説明

タービンエンジンのための円周方向自己膨張式支持体

【課題】タービン燃焼器のためのブルホーンつまり支持体を提供する。
【解決手段】本支持体は、タービン運転時に、燃焼器に対するトランジションピースの適正な配置状態を維持すると同時に、該支持体の一定の移動を可能にして機械的応力を軽減する。本支持体は、インタロックすると共に離脱可能である連結部(継手)を有する少なくとも2つの部片で構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トランジションピースと燃焼器との適正な配置状態を維持するタービン燃焼器用のブルホーンつまり支持体であって、タービン運転時に支持体がある程度移動することができ、機械的応力を軽減する、ブルホーンつまり支持体に関する。
【背景技術】
【0002】
タービン燃焼器は、燃焼室を画成する燃焼ライナを含む。トランジションセグメントが、燃焼ライナとタービン第一段との間で延びる。燃焼ライナに対してトランジションセグメントを固定するための従来型の組立体は、燃焼器を含む組立体のための支持体として作用するブルホーンを含む。ブルホーンは一般的に、燃焼器に対して軸方向にトランジションセグメントが移動できるように該トランジションセグメントに連結される。
【0003】
タービンエンジンの運転時に、大きな機械的応力が発生する。そのような応力がブルホーンに伝達されて、望ましくない作用を伴うおそれがあるという不具合がある。一部のタービン構造では、2以上の部分に分割された支持リング上にブルホーンを取付けることが望ましい。部分間にブルホーンを取付けた場合には、該ブルホーンに伝達される応力は、運転時に許容不能なほど高くなるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6904756号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、運転時に機械的応力を軽減させることができるブルホーンつまりトランジションセグメント支持体があれば、有用であろう。組立て時には軸方向の整列を維持することができるが、タービン運転時には半径方向及び円周方向に沿って膨張することができるブルホーンつまり支持体があれば、有用であろう。複数部片支持リングと共に使用することができるブルホーンがあれば、特に有用である。
【0006】
本発明の態様及び利点は、その一部を以下の説明に記載しており、或いはその説明から理解することができ、或いは本発明の実施により学ぶことができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの例示的な実施形態では、本発明は、タービンエンジンの燃焼器に対してトランジションセグメントを配置するための支持組立体を提供する。燃焼器により、円周方向、軸方向及び半径方向が定まる。本支持組立体は、トランジションセグメントに取付けられた少なくとも一対のフランジを含む。また、タービンエンジンに対して取付けるための支持体が設けられる。支持体は、該支持体の細長いセクションの一部をなすインタロック継手によって互いに噛合った少なくとも一対のアームを含む。インタロック継手は、互いに対するアームの軸方向位置を固定すると同時に半径方向及び円周方向に沿って該アームが移動できるように構成される。アームは各々、半径方向に沿って延びる。アームは、軸方向に沿って延びかつフランジによって受けられた一対のフィンガとして終端する。
【0008】
別の例示的な実施形態では、本発明は、タービンエンジンの燃焼器に対してトランジションセグメントを固定するための支持体を提供する。本支持体は、インタロック継手によって互いに離脱可能に取付けられた一対のアームを含む。一対のアームは、インタロック継手を画成する細長いセクションを備える。インタロック継手は、互いに対するアームの軸方向移動を固定すると同時にタービンエンジンの半径方向及び円周方向に沿って該アームが移動できるように構成されている。アームは、トランジションセグメントに連結されかつタービンエンジンの軸方向に沿って該トランジションセグメントが移動できるように構成される。
【0009】
本発明のこれらの及びその他の特徴、態様及び利点は、以下の説明及び提出した特許請求の範囲を参照することにより一層良好に理解された状態になるであろう。本明細書に組入れられかつその一部を構成する添付図面は、本発明の実施形態を例示しておりかつ以下の記載と共に本発明の原理を説明するのに役立つ。
【0010】
添付の図を参照した本明細書において、本発明の最良の形態を含む当業者に向けた本発明の完全かつ有効な開示を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明のブルホーンつまり支持体の例示的な実施形態を備えたタービンエンジンの燃焼器及びトランジションセグメントであって、本発明がこの特定のものでの使用に限定されるのではなくて単に一連の状況及び実施例として示した燃焼器及びトランジションセグメントの側面図。
【図2】図1の線2−2に沿って取った部分断面図。
