説明

ダンプトラックのリアゲート自動開閉機構

【課題】 破損しにくく、旋回半径に影響を与えず及び簡単に構成できるダンプトラックのリアゲート自動開閉機構の提供。
【解決手段】 車体フレーム(1)上でベッセル(3)を起伏自在に軸支する第1軸(P1)と、第1軸(P1)から所定距離(d1)だけ後方へ離間してベッセル(3)に設けた第3軸(P3)と、第1軸(P1)から所定距離(d2)だけ下方へ離間して車体フレーム(1)に設けた第4軸(P4)と、第3軸(P3)によって起伏自在に基端を軸支した第1リンク(6c)と第4軸(P4)によって起伏自在に基端を軸支した第2リンク(6d)との両先端を軸支する第5軸(P5)とを順次連結した4本のリンク(6a〜6d)でなる四節リンク(6)を有すると共に、ベッセル(3)の伏せ時のベッセル(3)の後端との間でリアゲート(5b)が閉じた状態における四節リンク(6)の所定の内角(θ=θo)を基準として、ベッセル(3)の起立に応じて変化する所定の内角(θ=θo+Δθ)の変化量(Δθ)をベッセル(3)の後端に対するリアゲート(5b)の開き量へと変換する変換リンク(7)をアーム(5a)と第1リンク(6c)との間に架設した。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ダンプトラックのリアゲート自動開閉機構に関する。
【0002】
【従来の技術】従来からダンプトラックの積載量を確保し、またダンプトラックの走行中にベッセルからの積載物の落下を防止するためにベッセルの後端との間で開閉自在のリアゲートを有するものがある(以下「リアゲートがベッセル後端との間で開閉する」ことを単に「リアゲートの開閉」とする)。そして、このリアゲートをベッセルの起伏に応じて自動開閉させるリアゲート自動開閉機構もある。
【0003】例えば図7は、特開平10−157509号公報に記載のリアゲート自動開閉機構を示す。即ちダンプトラックの車体フレーム1は、ホイストシリンダ(不図示)によって後傾自在に起伏するベッセル3を備える。ここで、リアゲート自動開閉機構は、ベッセル3の底裏面3aから2本のリンク10a、10bを経て、ベッセル3の後部下端に軸支したリアゲート5bへと順次軸支した構成となっている。さらに、この機構は、リンク10aの下面を摺動自在に支承可能の支え部材10cを車体フレーム1に備え、またストッパ10dをベッセル3の底面から後方へと延設した部材上に備える。
【0004】従って、ベッセル伏せ時(例えばダンプトラックの走行時)には、支え部材10cが、これに当接するリンク10aの下面を介してリアゲート5bからの荷重Wを受け、図中の二点鎖線で示すように、リアゲート5bを閉ざしている。
【0005】ベッセル3が起立し始めると(例えばダンプトラックの排土時)、リンク10aの下面が支え部材10cの上面を前方へと滑って摺動する。このリンク10aの摺動量(換言すれば、ベッセル3の起立角)に応じてリアゲート5bが開く。そして、図7に示すように、リアゲート5bの上面がベッセル3の底面に対してほぼ平らになるまでリアゲート5bが開くと、リアゲート5bの底裏面がストッパ10dの上面に当接し、リアゲート5bの開動作を停止させる。尚、図示しないが、ベッセル3が図7の状態からさらに起立してゆくと、リンク10aの下面が支え部材10cの上面から上方へと離脱する。
【0006】即ち、リアゲート5b及び積載物の自重並びに積載物のベッセル3上での滑り荷重等(以下、これらも単に「荷重W」とする)は、リアゲート5bの上面がベッセル3の底面に対しほぼ平らになるまでの間は支え部材10cで受けるものの、リアゲート5bの裏面がストッパ10dの上面に当接しのちにベッセル3がさらに起立すると、ストッパ10dだけで受けることになる。
