説明

ダイナミックな座りを可能にするために可動弾性脚部を有するチェア又はスツール

本発明は、座部(2)と、少なくとも1つの脚部(3)と、所定数の足部材(4)を有する少なくとも1つの足部(5)と、少なくとも1つのばね装置(6)とからなるチェアに関し、足部材(4)の特定の少なくとも1つ及び/又はその1つの部分要素(4’)が可動に形成され、負荷がかかったときにはばね式復元モーメントを受ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(001)
本発明は、少なくとも3つの可動ばね式足部材を有する足部を備えたチェアであって、これらの足部材はチェアの脚部に連結されているチェアに関する。
【0002】
(002)
2003年8月19日に出願されて「ロッキング・チェア」と題するドイツ特許出願第10338549.1号の優先権が請求される。
【背景技術】
【0003】
(003)
事務椅子は、端部にそれぞれ1つのローラを備えた星型の足部を備えていることが多い。事務椅子の可動性は、基本的に空気圧ばねによる高さ調整、及び背もたれ又は座面のばね弾性に限定されている。さらに、複雑な機械的システムがあるが、これは製造コストが高く、やや高価で、いわゆるダイナミックな座りは限定的にしか可能ではない。
【0004】
(004)
ダイナミックな座りに適したロッキング・スツールを、欧州特許出願第0808116号(特許文献1)から引用すべきである。このロッキング・スツールの場合、足部と脚部との間に配置されたゴム部材によって枢動運動が可能になる。この公知のロッキング・スツールは良好に機能し、能動的でダイナミックな座りという課題を果たすものである。
【0005】
(005)
WO01/91615A1(特許文献2)から、ばねによる軟らかなチェア足と重心座機構とを備えたチェアが公知である。この文献には五星足が開示されており、これはその自由端部に、ゴム・リングの上にばね式に支承されたローラを備えている。柔軟な足を有するさらに別のばねとして、五星型の代わりに、側方の枢動運動又は振揺運動を可能にするばね鋼からなるディスクが説明されている。
【特許文献1】欧州特許出願第0808116号
【特許文献2】WO01/91615A1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
(006)
本発明は、ダイナミックな座部を可能にし、好ましくは動きが容易なスツール又はチェアを提案するという課題に基づくものである。
【0007】
(007)
本発明はさらに、コストの安い方法で公知のロッキング・スツールに内在する良好な特性を低コストで確保しつつ、安価で簡単に製造されるスツール又はチェアを提案するという課題を基礎とする。
【0008】
(008)
本発明はまた、簡単な方法で転がり走行可能又は移動可能なチェアを、安全性を損なうことなく使用者のかなり多くの動きが可能であり、これによって固定着座の際に生じる姿勢障害が回避されるように、構想するという課題も基礎とする。
【0009】
(009)
さらに、高い水平高さにおいても安全で快適に座ることを可能にするチェアを提供する努力がなされる。とりわけ、このようなチェアが危険にさらされる位置に突然ひっくり返ることを回避すべきである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(0010)
これらの課題は、独立請求項1及び2に開示された教示によって解決される。
【0011】
(0011)
本発明によれば、好ましい一実施形態においては、チェアのばね弾性的に作用する足部に配置された複数の支え部材を足部材の領域に有するチェアが提供される。チェアに負荷がかかると、チェアの降下運動が生じて、支え部材の少なくとも1つが基面に関して転位する。
【0012】
(0012)
これを達成するために、チェアの足部材をばね式に支承することができるか、又は足部材を材料及び/又は構成からばね式に設計することができる。ばね式支承とばね式に設計された足部材との組合せも可能である。
【0013】
(0013)
ある特定の実施形態によれば、足部の360°回転範囲の部分範囲にわたって所望の復元力を調整でき、これによって例えば後方への不慮の強い揺動をより大きな復元力によって軽減することができることは有利である。
【0014】
(0014)
本発明によるチェアは、ばね弾性的に作用する足部の導入によって、座る場合に、脊柱の負担軽減を行うことができるダイナミックな上下運動を可能にする。さらに本発明によるチェアは、立ち上がり及び着席の際に支援作用を有する。これによって、例えば着席の際に脊柱に対する衝撃は減衰される。上下運動は、垂直に配置された例えば螺旋ばねの形の特殊なばね部材をチェアの足部に必要とすることなく、ばね式支承もしくは足部材の弾性によってのみ達成される。
【0015】
(0015)
新しい人間工学的知識は、チェアの可変性ならびに融通性にかなり大きな要求を課すので、本発明はチェアへのダイナミックな座りのための解決策を提供する。特に本発明は、支え部材(ローラ、スライドなど)を有するチェアにおける使用に適している。
【0016】
(0016)
本発明の利点は、対応するチェアが、健康に有益である能動的な上下/傾斜運動を可能にすることである。
【0017】
(0017)
本発明の別の利点は、対応するチェアが柔軟に使用可能で、可動であり、また安全なことである。
【0018】
(0018)
本発明は実施形態に応じて、既製の事務椅子に追加装備するのに適している。
【0019】
(0019)
星型に構成された足部材の場合に、足部材及び/又はその部分品がばね付勢されて上下に枢動可能であることにより、揺動運動によって荷重がかかる方向がそれぞれ対応するばね力によって規定されることが可能な実施形態が好ましい。
【0020】
(0020)
少なくとも1つの脚部の下部領域に、足部材の少なくとも1つが保持される少なくとも1つの保持領域が形成される実施形態が好ましい。この保持部を好ましくは、これに足部材を懸架可能に形成することができ、対応部品がこの足部材を所定位置に保持する。
【0021】
(0021)
対応部品に少なくとも1つのばね装置が形成され、これはあるいは保持部に形成されることもできる実施形態が好ましい。この際にばね装置は、足部材又は部分品の一領域がばね接合されているエラストマー部材から構成できることが好ましい。
【0022】
(0022)
さらに別の実施形態として、脚部又は保持部に設けられて少なくとも1つの足部材と脚部又は保持部との間に作用する引っ張りばね又は圧縮ばねを含むばね装置を備えることができる。
【0023】
(0023)
ばね力を調整するために、ばね装置に調整装置を備えることが有利である。
【0024】
(0024)
足部材の脚側の端部に、ばね装置の少なくとも1つのばね部材が作用する受け部が配置されることは好ましい。
少なくとも1つの足部材の脚側の端部に、本質的に下向きに開いた少なくとも1つのスリットが形成されることが有利である。これによって、足部材を簡単に懸架できることが有利に達成され、その際に足部材が下方に枢動可能であり、少なくとも下方に枢動した位置で上に載せることによって簡単に組立可能であるようにできることは好ましい。
揺動運動中のチェアの制御されない並進運動を防止する手段を備えることは好ましい。
【0025】
(0025)
足部が、ばね部材を通じて復元力が足部材に作用するように機械的に足部に関して懸架された足部材を含む実施形態は、特に有利である。この復元力は、開脚枢動運動に逆らって作用し、チェアに負荷がかかるときに生じて径方向に動いて互いに離れる足部材をチェアの中心軸に引き寄せようとする。この復元力を調整可能又は設定可能にできることが好ましい。
【0026】
(0026)
好ましい一実施形態では、チェアは複数の足部材を有し、これらの部材の足端部には各々、支え部材として働くローラが、斜めに立つ案内軸を通じて取り付けられている。
【0027】
(0027)
揺動運動中にロッキング・スツールの制御されない並進運動を防止する手段を備えることは好ましい。
【0028】
(0028)
このために、脚部の所定の傾倒時に床と接触し、床との摩擦によってロッキング・スツールの並進運動を防止するストッパの形式の手段を備えることができる。
【0029】
(0029)
関節継手を介してこのストッパを脚部と連結することができるが、脚部に固定的に取り付け、脚部の所定の傾倒時に床と接触するようにすることもできる。
【0030】
(0030)
しかし別の実施形態では、ストッパは足の外端部に固定的に取り付けられ、足と床とのすべての接触面が上にある円周に関して、この共通の円周の半径方向外側に位置するようにできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
(0031)
次に、本発明のさらなる詳細と利点を、実施形態を用いて図面を参照して説明する。
【0032】
詳細な説明
(0032)
図中別途、明確に言及しない限り、同一の部材には同一の参照符号を使用する。
【0033】
(0033)
次に、例示的な実施形態が問題となる本発明の有利な実施形態を説明する。これらの実施形態には、発明全体の様々な形成及び本発明の組立体と部品も含まれる。基本的に、様々な実施形態の説明される組立体と部品は互いに組み合わせられ、それぞれ個別の実施形態の組立体と部品は、別の実施形態の組立体と部品とによって取り替えられる。この際に形成される組合せは、各当業者に知られており、したがってさらに説明はしないが、例えば組立体及び部品の協働又はかみ合いを可能にするための若干の適合を条件とすることができる。
【0034】
(0034)
次に、いわゆるばね柔軟弾性の足部材について繰り返し言及する。この場合、本発明によれば復元部材を有するばね柔軟弾性的に支承された足部材、及び/又はそれ自体の弾性によってばね式に復元作用をする足部材が問題となる。足部材の弾性は、適切な材料選択、様々な材料の組合せ、及び/又は形状付与によって達成可能である。
【0035】
(0035)
次に、いわゆる支え部材について繰り返し言及する。この場合、上記に関連して、チェアの足部に固定可能であって基面に沿って容易に押されるか移動する部材が問題となる。特に支え部材として、滑動面、又はその他の滑動部材、及びローラが適している。滑動部材として、基面の性質に適合した滑動面を有する好ましい部材が使用される。チェアを例えばじゅうたんの上で使用しなければならない場合、滑動面にはじゅうたんの上での滑動を可能にする対応した層が備えられる。テフロン被覆又はナイロン被覆は特に適している。平滑な基面(寄せ木細工の床、石造床など)の場合には、例えば合成物質又はフェルトなどの別の滑動面を使用することが好ましい。
【0036】
(0036)
次に、支え部材の代わりにいくつかの特殊なローラについて言及する。ローラという概念の下では、これに関連して、車軸の周りを回転することができる車輪又は筒状物を理解すべきである。丸くなったローラが特に有利である。ツインローラもローラと見なされる。
【0037】
(0037)
本発明の様々な実施形態を説明する前に、まず、従来のチェアの場合に生じることができる様々な運動経過を取り扱う。これによって、本発明によるチェアのある部分に利用される複雑でダイナミックな関係を理解するための基礎が置かれ、本発明によれば、後で説明するように、様々な効果と運動が複雑な様式と方法で重なり合い、対応する寸法決定の場合にのみそれぞれの構成が特に問題となる。この様々な効果と運動は、様々な実施形態に関連して説明するように、共に積極的に作用する。
【0038】
(0038)
