ダンプカーのリアバンパー
【課題】アスファルトフィニッシャのホッパーとの干渉を回避することができ、かつ製造コストを低廉化することができるダンプカーのリアバンパーを提供する。
【解決手段】ダンプカー100の車体フレーム102の後端に設けたステー1と、車幅方向に延在する姿勢でステー1に取り付けられたバンパー部材2とを備えたダンプカーのリアバンパーにおいて、バンパー部材2が、ステー1に対して取り付けられた中央の本体部21と、ばねヒンジ30によって本体部21の車幅方向両側に縦軸である軸部31周りに回動可能に連結された折り畳み部22とを備えている。
【解決手段】ダンプカー100の車体フレーム102の後端に設けたステー1と、車幅方向に延在する姿勢でステー1に取り付けられたバンパー部材2とを備えたダンプカーのリアバンパーにおいて、バンパー部材2が、ステー1に対して取り付けられた中央の本体部21と、ばねヒンジ30によって本体部21の車幅方向両側に縦軸である軸部31周りに回動可能に連結された折り畳み部22とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はダンプカーのリアバンパーに関する。
【背景技術】
【0002】
道路や駐車場等のアスファルト舗装工事において、しばしばアスファルトフィニッシャと呼ばれる装置が用いられる。このアスファルトフィニッシャは、一般にダンプカーとともにシステムを構成し、ダンプカーを後ろから押して前進しダンプカーの荷台からアスファルトの補給を受けながらアスファルト舗装工事を進捗させる。
【0003】
例えばダンプカーからのアスファルトを受け入れるためのアスファルトフィニッシャのホッパー底面が万一道路法規下の車両のリアバンパーの最低地上高よりも低いことがあると、ダンプカーの後端の下部スペースにホッパーを差し込むときダンプカーのリアバンパーがホッパーに干渉してしまう。そこで、ダンプカーの車体フレームにリアバンパーのステーの基部を回動可能に取り付け、シリンダによってステーごとリアバンパーを前方に跳ね上げることでアスファルトフィニッシャのホッパーとダンプカーのリアバンパーの干渉を回避しようとするものがある(特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3315514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ダンプカー側では製造時にアスファルトフィニッシャとのドッキングを想定しておらず、また車種によってリアバンパーの大きさに差があるため、アスファルトフィニッシャと組み合わせる場合には、ダンプカーのリアバンパーの高さよりもむしろ、リアバンパーの車幅方向の長さがアスファルトフィニッシャのホッパーとの干渉の要因となり易い。すなわち、リアバンパーがアスファルトフィニッシャのホッパーの左右の側壁の間隔よりも車幅方向に長い場合、リアバンパーの左右両側がホッパーに干渉してしまう。また、リアバンパーがアスファルトフィニッシャのホッパーの左右の側壁の間隔より短くても、ホッパーの断面が概略U字状でホッパーの底面と側壁との間にテーパ部がある場合には、そのテーパ部分にリアバンパーの両端部が干渉し得る。
【0006】
また、ステーごとリアバンパーを前方に跳ね上げる構成の場合、ステーの基部を支点にリアバンパーを前方に回動させて持ち上げるのに大きなモーメント力が必要である。そのため、特に一人の作業者が人力でリアバンパーを跳ね上げる場合には作業負担が大きく、実用上は上記特許文献1に記載された技術のようにシリンダ等の駆動装置が必要となり、バンパーとしては必要以上に高価になってしまう。
【0007】
本発明はこうした問題点に鑑みてなされたものであり、アスファルトフィニッシャのホッパーとの干渉を回避することができ、かつ製造コストを低廉化することができるダンプカーのリアバンパーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、第1の発明は、ダンプカーの車体フレームの後端に設けたステーと、車幅方向に延在する姿勢で前記ステーに取り付けられたバンパー部材とを備えたダンプカーのリアバンパーにおいて、前記バンパー部材が、前記ステーに対して取り付けられた中央の本体部と、この本体部の車幅方向両側に上下に伸びる軸周りに回動可能に連結された折り畳み部とを備えていることを特徴とする。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、前記バンパー部材の本体部が、前記ステーに対して上端部を支点に後方に回動して反転可能なように取り付けられており、前記バンパー部材の折り畳み部が、反転した状態の前記本体部に対して前方に回動可能に連結されていることを特徴とする。
【0010】
第3の発明は、第2の発明において、前記バンパー部材の本体部が、反転した際に上端の回動支点よりも重心が前方に位置するように形成されていることを特徴とする。
【0011】
第4の発明は、第1の発明において、前記バンパー部材の本体部が、前記ステーに対して固定された固定部と、この固定部の車幅方向両側に連結され車幅方向に延びる回転軸周りに回転し反転可能な回転部とを備えており、前記バンパー部材の折り畳み部が、反転した状態の前記回転部に対して前方に回動可能に連結されていることを特徴とする。
【0012】
第5の発明は、第1の発明において、前記バンパー部材の本体部が、前記ステーに対して固定されており、前記バンパー部材の折り畳み部が、前記本体部に対して後方に回動して反転可能なように連結されていることを特徴とする。
【0013】
第6の発明は、第1−第5のいずれかの発明において、車幅方向に延在する姿勢に前記バンパー部材の折り畳み部を付勢する付勢手段を備えていることを特徴とする。
【0014】
第7の発明は、第1−第6のいずれかの発明において、車幅方向に延在する姿勢から前記バンパー部材の本体部に対して回動した姿勢で前記折り畳み部を保持するロック手段を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、アスファルトフィニッシャのホッパーとの干渉を回避することができ、かつ製造コストを低廉化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明のリアバンパーを適用するダンプカーとアスファルトフィニッシャで構成されたアスファルト舗装システムの一構成例を簡略的に表した側面図である。
【図2】本発明のリアバンパーを適用するダンプカーとともにアスファルト舗装システムを構成するアスファルトフィニッシャのホッパーの一構成例を表す斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係るダンプカーのリアバンパーを車両後方側から見た図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係るダンプカーのリアバンパーを上方から見た図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係るダンプカーのリアバンパーを車両の左側から見た図である。
【図6】図4中のVI部の拡大図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係るダンプカーのリアバンパーの要部拡大図であり、バンパー部材の本体部と折り畳み部の連結部の平面図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係るダンプカーのリアバンパーの要部拡大図であり、バンパー部材の本体部と折り畳み部の連結部の平面図である。
【図9】本発明の第4実施形態に係るダンプカーのリアバンパーの要部拡大図であり、車両左側から見た図である。
【図10】本発明の第5実施形態に係るダンプカーのリアバンパーを車両後方側から見た図である。
【図11】本発明の第5実施形態に係るダンプカーのリアバンパーを上方から見た図である。
【図12】本発明の第5実施形態に係るダンプカーのリアバンパーを車両の左側から見た図である。
【図13】本発明の第6実施形態に係るダンプカーのリアバンパーを車両後方側から見た図である。
【図14】本発明の第6実施形態に係るダンプカーのリアバンパーを上方から見た図である。
【図15】本発明の第6実施形態に係るダンプカーのリアバンパーを車両の左側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に図面を用いて本発明の実施形態を説明する。
【0018】
図1は本発明のリアバンパーを備えたダンプカーとアスファルトフィニッシャで構成されたアスファルト舗装システムを簡略的に表した側面図である。
【0019】
図1に示したシステムは、前方からダンプカー100とアスファルトフィニッシャ200をこの順でタンデムに配置して構成されている。
【0020】
ダンプカー100は、運転室101と、運転室101の後方に連接した車体フレーム102と、車体フレーム102の後部に設けたヒンジ(図示せず)を介し車体フレーム102上に傾動可能に設けられた荷台103とを備えている。荷台103の下部には、図示しない油圧シリンダを有するリフト装置104の一端が連結されている。リフト装置104の他端は車体フレーム102に連結されており、油圧シリンダの伸縮に伴って車体フレーム102に対して荷台103が傾動する。
【0021】
アスファルトフィニッシャ200は、アスファルト合材を積み込むホッパー201と、原動機や走行装置を有するトラクタ部202と、アスファルトを敷き均すスクリード203とを備えている。トラクタ部202の前端部分でホッパー201の下方の位置には、先端にプッシャーローラ204を回転自在に軸支したプッシャー205が前方に突出して設けられている。
【0022】
図1に示したアスファルト舗装システムにおいて、舗装作業時にはダンプカー100のドライブシフトポジションはニュートラルにしておく。舗装作業を開始するに当たって、ニュートラルポジションのダンプカー100に対してアスファルトフィニッシャ200を後方から接近させ、プッシャー205をダンプカー100の車体フレーム102の後端のリアバンパー(後述)の下方に潜り込ませてダンプカー100の左右の後輪にプッシャーローラ204を当てる(この作業をドッキングとする)。この状態でアスファルトフィニッシャ200を前進させることでダンプカー100がアスファルトフィニッシャ200に押され、ダンプカー100とアスファルトフィニッシャ200が一体となって前進する。
【0023】
舗装作業中、アスファルトフィニッシャ200は前進しながらホッパー201内のアスファルト合材をホッパー201の底部にあるコンベヤ(不図示)によって後方のスクリード203の手前に送り出し、スクリュー(不図示)によってアスファルト合材を左右に広げてスクリード203によって敷き均す。その際、例えばシステムの前進に伴ってダンプカー100の荷台103を徐々に起立させることで、アスファルトフィニッシャ200のホッパー201にはダンプカー100の荷台103からアスファルト合材が適宜補充される。
