説明

ターンテーブル

【課題】ターンテーブルの精度が要求される中央樹脂部材の上部のヒケを抑制する。
【解決手段】記録ディスク駆動装置のターンテーブルは、強磁性材料からなるプレート部材131と、前記プレート部材の中央に配置され、樹脂の射出成型により形成された中央樹脂部材とを備え、前記中央樹脂部材の上側の面に、ディスク中央孔611をガイドするディスクガイド部が設けられ、前記中央樹脂部材に、前記中央樹脂部材の下面から上方に向かって窪む複数のゲート凹部が設けられ、前記複数のゲート凹部の天面は前記プレート部材より上側に位置し、前記天面に、射出成型における複数のゲートカット部641aが設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録ディスク用のターンテーブル、モータおよび記録ディスク駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、記録ディスク駆動装置には、記録ディスクが取り付けられるターンテーブルがモータに設けられる。実公平3−48761号公報に開示されるターンテーブルは、ターンテーブル本体と、センタースピンドルとを備える。ターンテーブル本体は磁性体からなる。センタースピンドルは樹脂にて形成され、ターンテーブル本体と一つの部材となっている。センタースピンドルには、上方に向かって径が漸次減少するテーパ周面が形成される。テーパ周面には、周方向に等間隔に複数のディスク受止片が設けられる。中心孔を有するディスクがターンテーブルに装着される際には、ディスク受止片が中心孔の外縁部に接触して弾性変形する。この変形により、ターンテーブル本体に対するディスクの調芯が行われる。
【特許文献1】実公平3−48761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、ターンテーブルが中央に有する中央樹脂部材には、精度が要求されるディスクガイド部が設けられる。中央樹脂部材のゲートカット部は、当該ディスクガイド部を避けるように設ける必要がある。
【0004】
本発明の目的は、ゲートカット部の配置を工夫することにより、中央樹脂部材の上部における樹脂のヒケを抑制することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る例示的な記録ディスク駆動装置のターンテーブルは、強磁性材料からなるプレート部材と、前記プレート部材の中央に配置され、樹脂の射出成型により形成された中央樹脂部材とを備え、前記中央樹脂部材の上側の面に、ディスク中央孔をガイドするディスクガイド部が設けられ、前記中央樹脂部材に、前記中央樹脂部材の下面から上方に向かって窪む複数のゲート凹部が設けられ、前記複数のゲート凹部の天面は前記プレート部材より上側に位置し、前記天面に、射出成型における複数のゲートカット部が設けられる。
【0006】
本発明に係る他の例示的な記録ディスク駆動装置のターンテーブルは、強磁性材料からなるプレート部材と、前記プレート部材の中央に配置され、樹脂の射出成型により形成された中央樹脂部材とを備え、前記中央樹脂部材の上側の面に、ディスク中央孔をガイドするディスクガイド部が設けられ、前記中央樹脂部材の下部に、複数のゲートカット部が設けられ、前記プレート部材における、中心軸に平行な方向において前記複数のゲートカット部と重なる位置に、孔部または切欠部が設けられる。
【0007】
本発明に係る例示的な記録ディスク駆動装置のターンテーブルの製造方法は、a)強磁性材料からなるプレート部材を、可動金型の移動方向に対して垂直な状態で、前記可動金型または静止金型に取り付ける工程と、b)前記可動金型と前記静止金型とを型締めすることにより、前記可動金型と前記静止金型との間にキャビティを形成する工程と、c)前記可動金型および前記静止金型のうち一方の金型に設けられたゲートから前記キャビティ内に樹脂を射出することにより、前記プレート部材の中央に中央樹脂部材を形成する工程と、を備え、前記中心軸方向において、前記一方の金型の位置が前記中央樹脂部材の下側に対応し、他方の金型の位置が前記中央樹脂部材の上側に対応し、前記中央樹脂部材の上側の面に、ディスク中央孔をガイドするディスクガイド部が設けられ、前記一方の金型が、前記移動方向に平行に前記他方の金型に向かって突出する突出部を備え、前記突出部の先端に前記ゲートが形成され、前記b)工程において、前記突出部の前記先端が前記プレート部材のプレート中央孔を通り抜ける。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ディスクガイド部が設けられる中央樹脂部材の上部における樹脂のヒケを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、第1の実施形態に係る記録ディスク駆動装置の断面図である。
【図2】図2は、モータの断面図である。
【図3】図3は、プレート部材の平面図である。
【図4】図4は、プレート部材の断面図である。
【図5】図5は、ターンテーブルの平面図である。
【図6】図6は、ターンテーブルの平面図である。
【図7】図7は、爪を拡大して示す図である。
【図8】図8は、ターンテーブルの底面図である。
【図9】図9は、ターンテーブルの底面図である。
【図10】図10は、ターンテーブルの断面図である。
【図11】図11は、ターンテーブルを製造する流れを示す図である。
【図12】図12は、金型およびプレート部材を示す図である。
【図13】図13は、金型およびプレート部材を示す図である。
【図14】図14は、金型およびターンテーブルを示す図である。
【図15】図15は、第2の実施形態に係るターンテーブルを示す断面図である。
【図16】図16は、プレート部材の平面図である。
【図17】図17は、金型およびプレート部材を示す図である。
【図18】図18は、ターンテーブルの底面図である。
【図19】図19は、他の例に係るターンテーブルの断面図である。
【図20】図20は、第3の実施形態に係るターンテーブルを示す底面図である。
【図21】図21は、ターンテーブルの断面図である。
【図22】図22は、プレート部材の平面図である。
【図23】図23は、ターンテーブルの底面図である。
【図24】図24は、金型およびプレート部材を示す図である。
