説明

ダンボール箱

【課題】隙間なく収納された複数の物品を容易に取り出すことができる段ボール箱を提供する。
【解決手段】胴部を形成する複数の側板と、該側板に連設された複数の天板と底板からなる段ボール箱であって、側板と該側板に連接された天板間にわたり二本の切り込み線を設けて、収納物品の上縁部の少なくとも一部およびそれに続く側面の少なくとも一部を露出するための開口の形成を可能とした物品取出補助部を配設したことを特徴とする物品を隙間なく収納するためのダンボール箱。
【効果】隙間なく収納された複数の物品の中で、最初に取り出す物品を容易に把持することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、角柱状の外形を有する物品の複数個を隙間なく収納した段ボール箱から、簡便に物品を取り出すことができるよう物品取出補助部を設置した段ボール箱に関するものであり、さらに詳しくは、側板と該側板に連接された天板間にわたり二本の切り込み線を設けて、収納物品の上縁部の少なくとも一部およびそれに続く側面の少なくとも一部を露出するための開口の形成を可能とした物品取出補助部を配設した段ボール箱に関するものである。本発明の段ボール箱は、隙間なく充填されている物品を最初から簡単に手で把持することができるように開口を設けたことを特徴とするものであり、物品を輸送した後の取り扱いを容易に、また効率的とするものである。
【背景技術】
【0002】
一般に段ボール箱とは、段ボールシートを素材とする箱を指し、軽さと強度、構造に由来する衝撃吸収性、何度も折りたたんでは組み立てて使用できる利便性などから、宅配便、引越しなど運送業や、果物など貯蔵、輸送、酒や醤油などの液体を詰めた瓶類の運送などの分野で広く使用されている。通常は折りたたむと一枚の平坦な板状になり、蓋を相互に折り込むことにより段ボール箱だけで再度組み立てられるが、再使用の際にはガムテープ、クラフトテープ、OPPテープなどの粘着テープを使うことが多い。機械などの重量物を入れる場合は、接着剤を使い、さらに金具またはバンドで固定して補強することにより使用が可能となる。ダンボール箱にはA式(A形)・B式(B形)・C式(C形)などの形状があるが、最も普及しているのはA式(A形)と呼ばれる形状であり、箱の上下に開閉可能な蓋がついている青果などの運搬によく使用されている形式のものである。
【0003】
ダンボール箱に物品を収納するには、通常、工場などにおいては自動化された装置が利用され、量産された物品が短時間の内に積み込まれる。しかしながら、消費者の近くになるにしたがってダンボール箱に収納された物品を取り出すには人間が直接介在する機会が多くなり、その作業はやっかいのものとなることが多い。そこで、ダンボール箱内に収納した物品を如何にして効率よく安全に、面倒な作業を必要とすることなく取り出すことができるかということが、ダンボール輸送の一つ解決すべき課題となり技術開発が行われてきた。ダンボール箱からの物品の取り出しを容易にするためには、ダンボール箱の構造に改良を加えた技術が数多く提案されている。こうしたダンボール箱の改善技術の例を次に説明する。
【0004】
段ボール箱に収納した物品の取出しには、段ボール箱の一部を切り裂くこと、または一部を削除することにより開口を設けることが行なわれており、開口の形成に工夫がなされている。例えば、縦長形状の段ボール箱内に収容されている植物等を損傷させることなく簡単に取出すことができるようにするために、段ボール箱の一つの天面部に手掛け孔を設け、この天面部に続く側面部の両側縁に断続切れ目をそれぞれ設け、手掛け孔に手を掛けて天面部を外側に引張ると、天面部から側面部を外側に大きく切り開くことができ、生じた開放面から植物などの大きな物品を取り出すことができる段ボール箱(特許文献1)や、自動車の修理工場・整備工場等で修理作業を行う際、作業者の汚れた作業服でお客様の自動車のシートを汚してしまうのを防止するための簡易な使い捨てシートカバーを一枚づつ折り畳み、複数枚を段ボール箱に積層収納し、この段ボール箱の適宜位置に、中に収納したポリエチレンフィルムを個別に取り出すための取り出し口を形成した収納箱がある(特許文献2)。
