ダクトパネル、配管システム、配管方法
【課題】管部を強固に配管させる配管システムを提供する。
【解決手段】対象壁の壁面と所定の間隙を介して対向され、パネル貫通穴が設けられている第1板部と、当該第1板部の周辺に一部を除いて一体形成された第1周壁部と、略円筒状であり、パネル貫通穴に貫通されてパネル部と固定されている管部と、を備え、第1周壁部の突出端面が壁面と当接されるダクトパネルを用いて、壁貫通穴の開口の直径は、ダクトパネルの管部の外径よりも大きく、管部は壁貫通穴に貫通され、ダクトパネルの第1周壁部の突出端面は対象壁の壁面に当接され、第1板部と壁面が位置する平面との間、および、管部の外周面と壁貫通穴の内周面との間に硬化剤が一体的に充填されている配管システム。
【解決手段】対象壁の壁面と所定の間隙を介して対向され、パネル貫通穴が設けられている第1板部と、当該第1板部の周辺に一部を除いて一体形成された第1周壁部と、略円筒状であり、パネル貫通穴に貫通されてパネル部と固定されている管部と、を備え、第1周壁部の突出端面が壁面と当接されるダクトパネルを用いて、壁貫通穴の開口の直径は、ダクトパネルの管部の外径よりも大きく、管部は壁貫通穴に貫通され、ダクトパネルの第1周壁部の突出端面は対象壁の壁面に当接され、第1板部と壁面が位置する平面との間、および、管部の外周面と壁貫通穴の内周面との間に硬化剤が一体的に充填されている配管システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばマンホールの壁に貫通穴を設けて、当該貫通穴に例えばダクトスリーブを挿入させて配管させるダクトパネル、配管システム、配管方法に関する。
【背景技術】
【0002】
既存の通信接続枡(例えば、マンホール等)を活用して、増管させる技術がある。図1に、略円筒状の管部2(例えば、ダクトスリーブ)を、マンホールの内側からマンホール壁4に設けられた貫通穴6(以下、「壁貫通穴6」と示す。)に貫通させて配管させる様子を示す。以下の説明では、マンホールの内側、マンホールの外側をそれぞれ単に、「内側」「外側」と示す場合もあり、壁貫通穴6の2つの開口のうち、外側の開口を第1壁開口6eとし、内側の開口を第2壁開口6dとする。図1中のマンホール壁4は、マンホールの壁の貫通穴が設けられている箇所を切り取って示す(以下、同様とする)。壁貫通穴6の第1壁開口6eの直径と第2壁開口6dの直径は等しく、第1壁開口6eの直径は管部2の外径よりも大きい。図2に、管部2を壁貫通穴6に貫通させた従来の配管システム100を内側から見た平面図を示し、図3に配管システム100を外側から見た斜視図を示す。
【0003】
まず、壁貫通穴6から管部2を突出させることができるように、マンホールの外側の壁貫通穴6周辺を掘り起こす。壁貫通穴6を形成した後、図2に示すように、管部2を壁貫通穴6の中央に貫通させ、マンホールの内側(第2壁開口6dから)管部2を配置させる。ここで、「壁貫通穴6の中央に貫通させる」とは、「壁貫通穴6の開口の円周の中心と管部の開口の円周の中心とがほぼ一致するように貫通させる」ことを意味し、以下同様とする。
【0004】
そうすると、管部2の外周面2aと、壁貫通穴6の内周面6aとの間に空間R(以下、「収容領域R」という。)が生じる。そして、硬化されていない硬化剤をこぶし大程度の略球形状(団子状)にし、多数の団子状のモルタル10を収容領域Rに詰めて配置させる。以下の説明では、硬化剤をモルタルとして説明する。一方、図3に示すように、壁貫通穴6を貫通し、マンホール壁4の外側の壁面(以下、「第1壁面4a」と示す。)から突出した管部2を固定させるように、木枠(図示せず)などを用いて第1壁面4aに接するようにモルタル12(破線で示す)を充填させる。
【0005】
モルタル10、モルタル12が硬化されると、木枠を取り外す。そして、管部2の接続口2f(つまり、管部2の2つの開口のうち、マンホールの外側にある開口)に新たな管を挿入させることで管を延伸させる。また、図面においては、モルタルが接する外周面2aには、よりモルタルによる固定を強化させるために凹凸を設けるなどの処理が施されるが、図面簡略化のために当該処理の記載を省略する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の配管システム100において、図2示すように団子状のモルタル10を配置させているが、それぞれ隣接する団子状のモルタル10の間には、隙間rが生じてしまう。また、空間Rにモルタル10を配置させる処理と、マンホールの外側にモルタル12を木枠により充填させる処理とは、個別に行う。従って、管部2を固定させる強度は弱くなり、管部2が抜け落ちるという問題があった。また、地中にある井戸水などが、隙間rに入り込んでしまい、止水効果にも問題があった。また、空間Rに団子状のモルタル10を詰める作業において、作業者の技術力の差異により管部2を固定させる強度にムラが生じるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のダクトパネルは、第1板部と、第1周壁部と、管部とを有する。第1板部は取り付け対象の対象壁の壁面と所定の間隙を介して対向され、パネル貫通穴が設けられている。第1周壁部は、当該第1板部の周辺に一部を除いて一体形成されている。管部は、略円筒状であり、パネル貫通穴に貫通されてパネル部と固定されている。そして、第1周壁部の突出端面が壁面と当接される。
【0008】
または本発明の配管システムは、上記ダクトパネルの管部を対象壁の壁貫通穴に配管させるものである。壁貫通穴の開口の直径は、ダクトパネルの管部の外径よりも大きい。管部は壁貫通穴に貫通されている。ダクトパネルの第1周壁部の突出端面は対象壁の壁面に当接されている。第1板部と壁面が位置する平面との間、および、管部の外周面と壁貫通穴の内周面との間に硬化剤が一体的に充填されている。
【発明の効果】
【0009】
この発明のダクトパネルを用いた配管システムでは、第1パネル部やダクトブロックが有する第1板部と対象壁が位置する平面との間に収容領域Sが生じる。収容領域R(管部の外周面と、壁貫通穴の内周面との間の領域)と収容領域Sとが同一空間となる。そして、収容領域R、Sにモルタルを一体的に充填させる。収容領域R、Sに一体的に充填されたモルタルが硬化されることで、従来より強力に管部を固定させることができ、結果として管部の抜け落ち等を防ぐことが出来る。また、収容領域Rでは、モルタルが隙間なく充填される。従って、止水効果も期待できる。また、第1パネル部やダクトスリーブの流入口からモルタルを流入するだけなので、作業者の技術力の差異に関らず、管部を強力に固定させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、発明を実施するための最良の形態を示す。同じ部分には同じ番号を付し、重複説明を省略する。
【実施例1】
【0011】
以下の説明では、対象壁は、例えばマンホールの壁(以下、「マンホール壁4」という。)であり、第1空間をマンホールの外側の空間とし、第2空間をマンホールの内側の空間とする。
実施例1の配管システム200では、ダクトパネル300と、第1パネル部400とを用いる。図4にダクトパネル300の斜視図を示し、図5に図4とは反対側から見たダクトパネル300の斜視図を示し、図6A、図6B、図6Cにそれぞれダクトパネル300を真上、真正面、真下(図4記載のα方向、β方向、γ方向)から見た平面図を示す。
【0012】
ダクトパネル300の作成手法を簡単に説明する。ダクトパネル300は、薄板上の第2パネル部302と、配管対象である略円筒状の管部2(例えば、ダクトスリーブ)により構成される。図5に示すように、第2パネル部302には貫通穴(以下、「第2パネル貫通穴304」という。)が設けられる。第2パネル貫通穴304の開口の直径と管部2の内径は同一とされる。そして、管部2の開口と第2パネル貫通穴304の開口とが一致するように、管部2の開口の端面は第2パネル部302の固定面302aに接合される。また、第2パネル部302は4隅にそれぞれボルト貫通穴302bが設けられる。4つのボルト貫通穴302bの位置関係については後述する。このようにしてダクトパネル300は作成される。
【0013】
次に第1パネル部400について説明する。図7に第1パネル部400の斜視図を示し、図8に図7とは反対側から見た第1パネル部400の斜視図を示し、図9A、図9B、図9Cにそれぞれ、第1パネル部400を真上、真正面、真横(図7のα方向、β方向、γ方向)から見た平面図を示す。この実施例では第1パネル部は第1パネル部400A、400Bの2つから構成される。図7には、第1パネル部400A、400Bの2つに分けられている図を示し、図8、図9には400A、400Bが締結された図を示す。当該締結は、固定部(後述する)402A、402Bによりされる。まず、402A、402Bが締結された場合の形状について説明する。
【0014】
第1パネル部400は、薄板上の第1板部400a(図7参照)と第1周壁部400bとを有する。当該第1板部400aの周辺に、第1周壁部400bが一端側を除いて一体形成される。この例では、上方の周壁が除かれている。左右両端の第1周壁部400bを側壁部400cとし、底側の第1周壁部400bを底壁部400dとし、側壁部400c、底壁部400dの突出方向の長さ(高さ)hは同一である。そして、高さhが等しい場合、第1周壁部400b(側壁部400cおよび底壁部400d)は同一平面上に突出端面400eを有する。第1パネル部400の両面のうち、第1周壁部400bが形成されている面を対向面400iとし、対向面400iと反対側の面を反対向面400jとする。突出端面400eと対向面400iとは平行である。また、第1板部400aには貫通穴(以下、「第1パネル貫通穴400f」という。)が設けられており、管部2の外径と第1パネル貫通穴400fの直径は等しい。