【0007】ベッセル3の伏せ動作は、上記の起立動作の逆となる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来機構は片持ち梁構造である(特にベッセル3が図7の状態からさらに起立した状態)。従って、積載物が例えば普通土程度であれば、たとえ数万回の排土(起立)を行っても、ベッセル3、リアゲート5b、リンク10a、10b、支え部材10c及びストッパ10d等の幾つか又は総べての剛性を高めることでこれらの破損を防止できる。ところが、一個当たり数十トンの岩石及び/又は鉱石を一個又は複数個積載し、かつ起立動作によってベッセル3から落下させる、例えば鉱山用のオフロードダンプトラックでは、上記のような単なる各部材の剛性化だけではこれら各部材の破損を防止できない。
【0009】尚、破損しにくい機構もある。例えば、モータでワイヤを巻き出し、巻き込んでリアゲートを開閉したり、又は、流体圧シリンダを伸縮させてリアゲート5bを開閉する機構である。しかしながら、かかる機構はリアゲート開閉に大きな駆動力を与えるべく大モータ又は流体圧機器が必要であり、複雑である。
【0010】本発明は、上記従来機構の不都合に鑑み、破損しにくく、かつ簡単構成のダンプトラックのリアゲート自動開閉機構を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】上記の目的を達成するために、本発明のダンプトラックのリアゲート自動開閉機構は、車体フレームに対し第1軸によって起伏自在に軸支したベッセルと、ベッセルに対し第2軸によって起伏自在に軸支したアームの後端に設けられてアームの起伏に応じてベッセルの後端との間で開閉するリアゲートとを有するダンプトラックのリアゲート開閉機構において、第1軸と、第1軸から所定距離だけ後方へ離間してベッセルに設けた第3軸と、第1軸から所定距離だけ下方へ離間して車体フレームに設けた第4軸と、第3軸によって起伏自在に基端を軸支した第1リンクと第4軸によって起伏自在に基端を軸支した第2リンクとの両先端を軸支する第5軸とを順次連結した4本のリンクでなる四節リンクを有すると共に、ベッセルの伏せ時のベッセルの後端との間でリアゲートが閉じた状態における四節リンクの所定の内角を基準として、ベッセルの起立に応じて変化する所定の内角の変化量をベッセルの後端に対するリアゲートの開き量へと変換する変換リンクをアームと第1リンクとの間に架設したことを特徴とする。
【0012】上記構成によれば、ベッセルが起立し始めると、第3軸が第1軸回りに回転する。すると、第1、第4軸が車体フレームに対して拘束されており、かつ第5軸が拘束されていないために、四節リンク6が潰れて各内角θ(上記構成では、4つの内角のうちの予め定めた一つを「所定の内角θ」としている)が変化する。つまり、第1リンクが第3軸回りに後方へと回転する。すると、この回転を変換リンクが受け、かつベッセルの後端に対するリアゲートの開き量へと変換するのでリアゲートがベッセルの起立に応じて開くことになる。リアゲートの閉動作は、ベッセル伏せ時に生じて上記開動作の反対となる。即ち、上記構成はリンク機構だけで構成してあるから簡単構造となる。また、安価であり、メインテナンス(保守・点検・整備)が容易な機構となる。しかも、リアゲートの開動作は、リアゲートが第2軸回りに回転してベッセルの後端から離脱する動作となる。即ち、離脱した分だけ積載物がリアゲートに衝突する機会が少なくなり、従って、機構は破損しにくい。
【0013】尚、第2、第3軸を互いに同軸としてもよい。このようにすると、軸数が減った分だけ、さらに簡単構造となり、安価に製造でき、またメインテナンスも容易となる。