【図25】図25は、さらに他の例に係るターンテーブルの底面図である。
【図26】図26は、ターンテーブルの断面図である。
【図27】図27は、プレート部材の他の例を示すモータの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書では、中心軸J1方向における上側を単に「上側」と呼び、下側を単に「下側」と呼ぶ。なお、本発明の説明において、各部材の位置関係や方向を上下左右で説明するときは、あくまで図面における位置関係や方向を示し、実際の機器に組み込まれたときの位置関係や方向を示すものではない。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の例示的な第1の実施形態に係るモータを備える、記録ディスク駆動装置10の断面図である。記録ディスク駆動装置10は、モータ1と、アクセス部11と、これらを内部に収容する箱状のハウジング12と、を備える。図1では、ハウジング12、クランパ122、クランプマグネット123および記録ディスク9を、二点鎖線にて示している。モータ1はシャーシ121により保持される。アクセス部11は、ヘッド111と、ヘッド移動機構112とを備える。
【0012】
ヘッド111は、記録ディスク9に対して、情報の読み出しおよび/または書き込みを行う光ピックアップ機構である。記録ディスク9として、例えば、ブルーレイディスクが利用される。ヘッド移動機構112は、ヘッド111をモータ1および記録ディスク9に対して移動する。ヘッド111は、光出射部と、受光部とを有する。光出射部は、記録ディスク9の下面に向けてレーザ光を出射する。受光部は、記録ディスク9からの反射光を受光する。
【0013】
ハウジング12には、図示を省略した搬送機構が設けられる。搬送機構により、記録ディスク9のハウジング12への挿入や、ハウジング12からの取り出しが行われる。また、ハウジング12内には、クランプマグネット123を有するクランパ122が設けられる。
【0014】
記録ディスク9が挿入されると、記録ディスク9の中央のディスク中央孔91が、モータ1のターンテーブル13の上方に配置される。そして、モータ1が上昇して、記録ディスク9がターンテーブル13に載置される。クランプマグネット123が、ターンテーブル13の金属のプレート部材を上方から吸着することにより、クランパ122により記録ディスク9がターンテーブル13上にクランプされる。
【0015】
記録ディスク駆動装置10では、モータ1により記録ディスク9が回転され、ヘッド移動機構112がヘッド111を所定の位置へと移動させる。これにより、記録ディスク9に対して、情報の読み出しおよび/または書き込みが行われる。記録ディスク9の取出時には、クランパ122が記録ディスク9から離され、モータ1が下降して記録ディスク9がターンテーブル13から外される。
【0016】
図2はモータ1の縦断面図である。モータ1は、回転組立体である回転部2と、固定組立体である静止部3と、ターンテーブル13と、軸受機構4とを備える。回転部2は、軸受機構4により、静止部3に対しその上方にて回転可能に支持される。ターンテーブル13は、回転部2の上端に設けられる。
【0017】
回転部2は、有蓋略円筒状のカップ部材21と、円環状のロータマグネット22とを有する。ロータマグネット22は、カップ部材21の円筒部の内側面に取り付けられる。カップ部材21の中央には、円筒状のシャフト固定部23が設けられる。
【0018】
静止部3は、略板状のベース部31と、ステータ32と、回路基板33と、を備える。回路基板33は、ベース部31上に配置される。ベース部31は金属にて形成される。ベース部31の中央の孔311には、軸受機構4が取り付けられる。ステータ32は、ステータコア321と、ステータコア321上に形成された複数のコイル322と、を備える。ステータコア321は、積層鋼板にて形成される。ステータ32は、ロータマグネット22に対して中心軸J1に垂直な方向に対向する。モータ1の駆動時には、ロータマグネット22とステータ32との間にて、磁気的作用が生じる。
【0019】
軸受機構4は、シャフト41と、有底円筒状のスリーブ保持部42と、スリーブ43と、円環状の抜止部材44と、を備える。シャフト41の下端部には、円環状の溝411が形成される。シャフト41の上端部は、シャフト固定部23に挿入されて、カップ部材21に固定される。スリーブ43は、含油性の多孔質金属体により形成される。スリーブ保持部42は、円筒部421と、環状の段差部422と、底部423と、を有する。段差部422では、円筒部421の下端から中心軸J1に向かって径が小さくなる。底部423は、段差部422の下側にて、スリーブ保持部42の下端を閉塞する。ステータ32は、円筒部421の外側面に取り付けられる。
【0020】
抜止部材44は、樹脂等の弾性体により形成され、段差部422上に載置される。抜止部材44の内側の端部は、シャフト41の溝411内に位置する。これにより、シャフト41が、スリーブ保持部42から抜け出ることを防止できる。底部423上には、円板状のスラストプレート45が設けられる。モータ1の駆動時には、シャフト41の先端がスラストプレート45に当接することにより、シャフト41がスラスト方向に安定して支持される。さらに、シャフト41は、スリーブ43により、オイルを介してラジアル方向に支持される。
【0021】
ターンテーブル13は、円環状のプレート部材131と、環状の中央樹脂部材132と、環状ラバー133と、を備える。図2では、プレート部材131の奥側の形状の一部を、破線にて示している。プレート部材131は、電気亜鉛めっき鋼板(SECC)等の軟質な強磁性材料からなり、プレス加工にて成型される。プレート部材131の厚さは0.8mm程度である。中央樹脂部材132は、ポリカーボネイト(PC)等の樹脂の射出成型により形成される。これにより、プレート部材131および中央樹脂部材132は、一つの部品となる。
【0022】
プレート部材131は、プレート部材131の外周部であるプレート外周部51と、プレート部材131の中央部であるプレート中央部52と、プレート中央部52とプレート外周部51との間に位置する屈曲部53と、を備える。プレート外周部51は、中心軸J1に略垂直である。プレート中央部52は、中心軸J1に略垂直であり、プレート外周部51よりも上方に位置する。ターンテーブル13では、図1のクランプマグネット123とプレート外周部51との間にて、十分な磁気的作用を働かせることができる。このため、プレート部材131は、軟質な強磁性材料であればよく、安価な材料も選択可能である。これにより、ターンテーブル13が安価に製造される。
【0023】
図3は、プレート部材131の平面図である。図4は、図3の矢印Aの位置におけるプレート部材131の断面図である。図3および図4に示すように、プレート部材131には、プレート外周部51および屈曲部53の7箇所が打ち抜かれることにより、中心軸J1を中心とする周方向に7つの開口54が形成される。プレート部材131の略中央には、プレート中央孔55が形成される。プレート中央孔55には、プレート中央孔55から中心軸J1を中心とする径方向外方へと伸びる、7つの切欠部551が設けられる。さらに、プレート外周部51には、2つの微小孔部511が形成される。図3に示すように、プレート部材131の外縁部には、切欠512が形成される。
【0024】
図2に示すように、中央樹脂部材132は、プレート部材131の略中央に配置され、プレート外周部51よりも上方に突出する。中央樹脂部材132は、樹脂円筒部61と、ディスクガイド部631と、樹脂連結部632と、複数の爪633と、を備える。これらの部位を含む中央樹脂部材132全体が、一つながりの部材として形成される。樹脂円筒部61は、プレート中央孔55の内側に位置する。樹脂円筒部61には、中央樹脂部材132の中央およびプレート中央孔55の中央を上下に貫通する中央樹脂貫通孔611が設けられる。中央樹脂貫通孔611では、上部が、下方に向かうに従って径方向内方に傾斜する中央傾斜面612を有する。中央樹脂貫通孔611には、シャフト41の上部が固定される。また、図1のクランパ122をターンテーブル13上に位置させる際には、クランパ122の図示省略のガイド部が、中央樹脂貫通孔611に向かって上方から挿入される。中央傾斜面612が設けられることにより、ガイド部を容易に中央樹脂貫通孔611に挿入することができる。
【0025】
ディスクガイド部631は、中央樹脂部材132の上側の面の外周部に位置し、中心軸J1を中心とする径方向外方かつ下方に向かって傾斜する。プレート部材131の屈曲部53は、ディスクガイド部631の外周形状におよそ倣うように折り曲げられている。樹脂連結部632は、プレート中央部52上において、プレート中央部52の上面全体を覆うとともに、樹脂円筒部61とディスクガイド部631とをつなぐ。中央樹脂部材132では、ディスクガイド部631および樹脂連結部632が、プレート部材131よりも上方に位置する上部63を形成する。
【0026】
図5および図6は、ターンテーブル13の平面図である。図5において、平行斜線を付した箇所67は、後述の離型ピンが樹脂連結部632を押圧する箇所である。図6において、中央樹脂部材132には、明示のために平行斜線を付している。
【0027】
図5に示すように、複数の爪633は、上部63の外周部であるディスクガイド部631の7箇所に設けられる。爪633は、ディスクガイド部631から、中心軸J1を中心とする径方向外方かつ下方に向かって伸びる。図2に示すように、ディスクガイド部631と爪633との間には、アンダーカットが形成される。以下、モータ1の中心軸J1、すなわち、中央樹脂部材132の中心軸を中心とする径方向を単に「径方向」といい、中心軸J1を中心とする周方向を単に「周方向」という。
【0028】
図7は、図5の爪633近傍を拡大して示す図である。図7において、中央樹脂部材132には間隔の広い平行斜線を付し、プレート部材131には間隔の狭い平行斜線を付している。また、プレート部材131の開口54のエッジ541のうち、中央樹脂部材132により覆われた部分を、破線にて示している。中央樹脂部材132には、開口54のエッジ541上に樹脂層65が設けられる。樹脂層65の内側には、爪633と、中心軸J1に平行な方向に重なる爪位置貫通孔66とが形成される。図2に示すように、爪633の先端は、爪位置貫通孔66内に位置する。
【0029】
図1の記録ディスク9が、ターンテーブル13に取り付けられる際には、ディスクガイド部631により、ディスク中央孔91が爪633へとガイドされる。そして、爪633がディスク中央孔91に接しつつ、記録ディスク9がプレート部材131上に配置される。正確には、記録ディスク9は、プレート部材131上の環状ラバー133上に載置される。この状態にて、爪633は、樹脂連結部632により支持され、径方向内方に弾性変形している。爪633の弾性変形を利用することにより、記録ディスク9の中心を、中心軸J1上に正確に位置させることができる。モータ1では、高い調芯性能が要求されるブルーレイディスク等の記録ディスクであっても、ターンテーブル13に高精度に取り付けられる。
【0030】
図8および図9は、ターンテーブル13の底面図である。図9では、中央樹脂部材132に平行斜線を付している。図10は、図8の矢印Bの位置におけるターンテーブル13の断面図である。図10では、プレート部材131の奥側の形状を、破線にて示している。以下の図12および図13についても同様である。図8および図10に示すように、中央樹脂部材132の下部64において、中央樹脂貫通孔611の周囲には、上方に向かって窪む7つの微小凹部641が、周方向に等間隔に設けられる。
【0031】
後述するように、中央樹脂部材132の射出成型時には、微小凹部641に対応する位置に設けられたゲートから金型内のキャビティへと、樹脂が射出される。金型から成型品を分離する際には、ゲートにて樹脂が切断されるため、微小凹部641には、凸状のゲート痕であるゲートカット部641aが形成される。図10に示すように、ゲートカット部641aは、プレート部材131の切欠部551と、中心軸J1に平行な方向において重なる。さらに、図8に示すように、ゲートカット部641aは、周方向において爪633と爪633との間に位置する。
【0032】
次に、ターンテーブル13を製造する流れについて、図11を参照しつつ説明する。まず、複数のプレート部材131が、プレス加工にて成型される(ステップS11)。複数のプレート部材131は、所定の収容部に収容される。収容部内では、図3に示すプレート部材131の外縁部の切欠512が、棒状部材に当接した状態となっており、複数のプレート部材131の周方向の位置、すなわち、周方向の向きがおよそ一定となる。これにより、金型に対するプレート部材131の取り付けが容易となる。