【0015】
次に第1パネル部400A、400Bの締結の手法を簡単に説明する。固定部402A、402Bが、第1パネル部400A、400Bの反対向面400Aj、400Bj上に、互いに対向しあうように突出形成されている。図7の例では固定部402A、402Bは直方体状とされる。また、それぞれの固定部402A、402Bはお互いに対向しあうボルト貫通穴402Aa、402Baを有する。そして、固定部402A、402Bの対向しあう面402Ab、402Bb同士を当接させ、ボルト貫通穴402Aa、402Baに長ねじボルト60を貫通させ、両側からナット62、64で閉めつけ、面402Ab、402Bbを互いに圧接させることで第1パネル部400A、400Bを締結固定させる。図7では、簡略化のために、上方の固定部402A、402Bについての長ねじボルト60、ナット62、64を示すが、下方の固定部402A、402Bについても同様に固定する。また、以下の図面に示すボルト、ボルト貫通穴については、簡略化のためにねじ山、ねじ溝を省略する。図示するボルトはまた第1板部400aの4隅にはボルト貫通穴400kが形成される。4つの第1板部400aの位置関係については後述する。
【0016】
次に、実施例1の配管システム500について説明する。図10に配管システム500をマンホールの外側(第1空間)から見た斜視図を示し、図11に配管システム500をマンホールの内側(第2空間)から見た斜視図を示し、図12A、図12B、図12Cにそれぞれ配管システム500を真上、真正面、真下(図10記載のα方向、β方向、γ方向)から見た平面図を示す。
【0017】
マンホールの外側(第1空間側)の面を第1壁面4a、内側(第2空間側)の面を第2壁面4bとし、壁貫通穴6のマンホールの外側の開口を第1壁開口6eとし、マンホールの内側の開口を第2開口6dとする。また、マンホール壁4の壁貫通穴6の開口の直径は、管部の外径より大きいとする。図12に示すように、作業者は、ダクトパネル300の固定面302aと第2壁面4bとが当接するまで、マンホールの内側(第2壁開口6d)からダクトパネル300の管部2を壁貫通穴6の中央に貫通させ、作業者はダクトパネル300を支えておく。一方、マンホールの外側から作業者は、第1パネル部400の突出端面400eが全て第1壁面4aと当接し、かつ壁貫通穴6を貫通した管部2が第1パネル貫通穴400fを貫通するように、作業者は第1パネル部400を支えておく。
【0018】
作業者により支えられたダクトパネル300の4つボルト貫通穴302bと作業者により支えられた第1パネル部400の4つのボルト貫通穴400kがそれぞれ対向するように、4つのボルト貫通穴302b、400kを設ければよい。そして、予めマンホール壁4には4つボルト貫通穴302b、400kにそれぞれ対向するボルト貫通穴4c(図示せず)を設ける。そして、ボルト貫通穴302b、4c、400kの全てを貫通するように長ねじボルト70を貫通させ、マンホールの外側、内側の両方からナット72、74で締め付けることで、マンホール壁4を介して、ダクトパネル300、第1パネル部400を一体的に固定させる。図10、図11では図面簡略化のために、1つのボルト貫通穴のみについて、長いねじボルト70、ナット72、74を示しているが、実際はその他3つのボルト貫通穴についても同様の締め付けが行われる。
【0019】
第1パネル部400を固定させると、第1パネル部400の第1周壁部400b(側壁部400cと底壁部400d)により、第1板部の対向面400iと「第1壁面4aが位置する面」との間に所定の間隔(つまり、第1周壁部400bの高さh)が生じ、収容領域Sが生じる。ここで「第1壁面4aが位置する面」とは、第1壁面4a上に、壁貫通穴6の開口がない場合の面を意味する。また、収容領域Sを厳密にいうと、対向面400i、第1壁面4aが位置する面、底壁部400d、両端の側壁部400cに囲まれた領域である。また、上述したように、収容領域Rは、管部2の外周面2aと、壁貫通穴6の内周面6aとの間の領域である。そうすると、収容領域Rと収容領域Sとは同一空間になる。そして、図10に示すように、上述のように第2パネル部400の上方の周壁が除かれていることから、開口が形成され、この開口からモルタルを流入させる。当該開口を流入口400gとする。第1周壁部400bと第1壁面4aとの間から流入されたモルタルが漏れないように、突出端面400eにはシールスポンジを付することが好ましい。図10ではモルタルを流入し終わった場合を示す。また、流入口400gから多少のモルタルが漏れたとしても問題はない。配管システムの形成して管延伸作業の終了後、マンホールの外側(流入口400gが位置している箇所)を土で埋設するからである。
【0020】
図10に示す線XX’について1パネル部400の側壁部400cの突出方向と平行、垂直に切った断面をそれぞれ図13A、図13Bに示し、線YY’について側壁部400cの突出方向と平行に切った断面を図13Cに示す。点を付している箇所が流入されたモルタル15である。図13Cに示すように、一体生成された収容領域R、Sにモルタルが一体的に充填される。そして、第1パネル部400の反対向面400jから突出した管部2の接続口2fに新たな管を挿入させることで管の延伸作業を行う。
【0021】
このように、収容領域R、Sに一体的にモルタルが充填させることで、従来の配管システム100と比べて管部2の固定強度が格段に上がる。また、図13Bに示すように、管部2の外周面2aと壁貫通穴6の内周面6aとの間には、モルタルは隙間無く充填される。従って、従来の配管システム100と比べて止水効果も格段に上がる。また、作業者はモルタルを流入口400gから流入するだけでよいので、作業者の技術力の差異による管部2の固定強度のムラがなくなる。
【実施例2】
【0022】
以下の説明では、管部2の両方の開口のうち、管部2を壁貫通穴6に挿入した場合のマンホールの外側に位置する開口(接続口2f)の端面を第1開口端面2cとし、マンホールの内側の開口(以下、第2開口2h)の端面を第2開口端面2bとする。通常、マンホールの壁4の厚さは事前に把握できない場合が多い。ダクトパネル300の管部2を壁貫通穴6に貫通させた際に、管部2の長手方向の長さが短いがために、第1壁面4aが位置する平面に届かない場合や、第1パネル貫通穴400fを貫通できない場合がある。この場合に、モルタルを収容領域Sに充填させると管部2の第2開口がモルタルに埋まってしまい、新たな管の挿入ができなくなる。そこで、この実施例2のダクトパネル600を用いた配管システム700は、マンホールの壁4の厚さが把握できない場合であっても、配管できるというものである。
【0023】
図14に実施例2のダクトパネル600の斜視図を示し、図15に図14記載のα方向から見たダクトパネル600の斜視図を示す。ダクトパネル600の形状を簡単に説明すると、固定部402A、402Bを除去した第1パネル部400(図7参照、以下「パネル部400」と示す。)の貫通穴400fに管部2を貫通させたものである。パネル部400の説明は、実施例1で説明したとおりであるが、念のため図14、図15を用いて説明する。
【0024】
パネル部400は、薄板上の第1板部400aと第1周壁部400bとを有し、第1周壁部400bは当該第1板部400aの周辺に一端側を除いて一体形成される。この例では、上方の周壁が除かれている。両端の第1周壁部400bを側壁部400cとし、底側の第1周壁部400bを底壁部400dとし、側壁部400c、底壁部400dの高さhは同一である。そして、第1周壁部400b(側壁部400cおよび底壁部400d)は同一平面上に突出端面400eを有する。パネル部400の両面のうち、第1周壁部400bが形成されている面を対向面400iとし、反対側の面を反対向面400jとする。突出端面400eと対向面400iとは平行である。
【0025】
次に、この実施例の配管システム700と、配管システム700の構成手法である配管方法について説明する。上述のように、この実施例の前提として、マンホール壁の厚さが事前に分からないという状況である。配管方法の最初の一過程としてマンホールの外側からダクトパネル600の第1周壁部400bの突出端面400eがマンホールの壁4の第1壁面4aに当接するまで、第1壁開口6eから管部2を前記壁貫通穴の中央に挿入するのであるが、当該挿入させた場合に以下の3つの状況が考えられる。壁貫通穴6を貫通した管部2の第2開口端面2bと第2壁面4bとが同一平面をなす第1の状況、第2開口端面2bが第2壁面4bが位置する面に届かない第2の状況(実施例3で説明)、第2開口端面2bが第2壁面4bが位置する面を超えてしまう第3の状況がある(実施例4で説明)。まず、第1の状況から説明する。
【0026】
図16にダクトパネル600を用いた配管システム700をマンホールの外側から見た斜視図を示し、図17にマンホールの内側から見た斜視図を示す。また、図18A、図18B、図18Cにそれぞれ配管システム700を真上、真正面、真下(図16記載のα方向、β方向、γ方向)から見た平面図を示す。また、図16に示す線XX’について側壁部400cの突出方向と平行、垂直に切った断面をそれぞれ図19A、図19Bに示し、線YY’について側壁部の突出方向と平行に切った断面を図19Cに示す。また配管方法の経過(以下で説明する蓋部20、第2蓋部25等の装着過程)の一例であり、マンホールの外側、内側から見た斜視図をそれぞれ図20、図21に示し、図22A、図22B、図22Cに蓋部20などが装着された場合の図20記載のα方向、β方向、γ方向から見た配管システム700形成の経過の平面図を示し、図23に処理フローを示す。
【0027】
まず、図20に示すように、作業者はマンホールの外側からダクトパネル600の第1周壁部400bの全ての突出端面400eがマンホール壁4の第1壁面4aに当接するまで、第1壁開口6eから管部2を壁貫通穴6の中央に挿入する(ステップS2)。そして、図21に示すように作業者はマンホールの内側から蓋部20で第2壁開口6dを隙間無く塞ぐ(ステップS4)。ここで、蓋部20の材質、形状は流入されたモルタル15が漏れなければなんでも良い。図21に示す蓋部20の形状は薄板状であり断面矩形状である。また、ステップS2、ステップS4については、どちらを先に行っても良い。次に、ダクトパネル600をマンホール壁4に対して固定させる(ステップS6)。当該固定の手法の一例を説明する。
【0028】
ダクトパネル600の第1の固定手法として、図20〜図22に示すように、ダクトパネルを固定させるために、管部2の貫通穴、ダクトパネル400、壁貫通穴6の全てを貫通させることができるほどの長さである長ねじボルト30と当該長ねじボルト30に対応するナット32および34、第2蓋部25を用いる。第2蓋部25は、薄板状(図20の例では薄円盤状)とされ、第2蓋部25の一面である当接面25bは第1開口端面2cの全てと当接され、接続口2fの全てを塞ぐ形状である。蓋部20、第2蓋部25にはそれぞれ長ねじボルト30が貫通されるボルト貫通穴20a、25aが設けられる。ボルト貫通穴20a、25aの直径は、長ねじボルトの円形の端面30aの直径と等しい。
【0029】
そして、マンホールの外側から、長ねじボルト30を第2蓋部25のボルト貫通穴25a、管部2の接続口2f(管部2の貫通穴)、壁貫通穴6、蓋部20のボルト貫通穴20aの順番に貫通させる。貫通の順番にはこれに限られない。マンホールの内側から蓋部20の一面(以下、「蓋部対向面20b」という。)と、第2壁面4bおよび管部2の第2開口端面2bとを当接させる。一方、マンホールの外側から第2蓋部25の当接面25bと第1開口端面2cと当接させる。そして、第2蓋部25に対してマンホール壁4に向かう荷重をかけるようにマンホール外側からナット32を締める。一方、蓋部20に対してはマンホール壁4に向かう荷重をかけるようにマンホール内側からナット34を締める。その結果、蓋部20は第2壁面4bおよび第2開口端面2bに圧接され、第2蓋部25は第1開口端面2cに圧接される。これらの圧接により、ダクトパネル400はマンホール壁4に対して固定される。
【0030】
ダクトパネル600を固定させると、パネル部400の第1周壁部400b(側壁部400cと底壁部400d)により、第1板部の対向面400iと「第1壁面4aが位置する面」との間に所定の間隔(つまり、第1周壁部400bの高さh)が生じ、収容領域Sが生じる。また、収容領域Sを厳密にいうと、対向面400i、第1壁面4aが位置する面、底壁部400d、両端の側壁部400cに囲まれた領域である。また、上述したように、収容領域Rは、管部2の外周面2aと、壁貫通穴6の内周面6aとの間の領域である。そうすると、収容領域Rと収容領域Sとは同一空間になる。そして、図14に示すように、上述のようにパネル部400の上方の周壁が除かれていることから、開口が形成され、この開口からモルタルを流入させる(ステップS8)。当該開口を流入口400g(図20参照)とする。第1周壁部400bと第1壁面4aとの間から流入されたモルタルが漏れないように、突出端面400eにはシールスポンジを付することが好ましい。また、流入口400gから多少のモルタルが漏れたとしても問題はない。配管システムの形成をして管延伸作業の終了後、マンホールの外側(流入口400gが位置している箇所)を土で埋設するからである。
【0031】
当該流入より収容領域R、Sに一体的にモルタルが充填される(図19A、C等参照)。モルタルが硬化されると、ナット32、34、蓋部20、第2蓋部25、長ねじボルト30を除去する(ステップS10)。このようして図16、図17に示す配管システム700は形成される。そして、管部2の接続口2fに新たな管を挿入させることで、管を延伸させることが出来る。モルタルを流入してから硬化するまでの間に、管を延伸させたい場所の土の掘り起こし作業などを行えばよい。
【0032】
また、ダクトパネル400の固定は上記の手法に限られない。第2の固定手法として、例えば実施例1で説明したように、お互いに対向しあうように、マンホール壁4の四隅、第1板部400aの四隅にボルト貫通穴を設け、ボルトによりダクトパネル400を固定させることも出来る。なお、この固定の手法であると、モルタルが硬化する前に除去処理(ステップS10)を行うことが出来、作業時間の短縮を図ることが出来る。
【0033】
この実施例2の配管システム700は構成する部材がダクトパネル600のみであり、実施例1の配管システム500と比較して、(配管システム500では、ダクトパネル300と第1パネル部400が必要)構成部材が少なくてすみ、かつ配管システム500と同様の効果を得ることができる。
【実施例3】
【0034】
次に第2の状況の場合の配管方法について説明する。第2の状況であると、蓋部20は第2開口端面2bに当接させることができず、上記第1の固定手法を用いても、ダクトパネル600を固定させることが出来ない。また、違う固定手法(例えば、第2の固定手法)で固定させた場合に、モルタル15を充填させると、管部2の第2開口2hがモルタル15に埋設してしまい、ケーブル敷設が出来なくなってしまう。この実施例3で説明する配管方法では、第2の状況であっても適切に第1の固定手法を応用させて、ダクトパネル600を固定させ(ステップS6)配管システム700を形成することが出来る。
【0035】
実施例3の配管方法と実施例2の配管方法と異なる点は、配置部材40を用いる点で異なる。図24A〜Cに第2の状況の場合の配管方法についての一過程を示し、図24A〜Cはそれぞれ図20に示すXX’線について側壁部400cの突出方向と平行な面で切った断面図であり、図25に処理フローを示す。この例では配置部材40は円盤状とされ、2つの円形面を有する。配置部材40の両円形面のうち一面を第1配置部材面40aとし、もう一面を第2配置部材面40bとする。そして、第1配置部材面40aおよび第2配置部材面40bの中心を貫通する貫通穴40cが設けられる。長ねじボルトの端面(円形面)30aの直径と貫通穴40cの直径とは等しく、当該貫通穴40cには長ねじボルト30が貫通される。配置部材40の厚さは、第2開口端面2bと第2壁面4bが位置する平面との距離z(図24A参照)とされ、第2配置部材面40bの直径は壁貫通穴6の直径と同一とされる。配置部材40の材質は例えば発泡スチロールなどでよく、作業現場で距離zや壁貫通穴6の直径を測定し、配置部材40を作成すればよい。
【0036】
管部2の壁貫通穴6への挿入処理が終わると(ステップS2)、配置部材40の第1配置部材面40aが管部2の第2開口端面2bが当接するように配置部材40を配置させる(ステップS14)。そうすると、第2配置部材面40bと第2壁面4bとが同一平面Uを形成するようになる。配置部材40を配置処理が終了すると、形成された平面Uと蓋部対向面20bが当接し、かつ第2壁開口6dを全て塞ぐように蓋部20を配置させて固定させる。
【0037】
そして、モルタルが硬化すると、蓋部20、第2蓋部25、配置部材40、長ねじボルト30、ナット32、34を除去すると図24Bに示すようになる。ところが、図24Bに示すように、第2壁面4bに直角の頂部4fが生じる。このままだと、管の延伸処理後、管部2内にケーブル敷設の際に、当該ケーブルが頂部4fに接触することにより傷つけられる。ここで、管部2の外周面2aと第2開口端面2bとがなす頂点を頂部2e(図24B参照)とする。図24Cに示すように、頂部4fと頂部2eとを結ぶテーパ面Vを形成するように、モルタル16を盛り足せばよい(図24Cでは太線で囲っている部分)。そうすることで頂部4fの角度を鈍角にでき、ケーブル敷設の際に、ケーブルを傷つける必要はない。
【0038】
また、図24A’に示すように、管部2の外径をqとし、第2壁開口6dの直径をQとし、第1配置部材面の直径xとすると、q≦x≦Q(図24A’の例では、q=x)とする配置部材41を用いることが好ましい。当該配置部材41を配置させた後に、流入されたモルタル15が硬化されると、モルタル16を盛り足す処理は必要なく、テーパ面Vを形成でき、図24Cの状態にすることが出来る。なお、図24A’では、第1配置部材面41a、第2配置部材面41bと示す。
【実施例4】
【0039】
次に、第3の状況の場合の配管方法について説明する。第3の状況であると、
蓋部20の蓋部対向面20bを第2開口端面2bに当接させた際に、蓋部対向面20bを第2壁面4bに当接(圧接)させることができず、結果として、上記第1の固定手法を用いても、ダクトパネル600を固定させることが出来ない。この実施例4で説明する配管方法では、第3の状況であっても、上記第1の固定手法を用いてダクトパネル400を固定させ、配管システム700を形成することが出来る。