【0024】
しかし、ダンプカー100はアスファルトフィニッシャ200とのドッキングを想定して製造されておらず、また車種によって車幅にも差があってリアバンパーの長さも異なる。したがって、アスファルトフィニッシャ200と組み合わせる場合、アスファルトフィニッシャ200のホッパー201の左右の側壁211,212(ホッパー201の前面の斜視図である図2参照)の間隔よりもダンプカー100のリアバンパーが車幅方向に長い場合、リアバンパーの左右両側がホッパー201の側壁211,212に干渉してしまう。ホッパー201の左右の側壁211,212の間隔よりリアバンパーが短くても、ホッパー201の底面213と側壁211,212との間にテーパ部214,215があってホッパー201の断面が概略U字状の場合にはテーパ部214,215にリアバンパーの両端部が干渉し得る。
【0025】
そこで、アスファルトフィニッシャ200のホッパー201との干渉を回避することができ、かつ製造コストが低廉なリアバンパーの実施形態を以下に順次説明する。
【0026】
<第1実施形態>
図3は本発明の第1実施形態に係るダンプカーのリアバンパーを車両後方側から見た図、図4は上方から見た図、図5は車両の左側から見た図である。
【0027】
図3−図5に示したリアバンパーは、ダンプカー100の車体フレーム102の後端に設けたステー1と、車幅方向に延在する姿勢でステー1に取り付けられたバンパー部材2とを備えている。
【0028】
ステー1は、例えば車幅方向に2箇所設けられているが、設置数はこの限りではない。ステー1の車体フレーム102に取り付け側を上半部11、地面に対する側を下半部12とすると、図5に示したように、上半部11に対して下半部12の後面は前方に位置し、ステー1の後面は段差になっている。通常時(公道走行時等)はこの段差によって前方に窪んだ空間にバンパー部材2が収容される。すなわち、通常時は段差下半部12の後面にバンパー部材2のバンパー面(後面)と反対側の面が当たる。
【0029】
バンパー部材2は、法規上定められた高さに配置され、一般にアスファルトフィニッシャ200のホッパー201の底面213よりも高い位置にある。このバンパー部材2は、ステー1に対して取り付けられた車幅方向の中央に位置する本体部21と、この本体部21の車幅方向両側に連結された折り畳み部22とを備えている。
【0030】
バンパー部材2の本体部21は、ヒンジ23を介してステー1に対して取り付けられており、通常時の姿勢(図5に実線で図示)から後方に回動させて持ち上げることで反転した姿勢(図5に二点鎖線で図示)に移行可能である。バンパー部材2の本体部21の回動支点となるヒンジ23の軸部24は、車幅方向に延在した姿勢で本体部21の通常時の上面のバンパー面寄りに位置している。この軸部24を介して連結されたヒンジ23の2枚の羽部25は、軸部24から前方を向いた姿勢で、バンパー部材2の本体部21の上面、及びステー1の上半部11の下面にそれぞれ取り付けられている。これによって、バンパー部材2の本体部21は、バンパー面を後方に向けた通常の姿勢から、上端部を支点に回動し一段高い位置に反転する構成となっている。
【0031】
また、本実施形態の場合、バンパー部材2の通常時の下面にブラケット26を有している。これに対してステー1には、上半部11の上部、下半部12の下部にそれぞれ後方に突出したブラケット27,28が設けられている。すなわち、バンパー部材2の本体部21は、ステー1の下側のブラケット28に例えばピンでブラケット26を固定することで、バンパー面を車両後方側に向けた通常の姿勢でステー1に対して固定される。反対に、ステー1の上側のブラケット27にブラケット26を固定することで、バンパー面を車両前方側に向けた反転姿勢でバンパー部材2の本体部21はステー1に対して固定される。
【0032】
なお、上記のヒンジ23やブラケット26−28等はバンパー部材2の通常時のバンパー面よりも前方に位置し、通常時はバンパー面がリアバンパーの他の部分に対して後方に位置することが好ましい。
【0033】
図6は図4中のVI部の拡大図である。図6では図4と同じ上面視でバンパー面を車両後方側に向けた通常の姿勢を示している。
【0034】
図6に示したように、バンパー部材2の折り畳み部22は、ばねヒンジ30を介し本体部21に対して連結されており、通常時は車幅方向に延在し本体部21とともに真っ直ぐな一本のバンパーを形成する。ばねヒンジ30は、軸部31と、軸部31を介して連結された2枚の羽部32を備えている。ばねヒンジ30の軸部31は上下方向に延在し、バンパー部材2の本体部21と折り畳み部22の境界近傍に位置している。ばねヒンジ30の2枚の羽部32は、バンパー面に沿って本体部21及び折り畳み部22に固定されている。但し、本体部21及び折り畳み部22には羽部32を取り付けるための凹所が設けられており、羽部32が通常の姿勢時のバンパー面から後に出ないように配慮されている。この場合、例えば羽部32はバンパー面に面一か、僅かに前方に退避した程度が好ましい。或いは、折り畳み部22及び本体部21の互いの対向端面に縦に延びるスリットを設けてこのスリットにばねヒンジ30の2枚の羽部32をそれぞれ差し込む構成とすることで、バンパー面を完全にフラットにする(羽部32がバンパー面側から視認されない構成とする)こともできる。また、ばねヒンジ30自体も、バンパー部材2が通常姿勢にあるときに軸部31が前方に凸となる状態、すなわち軸部31をバンパー部材2の内部に収容した状態でバンパー部材2に取り付けられており、軸部31もバンパー面から出ないように配慮されている。したがって、バンパー部材2の本体部21と折り畳み部22の境界部には、ばねヒンジ30の軸部31を収容するための切り欠き部が形成されている。
【0035】
このようにばねヒンジ30をバンパー面側に設けたことで、通常の姿勢ではバンパー部材2の折り畳み部22は水平面に沿って後方に回動可能となっており、本体部21を持ち上げて反転させた際には、前方に回動する格好となる。また、ばねヒンジ30は、両端が2枚の羽部32にそれぞれ拘束されたコイルばね或いはトーションバーを軸部31に収容しており、捻り戻り力によって折り畳み部22を車幅方向に延在する姿勢に常に付勢している。
【0036】
なお、先にばねヒンジ30の軸部31が上下に延在していると記載したが、ここで言う上下とは鉛直に限定されず、鉛直に対して傾斜した場合を含む。傾斜の程度は、水平寄りと鉛直寄りのいずれかに区分する意味で鉛直に対して45°までを上下方向に延びる縦軸と扱うこととする。
【0037】
次に本実施形態のリアバンパーの動作を説明する。
【0038】
前述したようにアスファルトフィニッシャ200をダンプカー100の後にドッキングさせてアスファルト舗装システムを構築する場合、本実施形態では、まずブラケット26,28からピンを外してバンパー部材2の拘束を解き、人手でバンパー部材2を後方回動により反転姿勢に跳ね上げ、外したピンをブラケット26,27に差し込んでバンパー部材2を反転姿勢で拘束する。ドッキング作業に先んじて必要なダンプカー100のリアバンパーの操作は以上である。
【0039】
その後は、ダンプカー100及びアスファルトフィニッシャ200を予定の進行軸に沿って配置し(ダンプカー100とアスファルトフィニッシャ200の進行軸合わせの作業と上記のリアバンパーの操作との前後関係は問わない)、前述したようにドッキング作業を行う。このとき、ダンプカー100のリアバンパーがアスファルトフィニッシャ200のホッパー201の側壁211,212(又はテーパ部214,215)の間隔より長い場合でも、ホッパー201の側壁211,212(又はテーパ部214,215)に押されて反転姿勢のバンパー部材2の左右の折り畳み部22は前方に折れ、リアバンパーの干渉によってドッキングが阻害されることはない。
【0040】
ダンプカー100はこのドッキング作業に前後してニュートラルポジションに切り換えられており、舗装作業開始後は、前述した如くアスファルトフィニッシャ200でダンプカー100を押してアスファルトを敷き均しつつシステムを前進させ、またダンプカー100からアスファルトフィニッシャ200にアスファルト合材を適宜補給しながら舗装作業を進捗させる。
【0041】
本実施形態の作用効果を順次説明する。
【0042】
(1)アスファルトフィニッシャとの干渉防止
前述したように、本実施形態ではリアバンパーの両側の折り畳み部22が略水平方向に折れるので、アスファルトフィニッシャ200のホッパー201との干渉が問題となってドッキング不能となる可能性はバンパー部材2の車幅方向によらず極めて低く、アスファルトフィニッシャ200とのドッキングに際してリアバンパー又はそのバンパー部材2を取り外さなければならないような事態は通常考え難い。よって、アスファルトフィニッシャ200のホッパー201との干渉を回避することができる。また、反転時の回動支点がバンパー部材2の上面にあるため、反転させる際に凡そバンパー部材2の高さ分だけバンパー部材2の位置が上昇するのでホッパー201の底面213との干渉を万全に回避する上でも有利である。
【0043】
(2)製造コストの抑制
仮に、バンパー部材2とステー1を固定関係としてステー1の基部に回動支点を設け、ステー1ごとバンパー部材2を反転させる構成を想定すると、回動支点がバンパー部材2から遠ざかり回動半径が大きくなる分だけ反転作業に大きな力を要する。この場合、特に一人の作業者が人力でリアバンパーを反転させるには作業負荷が大きく、実用上はシリンダやモータ等の駆動装置が必要となり、製造コストが高騰する。
【0044】
それに対し本実施形態では、回動支点となるヒンジ23の軸部24がバンパー部材2の外周面に接しているので回動半径が短く、バンパー部材2を跳ね上げる際の作業負荷が大幅に軽減される。したがって、人力でバンパー部材2を跳ね上げる構成とする上で有利であり、反転作業用の駆動装置類の設置を不要化することができる、もしくは補助的に軽微な駆動装置又は工具を用意すれば十分実用に耐えられるので、製造コストを低廉化することができる。
【0045】
(3)操作性の確保
このようにステー1に対してバンパー部材2を回動可能にしてバンパー部材2の回動半径を短くすることで、バンパー部材2の反転(跳ね上げ)の作業負荷が抑えられ、加えてバンパー部材2を反転させることによりバンパー部材2の折り畳み部22が前方に折れる構成となるので、折り畳み部22がアスファルトフィニッシャ200のホッパー201に干渉する場合でも、事前に折り畳み部22を折っておく必要がない。すなわち、リアバンパーの操作に必要な力が抑えられており、また必要な操作もバンパー部材2の反転作業のみで済むので、良好な操作性を確保することができる。