【0005】
段ボール箱に、帯状の切裂部の切り裂きにより段ボール箱に開口部を設けることが行われている。例えば、帯状切裂の形状に特徴を有するものとして、切裂部に沿って切裂いて内容物を取り出すようにした段ボール箱において、前記帯状切裂部を2本の近接しかつ並行するカットラインで構成すると共に、前記2本のカットラインの間隔を帯状切裂部の引っ張り始端から終端に向かって漸減するように形成することにより帯状の断裂部が途中で切れることなく、ワンタッチで、しかも綺麗に開封できる段ボール箱(特許文献3)が提案されている。
また、切裂部の切り目に特徴があるダンボールの例として、側板に積み重ね方向に充分な強度を維持できかつ開封の容易なカット線を設けることにより、積み重ねたまま側板を開封して内容物の取り出しが行えるようにした段ボール箱には、たとえば、側板を左右に二分する上下方向のカット線を設け、この上下方向のカット線を、カット方向に不連続な2条の不連続切り目とし、かつこの不連続切り目の各切り目を、段ボールの表裏両外面のライナを貫通してカット方向に向かって外向きに広がる斜め切り目と、裏面のライナの斜め切り目の外側端を起点にしてカット方向に延びかつ表面のライナに達しない深さの平行した切り目とによって形成した段ボール箱(特許文献4)が提案されている。
【0006】
工場から客先までの間は、商品を梱包して安全に輸送し、商品の到着後は一時保管が可能とし、かつ、内容品を簡単に取り出すことができる梱包用ダンボール箱として、箱体の一側面にノックアウト式に設けられた蓋体を有し、物品を梱包するダンボール箱であって、該蓋体は上記箱体の一側面の上部に設けられた上辺と、該上辺の両端部に繋がり側片と下辺とを形成する一連の破断状の切込部とを設けて構成され、上記下辺の略中央部には舌状体が延設されるとともに、上記破断状の切込部を切り離した後は、上記蓋体が上辺を軸として開閉自在に施蓋する梱包用ダンボール箱(特許文献5)が提案されている。
【0007】
さらに、他の取り出し方法の例として、家電製品、事務機器などの大型の商品を一台収納した段ボール箱から商品を一人で取り出し作業は容易ではないため、簡単な構成を追加してコストをかけずに被収容物の取り出し作業が容易となる包装箱を提供した例がある。例えば、事務機器等を収容する段ボール箱であって、2以上の側面に形成されたミシン線を破断することにより上記足掛け用孔を有する構成とすることがき、また、ミシン線を破断することにより該ミシン線に囲われる側面部が外側へ倒れ、これが踏付け用舌片を形成可能とする構造が設けられている(特許文献6、7)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002-362545号公報
【特許文献2】実開平6−37190号公報
【特許文献3】実開平5-77023号公報
【特許文献4】特開平9−309526号公報
【特許文献5】特開2007-186221号公報
【特許文献6】特開2001-163323号公報
【特許文献7】特開2002-347748号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
段ボール箱は、一般的には輸送用の用途として広く使われ、軽量ながら、外部の衝撃から中のものを守る緩衝性があり、機密性があり、耐久性にもすぐれるため国内はもとより海外まで安全に保護して輸送することができる容器である。また、段ボール箱は軽くて、丈夫で、内容物に見合ったサイズで簡単に作れるので包装コストが抑えられるばかりか、最近では美粧化印刷技術がすすんだおかげで、店頭展示品や販促パッケージとしてもその使用範囲を広めている。今日、物流合理化・省力化・スピードアップは企業が次世代に向かって生き残れるための大切な戦略の中で、紙器・段ボール箱は独自の経済性と効率性、リサイクル性で大きな戦力となり物流革命の一翼を担っている。
【0010】
