説明

ターレットによる複数ヘッド式リッド溶接装置

【課題】ターレットの周囲に保持した複数のリッドの搬送、姿勢調整、セラミック容器との仮付け、廃棄を略同時に行うことができる、ターレットによる複数ヘッド式リッド溶接装置を提供する。
【解決手段】ターレットによる複数ヘッド式リッド溶接装置において、リッドを保持する吸着ノズル42aと、吸着ノズル42aの周囲に設けられる電極ローラ210と、を有する部品保持ユニット40が、回転テーブル30の周方向に複数設けられるようにする。1の部品保持ユニット40がリッド供給領域3にある場合、他の部品保持ユニット40は溶接領域4にあるようにして、リッドの供給を溶接を同時に行うようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品等を溶接する溶接装置、特にセラミック容器にリッドを仮付け溶接する溶接装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図13に示されるように、90°の角度で往復回動する回動部材21に、90°の角度で十字に交差する4つのアーム部21a〜21dが設けられたシーム溶接装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この4つのアーム部21a〜21dは、それぞれリッド7を吸引保持する吸引ノズル18a〜18dを備える。その中でも2つのアーム部21c、21dは、ローラ電極を有する溶接ヘッド19a、19bも備えている。アーム部21a、21b側に設けられる吸引ノズル18a、18bは、このアーム部21a、21bの垂下部において、リニアガイド(図示省略)を介して垂直方向に摺動自在に装着される。この垂直方向の移動は、カム(図示省略)により行われる。また、アーム部21c、21d側では、吸引ノズル18c、18dと溶接ヘッド19a、19bが、リニアガイドを介して垂直方向に摺動自在に装着される。この垂直方向の移動も、カムによって一体的に行われる。
【0003】
図13に示される初期状態に対して、4つのアーム部21a〜21dが反時計回り及び時計回りに90°の角度で往復回動すると、アーム部21aは、リッド供給部13と第2のリッド位置決め部12b間を往復動する。この結果、吸引ノズル18aはリッド供給部13のリッド7を吸引保持して第2の位置決め部12bに搬送し、その後、元の位置に戻り、再びリッド供給部13のリッド7を吸引保持する。
【0004】
アーム部21bは、第1のリッド位置決め部12aとリッド供給部13間を往復動する。吸引ノズル18bは、リッド供給部13のリッド7を吸引保持して、第1の位置決め部12aに搬送する。
【0005】
アーム部21cは、リッド仮付け部11と第1の位置決め部12a間を往復動する。反時計回りの往動作時に、第1のリッド位置決め部12aに移動して、吸引ノズル18cによってリッド7を吸引保持し、時計回りの復動作時に、このリッド7をリッド仮付け部11に搬送してパッケージ3上に載置する。この時、吸着ノズル18cと共に溶接ヘッド19aも常に上下動し、パッケージ3上に載置されたリッド7をパッケージ3にスポット溶接する。
【0006】
アーム部21dは、リッド仮付け部11と第2のリッド位置決め部12b間を往復動する。時計回りの往動作時に、第2のリッド位置決め部12bに移動して、吸引ノズル18dによってリッド7を吸引保持し、反時計回りの復動作時に、このリッド7をリッド仮付け部11に搬送してパッケージ3上に載置する。この時、吸引ノズル18dと共に溶接ヘッド19bも常に上下動し、パッケージ3上に載置されたリッド7をパッケージ3にスポット溶接する。
【0007】
上記のように、特許文献1に開示されている発明は、4つのアーム部21a〜21d往復回動することにより、2つのアーム部21a又は21bが、リッド供給部13から、交互にリッド7を吸引保持して、第1リッド位置決め部12a又は第2リッド位置決め部12bに搬送する。一方、2つのアーム21c又は21dは、第1リッド位置決め部12a又は第2リッド位置決め部12bのリッド7を交互に吸引保持して、リッド仮付け部11に搬送し、溶接ヘッド19a又は19bによりリッド7をパッケージ3に対して順次仮止めする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−046011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した特許文献1に開示されているシーム溶接装置は、リッド7の位置決めのために、アーム部21aの吸引ノズル18aからリッド7を開放し、開放したリッド7を別のアーム部21bの吸引ノズル18bで吸引保持する。つまり、上記のシーム溶接装置は、リッド7を位置決めするために、その都度、リッド位置決め部12a又は12bにリッド7を載置して位置補正を行い、その後に別のアーム部21c又は21dで吸引保持して、溶接部まで搬送しなければならない。したがって、リッド7の供給から溶接の間において、リッド7の開放や吸引の回数が多く、開放ミスや吸引ミスが起こり易いという問題があった。
【0010】
また、このシーム溶接装置におけるアーム部21c及びアーム部21dは、それぞれに設けられている吸引ノズル18c、18dと溶接ヘッド19a、19bをカム機構により同時に上下移動させる構造である。したがって、吸引ノズル18cによってリッド7を吸引する際、溶接ヘッド19aが邪魔になるという問題があった。また、これを回避するために、吸引ノズル18cと溶接ヘッド19aの高さ位置を高精度に調整しなければならないという問題があった。もちろん、吸引ノズル18dと溶接ヘッド19bについても同様の問題がある。
【0011】
また、アーム部21a、21bは、リッド供給部13からリッド7を吸引してリッド位置決め部12a、12bに載置するという役割が決められ、アーム部21c、21dは、リッド位置決め部12a、12bからリッド7を吸引し、パッケージ3にリッド7を仮付け溶接するという役割が決められている。したがって、上記のシーム溶接装置では、各アーム部はそれぞれに役割が決められており、2つの場所を90°の間隔で往復動を行う以外の動作ができない。この結果、上記シーム溶接装置のアーム部の数は4つに限定され、経路上には、吸引、位置決め、仮付け溶接等の3種類以上の工程を設けることができないという問題があった。例えば、上記シーム溶接装置では、仮付け後の仮付け不良品を廃棄する工程を設けることができず、仮付け不良品は、すべてのリッド7をパッケージ3に溶接した後、別の工程でパッケージ毎に検査しなければならない。更に、上記シーム溶接装置は、役割が決められたアーム部21a〜21dを90°間隔で往復回動させるのが原則のため、1工程の作業を行うのに必ず90°の回転を伴う。即ち、本出願時には未公知であるが、回動部材に設けられるアーム部の数量を6個や8個に増やして、アーム部の1工程で移動させる回転角度を小さく(例えば、45°や30°)して、リッドの供給や仮付け溶接を高速で行うことができないという問題があった。
【0012】
また、上記シーム溶接装置は、吸引ノズルや溶接ヘッドを下降移動させるカムを、個々のアーム部21a〜21dに搭載する構造としている。したがって、リッド供給部13からリッド7を吸引する場合や、リッド位置決め部12a、12bにリッド7を載置する場合、または、リッド溶接部において、パッケージ3にリッド7を仮付け溶接する場合に、吸引ノズルや溶接ローラの高さを微調整するために、全てのカムの回転角度等を高精度に制御しなければならないという問題があった。このため、カムを回転駆動するための制御装置やプログラムが複雑になるという問題があった。また、図示は省略するが、上記シーム溶接装置は、カムを回転するためのモータ等が個々のアーム部21a〜21dに設けられる構造となる。特に、溶接側では、リッド7をパッケージ3に押しつけるための相当の力が必要となるため、モータが大きくなり、アーム部21a〜21dの重量バランスが悪化するという問題があった。
【0013】
本発明は、斯かる実情に鑑み、ターレットの周囲に保持した複数のリッドの搬送、姿勢調整、セラミック容器との仮付け、廃棄を略同時に行うことができる、ターレットによる複数ヘッド式リッド溶接装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者の鋭意研究により、上記目的は以下の手段によって達成される。
【0015】
即ち、上記目的を達成する本発明は、時計回り又は反時計回りの1方向に回転する回転テーブルと、前記回転テーブルの周方向に複数設けられ、リッドを保持するリッド保持手段、及び前記リッド保持手段に隣接する溶接電極を有する部品保持ユニットと、前記回転テーブルの回転による前記部品保持ユニットの回転経路上に位置するリッド供給領域に対して、溶接前のリッドを搬送するリッド供給装置と、前記部品保持ユニットの回転経路上に位置する溶接領域に対して、溶接前の容器を搬送する容器供給装置と、を備え、前記回転テーブルが回転することにより、1の前記部品保持ユニットの前記リッド保持手段が、前記リッド供給領域の上に位置する際に、少なくとも他の1つの前記部品保持ユニットの前記リッド保持手段は、前記リッドを保持した状態で前記溶接領域の上に位置することを特徴とする、ターレットによる複数ヘッド式リッド溶接装置である。
【0016】
上記目的を達成する、ターレットによる複数ヘッド式リッド溶接装置は、前記部品保持ユニットは、前記リッド保持手段を回転可能、且つリッド方向にスライド可能に支持するとともに、前記リッド保持手段を回転させるリッド保持手段回転装置を備えることを特徴とする。
【0017】
上記目的を達成する、ターレットによる複数ヘッド式リッド溶接装置は、前記部品保持ユニットは、前記リッド保持手段をスライド可能に支持するリッド保持手段ガイド部材、及び前記リッド保持手段を押し上げ方向に付勢するリッド保持手段付勢部材を備えており、更に、前記リッド供給領域上及び前記溶接領域上には、前記リッド保持手段を押し下げる為の押下装置がそれぞれ固定配置されており、前記リッド保持手段付勢部材の付勢力に抗して、前記押下装置が前記リッド保持手段を押し下げることで、前記リッド供給領域における前記リッドの保持、及び前記溶接領域における前記リッドの前記容器への搭載を行うことを特徴とする。
【0018】