【0046】
(4)剛性の確保
バンパー部材2の本体部21と折り畳み部22の回動支点(ばねヒンジ30の軸部31)はバンパー面寄りに設けられており、バンパー部材2がバンパーとして機能する通常姿勢時には折り畳み部22が前方に折れない構成となっている。また、ばねヒンジ30によって折り畳み部22は通常姿勢に付勢されているので、通常姿勢時に折り畳み部22が後方に折れることも基本的にない。よって、本体部21と折り畳み部22の連結構造やバンパー部材2の厚み、強度等を適正に設定することで、折り畳み部22が水平方向に折れる構成であってもバンパーとしての剛性を十分に確保し得る。
【0047】
(5)小型ダンプカーへの適用の可能性
例えば4tクラスの小型のダンプカーの場合、車体フレームに対するリアバンパーのステーの基部の取り付け位置から荷台までの空間が大型ダンプのそれに比べて狭隘である。したがって、仮に図3−図5においてステー1とバンパー部材2を固定関係にしてステー1の基部を支点にバンパー部材2を後方に回動させて反転させることを想定した場合、バンパー部材2が荷台103に干渉してしまうためこの構成は成立し難い。また、同じくステー1の基部を支点にバンパー部材2を前方に回動させて車体フレーム102の下部に格納することを想定した場合、リアオーバーハングの短い小型ダンプカーにあってはバンパー部材2の両端部がダンプカーの後輪に干渉し易くこの構成も成立し難い。加えて、これらの構成は前述したようにバンパー部材2を跳ね上げる作業に大きな力を要する。
【0048】
それに対し、本実施形態ではバンパー部材2の反転動作の回動半径が小さい。またバンパー部材2の折り畳み部22の回動支点(ばねヒンジ30の軸部31)はダンプカー100の後輪よりも車幅方向の内側に位置するので、一般に後輪を左右一輪ずつしか持たない小型のダンプカーにあっては、後輪を避けて折り畳み部22の回動軌跡を設定することは容易である。したがって、本実施形態のリアバンパーは大型のダンプカーはもとより小型のダンプカーにも好適に適用することができる。
【0049】
(6)テールランプ保護の可能性
アスファルトフィニッシャ200のホッパー201とダンプカー100のリアバンパーがドッキング時に干渉する場合、本実施形態ではドッキング時にリアバンパーの折り畳み部22は前方に折れ、折り畳み部22の先端はホッパー201よりも前方に逃げる。この場合、例えばリアバンパーの両端部にテールランプを設けることを想定したとき、テールランプはホッパー201よりも前方に退避することとなる。したがって、例えばホッパー201の底面213とリアバンパーの高低差が小さい場合、荷台103からダンプ排出されてホッパー201に堆積したアスファルト合材の山がリアバンパーに接触することも考えられるが、テールランプはホッパー201の前方に退避しているのでアスファルト合材との接触圧力によるテールランプの損傷を回避することができる。また、バンパー部材2を反転させてから折り畳み部22を前方に回動させる構成であるため、ドッキング時にホッパー201が押すのはテールランプの設置する側とは反対側であるため、ドッキング時にテールランプを損傷させることもない。
【0050】
一方、アスファルトフィニッシャ200のホッパー201とダンプカー100のリアバンパーがドッキング時に干渉しない場合、リアバンパーの折り畳み部22は車幅方向に延在した姿勢を維持する。この場合、折り畳み部22もホッパー201の前端部近辺にあり、場合によってはアスファルト合材が折り畳み部22に接触することもあり得るが、バンパー部材2は反転しテールランプは前方を向いているのでこの場合でもアスファルト合材との接触圧力によってテールランプが損傷することはない。
【0051】
加えて、こうしたダンプ排出した積載物の山とテールランプとの接触によるテールランプの損傷は、アスファルトフィニッシャ200とのドッキング時に限らず通常のダンプ作業時にも生じ得る。通常のダンプ作業時においても、本実施形態の場合、折り畳み部22にテールランプを設ければバンパー部材2を反転させることでテールランプを前方に向けることができるので、テールランプの損傷を抑制することができる。
【0052】
このように、本実施形態のリアバンパーにテールランプを設けた場合、荷台からの排出物からテールランプを保護することができる。
【0053】
<第2実施形態>
第1実施形態ではバンパー部材2の本体部21に対して折り畳み部22を拘束する手段を設けていないが、必要な場合には、本体部21とともに車幅方向に延在した姿勢、又は前方に折れた姿勢の少なくともいずれかで本体部21に対して折り畳み部22を拘束する手段を設けることもできる。
【0054】
図7は本発明の第2実施形態に係るダンプカーのリアバンパーの要部拡大図であり、バンパー部材の本体部と折り畳み部の連結部の平面図である。この図において第1実施形態と同様の部分には既出図面と同符号を付して説明を省略する。
【0055】
図7に示した構成例は、バンパー部材2の本体部21に対し、車幅方向に延在する姿勢から回動した姿勢で折り畳み部22を保持するロック手段を備えた実施形態である。すなわち、図中に二点鎖線で示したロックバー35がそのロック手段である。このロックバー35は両端に2つのピン(図示せず)を有している。この場合、例えば折り畳み部22が本体部21に対して直角に折れたときにロックバー35の2本のピンが挿入可能となるように、折り畳み部22及び本体部21の、例えば反転時に上を向く通常時の下面にピン穴36,37をそれぞれ設けておけば、これらピン穴36,37にロックバー35のピンを挿入することで、本体部21に対して折れた姿勢で折り畳み部22を拘束することができる。この場合、アスファルトフィニッシャ200とのドッキング作業との前後関係は特に限定されないが、例えばドッキング作業に先んじてロックバー35で折り畳み部22を固定しておく。その他の構成、動作は第1実施形態と同様である。
【0056】
本実施形態においても、上記効果(1)、(2)及び(4)−(6)については第1実施形態と同様に得ることができる。また上記効果(3)についても、折り畳み部22を折ってロックバー35の取り付ける作業が加わるのみであり、本実施形態でも操作は十分に簡便である。加えて、本実施形態ではロックバー35で折り畳み部22を折れた姿勢で拘束するので、アスファルトフィニッシャ200とダンプカー100を離す場合、ばねヒンジ30によって付勢された折り畳み部22の先端部がホッパー201の内壁面に摺動することを回避することができる。
【0057】
なお、折り畳み部22のロック手段としてロックバー35を例に挙げて説明したが、ロック手段の構成はこれに限定されず、例えば折り畳み部22が折れた場合に重なり合うブラケットを本体部21と折り畳み部22に設けておき、これらブラケットをピンで留める構成も考えられる。また、ロックバー35のような高剛性の手段でなくロープやチェーン等で代替することも可能である。
【0058】
更には、本例では折れた姿勢で折り畳み部22を拘束する場合を例示したが、同様の思想を適用することで車幅方向に延びた姿勢で折り畳み部22を本体部21に固定する手段を設けることもできる。この場合、図7に例示したロックバー35を適用するなら、例えば通常姿勢で上を向くバンパー部材2の本体部21及び折り畳み部22の各上面に、折り畳み部22が車幅方向に延びた姿勢のときにロックバー35が挿入可能となるようにピン穴36,37を設ける構成とすることができる。車幅方向に延びた姿勢で折り畳み部22を拘束する構成の場合、バンパーとしての剛性の向上が期待でき、またこの場合には折り畳み部22を車幅方向に延びる姿勢に付勢する付勢手段は省略可能であり、ばねヒンジ30は単なるヒンジで代替できる。
【0059】
<第3実施形態>
第1実施形態ではバンパー部材2の折り畳み部22を車幅方向に延びる姿勢に付勢する付勢手段として、捻り戻り力を有する弾性体を折り畳み部22の回動軸に沿って設けた(すなわちばねヒンジ30の軸部31内のコイルばね又はトーションバー)が、折り畳み部22の付勢手段はこれに限定されない。例えば扉を閉方向に付勢するような各種の公知の機構が適用可能である。一例を本実施形態で説明する。
【0060】
図8は本発明の第3実施形態に係るダンプカーのリアバンパーの要部拡大図であり、バンパー部材の本体部と折り畳み部の連結部の平面図である。この図において第1実施形態と同様の部分には既出図面と同符号を付して説明を省略する。
【0061】
図8に示した構成例は、弾性体の一種、例えばコイルばね40の圧縮方向への復元力を利用して折り畳み部22を車幅方向に延在する姿勢に付勢する実施形態である。コイルばね40の両端は、折り畳み部22及び本体部21の上面及び下面の少なくともいずれかにそれぞれ設けたピン41,42に連結されている。ピン41,42は、バンパー面と反対寄り(ヒンジ43と反対側)に配置されており、折り畳み部22が車幅方向に延在する姿勢にあるとき、ヒンジ43の軸部に対してバンパー面と反対側にコイルばね40がある。折り畳み部22が車幅方向に延在する姿勢のときにおいても、コイルばね40はピン41,42を互いに近付ける方向に付勢しており、これが折り畳み部22を車幅方向に延在する姿勢に付勢する力となる。また、バンパー部材2の折り畳み部22が本体部21に対して直角に折れたとき、伸長したコイルばね40がヒンジ43の軸部を超える(つまり上下方向から見てコイルばね40がバンパー面から出ない程度にピン41,42の配置に配慮する。
【0062】
ドッキング時にアスファルトフィニッシャ200のホッパー201で折り畳み部22を押す場合、基本的に折り畳み部22が本体部21に対して直角を超えて折れることはないので、上記のようにピン41,42の配置に配慮することでコイルばね40の復元力が折り畳み部22を本体部21に対して180度折り返す方向への付勢力に転向することはない。したがって、アスファルトフィニッシャ200とのドッキングを解いた際にはコイルばね40の復元力で折り畳み部22が車幅方向に延びる姿勢に復帰する。
【0063】
また、本実施形態では付勢手段にコイルばね40を用いているので、ヒンジ43はばねヒンジではなく通常のヒンジで足りる。ばねヒンジを用いても構わない。
【0064】
その他の構成は第1実施形態と同様であり、動作も第1実施形態と同様である。本実施形態においても第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0065】
<第4実施形態>
第1実施形態ではブラケット26−28及びピン、すなわち拘束用の物理的支持部材を用いてバンパー部材2をステー1に対し通常姿勢又は反転姿勢で機械的に保持する構成を例に挙げて説明したが、バンパー部材2を通常姿勢又は反転姿勢で保持する上ではこの構成に限定されない。本例では重力を利用してバンパー部材2の姿勢を保持する構成を例示する。
【0066】
