説明

タービン燃料ノズル組立体

【課題】タービン燃料ノズル組立体を提供する。
【解決手段】本発明の1つの態様によると、タービン用の燃料ノズル組立体は、内側導管と、内側導管に結合してガス燃料の流れのためのチャンバを形成するフランジとを含む。さらに、フランジは、内側導管に結合されたダイアフラム部材を含み、またダイアフラム部材は、内側導管及びフランジ間の相対運動に応答して撓むように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示した主題は、タービンに関し、より具体的には、ガスタービン用の燃料ノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンでは、燃焼器が、燃料又は空気−燃料混合気の化学的エネルギーを熱エネルギーに変換する。熱エネルギーは、多くの場合は圧縮機からの加圧空気である液体によってタービンに運ばれ、タービンにおいて、熱エネルギーが機械的エネルギーに変換される。燃料及び/又は空気は、1以上の燃料ノズルにより燃焼器内に導かれる。態様では、燃料ノズルは、異なる材料で製作された複数の構成要素を含む組立体である。燃料ノズル組立体内の流動燃料及び空気間における温度差は、ノズル構成要素の熱膨張及び対応する移動を引き起こして、構成要素及び該構成要素間の接合部に磨耗及び亀裂を生じさせるおそれがある。燃料ノズル構成要素の相対移動(運動)を生じる応力の減少は、燃料ノズル及びタービンの耐久性及び信頼性を向上させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許出願第1398572号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の1つの態様によると、タービン用の燃料ノズル組立体は、内側導管と、内側導管に結合してガス燃料の流れのためのチャンバを形成するフランジとを含む。さらに、フランジは、内側導管に結合されたダイアフラム部材を含み、またダイアフラム部材は、内側導管及びフランジ間の相対運動に応答して撓むように構成される。
【0005】
本発明の別の態様によると、タービン内に燃料を流す方法は、内側導管内に空気を導くステップと、継手によって結合された内側導管及びフランジ間の空洞内に燃料を導くステップとを含む。本方法はさらに、フランジ内のダイアフラム部材を撓ませて、それにより内側導管及びフランジ間の継手への応力を減少させるステップを含む。
【0006】
これらの及びその他の利点並びに特徴は、図面と関連させて行った以下の説明から一層明らかになるであろう。
【0007】
本発明と見なされる主題は、本明細書と共に提出した特許請求の範囲において具体的に指摘しかつ明確に特許請求している。本発明の前述の及びその他の特徴並びに利点は、添付図面と関連させて行った以下の説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】燃焼器、燃料ノズル、圧縮機及びタ−ビンを備えたガスタービンエンジンの実施形態の概略図。
【図2】燃料ノズル組立体の実施形態の側面断面図。
【図3】燃料ノズル組立体の別の実施形態の側面断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
詳細な説明では、図面を参照しながら実施例によって、本発明の実施形態をその利点及び特徴と共に説明する。
【0010】
図1は、ガスタービンシステム100の実施形態の概略図である。システム100は、圧縮機102、燃焼器104、タービン106、シャフト108及び燃料ノズル110を含む。実施形態では、システム100は、複数の圧縮機102、燃焼器104、タービン106、シャフト108及び燃料ノズル110を含むことができる。圧縮機102及びタービン106は、シャフト108によって結合される。シャフト108は、単一のシャフト又は互いに結合されてシャフト108を形成した複数のシャフトセグメントとすることができる。
【0011】