【0040】
実施例2の配管方法と実施例4の配管方法と異なる点は、ダクトパネル固定処理(ステップS6)の際に、蓋部20の変わりに蓋部21を用いる。図26に蓋部21の斜視図を示し、図27A、Bにそれぞれ図20に示すXX’線について側壁部400cの形成方向と平行に切った断面図を示す。処理フローは図23と同様なので省略する。蓋部21は第2板部21aと、第2周壁部21bとで構成されている。この例では、第2板部21aは円盤状とされ、当該第2板部21aの周辺に第2周壁部21bが一体形成されており、第2周壁部21bの全ての部分の高さは等しいとする。内底面21dの直径y1は、蓋部21の開口21eの直径y2より小さく、つまり内側面21fはテーパ面とされる。第2周壁部21bは第2壁面4bと当接する突出端面21cを有する。
【0041】
蓋部21の装着の際には、突出端面21cが第2壁面4bに当接させ、第2開口端面2bが内底面21dに当接させるように、蓋部21を装着させる。従って、内底面21dの直径y1は、q≦y1≦Q(図27Aの例では、q=y1)にする必要があり、開口21eの直径y2は直径y1より大きければよい。よって、円筒状で一方が閉塞されている開口が十分に大きい蓋部を作業現場に持って行き、管部2の外径qを測定した後に内底面の直径y1の調整し、つまりテーパ面(内側面21f)を形成すればよい。図27Bに、モルタルが硬化した後に、蓋部21などを除去した断面図を示す。図27Bに示すように、モルタル15は内側面21fに沿って充填されるので、テーパ面V’が形成される。その結果、管の延伸処理後にケーブルを傷つけることなく、ケーブル敷設処理を行うことが出来る。
【0042】
また、(第1)パネル部400、第2パネル部302は塩化ビニルなどの合成樹脂を用いれば良い。
このように、実施例2〜4の配管方法、配管システムを用いれば、マンホール壁の厚さが事前に把握できない場合でも管部2を配管させることができ、かつ実施例1の配管システム500と同様の効果を得ることが出来る。また、実施例1と比較して、マンホール壁4にボルト貫通穴を設ける必要もない点でも優れている。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】管部を壁貫通穴に貫通させることを示した斜視図。
【図2】従来の配管システムをマンホールの内側から見た平面図。
【図3】従来の配管システムをマンホールの外側から見た斜視図。
【図4】実施例1のダクトパネルの斜視図。
【図5】図4とは違う角度から見た実施例1のダクトパネルの斜視図。
【図6】図6A、図6B、図6Cはそれぞれ実施例1のダクトパネルを真上、真正面、真横からみた平面図である。
【図7】実施例1の第1パネル部400の斜視図。
【図8】図8とは違う方向から見た実施例1の第1パネル部の斜視図。
【図9】図9A、図9B、図9Cはそれぞれ実施例1の第1パネル部を真上、真正面、真横からみた平面図である。
【図10】実施例1の配管システムを外側から見た斜視図。
【図11】実施例1の配管システムを内側から見た斜視図。
【図12】図12A、図12B、図12Cはそれぞれ実施例1の配管システムを真上、真正面、真横から見た平面図である。
【図13】図13A、図13Bは図10に示す線XX’について1パネル部の側壁部の突出方向と平行、垂直に切った断面図であり、図13Cは線YY’について側壁部の突出方向と平行に切った断面図である。
【図14】実施例2のダクトパネルの斜視図。
【図15】図14とは違う角度から見た実施例2のダクトパネルの斜視図。
【図16】実施例2の配管システムを外側から見た斜視図。
【図17】実施例2の配管システムを内側から見た斜視図。
【図18】図18A、図18B、図18Cはそれぞれ、実施例2の配管システムを真上、真正面、真横から見た平面図を示す。
【図19】図19A、図19Bは図18に示す線XX’について1パネル部の側壁部の突出方向と平行、垂直に切った断面図であり、図19Cは線YY’について側壁部の突出方向と平行に切った断面図である。
【図20】実施例2の配管方法の一過程を外側から見て表した斜視図。
【図21】実施例2の配管方法の一過程を内側から見て表した斜視図。
【図22】実施例2の配管方法の一過程を真上、真正面、真横から見て表した平面図。
【図23】実施例2の配管方法の処理フロー
【図24】実施例3の配管方法において、図20に示す線XX’について側壁部の突出方向と平行に切った断面図であり、図24A、A’はそれぞれ配置部材40、41等を配置させた断面図であり、図24Bは配置部材等を除去した断面図であり、図24Cはテーパ面を設けた場合の断面図であり、図24A’は
【図25】実施例3の配管方法の処理フロー
【図26】実施例4の配管方法で用いる蓋部の斜視図
【図27】実施例4の配管方法において、図20に示す線XX’について側壁部の突出方向と平行に切った断面図であり、図27Aは蓋部を装着させた断面図であり、図27Bは蓋部等を除去した断面図である。
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばマンホールの壁に貫通穴を設けて、当該貫通穴に例えばダクトスリーブを挿入させて配管させるダクトパネル、配管システム、配管方法に関する。
【背景技術】
【0002】
既存の通信接続枡(例えば、マンホール等)を活用して、増管させる技術がある。図1に、略円筒状の管部2(例えば、ダクトスリーブ)を、マンホールの内側からマンホール壁4に設けられた貫通穴6(以下、「壁貫通穴6」と示す。)に貫通させて配管させる様子を示す。以下の説明では、マンホールの内側、マンホールの外側をそれぞれ単に、「内側」「外側」と示す場合もあり、壁貫通穴6の2つの開口のうち、外側の開口を第1壁開口6eとし、内側の開口を第2壁開口6dとする。図1中のマンホール壁4は、マンホールの壁の貫通穴が設けられている箇所を切り取って示す(以下、同様とする)。壁貫通穴6の第1壁開口6eの直径と第2壁開口6dの直径は等しく、第1壁開口6eの直径は管部2の外径よりも大きい。図2に、管部2を壁貫通穴6に貫通させた従来の配管システム100を内側から見た平面図を示し、図3に配管システム100を外側から見た斜視図を示す。
【0003】
まず、壁貫通穴6から管部2を突出させることができるように、マンホールの外側の壁貫通穴6周辺を掘り起こす。壁貫通穴6を形成した後、図2に示すように、管部2を壁貫通穴6の中央に貫通させ、マンホールの内側(第2壁開口6dから)管部2を配置させる。ここで、「壁貫通穴6の中央に貫通させる」とは、「壁貫通穴6の開口の円周の中心と管部の開口の円周の中心とがほぼ一致するように貫通させる」ことを意味し、以下同様とする。
【0004】
そうすると、管部2の外周面2aと、壁貫通穴6の内周面6aとの間に空間R(以下、「収容領域R」という。)が生じる。そして、硬化されていない硬化剤をこぶし大程度の略球形状(団子状)にし、多数の団子状のモルタル10を収容領域Rに詰めて配置させる。以下の説明では、硬化剤をモルタルとして説明する。一方、図3に示すように、壁貫通穴6を貫通し、マンホール壁4の外側の壁面(以下、「第1壁面4a」と示す。)から突出した管部2を固定させるように、木枠(図示せず)などを用いて第1壁面4aに接するようにモルタル12(破線で示す)を充填させる。
【0005】
モルタル10、モルタル12が硬化されると、木枠を取り外す。そして、管部2の接続口2f(つまり、管部2の2つの開口のうち、マンホールの外側にある開口)に新たな管を挿入させることで管を延伸させる。また、図面においては、モルタルが接する外周面2aには、よりモルタルによる固定を強化させるために凹凸を設けるなどの処理が施されるが、図面簡略化のために当該処理の記載を省略する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の配管システム100において、図2示すように団子状のモルタル10を配置させているが、それぞれ隣接する団子状のモルタル10の間には、隙間rが生じてしまう。また、空間Rにモルタル10を配置させる処理と、マンホールの外側にモルタル12を木枠により充填させる処理とは、個別に行う。従って、管部2を固定させる強度は弱くなり、管部2が抜け落ちるという問題があった。また、地中にある井戸水などが、隙間rに入り込んでしまい、止水効果にも問題があった。また、空間Rに団子状のモルタル10を詰める作業において、作業者の技術力の差異により管部2を固定させる強度にムラが生じるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のダクトパネルは、第1板部と、第1周壁部と、管部とを有する。第1板部は取り付け対象の対象壁の壁面と所定の間隙を介して対向され、パネル貫通穴が設けられている。第1周壁部は、当該第1板部の周辺に一部を除いて一体形成されている。管部は、略円筒状であり、パネル貫通穴に貫通されてパネル部と固定されている。そして、第1周壁部の突出端面が壁面と当接される。
【0008】
または本発明の配管システムは、上記ダクトパネルの管部を対象壁の壁貫通穴に配管させるものである。壁貫通穴の開口の直径は、ダクトパネルの管部の外径よりも大きい。管部は壁貫通穴に貫通されている。ダクトパネルの第1周壁部の突出端面は対象壁の壁面に当接されている。第1板部と壁面が位置する平面との間、および、管部の外周面と壁貫通穴の内周面との間に硬化剤が一体的に充填されている。
