説明

ダブルホイール締結構造

【課題】ホイール締結するハブボルトの締付力を規定すると共にホイールになじみ(へたり)が発生しても実用的な締付力を維持する。そしてハブボルトの緩みによる規定締付力の低下を検出できるようにする。
【解決手段】ホイールを弾性体(皿バネ3)を介して締付け、弾性体(皿バネ3)の撓み量を検出するためのリング4を皿バネ3が無負荷時ではナット2の端面とリング4とに予め設定された間隙Gを設けて配置し、締付けによりGが減少しついには零になり規定締付力に到達するとリング4が指先では回動不能となる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【産業上の利用分野】
【0001】
本発明は大型自動車のダブルホイール締結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からホイールボルト折損による車輪脱落事故が発生しているが、ハブボルトにインナーナットが螺合し、更にインナーナットにアウターナットが螺合する構造なためインナーナットが緩むと結果としてアウターナットも緩んだ状態となる。つまりインナーホイール、アウターホイール共に締付け不充分となりホイールボルトは疲労破壊に至る。そして疲労破壊の大きな要因である締付力はトルク法なためネジ部状態で大幅に異なる。事故調査報告書にもトルク係数は新車時のような良い状態の場合に対し油脂分もなく荒れた面の場合には同一トルクでも締付力が半減することが明記されている。締付力が半減すれば疲労寿命は大幅に縮まる。そして稼働時間の経過によるナット先端のR部のなじみ(へたり)による締付力の減少も加算され疲労寿命は更に縮まる。その上、ナットの緩みの検出が困難なため事故が続いている。
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ホイール締結ボルトの締付力を規定すると共にホイールになじみ(へたり)が発生しても実用的な締付力を維持する。
【0004】
ホイール締結ボルトの緩みによる規定締付力の低下を検出できるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ホイールを弾性体を介して締付け、規定締付力時に弾性体の撓み量を検出するためのリングを設ける。
【作用】
【0006】
ホイール締結ボルトの締付力を規定することができる。
【0007】
ホイール締結ボルトの緩みによる規定締付力の低下を検出することができる
【実施例】
【0008】
図1に於いて、1はハブボルト、2はナット、3は弾性体(本例では以下皿バネとする)、4はリング、5はボルト、6はハブ、7はインナーホイール、8はアウターホイールである。ナット2はハブボルト1のネジ部1aに螺合し小径部2aに皿バネ3が大径部2bにはリング4が回転自在に嵌合している。ボルト5にはハブボルト1のネジ部1aとは捻れ方向逆向きのネジ部5aがありハブボルト1に螺合し、捻回のための六角孔5bがある。皿バネ3が無負荷時ではナット2の端面とリング4とには予め設定された間隙Gがある。
【0009】
ナット2を締付けていくと皿バネ3は変形し間隙Gは減少し、ついには零となりリング4は指先では回動不能となる。この時点が規定の締付力となる。締付け後ボルト5を締付ける。(特殊ナット(緩み防止機能付き)の場合にはボルト5を省略することもできる。)
【発明の効果】
【0010】
本発明は以上のように構成されているので、下記のような効果が得られる。
【0011】
ホイール締結ボルトの締付力を規定することができると共にホイールになじみ(へたり)が発生しても実用的な締付力を維持することができる。
【0012】
弾性体である皿バネを介した締結なのでボルト締結での内外力比が小さくなるのでボルトへの疲労荷重が減少する。その結果、疲労寿命が伸びる。
【0013】
リング4を指先で回動できるかどうかで規定締付力の維持状態が判るので安全管理が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【0015】
【図1】 実施例の断面図
【符号の説明】
1ハブボルト 2ナット 3皿バネ 4リング
5ボルト 6ハブ 7インナーホイール 8アウターホイール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハブボルトにインナーホイール及びアウターホイールを締結するナットを螺合するダブルホイール取付け構造であって、ナット(2)の大径部(2b)にリング(4)を嵌合させ、小径部(2a)には弾性体(皿バネ(3))を嵌合させ、弾性体(皿バネ(3))の一端をアウターホイール(8)に、他端を小径部の端面にそれぞれ当接させ、弾性体(皿バネ(3))が無負荷時にはリング(4)とナット(2)とに予め設定された間隙Gを設け、ナット(2)を締付けたとき規定荷重により弾性体(皿バネ(3))が変形しリング(4)とナット(2)が当接するように構成されていることを特徴とするダブルホイール締結構造。

【図1】
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