ダスト排出装置
【課題】排ガス処理空間を外気と遮断した状態に維持しながらも、排ガス処理設備の小型化が可能なダスト排出装置を提供する。
【解決手段】ダストテーブル42のプッシャ50の往動側端部に、第一排出ダクト45に連なる第一排出口44が形成され、プッシャ50がその底面で第一排出口44を覆う往動限界位置まで往動するように構成されるとともに、プッシャ50が往動限界位置へ移動した状態で開放可能な第一ダンパ46が第一排出ダクト45の下部に設けられている。
【解決手段】ダストテーブル42のプッシャ50の往動側端部に、第一排出ダクト45に連なる第一排出口44が形成され、プッシャ50がその底面で第一排出口44を覆う往動限界位置まで往動するように構成されるとともに、プッシャ50が往動限界位置へ移動した状態で開放可能な第一ダンパ46が第一排出ダクト45の下部に設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理炉からの排ガスを処理する排ガス処理設備の底部に設けられ、排ガスに同伴して排ガス処理空間で落下するダストを受け止めるダストテーブルと、前記ダストテーブルに堆積したダストを排出するプッシャと、前記ダストを前記排ガス処理空間の外部に排出する排出シュートとを備えているダスト排出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ごみ焼却炉や灰溶融炉等の処理炉から排出された排ガスを処理する排ガス処理設備として、後燃焼装置、廃熱ボイラ、排ガス冷却装置等が煙道に沿って配置されている。これらの排ガス処理設備に流入した排ガスには、粉塵や、気化した金属等が混入しているため、各排ガス処理設備には排ガス処理空間で落下する固体や液状のダストを受け止め、排ガス処理空間の外部に排出するダスト排出装置が設けられている。
【0003】
ダスト排出装置として、排ガスに同伴され、排ガス処理空間から落下したダストを回収して排出するスクリューフィーダが用いられる場合が多いが、排ガスから分離された主に液状のダストがダスト排出装置に付着して固化成長し、これが繰り返されると、装置の円滑な作動が妨げられるとともに、壁面や排出口に付着し成長した大きな塊状のダストが落下し、その下流側に配置されているスクリューフィーダやコンベア等の機器が過負荷のため停止して連続運転が妨げられるという問題があった。また、成長したダストにより排出口が閉塞すると、排出口の清掃のために排ガス処理設備のシステム全体の運転を停止しなければならないという問題があった。
【0004】
そこで、特許文献1には、ケーシング内面から落下されたダスト塊によるダスト排出装置の破損を防止できるとともに、ダスト塊を容易に排出できる排ガス処理設備を提供することを目的として、排ガス処理空間の下部に、排ガスからダストを分離するダスト分離部及び分離されたダストを排出するダスト排出装置を備えた排ガス処理設備に関して、ダスト分離部の入口にダスト塊を受けるスクリーンを配置し、排ガス処理空間の側壁に開閉自在なダスト塊排出口を設け、スクリーン上に受け止められたダスト塊をプッシャによりダスト塊排出口に押し出すダスト塊排出装置を設けた排ガス処理設備が提案されている。
【0005】
また、特許文献2には、液状のダストであってもそれが排出経路等に付着して閉塞に到ることなく確実に回収できるダスト排出装置を提供することを目的として、排ガスに同伴して排ガス処理空間で落下するダストを受け止めるダストテーブルと、ダストを外部に排出する排出口と、ダストテーブルに落下したダストを排出口に押し出すダスト案内機構を排ガス処理設備の底部に備えたダスト排出装置であって、ダストテーブルに滴下した液状ダストを冷却固化する冷却機構を設け、ダストテーブルに堆積したダストを排出口に向けて押し出すように往復移動するプッシャを備えたダスト排出装置が提案されている。
【0006】
当該ダスト排出装置では、プッシャが排出口に向けて進出する往動時にプッシャ先端の押出作用部がダストテーブルと接触し、プッシャが排出口から引退する復動時にプッシャ先端の押出作用部がダストテーブルから離間する姿勢切替機構が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平09−243049号公報
【特許文献2】特開2007−32872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
通常、このような排ガス処理設備では、排ガス処理空間を外気と遮断した状態に維持される必要があるため、ダスト排出装置からダストを排出する排出シュートに二重のシール機構が設けられている。二重のシール機構を設けないと外気が排出シュートから排ガス処理空間に流入して、処理炉の内部が正圧になり燃焼状態が変動し、また燃焼ガスが炉外に噴出す虞があるためである。
【0009】
しかし、排出シュートに二重のシール機構を設けることにより排ガス処理設備の装置高さが嵩み、設備の小型化を阻害するという問題があった。
【0010】
また、焼却灰等を溶融処理する溶融炉では、低融点の重金属や塩類等の化合物が多量に含まれた溶融飛灰が排ガス中に浮遊し、液状で落下回収される場合が多く、さらに効果的な対処が望まれていた。
【0011】
本発明の目的は、上述の問題点に鑑み、排ガス処理空間を外気と遮断した状態に維持しながらも、排ガス処理設備の小型化が可能なダスト排出装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述の目的を達成するため、本発明によるダスト排出装置の第一の特徴構成は、特許請求の範囲の書類の請求項1に記載した通り、処理炉からの排ガスを処理する排ガス処理設備の底部に設けられ、排ガスに同伴して排ガス処理空間で落下するダストを受け止めるダストテーブルと、前記ダストテーブルに堆積したダストを排出するプッシャと、前記ダストを前記排ガス処理空間の外部に排出する排出シュートとを備えているダスト排出装置であって、前記プッシャの駆動範囲に、前記排出シュートに連なる排出口が形成され、前記プッシャがその底面で前記排出口を覆うように構成されるとともに、前記排ガス処理空間と前記外部とを遮断するシール機構が前記排出シュートに設けられている点にある。
【0013】
上述の構成によれば、ダストテーブルに落下したダストが、プッシャの駆動によってダストテーブルのプッシャの駆動範囲に形成された排出口に押し出され、当該排出口から排出シュートに排出される。このとき、プッシャはその底面で排出口を覆い、排出口は密閉された状態になる。この状態で排出シュートに設けられたシール機構が開放されると、排ガス処理空間を外気と遮断した状態でダストは排ガス処理空間の外部に排出されるようになる。つまり、排出口を覆うプッシャの底面とシール機構により二重のシール機構が構成されるので、排出シュートに前記シール機構とは別のシール機構を設ける必要が無くなり、排ガス処理設備の小型化、特に高さ方向の小型化を達成することができるようになる。
【0014】
同第二の特徴構成は、同請求項2に記載した通り、上述の第一特徴構成に加えて、前記プッシャが排出口の全体を覆うことを特徴とする点にある。
【0015】
上述の構成によれば、プッシャによって排出口の全体を覆い、排出口は確実に密閉された状態になる。
【0016】
同第三の特徴構成は、同請求項3に記載した通り、上述の第二特徴構成に加えて、前記プッシャの前記排出口と対向する面と、前記排出口周縁部とが接していることを特徴とする点にある。
【0017】
重量物のプッシャをダストテーブルに摺動させて移動させると大きな摺動抵抗を受けて円滑に駆動させることは困難である。上述の構成によると、プッシャの駆動方向に沿ってダスト落下領域内ではプッシャとダストテーブルの間に僅かな隙間が形成されて摺動抵抗が大きく低減され、円滑に往復移動させることができる。このときダストテーブルに堆積し、当該隙間より厚く堆積したダストがプッシャにより排出口に押し出される。そして、ダスト落下領域外にプッシャが案内されるとプッシャとダストテーブルの隙間が狭くなり、ダストテーブルに形成された排出口にプッシャの底面が接し閉塞された状態になる。従って、この状態で排出シュートに設けられたシール機構を開放しても外気の排ガス処理空間への流入が阻止されるようになる。
【0018】
同第四の特徴構成は、同請求項4に記載した通り、上述の第一から第三の何れかの特徴構成に加えて、前記プッシャは前記ダストテーブルに沿って直線状に往復移動するように構成され、前記排出口は前記プッシャの往動側端部に形成された第一排出口と、前記プッシャの復動側端部に形成された第二排出口で構成され、前記排出シュートは前記第一排出口と連なる第一排出シュートと、前記第二排出口と連なる第二排出シュートで構成され、前記シール機構は前記第一排出シュートに設けられる第一シール機構と、第二排出シュートに設けられる第二シール機構で構成されている点にある。
【0019】
上述の構成によれば、ダストテーブルに落下したダストが、プッシャの往動によってダストテーブルのプッシャの往動側端部に形成された第一排出口に押し出され、当該第一排出口から第一排出シュートに排出される。このとき、プッシャは往動限界位置まで往動してその底面で第一排出口を覆い、第一排出口は密閉された状態になる。この状態で第一排出シュートの下部に設けられた第一シール機構が開放されると、排ガス処理空間を外気と遮断した状態でダストは排ガス処理空間の外部に排出されるようになる。つまり、第一排出口を覆うプッシャの底面と第一シール機構により二重のシール機構が構成されるので、第一排出シュートに前記第一シール機構とは別のシール機構を設ける必要が無くなり、排ガス処理設備の小型化、特に高さ方向の小型化を達成することができるようになる。
【0020】
さらに、プッシャの往動時にプッシャの底面とダストテーブルとの隙間からすり抜けたダストやプッシャの往動後にダストテーブルに落下したダスト等が、プッシャの復動時に復動側に連れ戻される場合があっても、プッシャの復動によってダストテーブルのプッシャの復動側端部に形成された第二排出口に押し出され、当該第二排出口から第二排出シュートに排出される。このとき、プッシャは復動限界位置まで復動してその底面で第二排出口を覆い、第二排出口は密閉された状態になる。この状態で第二排出シュートの下部に設けられた第二シール機構が開放されると、排ガス処理空間を外気と遮断した状態でダストは排ガス処理空間の外部に排出されるようになる。つまり、第二排出口を覆うプッシャの底面と第二シール機構により二重のシール機構が構成されるので、第二排出シュートに前記第二シール機構とは別のシール機構を設ける必要が無くなり、排ガス処理設備の小型化、特に高さ方向の小型化を達成することができるようになる。さらに、復動時に連れ戻されたダストがプッシャの復動側に堆積してプッシャが作動不良を起こすことを防止することができる。
【0021】
同第五の特徴構成は、同請求項5に記載した通り、上述の第四特徴構成に加えて、前記第一及び第二排出口は、前記ダストテーブルのうちダスト落下領域外に形成されている点にある。
【0022】
上述の構成によれば、前記第一排出口及び第二排出口は、前記ダストテーブルのうちダスト落下領域外に形成されているので、ダストが直接第一排出口及び第二排出口に排出されることがなくなる。
【0023】
同第六の特徴構成は、同請求項6に記載した通り、上述の第四又は第五の特徴構成に加えて、前記プッシャの往復移動時に、前記プッシャが前記ダストテーブルに堆積したダストに乗り上げて、前記プッシャが前記ダストテーブルから上方へ許容高さ以上隔離することを阻止する姿勢拘束機構が、前記プッシャの往復移動方向に沿って配置されている点にある。
【0024】
移動時にプッシャが自重に抗してダストテーブルに強固に固着し厚く堆積したダストに乗り上げると、ダストが排出口に良好に排出できなくなるばかりか、プッシャの駆動機構の破損を招く虞がある。上述の構成によると、プッシャの往復移動方向に沿って配置された姿勢拘束機構によって、プッシャがダストテーブルから上方へ許容高さ以上離隔することが阻止されるので、プッシャの自重に加えて姿勢拘束機構による抗力がダストテーブルに強固に固着したダストに作用して、ダストがダストテーブルから剥離され或いはダストが破砕され、駆動機構の破損を招くことなくダストを排出口に押し出すことができるようになる。尚、許容高さとは、プッシャの駆動機構が破損しない程度の高さである。
【0025】
同第七の特徴構成は、同請求項7に記載した通り、上述の第四から第六の何れかの特徴構成に加えて、前記プッシャの往動時または復動時に前記プッシャ上面に落下したダストを前記ダスト落下領域内に払い落とすスクレーパを、前記ダスト落下領域の前記プッシャの往動側または復動側の境界部に上下移動自在に横設している点にある。
【0026】
上述の構成によると、スクレーパをダスト落下領域のプッシャの往動側または復動側の境界部に設けることにより、プッシャの往動時または復動時にプッシャ上面に落下したダストがダスト落下領域内に払い落とされるため、プッシャの上面にダストが厚く堆積するような不都合な事態の発生を回避することができる。そして、スクレーパが上下移動自在に横設され、自重でプッシャ上面と接触しているため、仮にプッシャがダストテーブル上に堆積したダスト上に乗り上げることがあったとしても、スクレーパが上方に退避可能となるため、スクレーパとプッシャの上面との間で異常な力が作用することがなく、確実にプッシャの上面からダストを払い落とすことができるようになる。尚、第六の特徴構成、つまり、姿勢拘束機構を備えている場合には、姿勢拘束機構によりプッシャがほぼ許容高さで拘束された状態であっても、スクレーパが上下移動できるように横設することが好ましい。
【0027】
同第八の特徴構成は、同請求項8に記載した通り、上述の第一から第七の何れかの特徴構成に加えて、前記ダストテーブル又は前記プッシャの少なくとも何れかに、前記排ガス処理空間から滴下した液状ダストを冷却固化する冷却機構を設けてある点にある。
【0028】
上述の構成によれば、ダストテーブルに低融点の液状ダストが滴下付着しても、冷却機構により急速に冷却されて粒状に固化されるので、プッシャの移動に伴ってそのような粒状に固化されたダストがダストテーブルから容易に剥離され、排出口に向けて押し出されるようになるのである。このように液状ダストが固化された状態で排出口に押し出されるので、ダストが排出口に付着して成長して排出口を閉塞したり、大きな塊状のダストとして排出シュートに落下するような事態の発生も回避され、長期間安定して連続稼動させることができるようになるのである。
【0029】
本発明による焼却炉システムまたは溶融炉システムの特徴構成は、同請求項9に記載した通り、上述の第一から第八の何れかの特徴構成を備えたダスト排出装置を備えていることを特徴とする点にある。
【0030】
焼却炉システムや溶融炉システムには、後燃焼装置や廃熱ボイラ等の様々な排ガス処理設備が備えられている。例えば、後燃焼装置は、処理炉内で生じた1000℃前後の高温の排ガスをさらに完全燃焼させる容量の大きな排ガス処理空間を備えた装置であり、上述した何れかのダスト排出装置を備えることにより効果的に装置高さを抑制することができる点で好ましい適用対象となる。尚、特に処理炉が溶融炉である場合には、排ガスに低融点ダストつまり液状ダストが多量に含まれているため、ダスト排出装置を好適に採用することができる。
