説明

ダクト

【課題】ダクトの端部から割れが発生し難いダクトを提供する。
【解決手段】本実施形態のダクトの開口部(204)は、他の部材と接続するための接続部(204')を有し、その接続部(204')は、他の部材の内面側に挿入して接続する雄型の接続部であり、ダクト全体の平均肉厚が1mm以下であり、接続部(204')の外面側に、樹脂を潰して形成した潰し部(301)を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダクトに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、低コスト化、軽量化を図るべく、薄肉(平均肉厚が1mm以下)のダクトが所望されている。
【0003】
しかし、溶融状態の熱可塑性樹脂シートを用いて薄肉のダクトを成形する場合は、シートが薄いため、シートの冷却が早く、パーティングラインの溶着強度が低下してしまう。また、シートが薄いと、パーティングラインの溶着面積が少なくなるため、パーティングラインの溶着強度が低下してしまう。
【0004】
パーティングラインの溶着強度が低下してしまうと、パーティングラインから割れが発生し易くなったり、溶着したシート同士が剥がれ易くなったりするため、薄肉のダクトを成形する際は、パーティングラインの溶着強度を向上させる必要がある。
【0005】
なお、本発明より先に出願された技術文献として、パーティングラインに沿って左右から金型により潰されて形成される潰し部分の強度を高める技術について開示された文献がある(例えば、特許文献1:実開平5-87387号公報)。
【0006】
上記特許文献1では、ダクトのパーティングラインに沿った潰し部分の全長に渡って長尺のリブ6を形成し、ダクトのパーティングラインに沿った潰し部分の強度を高めることにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開平5−87387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1は、雄型ダクト1の接続部を雌型ダクト2の内面側に挿入する接続構造を採用している。しかし、雄型ダクト1の接続部には、リブ6が形成されていない。
【0009】
薄肉のダクトの場合は、ダクトの端部をリブなどで補強しておかなければ、ダクト輸送時の振動などによりダクトの端部から割れが発生してしまう場合がある。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ダクトの端部から割れが発生し難いダクトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かかる目的を達成するために、本発明は以下の特徴を有する。
【0012】
本発明にかかるダクトは、
パーティングラインを介して接着される第1の壁部と第2の壁部とを有して構成する樹脂製のダクトであって、
前記ダクトの開口部は、他の部材と接続するための接続部を有し、前記接続部は、前記他の部材の内面側に挿入して接続する雄型の接続部であり、
前記ダクト全体の平均肉厚が1mm以下であり、前記接続部の外面側に、前記樹脂を潰して形成した潰し部を有することを特徴とする。
【0013】
本発明にかかるダクトは、
上記記載のダクトの雄型の前記接続部と接続する雌型の接続部を有する樹脂製のダクトであって、
雌型の前記接続部は、前記潰し部を有する雄型の前記接続部が挿入可能な形状であり、雌型の前記接続部に挿入された雄型の前記接続部に形成されている前記潰し部の位置には、前記潰し部の形状に対応した形状の溝部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ダクトの端部から割れが発生し難いダクトを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態のインパネダクト200の構成例を示す図である。
【図2】図1に示すインパネダクト200の開口部204に設けられた接続部204'周辺の拡大構成例(a)及び接続部204'の中空延伸方向垂直断面構成例(b)を示す図である。
【図3】接続部204'に他の部材400を接続した状態を示す図である。
【図4】接続部205',206'の断面構成例を示す図である。
【図5】本実施形態のインパネダクト200を成形する成形装置100の構成例を示す図である。
【図6】図5に示す成形装置100において、分割金型32内に熱可塑性樹脂シートPを配置し、分割金型32のキャビティ116の間を型枠33により閉じた工程を示す図である。
【図7】図6に示す態様から熱可塑性樹脂シートPを、分割金型32のキャビティ116に真空吸引させた工程を示す図である。
【図8】図7に示す態様から分割金型32を型締めした状態を示す図である。
【図9】図8に示す態様から分割金型32を型開きした状態を示す図である。
【図10】ブロー比を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<本実施形態のダクト200の概要>
まず、図1、図2を参照しながら、本実施形態のダクト200について説明する。
【0017】