【図3】図1及び図2で使用しているようなブルホーンつまり支持体の例示的な実施形態の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、タービン運転時に燃焼器の適正な配置状態を維持すると同時にその一定の移動を可能にして機械的応力を軽減する、タービン燃焼器のためのブルホーンつまり支持体に関する。次に、その1以上の実施例を図面に示している本発明の実施形態を詳細に説明する。各実施例は、本発明の限定ではなくて本発明の説明として示している。実際には、本発明の技術的範囲及び技術思想から逸脱せずに本発明において様々な修正及び変更を加えることができることは、当業者には明らかであろう。例えば、1つの実施形態の一部として例示し又は説明した特徴要素は、別の実施形態で使用してさらに別の実施形態を生成することができる。従って、本発明は、そのような修正及び変更を特許請求の範囲及びその均等物の技術的範囲内に属するものとして保護することを意図している。
【0013】
図1に示すように、複数燃焼器タービンエンジン(図示せず)の燃焼器組立体10は、燃料ノズル12(幾つかのタービンは、各燃焼器内で複数ノズルを使用する)、燃焼室14、及び該燃焼室14とタービン第一段18との間で延びるトランジションセグメント16を含む。燃焼室14は、ほぼ円筒形の燃焼ライナ20によって形成され、燃焼ライナ20は次に、ほぼ円筒形の流れスリーブ22によって囲まれる。流れスリーブ22とライナ20との間の半径方向空間は、圧縮機吐出空気が該ライナ20の上流側つまりノズル側端部に向かって逆方向に流れかつ次に燃焼室14内に導入されて燃料と混合するようになるのを可能にする空気流路23を構成する。本明細書での説明の目的で、燃焼器又はタービンにより、図示するように、円周方向C(図2、図3)、軸方向A及び半径方向R(図1、図2)が定まる。
【0014】
トランジションセグメント16は、軸方向浮動接合部を介してライナ20に固定される。より具体的には、トランジションセグメント16は、タービンの運転に関連する高温温熱条件への露出により方向Aに沿って軸方向に膨張及び収縮することが可能である。トランジションセグメント16の相対的移動は、そうでなければ運転時に発生することになる応力を軽減する。
【0015】
次に図1〜図3を参照すると、ブルホーン(bullhorn)としても知られている支持体24が、一対のアーム26及び28によって形成される。アーム26及び28は、支持体24の細長いセクション54から離れるように半径方向に延びかつさらにトランジションセグメント16の側面に沿って互いに外向きに突出する。支持体24の各アーム26、28は、対応する軸方向に延びるフィンガ30、32を含む。フィンガ30及び32は、それぞれアーム26及び28の端部に設置されたブロック34及び36から外向きに延びる。フィンガ30及び32は、方向Aに沿って軸方向にかつ上流方向につまり燃焼器10に向かって延びる。
【0016】
フィンガ30及び32は、図2に最も良く示すように、トランジションセグメント16上に配置された一対のフランジ50及び52によって形成されたU字状グルーブ38及び40内に受けられる。フランジ50及び52は、トランジションセグメント16の上流側つまり燃焼器側端部に隣接して設置される。フランジ50及び52は、タービンの運転中に生じる過渡運転条件時に軸方向Aに沿ってフィンガ30及び32が移動するのを可能にする。タービンのための一般的な組立体では、複数の支持体24が、該タービンで使用する複数燃焼器10の各々に対するタービンの円周方向周りに設置される。本発明では、その他の燃焼器構造を使用することができまた単に実施例として燃焼器10を設けていることを理解されたい。
【0017】
次に図2を参照すると、アーム26及び28は、支持体24の細長いセクション54の一部として形成されたインタロック継手56によって互いに噛合う。インタロック継手56は、互いに対するアーム26及び28の軸方向位置を固定すると同時に半径方向R及び円周方向Cに沿って該アームが移動できるように構成される。より具体的には、インタロック継手56の構成により、アーム26及び28は、互いに対して軸方向Aに沿って摺動する又はシフトするのを妨げられる。しかしながら、同時に、インタロック継手56は、半径方向R及び円周方向Cに沿ってアーム26及び28が互いに対して移動するのを可能にもする。
【0018】
従って、支持体24は、燃焼器10に対するトランジションセグメント16の適正な配置状態をもたらすと同時に一定の程度の自由度を可能にしてタービンの運転時に発生する応力を減少させる。加えて、軸方向に沿ってアーム26及び28の配置状態を固定することは、例えばインタロック継手56が互いに対するアーム26及び28の回転を妨げることになるので、トランジションセグメント16の組立て及び据付け時に特に有用である。
【0019】
