説明

ダンプ式コンテナの後部ゲート

【課題】ダンプ式コンテナの後部ゲートに関して、自動的に、かつ電力を必要とせずに開放できるようにする。
【解決手段】コンテナ(410)の後端に位置しかつコンテナの2つの側壁の上部に回動可能に接続された後部ゲート(420)と、後部ゲートに鋼製ロープ(470)で接続している2つの重量体と(480)を含み、コンテナが傾けられると重量体が案内スロット(450)に沿って後部ゲートを引っ張るように移動して後部ゲートを回転させて開放する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダンプ式コンテナの後部ゲートに関し、より詳細には、自動的に、かつ電力を必要とせずに開放することができるダンプ式コンテナの後部ゲートに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、砂利用トラック、貨物トラックまたは清掃用トラックなどのトラックには、積荷を容易に降ろすためにダンプ式コンテナが通常備えられている。
【0003】
図1を参照すると、図1は従来のトラックコンテナを示す。図示のように、コンテナ110には後部ゲート120が備えられている。コンテナ110内の積荷を一度に降ろしたい場合には、コンテナ110を傾けるために昇降装置130が使用される。コンテナ110に回動可能に接続された後部ゲート120は、コンテナ110が傾けられると開放する。コンテナ110が大きく傾けられる程、後部ゲート120は大きく開放する。このとき、コンテナ110内の積荷は滑り落ち、コンテナ110から一度に降ろされる。また、コンテナ110には、コンテナが移動する際に(図示せず)後部ゲート120が開放するのを防止するために後部ゲート120をロックするロック装置がさらに備えられている。
【0004】
しかし、後部ゲート120は広く開放することができない。コンテナ110が大きな積荷を運搬し、それらを外に一度に降ろしたい場合には、積荷が後部ゲート120に衝撃を与える傾向がなお存在する。これにより後部ゲート120に損傷を与えてしまう。
【0005】
さらに、後部ゲート120のためのロック装置は空気圧で作動する。コンテナ110を運搬する車両が電力を有さない場合には、後部ゲート120を作動させるために、運転手は、運転車両から降りて空気圧管を組み立てなければならない。運転手が、コンテナ110を運搬する車両を運転車両から分離したい場合には、運転手は再び運転車両から降りて空気圧管を解体しなければならない。これは、運転手にとって非常に不便でありかつ危険である。
【0006】
図2を参照すると、図2は、製鋼工場における廃棄鋼を運搬するための従来のトラックコンテナを示す。コンテナ210には後部ゲート220が備えられている。後部ゲート220は、コンテナ210の両側にそれぞれ配置されたY字型ロッド260によって制御される。Y字型ロッド260の一端は、鎖270の一端に接続されている。鎖270の他端はシャーシ280に接続されている。Y字型ロッド260の分岐点262は、コンテナ210の側面に回動可能に接続されている。コンテナ210が上昇されると、鎖270は、Y字型ロッド260が時計周りに回転するのを防止して、後部ゲート220を開放する。コンテナ210が下降されると、Y字型ロッド260は、後部ゲート220の重量により時計回りに回転して、後部ゲート220を閉鎖する。
【0007】
しかし、コンテナ210内の積荷を一度に降ろしたい場合には、後部ゲート220を開放するために、運転手は運転車両から降りて鎖270をシャーシ280に接続しなければならない。これは、運転手にとって非常に不便でありかつ危険である。
【0008】
図3を参照すると、台湾専利第M335426号は、コンテナの後部ゲートの構造を開示している。2つの自動昇降装置340がコンテナ310の後部の両側にそれぞれ配置されている。後部ゲート320は、昇降装置340の先端に回動可能に接続されている。昇降装置340は、後部ゲート320を上昇させるために使用される。コンテナ310が昇降装置330によって上昇されると、後部ゲート320はコンテナ310から開放される。さらに、押圧装置350が、コンテナ310の下方であって、コンテナ310の後部近傍に配置されている。押圧装置350は電源352を使用してクランク354を駆動し、後部ゲート320を押圧する。このようにして、コンテナ310内の汚れた水の漏出を防止するために、後部ゲート320をコンテナ310に固く閉じることができる。後部ゲート320は、クランク354が開放された場合にのみ開放することができる。
【0009】
しかし、後部ゲート320および押圧装置350は、作動のために電力を必要とする。コンテナ310を運搬する車両が電力を有しない場合には、後部ゲート320を作動させるために、運転手は運転車両から降りて空気圧管を組み立てなければならない。運転手がコンテナ310を運搬する車両を運転車両から分離したい場合には、運転手は再び運転車両から降りて、空気圧管を解体しなければならない。これは、運転手にとって非常に不便でありかつ危険である。
【0010】