図1Aから1Cまでは、従来のある事務椅子の挙動を図示する。星型十字足(足部)の1つの足部材4の断面図が示されている。足部材4の自由端部には、ローラ8を備えた車輪懸架装置6が配設されている。車輪懸架装置6は、図示された簡単な例では、案内棒6.2のための保持部6.3(例えば繰り孔)を有するフォーク6.1を含む。案内棒6.2はまた、足部材4の中に備えられた保持部6.4の中にも入れられている。一般的には、スリーブが保持部6.4の中に嵌め込まれている。しかしこのスリーブは簡単にするために図には示されていない。案内棒6.2は、図示の例では基面9に対して垂直に延びる案内軸6.5を定義する。案内軸6.5と車軸8.1との間に、ここでは偏心支承として示される小さなずれが存在する。
【0039】
(0039)
チェアが正のX方向に引かれると、ローラ8は図1Aに示すように足部材4の後を追って走る。ローラは矢印8.2で示すように時計回りに回転する。チェアが逆方向に、すなわち負のX軸に平行に動かされる場合には、ローラ8が足部材4の先で走る図1Bに示す状態が短時間生じる。ローラは矢印8.2で示すように逆時計周りに回転する。しかしこの状態は不安定である。ローラ8は、ローラに横から小さな「妨害」力が作用するとただちに反転する傾向がある。この場合、ローラは、押される状態(図1B)から図1Cに示す姿勢に切り替る。この効果は従来の事務椅子の場合に見られるものである。この原理から、この挙動は、セミトレーラが牽引車によって後方に押される貨物自動車の挙動に似ている。
【0040】
(0040)
チェアのさらに別の考え得る変形を図2Aと2Bに示す。図示のチェアの変形は、案内軸6.5が傾斜しているという点で図1Aから1Cまでのチェアと本質的に異なっている。チェアが正のX方向に引かれると、ローラ8は図2Aに示すように足部材4の後を追って走る。ローラは矢印8.2で示すように時計回りに回転する。この姿勢は、実質上の開始点A1が基面9に図1Aから1Cまでにおける配置の場合よりも近くにあるので、比較的安定している。次にチェアが逆方向に、すなわち負のX軸に平行に動かされる場合には、ローラ8が足部材4の後を追って走る図2Bに示す状態が生じる。しかし、この状態を受け入れるためには、この状態へ移行する場合には足部材4と基面9との間の間隔を大きくしなければならないので、重力に対する抵抗を克服しなければならない。図2Aに示す姿勢から図2Bに示す姿勢に至るためには、ローラ8は案内軸6.5の周りの180度回転を達成しなければならない。この場合、事実上の開始点A1は上方へ移る。この効果は図1Bに誇張して示されている。垂直姿勢に関する案内軸6.5の傾斜は小さいので、図2Aに示す姿勢への急速転回を起こさせるためには、小さな障害(例えば基面9の非平坦性又は非対称の負荷)で十分である。垂直姿勢に関する案内軸6.5の傾斜の増加は、重力に対する抵抗を克服しなければならないので、ローラ8の周囲回転能力(案内軸6.5の周りの回転)の連続的な低下をもたらす。ローラの種類に応じて、また案内軸6.5と車軸8.1との間との傾斜ならびに間隔に依存して、多かれ少なかれ強く現れることが可能な2つの偏心作用が現れる。第1偏心作用は上述のように間隔Aの拡大として現れる。第2偏心作用は、ローラが回転推進する場合に縁部を通じて「傾倒する」ので出現する。この第2偏心作用は、ローラの縁が角張って設計されるほど強く現れる。ツインローラの場合はこの作用の強さは小さくなる。
【0041】
(0041)
図3に極めて概略的に示すように、ローラ8は図示した極端な場合(案内軸6.5が基面9に平行に延び、車軸8.1を切っている)にはもう回転推進はできない。案内軸6.5が平坦になるほど、この極端な場合に近づく。
【0042】
(0042)
別の極端な場合は、案内軸6.5が車軸8.1の上に垂直に配置されて、両軸が交差する場合である。ローラは走行方向に調整されないので、方向の変換は連続的に可能であるだけである。この場合は図示されていない。
【0043】
(0043)
図1A〜1C、及び2A、2Bに関連してこれまで説明したチェアは、案内軸の傾斜が基面に関して固定されたローラの配置を有する。
【0044】
(0044)
状況に応じて反応するチェアを準備するために、本発明によれば、チェアの足部は、負荷がかかったときにばね弾性的に作用するように実現される。この作用は、足部材のばねによる弾性支承、又は足部材自体がばねによって作動することによって達成可能である。これら両効果の組合せも可能である。
【0045】
(0045)
別の語で表現すれば、本発明による足部は少なくとも部分的に可動的であること及び/又はばね柔軟的に実現されることが重要である。この目的のために、この種のチェアは例えば可動的に支承された足部材(チェア脚)、ばね弾性足部材(チェア脚)、又はこのような足部材の組合せを有することができる。
【0046】
(0046)
足部材が運動及び/又は変形する場合に基面に対して転位可能である支え部材が足部に備えられている。この目的のために、この種のチェアは例えば、可動式に支承された足部材(チェア脚)、ばね弾性足部材(チェア脚)、又はこのような脚部材の組合せに、スライド又はローラを有することができる。
【0047】
(0047)
次に、ローラが支え部材として働く本発明による第1実施形態を説明するが、この場合、この焦点とされる対象はローラに基づく実施形態に限るものではないと解釈すべきである。
【0048】
(0048)
状況に応じて反応するチェアを提供するために、本発明の好ましい実施形態では、ローラの案内軸の姿勢(傾斜)は変更可能に実現される。ローラの案内軸の姿勢(傾斜)の変更は、足部材(チェア脚)のばねによる弾性支承によって、もしくは脚自体の弾性によって、又は足部材におけるローラの案内軸の可動式弾性支承によって達成される。チェアは、それが下記の状態を受け入れるか取得しようと努めるように実現される。すなわち、
(1)負荷がかかっていない状態では、初期妨害を起こさせるために、チェアの個々のローラの案内軸は基面に対して急傾斜、好ましくは垂直、又はわずかに負の方向に傾斜している。
(2)負荷がかかった状態では、チェアの個々のローラの案内軸は平坦(正の方向に傾く)であり、すなわち傾斜角は負荷のない状態におけるよりも大きい。
【0049】
(0049)
案内軸のこれらの状況に依存する傾きを通じて、ローラ・システムの自由度は減少し、この結果、このような本発明によるチェアのすべてのローラの調整された走行は不可能になる。チェアに負荷がかかると、個々のローラの負荷がかからない場合は調整される走行方向が解消され、少なくとも2つのローラの相互作用によって制動作用が生じる。この制動作用は、ローラを個別に制動する制動手段を必要とすることなく発生する。この制動作用を通じて、チェアは全体として制動され、基面に関してもはや移動することはできない。
【0050】
(0050)
それでもチェア1の個別のローラ8はさらに可動(つまり制動されていない)であり、図4A〜4Dに概略的に示唆するようにチェア1の(ばねによる)上下動を可能にするために、チェアの中心軸に対して半径方向に転がることができる。したがって、上述のように制動作用が生じた場合でも、ダイナミックな座りは本発明によってなおも可能である。
【0051】
(0051)
支え部材からなる滑動部材を使用する場合には、これらをチェアの中心軸に対して半径方向にも整列することができる。
【0052】
(0052)
本発明によれば、ローラ懸架装置の案内軸と車軸を、チェアに負荷がかかった際にローラがいわゆる不安定姿勢からいわゆる安定姿勢へ移行するように、互いに関連して置かれる。この場合、この移行は交換運動として示される。この交換運動はチェアにおいて、実施形態に応じてはっきり感じられ、ローラの転がり展開運動及び枢動運動(2倍偏心作用)を含む。1つのローラが交換運動の際に車軸の周りの小さな転がり展開を遂行し、ローラは案内軸の周りに約180度だけ枢動する。案内軸の周りの枢動の際に、ローラはその縁部の1つを通じて傾倒し、これらの縁部は走行面のローラ側壁への移行部を画定するものである。これらの効果は既に図2Bと関連して説明した。
【0053】
(0053)
ローラがある姿勢から別の安定した姿勢に急速に変わるときに生じる上記の効果は、様々なパラメータによって影響されるが、これらのパラメータは本質的にこれらの効果を支援するかもしくは弱めるかのいずれかである。1つの例はローラの形である。車軸に対応する円筒軸を有する円筒状物又はツインローラを使用すると、寸法決定に応じてローラの反転は困難になる。これに反して、薄いローラ又は球状のローラは、その走行面が車軸に平行に少ない広がりを有するので、案内軸の周りにより簡単に枢動する。別のパラメータは偏心度(最初にずれと称した)、すなわち案内軸6.5の車軸8.1に関する間隔である。上記の効果に対して影響を及ぼすさらに別の可能性は、ローラの支承によって生じる。楽に走行するように支承されたローラはチェアの運動に素早く追従し、人はチェアにその挙動における敏捷さを与えることができる。ローラの容易に制動される支承によって、その挙動を減少することができる。チェアの挙動の乱暴さは低くなる。
【0054】
(0054)
良好な滑動可能性を有する滑動部材も同様に、チェアの動きに急速かつ容易に追従するとされている。良好に滑る滑動部材が少ないほど、挙動の乱暴さの低いチェアをもたらす。
【0055】
(0055)
配置に応じて、また支え部材とその懸架装置/支承部(例えば、偏心度、ローラの大きさ、摩擦抵抗、表面及び基面の寸法形状と性状、その他)の個別のパラメータの選択に応じて、上記の運動挙動のゆがんだ作用が結果として生じる。
【0056】
(0056)
本発明のさらに本質的な要素として、チェアの支え部材の支点は負荷がかかったときにチェアの中心軸から見て半径方向外側に移り、これによって支え面の半径は高くなることが考慮される。これは自動的にチェアの不動性の向上につながる。
【0057】
(0057)
この外側への転位に、様々な様式と方法で成立することができる復元力が反対作用する。チェア1の中心支柱3に可動式に固定された固定足部材4(脚)の場合、ばね部材の装備によって復元力を作り出すことができる。復元力を生成するために、引っ張りばね、板ばね、ねじりばね、又は圧縮ばねを備え付けることができる。しかし、足部材4を弾性的に支承することも考えられる。弾性支承部は結果的に、チェア1に負荷がかかったときにそれぞれの足部材4に作用する復元力をもたらす。
【0058】
(0058)
しかし復元力は、足部材4自体又はその部分品がばねによって実現されることによって生じることができる。したがって足部材は、その形及び/又は利用される材料に基づいてばね式の作用を示すことができる。一般的には、チェア1に負荷がかかった場合には、足部材4又はその部分品は変形する。変形が増大するにつれて、この変形に反対作用する力(復元力)が調節される。
【0059】
(0059)
復元力は、多くの上記の効果の協働によっても生じる。
【0060】
(0060)
第1実施形態の詳細を図4A〜4Dに関連して説明する。図4Cには、ローラ8を4個だけ有するチェア1の概略平面図が示され、これらのローラ8はチェア1の垂直軸11に関して星型に配置されている。チェア1は図4Cでは荷重がかかっていない状態で示されている。チェア1は、ローラ8の基面9との支点を通じて、直径A1を有する円によって示唆される支え面を画定する。
【0061】
(0061)