本明細書に開示した教示を使用すると、アーム26及び28の相対的軸方向移動を固定すると同時に半径方向R及び円周方向Cにおける移動を可能にする様々なインタロック継手56のその他の構造を構成することができることが解るであろう。図2では、インタロック継手56は、離脱可能なタング62及びグルーブ64で構成されている。より具体的には、タング62は、円周方向C又は半径方向Rに沿って移動させ続けることによってグルーブ64から容易に取外すことができる。一例として、インタロック継手56におけるその他の構造には、鋸歯形状、1以上のスロット形状、くさび形状、及びその他の形状が含まれる。
【0020】
図2で最も良く分るように、支持体24は、スプリットつまり切れ目60を有する支持リング58上に取付けられる。一部のタービン構造では、スプリット60は、該スプリット60により互いに対して支持リング58の異なる部分を移動させることが可能になるので、好ましい。そのようなケースでは、支持体24は、該支持体24がそうでなければタービン運転時に発生することになる一定の大きな応力を排除又は減少させるので、特に有用である。例えば、運転時に支持リング58が円周方向Cに沿って膨張した場合には、支持体24はまた、該支持リング58から許容不能な応力を受けない状態で膨張することが可能になる。
【0021】
本明細書は最良の形態を含む実施例を使用して、本発明を開示し、また当業者が、あらゆる装置又はシステムを製作しかつ使用しまたあらゆる組込み方法を実行することを含む本発明の実施を行なうことを可能にもする。本発明の特許性がある技術的範囲は、特許請求の範囲によって定まり、また当業者が想到するその他の実施例を含むことができる。例えば、支持体24について図に示したものに加えて、本発明は、例えばその動きを上記したように制御したアーム並びに/或いはフィンガの異なる形状及び配向を備えたその他の形状及び配向を有する支持体を含むことができる。そのようなその他の実施例は、それらが特許請求の範囲の文言と相違しない構造的要素を有するか又はそれらが特許請求の範囲の文言と本質的でない相違を有する均等な構造的要素を含む場合には、特許請求の範囲の技術的範囲内に属することになることを意図している。
【符号の説明】
【0022】
10 燃焼器(組立体)
12 燃料ノズル
14 燃焼室
16 トランジションセグメント
18 タービン第一段
20 (燃焼)ライナ
22 流れスリーブ
23 空気流路
24 支持体
25 ノズル端部
26 アーム
28 アーム
30 フィンガ
32 フィンガ
34 ブロック
36 ブロック
38 グルーブ
40 グルーブ
50 フランジ
52 フランジ
54 細長いセクション
56 インタロック継手
58 支持リング
60 スプリット/切れ目
62 タング
64 グルーブ
A 軸方向
C 円周方向
R 半径方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンエンジンの燃焼器(10)に対してトランジションセグメント(16)を固定するための支持体(24)であって、
インタロック継手(56)によって互いに離脱可能に取付けられた一対のアーム(26、28)を含み、
前記一対のアーム(26、28)が、前記インタロック継手(56)を形成した細長いセクション(54)を備え、
前記インタロック継手(56)が、互いに対する前記アーム(26、28)の軸方向移動を固定すると同時に前記タービンエンジンの半径方向(R)及び円周方向(C)に沿って該アーム(26、28)が移動できるようになっており、
前記アーム(26、28)が、前記トランジションセグメント(16)に連結されかつ前記タービンエンジンの軸方向(A)に沿って該トランジションセグメント(16)が移動できるように構成される、
支持体(24)。
【請求項2】
前記インタロック継手(56)がタング(62)及びグルーブ(64)継手を含む、請求項1記載の支持体(24)。
【請求項3】
前記インタロック継手(56)が、前記細長いセクション(54)によって形成された1以上のスロットを含む、請求項1記載の支持体(24)。
【請求項4】
前記インタロック継手(56)が鋸歯継手を含む、請求項1記載の支持体(24)。
【請求項5】
それに対して該支持体(24)が取付けられた支持リング(58)をさらに含む、請求項1記載の支持体(24)。
【請求項6】
前記支持リング(58)が少なくとも1つの切れ目によって分割される、請求項5記載の支持体(24)。
【請求項7】
前記細長いセクション(54)のインタロック継手(56)が、前記支持リング(58)の少なくとも1つの切れ目に隣接して配置される、請求項6記載の支持体(24)。
【請求項8】
前記アーム(26、28)の各々が、前記軸方向(A)に沿って配向された少なくとも1つのフィンガ(30、32)で終端する、請求項1記載の支持体(24)。
【請求項9】
前記アーム(26、28)の各々が、該支持体(24)に対して前記軸方向(A)に沿って前記トランジションセグメント(16)が移動できるように構成されている、請求項8記載の支持体(24)。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate