説明

タンポン

【課題】膣腔内に挿入された際に製剤の効果が適切に発揮されるタンポンを実現することにある。
【解決手段】液体を吸収する吸収体を有するタンポンであって、該吸収体は、その外表面に、製剤が塗工された塗工部を備え、該製剤は、薬効成分と、該薬効成分を担持し該製剤における主成分である第一水溶性担持体と、該薬効成分を担持し前記第一水溶性担持体の融点よりも小さな融点を有する第二水溶性担持体と、が混合された混合物であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンポンに関する。
【背景技術】
【0002】
経血等の液体を吸収する吸収体を有するタンポンは、既によく知られている。そして、かかるタンポンの中には、吸収体の外表面に製剤が塗工されているものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2005−536237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、製剤が塗工されている上述したタンポンを膣腔内に挿入した際に製剤の効果が適切に発揮されない場合があった。したがって、製剤の効果が適切に発揮されるタンポンが要請されていた。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、膣腔内に挿入された際に製剤の効果が適切に発揮されるタンポンを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための主たる発明は、
液体を吸収する吸収体を有するタンポンであって、
該吸収体は、その外表面に、製剤が塗工された塗工部を備え、
該製剤は、薬効成分と、該薬効成分を担持し該製剤における主成分である第一水溶性担持体と、該薬効成分を担持し前記第一水溶性担持体の融点よりも小さな融点を有する第二水溶性担持体と、が混合された混合物であることを特徴とするタンポンである。
【0006】
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、膣腔内に挿入された際に製剤の効果が適切に発揮されるタンポンが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】タンポン10の構成要素を示す断面図である。
【図2】タンポン10の構成要素を示す断面図である。
【図3】タンポン本体20の外観図である。
【図4】外筒40の外観図である。
【図5】図4に示す外筒40を先端側から見た図である。
【図6】図1又は図2のA−A断面図である。
【図7】図2の部分拡大図である。
【図8】タンポン本体20の製造フローを示した図である。
【図9】図9A乃至図9Dは、タンポン本体20が製造されるまでの変遷を示した模式図である。
【図10】タンポン10の製造装置100のうちのタンポン本体20の製造部分を示した模式図である。
【図11】図10に示す製造装置100を上方から見たときの模式図である。
【図12】他の実施形態に係る図柄を示した図である。
【図13】他の実施形態に係る図柄を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
【0010】
液体を吸収する吸収体を有するタンポンであって、
該吸収体は、その外表面に、製剤が塗工された塗工部を備え、
該製剤は、薬効成分と、該薬効成分を担持し該製剤における主成分である第一水溶性担持体と、該薬効成分を担持し前記第一水溶性担持体の融点よりも小さな融点を有する第二水溶性担持体と、が混合された混合物であることを特徴とするタンポン。
かかる場合には、膣腔内に挿入された際に製剤の効果が適切に発揮されるタンポンが実現されることとなる。
【0011】
かかるタンポンであって、
前記吸収体は、その外表面に、製剤が塗工された前記塗工部と塗工されていない非塗工部とを備え、
前記塗工部及び前記非塗工部により、前記外表面に図柄が描かれていることが望ましい。
かかる場合には、確実にタンポンを魅力的に見せることが可能となる。
【0012】
かかるタンポンであって、
前記第一水溶性担持体は、体温を超える融点を有し、
前記第二水溶性担持体は、体温以下の融点を有することが望ましい。
かかる場合には、膣腔内に挿入された際に製剤の効果が適切に発揮されるタンポンがより確実に実現されることとなる。
【0013】
===タンポンの構成について===
先ず、タンポン10の構成について、図1乃至図7を参照しながら説明する。
図1及び図2は、タンポン10の構成要素を示す断面図である。図1は、内筒50を収縮させた状態のタンポン10を、図2は、内筒50を伸張させた状態のタンポン10を、それぞれ示している。図3は、タンポン本体20の外観図である。図4は、外筒40の外観図である。図5は、図4に示す外筒40を先端側から見た図である。図6は、図1又は図2のA−A断面図である。図7は、図2の部分拡大図である。なお、以降の説明において、タンポン10の長手方向において、膣腔内に挿入される側を先端と呼び、反対側を後端と呼ぶ。
【0014】
本実施形態のタンポン10は、図1、図2に示すように、吸収体の一例としてのタンポン本体20と、収納筒の一例としての外筒40及び押出部材の一例としての内筒50を備えるアプリケータ30と、を有する。
