説明

ターゲット物質コンベヤシステム

【課題】自動化で安定的に液体同位元素を作製する時の圧力を制御でき、液体同位元素を作製する時、より良い安全性が得られるターゲット物質コンベヤシステムを提供する。
【解決手段】少なくとも、第1、2と3の調節弁を有する圧力制御機構と、第2の調節弁に連接される送りユニットと、第3の調節弁と送りユニットに連接されるターゲットチェンバと、ターゲットチェンバの一側に設置される陽子線照射ユニットと、ターゲットチェンバに連接される保管ユニットとが備えられるターゲット物質コンベヤシステムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターゲット物質コンベヤシステムに関し、特に、安定的に液体同位元素を作製する時の圧力を制御し、液体同位元素を作製する時、より良い安全性が得られるものに関する。
【背景技術】
【0002】
全世界の陽電子造影薬品の発展が速く、その中、液体ターゲット技術により発展されたフッ素−18フッ素イオンを、陽電子造影の主要放射造影核種とするフッ素−18フッ素イオンターゲットは、各加速器センターにおいて不可欠のターゲット技術になり、また、フッ素−18をフッ素化マークして、各種類の化合物を形成し、陽電子核医学薬品を作製することに応用され、また、液体ターゲットのコンベヤシステムが直接にフッ素−18フッ素イオンのコンベヤに影響するため、高安定度に、液体ターゲット物質の供給とターゲット体の照射が実現され、半減期が110分であるフッ素−18放射活性同位元素にとって、安定的に製造できる重要な条件であり、各陽電子サイクロトロンセンターの不可欠なターゲット技術であり、市場潜在性が非常に膨大である。
【0003】
一般の従来の液体同位元素は、作製する時、操作員により保管瓶から所定の容量である液体を吸い上げ、その後、照射ターゲットチェンバに入り、ターゲットチェンバの液体注入弁と排気弁を開けて該液体をターゲットチェンバに注入し、その後、液体注入弁と排気弁を締めて加圧弁を開け、ターゲットチェンバを必要とする圧力に加圧し、そして、同時にターゲットチェンバに対して陽子線照射を行い、これにより液体をフッ素−18水の液体同位元素に形成する。
【0004】
しかし、上記の従来の方式によれば、液体が陽子線照射によりフッ素−18水の液体同位元素に変換形成するが、毎度、陽子線照射を行う前、操作員により液体をターゲットチェンバに注入することが必要であるため、注入された液体の量が制御し難く、人的ミスで作製する時の過ちが発生し易く、また、チェンバの輻射値が非常に高いため、操作員が比較的に高い輻射投与量に晒され、安全の恐れがあり、また、高いエネルギーである陽子線を照射することにより、ターゲットチェンバの圧力が不安定になる恐れがあり、そのため、一般の従来の液体同位元素の作製方式は実用的とは言えない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の主な目的は、自動化で安定的に、液体同位元素を作製する時の圧力を制御でき、液体同位元素を作製する時、より良い安全性が得られるターゲット物質コンベヤシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の目的を達成するため、少なくとも、第1、2と3の調節弁を有する圧力制御機構と、第2の調節弁に連接される送りユニットと、第3の調節弁と送りユニットに連接されるターゲットチェンバと、ターゲットチェンバの一側に設置される陽子線照射ユニットと、ターゲットチェンバに連接される保管ユニットと、が備えられるターゲット物質コンベヤシステムである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1と2は、それぞれ、本発明の基本構造ブロック概念図と、本発明の全体構造概念図である。図のように、本発明はターゲット物質コンベヤシステムであり、少なくとも、圧力制御機構1と送りユニット2、ターゲットチェンバ3、陽子線照射ユニット4及び保管ユニット5から構成され、自動化で安定的に液体同位元素を作製する時の圧力を制御でき、液体同位元素を作製する時、より良い安全性が得られる。
【0008】