本実施形態のダクト200は、パーティングラインPLを介して接着される第1の壁部201と第2の壁部202とを有して構成する樹脂製のダクト200である。
【0018】
本実施形態のダクト200の開口部204〜207は、他の部材と接続するための接続部204'〜207'を有し、その接続部204'〜207'は、図2に示すように、他の部材の内面側に挿入して接続する雄型の接続部であり、ダクト200全体の平均肉厚が1mm以下であり、接続部204'〜207'の外面側に、樹脂を潰して形成した潰し部301を有している。
【0019】
本実施形態のダクト200は、接続部204'〜207'の外面側に潰し部301を有しているため、開口部204〜207に設けられた接続部204'〜207'の溶着強度を高めることができる。その結果、ダクト200の端部から割れが発生し難いダクト200を提供することができる。また、接続部204'〜207'の外面側に潰し部301を有して構成するため、接続部204'〜207'に接続する他の部材を誤って組み付けてしまうことも防止することができる。以下、添付図面を参照しながら、本実施形態のダクト200について詳細に説明する。但し、以下の実施形態では、ダクト200として図1に示すインパネダクト200を成形する場合を例に説明する。
【0020】
<インパネダクト200の構成例>
まず、図1、図2を参照しながら、本実施形態のインパネダクト200の構成例について説明する。図1は、本実施形態のインパネダクト200の構成例を示す図であり、図1(a)は、インパネダクト200の第1の壁部201側を示し、図1(b)は、インパネダクト200の第2の壁部202側を示す。図2は、図1に示すインパネダクト200の開口部204に設けられた接続部204'周辺の拡大構成例(a)及び接続部204'の中空延伸方向垂直断面構成例(b)を示す図である。
【0021】
本実施形態のインパネダクト200は、樹脂製のダクトであり、パーティングラインPLを介して接着した第1の壁部201と第2の壁部202とを有して構成している。また、本実施形態のインパネダクト200は、図2(a)に示すように、パーティングラインPL上のダクト外面側に潰し部301を有して構成している。潰し部301は、インパネダクト200の成形時に、ダクト外面側に樹脂を分割金型で押し潰して形成したものある。
【0022】
本実施形態のインパネダクト200は、パーティングラインPL上のダクト外面側に潰し部301を有して構成しているため、パーティングラインPLの溶着面積を多くし、パーティングラインPLの溶着強度を高めることができる。
【0023】
本実施形態のインパネダクト200を構成する第1の壁部201と第2の壁部202との平均肉厚は、0.3〜1.0mmであり、第1の壁部201の平均肉厚と第2の壁部202の平均肉厚との肉厚差は、0.3mm以下である。また、インパネダクト200全体の肉厚の変動係数は、0.3以下である。本実施形態のインパネダクト200は、肉厚差が0.3mm以下であり、且つ、変動係数が0.3以下であることで、インパネダクト200のフランジ間隔の変化に与える影響が小さく、且つ、開口部変化に与える影響を小さくすることができる。その結果、成形後のインパネダクト200に反りが発生しないようにすることができる。
【0024】
本実施形態において平均肉厚は、樹脂成形品の中空延伸方向に約100mmの等間隔で測定した肉厚の平均値を意味する。中空の樹脂成形品であれば、パーティングラインPLを介して接着される第1の壁部201と第2の壁部202との各々の壁部においてそれぞれパーティングラインPL90°方向の位置の肉厚を測定し、その測定した肉厚の平均値を意味する。但し、測定位置に、フランジ部等の分割金型で圧縮された部分(潰し部301)を含まないようにしている。中空延伸方向とは、樹脂成形品において中空部が延びる方向であり、流体が流れる方向である。パーティングラインPL90°方向の位置とは、図2(b)に示すように、中空延伸方向垂直断面において、一方のパーティングラインPL1と他方のパーティングラインPL2とを結ぶ線分の中点を通り、当該線分に直交する直線Xと交わる位置を意味する。
【0025】
なお、本実施形態のインパネダクト200の第1の壁部201側の平均肉厚は、図1(a)に示すインパネダクト200の第1の壁部201側の11〜19,20〜28の18カ所で測定した肉厚の平均値である。また、第2の壁部202側の平均肉厚は、図1(b)に示すインパネダクト200の第2の壁部202側の31〜38,39〜46の16カ所で測定した肉厚の平均値である。インパネダクト200全体の平均肉厚は、第1の壁部201側の平均肉厚と、第2の壁部202側の平均肉厚と、を平均した肉厚である。
【0026】
インパネダクト200全体の肉厚の変動係数は、樹脂成形品の中空延伸方向に約100mmの等間隔で測定した肉厚のばらつきを示し、樹脂成形品の各部位で測定した肉厚の標準偏差をその各部位の肉厚の平均値で割った値である(変動係数=肉厚の標準偏差/肉厚の平均値)。なお、肉厚の測定位置は、パーティングラインPL90°方向とする。
【0027】
本実施形態のインパネダクト200は、ダクト内部に中空部を有し、その中空部を介して空気などの流体を流通させるようにしている。図1に示す204〜210は、開口部を示し、インパネダクト200内を流通した流体を開口部を介して流通させることになる。また、図1(b)に示すAは、インパネダクト200の両端に位置するフランジ間の距離を示す。