図4A及び4Bは、図の平面内にある2個又は4個のローラを切る断面図を示す。両ローラ8ともそれぞれ、案内棒6.2を有するフォーク6.1を有する。この棒6.2は案内軸6.5を画定する。すべてのローラ8の案内軸6.5は中心荷重の場合に垂直軸11において切られている。案内軸6.5は、図4A及び4Cに示す状態では比較的急傾斜になっている。傾斜角βは一般的にはこの状態では0〜30度の間、好ましくは0〜10度の間にある。しかし実施形態に応じて、案内軸6.5が負荷のない状態では負の角度βを有することも考えられる。軸11の方向に上から下に向かう垂直圧力の場合、弾性的に作用する足部材を通じて、ゼロ設定を越える負の角度βは正の角度βに変わる。弾性的に作用する脚を通じて、案内軸6.5は、基面9上の増加する垂直圧力によって垂直軸11から遠ざかる。負の角度βは−5度と0度との間にある。角度βは負荷のない状態では負に設定されるので、チェア1の(初期妨害と呼ばれる)制動作用が生じる。その上、ローラ8を負に作動させることによって、すべてのローラが星型に内側に向かうので、支え面は小さくなる。案内軸6.5と回転軸8.1との間の偏心度すなわち間隔が大きくなると、車輪8の角度βも大きくなる。
【0062】
(0062)
次に、図4Bにおいて矢印10で示されるようにチェア1に中心で負荷をかけると、ローラ8は、図4Dにおいて大きな円で認めることができるように、放射状に外向きに動く。チェア1のこのような降下運動は、チェア1の足部の開脚運動と組み合わせて問題なく可能である。それは、4個のローラ8が互いに独立して半径方向に向けられた軌道の上を外向きに走行できるからである。これによって支え面の拡大が行われ(A2はA1よりも大きい)、この結果、チェア1の向上した安定性が得られる。支え面の拡大は本発明によるチェアの重要な特徴である。チェア1の非対称負荷の場合には、楕円形又はその他の支え面A2が生じることに留意されたい。
【0063】
(0063)
上記の開脚運動によって、荷重衝撃がローラ8の相互転動によって始まることが可能であり、上下運動が可能である。このような開脚運動は滑動部材の適用の場合にも同様に発生する。
【0064】
(0064)
ローラの案内軸の傾斜に関する前提条件は、ばねにより弾性的に支承された復元力を有する脚であるか、又はそれ自体がばね式の脚である。
【0065】
(0065)
ローラの案内軸の状況に依存する傾斜を達成するために、本発明によれば下記の手法が存在する。すなわち、
(1)足部材4へのローラ8の懸架は、各個別ローラ8の案内軸6.5が足部材4に関して負荷に応じて傾斜することができるように行われる(図5A及び5Bを参照)。
(2)足部材4へのローラ8の懸架は固定式であるが、足部材4はチェア1に可動式に固定され、さらに足部材4の動きによって基面9に関する案内軸6.5の傾斜が変化するようになっている(図6A及び6Bを参照)。
(3)足部材4へのローラ8の懸架は固定式であるが、足部材4は可とう性であり、さらに足部材4の変形によって基面9に関する案内軸6.5の傾斜が変化するようになっている(図7A及び7Bを参照)。
(4)上記の手法の1つ又は複数の組合せ。
【0066】
(0066)
第2実施形態の詳細を図5A及び5Dに関連して説明する。チェア1の概略側面図が示されている。チェア1は本質的に鏡面対称的に構成されている。簡単にするために、チェア1の一部分のみが示されている。チェア1は、座面(図示せず)と、足部材4に連結固定された中心支柱3とを含む。例えば、固定足十字が3本、4本、又は5本の足部材4を備えることができる。しかし、ディスク状、リング状、又は深鍋状の足部材を導入することもでき、その中央に支柱3が固定される。支柱3はその下端部において、例えばこのような足十字又は足部材の中央孔に座った円錐体を有することができる。ローラ8は、フォーク6.1を含む懸架装置によって支えられている。フォーク6.1の上端部には案内棒6.2が配設され、案内棒6.2は傾斜可能に足部材4の中に支承されている。チェア1に負荷がかかると、図5Bに示すように、チェア1は下がり、ローラ8は潜入運動を実行し、この場合に案内軸6.5は傾斜角度βだけ傾斜する。負荷に応じて、チェア1が下がると案内軸6.5はさらに様々に傾斜する。支え面は拡大する。案内軸6.5の傾斜を通じて、チェア1の足部のばね弾性的挙動が生じる。
【0067】
(0067)
第3実施形態の詳細を図6A及び6Bに関連して説明する。チェア1の概略側面図が示されている。チェア1は本質的に鏡面対称的に構成されている。簡単にするために、チェア1の一部分のみが示されている。チェア1は、座面2と中心支柱3とを含む。着席高さは、例えば従来のチェアにおけるように、上下移動用ねじ13が支柱3のねじ山の中に支承されることによって、高さ調整可能である。足部材4におけるローラ8の懸架は固定式である。しかし、足部材4はチェア1において可動式に固定され、足部材4の運動によって案内軸6.5の基面9に関する傾斜が変化するようになっている。図示した実施形態では、足部材4はその上端部において水平軸3.4を通して支柱3に枢動可能に連結されている。支柱3におけるこの関節はまったく概略的に図示されている。負荷のない状態(図6)では、ローラ8の案内軸6.5はわずかに傾斜している。静止状態における傾斜角度βは−5〜10度の間にあることが好ましい。図6Bに示すように、チェア1の中心に負荷がかかると、ローラ8は半径方向外向きに動く。足部材4は外側に動き、傾斜角βは増大する。これによって、ローラの案内軸6.5も図6Bにおいて分かるように傾斜する。この場合、傾斜角度βは60度までの傾斜を受け入れることができる。
【0068】
(0068)
これによって足部材4のこの開脚運動が制御されて生じるように、復元部材が差し込まれるか、又は復元モーメントによって開脚運動に反対作用する装置が選択されることが好ましい。図6Bには、極めて簡略化された復元部材12が示されている。これは、半径方向に軸11に対して向けられた復元力Rによって足部材4に作用する。この復元部材12を用いて枢動運動の特性に影響を及ぼすことができ、足部材4は完全に開脚してチェア1の支柱3の下端部が基面9の上に載ってしまうことを妨げることができる。足部材4の運動挙動は、懸架装置の種類と復元部材の準備とによって予め与えられ、ばね弾性として示されている。
【0069】
(0069)
図6A及び6Bによれば、チェア1の足部分は少なくとも3つの足部材4と1本の中心支柱3とを有し、足部材4の各々は、チェア1に負荷がかかった際に足部材4が、図6A及び6Bに関連して説明したように、枢動運動を実施して互いに半径方向に運動するように、機械的に支柱3に関して懸架されている。足部材4に復元力Rが作用することが好ましい。
【0070】
(0070)
このような実施形態では、足部材4におけるローラ8の固定懸架は、この場合、足部材4は案内軸6.5の周りに回転することができるが、足部材4に関するローラ8の傾斜は変わらない。このような実施形態を、図6A、6Bに示すように変化させることができ、案内軸6.5も傾斜可能に支承され、これはチェア1に負荷がかかったときに2つの傾斜運動の重なりを来たす。それに伴って、ばね弾性的作用も変化する。
【0071】
(0071)
第4実施形態の詳細を図7A及び7Bに関連して説明する。チェア1の概略側面図が示されている。チェア1は本質的に鏡面対称的に構成されている。簡単にするために、チェア1の一部分のみが示されている。チェア1は、座面(図示せず)と中心支柱3とを含む。支柱3に固定式に連結された足部材4が備えられている。足部材4におけるローラ8の懸架は固定式である。図7Bに示すようにチェア1の中心に負荷がかかると、足部材4は変形を受けるので、ローラ8は半径方向外向きに動く。足部材4の剛性に応じて、この変形は多かれ少なかれはっきり現れることが可能である。複数の個別足部材4を備える代わりに、ディスク状、リング状、又は深鍋状の足部材を導入することもでき、これらの部材4は弾性的に実現される。この実施形態では、ばね弾性的作用が本質的に足部材4の弾性変形可能性から生じる。
【0072】
(0072)
図7Aでは、傾斜角度βは約0度であった。負荷がかかると、図7Bに示すように傾斜角度βは増大する。弾性変形可能足部材4では、−5〜30度の傾斜角度βの変化が発生することができる。−5〜10度の傾斜角度になることが好ましい。
【0073】
(0073)
図8A及び8Bに、さらに別の実施形態を示す。チェア1の概略側面図が示されている。チェア1は本質的に鏡面対称的に構成されている。簡単にするために、チェア1の一部分のみが示されている。チェア1は、座面(図示せず)と中心支柱3とを含む。支柱3に固定式に連結された1つのディスク状足部材4が備えられている。支柱3は、図示の実施例では、点線で概略図示されているように、好ましくは円錐形に実現された下端部によって足部材4の中に差し込まれている。足部材4におけるローラ8の懸架は固定式である。チェア1の中心に負荷がかかると、足部材4は変形を受けるので、ローラ8は半径方向外向きに動く。足部材4の剛性に応じて、この変形は多かれ少なかれはっきり現れることが可能である。足部材4はリング状、又は深鍋状に実現することができる。
【0074】
(0074)
チェア1に負荷が非対称的にかかると、図8Bに部分的に示すように、足部材4は変形してローラ8の案内軸6.5は基面9に関して傾斜する。傾斜角度βは、負荷をかけたチェア1の場合は0〜30度の間にある。傾斜角度βは0〜10度の間にあることが好ましい。この実施形態では、ばね弾性的作用が本質的に足部材4の弾性変形可能性から生じる。
【0075】
(0075)
さらに別の実施形態を図9に示す。足部を含むチェア1が示されており、足部は1つの垂直支柱3と6本の脚4とを含む。6本の脚4の各々には1個のローラ8が取り付けられ、各ローラ8は懸架装置の車軸8.1の周りに転動可能に支承され、案内軸6.5を通じて回転自在にそれぞれの脚4に連結されている。ローラ8の懸架装置は脚4に固定的に連結され、すなわちローラ8はその懸架装置と共に案内軸6.5の周りに回転することができるが、脚4に関する案内軸6.5の傾斜は不変である。図示された実施形態は、脚4が支柱3に関して、チェア1に負荷がかかったときに脚4が枢動運動を実施して半径方向に互いに動くように、機械的に懸架されているという点を特徴とする。支承部は、支柱3の下端部に配設された弾性リング部材4.1を含む。脚4は、リング部材4.1を通過して半径方向に延在している。リング部材4.1を通じて脚4の機械的懸架装置は保護され、リング部材4.1は脚4に復元力を行使する。チェア1に負荷がかかった場合、ローラ8の少なくとも1つは潜入運動を実施し、この際にこのローラ8の案内軸6.5は基面に関してその傾斜βを変える。これによって、チェア1の少なくとも1つの支点が外方に転位する。
【0076】
(0076)
図9によるチェア1は負荷がかかっていない状態で示され、ローラ8は、案内軸6.5が本質的に垂直に立っているか、又は初期妨害が望まれる場合にはわずかに負に傾斜している態勢を取る。垂直又はわずかに負の傾斜によって、ローラ8の自由度は本質的には限定されず、ローラ8は問題なくチェア1の各運動に追従する。
【0077】
(0077)
この実施形態では、ばね弾性作用は本質的に脚4の特定の弾性的支承部から生じる。
【0078】
(0078)
脚4は、合成物質、理想的には繊維強化合成物質、又はアルミニウム・ダイカストから作られることが好ましい。しかし、例えば木材などの他の材料から作ることも可能である。材料の適切な組合せによっても、又は適切な造形によっても弾性的作用を達成することができる。
【0079】
(0079)
好ましい実施形態では、座面2と、取付け具2.1によって座部2の下方に装備された背もたれ2.2とが備えられている。
【0080】
(0080)
追加として、又は代わりに、脚4をそれ自体弾性変形可能に実現することができる。変形可能性は、例えば脚4の軸の側部ねじれによって達成可能である。
【0081】