図9は本発明の第4実施形態に係るダンプカーのリアバンパーの要部拡大図であり、車両左側から見た図である。この図において第1実施形態と同様の部分には既出図面と同符号を付して説明を省略する。
【0067】
図9に示したリアバンパーにおいて、バンパー部材2Aは通常姿勢のときの上面にブラケット51を有している。一方、ステー1Aは後方に突出したブラケット52を有している。すなわち、ブラケット51,52を車幅方向に延びるピン53で連結することでバンパー部材2Aがステー1Aに対して回動可能に連結されている。またステー1Aの後面には、通常姿勢のバンパー部材2A(図中に実線で図示)のバンパー面と反対の面を受ける座54がブラケット52の下側に、反転姿勢のバンパー部材2A(図中に二点鎖線で図示)のバンパー面を受ける座55がブラケット52の上側に、それぞれ設けられている。このとき、車幅方向から見た場合、反転姿勢のとき、バンパー部材2Aは、ブラケット51,52を連結するピン53(すなわち自らの回動支点)よりも重心Oが前方(座55側)に位置するように形成されている。したがって、反転姿勢とほぼ点対称の通常姿勢のとき、バンパー部材2Aはピン53よりも重心Oが後方(座54と反対側)に位置する。参考にピン53を通る鉛直線Aを図9に示す。
【0068】
すなわち、通常姿勢のとき、バンパー部材2Aは、鉛直線Aよりも重心Oが後方にあるため重力の分力によって前方に付勢され、この付勢力によって座54に着座した状態となる。逆に反転姿勢のとき、バンパー部材2Aは、鉛直線Aよりも重心Oが前方にあるため重力の分力によって前方に付勢され、この付勢力によって座55に立て掛けられて反転姿勢を維持する。特に本実施形態では、バンパー部材2Aの反転姿勢をより安定に保持するため、鉛直線Aに対して僅かな角度αだけ前方に傾斜した状態で座55にバンパー部材2Aが着座するように構成してある。
【0069】
その他の構成は第1実施形態と同様であり、本実施形態でも第1実施形態と同様の効果を得ることができる。加えて、通常姿勢、反転姿勢にバンパー部材2Aを移行させる際にピンの付け替え作業が不要になるので、リアバンパーの操作はより簡便である。
【0070】
なお、第1及び第3実施形態ではバンパー部材2の折り畳み部22を車幅方向に延びる姿勢に付勢する付勢手段として弾性体の復元力を利用した場合を例に挙げて説明したが、本実施形態の技術思想を応用し、例えば折り畳み部22の本体部21に対する回動軸を鉛直上方に向かって後方に僅かに傾けることで折り畳み部22を自らの重量を利用して車幅方向に延在する姿勢に付勢する構成とすることができる。この場合、不要であれば弾性体を用いた付勢手段を省略しても良い。
【0071】
<第5実施形態>
これまで第1−第4実施形態では、バンパー部材2,2Aの折り畳み部22の本体部21に対する回動支点をバンパー面寄りに設け、通常時に折り畳み部22が前方に折れない構成としながらも、アスファルトフィニッシャ200とのドッキングの際には折り畳み部22が前方に折れるようにするため、バンパー部材2,2Aの全体を跳ね上げて反転させる構成を採った。それに対し、本実施形態では、バンパー部材を部分的に反転させる構成を例示する。
【0072】
図10は本発明の第5実施形態に係るダンプカーのリアバンパーを車両後方側から見た図、図11は上方から見た図、図12は車両の左側から見た図である。これらの図において第1実施形態と同様の部分には既出図面と同符号を付して説明を省略する。
【0073】
本実施形態でも、バンパー部材2Bは本体部21Bと折り畳み部22Bを有している。折り畳み部22Bは、前述した実施形態の折り畳み部22と同様の構成であり、本体部21Bとの連結構造についても前の各実施形態と同様である。
【0074】
一方、本体部21Bは、ステー1Bに対して固定された固定部21Baと、この固定部21Baの車幅方向両側に連結された回転部21Bbとを備えている。固定部21Baは、前の各実施形態と異なりステー1Bの後面に固定的に取り付けられている。対して回転部21Bbは、車幅方向に延びる回転軸60を介して固定部21Baに連結されており、固定部21Baに対して回転軸60周りに回転し反転可能である。回転軸60は車幅方向から見てバンパー部材2Bの重心もしくはその近傍に重なっており、回転部21Bbは回転軸60を軸に自転する格好である。
【0075】
本例では特に図示していないが、バンパー面を後方に向けた(固定部21Baとバンパー面を面一にした)通常姿勢、またバンパー面を前方に向けた反転姿勢で、それぞれ回転部21Bbを固定部21Baに固定する固定手段を設けておくことが好ましい。この固定手段としては、例えばバンパー部材2Bの上下の面に固定部21Ba及び回転部21Bbの境界を挟んでブラケットを設け、通常姿勢又は反転姿勢に移行した際にこれら対向するブラケットにピンを差し込んで回転部21Bbを拘束する構成が考えられる。
【0076】
その他の構成は第1実施形態と同様であり、アスファルトフィニッシャ200とのドッキングの際には回転部21Bbを反転させることで折り畳み部22Bも一体となって反転するので、図11に二点鎖線で図示したように折り畳み部22Bが前方に折れる格好となる。
【0077】
本実施形態でも、第1実施形態とほぼ同様の効果が得られる。加えて本実施形態の場合、回転部21Bb及び折り畳み部22Bがその場で回転するので、これらを反転させるのに持ち上げる必要がなく、作業負担はより軽減される。
【0078】
なお、本実施形態では左右の回転部21Bbの各回転軸60が互いに独立した構成を図11に図示した。この場合、回転部21Bb及び折り畳み部22Bを反転させる際、固定部21Baに対して左右の回転部21Bbを個別に回転操作することとなる。それに対し、固定部21Baを左右に貫通した1本の回転軸の両端に左右の回転部21Bbを連結する構成が考えられる。この場合、一方の回転部21Bb又は折り畳み部22Bを回転操作すれば、他方の回転部21Bb及び折り畳み部22Bも一体に回転するので、操作手順がさらに簡略化される。
【0079】
<第6実施形態>
これまで第1−第5実施形態では、アスファルトフィニッシャ200とのドッキングの際にバンパー部材2,2A,2Bの少なくとも折り畳み部22,22Bを反転させ、本体部21,21Bに対して折り畳み部22,22Bを前方に折る構成を採った。それに対し、本実施形態では、折り畳み部を縦軸周りに後方に折る構成を例示する。
【0080】
図13は本発明の第6実施形態に係るダンプカーのリアバンパーを車両後方側から見た図、図14は上方から見た図、図15は車両の左側から見た図である。これらの図において第1実施形態と同様の部分には既出図面と同符号を付して説明を省略する。
【0081】
本実施形態でも、バンパー部材2Cは本体部21Cと折り畳み部22Cを有している。本体部21C、折り畳み部22Cは、構成、連結構造とも第1実施形態の本体部21、折り畳み部22とほぼ同様であるが、本実施形態の場合はバンパー部材2Cの本体部21Cがステー1Cに対して固定的に取り付けられていて、前の各実施形態のようにバンパー部材2Cの全体又は一部が横軸周りに反転することはない。したがって、バンパー部材2Cの折り畳み部22Cは本体部21Cに対して後方に回動し、図14に二点鎖線で表したように反転して本体部21Cとバンパー面をほぼ平行に対向させられる構成となっている。
【0082】
本例では特に図示していないが、バンパー面を後方に向けた通常姿勢、及びバンパー面を前方に向けた反転姿勢のうち、少なくとも反転姿勢で折り畳み部22Cを本体部21Cに固定する固定手段を設けておくことが好ましい。この固定手段は適宜構成することができるが、例えば先に図7で説明したロックバー35やその代替手段が応用できる。
【0083】
その他の構成は第1実施形態と同様であり、アスファルトフィニッシャ200とのドッキングの際には折り畳み部22Cを縦軸周りに後方に回動させて反転させることでホッパー201との干渉を避けることができ、本実施形態でも第1実施形態とほぼ同様の効果が得られる。折り畳み部22Cのバンパー面を前方に向けることができるので、これにテールランプを設ければダンプ排出した積載物との干渉によるテールランプの損傷を抑制する手段にもなり得る。加えて、本実施形態では横軸周りにバンパー部材2Cを回転させる操作がないため、操作がより簡略で構成もよりシンプルであり、バンパー部材2Cを跳ね上げる必要もない。
【0084】
以上の各実施形態の構成及び個々に説明した技術思想は任意に組み合わせ可能である。
【符号の説明】
【0085】
1,1B,C ステー
2,2B,C バンパー部材
21,21B,C 本体部
21Ba 固定部
21Bb 回転部
22,22B,C 折り畳み部
23 ヒンジ
24 軸部
30 ばねヒンジ
31 軸部
35 ロックバー
100 ダンプカー
102 車体フレーム
200 アスファルトフィニッシャ
201 ホッパー
O 重心
【技術分野】
【0001】
本発明はダンプカーのリアバンパーに関する。
【背景技術】
【0002】
道路や駐車場等のアスファルト舗装工事において、しばしばアスファルトフィニッシャと呼ばれる装置が用いられる。このアスファルトフィニッシャは、一般にダンプカーとともにシステムを構成し、ダンプカーを後ろから押して前進しダンプカーの荷台からアスファルトの補給を受けながらアスファルト舗装工事を進捗させる。
【0003】
例えばダンプカーからのアスファルトを受け入れるためのアスファルトフィニッシャのホッパー底面が万一道路法規下の車両のリアバンパーの最低地上高よりも低いことがあると、ダンプカーの後端の下部スペースにホッパーを差し込むときダンプカーのリアバンパーがホッパーに干渉してしまう。そこで、ダンプカーの車体フレームにリアバンパーのステーの基部を回動可能に取り付け、シリンダによってステーごとリアバンパーを前方に跳ね上げることでアスファルトフィニッシャのホッパーとダンプカーのリアバンパーの干渉を回避しようとするものがある(特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3315514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ダンプカー側では製造時にアスファルトフィニッシャとのドッキングを想定しておらず、また車種によってリアバンパーの大きさに差があるため、アスファルトフィニッシャと組み合わせる場合には、ダンプカーのリアバンパーの高さよりもむしろ、リアバンパーの車幅方向の長さがアスファルトフィニッシャのホッパーとの干渉の要因となり易い。すなわち、リアバンパーがアスファルトフィニッシャのホッパーの左右の側壁の間隔よりも車幅方向に長い場合、リアバンパーの左右両側がホッパーに干渉してしまう。また、リアバンパーがアスファルトフィニッシャのホッパーの左右の側壁の間隔より短くても、ホッパーの断面が概略U字状でホッパーの底面と側壁との間にテーパ部がある場合には、そのテーパ部分にリアバンパーの両端部が干渉し得る。