さらに、後部ゲート320は昇降装置340によって開放することができるが、後部ゲート320は、地面に対して垂直なままである。コンテナ310が廃棄鋼またはセメントブロックなどの大きな積荷を運搬し、かつそれらを外に一度に降ろしたい場合には、大きな積荷が後部ゲート320に衝撃を与える傾向がなお存在する。これにより、後部ゲート320および昇降装置340に損傷を与えてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】台湾専利第M335426号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、上記問題を解決するための解決法を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、ダンプ式コンテナの後部ゲートの構造を提供する。この構造は、コンテナの後端に位置しかつ2つの側壁に回動可能に接続された後部ゲートと、後部ゲートに接続している2つの重量体とを含み、コンテナが傾けられると、重量体は後部ゲートを引くように移動して、後部ゲートを回転させて開放する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、後部ゲートの開閉を制御するために電力は必要でない。従って、運転手は、後部ゲートを開放するために運転車両から降りる必要はない。
【0015】
さらに、本発明のコンテナは、製鋼工場または採掘工場において、廃棄鋼、セメントブロックなどを運搬するために使用することができる。後部ゲートのコンテナに対する開度は、軸受の位置を調整することによって制御することができる。これによって、コンテナが積荷を一度に降ろすために傾けられた際に、コンテナ内の積荷が後部ゲートに衝撃を与えるのを防止することができる。
【0016】
また、後部ゲートをロックするために電源を使用しなければならない従来のコンテナと比較した場合、本発明のロック装置は、電源を必要とせずに後部ゲートを確実にロックすることができる。
【0017】
本発明の上記ならびにさらなる目的、特徴および利点は、添付の図面を参照しながら行なわれる以下の詳細な説明からより容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】従来のトラックコンテナを示す。
【図2】製鋼工場において廃棄鋼を運搬するための従来のトラックコンテナを示す。
【図3】コンテナの後部ゲートの従来の構造を示す。
【図4】本発明に係るダンプ式コンテナの後部ゲートの構造を示す。
【図5】本発明に係るダンプ式コンテナの後部ゲートの構造の斜視図である。
【図6】図4の局所的な拡大図である。
【図7】コンテナが傾けられ、かつ後部ゲートが開放された状態の、本発明に係るダンプ式コンテナの後部ゲートの構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図4、図5および図7を参照すると、本発明に係るダンプ式コンテナの後部ゲートの構造は、コンテナ410の後端に配置された後部ゲート420を含む。後部ゲート420は、コンテナ410の2つの側壁412に回動可能に接続されており、回転させて開放することができる。2つのロッド460が側壁412上にそれぞれ配置されている。ロッド460の中間部分は、側壁412の上部に回動可能に接続されている。ロッド460の一端は後部ゲート420に接続されており、他端は鋼製ロープ470に接続されている。図6を参照すると、コンテナ410が上昇されて傾けられた際の後部ゲート420のコンテナ410に対する開度を制御するために、2つの軸受442および1つの車軸444が各側壁412の上部に配置されている。車軸444は、軸受442に対して回転することができる。軸受442の位置は調整可能である。車軸444は、ロッド460の中間部分にある丸い穴462を貫通している。さらに、コンテナ410内の積荷が軸受442に損傷を与えるのを防止するために、保護カバー446が軸受442の上方に配置されている。
【0020】
案内スロット450が各側壁412の下部に配置されている。重量体480が各案内スロット450内に配置されており、各案内スロット450に沿って摺動することができる。重量体480は鋼製ロープ470の一端に接続されている。2つの重量体480の総重量は後部ゲート420の重量よりも大きい。さらに、複数の滑車490が各側壁412上に配置されている。鋼製ロープ470はこれらの滑車490に掛架されている。
【0021】
コンテナ410の移動中に積荷の衝撃によって後部ゲート420が開放してコンテナ410内の積荷が落下するのを防止するために、2つのロック装置430が側壁412の後部にそれぞれ配置されている。各ロック装置430は、フック432およびバランスウェイト434を含む。フック432は、側壁412に回動可能に接続されており、後部ゲート420が開放しないように後部ゲート420の開口部422に掛止させることができる。フック432は、コンテナ410が傾けられた場合にもバランスウェイト434の支援によりなお水平に位置付けることができる。
【0022】
本発明によれば、コンテナ410が上昇されて傾けられた場合にも、フック432は、バランスウェイト434の支援によりなお水平に位置付けられ、後部ゲート420から徐々に分離する。コンテナ410がさらに傾けられると(例えば、最大10〜15°)、フック432は後部ゲート420から完全に分離する。コンテナ410が傾けられ続けると(例えば、最大25〜30°)、2つの側壁412にある重量体480が案内スロット450に沿って摺動し始める。重量体480をより容易に摺動させるために、複数の車輪482が重量体480の底の4つの角に配置されている。重量体480が摺動すると、それにより鋼製ロープ470が引っ張られる。次に、鋼製ロープ470によって、ロッド460が引っ張られ、回動位置の周りを回転する。ロッド460は後部ゲート420に確実に接続されているため、鋼製ロープ470の引っ張りによりロッド460が回転すると、後部ゲート420は徐々に開放する。コンテナ410が大きく傾けられる程、後部ゲート420はより大きく開放する。重量体480がストッパ452と接触すると、重量体480の移動は停止する。このとき、後部ゲート420の開放は終了する。その後、コンテナ410内の積荷が外に一度に降ろされ、コンテナ410が下降されると、後部ゲート420はそれ自体の重量により下方に回転する。次に、後部ゲート420によって、ロッド460および鋼製ロープ470が駆動して重量体480が適所に引き戻される。このとき、フック432は、後部ゲート420が開放できないように後部ゲート420に掛止される。