上記の圧力制御機構1は、少なくとも、第1の調節弁11と、それぞれ、第1の調節弁11に連接される第2、3の調節弁12、13が備えられ、該第1の調節弁11は高圧調節弁であり、該第2、3の調節弁12、13は低圧調節弁であり、該第1の調節弁11に給気ボンベ111が連接され、また、該第1、2の調節弁11、12の間に第1のスイッチ部112が設けられ、また、該第2の調節弁12に、更に洗浄ユニット6が連接され、該洗浄ユニット6は、第2のスイッチ部61を介してターゲットチェンバ3に連接され、そして、該圧力制御機構1は、更に第3の調節弁13に連接され、第6のスイッチ部153を有する圧力バッファ15が備えられ、該圧力バッファ15は、第7のスイッチ部151を介して給気ボンベ141を有する第4の調節弁14が連接され、また、該圧力バッファ15に、更に圧力転送器152が連接され、該圧力バッファ15と第2のスイッチ部61との間に、第12のスイッチ部154が設置される。
【0009】
該送りユニット2は上記の第2の調節弁12に連接され、また、該第2の調節弁12と送りユニット2との間に、第3のスイッチ部21が設けられる。
【0010】
該ターゲットチェンバ3は、上記第3の調節弁13と送りユニット2に連接され、該第3の調節弁13とターゲットチェンバ3との間に、第4と第5のスイッチ部31、32が設けられ、また、該送りユニット2とターゲットチェンバ3との間に第8と第9のスイッチ部33、34が設けられ、更に、該ターゲットチェンバ3は、更に第10のスイッチ部35により回収ボンベ36が連接される。
【0011】
該陽子線照射ユニット4は、上記のターゲットチェンバ3の一側に設置される。
【0012】
該保管ユニット5は、上記のターゲットチェンバ3に連接され、該ターゲットチェンバ3と保管ユニット5との間に第10のスイッチ部51が設けられる。上記の構造により、新規のターゲット物質コンベヤシステムが構成される。
【0013】
図3は、本発明の第1の使用状態概念図である。図のように、本発明によれば、陽子線照射を行う時、該送りユニット2に酸素−18水を注入してから、第1のスイッチ部112と第3のスイッチ部21、第8及び第9のスイッチ部33、34を開き、また、第1と第2の調節弁11、12を駆動し、該給気ボンベ111により、第1の調節弁11に対して気体圧力を供給し、その後、気体圧力を第2の調節弁12を介して送りユニット2へ導入し、これにより、該送りユニット2の酸素−18水がターゲットチェンバ3へ導引され、そして、第5と第10のスイッチ部32、35を開き、オバーフローした酸素−18水を回収ボンベ36で回收し、この時、陽子線照射ユニット4で高いエネルギーの陽子線照射を行い、ターゲットチェンバ3の酸素−18水をフッ素−18水に変換し、その後、第4と第10のスイッチ部31、51を開いて第3の調節弁13を駆動し、第1の調節弁11で、気体圧力を第3の調節弁13を介して、ターゲットチェンバ3へ導引し、これにより、ターゲットチェンバ3のフッ素−18水が保管ユニット5へ導入されて保管される。
【0014】
図4は、本発明の第2の使用状態概念図である。図のように、本発明によれば、第1と第2及び第3の調節弁11、12、13を開いて陽子線照射を行う時、同時に第12のスイッチ部154を開き、これにより、該圧力制御機構1の圧力バッファ15が、圧力転送器152に合わせて、即時に、第1と第2及び第3の調節弁11、12、13の圧力供給状況を持続的に検知し、圧力が過大になる時、第6のスイッチ部153を開いて減圧し、圧力が不足である時、第6のスイッチ部151を開いて、該第4の調節弁14を介して給気ボンベ141から気体圧力を供給し、また、圧力バッファ15を介して補助加圧を行い、これによりシステムが所定の圧力を維持できる。
【0015】
図5は、本発明の第3の使用状態概念図である。図のように、陽子線照射を終了した後、第1のスイッチ部112と第3のスイッチ部21、第2のスイッチ部61、第9のスイッチ部34及び第10のスイッチ部51を開いて、洗浄ユニット6に必要とする洗浄液や水を注入し、そして、第1と第2の調節弁11、12を駆動し、これにより、該給気ボンベ111により第1の調節弁11に対して気体圧力を供給し、その後、気体圧力を、第2の調節弁12を介して洗浄ユニット6へ導入し、これにより、該洗浄ユニット6の洗浄液や水がターゲットチェンバ3へ導引されて洗浄を行い、その後、保管ユニット5から廃水を排出し保管しない。
【0016】
以上のように、本発明に係わるターゲット物質コンベヤシステムは、有効に従来の諸欠点を改善でき、自動化で安定的に液体同位元素を作製する時の圧力を制御でき、液体同位元素を作製する時、より良い安全性が得られるため、本発明はより進歩的かつより実用的で、法に従って特許請求を出願する。