態様では、燃焼器104は、天然ガス又は水素リッチ合成ガスのような液体並びに/或いは気体(ガス)燃料を使用して、エンジンを作動させる。例えば、燃料ノズル110は、空気供給及び燃料供給112と流体連通状態になっている。燃料ノズル110は、空気−燃料混合気を形成し、その空気−燃料混合気を燃焼器104内に噴射し、それによって高温加圧排出ガスを発生させる燃焼を生じさせる。燃焼器100は、トランジションピースを通してタービンノズル(又は、「第一段ノズル」)内に高温加圧排出ガスを導いて、タービン106の回転を生じさせる。タービン106の回転は、シャフト108を回転させ、それによって空気が圧縮機102内に流れる時に該空気を加圧する。実施形態では、燃料ノズル110の各々は、燃料ノズル110構成要素の相対移動を可能にするように構成されたダイアフラム部材を含む。燃料ノズル110構成要素は、該燃料ノズル110構成要素の温度差及び異なる材料膨張率により相対移動を受ける可能性がある。図2及び図3を参照して、燃料ノズル110組立体の例示的な実施形態を以下に詳細に説明する。
【0012】
図2は、ガスタービンシステム100(図1)で使用される燃料ノズル組立体200の実施形態の側面断面図である。燃料ノズル組立体200は、それら全てがノズル軸線202の周りに配置された、フランジ202、内側導管204、スウォズル206及びシュラウド208を含む。接合部212が、フランジ202を内側導管204(「内側チューブ」とも呼ばれる)に結合し、接合部212は、燃料ノズル組立体200構成要素の高温撓み及び相対移動に耐えるように構成された継手を含む。図示するように、フランジ202は、フランジ202及び内側導管204のようなタービン構成要素間の相対移動を補償するように撓む又は変形するように構成される。一実施形態では、ダイアフラム部材214は、フランジ202の基部内の半径方向壁であり、ここでダイアフラム部材214の厚さ216は、該ダイアフラム部材214を撓ませ、従って内側導管204に対するフランジ202の移動を補償するのを可能にするように構成される。フランジ202は、チャンバ221内への燃料流れ220のための通路218を含む。実施形態では、内側導管204は、軸線210に沿って燃料ノズル組立体200内に空気流れ222を受ける。空気及び燃料は、接合部224においてフランジ202に結合されたスウォズル206内で混合される。スウォズル206は、圧縮機102(図1)から加圧空気流れ226を受けて、燃焼器104(図1)内での燃焼のために燃料流れ220と混合させる。
【0013】
ダイアフラム部材214は、燃料ノズル組立体200内の高温かつ加圧流体流れの熱及び圧力に耐えるように構成された耐久性材料を含む。例示的な材料には、複合材並びにステンレス鋼のような金属又は鋼合金を含むことができる。さらに、ダイアフラム部材214材料は、内側導管204及びフランジ202のような燃料ノズル組立体200の構成要素の膨張に応答して弾性変形するように構成される。フランジは、金属材料、複合材料又は鋼合金を含むあらゆる好適な耐久性強力材料を含む。例示的な実施形態では、フランジ202及びダイアフラム部材214は、一体に形成されかつステンレス鋼のような同一の材料を含む。他の実施形態では、フランジ202及びダイアフラム部材214は、同一の材料で形成することができるか或いはできない別個の構成要素である。実施形態では、燃料流れ220は、それがチャンバ221に流入する時に約20℃であり、また加圧空気流れ226は約430℃であり、その場合には、比較的低温燃料流れ220より、加圧空気流れ226によって加熱されたフランジ202に対する内側導管204の縮小又は収縮が生じる。従って、フランジ202に対する内側導管204の軸方向収縮、膨張及び/又は全体移動が、ダイアフラム部材214の撓み又は弾性変形によって補償される。ダイアフラム部材214の弾性変形は、正逆両方向である。内側導管204及びフランジ202のような構成要素間の熱及び/又は材料差による膨張により、ダイアフラム部材214の弾性変形を引き起こす力が生じる。タービンエンジンが冷却状態にありかつ作動していない場合のような力が作用していないと、ダイアフラム部材214は、その元の形状に戻る。
【0014】