【0031】
処理炉から排出される排ガスの保有熱から蒸気を生成する廃熱ボイラでは、熱交換された排ガスは急激に温度が低下して、低融点ダストが液状または固体状で多量に落下するため、上述した何れかのダスト排出装置を廃熱ボイラに設けると効果的にダストの排出処理ができ、長期安定稼動させることができるようになるのである。
【0032】
本発明によるダスト排出装置の運転方法の特徴構成は、同請求項10に記載した通り、上述の第四から第七の特徴構成を備えたダスト排出装置の、前記プッシャがダスト落下領域外に存する時間が、ダスト落下領域内に存する時間より長いことを特徴とする点にある。
【0033】
上述の構成によると、プッシャをダスト及び高温雰囲気にさらされるダスト落下領域内に長い時間位置させることがないため、プッシャへのダストの固着や損傷の虞を低減し、長期安定稼動させることができる。
【発明の効果】
【0034】
以上説明した通り、本発明によれば、排ガス処理空間を外気と遮断した状態に維持しながらも、排ガス処理設備の小型化が可能なダスト排出装置を提供することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】灰溶融システムの説明図
【図2】ダスト排出装置を示し、(a)は概略平面図、(b)はプッシャが復動限界位置の概略断面図、(c)はプッシャが往動限界位置の概略断面図
【図3】(a)はダスト排出装置の要部断面図、(b)はダストテーブルの概略平面図
【図4】(a)は第二排出シュートの断面図、(b)はダスト落下領域の断面図、(c)は第一排出シュートの断面図
【図5】プッシャを示し、(a)は要部平面図、(b)は要部側面図、(c)は要部正面図
【図6】(a)はプッシャ及びスクレーパの上下移動の説明図、(b)はプッシャとスクレーパが上方に移動していない説明図、(c)はプッシャがダストに乗り上げ、プッシャとスクレーパが上方に移動したときの説明図
【図7】スクレーパ支持機構を示し、(a)はスクレーパが上方に移動していないときの要部断面図、(c)はスクレーパが上方に移動したときの要部断面図
【図8】(a)は案内レールの説明図、(b)は案内レールに沿ってプッシャが移動するときの高さの変動の説明図、(c)はプッシャの高さの変動に伴い駆動竿が上下移動する説明図
【図9】ダスト排出装置のダスト排出の様子を示し、(a)はプッシャが復動限界位置で待機する様子の説明図、(b)はプッシャの往動の説明図、(c)はプッシャによるダスト排出の説明図、(d)はスクレーパによるダストの払い落としの説明図、(e)は第一ダンパの開放の説明図、(f)はプッシャが往動限界位置で待機する様子の説明図、(g)はプッシャの復動の説明図、(h)はスクレーパによるダストの払い落としの説明図、(i)は第二ダンパの開放の説明図、(j)はプッシャが復動限界位置で待機する様子の説明図
【図10】(a)は別実施形態によるダスト排出装置の要部断面図、(b)は別実施形態によるダストテーブルの概略平面図
【図11】(a)は別実施形態によるダスト排出装置の要部平面図、(b)は(a)のA―A線断面図
【図12】(a)は別実施形態によるダスト排出装置の要部断面図、(b)は別実施形態によるプッシャの説明図、(c)は別実施形態によるプッシャの説明図
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下に本発明によるダスト排出装置の実施の形態を説明する。
図1に示すように、ごみ焼却炉で生じた焼却灰を溶融処理する灰溶融システムは、処理炉の一例である回転式表面溶融炉(以下、「溶融炉」と記す。)10と、溶融炉10からの排ガスを処理する各種の排ガス処理設備を備えている。
【0037】
排ガス処理設備は、溶融炉10から排出され、下方に傾斜配置された煙道17を経由して導かれる850〜1200℃程度の燃焼排ガスを完全燃焼させる後燃焼装置20と、後燃焼後の排ガスから溶融炉10及び後燃焼装置20に供給される燃焼用空気を予熱する空気予熱器21と、白煙防止用空気を加熱する空気加熱器22と、それらによる熱交換後の排ガスを急速冷却する減温塔23と、減温後の排ガスからダイオキシンや塩化水素ガス、さらには硫黄酸化物を除去する排ガス浄化装置24と、排ガスに同伴された固形ダストを除去するバグフィルタ25などを備えている。
【0038】
バグフィルタ25の下流側に設けられた誘引送風機26により誘引された排ガスは、白煙防止用混合器27で空気加熱器22によって加熱された高温空気と混合された後に、図示しない煙道に導かれて煙突から排気される。
【0039】
溶融炉10は、同軸心に配置された内筒11と外筒12とが水封機構を介して気密に相対回転する炉内に二重ダンパ機構13A,13Bを介して供給される焼却灰を、内筒11の炉頂部に設けた燃焼バーナ14により輻射加熱することにより表面から溶融させて、外筒12の炉底部中央に形成された排出口15から溶融スラグとして落下排出するように構成され、排出された溶融スラグは下方に配置されたスラグ排出装置16の水槽で急冷されて水砕スラグとして取り出される。
【0040】
煙道18に沿って配置された各排ガス処理設備20,21,22,23,25の底部に、処理空間で排ガスから離脱したダストを回収するダスト排出装置40が設けられている。ダスト排出装置40で回収されたダストは煙道を気密に保つ後述する二重のシール機構を介して系外に排出され、必要に応じて設置される破砕機29によって塊状のダストが粉砕された後にダスト排出コンベア機構30を介して貯留槽31に集積される。
【0041】
図2(a),(b),(c)及び図3(a),(b)に示すように、ダスト排出装置40は、排ガス処理設備の底部に取り付けられたケーシング41に配設され、排ガスに同伴して排ガス処理空間Sで落下するダストを受け止める平坦なダストテーブル42と、ダストテーブル42に沿って直線状に往復移動する押し出し搬送機構であるプッシャ50と、プッシャ50により押し出されたダストを排ガス処理空間Sの外部に排出する第一排出シュート45及び第二排出シュート48を備えている。
【0042】
ダストテーブル42のうちプッシャ50の往動側端部に、第一排出シュート45に連なる第一排出口44が形成され、プッシャ50の復動側端部に、第二排出シュート48に連なる第二排出口47が形成されている。さらに、第一排出シュート45には、排ガス処理空間Sと排ガス処理空間Sの外部の空間とを遮断する第一シール機構としての第一ダンパ46が設置され、第二排出シュート48には排ガス処理空間Sと排ガス処理空間Sの外部の空間とを遮断する第二シール機構として第二ダンパ49が設置されている。第一ダンパ46、第二ダンパ49は、スライドゲートダンパで構成されているが、バタフライダンパであってもよい。スライドゲートダンパは、装置の高さを低くできる点で好ましい。また、シール機構は、ダンパによるものに限らず、排出シュートの下部に排出されたダストをスクリューで搬送し、搬送するダストにより外気の流入を防止できるスクリュー式のコンベア機構や、排出シュートの下部を水槽内に配置し前記水槽内に排出されたダストをコンベアにより掻きあげるようなダストの排出経路の途中を封水で常に遮断しておく構造をもつコンベア機構等の外気の流入を防止できる構成であってもよい。
【0043】
ダストテーブル42は、上方の排ガス処理空間Sと対向するように水平姿勢に配置され、排ガス処理空間Sの下部周囲を仕切る断面矩形の側壁Wの開口と対向する領域がダスト落下領域R(図3(b)に二点鎖線で囲まれた領域)となる。つまり、第一排出口44及び第二排出口47は、ダストテーブル42のうちダスト落下領域R外に形成されている。尚、ダスト落下領域Rは矩形の二点鎖線で囲まれた領域で示したが、ダスト落下領域は側壁Wの開口の断面形状により円形であってもよい。また、第一排出口45及び第二排出口48は、ダスト落下領域R外に設けられる方が、液状ダストが直接第一排出口45及び第二排出口48に落下しない点で好ましいが、図10(a),(b)に示すように第一排出口45及び第二排出口48は、ダスト落下領域R(図10(b)に二点鎖線で囲まれた領域)内に設けられてもよい。
【0044】
図5(a),(b),(c)に示すように、プッシャ50はスクレーパ部51と押出部52で構成され、駆動機構60によってプッシャ50の底面で第一排出口44を覆う往動限界位置まで往動されるとともに、プッシャ50の底面で第二排出口47を覆う復動限界位置まで復動される。スクレーパ部51と押出部52は少なくともその表面が耐火物や耐火性の高い材料で形成されている。このような材料で構成されていることで高温雰囲気の後燃焼室やボイラ下部で長期にわたり安定して運転を継続することができる。
【0045】
スクレーパ部51の往復移動方向と直交する幅方向両端側の側面51aは、中央部の側面51bに対して往動方向または復動方向に傾斜するように突出形成され、往動時及び復動時の何れの場合でも、夫々側面51aによってダストテーブル42に堆積したダストを中央部側に寄せ集めながら中央部の側面51bによって掻き出すように構成されている。
【0046】
スクレーパ部51によって掻き出されたダストは、往動時は押出部52の側面52aによって第一排出口44へ向けて押し出され、復動時は押出部52の側面52bによって第二排出口47へ向けて押し出される。
【0047】
ダストテーブル42のうちダスト落下領域R内に落下したダストが、プッシャ50の往動によってダストテーブル42のうちダスト落下領域R外であって、プッシャの往動側端部に形成された第一排出口44に押し出され、当該第一排出口44から第一排出シュート45に落下回収される。
【0048】
このとき、プッシャ50はその底面で第一排出口44を覆い、第一排出口44が密閉された状態になる往動限界位置まで往動する。図2(c)にはプッシャ50が往動限界位置まで往動した状態が示されている。この状態で第一排出シュート45の下部に設けられた第一ダンパ46が開放されると、排ガス処理空間Sは、外気から遮断された状態を維持、つまり排ガス処理空間Sに外気が流入することなくダストが排ガス処理空間Sの外部に排出されるようになる。つまり、第一排出口44を覆うプッシャ50の底面と第一ダンパ46により二重のシール機構が構成される。よって、第一排出シュート45に第一ダンパ46とは別のダンパを設ける必要が無い分だけダスト排出装置を小さく、つまり排ガス処理設備の高さを低くして小型化を達成することができるようになる。
【0049】
また、プッシャ50の往動時にプッシャ50の底面とダストテーブルとの隙間からすり抜けたダストやプッシャ50の往動後にダストテーブル42に落下したダスト等が、プッシャ50の復動時に復動側に連れ戻される場合があっても、プッシャ50の復動によってダストテーブル42のうちダスト落下領域R外であって、プッシャ50の復動側端部に形成された第二排出口47に押し出され、当該第二排出口47から第二排出シュート48に落下回収される。
【0050】
つまり、連れ戻されたダスト等が、プッシャ50の復動側に堆積しないので、連れ戻されたダスト等によりプッシャ50の作動不良を起こすことなく、トラブルが減少し、さらに装置の清掃頻度が低減し連続的な運転が可能となる。
【0051】
このとき、プッシャ50はその底面で第二排出47を覆い、第二排出口47密閉された状態になる復動限界位置まで往動する。図2(b)にはプッシャ50が復動限界位置まで復動した状態が示されている。この状態で第二排出シュート48の下部に設けられた第二ダンパ49が開放されると、排ガス処理空間Sは外気から遮断された状態を維持、つまり排ガス処理空間Sに外気が流入することなくダストが排ガス処理空間Sの外部に排出されるようになる。つまり、第二排出口47を覆うプッシャ50の底面と第二ダンパ49により二重のシール機構が構成される。よって、第二排出シュート48に第二ダンパ49とは別のダンパを設ける必要が無い分だけダスト排出装置を小さく、つまり排ガス処理設備の高さを低くして小型化を達成することができるようになる。
【0052】
また、シール機構の故障時や、排出シュートが閉塞した場合には、プッシャ50で排出口を覆うことで、排ガス処理空間Sに外気が流入しないので、処理炉の運転を停止することなく、シール機構の修理や排出シュートの清掃等のメンテナンスを行うことができる。
【0053】
押出部52の往復移動方向と直交する幅方向両端部には、ダストテーブル42の両端部に敷設された案内レール43上を転がる一対の車輪53が軸支され、プッシャ50に接続された駆動竿61が駆動機構60により往復駆動されることにより、プッシャ50がダストテーブル42上を往復移動するように構成されている。案内レール43は、ダストテーブル42のうちダスト落下領域R外であってプッシャ50の往復移動方向に直交する幅方向両端部側に敷設されている。
【0054】
車輪53の周囲はカバー部材54で覆われており、カバー部材54は車輪53にダストDが堆積するのを防ぐとともに、案内レール43にダストDが堆積しても、案内レール43上からダストDをかき落とすように構成されている。
【0055】
尚、ハウジング41には、図2,3,4に示すように、プッシャ50の往動時または復動時にプッシャ50上面に落下したダストDをダスト落下領域R内に払い落とすスクレーパ74が、ダスト落下領域Rのプッシャ50の往動側または復動側の境界部に上下移動自在に横設されている。
【0056】
駆動機構60は、プッシャ50と駆動竿61によって接続されたスライドブラケット62と、スライドブラケット62を駆動する油圧機構63を備えている。尚、油圧機構63は、第二排出シュート48を貫通して備えられている。尚、油圧機構63は、第二排出シュート48を貫通しない位置、またはスライドブラケット62に取り付ける構成であってもよい。
【0057】
スライドブラケット62は、ハウジング41の下部に設置された油圧機構63のロッド64の一端部と接続され、油圧機構63のロッド64の進退に伴って、車輪66によってスライドレール65上を円滑に往復移動するように構成されている。スライドブラケット62の下部には、スライドブラケット62がスライドレール65から浮き上がるのを防止するためのオイレスプレート67がスライドレール65に摺動するように備えられている。尚、オイレスプレート67に替えて車輪やベアリングを備え、当該車輪やベアリングによってスライドブラケット62がスライドレール65から浮き上がるのを防止するようにしてもよい。
【0058】
図8(a)に示すように、案内レール43の高さは、プッシャ50の往復移動方向に沿ってダスト落下領域R内よりダスト落下領域R外で低くなるように構成されている。
【0059】
重量物のプッシャ50をダストテーブル42に摺動させて移動させると大きな摺動抵抗を受けて円滑に往復移動させることが困難になる。しかし、プッシャ50の往復移動方向に沿ってダスト落下領域R内よりダスト落下領域R外でレール高さが低くなるように敷設された案内レール43によりプッシャ50が受け止められるため、ダスト落下領域R内ではプッシャ50とダストテーブル42の間に僅かな隙間が形成されて摺動抵抗が大きく低減されるので、プッシャ50を円滑に往復移動させることができるとともに、ダストテーブル42とスクレーパ部51の磨耗による劣化を低減できる。