【0015】
タンポン本体20は、膣腔を閉塞して経血等の液体を吸収するものである。このタンポン本体20は、レーヨン繊維からなる吸収体本体(綿体)をポリエステルスパンボンド不織布からなるカバー体で覆ったものであり、略弾丸状の形状を有している。
【0016】
また、タンポン本体20の外表面21には、製剤Mが付着している。この製剤Mは、薄茶色の着色性物質(色が付いた物質)であり、膣腔内に投与されて、抗酸化作用、抗炎症作用、抗菌作用、抗ウイルス作用、抗アレルギー作用、脱臭作用、血管拡張作用、脂質過酸化抑制作用などを発揮する薬効成分の一例としての松樹皮抽出物(東洋新薬社製フラバンジェノール)と当該松樹皮抽出物を担持する水溶性担持体の一例としてのポリエチレングリコールとの混合物である。
【0017】
より具体的には、本実施の形態に係る製剤Mは、水溶性担持体(ポリエチレングリコール)として、互いに融点(換言すると、凝固点)が異なる二つの水溶性担持体を有している。すなわち、第一水溶性担持体の一例としての分子量が1540のポリエチレングリコール(以下、第一ポリエチレングリコールと呼ぶ)と第二水溶性担持体の一例としての分子量が1000のポリエチレングリコール(以下、第二ポリエチレングリコールと呼ぶ)とを有している。第一ポリエチレングリコールの融点(凝固点)は、約45度であり、体温(37度とする)を超えた温度となっている。その一方で、第二ポリエチレングリコールの融点(凝固点)は、約37度であり、第一ポリエチレングリコールの融点よりも小さな温度であり、かつ、体温以下の温度となっている。このように、製剤Mは、松樹皮抽出物と第一ポリエチレングリコールと第二ポリエチレングリコールとが混合された混合物となっている。
【0018】
なお、本実施の形態において、松樹皮抽出物と第一ポリエチレングリコールと第二ポリエチレングリコールとの混合比は1:3:1である(すなわち、松樹皮抽出物が20重量パーセントに対し、第一ポリエチレングリコールが60重量パーセント、第二ポリエチレングリコールが20重量パーセント)。すなわち、第一ポリエチレングリコールが製剤Mにおける主成分となっている。
【0019】
また、本実施の形態に係るタンポン本体20は、図3に示すように、外表面21に図柄を有している。すなわち、タンポン本体20は、外表面21に、製剤Mが塗工された塗工部23と塗工されていない非塗工部25とを備えており、当該塗工部23及び非塗工部25により(すなわち、塗工部23と非塗工部25との色の相違により)、外表面21に図柄が描かれている。本実施の形態に係る図柄は、塗工部23と非塗工部25とが交互に規則的に配置されることにより描かれた図柄である。具体的には、当該図柄は、図3に示すように、リング(幅4mm)がタンポン本体20の長手方向において並んだような模様である。
【0020】
また、本実施の形態に係るタンポン本体20には、紐の一例としての取り出し紐22が(縫い)付けられている。この取り出し紐22は、綿製の撚糸である。取り出し紐22は、タンポン本体20の後端側から伸びており、膣腔内にあるタンポン本体20を膣腔外に引き出す際にタンポンの使用者等によって持たれる。また、取り出し紐22は、図1、図2に示すように、アプリケータ30内を通り該アプリケータ30(内筒50)の後端から幾分引き出されている。すなわち、取り出し紐22においては、その一部がアプリケータ30(内筒50)の後端から外部に露出している。
【0021】
なお、本実施の形態においては、タンポン本体20に製剤Mが塗工されている(塗工部23を有する)一方で、外部に露出した前記取り出し紐22の露出部分22aには製剤Mが塗工されていない(塗工部23を有さない)。さらには、取り出し紐22は塗工部23を有さない(取り出し紐22のどこにも塗工部23は存在しない)。
【0022】
アプリケータ30は、タンポン本体20を膣腔内に導き入れ易くするための補助具である。アプリケータ30は、図1、図2に示すように、外筒40と内筒50とを備えている。
【0023】
外筒40は、タンポン本体20を収納するためのものである。この外筒40は、熱可塑性樹脂(本実施の形態においては、ポリエチレン樹脂)を用いて射出成形された円筒体であり、適宜な可撓性を有する。外筒40は、外筒に収納されたタンポン本体20(換言すれば、タンポン本体20に描かれた前記図柄)を外部から視認可能な透明度(例えば、ヘイズ値で90%以下。本実施の形態においては、47%)を有している。なお、外筒40は、着色されていても着色されていなくてもよいが、本実施の形態においては、外筒40の全面が薄いピンク色で着色されている。
【0024】
また、外筒40は、先端側(換言すれば、外筒40の長手方向における一端側)に位置する大径部41と、当該大径部41の内径よりも小さな内径を有し、前記先端側とは反対側の後端側(換言すれば、外筒40の長手方向における他端側)に位置する小径部42とを備えている(なお、外径についても、大径部41の方が小径部42より大きい)。つまり、外筒40の先端部の外径(内径)は後端部の外径(内径)よりも大きいこととなる。そして、このことにより、大径部41及び小径部42との間には環状の段差47が形成されている。