上記目的を達成する、ターレットによる複数ヘッド式リッド溶接装置は、前記部品保持ユニットは、前記溶接電極をスライド可能に支持する溶接電極ガイド部材、及び前記溶接電極を押し上げ方向に付勢する溶接電極付勢部材を備えており、前記部品保持ユニット又は前記溶接領域上の前記押下装置には、前記リッド保持手段と前記溶接電極を同時にスライドさせる連動機構が設けられており、前記溶接領域上の前記押下装置が前記部品保持ユニットに押し下げ力を付与することで、前記リッド保持手段と前記溶接電極が同時に押し下げられることを特徴とする。
【0019】
上記目的を達成する、ターレットによる複数ヘッド式リッド溶接装置は、前記部品保持ユニットの回転経路上に位置する姿勢情報取得領域において、前記部品保持ユニットが保持している前記リッドの姿勢情報を取得する姿勢情報取得手段をさらに備え、少なくとも3つの前記部品保持ユニットが、前記リッド供給領域、前記溶接領域、及び前記姿勢情報取得領域に同時に位置するようになっていることを特徴とする。
【0020】
上記目的を達成する、ターレットによる複数ヘッド式リッド溶接装置は、前記姿勢情報に基づいて、前記リッドの姿勢の良否を判定する姿勢判定手段を更に有し、前記部品保持ユニットの回転経路上には、前記姿勢判定手段により不具合姿勢と判定された前記リッドを廃棄する廃棄領域が設けられており、前記部品保持ユニットは、前記回転テーブルの周方向に一定の間隔で少なくとも4か所に配設されており、4つの前記部品保持ユニットが、前記リッド供給領域、前記姿勢情報取得領域、前記溶接領域、及び前記廃棄領域に同時に位置することを特徴とする。
【0021】
上記目的を達成する、ターレットによる複数ヘッド式リッド溶接装置は、前記リッド供給領域、前記姿勢情報取得領域、前記溶接領域及び前記廃棄領域は、時計回り又は反時計回りの一方向に、この順番で、前記部品保持ユニットの回転経路上に設けられていることを特徴とする。
【0022】
上記目的を達成する、ターレットによる複数ヘッド式リッド溶接装置は、前記部品保持ユニットは、前記リッド保持手段が保持する前記リッドが前記容器に当接した際に、前記溶接電極のみをスライドさせて、前記容器上の前記リッドに前記溶接電極を当接させることを特徴とする。
【0023】
上記目的を達成する、ターレットによる複数ヘッド式リッド溶接装置は、前記リッド保持手段は、前記溶接電極よりも前記容器に近接する位置に設けられ、前記リッド保持手段及び前記溶接電極は、前記リッド保持手段ガイド部材及び前記溶接電極ガイド部材に沿って、それぞれ個別にスライドするように構成され、前記溶接領域において、該溶接領域上に設けられた前記押下装置の連動機構により、前記リッド保持手段及び前記溶接電極が同時に押し下げられた場合、前記リッドが前記容器に当接することによって、前記リッド保持手段が、前記リッド保持手段ガイド部材に沿って前記溶接電極に対して相対的に上方に移動し、前記溶接電極が、前記リッドに当接して前記リッドと前記容器の溶接をすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、リッドの供給、搬送及びセラミック容器との溶接の際の無駄な時間を少なくし、リッドとセラミック容器の仮付け溶接のサイクルタイムを大幅に短縮することができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】第1実施形態に係るターレットによる複数ヘッド式リッド溶接装置1の正面図である。
【図2】同ターレットによる複数ヘッド式リッド溶接装置1の左側面図である。
【図3】同ターレットによる複数ヘッド式リッド溶接装置1の平面図である。
【図4】(a)は、回転テーブル30および部品保持ユニット40の平面図であり、(b)は、図4(a)における矢視AーA方向から見た回転テーブル30および部品保持ユニット40の断面図である。
【図5】(a)(b)は、部品保持ユニット40の断面構造および外部付勢装置50を示した図である。
【図6】(a)〜(c)は、図4(a)の矢視BーB方向から見た部品保持ユニット40が溶接領域4に位置する場合の断面図である。
【図7】(a)電極保持装置220により電極ローラ210を保持している状態を示す側面図であり、(b)電極保持装置220から電極ローラ210を取り外した状態を示す側面図である。
【図8】同ターレットによる複数ヘッド式リッド溶接装置1の回転テーブル30を退避位置まで移動させた状態を示した左側面図である。
【図9】(a)〜(f)は、リッド溶接装置1の作動を示した平面図である。
【図10】(a)(b)第2実施形態に係る部品保持ユニットを右側面から見た断面図である。
【図11】(a)〜(d)第3実施形態に係るターレットによる複数ヘッド式リッド溶接装置の平面図である。
【図12】(a)〜(d)第3実施形態に係るターレットによる複数ヘッド式リッド溶接装置の平面図である。
【図13】従来のシーム溶接装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。
【0027】
図1〜3には、本発明の台1実施形態に係るターレットによる複数ヘッド式リッド溶接装置1(以下、リッド溶接装置1という)が示されている。リッド溶接装置1は、このリッドを吸着し、吸着状態におけるリッドの姿勢を判定し、このリッドをセラミック容器に仮付け溶接し、一方で不具合品となるリッドを廃棄するものである。なお、本明細書中の説明における各方向は、特に記載がない限り、原則として運転可能状態のターレットによる複数ヘッド式リッド溶接装置1を正面から見た場合を基準としている。
【0028】
図1〜3に示されるように、リッド溶接装置1は、基台2と、基台2上面の左側に配設されたリッド供給装置10と、基台2に揺動自在に配設されたアーム20と、アーム20に回転自在に配設された回転テーブル30と、回転テーブル30の外周面に周方向に沿って配設された4つの部品保持ユニット40と、アーム20に配設された2つの外部付勢装置50と、回転テーブル30を回転させる回転テーブル駆動手段60と、基台2上面の中央手前側に配設された姿勢情報取得手段70と、アーム20を揺動させる揺動手段80と、リッド溶接装置1全体を制御する中央制御装置90と、基台2上面の右側に配設されたセラミック容器供給装置100を有して構成されている。このリッド溶接装置1は、外部からバルク状態でリッド供給装置10に供給されたリッド300を、部品保持ユニット40により吸着してセラミック容器供給装置100まで搬送し、セラミック容器供給装置100に整列配置されているセラミック容器400にシーム溶接するものである。また、本実施形態に係るリッド溶接装置1は、溶接領域4に、セラミック容器400とリッド300の溶接状態を撮影できるように配置されたCCDカメラ(図示省略)等により、セラミック容器400とリッド300の溶接状態を撮影及び判断し、不合格と判断された溶接部品を所定の廃棄トレイ350の中に収容できるようになっている。
【0029】
基台2は、略直方体状の部材である。基台2の内部には、中央制御装置90や、特に図示しない電源装置等が配設されている。基台2上面の奥側端部には柱部材2aが配設されており、この柱部材2aの上端にはアーム20を動作可能(揺動自在)に支持するアームブラケット2bが配設されている。本実施形態では、基台2上面の左側部分にリッド供給装置10から部品保持ユニット40にリッド300を供給するリッド供給領域3を、基台2上面の右側部分に、部品保持ユニット40が保持するリッド300を、セラミック容器供給装置100に載置されているセラミック容器400に仮付け溶接する溶接領域4を設定している。また、姿勢情報取得手段70が配設された基台2上面の中央手前側部分に姿勢情報取得領域5を設定している。なお、基台2上面の中央奥側部分(揺動手段80側)には、リッド300とセラミック容器400を仮付け溶接した後の仮付け部品が不合格と判定された場合、不合格品を廃棄トレイ350に廃棄する廃棄領域6が設定されている。
【0030】
リッド供給装置10は、バルク状態でタンクに投入されたリッド300を、姿勢と方向を整えながらリッド供給装置10のリッド保持位置11まで搬送する、いわゆるパーツフィーダである。なお、リッド供給装置10は、バルク状態で投入されたリッド300の方向や角度を整えながら、リッド300をリッド保持位置11まで正確に搬送できるようになっているため、姿勢制御のための特別な検査装置や駆動装置を設ける必要がなく、設備コストを抑えるとともに、工程削減によるサイクルタイムの短縮と製造原価の削減を行うことができる。
【0031】
アーム20は、アームブラケット2bからリッド供給装置10の上方を手前に向けて伸びる腕状の部材である。アーム20には回転テーブル30が回転自在に保持されると共に、回転テーブル駆動手段60および外部付勢装置50が配設されている。外部付勢装置50は、リッド供給領域3及び溶接領域4側に対応して、それぞれの上方に設けられている。なお、溶接領域4に設けられている外部付勢装置50は、連動部材250(詳細は後述)を有して構成されている。
【0032】
揺動手段80は、モータ82と、モータ82の出力軸に接続されるねじ軸84と、アーム20に配設されるナット86とから構成されている。モータ82は、例えばステッピングモータであり、出力軸を上にして柱部材2aの左側面にモータブラケット82aを介して揺動可能に配設されている。ねじ軸84は、外周面におねじが形成された棒状の部材であり、モータ82の出力軸に同軸的に接続されている。ナット86は、ねじ軸84のおねじと螺合するめねじを備えており、ナットブラケット88を介してアーム20の後端上方に回動可能に配設されている。ナット86はねじ軸84と螺合しており、ねじ軸84がモータ82に駆動されて回転することにより、ねじ軸84に沿って直線移動する。ナット86は、アーム20の揺動中心よりも左側に位置している。従って、図8に示されるように、ナット86を下方に移動させることで回転テーブル30を上昇させて「退避位置」としたり、ナット86を上方に移動させることで回転テーブル30を下降させて、「運転位置」とすることができる。
【0033】
回転テーブル30は、略円盤状の部材であり、外周面に4つの部品保持ユニット40が等間隔(本実施形態では略90°間隔)で配設されている。図1〜3では、回転テーブル30は「運転位置」にある。回転テーブル30は、運転位置において回転軸が上下方向となるようにアーム20に保持されている。そして、回転テーブル30は、時計回り又は反時計回りの1方向に回転し、回転テーブル30の周囲に配設されている全ての部品保持ユニット40は、リッド供給領域3、姿勢情報取得領域5、溶接領域4及び廃棄領域6の上方を順番に通過するように構成されている。また、いずれかの部品保持ユニット40がリッド供給領域3に対向する位置にある場合に、他の3つの部品保持ユニット40が、姿勢情報取得領域5、溶接領域4並びに廃棄領域6に対向する位置にあるように構成されている。
