタンク内部2aに装填される際に、その装填を容易又は確実ならしめる機能を有する。この機能を有する限り、装填補助部材10の構造、形状、寸法、材質などは問わない。因みに、装填補助部材10の構造の典型例は、管状体、網状体、骨材の組み合わせなどが典型例であり、その材質としては(タンク2に収容される物質の性質にもよるが)ステンレス鋼を採用できる。
【0066】
装填補助部材10が、水平材5aから延垂又は懸架されて到達するタンク内部2aの空間途中の位置は、タンク2に収容された物質の最上面(当該物質が液体である場合には、タンク2上方の気相と液相との境界面)と同じ、或いは当該最上面よりも上又は下のいずれであってもよい。
前記配管62及び計測装置63は、その一部又は全部が、水平材5bに取り付けられ、内部2aの空間途中まで延垂又は懸架される装填補助部材10に沿って、タンク内部2aに装填される。このとき、配管62及び計測装置63は、それぞれ、上下2箇所で、固定手段75、76により、装填補助部材10に固定され、これにより、タンク内部2aに位置決めされる。被装填部材である配管62及び計測装置63は、3個以上の固定手段を用いることにより、3箇所以上で、装填補助部材10に固定され、位置決めされていてもよい。固定手段75、76及びその他(3個目以上の)固定手段は、被装填部材(この実施態様では配管62及び計測装置63)を装填補助部材10に固定し、位置決めするという目的を達成できれば、いかなる固定機構を採用するものであってもよく、その構造、形状、寸法、材質等にも特に制限はない。
【0067】
タンク2には蓋部材8が取り付けられている。この蓋部材8は、配管62及び計測装置63の一部又は全部が内部2aに装填されたタンク2の開口部3を封じる又は閉じる部材である。(なお、「封じる又は閉じる」の意味は、実施例2において説明したとおりである)。装填補助部材10と被装填物6との間の隙間を封じる又は閉じるためには、蓋部材8の形状が多少複雑になる。このような場合には、固定手段75に蓋部材8の機能を持たせて、装填補助部材10と被装填物6との間の隙間を封じる又は閉じるようにしてもよい。この場合、蓋部材8の重量は、装填補助部材10と被装填物6との間の隙間を封じる又は閉じる部分が不要になる分だけ軽くなる。
【0068】
タンク2と水平材5bとの間には懸架手段9aが設けられている。この懸架手段9aは、棒状又は線状(若しくは撚線状)の部材と、一方端に水平材5bへの取り付けを可能にする第1の機構と、他方端に蓋部材8への取り付けを可能にする第2の機構とを備えることにより、蓋部材8が水平材5bから懸架される状態を実現する手段である。当該部材は、蓋部材8が水平材5bから懸架される状態にあるときであると否とに拘らず、第1の機構と第2の機構との間の距離の伸長・短縮を可能にする距離調節機構(図示せず)を備えている。この距離調節機構により、水平材5bと蓋部材8との間の距離又はタンク2にかかる蓋部材8の重量の程度を調節することができるので、このタンク設備1のタンク2には、蓋部材8の一部又は全部の重量の負担が掛からないものとなる。
【0069】
以上のように構成されるタンク設備1では、被装填物6の重量が、固定手段75、76等を介して装填補助部材10に、装填補助部材10を介して水平材5aに掛かることになるので、タンク2に掛かることがない。被装填物6の重量がタンク2に伝わることがあるとすれば、装填補助部材10と蓋部材8との接触抵抗により、被装填物6の重量の一部が蓋部材8に伝わり、タンク2に掛かる場合に止まる。それ故、このタンク設備1では、被装填物6の全部又は殆ど全部の重量並びに蓋部材8の一部又は全部の重量が、タンク2に支持されることなく、且つ、タンク2の外部又は周囲に存在する基盤4上に設置された重量支持部材5により支持される。また、装填補助部材10は、蓋部材8の近傍又は周辺の別の部材9と考えることができるので、タンク設備1は、被装填物6の全部又は殆ど全部の重量、蓋部材8の一部又は全部の重量及び蓋部材8の近傍又は周辺の別の部材9の全部又は殆ど全部の重量の負担がタンク2に掛からないものとなる、ともいえる。更に、固定手段75に蓋部材8の機能を持たせて、装填補助部材10と被装填物6との間の隙間を封じる又は閉じるようにする場合には、蓋部材8の重量を、装填補助部材10と被装填物6との間の隙間を封じる又は閉じる部分の分だけ、軽くすることができるので、タンク2が受ける蓋部材8からの重量負荷をより軽減することができる。この場合、タンク2が受ける蓋部材8からの重量負荷がどの程度軽減されるかは、上記の距離調節機構による調節の仕方次第であるので、その調整により、タンク設備1は、被装填物6及び蓋部材8の重量の全部又は殆ど全部、或いは、被装填物6並びに蓋部材8及びその近傍又は周辺の別の部材9の全部又は殆ど全部の重量の負担がタンク2に掛からないものになる。
【0070】
従って、例えば、時間の経過による強度の劣化が比較的大きい既設タンク2或いは、物品の一部又は全部が内部に装填されることを前提に設計されていない又は設計時の想定を超える重量を支持可能なようには設計されていない既設タンク2を利用したタンク設備1であっても、被装填物6及びその近傍又は周辺の部材の重量が当該既設タンク2に全く又は殆ど全く掛からないものとなる。
【実施例4】
【0071】
図4は、本発明に係るタンク設備の他の実施例を示す説明図である。以下、原則として、図1、2及び3に示された実施の態様と異なる部分について説明し、共通する部分についての説明は省略する。
この図4に示されたタンク設備1は、装填補助部材10としての端部支持部材10aを配管62の先端付近に備えており、この端部支持部材10aは、その下部がタンク2の内部2aの底面に当接されているという特徴を有している。但し、このタンク設備1は、図3に示されたものと異なり、被装填物6としての計測装置63を備えておらず、被装填物6としての配管62の先端に拡散装置(デフューザ)62aを備えていない。
【0072】
この実施態様に係る配管62は、端部支持部材10aにより先端付近が支持されているので、このような支持がない場合に比して、タンク2に対して、その内部2aにおいてより安定的に位置決めされる。
【0073】
端部支持部材10aの下部をタンク2の内部2aの底面に当接させるためには、当該底面がその当接に耐え得るだけの強度を有している必要がある。それ故、タンク2が新設タンクである場合には、その強度設計を、端部支持部材10aをタンク2の内部2aの底面に当接させても支障がないように行い、設置タンク2が既設タンクである場合には、その強度評価の結果、端部支持部材10aをタンク2の内部2aの底面に当接させても支障が生じないと認められるときに、図4に示された設備構造(端部支持部材10aをタンク内の底面に当接させる構造)を採用する。
【0074】
タンク2が既設タンクであると否とに拘らず、配管62又は装填補助部材10(延いてはタンク2外の構造物5a、5bなど)とタンクの内部2aの底面との間で衝撃力が伝達されないようにするために、例えば、端部支持部材10aをタンク2の内部2aの底面との間に衝撃力緩衝材を介在させる、端部支持部材10aと配管62の先端部とを互いに摺動自在にするなどの工夫を施すことが好ましい。
【0075】
この実施態様に係るタンク設備1では、図3に示されたものと同様に、被装填物6の重量が、固定手段75、76等を介して装填補助部材10に、装填補助部材10を介して水平材5aに掛かり、タンク2に掛かることがない。このため、被装填物6の全部又は殆ど全部の重量並びに蓋部材8の一部又は全部の重量が、タンク2に支持されることなく、且つ、タンク2の外部又は周囲に存在する基盤4上に設置された重量支持部材5により支持される。また、タンク2には、被装填物6の全部又は殆ど全部の重量、蓋部材8の一部又は全部の重量及び蓋部材8の近傍又は周辺の別の部材9の全部又は殆ど全部の重量の負担が掛からないものとなる。更に、固定手段75に蓋部材8の機能を持たせて、装填補助部材10と被装填物6との間の隙間を封じる又は閉じるようにする場合には、蓋部材8の重量を、装填補助部材10と被装填物6との間の隙間を封じる又は閉じる部分の分だけ、軽くすることができるので、タンク2が受ける蓋部材8からの重量負荷をより軽減することができる。
【0076】
従って、例えば、時間の経過による強度の劣化が比較的大きい既設タンク2或いは、物品の一部又は全部が内部に装填されることを前提に設計されていない又は設計時の想定を超える重量を支持可能なようには設計されていない既設タンク2を利用したタンク設備1であっても、被装填物6及びその近傍又は周辺の部材の重量が当該既設タンク2に全く又は殆ど全く掛からないものとなる。
【実施例5】
【0077】
図5は、本発明に係るタンク設備1の他の実施例を示す説明図である。以下、原則として、図1、2、3及び4に示された実施態様と異なる部分について説明し、共通する部分についての説明は省略する。
この図に示されたタンク設備1は、被装填物としての撹拌装置61を備え、また、装填補助部材10の先端の脚部10bが、タンク2の内部2aの底面まで到達し、タンク2の内部2aの底面に当接されているという特徴を有している。但し、このタンク設備1は、図3に示されたものと異なり、被装填物としての配管62及び計測装置63を備えていない。
【0078】
撹拌装置61の駆動モータは、装填補助部材10の上部に取り付けられた係止部10cにより、装填補助部材10からタンク2の内部2aに脱落しないように設置される。駆動モータにより回転駆動される回転軸は、装填補助部材10に取り付けられた上部支承部10eと下部支承部10fにより、回転自在に支持される。下部支承部10fの代わりに、図4に示された端部支持部材10aにより、ベアリングを介して回転軸の先端を回転自在に支持するようにしてもよい。
【0079】
タンク2の内部2aに収容された物質を撹拌装置61により撹拌する際に、装填補助部材10の存在が障害となる場合には、装填補助部材10の適所に適当数の開孔連通部10dを設けて、撹拌された物資の流通を容易ならしめる。
装填補助部材10の先端の脚部10bをタンク2の内部2aの底面に当接させることにより、装填補助部材10それ自体、延いては、固定手段75、76等を介して装填補助部材10に設置された撹拌装置61は、そのような当接がない場合に比して、タンク2に対して、その内部2aにおいてより安定的に位置決めされる。
【0080】
装填補助部材10の先端の脚部10bをタンク2の内部2aの底面に当接させるためには、当該底面がその当接に耐え得るだけの強度を有している必要がある。それ故、タンク2が新設タンクである場合には、その強度設計を、脚部10bをタンク2の内部2aの底面に当接させても支障がないように行い、設置タンク2が既設タンクである場合には、その強度評価の結果、脚部10bをタンク2の内部2aの底面に当接させても支障が生じないと認められるときに、図5に示された設備構造(脚部10bをタンク内の底面に当接させる構造)を採用する。
【0081】
タンク2が既設タンクであると否とに拘らず、装填補助部材10(延いては、撹拌装置63やタンク2外の構造物5a、5bなど)とタンクの内部2aの底面との間で衝撃力が伝達されないようにするために、例えば、脚部10bとタンク2の内部2aの底面との間に衝撃力緩衝材を介在させる、などの工夫を施すことが好ましい。
【0082】
このタンク設備1では、図3、4に示されたものと同様に、被装填物6の重量が、固定手段75、76等を介して装填補助部材10に、装填補助部材10を介して水平材5aに掛かる構成を採用している。この構成を採用することにより、被装填物6の重量が、タンク2に掛かることがないので、被装填物6の全部又は殆ど全部の重量並びに蓋部材8の一部又は全部の重量が、タンク2に支持されることなく、且つ、タンク2の外部又は周囲に存在する基盤4上に設置された重量支持部材5により支持される。また、被装填物6の全部又は殆ど全部の重量、蓋部材8の一部又は全部の重量及び蓋部材8の近傍又は周辺の別の部材9の全部又は殆ど全部の重量の負担がタンク2に掛からないものとなる。更に、固定手段75に蓋部材8の機能を持たせて、装填補助部材10と被装填物6との間の隙間を封じる又は閉じるようにする場合には、蓋部材8の重量を、装填補助部材10と被装填物6との間の隙間を封じる又は閉じる部分の分だけ、軽くすることができるので、タンク2が受ける蓋部材8からの重量負荷をより軽減することができる。
【0083】
従って、例えば、時間の経過による強度の劣化が比較的大きい既設タンク2或いは、物品の一部又は全部が内部に装填されることを前提に設計されていない又は設計時の想定を超える重量を支持可能なようには設計されていない既設タンク2を利用したタンク設備1であっても、被装填物6及びその近傍又は周辺の部材の重量が当該既設タンク2に全く又は殆ど全く掛からないものとなる。
【実施例6】
【0084】
図8は、本発明に係るタンク設備の他の実施例を示す説明図である。以下、原則として既述の実施態様と異なる部分について説明し、共通する部分についての説明は省略する。
【0085】
図8に示されたタンク設備1は、既設タンク2と、その内部2a(図示せず)に少なくとも一部が装填される被装填物6と、その被装填物6を支持する装填補助部材10とを備えている。装填補助部材10は水平材5b上に設置される。
水平材5bとこれと接合する垂直材5aとを備えてなる重量支持部材5は、基盤4上に台座兼用水平材4dを更に備える。台座兼用水平材4dは、既設タンク2の周囲に設置され、重量支持部材5を構成する際の台座として機能する。
被装填物6は、水平配管62bに垂直配管62aの一端が接続することにより両配管が概ねT字状をなすとともに、垂直配管62aを挟んだ水平配管62bの両側に遠隔又は手動操作可能なバルブ装置11を備える配管系である。
装填補助部材10は、被装填物6としての配管系のT字部又はその近傍を位置決めし、必要に応じてバルブ装置11も固定する部材である。この部材により、垂直配管62の一部又は略全部が開口部3(図示せず)を通じて既設タンク2の内部2aに装填されるように取り付けられる。図8では、被装填物6が一つしか描かれていないが、装填補助部材10には二つ以上の被装填物6が設置されていてもよい(例えば、図10に示された被装填物621、622参照)。
【0086】
なお、被装填物6の一部又は略全部が開口部3を通じて既設タンク2の内部2aに装填されるように取り付けることを補助する役割を果たす部材であるという点で、図8における装填補助部材10と図3における装填補助部材10とは同じである。しかし、図3における装填補助部材10が開口部3を通じてタンク2内に入り、タンク内部2aの空間途中まで延垂又は懸架される部材であるのに対し、図8における装填補助部材10が水平材5b上にのみ設置される部材である点で、両者は異なる。
【0087】
既設タンク2には蓋部材8が取り付けられている。この蓋部材8は、垂直配管62aの一部又は略全部が内部2aに装填された既設タンク2の開口部3(図示せず)を封じる又は閉じる部材である。(なお、「封じる又は閉じる」の意味は、実施例2において説明したとおりである)。蓋部材8は、重量支持部材5の適所に設けられた固定デッキ9cと接続する懸架手段9aにより、固定デッキ9cを介して重量支持部材5により支持される。
【0088】
既設タンク2の補強措置には、少なくともタンク内部に施すものとタンク外部に施すものとがあり、前者の例は、タンク内壁面のライニング処理であり、後者の例は、タンク外周の耐振補強工事である。タンク基礎の地盤強化も、広く捉えれば、後者の一例である。図8に示されたタンク設備1では、既設タンク2の補強措置として、基礎強化部4bの構築に加えて、タンク補強手段12の設置がなされている。タンク補強手段12は、既設タンク2の外周を囲むように設置された柱状部材12aと、柱状部材12aにより支持され、巻き付くように既設タンク2の外周に設置された胴周補強部材12bと、重量支持部材5との間隙を埋める間隙充填部材12cとを備えている。間隙充填部材12cは、振動や衝撃を吸収する機能(図示せず)を備えた部材であり、振動や衝撃を吸収する素材により形成された部材であってもよい。柱状部材12aの一部又は全部を鉛直材5aにより代用してもよい(その場合には、間隙充填部材12cの少なくとも一部の設置を省略することができる)。胴周補強部材12bとタック外周壁面との間に、振動や衝撃を吸収する素材により形成された部材(図示せず)を設けてもよい。
【0089】
既設タンク2には、補強措置以外の処理、例えば、既設ンク2の外壁面への断熱材の敷設を施してもよい。
この実施態様に係るタンク設備1では、装填補助部材10が水平材5b上に設置されることにより、被装填物6の重量の少なくとも一部が重量支持部材5により支持され、被装填物6の重量が既設タンク2に過度に掛かることがない。また、蓋部材8の重量の一部又は全部が、懸架手段9a及び固定デッキ9cを介して重量支持部材5により支持されるので、被装填物6の重量が既設タンク2に過度に掛かることがない。従って、時間の経過による強度の劣化が比較的大きい既設タンク2であっても、物品の一部又は全部が内部に装填されることを前提に設計されていない又は設計時の想定を超える重量を支持可能なようには設計されていない既設タンク2であっても、そのような既設タンク2を利用したタンク設備1において、被装填物6及びその近傍又は周辺の部材の重量が当該既設タンク2に全く又は殆ど全く掛からないものとなる。しかも、既設タンク2は、補強措置が施されているので、被装填物6及び蓋部材8のそれぞれの重量の一部が掛かっても又は多少余計に掛かっても、当該既設タンク2が壊れるようなことはない。