段ボール箱に商品などの物品を収納するには、通常、生産されてラインを流れてくる物品を把持して一度に箱詰めする自動化装置が使用されていることが多く人手を必要とすることはほとんどない。しかしながら、ダンボール箱詰めされた物品は、例えば、箱単位で必要とされる需要先である商店などへと搬送され、そこで物品が取り出され店先へ陳列される場合では、物品は人が一個ずつ取り出す必要があることが多い。物品が裸ビンや缶詰などであれば、段ボール箱内の物品間には空間が残っていているため、その空間に指を入れて物品を取り出すことは容易である。
しかしながら、物品が、例えば、直方体、立方体などの形状をしていると、段ボール箱には物品が空間なく収納されているため、物品に指を掛けるために必要な空間が上部にはないため取り出すことが困難となることはしばしば経験されたことである。ダンボール箱の開口部より一個の物品を取り出すことにより空間が形成されるので、二個目からの取出しには何ら困難は生じない。
【0011】
本発明者らは、このような状況の中で、段ボール箱に隙間なく収納された物品の最初の一個を容易に取り出すことができる構造の段ボール箱を開発することを目標に鋭意研究を積み重ねることにより、側板と該側板に連接された天板間にわたり二本の切り込み線を設けて収納物品の上縁部の少なくとも一部およびそれに続く側面の少なくとも一部を露出するための開口の形成を可能とした物品取出補助部を配設した段ボール箱からなる本発明を完成させるに至ったものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段により構成される。
(1) 胴部を形成する複数の側板と、該側板に連設された複数の天板と底板からなる段ボール箱であって、側板と該側板に連接された天板間にわたり二本の切り込み線を設けて、収納物品の上縁部の少なくとも一部およびそれに続く側面の少なくとも一部を露出するための開口の形成を可能とした物品取出補助部を配設したことを特徴とする物品を隙間なく収納するためのダンボール箱。
(2) 二本の切り込み線の両上端を結ぶ線、および切り込み線の両下端を結ぶ線に沿っては切り込みが設けられていない物品取出補助部が形成されている上記(1)に記載の物品を隙間なく収納するためのダンボール箱。
(3) 二本の切り込み線の両上端を結ぶ線に沿っての切り込み、および切り込み線の両下端を結ぶ線に沿っての切り込みが設けられた物品取出補助部が形成されている上記(1)に記載の物品を隙間なく収納するためのダンボール箱。
(4) 側板間の接続線に平行した二本の切り込み線により物品取出補助部が形成されている上記(1)から(3)のいずれかに記載の物品を隙間なく収納するためのダンボール箱。
(5) 上端での間隔と下端での間隔が異なるように設けられた二本の切り込み線により形成された物品取出補助部を有する上記(1)から(3)のいずれかに記載の物品を隙間なく収納するためのダンボール箱。
(6) 切り込み線が、ミシン目またはダンボール箱素材断面の一部を切断することにより形成され切断可能となっている上記(1)から(5)のいずれかに記載の物品を隙間なく収納するためのダンボール箱。
(7) 収納物品の外形が、四角柱形状または収納時に複数の収納物品の組み合わせにより形成された四角柱形状である上記(1)から(6)のいずれかに記載の物品を隙間なく収納するためのダンボール箱。
(8) 物品取出補助部の二本の切り込み線間を結ぶ屈曲用の折り目が設けられている上記(1)から(7)のいずれかに記載の物品を隙間なく収納するためのダンボール箱。
(9)ミシン目が型の押圧により形成されている上記(6)に記載の物品を隙間なく収納するためのダンボール箱。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、収納物品の上縁部の少なくとも一部およびそれに続く側面の少なくとも一部を露出するための開口の形成を可能とした物品取出補助部を設けた収納物品の取出しが容易な段ボール箱を提供することができる。本発明の段ボール箱の作製には、簡単な工程の追加を必要とするに過ぎないため、段ボール箱の製造コストが著しく上昇することはない。また、小さな部分的加工のためダンボール箱の強度などの特性を損なうことがなく、所定箇所に正確に物品取出補助部の開口を形成することができる。ミシン目により切り込み線を形成することにより、開口端面の段ボール紙がカミソリのように鋭利となることが避けられるため、切り込み端面と接触することに伴う手への創傷を抑制することができる。さらに、段ボール箱に収納された物品の取出しが人手により容易となるため作業効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】4個の物品を隙間なく収納した段ボール箱の天板を開放し物品取出補助部の開口を設けた状態を示す。