(0081)
支柱3に装備されたばね部材(例えば一種のばね)を通じて、チェア1の脚4に作用する復元力を調整できることは好ましい。このようなばね14を図9に示す。このばね41は任意選択である。このようなばねを使用して、運動の自由度を、支柱3の領域に配置された弾性部材の影響を通じて制御することができる。
【0082】
(0082)
図10A及び10Bに、さらに別の実施形態の詳細を図示する。図10Aはチェアの足部の側面図であり、図10Bは線A−Aに沿った断面図である。チェアは、図示された実施例では通常構造形式のガス圧ばねを含む中心支柱3を有する。ガス圧ばねは部材3.1、3.2、及び3.3から構成されている。ガス圧ばねを通じて、チェアの座面の高さを調整することができる。全体として5本の湾曲脚4が備えられている。5本の脚4の各々にはローラ8が取り付けられ、各ローラ8は懸架装置6.1の車軸8.1の周りに回転可能に支承され、案内軸6.5を通じて回転自在にそれぞれの脚4に連結されている。ローラ8の懸架装置6.1は脚4に固定式に連結され、すなわちローラ8はその懸架装置6.1と共に案内軸6.5の周りに回転することができるが、脚4に関する案内軸6.5の傾斜は変わらない。図示された実施形態は、脚4が支柱3に関して、チェアに負荷がかかったときに脚4が枢動運動を実施して半径方向に互いに動くように、機械的に懸架されているという点を特徴とする。支承部は、支柱3の下端部に配設された弾性リング部材4.1を含む。脚4の各々は、図10Bで分かるようにスリーブ4.2の中に置かれている。脚4の各々のために、固有の枢動軸4.3が備えられている。これらの枢動軸4.3は支柱3の円筒状周囲に対して接線状に配置されて、チェアの中心軸11に垂直に通っていることが好ましい。リング部材4.1は、図示された実施形態では上部リング4.4と下部リング4.5とを有する。これらの両リングの間には弾性リング部材4.6が配置され、このリング部材4.6は、脚4が枢動軸4.3の周りに枢動される場合には、脚4の端部に復元力を行使する。復元力は、脚4の枢動の場合に弾性リング部材4.6の一部分が潜入する(変形する)ことによって生じる。任意選択的に、ばね又はディスクを使用して、運動の自由度を弾性リング部材4.6の影響を通じて制御することができる。このような影響を例えば、弾性リング部材4.6が負荷の際に脚4の1つを通じて上方へ変形できないか、又は変形が限定されるように実現することができる。ローラ8は、図10Bにおいて認識できるように、フォーク状に作られた懸架装置の中に位置付けられている。ローラ8の支承部はここでも偏心しており、すなわち案内軸6.5と車軸8.1とは交差していない。この実施形態では、ばね弾性作用は本質的に脚4の特殊な支承部/懸架装置から生じる。
【0083】
(0083)
本発明に関連して有利な方式で導入することができるさらに別の実施形態の可動式に支承されたチェア脚4を、図11A〜11Eに様々な図で示す。ローラは図11A〜11Eには図示されていない。図11Aはチェアの足部の斜視図である。チェアは、5本の脚4と1本の中心支柱3とを備えた足部を有する。図11Bは、チェアの下部領域を通る部分断面図を示す。図11Cは、各脚4が半径方向に配置されていることを認識すべき足の平面図を示す。各脚4は、機械的懸架装置4.7を介して個別に1本のリング状部材4.1に連結されている。図11Dは線A−Aに沿った断面図であり、図11Eは線C−Cに沿った断面図である。これらの断面図において、機械的懸架装置4.7の詳細を認識すべきである。脚4の各々は、例えば鋼索の形の引っ張り部材4.7を介して関節式にリング状部材4.1に連結されている。引っ張り部材4.7は、図では陰影で示された弾性スリーブの中に位置する。引っ張り部材4.7の張力に応じて、懸架装置の「弾性」を調整することができる。
【0084】
(0084)
リング部材4.1と引っ張り部材4.7の特殊な実施によって、復元力が脚4に作用する。この実施形態の場合には、ばね弾性作用は本質的に脚4の特殊な支承部/懸架装置から生じる。
【0085】
(0085)
脚4は、合成物質、理想的には繊維強化合成物質、又はアルミニウム・ダイカスト、又は木材から作られることが好ましい。
【0086】
(0086)
本発明によるさらに別のチェア1を通る断面図を図12Aに示す。概略側面図は図12Bから見るべきである。チェア1は、中心支柱3に関して機械的に懸架された複数の脚4を有する。支柱3の上端部には座部2が配置されている。支柱3はばね機構を含み、この個々の部材についてはここではさらには説明しない。運動の自由度が弾性リング部材4.11の影響を介して制御されるように、キャップ14.1の調整によってばね14.2に作用できることに、単に注目されたい。このような影響を例えば、弾性リング部材4.11が負荷をかけたときに脚4の1つによって上方への変形ができないか、又は単に制限されるように、実現することができる。チェアの脚の機械的懸架は次のように実施される。弾性部材/セグメント4.8及び4.11を、下リング状部材4.10と上リング状部材4.9との間に締め付ける。リング状部材4.9は、図12Bで付加的に認識されるように、脚4の1つが上方へ動く場合に屈服するように実現されることが好ましい。脚4に作用する復元力を、弾性リング部材4.11に影響するばね14.2の圧力を通じて調整することができる。脚4は中心支柱3の支え部分に枢動可能に連結されている。組立ての場合、下リング状部材4.10と上リング状部材4.9を嵌め込む前に、脚4を簡単に懸架する。脚4と支柱3とのこのような連結は、例えば全浮動軸などによって実現できる。弾性部材/セグメント4.8及び4.11は、図12Bに示すように、脚4のための保持凹部を形成する。次に、脚4は、例えば利用者によってチェア1に負荷がかかった場合に支柱3に関して上方へ押圧されるので、チェアの脚4は部材/セグメント4.11に共に圧力をかけ、復元力が調整される。図示の実施例では、部材/セグメント4.11は、支柱3の中心軸11から斜めに遠ざかる斜面4.12を備えている。この面4.12の傾斜に依存して、弾性部材/セグメント4.11の材料、その厚さ、及びばね14.2の作用によって復元力に影響することができる。下部領域が円筒状に上部領域が円錐状に形成されて、円錐部分が面4.12を画定するエラストマー・リングを嵌め込むことが好ましい。ばね弾性作用は、この実施形態では本質的にチェア脚4の特殊な支承部/懸架装置から生じる。
【0087】
(0087)
このようなチェアの別の詳細については、2003年8月19日に出願された「Pendelstuhl」(ロッキング・チェア)と題する最初に述べたドイツ特許出願第10338549.1号から引用されたい。
【0088】
(0088)
図13に、さらに別の好ましい実施形態を図示する。中心支柱3を有するチェアの足が示されている。チェアは6本の脚4を有し、このうち図では4本が認められる。各脚4はL形をなし、Lがあって、Lの短辺4.16は支柱3の中心軸11に平行である。Lの長辺4.15は本質的に基面9に平行に走っている。短辺4.16には複数の互いに離隔した凹部4.13が備えられている。脚4は、弾性リング状部材4.14が6本の脚4を囲むことができ、凹部4.13の中に入り込むように、支柱3の周りに配置されている。図示された実施形態では、リング状部材4.14が上から見て第2の凹部の中にある。上方へ及び/又は下方へ、脚4をディスク3.4、3.5などによって締め付けることができる。リング状部材4.14の姿勢又は個数に応じて、レバーの腕を変え、これによって調整の堅さを変える。脚4は、中心軸11に垂直な平面内において半径方向に動くことができる。この平面は、6本の脚4を備えている場合には、互いに60度の角度を形成する。任意選択として、弾性リング又は別の弾性体を下から脚4の間に位置付けることができる。このような部材によって、脚4の初期開脚を与えることができる。ばね弾性的運動は、この実施形態では本質的に脚4の特殊な支承とばね部材4.14から生じる。
【0089】
(0089)
代替案又は追加として、脚4自体を弾性的に実現して、負荷がかかったときに曲るようにすることができる。この場合、リング4.14を非弾性にすることができ、弾性脚の長さ(レバーの長さ)の変化が起こる。
【0090】
(0090)
さらに別の実施形態では、脚4は、その長さを変えることができるように設計される。脚4は例えば入れ子式に引き伸ばすことができる。
【0091】
(0091)
別の実施形態を図14の詳細図に示す。中心支柱3は、中心軸11に同心に配置された円筒状突出部3.7を有する。この円筒状突出部3.7を囲んで、図示の実施例では空洞3.9を形成する弾性の膨らんだ部材3.6が配置されている。脚は、単一の脚4によって図示されているように、弾性の膨らんだ部材3.6と連結されている。脚4の自由端には、ローラ懸架装置の案内棒を受け入れるための凹部6.4が備えられている。チェアに負荷がかかると、部材3.6は変形し、これによって脚4に必要な可動性を付与する。脚4の運動を通じて、案内軸6.5の傾斜角度は変化する。部材3.6は、空洞3.9内の圧力を変えてこれにより部材3.6の特性に影響することができるバルブ3.8を備えることができる。膨らんだ部材3.6の代わりに、例えば円筒状又はその他の形状の部材を使用することもできる。ばね弾性作用は、この実施形態では本質的に脚4の特殊な懸架装置から生じる。
【0092】
(0092)
好ましい一実施形態では、チェアは、支え部材として働くローラを伴って次のように設計されている。
(1)チェアは使用されていない状態では、チェアに座り込むかこれに突き当たる場合に、これによって転動しないように制動される。これによって案内軸はわずかに負の傾斜(−5<β<0度)を示す。
(2)チェアは、中心着座(対称負荷)の場合には自由に転動することができる。
(3)チェアは、片側負荷(非対称負荷)の場合には制動作用を始める。
【0093】
(0093)
すべての実施形態は、足部のばね弾性作用がダイナミックな座りを保証することができるという点で共通である。この場合、三次元すべてにおける座りの運動(ダイナミックな座り)は、脚の運動及び場合によってはチェアの支え部材のスライド/ローラと組み合わせて達成される。
【0094】
(0094)
ローラに基づくすべての実施形態は、ローラ懸架装置の案内軸と車軸が、チェアに非対称の負荷がかかった際にローラがいわゆる不安定な姿勢から安定姿勢に移行するように、互いに関係しているという点で共通である。この移行(潜入運動)によって、チェアの運動装置の自由度は減少する。これによって制動作用が生じ、これが本発明のチェアの優れている点である。
【0095】
(0095)
ローラ8を有する本発明のチェア1に非対称負荷がかかった場合、ローラ8は潜入運動によって自動的に、ローラ8の少なくとも2個が異なる方向を示してこれによりチェア1全体を基面に関して制動する姿勢を取り入れる。
【0096】
(0096)
チェアのローラは、不安定姿勢から安定姿勢に転ずる(潜入運動)前にローラはチェアの潜入運動の際に自由に追従走行するので、本発明が使用する効果を、ローラに制動されない場合に特に明確に観察することができる。その上、それ自体制動されないローラは、特に際立ったダイナミックな上下運動を可能にする。
【0097】
(0097)
本発明による制動作用の発生のためには、サイレント・ゴム、ブレーキ・パッド、又はローラを部分的に掴む鐘形の制動部材を必要としない。対照的に、このようなブレーキ手段の使用は、事情によっては本発明の効果を抑制する可能性がある。
【0098】
(0098)
潜入運動は、傾斜角度、すなわち垂直チェア軸11に関する案内軸6.5の角度がチェア1の負荷に応じて変化する場合に生じる。