【発明の効果】
【0009】
この発明のダクトパネルを用いた配管システムでは、第1パネル部やダクトブロックが有する第1板部と対象壁が位置する平面との間に収容領域Sが生じる。収容領域R(管部の外周面と、壁貫通穴の内周面との間の領域)と収容領域Sとが同一空間となる。そして、収容領域R、Sにモルタルを一体的に充填させる。収容領域R、Sに一体的に充填されたモルタルが硬化されることで、従来より強力に管部を固定させることができ、結果として管部の抜け落ち等を防ぐことが出来る。また、収容領域Rでは、モルタルが隙間なく充填される。従って、止水効果も期待できる。また、第1パネル部やダクトスリーブの流入口からモルタルを流入するだけなので、作業者の技術力の差異に関らず、管部を強力に固定させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、発明を実施するための最良の形態を示す。同じ部分には同じ番号を付し、重複説明を省略する。
【実施例1】
【0011】
以下の説明では、対象壁は、例えばマンホールの壁(以下、「マンホール壁4」という。)であり、第1空間をマンホールの外側の空間とし、第2空間をマンホールの内側の空間とする。
実施例1の配管システム200では、ダクトパネル300と、第1パネル部400とを用いる。図4にダクトパネル300の斜視図を示し、図5に図4とは反対側から見たダクトパネル300の斜視図を示し、図6A、図6B、図6Cにそれぞれダクトパネル300を真上、真正面、真下(図4記載のα方向、β方向、γ方向)から見た平面図を示す。
【0012】
ダクトパネル300の作成手法を簡単に説明する。ダクトパネル300は、薄板上の第2パネル部302と、配管対象である略円筒状の管部2(例えば、ダクトスリーブ)により構成される。図5に示すように、第2パネル部302には貫通穴(以下、「第2パネル貫通穴304」という。)が設けられる。第2パネル貫通穴304の開口の直径と管部2の内径は同一とされる。そして、管部2の開口と第2パネル貫通穴304の開口とが一致するように、管部2の開口の端面は第2パネル部302の固定面302aに接合される。また、第2パネル部302は4隅にそれぞれボルト貫通穴302bが設けられる。4つのボルト貫通穴302bの位置関係については後述する。このようにしてダクトパネル300は作成される。
【0013】
次に第1パネル部400について説明する。図7に第1パネル部400の斜視図を示し、図8に図7とは反対側から見た第1パネル部400の斜視図を示し、図9A、図9B、図9Cにそれぞれ、第1パネル部400を真上、真正面、真横(図7のα方向、β方向、γ方向)から見た平面図を示す。この実施例では第1パネル部は第1パネル部400A、400Bの2つから構成される。図7には、第1パネル部400A、400Bの2つに分けられている図を示し、図8、図9には400A、400Bが締結された図を示す。当該締結は、固定部(後述する)402A、402Bによりされる。まず、402A、402Bが締結された場合の形状について説明する。
【0014】
第1パネル部400は、薄板上の第1板部400a(図7参照)と第1周壁部400bとを有する。当該第1板部400aの周辺に、第1周壁部400bが一端側を除いて一体形成される。この例では、上方の周壁が除かれている。左右両端の第1周壁部400bを側壁部400cとし、底側の第1周壁部400bを底壁部400dとし、側壁部400c、底壁部400dの突出方向の長さ(高さ)hは同一である。そして、高さhが等しい場合、第1周壁部400b(側壁部400cおよび底壁部400d)は同一平面上に突出端面400eを有する。第1パネル部400の両面のうち、第1周壁部400bが形成されている面を対向面400iとし、対向面400iと反対側の面を反対向面400jとする。突出端面400eと対向面400iとは平行である。また、第1板部400aには貫通穴(以下、「第1パネル貫通穴400f」という。)が設けられており、管部2の外径と第1パネル貫通穴400fの直径は等しい。
【0015】
次に第1パネル部400A、400Bの締結の手法を簡単に説明する。固定部402A、402Bが、第1パネル部400A、400Bの反対向面400Aj、400Bj上に、互いに対向しあうように突出形成されている。図7の例では固定部402A、402Bは直方体状とされる。また、それぞれの固定部402A、402Bはお互いに対向しあうボルト貫通穴402Aa、402Baを有する。そして、固定部402A、402Bの対向しあう面402Ab、402Bb同士を当接させ、ボルト貫通穴402Aa、402Baに長ねじボルト60を貫通させ、両側からナット62、64で閉めつけ、面402Ab、402Bbを互いに圧接させることで第1パネル部400A、400Bを締結固定させる。図7では、簡略化のために、上方の固定部402A、402Bについての長ねじボルト60、ナット62、64を示すが、下方の固定部402A、402Bについても同様に固定する。また、以下の図面に示すボルト、ボルト貫通穴については、簡略化のためにねじ山、ねじ溝を省略する。図示するボルトはまた第1板部400aの4隅にはボルト貫通穴400kが形成される。4つの第1板部400aの位置関係については後述する。
【0016】
次に、実施例1の配管システム500について説明する。図10に配管システム500をマンホールの外側(第1空間)から見た斜視図を示し、図11に配管システム500をマンホールの内側(第2空間)から見た斜視図を示し、図12A、図12B、図12Cにそれぞれ配管システム500を真上、真正面、真下(図10記載のα方向、β方向、γ方向)から見た平面図を示す。
【0017】
マンホールの外側(第1空間側)の面を第1壁面4a、内側(第2空間側)の面を第2壁面4bとし、壁貫通穴6のマンホールの外側の開口を第1壁開口6eとし、マンホールの内側の開口を第2開口6dとする。また、マンホール壁4の壁貫通穴6の開口の直径は、管部の外径より大きいとする。図12に示すように、作業者は、ダクトパネル300の固定面302aと第2壁面4bとが当接するまで、マンホールの内側(第2壁開口6d)からダクトパネル300の管部2を壁貫通穴6の中央に貫通させ、作業者はダクトパネル300を支えておく。一方、マンホールの外側から作業者は、第1パネル部400の突出端面400eが全て第1壁面4aと当接し、かつ壁貫通穴6を貫通した管部2が第1パネル貫通穴400fを貫通するように、作業者は第1パネル部400を支えておく。
【0018】
作業者により支えられたダクトパネル300の4つボルト貫通穴302bと作業者により支えられた第1パネル部400の4つのボルト貫通穴400kがそれぞれ対向するように、4つのボルト貫通穴302b、400kを設ければよい。そして、予めマンホール壁4には4つボルト貫通穴302b、400kにそれぞれ対向するボルト貫通穴4c(図示せず)を設ける。そして、ボルト貫通穴302b、4c、400kの全てを貫通するように長ねじボルト70を貫通させ、マンホールの外側、内側の両方からナット72、74で締め付けることで、マンホール壁4を介して、ダクトパネル300、第1パネル部400を一体的に固定させる。図10、図11では図面簡略化のために、1つのボルト貫通穴のみについて、長いねじボルト70、ナット72、74を示しているが、実際はその他3つのボルト貫通穴についても同様の締め付けが行われる。
【0019】
第1パネル部400を固定させると、第1パネル部400の第1周壁部400b(側壁部400cと底壁部400d)により、第1板部の対向面400iと「第1壁面4aが位置する面」との間に所定の間隔(つまり、第1周壁部400bの高さh)が生じ、収容領域Sが生じる。ここで「第1壁面4aが位置する面」とは、第1壁面4a上に、壁貫通穴6の開口がない場合の面を意味する。また、収容領域Sを厳密にいうと、対向面400i、第1壁面4aが位置する面、底壁部400d、両端の側壁部400cに囲まれた領域である。また、上述したように、収容領域Rは、管部2の外周面2aと、壁貫通穴6の内周面6aとの間の領域である。そうすると、収容領域Rと収容領域Sとは同一空間になる。そして、図10に示すように、上述のように第2パネル部400の上方の周壁が除かれていることから、開口が形成され、この開口からモルタルを流入させる。当該開口を流入口400gとする。第1周壁部400bと第1壁面4aとの間から流入されたモルタルが漏れないように、突出端面400eにはシールスポンジを付することが好ましい。図10ではモルタルを流入し終わった場合を示す。また、流入口400gから多少のモルタルが漏れたとしても問題はない。配管システムの形成して管延伸作業の終了後、マンホールの外側(流入口400gが位置している箇所)を土で埋設するからである。
【0020】
図10に示す線XX’について1パネル部400の側壁部400cの突出方向と平行、垂直に切った断面をそれぞれ図13A、図13Bに示し、線YY’について側壁部400cの突出方向と平行に切った断面を図13Cに示す。点を付している箇所が流入されたモルタル15である。図13Cに示すように、一体生成された収容領域R、Sにモルタルが一体的に充填される。そして、第1パネル部400の反対向面400jから突出した管部2の接続口2fに新たな管を挿入させることで管の延伸作業を行う。
【0021】