【0006】
また、ステーごとリアバンパーを前方に跳ね上げる構成の場合、ステーの基部を支点にリアバンパーを前方に回動させて持ち上げるのに大きなモーメント力が必要である。そのため、特に一人の作業者が人力でリアバンパーを跳ね上げる場合には作業負担が大きく、実用上は上記特許文献1に記載された技術のようにシリンダ等の駆動装置が必要となり、バンパーとしては必要以上に高価になってしまう。
【0007】
本発明はこうした問題点に鑑みてなされたものであり、アスファルトフィニッシャのホッパーとの干渉を回避することができ、かつ製造コストを低廉化することができるダンプカーのリアバンパーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、第1の発明は、ダンプカーの車体フレームの後端に設けたステーと、車幅方向に延在する姿勢で前記ステーに取り付けられたバンパー部材とを備えたダンプカーのリアバンパーにおいて、前記バンパー部材が、前記ステーに対して取り付けられた中央の本体部と、この本体部の車幅方向両側に上下に伸びる軸周りに回動可能に連結された折り畳み部とを備えていることを特徴とする。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、前記バンパー部材の本体部が、前記ステーに対して上端部を支点に後方に回動して反転可能なように取り付けられており、前記バンパー部材の折り畳み部が、反転した状態の前記本体部に対して前方に回動可能に連結されていることを特徴とする。
【0010】
第3の発明は、第2の発明において、前記バンパー部材の本体部が、反転した際に上端の回動支点よりも重心が前方に位置するように形成されていることを特徴とする。
【0011】
第4の発明は、第1の発明において、前記バンパー部材の本体部が、前記ステーに対して固定された固定部と、この固定部の車幅方向両側に連結され車幅方向に延びる回転軸周りに回転し反転可能な回転部とを備えており、前記バンパー部材の折り畳み部が、反転した状態の前記回転部に対して前方に回動可能に連結されていることを特徴とする。
【0012】
第5の発明は、第1の発明において、前記バンパー部材の本体部が、前記ステーに対して固定されており、前記バンパー部材の折り畳み部が、前記本体部に対して後方に回動して反転可能なように連結されていることを特徴とする。
【0013】
第6の発明は、第1−第5のいずれかの発明において、車幅方向に延在する姿勢に前記バンパー部材の折り畳み部を付勢する付勢手段を備えていることを特徴とする。
【0014】
第7の発明は、第1−第6のいずれかの発明において、車幅方向に延在する姿勢から前記バンパー部材の本体部に対して回動した姿勢で前記折り畳み部を保持するロック手段を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、アスファルトフィニッシャのホッパーとの干渉を回避することができ、かつ製造コストを低廉化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明のリアバンパーを適用するダンプカーとアスファルトフィニッシャで構成されたアスファルト舗装システムの一構成例を簡略的に表した側面図である。
【図2】本発明のリアバンパーを適用するダンプカーとともにアスファルト舗装システムを構成するアスファルトフィニッシャのホッパーの一構成例を表す斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係るダンプカーのリアバンパーを車両後方側から見た図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係るダンプカーのリアバンパーを上方から見た図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係るダンプカーのリアバンパーを車両の左側から見た図である。
【図6】図4中のVI部の拡大図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係るダンプカーのリアバンパーの要部拡大図であり、バンパー部材の本体部と折り畳み部の連結部の平面図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係るダンプカーのリアバンパーの要部拡大図であり、バンパー部材の本体部と折り畳み部の連結部の平面図である。
【図9】本発明の第4実施形態に係るダンプカーのリアバンパーの要部拡大図であり、車両左側から見た図である。
【図10】本発明の第5実施形態に係るダンプカーのリアバンパーを車両後方側から見た図である。
【図11】本発明の第5実施形態に係るダンプカーのリアバンパーを上方から見た図である。
【図12】本発明の第5実施形態に係るダンプカーのリアバンパーを車両の左側から見た図である。
【図13】本発明の第6実施形態に係るダンプカーのリアバンパーを車両後方側から見た図である。
【図14】本発明の第6実施形態に係るダンプカーのリアバンパーを上方から見た図である。
【図15】本発明の第6実施形態に係るダンプカーのリアバンパーを車両の左側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に図面を用いて本発明の実施形態を説明する。
【0018】
図1は本発明のリアバンパーを備えたダンプカーとアスファルトフィニッシャで構成されたアスファルト舗装システムを簡略的に表した側面図である。
【0019】
図1に示したシステムは、前方からダンプカー100とアスファルトフィニッシャ200をこの順でタンデムに配置して構成されている。
【0020】
ダンプカー100は、運転室101と、運転室101の後方に連接した車体フレーム102と、車体フレーム102の後部に設けたヒンジ(図示せず)を介し車体フレーム102上に傾動可能に設けられた荷台103とを備えている。荷台103の下部には、図示しない油圧シリンダを有するリフト装置104の一端が連結されている。リフト装置104の他端は車体フレーム102に連結されており、油圧シリンダの伸縮に伴って車体フレーム102に対して荷台103が傾動する。
【0021】
アスファルトフィニッシャ200は、アスファルト合材を積み込むホッパー201と、原動機や走行装置を有するトラクタ部202と、アスファルトを敷き均すスクリード203とを備えている。トラクタ部202の前端部分でホッパー201の下方の位置には、先端にプッシャーローラ204を回転自在に軸支したプッシャー205が前方に突出して設けられている。
【0022】
図1に示したアスファルト舗装システムにおいて、舗装作業時にはダンプカー100のドライブシフトポジションはニュートラルにしておく。舗装作業を開始するに当たって、ニュートラルポジションのダンプカー100に対してアスファルトフィニッシャ200を後方から接近させ、プッシャー205をダンプカー100の車体フレーム102の後端のリアバンパー(後述)の下方に潜り込ませてダンプカー100の左右の後輪にプッシャーローラ204を当てる(この作業をドッキングとする)。この状態でアスファルトフィニッシャ200を前進させることでダンプカー100がアスファルトフィニッシャ200に押され、ダンプカー100とアスファルトフィニッシャ200が一体となって前進する。
【0023】
舗装作業中、アスファルトフィニッシャ200は前進しながらホッパー201内のアスファルト合材をホッパー201の底部にあるコンベヤ(不図示)によって後方のスクリード203の手前に送り出し、スクリュー(不図示)によってアスファルト合材を左右に広げてスクリード203によって敷き均す。その際、例えばシステムの前進に伴ってダンプカー100の荷台103を徐々に起立させることで、アスファルトフィニッシャ200のホッパー201にはダンプカー100の荷台103からアスファルト合材が適宜補充される。
【0024】
しかし、ダンプカー100はアスファルトフィニッシャ200とのドッキングを想定して製造されておらず、また車種によって車幅にも差があってリアバンパーの長さも異なる。したがって、アスファルトフィニッシャ200と組み合わせる場合、アスファルトフィニッシャ200のホッパー201の左右の側壁211,212(ホッパー201の前面の斜視図である図2参照)の間隔よりもダンプカー100のリアバンパーが車幅方向に長い場合、リアバンパーの左右両側がホッパー201の側壁211,212に干渉してしまう。ホッパー201の左右の側壁211,212の間隔よりリアバンパーが短くても、ホッパー201の底面213と側壁211,212との間にテーパ部214,215があってホッパー201の断面が概略U字状の場合にはテーパ部214,215にリアバンパーの両端部が干渉し得る。
【0025】
そこで、アスファルトフィニッシャ200のホッパー201との干渉を回避することができ、かつ製造コストが低廉なリアバンパーの実施形態を以下に順次説明する。
【0026】
<第1実施形態>
図3は本発明の第1実施形態に係るダンプカーのリアバンパーを車両後方側から見た図、図4は上方から見た図、図5は車両の左側から見た図である。
【0027】
図3−図5に示したリアバンパーは、ダンプカー100の車体フレーム102の後端に設けたステー1と、車幅方向に延在する姿勢でステー1に取り付けられたバンパー部材2とを備えている。
【0028】
ステー1は、例えば車幅方向に2箇所設けられているが、設置数はこの限りではない。ステー1の車体フレーム102に取り付け側を上半部11、地面に対する側を下半部12とすると、図5に示したように、上半部11に対して下半部12の後面は前方に位置し、ステー1の後面は段差になっている。通常時(公道走行時等)はこの段差によって前方に窪んだ空間にバンパー部材2が収容される。すなわち、通常時は段差下半部12の後面にバンパー部材2のバンパー面(後面)と反対側の面が当たる。
【0029】
バンパー部材2は、法規上定められた高さに配置され、一般にアスファルトフィニッシャ200のホッパー201の底面213よりも高い位置にある。このバンパー部材2は、ステー1に対して取り付けられた車幅方向の中央に位置する本体部21と、この本体部21の車幅方向両側に連結された折り畳み部22とを備えている。
【0030】
バンパー部材2の本体部21は、ヒンジ23を介してステー1に対して取り付けられており、通常時の姿勢(図5に実線で図示)から後方に回動させて持ち上げることで反転した姿勢(図5に二点鎖線で図示)に移行可能である。バンパー部材2の本体部21の回動支点となるヒンジ23の軸部24は、車幅方向に延在した姿勢で本体部21の通常時の上面のバンパー面寄りに位置している。この軸部24を介して連結されたヒンジ23の2枚の羽部25は、軸部24から前方を向いた姿勢で、バンパー部材2の本体部21の上面、及びステー1の上半部11の下面にそれぞれ取り付けられている。これによって、バンパー部材2の本体部21は、バンパー面を後方に向けた通常の姿勢から、上端部を支点に回動し一段高い位置に反転する構成となっている。
