タービンロータ翼植込部のかしめ部切削用加工機および切削方法
【課題】タービンホイールの側面に円周状に形成されたかしめ部を切削するための機械および方法を提供する。
【解決手段】タービンロータ30をその軸回り方向に回転可能に架台32,34に載置支持する。回転刃物129をタービンホイール10の側方に配置する。タービンロータ30の回転を止めて、回転刃物129を回転駆動して、回転刃物129をタービンホイール10の面に平行にかしめ部12aの接線方向に移動させてかしめ部12aを切削する。一行程の切削が終了したら、タービンロータ30を所定量回転させて、同様に切削を行う。タービンロータ30が一回転するまでこれを繰り返す。
【解決手段】タービンロータ30をその軸回り方向に回転可能に架台32,34に載置支持する。回転刃物129をタービンホイール10の側方に配置する。タービンロータ30の回転を止めて、回転刃物129を回転駆動して、回転刃物129をタービンホイール10の面に平行にかしめ部12aの接線方向に移動させてかしめ部12aを切削する。一行程の切削が終了したら、タービンロータ30を所定量回転させて、同様に切削を行う。タービンロータ30が一回転するまでこれを繰り返す。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はタービンロータ翼植込部のかしめ部のかしめ状態を解除するために、該かしめ部を切削するための機械および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発電用タービンのタービンロータはタービンホイールの外周縁部に沿って複数枚の羽根を嵌合して装着した構造を有する。タービンホイールの外周縁部に羽根を嵌合して装着する翼植込部の構造の一つとしてタンジェンシャルエントリー型(接線方向差込式ダブテール構造)と呼ばれる図2に示すものがある。この翼植込部は次のように構成されている。タービンホイール10の外周縁部でその両側の面に円周方向に沿って凸条と凹条からなる嵌合部12を形成する。一方、羽根14の基部14aを鞍形に形成し、該鞍形の基部14aの内周面にタービンホイールの嵌合部12に嵌合する凹条と凸条とからなる嵌合部18を形成する。羽根14の鞍形の基部14aをタービンホイール10の周方向の1箇所に形成された切欠部20(嵌合部12が形成されていない部分)からタービンホイール10の外周縁部に跨がせて差し込み、そのまま周方向にスライドさせて両嵌合部12,18どうしを嵌合させる。個々の羽根14の基部14aを同様に順次切欠部20から差し込んで周方向にスライドさせていくことによりタービンホイール10の全周に羽根を配置する。最後の1枚の羽根14’は他の羽根14の嵌合部18に相当するものが形成されていないもので、切欠部20にそのまま配置する。羽根14’の基部14a’とその両隣の基部14a、さらにその両隣の基部14aの各隣接面に形成された溝21で形成される4本の穴にそれぞれ止めキー22を差し込んで基部14a’が切欠部20から脱落しないようにする。タービンホイール10の嵌合部12には羽根14の基部14aの両下端部14aaを外側から挟み込む部分12aが形成されている。タービンホイール10に全部の羽根14を装着した後、図3に示すように、タービンホイール10の両側の上記部分12aにローラ24を押し当てて、タービンホイール10をゆっくり回転させながらタービンホイール10の全周にわたり該部分12aを内側にかしめる(ロールかしめで塑性変形させる)ことにより、両嵌合部12,18どうしの嵌合を強固にして羽根14をタービンホイール10に固定する。なおタンジェンシャルエントリー型の翼植込部構造を有するタービンロータとして、下記特許文献1〜5に記載されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭61−279701号公報
【特許文献2】特開昭62−111102号公報
【特許文献3】特開平7−229404号公報
【特許文献4】特開平11−200806号公報
【特許文献5】特開2005−226578号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
タービンには耐用年数があり、耐用年数を過ぎたタービンは解体して再資源化される。タービンロータを解体して再資源化する場合、羽根14をタービンホイール10から外す必要がある。ところが図3のようにかしめ部12aで強固にかしめた構造を有する場合には羽根14は円周方向にスライドさせることができないので、切欠部20を通して抜き取ることができない。またかしめ部12aは堅固であり、工具を使って引き起こしてかしめ状態を解除することもできない。
【0005】
この発明は上述の点に鑑みてなされたもので、タービンロータ翼植込部のかしめ部のかしめ状態を解除するために、該かしめ部を切削するための機械および方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の切削用加工機は、タービンホイールの外周縁部に沿って複数枚の羽根を嵌合装着して配列し、該嵌合位置でタービンホイールの側面を円周方向に沿って外側からかしめて該嵌合を強固にした構造を有するタービンロータについて、前記タービンホイールの側方に回転刃物を配置して前記かしめ部を切削する機械であって、架台に支持された前記タービンロータのタービン軸と平行して床面に敷設された複数本のベースレールと、前記複数本のベースレール間に渡されて該ベースレールに沿って移動可能に該ベースレースに支持された支持構造物と、前記タービンホイール相互間の空間内に配置可能な寸法に構成され前記支持構造物に支持されて該タービンホイールの面と平行に配置されるビーム構造物と、回転刃物を搭載し前記ビーム構造物に沿って直線移動可能に該ビーム構造物に支持されて該ビーム構造物に沿って直線移動しながら該回転刃物を前記タービンホイールの側方から前記かしめ部に当てて該かしめ部を切削する刃物台と、前記刃物台を前記ビーム構造物に沿って直線移動させる刃物台送り装置と、前記回転刃物を回転駆動する刃物駆動装置とを具備してなるものである。これによれば、タービンロータをその軸回り方向に適宜の回転角度回転させて停止させた位置ごとに、前記刃物台を先記ビーム構造物に沿って直線移動させて前記回転刃物でかしめ部を切削することにより、該かしめ部を全周にわたり切削することができる。この切削でかしめ部を除去しまたは薄くすることによりタービンホイールと羽根の嵌合が緩まりタービンホイールから羽根を外せるようになる。そしてタービンロータの回転を停止させて掘削できるので、切削の際にタービンロータの回転速度を制御する必要はない。また回転刃物は直線移動すればよいので、刃物の送り機構を安価に構成できる。
【0007】
この切削用加工機は、前記ビーム構造物が前記タービン軸中心との距離を変更可能に前記支持構造物に支持されるものとすることができる。これによれば、回転刃物の位置を、タービンホイールの直径に応じて直径が異なるかしめ部の位置にそれぞれ設定することができる。またこの切削用加工機は、前記刃物駆動装置が前記タービンホイール相互間の空間外の位置で前記ビーム構造物に支持され、該ビーム構造物に該刃物駆動装置の動力を前記刃物台に伝達する伝達機構が搭載されているものとすることができる。これによれば、刃物駆動装置が大きくタービンホイール相互間の空間に入らない場合でもかしめ部の切削を行うことができる。またこの切削用加工機は、前記刃物台送り装置が前記刃物台を前記刃物駆動装置ごと前記ビーム構造物に沿って移動させるものとすることができる。これによれば、刃物台をビーム構造物に沿って移動させても刃物台と刃物駆動装置の相対位置が変化しないので、刃物駆動装置の設計が容易となる。前記回転刃物は例えば前記ビーム構造物の厚さ方向両側に刃先を突出させる直径を有する1個の回転刃物で構成することができる。これによれば、タービンホイール相互間の空間にビーム構造物を配置して、両タービンホイールの相互に対面する2面について1個の回転刃物を共用して両かしめ部の切削を行うことができる。あるいは前記回転刃物は前記ビーム構造物の厚さ方向の相互に反対側に刃先を突出させる2個の回転刃物で構成することもできる。これによれば、タービンホイール相互間の空間にビーム構造物を配置して、両タービンホイールの相互に対面する2面について個別の回転刃物を用いて各かしめ部の切削を行うことができる。一般的にフライスカッタは、その刃先直径が小さくなるほど送り速度を大きくできるという特性がある。上記のように個別の回転刃物を使用すれば各回転刃物の直径を小さくできるので、刃物台の送り速度を上げることができ、作業時間を短縮することができる。
【0008】
この発明の切削方法は、タービンホイールの外周縁部に沿って複数枚の羽根を嵌合装着して配列し、該嵌合位置でタービンホイールの側面を円周方向に沿って外側からかしめて該嵌合を強固にした構造を有するタービンロータについて、前記かしめ部を切削する方法であって、前記タービンロータの軸部をその軸回り方向に回転駆動する架台に載置して該タービンロータを該架台に支持し、回転刃物を前記タービンホイールの側方に配置し、前記タービンロータの回転を止めた状態で、前記回転刃物の刃先を前記かしめ部に当てて、該回転刃物を該かしめ部の延在方向に移動させて該かしめ部を所定長さにわたり切削し、前記タービンロータを前記架台で適宜量回転させて止めた位置ごとに前記切削を繰り返すものである。架台がタービンロータの回転速度を調整可能に支持するものであればタービンロータを切削に適した速度で回転させながら回転刃物を駆動させてかしめ部に沿って円弧状に該かしめ部を切削することができる。しかしそのような架台は現に存在しないし、現に存在する架台をタービンロータの回転速度が調整可能になるように設計変更するにはコストがかかる。この方法によれば架台がタービンロータの回転速度を調整可能でなくてよいので、既存の架台を使用して安価にかしめ部の切削を行うことができる。
【0009】