【0023】
本発明によれば、コンテナ410が傾けられた際にフック432を後部ゲート420から容易に分離させるために、プルーフマス438が各側壁412上に配置されている。コンテナ410が傾けられると、プルーフマス438は案内スロット450に沿って摺動する。プルーフマス438にある突出部材436は、ロック装置430のバランスウェイト434に衝突して、フック432を回転させて後部ゲート420から分離させる。さらに、コンテナ410内の積荷が外に一度に降ろされ、コンテナ410が下降されると、プルーフマス438はバランスウェイト434から分離する。このとき、フック432は後部ゲート420に掛止される。
【0024】
本発明によれば、後部ゲートの開閉を制御するために電力は必要でない。従って、運転手は後部ゲートを開放するために運転車両から降りる必要はない。
【0025】
さらに、本発明のコンテナは、製鋼工場または採掘工場において、廃棄鋼、セメントブロックなどを運搬するために使用することができる。後部ゲートのコンテナに対する開度は、軸受の位置を調整することによって制御することができる。これにより、積荷を一度に降ろすためにコンテナが傾けられた際に、コンテナ内の積荷が後部ゲートに衝突するのを防止することができる。
【0026】
また、後部ゲートをロックするために電源を使用しなければならない従来のコンテナと比較した場合、本発明のロック装置は、電源を必要とせずに後部ゲートを確実にロックすることができる。
【0027】
本発明の好ましい実施形態を例示のために開示してきたが、当業者であれば、添付の特許請求の範囲に開示されている本発明の範囲および精神から逸脱せずに、様々な修正、追加および置換が可能であることが分かるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの側壁を有するダンプ式コンテナの後部ゲートの構造であって、
前記コンテナの後端に位置し、かつ前記2つの側壁に回動可能に接続された後部ゲートと、
前記後部ゲートに接続している2つの重量体と、
を含み、
前記コンテナが傾けられると、前記重量体が前記後部ゲートを引っ張るように移動して、前記後部ゲートを回転させて開放する構造。
【請求項2】
前記側壁にそれぞれ配置され、かつ前記重量体がそれぞれの中に配置されている2つの案内スロットと、
それぞれが中間部分、第1の端部および第2の端部を有する2つのロッドであって、前記ロッドの前記中間部分が前記側壁にそれぞれ回動可能に接続されており、かつ前記ロッドの前記第2の端部が前記後部ゲートに接続されているロッドと、
前記重量体を前記ロッドの前記第1の端部にそれぞれ接続させる2つのロープと、
をさらに含み、
前記コンテナの傾きにより前記重量体が前記案内スロット内を摺動すると、前記重量体によって前記ロープを介して前記ロッドが引っ張られて回転し、前記ロッドによって前記後部ゲートを回転させて開放する、請求項1に記載の後部ゲートの構造。
【請求項3】
前記重量体の底に配置された複数の車輪をさらに含む、請求項2に記載の後部ゲートの構造。
【請求項4】
前記側壁に配置された複数の滑車をさらに含み、かつ
前記ロープが前記滑車に掛架されている、請求項2に記載の後部ゲートの構造。
【請求項5】
前記側壁の上部に配置された4つの軸受と、
前記側壁の上部に配置された2つの車軸と、
をさらに含み、
前記車軸がそれぞれ2つの軸受によって回転し、前記ロッドの前記中間部分が前記車軸に回動可能に接続されており、かつ前記ロッドが前記車軸によって回転することができる、請求項2に記載の後部ゲートの構造。
【請求項6】
前記軸受の上方に配置された2つの保護カバーをさらに含む、請求項5に記載の後部ゲートの構造。
【請求項7】
前記重量体の総重量が前記後部ゲートの重量よりも大きい、請求項2に記載の後部ゲートの構造。
【請求項8】
前記後部ゲートが2つの開口部を有し、かつ
前記後部ゲートの前記開口部にロックするように構成され、前記側壁にそれぞれ回動可能に接続された2つのロック装置をさらに含む、請求項2に記載の後部ゲートの構造。
【請求項9】
前記ロック装置がそれぞれ、
前記後部ゲートの前記開口部に掛止されるように構成されたフックと、
前記フックに接続しているバランスウェイトであって、前記フックを水平に位置付けるように構成されたバランスウェイトと、
を含む、請求項8に記載の後部ゲートの構造。
【請求項10】
前記側壁にそれぞれ配置された2つのプルーフマスをさらに含み、
前記プルーフマスが、前記コンテナが傾けられて前記フックが回転して前記後部ゲートから分離すると、摺動して前記バランスウェイトに衝突するように構成されている、請求項9に記載の後部ゲートの構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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