さらに図2を参照すると、例示的なダイアフラム部材214は、燃料ノズル組立体200内の撓み、圧力及び温度に耐えるように構成されたステンレス鋼を含む。加えて、ダイアフラム部材214の厚さ216は、内側導管204の厚さ228の約1〜約5倍の範囲にある。例えば、厚さ216は、厚さ228の約2〜約3倍の範囲にある。別の実施例では、厚さ216は、内側導管204の厚さ228の約1〜約3倍である。材料、厚さ216、ジオメトリ及び他の設計要因は、タービン構成要素の相対移動を補償するような撓みを生じ、それによって接合部212及び224への応力並びに摩耗を減少させるように構成される。実施形態では、ダイアフラム部材214の材料は、約9.8×10〜6インチ/インチ°Fの熱膨張係数(単位温変化当たりボリューム膨張)を有するステンレス鋼である。さらに、ステンレス鋼は、耐食性でありかつノズル206を形成するのに使用する材料に適合し、それによってフランジ202を横切る接合部224への熱歪みが減少される。実施形態では、接合部212及び224は、溶接部、ロウ付け部又は接着部のようなあらゆる好適な継手である。図示するように、補償は、その他の機構の使用なしに行なわれ、それによって製作を簡略化しかつコストを低減しながら信頼性が向上される。
【0015】
図3は、燃料ノズル組立体300の別の実施形態の側面断面図である。燃料ノズル組立体300は、それら全てがノズル軸線310の周りに配置されたフランジ302、内側導管304、スウォズル306及びシュラウド308を含む。接合部312が、フランジ302を内側導管304に結合し、その場合に、接合部312は、燃料ノズル組立体300構成要素の相対移動に耐えるように構成された継手を含む。加えて、フランジ302は、該フランジ302及び内側導管304のようなタービン構成要素間の相対移動を補償するように撓む又は変形するように構成されたダイアフラム部材314を含む。一実施形態では、ダイアフラム部材314は、フランジ302の基部における半径方向壁であり、ここでは、壁の厚さ316は、ダイアフラム部材314の撓みを可能にし、従って内側導管304に対するフランジ302の移動を補償するように構成される。フランジ302は、チャンバ321内への燃料流れ302のための通路318を含む。加えて、内側導管304は、軸線310に沿って燃料ノズル組立体300内に空気流れ322を受ける。空気及び燃料は、接合部324においてフランジ302に結合されたスウォズル306内で混合される。スウォズル306は、加圧空気流れ326を受けて、燃焼室104(図1)内での燃焼のために燃料流れ320と混合させる。燃料ノズル組立体300はまた、内側導管304及びフランジ302間における相対移動を可能にするように構成されたベローズ328を含む。ベローズ328は、隣接するタービン構成要素の軸方向及び/又は横方向移動を可能にする好適なシール機構である。例えば、ベローズ328の端部は、フランジ302に結合され、一方、ベローズ328の反対側端部は、内側導管304に結合される。実施形態では、ベローズ328は、内側導管304の一部として説明することができる。さらに、接合部312及び324は、溶接部、ロウ付け部又は接着部のようなあらゆる好適な継手である。
【0016】
ベローズ328及びダイアフラム部材314は各々、構成要素の異なる材料特性によって生じるフランジ302に対する内側導管304の膨張及び移動を可能にするように構成される。材料特性には、熱膨張係数或いは温度又は圧力変化のようなエネルギーに応答して剛度、剛性、形状及び/又はボリュームに影響を与えるあらゆる特性を含むことができる。例えば、燃料流れ320は、加圧空気流れ326よりもおよそ約350〜約450℃低温であり、それによってフランジ302を内側導管304に対して軸方向に膨張させる。従って、ダイアフラム部材314は、内側導管304の厚さ330と選択関係になった壁厚さ316を含む。厚さ316の実施形態は、厚さ330の約1〜約5倍と同じ厚さである。ダイアフラム部材314の別の実施形態は、厚さ330の約1〜約3倍と同じ厚さ316を有する。ダイアフラム部材314のさらに別の実施形態は、厚さ330の約2〜約3倍と同じ厚さ316を有する。従って、ダイアフラム部材314及びベローズ328は、弾性変形するか又は撓んで、摩耗を減少させかつ燃料ノズル組立体300の信頼性を向上させるように構成される。従って、ダイアフラム部材314及びベローズ328を含む例示的な燃料ノズル組立体300は、時間の経過にわたるタービン構成要素の移動を補償し、それによって燃料ノズル組立体300への応力を減少させる。
【0017】
限られた数の実施形態に関してのみ本発明を詳細に説明してきたが、本発明がそのような開示した実施形態に限定されるものではないことは、容易に理解される筈である。むしろ、本発明は、これまで説明していないが本発明の技術思想及び技術的範囲に相応するあらゆる数の変形、変更、置換え又は均等な構成を組込むように改良することができる。さらに、本発明の様々な実施形態について説明してきたが、本発明の態様は説明した実施形態の一部のみを含むことができることを理解されたい。従って、本発明は、上記の説明によって限定されるものと見なすべきではなく、本発明は、特許請求の範囲の技術的範囲によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0018】