【0033】
次に、搬送機構により、1つのプレート部材131が吸着保持されて、収容部から取り出される。図12に示すように、中心軸J1が水平方向を向くように、プレート部材131の上面が可動金型82に向けられる。ここで、中心軸J1方向は、可動金型82の移動方向に対応する。プレート部材131は、磁気的作用やエア吸引等を利用して、可動金型82の移動方向に垂直な状態にて可動金型82に取り付けられる(ステップS12)。このとき、プレート部材131の2つの微小孔部511に、可動金型82の位置決めピン821が挿入される。位置決めピン821が、微小孔部511と中心軸J1に垂直な方向に当接することにより、プレート部材131の可動金型82に対する中心軸J1に垂直な方向における位置が固定される。以下、微小孔部511を「位置決め部511」と呼ぶ。
【0034】
可動金型82およびプレート部材131は、中心軸J1に沿って静止金型81に近づく。図13に示すように、静止金型81および可動金型82により、プレート部材131が挟まれつつ、静止金型81および可動金型82が型締めされる。静止金型81と可動金型82との間には、キャビティ89が形成される(ステップS13)。キャビティ89内では、中心軸J1方向において、静止金型81の位置が、成型予定の中央樹脂部材132の下側に対応し、可動金型82の位置が中央樹脂部材132の上側に対応する。
【0035】
静止金型81は、キャビティ89内に樹脂を送る流路811と、爪形成部である第1爪形成部品812とを備える。第1爪形成部品812は、可動金型82へと突出する。静止金型81には、中央樹脂部材132の下部64に対応する位置に、プレート中央部52に向かって突出する微小凸部813が形成される。微小凸部813には、流路811のゲート811aが位置する。ゲート811aは、プレート部材131の切欠部551と、中心軸J1に平行な方向に対向する。
【0036】
可動金型82には、爪形成部である第2爪形成部品822が設けられる。第2爪形成部品822は、第1爪形成部品812に向かって突出する。第1爪形成部品812および第2爪形成部品822は、プレート部材131の開口54に挿入される。第1爪形成部品812と第2爪形成部品822との間には、爪633を形成するための爪形成空間891が形成される。また、第1爪形成部品812および第2爪形成部品822と開口54のエッジ541とは非接触であり、中心軸J1に垂直な方向において、樹脂層65を形成するための樹脂層形成空間892が形成される。
【0037】
静止金型81およびプレート部材131では、樹脂層形成空間892が確保されるのであれば、位置決め部511の周方向の幅と位置決めピン821の直径とは、正確に同じに設定される必要はなく、多少隙間が設けられてもよい。この場合、位置決めピン821と位置決め部511との間の周方向における幅は、第1および第2爪形成部品812,822とエッジ541との間の周方向における幅よりも小さい。
【0038】
可動金型82には、さらに、成型品を金型から分離するための離型ピン823が設けられる。離型ピン823は、プレート中央部52に対向する。プレート中央孔55には、中央ピン824が挿入される。中央ピン824の先端は、静止金型81に当接する。
【0039】
静止金型81および可動金型82が型締めされると、ゲート811aからキャビティ89内に、樹脂が高圧にて射出され、中央樹脂部材132が形成される(ステップS14)。このとき、ゲート811aは、切欠部551と中心軸J1に平行な方向に対向することから、切欠部551を通って中央樹脂部材132の上部63に対応する空間に、樹脂が勢いよく射出される。これにより、爪形成空間891に容易に樹脂が充填される。樹脂は、プレート部材131の下部64に対応する空間へも広がり、キャビティ89全体に完全に充填される。
【0040】
樹脂が十分に硬化すると、図14に示すように、可動金型82が静止金型81から分離される。このとき、樹脂円筒部61と中央ピン824とが接しているため、ターンテーブル13は、可動金型82とともに静止金型81から分離されることとなる。中央樹脂部材132では、静止金型81の微小凸部813に対応する位置に、微小凹部641が形成される。微小凹部641内には、ゲート811aにて樹脂が切断されたゲートカット部641aが形成される。
【0041】
その後、離型ピン823が、樹脂連結部632の7箇所を軽く押圧するとともに(図5参照)、搬送機構がターンテーブル13を吸着保持することにより、ターンテーブル13が可動金型82から分離される(ステップS15)。
【0042】
ターンテーブル13は、搬送機構により吸着保持された状態にて所定の容器に搬送される。1つのターンテーブル13が製造されると、収容部から新たなプレート部材131が取り出され、ステップS12〜S15が行われて、プレート部材131の中央に中央樹脂部材132が形成される。以上のようにして、複数のターンテーブル13が順次製造される。なお、環状ラバー133は、後の工程にてプレート部材131に貼付される。
【0043】
以上、説明したように、ターンテーブル13の製造では、切欠部551を通って中央樹脂部材132の上部63に対応する空間に、樹脂が勢いよく射出・充填される。その結果、キャビティ89内では、樹脂が同じように冷えて硬化するため、上部63に対応する空間において、樹脂のヒケが防止される。これにより、中央樹脂部材132の上側の面に高精度なディスクガイド部631が得られる。さらに、ゲートカット部641aがディスクガイド部631に位置しない。その結果、ゲートカット部641aがディスクガイド部631の形状に影響を与えることも防止される。
【0044】
なお、金型が、中央樹脂部材の上部に対応する位置からキャビティ内へと樹脂を射出するゲートを有する場合、ディスクガイド部が形成される位置を避けつつ、ゲートを配置する必要がある。これは、ディスクガイド部の形状精度を確保するためである。このため、金型設計の自由度が低下する。一方、仮にゲートを中央樹脂部材の下部に対応する位置に単純に設けるだけでは、中央樹脂部材の上部に対応する空間は、樹脂の最終充填箇所となる。その結果、当該空間では、下部に対応する空間に比べて樹脂の硬化が遅れる。これにより、中央樹脂部材の上部にヒケの発生し、ディスクガイド部が高精度に成型されない虞がある。上記実施形態に係るターンテーブル13では、これらの問題は生じない。
