説明

ターゲットデバイス

【課題】案内精度を向上させることができるターゲットデバイスを提供する。
【解決手段】髄内釘の近位端に連結される連結端部2aを一端側に有するアーム本体部2と、アーム本体部2に連結される髄内釘に並行するように伸びる位置決め本体部3とを備えており、位置決め本体部3は、スリットを有する案内手段31と、案内手段31を締め付けることにより前記インプラント若しくは前記インプラントを案内する案内器具の位置決めを行う締め付け手段32とを備えており、締め付け手段32は、案内手段31における前記スリットの両側にある一対の部分からそれぞれ並行して突出する一対の突出部と、一方の突出部に回動可能に固定される一端部を有する固定部材とを備えており、固定部材の他端部を他方の突出部に嵌合させることにより、一対の突出部が近接する方向に締め付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターゲットデバイスに係り、特に髄内釘を骨内に導入する場合に使用されるターゲットデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来においては、ガイドピンを骨に刺入したり、穿孔等を施すためにドリルやリーマなどの工具を骨に適用したり、インプラントとなるスクリュウや髄内釘を骨に導入したりといったことが行われる。このようなガイドピン、工具、インプラント等の骨手術具は、多くの場合、何らかのターゲットデバイス(案内装置)によって案内された状態で骨に適用される。
【0003】
このようなターゲットデバイスの一例としては、例えば、特許文献1に示されるようなものが知られている。このターゲットデバイスは、骨の髄内に挿入された髄内釘の端部に連結される連結端部を有し、この連結端部から屈折するように伸びて最終的に髄内釘と略平行に伸びる部分を備えている。
【0004】
このターゲットデバイスにおいては、髄内釘と略平行に伸びる部分に、所定の方位を向いた案内孔を備えた案内手段が設けられる。この案内手段には上記所定の方位が含まれる案内面に沿ってスリットが形成され、当該スリットによって案内孔の内径が実質的に拡縮可能な状態とされている。また、案内手段には上記スリットの両側にある一対の部分を締め付けるための締め付けネジがスリットを横断するように取り付けられている。そして、実際にターゲットデバイスを用いる際には、上記の案内手段の案内孔に案内スリーブを挿通させた状態とし、この案内スリーブを上記締め付けネジで締め付けることによって固定し、この案内スリーブによって種々の骨手術具が直接若しくは間接的に案内されることにより、所定の方向に骨手術具が導かれるようにしている。
【0005】
また、ターゲットデバイスのその他の例としては、例えば、特許文献2に示されるようなものが知られている。このターゲットデバイスにおける締め付け手段は、案内手段におけるスリットの両側にある一対の部分からそれぞれ突出する一対の突出部に対してその突出方向に螺合する駆動部材(ナット)により構成されており、この駆動部材を螺合することにより一対の突出部を近接する方向に締め付けて、案内孔に挿入された案内スリーブ等を固定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−286480号公報
【特許文献2】特開2007−68817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に開示されているターゲットデバイスにおいては、案内手段におけるスリットの両側にある一対の部分を締め付けネジによって締め付けるように構成されており、この締め付けネジに対しては案内手段の片側から締め付け操作を行うように構成されている。これにより、締め付け操作を行った場合に、締め付けネジの回転に伴って、締め付けネジが取り付けられている側の一方の部分に締め付けネジの回転方向に沿ってねじれが生じる可能性が高く、この結果、案内孔がねじれる等の変形を引き起こし案内方向が変化するおそれがあった。
【0008】
また、上記特許文献2に開示されているターゲットデバイスにおいては、案内手段におけるスリットの両側にある一対の部分からそれぞれ突出する一対の突出部に対してその突出方向に螺合する駆動部材により、締め付け手段が構成されており、この駆動部材を螺合することにより一対の突出部を近接する方向に締め付けて、案内孔に挿入された案内スリーブ等を固定するように構成されているため、駆動部材の螺合によって生じるねじれ応力が、一対の部分の双方に加わる可能性があり、締め付け時において案内孔がねじれて案内方向が変化するおそれがあった。
【0009】
つまり、従来のターゲットデバイスにおいては、スリットの両側にある部分を互いに近接する方向に締め付ける際に、当該部分に当接する部材(締め付けネジ、駆動部材)を回転させるという動作を伴うため、案内孔の軸線にねじれ変形が発生し、たとえターゲットデバイスが高精度に構成されていていたとしても、締め付けにより生じた案内孔のねじれによって案内精度が低下するという問題があった。