【0031】
また、本実施形態の場合、バンパー部材2の通常時の下面にブラケット26を有している。これに対してステー1には、上半部11の上部、下半部12の下部にそれぞれ後方に突出したブラケット27,28が設けられている。すなわち、バンパー部材2の本体部21は、ステー1の下側のブラケット28に例えばピンでブラケット26を固定することで、バンパー面を車両後方側に向けた通常の姿勢でステー1に対して固定される。反対に、ステー1の上側のブラケット27にブラケット26を固定することで、バンパー面を車両前方側に向けた反転姿勢でバンパー部材2の本体部21はステー1に対して固定される。
【0032】
なお、上記のヒンジ23やブラケット26−28等はバンパー部材2の通常時のバンパー面よりも前方に位置し、通常時はバンパー面がリアバンパーの他の部分に対して後方に位置することが好ましい。
【0033】
図6は図4中のVI部の拡大図である。図6では図4と同じ上面視でバンパー面を車両後方側に向けた通常の姿勢を示している。
【0034】
図6に示したように、バンパー部材2の折り畳み部22は、ばねヒンジ30を介し本体部21に対して連結されており、通常時は車幅方向に延在し本体部21とともに真っ直ぐな一本のバンパーを形成する。ばねヒンジ30は、軸部31と、軸部31を介して連結された2枚の羽部32を備えている。ばねヒンジ30の軸部31は上下方向に延在し、バンパー部材2の本体部21と折り畳み部22の境界近傍に位置している。ばねヒンジ30の2枚の羽部32は、バンパー面に沿って本体部21及び折り畳み部22に固定されている。但し、本体部21及び折り畳み部22には羽部32を取り付けるための凹所が設けられており、羽部32が通常の姿勢時のバンパー面から後に出ないように配慮されている。この場合、例えば羽部32はバンパー面に面一か、僅かに前方に退避した程度が好ましい。或いは、折り畳み部22及び本体部21の互いの対向端面に縦に延びるスリットを設けてこのスリットにばねヒンジ30の2枚の羽部32をそれぞれ差し込む構成とすることで、バンパー面を完全にフラットにする(羽部32がバンパー面側から視認されない構成とする)こともできる。また、ばねヒンジ30自体も、バンパー部材2が通常姿勢にあるときに軸部31が前方に凸となる状態、すなわち軸部31をバンパー部材2の内部に収容した状態でバンパー部材2に取り付けられており、軸部31もバンパー面から出ないように配慮されている。したがって、バンパー部材2の本体部21と折り畳み部22の境界部には、ばねヒンジ30の軸部31を収容するための切り欠き部が形成されている。
【0035】
このようにばねヒンジ30をバンパー面側に設けたことで、通常の姿勢ではバンパー部材2の折り畳み部22は水平面に沿って後方に回動可能となっており、本体部21を持ち上げて反転させた際には、前方に回動する格好となる。また、ばねヒンジ30は、両端が2枚の羽部32にそれぞれ拘束されたコイルばね或いはトーションバーを軸部31に収容しており、捻り戻り力によって折り畳み部22を車幅方向に延在する姿勢に常に付勢している。
【0036】
なお、先にばねヒンジ30の軸部31が上下に延在していると記載したが、ここで言う上下とは鉛直に限定されず、鉛直に対して傾斜した場合を含む。傾斜の程度は、水平寄りと鉛直寄りのいずれかに区分する意味で鉛直に対して45°までを上下方向に延びる縦軸と扱うこととする。
【0037】
次に本実施形態のリアバンパーの動作を説明する。
【0038】
前述したようにアスファルトフィニッシャ200をダンプカー100の後にドッキングさせてアスファルト舗装システムを構築する場合、本実施形態では、まずブラケット26,28からピンを外してバンパー部材2の拘束を解き、人手でバンパー部材2を後方回動により反転姿勢に跳ね上げ、外したピンをブラケット26,27に差し込んでバンパー部材2を反転姿勢で拘束する。ドッキング作業に先んじて必要なダンプカー100のリアバンパーの操作は以上である。
【0039】
その後は、ダンプカー100及びアスファルトフィニッシャ200を予定の進行軸に沿って配置し(ダンプカー100とアスファルトフィニッシャ200の進行軸合わせの作業と上記のリアバンパーの操作との前後関係は問わない)、前述したようにドッキング作業を行う。このとき、ダンプカー100のリアバンパーがアスファルトフィニッシャ200のホッパー201の側壁211,212(又はテーパ部214,215)の間隔より長い場合でも、ホッパー201の側壁211,212(又はテーパ部214,215)に押されて反転姿勢のバンパー部材2の左右の折り畳み部22は前方に折れ、リアバンパーの干渉によってドッキングが阻害されることはない。
【0040】
ダンプカー100はこのドッキング作業に前後してニュートラルポジションに切り換えられており、舗装作業開始後は、前述した如くアスファルトフィニッシャ200でダンプカー100を押してアスファルトを敷き均しつつシステムを前進させ、またダンプカー100からアスファルトフィニッシャ200にアスファルト合材を適宜補給しながら舗装作業を進捗させる。
【0041】
本実施形態の作用効果を順次説明する。
【0042】
(1)アスファルトフィニッシャとの干渉防止
前述したように、本実施形態ではリアバンパーの両側の折り畳み部22が略水平方向に折れるので、アスファルトフィニッシャ200のホッパー201との干渉が問題となってドッキング不能となる可能性はバンパー部材2の車幅方向によらず極めて低く、アスファルトフィニッシャ200とのドッキングに際してリアバンパー又はそのバンパー部材2を取り外さなければならないような事態は通常考え難い。よって、アスファルトフィニッシャ200のホッパー201との干渉を回避することができる。また、反転時の回動支点がバンパー部材2の上面にあるため、反転させる際に凡そバンパー部材2の高さ分だけバンパー部材2の位置が上昇するのでホッパー201の底面213との干渉を万全に回避する上でも有利である。
【0043】
(2)製造コストの抑制
仮に、バンパー部材2とステー1を固定関係としてステー1の基部に回動支点を設け、ステー1ごとバンパー部材2を反転させる構成を想定すると、回動支点がバンパー部材2から遠ざかり回動半径が大きくなる分だけ反転作業に大きな力を要する。この場合、特に一人の作業者が人力でリアバンパーを反転させるには作業負荷が大きく、実用上はシリンダやモータ等の駆動装置が必要となり、製造コストが高騰する。
【0044】
それに対し本実施形態では、回動支点となるヒンジ23の軸部24がバンパー部材2の外周面に接しているので回動半径が短く、バンパー部材2を跳ね上げる際の作業負荷が大幅に軽減される。したがって、人力でバンパー部材2を跳ね上げる構成とする上で有利であり、反転作業用の駆動装置類の設置を不要化することができる、もしくは補助的に軽微な駆動装置又は工具を用意すれば十分実用に耐えられるので、製造コストを低廉化することができる。
【0045】
(3)操作性の確保
このようにステー1に対してバンパー部材2を回動可能にしてバンパー部材2の回動半径を短くすることで、バンパー部材2の反転(跳ね上げ)の作業負荷が抑えられ、加えてバンパー部材2を反転させることによりバンパー部材2の折り畳み部22が前方に折れる構成となるので、折り畳み部22がアスファルトフィニッシャ200のホッパー201に干渉する場合でも、事前に折り畳み部22を折っておく必要がない。すなわち、リアバンパーの操作に必要な力が抑えられており、また必要な操作もバンパー部材2の反転作業のみで済むので、良好な操作性を確保することができる。
【0046】
(4)剛性の確保
バンパー部材2の本体部21と折り畳み部22の回動支点(ばねヒンジ30の軸部31)はバンパー面寄りに設けられており、バンパー部材2がバンパーとして機能する通常姿勢時には折り畳み部22が前方に折れない構成となっている。また、ばねヒンジ30によって折り畳み部22は通常姿勢に付勢されているので、通常姿勢時に折り畳み部22が後方に折れることも基本的にない。よって、本体部21と折り畳み部22の連結構造やバンパー部材2の厚み、強度等を適正に設定することで、折り畳み部22が水平方向に折れる構成であってもバンパーとしての剛性を十分に確保し得る。
【0047】
(5)小型ダンプカーへの適用の可能性
例えば4tクラスの小型のダンプカーの場合、車体フレームに対するリアバンパーのステーの基部の取り付け位置から荷台までの空間が大型ダンプのそれに比べて狭隘である。したがって、仮に図3−図5においてステー1とバンパー部材2を固定関係にしてステー1の基部を支点にバンパー部材2を後方に回動させて反転させることを想定した場合、バンパー部材2が荷台103に干渉してしまうためこの構成は成立し難い。また、同じくステー1の基部を支点にバンパー部材2を前方に回動させて車体フレーム102の下部に格納することを想定した場合、リアオーバーハングの短い小型ダンプカーにあってはバンパー部材2の両端部がダンプカーの後輪に干渉し易くこの構成も成立し難い。加えて、これらの構成は前述したようにバンパー部材2を跳ね上げる作業に大きな力を要する。
【0048】
それに対し、本実施形態ではバンパー部材2の反転動作の回動半径が小さい。またバンパー部材2の折り畳み部22の回動支点(ばねヒンジ30の軸部31)はダンプカー100の後輪よりも車幅方向の内側に位置するので、一般に後輪を左右一輪ずつしか持たない小型のダンプカーにあっては、後輪を避けて折り畳み部22の回動軌跡を設定することは容易である。したがって、本実施形態のリアバンパーは大型のダンプカーはもとより小型のダンプカーにも好適に適用することができる。
【0049】
(6)テールランプ保護の可能性
アスファルトフィニッシャ200のホッパー201とダンプカー100のリアバンパーがドッキング時に干渉する場合、本実施形態ではドッキング時にリアバンパーの折り畳み部22は前方に折れ、折り畳み部22の先端はホッパー201よりも前方に逃げる。この場合、例えばリアバンパーの両端部にテールランプを設けることを想定したとき、テールランプはホッパー201よりも前方に退避することとなる。したがって、例えばホッパー201の底面213とリアバンパーの高低差が小さい場合、荷台103からダンプ排出されてホッパー201に堆積したアスファルト合材の山がリアバンパーに接触することも考えられるが、テールランプはホッパー201の前方に退避しているのでアスファルト合材との接触圧力によるテールランプの損傷を回避することができる。また、バンパー部材2を反転させてから折り畳み部22を前方に回動させる構成であるため、ドッキング時にホッパー201が押すのはテールランプの設置する側とは反対側であるため、ドッキング時にテールランプを損傷させることもない。