【0028】
本実施形態のインパネダクト200の開口部204〜207は、他の部材(図示せず)と接続するための接続部204'〜207'を有している。本実施形態の接続部204'〜207'は、図3に示すように、他の部材400の内面側に挿入して接続する雄型の接続部であり、図2(a)に示すように、接続部204'のパーティングラインPLのダクト外面側に潰し部301が形成されている。なお、図3は、接続部204'を他の部材400の内面側に挿入して接続した状態を示しているが、他の接続部205'〜207'も図3に示す接続部204'と同様に他の部材400の内面側に挿入して接続することになる。また、図2(a)は、接続部204'周辺の構成例を示しているが、他の接続部205'〜207'も図2(a)と同様に構成することになる。
【0029】
他の部材400は、接続部204'〜207'と接続し、流体を流通させる雌型の部材であり、例えば、ダクトや流体の入出口等が挙げられる。他の部材400は、図3に示すように、雄型の接続部204'〜207'と接続する雌型の接続部401を有しており、その雌型の接続部401は、雄型の接続部204'〜207'が挿入可能な形状になっている。また、雌型の接続部401は、雄型の接続部204'〜207'に形成された潰し部301に応じた形状の溝部402を有し、その溝部402の外面側に潰し部403を有して構成している。潰し部403は、雄型の接続部204'〜207'に形成されている潰し部301と同様に樹脂を分割金型で押し潰して形成することができる。本実施形態のインパネダクト200は、雄型の接続部204'〜207'と雌型の接続部401とを接続した際に、図3(b)に示すように、潰し部301と溝部402とが重ね合わさって隙間なく接続することになるが、この場合、溝部402に負荷が掛かってしまう。しかし、溝部402の外面に潰し部403を有しているため、溝部402に負荷が掛かってしまっても、溝部402に割れを発生し難くすることができる。
【0030】
本実施形態のインパネダクト200は、開口部204〜207の外周に潰し部301を形成しているため、図2(b)、(c)に示すように、パーティングラインPLの溶着面積を多くし、開口部204〜207のパーティングラインPLの溶着強度を高めることができる。パーティングラインPLの溶着面積は、第1の壁部201と第2の壁部202とが接着される部分であり、図2(b)、(c)に示すパーティングラインPL1,PL2の部分を示す。
【0031】
インパネダクト200の所定断面における平均肉厚Bと、その所定断面における潰し部301の厚さAと、の関係は、厚さBを基準とし、厚さA=1.0B〜1.8Bであることが好ましい。潰し部301の厚さAが1.0B未満の場合は、潰し部301の剛性が低下し、潰し部301が割れ易く、結果として、パーティングラインPLの溶着強度が低下してしまうことになる。このため、潰し部301の厚さAが1.0B以上であることが好ましい。また、潰し部301の厚さAが1.8B以上の場合は、潰し部301のコンプレッションが不十分であるため、パーティングラインPLの溶着強度が低下してしまうことになる。このため、潰し部301の厚さAが1.8B以下であることが好ましい。
【0032】
また、潰し部301のダクト内面からの突出長さCは、C=2.0B〜10.0Bであることが好ましい。潰し部301の突出長さCが2.0B以上であることで、パーティングラインPLの溶着面積を多くし、確実に、パーティングラインPLの溶着強度を高めることができる。
【0033】
なお、インパネダクト200の所定断面における平均肉厚Bは、図2(c)に示す所定断面の6点の肉厚の平均値である。この6点は、パーティングラインPL90°方向(X方向)の線と交わる2点と、パーティングラインPL1,PL2を結ぶ線分の中点を通り、その線分に対して45度傾けて構成される傾斜線αと交わる4点と、である。本実施形態では、所定断面における平均肉厚Bをこの6点で得られた肉厚の平均値とする。
【0034】
また、本実施形態のインパネダクト200の接続部204'〜207'は、接続部204'〜207'の外周に潰し部301を形成している。接続部204'〜207'の外周に潰し部301を形成することで、接続部204'〜207'のパーティングラインPLの溶着強度を高めることができるため、接続部204'〜207'のパーティングラインPLに割れが発生し難くすることができる。潰し部301は、インパネダクト200に形成されるパーティングラインPLの90%以上の範囲に形成することが好ましい。これにより、パーティングラインPLの溶着強度を高めると共に、インパネダクト200の剛性も高めることができる。また、接続部204'〜207'の外周に潰し部301を形成しているため、接続部204'〜207'に接続する他の部材400を誤って組み付けてしまうことも防止することができる。
【0035】