【0060】
このときダストテーブル42に堆積し、当該隙間より厚く堆積したダストDがプッシャ50により排出口44,47に押し出される。そして、レール高さが低くなるように敷設されたダスト落下領域R外にプッシャ50が案内されるとプッシャ50とダストテーブル42の隙間が狭くなり、ダストテーブル42に形成された排出口44,47がプッシャ50の底面により閉塞された状態になる。従って、この状態で排出シュート45,48に設けられたダンパ46,49を開放しても外気の排ガス処理空間Sへの流入が阻止されるようになる。
【0061】
案内レール43の高さHbは、ダスト落下領域R内で、プッシャ50の底面がダストテーブル42から僅かな隙間Ha、例えば、0.5mmから5mm程度の隙間をもつような高さに設定することが好ましく、ダスト落下領域R外では、プッシャ50の底面が、ダストテーブル42に接する高さHc、つまり、高さHbより隙間Ha以上低い高さに設定することが好ましい。このように設定することで往動限界位置、及び、復動限界位置では、排出口44,47の周縁がプッシャ50の底面と接し、排出口44,47がプッシャ50の底面により閉塞された状態となる。
【0062】
尚、ダスト落下領域R内での案内レール43と、ダスト落下領域R外で案内レール43の高さが低くなっている部分43aとの境界は、なだらかな曲線状の斜面で形成しても良いし、直線状の斜面や段差で形成しても良い。また、案内レール43の高さを変更するではなく、排出口の周縁をダスト落下領域Rより高くすることで、プッシャ50の底面と排出口の周縁の距離を狭く、又は接するように形成してもよい。
【0063】
移動時にプッシャ50が自重に抗してダストテーブル42に強固に固着し厚く堆積したダストDに乗り上げると、ダストDが排出口44,47に良好に排出できなくなるばかりか、プッシャ50の駆動機構の破損を招く虞がある。
【0064】
そこで、図4(a),(b),(c)に示すように、案内レール43には、プッシャ50の往復移動時に、プッシャ50がダストテーブル42に堆積したダストDに乗り上げて、プッシャ50がダストテーブル42から上方へ許容高さ以上離隔することを阻止する姿勢拘束機構43bが、プッシャ50の往復移動方向に沿って配置されている。
【0065】
姿勢拘束機構43bは、プッシャ50の移動方向に平行な側面の適当な高さに水平方向に突出して設置された複数の棒状部材で構成され、プッシャ50のスクレーパ部51の上面と接触して、プッシャ50がダストテーブル42から上方へ許容高さ以上離隔することが阻止する。尚、本実施形態では、姿勢拘束機構43bを棒状部材で構成したが、角状部材や板状部材で構成することも可能である。
【0066】
このように、プッシャ50の往復移動方向に沿って配置された姿勢拘束機構43bによって、プッシャ50がダストテーブル42から上方へ許容高さ以上離隔することが阻止されるので、プッシャ50の自重に加えて姿勢拘束機構43bによる抗力がダストテーブル42に強固に固着したダストDに作用して、ダストDがダストテーブル42から剥離され或いはダストDが破砕され、駆動機構60の破損を招くことなくダストDを排出口44,47に押し出すことができるようになる。尚、許容高さとは、プッシャ50の駆動機構60が破損しない程度の高さである。例えば、5mmから20mm程度が好ましい。
【0067】
プッシャ50の上面に落下したダストを除去するスクレーパ74は、耐熱性のあるステンレス鋼等によって形成された山形鋼で構成され、山形鋼の一辺を下向きに配置したときに、当該一辺の中央部が、プッシャ50の押出部52の上面と僅かな間隙、例えば、1〜2mm程度の間隙をもつように設置され、当該一辺の長手方向両端側は、プッシャ50の車輪53と干渉しない程度に切り欠かれている。尚、長手方向には適当な間隔でリブ75が溶接されている。
【0068】
スクレーパ74は、ダスト落下領域Rのプッシャの往動側または復動側の境界部に設けられている。ここでダスト落下領域Rのプッシャの往動側または復動側の境界部とは、プッシャ50の往動時または復動時にプッシャ50上面に落下したダストDがダスト落下領域R内に払い落とされる位置である。
【0069】
図6(a)に示すように、プッシャ50は、往復移動時にプッシャ50がダストテーブル42に堆積したダストDに乗り上げて、プッシャ50のダストテーブル42から上方への高さが姿勢拘束機構43bによる許容高さの範囲内で変動する場合がある。
【0070】
よって、姿勢拘束機構43bによりプッシャ50がほぼ許容高さで拘束された状態であっても、スクレーパ74が上下移動できるように横設されている。
【0071】
具体的には、図7(a),(b)に示すように、スクレーパ74の長手方向両端部は、ハウジング41の内面に備えられたスクレーパ支持機構76に支持されている。
【0072】
スクレーパ支持機構76は、スクレーパ74の上下方向の移動を許容し前後方向の移動を規制する山形鋼77,78と、スクレーパ74の上方向の移動を規制する当接部材79が、支持部80に備えられて構成されている。
【0073】
山形鋼77は一辺77aが支持部80にボルトで固定され、山形鋼77の他辺77bと、他辺77bと対向するように支持部80に溶接固定された山形鋼78の一辺78aとで、スクレーパ74の端部の一辺を上下方向に摺動可能に挟持する。
【0074】
規制部材79は、山形鋼78の他辺78bと対向した位置に適当な間隙をもって支持部80に溶接されている。尚、前記間隙は、姿勢拘束機構43bが許容するプッシャ50のダストテーブル42から上方へ離隔高さ以上の間隙に設定されている。
【0075】
図6(a)に示すように、プッシャ50が高さh高くなれば、プッシャ50の押上部55がスクレーパ74と当接してスクレーパ74を押し上げ、スクレーパ74も高さhだけ高くなることとなる。つまり、プッシャ50の押出部52の上面と、スクレーパ74の下端の間隙は、常に一定に保たれることとなる。
【0076】
このように、スクレーパ74は上下移動自在に横設され、プッシャ50がダストテーブル42上に堆積したダストD上に乗り上げた場合は、自重でプッシャ50の押出部52の両端に設けられた押上部55と接触してスクレーパ74が上方に退避可能となるため、スクレーパ74とプッシャ50の上面との間で異常な力が作用することがなく、確実にプッシャ50の上面からダストDを払い落とすことができるので、プッシャ50の上面にダストDが厚く堆積するような不都合な事態の発生を回避することができる。
【0077】
ところで、溶融炉10から排気された燃焼排ガスには、低融点の重金属や塩類等の化合物が多量に含まれた溶融飛灰や煤塵が含まれるため、後燃焼装置20や空気予熱器21及び空気加熱器22では、高濃度に気化した重金属や塩類などが凝集して、ダストテーブル42やプッシャ50の上面に液状ダストとして滴下する。
【0078】
このような液状ダストをそのまま第一排出口44や第二排出口47に押し出すのは困難であり、各部に液状ダストが付着固化して塊状に成長して堆積すると、ダスト排出装置40の円滑な動作に支障を生じる虞がある。
【0079】
そこで、ダストテーブル42やプッシャ50の上面に滴下した液状ダストが塊状に堆積する前に粒状に固化させてプッシャ50で容易に押出せるように、ダストテーブル42及びプッシャ50には、夫々排ガス処理空間Sから滴下した液状ダストを冷却固化する冷却機構70,71が設けられている。
【0080】
尚、排ガス処理設備23,25に流入する排ガスの温度によっては、液状ダストが滴下するような事態が発生することが少なく、冷却機構70,71の一方または両方を備えないこともある。
【0081】
ダストテーブル42に設けられた冷却機構70は、ダストテーブル42またはプッシャ50に取り付けた図示しない温度センサによって検出された温度に基づいて、図示しないポンプから圧送されダストテーブル42の内部に形成された冷媒流路70aへ供給される冷却水の流量を調節する流量調整弁を制御するコントローラを設けることにより、ダストテーブル42の温度を管理して、ダストテーブル42に滴下する液状ダストを効率的に冷却固化する。尚、冷媒流路70aの形状、寸法、ピッチ等はプッシャ50の寸法や、温度条件により適宜設定される。また、冷媒流路70aを、炭素鋼に代えて耐熱耐食鋼を用いて構成することにより耐火物が不要になり、冷却効率を向上させることも可能である。
【0082】
尚、ダストテーブル42の構成材料を、緻密で剥離性がよく熱伝導率の高い耐火物を用いて形成することにより、溶融塩や腐食性ガス成分によるダストテーブル42の損傷を防止して長期安定的に稼動させることが可能になる。
【0083】
プッシャ50に設けられた冷却機構71について説明する。耐火物を用いて形成されたプッシャ50の内部にも炭素鋼などで区画形成された冷媒流路71a(図5(a)に破線で示されている。)と、その冷媒流路71aに冷媒としての冷却水を供給する冷媒供給管72を備えて構成され、冷媒供給管72から供給された冷却水が冷媒流路71aを循環して冷媒排出管73から排出される過程でプッシャ50と熱交換され、プッシャ50の表面に滴下した液状ダストが冷却固化されるように構成されている。尚、本実施形態では冷媒供給管72、及び、冷媒排出管73は構造の簡略化、コストダウンのため、プッシャ50の駆動竿61の内部に備えられているが、駆動竿61と別に設けることも可能である。
【0084】
よって、ダストテーブル42、及び、プッシャ50に冷却機構70,71を備えることで、ダストテーブル42に低融点の液状ダストが滴下付着しても、冷却機構70,71により急速に冷却されて粒状に固化されるので、プッシャ50の移動に伴ってそのような粒状に固化されたダストがダストテーブル42から容易に剥離され、排出口44,47に向けて押し出されるようになるのである。このように液状ダストが固化された状態で排出口44,47に押し出されるので、ダストが排出口44,47に付着して成長して排出口44,47を閉塞したり、大きな塊状のダストとして排出シュート45,48に落下するような事態の発生も回避され、長期間安定して連続稼動させることができるようになるのである。
【0085】
油圧機構63によるプッシャ50の往復移動周期及び押出速度は、ダスト量及び冷却機構70,71による液状ダストの冷却効率との調整により決定することができ、ダスト量及びダストテーブル42に滴下した液状ダストの平均固化時間に対応する周期で往復移動することにより効率的にダストDを排出することができる。
【0086】
次に、駆動竿61のハウジング41を貫通する部分のシール機構について説明する。図8(c)に示すように、プッシャ50は、往動限界位置または復動限界位置と往復移動時にその高さが変動する。さらに、往復移動時にプッシャ50がダストテーブル42に堆積したダストDに乗り上げた場合には、姿勢拘束機構43bによる許容高さの範囲内で上方に高さが変動することとなる。
【0087】
よって、駆動竿61のハウジング41を貫通する部分に公知のグランドパッキンによるシールを用いると、プッシャ50の上下移動に追従して、駆動竿61も僅かながら上下移動するため、シールが破損し、プッシャ50の円滑な往復移動が妨げられたり、ハウジング41の気密性が損なわれたりする虞がある。尚、貫通部にはガタを吸収する機構があればよく、その機構は隙間シールやボールジョイントなどがある。
【0088】
上述のように構成されたダスト排出装置40は、図示しない制御装置によって、駆動機構60の駆動及び第一ダンパ46,第二ダンパ49の開閉が制御されている。
【0089】
前記制御装置は、プッシャ50が往動限界位置か復動限界位置か何れに位置するかを検出する位置検出スイッチ(図示せず)からの信号に基づいて、油圧機構63を制御してロッド64の進出または引退を切り替え、プッシャ50の移動方向を制御する。さらに、プッシャ50が往動限界位置に位置するとき第一ダンパ46を開放し、復動限界位置に位置するときに第二ダンパ49を開放するように構成されている。
【0090】
以下に前記制御装置によるダスト排出装置の運転方法について説明する。
【0091】
前記制御装置は、プッシャを復動待機位置で約10分間待機させ、一分間で往動を行わせ、往動待機位置で、第一排出シュートに設けたシール機構を開閉する約30秒間待機させ、その後一分間で復動を行い復動待機位置に戻らせること1サイクルとして、当該サイクルを繰り返すように駆動機構60の駆動及び第一ダンパ46,第二ダンパ49の開閉が制御する。このように、プッシャがダスト落下領域外に存する時間が、ダスト落下領域内に存する時間より長いので、プッシャ50をダスト及び高温雰囲気にさらされるダスト落下領域内に長い時間位置させることがないため、プッシャ50へのダストの固着や損傷の虞を低減し、長期安定稼動させることができる。
【0092】
また、前記制御装置は、シール機構としての第一ダンパ46,第二ダンパ49の開閉が確認できない等の工程が渋滞したときは、プッシャ50が復動待機位置で待機し、警報を発する等の動作を行うように構成してもよい。
【0093】
なお、上述の待機時間や往復動の時間は例示であり、プッシャ50の駆動時間と往動限界位置及び復動限界位置での待機時間については、ダストの排出量や処理能力に応じて任意に設定、例えば、プッシャ50の往動限界位置及び復動限界位置での待機時間を夫々同じ時間にしてもよいし、夫々異ならせても良い。尚、ダスト落下領域R外、つまり、復動限界位置での待機時間を往動限界位置での待機時間に比べて長く設定し、プッシャ50は、基本的に復動限界位置で待機するように設定することで、プッシャ50や駆動竿61が、排ガス処理空間S内の高温な空気に暴露させる時間を短くして、プッシャ50や駆動竿61が破損する虞が低減できる。さらに、ダストの付着も抑制することができるとともに、駆動竿61に備えられた冷媒供給管72及び冷媒排出管73の冷却水の温度が高くなりすぎる虞を低減できる。
【0094】
以下、ダスト排出装置40のダスト排出の様子を、図9(a)〜(j)に基づいて説明する。
【0095】
図9(a)に示すように、まず、前記制御装置によって、プッシャ50は復動限界位置で待機するように制御されている。この状態では、排ガス処理空間Sから落下するダストDはダストテーブル42に堆積する。図9(b)に示すように、次に前記制御装置は、プッシャ50を往動制御し、ダストテーブル42に堆積したダストDは第一排出口44側へと押し出される。
【0096】
プッシャ50がダスト落下領域Rを通過中に、排ガス処理空間Sから落下したダストdがプッシャ50の上面に堆積しても、図9(c)に示すように、プッシャ50の上面に堆積したダストdはスクレーパ74によって、ダスト落下領域R側に払い落とされる。尚、ダストDは第一排出口44まで押し出されると第一排出シュート45へと排出される。
【0097】
図9(d)に示すように、プッシャ50がその底面で第一排出口44を覆う往動限界位置まで往動していない段階では、第一ダンパ46は閉止しており、第一排出シュート45内は気密に保たれる。図9(e)に示すように、前記制御装置は、前記位置検出スイッチがプッシャ50が往動限界位置まで往動したことを検出すると、プッシャ50がその底面で第一排出口44を覆うので、第一ダンパ46開放制御し、第一排出シュート45内に堆積したダストDは系外へ排出される。