【0045】
プレート部材131では、プレート中央部52がプレート外周部51よりも上方に突出することにより、プレート部材131の上方における中央樹脂部材132の厚さが薄くなる。これにより、プレート中央部52の上面全体が覆われるターンテーブル13であっても、中央樹脂部材132の上部63、特に、ディスクガイド部631にて、樹脂のヒケの発生がより防止される。また、プレート中央部52および屈曲部53は、ディスクガイド部631および樹脂連結部632の外表面の形状に倣うよう形成される。このことから、屈曲部53およびプレート中央部52より上側の樹脂部分の厚みが、ほぼ同程度となっている。これにより、中央樹脂部材132の上部63における樹脂のヒケの発生が、より確実に防止される。
【0046】
プレート部材131では、プレート中央部52が設けられることにより、中央樹脂部材132とプレート部材131との接触面積が確保される。既述のように、プレート中央部52がプレート外周部51よりも上方に突出することから、プレート中央部52が樹脂により上下から挟み込まれる。これにより、中央樹脂部材132とプレート部材131との接触面積が、より確保される。その結果、プレート部材131と中央樹脂部材132との剥離が防止される。
【0047】
図8に示すように、ゲートカット部641aは、周方向において爪633と爪633との間に位置する。すなわち、周方向において図13の第1および第2爪形成部品812,822の間に、ゲート811aが位置する。これにより、ディスクガイド部631の爪633の間の部位に、ウェルドラインが位置することを防止できる。その結果、記録ディスク9のディスク中央孔91の当接する、ディスクガイド部631の爪633の間の部位が、精度良く形成される。また、当該部位に、ウェルドラインが形成されることによる樹脂のヒケの発生も低減される。
【0048】
中央樹脂部材132は、爪633の先端が爪位置貫通孔66内に位置するように設計されているので、射出成型時に第1および第2爪形成部品812,822を、爪633から分離するために必要な力が低減される。
【0049】
ターンテーブル13では、第1および第2爪形成部品812,822と開口54のエッジ541との間に十分な幅を設け、積極的に樹脂を流し込んで樹脂層65が形成される。このため、射出成型時に、開口54の内側では、樹脂のバリの発生がない。また、第1および第2爪形成部品812,822とプレート部材131の開口54とが、非接触である。このことにより、第1および第2爪形成部品812,822とプレート部材131との干渉が容易に防止される。その結果、第1および第2爪形成部品812,822の摩耗または損傷が防止される。
【0050】
ターンテーブル13は、インサート成型を利用することにより、少ない工数にて精度良く製造される。プレート部材131には、高い成型精度が要求されないことから、プレート部材131を安価なプレス加工にて成型できる。
【0051】
(第2の実施形態)
図15は、第2の実施形態に係るターンテーブルを示す断面図である。ターンテーブル13aの中央樹脂部材132aは、大きな複数のゲート凹部642を有する。複数のゲート凹部642は、周方向に等間隔に配列される。ゲート凹部642は、中央樹脂部材132aの下面から上方に向かって窪む。すなわち、ゲート凹部642の底部、換言すれば、ゲート凹部642の図15の上方に位置する天面643が、プレート部材131aよりも上側に位置する。後述するように、中央樹脂部材132aの射出成形時に、筒状の突出部がキャビティ内のゲート凹部642に対応する位置に配置され、突出部の先端のゲートからキャビティ内へと樹脂が射出される。このため、中央樹脂部材132aでは、ゲート凹部642の天面643に射出成形におけるゲート痕であるゲートカット部643aが形成されている。中央樹脂部材132aの他の形状は、図10に示す中央樹脂部材132と同様である。
【0052】
図16はプレート部材131aの平面図である。プレート部材131aは、中心軸J1に垂直な円形である。プレート部材131aの中央には、大きなプレート中央孔55が形成される。プレート部材131aでは、図3に示すプレート部材131の切欠部551が省略される。プレート中央孔55の周囲には、周方向に7つの開口54が等間隔に設けられる。図15に示すように、中心軸J1に平行な方向において、開口54と重なる位置に中央樹脂部材132aの爪633が設けられる。以下、第1の実施形態のターンテーブル13と同様の構成には、同符号を付して説明する。
【0053】
ターンテーブル13aが製造される際には、複数のプレート部材131aが、プレス加工にて成型される(ステップS11)。次に、搬送機構により、プレート部材131aの中心軸J1が水平方向に向けられた状態にて、図12と同様に、プレート部材131aが可動金型82に取り付けられる(ステップS12)。そして、図17に示すように、静止金型81および可動金型82が、プレート部材131aを挟み込みつつ、型締めされる。静止金型81と可動金型82との間には、キャビティ89が形成される(ステップS13)。
【0054】
静止金型81には、中心軸J1に平行な方向に可動金型82に向かって突出する突出部815が設けられる。突出部815は、型締め時に、中央樹脂部材132aの下面に対応する位置から、プレート中央孔55を通り抜ける。これにより、突出部815の先端が、プレート部材131aよりも上方に位置する。突出部815の内部には、樹脂をキャビティ89へと送る流路811が形成される。静止金型81の他の構造は、図12ないし図14の静止金型81と同様である。また、可動金型82の他の構造も、図12ないし図14の可動金型82と同様である。
【0055】
次に、突出部815の先端のゲート811aからキャビティ89内へと、樹脂が高圧にて射出され、中央樹脂部材132aが形成される(ステップS14)。樹脂は、プレート部材131aの上面側から下面側へと広がり、キャビティ89全体に充填される。
【0056】