【0010】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであって、案内精度を向上させることができるターゲットデバイスの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の前記目的は、骨端部から長骨内に導入される髄内釘に装着され、該髄内釘に交差する姿勢で組み付けられるインプラントの挿入を案内若しくは補助するために用いられる髄内釘のターゲットデバイスであって、前記髄内釘の近位端に連結される連結端部を一端側に有するアーム本体部と、前記アーム本体部に連結される前記髄内釘に並行するように伸びる位置決め本体部とを備えており、前記位置決め本体部は、スリットを有する案内手段と、前記案内手段を締め付けることにより前記インプラント若しくは前記インプラントを案内する案内器具の位置決めを行う締め付け手段とを備えており、前記締め付け手段は、前記案内手段における前記スリットの両側にある一対の部分からそれぞれ並行して突出する一対の突出部と、一方の突出部に回動可能に取り付けられる一端部を有する固定部材とを備えており、前記固定部材の他端部を他方の突出部に嵌合させることにより、前記一対の突出部が近接する方向に締め付けられることを特徴とするターゲットデバイスにより達成される。
【0012】
また、上記ターゲットデバイスにおいて、前記他方の突出部は、前記固定部材の他端部が挿入可能な切欠き部と、前記切欠き部内に露出するように取り付けられる棒状の係止部材とを備えており、前記固定部材の他端部は、前記係止部材と嵌合することにより、前記一対の突出部が近接する方向に締め付けられることが好ましい。
【0013】
また、前記係止部材は、円柱形状であることが好ましい。
【0014】
また、前記固定部材が前記係止部材に嵌合している状態において、前記固定部材の他端部は、係止部材との当接位置と前記固定部材の他端部の端縁との間に配置され、前記係止部材から離隔する方向に延びる傾斜面を備えることが好ましい。
【0015】
また、前記傾斜面は、前記固定部材の外方に向けて張り出す湾曲面であることが好ましい。
【0016】
また、前記傾斜面は、前記固定部材の内方に向けて窪む湾曲面であることが好ましい。
【0017】
また、前記固定部材の他端部は、前記係止部材を保持する保持部を備えていることが好ましい。
【0018】
また、前記保持部は、前記固定部材の他端部の表面に形成される窪みであって、前記窪みは、前記係止部材の少なくとも一部分を収容することが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、案内精度を向上させることができるターゲットデバイスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係るターゲットデバイスの使用状況を示す概略構成図である。
【図2】図1におけるターゲットデバイスの概略構成断面図である。
【図3】図1におけるターゲットデバイスをアーム本体部と位置決め本体部とに分離した状態での概略構成断面図である。
【図4】付勢手段の変形例を示す概略構成断面図である。
【図5】図3における矢視A方向からみた位置決め本体部の背面図である。
【図6】固定部材と係止部材とが係合している状態での要部拡大断面図である。
【図7】固定部材と係止部材とが係合する途中の状態を示す概略構成断面図である。
【図8】固定部材の変形例を示す概略構成断面図である。
【図9】固定部材の変形例を示す概略構成断面図である。
【図10】固定部材の変形例を示す概略構成断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態に係るターゲットデバイスについて添付図面を参照して説明する。図1はターゲットデバイスの使用状況を示す概略構成図であり、図2はターゲットデバイスの概略構成断面図である。本実施形態のターゲットデバイス1は、大腿骨等の管状の長骨100の髄内に導入される髄内釘7に接続され、この髄内釘7の横断孔71,72,73,74,75,76に交差する姿勢で組み付けられるガイドピン、ドリルやリーマ等の工具、スクリュウ等のインプラントの挿入を案内若しくは補助するために用いられる指標装置である。
【0022】
このターゲットデバイス1は、髄内釘7の近位端に連結される連結端部2aを一端側に有するアーム本体部2と、このアーム本体部2の連結端部2aとは反対側の他端部に接続され、髄内釘7に並行するように伸びる位置決め本体部3とを備えている。これらアーム本体部2と位置決め本体部3とは、着脱手段5により着脱自在に構成されており、着脱手段5の操作により図3に示すように、両者を分離することができる。
【0023】
アーム本体部2は、連結端部2aから湾曲した後に髄内釘7と並行な姿勢に移行するように全体としてU字状に構成されている。このアーム本体部2は、ターゲットデバイスとしての使用に特に問題がなければいかなる材料から形成してもよいが、例えば、X線透過性に優れた材料により形成されることが好ましい。X線透過性材料としては、例えば、カーボン繊維強化プラスチック材料(CFRP)、ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)、その他のプラスチック材料や、チタン合金、アルミニウム、ステンレス鋼等の金属材料を挙げることができる。なお、アーム本体部2の材料は、X線を透過しない材料であってもよい。
【0024】
アーム本体部2の連結端部2aには貫通孔21が設けられており、この貫通孔21に接続ボルト22を挿通させた後にこの接続ボルト22を髄内釘7の軸孔77に螺合させることによって連結端部2aと髄内釘7の近位端とを接続固定できるように構成されている。