【0098】
このとき、プッシャ50の底面で第一排出口44が覆われ、第一排出口44が密閉された状態になるので、第一排出シュート45の下部に設けられた第一ダンパ46が開放されても、排ガス処理空間Sに外気が流入することなくダストDが排ガス処理空間Sの外部に排出される。
【0099】
図9(f)に示すように、前記制御装置は、プッシャ50を往動限界位置で待機させ、第一ダンパ46を適当な時間開放した後閉塞制御するとプッシャ50を復動制御する。図9(g)に示すように、プッシャ50は、往動時にダスト落下領域R側に払い落とされたダストdを含む、新たにダストテーブル42に落下したダストD’を押しながら復動することとなる。
【0100】
往動時と同様に、プッシャ50がダスト落下領域Rを通過中に、排ガス処理空間Sから落下したダストd’がプッシャ50の上面に堆積しても、図9(h)に示すように、プッシャ50の上面に堆積したダストd’はスクレーパ74によって、ダスト落下領域R側に払い落とされる。尚、ダストD’は第二排出口47まで押し出されると第二排出シュート48へと排出される。
【0101】
図9(i)に示すように、前記制御装置は、前記位置検出スイッチがプッシャ50が復動限界位置まで復動したことを検出すると、プッシャ50がその底面で第二排出口47を覆うので、第二ダンパ49開放制御し、第二排出シュート48内に堆積したダストDは系外へ排出される。図9(j)に示すように、前記制御装置によって、プッシャ50は復動限界位置で待機するように制御される。
【0102】
以上説明した通り、本発明によれば、排ガス処理空間を負圧状態に維持しながらも、排ガス処理設備の小型化を達成可能なダスト排出装置を提供することができるようになった。
【0103】
さらには、プッシャ方式のダスト排出装置を採用する場合であっても、復動時にダストが連れ戻されプッシャ収容部に堆積し、連続運転が阻害されるような不都合な事態の発生を解消可能なダスト排出装置を提供することができるようになった。
【0104】
以下、別実施形態を説明する。
プッシャは上述の構成に限らず、排出シュートに連なる排出口を覆うことができればよく、図12(b)に示すように、プッシャ81が、中央に開口が形成されたスクレーパ部82と底面が開放された中空の押出部83を備え、駆動機構に接続された駆動竿61によってプッシャ81が駆動させられ、プッシャ81によって排出口84を覆うような構成や、図12(c)に示すように、プッシャ85が、駆動機構に接続された駆動竿61によって駆動される押出部86と押出部86の後方に備えられた蓋部材87を備え、駆動竿61によって蓋部材87の底面で排出口88を覆うように構成してもよい。
【0105】
上述の実施形態では、プッシャ50が往動限界位置まで往動するとその底面で第一排出口44を覆い、第一排出口45は密閉された状態になり、プッシャ50が復動限界位置まで復動するとその底面で第二排出口47が覆われ、第二排出口48が密閉された状態になると説明したが、プッシャ50が往動限界位置、及び、復動限界位置で第一排出口44または第二排出口47を完全に覆う必要は無く、また、第一排出口45、及び、第二排出口48は必ずしも完全に密閉されなくてもよい。排ガス処理に影響を及ぼす程度の外気の排ガス処理空間Sへの流入が阻止できればよい。
【0106】
さらに、プッシャ50を基本的に復動限界位置で待機させるように構成すると、プッシャ50の往動時にはダストテーブル42に堆積したダストDを排出するために第一排出シュート45には第一ダンパ46を必ず備える必要があるが、第二排出シュート48には必ずしも第二ダンパ49を備える必要は無い。
【0107】
プッシャ50の復動時にはダストテーブルに残ったダストの連れ戻りを排出するため、第二排出シュート48に排出されるダストの量が少量であるからである。この場合、第二排出シュート48の下端には、第二排出シュート48を密閉するようにダスト回収ボックスを備え、定期的なメンテナンス時に前記ダスト回収ボックス内に堆積したダストを排出すればよい。
【0108】
上述の実施形態では、プッシャ50がダストテーブル42に沿って直線状に往復移動する構成のダスト排出装置について説明したが、プッシャは往復移動する構成に限らず、プッシャが回転軸心周りに回転しながらダストを排出口へ押し出す構成や、ダストテーブルに沿って移動するコンベア機構に取り付けられた複数のスクレーパで構成され、該スクレーパによってダストを排出口へ押し出す構成であってもよい。
【0109】
プッシャが回転軸心周りに回転しながらダストを排出口へ押し出す構成について説明する。図11(a),(b)に示すように、ダスト排出装置90は、排ガスに同伴して排ガス処理空間で落下するダストを受け止める平面視円形のダストテーブル91と、ダストテーブル91に堆積したダストを排出するプッシャ93と、前記ダストを排ガス処理空間Sの外部に排出する排出シュート95と、プッシャ93の駆動範囲に、排出シュート95に連なる排出口92が形成され、プッシャ93がその底面で排出口92を覆うように構成されるとともに、排ガス処理空間Sと前記外部とを遮断するシール機構としてのダンパ機構99が排出シュート95に設けられている。
【0110】
ダストテーブル91は、上方の排ガス処理空間Sと対向するように水平姿勢に配置され、排ガス処理空間Sの下部周囲を仕切る断面矩形の側壁Wの開口と対向する領域がダスト落下領域R(図11(a)に二点鎖線で囲まれた領域)となる。ダストテーブル91には、ダストテーブル91に落下した液状ダストを冷却固化する冷却機構94が設けられている。
【0111】
プッシャ93は、ダストテーブル91上で垂直軸心P周りに回転して面上に堆積したダストを排出口92に押し出すように、径方向に延出配置された二枚の掻き出し羽根93aと、掻き出し羽根93aが固定された回転軸96を回転駆動する駆動機構97を備えて構成されている。駆動機構97は、電動モータ97aとその出力を減速する減速ギア機構97bと、減速ギア機構97bの出力を回転軸96に伝達するスプロケットとチェーン97cを備えて構成され、複数のベアリング機構で軸支された回転軸96を所定速度で回転駆動するように構成されている。
【0112】
掻き出し羽根93は径方向に対して角度を持った平面視「く」の字形に形成され、右回りの回転動に応じてダストテーブル91上のダストがそのエッジ部で掻き出されて「く」の字形の凹部に集められ、当該凹部に対応する位置に設けられた排出口92から落下排出される。
【0113】
さらに、プッシャ93は掻き出し羽93aの後方に排出口92を覆う蓋部材93bを備えて構成され、蓋部材93bの底面が排出口92を覆う位置で、プッシャ93の回転を停止することで、排ガス処理空間Sと排出シュート95は遮断される。この状態で排出シュート95に設けられたシール機構としてのダンパ機構99を開放しても外気の排ガス処理空間Sへの流入が阻止されるようになる。
【0114】
次に、プッシャがダストテーブルに沿って移動するコンベア機構に取り付けられた複数のスクレーパで構成され、該スクレーパによってダストを排出口へ押し出す構成について説明する。図12(a)に示すように、ダスト排出装置100は、排ガスに同伴して排ガス処理空間で落下するダストを受け止めるダストテーブル101と、ダストテーブル101に堆積したダストを排出するプッシャ103と、前記ダストを排ガス処理空間Sの外部に排出する排出シュート105と、プッシャ103の駆動範囲に、排出シュート105に連なる排出口102が形成され、プッシャ103がその底面で排出口102を覆うように構成されるとともに、排ガス処理空間Sと前記外部とを遮断するシール機構としてのダンパ機構109が排出シュート105に設けられている。コンベア機構104は、ダスト落下領域R外に設けられた一対のスプロケット104aと、スプロケット104aと噛み合いスプロケット104aの回転により駆動されるチェーン104bで構成されている。
【0115】
ダストテーブル101は、上方の排ガス処理空間Sと対向するように水平姿勢に配置され、排ガス処理空間Sの下部周囲を仕切る断面矩形の側壁Wの開口と対向する領域がダスト落下領域R(図12(a)に二点鎖線で囲まれた領域)となる。ダストテーブル101には、ダストテーブル101に落下した液状ダストを冷却固化する冷却機構(図示せず)が設けられている。
【0116】
プッシャ103は、ダストテーブル101沿って移動するコンベア機構104のチェーン104bに取り付けられた複数のスクレーパ103aとスクレーパ103aの後方に備えられた蓋部材103bで構成され、スクレーパ103aはコンベア機構104の回転に応じて、ダストテーブル101上のダストを押し出すように取り付けられている。
【0117】
蓋部材103bの底面が排出口102を覆う位置でスプロケット104aの回転を停止することで、排ガス処理空間Sと排出シュート105は遮断される。この状態で排出シュート105に設けられたシール機構としてのダンパ機構109を開放しても外気の排ガス処理空間Sへの流入が阻止されるようになる。
【0118】
上述の実施形態では、排ガス処理空間から滴下した液状ダストを冷却固化する冷却機構を設けたダスト排出装置が、後燃焼装置20や空気予熱器21及び空気加熱器22の底部に設けられる例を説明したが、液状ダストが滴下する可能性のある排ガス処理装置であれば他の排ガス処理装置にも設置可能である。
【0119】
例えば、減温塔に代えて空気予熱器の下流側に排ガスの保有熱を利用して蒸気を生成する廃熱ボイラを設けたものであれば、当該廃熱ボイラに同様のダスト排出装置を設置することも可能である。
【0120】
廃熱ボイラで熱交換された排ガスは急激に温度が低下して、低融点ダストが液状または固体状で多量に落下するため、上述した何れかのダスト排出装置を廃熱ボイラに設けると効果的にダストの排出処理ができ、長期安定稼動させることができるようになるのである。尚、本明細書においては廃熱ボイラも広義の排ガス処理装置として説明するものである。
【0121】
また、本発明によるダスト排出装置は、冷却機構が必須ではなく、例えば液状ダストが滴下する虞のない排ガス処理設備では冷却機構を省略することも可能である。
【0122】
上述した実施形態では、処理炉の一例として表面溶融炉を例に説明したが、表面溶融炉に限るものではなく、電気溶融炉などの他の方式の溶融炉で使用される排ガス処理設備に本発明によるダスト排出装置を組み込むことが可能である。また、処理炉も溶融炉に限るものではなく、ごみ焼却炉やボイラ等任意の処理炉で発生する燃焼排ガスを処理する排ガス処理設備に本発明によるダスト排出装置を組み込むことも可能である。
【0123】
上述した各実施形態は、本発明の一実施例を説明するものに過ぎず、本発明の作用効果を奏する限りにおいて適宜細部の構成を変更することが可能である。
【符号の説明】
【0124】
10:溶融炉
11:内筒
12:外筒
13A,13B:二重ダンパ機構
14:燃焼バーナ
15:排出口
16:スラグ排出装置
17:煙道
18:煙道
20:後燃焼装置
21:空気予熱器
22:空気加熱器
23:減温塔
24:排ガス浄化装置
25:バグフィルタ
26:誘引送風機
27:白煙防止用混合器
29:破砕機
30:ダスト排出コンベア機構
31:貯留槽
40,40a:ダスト排出装置
41:ハウジング
42:ダストテーブル
43:案内レール
43b:姿勢拘束機構
44:第一排出口
45:第一排出シュート
46:第一ダンパ
47:第二排出口
48:第二排出シュート
49:第二ダンパ
50:プッシャ
51:スクレーパ部
51a:側面
51b:側面
52:押出部
52a:側面
52b:側面
53:車輪
54:カバー部材
55:押上部
60:プッシャ駆動機構
61:駆動竿
62:スライドブラケット
63油圧機構
64:ロッド
66:車輪
65:スライドレール
67:オイレスプレート
70,71:冷却機構
70a:冷媒流路
71a:冷媒流路
72:冷媒供給管
73:冷媒排出管
74:スクレーパ
75:リブ
76:スクレーパ支持機構
77,78:山形鋼
77a:一辺
77b:他辺
78a:一辺
78b:他辺
79:当接部材
80:支持部
R:ダスト落下領域
S:排ガス処理空間
W:側壁
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理炉からの排ガスを処理する排ガス処理設備の底部に設けられ、排ガスに同伴して排ガス処理空間で落下するダストを受け止めるダストテーブルと、前記ダストテーブルに堆積したダストを排出するプッシャと、前記ダストを前記排ガス処理空間の外部に排出する排出シュートとを備えているダスト排出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ごみ焼却炉や灰溶融炉等の処理炉から排出された排ガスを処理する排ガス処理設備として、後燃焼装置、廃熱ボイラ、排ガス冷却装置等が煙道に沿って配置されている。これらの排ガス処理設備に流入した排ガスには、粉塵や、気化した金属等が混入しているため、各排ガス処理設備には排ガス処理空間で落下する固体や液状のダストを受け止め、排ガス処理空間の外部に排出するダスト排出装置が設けられている。
【0003】
ダスト排出装置として、排ガスに同伴され、排ガス処理空間から落下したダストを回収して排出するスクリューフィーダが用いられる場合が多いが、排ガスから分離された主に液状のダストがダスト排出装置に付着して固化成長し、これが繰り返されると、装置の円滑な作動が妨げられるとともに、壁面や排出口に付着し成長した大きな塊状のダストが落下し、その下流側に配置されているスクリューフィーダやコンベア等の機器が過負荷のため停止して連続運転が妨げられるという問題があった。また、成長したダストにより排出口が閉塞すると、排出口の清掃のために排ガス処理設備のシステム全体の運転を停止しなければならないという問題があった。
【0004】
そこで、特許文献1には、ケーシング内面から落下されたダスト塊によるダスト排出装置の破損を防止できるとともに、ダスト塊を容易に排出できる排ガス処理設備を提供することを目的として、排ガス処理空間の下部に、排ガスからダストを分離するダスト分離部及び分離されたダストを排出するダスト排出装置を備えた排ガス処理設備に関して、ダスト分離部の入口にダスト塊を受けるスクリーンを配置し、排ガス処理空間の側壁に開閉自在なダスト塊排出口を設け、スクリーン上に受け止められたダスト塊をプッシャによりダスト塊排出口に押し出すダスト塊排出装置を設けた排ガス処理設備が提案されている。
【0005】
また、特許文献2には、液状のダストであってもそれが排出経路等に付着して閉塞に到ることなく確実に回収できるダスト排出装置を提供することを目的として、排ガスに同伴して排ガス処理空間で落下するダストを受け止めるダストテーブルと、ダストを外部に排出する排出口と、ダストテーブルに落下したダストを排出口に押し出すダスト案内機構を排ガス処理設備の底部に備えたダスト排出装置であって、ダストテーブルに滴下した液状ダストを冷却固化する冷却機構を設け、ダストテーブルに堆積したダストを排出口に向けて押し出すように往復移動するプッシャを備えたダスト排出装置が提案されている。