【0090】
−本発明に係る設備の構築方法について−
【実施例7】
【0091】
図1に示されたタンク設備1の構築方法は、種々あり得る。以下に、図6を参照してその例を幾つか説明する。
(ア)設備構築に必要な準備
まず、タンク設備1の構築に必要な準備、即ち、既設タンク2、開口部3、基礎4、重量支持部材5、被装填物6、固定手段7の各準備を済ませておく。例えば、次のとおりである。
タンク設備1の使用目的又は設置目的に適う既設タンク2を選定する。必要に応じて既設タンク2に開口部3を予め設けておく(開口部3を予め設けておく必要がない場合には、被装填物6の一部又は全部を既設タンク2の内部2aに装填するときまでに、開口部3を既設タンク2に設ければ足りる)。
【0092】
基礎4の準備の場合、既設タンク2が設置されている既設基盤を、重量支持部材5を設置するための基盤4として転用できるかどうかを検討し、転用できる場合にはその場所を基盤4とし、転用することができない場合には、適当場所に基盤を増設するか、適用場所の既設基盤に地盤強化処理を施すことにより、当該適用場所を基盤4とする。
【0093】
重量支持部材5の場合、垂直材5aの一方の端部に、当該垂直材5aを基盤4上に設置するために必要な加工を施しておき、他方の端部に、水平材5bと連結するために必要な加工を施しておく。水平材5bの両端部に垂直材5aと連結するために必要な加工を施し、中間部に被装填物6(61、62)や固定手段7(71、72)の取り付けのために必要な加工を施しておく。
【0094】
(イ)構築方法の例〔1〕
タンク設備1の構築に必要な準備が完了した後、既設タンク2の外部又は周囲の基盤4上に垂直材5aを設置する。その後、既設タンク2の上方をわたるように(既設タンク2と接触しないほどの直上又は既設タンク2からある程度離隔した上方に)垂直材5a間に水平材5bを設置し、重量支持部材5を完成させる。このとき、必要に応じて、斜方材や補強部材を用いて、重量支持部材5全体の強度を高めておく。
【0095】
次いで、水平材5bに、各被装填物61、62を、その一部又は全部が開口部3を通じて既設タンク2の内部2aに装填されるように取り付け、固定手段71、72により固定する。
以上により、図1に示されたタンク設備1が構築される。
【0096】
(ウ)構築方法の例〔2〕
タンク設備1の構築に必要な準備が完了した後、既設タンク2の外部又は周囲の基盤4上に垂直材5aを設置する。その後、垂直材5a間に水平材5bを設置する前に、水平材5bに各被装填物61、62を取り付け、固定手段71、72により固定しておく。
次に、この水平材5bを、既設タンク2の上方をわたるように(既設タンク2と接触しないほどの直上又は既設タンク2からある程度離隔した上方に)、且つ、各被装填物61、62の一部又は全部が開口部3を通じて既設タンク2の内部2aに装填されるように、垂直材5a間に設置する。このとき、必要に応じて、斜方材や補強部材を用いて、重量支持部材5全体の強度を高める。
以上により、図1に示されたタンク設備1が構築される。
【0097】
(エ)構築方法の例〔3〕
タンク設備1の構築に必要な準備が完了した後、既設タンク2の外部又は周囲の基盤4上に垂直材5aを設置する。その後、垂直材5a間に水平材5bを設置する前に、水平材5bに被装填物61、62の一方又は両方の一部を取り付け、固定手段71、72により固定しておく。
次に、この水平材5bを、既設タンク2の上方をわたるように(既設タンク2と接触しないほどの直上又は既設タンク2からある程度離隔した上方に)、垂直材5a間に設置する。このとき、必要に応じて、斜方材や補強部材を用いて、重量支持部材5全体の強度を高める。
更に、水平材5bに既に取り付けてある被装填物61、62の一方又は両方の一部に、その残部を、各被装填物61、62の一部又は全部が開口部3を通じて既設タンク2の内部2aに装填されるように取り付ける。
以上により、図1に示されたタンク設備1が構築される。
【実施例8】
【0098】
図2に示されたタンク設備1の構築方法は、種々あり得る。以下に、図6を参照してその例を幾つか説明する。
(ア)設備構築に必要な準備
タンク設備1の構築に必要な準備、即ち、既設タンク2、開口部3、基礎4、重量支持部材5、被装填物6(62)、固定手段7(72、73)、蓋部材8及びその近傍又は周辺の別の部材9(9a、9b)の各準備を済ませておく。既設タンク2、開口部3、基礎4、重量支持部材5、被装填物6及び固定手段(72)の各準備については、実施例3の(ア)の説明が概ね(必要な読み替えを行うことにより)当て嵌まる。
【0099】
蓋部材8の準備の場合、開口部3を封じる又は閉じるに足る大きさ、形状等の蓋部材8を選択する。蓋部材8を懸架手段9aにより蓋部材8を懸架する場合には、蓋部材8が既設タンク2の内部2aに落下する心配はない。しかし、懸架手段9aにより蓋部材8を懸架することなく、蓋部材8の重量の全部を既設タンク2により支持されるようにする場合には、開口部3の大きさを上回り、既設タンク2に当接又は係合する部分を蓋部材8に設けることにより、蓋部材8が既設タンク2の内部2aに落下しないようにする必要がある。この場合、蓋部材8をできるだけ軽量な素材で形成する(例えば、少なくとも一部を繊維強化プラスチック製とする)ことにより、既設タンク2に掛かる重量を極力低減させることが望ましい。
蓋部材8の近傍又は周辺の(蓋部材8とは)別の部材9(9a、9b)の準備の場合、水平材5bの中間部に被装填物6(62)、別の部材9(9a、9b)、固定手段7(72、73)の取り付けのために必要な加工を施しておく。
【0100】
(イ)構築方法の例〔4〕
構築方法の例〔1〕乃至〔3〕のいずれかにより、図1に示されたタンク設備1を構築した後、更に、開口部3を封じる又は閉じる蓋部材8を、固定手段73により水平材5bに固定された懸架手段9aと係合させて、水平部材5bから懸架されるように設置する。そして、必要に応じて、遮蔽手段9bを、固定手段74により水平材5bに固定することにより、蓋部材8の周囲を蓋部材8の周囲を取巻くように設置する。これらにより、既設タンク2の内部2aと外部とを遮断する。
以上により、図2に示されたタンク設備1が構築される。
【0101】
図3〜5にそれぞれ示されたタンク設備1の構築方法は、種々あり得る。しかし、設備の構築方法を構成する工程に着目すると、装填補助部材10を準備する工程、タンク2の開口部3から内部2aに向かって被装填物6を装填する前に、装填補助部材10を設置する工程が追加されている点(より厳密には、設置された装填補助部材10に被装填物6を装填する工程も追加されている点)を除き、図1及び2に示されたタンク設備1の構築方法と殆ど同じといってよく、具体的には、図7に示された工程フローとなる。
【実施例9】
【0102】
図3に示されたタンク設備1の構築方法の一例について、図7を参照して説明する。
【0103】
(ア)設備構築に必要な準備
まず、タンク設備1の構築に必要な準備、即ち、既設タンク2、開口部3、基礎4、重量支持部材5、被装填物6、固定手段7の各準備を予め済ませておく。これは実施例7の場合と同様なので説明を省略する。なお、必要に応じて、重量支持部材5が設置される予定の位置及びその周辺の基盤4に、重量支持部材5の重量を基盤4により支持するに足る基礎強化部4bを設けておく。
【0104】
(イ)構築方法の例〔5〕
タンク設備1の構築に必要な準備が完了した後、既設タンク2の外部又は周囲の基盤4上に垂直材5aを設置する。その後、既設タンク2の上方をわたるように(既設タンク2と接触しないほどの直上又は既設タンク2からある程度離隔した上方に)垂直材5a間に水平材5bを設置し、重量支持部材5を完成させる。このとき、必要に応じて、斜方材や補強部材を用いて、重量支持部材5全体の強度を高めておく。
【0105】
次いで、水平材5bに、装填補助部材10を水平材5bに取り付ける。装填補助部材10は、被装填物6(62、63)の一部又は全部が開口部3を通じて既設タンク2の内部2aに装填されるように取り付けることを補助する役割を果たす部材であり、且つ、それで足りる。それ故、装填補助部材10は、その一部又は全部が開口部3を通じて既設タンク2の内部2aに懸架されるように取り付けられる。
【0106】
引き続き、各被装填物62、63を、その一部又は全部が開口部3を通じて既設タンク2の内部2aに装填されるように装填補助部材10に取り付け、固定部材75、76により固定する。これにより、被装填物6が、その一部又は全部が開口部3を通じて既設タンク2の内部2aに、装填補助部材10を介して装填されることになる。
【0107】
更に、開口部3を封じる又は閉じる蓋部材8を、水平材5bに一端が固定された懸架手段9aの他端と係合させて、水平材5bから懸架されるように設置する(必要に応じて、遮蔽手段9b(図示せず)を、水平材5bに固定することにより、蓋部材8の周囲を蓋部材8の周囲を取巻くように設置してもよい)。これより、既設タンク2の内部2aと外部とを遮断する。その遮断の程度は、タンク設備1の使用目的に応じて選択すればよい。
以上により、図3に示されたタンク設備1が構築される。
【0108】
なお、上記の構築方法においては、各被装填物62、63の一部又は全部を予め装填補助部材10に取り付け、固定部材75、76により固定して一体化させたものを、水平材5bに取り付けるようにしてもよい。この場合、水平材5bは、垂直材5aに設置する前であっても後であってもよい。水平材5bを垂直材5aに設置したとき、装填補助部材10への固定が完了していない被装填物6があるときは、その後、その固定を完了させる。
【0109】
拡散装置62cを先端に備えた配管62を、垂直材5aに水平材5bが設置され、その水平材5bに装填補助部材10が取り付けられた後に、タンク2の内部2aに装填すると、装填補助部材10の存在がその装填の障害となる場合がある。このような場合に、上記のような、装填補助部材10に被装填物62の一部又は全部を予め取り付け固定しておく手法や、そのうえ更に水平材5bに取り付けておく手法が、有益となる。
【実施例10】
【0110】
図4に示されたタンク設備1の構築方法の一例について、図7を参照して説明する。
【0111】
(ア)設備構築に必要な準備
タンク設備1の構築に必要な準備、即ち、既設タンク2、開口部3、基礎4、重量支持部材5、被装填物6、固定手段7の各準備を済ませておく。これは実施例7の場合と同様なので説明を省略する。
【0112】
(イ)構築方法の例〔6〕
図4に示されたタンク設備1が、図3に示されたものと異なる点は、端部補助部材10aが存在すること、換言すれば装填補助部材10が、タンク2の内部2aの底面にも存在することであり、その構築方法は、端部補助部材10aを設置する工程を除き、図3に示されたタンク設備1の構築方法と同じといってよい。
端部補助部材10aを設置する工程は、一括りすると、装填補助部材10を設置する工程といえる。しかし、その工程は、被装填物62の先端をタンク2の内部2aに配置させる前までに完了していれば足り、どのタイミングで実行するかは、構築事案に応じて決定することができる。
かくして、図4に示されたタンク設備1が構築される。
【実施例11】
【0113】
図5に示されたタンク設備1の構築方法の一例について、図7を参照して説明する。
【0114】
(ア)設備構築に必要な準備
タンク設備1の構築に必要な準備、即ち、既設タンク2、開口部3、基礎4、重量支持部材5、被装填物6、固定手段7の各準備を済ませておく。これは実施例7の場合と同様なので説明を省略する。
【0115】
(イ)構築方法の例〔7〕
図5に示されたタンク設備1が、図3に示されたものと異なる点の一つは、装填補助部材10がタンク2の内部2aの底面まで到達し、脚部10bにおいて当該底面と接触していることである。この構成により、装填補助部材10とそれに取り付けられた被装填物(撹拌装置)61の重量の少なくとも一部が当該底面により支持されることになる。この意味からすると、装填補助部材10を設置する工程を実行するタイミングには特に制限はない。重量支持部材5を構築した後に、水平材5bに装填補助部材10を取り付け、引き続き、その装填補助部材10に被装填物(撹拌装置)62に取り付けてもよく、被装填物62の一部又は全部を予め取り付けておいた装填補助部材10を水平材5bに取り付けてもよい(この場合、装填補助部材10に取り付けられていない被装填物6の残部については、水平材5bに装填補助部材10を取り付けた後に、残りの取り付けを完了するようにすればよい)。
【0116】
図5に示されたタンク設備1が、図3に示されたものと異なる他の点は、装填補助部材10が、撹拌装置61の撹拌翼付き回転軸を回転自在に支承する上部支承部10eと下部支承部10fを備えていることである。装填補助部材19を、その脚部10bがタンク2の内部2aの底面に接触するように配置した後に、上部支承部10eと下部支承部10fを、撹拌装置61の回転軸を承するように設置することは不可能ではない。従って、その場合には、例えば、重量支持部材5として完成した後の水平材5bに装填補助部材10を、その脚部10bがタンク2の内部2aの底面に接触するように取り付け、撹拌装置61のうち撹拌翼付き回転軸以外の部分(特に図5に示された駆動モータの部分)を係止部10cにおいて装填補助部材10に取り付け、その後、撹拌装置61に別途取り付けられた又は撹拌装置61が当初から具備していた撹拌翼付き回転軸を、上部支承部10eと下部支承部10fを介して装填補助部材10に取り付けるという手順でタンク設備1を構築する。
【0117】
装填補助部材10を、その脚部10bがタンク2の内部2aの底面に接触するように配置した後に、上部支承部10eと下部支承部10fを、撹拌装置61の回転軸を承するように設置することが不可能若しくは困難な場合又はそのようなことを極力回避したい場合には、例えば、撹拌翼付き回転軸を含む撹拌装置61全体を、予め装填補助部材10に取り付けておき(従って、この段階で既に撹拌翼付き回転軸は上部支承部10eと下部支承部10fを介して装填補助部材10に取り付けられている)、その後、垂直材5aに設置済みの水平材5bに取り付けて又は、垂直材5aに設置前の水平材5bに取り付けて、その水平材5bを垂直材5aに設置することにより、装填補助部材10を、その脚部10bがタンク2の内部2aの底面に接触するように取り付けるという手順でタンク設備1を構築すればよい。
図3に示されたタンク設備1との構造上の相違に起因する、上記の工程を除き、図5に示されたタンク設備1の構築方法は、図3に示されたものと同じといってよいので、説明を省略する。
かくして、図5に示されたタンク設備1が構築される。
【実施例12】
【0118】
図8に示されたタンク設備1の構築方法の一例について、図9を参照して説明する。以下、原則として既述の実施態様と異なる部分について説明し、共通する部分についての説明は省略する。
(ア)設備構築に必要な準備
まず、タンク設備1の構築に必要な準備、即ち、既設タンク2、開口部3、基礎4、重量支持部材5、被装填物6(62)、蓋部材8、蓋部材8の近傍又は周辺の別部材9(9a、9c)及び装填補助部材10、バルブ装置11の各準備を予め済ませておく。これは、実施例8の場合と概ね同様なので、相違点を除き、説明を省略する。
【0119】
被装填物6は、垂直配管62a、水平配管62b及び二つのバルブ装置11を備えるT字型配管系であるが、準備段階で、T字型配管系として完成させてもよく、タンク設備1の構築過程において最終的に当該T字型配管系になるようにしてもよい。例えば、タンク設備1の構築の過程で、予め用意しておいたT字型配管継手を装填補助部材10に固定し、そのT字型端部が備える三つの端部のうち水平方向に開口する二つのそれぞれにバルブ装置11を取り付け、更に水平配管62bを取り付けるとともに、残る垂直方向に開口する端部に垂直配管62aを取り付けることにより最終的に、当該T字型配管系を構成するようにしてもよい。
【0120】
固定デッキ9cは、懸架手段9aを介して蓋部材8の重量の少なくとも一部を支持するものなので、重量支持部材5が完成する前に鉛直材5aに取り付けられていれば足りる。それ故、重量支持部材5を組み立てる前に固定デッキ9cを鉛直材5aに取り付けておいてもよい。
必要に応じて、重量支持部材5が設置される予定の位置及びその周辺の基盤4に、重量支持部材5の重量を基盤4により支持するに足る基礎強化部4bを設けておく。この点は、実施例9と同様である。
また、必要に応じて、補強措置及びその他の処理を既設タンク2に施しておく。これらの処理は、可能であれば、タンク設備1の構築の過程で行ってもよい。
【0121】
(イ)構築方法の例〔8〕
設備構築に必要な準備の際に、補強措置及びその他の処理を既設タンク2に施したとする。この結果、既設タンク2には、間隙充填部材12cを除くタンク補強手段12が取り付けられる。また、被装填物6としての配管系は、T字型配管継手、垂直配管62a、垂直配管62b及びバルブ装置11に分解可能であるとする。
【0122】