【0025】
また、図3に示すように、アーム本体部2は、後述する位置決め本体部3に形成される挿入凸部30が挿入される挿入凹部23を他端部に備えている。挿入凹部23の内面と挿入凸部30の外面とは互いに摺接するように構成されている。また、挿入凹部23の側面には、開口部24が形成されており、この開口部24に着脱手段5の一部を構成するレバー体51が取り付けられている。レバー体51は、開口部24内に一部分が露出するように取り付けられるレバー軸部52と、このレバー軸部52に回動自在に取り付けられるレバー本体53とを備えている。レバー本体53は、操作者が押圧操作する操作端部53aと、後述する位置決め本体部3が備える嵌合用部材54に形成される凹部54aを押し付けて当接するロック端部53bとを備えている。本実施形態においては操作端部53aとロック端部53bとは、レバー軸部52を挟んだレバー本体53の両端部側にそれぞれ形成されている。
【0026】
また、図2や図3の断面図に示すように、ロック端部53bは、その外表面の一部分において、後述する位置決め本体部3が備える嵌合用部材54に形成される凹部54aの表面形状に略沿う形状を有している。ここで、アーム本体部2に位置決め本体部3を挿入し、着脱手段5により両者間を固定する場合に、両者の接続を確実なものとし両者間にぐらつきが発生しないようにするためには、ロック端部53bが嵌合用部材54に形成される凹部54aを押圧するように、ロック端部53bの上記一部分の形状を設定することが好ましい。
【0027】
また、アーム本体部2は、レバー本体53に対して付勢力を付与する付勢手段25を備えている。この付勢手段25は、ロック端部53bが挿入凹部23内に常時配置されるようにレバー本体53に対して付勢するように構成されており、本実施形態においては板バネにより付勢手段25を構成している。なお、当該板バネは、固定ネジ26によってアーム本体部2に固定されている。ここで、付勢手段25は、上記板バネに限られるものではなく、例えばつる巻きバネや渦巻きバネ等のバネ体やゴム等の弾性体等を採用することもできる。付勢手段25としてつる巻きバネを採用する場合、例えば、図4(a)に示すように、つる巻きバネをレバー本体53の操作端部53aとアーム本体部との間に配置し、つる巻きバネの付勢力によって、レバー本体53の操作端部53aを外方に向けて押圧するように構成する。また、付勢手段25として渦巻きバネを採用する場合、例えば図4(b)に示すように、渦巻きバネの付勢力によってレバー本体53が図4(b)の紙面上において反時計回りに回転するように、渦巻きバネをレバー軸部52の軸周りに配置する。
【0028】
位置決め本体部3は、アーム本体部2の他端部に接続された状態で、アーム本体部2に連結される髄内釘7と並行に伸びるように形成されている。この位置決め本体部3は、図3に示すように、挿入凸部30と、案内手段31と、締め付け手段32と、仮固定ピン取付孔33とを備えている。ここで、位置決め本体部3は、ターゲットデバイスとしての使用に特に問題がなければいかなる材料から形成してもよいが、例えば、X線透過性に優れた材料により形成されることが好ましい。X線透過性材料としては、例えば、カーボン繊維強化プラスチック材料(CFRP)、ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)、その他のプラスチック材料や、チタン合金、アルミニウム、ステンレス鋼等の金属材料を挙げることができる。なお、位置決め本体部3の材料は、X線を透過しない材料であってもよい。
【0029】
挿入凸部30は、上述したアーム本体部2における挿入凹部23に挿入される部分であり、位置決め本体部3の一端側に形成されている。この挿入凸部30は、その側面に形成される収納凹部内に固定される嵌合用部材54を備えている。嵌合用部材54は、着脱手段5の一部分を構成し、上述したレバー本体53のロック端部53bが嵌合する部材である。嵌合用部材54には、凹部54aが形成されており、この凹部54a内にレバー本体53のロック端部53bが押し付けられることによりアーム本体部2及び位置決め本体部3が固定される。なお、挿入凸部30を挿入凹部23内にスムーズに挿入できるように、嵌合用部材54の挿入方向側端部にはテーパ面54bが形成されている。
【0030】
案内手段31は、図3の矢視A方向から見た位置決め本体部3の背面図である図5に示すように、位置決め本体部3の長手方向に沿って形成されるスリット34と、このスリット34の両側に配置される一対の部分35,36と、当該一対の部分35,36のそれぞれに形成される複数組の凹溝37とを備えている。この案内手段31は、インプラント若しくはインプラントをガイドする案内器具を案内すると共に、案内されるインプラント等を固定する機能を有している。
【0031】
スリット34は、位置決め本体部3内に配置される一方の端部34aと、位置決め本体部3の下端において開放される他方の端部34bとを備えている。すなわち、スリット34は位置決め本体部3の下端から切り込まれて位置決め本体部3の内部で止まった形状を有している。
【0032】
スリット34の両側における一対の部分35,36は、案内面Z(図5の紙面と直交する面であって、スリット34の中心が含まれる仮想平面)を中心として実質的に対称に構成されている。