また、本実施形態の潰し部301は、接続部204'〜207'の外周のパーティングラインPL上の2箇所に形成されており、図2(b)、(c)に示すように、各々の潰し部301の形状が異なっている。各々の潰し部301の形状が異なっていることで、接続部204'〜207'に接続する他の部材400を誤って組み付けてしまうことを防止することができる。なお、他の部材400の接続部401に形成される溝部402の形状も図3(b)に示すように潰し部301の形状に応じて各々異なっている。
【0036】
また、図4に示すように、各接続部204'〜207'に形成される潰し部301の形状を接続部204'〜207'毎に変えるようにすることも可能である。図4は、接続部205',206'の断面構成例を示す図である。図4に示すように、各々の接続部204'〜207'に形成する潰し部301の形状を接続部204'〜207'毎に異ならせることで、各々の接続部204'〜207'に接続する他の部材400を誤って組み付けてしまうことも防止することができる。この場合も、他の接続部400の接続部401に形成される溝部402の形状も潰し部301の形状に応じて各々異なることになる。なお、図4では、接続部205'に形成される2つの潰し部301の形状と、接続部206'に形成される2つの潰し部301の形状と、を各々異ならせることにした。しかし、接続部206'に形成される2つの潰し部301の形状を図2に示す接続部204'と同様に各々異ならせるようにすることも可能である。
【0037】
<インパネダクト200の成形方法例>
次に、図5〜図9を参照しながら、本実施形態のインパネダクト200の成形方法例について説明する。図5は、本実施形態のインパネダクト200を成形する成形装置100の構成例を示し、図5〜図9は、本実施形態のインパネダクト200を成形する成形工程例を示す図である。
【0038】
まず、図5を参照しながら、本実施形態のインパネダクト200を成形する成形装置100の構成例について説明する。
【0039】
本実施形態のインパネダクト200を成形するための成形装置100は、押出装置12と、型締装置10と、を有して構成し、押出装置12から溶融状態の熱可塑性樹脂シートPを型締装置10に押し出し、型締装置10で熱可塑性樹脂シートPを型締めし、図1に示すインパネダクト200を成形する。
【0040】
押出装置12は、ホッパ16が付設されたシリンダ18と、シリンダ18内に設けられたスクリュ(図示せず)と、スクリュに連結された電動モータ20と、シリンダ18と連通したアキュムレータ22と、アキュムレータ22と連通したプランジャ24と、Tダイ28と、を有して構成する。
【0041】
本実施形態の押出装置12は、ホッパ16から投入された樹脂ペレットが、シリンダ18内で電動モータ20によるスクリュの回転により溶融、混練され、溶融状態の樹脂(溶融樹脂)を形成する。次に、溶融樹脂がアキュムレータ22に移送されて一定量貯留され、プランジャ24の駆動により、Tダイ28に向けて溶融樹脂を送り、Tダイ28の押出スリット(図示せず)から連続的なシート状の熱可塑性樹脂シートPを押し出す。Tダイ28の押出スリットから押し出された熱可塑性樹脂シートPは、間隔を隔てて配置された一対のローラ30によって挟圧されながら下方へ向かって送り出されて分割金型32の間に垂下される。これにより、熱可塑性樹脂シートPが上下方向(押出方向)に一様な厚みを有する状態で、分割金型32の間に配置されることになる。
【0042】
押出装置12の押出能力は、成形する樹脂成形品の大きさ、熱可塑性樹脂シートPのドローダウンあるいはネックイン発生防止の観点から適宜選択する。具体的には、実用的な観点から、間欠押出における1ショットの押出量は、好ましくは1〜10kgであり、押出スリットからの熱可塑性樹脂シートPの押出速度は、数百kg/時以上、より好ましくは、700kg/時以上である。また、熱可塑性樹脂シートPのドローダウンあるいはネックイン発生防止の観点から、熱可塑性樹脂シートPの押出は、なるべく短いことが好ましく、樹脂の種類、MFR値、メルトテンション値に依存するが、一般的に、押出は、40秒以内、より好ましくは10〜20秒以内に完了するのが好ましい。
【0043】
このため、熱可塑性樹脂の押出スリットからの単位面積(1cm2)、単位時間(h)当たりの押出量は、50kg/h cm2以上、より好ましくは、150kg/h cm2以上である。例えば、スリット間隔が0.5mm、スリットの幅方向の長さが1000mmのTダイ28の押出スリットから、密度0.9g/cm3の熱可塑性樹脂を用いて、厚さ1.0mm、幅1000mm、押出方向の長さが2000mmの熱可塑性樹脂シートPを15秒間で押し出す場合は、1.8kgの熱可塑性樹脂を1ショット15秒間で押し出したことになり、押出速度は432kg/時であり、単位面積当りの押出速度は約86kg/h cm2と算出することができる。
【0044】
なお、Tダイ28に設けられる押出スリットは、鉛直下向きに配置され、押出スリットから押し出された熱可塑性樹脂シートPは、そのまま押出スリットから垂下する形態で、鉛直下向きに送られるようになっている。押出スリットは、スリット間隔を可変にすることで、熱可塑性樹脂シートPの厚みを変更することができる。
【0045】