【0006】
当該ダスト排出装置では、プッシャが排出口に向けて進出する往動時にプッシャ先端の押出作用部がダストテーブルと接触し、プッシャが排出口から引退する復動時にプッシャ先端の押出作用部がダストテーブルから離間する姿勢切替機構が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平09−243049号公報
【特許文献2】特開2007−32872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
通常、このような排ガス処理設備では、排ガス処理空間を外気と遮断した状態に維持される必要があるため、ダスト排出装置からダストを排出する排出シュートに二重のシール機構が設けられている。二重のシール機構を設けないと外気が排出シュートから排ガス処理空間に流入して、処理炉の内部が正圧になり燃焼状態が変動し、また燃焼ガスが炉外に噴出す虞があるためである。
【0009】
しかし、排出シュートに二重のシール機構を設けることにより排ガス処理設備の装置高さが嵩み、設備の小型化を阻害するという問題があった。
【0010】
また、焼却灰等を溶融処理する溶融炉では、低融点の重金属や塩類等の化合物が多量に含まれた溶融飛灰が排ガス中に浮遊し、液状で落下回収される場合が多く、さらに効果的な対処が望まれていた。
【0011】
本発明の目的は、上述の問題点に鑑み、排ガス処理空間を外気と遮断した状態に維持しながらも、排ガス処理設備の小型化が可能なダスト排出装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述の目的を達成するため、本発明によるダスト排出装置の第一の特徴構成は、特許請求の範囲の書類の請求項1に記載した通り、処理炉からの排ガスを処理する排ガス処理設備の底部に設けられ、排ガスに同伴して排ガス処理空間で落下するダストを受け止めるダストテーブルと、前記ダストテーブルに堆積したダストを排出するプッシャと、前記ダストを前記排ガス処理空間の外部に排出する排出シュートとを備えているダスト排出装置であって、前記プッシャの駆動範囲に、前記排出シュートに連なる排出口が形成され、前記プッシャがその底面で前記排出口を覆うように構成されるとともに、前記排ガス処理空間と前記外部とを遮断するシール機構が前記排出シュートに設けられている点にある。
【0013】
上述の構成によれば、ダストテーブルに落下したダストが、プッシャの駆動によってダストテーブルのプッシャの駆動範囲に形成された排出口に押し出され、当該排出口から排出シュートに排出される。このとき、プッシャはその底面で排出口を覆い、排出口は密閉された状態になる。この状態で排出シュートに設けられたシール機構が開放されると、排ガス処理空間を外気と遮断した状態でダストは排ガス処理空間の外部に排出されるようになる。つまり、排出口を覆うプッシャの底面とシール機構により二重のシール機構が構成されるので、排出シュートに前記シール機構とは別のシール機構を設ける必要が無くなり、排ガス処理設備の小型化、特に高さ方向の小型化を達成することができるようになる。
【0014】
同第二の特徴構成は、同請求項2に記載した通り、上述の第一特徴構成に加えて、前記プッシャが排出口の全体を覆うことを特徴とする点にある。
【0015】
上述の構成によれば、プッシャによって排出口の全体を覆い、排出口は確実に密閉された状態になる。
【0016】
同第三の特徴構成は、同請求項3に記載した通り、上述の第二特徴構成に加えて、前記プッシャの前記排出口と対向する面と、前記排出口周縁部とが接していることを特徴とする点にある。
【0017】
重量物のプッシャをダストテーブルに摺動させて移動させると大きな摺動抵抗を受けて円滑に駆動させることは困難である。上述の構成によると、プッシャの駆動方向に沿ってダスト落下領域内ではプッシャとダストテーブルの間に僅かな隙間が形成されて摺動抵抗が大きく低減され、円滑に往復移動させることができる。このときダストテーブルに堆積し、当該隙間より厚く堆積したダストがプッシャにより排出口に押し出される。そして、ダスト落下領域外にプッシャが案内されるとプッシャとダストテーブルの隙間が狭くなり、ダストテーブルに形成された排出口にプッシャの底面が接し閉塞された状態になる。従って、この状態で排出シュートに設けられたシール機構を開放しても外気の排ガス処理空間への流入が阻止されるようになる。
【0018】
同第四の特徴構成は、同請求項4に記載した通り、上述の第一から第三の何れかの特徴構成に加えて、前記プッシャは前記ダストテーブルに沿って直線状に往復移動するように構成され、前記排出口は前記プッシャの往動側端部に形成された第一排出口と、前記プッシャの復動側端部に形成された第二排出口で構成され、前記排出シュートは前記第一排出口と連なる第一排出シュートと、前記第二排出口と連なる第二排出シュートで構成され、前記シール機構は前記第一排出シュートに設けられる第一シール機構と、第二排出シュートに設けられる第二シール機構で構成されている点にある。
【0019】
上述の構成によれば、ダストテーブルに落下したダストが、プッシャの往動によってダストテーブルのプッシャの往動側端部に形成された第一排出口に押し出され、当該第一排出口から第一排出シュートに排出される。このとき、プッシャは往動限界位置まで往動してその底面で第一排出口を覆い、第一排出口は密閉された状態になる。この状態で第一排出シュートの下部に設けられた第一シール機構が開放されると、排ガス処理空間を外気と遮断した状態でダストは排ガス処理空間の外部に排出されるようになる。つまり、第一排出口を覆うプッシャの底面と第一シール機構により二重のシール機構が構成されるので、第一排出シュートに前記第一シール機構とは別のシール機構を設ける必要が無くなり、排ガス処理設備の小型化、特に高さ方向の小型化を達成することができるようになる。
【0020】
さらに、プッシャの往動時にプッシャの底面とダストテーブルとの隙間からすり抜けたダストやプッシャの往動後にダストテーブルに落下したダスト等が、プッシャの復動時に復動側に連れ戻される場合があっても、プッシャの復動によってダストテーブルのプッシャの復動側端部に形成された第二排出口に押し出され、当該第二排出口から第二排出シュートに排出される。このとき、プッシャは復動限界位置まで復動してその底面で第二排出口を覆い、第二排出口は密閉された状態になる。この状態で第二排出シュートの下部に設けられた第二シール機構が開放されると、排ガス処理空間を外気と遮断した状態でダストは排ガス処理空間の外部に排出されるようになる。つまり、第二排出口を覆うプッシャの底面と第二シール機構により二重のシール機構が構成されるので、第二排出シュートに前記第二シール機構とは別のシール機構を設ける必要が無くなり、排ガス処理設備の小型化、特に高さ方向の小型化を達成することができるようになる。さらに、復動時に連れ戻されたダストがプッシャの復動側に堆積してプッシャが作動不良を起こすことを防止することができる。
【0021】
同第五の特徴構成は、同請求項5に記載した通り、上述の第四特徴構成に加えて、前記第一及び第二排出口は、前記ダストテーブルのうちダスト落下領域外に形成されている点にある。
【0022】
上述の構成によれば、前記第一排出口及び第二排出口は、前記ダストテーブルのうちダスト落下領域外に形成されているので、ダストが直接第一排出口及び第二排出口に排出されることがなくなる。
【0023】
同第六の特徴構成は、同請求項6に記載した通り、上述の第四又は第五の特徴構成に加えて、前記プッシャの往復移動時に、前記プッシャが前記ダストテーブルに堆積したダストに乗り上げて、前記プッシャが前記ダストテーブルから上方へ許容高さ以上隔離することを阻止する姿勢拘束機構が、前記プッシャの往復移動方向に沿って配置されている点にある。
【0024】
移動時にプッシャが自重に抗してダストテーブルに強固に固着し厚く堆積したダストに乗り上げると、ダストが排出口に良好に排出できなくなるばかりか、プッシャの駆動機構の破損を招く虞がある。上述の構成によると、プッシャの往復移動方向に沿って配置された姿勢拘束機構によって、プッシャがダストテーブルから上方へ許容高さ以上離隔することが阻止されるので、プッシャの自重に加えて姿勢拘束機構による抗力がダストテーブルに強固に固着したダストに作用して、ダストがダストテーブルから剥離され或いはダストが破砕され、駆動機構の破損を招くことなくダストを排出口に押し出すことができるようになる。尚、許容高さとは、プッシャの駆動機構が破損しない程度の高さである。
【0025】
同第七の特徴構成は、同請求項7に記載した通り、上述の第四から第六の何れかの特徴構成に加えて、前記プッシャの往動時または復動時に前記プッシャ上面に落下したダストを前記ダスト落下領域内に払い落とすスクレーパを、前記ダスト落下領域の前記プッシャの往動側または復動側の境界部に上下移動自在に横設している点にある。
【0026】
上述の構成によると、スクレーパをダスト落下領域のプッシャの往動側または復動側の境界部に設けることにより、プッシャの往動時または復動時にプッシャ上面に落下したダストがダスト落下領域内に払い落とされるため、プッシャの上面にダストが厚く堆積するような不都合な事態の発生を回避することができる。そして、スクレーパが上下移動自在に横設され、自重でプッシャ上面と接触しているため、仮にプッシャがダストテーブル上に堆積したダスト上に乗り上げることがあったとしても、スクレーパが上方に退避可能となるため、スクレーパとプッシャの上面との間で異常な力が作用することがなく、確実にプッシャの上面からダストを払い落とすことができるようになる。尚、第六の特徴構成、つまり、姿勢拘束機構を備えている場合には、姿勢拘束機構によりプッシャがほぼ許容高さで拘束された状態であっても、スクレーパが上下移動できるように横設することが好ましい。
【0027】
同第八の特徴構成は、同請求項8に記載した通り、上述の第一から第七の何れかの特徴構成に加えて、前記ダストテーブル又は前記プッシャの少なくとも何れかに、前記排ガス処理空間から滴下した液状ダストを冷却固化する冷却機構を設けてある点にある。
【0028】
上述の構成によれば、ダストテーブルに低融点の液状ダストが滴下付着しても、冷却機構により急速に冷却されて粒状に固化されるので、プッシャの移動に伴ってそのような粒状に固化されたダストがダストテーブルから容易に剥離され、排出口に向けて押し出されるようになるのである。このように液状ダストが固化された状態で排出口に押し出されるので、ダストが排出口に付着して成長して排出口を閉塞したり、大きな塊状のダストとして排出シュートに落下するような事態の発生も回避され、長期間安定して連続稼動させることができるようになるのである。
【0029】
本発明による焼却炉システムまたは溶融炉システムの特徴構成は、同請求項9に記載した通り、上述の第一から第八の何れかの特徴構成を備えたダスト排出装置を備えていることを特徴とする点にある。
【0030】
焼却炉システムや溶融炉システムには、後燃焼装置や廃熱ボイラ等の様々な排ガス処理設備が備えられている。例えば、後燃焼装置は、処理炉内で生じた1000℃前後の高温の排ガスをさらに完全燃焼させる容量の大きな排ガス処理空間を備えた装置であり、上述した何れかのダスト排出装置を備えることにより効果的に装置高さを抑制することができる点で好ましい適用対象となる。尚、特に処理炉が溶融炉である場合には、排ガスに低融点ダストつまり液状ダストが多量に含まれているため、ダスト排出装置を好適に採用することができる。
【0031】
処理炉から排出される排ガスの保有熱から蒸気を生成する廃熱ボイラでは、熱交換された排ガスは急激に温度が低下して、低融点ダストが液状または固体状で多量に落下するため、上述した何れかのダスト排出装置を廃熱ボイラに設けると効果的にダストの排出処理ができ、長期安定稼動させることができるようになるのである。
【0032】
本発明によるダスト排出装置の運転方法の特徴構成は、同請求項10に記載した通り、上述の第四から第七の特徴構成を備えたダスト排出装置の、前記プッシャがダスト落下領域外に存する時間が、ダスト落下領域内に存する時間より長いことを特徴とする点にある。
【0033】
上述の構成によると、プッシャをダスト及び高温雰囲気にさらされるダスト落下領域内に長い時間位置させることがないため、プッシャへのダストの固着や損傷の虞を低減し、長期安定稼動させることができる。
【発明の効果】
【0034】
以上説明した通り、本発明によれば、排ガス処理空間を外気と遮断した状態に維持しながらも、排ガス処理設備の小型化が可能なダスト排出装置を提供することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】灰溶融システムの説明図
【図2】ダスト排出装置を示し、(a)は概略平面図、(b)はプッシャが復動限界位置の概略断面図、(c)はプッシャが往動限界位置の概略断面図
【図3】(a)はダスト排出装置の要部断面図、(b)はダストテーブルの概略平面図
【図4】(a)は第二排出シュートの断面図、(b)はダスト落下領域の断面図、(c)は第一排出シュートの断面図
【図5】プッシャを示し、(a)は要部平面図、(b)は要部側面図、(c)は要部正面図
【図6】(a)はプッシャ及びスクレーパの上下移動の説明図、(b)はプッシャとスクレーパが上方に移動していない説明図、(c)はプッシャがダストに乗り上げ、プッシャとスクレーパが上方に移動したときの説明図
【図7】スクレーパ支持機構を示し、(a)はスクレーパが上方に移動していないときの要部断面図、(c)はスクレーパが上方に移動したときの要部断面図
【図8】(a)は案内レールの説明図、(b)は案内レールに沿ってプッシャが移動するときの高さの変動の説明図、(c)はプッシャの高さの変動に伴い駆動竿が上下移動する説明図
【図9】ダスト排出装置のダスト排出の様子を示し、(a)はプッシャが復動限界位置で待機する様子の説明図、(b)はプッシャの往動の説明図、(c)はプッシャによるダスト排出の説明図、(d)はスクレーパによるダストの払い落としの説明図、(e)は第一ダンパの開放の説明図、(f)はプッシャが往動限界位置で待機する様子の説明図、(g)はプッシャの復動の説明図、(h)はスクレーパによるダストの払い落としの説明図、(i)は第二ダンパの開放の説明図、(j)はプッシャが復動限界位置で待機する様子の説明図
【図10】(a)は別実施形態によるダスト排出装置の要部断面図、(b)は別実施形態によるダストテーブルの概略平面図
【図11】(a)は別実施形態によるダスト排出装置の要部平面図、(b)は(a)のA―A線断面図
【図12】(a)は別実施形態によるダスト排出装置の要部断面図、(b)は別実施形態によるプッシャの説明図、(c)は別実施形態によるプッシャの説明図
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下に本発明によるダスト排出装置の実施の形態を説明する。