このように、収容領域R、Sに一体的にモルタルが充填させることで、従来の配管システム100と比べて管部2の固定強度が格段に上がる。また、図13Bに示すように、管部2の外周面2aと壁貫通穴6の内周面6aとの間には、モルタルは隙間無く充填される。従って、従来の配管システム100と比べて止水効果も格段に上がる。また、作業者はモルタルを流入口400gから流入するだけでよいので、作業者の技術力の差異による管部2の固定強度のムラがなくなる。
【実施例2】
【0022】
以下の説明では、管部2の両方の開口のうち、管部2を壁貫通穴6に挿入した場合のマンホールの外側に位置する開口(接続口2f)の端面を第1開口端面2cとし、マンホールの内側の開口(以下、第2開口2h)の端面を第2開口端面2bとする。通常、マンホールの壁4の厚さは事前に把握できない場合が多い。ダクトパネル300の管部2を壁貫通穴6に貫通させた際に、管部2の長手方向の長さが短いがために、第1壁面4aが位置する平面に届かない場合や、第1パネル貫通穴400fを貫通できない場合がある。この場合に、モルタルを収容領域Sに充填させると管部2の第2開口がモルタルに埋まってしまい、新たな管の挿入ができなくなる。そこで、この実施例2のダクトパネル600を用いた配管システム700は、マンホールの壁4の厚さが把握できない場合であっても、配管できるというものである。
【0023】
図14に実施例2のダクトパネル600の斜視図を示し、図15に図14記載のα方向から見たダクトパネル600の斜視図を示す。ダクトパネル600の形状を簡単に説明すると、固定部402A、402Bを除去した第1パネル部400(図7参照、以下「パネル部400」と示す。)の貫通穴400fに管部2を貫通させたものである。パネル部400の説明は、実施例1で説明したとおりであるが、念のため図14、図15を用いて説明する。
【0024】
パネル部400は、薄板上の第1板部400aと第1周壁部400bとを有し、第1周壁部400bは当該第1板部400aの周辺に一端側を除いて一体形成される。この例では、上方の周壁が除かれている。両端の第1周壁部400bを側壁部400cとし、底側の第1周壁部400bを底壁部400dとし、側壁部400c、底壁部400dの高さhは同一である。そして、第1周壁部400b(側壁部400cおよび底壁部400d)は同一平面上に突出端面400eを有する。パネル部400の両面のうち、第1周壁部400bが形成されている面を対向面400iとし、反対側の面を反対向面400jとする。突出端面400eと対向面400iとは平行である。
【0025】
次に、この実施例の配管システム700と、配管システム700の構成手法である配管方法について説明する。上述のように、この実施例の前提として、マンホール壁の厚さが事前に分からないという状況である。配管方法の最初の一過程としてマンホールの外側からダクトパネル600の第1周壁部400bの突出端面400eがマンホールの壁4の第1壁面4aに当接するまで、第1壁開口6eから管部2を前記壁貫通穴の中央に挿入するのであるが、当該挿入させた場合に以下の3つの状況が考えられる。壁貫通穴6を貫通した管部2の第2開口端面2bと第2壁面4bとが同一平面をなす第1の状況、第2開口端面2bが第2壁面4bが位置する面に届かない第2の状況(実施例3で説明)、第2開口端面2bが第2壁面4bが位置する面を超えてしまう第3の状況がある(実施例4で説明)。まず、第1の状況から説明する。
【0026】
図16にダクトパネル600を用いた配管システム700をマンホールの外側から見た斜視図を示し、図17にマンホールの内側から見た斜視図を示す。また、図18A、図18B、図18Cにそれぞれ配管システム700を真上、真正面、真下(図16記載のα方向、β方向、γ方向)から見た平面図を示す。また、図16に示す線XX’について側壁部400cの突出方向と平行、垂直に切った断面をそれぞれ図19A、図19Bに示し、線YY’について側壁部の突出方向と平行に切った断面を図19Cに示す。また配管方法の経過(以下で説明する蓋部20、第2蓋部25等の装着過程)の一例であり、マンホールの外側、内側から見た斜視図をそれぞれ図20、図21に示し、図22A、図22B、図22Cに蓋部20などが装着された場合の図20記載のα方向、β方向、γ方向から見た配管システム700形成の経過の平面図を示し、図23に処理フローを示す。
【0027】
まず、図20に示すように、作業者はマンホールの外側からダクトパネル600の第1周壁部400bの全ての突出端面400eがマンホール壁4の第1壁面4aに当接するまで、第1壁開口6eから管部2を壁貫通穴6の中央に挿入する(ステップS2)。そして、図21に示すように作業者はマンホールの内側から蓋部20で第2壁開口6dを隙間無く塞ぐ(ステップS4)。ここで、蓋部20の材質、形状は流入されたモルタル15が漏れなければなんでも良い。図21に示す蓋部20の形状は薄板状であり断面矩形状である。また、ステップS2、ステップS4については、どちらを先に行っても良い。次に、ダクトパネル600をマンホール壁4に対して固定させる(ステップS6)。当該固定の手法の一例を説明する。
【0028】
ダクトパネル600の第1の固定手法として、図20〜図22に示すように、ダクトパネルを固定させるために、管部2の貫通穴、ダクトパネル400、壁貫通穴6の全てを貫通させることができるほどの長さである長ねじボルト30と当該長ねじボルト30に対応するナット32および34、第2蓋部25を用いる。第2蓋部25は、薄板状(図20の例では薄円盤状)とされ、第2蓋部25の一面である当接面25bは第1開口端面2cの全てと当接され、接続口2fの全てを塞ぐ形状である。蓋部20、第2蓋部25にはそれぞれ長ねじボルト30が貫通されるボルト貫通穴20a、25aが設けられる。ボルト貫通穴20a、25aの直径は、長ねじボルトの円形の端面30aの直径と等しい。
【0029】
そして、マンホールの外側から、長ねじボルト30を第2蓋部25のボルト貫通穴25a、管部2の接続口2f(管部2の貫通穴)、壁貫通穴6、蓋部20のボルト貫通穴20aの順番に貫通させる。貫通の順番にはこれに限られない。マンホールの内側から蓋部20の一面(以下、「蓋部対向面20b」という。)と、第2壁面4bおよび管部2の第2開口端面2bとを当接させる。一方、マンホールの外側から第2蓋部25の当接面25bと第1開口端面2cと当接させる。そして、第2蓋部25に対してマンホール壁4に向かう荷重をかけるようにマンホール外側からナット32を締める。一方、蓋部20に対してはマンホール壁4に向かう荷重をかけるようにマンホール内側からナット34を締める。その結果、蓋部20は第2壁面4bおよび第2開口端面2bに圧接され、第2蓋部25は第1開口端面2cに圧接される。これらの圧接により、ダクトパネル400はマンホール壁4に対して固定される。
【0030】
ダクトパネル600を固定させると、パネル部400の第1周壁部400b(側壁部400cと底壁部400d)により、第1板部の対向面400iと「第1壁面4aが位置する面」との間に所定の間隔(つまり、第1周壁部400bの高さh)が生じ、収容領域Sが生じる。また、収容領域Sを厳密にいうと、対向面400i、第1壁面4aが位置する面、底壁部400d、両端の側壁部400cに囲まれた領域である。また、上述したように、収容領域Rは、管部2の外周面2aと、壁貫通穴6の内周面6aとの間の領域である。そうすると、収容領域Rと収容領域Sとは同一空間になる。そして、図14に示すように、上述のようにパネル部400の上方の周壁が除かれていることから、開口が形成され、この開口からモルタルを流入させる(ステップS8)。当該開口を流入口400g(図20参照)とする。第1周壁部400bと第1壁面4aとの間から流入されたモルタルが漏れないように、突出端面400eにはシールスポンジを付することが好ましい。また、流入口400gから多少のモルタルが漏れたとしても問題はない。配管システムの形成をして管延伸作業の終了後、マンホールの外側(流入口400gが位置している箇所)を土で埋設するからである。
【0031】
当該流入より収容領域R、Sに一体的にモルタルが充填される(図19A、C等参照)。モルタルが硬化されると、ナット32、34、蓋部20、第2蓋部25、長ねじボルト30を除去する(ステップS10)。このようして図16、図17に示す配管システム700は形成される。そして、管部2の接続口2fに新たな管を挿入させることで、管を延伸させることが出来る。モルタルを流入してから硬化するまでの間に、管を延伸させたい場所の土の掘り起こし作業などを行えばよい。
【0032】
また、ダクトパネル400の固定は上記の手法に限られない。第2の固定手法として、例えば実施例1で説明したように、お互いに対向しあうように、マンホール壁4の四隅、第1板部400aの四隅にボルト貫通穴を設け、ボルトによりダクトパネル400を固定させることも出来る。なお、この固定の手法であると、モルタルが硬化する前に除去処理(ステップS10)を行うことが出来、作業時間の短縮を図ることが出来る。
【0033】
この実施例2の配管システム700は構成する部材がダクトパネル600のみであり、実施例1の配管システム500と比較して、(配管システム500では、ダクトパネル300と第1パネル部400が必要)構成部材が少なくてすみ、かつ配管システム500と同様の効果を得ることができる。
【実施例3】
【0034】