100 タ−ビンシステム
102 圧縮機
104 燃焼器
106 タービン
108 シャフト
110 ノズル
112 燃料供給
200 燃料ノズル組立体
202 フランジ
204 内側チューブ
206 スウォズル
208 シュラウド
210 軸線
212 接合部
214 ダイアフラム部材
216 厚さ
218 通路
220 燃料流れ
221 チャンバ
222 空気流れ
224 接合部
226 加圧空気流れ
228 厚さ
300 燃焼ノズル組立体
302 フランジ
304 内側チューブ
306 スウォズル
308 シュラウド
310 軸線
312 接合部
314 ダイアフラム部材
316 厚さ
318 通路
320 燃料流れ
321 チャンバ
322 空気流れ
324 接合部
326 加圧空気流れ
328 ベローズ
330 厚さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側導管(204、304)と、
前記内側導管(204、304)に結合してガス燃料の流れのためのチャンバ(221、331)を形成するフランジ(202、302)と
を備えるタービン用の燃料ノズル組立体(200)であって、前記フランジ(202、302)が、前記内側導管(204、304)に結合されたダイアフラム部材(214、314)を含んでおり、前記ダイアフラム部材(214、314)が、前記内側導管(204、304)及びフランジ(202、302)間の相対運動に応答して撓むように構成される、組立体。
【請求項2】
前記ダイアフラム部材(214、314)が、継手(224、324)により前記内側導管(204、304)に結合され、前記ダイアフラム部材(214、314)を撓ませることにより、前記内側導管(204、304)の軸方向移動時における前記継手(224、324)への応力を減少させる、請求項1記載の組立体。
【請求項3】
前記ダイアフラム部材(214、314)が、前記フランジ(202、302)に対する前記内側導管(204、304)の第1の特性による該内側導管(204、304)の軸方向移動を補償するように撓むように構成される、請求項1記載の組立体。
【請求項4】
前記フランジ(202、302)に対する前記内側導管(204、304)の第1の特性が、熱膨張係数を含む、請求項3記載の組立体。
【請求項5】
前記ダイアフラム部材(214、314)が壁を含みかつ前記内側導管(204、304)が壁を含み、前記ダイアフラム部材(214、314)壁が、前記内側導管(204、304)壁よりも約1〜3倍厚い、請求項1記載の組立体。
【請求項6】
タービン内に燃料を流す方法であって、
内側導管(204、304)内に空気を導くステップと、
継手(224、324)によって結合された前記内側導管(204、304)及びフランジ(202、302)間の空洞内に燃料を導くステップと、
前記フランジ(202、302)内のダイアフラム部材(214、314)を撓ませて、それにより前記内側導管(204、304)及びフランジ(202、302)間の前記継手(224、324)への応力を減少させるステップと
を含む方法。
【請求項7】
前記ダイアフラム部材(214、314)を撓ませるステップが、前記内側導管(204、304)を冷却することにより該内側導管(204、304)の軸方向移動を補償するステップを含む、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記燃料を導くステップが、前記フランジ(202、302)の基部の半径方向壁内の通路を通して燃料を導くステップを含む、請求項6記載の方法。
【請求項9】
スウォズル内で加圧空気を前記燃料と混合するステップを含む、請求項6記載の方法。
【請求項10】
前記内側導管(204、304)内に空気を導くステップが、ベローズ(328)を通して空気を導くステップを含む、請求項6記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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