【0033】
複数組の凹溝37は、スリット34を介して対向する部分35,36の対向面に形成されている。これらの凹溝37のうち、スリット34の両側に対称に構成された相互に対向する凹溝37同士が組となって一つの案内孔を構成し、これによって位置決め本体部3内に複数の案内孔38,39,40,41,42,43が構成されている。これらの複数の案内孔38,39,40,41,42,43は、全て案内面Zに含まれる軸線を有し、案内面Z上において相互に異なる位置に配置されている。これらの案内孔38,39,40,41,42,43は、それぞれ髄内釘7の横断孔71,72,73,74,75,76の軸線と一致する案内位置及び方向を規定するように構成されている。なお、案内孔38,39,40,41,42,43には、ドリル等の工具やガイドピン、スクリュウ等のインプラントやインプラントを案内する案内器具等が挿入される。また、案内孔38は、インプラント若しくはインプラントをガイドする案内器具を大腿骨の骨頭に向けて案内する案内孔である。
【0034】
締め付け手段32は、上記案内手段31を締め付けることによって、案内孔38,39,40,41,42,43に挿入されるインプラントやインプラントを案内する案内器具を固定し、これらの位置決めを行う手段である。この締め付け手段32は、上記一対の部分35,36から並行してそれぞれ突出する一対の突出部351,361と、当該一対の突出部351,361に取り付けられる固定部材44とを備えている。
【0035】
一方の突出部351は、その端部において、当該端部の一部分が切り欠かれる第1切欠き部351aと、この第1切欠き部351a内に露出するように取り付けられる回動軸351bとを備えている。また、他方の突出部361は、その端部において、当該端部の一部分が切り欠かれる第2切欠き部361aと、この第2切欠き部361a内に露出するように取り付けられる係止部材361bとを備えている。係止部材361bは、円柱形状(断面視円形の棒状体)となるように形成されている。
【0036】
固定部材44は、その一端部が、一方の突出部351が備える回動軸351bに回動可能に取り付けられている。固定部材44の他端部441は、図6(a)に示すように、断面視においてL字状に形成され、他方の突出部361が備える係止部材361bに嵌合するように構成されている。
【0037】
また、固定部材44が係止部材361bに嵌合している状態において(図6(a)に示す状態において)、固定部材44の他端部441には、係止部材361bとの当接位置と固定部材44の他端部441の端縁441aとの間に配置され、係止部材361bから離隔する方向に延びる傾斜面441bを備えている。この傾斜面441bは、固定部材44の外方に向けて張り出す湾曲面となるように形成されている。
【0038】
なお、この傾斜面441bを、図6(b)に示すように断面視において直線状となるように形成してもよく、また、図6(c)に示すように、固定部材44の内方に向けて窪む湾曲面となるように形成してもよい。
【0039】
仮固定ピン取付孔33は、インプラント若しくはインプラントをガイドする案内器具を大腿骨の骨頭に向けて案内する案内孔38と略平行となるように位置決め本体部3内に形成されている。この仮固定ピン取付孔33は、棒状の仮固定ピン6が装着される孔であり、図5に示すように、案内孔38の近傍に2箇所形成されている。このように、仮固定ピン取付孔33は、案内孔38の近傍に、かつ案内孔38と略平行に位置決め本体部3内に形成されているが、具体的には、仮固定ピン取付孔33は、2箇所間の距離が仮固定ピン6が挿入される骨頭100aの幅よりも短く、かつ挿入された仮固定ピン6が骨頭頚部(狭窄部分)から抜け出ないような位置に配置される。仮固定ピン取付孔33の2箇所間の距離は、骨頭100aの幅を限度として長い方が固定力を高めるために好ましい。仮固定ピン取付孔33の内周面は、仮固定ピン6と摺接するように形成されている。また、仮固定ピン取付孔33は、アーム本体部2に連結される髄内釘7と仮固定ピン取付孔33を介して骨頭100aに挿入される仮固定ピン6とが互いに干渉しないような位置に配置されている。仮固定ピン6の先端には、スクリュウが形成されており、仮固定ピン6をねじ込むことにより骨100に埋入できるように形成されている。また、仮固定ピン6の長さは、仮固定ピン6の先端が骨100の骨頭100aに挿入された状態(図1に示す状態)で、仮固定ピン6の後端部が仮固定ピン取付孔33により保持される長さとなるように設定される。
【0040】
次に、上述した構成を有するターゲットデバイス1の使用方法について説明する。まず、大腿骨等の骨の近位端にドリルやリーマ等の工具を適用して穿孔した後、図1に示すように、髄内釘7の近位端に対して接続ボルト22等によって連結端部2aを連結固定して髄内釘7とターゲットデバイス1とを一体化し、この状態で、髄内釘7の遠位端を近位端から骨内に導入する。このとき、X線画像等の透視画像を見ながら、髄内釘7の骨内における姿勢及び深さを確認し、最終的に髄内釘7が骨に対して適宜の位置に配置されるように設定する。
【0041】
次に、いずれか一方の仮固定ピン取付孔33に仮固定ピン6を挿通し、仮固定ピン6の先端が骨100の骨頭100aに挿入されるように仮固定ピン6をねじ込む。仮固定ピン6は、その先端部が骨100の骨頭100a内に設置され、後端部が仮固定ピン取付孔33に保持されるように設置される。