まず、基盤4の上(基盤強化部4bを設けた場合には、その基盤強化部4bの上)に台座兼用水平材4dを設置し、既設タンク2の外部又は周囲の基盤4上に垂直材5aを設置する。垂直材5aを設置する際には、垂直材5aと柱状部材12aとの間に間隙充填部材12cを介在させる。その後、既設タンク2の上方をわたるように(既設タンク2と接触しないほどの直上又は既設タンク2からある程度離隔した上方に)垂直材5a間に水平材5bを設置し、重量支持部材5を完成させる。このとき、必要に応じて、斜方材や補強部材を用いて、重量支持部材5全体の強度を高めておく。
【0123】
次いで、水平材5bに、装填補助部材10を水平材5b上に取り付け、当該装填補助部材10に、被装填物6としてのT字型配管系の一部を構成するT字型配管継手を固定する。
【0124】
装填補助部材10に固定されたT字型配管継手が備える三つの端部のうち水平方向に開口する二つのそれぞれにバルブ装置11を取り付け、更に水平配管62bを取り付けるとともに、残る垂直方向に開口する端部に垂直配管62aを取り付けることにより、当該T字型配管系を完成させる。装填補助部材10により、バルブ装置11を固定するように構成してもよい。
【0125】
最後に、蓋部材8を、懸架手段9aを介して固定デッキ9cに取り付けて、既設タンク2の開口部3(図示せず)を封じる又は閉じるように配置させる。
なお、水平材5bを用意する段階で、水平材5bに装填補助部材10を予め取り付けておいてもよく、その装填補助部材10に更に、T字型配管系の一部を構成するT字型配管継手を予め固定しておいてもよい。更に、T字型配管継手には、バルブ装置11を予め取り付けておいてもよく、当該バルブ装置11を介して更に水平配管62aを予め取り付けておいてもよい。T字型配管継手にバルブ装置11や水平配管62bを取り付ける前に、垂直配管62aを取り付けておいてもよい。
以上により、図8に示されたタンク設備1が構築される。
【0126】
−本発明に係る他のタンク設備及びその構築方法について−
【実施例13】
【0127】
<多セル型タンク設備>
タンク設備の他の形態として、少なくとも一つのタンク2が設置される単位空間(セル)Cを複数個備え、各タンクに対応する重量支持部材5により被装填物6の重量の少なくとも一部が支持されるように構成される多セル型タンク設備について説明する。多セル型タンク設備は、これまで説明してきた、セル数が一つのタンク設備(単セル型タンク設備)とは異なり、複数個のセルが一次元又は二次元或いは三次元に配置されてなるものである。
【0128】
図10は、多セル型タンク設備の一例を示す説明図である。この図に示されたタンク設備1は、基盤4上(又は基盤4上に必要に応じて設けられた基礎強化部4b、4c上)に構築され、複数個のセルC1〜C4と、各セルに設置された合計複数個のタンク21〜24と、各タンクに設けたれた重量支持部材51と、各タンクの内部に少なくとも一部が装填される合計複数個の被装填物621、622と、各被装填物の少なくとも一部が対応する各タンクの内部に装填されることを補助する合計複数個の装填補助部材101〜108とを備える。重量支持部材51は、台座兼用水平材4dを台座として構築されており、水平材51bと、台座兼用水平材4dと水平材51bとの間に配置する垂直材51aとを備える。
【0129】
被装填物621、622は、いずれも、水平配管に複数個の垂直配管の一端が接続することにより形成される複数個のT字部を各タンクの開口部3(図示せず)に対応した位置に備えるとともに、当該水平配管の適当箇所に適当個数に設置されたバルブ装置11(図示せず)と、必要に応じて設置されたポンプ装置やその他の機器・装置(いずれも図示せず)とを更に備える。被装填物621、622は、いずれも、概ね、配管系62が水平方向に連結したものといえる。
【0130】
<<セルC1について>>
タンク21が設置されるセルC1は、図8に示されたタンク設備と基本構成が概ね同じである。即ち、セルC1は、何らかの目的で設計又は設置された既設タンク21と、タンク21の外部に設置される重量支持部材51と、被装填物6としての配管系621、622と、各配管系の少なくとも一部がタンク21の開口部3(図示せず)を通じてタンク内部に装填されることを補助する一組の装填補助部材101、102と、開口部3を封じる又は閉じる蓋部材8と、既設タンク21の強度を高めるためのタンク補強手段12とを備える。
【0131】
重量支持部材51は、基盤4上(又は基盤4に必要に応じて設けられた基盤強化部4b上)に設置された台座兼用水平材4dを台座として構築されており、水平材51bと、台座兼用水平材4dと水平材51bとの間に配置する垂直材51aとを備える。装填補助部材102、103は、水平材51b上に設置され、それぞれ、配管系621、622が備えるT字部の近傍を位置決めする。装填補助部材102、103は、遠隔又は手動操作可能なバルブ装置11やその他の機器・装置(いずれも図示せず)の位置決めもする場合がある。蓋部材8は、重量支持部材5の適所に設けられた固定デッキ9cと接続する懸架手段9aにより、固定デッキ9cを介して重量支持部材5により支持される。
【0132】
このような基本構成ゆえ、セルC1の部分では、装填補助部材101、102が水平材51b上に設置されることにより、配管系621、622の重量の少なくとも一部が重量支持部材5により支持され、既設タンク21に過度に掛かることがない。また、蓋部材8の重量の一部又は全部が、懸架手段9a及び固定デッキ9cを介して重量支持部材5により支持されるので、既設タンク21に過度に掛かることがない。従って、時間の経過による強度の劣化が比較的大きい既設タンク21であっても、物品の一部又は全部が内部に装填されることを前提に設計されていない又は設計時の想定を超える重量を支持可能なようには設計されていない既設タンク2であっても、そのような既設タンク2を利用したタンク設備1において、被装填物6及びその近傍又は周辺の部材の重量が当該既設タンク2に全く又は殆ど全く掛からないものとなる。しかも、既設タンク2は、補強措置が施されているので、被装填物6及び蓋部材8のそれぞれの重量の一部が掛かっても又は多少余計に掛かっても、当該既設タンク2が壊れるようなことはない。
【0133】
<<セルC2〜C4について>>
セルC2〜C4には、それぞれ、新規に増設したタンク22〜24が設置される。即ち、各セルC(C2〜C4)は、タンク設備1の設置目的を達成するために設計され、設置されたタンク2(22〜24)と、タンク2の外部に設置される重量支持部材51と、被装填物6としての配管系621、622と、各配管系の少なくとも一部がタンク2の開口部3(図示せず)を通じてタンク内部に装填されることを補助する一組の装填補助部材10(103と104、105と106、107と108)とを備える。その他にも、タンク2の設計が許す限り、開口部3を封じる又は閉じる蓋部材8やタンク2の強度を高めるためのタンク補強手段12を備えていてもよい。蓋部材8を設ける場合には、その蓋部材の近傍又は周辺に別の部材9(例えば、セルC1の場合のように、重量支持部材51の適所に設置した固定デッキ9cと、そこから蓋部材を懸架する懸架手段9a)を設けて、蓋部材8の重量の一部又は全部が、重量支持部材5により支持されるようにするのが好ましい。
【0134】
重量支持部材51は、基盤4上(又は基盤4に必要に応じて設けられた基盤強化部4c上)に設置された台座兼用水平材4dを台座として構築されており、水平材51bと、台座兼用水平材4dと水平材51bとの間に配置する垂直材51aとを備える。図中、重量支持部材51は、各セル(C1を含む)に対応する重量支持部材が一体物として構成されているが、各セルに対応する独立の重量支持部材が横並びに配置する構成であってもよく、一部のみが一体物として構成され、残部が独立の重量支持部材が横並びに配置するように構成されていてもよい。
【0135】
装填補助部材(103と104、105と106及び107と108)の各組は、水平材51b上の各タンクの開口部3(図示せず)に対応する位置に設置され、それぞれ、配管系621、622が備えるT字部の近傍を位置決めする。装填補助部材の各組は、遠隔又は手動操作可能なバルブ装置11やその他の機器・装置(いずれも図示せず)の位置決めもする場合がある。
【0136】
このような基本構成ゆえ、セルC2〜C4のそれぞれの部分では、装填補助部材の組(103と104、105と106又は107と108)が水平材51b上に設置されることにより、配管系621、622の重量の少なくとも一部が重量支持部材5により支持され、タンク22〜24のそれぞれに過度に掛かることがない。蓋部材8と懸架手段9を設けた場合には、当該蓋部材8の重量の一部又は全部が重量支持部材51により支持されることになるので、やはり、好ましい。重量その近傍又は周辺の部材9によりの重量の一部又は全部が、懸架手段9a及び固定デッキ9cを介して重量支持部材5により支持されるので、タンク22〜24のそれぞれに過度に掛かることがない。従って、設計や製作に係る条件上、過度の荷重が掛からないようにする必要があるタンクや、時間の経過による強度の劣化を極力回避する必要があるタンクであっても、そのようなタンクが設置される各セルCにおいて、被装填物6及びその近傍又は周辺の部材の重量が当該既設タンク2に全く又は殆ど全く掛からないものとなる。
【0137】
<<小括>>
図10に示されたタンク設備1では、少なくとも、被装填物6である配管系621、622の重量の少なくとも一部が重量支持部材5により支持され、タンク21〜24のそれぞれに過度に掛かることがない。このような長所は、タンク21〜24のうち一部又は全部が既設タンク又は新設タンクであることとは無関係である(ただし、タンク21〜24のより多くが既設タンクである方が好ましい。より多くの既設タンクを他目的に利用できるからである)。従って、多セル型タンク設備は、各セルに設置されるタンクが既設タンクであるか新規タンクであるかに拘らず、被装填物6の重量の少なくとも一部が重量支持部材5により支持され、各セルに設置されるタンクに過度に掛かることがない、という長所を有するといえる。
【0138】
また、この長所は、単セル型タンク設備にセルを追加して多セル型タンク設備にしても、多セル型タンク設備に更にセルを追加しても、変わらず維持されるものである。それ故、タンク設備をセル単位で増設する際には、特に有益である。
【0139】
<<多セル型タンク設備の他の例>>
セル単位で増設可能な多セル型タンク設備の一例を、タンク設備1をタンク2上方から眺めた平面図として図11に示す。この図では、設備稼働のためには本来必要であるが、本発明を説明するためには無用な幾つかの機器・装置(例えばポンプ装置や電源装置)は、描写していない。図中、C5〜C8は、互いに隣接又は近接して配置して集合化したセルの群であり、25〜28は、セルC5〜C8のそれぞれに設置されるタンクである。これらのタンクは、既設タンクであっても、新設タンクであってもよい。セルの群C5〜C8の外部には、それぞれ、重量支持部材55〜58が設置される。55b〜58bは、それぞれ、重量支持部材55〜58の水平材である。
【0140】
図中623〜629は、いずれも被装填物6に相当する配管系であり、11a〜11hは、当該配管系に設置される、遠隔又は手動操作可能なバルブ装置である。より具体的には、配管系623、624はセルC5、C6を通過し、配管系625、626は節C7、C8が通過する。セルC5では、配管系623、624にそれぞれバルブ装置11a、11bが設置され、セルC6では、配管系623、624にそれぞれバルブ装置11c、11dが設置される。セルC7では、配管系625、626にそれぞれバルブ装置11e、11fが設置され、セルC8では、配管系625、626にそれぞれバルブ装置11g、11hが設置される。バルブ装置11aと11eとの間、11bと11fとの間、11cと11gとの間及び11dと11hとの間は、それぞれ、配管系627〜630により接続される。これらの配管系(バルブ装置を含む)は、重量支持部材の水平材上に設置された支持部材(図示せず)により、位置決めされる。
【0141】
このように構成された多セル型タンク設備1であれば、バルブ装置11a〜hの開閉切替操作とポンプ装置(図示せず)の動作と不動作の切替操作により、セルの群C5〜C8内の一つのタンクの中に収容されていた物質を、他のタンクに移送することができ、また、配管系624〜626のいずれかを通じて、セルの群外の図示しない領域に輸送することができる。
【0142】
図11に示された多セル型タンク設備1においては、被装填物6としての配管系(バルブ装置を含む)の重量の少なくとも一部が、重量支持部材55〜58に分配され、支持されることになるので、タンク25〜28のそれぞれに過度に掛かることがない。
【0143】
<多セル型タンク設備の構築方法について>
多セル型タンク設備は、単セル型タンク設備又は多セル型タンク設備にセルを追加することにより構築できる。単セル型タンク設備の構築方法は、既述のとおりであり、セルの追加は、単セル型タンク設備を隣接して横並びに配置すれば、容易に構築できる。そしてその際、必要に応じて、被装填物6としての配管系や隣接する重量支持部材5を連結して一体的に構成することも可能である。構築方法が容易であることは、タンク設備をセル単位で増設する際に特に有益である。
【0144】
以上の実施例において、図面に描写された重量支持部材5は、水平材5bの両端が一対の垂直材5aと接合されることにより構成されている。しかし、本発明はこれら実施例の構成に限定されるものではない。たとえば、水平材5bの一端が垂直材5aと接合され、他端は垂直材5aと接合されていない、自由端状態とされることにより重量支持部材5が構成されていてもよい。また、水平材5bについても、必ずしも水平に設置されている必要はなく、タンク2の高さよりも高い位置に設置されている必要もなく、被装填物6、蓋部材8及び蓋部材8の近傍又は周辺の別部材9のうち少なくとも一つの重量の少なくとも一部を支持するに足るように設置されていればよい。同様の意味から、重量支持部材5自体の外形にも特に制限はない。更に、タンク2の内部2aに装填される被装填物6の少なくとも一部は、鉛直方向に位置決めされている必要はない。タンク2の開口部3も、タンク2の天頂部に設けられている必要はない。従って、例えば、タンク2の上方であるが側面に開口部3を設けて、その開口部3を通じて、被装填物6の少なくとも一部が内部2aに斜めに装填され、これにより当該被装填物6の重量の少なくとも一部が支持されるように、重量支持部材5を構成してもよい。
【符号の説明】
【0145】
1: タンク設備
2、21〜28: タンク(既設タンク)
2a: 内部
21: 既設タンク
22〜24: 新設タンク
3: 開口部
4: 基盤
4a: タンク設置用台座
4b、4c: 基礎強化部
4d: 台座兼用水平材
5(5a、5b)、51(51a、51b)、55〜58(55b〜58b): 重量支持部材
5a、51a: 鉛直材
5b、51b、55b〜58b: 水平材
6(61、62、63): 被装填物
61: 撹拌装置
62(62a、62b、62c)、621〜630: 配管系
62a: 鉛直配管
62b: 水平配管
62c: 拡散装置
63: 計測装置
7(71〜76): 固定手段
8: 蓋部材
9(9a、9b、9c): 蓋部材8の近傍又は周辺の別の部材
9a: 懸架手段
9b: 遮蔽手段
9c: 固定デッキ
10(10a〜10f)、101〜108: 装填補助部材
10a: 端部支持部材
10b: 脚部
10c: 係止部
10d: 開孔連通部
10e: 上部支承部
10f: 下部支承部
101〜108: 配管固定部材
11、11a〜11h: バルブ装置
12(12a、12b、12c): タンク補強手段
12a: 柱状部材
12b: 胴周補強部材
12c: 間隙充填部材
C、C1〜C8: タンクが設置される単位空間(セル)
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンク、特に既設タンクを利用したタンク設備を及びこの設備を構築する方法に関する。当該設備におけるタンクの使用目的又は設置目的は、そのタンク本来の(又は設置当初の)使用目的又は設置目的であっても、別の又は新たな目的であってもよい。
【背景技術】
【0002】
タンクを利用して何らかの設備を構築する技術の典型例は、タンクの外部に補強材を設置する、タンクが設置されている基盤を強化するなどの作業を通じて行われるタンクの改修又は補強に係る技術である(特許文献1〜9)。これらの技術では、設備の構築作業(要するに改修又は補強)の前後で、タンクの使用目的又は設置目的は変わらない。他にも、建築物基礎部の既設ピット部に補修、断熱処理等を施し、管路を形成して全体として蓄熱槽を構築する例も知られている(特許文献10、非特許文献1)。これは、設備の構築作業の前後で、タンクの使用目的又は設置目的が変わる例といえる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-61965号公報
【特許文献2】特開昭64-84891号公報
【特許文献3】特開平9-156688号公報
【特許文献4】特開2006-168799号公報
【特許文献5】特開平10-194383号公報