この発明の別の切削方法は前記この発明の切削用加工機を使用するもので、前記タービンロータの軸部をその軸回り方向に回転駆動する架台に載置して該タービンロータを該架台に支持し、この発明の切削用加工機を使用して、前記タービンロータの回転を止めた状態で前記回転刃物を回転駆動しかつ前記刃物台を前記ビーム構造物に沿って直線移動させて前記タービンホイールの側方から前記かしめ部をその接線方向に直線状に切削し、前記タービンロータを前記架台で適宜量回転させて止めた位置ごとに前記直線状の切削を繰り返すものである。この切削方法において前記回転刃物による切削幅は前記かしめ部の幅よりも広く設定することができる。このようにすれば、刃物台の1回の直線移動でかしめ部の全幅を所定の長さにわたり切削できるので、切削作業を効率よく行うことができる。またこの切削方法は前記かしめ部をその厚さ方向の途中位置まで切削するものとすることができる。ロールかしめにより生じる締結力は、主としてその材料の表面の硬化層で発生していると考えられ、表層のごく一部を除去すればタービンホイールと羽根の嵌合が緩まりタービンホイールから羽根を外せる状態となる。したがってかしめ部をその厚さ方向の全てを除去する必要はなく、少ない切り込み量により刃物台の送り速度を上げることができ、作業時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の切削用加工機の実施の形態を示す正面図である。
【図2】タンジェンシャルエントリー型翼植込部構造を示す斜視図である。
【図3】図2の翼植込部をタービンロータ両側方からロールかしめする様子を示す断面図である。
【図4】この発明の切削用加工機を使用して切削作業を行うためにタービンロータを架台に載置した状態を示す正面図である。
【図5】図4のX−XおよびY−Y矢視断面図である。
【図6】図1の切削用加工機の側面図である。
【図7】図1の切削用加工機の平面図である。
【図8】図6のE部拡大図である。
【図9】図8のG−G矢視断面図である。
【図10】図6のF矢視図である。
【図11】図1のA矢視図である。
【図12】図1のB部拡大図である。
【図13】図1のD−D矢視断面図である。
【図14】図1のC−C矢視断面図である。
【図15】隣接するタービンホイール相互間の空間にビーム構造物および刃物台を進入させてかしめ部を切削する状態を示す断面図である。
【図16】かしめ部の正面方向の切削領域をハッチングで示す図である。
【図17】かしめ部の断面方向の切削領域をハッチングで示す図である。
【図18】刃物台の変更例を示す正面図および平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
この発明の実施の形態を説明する。図4はこの発明による切削用加工機を使用してかしめ部(ロールかしめ部)を切削するために、タービンロータ(低圧タービン用タービンロータ)30をタービン機関から外して架台32,34に載置した状態を示す。架台32,34はここでは豊光産業株式会社製タービンロータ用点検架台である「スーパーローム」を使用した場合を示している。架台32,34は床面36に適宜の距離を置いて相互に同軸に固定設置されている。架台32は駆動側架台であり、2個のローラ38,40とそれらの各駆動装置41,42を備えている。架台34は従動側架台であり、2個のローラ44,46を備えている。タービンロータ30はその軸方向の両側位置で軸部48を架台32,34に載置して支持されている。すなわち図4のX−XおよびY−Y矢視断面図である図5に示すように、軸部48は駆動側架台32側ではローラ38,40上に支持され、従動側架台34側ではローラ44,46上に支持されている。作業者のスイッチ操作により駆動側架台32の駆動装置41,42を起動してローラ38,40を一方向に所定の低速度で回転することにより、タービンロータ30はその軸回り方向に一定速度(例えば1分間で半回転程度)で回転する。作業者が停止操作すると駆動装置41,42の駆動が停止され、ローラ38,40は回転を停止し、タービンロータ30は静止する。仮にローラ38,40を回転させたまま固定刃物をかしめ部に当てて旋盤加工でかしめ部を切削しようとすると、タービンロータ30の周速は遅すぎ、また仮にローラ38,40を回転させたまま回転刃物をかしめ部に当ててフライス加工でかしめ部を切削しようとすると、タービンロータ30の周速は速すぎるので、いずれも採用することができない。そこでこの発明の実施の形態では、ローラ38,40を間欠駆動して、タービンロータ30が停止した位置ごとに回転刃物(フライス工具)をかしめ部に当てて送り機構で該かしめ部の接線方向に送って切削を行うようにしている。これによればタービンロータ30の回転速度制御は不要である。
【0012】
この発明による切削用加工機の全体構造を図1(正面図)、図6(側面図)、図7(平面図)に示す。これらの図は、前述のようにタービンロータ30を架台32,34に支持して、切削用加工機50を使用してかしめ部を切削する状態を示す。図1は刃物台111をビーム構造物88に沿って2箇所の位置に移動させた状態を示している。図6は切削用加工機50をベースレール54,56に沿って2箇所の位置に移動させた状態を示している。床面36(図4に示す架台32,34の床面36と同じ)にはタービン軸52に平行に2本のベースレール54,56がタービン軸52を挟んでその両脇均等位置に敷設されている。ベースレール54,56上には支持構造物58が両ベースレール54,56間にまたがるように渡されて、該ベースレール54,56に沿って移動可能に支持されている。
【0013】
支持構造物58は鉄骨を組んで構成されたもので、ベースレール54,56上にそれぞれ垂直に立設配置された2本の支柱58a,58bと、該支柱58a,58bの背面側で該支柱58a,58bを支える下部枠構成材58c,58d,58e,58fと、支柱58aと下部枠構成材58c間および支柱58bと下部枠構成材58d間にそれぞれ傾斜して配置された筋交い材58g,58hとを相互に連結して構成されている。支持構造物58の下面の四隅には支持構造物58をベースレール54,56上に移動可能に支持する脚60がそれぞれ取り付けられている。下部枠構成材58c,58dの途中位置にも脚60’(図6)がそれぞれ取り付けられている。脚60は図8,図9に拡大して示すようにローラ62を有し、該ローラ62をベースレール54,56上で転動させて支持構造物58を移動させる。脚60には図8,図10に示すようにベースレール54,56を締め付けるボルト64とナットブロック66による締め付け具68が設けられている。支持構造物58をベースレール54,56上の任意の位置に位置決めした後、該締め付け具68を締め付けることにより、支持構造物58は該位置に固定される。下部枠構成材58c,58dの途中位置の脚60’(図6)はローラは無く、締め付け具68を備えている。図6に示すように、ベースレール54,56上には支柱58a,58bの直下の脚60,60の前後位置に、支持台座82がボルト84とナットブロック86により着脱自在にそれぞれ装着される。支持台座82には支持構造物58を押圧して移動させるための押しボルト80が脚60に向かう方向に水平にねじ込まれる。ボルト84とナットブロック86を相互に締め付けて支持台座82をベースレール54,56に固定し、脚60,60’の締め付け具68を緩め、この状態で両支柱58a,58b側で同時に、前後一方の押しボルト80を緩め、前後他方の押しボルト80を締めてその先端で脚60を押圧することにより、支持構造物58をベースレール54,56に沿って移動してさせることができる。
【0014】
支持構造物58の左右支柱58a,58b間には鉄骨製のビーム構造物88が、固定する高さ位置を任意に変更可能に、水平かつタービン軸52と直角(タービンホイールの面と平行)の姿勢で着脱可能に取付支持されている。ビーム構造物88の厚さ(タービン軸52方向の寸法)は、該ビーム構造物88をかしめ部を有するタービンホイール10−1(第9段),10−2(第10段),10−3(第11段),・・・相互間の空間16−1,16−2,・・・に出し入れ可能な厚さに設定されている。支柱58a,58bに対するビーム構造物88の取付支持構造を説明する。支柱58a,58bの適宜の高さ位置には板状部材90,92が溶接等で固定装着されている。板状部材90,92にはそれぞれ、縦方向の4本の長穴94が上下に2本ずつ左右に2列に並べて形成されている。ビーム構造物88の左右両端部には板状部材96,98が溶接等で固定装着されている。板状部材96,98には各長穴94に対応する位置にねじ100が背面側に突出した状態に固定装着されている。各ねじ100を各長穴94に差し込んで板状部材90,92の背面側からナット101(図6)を各ねじ100にねじ込んで締め付けることにより、ビーム構造物88は支柱58a,58bに固定される。長穴94に対するねじ100の差し込み高さ位置を変更することにより、支柱58a,58bに固定するビーム構造物88の高さ位置を変更することができる。支柱58a,58bの上部には手動式チェーンブロック102,104が吊り下げ配置されている。手動式チェーンブロック102,104はビーム構造物88をその左右位置で吊り上げてビーム構造物88の高さ位置を調整するのに利用される。
【0015】
ビーム構造物88の下面の長手方向の2箇所の位置には、その長手方向に沿ってリニアガイド106,108がそれぞれ2本ずつ平行(図13、図14)に取付配置されている。2本のリニアガイド106には刃物台111が移動自在に吊下支持されている(図1、図14)。2本のリニアガイド108には刃物駆動装置113の取付台114が移動自在に吊下支持されている(図1、図11)。刃物台111と刃物駆動装置取付台114とは互いに平行に配置された連結棒115,117で相互に連結され(図1、図12)、相互に一体にリニアガイド106,108に沿って移動する。このとき刃物台111はタービンホイール10−1,10−2,10−3,・・・相互間の空間16−1,16−2,・・・内を移動することができる。刃物駆動装置113は該空間16−1,16−2,・・・内に入らない大きさを有するので、該空間16−1,16−2,・・・の外を移動する。刃物駆動装置113はギヤドモータで構成されている。刃物駆動装置113の動力は連結棒115,117間に配置されたドライブシャフト119(図1、図12、図13)を介して刃物台111に伝達される。