【0042】
仮固定ピン6の設置が終了した後、位置決め本体部3の案内孔38に案内スリーブ8(案内器具)を挿通し、案内スリーブ8の先端が体内に導入されるように押し入れる。そして、案内スリーブ8の先端が骨の表面に近接し、或いは、接触した状態とし、固定部材44を回動させてその他端部を係止部材361bに嵌合し、案内孔38を締め付け、案内スリーブ8を固定する。
【0043】
案内スリーブ8は、図1に示すガイドピン81、図示しないドリルやリーマ等の工具、図1に破線で示すスクリュウ82などの骨手術具を案内するための案内部材である。例えば、ガイドピン81を刺入する場合には、図1に示すように、案内スリーブ8内にさらに補助スリーブ83を挿入し、この補助スリーブ83の軸孔にガイドピン81を挿通させてその先端を骨100内に刺入していく。このとき、ガイドピン81は案内スリーブ8及び補助スリーブ83を介して位置決め本体部3により位置及び方向が案内された状態とされる。
【0044】
上記のガイドピン81の刺入が終了すると、補助スリーブ83を除去し、ドリルやリーマなどの穿孔工具を案内スリーブ8及びガイドピン81に案内した状態で導入し、骨100に穿孔が施される。
【0045】
穿孔作業が終了すると、スクリュウ82を案内スリーブ8及びガイドピン81によって案内した状態で骨100にねじ込んでいく。このとき、スクリュウ82は髄内釘7の傾斜した横断孔71を通して骨100の頭部100aへ向けてねじ込まれる。
【0046】
なお、横断孔71のように傾斜方向に伸びる横断孔だけでなく、水平方向に伸びる横断孔72,73,74,75,76に対しても、上記と同様の案内スリーブ8、ガイドピン81、及び、工具を用いて準備作業を行い、その後、図示しないスクリュウを挿通させて髄内釘7を骨100に固定する。
【0047】
その後、ターゲットデバイス1を髄内釘7から取り外し、髄内釘7の軸孔77内に図示しないセットスクリュウを挿入してスクリュウ82を係合保持する。そして、最後に軸孔77に図示しないキャップを装着する。
【0048】
本実施形態に係るターゲットデバイス1は、位置決め本体部3が備える固定部材44と係止部材361bとの係合により、一対の突出部351,361が均等に変形し、案内孔38,39,40,41,42,43の軸線の案内面Z上からのズレを従来よりも抑えることができる。また、本実施形態におけるターゲットデバイス1においては、一対の突出部351,361を近接する方向に締め付ける際に、従来のように突出部351,361に当接する部材を回転させる(ねじる)という動作が介在しないため、このような回転力に伴う案内孔38,39,40,41,42,43の軸線のねじれ変形が発生することを確実に防止することができる。この結果、案内スリーブ8の案内位置及び方向は、位置決め本体部3の本来の形状精度に応じた高い精度で設定される。
【0049】
また、固定部材44が係止部材361bに嵌合している状態において(図6(a)に示す状態において)、固定部材44の他端部441には、係止部材361bとの当接位置と固定部材44の他端部441の端縁との間に配置され、係止部材361bから離隔する方向に延びる傾斜面441bを備えている。このような傾斜面441bを備えることにより、固定部材44を回動軸331b周りに回動させて係止部材361bに固定する途中(例えば、図7(a)に示す状態)において、係止部材361bが傾斜面441b上を滑りながら円滑に移動するため、固定部材44の係止部材361bへの固定操作がスムーズになる。
【0050】
特に、傾斜面441bを、図6(a)に示すように、固定部材44の外方に向けて張り出す湾曲面となるように形成することにより、固定部材44の係止部材361bへの係合操作の初期段階(図7(a)に示す状態)における係止部材361bの移動量が大きくなるように設定できる。この結果、固定部材44の係止部材361bへの係合操作の初期段階において、比較的強く案内スリーブ8等を締め付けることができ、固定部材44の係止部材361bへの係合操作に伴う案内スリーブ8等の位置ズレを確実に防止することができる。
【0051】
また、図6(c)に示すように、固定部材44の内方に向けて窪む湾曲面となるように傾斜面441bを形成した場合、固定部材44を回動軸331b周りに回動させて係止部材361bに固定する途中(例えば、図7(b)に示す状態)において、比較的弱い力を固定部材44に作用させつつ、案内スリーブ8等を徐々に締め付けることができる。この結果、操作者の力の付加具合に伴って生じる案内スリーブ8等の位置ズレを効果的に防止することができる。
【0052】
また、本実施形態に係るターゲットデバイス1は、着脱手段5を操作することにより、アーム本体部2と位置決め本体部3とが着脱自在となるように構成されている。このような構成により、従来のターゲットデバイスでは得ることができない効果を得ることができる。この効果について以下説明するが、その前に従来のターゲットデバイスにおける問題点について説明する。