【0099】
(0099)
垂直軸11に関するローラ8の案内軸6.5の傾斜角度βは−5〜30度の間にあることが好ましい。傾斜角度βが−5〜10度であることは特に好ましい。(例えば図12Aに示すような)丸くしたローラ8では、傾斜角度βは、縁部領域の丸みが少ないローラ8又は円筒物の場合よりも小さい。
【0100】
(00100)
任意の個数の脚を有するチェアを実現することができる。一般的には、3〜6本の脚が使用される。
【0101】
(00101)
いずれの図にも示されていないさらに別の実施形態では、様々な実施形態の変形形態を問題にすることができるので、チェアは定義された座部方向が割り当てられるように実施される。これは例えば、座面が部材3、4、6、及び8を含むチェアの下部構造に対して回転できないことによって達成することができる。この目的のために、例えば垂直溝を有する座部2を、垂直上下運動を可能にするが垂直軸11の周りの回転は可能にしない支柱3に導くことができる。座部方向は固定されているので、足部材4のばね作用を後方とは別の方法で前方に調整することができる。これによって、人はチェアによって例えば後方よりも前方により容易に傾動することができる。
【0102】
(00102)
さらに別の実施形態は、垂直支柱3と脚4との間に調整手段15が配置され、その出発点を、図15に概略的に両矢印で示すように、支柱3に沿って垂直に及び/又は脚4に沿って水平に押すことができる点で優れている。これによって、出発点の姿勢に応じて、初期開脚を調整及び/又は引っ張り強さを調整することができる。調整手段15の長さ又はその堅さ/弾性を変えることができ、移動させるためにスリット15.1、15.2が備えられている。出発点の領域に、調整手段15を例えば移動の後にねじ類又は類似物によって固定することができる。このような調整手段15を、挟まれることによる怪我を減少するために、支柱3と統合することもできる。
【0103】
(00103)
さらに別の実施形態を図16に示す。足部5の斜視図を参照されたい。足部材4のためのばね装置の一実施形態が示されている。この実施形態では、足部材4はスリット又は類似物によってばね鋼リング20を掴む。ばね鋼リング20は、エラストマーばね17のリング状突起の上に被せられ、ばね鋼リング20は上方にディスク状部材18を有する。この実施形態では、下からエラストマーばね17とばね鋼リング20とを覆うワッシャを備えることができる。ワッシャは、例えばねじ締めによって支柱3の一部である脚管15に、又は/及び1つの脚管に確保することができる。ばね弾性作用は、この実施形態では本質的に脚4の特殊な懸架装置から生じる。脚4はそれ自体を固定式に又はそれ自体ばね弾性式にすることができる。
【0104】
(00104)
図17に、足部5のためのばね装置のさらに別の実施例を示す。この実施形態では、ばね装置17は板ばね装置として形成され、この場合、1つ又は複数の板ばね19が足部材4の中に配置されている。図17には、異なる長さの概して4枚の板ばね19が足部材の中に付け足されている。板ばね19の形態、形状、及び個数は、これらは対応する要件に適応されるので、当業者の裁量に任せられる。固定するために、ボルト板24からなる図示の構造は締付けディスクを備えることができる。この場合、上部フランジ24’を有するボルト板24と下部締付けディスク25が、板ばね19の内在端部を共に締め付ける。ボルト24”の自由端にはねじ山が付けられ、この上にナットがねじり締められて必要な保持力をもたらす。パケット全体を足部材4の中空形成物の中に配置することができる。これによって、板ばね装置19を合成物質又はエラストマーの中に埋め込むことが可能である。ばね弾性作用は、この実施形態では本質的に、それ自体でばね式に作用する脚4の特殊な懸架装置から生じる。
【0105】
(00105)
図18は、足部材4の中で円錐形に形成された板ばね19に弾性的性質を有する合成物質が完全に流し込まれた装置を示す。ばね弾性作用は、この実施形態では本質的に、それ自体でばね式に作用する脚4の特殊な懸架装置から生じる。
【0106】
(00106)
図19は、足部材4が関節26によって関節支承部材27で脚部3の下端部に保持された、次の実施形態を示す。この実施形態では、足部材4のスリット16がばね弾性リングに広がるが、これは簡単にするために図示されていない。ばね弾性作用は、この実施形態では本質的に脚4の特殊な懸架装置から生じる。脚4をそれ自体固定式に、又はそれ自体をばね弾性的にすることができる。
【0107】
(00107)
図20に、関節付きフレーム26が1つ又は複数のばね26’によって代えられた、次の実施形態を示す。この変形形態では、足部材4はスリットによって支承部に、例えば図12Aに示すように、固定的に又は懸架装置14”によって可動式に保持することができるキング・ピン14’に広がることができる。カバー・キャップ17は締め付けを阻害することができる。ばね弾性作用は、この実施形態では本質的に脚4の特殊な懸架装置から生じる。脚4をそれ自体固定式に、又はそれ自体をばね弾性的にすることができる。
【0108】
(00108)
次の実施形態を図21に示す。ここで復元力は、足部材4の垂直辺と脚管3との間に配置された圧縮ばね19によって作り出す。枢動運動の際に圧縮ばね19は圧縮されて、これによって復元力を作り出す。この実施形態では、圧縮ばねの代わりにエラストマー物質も使用することができる。ばね弾性作用は、この実施形態では本質的に脚4の特殊な懸架装置から生じる。脚4をそれ自体固定式に、又はそれ自体をばね弾性的にすることができる。
【0109】
(00109)
図22に、本発明のさらに別の実施形態を示す。この実施形態では、足部材4は、可動部分4’と固定部分4”とに区分される。可動部分4’は関節式に固定部分4”に配置されている。両部分4’及び4”の間にばね装置19が形成されている。図示された実施例では、足部材4の下側に関節44が備えられ、この関節44は可動部分4’と固定部分4”との間の蝶番として働く。部分4’及び4”の互いに向かい合う面は共に、圧縮ばね19を中に入れたV形切取り部を形成する。チェア1に負荷がかかった場合には、可動部分4’は圧縮ばね19の弾力に対抗して枢動し、この方法で復元力を受ける。ばね弾性作用は、この実施形態では本質的に、それ自体でばね式に作用する脚4の特殊な懸架装置から生じる。
【0110】
(00110)
案内軸6.5と車軸8.1との間の間隔は、ここでは偏心支承として示されているが、本発明によれば一般的には0.5cm〜5cmの間にある。この間隔は1cmから3cmの間にあることが特に好ましい。この間隔が小さ過ぎても大き過ぎても制動作用の本発明による効果は現れないので、適切な間隔の選択は重要である。間隔が大き過ぎる場合には、特に案内軸が大き過ぎる負の傾斜βを示す場合、この場合にはローラが無負荷状態では近過ぎるので、安全性の問題が生じる可能性がある。1〜8cmの直径を有するローラが特に適している。この場合、2〜5cmの間にある直径を有するローラが特に有利である。
【0111】
(00111)
実施形態と様々なパラメータの選択に応じて、チェアの個々の構成部分の明確な協働を通じて相乗作用的効果が現れる。チェアの個々の構成部分は、例えば図面5A、5B、6A、6B、又は7A、7Bと関連して説明した作用を通じて呼び出される、ばね式に作用する脚である。
【0112】
(00112)
その上、本発明によるチェアは、まずばね弾性的に作用する脚を通じて上記の制動作用を示す支え部材(例えばローラ)を有することができる。
【0113】
(00113)
本発明によるチェアは、ローラが使用される場合に上記の制動効果を示すのみならず、負荷がかかった場合に概してその支え面を拡大し、ローラの走行可能性又は滑動部材の滑動可能性によって、垂直軸11に平行なほとんど摩擦のない保護された上下運動を可能にする。これらの効果の組合せ及び共同作用によって、安全性、動力学、健康、及び快適性の点に関して全部の要件を満たすチェアを提供することができる。
【0114】
(00114)
図23は、座部2と、脚部3と、足部5から半径方向に突き出た足部材4とを有するロッキング・スツール1のさらに別の実施形態を断面図で示すものである。図ではこのような足部材4が3個見える。実際の実施形態では任意の数のこのような足部材を足部に配置することができ、通常は4個と6個の間である。脚部3には座部2が足部5上で上下に揺動することを可能にするばね装置6が取り付けられている。図示した実施形態では、足部材は自由端にローラ8を備えている。しかし、スライド・スタッド上に取り付けたようなロッキング・スツールもあるので、これは、必ずしも不可欠ではない。脚部3の下部領域に配置された足部5は、足部材4が基本的に個々に懸架される、上下に枢動可能に支承された保持装置10を備えている。
【0115】
(00115)
足部5には保持装置10と連動する第2のばね装置9が備えられている。図示した実施形態では、保持装置10は360°の周囲にわたって配分された保持セグメント10’を備え、これらのセグメントは自由断面を画成し、互いに間隔を有している。図示した実施形態ではばね装置9は自由断面に嵌め込まれたエラストマー・リングからなっており、その下部は円筒形であり、上部は円錐形に外側に広がっている。加えて保持セグメント10’は対応する円錐形の面取り部を備えている。セグメント10’間の空隙には、後に詳述するように足部材4を係留できる軸ボルト14が取り付けられている。足部5内のエラストマー・リングの自由開口断面には脚部3の下部が嵌め込まれ、脚部の床向きの側はロック部材13によって足部と連結されている。
【0116】
(00116)
図23に示されている実施例では、脚部は第1ばね装置6を支持できる受け板11を備えている。この受け板は脚部3の管材10に固定されている。
【0117】
(00117)
ばね装置6のばね力は調整装置7によってユーザに合わせることができる。図26及び図28に示した実施例と組み合わせて使用されるばね装置の場合、この調整装置7は復元力を所望の揺動運動の大きさに合わせる役割をも果たす。
【0118】
(00118)
図24はロッキング・スツールの斜め下から見た透視図である。したがってロック部材13を有する足部5が示されている。
【0119】
(00119)
図25は足部材4の構成の概略図である。足部材4の脚部側の端部には下方に開かれたスリット16が形成されている。このスリット16によって足部材4は軸ボルト14に懸架される。足部材4の内端面は斜面4’を備えており、これによって足部材はばね部材9に形成された円錐の円錐形外面9’に接合する。足部材4の背面の上方に所定間隔を隔ててばね弾性材料からなる保護キャップ17が配置されている。キャップの下には、足部材4の背面が当接し、枢動運動の際にこれに沿って転動するローラ38が備えられている。保護カバー17は脚部の軸方向にほぼ並進移動するように取り付けられているので、足部材が上方に枢動運動を行うと、それぞれの足部材4に復元モーメントを加える。
【0120】
(00120)
図26はばね装置9の別の実施例を示している。この構成では、主としてスツールの上下の揺動運動に関与するばね装置6も、足部材4に作用する復元モーメント用のばね力の準備が整うと共に作用する。そのために板11の上方のばね6は保持セグメント10’からなるリング上の伝達板6’に支承されている。足部材4が上方に枢動運動すると、その斜面4’はリング9の円錐形のばね塊を押圧し、この部材を上方に押し上げ、この部材は伸張し、それ自体は受け板11に支承された伝達板6’へと押圧される。しかしこの受け板11はばね付勢されているので、上方に枢動するばね部材4には9からなるばね装置の復元力も、ばね6の力も作用し、それによってばね部材4は元の方向に押し戻される。この実施形態では、受け板11は脚部3の管材15に沿って軸方向に移動する。前もって軸方向の固定板11によって供給されている受け面に加わる力は、この実施例では保持セグメント装置10によって供給される。