【図2】物品取出補助部の開口の構造を示す。
【図3】図2の段ボール箱を側面から見た開口の構造を示す。
【図4】二段に物品が収納されている段ボール箱に、長尺な物品取出補助部の開口を設けて下段の物品の取り出しにも備えた構造を示す。
【図5】本発明の段ボール箱の展開図を示す。
【図6】物品取出補助部の第2の形状を示す。
【図7】物品取出補助部の第3の形状を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、胴部を形成する複数の側板と、該側板に連設された複数の天板と底板からなる段ボール箱であって、側板と該側板に連接された天板間にわたり二本の切り込み線を設けて収納物品の上縁部の少なくとも一部およびそれに続く側面の少なくとも一部を露出するための開口の形成を可能とした物品取出補助部を配設したダンボール箱に関するものであり、特に、四角柱の外形を有する物品を隙間なくまたは密に収納した段ボール箱から最初の物品を取り出すための物品取出補助部が配設されている。
【0016】
段ボール箱内には、直方体や立方体などの角柱状の外形をなす物品が収納されると、輸送コストの低減の観点から物品は段ボール箱内に隙間のないように収納されるので、物品は相互に接触し、また段ボール箱の内壁とも接触している。さらに蓋を開けたときには段ボール箱の側板上端と物品の上縁部とは一致していることから物品を指で持ち上げることができる程度の空間さえ見出すことはできない。そうすると、段ボール箱の側板を押す、物品を片寄せるなどして指が入る空間を形成することが必要となるが、これは指先などに力が加わる力仕事となるばかりか、物品の破損または変形など不測の事故が起こりかねない。本発明では、簡単に物品を取り出すための物品取出補助部を形成されている。
【0017】
[段ボール箱]
段ボール箱は、段ボールシートを素材としこれを箱状に加工したものである。段ボールシートは、通常、原紙を多層構造で強靭にし、包装資材などに使用できるよう加工した板状の紙製品であり、波状に加工した紙を表裏の紙で挟んで接着し、強度を持たせた構造をしているダンボールは、強じんな板紙(ライナー)に波形のしわをつけた紙(中芯)を貼り合せた構造になっている。段ボール箱には多くの形状、構造が異なるものが市販されているなかで、本発明で使用される段ボール箱は特に限定されないが、上蓋、下蓋および収納部が一体に形成されて直方体や立方体などの角柱形状をなす、例えば、みかん箱形状(図1)のものとすることが好ましい。
【0018】
[収納物品]
本発明の段ボール箱に収納される物品のとしては、例えば、四角柱形状などの直方体や立方体をした物品を指すが、通常は、段ボール箱の内形状と相似形の物品または複数個を組み合わせることにより段ボールの内形状と相似形を形成する物品が典型的な例である。具体的には、化粧箱に入った化粧品や酒類が典型的な例であり、さらに、箱入りの菓子類などが例示されるが、具体的なこれらの物品に限定されるものではない。
特に、大容量のビンに詰められた酒類などが化粧箱に入れられて段ボール箱に稠密に収納されると、外形は大きくしかもかなりの重量があるため、段ボール箱間に僅かな空間を見出しても最初にこれを取り出すには比較的大きな力を必要とし、容易ではない。段ボール内から最初の物品を取り出すことができない場合には、段ボール箱を破壊するか、ひっくり返して物品を取り出すしか方法がなくこうした手荒な手段には収納物の破壊などの問題がある。