樹脂が硬化すると、可動金型82がターンテーブル13aとともに、静止金型81から離される。さらに、搬送機構がターンテーブル13aを吸着保持することにより、ターンテーブル13aが可動金型82から分離される(ステップS15)。図15を参照して説明したように、中央樹脂部材132aでは、図17の突出部815に対応する位置にゲート凹部642が形成される。
【0057】
図18は、ターンテーブル13aの底面図である。図18では、中央樹脂部材132aに平行斜線を付して示している。中央樹脂部材132aでは、ゲートカット部643aが、周方向において爪633と爪633との間に位置する。すなわち、周方向において、図17に示す、第1および第2爪形成部品812,822の間に、ゲート811aが位置する。これにより、図15に示すディスクガイド部631では、爪633と爪633との間の部位に、ウェルドラインが位置することを防止できる。その結果、記録ディスク9のディスク中央孔91の当接する、ディスクガイド部631の爪633の間の部位が、精度良く形成される。
【0058】
第2の実施形態では、中央樹脂部材132aの上部63に対応する空間に、樹脂が勢いよく射出・充填される。これにより、第1の実施形態と同様に、樹脂のヒケの発生が防止され、高精度なディスクガイド部631が得られる。さらに、ゲートカット部641aがディスクガイド部631に位置しないことから、ディスクガイド部631がより高精度に成型される。突出部815のゲート811aが、周方向にて等間隔に配列されることから、キャビティ89への樹脂の充填を均等に行うことができる。なお、ゲート811aは正必ずしも等間隔に配置される必要はなく、例えば、複数個のゲート811aの集合が、周方向に等間隔に配置されてもよい。
【0059】
第2の実施形態では、より好ましくは、図19に示すように、プレート中央孔55のエッジ552、および、開口54のエッジ541の径方向内側の部位が、中央樹脂部材132aに覆われる。すなわち、プレート部材131aのエッジのうち、上下方向において中央樹脂部材132aと重なる部位の全てが、中央樹脂部材132aにて覆われることが好ましい。ただし、当該エッジのうち、型締め前の時点で静止金型81または可動金型82に接している部分は樹脂から露出する。中央樹脂部材132aの射出成型時には、図17に示す突出部518、並びに、第1および第2爪形成部品812,822とプレート部材131aのエッジとが、中心軸J1に垂直な方向に関して非接触とされる。これにより、突出部518、並びに、第1および第2爪形成部品812,822の摩耗または損傷が防止され、寿命が向上する。
【0060】
(第3の実施形態)
図20は、第3の実施形態に係るターンテーブル13bを示す底面図である。中央樹脂部材132bには、下方から見た場合に、径方向外方に広がる扇形の複数のゲート凹部71が設けられる。複数のゲート凹部71は、周方向に等間隔に配列される。中央樹脂部材132bの他の形状は、第2の実施形態に係る中央樹脂部材132aと同様である。
【0061】
図21は、ターンテーブル13bを図20の矢印Cの位置にて切断した断面図である。ゲート凹部71の天面712は、プレート部材131bよりも上側に位置する。天面712には、ゲートカット部712aが位置する。天面712の径方向内側には、下方に向かうに従って径方向内方に傾斜する傾斜面713が設けられる。また、中央樹脂部材132bの中央樹脂貫通孔611の上部には、第1の実施形態と同様に中央傾斜面612が設けられる。傾斜面713と中央傾斜面612との間の部位の厚さはほぼ一定である。
【0062】
図22は、プレート部材131bの平面図である。プレート部材131bの中央には、図16に示すプレート中央孔55と開口54とを繋いだ形状のプレート中央孔56が設けられる。プレート中央孔56では、径方向外方に伸びる複数の切欠状の部位561が開口54に対応する。以下、部位561を「切欠部561」という。切欠部561の間の部位は、径方向内方に向かって突出する突起部57となる。プレート部材131bの他の形状は、第2の実施形態に係るプレート部材131aと同様である。図20に示すように、中心軸J1に平行な方向において、切欠部561と重なる位置に中央樹脂部材132bの爪633が設けられる。
【0063】
図23は、中央樹脂部材132b近傍を拡大して示す底面図である。図23では、プレート部材131bに平行斜線を付している。ゲート凹部71は、プレート中央孔56内にて爪633の径方向内側に位置する。ターンテーブル13bを下方から見た場合に、ゲートカット部712aは、径方向において中心軸J1と爪633との間に位置する。また、周方向において隣接する2つのゲート凹部71の間の部位は、径方向に伸びるリブ72となっている。リブ72の厚さは、ゲート凹部71の周方向における幅に比べて十分に小さい。ゲート凹部71と爪633との間には、中心軸J1を中心とする環状の外縁部73が設けられる。
【0064】
ゲート凹部71では、径方向外側の側面711、換言すれば、外縁部73の内側面が、中心軸J1を中心とする円筒面の一部となっている。図21および図23に示すように、突起部57の径方向内側の部位は、中央樹脂部材132bにて覆われ、これにより、プレート部材131bが中央樹脂部材132bに固定される。
【0065】
ターンテーブル13bを製造する流れは、第2の実施形態とほぼ同様である。まず、プレス加工にて成形された複数のプレート部材131bの1つが、図24に示す可動金型82に取り付けられ、可動金型82と静止金型81とが型締めされる。静止金型81と可動金型82との間には、キャビティ89が形成される(図11:ステップS11〜S13参照)。なお、可動金型82および静止金型81の基本的な構造は、図17の可動金型82および静止金型81と同様である。
【0066】
型締め時には、静止金型81の複数の突出部815の先端が、中央樹脂部材132bの下面に対応する位置から、プレート中央孔56を介してプレート部材131bの図24における右側の空間、すなわち、中央樹脂部材132bの図21の上部63に対応する空間まで突出する。複数の突出部815は、周方向に等間隔に配列される。突出部815の径方向外方には、第1および第2爪形成部品812,822が配置される。可動金型82の移動方向に垂直な方向に関して、突出部815、並びに、第1および第2爪形成部品812,822はプレート部材131bと非接触である。
【0067】