但し、Tダイ28から押し出された熱可塑性樹脂シートPは、分割金型32の間に垂下された状態で、つまり、型締めされる時点において押出方向の厚みが均一となるように調整することが好ましい。この場合、スリット間隔を押出開始から徐々に広げ、押出終了時に最大となるように変動させることもできる。これにより、Tダイ28から押し出される熱可塑性樹脂シートPの厚みは、押出開始から徐々に厚くなるが、溶融状態で押し出された熱可塑性樹脂シートPは、自重により引き伸ばされてシートの下方から上方へ徐々に薄くなるため、スリット間隔を広げて厚く押し出した分とドローダウン現象により引き伸ばされて薄くなった分とが相殺されて、シート上方から下方にわたって均一な厚みに調整することができる。
【0046】
本実施形態の成形装置100は、一対のローラ30の間に挟み込まれた熱可塑性樹脂シートPを一対のローラ30の回転により下方に送り出すことで、熱可塑性樹脂シートPを延伸薄肉化することができ、Tダイ28により押し出される熱可塑性樹脂シートPの押出速度と、一対のローラ30により送り出される熱可塑性樹脂シートPの送出速度と、の関係を調整することで、熱可塑性樹脂シートPのドローダウンあるいはネックインの発生を防止することができる。このため、採用する樹脂の種類、特に、MFR値、MT値、単位時間当たりの押出量に対する制約を軽減することができる。
【0047】
一対のローラ30は、押出スリットから下方に垂下する形態で押し出される熱可塑性樹脂シートPに関して、線対称となるように配置される。ローラ30の直径およびローラ30の軸方向の長さは、成形すべき熱可塑性樹脂シートPの押出速度、熱可塑性樹脂シートPの押出方向の長さ、幅、樹脂の種類などに応じて適宜設定する。また、一対のローラ30のそれぞれの外表面には、凹凸状のシボが設けられている。凹凸状のシボは、ローラ30の外表面において、熱可塑性樹脂シートPと接触する面全体に亘って均一に分布するように設けることが好ましく、その深さや密度は、一対のローラ30により熱可塑性樹脂シートPを円滑に下方に送り出すことが可能なように、一対のローラ30のそれぞれの外表面と、対応する熱可塑性樹脂シートPの表面と、の間に滑りが生じない点を考慮して適宜定めればよい。なお、凹凸状のシボは、例えば、サンドブラスト処理によって形成できるが、ブラスト機において粗さ60番程度を採用して形成することが好ましい。
【0048】
なお、一対のローラ30のそれぞれに設ける凹凸状のシボは、熱可塑性樹脂シートPの表面にシボ模様を転写するために設けるのではなく、あくまで、一対のローラ30のそれぞれの外表面と、対応する熱可塑性樹脂シートPの表面と、の間に滑りが生じるのを防止するために設けている。
【0049】
熱可塑性樹脂シートPの表面にシボ模様を転写する場合は、一対のローラ30のうち、一方をシボロールとし、他方をゴムロールとするのが通常であるが、本実施形態の一対のローラ30においては、一対のローラ30のそれぞれの外表面にシボを設けることにより、一対のローラ30のそれぞれが熱可塑性樹脂シートPの対応する表面を確実に把持するようにする半面、一対のローラ30による熱可塑性樹脂シートPの押圧力を制限することで、一対のローラ30により熱可塑性樹脂シートPを送り出す直後に、熱可塑性樹脂シートPの表面にシボ模様を転写しないようにすることができる。
【0050】
一対のローラ30は、金属製、例えば、アルミニウム製であり、一対のローラ30にはそれぞれ、溶融状態の熱可塑性樹脂シートPの温度に応じて、ローラ30の表面温度を調整する表面温度調整手段が付設され、その構成は、ローラ30の内部に冷媒を通し、この冷媒を循環させることにより、ローラ30の表面が一対のローラ30により挟み込まれた溶融状態の熱可塑性樹脂シートPにより過度に加熱されないように熱交換するようにしている。
【0051】
一対のローラ30の外表面は、一対のローラ30が溶融状態の熱可塑性樹脂シートPに接触することにより熱伝導を通じて加熱されるところ、一対のローラ30の外表面を内側から冷却することにより、一対のローラ30により挟み込まれた溶融状態の熱可塑性樹脂シートPがローラ30の外表面にへばり付き、ローラ30の回転によりローラ30に巻き付き、熱可塑性樹脂シートPが下方に送り出されないような事態を防止することにしている。この場合、巻き付き防止の観点から、ローラ30の表面温度を低くするのが好ましいが、後に、熱可塑性樹脂シートPを成形する観点から、ローラ30の表面温度を低くし過ぎると、ローラ30の表面により逆に溶融状態の熱可塑性樹脂シートPが過冷却され、成形時に支障が生じることになる。このため、一対のローラ30のそれぞれの表面温度を一対のローラ30に向かって押し出される溶融状態の熱可塑性樹脂シートPの温度より所定温度の範囲内で低く設定する必要がある。この所定温度の範囲は、溶融状態の熱可塑性樹脂シートPの種類に応じて定められ、例えば、熱可塑性樹脂シートPが非晶性樹脂の場合は、所定温度の範囲が約80℃〜95℃の範囲となり、熱可塑性樹脂シートPが結晶性樹脂の場合は、所定温度の範囲が約50℃〜90℃の範囲となる。この場合、一対のローラ30の表面温度を温度調整するために、一対のローラ30のそれぞれの内部を水冷する際は、熱可塑性樹脂シートPの種類に応じて、冷媒の温度を設定するのがよく、冷媒の温度は、熱可塑性樹脂シートPを成形中、一定温度に保持するようにする。
【0052】