【0034】
2つの外部付勢装置50における一方は、リッド供給領域3の上方に配置されている。また、他方の外部付勢装置50は、溶接領域4の上方に配置されている。一方の外部付勢装置50は、リッド供給領域3上に位置する部品保持ユニット40に外力を付加して、部品保持ユニット40の吸着ノズル42aを、リッド供給領域3に近接する方向(下方)に移動させる。他方の外部付勢装置50は、溶接領域4上に位置する部品保持ユニット40に外力を付加する。詳細は後述するが、この他方の外部付勢装置50には連動部材250が設けられており、この連動部材250を用いて外力を付加することで、吸着ノズル42a及び電極ローラ210を略同時に下降させる。
【0035】
回転テーブル駆動手段60は、アーム20の図の下面に固定され、アーム20と回転テーブル30の間に位置している。本実施形態では、回転テーブル駆動手段60は、アーム20に固定されるステータ、およびステータの外周を回転する筒状のロータから構成される中空DDモータである。ステータの中心部には軸方向に貫通孔が形成されている。回転テーブル30は、この貫通孔内に中空軸32を挿通した状態でロータに固定されている。
【0036】
リッド供給領域3の上方には、リッド確認カメラ13が配置されている。なお、このリッド確認カメラ13は、回転テーブル30との干渉を避けるために、回転テーブル30よりも上方においてアーム20側に固定される。このリッド確認カメラ13は、部品保持ユニット40がリッド供給領域3上に存在していない間を利用して、リッド供給領域3に供給されるリッド300を画像認識によって位置確認する。これにより、リッド300の供給が中断した場合を確認可能となる。また、本実施形態では特に示さないが、多数のリッド300が搭載された搬送トレイ等によってリッド300をリッド供給領域3に供給する場合は、この画像認識結果を利用して、搬送トレイをX−Y方向に位置決めすることが可能となる。なお、リッド300をリッド供給領域3へ供給する方法として、複数のリッド300をランダムに載置するばら撒きトレイや、複数のリッド300を整列して載置する整列トレイを用いても好ましい。この場合、上述した画像認識結果を利用して、ばら撒きトレイや整列トレイをX―Y方向に位置決めすることが可能となる。また、複数のリッド300をカセット構造のリッド供給装置(リッドカセットと言う)にセットしてリッド供給領域3にリッド300を供給しても好ましい。リッドカセットは、リッド300の位置決めを高精度で行うことができ、画像認識による位置決めを省略することもできる。
【0037】
溶接領域4の上方には、容器確認カメラ14が配置されている。この容器確認カメラ14は、回転テーブル30との干渉を避けるために、回転テーブル30よりも上方においてアーム20側に固定される。容器確認カメラ14は、部品保持ユニット40が溶接領域4上に存在していない間を利用して、セラミック容器供給装置100上における、仮付け溶接前のセラミック容器400を画像認識によって位置確認する。これにより、整列トレイ101を位置決めすることが可能となる。
【0038】
なお、このような画像認識が可能なのは、図3に示されるように、回転テーブル30に対して部品保持ユニット40が外側に突出するように設けられており、回転テーブル30が回転すると、部品保持ユニット40がリッド供給領域3や溶接領域4の上方に存在してない時間を確保していることによる。換言すると、回転テーブル30の周囲であって、隣接する部品保持ユニット40の間には、リッド確認カメラ13や容器確認カメラ14による撮影を妨げない為の干渉回避空間30Aが設けられている。
【0039】
姿勢情報取得手段70は、本実施形態ではCCDカメラで構成され、姿勢情報取得領域5に配置される。具体的には、姿勢情報取得手段70は、姿勢情報取得領域5に位置する部品保持ユニット40の吸着ノズル42aに保持されたリッド300を、下方から撮像する。姿勢情報取得手段70は、中央制御装置90と電気的に接続されており、撮像して得られた画像情報を中央制御装置90に送信する。なお、吸着ノズル42aに吸着されたリッド300の姿勢を機械的に修正するようにしても好ましい。例えば、回転テーブル30の回転途中で、吸着ノズル42aで吸着後のリッド300を、リッドの外形を型取ったセンタリング治具に通すことによって、リッド300の姿勢を適正な姿勢に修正するようにしても好ましい。また、上記のような機械的な修正を行った上で、さらに姿勢情報取得手段70で取得した姿勢の画像情報に基づいて、リッド300の姿勢を修正するようにしても好ましい。このように、機械的な修正の後、画像情報による修正を段階的に行うことによって、姿勢不良を減少させることができる。
【0040】
中央制御装置90は、CPU、ROMおよびRAM等を備えた制御装置であり、リッド供給装置10、外部付勢装置50、回転テーブル駆動手段60および姿勢情報取得手段70、セラミック容器供給装置100等を直接制御する。また、中央制御装置90は、吸着ノズル切替制御装置91および保持部自転制御装置92に制御情報を送信して、4つの切替バルブ37および4つの保持部自転駆動手段43を個別に制御させる。
【0041】
セラミック容器供給装置100は、マトリクス状に配置された複数の凹部101Aが上面に形成された整列トレイ101と、XーYテーブルから構成された整列トレイ移動手段102を備えて構成されている。整列トレイ101の凹部101Aには、仮付け溶接前のセラミック容器400が載置されている。整列トレイ移動手段102は、図示は省略するが、モータによって駆動される直動装置を互いに直角に組み合わせて構成されている。本実施形態における整列トレイ移動手段102は、図3における上下方向および左右方向に整列トレイ101を移動可能となっている。
【0042】
整列トレイ移動手段102は、溶接領域4にある部品保持ユニット40の吸着ノズル42aの真下に、複数のセラミック容器400を1つずつ順番に供給する。溶接領域4では、リッド300を、このセラミック容器400に仮付け溶接していく。この動作を繰り返すことで、整列トレイ101の凹部101Aに載置されている全てのセラミック容器400に対してリッド300を仮付けする。全てのセラミック容器400の仮付けが完了したら、整列トレイ101は、例えば次のシーム溶接(本付け)工程等に運ばれる。
【0043】
次に、回転テーブル30及び部品保持ユニット40の構成について図3〜図5等を参照して具体的に説明する。
【0044】
図4(a)に示されるように、部品保持ユニット40は、略円筒状の回転テーブル30の外周面に略90°間隔で外側に向けて突設されている。回転テーブル30の周囲であって、隣接する部品保持ユニット40の間には、干渉回避空間30Aが形成されている。また、リッド供給領域3の上方には、リッド確認カメラ13が配置されており、溶接領域4の上方には容器確認カメラ14が配置されている。部品保持ユニット40がリッド供給領域3上に存在していない間に、上方のリッド確認カメラ13が、干渉回避空間30Aを介してリッド300を画像認識して位置確認を行う。これにより、回転テーブル30の回転によるリッド300の搬送中に、次に供給されるリッド300の位置確認が可能となる。なお、部品保持ユニット40は、特に図示しないボルト等によって容易に着脱可能に回転テーブル30に配設されている。
【0045】
回転テーブル30の上面の中心には、中空軸32が突設されている。この中空軸32は回転テーブル30の回転軸となると共に、アーム20に回転自在に保持される。また、中空軸32は、大径の外側パイプ32aと小径の内側パイプ32bが同軸的に配設された二重構造となっている。中空軸32の外側パイプ32aと内側パイプ32bの間隙は、低圧源となる真空ポンプ(図示省略)と部品保持ユニット40を繋ぐ通路の一部を構成する。中空軸32の上端部には、スイベルジョイント33を介して真空ポンプに繋がるエア配管34が接続されている。
【0046】
回転テーブル30の内部には、外側パイプ32aと内側パイプ32bの間隙と同軸的に接続された環状の中央気室35が形成されている。さらに、この中央気室35から4つの吸引通路36が放射状に形成され、各部品保持ユニット40に個別に接続される。各吸引通路36の途中には、部品保持ユニット40と真空ポンプの連通・遮断を切り替える切替バルブ37がそれぞれ配設されている。従って、本実施形態では、各部品保持ユニット40と真空ポンプの連通・遮断を個別に切り替えることが可能となっている。本実施形態における切替バルブ37は、ソレノイドによって弁体を移動させる電磁弁から構成されている。
【0047】
回転テーブル30の内部にはさらに、切替バルブ37を制御して後述する吸着ノズル42aによる部品の吸着・解放を制御する吸着ノズル切替制御装置91、および、後述する保持部自転駆動手段43を制御する保持部自転制御装置92が配設されている。吸着ノズル切替制御装置91および保持部自転制御装置92は、CPU、ROMおよびRAM等を備えた制御装置である。吸着ノズル切替制御装置91および保持部自転制御装置92は、特に図示しない配線によって、切替バルブ37および保持部自転駆動手段43とそれぞれ電気的に接続されると共に、中央制御装置90に電気的に接続されている。中央制御装置90と吸着ノズル切替制御装置91および保持部自転制御装置92を繋ぐ配線は、中空軸32先端部に配設されたスリップリング38を介して接続されている。スリップリング38と吸着ノズル切替制御装置91および保持部自転制御装置92の間の配線は、中空軸32の内側パイプ32b内部を通されている。なお、上述した回転テーブル30をターレットと言うことがある。
【0048】
図5(a)および(b)は、部品保持ユニット40の断面構造および外部付勢装置50を示した図である。部品保持ユニット40は、筺体41と、筺体41に自転自在に配設された保持部42と、保持部42を自転駆動する保持部自転駆動手段43と、1対の電極ユニット200、200(詳細は後述)を有して構成されている。
【0049】
筺体41は、保持部42および保持部自転駆動手段43、電極ユニット200の一部を内部に保持すると共に、回転テーブル30にボルト等によって着脱可能に固定された部材である。
【0050】
保持部42は、図の下方に向けられた先端に吸着ノズル42aが配設された細長い円筒状の部材である。保持部42は、支持部材41Aとブラケット44によって、中心軸周りに回転(自転)自在であると共に、中心軸(自転軸)方向に沿って往復移動自在に筺体41に保持されている。保持部42の内部は吸着ノズル42aに繋がる吸引通路42bとなっている。保持部42の吸引通路42aは、特に図示しない通路およびコネクタを介して回転テーブル30に配設された切替バルブ37に接続される。