【0014】また、第2リンクを所定荷重以上の引っ張り荷重及び/又は圧縮荷重を受けてその荷重がさらに大きくなるに従って伸び及び/又は縮むものとしてもよい。このようにすると、機構に所定荷重以上の異常負荷(過負荷)が生じようとしても、第2リンクがこの負荷を吸収するので機構に異常負荷が生じない。従って、機構は損傷しにくく、機構の寿命は延長する。
【0015】
【発明の実施の形態及び実施例】第1実施例を図1〜図4R>4を参照し説明する。本実施例を搭載する例機は、図1に示す通り、オフロードダンプトラックである。このトラックは、車体フレーム1上の前部に運転室2を備え、後部にベッセル3を備える。ベッセル3は、車体フレーム1の左右後端上部に図の紙面に対し垂直方向に設けた第1軸P1よって後部裏面左右を夫々軸支され、左右のホイストシリンダ4によって後傾自在に起伏する。尚、詳細を後述する第2〜第7軸P2〜P7もまた、第1軸P1と同じく各掲載図の紙面に対し垂直方向に設けてある。また、ベッセル3は、その左右後部側面に設けた第2軸P2よって左右のアーム5aを軸支している。両アーム5aは、ベッセル3の左右後方へと夫々長く、両後端間にリアゲート5bを架設してある。このリアゲート5bは、図1のK部に示す通り、また詳細を後述する通り、本実施例なる機構の一つの要素として構成され、この機構によってベッセル3の起伏に応じて両アーム5aが自動的に起伏し、両アーム5aの起伏に応じてベッセル3の後端との間で開閉する。
【0016】本実施例の詳細を、図1のK部拡大図なる図2〜図4を参照し説明する。尚、図2はリアゲート閉時(ベッセル伏せ時)、図3は組立図、図4はリアゲート開時(ベッセル起立時)を示す。
【0017】即ち本実施例は、図2に示す通り、四節リンク6と変換リンク7とを例機の左右夫々に有して構成される。尚、図3では左右の夫々を示すが、以下の本文説明では図示する例機の左側だけで代表説明する。
【0018】四節リンク6は、図2に示す通り、4本のリンク6a〜6dで構成される。リンク6aは、第1軸P1から所定距離d1だけ後方へ離間してベッセル3に設けた第3軸P3に対する第1軸P1からの所定距離d1相当のベッセル部位である。リンク6bは、第1軸P1から所定距離d2だけ下方へ離間して車体フレーム1に設けた第4軸P4に対する第1軸P1からの所定距離d2相当の車体フレーム部位である。リンク6cは、第3軸P3に起伏自在に基端を軸支される。リンク6dは、第4軸P4に起伏自在に基端を軸支される。勿論、両リンク6c、6dの両先端は、第5軸P5によって起伏自在に軸支される。
【0019】一方、変換リンク7は、これも図2に示す通り、第2軸P2から見て反リアゲート5b側(前方)に延設されたアーム5aの先端に対し第6軸P6よって起伏自在にその先端を軸支された第1ロッド7aと、第1ロッド7aの基端に対し第7軸P7よって起伏自在にその先端を軸支された第2ロッド7bとを有する。そして、第2ロッド7bは、四節リンク6のリンク6cと共動するように、リンク6cと一体化している。
【0020】尚、例機は、車体フレーム1の幅が左右のアーム5a間の幅よりも相当に狭いオフロードダンプトラックである。従って、前記「第2ロッド7bとリンク6cとの一体化」とはいえ、直接的に一体化できない。従って、図3に示す通り、左右の第3軸P3を夫々長くしてベッセル3の底裏面3aの幅方向に夫々延設してある。具体的には、左側の第3軸P3の外側端に左側の第2ロッド7bの基端を固着させ、かつ中央側端に左側のリンク6cの基端を固着させると共に、右側の第3軸P3の外側端に右側の第2ロッド7bの基端を固着させ、かつ中央側端に右側のリンク6cの基端を固着させてある。
【0021】尚、例機が、車体フレーム1の幅と左右のアーム5a間の幅とをほぼ同じくする車両であるならば、上記の如く左右の第3軸P3を長くして延設する必要はなく、第1、第2ロッドを一本のロッドとし、このロッドの基端をリンク6cに固設し、ロッドの先端をアーム5aに対し第6軸P6よって起伏自在に軸支してもよい(この場合、第7軸P7は不要となる)。