本実施形態の型締装置10は、分割金型32と、分割金型32を熱可塑性樹脂シートPの供給方向に対して略直交する方向に開位置と閉位置との間で移動させる金型駆動装置(図示せず)と、を有して構成する。
【0053】
分割金型32は、キャビティ116を対向させた状態で配置され、それぞれのキャビティ116が略鉛直方向を向くように配置される。キャビティ116の表面には、溶融状態の熱可塑性樹脂シートPに基づいて成形される成形品の外形、および表面形状に応じて凹凸部が設けられている。また、分割金型32のキャビティ116の周りには、ピンチオフ部118が形成されている。このピンチオフ部118は、キャビティ116の周りに環状に形成されており、対向する金型32に向かって突出している。これにより、分割金型32を型締めした際に、それぞれのピンチオフ部118の先端部が当接し、成形品の周縁にパーティングラインを形成することができる。
【0054】
また、分割金型32の外周部には、型枠33が摺動可能に配置されており、その型枠33が分割金型32に対して相対的に移動可能になっている。より詳細には、一方の型枠33Aは、分割金型32Bに向かって突出しており、分割金型32の間に配置された熱可塑性樹脂シートPの一方の側面に当接可能であり、また、他方の型枠33Bは、分割金型32Aに向かって突出しており、分割金型32の間に配置された熱可塑性樹脂シートPの他方の側面に当接可能である。
【0055】
分割金型32は、金型駆動装置(図示せず)により駆動し、開位置において、分割金型32の間に、溶融状態の熱可塑性樹脂シートPを配置可能にしている。また、閉位置において、分割金型32のピンチオフ部118が互いに当接し、分割金型32内に密閉空間を形成するようにしている。なお、開位置から閉位置への各分割金型32の移動について、閉位置は、溶融状態の熱可塑性樹脂シートPの中心線の位置とし、各分割金型32が金型駆動装置により駆動されてその位置に向かって移動するようにしている。
【0056】
熱可塑性樹脂シートPは、ポリプロピレン、ポリオレフィン系樹脂などから形成する。本実施形態の熱可塑性樹脂シートPは、ドローダウン、ネックインなどにより肉厚のバラツキが発生することを防止する観点から溶融張力の高い樹脂材料を用いることが好ましく、一方で分割金型32への転写性、追従性を良好とするため流動性の高い樹脂材料を用いることが好ましい。
【0057】
具体的には、エチレン、プロピレン、ブテン、イソプレンペンテン、メチルペンテン等のオレフィン類の単独重合体あるいは共重合体であるポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン)であって、230℃におけるMFR(JIS K-7210に準じて試験温度230℃、試験荷重2.16kgにて測定)が3.5g/10分以下のものが適用可能である。MFRが3.5g/10分より大きくなると、ドローダウンが激しくなり、薄肉の成形品を成形するのが困難になる。
【0058】
また、本実施形態の熱可塑性樹脂シートPは、平均肉厚が0.3〜1.2mm、肉厚の変動係数が0.3以下のインパネダクト200を成形するため、シリカ、マイカ、タルク、炭酸カルシウム等の粉状の無機フィラー、または、ガラス繊維、カーボン繊維等の繊維状の無機フィラーを添加することにしている。これにより、平均肉厚を薄くすることができ、且つ、複雑な形状のインパネダクト200を成形することができる。なお、無機フィラーは、添加量が多くなると、成形品の表面に荒れが発生し、ピンホールが発生し易くなる。このため、成形品の表面の荒れを抑え、且つ、ピンホールを発生し難くするために、無機フィラーは、30重量%未満で添加することが好ましい。また、本実施形態のインパネダクト200を成形する際は、繊維状のフィラーよりも粉状のフィラーを適用することが好ましい。これは、繊維状のフィラーは、繊維が押出方向を向くため、押出方向と直交する方向の皺を抑え難いためである。また、粉状のフィラーの中でも、特に、タルクを適用することがより好ましい。これは、タルクは、樹脂中での分散性が良いためである。
【0059】
また、熱可塑性樹脂シートPには、衝撃により割れが生じることを防止するために、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーを30wt%未満、好ましくは15wt%未満の範囲で添加することも可能である。水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレンブロック共重合体、水添スチレン−ブタジエンゴムおよびその混合物が適用可能である。
【0060】
また、熱可塑性樹脂シートPには、可塑剤、安定剤、着色剤、帯電防止剤、難燃剤、発泡剤等を添加することも可能である。
【0061】
次に、図5〜図9を参照しながら、本実施形態のインパネダクト200の成形工程例について説明する。
【0062】
まず、図5に示すように、熱可塑性樹脂シートPをTダイ28から押し出し、その押し出した熱可塑性樹脂シートPを一対のローラ30を通過させて熱可塑性樹脂シートPの肉厚を調整し、一対の分割金型32の間に垂下させる。
【0063】