【0121】
(00121)
図27には6個の保持セグメント10’と、嵌め込まれたリング状のエラストマーばね装置9とを有する保持装置10の透視図が示されている。
【0122】
(00122)
保持装置は図23との関連で既に説明したように、図示した実施例では角度で測定された互いの所定間隔をそれぞれ有する、環状に配置された保持セグメント10’からなっている。個々の保持セグメント間には、図示した実施例では軸ボルト14である保持装置がそれぞれ形成されている。それぞれが間隔を隔てた領域に嵌め込まれた軸ボルト14は保持セグメント10’を保持リングに連結する。この保持リングは内縁の保持セグメント10’の箇所にそれぞれ斜面10”を設けており、これはすべての保持部材の全体から見て、エラストマーばねリング9の円錐形の上部領域9”用の円錐形接触面を形成している。これに対応して、図示した実施例ではエラストマーばねリング9は一体のエラストマー・リングとして形成され、これは下部領域が保持部材10’の円筒形部分によって囲まれ、したがって保持部材10’の円筒形部分に当接し、また上部領域では円錐面9’に載置された円錐形拡張部を有している。
【0123】
(00123)
図26に示された実施例の場合、板6’は基本的に、直径が保持セグメント10’の上部内縁領域にあるように形成される。
【0124】
(00124)
これに対して、脚部3の管構造と足部5とが詳細な断面図で示されている図28に示された実施例の場合は、ばね装置9のゴム弾性材料上のばね6の支持面は大幅に小さい。伝達板6’の直径はその上に位置する受け板11の切り欠き部よりもやや小さい。受け板11内には穴があり、その内のり幅は脚部3の管15が通ることができ、適宜の荷重がかかると伝達板6’上に着座可能であるようなサイズである。それによって、ばねが最大限圧縮されると脚部はばね弾性のストッパ位置を見出す。
【0125】
(00125)
揺動運動、すなわち足部(この例では図示せず)が持ち上がった場合、弾性材料9は上方に圧縮され、その結果、伝達板6’が受け板11の切り欠き部へと押圧される。伝達板6’と受け板11との間に弾性の中間層を配置することができる。この実施形態によって、管の突起部15’と共に弾性リング9を通り、保持装置10の下側でねじ19によってホルダに固定された脚部の管をカルダン式に保持することができる。その際にねじ(図示せず)はワッシャ構造を介して保持装置10に支承される。
【0126】
(00126)
図29は足部材4用のばね装置の次の実施形態を示している。この実施形態では、足部材はスリット16を利用して1つのばねスチールリング20に作用する。ばねスチールリング20は図8から分かるように、エラストマーばね9の環状突起の上に被せられ、下縁でこれと面一に閉鎖される。この実施形態の場合は、下方からエラストマーばね9とばねスチールリング20とを覆うワッシャ21が備えられている。ワッシャはねじによって脚部の管15、又は脚部の管15’に固定される。脚部の管15’には逸れたエラストマー材料9用の受け部になる対向ワッシャ11’が取り付けられている。
【0127】
(00127)
好ましくは足部材4はスリット16と脚部側の端部との間の下縁に斜面22を備えており、これによってワッシャ21による妨害なしに足部材4を上方に枢動させることができる。
【0128】
(00128)
図示しない一実施形態では、足部材4に脚部側の端部に形成された径方向の突起部を形成することができ、これは下向きの面を有する斜面によるのではなく、その代わりにほぼ垂直な下向きの枢動力をエラストマー・リンク9にかける。このような実施形態では、エラストマー・リンク9を、上向きの端壁によって枢動力を吸収する、対応して厚い壁厚の簡単な弾性の管スリーブとして形成することができる。
【0129】
(00129)
足部材4がスチールばねリンク16を覆う箇所には、スリット16を経てスチールばねリンク20を覆うことができるように、対応する切り欠き部23がエラストマー・リンクに設けられている。
【0130】
(00130)
図31には足部5用のばね装置も別の実施例が示されている。この実施形態では、第2のばね装置9が、1枚以上の板ばね9”が足部材内に配置されている板ばね装置として形成されている。図31では概略的に、異なる長さの4枚の板ばね9”が足部材4に取り付けられている。板ばね9”の構造、形状、及び枚数は対応する必要性に合わせられるので、専門家の裁量に委ねられる。ボルト板24からなる図示した構造は固定用に締付けワッシャ25を備えることができる。それによって上部フランジ24’を有するボルト底板24、及び下部締付けワッシャ25は板ばね9”の内端部を締め付ける。ボルト底板24”の自由端には、必要な保持力を加えるためにナットにねじ込まれるねじが備えられる。パケット全体を足部材4の中空構造内に配置することができる。それによって、板ばね装置9をプラスチック又はエラストマー内に埋設することが可能になる。
【0131】
(00131)
図32は足部材内の円錐形に形成された板ばね9が弾性特性を有するプラスチック材料によって完全に封入された構成を示している。
【0132】
(00132)
図33は足部材4がピボット軸受け部材27の継手26によって脚部3の下端に保持されている次の実施形態を示している。この実施形態では、足部材4のスリット16は、明解にするためにここでは図示しないばね弾性リングを覆うことができる。
【0133】
(00133)
継手控え26の代わりに1つ以上のばね26’が使用される次の実施形態が図33aに示されている。この変化形では、スリット16を有する足部材4は例えば図23に示すように、固定的に、又は懸架部材14’によって可動的に保持できる軸ボルト14である軸受けを覆うことができる。
【0134】
(00134)
図34は足部5にあるばね装置9の次の実施例を示している。この実施例では、足部材4は基本的に床アーム29と垂直アーム29’とを有するL字形を有しており、水平の床アーム29は垂直のアーム29’よりも長く形成されている。足部材のアングル領域には一方では足部材4の水平アームの下の対応する保持用突起部30に作用し、他方では脚部3に作用するばね装置9が備えられている。さらに、各々の足部材4は懸架部材28によってこのアングル領域で枢動可能に保持されている。枢動運動の際に、足部材4は上方に押し上げられ、懸架部材28を支点に旋回する。その際に同時に、スツールの枢動運動又は揺動運動に対するモーメントを誘発する、ばね装置9によってもたらされる復元力が作用する。
【0135】
(00135)
上向きのすべてのアームは保護キャップ17によって覆われ、対象物が不慮に締め付けられないように保護されている。
【0136】
(00136)
図35には図12の実施形態の変化形が示されている。この場合、復元モーメントは足部材4の下に配置された引っ張りばねによってではなく、足部材4の垂直なアームと脚部の管3との間に配置された圧縮ばね9によって発生される。枢動運動の際は、引っ張りばねは圧縮され、それによって復元モーメントが発生する。この実施形態では、圧縮ばねの代わりにエラストマー材料を使用することもできる。
【0137】
(00137)
図36は図34に示した実施例の次の変化形を示している。この変化形の場合は、足部材4の上方に突出したアームは上端で懸架部材28’によって保持されている。復元するばね力は弾性の引っ張りリング9”’によってもたらされ、これは足部材4の垂直のアーム29’の外向きの背面で、そこに設けられた軸受け溝31内に嵌め込まれている。復元モーメントの強さを変更するため、リング9”’を様々な面に配置することができる。懸架部材28’までの距離を伸ばしたり縮めたりすることによって、発生される復元モーメントが強くなったり弱まったりする。懸架部材28’をリングのより近傍に配置するほど、復元力は小さくなる。逆に、この懸架部材から離れるほど、復元力は高まる。
【0138】
(00138)
図34に示すように、弾性リング9”’を補足して、弾性材料からなるキャップ17が図36に示した実施形態の場合は上方に突出した足部材4のアーム29’の上にねじ止めされると、弾性復元モーメントが生ずる。足部材4が撓むと、これがキャップ17の縁に突き当たり、揺動運動がさらに進展される場合は、この弾性キャップによって生ずる復元モーメントを超えなければならない。
【0139】
(00139)
図37はL字形の足部材4の上方に突出したアームが内向きの縁部で中心楔32に当接する次の実施形態を示している。この中心楔は脚部に沿って軸方向に移動可能であり、足部材4へのローラの精確な初期角度位置を可能にする。適宜の感化部材が足部材を所定位置に保持する。
【0140】
(00140)
L字形の足部材を有する別の実施形態が図38a及び38bに再現されている。この実施形態の場合、足部材4の復元モーメント用のばね力は、基本的に足リングとして形成されて、水平アーム29の背部に配置されたばねリング9IVによって供給される。このばねリング9IVの直径は、これが基本的に足部材4の外側の領域に接触するように選択される。
【0141】
(00141)
足リング9IVの断面は、所望の復元力を供給するために特別の態様で形成することができる。図38aに示された実施例では、ばねリング9IVの断面は、断面積の割にはリングの高い復元モーメントを供給する、例えばほぼ卵形の形状を有している。しかし、より弱い復元特性を有する平坦なリングを使用することもできる。
【0142】
(00142)
次の実施形態が図39及び40に示されている。実施形態のこの変化形では、足部5は弾性中空体33によって形成され、その外面には足部材4がほぼ固定的に取り付けられている。この実施形態では中空体33は好ましくは球形の形状を備えている。中空体33の中空空間34には弁35を介して圧力がかけられ、中空体33の外壁は弾性変形可能であるので、これに固定された足部材4は基本的に空間的な枢動運動を行うことが可能である。
【0143】
(00143)
図41は足部5の次の実施形態を示している。この実施形態では、保持装置は脚部3の管の突起部15’に直に固定されている。管の突起部15’は保持ディスク36を備え、その下面には保持ウエブ37が備えられ、両者の間には軸ボルト14が固定されている。外周の領域の保持ディスク36の下には、足部材4の背面4’が当接するディスク状のばね装置9が固定されている。軸ボルト14の上方に間隔を隔てて保持ディスク36の下にストッパ38が備えられ、これによってダイナミックな枢動運動中に足部材4が軸ボルト14から外れることが確実にないようにされる。
【0144】
(00144)
ばね装置9は図示した実施形態では3層構造を有するばねリング9からなっている。この3層は様々な軟性もしくは硬性のエラストマーの任意の組合せでよく、例えば最下層は非エラストマー材料製でもよく、図20に示すように、少なくとも2つの層の間に、当該の双方の層が所定角度だけ回転するとそれぞれ異なるばね特性に調整される、特定の形状の接触面を備えることができる。
【0145】
(00145)
図42に示される調整では、弾性材料からなるエラストマー・リング9が最大のばね力を有している。そこで双方の層がランプの長さの半分だけずれて対向するような角度だけ最上層を回転させると、一方の層のエラストマー材料のために、又は双方の層がそのようなエラストマー材料である場合には他方の層のためにも、部分的に形成された空隙を空けておくことができ、その結果、リング全体の弾性係数が低くなる。