図1に示すように、ごみ焼却炉で生じた焼却灰を溶融処理する灰溶融システムは、処理炉の一例である回転式表面溶融炉(以下、「溶融炉」と記す。)10と、溶融炉10からの排ガスを処理する各種の排ガス処理設備を備えている。
【0037】
排ガス処理設備は、溶融炉10から排出され、下方に傾斜配置された煙道17を経由して導かれる850〜1200℃程度の燃焼排ガスを完全燃焼させる後燃焼装置20と、後燃焼後の排ガスから溶融炉10及び後燃焼装置20に供給される燃焼用空気を予熱する空気予熱器21と、白煙防止用空気を加熱する空気加熱器22と、それらによる熱交換後の排ガスを急速冷却する減温塔23と、減温後の排ガスからダイオキシンや塩化水素ガス、さらには硫黄酸化物を除去する排ガス浄化装置24と、排ガスに同伴された固形ダストを除去するバグフィルタ25などを備えている。
【0038】
バグフィルタ25の下流側に設けられた誘引送風機26により誘引された排ガスは、白煙防止用混合器27で空気加熱器22によって加熱された高温空気と混合された後に、図示しない煙道に導かれて煙突から排気される。
【0039】
溶融炉10は、同軸心に配置された内筒11と外筒12とが水封機構を介して気密に相対回転する炉内に二重ダンパ機構13A,13Bを介して供給される焼却灰を、内筒11の炉頂部に設けた燃焼バーナ14により輻射加熱することにより表面から溶融させて、外筒12の炉底部中央に形成された排出口15から溶融スラグとして落下排出するように構成され、排出された溶融スラグは下方に配置されたスラグ排出装置16の水槽で急冷されて水砕スラグとして取り出される。
【0040】
煙道18に沿って配置された各排ガス処理設備20,21,22,23,25の底部に、処理空間で排ガスから離脱したダストを回収するダスト排出装置40が設けられている。ダスト排出装置40で回収されたダストは煙道を気密に保つ後述する二重のシール機構を介して系外に排出され、必要に応じて設置される破砕機29によって塊状のダストが粉砕された後にダスト排出コンベア機構30を介して貯留槽31に集積される。
【0041】
図2(a),(b),(c)及び図3(a),(b)に示すように、ダスト排出装置40は、排ガス処理設備の底部に取り付けられたケーシング41に配設され、排ガスに同伴して排ガス処理空間Sで落下するダストを受け止める平坦なダストテーブル42と、ダストテーブル42に沿って直線状に往復移動する押し出し搬送機構であるプッシャ50と、プッシャ50により押し出されたダストを排ガス処理空間Sの外部に排出する第一排出シュート45及び第二排出シュート48を備えている。
【0042】
ダストテーブル42のうちプッシャ50の往動側端部に、第一排出シュート45に連なる第一排出口44が形成され、プッシャ50の復動側端部に、第二排出シュート48に連なる第二排出口47が形成されている。さらに、第一排出シュート45には、排ガス処理空間Sと排ガス処理空間Sの外部の空間とを遮断する第一シール機構としての第一ダンパ46が設置され、第二排出シュート48には排ガス処理空間Sと排ガス処理空間Sの外部の空間とを遮断する第二シール機構として第二ダンパ49が設置されている。第一ダンパ46、第二ダンパ49は、スライドゲートダンパで構成されているが、バタフライダンパであってもよい。スライドゲートダンパは、装置の高さを低くできる点で好ましい。また、シール機構は、ダンパによるものに限らず、排出シュートの下部に排出されたダストをスクリューで搬送し、搬送するダストにより外気の流入を防止できるスクリュー式のコンベア機構や、排出シュートの下部を水槽内に配置し前記水槽内に排出されたダストをコンベアにより掻きあげるようなダストの排出経路の途中を封水で常に遮断しておく構造をもつコンベア機構等の外気の流入を防止できる構成であってもよい。
【0043】
ダストテーブル42は、上方の排ガス処理空間Sと対向するように水平姿勢に配置され、排ガス処理空間Sの下部周囲を仕切る断面矩形の側壁Wの開口と対向する領域がダスト落下領域R(図3(b)に二点鎖線で囲まれた領域)となる。つまり、第一排出口44及び第二排出口47は、ダストテーブル42のうちダスト落下領域R外に形成されている。尚、ダスト落下領域Rは矩形の二点鎖線で囲まれた領域で示したが、ダスト落下領域は側壁Wの開口の断面形状により円形であってもよい。また、第一排出口45及び第二排出口48は、ダスト落下領域R外に設けられる方が、液状ダストが直接第一排出口45及び第二排出口48に落下しない点で好ましいが、図10(a),(b)に示すように第一排出口45及び第二排出口48は、ダスト落下領域R(図10(b)に二点鎖線で囲まれた領域)内に設けられてもよい。
【0044】
図5(a),(b),(c)に示すように、プッシャ50はスクレーパ部51と押出部52で構成され、駆動機構60によってプッシャ50の底面で第一排出口44を覆う往動限界位置まで往動されるとともに、プッシャ50の底面で第二排出口47を覆う復動限界位置まで復動される。スクレーパ部51と押出部52は少なくともその表面が耐火物や耐火性の高い材料で形成されている。このような材料で構成されていることで高温雰囲気の後燃焼室やボイラ下部で長期にわたり安定して運転を継続することができる。
【0045】
スクレーパ部51の往復移動方向と直交する幅方向両端側の側面51aは、中央部の側面51bに対して往動方向または復動方向に傾斜するように突出形成され、往動時及び復動時の何れの場合でも、夫々側面51aによってダストテーブル42に堆積したダストを中央部側に寄せ集めながら中央部の側面51bによって掻き出すように構成されている。
【0046】
スクレーパ部51によって掻き出されたダストは、往動時は押出部52の側面52aによって第一排出口44へ向けて押し出され、復動時は押出部52の側面52bによって第二排出口47へ向けて押し出される。
【0047】
ダストテーブル42のうちダスト落下領域R内に落下したダストが、プッシャ50の往動によってダストテーブル42のうちダスト落下領域R外であって、プッシャの往動側端部に形成された第一排出口44に押し出され、当該第一排出口44から第一排出シュート45に落下回収される。
【0048】
このとき、プッシャ50はその底面で第一排出口44を覆い、第一排出口44が密閉された状態になる往動限界位置まで往動する。図2(c)にはプッシャ50が往動限界位置まで往動した状態が示されている。この状態で第一排出シュート45の下部に設けられた第一ダンパ46が開放されると、排ガス処理空間Sは、外気から遮断された状態を維持、つまり排ガス処理空間Sに外気が流入することなくダストが排ガス処理空間Sの外部に排出されるようになる。つまり、第一排出口44を覆うプッシャ50の底面と第一ダンパ46により二重のシール機構が構成される。よって、第一排出シュート45に第一ダンパ46とは別のダンパを設ける必要が無い分だけダスト排出装置を小さく、つまり排ガス処理設備の高さを低くして小型化を達成することができるようになる。
【0049】
また、プッシャ50の往動時にプッシャ50の底面とダストテーブルとの隙間からすり抜けたダストやプッシャ50の往動後にダストテーブル42に落下したダスト等が、プッシャ50の復動時に復動側に連れ戻される場合があっても、プッシャ50の復動によってダストテーブル42のうちダスト落下領域R外であって、プッシャ50の復動側端部に形成された第二排出口47に押し出され、当該第二排出口47から第二排出シュート48に落下回収される。
【0050】
つまり、連れ戻されたダスト等が、プッシャ50の復動側に堆積しないので、連れ戻されたダスト等によりプッシャ50の作動不良を起こすことなく、トラブルが減少し、さらに装置の清掃頻度が低減し連続的な運転が可能となる。
【0051】
このとき、プッシャ50はその底面で第二排出47を覆い、第二排出口47密閉された状態になる復動限界位置まで往動する。図2(b)にはプッシャ50が復動限界位置まで復動した状態が示されている。この状態で第二排出シュート48の下部に設けられた第二ダンパ49が開放されると、排ガス処理空間Sは外気から遮断された状態を維持、つまり排ガス処理空間Sに外気が流入することなくダストが排ガス処理空間Sの外部に排出されるようになる。つまり、第二排出口47を覆うプッシャ50の底面と第二ダンパ49により二重のシール機構が構成される。よって、第二排出シュート48に第二ダンパ49とは別のダンパを設ける必要が無い分だけダスト排出装置を小さく、つまり排ガス処理設備の高さを低くして小型化を達成することができるようになる。
【0052】
また、シール機構の故障時や、排出シュートが閉塞した場合には、プッシャ50で排出口を覆うことで、排ガス処理空間Sに外気が流入しないので、処理炉の運転を停止することなく、シール機構の修理や排出シュートの清掃等のメンテナンスを行うことができる。
【0053】
押出部52の往復移動方向と直交する幅方向両端部には、ダストテーブル42の両端部に敷設された案内レール43上を転がる一対の車輪53が軸支され、プッシャ50に接続された駆動竿61が駆動機構60により往復駆動されることにより、プッシャ50がダストテーブル42上を往復移動するように構成されている。案内レール43は、ダストテーブル42のうちダスト落下領域R外であってプッシャ50の往復移動方向に直交する幅方向両端部側に敷設されている。
【0054】
車輪53の周囲はカバー部材54で覆われており、カバー部材54は車輪53にダストDが堆積するのを防ぐとともに、案内レール43にダストDが堆積しても、案内レール43上からダストDをかき落とすように構成されている。
【0055】
尚、ハウジング41には、図2,3,4に示すように、プッシャ50の往動時または復動時にプッシャ50上面に落下したダストDをダスト落下領域R内に払い落とすスクレーパ74が、ダスト落下領域Rのプッシャ50の往動側または復動側の境界部に上下移動自在に横設されている。
【0056】
駆動機構60は、プッシャ50と駆動竿61によって接続されたスライドブラケット62と、スライドブラケット62を駆動する油圧機構63を備えている。尚、油圧機構63は、第二排出シュート48を貫通して備えられている。尚、油圧機構63は、第二排出シュート48を貫通しない位置、またはスライドブラケット62に取り付ける構成であってもよい。
【0057】
スライドブラケット62は、ハウジング41の下部に設置された油圧機構63のロッド64の一端部と接続され、油圧機構63のロッド64の進退に伴って、車輪66によってスライドレール65上を円滑に往復移動するように構成されている。スライドブラケット62の下部には、スライドブラケット62がスライドレール65から浮き上がるのを防止するためのオイレスプレート67がスライドレール65に摺動するように備えられている。尚、オイレスプレート67に替えて車輪やベアリングを備え、当該車輪やベアリングによってスライドブラケット62がスライドレール65から浮き上がるのを防止するようにしてもよい。
【0058】
図8(a)に示すように、案内レール43の高さは、プッシャ50の往復移動方向に沿ってダスト落下領域R内よりダスト落下領域R外で低くなるように構成されている。
【0059】
重量物のプッシャ50をダストテーブル42に摺動させて移動させると大きな摺動抵抗を受けて円滑に往復移動させることが困難になる。しかし、プッシャ50の往復移動方向に沿ってダスト落下領域R内よりダスト落下領域R外でレール高さが低くなるように敷設された案内レール43によりプッシャ50が受け止められるため、ダスト落下領域R内ではプッシャ50とダストテーブル42の間に僅かな隙間が形成されて摺動抵抗が大きく低減されるので、プッシャ50を円滑に往復移動させることができるとともに、ダストテーブル42とスクレーパ部51の磨耗による劣化を低減できる。
【0060】
このときダストテーブル42に堆積し、当該隙間より厚く堆積したダストDがプッシャ50により排出口44,47に押し出される。そして、レール高さが低くなるように敷設されたダスト落下領域R外にプッシャ50が案内されるとプッシャ50とダストテーブル42の隙間が狭くなり、ダストテーブル42に形成された排出口44,47がプッシャ50の底面により閉塞された状態になる。従って、この状態で排出シュート45,48に設けられたダンパ46,49を開放しても外気の排ガス処理空間Sへの流入が阻止されるようになる。
【0061】
案内レール43の高さHbは、ダスト落下領域R内で、プッシャ50の底面がダストテーブル42から僅かな隙間Ha、例えば、0.5mmから5mm程度の隙間をもつような高さに設定することが好ましく、ダスト落下領域R外では、プッシャ50の底面が、ダストテーブル42に接する高さHc、つまり、高さHbより隙間Ha以上低い高さに設定することが好ましい。このように設定することで往動限界位置、及び、復動限界位置では、排出口44,47の周縁がプッシャ50の底面と接し、排出口44,47がプッシャ50の底面により閉塞された状態となる。
【0062】
尚、ダスト落下領域R内での案内レール43と、ダスト落下領域R外で案内レール43の高さが低くなっている部分43aとの境界は、なだらかな曲線状の斜面で形成しても良いし、直線状の斜面や段差で形成しても良い。また、案内レール43の高さを変更するではなく、排出口の周縁をダスト落下領域Rより高くすることで、プッシャ50の底面と排出口の周縁の距離を狭く、又は接するように形成してもよい。
【0063】
移動時にプッシャ50が自重に抗してダストテーブル42に強固に固着し厚く堆積したダストDに乗り上げると、ダストDが排出口44,47に良好に排出できなくなるばかりか、プッシャ50の駆動機構の破損を招く虞がある。
【0064】
そこで、図4(a),(b),(c)に示すように、案内レール43には、プッシャ50の往復移動時に、プッシャ50がダストテーブル42に堆積したダストDに乗り上げて、プッシャ50がダストテーブル42から上方へ許容高さ以上離隔することを阻止する姿勢拘束機構43bが、プッシャ50の往復移動方向に沿って配置されている。
【0065】
姿勢拘束機構43bは、プッシャ50の移動方向に平行な側面の適当な高さに水平方向に突出して設置された複数の棒状部材で構成され、プッシャ50のスクレーパ部51の上面と接触して、プッシャ50がダストテーブル42から上方へ許容高さ以上離隔することが阻止する。尚、本実施形態では、姿勢拘束機構43bを棒状部材で構成したが、角状部材や板状部材で構成することも可能である。
【0066】
このように、プッシャ50の往復移動方向に沿って配置された姿勢拘束機構43bによって、プッシャ50がダストテーブル42から上方へ許容高さ以上離隔することが阻止されるので、プッシャ50の自重に加えて姿勢拘束機構43bによる抗力がダストテーブル42に強固に固着したダストDに作用して、ダストDがダストテーブル42から剥離され或いはダストDが破砕され、駆動機構60の破損を招くことなくダストDを排出口44,47に押し出すことができるようになる。尚、許容高さとは、プッシャ50の駆動機構60が破損しない程度の高さである。例えば、5mmから20mm程度が好ましい。
【0067】