【0016】
刃物台111の構成を説明する。刃物台111には図12に示すように、ドライブシャフト119の回転をかさ歯車121、スプロケット123、チェーン125、スプロケット127を介してスプロケット127と共に回転する軸部128上に連結された回転刃物129に伝達する機構が構成されている。回転刃物129は回転切削する工具(フライス工具)であり、サイドカッター、千鳥刃サイドカッター等で構成される。回転刃物129に切削油を供給するためにクーラントポンプ130(図1)が適宜の位置に配置されている。クーラントポンプ130から吐出される切削油はホース132を通して回転刃物129に供給される。回転刃物129は切削幅がかしめ部の幅よりも広いものを使用する。例えば、かしめ部の幅が20mmであれば、回転刃物129は切削幅が30mmのものを使用する。図14に示すように、刃物台111は回転刃物129を除きビーム構造物88とほぼ同一幅内(タービン軸52方向のほぼ同一寸法内)に配置されており、タービンホイール10−1,10−2,10−3,・・・相互間の空間16−1,16−2,・・・内にビーム構造物88とともに出し入れ可能とされている。回転刃物129は図14に示すようにビーム構造物88および刃物台111の厚さ(タービン軸52方向の寸法)よりも直径が大きく形成されており(例えば直径150mm)、ビーム構造物88および刃物台111の厚さ方向両側に刃先を突出させている。これにより例えば図15に示すようにタービンホイール10−1,10−2相互間の空間16−1にビーム構造物88および刃物台111を配置した状態で、タービンホイール10−1,10−2の相互に対面する2面10−1b,10−2aについて、まず一方の面10−1b側のかしめ部12aを一方側に突出している刃先で切削し、次いで切削用加工機50をベースレール54,56に沿って少し移動して他方の面10−2aのかしめ部12aを他方側に突出している刃先で切削することができる。
【0017】
次に刃物駆動装置113をビーム構造物88に沿って移動させる刃物台送り装置について説明する。図1において刃物台送り装置131はビーム構造物88の刃物駆動装置113が配置された側の端部に固定配置されている。刃物台送り装置131はサーボモータ133と該サーボモータ133で駆動されるボールねじ135を具えている。ボールねじ135のねじ軸135aはビーム構造物88の側面に該ビーム構造物88に沿って配置されている。ボールねじ13のナット135bは連結部材137(図11)を介して刃物駆動装置取付台114に連結されている。これによりサーボモータ133を駆動すると、ボールねじ135のねじ軸135aの回転によりナット135bが移動し、連結部材137を介して刃物駆動装置取付台114に伝達され、刃物駆動装置113が刃物台111を伴ってビーム構造物88に沿って移動する。ビーム構造物88には刃物駆動装置113の移動終端位置を検出するためのリミットスイッチ136が配置されている。
【0018】
ビーム構造物88の上面に2本の調整用ボルト139,141の組がビーム構造物88に沿って互いに離れた位置に2組配置されている。これら2組の調整用ボルト139,141は切削深さ(切り込み量)を設定する回転刃物129の刃先と切削対象のかしめ部と間の距離の調整に用いられる。調整用ボルト139,141の配置を図15に拡大して示す。ビーム構造物88の上面にはナット143,145が固定配置され、そこに調整用ボルト139,141がそれぞれねじ込まれている。図15は回転刃物129でタービンホイール10−2の面10−2aのかしめ部12aを切削する状態を示す。このとき調整用ボルト139,141はナット143,145にそれぞれねじ込まれて、調整用ボルト139,141の先端面139a,141aはタービンホイール10−1,10−2の対向面10−1b,10−2aにそれぞれ強く押し当てられて、調整用ボルト139,141はタービンホイール10−1,10−2の対向面10−1b,10−2a間に突っ張った状態に配置されている。調整用ボルト141のねじ込み量を調整することにより、面10−2aと回転刃物129の刃先129aとの距離を所定の切削深さが得られる値に調節することができる。調整用ボルト139,141を2組ともこのような状態に調整して切削を開始することにより、刃物台111をビーム構造物88に沿って移動させて切削を行う一行程全長にわたり、所定の切削深さを得ることができる。回転刃物129による一行程の切削が終了したら、調整用ボルト139,141を2組とも緩めて、タービンロータ30を次の回転位置に回転できるようにし、あるいは切削用加工機50を次のタービンロータ間空間に移動できるようにする。
【0019】
切削用加工機50には図示しない操作盤が設けられている。この操作盤では作業者により刃物駆動装置113の起動/停止操作、サーボモータ133による刃物台111の送り速度の設定操作、サーボモータ133起動/停止操作等が行われる。
【0020】
以上説明した切削用加工機50を使用したかしめ部の切削作業を説明する。一行程の切削はタービンロータ30の回転を停止させて、かしめ部全周のうち下端部に位置する領域について、回転刃物129をかしめ部から外れた手前側(図1の左側)の位置から予め設定した送り速度で水平方向に直線移動させて、該移動の途中でかしめ部を接線方向に切削し、該かしめ部から外れる奥側(図1の右側)の位置まで移動させることにより行う。図16はこの切削による今回の一行程の切削領域、前回の一行程の切削領域、前々回の一行程の切削領域をそれぞれハッチングで示す。かしめ部12aは円周状に延在するのに対し、回転刃物129は直線移動して(つまりかしめ部12aの側方を接線方向に移動して)一行程の切削を行うので、該一行程の切削中に回転刃物129とかしめ部12aの高さ位置が相対的に変化する。そこでこの高さ位置の変化があってもかしめ部12aの全幅を所定の長さにわたり切削できるようにするために、回転刃物129の切削幅(つまり回転刃物129の厚さ)をかしめ部12aの幅よりも広く設定する。すなわち前述のように、例えばかしめ部12aの幅が20mmであれば、回転刃物129は切削幅が30mmのものを使用する。この場合、図16の「今回の切削」に示すように、一行程の切削の丁度中間位置(つまりかしめ部12aの最下端部)で切削幅の下辺位置がかしめ部12aの下辺位置に一致するように回転刃物129の高さ位置を設定すれば、かしめ部12aの全幅を切削できる長さを最大にすることができる。一行程の切削が終了したら、タービンロータ30を所定角度回転させる。この回転角度は前回の切削によりかしめ部12aの全幅を切削した区間と今回の切削によりかしめ部12aの全幅を切削する区間とが相互に繋がるように設定する。これにより、該回転角度ごとに一行程ずつ切削を繰り返してタービンロータ30を一回転させることにより、かしめ部12aの全幅を全周にわたり切削することができる。
【0021】
図17は上記切削による断面方向の切削領域をハッチングで示す。かしめ部12aの厚さは例えば8mm程度であり、このとき切削深さは例えば3mm程度に設定することができる。かしめ部12aをその厚さ方向の途中位置まで切削すればかしめ部12aは弱くなるので、羽根14をタービン軸52の前後方向に揺り動かすことにより、かしめ部12aが開いてタービンホイール10と羽根14の嵌合が緩まり、タービンホイール10に対して羽根14を円周方向にスライドさせて切欠20(図2)から外せる状態となる。したがってかしめ部12aをその厚さ方向の全てを除去する必要はなく、少ない切り込み量により刃物台111の送り速度を上げることができ、作業時間を短縮することができる。
【0022】
切削用加工機50を使用した切削作業の全体の手順を説明する。
(1)タービン機関から外したタービンロータ30を図4に示すように架台32,34に載置する。
(2)切削用加工機50の支持構造物58を、図1に示すようにタービンロータ30の下をくぐらした状態に組み立てる。
(3)チェーンブロック102,104にビーム構造物88を吊り下げる。
(4)支持構造物58をベースレール54,56に沿って移動して、図6の左側に示すように最初のタービンホイール10−1(第9段)の外側の面10−1aのかしめ部12aを切削する位置に停止させる。
(5)チェーンブロック102,104によりビーム構造物88を水平に保ちながらその高さを調整して、回転刃物129の刃先をかしめ部12aの高さ(図16の「今回の切削」に相当する高さ)に位置決めする。この高さ位置の調整が終了したら、ビーム構造物88の両端位置でねじ100(図1)にナット101(図6)を締め付けてビーム構造物88を支持構造物58の支柱58a,58bに固定する。
(6)調整用ボルト141(図15)を使って回転刃物129の刃先と面10−1aのかしめ部12aとの距離(切削深さに相当)を調整する。
(7)押しボルト80(図6)を回して、調整用ボルト141の先端がタービンホイール10−1の外側の面10−1aに当接する位置まで支持構造物58を移動する。
(8)脚60,60’の締め付け具68を締め付けて支持構造物58をベースレール54,56に固定する。なおタービンホイール10−1の外側の面10−1aのかしめ部12aを切削するときは該面10−1aに対向するタービンホイールの面は離れているので(図7)、調整用ボルト139の先端面139aが該対向するタービンホイールの面に届かない場合は、それらの間に適宜スペーサ材(鉄骨等)を挿入して咬ませることにより上記同様に調整用ボルト139による突っ張りを行うことができる。