【特許文献6】特開平3-36374号公報
【特許文献7】特公平5-14046号公報
【特許文献8】特開昭61-72125号公報
【特許文献9】特開2008-231891号公報
【特許文献10】特許第3961477号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】「I.世界貿易センタービルにおける蓄熱システムの構築と運転−遊休ピットを有効活用した水蓄熱システムの実現」(電設技術、平成15年12月号、3-10頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、タンクを利用して設備を構築しようとする際、タンクの開口部から内部に向かって、何らかの目的を達成するための物品(例えば物質移動を行うための配管、物質の撹拌を行うための撹拌装置、物質の性質を測定するための計測機器、それらの位置決めを行う保持部材)の一部又は全部を装填する必要に迫られる場合がある。この場合、これらの被装填物には、その一部であれ全部であれ、それぞれに固有の重量があるので、当該被装填物の一部又は全部の重量をタンクに負担を掛けることなく支持するための格段の工夫が必要になる。なぜなら、タンクの中には、時間の経過により強度が劣化しているもの、物品の一部又は全部が内部に装填されることを前提に設計されていないもの、物品の一部又は全部が装填されることを前提に設計されているとしても、設計時の想定を超える重量を支持可能なほどの強度になるように設計されていないものがあり得るからである。
【0006】
しかし、上記の従来技術では、タンクの開口部から内部に向かって、何らかの目的で物品の一部又は全部を装填するというケース自体が射程外であるか、射程内であっても、その被装填物の一部又は全部の重量を、タンクに負担を掛けることなく支持するという課題や解決手段などの技術的事項が具体的に想定されていない。
【0007】
本発明は、以上の事情に鑑みてなされたものであり、タンクの開口部から内部に向かって物品の一部又は全部を装填する際、その被装填物の一部又は全部の重量を、タンクに過度の負担を掛けることなく支持することが可能なタンク設備(換言すればタンクに掛かる重量負荷が軽減される設備)自体及びその構築方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための、本発明のタンク設備の第1の形態は、タンクを利用して構成される設備であって、開口部を備えたタンクと、前記開口部から前記タンクの内部に向かって一部又は全部が装填される被装填物と、該タンクの外部又は周囲に存在する基盤上に設置され、前記被装填物の一部又は全部の重量を支持する重量支持部材とを具備することを特徴とする。
【0009】
なお、「前記被装填物の重量の全部・・・が、前記重量支持部材で支持されている」とは、被装填物の全部の重量が重量支持部材のみにより支持され、タンクにより支持されることがないことを意味している。これに対し、「被装填物の重量の・・・一部が、重量支持部材で支持されている」とは、被装填物の一部の重量が重量支持部材のみにより支持され、当該一部の重量がタンクにより支持されることがないことを意味しているので、被装填物のうち当該一部を除いた残部の一部又は全部の重量が、タンク及びその他の重量支持手段のうち少なくともいずれか一方により支持されていることが、その意味に含まれることになる。それ故、被装填物の重量の一部がタンクにより支持されていても、「被装填物の重量の・・・一部が、重量支持部材で支持されている」ことに該当する場合がある。
【0010】
本発明の第2の形態は、第1の形態に係る設備であって、前記タンクの開口部を封じ又は閉じる蓋部材を更に備えることを特徴とする。
【0011】
本発明の第3の形態は、第2の形態に係る設備であって、前記蓋部材の一部又は全部の重量が、前記重量支持部材で支持されていることを特徴とする。
【0012】
本発明の第4の形態は、第3の形態に係る設備であって、前記蓋部材の近傍又は周辺に別の部材を更に設け、この別の部材の一部又は全部の重量が、前記重量支持部材で支持されていることを特徴とする。
【0013】
本発明の第5の形態は、第1乃至第4のうちいずれかの形態に係る設備であって、当該タンクが既設タンクであることを特徴とする。
【0014】
本発明の第6の形態は、複数個の構造単位を備え、各構造単位が、開口部を備えたタンクと、前記開口部から前記タンクの内部に向かって一部又は全部が装填される被装填物と、該タンクの外部又は周囲に存在する基盤上に設置され、前記被装填物の一部又は全部の重量を支持する重量支持部材とを具備することを特徴とする。
【0015】
本発明の第7の形態は、第6の形態に係る設備であって、前記複数個の構造単位のうち少なくとも一つが具備するタンクが、既設タンクであることを特徴とする。
【0016】
本発明の第8の形態は、タンクを利用して構成される設備の構築方法であって、タンクの外部又は周囲に存在する基盤上に重量支持部材を設置する工程と、前記タンクの開口部から内部に向かって一部又は全部が装填される被装填物の一部又は全部の重量を、前記重量支持部材で支持する工程とを備えたことを特徴とする。
【0017】
なお、「被装填物の重量の全部・・・を、前記タンクの外部又は周囲に存在する基盤上に設置された重量支持部材で支持する」とは、被装填物の全重量を重量支持部材のみにより支持し、タンクにより支持しないことを意味している。これに対し、「被装填物の重量の・・・一部を、前記タンクにより支持することなく、前記タンクの外部又は周囲に存在する基盤上に設置された重量支持部材により支持する」とは、被装填物の一部の重量を重量支持部材のみにより支持し、当該一部の重量をタンクにより支持しないことを意味しているので、被装填物の重量のうち当該一部を除いた残部の一部又は全部を、タンク及びその他の重量支持手段のうち少なくともいずれか一方により支持することが、その意味に含まれることになる。それ故、被装填物の重量の一部をタンクにより支持することが、「被装填物の重量の・・・一部を、前記タンクの外部又は周囲に存在する基盤上に設置された重量支持部材により支持する」ことに該当する場合がある。
【0018】
本発明の第9の形態は、第8の形態に係る設備の構築方法であって、前記タンクの開口部を蓋部材により封じ又は閉じる工程を更に有することを特徴とする。
【0019】
本発明の第10の形態は、第9の形態に係る設備の構築方法であって、前記蓋部材の一部又は全部の重量を、前記重量支持部材で支持する工程を更に有することを特徴とする。
【0020】
本発明の第11の形態は、第10の形態に係る設備の構築方法であって、前記蓋部材の近傍又は周辺に別の部材を更に設け、この別の部材の一部又は全部の重量を前記重量支持部材で支持する工程を備えたことを特徴とする。
【0021】
本発明の第12の形態は、第8乃至第11のうちいずれかの形態に係る設備の構築方法であって、当該タンクが既設タンクであることを特徴とする。
【0022】
本発明の第13の形態は、タンク設備の構築方法であって、開口部を備えたタンクと、前記開口部から前記タンクの内部に向かって一部又は全部が装填される被装填物と、該タンクの外部又は周囲に存在する基盤上に設置され、前記被装填物の一部又は全部の重量を支持する重量支持部材とを具備する構造単位を一個又は複数個備えるタンク設備に、前記構造単位を少なくとも一個増設することにより、より大きなタンク設備にすることを特徴とする。
【0023】
(用語の定義及び解釈)
なお、本発明の特許請求の範囲、明細書及び図面の記載において、次に掲げる用語の定義及び解釈は、別段の定義又は解釈が設定されている場合を除き、以下のとおりとする。
【0024】
(1) 「タンク」とは、内部に何らかの物質を収容又は格納可能な内部空間を備える容器、装置その他の物品をいう。
(2) 「既設タンク」とは、現に設置されているタンクをいう。それ故、現に設置されているものである限り、内部に何らかの物質を格納する内部空間を備えるように設計されていると否とに拘らず、結果として内部に何らかの物質を格納可能な内部空間を備えるに至っている物品であれば、「既設タンク」に該当する。
(3) 「開口部」とは、タンクの内部と外部とを連結又は連通する開放部分をいい、タンクの設置当初からそのタンクに設けられていたもののみならず、設置後の必要に応じて新設されたものも「開口部」に該当する。
(4) 「設備」とは、ある目的の達成に必要なものを備え付けられたものをいう。その「ある目的」とは、設備の使用目的又は設置目的の意であり、その語義に特に制限はない。従って、この「ある目的」は、タンク本来の使用目的又は設置目的と同じであっても異なっていてもよい。「ある目的の達成に必要なもの」は、タンクそれ自体である場合もあれば、そうでない場合もある。尤も、「タンクを利用して」構築される「設備」においては、タンクは不可欠な構成要素となることは言うまでもない。
(5) 「基盤」とは、タンクの外部又は周囲において重量支持部材の設置を可能ならしめる建築物、構造物等の基礎部分をいい、その限りにおいて、地盤である必要はなく、水平の主面を有する必要もない。「基盤」は、タンクの設置のために形成された既存の基盤であれば足りるものの、その既存の基盤を更に強化した部分であってもよく、新たな基盤として追加的に形成した部分(例えば地盤基礎改良処理により形成した基盤)であってもよい。
(6) 「被装填物」とは、何らかの目的を達成するために、タンクの開口部から内部に向かって、一部又は全部が装填される物品をいう。この「何らかの目的」は、文字通りの意味であり、タンクの使用目的又は設置目的と同じ目的である場合もあれば、それと異なる目的である場合もある。
(7) 「重量支持材」は、タンクの外部又は周囲に存在する基盤上に設置されるとともに、被装填物の一部又は全部の重量を支持する部材である。なお、「基盤上に設置される」とは、ある部材が、基盤の上に直接設置されることのみを意味するものではない。ある部材が、基盤の上に間接的に(例えば別の部材、部品等の物品を介して)設置されることや、一部を基盤に埋没させ、残部を当該基盤から露出させているために、基盤の上に直接又は間接的に設置されているような外形となることも、「基盤上に設置される」に該当する。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、タンクを利用して設備を構築しようとする際、タンクの開口部から内部に向かって物品の一部又は全部を装填するときに、その被装填物の一部又は全部の重量が、タンクにより支持されることなくタンクの外部に存在する基盤上に設置した重量支持部材に支持される。それ故、その被装填物の一部又は全部の重量の負担がタンクに掛からない、換言すればタンクに掛かる重量負荷が軽減される設備及びその構築方法を実現することができる。
【0026】
より具体的には、本発明によれば、例えば、タンクの強度が時間の経過により劣化していても或いは、タンクが、物品の一部又は全部が内部に装填されることを前提に設計されていなくても又は設計時の想定を超える重量を支持可能なように設計されていないものであっても、当該タンクを利用した設備及びその構築方法を実現することができる。
【0027】
また、重量支持部材は、タンクの強度を補う部材、即ち補強材を兼ねる部材又はその補強材に連結する部材であることが望ましい。重量支持部材がタンクの補強材を兼ねる部材又はその補強材に連結する部材であるということは、本発明に係る設備の構築と同時に、タンクの改修又は補強も実現できることを意味している。タンクの改修又は補強の際に、本発明に係る設備を構築することができれば、それは合理的又は効率的であるといえる。
【0028】
以上は、本発明の各形態に共通する効果であるが、特定の形態に固有の効果は以下のとおりである。
本発明の第2及び第9の形態によれば、被装填物の一部又は全部が内部に装填されたタンクの開口部が蓋部材により封じられる又は閉じられるので、タンクの内部の外気への露出や、その内部への塵埃の移動を防止又は抑制することができ、設備の動作の健全性を維持することができる。
【0029】
本発明の第3、第4及び第10、第11の形態によれば、被装填物の一部又は全部が内部に装填されたタンクの開口部を封じる又は閉じる蓋部材又はその近傍又は周辺の別部材の一部又は全部の重量も、重量支持部材により支持されるので、蓋部材やその近傍又は周辺の別部材の一部又は全部の重量の負担も、タンクに掛からない設備及びその構築方法を実現することができる。このような効果は、タンクの開口部を封じる又は閉じるという役割を追求して設計した結果、蓋部材やその近傍又は周辺の機器や装置の重量が増してしまった場合に特に有益である。そのように重量が増してしまっても、これらの形態によれば、増加した重量がタンクに過度に掛かる事態を回避でき、その分、蓋部材やその近傍又は周辺の機器や装置の設計の自由度が高まるからである。
【0030】
本発明の第5、第7及び第12の形態において、少なくとも一つのタンクは既設タンクである。既設タンクは、タンクの強度の経時的劣化が顕著であり、物品の一部又は全部が内部に装填されることを前提に設計されていないものも多く、また、そのように設計されていたとしても、通常、想定以上の重量に耐えられるように設計されていない。それ故、この第5、第7及び第12の形態によれば、上記の本発明の各形態に共通する効果及び特定の形態に固有の効果は、より強調され、顕著又は有益となる。
【0031】
本発明の第13の形態において、タンク設備は、被装填物の一部又は全部の重量を支持する重量支持部材を具備する構造単位を一個又は複数個備えているので、構造単位を増設してタンク設備をより大きくすることを容易におこなうことができ、構造単位を増設したタンク設備においても同様に本発明のタンク設備の効果を発揮することができる。
【0032】
本発明のその他の形態が奏する効果については、本発明の実施形態又は実施例において説明する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明にかかるタンク設備の一実施態様を示す説明図。
【図2】本発明にかかるタンク設備の他の実施態様を示す説明図。
【図3】本発明にかかるタンク設備の他の実施態様を示す説明図。
【図4】本発明にかかるタンク設備の他の実施態様を示す説明図。
【図5】本発明にかかるタンク設備の他の実施態様を示す説明図。
【図6】本発明にかかるタンク設備の構築方法の実施態様を示す説明図。
【図7】本発明にかかるタンク設備の構築方法の他の実施態様を示す説明図。
【図8】本発明にかかるタンク設備の他の実施態様を示す説明図。
【図9】本発明にかかるタンク設備の構築方法の他の実施態様を示す説明図。
【図10】本発明にかかるタンク設備の別の実施態様を示す説明図。
【図11】本発明にかかるタンク設備の別の実施態様を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、実施形態又は実施例により本発明を詳細に説明する。その際、必要に応じて図表を参照しつつ説明するが、各図表において同じ部分又は相当する又は共通する部分にはこれと同じ符号を付し、一部の説明を省略する。いうまでもなく、本発明は、図面に記載された実施の形態や実施例に限定されない。
【0035】
−本発明に係るタンク設備について−
【実施例1】
【0036】
図1は、本発明にかかるタンク設備の一実施態様を示す説明図である。
【0037】
なお、この図では、既設タンク、重量支持部材などの各構成要素の縮尺比は、現実のそれとは異なる。図中、各構成要素は、図を見る者による理解の便のため、敢えて強調的に描写されている(このことは、図2〜5、図8,10、11においても同様である)。
【0038】
このタンク設備1は、開口部3を備える既設タンク2と、既設タンク2の外部又は周囲に存在する基盤4上に設置された重量支持部材5(5a、5b)と、開口部3から既設タンク2の内部2aに向かって一部又は全部が装填された被装填物6(61,62)とを備えている。被装填物6は、固定手段7(71、72)により重量支持部材5に固定され、これにより被装填物6の一部又は全部の重量が、既設タンク2により支持されることなく、重量支持部材5により支持される。
【0039】
既設タンク2は、何らかの使用目的又は設置目的のために現に設置されているタンクであり、その典型例は、現に設置されている、水蓄熱槽、化学反応用又は混合用の撹拌槽、汚泥処理槽などである。
【0040】
なお、上記の典型例はいずれも、何らかの物質を積極的に収容するために設置された物品である。しかし、何らかの物質を積極的に収容するために設置された物品とはいえなくても、内部に何らかの物質を格納可能であれば、既設タンク2に該当し得ることは、「既設タンク」の定義及び解釈から明らかである。
【0041】
開口部3は、既設タンク2の内部2aと外部とを連結又は連通するものである。開口部3は、既設タンク2の設置当初から、その既設タンク2に設けられていたものであっても、設置後の必要に応じて新設したものであってもよい。例えば、設置当初の開口部の位置、大きさ、形状等が本発明に係る設備の構築のために不都合であるとき、その不都合を解消する必要から、既設タンク2の適当な位置に、適当な大きさ、形状等の開口部を新設することになる(設置当初の開口部については、状況が許せばこれを放置し、適当な方法でこれを封止してもよい)。こうして新設される開口部は、開口部3に該当する。