【0146】
(00146)
特定の実施形態では、図42では粗いのこ歯パターンを有する特別に形成された接触面は補足的に極めて細かいのこ歯パターンを備えており(細部を参照)、それによって所定位置に回転したばねディスクがダイナミックな運動によって再度逆回転することが防止される。
【0147】
(00147)
図41及び42に示された実施形態で使用されているようなエラストマー・リング9の別の構成は、空気圧の昇降によって硬度を調整できるゴムホースを使用することである。
【0148】
(00148)
図43は本発明の次の実施形態を示している。実施形態のこの変化形では、保持装置10は脚部の管3の管部材15’のスリーブにも形成されている。スリーブには足部材4が軸ボルト14を支点に枢動可能に配置されている。足部材4の脚部側の端面には圧縮板39が配置されている。足部材4が上方に枢動運動すると、この圧縮板39が管セグメント15の方向に枢動する。圧縮板39の動作領域の高さでエラストマー・リングは管部材15の周囲に位置するので、圧縮板39は枢動運動の程度に応じてこのリング9を多かれ少なかれ圧縮する。弾性変形は復元モーメントを圧縮版に、ひいては足部材4に加える。
【0149】
(00149)
図43〜45に示されている実施形態では、足部材4の径方向外側の端部には床とローラ8との間の接触面の径方向外側にあるストッパ40が配置されている。
【0150】
(00150)
図43に示された実施例の場合にはストッパ40は足部材4に固定して配置されているのに対して、図44及び45に示されている実施例の場合、ストッパ40は管の懸架部材の一体の構成部品である。すなわち、ストッパ40はローラ8が枢動できるように回転軸42の延長部を形成している。それによって、ローラに対するストッパ40の相対位置が変化する。すなわち、ローラが径方向外側に枢動すると、ストッパはローラ/床の接触点43とスツールの中心との間に位置する。ローラが内側に枢動すると、ストッパ40はこの範囲の外側にある。足部材4の端部領域、すなわちローラ受けは、揺動荷重がかかった場合にローラ8が「逸れ」、ひいてはストッパ40が床と接触状態になるように、柔軟に、又は一定程度間でフレキシブルに形成することができる。それによって制動効果が得られ、スツールが転がって遠ざかることはない。
【0151】
(00151)
図46に示された実施例の場合は、ストッパ40は常に固定的にスツール中心/ローラの間隔の内部にある。それによって足部材4の方向への揺動の傾斜が特定の程度を超えると、ストッパ40のゴム・ニップルが絶えず床と接触することができる。というのは、前方に揺動すると、足部材4の懸架部材と保持装置10とのヒンジが床に接近して、足部材4の上方への枢動運動が行われるが、しかし足部材4と床との角度は小さくなるからである。図47に示されている実施例の場合も、ストッパ40はスツールの中心/ローラの間隔の内部にあり、すなわち脚部の管15に近接している。この場合、ストッパ40はエプロンの形状を有しており、その外縁は脚部(3)が適宜に傾倒すると床に支承される。
【0152】
(00152)
この特定のストッパ構造は、過度の揺動運動中にユーザの下のスツールが揺動傾きとは反対方向に転がって遠ざかることを防止する安全装置になっている。これに対して、接触点43の径方向外側にあるストッパ構造は足部材4と床との間により大きい角度を呈するので、この傾斜位置のために外側にあるストッパ40は床と接触状態になり、ひいてはスツールをその場に固定する。この効果は揺動運動が行われる方向と反対側の足部材の場合にも生ずる。この反対向きの足部材も床面との間に急な角度を呈し、それによって外側にあるストッパ40が床と接触状態になる。
【0153】
(00153)
明確に指摘されるべきことは、これまでの説明で示された実施例を任意に組み合わせることが可能であり、したがって、説明していない実施形態の組合せを実施することも特許の保護範囲から逸脱しない。したがって、例えばストッパ装置はどのような任意の構造のばね装置とも連動可能であり、したがって図43の実施例に限定されるものではない。
【0154】
(00154)
図48にはストッパ40が操作構造44によって揺動中に前方に枢動され、床との接触点を形成する実施形態を示している。そのためにストッパ40は枢着されている。
【0155】
(00155)
図49には本発明の実施形態の別の変化形が示されている。この実施形態では、足部材は可動部4’と固定部4”とに区分されている。可動部4’は固定部4”にフレキシブルに取り付けられている。双方の部分の間には第2ばね装置9が設置されている。図示した実施例では、足部材4の下側に継手44が備えられており、これは可動部4’と固定部4”との間の蝶番としての役割を果たす。互いに対向する部分4’と4”との分離面は共にV字形の切り欠き部を形成し、その中に圧縮ばね9”が挿入される。揺動の荷重がかかると、可動部4’は圧縮ばね9”の抵抗力に抗して枢動し、それによって復元モーメントを受ける。
【0156】
(00156)
この実施形態はV字形切り欠き部内に配置された圧縮ばね9”に限定されるものではないことが理解されよう。したがって圧縮ばねの代わりに板ばねを備えることもできる。このような場合はV字形の切り欠き部によって双方の部分4’と4”とが妨げられずに互いに相対的に捩れることが可能になる。
【0157】
(00157)
基本的に、可動部4’が揺動運動により固定部4”に対して相対的な枢動運動を行うと部分4’と4”との間に復元モーメントがかかることを可能にする、他のどのようなばね構造を選択してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0158】
(0031)
【図1A】従来の事務椅子の一部の概略断面図である。
【図1B】従来の事務椅子の一部の概略断面図である。
【図1C】従来の事務椅子の一部の概略断面図である。
【図2A】事務椅子の変化形の概略断面図である。
【図2B】事務椅子の変化形の概略断面図である。
【図3】極端な姿勢にあるチェアの足の概略断面図である。
【図4A】本発明による第1事務椅子の一部の概略側面図である。
【図4B】本発明による第1事務椅子の一部の概略側面図である。
【図4C】中心に負荷がかかった場合の本発明による第1事務椅子の概略上面図である。
【図4D】中心に負荷がかかった場合の本発明による第1事務椅子の概略上面図である。
【図5A】本発明による第2事務椅子の一部の概略側面図である。
【図5B】本発明による第2事務椅子の一部の概略側面図である。
【図6A】本発明による第3事務椅子の一部の概略側面図である。
【図6B】本発明による第3事務椅子の一部の概略側面図である。
【図7A】本発明による第4事務椅子の一部の概略側面図である。
【図7B】本発明による第4事務椅子の一部の概略側面図である。
【図8A】本発明による第5事務椅子の一部の概略側面図である。
【図8B】本発明による第5事務椅子の一部の概略側面図である。
【図9】本発明による第6事務椅子の斜視図である。
【図10A】本発明による第7事務椅子の一部の概略側面図である。
【図10B】本発明による第7事務椅子の一部の概略断面図である。
【図11A】本発明による第8事務椅子の一部の概略斜視図である。
【図11B】本発明による第8事務椅子の一部の概略断面図である。
【図11C】本発明による第8事務椅子の一部の概略上面図である。
【図11D】本発明による第8事務椅子の一部の概略断面図である。
【図11E】本発明による第8事務椅子の一部の概略断面図である。
【図12A】本発明による第9事務椅子の概略断面図である。
【図12B】本発明による第9事務椅子の概略側面図である。
【図13】本発明による第10事務椅子の概略側面図である。
【図14】本発明による第11事務椅子の概略断面図である。
【図15】本発明による第12事務椅子の概略側面図である。
【図16】本発明による別の実施形態の足部の上から斜めに見た概略斜視図である。
【図17】本発明による事務椅子の次の実施形態の概略図である。
【図18】本発明による事務椅子の次の実施形態の概略図である。
【図19】本発明による事務椅子の次の実施形態の概略図である。
【図20】図19による実施形態の代替詳細を示す図である。
【図21】本発明による事務椅子の次の実施形態の概略図である。
【図22】本発明による事務椅子の次の実施形態の概略図である。
【図23】本発明によるロッキング・スツールの概略軸断面図である。
【図24】ロッキング・スツールの足部を斜め下から見た斜視図である。
【図25】第1の変化形のばね装置を有する代替実施形態の足部である。
【図26】足部材がエラストマー材料に当接している、変化形のばね装置を有する次の実施形態の足部である。
【図27】エラストマーばねを有する保持装置を斜め下から見た透視図である。
【図28】脚部管と保持装置との軸断面図である。
【図29】別の実施形態の復元ばねを有する足部を斜め上から見た斜視図である。
【図30】図7に示した実施形態の詳細断面図である。
【図31】図8のA−A線に沿った断面図である。
【図32】ばね装置の次の実施形態の概略図である。
【図33】ばね装置の別の実施形態の概略図である。
【図34】ばね装置の別の実施形態の概略図である。
【図35a】図11の実施形態の代替詳細図である。
【図36】足部及びばね装置の次の実施形態の概略図である。
【図37】ばね装置の次の実施形態の概略図である。
【図38】ばね装置の別の実施形態の概略図である。
【図39】ばね装置の別の実施形態の概略図である。
【図40a】ばね装置の別の実施形態の概略図である。
【図41b】図16aの実施形態の斜視図である。
【図42】ばね装置の別の実施形態の概略断面図である。
【図43】図17の実施形態の透視図である。
【図44】ばねディスクを有するばね装置の別の実施形態の概略断面図である。
【図45】図19の実施形態の斜視図である。
【図46】ストッパを有するばね装置の別の実施形態の概略図である。
【図47】ストッパを有するばね装置の別の実施形態の概略図である。
【図48】機能位置にあるストッパを有する図22の実施形態の概略図である。
【図49】ストッパを有するばね装置の別の実施形態の概略図である。
【図50】脚部の管の箇所にストッパを有するばね装置の別の実施形態の概略図である。
【図51】ストッパと直立機構とを有するばね装置の別の実施形態の概略図である。
【図52】足部材の部分品が枢動可能に配置された、次の実施形態の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
座部(2)と、少なくとも1つの脚部(3)と、所定数の足部材(4)を有する少なくとも1つの足部(5)と、少なくとも1つのばね装置(6)とを有するロッキング・チェアであって、少なくとも特定の足部材(4)及び/又はその部分品(4’)が可動式に形成され、負荷がかかるとばねによる復元モーメントが作用することを特徴とするロッキング・チェア。
【請求項2】
少なくとも1つの脚部(3)と所定数の足部材(4)を有する少なくとも1つの足部(5)とを有し、足部材(4)の各々には少なくとも1つの支え部材(8)が連結されたチェア(1)であって、足部材(4)の少なくとも1つ及び/又はその部分品は、チェア(1)に負荷がかかるとチェア(1)がばねによる柔軟な降下運動を実施し、その際少なくとも1つの支え部材(8)が基面(9)に対して移動し、これによって、チェア(1)の中心軸(11)に対する少なくとも1つの支え部材(8)の位置によって定義されるチェア(1)の支点が外側に転位するように形成されていることを特徴とするチェア(1)。