(9)刃物台111を回転刃物129が面10−1aの翼植込部に当たる手前の位置(図1の左側の位置)に配置し、刃物駆動装置113を起動し、次いでサーボモータ133を所定速度で起動して刃物台111を図1の右方向に移動させてタービンホイール10−1の面内に進入させる。これにより図16の「今回の切削」に示す部分が直線状に切削されていく。刃先が翼植込部から外れる位置(あるいはそれよりも手前のかしめ部12aから外れる位置)まで達したら一行程の切削を終了し、刃物台111を元の位置(図1の左側の位置)に戻す。
(10)タービンロータ30を所定角度回転させて同様に次の一行程の切削を行う。以後該回転角度ごとに一行程ずつ切削を繰り返してタービンロータ30を一回転させることにより、かしめ部12aの全幅を全周にわたり切削することができる。
(11)以上によりタービンホイール10−1の外側の面10−1aについて切削が終了したら、ビーム構造物88を支柱58a,58bから外してタービンホイール10−1に当たらない位置まで一旦下げて、支持構造物58を、ビーム構造物88がタービンホイール10−1,10−2の間の空間16−1(図6)に進入できる位置までベースレール54,56上を前進させる。
(12)次いでビーム構造物88をタービンホイール10−1,10−2の間の空間16−1(図6)に進入させて、前記同様に高さ位置の調整、支柱58a,58bに対するビーム構造物88の固定、切削深さの調整、ベースレール54,56に対する支持構造物58の固定を行った後、タービンホイール10−1のもう一方の面10−1bについてかしめ部12aを切削する。このとき切削深さの調整は面10−1bに突き当てられる調整用ボルト139のナット143からの突出量で行う。調整用ボルト141は、支持構造物58をベースレール54,56に固定した後にタービンホイール10−2の面10−2aに突き当てられ、これにより調整用ボルト139,141はタービンホイール10−1,10−2の対向面10−1b,10−2a間に突っ張った状態に配置される。
(13)タービンホイール10−1の面10−1bについて切削が終了したら、支持構造物58をベースレール54,56上を少し前進させて同様にタービンホイール10−2の面10−2aについて切削を行う(図15の状態)。このとき切削深さの調整は面10−2aに突き当てられる調整用ボルト141のナット145からの突出量で行う。調整用ボルト139は、支持構造物58をベースレール54,56に固定した後にタービンホイール10−1の面10−1bに突き当てられ、これにより調整用ボルト139,141はタービンホイール10−1,10−2の対向面10−1b,10−2a間に突っ張った状態に配置される。以後同様にしてかしめ部12aを有する各段のタービンホイールについて切削を行う。
(14)かしめ部12aを有する各段のタービンホイールについて切削が終了したら、かしめ部12aは薄くなって弱くなるので、羽根14を揺り動かすことによりタービンホイール10と羽根14の嵌合が緩まった状態となる。これにより羽根14をタービンホイール10に対して円周方向にスライドさせて切欠20から外すことができる。
【0023】
刃物台の変更例を説明する。前記実施の形態では1枚の回転刃物129を使用して、該回転刃物129の刃先を2枚のタービンホイールの対向面にそれぞれ突出させて、該1枚の回転刃物129を共用して該両対向面のかしめ部12aを切削するようにしたが、該2枚のタービンホイールの対向面のかしめ部12aを別々の回転刃物で切削することもできる。そのように構成した刃物台の変更例を図18に示す。(a)は正面図、(b)は平面図である。図12と共通する部分には同一の符号を用いる。刃物台111’において、ドライブシャフト119の回転はかさ歯車121、スプロケット123、チェーン125を介してスプロケット127に伝達される。スプロケット127の回転はギヤ147を介してギヤ149,151にそれぞれ伝達される。ギヤ149,151の軸部153,155には回転刃物157,159がそれぞれ取り付けられている。したがってドライブシャフト119が回転すると回転刃物157,159が回転駆動される。回転刃物157,159は直径が例えば100mmのサイドカッター、千鳥刃サイドカッター等で構成される。回転刃物157,159の刃先は、ビーム構造物88および刃物台111’(回転刃物157,159を除く)の幅(タービン軸52方向の寸法)よりも外側に突出している。したがって、該2枚のタービンホイールの対向面のかしめ部12aをこれら2枚の回転刃物157,159の突出した刃先で個別に切削することができる。この刃物台111’によれば、図12の刃物台111に比べて回転刃物の直径を小さくできるので、刃物台111の送り速度を上げることができ、作業時間を短縮することができる。
【0024】
なお前記実施の形態では刃物駆動装置113を電動モータで構成したが、油圧モータで構成することもできる。また前記実施の形態ではタービンロータを停止させて行う一箇所の切削を一行程の切削で完了させたが、該一箇所の切削を複数行程の切削で完了させることもできる。また前記実施の形態では一行程の切削で回転刃物129を直線方向(水平方向)にのみ移動させたが、刃物台111をビーム構造物88に上下動可能に搭載することにより(あるいは回転刃物129を刃物台111に上下動可能に搭載することにより)回転刃物129の移動方向に垂直方向成分を加えて、かしめ部12aに沿って円弧状に切削することもできる。このようにすれば一行程で切削できるかしめ部12aの長さを長くすることができる。また前記実施の形態では、切削深さを規定する回転刃物129(157,159)の刃先と切削対象かしめ部12aとの距離をベースレール54,56上での支持構造物58の位置で調整したが、これに限らず、別途軸方向送り機構を設けて調整することもできる。例えば刃物台111上に刃物129(157,159)をタービン軸52方向に移動させる軸方向送り機構を設け、ベースレール54,56上で支持構造物58の位置を大まかに位置決めした後に、ボルト139,141をタービンホイールの対向面間に突っ張らせ、軸方向送り機構で回転刃物129(157,159)の刃先と切削対象かしめ部12aとの距離を微調整することができる。この微調整は例えば、切削開始位置で回転刃物129(157,159)を回転して、軸方向送り機構により回転刃物129(157,159)をタービン軸52方向に移動しながら切削を開始し、所定の切削深さになったら軸方向送り機構を止めることにより行うことができる。軸方向送り機構を止めたら、そのまま刃物台送り装置131を起動して刃物台111をビーム構造物88に沿って移動させることにより、該調整した切削深さを維持して一行程の切削を行うことができる。
【符号の説明】
【0025】
10(10−1,10−2,・・・)…タービンホイール、12…タービンロータと羽根との嵌合部(翼植込部)、12a…かしめ部、14…羽根、16(16−1,16−2,・・・)…隣接するタービンホイール相互間の空間、30…タービンロータ、32,34…架台、50…切削用加工機、52…タービン軸、54,56…ベースレール、58…支持構造物、88…ビーム構造物、111,111’…刃物台、113…刃物駆動装置、119…ドライブシャフト(伝達機構)、129…回転刃物、131…刃物台送り装置
【技術分野】
【0001】
この発明はタービンロータ翼植込部のかしめ部のかしめ状態を解除するために、該かしめ部を切削するための機械および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発電用タービンのタービンロータはタービンホイールの外周縁部に沿って複数枚の羽根を嵌合して装着した構造を有する。タービンホイールの外周縁部に羽根を嵌合して装着する翼植込部の構造の一つとしてタンジェンシャルエントリー型(接線方向差込式ダブテール構造)と呼ばれる図2に示すものがある。この翼植込部は次のように構成されている。タービンホイール10の外周縁部でその両側の面に円周方向に沿って凸条と凹条からなる嵌合部12を形成する。一方、羽根14の基部14aを鞍形に形成し、該鞍形の基部14aの内周面にタービンホイールの嵌合部12に嵌合する凹条と凸条とからなる嵌合部18を形成する。羽根14の鞍形の基部14aをタービンホイール10の周方向の1箇所に形成された切欠部20(嵌合部12が形成されていない部分)からタービンホイール10の外周縁部に跨がせて差し込み、そのまま周方向にスライドさせて両嵌合部12,18どうしを嵌合させる。個々の羽根14の基部14aを同様に順次切欠部20から差し込んで周方向にスライドさせていくことによりタービンホイール10の全周に羽根を配置する。最後の1枚の羽根14’は他の羽根14の嵌合部18に相当するものが形成されていないもので、切欠部20にそのまま配置する。羽根14’の基部14a’とその両隣の基部14a、さらにその両隣の基部14aの各隣接面に形成された溝21で形成される4本の穴にそれぞれ止めキー22を差し込んで基部14a’が切欠部20から脱落しないようにする。タービンホイール10の嵌合部12には羽根14の基部14aの両下端部14aaを外側から挟み込む部分12aが形成されている。タービンホイール10に全部の羽根14を装着した後、図3に示すように、タービンホイール10の両側の上記部分12aにローラ24を押し当てて、タービンホイール10をゆっくり回転させながらタービンホイール10の全周にわたり該部分12aを内側にかしめる(ロールかしめで塑性変形させる)ことにより、両嵌合部12,18どうしの嵌合を強固にして羽根14をタービンホイール10に固定する。なおタンジェンシャルエントリー型の翼植込部構造を有するタービンロータとして、下記特許文献1〜5に記載されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭61−279701号公報
【特許文献2】特開昭62−111102号公報
【特許文献3】特開平7−229404号公報
【特許文献4】特開平11−200806号公報
【特許文献5】特開2005−226578号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