【0025】
大径部41は、外筒40の中で、主として、内部にタンポン本体20を収納する役割を果たす部分である。すなわち、本実施の形態に係るタンポン10においては、大径部41及び小径部42のうちの大径部41のみにタンポン本体20が収納されている(したがって、外筒40の長手方向における大径部41の長さは、当該長手方向におけるタンポン本体20の長さよりも長くなっている)。また、当該大径部41は、タンポン10の使用時にタンポン本体20を収納した状態で膣腔内に挿入される部分である。
【0026】
また、大径部41(外筒40)は、先端に開口(以下、先端開口43と呼ぶ)を備えており、さらに、該先端開口43を囲む複数(本実施形態では、6つ)の花弁状部分44を有している。複数の花弁状部分44の各々は、図4に示すように外筒40の径方向において内側に弧状に屈曲している。このため、外筒40を膣腔内に挿入する時点では、該外筒40の先端部が図1や図2に示すように略半球状をなしており、先端開口43が図5に示すように略閉じた状態にある。そして、タンポン本体20が後述する内筒50により先端開口43から押し出される際に、当該先端開口43が開くこととなる。
【0027】
小径部42は、外筒40の中で、主として、後述する内筒50が移動する空間を提供する役割を果たす部分である(ただし、当然のことながら、内筒50は、小径部42内だけでなく、大径部41内においても移動する)。また、当該小径部42は、タンポン10の使用時に使用者によって持たれる部分である。
【0028】
また、小径部42(外筒40)は、図4に示すように、後端に開口(以下、後端開口45と呼ぶ)を備えており、さらに、該後端開口45よりもやや先端側に形成された環状リブ46を備えている。
【0029】
また、外筒40は、図1、図2、図6、図7に示すように、その(外筒40の)内面40aに外筒40の長手方向に沿うリブ(以下、長手方向リブ54と呼ぶ)を備えている。本実施の形態に係る外筒40は、少なくとも該外筒40の前記長手方向における中央C(図1参照)よりも先端側に、長手方向リブ54を備えている。また、本実施の形態においては、外筒40が、大径部41及び小径部42のうちの大径部41のみに長手方向リブ54を備えている。
【0030】
長手方向リブ54は、図6に示すように、内面40aの内周方向において等間隔に並ぶように32個配置されている。すなわち、外筒40(大径部41)は、内面40aの内周方向において等間隔に並ぶように配置された3つ以上の長手方向リブ54を備えている。なお、本実施の形態においては、互いに隣り合う長手方向リブ54は、接していない(隣接していない)。
【0031】
そして、各々の長手方向リブ54は、図1、図2に示すように、大径部41の先端側から後端側まで直線状に形成されている。より具体的に説明すると、本実施の形態に係る長手方向リブ54は、大径部41の最後端E2まで設けられている一方で、大径部41の最先端までは設けられていない。すなわち、前記花弁状部分44には長手方向リブ54が備えられておらず、大径部41の花弁状部分を除いた部分の最先端E1まで設けられている。
【0032】
また、本実施の形態に係る長手方向リブ54は、図6に示すように、大径部41の径方向に突出したリブであり、当該リブの幅は、径方向中心に近づくほど狭まっている。そして、大径部41の径方向における長手方向リブ54の突出高さhは、図7に示すように、大径部41と小径部42の内径差(大径部41の内半径R−小径部の内半径r=R−r)よりも小さくなっている(h<R−r)。換言すれば、長手方向リブ54を考慮したときの大径部41の内径R−h(以下、便宜上、リブ考慮内径と呼ぶ)は、小径部の内径rよりも大きくなっている(r<R−h)。
【0033】
そして、タンポン本体20は、リブ考慮内径と略同様の外径を有しており、タンポン本体20は、図6に示すように、内面40a及び長手方向リブ54のうちの長手方向リブ54のみに接触した状態で、外筒40の大径部41に収納されている。すなわち、タンポン本体20の外表面21は、内面40aとは接触せずに、長手方向リブ54の径方向における突出先端部のみと接触している。
【0034】
内筒50は、外筒40内において移動して、タンポン本体20を先端開口43から外筒40の外に押し出すためのものである。この内筒50は、外筒40内に挿入されており、外筒40内においてタンポン本体20よりも後端側に位置している。そして、外筒40の長手方向に沿って移動して該タンポン本体20を先端開口43に向けて後方から押し進める。これにより、タンポン本体20が、複数の花弁状部分44の各々を外筒40の径方向において外側に押し退けながら(換言すると、前記先端開口43を開きながら)、外筒40の外に押し出される。このように、内筒50は、外筒40内を移動してタンポン本体20を外筒40の外に押し出す機能を備えている。
【0035】
また、本実施形態に係る内筒50は、タンポン10の全長をよりコンパクトにするために伸縮可能な構造になっている。具体的に説明すると、図1に示すように、内筒50が収縮したとき、該内筒50の長さは外筒40の長さよりも短くなりタンポン10を携帯するのに適した長さとなる。一方、図2に示すように、内筒50が伸張すると、該内筒50の長さはタンポン本体20を外筒40の外に押し出すのに十分な長さとなる。以上のように内筒50を伸縮可能とするために、本実施形態では、内筒50が二段構造になっている。具体的に説明すると、本実施形態の内筒50は、図1、図2に示すように、第一内筒51と、該第一内筒51に摺動可能に挿入された第二内筒52とを有する。