【0050】
一方、アスファルトフィニッシャ200のホッパー201とダンプカー100のリアバンパーがドッキング時に干渉しない場合、リアバンパーの折り畳み部22は車幅方向に延在した姿勢を維持する。この場合、折り畳み部22もホッパー201の前端部近辺にあり、場合によってはアスファルト合材が折り畳み部22に接触することもあり得るが、バンパー部材2は反転しテールランプは前方を向いているのでこの場合でもアスファルト合材との接触圧力によってテールランプが損傷することはない。
【0051】
加えて、こうしたダンプ排出した積載物の山とテールランプとの接触によるテールランプの損傷は、アスファルトフィニッシャ200とのドッキング時に限らず通常のダンプ作業時にも生じ得る。通常のダンプ作業時においても、本実施形態の場合、折り畳み部22にテールランプを設ければバンパー部材2を反転させることでテールランプを前方に向けることができるので、テールランプの損傷を抑制することができる。
【0052】
このように、本実施形態のリアバンパーにテールランプを設けた場合、荷台からの排出物からテールランプを保護することができる。
【0053】
<第2実施形態>
第1実施形態ではバンパー部材2の本体部21に対して折り畳み部22を拘束する手段を設けていないが、必要な場合には、本体部21とともに車幅方向に延在した姿勢、又は前方に折れた姿勢の少なくともいずれかで本体部21に対して折り畳み部22を拘束する手段を設けることもできる。
【0054】
図7は本発明の第2実施形態に係るダンプカーのリアバンパーの要部拡大図であり、バンパー部材の本体部と折り畳み部の連結部の平面図である。この図において第1実施形態と同様の部分には既出図面と同符号を付して説明を省略する。
【0055】
図7に示した構成例は、バンパー部材2の本体部21に対し、車幅方向に延在する姿勢から回動した姿勢で折り畳み部22を保持するロック手段を備えた実施形態である。すなわち、図中に二点鎖線で示したロックバー35がそのロック手段である。このロックバー35は両端に2つのピン(図示せず)を有している。この場合、例えば折り畳み部22が本体部21に対して直角に折れたときにロックバー35の2本のピンが挿入可能となるように、折り畳み部22及び本体部21の、例えば反転時に上を向く通常時の下面にピン穴36,37をそれぞれ設けておけば、これらピン穴36,37にロックバー35のピンを挿入することで、本体部21に対して折れた姿勢で折り畳み部22を拘束することができる。この場合、アスファルトフィニッシャ200とのドッキング作業との前後関係は特に限定されないが、例えばドッキング作業に先んじてロックバー35で折り畳み部22を固定しておく。その他の構成、動作は第1実施形態と同様である。
【0056】
本実施形態においても、上記効果(1)、(2)及び(4)−(6)については第1実施形態と同様に得ることができる。また上記効果(3)についても、折り畳み部22を折ってロックバー35の取り付ける作業が加わるのみであり、本実施形態でも操作は十分に簡便である。加えて、本実施形態ではロックバー35で折り畳み部22を折れた姿勢で拘束するので、アスファルトフィニッシャ200とダンプカー100を離す場合、ばねヒンジ30によって付勢された折り畳み部22の先端部がホッパー201の内壁面に摺動することを回避することができる。
【0057】
なお、折り畳み部22のロック手段としてロックバー35を例に挙げて説明したが、ロック手段の構成はこれに限定されず、例えば折り畳み部22が折れた場合に重なり合うブラケットを本体部21と折り畳み部22に設けておき、これらブラケットをピンで留める構成も考えられる。また、ロックバー35のような高剛性の手段でなくロープやチェーン等で代替することも可能である。
【0058】
更には、本例では折れた姿勢で折り畳み部22を拘束する場合を例示したが、同様の思想を適用することで車幅方向に延びた姿勢で折り畳み部22を本体部21に固定する手段を設けることもできる。この場合、図7に例示したロックバー35を適用するなら、例えば通常姿勢で上を向くバンパー部材2の本体部21及び折り畳み部22の各上面に、折り畳み部22が車幅方向に延びた姿勢のときにロックバー35が挿入可能となるようにピン穴36,37を設ける構成とすることができる。車幅方向に延びた姿勢で折り畳み部22を拘束する構成の場合、バンパーとしての剛性の向上が期待でき、またこの場合には折り畳み部22を車幅方向に延びる姿勢に付勢する付勢手段は省略可能であり、ばねヒンジ30は単なるヒンジで代替できる。
【0059】
<第3実施形態>
第1実施形態ではバンパー部材2の折り畳み部22を車幅方向に延びる姿勢に付勢する付勢手段として、捻り戻り力を有する弾性体を折り畳み部22の回動軸に沿って設けた(すなわちばねヒンジ30の軸部31内のコイルばね又はトーションバー)が、折り畳み部22の付勢手段はこれに限定されない。例えば扉を閉方向に付勢するような各種の公知の機構が適用可能である。一例を本実施形態で説明する。
【0060】
図8は本発明の第3実施形態に係るダンプカーのリアバンパーの要部拡大図であり、バンパー部材の本体部と折り畳み部の連結部の平面図である。この図において第1実施形態と同様の部分には既出図面と同符号を付して説明を省略する。
【0061】
図8に示した構成例は、弾性体の一種、例えばコイルばね40の圧縮方向への復元力を利用して折り畳み部22を車幅方向に延在する姿勢に付勢する実施形態である。コイルばね40の両端は、折り畳み部22及び本体部21の上面及び下面の少なくともいずれかにそれぞれ設けたピン41,42に連結されている。ピン41,42は、バンパー面と反対寄り(ヒンジ43と反対側)に配置されており、折り畳み部22が車幅方向に延在する姿勢にあるとき、ヒンジ43の軸部に対してバンパー面と反対側にコイルばね40がある。折り畳み部22が車幅方向に延在する姿勢のときにおいても、コイルばね40はピン41,42を互いに近付ける方向に付勢しており、これが折り畳み部22を車幅方向に延在する姿勢に付勢する力となる。また、バンパー部材2の折り畳み部22が本体部21に対して直角に折れたとき、伸長したコイルばね40がヒンジ43の軸部を超える(つまり上下方向から見てコイルばね40がバンパー面から出ない程度にピン41,42の配置に配慮する。
【0062】
ドッキング時にアスファルトフィニッシャ200のホッパー201で折り畳み部22を押す場合、基本的に折り畳み部22が本体部21に対して直角を超えて折れることはないので、上記のようにピン41,42の配置に配慮することでコイルばね40の復元力が折り畳み部22を本体部21に対して180度折り返す方向への付勢力に転向することはない。したがって、アスファルトフィニッシャ200とのドッキングを解いた際にはコイルばね40の復元力で折り畳み部22が車幅方向に延びる姿勢に復帰する。
【0063】
また、本実施形態では付勢手段にコイルばね40を用いているので、ヒンジ43はばねヒンジではなく通常のヒンジで足りる。ばねヒンジを用いても構わない。
【0064】
その他の構成は第1実施形態と同様であり、動作も第1実施形態と同様である。本実施形態においても第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0065】
<第4実施形態>
第1実施形態ではブラケット26−28及びピン、すなわち拘束用の物理的支持部材を用いてバンパー部材2をステー1に対し通常姿勢又は反転姿勢で機械的に保持する構成を例に挙げて説明したが、バンパー部材2を通常姿勢又は反転姿勢で保持する上ではこの構成に限定されない。本例では重力を利用してバンパー部材2の姿勢を保持する構成を例示する。
【0066】
図9は本発明の第4実施形態に係るダンプカーのリアバンパーの要部拡大図であり、車両左側から見た図である。この図において第1実施形態と同様の部分には既出図面と同符号を付して説明を省略する。
【0067】
図9に示したリアバンパーにおいて、バンパー部材2Aは通常姿勢のときの上面にブラケット51を有している。一方、ステー1Aは後方に突出したブラケット52を有している。すなわち、ブラケット51,52を車幅方向に延びるピン53で連結することでバンパー部材2Aがステー1Aに対して回動可能に連結されている。またステー1Aの後面には、通常姿勢のバンパー部材2A(図中に実線で図示)のバンパー面と反対の面を受ける座54がブラケット52の下側に、反転姿勢のバンパー部材2A(図中に二点鎖線で図示)のバンパー面を受ける座55がブラケット52の上側に、それぞれ設けられている。このとき、車幅方向から見た場合、反転姿勢のとき、バンパー部材2Aは、ブラケット51,52を連結するピン53(すなわち自らの回動支点)よりも重心Oが前方(座55側)に位置するように形成されている。したがって、反転姿勢とほぼ点対称の通常姿勢のとき、バンパー部材2Aはピン53よりも重心Oが後方(座54と反対側)に位置する。参考にピン53を通る鉛直線Aを図9に示す。
【0068】
すなわち、通常姿勢のとき、バンパー部材2Aは、鉛直線Aよりも重心Oが後方にあるため重力の分力によって前方に付勢され、この付勢力によって座54に着座した状態となる。逆に反転姿勢のとき、バンパー部材2Aは、鉛直線Aよりも重心Oが前方にあるため重力の分力によって前方に付勢され、この付勢力によって座55に立て掛けられて反転姿勢を維持する。特に本実施形態では、バンパー部材2Aの反転姿勢をより安定に保持するため、鉛直線Aに対して僅かな角度αだけ前方に傾斜した状態で座55にバンパー部材2Aが着座するように構成してある。
【0069】
その他の構成は第1実施形態と同様であり、本実施形態でも第1実施形態と同様の効果を得ることができる。加えて、通常姿勢、反転姿勢にバンパー部材2Aを移行させる際にピンの付け替え作業が不要になるので、リアバンパーの操作はより簡便である。
【0070】
なお、第1及び第3実施形態ではバンパー部材2の折り畳み部22を車幅方向に延びる姿勢に付勢する付勢手段として弾性体の復元力を利用した場合を例に挙げて説明したが、本実施形態の技術思想を応用し、例えば折り畳み部22の本体部21に対する回動軸を鉛直上方に向かって後方に僅かに傾けることで折り畳み部22を自らの重量を利用して車幅方向に延在する姿勢に付勢する構成とすることができる。この場合、不要であれば弾性体を用いた付勢手段を省略しても良い。
【0071】
<第5実施形態>
これまで第1−第4実施形態では、バンパー部材2,2Aの折り畳み部22の本体部21に対する回動支点をバンパー面寄りに設け、通常時に折り畳み部22が前方に折れない構成としながらも、アスファルトフィニッシャ200とのドッキングの際には折り畳み部22が前方に折れるようにするため、バンパー部材2,2Aの全体を跳ね上げて反転させる構成を採った。それに対し、本実施形態では、バンパー部材を部分的に反転させる構成を例示する。