本実施形態の成形装置100は、熱可塑性樹脂シートPの押出速度と、熱可塑性樹脂シートPが一対のローラ30により下方に送り出される送出速度と、の相対速度差を、一対のローラ30の回転速度で調整し、熱可塑性樹脂シートPが一対のローラ30の間を通過する際に、一対のローラ30により下方に引っ張られ、それにより熱可塑性樹脂シートPが延伸薄肉化され、その結果、ドローダウンあるいはネックインの発生を防止することにしている。
【0064】
この場合、一対のローラ30のそれぞれにおいて、ローラ30の表面に凹凸状のシボを設けると共に、ローラ30の一端に歯車機構を設けることにより、回転駆動ローラ30BAの回転駆動力を被回転駆動ローラ30BBに、また、回転駆動ローラ30AAの回転駆動力を被回転駆動ローラ30ABに、それぞれ伝達することにより、回転駆動ローラ30Aと被回転駆動ローラ30Bとの間で回転速度差が生じないようにし、それにより、熱可塑性樹脂シートPの表面に、皺あるいはせん断痕が発生するのを防止している。
【0065】
また、一対のローラ30のそれぞれにおいて、ローラ30の内部に冷媒を循環させることにより、ローラ30を冷却し、ローラ30のそれぞれの外表面の温度を溶融状態の熱可塑性樹脂シートPの温度より所定温度の範囲内で低く設定し、溶融状態の熱可塑性樹脂シートPが一対のローラ30により挟み込まれる際に、溶融状態の熱可塑性樹脂シートPがローラ30の表面にへばりつき、ローラ30の回転によりローラ30に巻き付くのを防止する一方、成形時に適した溶融状態に保持するようにしている。
【0066】
なお、一対のローラ30の回転数の調整と共に、押出スリットの間隔調整を連動して行うことも可能である。
【0067】
図5に示すように、2枚の熱可塑性樹脂シートPを分割金型32の間に配置した後は、図6に示すように、分割金型32の型枠33を熱可塑性樹脂シートPに向かって移動させ、分割金型32の外周に位置する型枠33を熱可塑性樹脂シートPの側面に当接させる。これにより、熱可塑性樹脂シートP、型枠33、キャビティ116により、密閉空間が形成される。
【0068】
次に、図7に示すように、密閉空間内の空気を真空吸引室120から吸引穴122を介して吸引し、熱可塑性樹脂シートPをキャビティ116に吸着させ、熱可塑性樹脂シートPをキャビティ116の表面に沿った形状に賦形する。
【0069】
この場合、吸引前の熱可塑性樹脂シートPの上下方向の厚みを一様にしているため、ブロー比により引き起こされる厚みの分布に起因して、賦形工程が満足に行われないような事態を防止することができる。
【0070】
次に、図8に示すように、型枠33と分割金型32とを一体で、互いに近接するように移動させ、分割金型32の型締めを行い、分割金型33のピンチオフ部118により熱可塑性樹脂シートPの周縁部同士を溶着する。これにより、インパネダクト200のパーティングラインPL上のダクト外周側に潰し部301が形成される。
【0071】
次に、図9に示すように、型枠33と分割金型32とを一体で、互いに遠ざかるように移動させ、分割金型32の型開きを行い、成形された樹脂成形品を取り出し、外周部のバリを除去する。これにより、図1に示すインパネダクト200が完成する。なお、他の部材400も上述した成形方法で成形することができる。
【0072】
<本実施形態のインパネダクト200の作用・効果>
このように、本実施形態のインパネダクト200は、開口部204〜207に雄型の接続部204'〜207'を有し、その接続部204'〜207'の外面側に潰し部301を有して構成する。これにより、開口部204〜207に設けられた接続部204'〜207'の溶着強度を高めることができるため、ダクト200の端部から割れが発生し難いダクト200を提供することができる。
【0073】
また、本実施形態のインパネダクト200は、接続部204'〜207'の外面側に潰し部301を有して構成するため、接続部204'〜207'に接続する他の部材400を誤って組み付けてしまうことも防止することができる。
【0074】
なお、本実施形態のインパネダクト200は、上述したシートダイレクト成形で成形することが好ましい。シートダイレクト成形で成形する場合は、第1の壁部201の肉厚と第2の壁部202の肉厚との双方を調整することができるため、第1の壁部201と第2の壁部202との平均ブロー比の差が大きい場合(例えば、0.05以上の場合)でも、双方の肉厚差を小さくすることができるため、冷熱サイクルによるインパネダクト200の変形を抑制することができる。これにより、冷熱サイクルによるインパネダクト200の変形が少なく、且つ、自由度の高い形状のインパネダクト200を成形することができる。
【0075】
例えば、本実施形態のインパネダクト200をパリソンブロー成形により成形する場合は、第1の壁部201と第2の壁部202との平均ブロー比の差が大きい場合(例えば、0.05以上の場合)は、第1の壁部201の肉厚と第2の壁部202の肉厚との差が顕著になり、冷熱サイクルによるインパネダクト200の変形も顕著になる。
【0076】
これに対し、本実施形態のインパネダクト200をシートダイレクト成形で成形する場合は、第1の壁部201の肉厚と第2の壁部202の肉厚との双方を調整することができるため、第1の壁部201と第2の壁部202との平均ブロー比の差が大きい場合(例えば、0.05以上の場合)でも、双方の肉厚差を小さくすることができるため、冷熱サイクルによるインパネダクト200の変形を抑制することができる。特に平均ブロー比の差が0.1以上の場合は変形抑制効果が大きい。