【0051】
吸着ノズル42aは、運転位置においては基台2上面に対向するように設けられている。切替バルブ37は、真空ポンプと吸着ノズル42aの連通・遮断を切り替えると共に、遮断時には、吸着ノズル42aを大気開放状態とするように構成されている。すなわち、保持部42は、切替バルブ37によって真空ポンプと吸着ノズル42aが連通された場合に、吸着ノズル42aによってリッド300を吸引して吸着(保持)し、切替バルブ37によって真空ポンプと吸着ノズル42aが遮断された場合に、吸着ノズル42aに保持していたリッド300を解放するように構成されている。なお、本実施形態における保持部42、吸着ノズル42aは、本発明のリッド保持手段を構成している。
【0052】
保持部自転駆動手段43は、筺体41に固定されたモータ43aと、モータ43aの回転駆動力を保持部42に伝達する伝達機構43bから構成されている。本実施形態では、モータ43aはステッピングモータから構成されている。モータ43aは、特に図示しない配線およびコネクタを介して、保持部自転制御装置92と電気的に接続される。伝達機構43bは、モータ43aの出力軸に固定された駆動歯車43b1、および保持部42に同軸的に固定された従動歯車43b2からなり、モータ43aの回転数を所定の減速比で減速するように構成されている。なお、伝達機構43bを3つ以上の歯車列から構成するようにしてもよいし、ベルト伝達機構やチェーン伝達機構等により構成するようにしてもよい。
【0053】
保持部42は、この保持部自転駆動手段43に駆動されて自転する。本実施形態では、このように保持部42を自転させることによって、吸着ノズル42aに吸着保持したリッド300の姿勢を整えるようになっている。
【0054】
保持部42の基端部(上端部)には、ブラケット44が接続されている。ブラケット44は、保持部42の上端部から図の右側(回転テーブル30の中心側)に向けて配設されている。ブラケット44は保持部42に対して、保持部42の中心軸周りに回転自在であるが保持部42の中心軸方向には移動不可能に接続されている。すなわち、保持部42が自転した場合には、ブラケット44は回転しないが、保持部42が中心軸(自転軸)方向に往復移動した場合には、ブラケット44は保持部42と共に往復移動(前方又は後方へ移動)するようになっている。
【0055】
ブラケット44は、内部付勢装置(圧縮バネ)45によって常に上方(アーム20側)に向けて付勢されており、通常は筺体41の内側面に設けられたストッパ46に当接させた状態で静止している。これにより、保持部42は、通常は図5(a)に示されるように、ブラケット44と共にアーム20側に引き寄せられた状態となる。すなわち保持部42は通常、基台2上面から離隔(上方に位置)した状態となる。ブラケット44の上面には、受圧部材44aが上方(アーム20側)に向けて突設されている。この受圧部材44aは筺体41の外部に露出しており、外部付勢装置50は、この受圧部材44aに外力を加えて押圧するように構成されている。なお、本実施形態における支持部材41Aとブラケット44は、本発明のリッド保持手段ガイド部材を構成する。また、本実施形態における、支持部材41A、保持部自転駆動手段43は、本発明のリッド保持手段回転装置を構成する。
【0056】
外部付勢装置50は、アーム20に鉛直方向に配設された細長い円筒状のガイド部材51と、ガイド部材51の内部に挿通された細長い棒状の押圧部材52と、アーム20の上面に配設されたモータ53と、モータ53の出力軸に固定されたカム54を有して構成されている。ガイド部材51は、下端を受圧部材44a側に向けた状態で鉛直方向に配設される。従って、ガイド部材51の内部に挿入される押圧部材52は、下端を受圧部材44aに向けると共に、上端をカム54に押圧されるように設けられている。そして、押圧部材52は、モータ53に駆動されたカム54の回転に伴って図の上下(受圧部材44aに近接又は離隔する方向)に往復移動する。カム54のカムプロファイルは、リッド溶接装置1の搬送速度等に応じて適宜に設定すればよい。
【0057】
押圧部材52は、内部付勢装置45の付勢力に勝る外力を受圧部材44aに加える。そして、図5(b)に示されるように、ブラケット44と共に保持部42を、保持部42の自転軸に沿ってアーム20から離隔する方向(下方)に移動させる。その後、カム54の回転に伴って押圧部材52が受圧部材44aから離隔する方向へ移動すると、ブラケット44および保持部42は、内部付勢装置45の付勢力により、保持部42の自転軸に沿ってアーム20に近接する方向(上方)に移動することとなる。なお、本実施形態における外部付勢装置50は、本発明の押圧装置を構成する。また、本実施形態における内部付勢装置45は、本発明のリッド保持手段付勢装置を構成する。
【0058】
図6(a)〜(c)は、図4(a)の矢視BーB方向から見た部品保持ユニット40が、溶接領域4に位置する場合の断面図である。
【0059】
電極ユニット200は、棒状の電極受圧部材204と、電極受圧部材204を上方向に付勢する溶接電極付勢部材208と、電極ローラ210と、電極保持装置220を備えて構成されている。電極受圧部材204、電極ローラ210、電極保持装置220は、1対として、吸着ノズル42aに対して左右対称位置に設けられている。また、1対の電極受圧部材204、204は、連結部材206により連結されており、双方の電極受圧部材204、204が同時に上下方向に移動する。1対の電極受圧部材204は、筺体41の内部に設けられた4つの溶接電極ガイド部材48により図の上下方向に移動可能に支持されている。なお、吸着ノズル42aに上方向(アーム20方向)の外力を受けていない状態では、1対の電極ローラ210、210の最下端は、吸着ノズル42aの先端(最下端)よりも上側に位置するように設置されている。換言すると、外力を受けていない場合、吸着ノズル42aは、1対の電極ローラ210、210よりも基台2の上面に近接するように設置されている。したがって、一対の電極ローラ210、210が存在していても、吸着ノズル42aは、電極ローラ210よりもリッド300により近接することができ、リッド300を保持・搬送することが可能となっている。また、溶接領域4では、部品保持ユニット40は、連動部材250により、吸着ノズル42a及び電極ローラ210を同時に下降するが、吸着ノズル42aが、吸着しているリッド300をセラミック容器400に載置した後に、電極ローラ210は吸着ノズル42aに対してさらに相対的に下降し、リッド300に当接して、リッド300とセラミック容器400を仮付けできるようになっている。
【0060】
また、溶接領域4側の上方側にある外部付勢装置50は、押圧部材52の先端(下端)に連動部材250を備えている。この連動部材250は、部品保持ユニット40の筺体41から上方に露出している受圧部材44a、及び1対の電極受圧部材204、204と略同時に当接できる。従って、押圧部材52を押し下げると、連動部材250によって、受圧部材44a及び1対の電極受圧部材204、204の双方が同時に下降する。なお、本実施形態に係る電極ローラ210、連動部材250は、それぞれ、本発明の溶接電極及び連動機構を構成する。
【0061】
各電極受圧部材204には、ストッパ片204Aが設けられており、溶接電極付勢部材208によって、電極受圧部材204が上方向(アーム20方向)に付勢された場合、ストッパ片204Aが筺体41の内側に設けられたストッパ受け47に当接するようになっている。これによって、電極受圧部材204の上方向への移動が所定の位置に規制される。
【0062】
なお、本実施形態では、以下に説明するように、溶接によって電極が摩耗した場合に、電極ローラ210を容易に取り外して新しい電極ローラに交換したり、または電極ローラ210を回転して摩耗していない部分がリッド側になるようにセットし直すことができるようになっている。
【0063】
電極保持装置220は、電極受圧部材204の下端に設けられており、電極ローラ210を着脱可能に保持するものである。電極保持装置220は、図7に示されるように、固定部材222と、開閉部材224と、回動ピン226から構成されている。開閉部材224は、回動ピン226を回転軸として回動可能に、固定部材222に保持されている。
【0064】
固定部材は、円弧状に切り欠かれて形成された固定側保持部222Aを有し、開閉部材224も同様に、円弧状に切り欠かれて形成された開閉側保持部224Aを有している。したがって、開閉部材224を、電極ローラ210を挟持する方向(閉じる方向)に回動させると、電極ローラ210は、固定部材222の固定側保持部222Aと開閉部材224の開閉側保持部224Aに挟持された状態で保持される(同図(a)参照)。
【0065】
また、開閉部材224を、電極ローラ210を離す方向(開く方向)に回動させると、電極ローラ210は、固定部材222及び開閉部材224から離反する(同図(b)参照)。つまり、電極ローラ210は、開閉部材224を回動させることによって、電極保持部220から容易に着脱することができるようになっている。したがって、電極保持装置220は、摩耗した電極ローラ210を新しい電極ローラに簡単に交換できるようになっており、または、摩耗した電極ローラ210を一旦取り外して、同一電極ローラの摩耗していない電極部分をリッド側になるように回転して再装着することができるようになっている。
【0066】
次に、溶接領域4における吸着ノズル42aと電極ローラ210の動きについて詳細に説明する。
【0067】
まず、図6(a)のように、回転テーブル30を回転することによって、吸着ノズル42aに吸着されたリッド300を、溶接領域4にある任意のセラミック容器400の真上まで搬送する。
【0068】
次に、外部付勢装置50がカム54を駆動することで、図6(b)に示されるように、押圧部材52を下方向に移動させる。押圧部材52の移動とともに、連動部材250が下方向(スライド前方)に移動し、受圧部材44a及び電極受圧部材204を、内部付勢装置45及び溶接電極付勢部材208に打ち勝つ力で押下する。これにより、連動部材250は、受圧部材44aと電極受圧部材204を略同時に下降することができる。
【0069】
受圧部材44aが、図6(b)の下方向に移動すると、受圧部材44aに接続されているブラケット44及び保持部42が下方向に移動する。したがって、吸着ノズル42aに吸着されているリッド300は、任意のセラミック容器400の所定の位置に当接するまで下降する。