【請求項3】
前記足部材(4)がばね式に支えられ又は懸架されている請求項1又は2に記載のチェア(1)。
【請求項4】
前記足部材(4)がばね式に作用し、足部材(4)がこの目的のために弾性材料を含むことが好ましい請求項1、2、又は3に記載のチェア(1)。
【請求項5】
前記足部材(4)が本質的に星形に配置され、前記足部材(4)及び/又は部分品は基本的に個々に上下に枢動可能であること、及びばね装置(4.11)は少なくとも特定の足部材(4)又は部分品に作用することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のチェア(1)。
【請求項6】
前記支え部材(8)が、前記基面(9)に沿って滑動/滑走運動を許すために滑動面を有することが好ましい滑動部材であることを特徴とする請求項2から5のいずれか一項に記載のチェア(1)。
【請求項7】
前記支え部材が、前記足部材(4)の端部に配置されているローラ(8)であることを特徴とする請求項2から5のいずれか一項に記載のチェア(1)。
【請求項8】
前記少なくとも1つの脚部(3)の下部領域の足部(5)に少なくとも1つの保持装置(4.10〜4.12)が備えられ、そこに前記足部材(4)の少なくとも1つが保持されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のチェア(1)。
【請求項9】
少なくとも1つの足部材(4)が前記保持装置(4.10〜4.12)によって懸架され、少なくとも1つの対応部品によって所定位置に保持されることを特徴とする請求項8に記載のチェア(1)。
【請求項10】
少なくとも1つのばね装置が前記保持装置に備えられていることを特徴とする請求項4に従属する請求項8に記載のチェア(1)。
【請求項11】
前記少なくとも1つのばね装置が、前記足部材(4)又は前記部分品の一領域がばね式に接合されたエラストマー部材であることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載のチェア(1)。
【請求項12】
前記少なくとも1つのばね装置が、前記脚部(3)又は前記保持部材(4.10〜4.12)に形成され、少なくとも1つの足部材(4)と前記脚部(3)又は前記保持部材(4.10〜4.12)との間に作用する少なくとも1つの引っ張り/圧縮ばねを備えることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載のチェア(1)。
【請求項13】
前記の少なくとも1つのばね装置のために、ばね力を調整するための調整装置を備えることを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載のチェア(1)。
【請求項14】
前記足部材(4)の脚部側の端部に、前記ばね装置の少なくとも1つのばね部材が作用する受け部を備えることを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載のチェア(1)。
【請求項15】
前記足部材(4)の少なくとも1つの脚部側の端部に、本質的に下向きに開いた少なくとも1つのスリットを備えることを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載のチェア(1)。
【請求項16】
前記足部材(4)は下方に枢動可能であり、少なくとも下方に枢動した位置では載せることによって簡単に組立可能であることを特徴とする請求項1から15のいずれか一項に記載のチェア(1)。
【請求項17】
前記ロッキング・チェアの制御されない並進運動を防止する手段を備えることを特徴とする請求項1から16のいずれか一項に記載のチェア(1)。
【請求項18】
前記少なくとも1つのばね装置を前記対応部品に備えることを特徴とする請求項5に従属する請求項9に記載のチェア(1)。
【請求項19】
前記支え部材が、前記足部材(4)に連結された制動されないローラ(8)であり、前記ローラ(8)の各々が、懸架装置(6)の車軸(8.1)の周りに回転可能に支承され、さらに、降下運動の際に前記ローラ(8)の少なくとも1つが自動的に潜入運動を行うときに前記少なくとも1つのローラ(8)の案内軸(6.5)が前記基面(9)に対してその傾斜(β)を変化させ、これによってチェア(1)の支点が外側に転位するように、案内軸(6.5)を通じて、前記足部材(4)に回転自在に連結されることを特徴とする請求項1に記載のチェア(1)。
【請求項20】
チェア(1)に負荷がかかると前記ローラ(8)が、降下及び潜入運動を通じて自動的に、前記ローラ(8)の少なくとも2つが異なる方向を示してこれによりチェア(1)全体を前記基面(9)に関して制動する状態を取ることを特徴とする請求項19に記載のチェア(1)。
【請求項21】
前記足部(4)が少なくとも3つの足部材(4)を含み、前記脚部(3)が中心軸(11)に本質的に平行に延在する中心支柱を有し、前記足部材(4)の各々が、前記足部材(4)が降下運動の際に枢動運動を実施して径方向に互いに分離運動するように、機械的に前記支柱(3)に関して懸架され、前記足部材(4)に復元力が作用することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のチェア(1)。
【請求項22】
懸架装置(6)が、前記案内軸(6.5)の周りに前記懸架装置(6)が回転可能であるが、前記足部材(4)に関する前記案内軸(6.5)の角度(β)は変化しないように、前記足部材(4)に剛性結合されることを特徴とする請求項19に記載のチェア(1)。
【請求項23】
懸架装置(6)が、前記案内軸(6.5)の周りに前記懸架装置(6)が回転可能であり、前記足部(5)に関する前記案内軸(6.5)の角度(β)がチェア(1)の降下運動の際に変化するように、前記足部(5)に結合されることを特徴とする請求項19に記載のチェア(1)。
【請求項24】
前記足部(5)が変形可能な足部材(4)を含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のチェア(1)。
【請求項25】
前記潜入運動が、前記ローラ(8)の少なくとも1つの転動運動及び枢動から生じる運動であることを特徴とする請求項19に記載のチェア(1)。
【請求項26】
復元力を作り出すために復元手段(3.6、4.1、4.7、4.8、4.9、4.10、4.11、4.12、4.13、4.14、12、14;15)が備えられていることを特徴とする請求項1から25のいずれか一項に記載のチェア(1)。
【請求項27】
前記ローラ(8)がそれ自体いずれの状態でも制動されないことを特徴とする請求項19から26のいずれか一項に記載のチェア(1)。
【請求項28】
チェア(1)の重心に負荷がかかる場合、前記チェア(1)が全体的に基面(9)に関して移動するときに、すべてのローラ(8)が互いに自動的に協調して追随走行することを特徴とする請求項19から27のいずれか一項に記載のチェア(1)。
【請求項29】
前記ローラ(8)の懸架装置(6)が、前記案内軸(6.5)が車軸(8.1)を切らないように整列されて、前記ローラ(8)の偏心支承が生じるように実施されることを特徴とする請求項19から28のいずれか一項に記載のチェア(1)。
【請求項30】
前記車軸(8.1)と前記案内軸(6.5)が、前記車軸(8.1)に直角な平面において、少なくとも0.5cm、好ましくは1cm〜3cm間にある間隔(A)を有することを特徴とする請求項19から29のいずれか一項に記載のチェア(1)。
【請求項31】
チェア(1)が、負荷がかかったときの降下運動によって拡張された基面を有することを特徴とする請求項1から30のいずれか一項に記載のチェア(1)。
【請求項32】
チェア(1)に負荷がかかったときに前記ローラ(8)が懸架装置(6)と共に不安定状態から安定状態に移行することを特徴とする請求項2から31のいずれか一項に記載のチェア(1)。
【請求項33】
能動的な上下/傾斜運動を可能にすることを特徴とする請求項1から32のいずれか一項に記載のチェア(1)。
【請求項34】
前記足部(3、4)及び/又は前記支え部材(8)が、負荷がかかっていない状態では前記支え部材(8)が自動的に前記足部(3、4)の方へ引き集められ、この引き集めによってチェア(1)の支点がより狭く中心軸(11)の方へ転位するように、機械的に配置されることを特徴とする請求項2から33のいずれか一項に記載のチェア(1)。
【請求項35】
負荷がかかっていない状態では、前記ローラ(8)の少なくとも2つが自動的に放射状に並び、内方に向けられ、これによってチェア全体(8)を基面(9)に関して制動することを特徴とする請求項2から34のいずれか一項に記載のチェア(1)。
【請求項36】
前記ローラ(8)が、車軸(8.1)を含む本質的にU形又はO形の断面を有することを特徴とする請求項7から35のいずれか一項に記載のチェア(1)。
【請求項37】
前記足部材(4)の各々が、前記足部材(4)がその縦軸の周りに回転することができ、これによって案内軸(6.5)が共に回転することにより前記ローラ(8)の姿勢が変わって制動作用が生じるように、中心支柱(3)に懸架されることを特徴とする請求項7に記載のチェア(1)。
【請求項38】
前記手段が、前記脚部(3)の所定の傾倒時に床と接触し、床との摩擦によって前記ロッキング・チェア(1)の並進運動を防止するストッパ(40)を備えることを特徴とする請求項17に記載のロッキング・チェア。
【請求項39】
前記ストッパ(40)が作動継手/ヒンジ継手を介して前記ローラ(8)又は前記脚部(3)と連結され、前記脚部(3)の所定の傾倒時に床に押圧されることを特徴とする請求項38に記載のロッキング・チェア。
【請求項40】
前記ストッパ(40)が前記足の外端部に固定され、すべてのローラ(8)がその上に配置されている円周に関して、該円周の半径方向外側に位置することを特徴とする請求項38又は29に記載のロッキング・チェア。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【図11E】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図30a】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図33a】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38a】
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【図38b】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【公表番号】特表2007−502631(P2007−502631A)
【公表日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−523583(P2006−523583)
【出願日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【国際出願番号】PCT/EP2004/009056
【国際公開番号】WO2005/018384
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(506054693)
【氏名又は名称原語表記】Josef GLOCKL
【住所又は居所原語表記】Ammerseestr. 6, 85551 Kirchheim Germany
【Fターム(参考)】