【0017】
以上は、ただ、本発明のより良い実施例であり、本発明はそれによって制限されることが無く、本発明に係わる特許請求の範囲や明細書の内容に基づいて行った等価の変更や修正は、全てが本発明の特許請求の範囲内に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の基本構造ブロック概念図
【図2】本発明の全体構造概念図
【図3】本発明の第1の使用状態概念図
【図4】本発明の第2の使用状態概念図
【図5】本発明の第3の使用状態概念図
【符号の説明】
【0019】
1 圧力制御機構
11 第1の調節弁
111 給気ボンベ
112 第1のスイッチ部
12 第2の調節弁
13 第3の調節弁
14 第4の調節弁
141 給気ボンベ
15 圧力バッファ
151 第7のスイッチ部
152 圧力転送器
153 第6のスイッチ部
154 第12のスイッチ部
2 送りユニット
21 第3のスイッチ部
3 ターゲットチェンバ
31 第4のスイッチ部
32 第5のスイッチ部
33 第8のスイッチ部
34 第9のスイッチ部
35 第10のスイッチ部
36 回収ボンベ
4 陽子線照射ユニット
5 保管ユニット
51 第10のスイッチ部
6 洗浄ユニット
61 第2のスイッチ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、第1の調節弁と、それぞれ第1の調節弁に連接される第2、3の調節弁とがある圧力制御機構と、上記の第2の調節弁に連接される送りユニットと、上記の第3の調節弁と送りユニットに連接されるターゲットチェンバと、上記のターゲットチェンバの一側に設置される陽子線照射ユニットと、上記のターゲットチェンバに連接される保管ユニットとが備えられることを特徴とする、ターゲット物質コンベヤシステム。
【請求項2】
該第1の調節弁は、高圧調節弁で、給気ボンベが連接されることを特徴とする、請求項1に記載のターゲット物質コンベヤシステム。
【請求項3】
該第1、2の調節弁の間に第1のスイッチ部が設けられることを特徴とする、請求項1に記載のターゲット物質コンベヤシステム。
【請求項4】
該第2の調節弁は、更に洗浄ユニットが連接され、該洗浄ユニットが第2のスイッチ部を介して、ターゲットチェンバに連接されることを特徴とする、請求項1に記載のターゲット物質コンベヤシステム。
【請求項5】
該第2の調節弁と送りユニットとの間に、第3のスイッチ部が設けられることを特徴とする、請求項1に記載のターゲット物質コンベヤシステム。
【請求項6】
該第2、3の調節弁は、低圧調節弁であることを特徴とする、請求項1に記載のターゲット物質コンベヤシステム。
【請求項7】
該第3の調節弁とターゲットチェンバとの間に、第4と第5のスイッチ部が設けられることを特徴とする、請求項1に記載のターゲット物質コンベヤシステム。
【請求項8】
該圧力制御機構は、更に、第3の調節弁に連接され、第6のスイッチ部を有する圧力バッファが備えられ、該圧力バッファは、第7のスイッチ部を介して給気ボンベを有する第4の調節弁に連接され、また、更に、圧力転送器が連接され、そして、該圧力バッファと第2のスイッチ部との間に、第12のスイッチ部が設置されることを特徴とする、請求項1に記載のターゲット物質コンベヤシステム。
【請求項9】
該送りユニットとターゲットチェンバとの間に、第8と第9のスイッチ部が設けられることを特徴とする、請求項1に記載のターゲット物質コンベヤシステム。
【請求項10】
該送りユニットに、酸素−18水が注入されることを特徴とする、請求項1に記載のターゲット物質コンベヤシステム。
【請求項11】
該ターゲットチェンバと保管ユニットとの間に、第10のスイッチ部が設けられることを特徴とする、請求項1に記載のターゲット物質コンベヤシステム。
【請求項12】
該ターゲットチェンバは、更に、第10のスイッチ部を介して、回収ボンベが連接されることを特徴とする、請求項1に記載のターゲット物質コンベヤシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−103611(P2009−103611A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−276428(P2007−276428)
【出願日】平成19年10月24日(2007.10.24)
【出願人】(595165656)行政院原子能委員会核能研究所 (51)