【0070】
リッド300が下降してセラミック容器400に当接した後、連動部材250が受圧部材44a、204をさらに押し下げると、保持部42は、リッド300がセラミック容器400に押し付けられることにより受ける反力を、吸着ノズル42aを介してリッド300から受ける。そして、保持部42は、この反力を内部付勢装置45に伝達する。圧縮バネを有して構成される内部付勢装置45は、保持部42から伝達された反力により圧縮される。一方、連動部材250で受圧部材204が押し下げられることによって、電極ローラ210は下降する。電極ローラ210は、吸着ノズル42aに保持されるリッド300がセラミック容器400に当接したあと、吸着ノズル42aに対して相対的に下降し、リッド300に接触する。そして、電極ローラ210がリッド300に当接した場合、電極ローラ210は、受圧部材204及び連結部材206を介して電極ローラ210に接続されるバネ等の溶接電極付勢部材208の弾性によって、リッド300との当接による衝撃を吸収して、リッド300に適切な押圧力を与えることができるようになっている。
【0071】
つまり、連結部材250によって、受圧部材44a、204が略同時に押し下げられ、リッド300がセラミック容器400に当接した場合、吸着ノズル42aは、それ以上、下方向へ移動できないが、更に押圧部材52を押し下げると、図6(c)に示されるように、電極ローラ210、210のみが、吸着ノズル42aに対して下方向に相対的に移動する。この結果、電極ローラ210は、セラミック容器400に載置されるリッド300の対辺に当接する。この後、電流発生装置(図示省略)により電極ローラ210に電流を流すと、ジュール熱によってリッド300とセラミック容器400を仮付け溶接することができる。
【0072】
上記のように、電極ローラ200と吸着ノズル42aは、個別に上下移動できるようになっている。したがって、本実施形態のリッド溶接装置1は、吸着ノズル42aによってリッド300をセラミック容器400に載置した後、電極ローラ210を吸着ノズル42aに対して下方向へ相対的に移動させて、リッド300を仮付け溶接することができる。
【0073】
また、吸着ノズル42aと電極ローラ210は、内部付勢装置45、溶接電極付勢部材208によって弾性を有した状態で支持されるようになっている。したがって、内部付勢装置45、溶接電極付勢部材208は、吸着ノズル42a及び電極ローラ210を支持するとともに、吸着ノズル42aがセラミック容器400にリッド300を載置する際、または電極ローラ210をリッド300に当接する際に、リッド300にかかる衝撃力を吸収し、リッド300やセラミック容器400に大きな負荷をかけずに仮付け溶接を行うことができる。
【0074】
図8は、回転テーブル30を退避位置まで移動させた状態を示した左側面図である。揺動手段80は、部品保持モジュール40がリッド供給領域3、姿勢情報取得領域5、溶接領域4及び廃棄領域6に対向状態となる運転位置(図2参照)と、部品保持モジュール40がリッド供給領域3、姿勢情報取得領域5、溶接領域4及び廃棄領域6に非対向状態となる退避位置との間を、回転テーブル30を移動可能に構成されている。具体的には、揺動手段80はアーム20を略90度回動させることで、回転テーブル30を運転位置から退避位置に移動させる。アーム20の回動に伴ってナット86およびモータ82が回動または揺動するため、揺動手段80は、シンプルな構成でありながらも、アーム20をスムーズに回動させることができる。本実施形態では、退避位置に移動させることによって、回転テーブル30を基台2から大きく引き離すと共に、回転テーブル30の下面および部品保持ユニット40の吸着ノズル42a及び電極ユニット200の先端を側方に向けて開放するようにしている。このようにすることで、吸着ノズル42a及び電極ユニット200のメンテナンスや、基台2に配設されたリッド供給装置10、セラミック容器供給装置100及び姿勢情報取得手段70等のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0075】
次に、リッド溶接装置1の作動について説明する。図9(a)〜(f)は、リッド溶接装置1の作動を示した平面図である。なお、説明を容易にするため、4つの部品保持ユニット40に部品保持ユニット40A〜40Dの番号を付することにし、主として、部品保持ユニット40Aの動作について説明する。なお、他の部品保持ユニット40B〜40Dは、部品保持ユニット40Aと同じ動作となるので、説明を省略する。
【0076】
まず、図9(a)に示されるように、リッド供給装置10は、バルク状態で投入されたリッド300の方向や姿勢を整えながら、リッド300をリッド供給装置10のリッド保持位置11近傍に設定されたリッド供給領域3まで搬送する。
【0077】
リッド供給装置10によって、リッド300がリッド供給領域3まで搬送された後(又は略同時)に、回転テーブル30を反時計回りに略90°回転し、部品保持ユニット40Aの吸着ノズル42aをリッド供給領域3に搬送されたリッド300に対向する位置まで移動させる(図9(c)参照)。なお、図9(b)に示されるように、回転テーブル30が回転している途中では、リッド供給領域3及び溶接領域4の上方が開放されていることから、この間に、リッド確認カメラ13によってリッド供給領域3上のリッド300を画像認識し、更に容器確認カメラ14によって溶接領域4のセラミック容器400状態を画像認識しておく。このように、吸着前にリッド300の状態を画像認識することで、吸着ミスを低減することが可能となる。
【0078】
回転テーブル30は、略90度回転した後に、同図(c)に示されるように、所定の時間静止する。回転テーブル30が静止している間に、外部付勢装置50が部品保持ユニット40Aの受圧部材44aを押圧することにより、リッド供給領域3にある部品保持ユニット40Aの保持部42を下降させ、吸着ノズル42aをリッド供給領域3に搬送されたリッド300に近接させる。そして、部品保持ユニット40Aに対応する切替バルブ37が吸着ノズル42aと真空ポンプを連通させることにより、吸着ノズル42aがリッド300を吸着して保持する。その後、外部付勢装置50による受圧部材44aの押圧を解除する(若しくは受圧部材44aへの押圧力を緩める)ことで、内部付勢装置45による付勢力により、保持部42が上昇する。
【0079】
次に、回転テーブル30は、再び反時計回りに略90度回転して、再び所定の時間静止する(同図(d)参照)。これにより、部品保持ユニット40Aに保持されたリッド300は、姿勢情報取得領域5に対向する位置に搬送される。回転テーブル30が静止している間に、姿勢情報取得手段70は、部品保持ユニット40Aの吸着ノズル42aに保持されているリッド300を撮像する。回転テーブル30が回転している間には、上記同様に、リッド供給装置10は、次のリッド300をリッド供給領域3(部品保持ユニット40Bの吸着ノズル42aの真下)に搬送する。そして、回転テーブル30が静止している間には、上記同様に、リッド供給領域3に対向する位置にある部品保持ユニット40Bの吸着ノズル42aが、リッド供給領域3に搬送されたリッド300を吸着して保持する。
【0080】
次に、回転テーブル30は、再び反時計回りに略90度回転する(同図(e)参照)。回転テーブル30が回転している間に、部品保持ユニット40Aの保持部自転駆動手段43が、保持姿勢撮像手段70によって撮像された画像情報に基づいて部品保持ユニット40Aの保持部42を適切な角度だけ自転させ、吸着ノズル42aに保持されたリッド300の姿勢を整える。これにより、溶接領域4のセラミック容器400にリッド300を正確に載置できるように整える。
【0081】
次に、回転テーブル30が、反時計回りに略90°回転した後、再び所定の時間静止する(同図(e)参照)。これにより、部品保持ユニット40Aに保持されているリッド300は、溶接領域4に到着する。セラミック容器供給装置100は、上述した容器確認カメラ14により撮影した溶接領域4にあるセラミック容器400の位置認識結果に基づいて、セラミック容器400をX−Y方向に移動して位置補正を行う。セラミック容器400の位置補正は、容器確認カメラ14が、溶接領域4にあるセラミック容器400の位置認識を行った後、連動部材250による受圧部材44a、電極受圧部材204を下降させる前に行うことが好ましい。そして、回転テーブル30が静止している間に、外部付勢装置50の連動部材250が、部品保持ユニット40Aの受圧部材44a及び電極受圧部材204を略同時に押圧する。外部付勢装置50が、受圧部材44a及び電極受圧部材204を略同時に押圧すると、部品保持ユニット40Aの保持部42及び電極ローラ210が略同時に下降し、まず初めに、吸着ノズル42aで保持したリッド300を溶接領域4に搬送されたセラミック容器400に載置する。その後、吸着ノズル42aとともに下降する電極ローラ210が、リッド300の対辺に当接する。
【0082】
電極ローラ210が、セラミック容器400の上に載置されたリッド300に当接した後、電流発生装置(図示省略)により任意の電流を電極ローラ210に流して、セラミック容器400とリッド300を仮付け溶接する。なお、この状態では、セラミック容器400とリッド300は、当接している2か所をスポット的に溶接されているのみで、いわゆる仮付け溶接の状態となっている。また、上記でリッド300をセラミック容器400に仮付け溶接した後、容器確認カメラ14によりリッド300とセラミック容器400の溶接状態を撮影し、溶接状態の良否判断するようにしても好ましい。つまり、容器確認カメラ14で撮影したリッド300とセラミック容器400の画像情報に基づいて、位置ずれなどにより溶接状態が不良と判断した場合、溶接領域4に待機している部品保持ユニット40Aは、吸着ノズル42aにより、不良判断されたリッド300とセラミック容器400を吸着し、回転テーブル30が、さらに90°反時計回りに回転した位置に待機している廃棄トレイ350側に放出する。
【0083】
次に、回転テーブル30は、再び反時計方向に略90°回転する。なお、保持姿勢撮像手段70によって撮像された画像情報に基づいて、姿勢の制御が不可能と判断されるリッド300については、溶接領域4において仮付け溶接を行わずに、この段階でリッド300を廃棄トレイ350側に放出する(同図(f)参照)。
【0084】