【0036】
第一内筒51は、プラスチックにより射出成形された円筒体である。この第一内筒51は、外筒40の小径部42の内径よりも僅かに小さい外径を有する。また、第一内筒51は、図1に示すように前記小径部42に摺動自在に挿入されている。第一内筒51の先端部の外周面上には、環状の鍔部51aが形成されている。この鍔部51aは、外筒40の大径部41の前記リブ考慮内径よりも僅かに小さい外径を有し、前記段差47の内壁面に係止されることにより内筒50が外筒40の後端開口45から抜け落ちるのを阻止している。そして、内筒50がタンポン本体20を外筒40の外に押し出す際、該内筒50は、前記鍔部51aの外周面が大径部41の長手方向リブ54と接するように移動する。さらに、第一内筒51の内周面の後端部には、図1や図2に示すように、該第一内筒51の径方向において内側に突出した環状突起51bが形成されている。
【0037】
第二内筒52は、熱可塑性樹脂により射出成形された円筒体である。この第二内筒52は、第一内筒51の内径よりもやや小さい外径を有する。また、第二内筒52は、内筒50が収縮した状態では図1に示すように第一内筒51内に挿入されており、内筒50が伸張した状態では図2に示すように該第二内筒52の先端部にて第一内筒51の後端部と連結している。第二内筒52の先端部の外周面上には、円弧状の鍔部52aと、該鍔部52aよりも後端側に位置する凸部52bが形成されている。この凸部52bの高さは、図2に示すように、後端に向かうにつれて低くなっている。なお、第二内筒52の鍔部52aと凸部52bとの間隔は、第一内筒51の環状突起51bの厚みよりもやや長くなっている。
【0038】
そして、第二内筒52が後端側に引っ張られると、第一内筒51の環状突起51bが第二内筒52の鍔部52aと凸部52bとの間に位置するようになる。かかる状態になると、図2に示すように、前記環状突起51bが前記鍔部52a及び凸部52bに係止され、第一内筒51と第二内筒52が連結する。
【0039】
さらに、図1や図2に示すように、第二内筒52の後端部にはフレア状部分52cが形成されている。当該フレア状部分52cの外径は、少なくとも第一内筒51の内径よりも大きく、外筒40の小径部42の内径以上であることが望ましい。
【0040】
===本実施の形態に係るタンポン10の有効性について===
以上の通り、本実施の形態に係るタンポン10においては、タンポン本体20が、その外表面21に、製剤Mが塗工された塗工部23を備えている。そして、当該製剤Mは、薬効成分の一例としての松樹皮抽出物と、該松樹皮抽出物を担持し該製剤Mにおける主成分である第一水溶性担持体の一例としての第一ポリエチレングリコールと、該松樹皮抽出物を担持し前記第一ポリエチレングリコールの融点よりも小さな融点を有する第二水溶性担持体の一例としての第二ポリエチレングリコールと、が混合された混合物となっている。そして、このことにより、膣腔内に挿入された際に製剤Mの効果が適切に発揮されるタンポン10が実現されることとなる。
【0041】
上記につき、本実施の形態(本件例)に係るタンポン10と比較例に係るタンポンとを比較しながら説明する。本実施の形態に係るタンポン10と比較例に係るタンポンとを比較すると、タンポン本体20がその外表面21に製剤Mが塗工された塗工部23を備える点、製剤Mが松樹皮抽出物とポリエチレングリコールとが混合された混合物である点については、共通している。しかしながら、比較例に係るタンポンにおいては、1種類のポリエチレングリコールのみが松樹皮抽出物と混合されている。
【0042】
そして、当該ポリエチレングリコールとして融点が小さいもの(例えば、体温以下の融点を有する前述した第二ポリエチレングリコール)を選択した場合には、高温な場所(例えば、倉庫)においてタンポンが保管された際に、製剤が溶融してしまい、タンポン本体の内部に吸収されてしまったり、タンポン本体から脱落してしまったりする問題が生じ得る。そして、このような吸収や脱落が生じたタンポンを使用した場合(つまり、膣腔内に挿入した場合)には、外表面に付着している製剤の量が少なくなっているため、膣粘膜に製剤が適切に転写されなくなる。すなわち、タンポンが膣腔内に挿入された際に製剤の効果が適切に発揮されないこととなる。
【0043】
一方で、当該ポリエチレングリコールとして融点が大きいもの(例えば、体温を超える融点を有する前述した第一ポリエチレングリコール)を選択した場合には、タンポンが膣腔内に挿入されたとしても、製剤がなかなか溶融せず、製剤の溶融が顕著に遅延する(製剤の溶融は、生理前においてはなかなか起こらず、生理となり経血などの水分が十分出てポリエチレングリコールが当該水分に溶ける状況となるまで、遅延する)。すなわち、タンポンが膣腔内に挿入された際に製剤の効果が適切に発揮されないこととなる(製剤の即効性が劣ることとなる)。
【0044】