【0022】以下、第1実施例の作用を図2及び図3を参照し説明する。運転室2からのベッセル3の起立信号によってホイストシリンダ4が伸びると、ベッセル3は図2の伏せ状態から図4の起立状態へと移行する。この移行時、第3軸P3は第1軸P1回りで時計回りに回転する。すると、第1、第4軸P1、P4は車体フレーム1に対して拘束された軸であるが、第5軸P5は拘束されていない軸であるために、四節リンク6が潰れ、その各内角θがベッセル3の伏せ時のθo(図2の「θ=θo」参照、つまりθoは基準角である)から角度Δθだけ変化する(図4の「θ=θo+Δθ」参照、尚「θ≧θo」である)。尚、「θ=∠P1・P3・P5」又は「θ=∠P1・P4・P5」ならば、起立時は「Δθ=漸増」であり、伏せ時は「Δθ=漸減」である。一方、「θ=∠P3・P1・P4」又は「θ=∠P3・P5・P4」ならば、起立時は「Δθ=漸減」であり、伏せ時は「Δθ=漸増」である。そこで本実施例では説明を容易にするため、「θ=∠P1・P3・P5」を所定の内角θとして説明する。つまり、ベッセル3の起立すると、「θ=θo+Δθ」となる。即ち、リンク6cが第3軸P3回りで反時計回りに回転する。すると、リンク6cに一体化した第2ロッド7bもまた第3軸P3回りで反時計回りに回転し、この回転が第1ロッド7aを介してアーム5aを第2軸P2回りで反時計回りに回転させる。従って、左右のアーム5aの後端間に架設のリアゲート5bがベッセル3の後端との間で開くこととなる。そして、リアゲート5bの開き完了状態が図4である。
【0023】ホイストシリンダ4を縮めてのリアゲート5bの開(図4)から閉(図2)への移行は、上記開動作の反対である。尚、上記各内角θ、基準角θo及び変化角Δθは、本実施例(即ち本発明)の作用(動作)を説明するだけであって、マイコン等の制御器を有して各角度θ、θo、Δθを制御情報として用いるものではない。
【0024】即ち、上記作用によれば、また後述する他の実施例での変換リンク7の機能から見れば、この変換リンク7は、次のように定義できる。即ち、変換リンク7は、「アーム5aとリンク6cとの間に架設されて、ベッセル3の伏せ時のベッセル3の後端との間でリアゲート5bが閉じた状態における四節リンク6の所定の内角θ(=θo)を基準として、ベッセル3の起立に応じて変化する所定の内角θ(=θo+Δθ)の変化量Δθをベッセル3の後端に対するリアゲート5bの開き量へと変換するもの」である。尚、四節リンク6と言えば、四節平行リンクが想起されるが、本実施例(つまり、本発明)での四節リンク6は、上記「所定の内角θ(=θo+Δθ)の変化量Δ」さえ顕著に得られればよいから、四節平行リンクである必要はない。勿論、四節平行リンクであってもよい。また例えば、図4の側面視では、リアゲート5bの全開時に第7軸P7がリンク6dを超えて下方へと突き出しているが、四節リンク6の形態(及び/又は第1、第2ロッド7a、7bの長さ等)を各種設定することにより、第7軸P7をリンク6dの上方領域だけで動作させることができる。
【0025】以下、第1実施例の効果を説明する。第1実施例はリンク機構だけで構成してあるから簡単構造となる。即ち安価であり、メインテナンス(保守・点検・整備)が容易である。しかも、リアゲートの開動作は、リアゲート5bが第2軸P2回りに回転してベッセル3の後端から離脱する動作となるから、この離脱した分だけ積載物がリアゲート5bに衝突する機会が少なくなり、破損しにくい。詳しくは次の通り。
(a)第1実施例は、従来技術のような片持ち梁構造ではない。従って、一個が数十トンの岩石及び/又は鉱石を複数個運搬し、排出しても、片持ち梁構造に基く破損が生じない。