以上、リッド溶接装置1は、上記動作を繰り返すことによって、リッド供給装置10にバルク状態で供給されたリッド300をリッド供給領域3で1つずつ取り出して、時計回り又は反時計回りの1方向に回転搬送し、溶接領域4において、セラミック容器400にリッド300を仮付け溶接する。このリッド溶接装置1では、吸着ノズル42aに保持されたリッド300の姿勢の調整を回転テーブル30の回転中に行うため、無駄な待ち時間が発生しないようになっている。このため、リッド溶接装置1は、リッド供給装置10へバルク状態で供給された複数のリッド300の中から1つのリッド300を適切に取り出し、且つ姿勢を整えた上で、高速にセラミック容器400に仮付けできる。なお、本実施形態における部品保持ユニット40A〜40Dは、本発明の第1の部品保持ユニット〜第4の部品保持ユニットを構成する。
【0085】
更にこのリッド溶接装置1は、吸着ノズル42aや電極ローラ210を有する部品保持ユニット40が回転テーブル30の周方向に複数設けられている。したがって、いずれかの部品保持ユニット40がリッド300を吸着保持する工程と、他の部品保持ユニット40がリッド300とセラミック容器400を仮付け溶接する工程を同じ静止時間中に同時に行うことができる。
【0086】
また、このリッド溶接装置1は、いずれかの部品保持ユニット40が保持するリッド300の姿勢情報を取得する姿勢情報取得手段70を備えている。姿勢情報取得手段70は、姿勢情報取得領域5において、吸着ノズル42aに吸着されたリッド300の方向や角度等の姿勢情報を取得する。この姿勢情報に基づいて、姿勢修正不可能と判断した場合には、廃棄領域6においてこのリッド300を廃棄する。以上のことから、部品保持ユニット40は、回転テーブル30の周方向に90°間隔で4か所に配設されることで、いずれかの部品保持ユニット40が、リッド供給領域3、姿勢情報取得領域5、溶接領域4及び廃棄領域6にそれぞれ位置するように構成されている。したがって、リッド300を保持する工程と、リッド300の姿勢情報を判断して姿勢調整を行う工程と、姿勢調整後のリッド300セラミック容器400に仮付け溶接する工程と、姿勢不具合と判断したリッド300の廃棄を行う工程を、同じ静止時間に同時に行うことができる。従って、リッド溶接装置1は、回転テーブル30を回転することで、リッド300の供給から仮付け溶接までの動作を極めて速度に実行できる。
【0087】
また、リッド供給領域3、姿勢情報取得領域5、溶接領域4、廃棄領域6は、この順番で、部品保持ユニット40の1方向に回転する回転経路上に順番に設けられている。したがって、リッド溶接装置1は、回転テーブル30を回転することで、部品保持ユニット40をリッド供給領域3から廃棄領域6まで順番に搬送することができ、これらの工程を確実に行うことができる。
【0088】
また、部品保持ユニット40は、筺体内41内で上下方向に移動可能で、且つ自転可能に支持される保持部42と、保持部42を自転させる保持部自転駆動手段43と、保持部42を上方向(アーム20方向)に付勢する内部付勢装置45を備えている。さらに、部品保持ユニット40は、リッド供給領域3及び溶接領域4において、内部付勢装置45の付勢力に逆らって保持部42に接続される受圧部材44aを押圧する外部付勢装置50を有している。これによって、外部付勢装置50は、受圧部材44aを押圧することで、保持部42を下方向(基台2に近接する方向)に押し下げることができる。また、外部付勢装置50による受圧部材44aへの押圧を解除すると、内部付勢装置45によって、保持部42は上方向に押し上げられるようになっている。これによって、部品保持ユニット40は、リッド供給領域3において、外部付勢装置50を駆動させて吸着ノズル42aを下降させてリッド300を吸着保持し、溶接領域4において、吸着ノズル42aを下降させてリッド300をセラミック容器400に載置することができる。したがって、各部品保持ユニット40に、吸着ノズル42aの上下移動をさせるためのモータを個別に設ける必要がなく、装置の構造を簡易化するとともに、装置の小型化と設備コストの削減を行うことができる。
【0089】
また、電極ユニット200は、電極受圧部材204と、溶接電極付勢部材208と、電極ローラ210を有して構成され、電極受圧部材204は、筺体41に配設されている溶接電極ガイド部材48によって上下方向に移動可能に支持されるとともに、溶接電極付勢部材208によって上方向に付勢されている。また、溶接領域4における外部付勢装置50は、受圧部材44aと電極受圧部材204を略同時に押圧する連動部材250を有している。この結果、外部付勢装置50は、連動部材250を用いて吸着ノズル42aと電極ローラ210を略同時に下降することができるので、吸着ノズル42aと電極ローラ210を上下移動させる為のモータ等の駆動手段を、個別に設ける必要がなく、部品保持ユニット40の構造を簡易化することができるとともに、装置の小型化及び低コスト化を実現することができる。
【0090】
また、吸着ノズル42aに外力が働いていない場合、吸着ノズル42aは、電極ローラ210よりも下方向(基台2に近接する方向)に突出している。これにより、リッド供給領域3において、リッド供給装置10からリッド300を吸着する場合、電極ローラ210が邪魔にならないで済む。更に、リッド300をセラミック容器400に仮付け溶接する場合、先に、吸着ノズル42aを下降させてリッド300をセラミック容器400上に固定し、その状態を維持したまま、電極ローラ210を相対的に更に下降させてリッド300に当接するようになっている。したがって、本実施形態の部品保持ユニット40は、吸着ノズル42aと電極ローラ210の下降順序は機構的に決められており、複雑な制御を行うための装置を必要としない。
【0091】
また、ターレットによる複数ヘッド式リッド溶接装置1は、リッド供給領域3に次のリッド300を搬送するリッド供給装置10と、溶接領域4に溶接前のセラミック容器400を搬送するセラミック容器供給装置100と、をさらに備えている。従って、回転テーブル30が回転して、任意の部品保持ユニット40がリッド供給領域3に停止する前に、次のリッド300をリッド保持位置11に供給するようになっている。また、ターレットによる複数ヘッド式リッド溶接装置1は、回転テーブル30が回転して、部品保持ユニット40が溶接領域4に停止する前に、セラミック容器供給装置100が次のセラミック容器400を溶接領域4に移動させるようになっている。したがって、無駄な時間を排除し、動作を高速にすることができる。
【0092】
なお、本実施形態に係る搬送装置1は、4つの部品保持ユニット40を備えているが、本発明はこれに限定されるものではなく、その他の個数の部品保持ユニット40を備えるようにしてもよい。
【0093】
また、保持部42は、吸着ノズル42aを下方に向けているが、これに限定されるものではなく、吸着ノズル42aを側方や上方に向けるものであってもよい。さらに、保持部42は、吸着ノズル42aを備えるものに限定されるものではなく、例えば部品をチャックによって把持する構造のものであってもよい。
【0094】
また、回転テーブル30は、運転位置において回転の中心軸が上下方向となるように配設されているが、これに限定されるものではなく、運転位置における回転の中心軸が水平方向や斜め方向となるように配設されるものであってもよい。また、回転テーブル30は、本実施形態に示される形状以外の形状であってもよい。
【0095】
また、切替バルブ37は、真空ポンプと吸着ノズル42aを遮断すると同時に、吸着ノズルを大気開放状態とするものを示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、真空ポンプと吸着ノズル42aを遮断すると共に、吸着ノズル42aをコンプレッサ等の高圧源と連通させるものであってもよい。このようにすることで、吸着ノズル42aからの部品の解放をより高速に行うことができる場合がある。
【0096】
また、本実施形態では、切替バルブ37として電磁弁を採用しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の切替構造を採用することも可能である。
【0097】
また、整列トレイ移動手段102、姿勢情報取得手段70および溶接検査装置110は、中央制御装置90によって直接制御されるものに限定されるものではなく、それぞれに専用の制御装置を設けるようにしてもよい。
【0098】
また、アーム20は、基台2に配設されるものに限定されるものではなく、他の部材に配設されるものや、独立して設置されるものであってもよい。さらに、アーム20は、揺動以外の動作を可能に構成されるものであってもよい。例えば、上下方向のみの移動であっても良く、また、上下方向に直線移動した後に揺動するようにしても良い。更に、または複数の異なる回転軸を中心に揺動もしくは回動するようにアーム20を構成してもよい。
【0099】
また、リッド供給領域3、姿勢情報取得領域5、溶接領域4および廃棄領域6の位置は、本実施形態において示した位置に限定されるものではなく、他の位置に配置するようにしてもよい。さらに、部品の加工組立や検査等を行う領域を搬送途中に設けるようにしてもよい。
【0100】
また、回転テーブル30の回転は、90°回転するごとに静止する間欠回転に限定されるものではなく、部品保持ユニット40がリッド供給領域3、姿勢情報取得領域5、溶接領域4および廃棄領域6に対向する位置にある場合にも、回転テーブル30を低速で回転させ続けるようにしてもよい。この場合、リッド供給装置とセラミック容器供給装置は、回転テーブル30と反対方向で、且つ同速度で回転する回転テーブルとすることが好ましい。つまり、リッド供給領域3では、回転テーブル30に配置される吸着ノズル42aは、自身と同じ方向、且つ同じ速度で移動(回転テーブル30と反対方向に回転)するリッド供給装置に供給されるリッドを回転中に吸着することができる。また、溶接領域4では、部品保持ユニット40は、吸着ノズル42aに吸着しているリッド300を、リッド300と同じ方向、且つ同速度で移動(回転テーブル30と反対方向に回転)するセラミック容器供給装置に供給されるセラミック容器に、回転中に溶接することができる。
【0101】
また、回転テーブル30の間欠的な回転を、カムにより行っても好ましい。この場合、カムによる回転テーブル30の回転静止位置を、リッド供給領域3、溶接領域4となるようにカムのプロファイルを決定する。
【0102】