ターゲットデバイスを用いて大腿骨の近位端側の骨折、特に、大腿骨の骨頭近傍(例えば頚部)の骨折を治療する場合、ターゲットデバイスに連結された髄内釘を大腿骨の髄内に導入した後、ターゲットデバイスの案内手段を用いて大腿骨の外側からガイドピン(ガイドワイヤ)を大腿骨内に導入し、このガイドピンの骨頭内の位置をX線撮影などによって確認するわけであるが、この確認工程時に、導入されたガイドピンの案内角度では、後工程でねじ込まれるラグスクリュウを適切に骨内に設置できないと判断される場合がある。これは、大腿骨の長骨に挿入される髄内釘が、長骨を介して骨頭を押圧する結果、骨頭の位置が変化することに起因して発生するものであり、大腿骨の骨頭部の骨折治療においては、頻繁に発生する。
【0053】
このような事態が発生した場合、既に導入されたガイドピンを抜き出した後、骨内に導入された髄内釘をターゲットデバイスと共に引き抜いた上、所望の案内角度を有する案内孔が形成された別のターゲットデバイスに取り替え、その変更後の案内孔の案内角度に対応した横断孔を有する髄内釘を取り付け、この髄内釘を骨内に再導入するという作業が必要になる。このようなターゲットデバイス及び髄内釘の取替え作業に対応するために、案内孔の案内角度を異ならせたターゲットデバイスを複数準備すると共に、ターゲットデバイスの案内孔の案内角度に対応した横断孔を有する髄内釘を複数準備しておく必要がある。ターゲットデバイスは高価な医療器具であるため、案内孔の案内角度を異ならせたターゲットデバイスを複数準備しなければならないことは、コスト面から大きな負担になるという問題があった。
【0054】
これに対し、本実施形態に係るターゲットデバイス1は、着脱手段5を操作することにより、アーム本体部2と位置決め本体部3とが着脱自在となるように構成されているため、位置決め本体部3に形成される案内孔38,39,40,41,42,43の伸びる方向や位置を種々変化させた他の位置決め本体部3をアーム本体部2に取り付けることが可能となる。つまり、アーム本体部2を共通部品として、このアーム本体部2と、案内孔38,39,40,41,42,43の伸びる方向や位置を種々変化させた複数の位置決め本体部3とで、案内スリーブ8等の案内角度・位置を種々設定できるターゲットデバイス1を構成することができ、ターゲットデバイス1の低コスト化を図ることができる。
【0055】
また、着脱手段5は、アーム本体部2に回動可能に取り付けられるレバー体51と、位置決め本体部3に設けられる嵌合用部材54とにより構成されているため、レバー体51におけるロック端部53bを嵌合用部材54の凹部内に押し付けるという単純な動作により、アーム本体部2に対して位置決め本体部3を確実に固定することができる。また、レバー体51における操作端部53aをアーム本体部2側に押し付けるという単純な動作により、嵌合用部材54の凹部とのロック端部53bの係合を解除でき、この解除状態を維持したまま位置決め本体部3をアーム本体部2から引き抜くことにより、アーム本体部2と位置決め本体部3とを分離することが容易に可能となる。このように、本実施形態に係るターゲットデバイス1は、アーム本体部2と位置決め本体部3との脱着を極めて簡便に行うことができるので、案内孔38,39,40,41,42,43の案内角度や案内位置が異なる位置決め本体部3への変更を容易に行うことが可能となる。
【0056】
また、アーム本体部2は、その他端に挿入凹部23を備えており、位置決め本体部3は、アーム本体部2の挿入凹部23に挿入される挿入凸部30を備えている。また、挿入凹部23は、その側面に開口部24を備え、当該開口部24にレバー本体53が回動可能に取り付けられており、レバー本体53の一部分と当接する凹部54aが、挿入凸部30に設けられている。このような構成により、より一層簡便かつ確実にアーム本体部2と位置決め本体部3との接続固定を行うことができる。
【0057】
また、本実施形態に係るターゲットデバイス1は、レバー本体53の回動方向の一方に向けて当該レバー本体53を付勢する付勢手段25を備えており、この付勢手段25は、レバー本体53の一部分(ロック端部53b)を挿入凹部23内に常時配置するように機能するように構成されている。このような構成により、アーム本体部2に位置決め本体部3を挿入するという操作を行うのみで、両者を確実に連結固定することが可能になる。また、レバー本体53の操作端部を押圧することにより、付勢手段25の付勢力に抗してロック端部53bと凹部54aとの係合を解除しない限り、アーム本体部2から位置決め本体部3が抜けることがないため、アーム本体部2と位置決め本体部3との連結の確実性を確保することができる。
【0058】
また、本実施形態に係るターゲットデバイス1は、上述のような仮固定ピン取付孔33及びこの取付孔33に装着される仮固定ピン6を備えているので、当該取付孔33を介して仮固定ピン6を骨100の骨頭100aに挿入固定することにより、ターゲットデバイス1が、髄内に挿入されている髄内釘7の軸線を回転中心として回動することを確実に防止することができる。この結果、ターゲットデバイス1によって案内されるガイドピン81の案内方向が固定されるため、ガイドピン81を適切な位置に導入することが容易になる。
【0059】
また、本実施形態において、仮固定ピン取付孔33は、位置決め本体部3内で、案内孔38の近傍に、かつ案内孔38と略平行に形成されていることにより、仮固定ピン取付孔33を介して挿入される仮固定ピン6が大腿骨頚部周辺に多数存在する太い血管の損傷を防止できるという極めて優れた効果を奏する。以下、具体的に説明する。
【0060】