プッシャ50の上面に落下したダストを除去するスクレーパ74は、耐熱性のあるステンレス鋼等によって形成された山形鋼で構成され、山形鋼の一辺を下向きに配置したときに、当該一辺の中央部が、プッシャ50の押出部52の上面と僅かな間隙、例えば、1〜2mm程度の間隙をもつように設置され、当該一辺の長手方向両端側は、プッシャ50の車輪53と干渉しない程度に切り欠かれている。尚、長手方向には適当な間隔でリブ75が溶接されている。
【0068】
スクレーパ74は、ダスト落下領域Rのプッシャの往動側または復動側の境界部に設けられている。ここでダスト落下領域Rのプッシャの往動側または復動側の境界部とは、プッシャ50の往動時または復動時にプッシャ50上面に落下したダストDがダスト落下領域R内に払い落とされる位置である。
【0069】
図6(a)に示すように、プッシャ50は、往復移動時にプッシャ50がダストテーブル42に堆積したダストDに乗り上げて、プッシャ50のダストテーブル42から上方への高さが姿勢拘束機構43bによる許容高さの範囲内で変動する場合がある。
【0070】
よって、姿勢拘束機構43bによりプッシャ50がほぼ許容高さで拘束された状態であっても、スクレーパ74が上下移動できるように横設されている。
【0071】
具体的には、図7(a),(b)に示すように、スクレーパ74の長手方向両端部は、ハウジング41の内面に備えられたスクレーパ支持機構76に支持されている。
【0072】
スクレーパ支持機構76は、スクレーパ74の上下方向の移動を許容し前後方向の移動を規制する山形鋼77,78と、スクレーパ74の上方向の移動を規制する当接部材79が、支持部80に備えられて構成されている。
【0073】
山形鋼77は一辺77aが支持部80にボルトで固定され、山形鋼77の他辺77bと、他辺77bと対向するように支持部80に溶接固定された山形鋼78の一辺78aとで、スクレーパ74の端部の一辺を上下方向に摺動可能に挟持する。
【0074】
規制部材79は、山形鋼78の他辺78bと対向した位置に適当な間隙をもって支持部80に溶接されている。尚、前記間隙は、姿勢拘束機構43bが許容するプッシャ50のダストテーブル42から上方へ離隔高さ以上の間隙に設定されている。
【0075】
図6(a)に示すように、プッシャ50が高さh高くなれば、プッシャ50の押上部55がスクレーパ74と当接してスクレーパ74を押し上げ、スクレーパ74も高さhだけ高くなることとなる。つまり、プッシャ50の押出部52の上面と、スクレーパ74の下端の間隙は、常に一定に保たれることとなる。
【0076】
このように、スクレーパ74は上下移動自在に横設され、プッシャ50がダストテーブル42上に堆積したダストD上に乗り上げた場合は、自重でプッシャ50の押出部52の両端に設けられた押上部55と接触してスクレーパ74が上方に退避可能となるため、スクレーパ74とプッシャ50の上面との間で異常な力が作用することがなく、確実にプッシャ50の上面からダストDを払い落とすことができるので、プッシャ50の上面にダストDが厚く堆積するような不都合な事態の発生を回避することができる。
【0077】
ところで、溶融炉10から排気された燃焼排ガスには、低融点の重金属や塩類等の化合物が多量に含まれた溶融飛灰や煤塵が含まれるため、後燃焼装置20や空気予熱器21及び空気加熱器22では、高濃度に気化した重金属や塩類などが凝集して、ダストテーブル42やプッシャ50の上面に液状ダストとして滴下する。
【0078】
このような液状ダストをそのまま第一排出口44や第二排出口47に押し出すのは困難であり、各部に液状ダストが付着固化して塊状に成長して堆積すると、ダスト排出装置40の円滑な動作に支障を生じる虞がある。
【0079】
そこで、ダストテーブル42やプッシャ50の上面に滴下した液状ダストが塊状に堆積する前に粒状に固化させてプッシャ50で容易に押出せるように、ダストテーブル42及びプッシャ50には、夫々排ガス処理空間Sから滴下した液状ダストを冷却固化する冷却機構70,71が設けられている。
【0080】
尚、排ガス処理設備23,25に流入する排ガスの温度によっては、液状ダストが滴下するような事態が発生することが少なく、冷却機構70,71の一方または両方を備えないこともある。
【0081】
ダストテーブル42に設けられた冷却機構70は、ダストテーブル42またはプッシャ50に取り付けた図示しない温度センサによって検出された温度に基づいて、図示しないポンプから圧送されダストテーブル42の内部に形成された冷媒流路70aへ供給される冷却水の流量を調節する流量調整弁を制御するコントローラを設けることにより、ダストテーブル42の温度を管理して、ダストテーブル42に滴下する液状ダストを効率的に冷却固化する。尚、冷媒流路70aの形状、寸法、ピッチ等はプッシャ50の寸法や、温度条件により適宜設定される。また、冷媒流路70aを、炭素鋼に代えて耐熱耐食鋼を用いて構成することにより耐火物が不要になり、冷却効率を向上させることも可能である。
【0082】
尚、ダストテーブル42の構成材料を、緻密で剥離性がよく熱伝導率の高い耐火物を用いて形成することにより、溶融塩や腐食性ガス成分によるダストテーブル42の損傷を防止して長期安定的に稼動させることが可能になる。
【0083】
プッシャ50に設けられた冷却機構71について説明する。耐火物を用いて形成されたプッシャ50の内部にも炭素鋼などで区画形成された冷媒流路71a(図5(a)に破線で示されている。)と、その冷媒流路71aに冷媒としての冷却水を供給する冷媒供給管72を備えて構成され、冷媒供給管72から供給された冷却水が冷媒流路71aを循環して冷媒排出管73から排出される過程でプッシャ50と熱交換され、プッシャ50の表面に滴下した液状ダストが冷却固化されるように構成されている。尚、本実施形態では冷媒供給管72、及び、冷媒排出管73は構造の簡略化、コストダウンのため、プッシャ50の駆動竿61の内部に備えられているが、駆動竿61と別に設けることも可能である。
【0084】
よって、ダストテーブル42、及び、プッシャ50に冷却機構70,71を備えることで、ダストテーブル42に低融点の液状ダストが滴下付着しても、冷却機構70,71により急速に冷却されて粒状に固化されるので、プッシャ50の移動に伴ってそのような粒状に固化されたダストがダストテーブル42から容易に剥離され、排出口44,47に向けて押し出されるようになるのである。このように液状ダストが固化された状態で排出口44,47に押し出されるので、ダストが排出口44,47に付着して成長して排出口44,47を閉塞したり、大きな塊状のダストとして排出シュート45,48に落下するような事態の発生も回避され、長期間安定して連続稼動させることができるようになるのである。
【0085】
油圧機構63によるプッシャ50の往復移動周期及び押出速度は、ダスト量及び冷却機構70,71による液状ダストの冷却効率との調整により決定することができ、ダスト量及びダストテーブル42に滴下した液状ダストの平均固化時間に対応する周期で往復移動することにより効率的にダストDを排出することができる。
【0086】
次に、駆動竿61のハウジング41を貫通する部分のシール機構について説明する。図8(c)に示すように、プッシャ50は、往動限界位置または復動限界位置と往復移動時にその高さが変動する。さらに、往復移動時にプッシャ50がダストテーブル42に堆積したダストDに乗り上げた場合には、姿勢拘束機構43bによる許容高さの範囲内で上方に高さが変動することとなる。
【0087】
よって、駆動竿61のハウジング41を貫通する部分に公知のグランドパッキンによるシールを用いると、プッシャ50の上下移動に追従して、駆動竿61も僅かながら上下移動するため、シールが破損し、プッシャ50の円滑な往復移動が妨げられたり、ハウジング41の気密性が損なわれたりする虞がある。尚、貫通部にはガタを吸収する機構があればよく、その機構は隙間シールやボールジョイントなどがある。
【0088】
上述のように構成されたダスト排出装置40は、図示しない制御装置によって、駆動機構60の駆動及び第一ダンパ46,第二ダンパ49の開閉が制御されている。
【0089】
前記制御装置は、プッシャ50が往動限界位置か復動限界位置か何れに位置するかを検出する位置検出スイッチ(図示せず)からの信号に基づいて、油圧機構63を制御してロッド64の進出または引退を切り替え、プッシャ50の移動方向を制御する。さらに、プッシャ50が往動限界位置に位置するとき第一ダンパ46を開放し、復動限界位置に位置するときに第二ダンパ49を開放するように構成されている。
【0090】
以下に前記制御装置によるダスト排出装置の運転方法について説明する。
【0091】
前記制御装置は、プッシャを復動待機位置で約10分間待機させ、一分間で往動を行わせ、往動待機位置で、第一排出シュートに設けたシール機構を開閉する約30秒間待機させ、その後一分間で復動を行い復動待機位置に戻らせること1サイクルとして、当該サイクルを繰り返すように駆動機構60の駆動及び第一ダンパ46,第二ダンパ49の開閉が制御する。このように、プッシャがダスト落下領域外に存する時間が、ダスト落下領域内に存する時間より長いので、プッシャ50をダスト及び高温雰囲気にさらされるダスト落下領域内に長い時間位置させることがないため、プッシャ50へのダストの固着や損傷の虞を低減し、長期安定稼動させることができる。
【0092】
また、前記制御装置は、シール機構としての第一ダンパ46,第二ダンパ49の開閉が確認できない等の工程が渋滞したときは、プッシャ50が復動待機位置で待機し、警報を発する等の動作を行うように構成してもよい。
【0093】
なお、上述の待機時間や往復動の時間は例示であり、プッシャ50の駆動時間と往動限界位置及び復動限界位置での待機時間については、ダストの排出量や処理能力に応じて任意に設定、例えば、プッシャ50の往動限界位置及び復動限界位置での待機時間を夫々同じ時間にしてもよいし、夫々異ならせても良い。尚、ダスト落下領域R外、つまり、復動限界位置での待機時間を往動限界位置での待機時間に比べて長く設定し、プッシャ50は、基本的に復動限界位置で待機するように設定することで、プッシャ50や駆動竿61が、排ガス処理空間S内の高温な空気に暴露させる時間を短くして、プッシャ50や駆動竿61が破損する虞が低減できる。さらに、ダストの付着も抑制することができるとともに、駆動竿61に備えられた冷媒供給管72及び冷媒排出管73の冷却水の温度が高くなりすぎる虞を低減できる。
【0094】
以下、ダスト排出装置40のダスト排出の様子を、図9(a)〜(j)に基づいて説明する。
【0095】
図9(a)に示すように、まず、前記制御装置によって、プッシャ50は復動限界位置で待機するように制御されている。この状態では、排ガス処理空間Sから落下するダストDはダストテーブル42に堆積する。図9(b)に示すように、次に前記制御装置は、プッシャ50を往動制御し、ダストテーブル42に堆積したダストDは第一排出口44側へと押し出される。
【0096】
プッシャ50がダスト落下領域Rを通過中に、排ガス処理空間Sから落下したダストdがプッシャ50の上面に堆積しても、図9(c)に示すように、プッシャ50の上面に堆積したダストdはスクレーパ74によって、ダスト落下領域R側に払い落とされる。尚、ダストDは第一排出口44まで押し出されると第一排出シュート45へと排出される。
【0097】
図9(d)に示すように、プッシャ50がその底面で第一排出口44を覆う往動限界位置まで往動していない段階では、第一ダンパ46は閉止しており、第一排出シュート45内は気密に保たれる。図9(e)に示すように、前記制御装置は、前記位置検出スイッチがプッシャ50が往動限界位置まで往動したことを検出すると、プッシャ50がその底面で第一排出口44を覆うので、第一ダンパ46開放制御し、第一排出シュート45内に堆積したダストDは系外へ排出される。
【0098】
このとき、プッシャ50の底面で第一排出口44が覆われ、第一排出口44が密閉された状態になるので、第一排出シュート45の下部に設けられた第一ダンパ46が開放されても、排ガス処理空間Sに外気が流入することなくダストDが排ガス処理空間Sの外部に排出される。
【0099】
図9(f)に示すように、前記制御装置は、プッシャ50を往動限界位置で待機させ、第一ダンパ46を適当な時間開放した後閉塞制御するとプッシャ50を復動制御する。図9(g)に示すように、プッシャ50は、往動時にダスト落下領域R側に払い落とされたダストdを含む、新たにダストテーブル42に落下したダストD’を押しながら復動することとなる。
【0100】
往動時と同様に、プッシャ50がダスト落下領域Rを通過中に、排ガス処理空間Sから落下したダストd’がプッシャ50の上面に堆積しても、図9(h)に示すように、プッシャ50の上面に堆積したダストd’はスクレーパ74によって、ダスト落下領域R側に払い落とされる。尚、ダストD’は第二排出口47まで押し出されると第二排出シュート48へと排出される。
【0101】
図9(i)に示すように、前記制御装置は、前記位置検出スイッチがプッシャ50が復動限界位置まで復動したことを検出すると、プッシャ50がその底面で第二排出口47を覆うので、第二ダンパ49開放制御し、第二排出シュート48内に堆積したダストDは系外へ排出される。図9(j)に示すように、前記制御装置によって、プッシャ50は復動限界位置で待機するように制御される。
【0102】
以上説明した通り、本発明によれば、排ガス処理空間を負圧状態に維持しながらも、排ガス処理設備の小型化を達成可能なダスト排出装置を提供することができるようになった。
【0103】
さらには、プッシャ方式のダスト排出装置を採用する場合であっても、復動時にダストが連れ戻されプッシャ収容部に堆積し、連続運転が阻害されるような不都合な事態の発生を解消可能なダスト排出装置を提供することができるようになった。
【0104】
以下、別実施形態を説明する。
プッシャは上述の構成に限らず、排出シュートに連なる排出口を覆うことができればよく、図12(b)に示すように、プッシャ81が、中央に開口が形成されたスクレーパ部82と底面が開放された中空の押出部83を備え、駆動機構に接続された駆動竿61によってプッシャ81が駆動させられ、プッシャ81によって排出口84を覆うような構成や、図12(c)に示すように、プッシャ85が、駆動機構に接続された駆動竿61によって駆動される押出部86と押出部86の後方に備えられた蓋部材87を備え、駆動竿61によって蓋部材87の底面で排出口88を覆うように構成してもよい。
【0105】
上述の実施形態では、プッシャ50が往動限界位置まで往動するとその底面で第一排出口44を覆い、第一排出口45は密閉された状態になり、プッシャ50が復動限界位置まで復動するとその底面で第二排出口47が覆われ、第二排出口48が密閉された状態になると説明したが、プッシャ50が往動限界位置、及び、復動限界位置で第一排出口44または第二排出口47を完全に覆う必要は無く、また、第一排出口45、及び、第二排出口48は必ずしも完全に密閉されなくてもよい。排ガス処理に影響を及ぼす程度の外気の排ガス処理空間Sへの流入が阻止できればよい。
【0106】