なお、吸着ノズル42aに上下方向の弾性を持たせるようにしても好ましい。例えば、第2実施形態の吸着ノズル42aは、下側ノズル部材42a1と上側ノズル部材42a2と、バネ等の弾性部材42a3を有して構成されている(図10参照)。下側ノズル部材42a1の一部は、上側ノズル部材42a2に対してスライド可能に構成されている。そして、下側ノズル部材42a1と上側ノズル部材42a2の間には、弾性部材42a3が設けられている。また、下側ノズル部材42a1の外径と上側ノズル部材42a2の内径の間には、パッキン42a4が設けられている。パッキン42a4は、空気の漏れを防止し、リッド300を吸着するための負圧が逃げないようになっている。
【0103】
弾性部材42a3は、圧縮バネであり、下側ノズル部材42a1は、上側ノズル部材42a2に対して、吸着方向に付勢されるようになっている。
【0104】
上記の構成により、部品保持ユニット40がリッド300をセラミック容器400に溶接する場合、リッド300がセラミック容器400に当接することにより、吸着ノズル42aの下側ノズル部材42a1がリッド300から衝撃を受ける。この際、下側ノズル部材42a1は、上側ノズル部材42a2に対して相対に上側にスライドするとともに、弾性部材42a3によりその衝撃が吸収される。前述の第1実施形態では、吸着ノズル42aは、内部付勢装置45によって弾性を持たせて支持されている。しかし、内部付勢装置45は、質量の大きい保持部42やブラケット44を支持するために、バネ係数が大きく、堅いバネを使用しなければならない。したがって、細くて長い吸着ノズル42aを十分変形させることができる程度の比較的小さい衝撃力が吸着ノズル42aに加わった場合、内部付勢装置45の弾性が機能する前に、吸着ノズル42aが変形してしまう可能性がある。
【0105】
したがって、上記のように吸着ノズル42a自体に弾性を持たせることによって、リッド300とセラミック容器400を溶接する際、吸着ノズル42aが受ける比較的小さな衝撃力は、弾性部材42a3が適切に吸収することができる。また、吸着ノズル42aが大きな衝撃力を受けた場合、衝撃が比較的小さい初期段階は、弾性部材42a3が吸着ノズル42aの衝撃力を吸収し、その後、内部付勢装置45が大きな衝撃力を吸収する。つまり、弾性部材42a3と内部付勢装置45によって、吸着ノズル42aの受ける衝撃力を段階的に吸収することができる。
【0106】
また、上記実施形態では、部品保持ユニット40を回転テーブル30の周囲に90°間隔で4個設けた場合を示したが、部品保持ユニット40の数や配置間隔は上記の実施形態に限定されるものではない。例えば、図11に示されるように、回転テーブル30の周囲に部品保持ユニット40を45°間隔で8個設ける用にしても好ましい。なお、同図では、説明の便宜のため、リッド供給領域3に位置する部品保持ユニットを部品保持ユニット40Aとして、時計回りに部品保持ユニット40B〜40Hの番号を付する。また、各装置の構造や機能は、上記の実施形態で説明した装置等と同じであるので、可能な限り図示及び説明を省略する。
【0107】
まず、部品保持ユニット40Aは、外部付勢装置50により受圧部材44aを押下され、吸着ノズル42aを下降し、リッド供給装置10によりリッド供給領域3に搬送されたリッド300を吸着保持する(図11(a)参照)。
【0108】
次に、回転テーブル30は、反時計回りに約45°回転する(同図(b)参照)。リッド供給装置10は、回転テーブル30の回転により、部品保持ユニット40Aと部品保持ユニット40Bの間に設けられた干渉回避空間30Aの間に、リッド供給領域3上に配設されたリッド位置確認カメラ13により撮像された、リッド300の位置の画像情報に基づいて、位置ずれがある場合には位置補正を加えながらリッド300をリッド供給領域3に搬送する。また、部品保持ユニット40Bは、外部付勢装置50により受圧部材44aを押下され、吸着ノズル42aを下降し、リッド供給領域3のリッド300を吸着保持する。また、セラミック容器供給装置100は、回転テーブル30の回転により、部品保持ユニット40Eと部品保持ユニット40Fの間に設けられた干渉回避空間30Eの間に、容器確認カメラ14により、セラミック容器供給装置100に搬送されるセラミック容器400の位置を撮影し、セラミック容器400の位置が所定の位置からずれている場合は、位置補正を加えながらセラミック容器400を溶接領域4に搬送する。なお、以下の工程においても、リッド位置確認カメラ13、容器確認カメラ14により、所定の位置確認を行い、リッド供給領域3におけるリッド300の位置、溶接領域4におけるセラミック容器400の位置の補正を行うが、ここでは省略する。
【0109】
その後、回転テーブル30は、さらに反時計回りに約45°回転する(同図(c)参照)。この時、部品保持ユニット40Aの吸着ノズル42aに保持されるリッド300は、姿勢情報取得領域5に位置し、姿勢情報取得手段70により、吸着ノズル42aの下側にからリッド300の保持姿勢(角度)を撮影される。そして、姿勢情報取得手段70は、撮影した画像情報を中央制御装置90に送信する。中央制御装置90は、画像情報に基づいて、保持部自転駆動手段43により、保持部42の吸着ノズル42aを回転させて、リッド300の角度を所定の角度に補正する。この時、リッド供給装置10は、リッド供給領域3に新たなリッド300を搬送する。そして、リッド供給領域3にある部品保持ユニット40Cは、外部付勢装置50により受圧部材44aを押下され、吸着ノズル42aを下降し、リッド供給領域3に搬送されたリッド300を吸着保持する。
【0110】
その後、回転テーブル30は、さらに反時計回りに約45°回転する(同図(d)参照)。この時、部品保持ユニット40Bは、姿勢情報取得領域5に位置している。姿勢情報取得手段70は、吸着ノズル42aに保持しているリッド300の姿勢の画像情報を取得し、中央制御装置90に送信する。中央制御装置90は、画像情報に基づいて、部品保持ユニット40Bの吸着ノズル42aに保持されるリッド300の姿勢補正を行う。また、リッド供給装置10は、新たなリッド300をリッド供給領域3へ搬送する。そして、リッド供給領域3に搬送された部品保持ユニット40Dは、外部付勢装置50により受圧部材44aを押下され、吸着ノズル42aを下降し、リッド供給領域3にあるリッド300を吸着保持する。
【0111】
その後、回転テーブル300は、さらに反時計回りに約45°回転する(図12(a)参照)。部品保持ユニット40Aは、溶接領域4に配設されている外部付勢装置50により受圧部材44a及び2つの電極受圧部材204を同時に押下され、吸着ノズル42a及び電極ローラ210を同時に下降する。そして、部品保持ユニット40Aは、吸着ノズル42aで保持しているリッド300を溶接領域4に搬送されたセラミック容器400に搭載した後、電極ローラ210をリッド300の上から所定の押圧力で当接して、溶接電流を流すことにより仮付け溶接を行う。なお、溶接領域4に配設されるCCDカメラ(例えば、容器確認カメラ14)等で撮影した画像情報に基づいて、リッド300とセラミック容器400の溶接状態を判定する。その結果、不合格品と判定された場合、部品保持ユニット40Aは、吸着ノズル42aでリッド300とセラミック容器400の溶接不合格品を吸着保持したまま回転し、廃棄領域6に配置される廃棄トレイ350まで搬送する。この時、部品保持ユニット40Cは、姿勢情報取得領域5に位置している。姿勢情報取得手段70は、部品保持ユニット40Cに保持されているリッド300の姿勢を撮影し、画像情報を中央制御部90へ送信する。中央制御部90は、取得した画像情報に基づいて部品保持ユニット40Cの吸着ノズル42aに保持されるリッド300の姿勢補正を行う。また、この時、リッド供給装置10は、新たなリッド300をリッド供給領域3に搬送する。そして、リッド供給領域3の真上にある部品保持ユニット40Eは、外部付勢装置50により受圧部材44aを押下され、吸着ノズル42aを下降し、リッド供給領域3にあるリッド300を吸着保持する。
【0112】
その後、回転テーブル300は、さらに反時計回りに約45°回転する(図12(b)参照)。この時、部品保持ユニット40Bは、溶接領域4の上に搬送される。部品保持ユニット40Bは、外部付勢装置50により、吸着ノズル42a及び電極ローラ210を同時に下降する。そして、吸着ノズル42aに吸着されているリッド300を溶接領域4に搬送されたセラミック容器400に搭載した後、電極ローラ210をリッド300の上に当接し、溶接電流を流して、リッド300とセラミック容器400の仮付け溶接を行う。なお、前述したように、溶接領域4に配置されるCCDカメラ等で、リッド300とセラミック容器400の溶接状態を撮影し、溶接状態の合否判定を行う。溶接後のリッド300とセラミック容器400の溶接状態が不合格と判定された場合、部品保持ユニット40Bは、吸着ノズル42aで不合格品を吸着保持したまま、廃棄領域6に配置さる廃棄トレイ350まで搬送する。この時、部品保持ユニット40Dは、姿勢情報取得領域5に位置している。姿勢情報取得手段70は、部品保持ユニット40Dに保持されているリッド300の姿勢を撮影し、画像情報を中央制御部90へ送信する。中央制御部90は、取得した画像情報に基づいて部品保持ユニット40Dの吸着ノズル42aに保持されるリッド300の姿勢補正を行う。また、この時、リッド供給装置10は、新たなリッド300をリッド供給領域3に搬送する。そして、リッド供給領域3の真上にある部品保持ユニット40Fは、外部付勢装置50により受圧部材44aを押下され、吸着ノズル42aを下降し、リッド供給領域3にあるリッド300を吸着保持する。
【0113】
その後、回転テーブル300は、さらに反時計回りに約45°回転する(図12(c)参照)。部品保持ユニット40Aは、廃棄領域6の上に搬送される。ここで、部品保持ユニット40Aは、リッド300とセラミック容器400の溶接不合格品を保持している場合、廃棄領域6に配置されている廃棄トレイ350に不合格品を放出する。この時、部品保持ユニット40Cは、溶接領域4に配置される。そして、セラミック容器供給装置100により溶接領域4に搬送されたセラミック容器400と、自身の吸着ノズル42aが保持するリッド300を溶接する。そして、CCDカメラ等で溶接状態を確認し、溶接不具合品と判定された場合、部品保持ユニット40Cは、吸着ノズル42aにより溶接不具合品を吸着保持し、そのまま回転して、廃棄領域6に配置される廃棄トレイ350まで不具合品を搬送する。また、この時、部品保持ユニット40Eは、姿勢情報取得領域5に位置している。部品保持ユニット40Eの吸着ノズル42aに保持されているリッド300は、姿勢情報取得手段70により保持姿勢を撮像される。そして、中央制御部90は、撮像されたリッド300の画像情報に基づいて、部品保持ユニット40Eの吸着ノズル42aを回転させて、リッド300の姿勢を補正する。さらに、この時、部品保持ユニット40Gは、回転テーブル30が回転している間に、リッド供給装置10によりリッド供給領域3に搬送されたリッド300を吸着する。