タービンには耐用年数があり、耐用年数を過ぎたタービンは解体して再資源化される。タービンロータを解体して再資源化する場合、羽根14をタービンホイール10から外す必要がある。ところが図3のようにかしめ部12aで強固にかしめた構造を有する場合には羽根14は円周方向にスライドさせることができないので、切欠部20を通して抜き取ることができない。またかしめ部12aは堅固であり、工具を使って引き起こしてかしめ状態を解除することもできない。
【0005】
この発明は上述の点に鑑みてなされたもので、タービンロータ翼植込部のかしめ部のかしめ状態を解除するために、該かしめ部を切削するための機械および方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の切削用加工機は、タービンホイールの外周縁部に沿って複数枚の羽根を嵌合装着して配列し、該嵌合位置でタービンホイールの側面を円周方向に沿って外側からかしめて該嵌合を強固にした構造を有するタービンロータについて、前記タービンホイールの側方に回転刃物を配置して前記かしめ部を切削する機械であって、架台に支持された前記タービンロータのタービン軸と平行して床面に敷設された複数本のベースレールと、前記複数本のベースレール間に渡されて該ベースレールに沿って移動可能に該ベースレースに支持された支持構造物と、前記タービンホイール相互間の空間内に配置可能な寸法に構成され前記支持構造物に支持されて該タービンホイールの面と平行に配置されるビーム構造物と、回転刃物を搭載し前記ビーム構造物に沿って直線移動可能に該ビーム構造物に支持されて該ビーム構造物に沿って直線移動しながら該回転刃物を前記タービンホイールの側方から前記かしめ部に当てて該かしめ部を切削する刃物台と、前記刃物台を前記ビーム構造物に沿って直線移動させる刃物台送り装置と、前記回転刃物を回転駆動する刃物駆動装置とを具備してなるものである。これによれば、タービンロータをその軸回り方向に適宜の回転角度回転させて停止させた位置ごとに、前記刃物台を先記ビーム構造物に沿って直線移動させて前記回転刃物でかしめ部を切削することにより、該かしめ部を全周にわたり切削することができる。この切削でかしめ部を除去しまたは薄くすることによりタービンホイールと羽根の嵌合が緩まりタービンホイールから羽根を外せるようになる。そしてタービンロータの回転を停止させて掘削できるので、切削の際にタービンロータの回転速度を制御する必要はない。また回転刃物は直線移動すればよいので、刃物の送り機構を安価に構成できる。
【0007】
この切削用加工機は、前記ビーム構造物が前記タービン軸中心との距離を変更可能に前記支持構造物に支持されるものとすることができる。これによれば、回転刃物の位置を、タービンホイールの直径に応じて直径が異なるかしめ部の位置にそれぞれ設定することができる。またこの切削用加工機は、前記刃物駆動装置が前記タービンホイール相互間の空間外の位置で前記ビーム構造物に支持され、該ビーム構造物に該刃物駆動装置の動力を前記刃物台に伝達する伝達機構が搭載されているものとすることができる。これによれば、刃物駆動装置が大きくタービンホイール相互間の空間に入らない場合でもかしめ部の切削を行うことができる。またこの切削用加工機は、前記刃物台送り装置が前記刃物台を前記刃物駆動装置ごと前記ビーム構造物に沿って移動させるものとすることができる。これによれば、刃物台をビーム構造物に沿って移動させても刃物台と刃物駆動装置の相対位置が変化しないので、刃物駆動装置の設計が容易となる。前記回転刃物は例えば前記ビーム構造物の厚さ方向両側に刃先を突出させる直径を有する1個の回転刃物で構成することができる。これによれば、タービンホイール相互間の空間にビーム構造物を配置して、両タービンホイールの相互に対面する2面について1個の回転刃物を共用して両かしめ部の切削を行うことができる。あるいは前記回転刃物は前記ビーム構造物の厚さ方向の相互に反対側に刃先を突出させる2個の回転刃物で構成することもできる。これによれば、タービンホイール相互間の空間にビーム構造物を配置して、両タービンホイールの相互に対面する2面について個別の回転刃物を用いて各かしめ部の切削を行うことができる。一般的にフライスカッタは、その刃先直径が小さくなるほど送り速度を大きくできるという特性がある。上記のように個別の回転刃物を使用すれば各回転刃物の直径を小さくできるので、刃物台の送り速度を上げることができ、作業時間を短縮することができる。
【0008】
この発明の切削方法は、タービンホイールの外周縁部に沿って複数枚の羽根を嵌合装着して配列し、該嵌合位置でタービンホイールの側面を円周方向に沿って外側からかしめて該嵌合を強固にした構造を有するタービンロータについて、前記かしめ部を切削する方法であって、前記タービンロータの軸部をその軸回り方向に回転駆動する架台に載置して該タービンロータを該架台に支持し、回転刃物を前記タービンホイールの側方に配置し、前記タービンロータの回転を止めた状態で、前記回転刃物の刃先を前記かしめ部に当てて、該回転刃物を該かしめ部の延在方向に移動させて該かしめ部を所定長さにわたり切削し、前記タービンロータを前記架台で適宜量回転させて止めた位置ごとに前記切削を繰り返すものである。架台がタービンロータの回転速度を調整可能に支持するものであればタービンロータを切削に適した速度で回転させながら回転刃物を駆動させてかしめ部に沿って円弧状に該かしめ部を切削することができる。しかしそのような架台は現に存在しないし、現に存在する架台をタービンロータの回転速度が調整可能になるように設計変更するにはコストがかかる。この方法によれば架台がタービンロータの回転速度を調整可能でなくてよいので、既存の架台を使用して安価にかしめ部の切削を行うことができる。
【0009】
この発明の別の切削方法は前記この発明の切削用加工機を使用するもので、前記タービンロータの軸部をその軸回り方向に回転駆動する架台に載置して該タービンロータを該架台に支持し、この発明の切削用加工機を使用して、前記タービンロータの回転を止めた状態で前記回転刃物を回転駆動しかつ前記刃物台を前記ビーム構造物に沿って直線移動させて前記タービンホイールの側方から前記かしめ部をその接線方向に直線状に切削し、前記タービンロータを前記架台で適宜量回転させて止めた位置ごとに前記直線状の切削を繰り返すものである。この切削方法において前記回転刃物による切削幅は前記かしめ部の幅よりも広く設定することができる。このようにすれば、刃物台の1回の直線移動でかしめ部の全幅を所定の長さにわたり切削できるので、切削作業を効率よく行うことができる。またこの切削方法は前記かしめ部をその厚さ方向の途中位置まで切削するものとすることができる。ロールかしめにより生じる締結力は、主としてその材料の表面の硬化層で発生していると考えられ、表層のごく一部を除去すればタービンホイールと羽根の嵌合が緩まりタービンホイールから羽根を外せる状態となる。したがってかしめ部をその厚さ方向の全てを除去する必要はなく、少ない切り込み量により刃物台の送り速度を上げることができ、作業時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の切削用加工機の実施の形態を示す正面図である。
【図2】タンジェンシャルエントリー型翼植込部構造を示す斜視図である。
【図3】図2の翼植込部をタービンロータ両側方からロールかしめする様子を示す断面図である。
【図4】この発明の切削用加工機を使用して切削作業を行うためにタービンロータを架台に載置した状態を示す正面図である。
【図5】図4のX−XおよびY−Y矢視断面図である。
【図6】図1の切削用加工機の側面図である。
【図7】図1の切削用加工機の平面図である。
【図8】図6のE部拡大図である。
【図9】図8のG−G矢視断面図である。
【図10】図6のF矢視図である。
【図11】図1のA矢視図である。
【図12】図1のB部拡大図である。
【図13】図1のD−D矢視断面図である。
【図14】図1のC−C矢視断面図である。
【図15】隣接するタービンホイール相互間の空間にビーム構造物および刃物台を進入させてかしめ部を切削する状態を示す断面図である。
【図16】かしめ部の正面方向の切削領域をハッチングで示す図である。
【図17】かしめ部の断面方向の切削領域をハッチングで示す図である。
【図18】刃物台の変更例を示す正面図および平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
この発明の実施の形態を説明する。図4はこの発明による切削用加工機を使用してかしめ部(ロールかしめ部)を切削するために、タービンロータ(低圧タービン用タービンロータ)30をタービン機関から外して架台32,34に載置した状態を示す。架台32,34はここでは豊光産業株式会社製タービンロータ用点検架台である「スーパーローム」を使用した場合を示している。架台32,34は床面36に適宜の距離を置いて相互に同軸に固定設置されている。架台32は駆動側架台であり、2個のローラ38,40とそれらの各駆動装置41,42を備えている。架台34は従動側架台であり、2個のローラ44,46を備えている。タービンロータ30はその軸方向の両側位置で軸部48を架台32,34に載置して支持されている。すなわち図4のX−XおよびY−Y矢視断面図である図5に示すように、軸部48は駆動側架台32側ではローラ38,40上に支持され、従動側架台34側ではローラ44,46上に支持されている。作業者のスイッチ操作により駆動側架台32の駆動装置41,42を起動してローラ38,40を一方向に所定の低速度で回転することにより、タービンロータ30はその軸回り方向に一定速度(例えば1分間で半回転程度)で回転する。作業者が停止操作すると駆動装置41,42の駆動が停止され、ローラ38,40は回転を停止し、タービンロータ30は静止する。仮にローラ38,40を回転させたまま固定刃物をかしめ部に当てて旋盤加工でかしめ部を切削しようとすると、タービンロータ30の周速は遅すぎ、また仮にローラ38,40を回転させたまま回転刃物をかしめ部に当ててフライス加工でかしめ部を切削しようとすると、タービンロータ30の周速は速すぎるので、いずれも採用することができない。そこでこの発明の実施の形態では、ローラ38,40を間欠駆動して、タービンロータ30が停止した位置ごとに回転刃物(フライス工具)をかしめ部に当てて送り機構で該かしめ部の接線方向に送って切削を行うようにしている。これによればタービンロータ30の回転速度制御は不要である。