このように、比較例に係るタンポンにおいては、融点の大小に関わらず、タンポンが膣腔内に挿入された際に製剤の効果が適切に発揮されないという問題が生じ得る。
【0045】
これに対し、本件例においては、松樹皮抽出物と混合されるポリエチレングリコールを2種としたため、2種類の融点を備えるポリエチレングリコールを松樹皮抽出物と混合させることができる。すなわち、本実施の形態に係るタンポン10のように、体温を超える融点を有する第一ポリエチレングリコール及び体温以下の融点を有する第二ポリエチレングリコールを松樹皮抽出物と混合させることができる。そして、さらに、融点が高い方のポリエチレングリコール(本実施の形態においては、第一ポリエチレングリコール)を製剤Mの主成分とすることにより、上述した問題が適切に解消されることとなる。
【0046】
すなわち、高温な場所(例えば、倉庫)においてタンポン10が保管された結果、第二ポリエチレングリコールが溶融してしまった場合であっても、融点が高い方の第一ポリエチレングリコールが製剤Mの主成分となっているため、凝固した第一ポリエチレングリコールが溶融した第二ポリエチレングリコールの前述した吸収や脱落を抑止することとなる(製剤Mは、第二ポリエチレングリコールが流動性を持った状態で第一ポリエチレングリコールの中で滞留した状態となる)。そして、当該吸収や脱落が抑止されるため、外表面21に付着している製剤Mの量が少なくなっていることにより膣粘膜に製剤Mが適切に転写されなくなる前述した問題は適切に回避されることとなる。
【0047】
また、タンポン10が膣腔内に挿入された際には、第一ポリエチレングリコールは凝固している一方で第二ポリエチレングリコールは体温により溶融した状態となるが、タンポン10挿入時や挿入後において外表面21に付着した製剤Mが膣粘膜と接触することにより発生する摩擦力により、溶融し流動性を有する第二ポリエチレングリコールが凝固した第一ポリエチレングリコールからはみ出すこととなる。そのため、当該第二ポリエチレングリコール及びこれに担持された松樹皮抽出物により、経血などの水分が十分出る前(例えば、生理前)においても、製剤Mの効果が適切に発揮されることとなる(製剤Mの即効性が優れたものとなる)。そして、生理となり経血などの水分が十分出て第一ポリエチレングリコールが当該水分に溶ける状況となれば、当該第一ポリエチレングリコール及びこれに担持された松樹皮抽出物により、製剤Mの効果が適切に発揮されることとなる。つまり、段階的かつ理想的に製剤Mの効果を発揮させることが可能となる。
【0048】
このように、本実施の形態によれば、膣腔内に挿入された際に製剤Mの効果が適切に発揮されるタンポン10が実現されることとなる。
【0049】
また、本実施の形態においては、タンポン本体20が、その外表面21に、製剤Mが塗工された塗工部23と塗工されていない非塗工部25とを備え、塗工部23及び非塗工部25により、外表面21に図柄が描かれていることとしたため、タンポン本体20の外観が美麗となり、タンポン10を魅力的に見せることが可能となる(かかる効果は、タンポン10を挿入する抵抗感を緩和させることにつながる)。さらに、製剤Mが、薬効成分の一例としての松樹皮抽出物と、該松樹皮抽出物を担持し該製剤Mにおける主成分である第一水溶性担持体の一例としての第一ポリエチレングリコールと、該松樹皮抽出物を担持し前記第一ポリエチレングリコールの融点よりも小さな融点を有する第二水溶性担持体の一例としての第二ポリエチレングリコールと、が混合された混合物であるため、前述したとおり、タンポン10の保管時に、製剤Mがタンポン本体20から脱落する問題が生じにくい。そのため、本実施の形態に係るタンポン10においては、図柄が崩れる可能性が低く、確実にタンポン10を魅力的に見せることが可能となる。
【0050】
また、上記実施の形態においては、第一水溶性担持体(第一ポリエチレングリコール)は、体温を超える融点を有し、第二水溶性担持体(第二ポリエチレングリコール)は、体温以下の融点を有することとしたため、膣腔内に挿入された際に製剤Mの効果が適切に発揮されるタンポン10がより確実に実現されることとなる。
【0051】
===タンポン10の製造方法について===
次に、上述したタンポン10を製造する製造方法について、図8乃至図11を用いて説明する。図8は、タンポン本体20の製造フローを示した図である。図9A乃至図9Dは、タンポン本体20が製造されるまでの変遷を示した模式図である。図10は、タンポン10の製造装置100のうちのタンポン本体20の製造部分を示した模式図である。図11は、図10に示す製造装置100を上方から見たときの模式図である。
【0052】
なお、タンポン10の製造プロセスは、タンポン10を構成する各部品(すなわち、タンポン本体20、外筒40、第一内筒51、及び、第二内筒52)を製造するプロセスとこれらの部品を組み立てるプロセスとに分かれる。ここでは、タンポン本体20(より正確には、取り出し紐22付きタンポン本体20)を製造するプロセスについて説明する。
【0053】
図8の製造フローは、吸収体材料形成ステップ(ステップS1)から始まる。当該ステップにおいては、先ず、前記吸収体本体62(綿体)を前記カバー体64で覆う(前記カバー体64で巻く)。その後、カバー体64で覆われた吸収体本体62を、所定の形状及び大きさに裁断する。そして、このことにより、吸収体材料60(すなわち、タンポン本体20の基材)が形成される。なお、当該ステップにおいては、吸収体材料60に取り出し紐22を縫い付ける工程も実施される(当該ステップ終了後の吸収体材料60の様子を図9Aに示す)。
【0054】
次に、当該吸収体材料60を圧縮成型することにより前記タンポン本体20を得る(ステップS3の圧縮成型ステップ)。
【0055】
図10及び図11には、圧縮成型ユニットの一例としての圧縮成型ドラム102が示されており、当該圧縮成型ドラム102が吸収体材料60を圧縮成型する(さらに、このことにより、タンポン本体20を得る)役割を果たす。すなわち、圧縮成型ドラム102は、回転可能なドラム型のユニットであり、複数(本実施の形態においては、8つ)の保持部102aを放射状に備えている。そして、吸収体材料60が、次々と、第一位置P1(図10)において、前記保持部102aに挿入され、保持部102aに挿入された吸収体材料60は、圧縮成型ドラム102の回転に伴って、第二位置P2(図10)まで回転移動する。そして、当該回転移動中に、保持部102a内において、吸収体材料60はその両側方から圧縮される(吸収体材料60が圧縮される様子を図9Bに示す)。
【0056】
次に、圧縮成型ドラム102が吸収体材料60を圧縮成型することにより得られたタンポン本体20を加熱することにより、タンポン本体20の形状を固定する(ステップS5の加熱ステップ)。
【0057】
図10及び図11には、加熱ユニットの一例としての加熱ドラム104が示されており、当該加熱ドラム104が、圧縮成型ドラム102が吸収体材料60を圧縮成型することにより得られたタンポン本体20を加熱する(さらに、このことにより、タンポン本体20の形状を固定する)役割を果たす。すなわち、加熱ドラム104は、例えば110度(100度〜180度の温度が好ましい)に温度がコントロールされた回転可能なドラム型のユニットであり、多数の保持部104aを放射状に備えている。そして、タンポン本体20が、次々と、第二位置P2(図10)において、プッシャー(不図示)の押し込みにより圧縮成型ドラム102の保持部102aから加熱ドラム104の保持部104aへ引き渡される(プッシャーの押し込み方向を、図11において、矢印A1で示す)。そして、保持部104aへ引き渡されたタンポン本体20は、加熱ドラム104の回転に伴って、第三位置P3(図10)まで回転移動する。そして、当該回転移動中に、保持部104a内において、タンポン本体20は加熱され、当該タンポン本体20の形状が固定される。なお、保持部104aはタンポン本体20の形状にマッチした形状を備える穴部となっており(タンポン本体20が当該穴部に丁度入るようになっている)、タンポン本体20に加熱ドラム104の熱が効果的に伝わるようになっている。また、タンポン本体20の圧縮成型ドラム102から加熱ドラム104への引渡しの際に、タンポン本体20の先端を弾丸型に成型する工程が合わせて実施される。なお、加熱ステップが終了した際のタンポン本体20の様子を図9Cに示す。
【0058】
次に、加熱ドラム104により形状が固定されたタンポン本体20を冷却する(ステップS7の冷却ステップ)。
【0059】
図10及び図11には、冷却ユニットの一例としての冷却ドラム106が示されており、当該冷却ドラム106が、加熱ドラム104により形状が固定されたタンポン本体20を冷却する役割を果たす。すなわち、冷却ドラム106は、例えば25度に温度がコントロールされた回転可能なドラム型のユニットであり、多数の保持部106aを放射状に備えている。そして、タンポン本体20が、次々と、第三位置P3(図10)において、プッシャー(不図示)の押し込みにより加熱ドラム104の保持部104aから冷却ドラム106の保持部106aへ引き渡される(プッシャーの押し込み方向を、図11において、矢印A2で示す)。そして、保持部106aへ引き渡されたタンポン本体20は、冷却ドラム106の回転に伴って、第四位置P4(図10)まで回転移動する。そして、当該回転移動中に、保持部106a内において、タンポン本体20は冷却される。なお、保持部106aも、保持部104aと同様、タンポン本体20の形状にマッチした形状を備える穴部となっており(タンポン本体20が当該穴部に丁度入るようになっている)、タンポン本体20が冷却ドラム106により効果的に冷却されるようになっている。
【0060】
また、第四位置P4(図10)まで回転移動したタンポン本体20は、当該第四位置P4において、次々と、プッシャー(不図示)の押し込みにより冷却ドラム106の保持部106aから搬送ユニット108(具体的には、搬送ユニット108に備えられた搬送ベルト108a)へ引き渡される(プッシャーの押し込み方向を、図11において、矢印A3で示す)。搬送ベルト108aは、無端のタンポン本体コンベアベルトであり、タンポン本体20の長手方向が当該搬送ベルト108aの幅方向に沿う状態でタンポン本体20を保持して、回転移動することにより該タンポン本体20を搬送する。そして、当該搬送ベルト108aの温度も例えば25度にコントロールされており、当該搬送ベルト108aもタンポン本体20を冷却する冷却ユニットとしての役割を果たす。すなわち、加熱ドラム104により形状が固定されたタンポン本体20は、冷却ドラム106、搬送ベルト108aの順に、冷却ユニットにより冷却される。