【0072】
図10は本発明の第5実施形態に係るダンプカーのリアバンパーを車両後方側から見た図、図11は上方から見た図、図12は車両の左側から見た図である。これらの図において第1実施形態と同様の部分には既出図面と同符号を付して説明を省略する。
【0073】
本実施形態でも、バンパー部材2Bは本体部21Bと折り畳み部22Bを有している。折り畳み部22Bは、前述した実施形態の折り畳み部22と同様の構成であり、本体部21Bとの連結構造についても前の各実施形態と同様である。
【0074】
一方、本体部21Bは、ステー1Bに対して固定された固定部21Baと、この固定部21Baの車幅方向両側に連結された回転部21Bbとを備えている。固定部21Baは、前の各実施形態と異なりステー1Bの後面に固定的に取り付けられている。対して回転部21Bbは、車幅方向に延びる回転軸60を介して固定部21Baに連結されており、固定部21Baに対して回転軸60周りに回転し反転可能である。回転軸60は車幅方向から見てバンパー部材2Bの重心もしくはその近傍に重なっており、回転部21Bbは回転軸60を軸に自転する格好である。
【0075】
本例では特に図示していないが、バンパー面を後方に向けた(固定部21Baとバンパー面を面一にした)通常姿勢、またバンパー面を前方に向けた反転姿勢で、それぞれ回転部21Bbを固定部21Baに固定する固定手段を設けておくことが好ましい。この固定手段としては、例えばバンパー部材2Bの上下の面に固定部21Ba及び回転部21Bbの境界を挟んでブラケットを設け、通常姿勢又は反転姿勢に移行した際にこれら対向するブラケットにピンを差し込んで回転部21Bbを拘束する構成が考えられる。
【0076】
その他の構成は第1実施形態と同様であり、アスファルトフィニッシャ200とのドッキングの際には回転部21Bbを反転させることで折り畳み部22Bも一体となって反転するので、図11に二点鎖線で図示したように折り畳み部22Bが前方に折れる格好となる。
【0077】
本実施形態でも、第1実施形態とほぼ同様の効果が得られる。加えて本実施形態の場合、回転部21Bb及び折り畳み部22Bがその場で回転するので、これらを反転させるのに持ち上げる必要がなく、作業負担はより軽減される。
【0078】
なお、本実施形態では左右の回転部21Bbの各回転軸60が互いに独立した構成を図11に図示した。この場合、回転部21Bb及び折り畳み部22Bを反転させる際、固定部21Baに対して左右の回転部21Bbを個別に回転操作することとなる。それに対し、固定部21Baを左右に貫通した1本の回転軸の両端に左右の回転部21Bbを連結する構成が考えられる。この場合、一方の回転部21Bb又は折り畳み部22Bを回転操作すれば、他方の回転部21Bb及び折り畳み部22Bも一体に回転するので、操作手順がさらに簡略化される。
【0079】
<第6実施形態>
これまで第1−第5実施形態では、アスファルトフィニッシャ200とのドッキングの際にバンパー部材2,2A,2Bの少なくとも折り畳み部22,22Bを反転させ、本体部21,21Bに対して折り畳み部22,22Bを前方に折る構成を採った。それに対し、本実施形態では、折り畳み部を縦軸周りに後方に折る構成を例示する。
【0080】
図13は本発明の第6実施形態に係るダンプカーのリアバンパーを車両後方側から見た図、図14は上方から見た図、図15は車両の左側から見た図である。これらの図において第1実施形態と同様の部分には既出図面と同符号を付して説明を省略する。
【0081】
本実施形態でも、バンパー部材2Cは本体部21Cと折り畳み部22Cを有している。本体部21C、折り畳み部22Cは、構成、連結構造とも第1実施形態の本体部21、折り畳み部22とほぼ同様であるが、本実施形態の場合はバンパー部材2Cの本体部21Cがステー1Cに対して固定的に取り付けられていて、前の各実施形態のようにバンパー部材2Cの全体又は一部が横軸周りに反転することはない。したがって、バンパー部材2Cの折り畳み部22Cは本体部21Cに対して後方に回動し、図14に二点鎖線で表したように反転して本体部21Cとバンパー面をほぼ平行に対向させられる構成となっている。
【0082】
本例では特に図示していないが、バンパー面を後方に向けた通常姿勢、及びバンパー面を前方に向けた反転姿勢のうち、少なくとも反転姿勢で折り畳み部22Cを本体部21Cに固定する固定手段を設けておくことが好ましい。この固定手段は適宜構成することができるが、例えば先に図7で説明したロックバー35やその代替手段が応用できる。
【0083】
その他の構成は第1実施形態と同様であり、アスファルトフィニッシャ200とのドッキングの際には折り畳み部22Cを縦軸周りに後方に回動させて反転させることでホッパー201との干渉を避けることができ、本実施形態でも第1実施形態とほぼ同様の効果が得られる。折り畳み部22Cのバンパー面を前方に向けることができるので、これにテールランプを設ければダンプ排出した積載物との干渉によるテールランプの損傷を抑制する手段にもなり得る。加えて、本実施形態では横軸周りにバンパー部材2Cを回転させる操作がないため、操作がより簡略で構成もよりシンプルであり、バンパー部材2Cを跳ね上げる必要もない。
【0084】
以上の各実施形態の構成及び個々に説明した技術思想は任意に組み合わせ可能である。
【符号の説明】
【0085】
1,1B,C ステー
2,2B,C バンパー部材
21,21B,C 本体部
21Ba 固定部
21Bb 回転部
22,22B,C 折り畳み部
23 ヒンジ
24 軸部
30 ばねヒンジ
31 軸部
35 ロックバー
100 ダンプカー
102 車体フレーム
200 アスファルトフィニッシャ
201 ホッパー
O 重心
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダンプカーの車体フレームの後端に設けたステーと、車幅方向に延在する姿勢で前記ステーに取り付けられたバンパー部材とを備えたダンプカーのリアバンパーにおいて、
前記バンパー部材が、
前記ステーに対して取り付けられた中央の本体部と、
この本体部の車幅方向両側に上下に伸びる軸周りに回動可能に連結された折り畳み部と
を備えていることを特徴とするダンプカーのリアバンパー。
【請求項2】
請求項1のダンプカーのリアバンパーにおいて、
前記バンパー部材の本体部が、前記ステーに対して上端部を支点に後方に回動して反転可能なように取り付けられており、
前記バンパー部材の折り畳み部が、反転した状態の前記本体部に対して前方に回動可能に連結されている
ことを特徴とするダンプカーのリアバンパー。
【請求項3】
請求項2のダンプカーのリアバンパーにおいて、
前記バンパー部材の本体部が、反転した際に上端の回動支点よりも重心が前方に位置するように形成されていることを特徴とするダンプカーのリアバンパー。
【請求項4】
請求項1のダンプカーのリアバンパーにおいて、
前記バンパー部材の本体部が、前記ステーに対して固定された固定部と、この固定部の車幅方向両側に連結され車幅方向に延びる回転軸周りに回転し反転可能な回転部とを備えており、
前記バンパー部材の折り畳み部が、反転した状態の前記回転部に対して前方に回動可能に連結されている
ことを特徴とするダンプカーのリアバンパー。
【請求項5】
請求項1のダンプカーのリアバンパーにおいて、
前記バンパー部材の本体部が、前記ステーに対して固定されており、
前記バンパー部材の折り畳み部が、前記本体部に対して後方に回動して反転可能なように連結されている
ことを特徴とするダンプカーのリアバンパー。
【請求項6】
請求項1−5のいずれかのダンプカーのリアバンパーにおいて、車幅方向に延在する姿勢に前記バンパー部材の折り畳み部を付勢する付勢手段を備えていることを特徴とするダンプカーのリアバンパー。
【請求項7】
請求項1−6のいずれかのダンプカーのリアバンパーにおいて、車幅方向に延在する姿勢から前記バンパー部材の本体部に対して回動した姿勢で前記折り畳み部を保持するロック手段を備えていることを特徴とするダンプカーのリアバンパー。
【請求項1】
ダンプカーの車体フレームの後端に設けたステーと、車幅方向に延在する姿勢で前記ステーに取り付けられたバンパー部材とを備えたダンプカーのリアバンパーにおいて、
前記バンパー部材が、
前記ステーに対して取り付けられた中央の本体部と、
この本体部の車幅方向両側に上下に伸びる軸周りに回動可能に連結された折り畳み部と
を備えていることを特徴とするダンプカーのリアバンパー。
【請求項2】
請求項1のダンプカーのリアバンパーにおいて、
前記バンパー部材の本体部が、前記ステーに対して上端部を支点に後方に回動して反転可能なように取り付けられており、
前記バンパー部材の折り畳み部が、反転した状態の前記本体部に対して前方に回動可能に連結されている
ことを特徴とするダンプカーのリアバンパー。
【請求項3】
請求項2のダンプカーのリアバンパーにおいて、
前記バンパー部材の本体部が、反転した際に上端の回動支点よりも重心が前方に位置するように形成されていることを特徴とするダンプカーのリアバンパー。
【請求項4】
請求項1のダンプカーのリアバンパーにおいて、
前記バンパー部材の本体部が、前記ステーに対して固定された固定部と、この固定部の車幅方向両側に連結され車幅方向に延びる回転軸周りに回転し反転可能な回転部とを備えており、
前記バンパー部材の折り畳み部が、反転した状態の前記回転部に対して前方に回動可能に連結されている
ことを特徴とするダンプカーのリアバンパー。
【請求項5】
請求項1のダンプカーのリアバンパーにおいて、
前記バンパー部材の本体部が、前記ステーに対して固定されており、
前記バンパー部材の折り畳み部が、前記本体部に対して後方に回動して反転可能なように連結されている
ことを特徴とするダンプカーのリアバンパー。
【請求項6】
請求項1−5のいずれかのダンプカーのリアバンパーにおいて、車幅方向に延在する姿勢に前記バンパー部材の折り畳み部を付勢する付勢手段を備えていることを特徴とするダンプカーのリアバンパー。
【請求項7】
請求項1−6のいずれかのダンプカーのリアバンパーにおいて、車幅方向に延在する姿勢から前記バンパー部材の本体部に対して回動した姿勢で前記折り畳み部を保持するロック手段を備えていることを特徴とするダンプカーのリアバンパー。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−228520(P2010−228520A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−76693(P2009−76693)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)
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