【0012】
この発明による切削用加工機の全体構造を図1(正面図)、図6(側面図)、図7(平面図)に示す。これらの図は、前述のようにタービンロータ30を架台32,34に支持して、切削用加工機50を使用してかしめ部を切削する状態を示す。図1は刃物台111をビーム構造物88に沿って2箇所の位置に移動させた状態を示している。図6は切削用加工機50をベースレール54,56に沿って2箇所の位置に移動させた状態を示している。床面36(図4に示す架台32,34の床面36と同じ)にはタービン軸52に平行に2本のベースレール54,56がタービン軸52を挟んでその両脇均等位置に敷設されている。ベースレール54,56上には支持構造物58が両ベースレール54,56間にまたがるように渡されて、該ベースレール54,56に沿って移動可能に支持されている。
【0013】
支持構造物58は鉄骨を組んで構成されたもので、ベースレール54,56上にそれぞれ垂直に立設配置された2本の支柱58a,58bと、該支柱58a,58bの背面側で該支柱58a,58bを支える下部枠構成材58c,58d,58e,58fと、支柱58aと下部枠構成材58c間および支柱58bと下部枠構成材58d間にそれぞれ傾斜して配置された筋交い材58g,58hとを相互に連結して構成されている。支持構造物58の下面の四隅には支持構造物58をベースレール54,56上に移動可能に支持する脚60がそれぞれ取り付けられている。下部枠構成材58c,58dの途中位置にも脚60’(図6)がそれぞれ取り付けられている。脚60は図8,図9に拡大して示すようにローラ62を有し、該ローラ62をベースレール54,56上で転動させて支持構造物58を移動させる。脚60には図8,図10に示すようにベースレール54,56を締め付けるボルト64とナットブロック66による締め付け具68が設けられている。支持構造物58をベースレール54,56上の任意の位置に位置決めした後、該締め付け具68を締め付けることにより、支持構造物58は該位置に固定される。下部枠構成材58c,58dの途中位置の脚60’(図6)はローラは無く、締め付け具68を備えている。図6に示すように、ベースレール54,56上には支柱58a,58bの直下の脚60,60の前後位置に、支持台座82がボルト84とナットブロック86により着脱自在にそれぞれ装着される。支持台座82には支持構造物58を押圧して移動させるための押しボルト80が脚60に向かう方向に水平にねじ込まれる。ボルト84とナットブロック86を相互に締め付けて支持台座82をベースレール54,56に固定し、脚60,60’の締め付け具68を緩め、この状態で両支柱58a,58b側で同時に、前後一方の押しボルト80を緩め、前後他方の押しボルト80を締めてその先端で脚60を押圧することにより、支持構造物58をベースレール54,56に沿って移動してさせることができる。
【0014】
支持構造物58の左右支柱58a,58b間には鉄骨製のビーム構造物88が、固定する高さ位置を任意に変更可能に、水平かつタービン軸52と直角(タービンホイールの面と平行)の姿勢で着脱可能に取付支持されている。ビーム構造物88の厚さ(タービン軸52方向の寸法)は、該ビーム構造物88をかしめ部を有するタービンホイール10−1(第9段),10−2(第10段),10−3(第11段),・・・相互間の空間16−1,16−2,・・・に出し入れ可能な厚さに設定されている。支柱58a,58bに対するビーム構造物88の取付支持構造を説明する。支柱58a,58bの適宜の高さ位置には板状部材90,92が溶接等で固定装着されている。板状部材90,92にはそれぞれ、縦方向の4本の長穴94が上下に2本ずつ左右に2列に並べて形成されている。ビーム構造物88の左右両端部には板状部材96,98が溶接等で固定装着されている。板状部材96,98には各長穴94に対応する位置にねじ100が背面側に突出した状態に固定装着されている。各ねじ100を各長穴94に差し込んで板状部材90,92の背面側からナット101(図6)を各ねじ100にねじ込んで締め付けることにより、ビーム構造物88は支柱58a,58bに固定される。長穴94に対するねじ100の差し込み高さ位置を変更することにより、支柱58a,58bに固定するビーム構造物88の高さ位置を変更することができる。支柱58a,58bの上部には手動式チェーンブロック102,104が吊り下げ配置されている。手動式チェーンブロック102,104はビーム構造物88をその左右位置で吊り上げてビーム構造物88の高さ位置を調整するのに利用される。
【0015】
ビーム構造物88の下面の長手方向の2箇所の位置には、その長手方向に沿ってリニアガイド106,108がそれぞれ2本ずつ平行(図13、図14)に取付配置されている。2本のリニアガイド106には刃物台111が移動自在に吊下支持されている(図1、図14)。2本のリニアガイド108には刃物駆動装置113の取付台114が移動自在に吊下支持されている(図1、図11)。刃物台111と刃物駆動装置取付台114とは互いに平行に配置された連結棒115,117で相互に連結され(図1、図12)、相互に一体にリニアガイド106,108に沿って移動する。このとき刃物台111はタービンホイール10−1,10−2,10−3,・・・相互間の空間16−1,16−2,・・・内を移動することができる。刃物駆動装置113は該空間16−1,16−2,・・・内に入らない大きさを有するので、該空間16−1,16−2,・・・の外を移動する。刃物駆動装置113はギヤドモータで構成されている。刃物駆動装置113の動力は連結棒115,117間に配置されたドライブシャフト119(図1、図12、図13)を介して刃物台111に伝達される。
【0016】
刃物台111の構成を説明する。刃物台111には図12に示すように、ドライブシャフト119の回転をかさ歯車121、スプロケット123、チェーン125、スプロケット127を介してスプロケット127と共に回転する軸部128上に連結された回転刃物129に伝達する機構が構成されている。回転刃物129は回転切削する工具(フライス工具)であり、サイドカッター、千鳥刃サイドカッター等で構成される。回転刃物129に切削油を供給するためにクーラントポンプ130(図1)が適宜の位置に配置されている。クーラントポンプ130から吐出される切削油はホース132を通して回転刃物129に供給される。回転刃物129は切削幅がかしめ部の幅よりも広いものを使用する。例えば、かしめ部の幅が20mmであれば、回転刃物129は切削幅が30mmのものを使用する。図14に示すように、刃物台111は回転刃物129を除きビーム構造物88とほぼ同一幅内(タービン軸52方向のほぼ同一寸法内)に配置されており、タービンホイール10−1,10−2,10−3,・・・相互間の空間16−1,16−2,・・・内にビーム構造物88とともに出し入れ可能とされている。回転刃物129は図14に示すようにビーム構造物88および刃物台111の厚さ(タービン軸52方向の寸法)よりも直径が大きく形成されており(例えば直径150mm)、ビーム構造物88および刃物台111の厚さ方向両側に刃先を突出させている。これにより例えば図15に示すようにタービンホイール10−1,10−2相互間の空間16−1にビーム構造物88および刃物台111を配置した状態で、タービンホイール10−1,10−2の相互に対面する2面10−1b,10−2aについて、まず一方の面10−1b側のかしめ部12aを一方側に突出している刃先で切削し、次いで切削用加工機50をベースレール54,56に沿って少し移動して他方の面10−2aのかしめ部12aを他方側に突出している刃先で切削することができる。
【0017】
次に刃物駆動装置113をビーム構造物88に沿って移動させる刃物台送り装置について説明する。図1において刃物台送り装置131はビーム構造物88の刃物駆動装置113が配置された側の端部に固定配置されている。刃物台送り装置131はサーボモータ133と該サーボモータ133で駆動されるボールねじ135を具えている。ボールねじ135のねじ軸135aはビーム構造物88の側面に該ビーム構造物88に沿って配置されている。ボールねじ13のナット135bは連結部材137(図11)を介して刃物駆動装置取付台114に連結されている。これによりサーボモータ133を駆動すると、ボールねじ135のねじ軸135aの回転によりナット135bが移動し、連結部材137を介して刃物駆動装置取付台114に伝達され、刃物駆動装置113が刃物台111を伴ってビーム構造物88に沿って移動する。ビーム構造物88には刃物駆動装置113の移動終端位置を検出するためのリミットスイッチ136が配置されている。
【0018】
ビーム構造物88の上面に2本の調整用ボルト139,141の組がビーム構造物88に沿って互いに離れた位置に2組配置されている。これら2組の調整用ボルト139,141は切削深さ(切り込み量)を設定する回転刃物129の刃先と切削対象のかしめ部と間の距離の調整に用いられる。調整用ボルト139,141の配置を図15に拡大して示す。ビーム構造物88の上面にはナット143,145が固定配置され、そこに調整用ボルト139,141がそれぞれねじ込まれている。図15は回転刃物129でタービンホイール10−2の面10−2aのかしめ部12aを切削する状態を示す。このとき調整用ボルト139,141はナット143,145にそれぞれねじ込まれて、調整用ボルト139,141の先端面139a,141aはタービンホイール10−1,10−2の対向面10−1b,10−2aにそれぞれ強く押し当てられて、調整用ボルト139,141はタービンホイール10−1,10−2の対向面10−1b,10−2a間に突っ張った状態に配置されている。調整用ボルト141のねじ込み量を調整することにより、面10−2aと回転刃物129の刃先129aとの距離を所定の切削深さが得られる値に調節することができる。調整用ボルト139,141を2組ともこのような状態に調整して切削を開始することにより、刃物台111をビーム構造物88に沿って移動させて切削を行う一行程全長にわたり、所定の切削深さを得ることができる。回転刃物129による一行程の切削が終了したら、調整用ボルト139,141を2組とも緩めて、タービンロータ30を次の回転位置に回転できるようにし、あるいは切削用加工機50を次のタービンロータ間空間に移動できるようにする。