【0042】
基盤4は、既設タンク2の外部又は周囲において重量支持部材5の設置を可能ならしめるものである。基盤4は、既設タンク2の設置のために形成された既存の基盤と同じものであれば足りるが、その既存の基盤を更に強化した部分であってもよく、新たな基盤として追加的に形成した部分であってもよい。
【0043】
なお、既設タンク2は、既設タンク2の設置のために形成された既存の基盤上に、タンク設置用台座4aを介して設置されている。
重量支持材5は、既設タンク2の外部又は周囲に存在する基盤4上に設置されるとともに、被装填物6の一部又は全部の重量を支持する部材であり、2本の鉛直材5aと1本の水平材5bで構成されている。重量支持部材5は、被装填物6の一部又は全部の重量を支持するに足る構造を有することが必要である。それ故、2本の鉛直材5aと1本の水平材5bで構成されるだけでは重量支持材5全体として強度が不十分である場合には、鉛直材5aと水平材5bとの間に斜方材(図示せず)を介設する、鉛直材5aの数を増やし、それに応じて水平材5bや斜方材の数も増やす、などの必要な改善措置を講じるとよい。
【0044】
被装填物6は、その一部又は全部が開口部3から既設タンク2の内部2aに向かって装填される物品である。この図1では、被装填部材6として撹拌装置61と配管62が描かれているが、これは、被装填部材6をこれらの2種類のいずれか一方又は両方に限定する意図ではなく、単なる例示に止まる。また、この図1では、各被装填物61、62が、水平材5bを貫通しているように描かれているが、貫通している必要はない。
【0045】
撹拌装置61は、撹拌翼と、撹拌翼に回転力を伝達する回転軸と、回転軸を回転駆動させる駆動モータを備え、撹拌翼と撹拌翼が取り付けられている側の回転軸のかなりの部分が既設タンク2の内部2aに装填されている。撹拌装置61は、主として駆動モータ部分が水平材5bに固定されている。この結果、撹拌装置61では、その全部又は略全部の重量が重量支持部材5により支持されることになる。
【0046】
一方、配管62は、鉛直配管62aとこれと連通する水平配管62bとを備え、鉛直配管62aの開口端側のかなりの部分が既設タンク2の内部2aに装填されている。水平配管62bは、別の固定手段(図示せず)により支持されているので、配管62の一部(特に鉛直配管62a)の重量が水平材5bに掛かることになる。それ故、配管62は、その一部の重量が重量支持部材5により支持されることになる。
【0047】
鉛直配管62a、水平配管62b及び両配管の連結部は、配管62により目的物質の流通を実現できる限り(要するに配管62により所与の目的を達成できる限り)、いかなるの構成、寸法、材質、連結方法等であってもよい。
配管62には、少なくとも鉛直配管62aを昇降動作させる昇降装置(図示せず)が付随していてもよく、その昇降装置を、更に別の固定手段(図示せず)により水平材5bに固定することにより、昇降装置の一部又は全部の重量を重量支持部材5により支持されるようにしてもよい。
【0048】
固定手段7は、被装填物6を重量支持部材5の適所に固定する手段(部材、器具、装置等)である。固定手段7が被装填物6を重量支持部材5に固定する手法には、特に制限はなく、溶接による固着やボルト−ナットの螺合を始めとする公知の手法を、状況と必要に応じて任意に採用することができる。固定手段7は、タンク設備1(特に被装填物6)の保守点検作業を容易にするために、被装填物6を重量支持部材5に着脱可能又は着脱自在に固定するものであってよい。
この図1では、固定手段7は、撹拌装置61の主として駆動モータ部分を水平材5bに固定する手段71と、鉛直配管62aを水平材5bに固定する手段72である。
【0049】
以上のように構成されるタンク設備1では、開口部3から既設タンク2の内部2aに向かって一部又は全部が装填された物品、即ち各被装填物61、62の一部又は全部の重量が、既設タンク2に支持されることなく、且つ、既設タンク2の外部又は周囲に存在する基盤4上に設置された重量支持部材5により支持される。それ故、タンク設備1の既設タンク2には、被装填物6の一部又は全部の重量の負担が掛からないものとなる。
より具体的には、例えば、時間の経過により強度が劣化していている既設タンク2或いは、物品の一部又は全部が内部に装填されることを前提に設計されていない又は設計時の想定を超える重量を支持可能なようには設計されていない既設タンク2を利用したタンク設備1であっても、当該既設タンク2には被装填物6の重量が過剰に掛からないものとなる。
【実施例2】
【0050】
図2は、本発明にかかるタンク設備の他の実施態様を示す説明図である。図1に示された実施態様と同じ構成機器には同一符号を付して説明を省略し、異なる点を中心に説明する。
【0051】
このタンク設備1は蓋部材8を備えている。蓋部材8は、被装填物6である配管62の一部又は全部が内部2aに装填された既設タンク2の開口部3を封じる又は閉じる部材である。ここで「封じる又は閉じる」と表現しているのは、既設タンク2の内部2aの封止の程度を厳格には問わないことを意図したものである。タンク設備1やタンク設備1における既設タンク2の使用目的又は設置目的により蓋部材8に期待される役割は変わる。比較的大きな塵埃が外部から内部2aに入り込まないようにすることが蓋部材8に期待される役割であれば、蓋部材8により開口部3を厳格に封止するまでもない。しかし、比較的小さな塵埃が外部から内部2aに入り込まないようにすることや、内部2aに収容される物質が外部に向かって配管62のみを通じて移動するようにすること(従って開口部3を通じて外部に放散しないようにすること)が蓋部材8に期待される役割であれば、開口部3及び鉛直配管62aと蓋部材8との隙間を残さないほどに、蓋部材8とにより厳格に封止する必要がある。これらのような、蓋部材8に期待される種々の役割相応の内部2aの密封の程度や違いを包括して、「封じる又は閉じる」と表現している。
【0052】
蓋部材8は、それに期待される役割が充足されるものである限り、いかなる構造、寸法、材質、封止機構等であってもよい。例えば、蓋部材8は、複数個の部材から一体物に構成可能で、且つ、当該複数の部材に分割可能に構成されていてもよい。
【0053】
蓋部材8の近傍又は周辺の別の部材(換言すれば、蓋部材8とは別の部材であって、蓋部材8の近傍又は周辺にあるもの)9に相当するものが、懸架手段9aと遮蔽手段9bである。懸架手段9aは、蓋部材8の外縁部において、蓋部材8と係合する手段(部材、器具、装置等)であり、主として水平材5bから蓋部材8を懸架することを目的として設置される。
【0054】
遮蔽手段9bは、蓋部材8を取り囲むように配置して、既設タンク2の内部2aと外部とを遮断する手段部材、器具、装置等)であり、例えば外部から既設タンク2の内部2aに塵埃が入り込むことを防止又は抑制することを目的として設置される。
【0055】
懸架手段9aは、蓋部材8と係合する結果、十分近接して配置することになるので、「蓋部材の近傍の(蓋部材とは)別の部材」に該当する。遮蔽手段9bは、蓋部材8と直接接触してはいないものの、これを取り囲むように配置する結果、近接して配置することになるので、「蓋部材の周辺の(蓋部材とは)別の部材」に該当する。
【0056】
懸架手段9aは、蓋部材8の一部又は全部の重量並びに懸架手段9a自体の重量の一部又は全部が重量支持部材5により支持されるようにするための手段なので、その目的が達成可能である限り、いかなる構造、材質、懸架方法等であってもよい。遮蔽手段9bは、例えば外部から既設タンク2の内部2aに塵埃が入り込むことを防止又は抑制することを目的として設置される手段であるので、その使用目的又は設置目的が達成可能である限り、いかなる構造、材質、取り付け方法等であってもよい。それ故、遮蔽手段9bの重量の一部を既設タンク2により支持されるように取り付けてもよい。
【0057】
また、必要に応じて、懸架手段9aにより蓋部材8を懸架することなく(従って懸架手段9aを設けることなく)、蓋部材8の重量の全部を既設タンク2により支持されるようにしてもよく、このとき同時に遮蔽手段9bを設置しても設置しなくてもよい。
【0058】
遮蔽手段9bは、遮蔽機能を果たす部分と当該部分を懸架する部分とが一体的に構成されているが、両部分を別々の部材又は部品として構成してもよい。
蓋部材8及び遮蔽手段9bの一方により他方の機能を代替できる場合には、当該他方の設置を省略してもよい。
固定手段7のうち、固定手段73は、蓋部材8を重量支持部材5(特にその水平材5b)から懸架する懸架手段9aを、水平材5bに固定するための手段であり、固定手段74は、遮蔽手段9bの一部を水平材5bに固定するための手段である。固定手段73により懸架手段9aが水平材5bに固定される結果、蓋部材8の一部又は全部の重量並びに懸架手段9a自体の重量の一部又は全部が重量支持部材5により支持される。また、固定手段74により遮蔽手段9bの一部が水平材5bに固定される結果、遮蔽手段9bの重量の一部又は全部が重量支持部材5により支持される。
【0059】
タンク設備に昇降装置(図示せず)を設けて、懸架手段9a、従って蓋部材8を昇降させ、これにより開口部3の開閉を行うようにしてもよく、この場合、当該昇降装置の一部又は全部の重量を重量支持部材5により支持するようにしてもよい。また、昇降装置(図示せず)を設けて、遮蔽手段9bの昇降又は開閉させるようにしてもよく、この場合、当該昇降装置の一部又は全部の重量を重量支持部材5により支持するようにしてもよい。
【0060】
以上のように構成されるタンク設備1では、開口部3から既設タンク2の内部2aに向かって一部又は全部が装填された物品、即ち被装填物(配管)62の一部又は全部の重量並びに蓋部材8又はその近傍又は周辺の(蓋部材8とは)別の部材9の一部又は全部の重量が、既設タンク2に支持されることなく、且つ、既設タンク2の外部又は周囲に存在する基盤4上に設置された重量支持部材5により支持される。それ故、タンク設備1は、被装填物6並びに蓋部材8又はその近傍又は周辺の別の部材9の一部又は全部の重量の負担が既設タンク2に掛からないものとなる。
【0061】
より具体的には、例えば、時間の経過により強度が劣化していている既設タンク2或いは、物品の一部又は全部が内部に装填されることを前提に設計されていない又は設計時の想定を超える重量を支持可能なようには設計されていない既設タンク2を利用したタンク設備1であっても、被装填物6並びに蓋部材8及びその近傍又は周辺の別の部材7の重量が、当該既設タンクに過剰に掛からないものとなる。
【実施例3】
【0062】
図3は、本発明に係るタンク設備の他の実施例を示す説明図である。以下、図1及び2に示す実施態様と異なる点を焦点に当てて説明する。
【0063】
この実施態様のタンク設備では、被装填物として配管62、計測装置63を備えている。配管62は、その先端(タンク2内に装填される側の先端)に拡散装置(デフューザ)62cを備える。計測装置63は、例えば、タンク2内に収容される物質の温度、濃度、流速その他のパラメータを計測するための装置である。
【0064】
重量支持部材5が設置される予定の位置及びその周辺の基盤4には、必要に応じて、重量支持部材5の重量を基盤4により支持するに足る基礎強化部4bが設けられる。
【0065】
タンク設備1の水平材5bには装填補助部材10が取り付けられている。 この装填補助部材10は、被装填物6(62、63)の一部又は略全部が開口部3を通じて既設タンク2の内部2aに装填されるように取り付けることを補助する役割を果たす部材であり、より具体的には、開口部3を通じてタンク2内に入り、タンク内部2aの空間途中(すなわちタンク2の内部底面に到達しない位置)まで延垂又は懸架される部材である。この装填補助部材10は、配管62及び計測装置63の一部又は全部がタンク内部2aに装填される際に、その装填を容易又は確実ならしめる機能を有する。この機能を有する限り、装填補助部材10の構造、形状、寸法、材質などは問わない。因みに、装填補助部材10の構造の典型例は、管状体、網状体、骨材の組み合わせなどが典型例であり、その材質としては(タンク2に収容される物質の性質にもよるが)ステンレス鋼を採用できる。
【0066】
装填補助部材10が、水平材5aから延垂又は懸架されて到達するタンク内部2aの空間途中の位置は、タンク2に収容された物質の最上面(当該物質が液体である場合には、タンク2上方の気相と液相との境界面)と同じ、或いは当該最上面よりも上又は下のいずれであってもよい。
前記配管62及び計測装置63は、その一部又は全部が、水平材5bに取り付けられ、内部2aの空間途中まで延垂又は懸架される装填補助部材10に沿って、タンク内部2aに装填される。このとき、配管62及び計測装置63は、それぞれ、上下2箇所で、固定手段75、76により、装填補助部材10に固定され、これにより、タンク内部2aに位置決めされる。被装填部材である配管62及び計測装置63は、3個以上の固定手段を用いることにより、3箇所以上で、装填補助部材10に固定され、位置決めされていてもよい。固定手段75、76及びその他(3個目以上の)固定手段は、被装填部材(この実施態様では配管62及び計測装置63)を装填補助部材10に固定し、位置決めするという目的を達成できれば、いかなる固定機構を採用するものであってもよく、その構造、形状、寸法、材質等にも特に制限はない。
【0067】
タンク2には蓋部材8が取り付けられている。この蓋部材8は、配管62及び計測装置63の一部又は全部が内部2aに装填されたタンク2の開口部3を封じる又は閉じる部材である。(なお、「封じる又は閉じる」の意味は、実施例2において説明したとおりである)。装填補助部材10と被装填物6との間の隙間を封じる又は閉じるためには、蓋部材8の形状が多少複雑になる。このような場合には、固定手段75に蓋部材8の機能を持たせて、装填補助部材10と被装填物6との間の隙間を封じる又は閉じるようにしてもよい。この場合、蓋部材8の重量は、装填補助部材10と被装填物6との間の隙間を封じる又は閉じる部分が不要になる分だけ軽くなる。
【0068】
タンク2と水平材5bとの間には懸架手段9aが設けられている。この懸架手段9aは、棒状又は線状(若しくは撚線状)の部材と、一方端に水平材5bへの取り付けを可能にする第1の機構と、他方端に蓋部材8への取り付けを可能にする第2の機構とを備えることにより、蓋部材8が水平材5bから懸架される状態を実現する手段である。当該部材は、蓋部材8が水平材5bから懸架される状態にあるときであると否とに拘らず、第1の機構と第2の機構との間の距離の伸長・短縮を可能にする距離調節機構(図示せず)を備えている。この距離調節機構により、水平材5bと蓋部材8との間の距離又はタンク2にかかる蓋部材8の重量の程度を調節することができるので、このタンク設備1のタンク2には、蓋部材8の一部又は全部の重量の負担が掛からないものとなる。
【0069】
以上のように構成されるタンク設備1では、被装填物6の重量が、固定手段75、76等を介して装填補助部材10に、装填補助部材10を介して水平材5aに掛かることになるので、タンク2に掛かることがない。被装填物6の重量がタンク2に伝わることがあるとすれば、装填補助部材10と蓋部材8との接触抵抗により、被装填物6の重量の一部が蓋部材8に伝わり、タンク2に掛かる場合に止まる。それ故、このタンク設備1では、被装填物6の全部又は殆ど全部の重量並びに蓋部材8の一部又は全部の重量が、タンク2に支持されることなく、且つ、タンク2の外部又は周囲に存在する基盤4上に設置された重量支持部材5により支持される。また、装填補助部材10は、蓋部材8の近傍又は周辺の別の部材9と考えることができるので、タンク設備1は、被装填物6の全部又は殆ど全部の重量、蓋部材8の一部又は全部の重量及び蓋部材8の近傍又は周辺の別の部材9の全部又は殆ど全部の重量の負担がタンク2に掛からないものとなる、ともいえる。更に、固定手段75に蓋部材8の機能を持たせて、装填補助部材10と被装填物6との間の隙間を封じる又は閉じるようにする場合には、蓋部材8の重量を、装填補助部材10と被装填物6との間の隙間を封じる又は閉じる部分の分だけ、軽くすることができるので、タンク2が受ける蓋部材8からの重量負荷をより軽減することができる。この場合、タンク2が受ける蓋部材8からの重量負荷がどの程度軽減されるかは、上記の距離調節機構による調節の仕方次第であるので、その調整により、タンク設備1は、被装填物6及び蓋部材8の重量の全部又は殆ど全部、或いは、被装填物6並びに蓋部材8及びその近傍又は周辺の別の部材9の全部又は殆ど全部の重量の負担がタンク2に掛からないものになる。
【0070】
従って、例えば、時間の経過による強度の劣化が比較的大きい既設タンク2或いは、物品の一部又は全部が内部に装填されることを前提に設計されていない又は設計時の想定を超える重量を支持可能なようには設計されていない既設タンク2を利用したタンク設備1であっても、被装填物6及びその近傍又は周辺の部材の重量が当該既設タンク2に全く又は殆ど全く掛からないものとなる。
【実施例4】
【0071】