流路811を介して突出部815の先端のゲート811aから樹脂が高圧にて射出され、中央樹脂部材132bが形成される(ステップS14)。そして、ターンテーブル13bが離型される(ステップS15)。
【0068】
第3の実施形態においても、中央樹脂部材132bの上部63に対応する空間に、樹脂が勢いよく充填されるため、上部63における樹脂のヒケの発生が抑制される。ゲート811aが、周方向に配列されることから、キャビティ89への樹脂の充填を均等に行うことができる。ゲート凹部71が、プレート中央孔56内に設けられることにより、ゲート凹部71を容易に大きくすることができる。また、切欠部561を設けることによってプレート中央孔56の最小径を大きくすることができ、ゲート凹部71をさらに大きくすることができる。
【0069】
ゲート凹部71の傾斜面713と中央傾斜面612との間の樹脂の厚さが一定であることにより、クランパ122のガイド部が接する中央傾斜面612における樹脂のヒケの発生が抑制される。これにより、記録ディスク9のクランプの信頼性が向上する。ゲート凹部71が扇形であることから、中央樹脂部材132bの樹脂の量を大きく削減することができる。また、ゲート凹部71の径方向外側の側面711が、円筒面の一部として形成されることにより、中央樹脂部材132bの外縁部73の肉厚をおよそ一定とすることができ、外縁部73における樹脂のヒケが抑制される。
【0070】
中央樹脂部材132bでは、リブ72が設けられることにより、中央樹脂部材132bの強度が確保される。さらに、リブ72の厚さが薄いことから、外縁部73がリブ72に接続する位置において、樹脂のヒケが抑制される。爪633の径方向内側にゲートカット部712aが位置するため、爪633にウェルドラインは形成されない。これにより、爪の強度の低下が防止される。このように、ターンテーブル13bでは、射出成型時のゲート811aの位置が、爪633に高い強度が求められる場合に適した位置となっている。高価な金型部品である突出部815が、プレート部材131bと非接触であることにより、突出部815の摩耗または損傷が防止され、寿命が向上する。同様に、第1および第2爪形成部品812,822もプレート部材131bと非接触であることから、寿命が向上する。
【0071】
図25は、他の例に係るターンテーブルを示す底面図である。図26は、図25のターンテーブル13bを矢印Dの位置にて切断した断面図である。図25に示すように、中央樹脂部材132bの外縁部73には、ゲート凹部71から爪633に向かって伸びる溝部731が設けられる。図26に示すように、溝部731を介してゲート凹部71の天面712と爪633の径方向内側の面とが連続する。ターンテーブル13bの他の形状は、第3の実施形態に係るターンテーブル13bと同様である。ターンテーブル13bでは、溝部731が設けられることにより、中央樹脂部材132bの樹脂をより削減することができる。
【0072】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。例えば、上記第1の実施形態では、プレート中央部52に、ゲート811aと中心軸J1に平行な方向に対向する孔部が設けられてもよい。この場合、中央樹脂部材132には、中心軸J1に平行な方向において、孔部と重なる位置にゲートカット部641aが形成される。
【0073】
プレート中央部52の上面は、樹脂連結部632により完全に覆われる必要はない。プレート中央部52の上面上の少なくとも一部において、樹脂連結部632により、樹脂円筒部61とディスクガイド部631とがつながれるのであれば、他の形状のターンテーブルが採用されてよい。この場合であっても、プレート中央部52がプレート外周部51よりも上方に位置することにより、ディスクガイド部631における樹脂のヒケの発生が防止される。中央樹脂部材132では、プレート中央部52の上下において、上部63の厚さと下部64の厚さとがほぼ同じである。しかし、上部63および下部64にて、樹脂のヒケ等の変形量が異なる場合には、上部63および下部64の厚さが、互いに異なる厚さとしてもよい。
【0074】
上記第3の実施形態では、ゲート凹部71が、周方向において爪633の間に位置してもよい。この場合、ゲートカット部712aの位置、すなわち、射出成型時におけるゲート811aの位置は、周方向において爪633の間に位置する。これにより、ディスクガイド部631の爪633の間の部位では、ウェルドラインが位置することが防止される。また、当該部位における樹脂のヒケの発生が低減される。逆に、上記第2の実施形態において、ゲート凹部642が、中心軸J1と爪633との間に位置してもよい。
【0075】
上記実施形態では、位置決め部511の数は、2以上であれば他の数であってもよい。また、孔状の位置決め部511に代えて、切欠状のものが採用されてもよい。爪633の数は、2以上であれば他の数であってもよい。好ましくは、1つの爪633が損傷することによる爪633全体への影響を低減するために、爪の数は5〜7とする。上記実施形態では、爪の数が、例えば、5である場合には、プレート中央部52に位置決め部が設けられてもよい。
【0076】
上記実施形態では、中央樹脂部材の射出成型の際に、プレート部材が静止金型81に取り付けられた状態にて、型締めされてもよい。可動金型82には、プレート部材の径方向外側の部位に当接する離型ピンが設けられてよい。静止金型81に、ターンテーブルを切り離す機構が設けられるのであれば、ターンテーブルを静止金型81に保持した状態にて、静止金型81と可動金型82とが分離されてもよい。
【0077】
上記実施形態では、静止金型81が、中央樹脂部材132の上側に対応する位置に設けられ、可動金型82が、下側に対応する位置に設けられてもよい。この場合、ゲート811aは、可動金型82に設けられ、第2および第3の実施形態では、可動金型82に、静止金型81に向かって突出する突出部が設けられる。
【0078】
上記実施形態では、図27に示すように、プレート部材131の外縁部に、図2のカップ部材21に対応する円筒部513が設けられることにより、回転部2の上端にターンテーブル13が設けられてもよい。円筒部513の内側には、ロータマグネット22が配置される。モータ1は、ハードディスク駆動装置等の、他の記録ディスク駆動装置に搭載されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、様々な記録ディスク駆動装置のモータとして利用可能である。