【0019】
切削用加工機50には図示しない操作盤が設けられている。この操作盤では作業者により刃物駆動装置113の起動/停止操作、サーボモータ133による刃物台111の送り速度の設定操作、サーボモータ133起動/停止操作等が行われる。
【0020】
以上説明した切削用加工機50を使用したかしめ部の切削作業を説明する。一行程の切削はタービンロータ30の回転を停止させて、かしめ部全周のうち下端部に位置する領域について、回転刃物129をかしめ部から外れた手前側(図1の左側)の位置から予め設定した送り速度で水平方向に直線移動させて、該移動の途中でかしめ部を接線方向に切削し、該かしめ部から外れる奥側(図1の右側)の位置まで移動させることにより行う。図16はこの切削による今回の一行程の切削領域、前回の一行程の切削領域、前々回の一行程の切削領域をそれぞれハッチングで示す。かしめ部12aは円周状に延在するのに対し、回転刃物129は直線移動して(つまりかしめ部12aの側方を接線方向に移動して)一行程の切削を行うので、該一行程の切削中に回転刃物129とかしめ部12aの高さ位置が相対的に変化する。そこでこの高さ位置の変化があってもかしめ部12aの全幅を所定の長さにわたり切削できるようにするために、回転刃物129の切削幅(つまり回転刃物129の厚さ)をかしめ部12aの幅よりも広く設定する。すなわち前述のように、例えばかしめ部12aの幅が20mmであれば、回転刃物129は切削幅が30mmのものを使用する。この場合、図16の「今回の切削」に示すように、一行程の切削の丁度中間位置(つまりかしめ部12aの最下端部)で切削幅の下辺位置がかしめ部12aの下辺位置に一致するように回転刃物129の高さ位置を設定すれば、かしめ部12aの全幅を切削できる長さを最大にすることができる。一行程の切削が終了したら、タービンロータ30を所定角度回転させる。この回転角度は前回の切削によりかしめ部12aの全幅を切削した区間と今回の切削によりかしめ部12aの全幅を切削する区間とが相互に繋がるように設定する。これにより、該回転角度ごとに一行程ずつ切削を繰り返してタービンロータ30を一回転させることにより、かしめ部12aの全幅を全周にわたり切削することができる。
【0021】
図17は上記切削による断面方向の切削領域をハッチングで示す。かしめ部12aの厚さは例えば8mm程度であり、このとき切削深さは例えば3mm程度に設定することができる。かしめ部12aをその厚さ方向の途中位置まで切削すればかしめ部12aは弱くなるので、羽根14をタービン軸52の前後方向に揺り動かすことにより、かしめ部12aが開いてタービンホイール10と羽根14の嵌合が緩まり、タービンホイール10に対して羽根14を円周方向にスライドさせて切欠20(図2)から外せる状態となる。したがってかしめ部12aをその厚さ方向の全てを除去する必要はなく、少ない切り込み量により刃物台111の送り速度を上げることができ、作業時間を短縮することができる。
【0022】
切削用加工機50を使用した切削作業の全体の手順を説明する。
(1)タービン機関から外したタービンロータ30を図4に示すように架台32,34に載置する。
(2)切削用加工機50の支持構造物58を、図1に示すようにタービンロータ30の下をくぐらした状態に組み立てる。
(3)チェーンブロック102,104にビーム構造物88を吊り下げる。
(4)支持構造物58をベースレール54,56に沿って移動して、図6の左側に示すように最初のタービンホイール10−1(第9段)の外側の面10−1aのかしめ部12aを切削する位置に停止させる。
(5)チェーンブロック102,104によりビーム構造物88を水平に保ちながらその高さを調整して、回転刃物129の刃先をかしめ部12aの高さ(図16の「今回の切削」に相当する高さ)に位置決めする。この高さ位置の調整が終了したら、ビーム構造物88の両端位置でねじ100(図1)にナット101(図6)を締め付けてビーム構造物88を支持構造物58の支柱58a,58bに固定する。
(6)調整用ボルト141(図15)を使って回転刃物129の刃先と面10−1aのかしめ部12aとの距離(切削深さに相当)を調整する。
(7)押しボルト80(図6)を回して、調整用ボルト141の先端がタービンホイール10−1の外側の面10−1aに当接する位置まで支持構造物58を移動する。
(8)脚60,60’の締め付け具68を締め付けて支持構造物58をベースレール54,56に固定する。なおタービンホイール10−1の外側の面10−1aのかしめ部12aを切削するときは該面10−1aに対向するタービンホイールの面は離れているので(図7)、調整用ボルト139の先端面139aが該対向するタービンホイールの面に届かない場合は、それらの間に適宜スペーサ材(鉄骨等)を挿入して咬ませることにより上記同様に調整用ボルト139による突っ張りを行うことができる。
(9)刃物台111を回転刃物129が面10−1aの翼植込部に当たる手前の位置(図1の左側の位置)に配置し、刃物駆動装置113を起動し、次いでサーボモータ133を所定速度で起動して刃物台111を図1の右方向に移動させてタービンホイール10−1の面内に進入させる。これにより図16の「今回の切削」に示す部分が直線状に切削されていく。刃先が翼植込部から外れる位置(あるいはそれよりも手前のかしめ部12aから外れる位置)まで達したら一行程の切削を終了し、刃物台111を元の位置(図1の左側の位置)に戻す。
(10)タービンロータ30を所定角度回転させて同様に次の一行程の切削を行う。以後該回転角度ごとに一行程ずつ切削を繰り返してタービンロータ30を一回転させることにより、かしめ部12aの全幅を全周にわたり切削することができる。
(11)以上によりタービンホイール10−1の外側の面10−1aについて切削が終了したら、ビーム構造物88を支柱58a,58bから外してタービンホイール10−1に当たらない位置まで一旦下げて、支持構造物58を、ビーム構造物88がタービンホイール10−1,10−2の間の空間16−1(図6)に進入できる位置までベースレール54,56上を前進させる。
(12)次いでビーム構造物88をタービンホイール10−1,10−2の間の空間16−1(図6)に進入させて、前記同様に高さ位置の調整、支柱58a,58bに対するビーム構造物88の固定、切削深さの調整、ベースレール54,56に対する支持構造物58の固定を行った後、タービンホイール10−1のもう一方の面10−1bについてかしめ部12aを切削する。このとき切削深さの調整は面10−1bに突き当てられる調整用ボルト139のナット143からの突出量で行う。調整用ボルト141は、支持構造物58をベースレール54,56に固定した後にタービンホイール10−2の面10−2aに突き当てられ、これにより調整用ボルト139,141はタービンホイール10−1,10−2の対向面10−1b,10−2a間に突っ張った状態に配置される。
(13)タービンホイール10−1の面10−1bについて切削が終了したら、支持構造物58をベースレール54,56上を少し前進させて同様にタービンホイール10−2の面10−2aについて切削を行う(図15の状態)。このとき切削深さの調整は面10−2aに突き当てられる調整用ボルト141のナット145からの突出量で行う。調整用ボルト139は、支持構造物58をベースレール54,56に固定した後にタービンホイール10−1の面10−1bに突き当てられ、これにより調整用ボルト139,141はタービンホイール10−1,10−2の対向面10−1b,10−2a間に突っ張った状態に配置される。以後同様にしてかしめ部12aを有する各段のタービンホイールについて切削を行う。
(14)かしめ部12aを有する各段のタービンホイールについて切削が終了したら、かしめ部12aは薄くなって弱くなるので、羽根14を揺り動かすことによりタービンホイール10と羽根14の嵌合が緩まった状態となる。これにより羽根14をタービンホイール10に対して円周方向にスライドさせて切欠20から外すことができる。
【0023】
刃物台の変更例を説明する。前記実施の形態では1枚の回転刃物129を使用して、該回転刃物129の刃先を2枚のタービンホイールの対向面にそれぞれ突出させて、該1枚の回転刃物129を共用して該両対向面のかしめ部12aを切削するようにしたが、該2枚のタービンホイールの対向面のかしめ部12aを別々の回転刃物で切削することもできる。そのように構成した刃物台の変更例を図18に示す。(a)は正面図、(b)は平面図である。図12と共通する部分には同一の符号を用いる。刃物台111’において、ドライブシャフト119の回転はかさ歯車121、スプロケット123、チェーン125を介してスプロケット127に伝達される。スプロケット127の回転はギヤ147を介してギヤ149,151にそれぞれ伝達される。ギヤ149,151の軸部153,155には回転刃物157,159がそれぞれ取り付けられている。したがってドライブシャフト119が回転すると回転刃物157,159が回転駆動される。回転刃物157,159は直径が例えば100mmのサイドカッター、千鳥刃サイドカッター等で構成される。回転刃物157,159の刃先は、ビーム構造物88および刃物台111’(回転刃物157,159を除く)の幅(タービン軸52方向の寸法)よりも外側に突出している。したがって、該2枚のタービンホイールの対向面のかしめ部12aをこれら2枚の回転刃物157,159の突出した刃先で個別に切削することができる。この刃物台111’によれば、図12の刃物台111に比べて回転刃物の直径を小さくできるので、刃物台111の送り速度を上げることができ、作業時間を短縮することができる。