図4は、本発明に係るタンク設備の他の実施例を示す説明図である。以下、原則として、図1、2及び3に示された実施の態様と異なる部分について説明し、共通する部分についての説明は省略する。
この図4に示されたタンク設備1は、装填補助部材10としての端部支持部材10aを配管62の先端付近に備えており、この端部支持部材10aは、その下部がタンク2の内部2aの底面に当接されているという特徴を有している。但し、このタンク設備1は、図3に示されたものと異なり、被装填物6としての計測装置63を備えておらず、被装填物6としての配管62の先端に拡散装置(デフューザ)62aを備えていない。
【0072】
この実施態様に係る配管62は、端部支持部材10aにより先端付近が支持されているので、このような支持がない場合に比して、タンク2に対して、その内部2aにおいてより安定的に位置決めされる。
【0073】
端部支持部材10aの下部をタンク2の内部2aの底面に当接させるためには、当該底面がその当接に耐え得るだけの強度を有している必要がある。それ故、タンク2が新設タンクである場合には、その強度設計を、端部支持部材10aをタンク2の内部2aの底面に当接させても支障がないように行い、設置タンク2が既設タンクである場合には、その強度評価の結果、端部支持部材10aをタンク2の内部2aの底面に当接させても支障が生じないと認められるときに、図4に示された設備構造(端部支持部材10aをタンク内の底面に当接させる構造)を採用する。
【0074】
タンク2が既設タンクであると否とに拘らず、配管62又は装填補助部材10(延いてはタンク2外の構造物5a、5bなど)とタンクの内部2aの底面との間で衝撃力が伝達されないようにするために、例えば、端部支持部材10aをタンク2の内部2aの底面との間に衝撃力緩衝材を介在させる、端部支持部材10aと配管62の先端部とを互いに摺動自在にするなどの工夫を施すことが好ましい。
【0075】
この実施態様に係るタンク設備1では、図3に示されたものと同様に、被装填物6の重量が、固定手段75、76等を介して装填補助部材10に、装填補助部材10を介して水平材5aに掛かり、タンク2に掛かることがない。このため、被装填物6の全部又は殆ど全部の重量並びに蓋部材8の一部又は全部の重量が、タンク2に支持されることなく、且つ、タンク2の外部又は周囲に存在する基盤4上に設置された重量支持部材5により支持される。また、タンク2には、被装填物6の全部又は殆ど全部の重量、蓋部材8の一部又は全部の重量及び蓋部材8の近傍又は周辺の別の部材9の全部又は殆ど全部の重量の負担が掛からないものとなる。更に、固定手段75に蓋部材8の機能を持たせて、装填補助部材10と被装填物6との間の隙間を封じる又は閉じるようにする場合には、蓋部材8の重量を、装填補助部材10と被装填物6との間の隙間を封じる又は閉じる部分の分だけ、軽くすることができるので、タンク2が受ける蓋部材8からの重量負荷をより軽減することができる。
【0076】
従って、例えば、時間の経過による強度の劣化が比較的大きい既設タンク2或いは、物品の一部又は全部が内部に装填されることを前提に設計されていない又は設計時の想定を超える重量を支持可能なようには設計されていない既設タンク2を利用したタンク設備1であっても、被装填物6及びその近傍又は周辺の部材の重量が当該既設タンク2に全く又は殆ど全く掛からないものとなる。
【実施例5】
【0077】
図5は、本発明に係るタンク設備1の他の実施例を示す説明図である。以下、原則として、図1、2、3及び4に示された実施態様と異なる部分について説明し、共通する部分についての説明は省略する。
この図に示されたタンク設備1は、被装填物としての撹拌装置61を備え、また、装填補助部材10の先端の脚部10bが、タンク2の内部2aの底面まで到達し、タンク2の内部2aの底面に当接されているという特徴を有している。但し、このタンク設備1は、図3に示されたものと異なり、被装填物としての配管62及び計測装置63を備えていない。
【0078】
撹拌装置61の駆動モータは、装填補助部材10の上部に取り付けられた係止部10cにより、装填補助部材10からタンク2の内部2aに脱落しないように設置される。駆動モータにより回転駆動される回転軸は、装填補助部材10に取り付けられた上部支承部10eと下部支承部10fにより、回転自在に支持される。下部支承部10fの代わりに、図4に示された端部支持部材10aにより、ベアリングを介して回転軸の先端を回転自在に支持するようにしてもよい。
【0079】
タンク2の内部2aに収容された物質を撹拌装置61により撹拌する際に、装填補助部材10の存在が障害となる場合には、装填補助部材10の適所に適当数の開孔連通部10dを設けて、撹拌された物資の流通を容易ならしめる。
装填補助部材10の先端の脚部10bをタンク2の内部2aの底面に当接させることにより、装填補助部材10それ自体、延いては、固定手段75、76等を介して装填補助部材10に設置された撹拌装置61は、そのような当接がない場合に比して、タンク2に対して、その内部2aにおいてより安定的に位置決めされる。
【0080】
装填補助部材10の先端の脚部10bをタンク2の内部2aの底面に当接させるためには、当該底面がその当接に耐え得るだけの強度を有している必要がある。それ故、タンク2が新設タンクである場合には、その強度設計を、脚部10bをタンク2の内部2aの底面に当接させても支障がないように行い、設置タンク2が既設タンクである場合には、その強度評価の結果、脚部10bをタンク2の内部2aの底面に当接させても支障が生じないと認められるときに、図5に示された設備構造(脚部10bをタンク内の底面に当接させる構造)を採用する。
【0081】
タンク2が既設タンクであると否とに拘らず、装填補助部材10(延いては、撹拌装置63やタンク2外の構造物5a、5bなど)とタンクの内部2aの底面との間で衝撃力が伝達されないようにするために、例えば、脚部10bとタンク2の内部2aの底面との間に衝撃力緩衝材を介在させる、などの工夫を施すことが好ましい。
【0082】
このタンク設備1では、図3、4に示されたものと同様に、被装填物6の重量が、固定手段75、76等を介して装填補助部材10に、装填補助部材10を介して水平材5aに掛かる構成を採用している。この構成を採用することにより、被装填物6の重量が、タンク2に掛かることがないので、被装填物6の全部又は殆ど全部の重量並びに蓋部材8の一部又は全部の重量が、タンク2に支持されることなく、且つ、タンク2の外部又は周囲に存在する基盤4上に設置された重量支持部材5により支持される。また、被装填物6の全部又は殆ど全部の重量、蓋部材8の一部又は全部の重量及び蓋部材8の近傍又は周辺の別の部材9の全部又は殆ど全部の重量の負担がタンク2に掛からないものとなる。更に、固定手段75に蓋部材8の機能を持たせて、装填補助部材10と被装填物6との間の隙間を封じる又は閉じるようにする場合には、蓋部材8の重量を、装填補助部材10と被装填物6との間の隙間を封じる又は閉じる部分の分だけ、軽くすることができるので、タンク2が受ける蓋部材8からの重量負荷をより軽減することができる。
【0083】
従って、例えば、時間の経過による強度の劣化が比較的大きい既設タンク2或いは、物品の一部又は全部が内部に装填されることを前提に設計されていない又は設計時の想定を超える重量を支持可能なようには設計されていない既設タンク2を利用したタンク設備1であっても、被装填物6及びその近傍又は周辺の部材の重量が当該既設タンク2に全く又は殆ど全く掛からないものとなる。
【実施例6】
【0084】
図8は、本発明に係るタンク設備の他の実施例を示す説明図である。以下、原則として既述の実施態様と異なる部分について説明し、共通する部分についての説明は省略する。
【0085】
図8に示されたタンク設備1は、既設タンク2と、その内部2a(図示せず)に少なくとも一部が装填される被装填物6と、その被装填物6を支持する装填補助部材10とを備えている。装填補助部材10は水平材5b上に設置される。
水平材5bとこれと接合する垂直材5aとを備えてなる重量支持部材5は、基盤4上に台座兼用水平材4dを更に備える。台座兼用水平材4dは、既設タンク2の周囲に設置され、重量支持部材5を構成する際の台座として機能する。
被装填物6は、水平配管62bに垂直配管62aの一端が接続することにより両配管が概ねT字状をなすとともに、垂直配管62aを挟んだ水平配管62bの両側に遠隔又は手動操作可能なバルブ装置11を備える配管系である。
装填補助部材10は、被装填物6としての配管系のT字部又はその近傍を位置決めし、必要に応じてバルブ装置11も固定する部材である。この部材により、垂直配管62の一部又は略全部が開口部3(図示せず)を通じて既設タンク2の内部2aに装填されるように取り付けられる。図8では、被装填物6が一つしか描かれていないが、装填補助部材10には二つ以上の被装填物6が設置されていてもよい(例えば、図10に示された被装填物621、622参照)。
【0086】
なお、被装填物6の一部又は略全部が開口部3を通じて既設タンク2の内部2aに装填されるように取り付けることを補助する役割を果たす部材であるという点で、図8における装填補助部材10と図3における装填補助部材10とは同じである。しかし、図3における装填補助部材10が開口部3を通じてタンク2内に入り、タンク内部2aの空間途中まで延垂又は懸架される部材であるのに対し、図8における装填補助部材10が水平材5b上にのみ設置される部材である点で、両者は異なる。
【0087】
既設タンク2には蓋部材8が取り付けられている。この蓋部材8は、垂直配管62aの一部又は略全部が内部2aに装填された既設タンク2の開口部3(図示せず)を封じる又は閉じる部材である。(なお、「封じる又は閉じる」の意味は、実施例2において説明したとおりである)。蓋部材8は、重量支持部材5の適所に設けられた固定デッキ9cと接続する懸架手段9aにより、固定デッキ9cを介して重量支持部材5により支持される。
【0088】
既設タンク2の補強措置には、少なくともタンク内部に施すものとタンク外部に施すものとがあり、前者の例は、タンク内壁面のライニング処理であり、後者の例は、タンク外周の耐振補強工事である。タンク基礎の地盤強化も、広く捉えれば、後者の一例である。図8に示されたタンク設備1では、既設タンク2の補強措置として、基礎強化部4bの構築に加えて、タンク補強手段12の設置がなされている。タンク補強手段12は、既設タンク2の外周を囲むように設置された柱状部材12aと、柱状部材12aにより支持され、巻き付くように既設タンク2の外周に設置された胴周補強部材12bと、重量支持部材5との間隙を埋める間隙充填部材12cとを備えている。間隙充填部材12cは、振動や衝撃を吸収する機能(図示せず)を備えた部材であり、振動や衝撃を吸収する素材により形成された部材であってもよい。柱状部材12aの一部又は全部を鉛直材5aにより代用してもよい(その場合には、間隙充填部材12cの少なくとも一部の設置を省略することができる)。胴周補強部材12bとタック外周壁面との間に、振動や衝撃を吸収する素材により形成された部材(図示せず)を設けてもよい。
【0089】
既設タンク2には、補強措置以外の処理、例えば、既設ンク2の外壁面への断熱材の敷設を施してもよい。
この実施態様に係るタンク設備1では、装填補助部材10が水平材5b上に設置されることにより、被装填物6の重量の少なくとも一部が重量支持部材5により支持され、被装填物6の重量が既設タンク2に過度に掛かることがない。また、蓋部材8の重量の一部又は全部が、懸架手段9a及び固定デッキ9cを介して重量支持部材5により支持されるので、被装填物6の重量が既設タンク2に過度に掛かることがない。従って、時間の経過による強度の劣化が比較的大きい既設タンク2であっても、物品の一部又は全部が内部に装填されることを前提に設計されていない又は設計時の想定を超える重量を支持可能なようには設計されていない既設タンク2であっても、そのような既設タンク2を利用したタンク設備1において、被装填物6及びその近傍又は周辺の部材の重量が当該既設タンク2に全く又は殆ど全く掛からないものとなる。しかも、既設タンク2は、補強措置が施されているので、被装填物6及び蓋部材8のそれぞれの重量の一部が掛かっても又は多少余計に掛かっても、当該既設タンク2が壊れるようなことはない。
【0090】
−本発明に係る設備の構築方法について−
【実施例7】
【0091】
図1に示されたタンク設備1の構築方法は、種々あり得る。以下に、図6を参照してその例を幾つか説明する。
(ア)設備構築に必要な準備
まず、タンク設備1の構築に必要な準備、即ち、既設タンク2、開口部3、基礎4、重量支持部材5、被装填物6、固定手段7の各準備を済ませておく。例えば、次のとおりである。
タンク設備1の使用目的又は設置目的に適う既設タンク2を選定する。必要に応じて既設タンク2に開口部3を予め設けておく(開口部3を予め設けておく必要がない場合には、被装填物6の一部又は全部を既設タンク2の内部2aに装填するときまでに、開口部3を既設タンク2に設ければ足りる)。
【0092】
基礎4の準備の場合、既設タンク2が設置されている既設基盤を、重量支持部材5を設置するための基盤4として転用できるかどうかを検討し、転用できる場合にはその場所を基盤4とし、転用することができない場合には、適当場所に基盤を増設するか、適用場所の既設基盤に地盤強化処理を施すことにより、当該適用場所を基盤4とする。
【0093】
重量支持部材5の場合、垂直材5aの一方の端部に、当該垂直材5aを基盤4上に設置するために必要な加工を施しておき、他方の端部に、水平材5bと連結するために必要な加工を施しておく。水平材5bの両端部に垂直材5aと連結するために必要な加工を施し、中間部に被装填物6(61、62)や固定手段7(71、72)の取り付けのために必要な加工を施しておく。
【0094】
(イ)構築方法の例〔1〕
タンク設備1の構築に必要な準備が完了した後、既設タンク2の外部又は周囲の基盤4上に垂直材5aを設置する。その後、既設タンク2の上方をわたるように(既設タンク2と接触しないほどの直上又は既設タンク2からある程度離隔した上方に)垂直材5a間に水平材5bを設置し、重量支持部材5を完成させる。このとき、必要に応じて、斜方材や補強部材を用いて、重量支持部材5全体の強度を高めておく。
【0095】
次いで、水平材5bに、各被装填物61、62を、その一部又は全部が開口部3を通じて既設タンク2の内部2aに装填されるように取り付け、固定手段71、72により固定する。
以上により、図1に示されたタンク設備1が構築される。
【0096】
(ウ)構築方法の例〔2〕
タンク設備1の構築に必要な準備が完了した後、既設タンク2の外部又は周囲の基盤4上に垂直材5aを設置する。その後、垂直材5a間に水平材5bを設置する前に、水平材5bに各被装填物61、62を取り付け、固定手段71、72により固定しておく。
次に、この水平材5bを、既設タンク2の上方をわたるように(既設タンク2と接触しないほどの直上又は既設タンク2からある程度離隔した上方に)、且つ、各被装填物61、62の一部又は全部が開口部3を通じて既設タンク2の内部2aに装填されるように、垂直材5a間に設置する。このとき、必要に応じて、斜方材や補強部材を用いて、重量支持部材5全体の強度を高める。
以上により、図1に示されたタンク設備1が構築される。
【0097】
(エ)構築方法の例〔3〕
タンク設備1の構築に必要な準備が完了した後、既設タンク2の外部又は周囲の基盤4上に垂直材5aを設置する。その後、垂直材5a間に水平材5bを設置する前に、水平材5bに被装填物61、62の一方又は両方の一部を取り付け、固定手段71、72により固定しておく。
次に、この水平材5bを、既設タンク2の上方をわたるように(既設タンク2と接触しないほどの直上又は既設タンク2からある程度離隔した上方に)、垂直材5a間に設置する。このとき、必要に応じて、斜方材や補強部材を用いて、重量支持部材5全体の強度を高める。
更に、水平材5bに既に取り付けてある被装填物61、62の一方又は両方の一部に、その残部を、各被装填物61、62の一部又は全部が開口部3を通じて既設タンク2の内部2aに装填されるように取り付ける。
以上により、図1に示されたタンク設備1が構築される。
【実施例8】
【0098】
図2に示されたタンク設備1の構築方法は、種々あり得る。以下に、図6を参照してその例を幾つか説明する。
(ア)設備構築に必要な準備
タンク設備1の構築に必要な準備、即ち、既設タンク2、開口部3、基礎4、重量支持部材5、被装填物6(62)、固定手段7(72、73)、蓋部材8及びその近傍又は周辺の別の部材9(9a、9b)の各準備を済ませておく。既設タンク2、開口部3、基礎4、重量支持部材5、被装填物6及び固定手段(72)の各準備については、実施例3の(ア)の説明が概ね(必要な読み替えを行うことにより)当て嵌まる。
【0099】
蓋部材8の準備の場合、開口部3を封じる又は閉じるに足る大きさ、形状等の蓋部材8を選択する。蓋部材8を懸架手段9aにより蓋部材8を懸架する場合には、蓋部材8が既設タンク2の内部2aに落下する心配はない。しかし、懸架手段9aにより蓋部材8を懸架することなく、蓋部材8の重量の全部を既設タンク2により支持されるようにする場合には、開口部3の大きさを上回り、既設タンク2に当接又は係合する部分を蓋部材8に設けることにより、蓋部材8が既設タンク2の内部2aに落下しないようにする必要がある。この場合、蓋部材8をできるだけ軽量な素材で形成する(例えば、少なくとも一部を繊維強化プラスチック製とする)ことにより、既設タンク2に掛かる重量を極力低減させることが望ましい。