大腿骨頚部近傍には、この頚部に沿って太い血管が多数存在するところ、案内孔38は、案内器具等が該血管に接触しないように案内される。そのため、血管損傷を防止する観点から、仮固定ピンは、該案内器具の近くに、好ましくは該案内器具に沿うように挿入されるのが好ましいが、仮固定ピン取付孔が、案内孔の近傍でなく、かつ案内孔と略平行に形成されない場合、仮固定ピンと案内器具との距離が大きくなるため、仮固定ピンが大腿骨頚部周辺の血管と接触するリスクが高くなる。
【0061】
これに対し、本実施形態において、仮固定ピン取付孔33が、案内孔38の近傍に、かつ案内孔38と略平行となるように、位置決め本体部3内に形成された場合、仮固定ピン取付孔33に挿入される仮固定ピン6と案内器具との距離を短くすることが可能となり、仮固定ピン6が大腿骨頚部周辺の血管と接触するリスクを効果的に低減することができる。
【0062】
また、仮固定ピン取付孔33の内周面は、仮固定ピン6と摺接するように形成されているため、仮固定ピン取付孔33が仮固定ピン6の後端部をしっかりと保持することができ、ターゲットデバイス1がぐらつくことを確実に防止することができる。
【0063】
以上、本発明の一実施形態に係るターゲットデバイス1について説明したが、ターゲットデバイス1の具体的構成は上記実施形態に限定されない。例えば、図8に示すように、固定部材44の他端部441における係止部材361bと当接する表面に、係止部材361bを保持する保持部442を設けるように構成してもよい。この保持部442は、固定部材44の他端部441表面に形成される窪みであって、この窪みが係止部材361bの少なくとも一部分を収容するように形成することができる。このような構成により、固定部材44を係止部材361bに係合させた場合に、固定部材44が係止部材361bから外れてしまうことを効果的に防止することができ、スリット34を挟んだ一対の部分35,36による案内スリーブ8等の締め付け状態を好適に維持することができる。また、同様な効果を得るために、図9(a)に示すように、保持部442を、固定部材44の他端部441表面から僅かに突出する突起により構成してもよい。このような突起により保持部442を形成する場合、固定部材44を係止部材361bに係合させた状態(図9(b)に示す状態)において、突起が係止部材361bと固定部材44の他端部441の端縁441aとの間に配置されるようにする。
【0064】
また、図10の(a)や(b)に示すように、固定部材44の他端部441表面に形成される窪みを、固定部材44の回動方向(図10における矢印Kで示す方向)に沿う方向に複数並べて保持部442を形成してもよい。このような構成を採用する場合、固定部材44を係止部材361bに係合させる場合の回動方向(K1で示す方向)の先頭側に配置される窪み442aから順に、各窪み442a,442b,442cの最奥部と回動軸351bの軸心との距離が徐々に短くなるように、各窪みを形成する。このような構成を採用することにより、固定部材44を係止部材361bに係合させた場合に、固定部材44が係止部材361bから外れてしまうことを効果的に防止できるという上述した効果に加えて、固定部材44を回動軸331b周りに回動させて係止部材361bに固定する途中において、段階的に案内スリーブ8等を締め付けることができる。段階的に案内スリーブ8等を締め付けることができる結果、比較的弱い力で固定部材44を回動させて、固定部材44を係止部材361bに係合させることができ、固定部材44と係止部材361bとの係合操作の操作性を高めることが可能になる。
【0065】
また、上記実施形態においては、アーム本体部2側に挿入凹部23を設け、当該挿入凹部23の側面に形成される開口部にレバー体51を取り付けると共に、位置決め本体部3側に挿入凸部30を設け、当該挿入凸部30にレバー体51のロック端部53bが押し付けられる凹部54aを設けるように構成しているが、位置決め本体部3側に挿入凹部23を設け、当該挿入凹部23の側面に開口部を形成し、この開口部にレバー体51を取り付けると共に、アーム本体部2側に挿入凸部30を設け、当該挿入凸部30にレバー体51のロック端部53bが押し付けられる凹部54aを設けるように構成してもよい。
【0066】
また、上記実施形態においては、仮固定ピン取付孔33は、位置決め本体部3内に埋没し、図3の矢視A方向から見て断面O字形状に形成されているが、仮固定ピン6と摺接することができさえすれば、位置決め本体部3表面において一部開口した形状、すなわち、図3の矢視A方向から見て断面が略U字形状となるように形成してもよい。また、仮固定ピン6は、仮固定ピン取付孔33に、例えば、図1の紙面上において、通常、右方向から挿入されるが、このとき、挿入側の孔間の距離と、出口側の孔間の距離とが異なっていてもよく、挿入側の孔間の距離に比べて出口側の孔間の距離を短くしたり、長くしたりすることができる。さらに、上記実施形態においては、仮固定ピン取付孔33は2箇所形成されているが、仮固定ピン6を骨頭に首尾よく案内し得るのであれば、1箇所であっても、3箇所以上であってもよい。
【0067】