次に第2の状況の場合の配管方法について説明する。第2の状況であると、蓋部20は第2開口端面2bに当接させることができず、上記第1の固定手法を用いても、ダクトパネル600を固定させることが出来ない。また、違う固定手法(例えば、第2の固定手法)で固定させた場合に、モルタル15を充填させると、管部2の第2開口2hがモルタル15に埋設してしまい、ケーブル敷設が出来なくなってしまう。この実施例3で説明する配管方法では、第2の状況であっても適切に第1の固定手法を応用させて、ダクトパネル600を固定させ(ステップS6)配管システム700を形成することが出来る。
【0035】
実施例3の配管方法と実施例2の配管方法と異なる点は、配置部材40を用いる点で異なる。図24A〜Cに第2の状況の場合の配管方法についての一過程を示し、図24A〜Cはそれぞれ図20に示すXX’線について側壁部400cの突出方向と平行な面で切った断面図であり、図25に処理フローを示す。この例では配置部材40は円盤状とされ、2つの円形面を有する。配置部材40の両円形面のうち一面を第1配置部材面40aとし、もう一面を第2配置部材面40bとする。そして、第1配置部材面40aおよび第2配置部材面40bの中心を貫通する貫通穴40cが設けられる。長ねじボルトの端面(円形面)30aの直径と貫通穴40cの直径とは等しく、当該貫通穴40cには長ねじボルト30が貫通される。配置部材40の厚さは、第2開口端面2bと第2壁面4bが位置する平面との距離z(図24A参照)とされ、第2配置部材面40bの直径は壁貫通穴6の直径と同一とされる。配置部材40の材質は例えば発泡スチロールなどでよく、作業現場で距離zや壁貫通穴6の直径を測定し、配置部材40を作成すればよい。
【0036】
管部2の壁貫通穴6への挿入処理が終わると(ステップS2)、配置部材40の第1配置部材面40aが管部2の第2開口端面2bが当接するように配置部材40を配置させる(ステップS14)。そうすると、第2配置部材面40bと第2壁面4bとが同一平面Uを形成するようになる。配置部材40を配置処理が終了すると、形成された平面Uと蓋部対向面20bが当接し、かつ第2壁開口6dを全て塞ぐように蓋部20を配置させて固定させる。
【0037】
そして、モルタルが硬化すると、蓋部20、第2蓋部25、配置部材40、長ねじボルト30、ナット32、34を除去すると図24Bに示すようになる。ところが、図24Bに示すように、第2壁面4bに直角の頂部4fが生じる。このままだと、管の延伸処理後、管部2内にケーブル敷設の際に、当該ケーブルが頂部4fに接触することにより傷つけられる。ここで、管部2の外周面2aと第2開口端面2bとがなす頂点を頂部2e(図24B参照)とする。図24Cに示すように、頂部4fと頂部2eとを結ぶテーパ面Vを形成するように、モルタル16を盛り足せばよい(図24Cでは太線で囲っている部分)。そうすることで頂部4fの角度を鈍角にでき、ケーブル敷設の際に、ケーブルを傷つける必要はない。
【0038】
また、図24A’に示すように、管部2の外径をqとし、第2壁開口6dの直径をQとし、第1配置部材面の直径xとすると、q≦x≦Q(図24A’の例では、q=x)とする配置部材41を用いることが好ましい。当該配置部材41を配置させた後に、流入されたモルタル15が硬化されると、モルタル16を盛り足す処理は必要なく、テーパ面Vを形成でき、図24Cの状態にすることが出来る。なお、図24A’では、第1配置部材面41a、第2配置部材面41bと示す。
【実施例4】
【0039】
次に、第3の状況の場合の配管方法について説明する。第3の状況であると、
蓋部20の蓋部対向面20bを第2開口端面2bに当接させた際に、蓋部対向面20bを第2壁面4bに当接(圧接)させることができず、結果として、上記第1の固定手法を用いても、ダクトパネル600を固定させることが出来ない。この実施例4で説明する配管方法では、第3の状況であっても、上記第1の固定手法を用いてダクトパネル400を固定させ、配管システム700を形成することが出来る。
【0040】
実施例2の配管方法と実施例4の配管方法と異なる点は、ダクトパネル固定処理(ステップS6)の際に、蓋部20の変わりに蓋部21を用いる。図26に蓋部21の斜視図を示し、図27A、Bにそれぞれ図20に示すXX’線について側壁部400cの形成方向と平行に切った断面図を示す。処理フローは図23と同様なので省略する。蓋部21は第2板部21aと、第2周壁部21bとで構成されている。この例では、第2板部21aは円盤状とされ、当該第2板部21aの周辺に第2周壁部21bが一体形成されており、第2周壁部21bの全ての部分の高さは等しいとする。内底面21dの直径y1は、蓋部21の開口21eの直径y2より小さく、つまり内側面21fはテーパ面とされる。第2周壁部21bは第2壁面4bと当接する突出端面21cを有する。
【0041】
蓋部21の装着の際には、突出端面21cが第2壁面4bに当接させ、第2開口端面2bが内底面21dに当接させるように、蓋部21を装着させる。従って、内底面21dの直径y1は、q≦y1≦Q(図27Aの例では、q=y1)にする必要があり、開口21eの直径y2は直径y1より大きければよい。よって、円筒状で一方が閉塞されている開口が十分に大きい蓋部を作業現場に持って行き、管部2の外径qを測定した後に内底面の直径y1の調整し、つまりテーパ面(内側面21f)を形成すればよい。図27Bに、モルタルが硬化した後に、蓋部21などを除去した断面図を示す。図27Bに示すように、モルタル15は内側面21fに沿って充填されるので、テーパ面V’が形成される。その結果、管の延伸処理後にケーブルを傷つけることなく、ケーブル敷設処理を行うことが出来る。
【0042】
また、(第1)パネル部400、第2パネル部302は塩化ビニルなどの合成樹脂を用いれば良い。
このように、実施例2〜4の配管方法、配管システムを用いれば、マンホール壁の厚さが事前に把握できない場合でも管部2を配管させることができ、かつ実施例1の配管システム500と同様の効果を得ることが出来る。また、実施例1と比較して、マンホール壁4にボルト貫通穴を設ける必要もない点でも優れている。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】管部を壁貫通穴に貫通させることを示した斜視図。
【図2】従来の配管システムをマンホールの内側から見た平面図。
【図3】従来の配管システムをマンホールの外側から見た斜視図。
【図4】実施例1のダクトパネルの斜視図。
【図5】図4とは違う角度から見た実施例1のダクトパネルの斜視図。
【図6】図6A、図6B、図6Cはそれぞれ実施例1のダクトパネルを真上、真正面、真横からみた平面図である。
【図7】実施例1の第1パネル部400の斜視図。
【図8】図8とは違う方向から見た実施例1の第1パネル部の斜視図。
【図9】図9A、図9B、図9Cはそれぞれ実施例1の第1パネル部を真上、真正面、真横からみた平面図である。
【図10】実施例1の配管システムを外側から見た斜視図。
【図11】実施例1の配管システムを内側から見た斜視図。
【図12】図12A、図12B、図12Cはそれぞれ実施例1の配管システムを真上、真正面、真横から見た平面図である。
【図13】図13A、図13Bは図10に示す線XX’について1パネル部の側壁部の突出方向と平行、垂直に切った断面図であり、図13Cは線YY’について側壁部の突出方向と平行に切った断面図である。
【図14】実施例2のダクトパネルの斜視図。
【図15】図14とは違う角度から見た実施例2のダクトパネルの斜視図。
【図16】実施例2の配管システムを外側から見た斜視図。
【図17】実施例2の配管システムを内側から見た斜視図。
【図18】図18A、図18B、図18Cはそれぞれ、実施例2の配管システムを真上、真正面、真横から見た平面図を示す。
【図19】図19A、図19Bは図18に示す線XX’について1パネル部の側壁部の突出方向と平行、垂直に切った断面図であり、図19Cは線YY’について側壁部の突出方向と平行に切った断面図である。
【図20】実施例2の配管方法の一過程を外側から見て表した斜視図。
【図21】実施例2の配管方法の一過程を内側から見て表した斜視図。
【図22】実施例2の配管方法の一過程を真上、真正面、真横から見て表した平面図。
【図23】実施例2の配管方法の処理フロー
【図24】実施例3の配管方法において、図20に示す線XX’について側壁部の突出方向と平行に切った断面図であり、図24A、A’はそれぞれ配置部材40、41等を配置させた断面図であり、図24Bは配置部材等を除去した断面図であり、図24Cはテーパ面を設けた場合の断面図であり、図24A’は
【図25】実施例3の配管方法の処理フロー
【図26】実施例4の配管方法で用いる蓋部の斜視図
【図27】実施例4の配管方法において、図20に示す線XX’について側壁部の突出方向と平行に切った断面図であり、図27Aは蓋部を装着させた断面図であり、図27Bは蓋部等を除去した断面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取り付け対象の壁(以下「対象壁」という。)の壁面と所定の間隙を介して対向され、貫通穴(以下、「パネル貫通穴」という。)が設けられている第1板部と、当該第1板部の周辺に一部を除いて一体形成された第1周壁部と、
略円筒状であり、前記パネル貫通穴に貫通されて固定されている管部と、を備え、
前記第1周壁部の突出端面が前記壁面と当接されるダクトパネル。
【請求項2】
請求項1記載のダクトパネルの管部を対象壁の貫通穴(以下、「壁貫通穴」という。)に配管させる配管システムであって、