蓋部材8の近傍又は周辺の(蓋部材8とは)別の部材9(9a、9b)の準備の場合、水平材5bの中間部に被装填物6(62)、別の部材9(9a、9b)、固定手段7(72、73)の取り付けのために必要な加工を施しておく。
【0100】
(イ)構築方法の例〔4〕
構築方法の例〔1〕乃至〔3〕のいずれかにより、図1に示されたタンク設備1を構築した後、更に、開口部3を封じる又は閉じる蓋部材8を、固定手段73により水平材5bに固定された懸架手段9aと係合させて、水平部材5bから懸架されるように設置する。そして、必要に応じて、遮蔽手段9bを、固定手段74により水平材5bに固定することにより、蓋部材8の周囲を蓋部材8の周囲を取巻くように設置する。これらにより、既設タンク2の内部2aと外部とを遮断する。
以上により、図2に示されたタンク設備1が構築される。
【0101】
図3〜5にそれぞれ示されたタンク設備1の構築方法は、種々あり得る。しかし、設備の構築方法を構成する工程に着目すると、装填補助部材10を準備する工程、タンク2の開口部3から内部2aに向かって被装填物6を装填する前に、装填補助部材10を設置する工程が追加されている点(より厳密には、設置された装填補助部材10に被装填物6を装填する工程も追加されている点)を除き、図1及び2に示されたタンク設備1の構築方法と殆ど同じといってよく、具体的には、図7に示された工程フローとなる。
【実施例9】
【0102】
図3に示されたタンク設備1の構築方法の一例について、図7を参照して説明する。
【0103】
(ア)設備構築に必要な準備
まず、タンク設備1の構築に必要な準備、即ち、既設タンク2、開口部3、基礎4、重量支持部材5、被装填物6、固定手段7の各準備を予め済ませておく。これは実施例7の場合と同様なので説明を省略する。なお、必要に応じて、重量支持部材5が設置される予定の位置及びその周辺の基盤4に、重量支持部材5の重量を基盤4により支持するに足る基礎強化部4bを設けておく。
【0104】
(イ)構築方法の例〔5〕
タンク設備1の構築に必要な準備が完了した後、既設タンク2の外部又は周囲の基盤4上に垂直材5aを設置する。その後、既設タンク2の上方をわたるように(既設タンク2と接触しないほどの直上又は既設タンク2からある程度離隔した上方に)垂直材5a間に水平材5bを設置し、重量支持部材5を完成させる。このとき、必要に応じて、斜方材や補強部材を用いて、重量支持部材5全体の強度を高めておく。
【0105】
次いで、水平材5bに、装填補助部材10を水平材5bに取り付ける。装填補助部材10は、被装填物6(62、63)の一部又は全部が開口部3を通じて既設タンク2の内部2aに装填されるように取り付けることを補助する役割を果たす部材であり、且つ、それで足りる。それ故、装填補助部材10は、その一部又は全部が開口部3を通じて既設タンク2の内部2aに懸架されるように取り付けられる。
【0106】
引き続き、各被装填物62、63を、その一部又は全部が開口部3を通じて既設タンク2の内部2aに装填されるように装填補助部材10に取り付け、固定部材75、76により固定する。これにより、被装填物6が、その一部又は全部が開口部3を通じて既設タンク2の内部2aに、装填補助部材10を介して装填されることになる。
【0107】
更に、開口部3を封じる又は閉じる蓋部材8を、水平材5bに一端が固定された懸架手段9aの他端と係合させて、水平材5bから懸架されるように設置する(必要に応じて、遮蔽手段9b(図示せず)を、水平材5bに固定することにより、蓋部材8の周囲を蓋部材8の周囲を取巻くように設置してもよい)。これより、既設タンク2の内部2aと外部とを遮断する。その遮断の程度は、タンク設備1の使用目的に応じて選択すればよい。
以上により、図3に示されたタンク設備1が構築される。
【0108】
なお、上記の構築方法においては、各被装填物62、63の一部又は全部を予め装填補助部材10に取り付け、固定部材75、76により固定して一体化させたものを、水平材5bに取り付けるようにしてもよい。この場合、水平材5bは、垂直材5aに設置する前であっても後であってもよい。水平材5bを垂直材5aに設置したとき、装填補助部材10への固定が完了していない被装填物6があるときは、その後、その固定を完了させる。
【0109】
拡散装置62cを先端に備えた配管62を、垂直材5aに水平材5bが設置され、その水平材5bに装填補助部材10が取り付けられた後に、タンク2の内部2aに装填すると、装填補助部材10の存在がその装填の障害となる場合がある。このような場合に、上記のような、装填補助部材10に被装填物62の一部又は全部を予め取り付け固定しておく手法や、そのうえ更に水平材5bに取り付けておく手法が、有益となる。
【実施例10】
【0110】
図4に示されたタンク設備1の構築方法の一例について、図7を参照して説明する。
【0111】
(ア)設備構築に必要な準備
タンク設備1の構築に必要な準備、即ち、既設タンク2、開口部3、基礎4、重量支持部材5、被装填物6、固定手段7の各準備を済ませておく。これは実施例7の場合と同様なので説明を省略する。
【0112】
(イ)構築方法の例〔6〕
図4に示されたタンク設備1が、図3に示されたものと異なる点は、端部補助部材10aが存在すること、換言すれば装填補助部材10が、タンク2の内部2aの底面にも存在することであり、その構築方法は、端部補助部材10aを設置する工程を除き、図3に示されたタンク設備1の構築方法と同じといってよい。
端部補助部材10aを設置する工程は、一括りすると、装填補助部材10を設置する工程といえる。しかし、その工程は、被装填物62の先端をタンク2の内部2aに配置させる前までに完了していれば足り、どのタイミングで実行するかは、構築事案に応じて決定することができる。
かくして、図4に示されたタンク設備1が構築される。
【実施例11】
【0113】
図5に示されたタンク設備1の構築方法の一例について、図7を参照して説明する。
【0114】
(ア)設備構築に必要な準備
タンク設備1の構築に必要な準備、即ち、既設タンク2、開口部3、基礎4、重量支持部材5、被装填物6、固定手段7の各準備を済ませておく。これは実施例7の場合と同様なので説明を省略する。
【0115】
(イ)構築方法の例〔7〕
図5に示されたタンク設備1が、図3に示されたものと異なる点の一つは、装填補助部材10がタンク2の内部2aの底面まで到達し、脚部10bにおいて当該底面と接触していることである。この構成により、装填補助部材10とそれに取り付けられた被装填物(撹拌装置)61の重量の少なくとも一部が当該底面により支持されることになる。この意味からすると、装填補助部材10を設置する工程を実行するタイミングには特に制限はない。重量支持部材5を構築した後に、水平材5bに装填補助部材10を取り付け、引き続き、その装填補助部材10に被装填物(撹拌装置)62に取り付けてもよく、被装填物62の一部又は全部を予め取り付けておいた装填補助部材10を水平材5bに取り付けてもよい(この場合、装填補助部材10に取り付けられていない被装填物6の残部については、水平材5bに装填補助部材10を取り付けた後に、残りの取り付けを完了するようにすればよい)。
【0116】
図5に示されたタンク設備1が、図3に示されたものと異なる他の点は、装填補助部材10が、撹拌装置61の撹拌翼付き回転軸を回転自在に支承する上部支承部10eと下部支承部10fを備えていることである。装填補助部材19を、その脚部10bがタンク2の内部2aの底面に接触するように配置した後に、上部支承部10eと下部支承部10fを、撹拌装置61の回転軸を承するように設置することは不可能ではない。従って、その場合には、例えば、重量支持部材5として完成した後の水平材5bに装填補助部材10を、その脚部10bがタンク2の内部2aの底面に接触するように取り付け、撹拌装置61のうち撹拌翼付き回転軸以外の部分(特に図5に示された駆動モータの部分)を係止部10cにおいて装填補助部材10に取り付け、その後、撹拌装置61に別途取り付けられた又は撹拌装置61が当初から具備していた撹拌翼付き回転軸を、上部支承部10eと下部支承部10fを介して装填補助部材10に取り付けるという手順でタンク設備1を構築する。
【0117】
装填補助部材10を、その脚部10bがタンク2の内部2aの底面に接触するように配置した後に、上部支承部10eと下部支承部10fを、撹拌装置61の回転軸を承するように設置することが不可能若しくは困難な場合又はそのようなことを極力回避したい場合には、例えば、撹拌翼付き回転軸を含む撹拌装置61全体を、予め装填補助部材10に取り付けておき(従って、この段階で既に撹拌翼付き回転軸は上部支承部10eと下部支承部10fを介して装填補助部材10に取り付けられている)、その後、垂直材5aに設置済みの水平材5bに取り付けて又は、垂直材5aに設置前の水平材5bに取り付けて、その水平材5bを垂直材5aに設置することにより、装填補助部材10を、その脚部10bがタンク2の内部2aの底面に接触するように取り付けるという手順でタンク設備1を構築すればよい。
図3に示されたタンク設備1との構造上の相違に起因する、上記の工程を除き、図5に示されたタンク設備1の構築方法は、図3に示されたものと同じといってよいので、説明を省略する。
かくして、図5に示されたタンク設備1が構築される。
【実施例12】
【0118】
図8に示されたタンク設備1の構築方法の一例について、図9を参照して説明する。以下、原則として既述の実施態様と異なる部分について説明し、共通する部分についての説明は省略する。
(ア)設備構築に必要な準備
まず、タンク設備1の構築に必要な準備、即ち、既設タンク2、開口部3、基礎4、重量支持部材5、被装填物6(62)、蓋部材8、蓋部材8の近傍又は周辺の別部材9(9a、9c)及び装填補助部材10、バルブ装置11の各準備を予め済ませておく。これは、実施例8の場合と概ね同様なので、相違点を除き、説明を省略する。
【0119】
被装填物6は、垂直配管62a、水平配管62b及び二つのバルブ装置11を備えるT字型配管系であるが、準備段階で、T字型配管系として完成させてもよく、タンク設備1の構築過程において最終的に当該T字型配管系になるようにしてもよい。例えば、タンク設備1の構築の過程で、予め用意しておいたT字型配管継手を装填補助部材10に固定し、そのT字型端部が備える三つの端部のうち水平方向に開口する二つのそれぞれにバルブ装置11を取り付け、更に水平配管62bを取り付けるとともに、残る垂直方向に開口する端部に垂直配管62aを取り付けることにより最終的に、当該T字型配管系を構成するようにしてもよい。
【0120】
固定デッキ9cは、懸架手段9aを介して蓋部材8の重量の少なくとも一部を支持するものなので、重量支持部材5が完成する前に鉛直材5aに取り付けられていれば足りる。それ故、重量支持部材5を組み立てる前に固定デッキ9cを鉛直材5aに取り付けておいてもよい。
必要に応じて、重量支持部材5が設置される予定の位置及びその周辺の基盤4に、重量支持部材5の重量を基盤4により支持するに足る基礎強化部4bを設けておく。この点は、実施例9と同様である。
また、必要に応じて、補強措置及びその他の処理を既設タンク2に施しておく。これらの処理は、可能であれば、タンク設備1の構築の過程で行ってもよい。
【0121】
(イ)構築方法の例〔8〕
設備構築に必要な準備の際に、補強措置及びその他の処理を既設タンク2に施したとする。この結果、既設タンク2には、間隙充填部材12cを除くタンク補強手段12が取り付けられる。また、被装填物6としての配管系は、T字型配管継手、垂直配管62a、垂直配管62b及びバルブ装置11に分解可能であるとする。
【0122】
まず、基盤4の上(基盤強化部4bを設けた場合には、その基盤強化部4bの上)に台座兼用水平材4dを設置し、既設タンク2の外部又は周囲の基盤4上に垂直材5aを設置する。垂直材5aを設置する際には、垂直材5aと柱状部材12aとの間に間隙充填部材12cを介在させる。その後、既設タンク2の上方をわたるように(既設タンク2と接触しないほどの直上又は既設タンク2からある程度離隔した上方に)垂直材5a間に水平材5bを設置し、重量支持部材5を完成させる。このとき、必要に応じて、斜方材や補強部材を用いて、重量支持部材5全体の強度を高めておく。
【0123】
次いで、水平材5bに、装填補助部材10を水平材5b上に取り付け、当該装填補助部材10に、被装填物6としてのT字型配管系の一部を構成するT字型配管継手を固定する。
【0124】
装填補助部材10に固定されたT字型配管継手が備える三つの端部のうち水平方向に開口する二つのそれぞれにバルブ装置11を取り付け、更に水平配管62bを取り付けるとともに、残る垂直方向に開口する端部に垂直配管62aを取り付けることにより、当該T字型配管系を完成させる。装填補助部材10により、バルブ装置11を固定するように構成してもよい。
【0125】
最後に、蓋部材8を、懸架手段9aを介して固定デッキ9cに取り付けて、既設タンク2の開口部3(図示せず)を封じる又は閉じるように配置させる。
なお、水平材5bを用意する段階で、水平材5bに装填補助部材10を予め取り付けておいてもよく、その装填補助部材10に更に、T字型配管系の一部を構成するT字型配管継手を予め固定しておいてもよい。更に、T字型配管継手には、バルブ装置11を予め取り付けておいてもよく、当該バルブ装置11を介して更に水平配管62aを予め取り付けておいてもよい。T字型配管継手にバルブ装置11や水平配管62bを取り付ける前に、垂直配管62aを取り付けておいてもよい。
以上により、図8に示されたタンク設備1が構築される。
【0126】
−本発明に係る他のタンク設備及びその構築方法について−
【実施例13】
【0127】
<多セル型タンク設備>
タンク設備の他の形態として、少なくとも一つのタンク2が設置される単位空間(セル)Cを複数個備え、各タンクに対応する重量支持部材5により被装填物6の重量の少なくとも一部が支持されるように構成される多セル型タンク設備について説明する。多セル型タンク設備は、これまで説明してきた、セル数が一つのタンク設備(単セル型タンク設備)とは異なり、複数個のセルが一次元又は二次元或いは三次元に配置されてなるものである。
【0128】
図10は、多セル型タンク設備の一例を示す説明図である。この図に示されたタンク設備1は、基盤4上(又は基盤4上に必要に応じて設けられた基礎強化部4b、4c上)に構築され、複数個のセルC1〜C4と、各セルに設置された合計複数個のタンク21〜24と、各タンクに設けたれた重量支持部材51と、各タンクの内部に少なくとも一部が装填される合計複数個の被装填物621、622と、各被装填物の少なくとも一部が対応する各タンクの内部に装填されることを補助する合計複数個の装填補助部材101〜108とを備える。重量支持部材51は、台座兼用水平材4dを台座として構築されており、水平材51bと、台座兼用水平材4dと水平材51bとの間に配置する垂直材51aとを備える。
【0129】
被装填物621、622は、いずれも、水平配管に複数個の垂直配管の一端が接続することにより形成される複数個のT字部を各タンクの開口部3(図示せず)に対応した位置に備えるとともに、当該水平配管の適当箇所に適当個数に設置されたバルブ装置11(図示せず)と、必要に応じて設置されたポンプ装置やその他の機器・装置(いずれも図示せず)とを更に備える。被装填物621、622は、いずれも、概ね、配管系62が水平方向に連結したものといえる。
【0130】
<<セルC1について>>
タンク21が設置されるセルC1は、図8に示されたタンク設備と基本構成が概ね同じである。即ち、セルC1は、何らかの目的で設計又は設置された既設タンク21と、タンク21の外部に設置される重量支持部材51と、被装填物6としての配管系621、622と、各配管系の少なくとも一部がタンク21の開口部3(図示せず)を通じてタンク内部に装填されることを補助する一組の装填補助部材101、102と、開口部3を封じる又は閉じる蓋部材8と、既設タンク21の強度を高めるためのタンク補強手段12とを備える。
【0131】
重量支持部材51は、基盤4上(又は基盤4に必要に応じて設けられた基盤強化部4b上)に設置された台座兼用水平材4dを台座として構築されており、水平材51bと、台座兼用水平材4dと水平材51bとの間に配置する垂直材51aとを備える。装填補助部材102、103は、水平材51b上に設置され、それぞれ、配管系621、622が備えるT字部の近傍を位置決めする。装填補助部材102、103は、遠隔又は手動操作可能なバルブ装置11やその他の機器・装置(いずれも図示せず)の位置決めもする場合がある。蓋部材8は、重量支持部材5の適所に設けられた固定デッキ9cと接続する懸架手段9aにより、固定デッキ9cを介して重量支持部材5により支持される。
【0132】