【0077】
なお、本実施形態においてブロー比は、例えば、図10に示すように、中空延伸方向垂直断面において、一方のパーティングラインL1と他方のパーティングラインL2とを結ぶ線分の長さAに対する、この線分と、この線分から最も離れた内壁面との間の距離Bの割合(B/A)である。図10の場合は、断面の形状に凹凸が見られる場合は、ブロー比は、0.5となる。また、平均ブロー比は、樹脂成形品の中空延伸方向に約100mmの等間隔で測定したブロー比の平均値である。
【0078】
また、冷却された空気や清浄な空気を供給するダクトにおいては、ダクト周辺の壁面に沿わせたり、周辺位置を避けて空気の供給通路を設けたりする必要があるため、その供給通路が曲がりくねった形状であることが少なくない。このため、ブロー成形されたダクトの壁面において、ブロー比の高い部分と低い部分とのギャップがはげしくなり、薄肉部の発生、さらにはピンホールの発生をきたす問題がある。その結果、ブロー比のギャップがはげしい場合は、ピンホール防止のため、ブロー成形の設定肉厚を全体的に厚くすることが行われている。特に、発泡性樹脂をブロー成形する場合は、非発泡の樹脂の場合に比べて、パリソンの伸びが低下するため、ピンホール防止を目的とした厚肉の設定肉厚を余儀なく行っている。その結果、第1の壁部201と第2の壁部202との平均ブロー比の差が大きい場合は、ダクトの肉厚差が大きくなり、ダクトに反りが発生してしまう場合がある。
【0079】
これに対し、シートダイレクト成形でダクトを成形する場合は、第1の壁部201の肉厚と第2の壁部202の肉厚との双方を調整することができるため、第1の壁部201と第2の壁部202との平均ブロー比の差が大きい場合でも、双方の肉厚差を小さくすることができるため、ダクトに反りが発生しないようにすることができる。
【0080】
なお、上述した実施形態は、本発明の好適な実施形態であり、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
【符号の説明】
【0081】
P 熱可塑性樹脂シート
200 インパネダクト
201 第1の壁部
202 第2の壁部
204〜210 開口部
204'〜207' 接続部(雄型)
301 潰し部
400 他の部材
401 接続部(雌型)
402 溝部
403 潰し部
PL パーティングライン
100 成形装置
12 押出装置
10 型締装置
16 ホッパ
18 シリンダ
20 電動モータ
22 アキュムレータ
24 プランジャ
28 Tダイ
30 ローラ
32 分割金型
33 型枠
116 キャビティ
118 ピンチオフ部
120 真空吸引室
122 吸引穴
151 密閉中空部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーティングラインを介して接着される第1の壁部と第2の壁部とを有して構成する樹脂製のダクトであって、
前記ダクトの開口部は、他の部材と接続するための接続部を有し、前記接続部は、前記他の部材の内面側に挿入して接続する雄型の接続部であり、
前記ダクト全体の平均肉厚が1mm以下であり、前記接続部の外面側に、前記樹脂を潰して形成した潰し部を有することを特徴とするダクト。
【請求項2】
前記潰し部の厚さは、前記ダクトの所定断面における平均肉厚の1〜1.8倍であり、
前記外面側に突出した前記潰し部の前記ダクトの内面からの突出長さは、前記ダクトの所定断面における平均肉厚の2倍以上であることを特徴とする請求項1記載のダクト。
【請求項3】
前記潰し部は、1つの前記接続部において少なくとも2箇所に設けられており、各々の潰し部の形状が異なることを特徴とする請求項1または2記載のダクト。
【請求項4】
前記潰し部は、各々の前記接続部に設けられており、各々の前記接続部に設けられた前記潰し部の形状が異なることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載のダクト。
【請求項5】
請求項1から4の何れか1項に記載のダクトの雄型の前記接続部と接続する雌型の接続部を有する樹脂製のダクトであって、
雌型の前記接続部は、前記潰し部を有する雄型の前記接続部が挿入可能な形状であり、雌型の前記接続部に挿入された雄型の前記接続部に形成されている前記潰し部の位置には、前記潰し部の形状に対応した形状の溝部を有することを特徴とするダクト。
【請求項6】
前記溝部の外面側に、前記樹脂を潰して形成した潰し部を有することを特徴とする請求項5記載のダクト。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2013−11368(P2013−11368A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−142899(P2011−142899)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(000104674)キョーラク株式会社 (292)
【Fターム(参考)】