また、本実施形態において、アーム本体部2及び位置決め本体部3をカーボン繊維強化プラスチック材料(CFRP材料)やガラス繊維強化プラスチック材料(GFRP材料)で形成するには、例えば、カーボン繊維(或いは、ガラス繊維)が編物状に2次元に配向したシート状のCFRP材(或いは、GFRP材)を積層して形成した物に対して、切削加工等を施すことにより所定形状に形作っていくことになるが、位置決め本体部3におけるシート状CFRP材(或いは、シート状GFRP材)の積層方向は、案内孔の締め付け方向、つまり、図5の左右方向であることが好ましい。このようなCFRP材(或いは、GFRP材)の積層方向で位置決め本体部3を形成した場合、位置決め本体部3は、案内孔の締め付け方向に沿って撓みやすくなり、案内孔に挿入される案内スリーブ等を強固に締め付けることができ、案内スリーブ等の位置ずれを効果的に抑制することができる。
【0068】
位置決め本体部3に求められる剛性特性は、撓み変形(弾性変形)により案内孔に挿入される案内スリーブを確実に固定するという観点から、上述のように案内孔の締め付け方向に撓みやすくすることが好ましいが、アーム本体部2に求められる剛性特性は、位置決め本体部3に求められる剛性特性とは異なり、撓み変形が発生することを極力避けたいという要求がある。本実施形態におけるターゲットデバイス1は、アーム本体部2と位置決め本体部3とを着脱自在な別体として形成しているため、アーム本体部2におけるシート状のCFRP材(或いは、GFRP材)の積層方向を、位置決め本体部3におけるCFRP材(或いは、GFRP材)の積層方向と異なるように設定することができ、発生する撓み変形の最小化を図ることができる。アーム本体部2は、図1に示すように平面視略U字形となるように形成されているが、このような形状の場合、例えば、位置決め本体部3におけるCFRP材(或いは、GFRP材)の積層方向に対して、90度向きを変えた方向であって、位置決め本体部3の長手方向に沿った方向(図1の上下方向に沿う方向)にシート状のCFRP材(或いは、GFRP材)を積層することにより、アーム本体部2の撓み変形を小さく抑えることができる。
【符号の説明】
【0069】
1 ターゲットデバイス
2 アーム本体部
23 挿入凹部
25 付勢手段
3 位置決め本体部
30 挿入凸部
31 案内手段
32 締め付け手段
33 仮固定ピン取付孔
34 スリット
38〜43 案内孔
44 固定部材
5 着脱手段
51 レバー体
52 レバー軸部
53 レバー本体
54 嵌合用部材



【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨端部から長骨内に導入される髄内釘に装着され、該髄内釘に交差する姿勢で組み付けられるインプラントの挿入を案内若しくは補助するために用いられる髄内釘のターゲットデバイスであって、
前記髄内釘の近位端に連結される連結端部を一端側に有するアーム本体部と、前記アーム本体部に連結される前記髄内釘に並行するように伸びる位置決め本体部とを備えており、
前記位置決め本体部は、スリットを有する案内手段と、前記案内手段を締め付けることにより前記インプラント若しくは前記インプラントを案内する案内器具の位置決めを行う締め付け手段とを備えており、
前記締め付け手段は、前記案内手段における前記スリットの両側にある一対の部分からそれぞれ並行して突出する一対の突出部と、一方の突出部に回動可能に取り付けられる一端部を有する固定部材とを備えており、
前記固定部材の他端部を他方の突出部に嵌合させることにより、前記一対の突出部が近接する方向に締め付けられることを特徴とするターゲットデバイス。
【請求項2】
前記他方の突出部は、前記固定部材の他端部が挿入可能な切欠き部と、前記切欠き部内に露出するように取り付けられる棒状の係止部材とを備えており、
前記固定部材の他端部は、前記係止部材と嵌合することにより、前記一対の突出部が近接する方向に締め付けられる請求項1に記載のターゲットデバイス。
【請求項3】
前記係止部材は、円柱形状である請求項1又は2に記載のターゲットデバイス。
【請求項4】
前記固定部材が前記係止部材に嵌合している状態において、
前記固定部材の他端部は、係止部材との当接位置と前記固定部材の他端部の端縁との間に配置され、前記係止部材から離隔する方向に延びる傾斜面を備える請求項1から3のいずれかに記載のターゲットデバイス。
【請求項5】
前記傾斜面は、前記固定部材の外方に向けて張り出す湾曲面である請求項4に記載のターゲットデバイス。
【請求項6】
前記傾斜面は、前記固定部材の内方に向けて窪む湾曲面である請求項4に記載のターゲットデバイス。
【請求項7】
前記固定部材の他端部は、前記係止部材を保持する保持部を備えている請求項1から6のいずれかに記載のターゲットデバイス。
【請求項8】
前記保持部は、前記固定部材の他端部の表面に形成される窪みであって、前記窪みは、前記係止部材の少なくとも一部分を収容する請求項7に記載のターゲットデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−206125(P2011−206125A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−74633(P2010−74633)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(000186588)小林製薬株式会社 (518)
【出願人】(510162148)小林メディカル株式会社 (6)
【Fターム(参考)】