(b)第1実施例は、リアゲート5bを開かせる動力源が強力なホイストシリンダ4である。従って、第2軸P2をアーム5aのさらなる前側に位置させ、これによりリアゲート5b側をさらに長く、かつ第6軸P6側をさらに短くしても(即ち、リアゲート5bの最大開口量を容易に大きくしも)、動力不足に係る支障が生じない。即ち、一個が数立方mの岩石及び/又は鉱石でも不都合なく排出できる。
(c)第1実施例は、従来技術のような大モータ又は流体圧機器が不要の、主要部が単なる四節リンク6と変換リンク7との組み合わせ構成である。つまり、簡単構成である。
【0026】第2実施例を図5(リアゲート閉時、かつベッセル伏せ時)及び図6(リアゲート開時、かつベッセル起立時)を参照し説明する。本実施例は、第1実施例において第3軸P3から前方へ張り出させていた第2ロッド7bを後方へ張り出させたものである。さらに、第1実施例における第2、第6軸P2、P6を前後位置で振り変えたものである。
【0027】この第2実施例では、第1実施例と同じ効果を奏するが、変換リンク6での作用は異なる。即ちリアゲート開時、第1ロッド7aには、第1実施例では引っ張り応力が発生するが、第2実施例では圧縮応力が生ずる。尚、リアゲート閉時、第1、第2実施例はアーム5a及びリアゲート4bの自重でも動作できるから、第1実施例での第1ロッド7aはワイヤでも構わない。
【0028】他の実施例を例示列挙する。尚、第1、第2実施例で既説の各種態様例は重複説明しない。
【0029】(1)第1、第2実施例における第1ロッド7aは、夫々の各図に示する通り、ターンバックル式とするのが望ましい。このようにすると、第1ロッド7aの長さを自在調整できる。これにより、仮に第1、第2実施例がリアゲート閉時においてリアゲート5bがベッセル3の後端上に載置される形式であるならば、リアゲート閉時に第1、第2実施例の各構成要素を無負荷へと調整できる。つまり、リアゲート閉時での各構成要素の引っ張り応力及び圧縮応力の殆どをゼロ化でき、各構成要素の寿命延長に寄与する。
【0030】(2)第1実施例(例えば図2)の第1ロッド7aを第2実施例(例えば図5)の第6軸P6で軸支してもよく、逆に、第2実施例(例えば図5)の第1ロッド7aを第1実施例(例えば図2)の第6軸P6で軸支してもよい。但し、これらの場合、リアゲート4bがベッセル3の後端を上下に横切るようにベッセル3の後端位置を設定しておく必要がある。即ち、これらの場合におけるリアゲート開時には、リアゲート4bはベッセル3の後端を下方へと横切って下がり、そして、全開時にベッセル3の後端部の背面に位置させることができる。
【0031】(3)第1、第2実施例では、第2、第3軸P2、P3を夫々別途に設けたが、これらを同軸としても第1、第2実施例での上記作用は同じである。この場合、第1、第2実施例と比較して第2、第3軸P2、P3を一つの軸としたことによる簡素化のほか、例えば製造上及び使用上の経済上の利益が生ずる。
【0032】(4)第1、第2実施例におけるリンク6dは、図示する通り、いわゆるルーズ式とするのが望ましい。このようにすると、例えばリアゲート閉時にベッセル3の後端とリアゲート5bとの間に物体が挟まれていたときに不慮に生ずる異常荷重(所定荷重以上)から実施例機構の破損を防止できる。具体的には、リアゲート閉時の異常荷重を主に吸収するのであれば、第1実施例ならば、リンク6dは所定荷重以上の圧縮荷重を受けてその荷重がさらに大きくなるに従って縮むように構成する。第2実施例ならば、リンク6dは所定荷重以上の引っ張り荷重を受けてその荷重がさらに大きくなるに従って伸びるように構成する。勿論、リアゲート開時の異常荷重も吸収するのであれば、第1、2実施例でのリンク6dは所定荷重以上の引っ張り及び圧縮荷重を受けて、その荷重がさらに大きくなるに従って伸び及び縮むのいずれにも夫々対処できるように構成すればよい。尚、「ルーズ式」とは俗称であり、スプリング式は勿論のこと、例えば単動シリンダ又は複動シリンダとアキュムレータとを組み合わせた液圧式がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例を搭載する例機の側面図。