このような基本構成ゆえ、セルC1の部分では、装填補助部材101、102が水平材51b上に設置されることにより、配管系621、622の重量の少なくとも一部が重量支持部材5により支持され、既設タンク21に過度に掛かることがない。また、蓋部材8の重量の一部又は全部が、懸架手段9a及び固定デッキ9cを介して重量支持部材5により支持されるので、既設タンク21に過度に掛かることがない。従って、時間の経過による強度の劣化が比較的大きい既設タンク21であっても、物品の一部又は全部が内部に装填されることを前提に設計されていない又は設計時の想定を超える重量を支持可能なようには設計されていない既設タンク2であっても、そのような既設タンク2を利用したタンク設備1において、被装填物6及びその近傍又は周辺の部材の重量が当該既設タンク2に全く又は殆ど全く掛からないものとなる。しかも、既設タンク2は、補強措置が施されているので、被装填物6及び蓋部材8のそれぞれの重量の一部が掛かっても又は多少余計に掛かっても、当該既設タンク2が壊れるようなことはない。
【0133】
<<セルC2〜C4について>>
セルC2〜C4には、それぞれ、新規に増設したタンク22〜24が設置される。即ち、各セルC(C2〜C4)は、タンク設備1の設置目的を達成するために設計され、設置されたタンク2(22〜24)と、タンク2の外部に設置される重量支持部材51と、被装填物6としての配管系621、622と、各配管系の少なくとも一部がタンク2の開口部3(図示せず)を通じてタンク内部に装填されることを補助する一組の装填補助部材10(103と104、105と106、107と108)とを備える。その他にも、タンク2の設計が許す限り、開口部3を封じる又は閉じる蓋部材8やタンク2の強度を高めるためのタンク補強手段12を備えていてもよい。蓋部材8を設ける場合には、その蓋部材の近傍又は周辺に別の部材9(例えば、セルC1の場合のように、重量支持部材51の適所に設置した固定デッキ9cと、そこから蓋部材を懸架する懸架手段9a)を設けて、蓋部材8の重量の一部又は全部が、重量支持部材5により支持されるようにするのが好ましい。
【0134】
重量支持部材51は、基盤4上(又は基盤4に必要に応じて設けられた基盤強化部4c上)に設置された台座兼用水平材4dを台座として構築されており、水平材51bと、台座兼用水平材4dと水平材51bとの間に配置する垂直材51aとを備える。図中、重量支持部材51は、各セル(C1を含む)に対応する重量支持部材が一体物として構成されているが、各セルに対応する独立の重量支持部材が横並びに配置する構成であってもよく、一部のみが一体物として構成され、残部が独立の重量支持部材が横並びに配置するように構成されていてもよい。
【0135】
装填補助部材(103と104、105と106及び107と108)の各組は、水平材51b上の各タンクの開口部3(図示せず)に対応する位置に設置され、それぞれ、配管系621、622が備えるT字部の近傍を位置決めする。装填補助部材の各組は、遠隔又は手動操作可能なバルブ装置11やその他の機器・装置(いずれも図示せず)の位置決めもする場合がある。
【0136】
このような基本構成ゆえ、セルC2〜C4のそれぞれの部分では、装填補助部材の組(103と104、105と106又は107と108)が水平材51b上に設置されることにより、配管系621、622の重量の少なくとも一部が重量支持部材5により支持され、タンク22〜24のそれぞれに過度に掛かることがない。蓋部材8と懸架手段9を設けた場合には、当該蓋部材8の重量の一部又は全部が重量支持部材51により支持されることになるので、やはり、好ましい。重量その近傍又は周辺の部材9によりの重量の一部又は全部が、懸架手段9a及び固定デッキ9cを介して重量支持部材5により支持されるので、タンク22〜24のそれぞれに過度に掛かることがない。従って、設計や製作に係る条件上、過度の荷重が掛からないようにする必要があるタンクや、時間の経過による強度の劣化を極力回避する必要があるタンクであっても、そのようなタンクが設置される各セルCにおいて、被装填物6及びその近傍又は周辺の部材の重量が当該既設タンク2に全く又は殆ど全く掛からないものとなる。
【0137】
<<小括>>
図10に示されたタンク設備1では、少なくとも、被装填物6である配管系621、622の重量の少なくとも一部が重量支持部材5により支持され、タンク21〜24のそれぞれに過度に掛かることがない。このような長所は、タンク21〜24のうち一部又は全部が既設タンク又は新設タンクであることとは無関係である(ただし、タンク21〜24のより多くが既設タンクである方が好ましい。より多くの既設タンクを他目的に利用できるからである)。従って、多セル型タンク設備は、各セルに設置されるタンクが既設タンクであるか新規タンクであるかに拘らず、被装填物6の重量の少なくとも一部が重量支持部材5により支持され、各セルに設置されるタンクに過度に掛かることがない、という長所を有するといえる。
【0138】
また、この長所は、単セル型タンク設備にセルを追加して多セル型タンク設備にしても、多セル型タンク設備に更にセルを追加しても、変わらず維持されるものである。それ故、タンク設備をセル単位で増設する際には、特に有益である。
【0139】
<<多セル型タンク設備の他の例>>
セル単位で増設可能な多セル型タンク設備の一例を、タンク設備1をタンク2上方から眺めた平面図として図11に示す。この図では、設備稼働のためには本来必要であるが、本発明を説明するためには無用な幾つかの機器・装置(例えばポンプ装置や電源装置)は、描写していない。図中、C5〜C8は、互いに隣接又は近接して配置して集合化したセルの群であり、25〜28は、セルC5〜C8のそれぞれに設置されるタンクである。これらのタンクは、既設タンクであっても、新設タンクであってもよい。セルの群C5〜C8の外部には、それぞれ、重量支持部材55〜58が設置される。55b〜58bは、それぞれ、重量支持部材55〜58の水平材である。
【0140】
図中623〜629は、いずれも被装填物6に相当する配管系であり、11a〜11hは、当該配管系に設置される、遠隔又は手動操作可能なバルブ装置である。より具体的には、配管系623、624はセルC5、C6を通過し、配管系625、626は節C7、C8が通過する。セルC5では、配管系623、624にそれぞれバルブ装置11a、11bが設置され、セルC6では、配管系623、624にそれぞれバルブ装置11c、11dが設置される。セルC7では、配管系625、626にそれぞれバルブ装置11e、11fが設置され、セルC8では、配管系625、626にそれぞれバルブ装置11g、11hが設置される。バルブ装置11aと11eとの間、11bと11fとの間、11cと11gとの間及び11dと11hとの間は、それぞれ、配管系627〜630により接続される。これらの配管系(バルブ装置を含む)は、重量支持部材の水平材上に設置された支持部材(図示せず)により、位置決めされる。
【0141】
このように構成された多セル型タンク設備1であれば、バルブ装置11a〜hの開閉切替操作とポンプ装置(図示せず)の動作と不動作の切替操作により、セルの群C5〜C8内の一つのタンクの中に収容されていた物質を、他のタンクに移送することができ、また、配管系624〜626のいずれかを通じて、セルの群外の図示しない領域に輸送することができる。
【0142】
図11に示された多セル型タンク設備1においては、被装填物6としての配管系(バルブ装置を含む)の重量の少なくとも一部が、重量支持部材55〜58に分配され、支持されることになるので、タンク25〜28のそれぞれに過度に掛かることがない。
【0143】
<多セル型タンク設備の構築方法について>
多セル型タンク設備は、単セル型タンク設備又は多セル型タンク設備にセルを追加することにより構築できる。単セル型タンク設備の構築方法は、既述のとおりであり、セルの追加は、単セル型タンク設備を隣接して横並びに配置すれば、容易に構築できる。そしてその際、必要に応じて、被装填物6としての配管系や隣接する重量支持部材5を連結して一体的に構成することも可能である。構築方法が容易であることは、タンク設備をセル単位で増設する際に特に有益である。
【0144】
以上の実施例において、図面に描写された重量支持部材5は、水平材5bの両端が一対の垂直材5aと接合されることにより構成されている。しかし、本発明はこれら実施例の構成に限定されるものではない。たとえば、水平材5bの一端が垂直材5aと接合され、他端は垂直材5aと接合されていない、自由端状態とされることにより重量支持部材5が構成されていてもよい。また、水平材5bについても、必ずしも水平に設置されている必要はなく、タンク2の高さよりも高い位置に設置されている必要もなく、被装填物6、蓋部材8及び蓋部材8の近傍又は周辺の別部材9のうち少なくとも一つの重量の少なくとも一部を支持するに足るように設置されていればよい。同様の意味から、重量支持部材5自体の外形にも特に制限はない。更に、タンク2の内部2aに装填される被装填物6の少なくとも一部は、鉛直方向に位置決めされている必要はない。タンク2の開口部3も、タンク2の天頂部に設けられている必要はない。従って、例えば、タンク2の上方であるが側面に開口部3を設けて、その開口部3を通じて、被装填物6の少なくとも一部が内部2aに斜めに装填され、これにより当該被装填物6の重量の少なくとも一部が支持されるように、重量支持部材5を構成してもよい。
【符号の説明】
【0145】
1: タンク設備
2、21〜28: タンク(既設タンク)
2a: 内部
21: 既設タンク
22〜24: 新設タンク
3: 開口部
4: 基盤
4a: タンク設置用台座
4b、4c: 基礎強化部
4d: 台座兼用水平材
5(5a、5b)、51(51a、51b)、55〜58(55b〜58b): 重量支持部材
5a、51a: 鉛直材
5b、51b、55b〜58b: 水平材
6(61、62、63): 被装填物
61: 撹拌装置
62(62a、62b、62c)、621〜630: 配管系
62a: 鉛直配管
62b: 水平配管
62c: 拡散装置
63: 計測装置
7(71〜76): 固定手段
8: 蓋部材
9(9a、9b、9c): 蓋部材8の近傍又は周辺の別の部材
9a: 懸架手段
9b: 遮蔽手段
9c: 固定デッキ
10(10a〜10f)、101〜108: 装填補助部材
10a: 端部支持部材
10b: 脚部
10c: 係止部
10d: 開孔連通部
10e: 上部支承部
10f: 下部支承部
101〜108: 配管固定部材
11、11a〜11h: バルブ装置
12(12a、12b、12c): タンク補強手段
12a: 柱状部材
12b: 胴周補強部材
12c: 間隙充填部材
C、C1〜C8: タンクが設置される単位空間(セル)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を備えたタンクと、前記開口部から前記タンクの内部に向かって一部又は全部が装填される被装填物と、該タンクの外部又は周囲に存在する基盤上に設置され、前記被装填物の一部又は全部の重量を支持する重量支持部材とを具備することを特徴とするタンク設備。
【請求項2】
前記タンクの開口部を封じ又は閉じる蓋部材を更に備えることを特徴とする請求項1に記載のタンク設備。
【請求項3】
前記蓋部材の一部又は全部の重量が、前記重量支持部材により支持されていることを特徴とする請求項2に記載のタンク設備。
【請求項4】
前記蓋部材の近傍又は周辺に別の部材を更に設け、この別の部材の一部又は全部の重量が、前記重量支持部材で支持されていることを特徴とする請求項3に記載のタンク設備。
【請求項5】
前記タンクが既設タンクであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のタンク設備。
【請求項6】
複数個の構造単位を備え、各構造単位が、開口部を備えたタンクと、前記開口部から前記タンクの内部に向かって一部又は全部が装填される被装填物と、該タンクの外部又は周囲に存在する基盤上に設置され、前記被装填物の一部又は全部の重量を支持する重量支持部材とを具備することを特徴とするタンク設備。
【請求項7】
前記複数個の構造単位のうち少なくとも一つが具備するタンクが、既設タンクであることを特徴とする請求項6に記載のタンク設備。
【請求項8】
タンクの外部又は周囲に存在する基盤上に重量支持部材を設置する工程と、前記タンクの開口部から内部に向かって一部又は全部が装填される被装填物の一部又は全部の重量を、前記重量支持部材で支持する工程とを備えたことを特徴とするタンク設備の構築方法。
【請求項9】
前記タンクの開口部を蓋部材により封じ又は閉じる工程を更に有することを特徴とする請求項8に記載のタンク設備の構築方法。
【請求項10】
前記蓋部材の一部又は全部の重量を、前記重量支持部材で支持する工程を更に有することを特徴とする請求項9に記載のタンク設備の構築方法。
【請求項11】
前記蓋部材の近傍又は周辺に別の部材を更に設け、この別の部材の一部又は全部の重量を前記重量支持部材で支持する工程を備えたことを特徴とする請求項10に記載のタンク設備の構築方法。
【請求項12】
前記タンクが既設タンクであることを特徴とする請求項8〜11のいずれかに記載のタンク設備の構築方法。
【請求項13】
開口部を備えたタンクと、前記開口部から前記タンクの内部に向かって一部又は全部が装填される被装填物と、該タンクの外部又は周囲に存在する基盤上に設置され、前記被装填物の一部又は全部の重量を支持する重量支持部材とを具備する構造単位を一個又は複数個備えるタンク設備に、前記構造単位を少なくとも一個増設して、前記タンク設備より大きなタンク設備にすることを特徴とするタンク設備の構築方法。
【請求項1】
開口部を備えたタンクと、前記開口部から前記タンクの内部に向かって一部又は全部が装填される被装填物と、該タンクの外部又は周囲に存在する基盤上に設置され、前記被装填物の一部又は全部の重量を支持する重量支持部材とを具備することを特徴とするタンク設備。
【請求項2】
前記タンクの開口部を封じ又は閉じる蓋部材を更に備えることを特徴とする請求項1に記載のタンク設備。
【請求項3】
前記蓋部材の一部又は全部の重量が、前記重量支持部材により支持されていることを特徴とする請求項2に記載のタンク設備。
【請求項4】
前記蓋部材の近傍又は周辺に別の部材を更に設け、この別の部材の一部又は全部の重量が、前記重量支持部材で支持されていることを特徴とする請求項3に記載のタンク設備。
【請求項5】
前記タンクが既設タンクであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のタンク設備。
【請求項6】
複数個の構造単位を備え、各構造単位が、開口部を備えたタンクと、前記開口部から前記タンクの内部に向かって一部又は全部が装填される被装填物と、該タンクの外部又は周囲に存在する基盤上に設置され、前記被装填物の一部又は全部の重量を支持する重量支持部材とを具備することを特徴とするタンク設備。
【請求項7】
前記複数個の構造単位のうち少なくとも一つが具備するタンクが、既設タンクであることを特徴とする請求項6に記載のタンク設備。
【請求項8】
タンクの外部又は周囲に存在する基盤上に重量支持部材を設置する工程と、前記タンクの開口部から内部に向かって一部又は全部が装填される被装填物の一部又は全部の重量を、前記重量支持部材で支持する工程とを備えたことを特徴とするタンク設備の構築方法。
【請求項9】
前記タンクの開口部を蓋部材により封じ又は閉じる工程を更に有することを特徴とする請求項8に記載のタンク設備の構築方法。
【請求項10】
前記蓋部材の一部又は全部の重量を、前記重量支持部材で支持する工程を更に有することを特徴とする請求項9に記載のタンク設備の構築方法。
【請求項11】
前記蓋部材の近傍又は周辺に別の部材を更に設け、この別の部材の一部又は全部の重量を前記重量支持部材で支持する工程を備えたことを特徴とする請求項10に記載のタンク設備の構築方法。
【請求項12】
前記タンクが既設タンクであることを特徴とする請求項8〜11のいずれかに記載のタンク設備の構築方法。
【請求項13】
開口部を備えたタンクと、前記開口部から前記タンクの内部に向かって一部又は全部が装填される被装填物と、該タンクの外部又は周囲に存在する基盤上に設置され、前記被装填物の一部又は全部の重量を支持する重量支持部材とを具備する構造単位を一個又は複数個備えるタンク設備に、前記構造単位を少なくとも一個増設して、前記タンク設備より大きなタンク設備にすることを特徴とするタンク設備の構築方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−163206(P2010−163206A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−70914(P2009−70914)
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【出願人】(000004123)JFEエンジニアリング株式会社 (1,044)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【出願人】(000004123)JFEエンジニアリング株式会社 (1,044)
【Fターム(参考)】
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