前記壁貫通穴の開口の直径は、前記ダクトパネルの前記管部の外径よりも大きく、
前記管部は前記壁貫通穴に挿入され、
前記ダクトパネルの第1周壁部の突出端面は前記対象壁の壁面に当接され、
前記第1板部と前記壁面が位置する平面との間、および、前記管部の外周面と前記壁貫通穴の内周面との間に硬化剤が一体的に充填されている配管システム。
【請求項3】
請求項2記載の配管システムにおいて、
前記ダクトパネルは、前記対象壁に固定されていることを特徴とする配管システム。
【請求項4】
貫通穴(以下、「壁貫通穴」という。)が設けられている、第1空間と第2空間との間に位置する壁(以下、「対象壁」という。)に略円筒状の管部を前記壁貫通穴に配管させる配管システムにおいて、
前記対象壁の前記第1空間側の面(以下、「第1壁面」という。)と所定の間隙を介して対向され、貫通穴(以下、「第1パネル貫通穴」という。)が設けられている第1板部と、当該第1板部の周辺に一端側を除いて一体形成された第1周壁部と、を有する第1パネル部と、
薄板状であり、貫通穴(以下、「第2パネル貫通穴」という。)を有する第2パネル部と、前記管部と、を有し、当該管部の開口と前記第2パネル貫通穴の開口とが一致して当該管部は前記第2パネル部の固定面に接合されているダクトパネルと、を備え、
前記壁貫通穴の開口の直径は、前記管部の外径よりも大きく、
前記ダクトパネルは、前記対象壁の前記第2空間側の面と前記固定面とが当接されて前記対象壁に固定され、
前記第1パネル部は、前記第1周壁部の突出端面が前記第1壁面と当接されて前記対象壁に固定され、
前記管部は、前記壁貫通穴および前記第2パネル貫通穴に貫通され、
前記第1板部と前記第1壁面が位置する平面との間、および、前記管部の外周面と前記壁貫通穴の内周面との間に一体的に硬化剤が充填されている配管システム。
【請求項5】
貫通穴(以下、「壁貫通穴」という。)が設けられ、第1空間と第2空間との間に位置する壁(以下、「対象壁」という。)に請求項1記載のダクトパネルの管部を前記壁貫通穴に配管させる配管方法であって、
前記ダクトパネルの第1周壁部の突出端面が前記対象壁の前記第1空間側の面(以下、「第1壁面」という。)に当接させて、前記管部を前記壁貫通穴に挿入させる挿入過程と、
蓋部で前記壁貫通穴の前記第2空間側の開口(以下、「壁開口」という。)を隙間無く塞ぐ蓋部装着過程と、
前記ダクトパネルと蓋部を固定させる固定過程と、
固定された前記ダクトパネルの第1板部の周辺のうち第1周壁部のない箇所から硬化剤を流入して、前記第1板部と前記第1壁面が位置する平面の間、および、前記管部の外周面と前記壁貫通穴の内周面との間に一体的に硬化剤を充填させる流入過程と、
前記蓋部を取り除く除去過程とを有する配管方法。
【請求項6】
請求項5記載の配管方法において、
更に、
配置部材を前記壁貫通穴内に配置させる配置過程を有し、
前記配置部材は、一方の面(以下、「第1配置部材面」という。)が前記管部の前記第2空間側の開口を塞ぎ、もう一方の面(以下、「第2配置部材面」という。)は、前記対象壁の前記第2空間側の面(以下、「第2壁面」という。)と隙間なく塞いで同一平面をなすように配置され、
前記蓋部装着過程は、前記配置過程の処理の終了後行われることを特徴とする配管方法。
【請求項7】
請求項5記載の配管方法において、
前記蓋部は、
前記対象壁の前記第2空間側の面(以下、「第2壁面」という。)と一定の間隔を介して対向される第2板部と、
前記第2板部の周辺に一体形成された第2周壁部と、を有し、
前記蓋部装着過程は、
前記第2板部の前記第2壁面と対向する面と、前記管部の前記第2壁面から突出している方の開口の端面とを当接させ、
前記第2周壁部の突出端面と、前記第2壁面とを当接させて、前記蓋部を配置させることを特徴とする配管方法。
【請求項1】
取り付け対象の壁(以下「対象壁」という。)の壁面と所定の間隙を介して対向され、貫通穴(以下、「パネル貫通穴」という。)が設けられている第1板部と、当該第1板部の周辺に一部を除いて一体形成された第1周壁部と、
略円筒状であり、前記パネル貫通穴に貫通されて固定されている管部と、を備え、
前記第1周壁部の突出端面が前記壁面と当接されるダクトパネル。
【請求項2】
請求項1記載のダクトパネルの管部を対象壁の貫通穴(以下、「壁貫通穴」という。)に配管させる配管システムであって、
前記壁貫通穴の開口の直径は、前記ダクトパネルの前記管部の外径よりも大きく、
前記管部は前記壁貫通穴に挿入され、
前記ダクトパネルの第1周壁部の突出端面は前記対象壁の壁面に当接され、
前記第1板部と前記壁面が位置する平面との間、および、前記管部の外周面と前記壁貫通穴の内周面との間に硬化剤が一体的に充填されている配管システム。
【請求項3】
請求項2記載の配管システムにおいて、
前記ダクトパネルは、前記対象壁に固定されていることを特徴とする配管システム。
【請求項4】
貫通穴(以下、「壁貫通穴」という。)が設けられている、第1空間と第2空間との間に位置する壁(以下、「対象壁」という。)に略円筒状の管部を前記壁貫通穴に配管させる配管システムにおいて、
前記対象壁の前記第1空間側の面(以下、「第1壁面」という。)と所定の間隙を介して対向され、貫通穴(以下、「第1パネル貫通穴」という。)が設けられている第1板部と、当該第1板部の周辺に一端側を除いて一体形成された第1周壁部と、を有する第1パネル部と、
薄板状であり、貫通穴(以下、「第2パネル貫通穴」という。)を有する第2パネル部と、前記管部と、を有し、当該管部の開口と前記第2パネル貫通穴の開口とが一致して当該管部は前記第2パネル部の固定面に接合されているダクトパネルと、を備え、
前記壁貫通穴の開口の直径は、前記管部の外径よりも大きく、
前記ダクトパネルは、前記対象壁の前記第2空間側の面と前記固定面とが当接されて前記対象壁に固定され、
前記第1パネル部は、前記第1周壁部の突出端面が前記第1壁面と当接されて前記対象壁に固定され、
前記管部は、前記壁貫通穴および前記第2パネル貫通穴に貫通され、
前記第1板部と前記第1壁面が位置する平面との間、および、前記管部の外周面と前記壁貫通穴の内周面との間に一体的に硬化剤が充填されている配管システム。
【請求項5】
貫通穴(以下、「壁貫通穴」という。)が設けられ、第1空間と第2空間との間に位置する壁(以下、「対象壁」という。)に請求項1記載のダクトパネルの管部を前記壁貫通穴に配管させる配管方法であって、
前記ダクトパネルの第1周壁部の突出端面が前記対象壁の前記第1空間側の面(以下、「第1壁面」という。)に当接させて、前記管部を前記壁貫通穴に挿入させる挿入過程と、
蓋部で前記壁貫通穴の前記第2空間側の開口(以下、「壁開口」という。)を隙間無く塞ぐ蓋部装着過程と、
前記ダクトパネルと蓋部を固定させる固定過程と、
固定された前記ダクトパネルの第1板部の周辺のうち第1周壁部のない箇所から硬化剤を流入して、前記第1板部と前記第1壁面が位置する平面の間、および、前記管部の外周面と前記壁貫通穴の内周面との間に一体的に硬化剤を充填させる流入過程と、
前記蓋部を取り除く除去過程とを有する配管方法。
【請求項6】
請求項5記載の配管方法において、
更に、
配置部材を前記壁貫通穴内に配置させる配置過程を有し、
前記配置部材は、一方の面(以下、「第1配置部材面」という。)が前記管部の前記第2空間側の開口を塞ぎ、もう一方の面(以下、「第2配置部材面」という。)は、前記対象壁の前記第2空間側の面(以下、「第2壁面」という。)と隙間なく塞いで同一平面をなすように配置され、
前記蓋部装着過程は、前記配置過程の処理の終了後行われることを特徴とする配管方法。
【請求項7】
請求項5記載の配管方法において、
前記蓋部は、
前記対象壁の前記第2空間側の面(以下、「第2壁面」という。)と一定の間隔を介して対向される第2板部と、
前記第2板部の周辺に一体形成された第2周壁部と、を有し、
前記蓋部装着過程は、
前記第2板部の前記第2壁面と対向する面と、前記管部の前記第2壁面から突出している方の開口の端面とを当接させ、
前記第2周壁部の突出端面と、前記第2壁面とを当接させて、前記蓋部を配置させることを特徴とする配管方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図8】
【図9】
【図10】
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【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2009−243136(P2009−243136A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−90728(P2008−90728)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(500140127)エヌ・ティ・ティ・インフラネット株式会社 (61)
【出願人】(591287222)株式会社サンレック (10)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(500140127)エヌ・ティ・ティ・インフラネット株式会社 (61)
【出願人】(591287222)株式会社サンレック (10)
【Fターム(参考)】
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