【符号の説明】
【0080】
1 モータ
2 回転部
3 静止部
4 軸受機構
9 記録ディスク
10 記録ディスク駆動装置
11 アクセス部
12 ハウジング
13,13a,13b ターンテーブル
52 プレート中央部
55,56 プレート中央孔
71,642 ゲート凹部
72 リブ
81 静止金型
82 可動金型
89 キャビティ
91 ディスク中央孔
122 クランパ
123 クランプマグネット
131,131a,131b プレート部材
132,132a,132b 中央樹脂部材
541,551 (プレート部材の)エッジ
551,561 切欠部
611 中央樹脂貫通孔
612 中央傾斜面
631 ディスクガイド部
633 爪
641a,643a,712a ゲートカット部
643,712 天面
711 (ゲート凹部の)側面
713 (ゲート凹部の)傾斜面
811a ゲート
815 突出部
S11〜S15 ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
強磁性材料からなるプレート部材と、
前記プレート部材の中央に配置され、樹脂の射出成型により形成された中央樹脂部材と、
を備え、
前記中央樹脂部材の上側の面に、ディスク中央孔をガイドするディスクガイド部が設けられ、
前記中央樹脂部材に、前記中央樹脂部材の下面から上方に向かって窪む複数のゲート凹部が設けられ、
前記複数のゲート凹部の天面は前記プレート部材より上側に位置し、
前記天面に、射出成型における複数のゲートカット部が設けられる、記録ディスク駆動装置のターンテーブル。
【請求項2】
前記複数のゲート凹部が前記中央樹脂部材の中心軸を中心とする周方向に配列される、請求項1に記載の記録ディスク駆動装置のターンテーブル。
【請求項3】
前記複数のゲート凹部のそれぞれの径方向外側の側面が、前記中心軸を中心とする円筒面の一部である、請求項2に記載の記録ディスク駆動装置のターンテーブル。
【請求項4】
前記周方向における前記複数のゲート凹部の間の部位が、リブである、請求項3に記載の記録ディスク駆動装置のターンテーブル。
【請求項5】
前記中央樹脂部材が、中央を上下に貫通する中央樹脂貫通孔を有し、前記中央樹脂貫通孔の上部が、下方に向かうに従って径方向内方に傾斜する中央傾斜面を有し、
前記複数のゲート凹部が、前記天面の径方向内側に、下方に向かうに従って径方向内方に傾斜する傾斜面を有する、請求項2ないし4のいずれかに記載の記録ディスク駆動装置のターンテーブル。
【請求項6】
前記プレート部材が、中央に位置するプレート中央孔を有し、
前記複数のゲート凹部が、前記プレート中央孔内に位置する、請求項2ないし5のいずれかに記載の記録ディスク駆動装置のターンテーブル。
【請求項7】
強磁性材料からなるプレート部材と、
前記プレート部材の中央に配置され、樹脂の射出成型により形成された中央樹脂部材と、
を備え、
前記中央樹脂部材の上側の面に、ディスク中央孔をガイドするディスクガイド部が設けられ、
前記中央樹脂部材の下部に、複数のゲートカット部が設けられ、
前記プレート部材における、中心軸に平行な方向において前記複数のゲートカット部と重なる位置に、孔部または切欠部が設けられる、記録ディスク駆動装置のターンテーブル。
【請求項8】
前記中央樹脂部材に、上部の外周部から下方に向かって伸びる複数の爪が設けられる、請求項1ないし7のいずれかに記載の記録ディスク駆動装置のターンテーブル。
【請求項9】
前記複数のゲートカット部が、周方向において前記複数の爪の間に位置する、請求項8に記載の記録ディスク駆動装置のターンテーブル。
【請求項10】
下方から見た場合に、前記複数のゲートカット部のそれぞれが、中心軸と爪との間に位置する、請求項8に記載の記録ディスク駆動装置のターンテーブル。
【請求項11】
前記プレート部材の中央部であるプレート中央部の上面全体が、前記中央樹脂部材により覆われる、請求項1ないし10のいずれかに記載の記録ディスク駆動装置のターンテーブル。
【請求項12】
静止部と、
軸受機構と、
前記軸受機構により前記静止部の上方にて支持され、前記静止部に対して回転可能に支持される回転部と、
前記回転部の上端に設けられた請求項1ないし11のいずれかに記載のターンテーブルと、
を備えるモータ。
【請求項13】
記録ディスクを回転させる請求項12に記載のモータと、
前記プレート部材を上方からクランプマグネットにて吸着することにより前記記録ディスクを前記ターンテーブル上にクランプするクランパと、
前記記録ディスクに対して情報の読み出しおよび/または書き込みを行うアクセス部と、
前記モータおよび前記アクセス部を収容するハウジングと、
を備える、記録ディスク駆動装置。
【請求項14】
a)強磁性材料からなるプレート部材を、可動金型の移動方向に対して垂直な状態で、前記可動金型または静止金型に取り付ける工程と、
b)前記可動金型と前記静止金型とを型締めすることにより、前記可動金型と前記静止金型との間にキャビティを形成する工程と、
c)前記可動金型および前記静止金型のうち一方の金型に設けられたゲートから前記キャビティ内に樹脂を射出することにより、前記プレート部材の中央に中央樹脂部材を形成する工程と、
を備え、
前記中心軸方向において、前記一方の金型の位置が前記中央樹脂部材の下側に対応し、他方の金型の位置が前記中央樹脂部材の上側に対応し、前記中央樹脂部材の上側の面に、ディスク中央孔をガイドするディスクガイド部が設けられ、
前記一方の金型が、前記移動方向に平行に前記他方の金型に向かって突出する突出部を備え、前記突出部の先端に前記ゲートが形成され、
前記b)工程において、前記突出部の前記先端が前記プレート部材のプレート中央孔を通り抜ける、記録ディスク駆動装置のターンテーブルの製造方法。
【請求項15】
前記b)工程において、前記移動方向に垂直な方向に関して前記プレート部材と前記突出部とが非接触である、請求項14に記載の記録ディスク駆動装置のターンテーブルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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