【0024】
なお前記実施の形態では刃物駆動装置113を電動モータで構成したが、油圧モータで構成することもできる。また前記実施の形態ではタービンロータを停止させて行う一箇所の切削を一行程の切削で完了させたが、該一箇所の切削を複数行程の切削で完了させることもできる。また前記実施の形態では一行程の切削で回転刃物129を直線方向(水平方向)にのみ移動させたが、刃物台111をビーム構造物88に上下動可能に搭載することにより(あるいは回転刃物129を刃物台111に上下動可能に搭載することにより)回転刃物129の移動方向に垂直方向成分を加えて、かしめ部12aに沿って円弧状に切削することもできる。このようにすれば一行程で切削できるかしめ部12aの長さを長くすることができる。また前記実施の形態では、切削深さを規定する回転刃物129(157,159)の刃先と切削対象かしめ部12aとの距離をベースレール54,56上での支持構造物58の位置で調整したが、これに限らず、別途軸方向送り機構を設けて調整することもできる。例えば刃物台111上に刃物129(157,159)をタービン軸52方向に移動させる軸方向送り機構を設け、ベースレール54,56上で支持構造物58の位置を大まかに位置決めした後に、ボルト139,141をタービンホイールの対向面間に突っ張らせ、軸方向送り機構で回転刃物129(157,159)の刃先と切削対象かしめ部12aとの距離を微調整することができる。この微調整は例えば、切削開始位置で回転刃物129(157,159)を回転して、軸方向送り機構により回転刃物129(157,159)をタービン軸52方向に移動しながら切削を開始し、所定の切削深さになったら軸方向送り機構を止めることにより行うことができる。軸方向送り機構を止めたら、そのまま刃物台送り装置131を起動して刃物台111をビーム構造物88に沿って移動させることにより、該調整した切削深さを維持して一行程の切削を行うことができる。
【符号の説明】
【0025】
10(10−1,10−2,・・・)…タービンホイール、12…タービンロータと羽根との嵌合部(翼植込部)、12a…かしめ部、14…羽根、16(16−1,16−2,・・・)…隣接するタービンホイール相互間の空間、30…タービンロータ、32,34…架台、50…切削用加工機、52…タービン軸、54,56…ベースレール、58…支持構造物、88…ビーム構造物、111,111’…刃物台、113…刃物駆動装置、119…ドライブシャフト(伝達機構)、129…回転刃物、131…刃物台送り装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンホイールの外周縁部に沿って複数枚の羽根を嵌合装着して配列し、該嵌合位置でタービンホイールの側面を円周方向に沿って外側からかしめて該嵌合を強固にした構造を有するタービンロータについて、前記タービンホイールの側方に回転刃物を配置して前記かしめ部を切削する機械であって、
架台に支持された前記タービンロータのタービン軸と平行して床面に敷設された複数本のベースレールと、
前記複数本のベースレール間に渡されて該ベースレールに沿って移動可能に該ベースレースに支持された支持構造物と、
前記タービンホイール相互間の空間内に配置可能な寸法に構成され前記支持構造物に支持されて該タービンホイールの面と平行に配置されるビーム構造物と、
回転刃物を搭載し前記ビーム構造物に沿って直線移動可能に該ビーム構造物に支持されて該ビーム構造物に沿って直線移動しながら該回転刃物を前記タービンホイールの側方から前記かしめ部に当てて該かしめ部を切削する刃物台と、
前記刃物台を前記ビーム構造物に沿って直線移動させる刃物台送り装置と、
前記回転刃物を回転駆動する刃物駆動装置と
を具備してなる切削用加工機。
【請求項2】
前記ビーム構造物が前記タービン軸との間の距離を変更可能に前記支持構造物に支持されている請求項1記載の切削用加工機。
【請求項3】
前記刃物駆動装置が前記タービンホイール相互間の空間外の位置で前記ビーム構造物に支持され、該ビーム構造物に該刃物駆動装置の動力を前記刃物台に伝達する伝達機構が搭載されている請求項1または2記載の切削用加工機。
【請求項4】
前記刃物台送り装置が前記刃物台を前記刃物駆動装置ごと前記ビーム構造物に沿って移動させる請求項1から3のいずれか1つに記載の切削用加工機。
【請求項5】
タービンホイールの外周縁部に沿って複数枚の羽根を嵌合装着して配列し、該嵌合位置でタービンホイールの側面を円周方向に沿って外側からかしめて該嵌合を強固にした構造を有するタービンロータについて、前記かしめ部を切削する方法であって、
前記タービンロータの軸部をその軸回り方向に回転駆動する架台に載置して該タービンロータを該架台に支持し、
回転刃物を前記タービンホイールの側方に配置し、前記タービンロータの回転を止めた状態で、前記回転刃物の刃先を前記かしめ部に当てて、該回転刃物を該かしめ部の延在方向に移動させて該かしめ部を所定長さにわたり切削し、
前記タービンロータを前記架台で適宜量回転させて止めた位置ごとに前記切削を繰り返す切削方法。
【請求項6】
前記タービンロータの軸部をその軸回り方向に回転駆動する架台に載置して該タービンロータを該架台に支持し、
請求項1から5のいずれか1つに記載の切削用加工機を使用して、
前記タービンロータの回転を止めた状態で前記回転刃物を回転駆動しかつ前記刃物台を前記ビーム構造物に沿って直線移動させて前記タービンホイールの側方から前記かしめ部をその接線方向に直線状に切削し、
前記タービンロータを前記架台で適宜量回転させて止めた位置ごとに前記直線状の切削を繰り返す切削方法。
【請求項1】
タービンホイールの外周縁部に沿って複数枚の羽根を嵌合装着して配列し、該嵌合位置でタービンホイールの側面を円周方向に沿って外側からかしめて該嵌合を強固にした構造を有するタービンロータについて、前記タービンホイールの側方に回転刃物を配置して前記かしめ部を切削する機械であって、
架台に支持された前記タービンロータのタービン軸と平行して床面に敷設された複数本のベースレールと、
前記複数本のベースレール間に渡されて該ベースレールに沿って移動可能に該ベースレースに支持された支持構造物と、
前記タービンホイール相互間の空間内に配置可能な寸法に構成され前記支持構造物に支持されて該タービンホイールの面と平行に配置されるビーム構造物と、
回転刃物を搭載し前記ビーム構造物に沿って直線移動可能に該ビーム構造物に支持されて該ビーム構造物に沿って直線移動しながら該回転刃物を前記タービンホイールの側方から前記かしめ部に当てて該かしめ部を切削する刃物台と、
前記刃物台を前記ビーム構造物に沿って直線移動させる刃物台送り装置と、
前記回転刃物を回転駆動する刃物駆動装置と
を具備してなる切削用加工機。
【請求項2】
前記ビーム構造物が前記タービン軸との間の距離を変更可能に前記支持構造物に支持されている請求項1記載の切削用加工機。
【請求項3】
前記刃物駆動装置が前記タービンホイール相互間の空間外の位置で前記ビーム構造物に支持され、該ビーム構造物に該刃物駆動装置の動力を前記刃物台に伝達する伝達機構が搭載されている請求項1または2記載の切削用加工機。
【請求項4】
前記刃物台送り装置が前記刃物台を前記刃物駆動装置ごと前記ビーム構造物に沿って移動させる請求項1から3のいずれか1つに記載の切削用加工機。
【請求項5】
タービンホイールの外周縁部に沿って複数枚の羽根を嵌合装着して配列し、該嵌合位置でタービンホイールの側面を円周方向に沿って外側からかしめて該嵌合を強固にした構造を有するタービンロータについて、前記かしめ部を切削する方法であって、
前記タービンロータの軸部をその軸回り方向に回転駆動する架台に載置して該タービンロータを該架台に支持し、
回転刃物を前記タービンホイールの側方に配置し、前記タービンロータの回転を止めた状態で、前記回転刃物の刃先を前記かしめ部に当てて、該回転刃物を該かしめ部の延在方向に移動させて該かしめ部を所定長さにわたり切削し、
前記タービンロータを前記架台で適宜量回転させて止めた位置ごとに前記切削を繰り返す切削方法。
【請求項6】
前記タービンロータの軸部をその軸回り方向に回転駆動する架台に載置して該タービンロータを該架台に支持し、
請求項1から5のいずれか1つに記載の切削用加工機を使用して、
前記タービンロータの回転を止めた状態で前記回転刃物を回転駆動しかつ前記刃物台を前記ビーム構造物に沿って直線移動させて前記タービンホイールの側方から前記かしめ部をその接線方向に直線状に切削し、
前記タービンロータを前記架台で適宜量回転させて止めた位置ごとに前記直線状の切削を繰り返す切削方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
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【図12】
【図13】
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【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2010−269433(P2010−269433A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−125191(P2009−125191)
【出願日】平成21年5月25日(2009.5.25)
【出願人】(597041264)株式会社 エイブル (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月25日(2009.5.25)
【出願人】(597041264)株式会社 エイブル (2)
【Fターム(参考)】
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