【0061】
次に、溶融した製剤Mをタンポン本体20の外表面21に塗工する(ステップS9の塗工ステップ)
図10及び図11には、塗工ユニット110が示されており、当該塗工ユニット110が、溶融した製剤Mをタンポン本体20の外表面21に塗工する役割を果たす。塗工ユニット110は、供給ユニット110aと転写ベルト110bとを備えている。
【0062】
供給ユニット110aは、転写ベルト110bに溶融した製剤Mを供給するためのものである。本実施の形態において、この供給ユニット110aは、製剤Mを溶融し、溶融した製剤Mを転写ベルト110bに塗り付ける。
【0063】
転写ベルト110bは、タンポン本体20の外表面21に接触した状態で、当該外表面21に、溶融した製剤Mを転写して塗工するためのものである。本実施の形態において、この転写ベルト110bは、無端の製剤コンベアベルトであり、供給ユニット110aにより塗り付けられた製剤Mを保持して、回転移動することにより該製剤Mを搬送する。そして、搬送された製剤Mは、やがて、前記搬送ベルト108aにより搬送されるタンポン本体20の外表面21に転写ベルト110bが接触する接触位置に至り、製剤Mが当該外表面21に転写されて塗工される。
【0064】
なお、図10に示すように、製剤Mが前記外表面21に塗工される際には、タンポン本体20は、転写ベルト110bと搬送ベルト108aとの間に挟まった状態となるが、本実施の形態においては、図10の左から右へ向かう方向(以下、単に、左右方向と呼ぶ)における転写ベルト110bの移動速度が搬送ベルト108aの当該左右方向における移動速度よりも速くなるように移動速度がコントロールされている。したがって、タンポン本体20が、転写ベルト110bと搬送ベルト108aとの間に挟まった状態で、搬送ベルト108a上で回転しながら左右方向に移動することとなる。そのため(回転するため)、タンポン本体20の外表面21には、周方向において満遍なく、製剤Mが塗工されることとなる。
【0065】
ところで、前述したとおり、タンポン本体20は、25度に温度がコントロールされた冷却ユニットにより、冷却ドラム106、搬送ベルト108aの順に冷却される。したがって、塗工ユニット110は、冷却ユニットにより約25度に冷却されたタンポン本体20の外表面21に、溶融した製剤Mを塗工することとなる。また、前述したとおり、製剤Mの主成分(つまり、第一ポリエチレングリコール)の融点(凝固点)は約45度であるから、溶融した製剤Mがタンポン本体20の外表面21に塗工される際には、急速に(即座に)製剤Mが凝固することとなる。このように、ステップS7の冷却ステップにおいては、冷却ユニットが、加熱ドラム104により形状が固定されたタンポン本体20を、その外表面21の温度が製剤Mの主成分の凝固点以下となるように冷却し、ステップS9の塗工ステップにおいては、塗工ユニット110が、溶融した製剤Mを、前記凝固点以下の温度である(つまり、前記凝固点以下の温度に冷却された)タンポン本体20の外表面21に塗工する。
【0066】
次に、外表面21に塗工された製剤Mに、製剤Mの主成分の凝固点(本実施の形態においては、約45度)以下の温度に冷却された冷却体を接触させる(ステップS11の冷却体接触ステップ)。
【0067】
図10及び図11には、冷却体を接触させる冷却体接触ユニットの一例としての冷風吹き付けユニット112が示されており、当該冷風吹き付けユニット112が、塗工ユニット110により外表面21に塗工された製剤Mに、当該製剤Mの主成分の凝固点以下の温度に冷却された冷却体としての冷風を接触させる役割を果たす。すなわち、冷風吹き付けユニット112は、45度以下の温度(本実施の形態においては、25度)に冷却された冷風を製剤Mに吹き付けることにより、冷却体を製剤Mに接触させる。
【0068】
また、前述したとおり、搬送ベルト108aの温度は25度にコントロールされ、該搬送ベルト108aは冷却されており、さらに、タンポン本体20が、転写ベルト110bと搬送ベルト108aとの間に挟まった状態で、搬送ベルト108a上で回転するため、外表面21に塗工された製剤Mは、即座に、搬送ベルト108aに接触する。したがって、搬送ベルト108aも、前記凝固点以下の温度に冷却された冷却体としての役割を果たす。すなわち、換言すれば、搬送ユニット108は、外表面21に塗工された製剤Mに、前記凝固点以下の温度に冷却された冷却体としての搬送ベルト108aを接触させる冷却体接触ユニットとしての役割を果たす。
【0069】
このように、本実施の形態においては、溶融した製剤Mが、前記凝固点以下の温度に冷却されたタンポン本体20の外表面21に塗工されるようにするのみならず、該外表面21に塗工された製剤Mに前記凝固点以下の温度に冷却された冷却体が接触するようにしたため、溶融した製剤Mがタンポン本体20の外表面21に塗工される際には、より一層急速に製剤Mが凝固することとなる。そして、当該冷却体接触ステップが実行されて、タンポン本体20の製造プロセスは終了する。冷却体接触ステップが終了した際のタンポン本体20の様子を図9Dに示す。