さらに、プッシャ50を基本的に復動限界位置で待機させるように構成すると、プッシャ50の往動時にはダストテーブル42に堆積したダストDを排出するために第一排出シュート45には第一ダンパ46を必ず備える必要があるが、第二排出シュート48には必ずしも第二ダンパ49を備える必要は無い。
【0107】
プッシャ50の復動時にはダストテーブルに残ったダストの連れ戻りを排出するため、第二排出シュート48に排出されるダストの量が少量であるからである。この場合、第二排出シュート48の下端には、第二排出シュート48を密閉するようにダスト回収ボックスを備え、定期的なメンテナンス時に前記ダスト回収ボックス内に堆積したダストを排出すればよい。
【0108】
上述の実施形態では、プッシャ50がダストテーブル42に沿って直線状に往復移動する構成のダスト排出装置について説明したが、プッシャは往復移動する構成に限らず、プッシャが回転軸心周りに回転しながらダストを排出口へ押し出す構成や、ダストテーブルに沿って移動するコンベア機構に取り付けられた複数のスクレーパで構成され、該スクレーパによってダストを排出口へ押し出す構成であってもよい。
【0109】
プッシャが回転軸心周りに回転しながらダストを排出口へ押し出す構成について説明する。図11(a),(b)に示すように、ダスト排出装置90は、排ガスに同伴して排ガス処理空間で落下するダストを受け止める平面視円形のダストテーブル91と、ダストテーブル91に堆積したダストを排出するプッシャ93と、前記ダストを排ガス処理空間Sの外部に排出する排出シュート95と、プッシャ93の駆動範囲に、排出シュート95に連なる排出口92が形成され、プッシャ93がその底面で排出口92を覆うように構成されるとともに、排ガス処理空間Sと前記外部とを遮断するシール機構としてのダンパ機構99が排出シュート95に設けられている。
【0110】
ダストテーブル91は、上方の排ガス処理空間Sと対向するように水平姿勢に配置され、排ガス処理空間Sの下部周囲を仕切る断面矩形の側壁Wの開口と対向する領域がダスト落下領域R(図11(a)に二点鎖線で囲まれた領域)となる。ダストテーブル91には、ダストテーブル91に落下した液状ダストを冷却固化する冷却機構94が設けられている。
【0111】
プッシャ93は、ダストテーブル91上で垂直軸心P周りに回転して面上に堆積したダストを排出口92に押し出すように、径方向に延出配置された二枚の掻き出し羽根93aと、掻き出し羽根93aが固定された回転軸96を回転駆動する駆動機構97を備えて構成されている。駆動機構97は、電動モータ97aとその出力を減速する減速ギア機構97bと、減速ギア機構97bの出力を回転軸96に伝達するスプロケットとチェーン97cを備えて構成され、複数のベアリング機構で軸支された回転軸96を所定速度で回転駆動するように構成されている。
【0112】
掻き出し羽根93は径方向に対して角度を持った平面視「く」の字形に形成され、右回りの回転動に応じてダストテーブル91上のダストがそのエッジ部で掻き出されて「く」の字形の凹部に集められ、当該凹部に対応する位置に設けられた排出口92から落下排出される。
【0113】
さらに、プッシャ93は掻き出し羽93aの後方に排出口92を覆う蓋部材93bを備えて構成され、蓋部材93bの底面が排出口92を覆う位置で、プッシャ93の回転を停止することで、排ガス処理空間Sと排出シュート95は遮断される。この状態で排出シュート95に設けられたシール機構としてのダンパ機構99を開放しても外気の排ガス処理空間Sへの流入が阻止されるようになる。
【0114】
次に、プッシャがダストテーブルに沿って移動するコンベア機構に取り付けられた複数のスクレーパで構成され、該スクレーパによってダストを排出口へ押し出す構成について説明する。図12(a)に示すように、ダスト排出装置100は、排ガスに同伴して排ガス処理空間で落下するダストを受け止めるダストテーブル101と、ダストテーブル101に堆積したダストを排出するプッシャ103と、前記ダストを排ガス処理空間Sの外部に排出する排出シュート105と、プッシャ103の駆動範囲に、排出シュート105に連なる排出口102が形成され、プッシャ103がその底面で排出口102を覆うように構成されるとともに、排ガス処理空間Sと前記外部とを遮断するシール機構としてのダンパ機構109が排出シュート105に設けられている。コンベア機構104は、ダスト落下領域R外に設けられた一対のスプロケット104aと、スプロケット104aと噛み合いスプロケット104aの回転により駆動されるチェーン104bで構成されている。
【0115】
ダストテーブル101は、上方の排ガス処理空間Sと対向するように水平姿勢に配置され、排ガス処理空間Sの下部周囲を仕切る断面矩形の側壁Wの開口と対向する領域がダスト落下領域R(図12(a)に二点鎖線で囲まれた領域)となる。ダストテーブル101には、ダストテーブル101に落下した液状ダストを冷却固化する冷却機構(図示せず)が設けられている。
【0116】
プッシャ103は、ダストテーブル101沿って移動するコンベア機構104のチェーン104bに取り付けられた複数のスクレーパ103aとスクレーパ103aの後方に備えられた蓋部材103bで構成され、スクレーパ103aはコンベア機構104の回転に応じて、ダストテーブル101上のダストを押し出すように取り付けられている。
【0117】
蓋部材103bの底面が排出口102を覆う位置でスプロケット104aの回転を停止することで、排ガス処理空間Sと排出シュート105は遮断される。この状態で排出シュート105に設けられたシール機構としてのダンパ機構109を開放しても外気の排ガス処理空間Sへの流入が阻止されるようになる。
【0118】
上述の実施形態では、排ガス処理空間から滴下した液状ダストを冷却固化する冷却機構を設けたダスト排出装置が、後燃焼装置20や空気予熱器21及び空気加熱器22の底部に設けられる例を説明したが、液状ダストが滴下する可能性のある排ガス処理装置であれば他の排ガス処理装置にも設置可能である。
【0119】
例えば、減温塔に代えて空気予熱器の下流側に排ガスの保有熱を利用して蒸気を生成する廃熱ボイラを設けたものであれば、当該廃熱ボイラに同様のダスト排出装置を設置することも可能である。
【0120】
廃熱ボイラで熱交換された排ガスは急激に温度が低下して、低融点ダストが液状または固体状で多量に落下するため、上述した何れかのダスト排出装置を廃熱ボイラに設けると効果的にダストの排出処理ができ、長期安定稼動させることができるようになるのである。尚、本明細書においては廃熱ボイラも広義の排ガス処理装置として説明するものである。
【0121】
また、本発明によるダスト排出装置は、冷却機構が必須ではなく、例えば液状ダストが滴下する虞のない排ガス処理設備では冷却機構を省略することも可能である。
【0122】
上述した実施形態では、処理炉の一例として表面溶融炉を例に説明したが、表面溶融炉に限るものではなく、電気溶融炉などの他の方式の溶融炉で使用される排ガス処理設備に本発明によるダスト排出装置を組み込むことが可能である。また、処理炉も溶融炉に限るものではなく、ごみ焼却炉やボイラ等任意の処理炉で発生する燃焼排ガスを処理する排ガス処理設備に本発明によるダスト排出装置を組み込むことも可能である。
【0123】
上述した各実施形態は、本発明の一実施例を説明するものに過ぎず、本発明の作用効果を奏する限りにおいて適宜細部の構成を変更することが可能である。
【符号の説明】
【0124】
10:溶融炉
11:内筒
12:外筒
13A,13B:二重ダンパ機構
14:燃焼バーナ
15:排出口
16:スラグ排出装置
17:煙道
18:煙道
20:後燃焼装置
21:空気予熱器
22:空気加熱器
23:減温塔
24:排ガス浄化装置
25:バグフィルタ
26:誘引送風機
27:白煙防止用混合器
29:破砕機
30:ダスト排出コンベア機構
31:貯留槽
40,40a:ダスト排出装置
41:ハウジング
42:ダストテーブル
43:案内レール
43b:姿勢拘束機構
44:第一排出口
45:第一排出シュート
46:第一ダンパ
47:第二排出口
48:第二排出シュート
49:第二ダンパ
50:プッシャ
51:スクレーパ部
51a:側面
51b:側面
52:押出部
52a:側面
52b:側面
53:車輪
54:カバー部材
55:押上部
60:プッシャ駆動機構
61:駆動竿
62:スライドブラケット
63油圧機構
64:ロッド
66:車輪
65:スライドレール
67:オイレスプレート
70,71:冷却機構
70a:冷媒流路
71a:冷媒流路
72:冷媒供給管
73:冷媒排出管
74:スクレーパ
75:リブ
76:スクレーパ支持機構
77,78:山形鋼
77a:一辺
77b:他辺
78a:一辺
78b:他辺
79:当接部材
80:支持部
R:ダスト落下領域
S:排ガス処理空間
W:側壁
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理炉からの排ガスを処理する排ガス処理設備の底部に設けられ、排ガスに同伴して排ガス処理空間で落下するダストを受け止めるダストテーブルと、前記ダストテーブルに堆積したダストを排出するプッシャと、前記ダストを前記排ガス処理空間の外部に排出する排出シュートとを備えているダスト排出装置であって、
前記プッシャの駆動範囲に、前記排出シュートに連なる排出口が形成され、前記プッシャがその底面で前記排出口を覆うように構成されるとともに、前記排ガス処理空間と前記外部とを遮断するシール機構が前記排出シュートに設けられているダスト排出装置。
【請求項2】
前記プッシャが排出口の全体を覆うことを特徴とする請求項1記載のダスト排出装置。
【請求項3】
前記プッシャの前記排出口と対向する面と、前記排出口周縁部とが接していることを特徴とする請求項1または2記載のダスト排出装置。
【請求項4】
前記プッシャは前記ダストテーブルに沿って直線状に往復移動するように構成され、前記排出口は前記プッシャの往動側端部に形成された第一排出口と、前記プッシャの復動側端部に形成された第二排出口で構成され、前記排出シュートは前記第一排出口と連なる第一排出シュートと、前記第二排出口と連なる第二排出シュートで構成され、前記シール機構は前記第一排出シュートに設けられる第一シール機構と、第二排出シュートに設けられる第二シール機構で構成されている請求項1から3の何れかに記載のダスト排出装置。
【請求項5】
前記第一及び第二排出口は、前記ダストテーブルのうちダスト落下領域外に形成されている請求項4に記載のダスト排出装置。
【請求項6】
前記プッシャの往復移動時に、前記プッシャが前記ダストテーブルに堆積したダストに乗り上げて、前記プッシャが前記ダストテーブルから上方へ許容高さ以上隔離することを阻止する姿勢拘束機構が、前記プッシャの往復移動方向に沿って配置されている請求項4又は5に記載のダスト排出装置。
【請求項7】
前記プッシャの往動時または復動時に前記プッシャ上面に落下したダストを前記ダスト落下領域内に払い落とすスクレーパを、前記ダスト落下領域の前記プッシャの往動側または復動側の境界部に上下移動自在に横設している請求項4から6の何れかに記載のダスト排出装置。
【請求項8】
前記ダストテーブル又は前記プッシャの少なくとも何れかに、前記排ガス処理空間から滴下した液状ダストを冷却固化する冷却機構を設けてある請求項1から7の何れかに記載のダスト排出装置。
【請求項9】
請求項1から8の何れかに記載のダスト排出装置を備えていることを特徴とする焼却炉システムまたは溶融炉システム。
【請求項10】
前記プッシャがダスト落下領域外に存する時間が、ダスト落下領域内に存する時間より長いことを特徴とする請求項4から7の何れかに記載のダスト排出装置の運転方法。
【請求項1】
処理炉からの排ガスを処理する排ガス処理設備の底部に設けられ、排ガスに同伴して排ガス処理空間で落下するダストを受け止めるダストテーブルと、前記ダストテーブルに堆積したダストを排出するプッシャと、前記ダストを前記排ガス処理空間の外部に排出する排出シュートとを備えているダスト排出装置であって、
前記プッシャの駆動範囲に、前記排出シュートに連なる排出口が形成され、前記プッシャがその底面で前記排出口を覆うように構成されるとともに、前記排ガス処理空間と前記外部とを遮断するシール機構が前記排出シュートに設けられているダスト排出装置。
【請求項2】
前記プッシャが排出口の全体を覆うことを特徴とする請求項1記載のダスト排出装置。
【請求項3】
前記プッシャの前記排出口と対向する面と、前記排出口周縁部とが接していることを特徴とする請求項1または2記載のダスト排出装置。
【請求項4】
前記プッシャは前記ダストテーブルに沿って直線状に往復移動するように構成され、前記排出口は前記プッシャの往動側端部に形成された第一排出口と、前記プッシャの復動側端部に形成された第二排出口で構成され、前記排出シュートは前記第一排出口と連なる第一排出シュートと、前記第二排出口と連なる第二排出シュートで構成され、前記シール機構は前記第一排出シュートに設けられる第一シール機構と、第二排出シュートに設けられる第二シール機構で構成されている請求項1から3の何れかに記載のダスト排出装置。
【請求項5】
前記第一及び第二排出口は、前記ダストテーブルのうちダスト落下領域外に形成されている請求項4に記載のダスト排出装置。
【請求項6】
前記プッシャの往復移動時に、前記プッシャが前記ダストテーブルに堆積したダストに乗り上げて、前記プッシャが前記ダストテーブルから上方へ許容高さ以上隔離することを阻止する姿勢拘束機構が、前記プッシャの往復移動方向に沿って配置されている請求項4又は5に記載のダスト排出装置。
【請求項7】
前記プッシャの往動時または復動時に前記プッシャ上面に落下したダストを前記ダスト落下領域内に払い落とすスクレーパを、前記ダスト落下領域の前記プッシャの往動側または復動側の境界部に上下移動自在に横設している請求項4から6の何れかに記載のダスト排出装置。
【請求項8】
前記ダストテーブル又は前記プッシャの少なくとも何れかに、前記排ガス処理空間から滴下した液状ダストを冷却固化する冷却機構を設けてある請求項1から7の何れかに記載のダスト排出装置。
【請求項9】
請求項1から8の何れかに記載のダスト排出装置を備えていることを特徴とする焼却炉システムまたは溶融炉システム。
【請求項10】
前記プッシャがダスト落下領域外に存する時間が、ダスト落下領域内に存する時間より長いことを特徴とする請求項4から7の何れかに記載のダスト排出装置の運転方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−21673(P2012−21673A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−158448(P2010−158448)
【出願日】平成22年7月13日(2010.7.13)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月13日(2010.7.13)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
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