【0114】
その後、回転テーブル300は、さらに反時計回りに約45°回転する(図12(d)参照)。この時、部品保持ユニット40Bは、廃棄領域6に位置し、部品保持ユニット40Bがリッド300とセラミック容器400の不具合品を保持している場合、廃棄領域6に配置される廃棄トレイ350に不具合品を放出する。また、この時、部品保持ユニット40Dは、溶接領域4に位置する。部品保持ユニット40Dは、回転テーブル30が回転している間に、セラミック容器供給装置100により溶接領域4に搬送されたセラミック容器400に、自身が保持しているリッド300を搭載し、その後仮付け溶接を行う。なお、中央制御部90は、リッド300とセラミック容器400の溶接状態の合格又は不合格をCCDカメラ等で撮影した画像情報に基づいて判定し、不合格と判定した場合は、部品保持ユニット40Dの吸着ノズル42aに不合格品を吸着保持させ、そのまま廃棄領域6に配置される廃棄トレイ350まで搬送する。さらに、この時、部品保持ユニット40Fは、吸着ノズル42aで保持しているリッド300の姿勢情報に基づいて、姿勢がずれている場合は、吸着ノズル42aを回転させてリッド300の姿勢補正を行う。この時、回転テーブル30が回転している間に、リッド供給装置10は、リッド供給領域3に新たなリッド300を搬送する。そして、リッド供給領域3に搬送された部品保持ユニット40Fは、リッド供給領域3に搬送されたリッド300を吸着保持する。
【0115】
そして、次に、回転テーブル30を回転させると、部品保持ユニット40Aは、1回転してリッド供給領域3に搬送される。この後は、各部品保持ユニットに対して、上記と同様の工程が行われる。
【0116】
つまり、上記実施形態に係るターレットによる複数ヘッド式リッド溶接装置は、全く同じ構成から成る部品保持ユニット40を回転テーブル30の周囲に設けるとともに、各部品保持ユニット40には、保持部42の先端に設けられた吸着ノズル42aを回転するための駆動機構(例えば、保持部自転駆動手段43)を個別に備えている。また、各部品保持ユニット40には、吸着ノズル42aをスライドするためのスライド機構(例えば、筐体41に設けられた支持部材41Aにより保持部42を往復移動自在に保持し、保持部42に接続されたブラケット44の受圧部材44aを上下移動することにより保持部42を上下方向に往復移動させる構造)が設けられている。一方、吸着ノズル42a又は電極ローラ210を上下移動する駆動装置(例えば、外部付勢装置50)は、リッド供給領域3と溶接領域4の上で、且つ部品保持ユニット40とは、別体として設けられている。したがって、上記実施形態のターレットによる複数ヘッド式リッド溶接装置は、全く同じ構図の部品保持ユニット40を回転テーブル30の周囲に設けることにより、全ての部品保持ユニット40が等しくリッドの吸着保持、リッドの姿勢調整及びリッドとセラミック容器の仮付け溶接を行うことができ、効率的に且つ高速で各工程を実行することができる。
【0117】
また、上記実施形態で示すように、部品保持ユニット40の吸着ノズル42aの1方向に回転する回転経路上にリッド供給領域3、姿勢情報取得領域5、溶接領域4、廃棄領域6を順番に設け、いずれか1つの領域(例えば、リッド供給領域3)に1の部品保持ユニット40が位置する場合、少なくとも他の3つの領域に他の部品保持ユニット40が位置するようになっている。つまり、複数の工程を同時に行うことが可能で、リッドの供給から溶接までの工程を高速でおこなうことができる
【0118】
なお、上記はリッド300をセラミック容器400に溶接する場合について説明したが、吸着ノズル42aによってリッド300を吸着する際に、吸着ノズル42aがリッド300に当接した場合や、吸着ノズル42aに不測の衝撃を受けた場合にも同様の効果があることは言うまでもない。
【0119】
尚、本発明のターレットによる複数ヘッド式リッド溶接装置は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0120】
本発明は、パッケージとリッドなどの電子部品の溶接の分野において幅広く利用することができる。
【符号の説明】
【0121】
1 ターレットによる複数ヘッド式リッド溶接装置
3 リッド供給領域
4 溶接領域
5 姿勢情報取得領域
6 廃棄領域
10 リッド供給装置
20 アーム
30 回転テーブル
40 部品保持ユニット
42a 吸着ノズル
50 外部付勢装置
60 回転テーブル駆動手段
70 姿勢情報取得手段
80 揺動手段
90 中央制御装置
100 セラミック容器供給装置
200 電極ユニット
210 電極ローラ
220 電極保持装置
300 リッド
350 廃棄トレイ
400 セラミック容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
時計回り又は反時計回りの1方向に回転する回転テーブルと、
前記回転テーブルの周方向に複数設けられ、リッドを保持するリッド保持手段、及び前記リッド保持手段に隣接する溶接電極を有する部品保持ユニットと、
前記回転テーブルの回転による前記部品保持ユニットの回転経路上に位置するリッド供給領域に対して、溶接前のリッドを搬送するリッド供給装置と、
前記部品保持ユニットの回転経路上に位置する溶接領域に対して、溶接前の容器を搬送する容器供給装置と、
を備え、
前記回転テーブルが回転することにより、1の前記部品保持ユニットの前記リッド保持手段が、前記リッド供給領域の上に位置する際に、少なくとも他の1つの前記部品保持ユニットの前記リッド保持手段は、前記リッドを保持した状態で前記溶接領域の上に位置することを特徴とする、ターレットによる複数ヘッド式リッド溶接装置。
【請求項2】
前記部品保持ユニットは、前記リッド保持手段を回転可能、且つリッド方向にスライド可能に支持するとともに、前記リッド保持手段を回転させるリッド保持手段回転装置を備えることを特徴とする、
請求項1に記載のターレットによる複数ヘッド式リッド溶接装置。
【請求項3】
前記部品保持ユニットは、前記リッド保持手段をスライド可能に支持するリッド保持手段ガイド部材、及び前記リッド保持手段を押し上げ方向に付勢するリッド保持手段付勢部材を備えており、
更に、前記リッド供給領域上及び前記溶接領域上には、前記リッド保持手段を押し下げる為の押下装置がそれぞれ固定配置されており、
前記リッド保持手段付勢部材の付勢力に抗して、前記押下装置が前記リッド保持手段を押し下げることで、前記リッド供給領域における前記リッドの保持、及び前記溶接領域における前記リッドの前記容器への搭載を行うことを特徴とする、
請求項1又は2に記載のターレットによる複数ヘッド式リッド溶接装置。
【請求項4】
前記部品保持ユニットは、前記溶接電極をスライド可能に支持する溶接電極ガイド部材、及び前記溶接電極を押し上げ方向に付勢する溶接電極付勢部材を備えており、
前記部品保持ユニット又は前記溶接領域上の前記押下装置には、前記リッド保持手段と前記溶接電極を同時にスライドさせる連動機構が設けられており、
前記溶接領域上の前記押下装置が前記部品保持ユニットに押し下げ力を付与することで、前記リッド保持手段と前記溶接電極が同時に押し下げられることを特徴とする、
請求項3に記載のターレットによる複数ヘッド式リッド溶接装置。
【請求項5】
前記部品保持ユニットの回転経路上に位置する姿勢情報取得領域において、前記部品保持ユニットが保持している前記リッドの姿勢情報を取得する姿勢情報取得手段をさらに備え、
少なくとも3つの前記部品保持ユニットが、前記リッド供給領域、前記溶接領域、及び前記姿勢情報取得領域に同時に位置するようになっていることを特徴とする、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のターレットによる複数ヘッド式リッド溶接装置。
【請求項6】
前記姿勢情報に基づいて、前記リッドの姿勢の良否を判定する姿勢判定手段を更に有し、
前記部品保持ユニットの回転経路上には、前記姿勢判定手段により不具合姿勢と判定された前記リッドを廃棄する廃棄領域が設けられており、
前記部品保持ユニットは、前記回転テーブルの周方向に一定の間隔で少なくとも4か所に配設されており、
4つの前記部品保持ユニットが、前記リッド供給領域、前記姿勢情報取得領域、前記溶接領域、及び前記廃棄領域に同時に位置することを特徴とする、
請求項5に記載のターレットによる複数ヘッド式リッド溶接装置。
【請求項7】
前記リッド供給領域、前記姿勢情報取得領域、前記溶接領域及び前記廃棄領域は、時計回り又は反時計回りの一方向に、この順番で、前記部品保持ユニットの回転経路上に設けられていることを特徴とする、
請求項6に記載のターレットによる複数ヘッド式リッド溶接装置。
【請求項8】
前記部品保持ユニットは、前記リッド保持手段が保持する前記リッドが前記容器に当接した際に、前記溶接電極のみをスライドさせて、前記容器上の前記リッドに前記溶接電極を当接させることを特徴とする、
請求項1乃至7のいずれか1項に記載のターレットによる複数ヘッド式リッド溶接装置。
【請求項9】
前記リッド保持手段は、前記溶接電極よりも前記容器に近接する位置に設けられ、
前記リッド保持手段及び前記溶接電極は、前記リッド保持手段ガイド部材及び前記溶接電極ガイド部材に沿って、それぞれ個別にスライドするように構成され、
前記溶接領域において、該溶接領域上に設けられた前記押下装置の連動機構により、前記リッド保持手段及び前記溶接電極が同時に押し下げられた場合、前記リッドが前記容器に当接することによって、前記リッド保持手段が、前記リッド保持手段ガイド部材に沿って前記溶接電極に対して相対的に上方に移動し、前記溶接電極が、前記リッドに当接して前記リッドと前記容器の溶接をすることを特徴とする、
請求項4乃至8のいずれか1項に記載のターレットによる複数ヘッド式リッド溶接装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−14756(P2011−14756A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−158454(P2009−158454)
【出願日】平成21年7月3日(2009.7.3)
【出願人】(501410137)アキム株式会社 (49)
【Fターム(参考)】