【図2】図1のK部拡大図であり、リアゲート閉時(ベッセル伏せ時)を示す。
【図3】第1実施例の組立図。
【図4】図1のK部拡大図であり、リアゲート開時(ベッセル起立時)を示す。
【図5】第2実施例の拡大図であり、リアゲート閉時(ベッセル伏せ時)を示す。
【図6】第2実施例の拡大図であり、リアゲート開時(ベッセル起立時)を示す。
【図7】従来のリアゲート自動開閉機構を備えたダンプトラックの部分側面図。
【符号の説明】
1:車体フレーム、3:ベッセル、5a:アーム、5b:リアゲート、6:四節リンク、6c:第1リンク、6d:第2リンク、7:変換リンク、d1、d2:所定距離、P1〜P7:第1〜第7軸、θ:所定の内角、Δθ:所定の内角の変化量。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 車体フレーム(1)に対し第1軸(P1)によって起伏自在に軸支したベッセル(3)と、ベッセル(3)に対し第2軸(P2)によって起伏自在に軸支したアーム(5a)の後端に設けられてアーム(5a)の起伏に応じてベッセル(3)の後端との間で開閉するリアゲート(5b)とを有するダンプトラックのリアゲート開閉機構において、第1軸(P1)と、第1軸(P1)から所定距離(d1)だけ後方へ離間してベッセル(3)に設けた第3軸(P3)と、第1軸(P1)から所定距離(d2)だけ下方へ離間して車体フレーム(1)に設けた第4軸(P4)と、第3軸(P3)によって起伏自在に基端を軸支した第1リンク(6c)と第4軸(P4)によって起伏自在に基端を軸支した第2リンク(6d)との両先端を軸支する第5軸(P5)とを順次連結した4本のリンク(6a〜6d)でなる四節リンク(6)を有すると共に、ベッセル(3)の伏せ時のベッセル(3)の後端との間でリアゲート(5b)が閉じた状態における四節リンク(6)の所定の内角(θ=θo)を基準として、ベッセル(3)の起立に応じて変化する所定の内角(θ=θo+Δθ)の変化量(Δθ)をベッセル(3)の後端に対するリアゲート(5b)の開き量へと変換する変換リンク(7)をアーム(5a)と第1リンク(6c)との間に架設したことを特徴とするダンプトラックのリアゲート自動開閉機構。
【請求項2】 前記第2、第3軸(P2,P3)は、互いに同軸である請求項1記載のダンプトラックのリアゲート自動開閉機構。
【請求項3】 前記第2リンク(6d)は、所定荷重以上の引っ張り荷重を受けて、その荷重がさらに大きくなるに従って伸びる請求項1又は2記載のダンプトラックのリアゲート自動開閉機構。
【請求項4】 前記第2リンク(6d)は、所定荷重以上の圧縮荷重を受けて、その荷重がさらに大きくなるに従って縮む請求項1、2又は3記載のダンプトラックのリアゲート自動開閉機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2002−248983(P2002−248983A)
【公開日】平成14年9月3日(2002.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−50651(P2001−50651)
【出願日】平成13年2月26日(2001.2.26)
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)