【0070】
===その他の実施の形態===
以上、上記実施の形態に基づき本発明に係るタンポン等を説明したが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
【0071】
また、上記実施の形態においては、タンポンとしてアプリケータ30付きのタンポン10を例に挙げたが、これに限定されるものではなく、アプリケータの無いタンポンであってもよい。
【0072】
また、上記実施の形態においては、図柄として、リングがタンポン本体20の長手方向において並んだような模様を例に挙げたが、これに限定されるものではない。例えば、図12に示すような水玉模様でもよいし、図13に示すような市松模様であってもよい。図12及び図13は、図3に対応した図であり、他の実施形態に係る図柄を示した図である。
【0073】
また、上記実施の形態においては、製剤Mの薬効成分として松樹皮抽出物を例に挙げたが、これに限定されるものではない。例えば、レッドクローバー、タデ藍エキス、インジルビン等の植物抽出物であってもよい。また、松樹皮抽出物としてフラバンジェノールを例に挙げたが、これに限定されるものではない。例えば、日本シイベルヘグナー社が取り扱うピクノジェノールやバレンタイン社が取り扱うエンゾジノールであってもよい。
【0074】
また、上記実施の形態においては、第二水溶性担持体として分子量が1000のポリエチレングリコール(融点は約37度)を例に挙げたが、これに限定されるものではなく、例えば、分子量が600のポリエチレングリコール(融点は約20度)であってもよい。
【0075】
分子量が1000のポリエチレングリコールは、タンポン10の保管時に溶融しにくく、当該ポリエチレングリコールの前述した吸収や脱落がより適切に抑止される点で優位性を有し、分子量が600のポリエチレングリコールは、タンポン10が膣腔内に挿入された際に溶融しやすく、製剤Mの即効性がより一層優れたものとなる点で優位性を有する。
【0076】
また、上記実施の形態においては、タンポン本体20の製造プロセスとして、吸収体材料60を圧縮成型することによりタンポン本体20を得てから、溶融した製剤Mをタンポン本体20の外表面21に塗工する方法を挙げたが、これに限定されるものではない。例えば、カバー体64に製剤Mを塗工してから、当該カバー体64で吸収体本体62を覆って吸収体材料60を形成し、その後、吸収体材料60を圧縮成型することによりタンポン本体20を得てもよい。また、カバー体64で吸収体本体62を覆って吸収体材料60を形成してから、当該吸収体材料60に製剤Mを塗工し、製剤Mが塗工された吸収体材料60を圧縮成型することによりタンポン本体20を得てもよい。
【符号の説明】
【0077】
10 タンポン、20 タンポン本体(吸収体)、21 外表面、
22 取り出し紐、22a 露出部分、23 塗工部、25 非塗工部、
30 アプリケータ、40 外筒、40a 内面、41 大径部、
42 小径部、43 先端開口、44 花弁状部分、45 後端開口、
46 環状リブ、47 段差、50 内筒、51 第一内筒、
51a 鍔部、51b 環状突起、52 第二内筒、52a 鍔部、
52b 凸部、52c フレア状部分、54 長手方向リブ、
60 吸収体材料、62 吸収体本体、64 カバー体、
100 製造装置、102 圧縮成型ドラム、102a 保持部、
104 加熱ドラム、104a 保持部、
106 冷却ドラム、106a 保持部、
108 搬送ユニット、108a 搬送ベルト、
110 塗工ユニット、110a 供給ユニット、110b 転写ベルト、
112 冷風吹き付けユニット、
C 中央、E1 最先端、E2 最後端、M 製剤、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吸収する吸収体を有するタンポンであって、
該吸収体は、その外表面に、製剤が塗工された塗工部を備え、
該製剤は、薬効成分と、該薬効成分を担持し該製剤における主成分である第一水溶性担持体と、該薬効成分を担持し前記第一水溶性担持体の融点よりも小さな融点を有する第二水溶性担持体と、が混合された混合物であることを特徴とするタンポン。
【請求項2】
請求項1に記載のタンポンであって、
前記吸収体は、その外表面に、製剤が塗工された前記塗工部と塗工されていない非塗工部とを備え、
前記塗工部及び前記非塗工部により、前記外表面に図柄が描かれていることを特徴とするタンポン。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のタンポンであって、
前記第一水溶性担持体は、体温を超える融点を有し、
前記第二水溶性担持体は、体温以下の融点を有することを特徴とするタンポン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−220766(P2010−220766A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−70648(P2009−70648)
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】