また、収納物の外形は四角柱状ではないが段ボール箱に収納する際に四角柱状を形成するように詰め込まれる例、すなわち、収納時に複数の収納物品を組み合わせることにより四角柱形状となる物品に対しても本発明を適用される。例えば、三角柱状の物品二個を組み合わせて四角柱状となし、これを一単位として段ボール箱に多数が収納される。このように、物品の形状に応じて本発明の段ボール箱中に物品が収納される。
【0019】
[物品取出補助部]
本発明は、段ボール箱から最初に物品を取り出す際に有用な物品取出補助部を形成するものであり、収納物品の上縁部の少なくとも一部、およびそれに続く側面の少なくとも一部を露出するための開口が形成される。物品が収納された段ボール箱の上蓋を開くとともに物品取出補助部の切り込み線を切断して開口を設けると、物品の上面と側面の一部が露出される。そこで、物品の上面と側面を手がかりにすると最初の物品が段ボール箱から簡単に取り出すことができる。
【0020】
物品取出補助部は、側板と該側板に連接された天板間にわたり二本の切り込み線を設けて収納物品の上縁部の少なくとも一部およびそれに続く側面の少なくとも一部を露出するための開口を切り込み線の切断により形成することを可能としたものであり、これらの切り込み線は、通常、段ボール箱の製造工程で加工される。
図1には、4個の角柱状の物品が段ボール箱に隙間なく収納され、物品取出補助部による開口が形成されている例を示す、開口からは物品の側面および上縁部が露出されている。開口が形成されている段ボール箱を側面から見た立体図が図2に示す。開口が形成された段ボール箱を真横から見た状態を図3に示す。天板と側板が形成する角度θが180度未満の範囲で天板を外方に開いた時に物品取出補助部は天板と側板から離れて開口を形成する。図3では切り込み線を切断した物品取出補助部は箱に付属したままの状態であるが物品を取り出すに支障はない。また、物品取出補助部は切り取られてもよく(図4)、物品取出補助部を完全に段ボール箱から除去すると開口から物品へさらに容易に接触することができる。
【0021】
物品取出補助部の開口の形状は、図2などに示す長方形、図7または図8に示すような台形の形状や、波状の湾曲した部分のある線分を有する形状などをしていてもよく、それらの形状に段ボール素材を切り取るか、左右の切り込み線のみを切断することで開口が形成される。左右の切り込み線のみを切断して開口部を切り取らない場合には、物品取出補助部に切り取り線と直交した折り目を予め形成して開口の形成および保持に役立てることができる。
【0022】
[物品取出補助部の設置位置]
開口すなわち物品取出補助部は、側板と該側板に連接された天板間にわたり二本の切り込み線を設けて収納物品の上縁部の少なくとも一部およびそれに続く側面の少なくとも一部を露出することができる場所であれば特に限定されないが、例えば、開口の端部が段ボール箱に収納されている物品と物品の境界に設置される(図1)、開口が物品間の境界に跨って設置される(図4)、開口が物品の幅と同じ長さで幅に対応して設置されるなどの例が挙げられるが、収納する物品の性状に応じて選択される。段ボール箱内には物品が二段以上に積み上げられている場合がある。最上段の物品が全て取り出されると、次段において最初に物品を取り出すには、最上段と同じような問題が再び生じる。この問題を解決するには、最上段の物品と次段の物品とが同じを物品取出補助部により設けられた開口を利用して取り出せるようにすることが好ましい。それには、次段の物品の上縁部および側面をも露出するように開口を延長して設けておくことにより解決される。図4には収納物品を二段に積み上げた場合に物品取出補助部の開口を延長して設けたときの外観を示す。
【0023】
切り込み線の形成は、物品取出補助部での開口の形成を容易にして手への創傷を抑制すること、および所定箇所に正確に開口を設けることを目的として行われるが、従来技術が適用され、例えば、櫛状に凸部が連続して多数設置されている型を押圧することでミシン目が形成される。また、段ボール素材の表面および/または裏面から切断刃により完全に切り離さない程度に切込みを入れることにより切り込み線が形成される。
【0024】
次に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。
【実施例1】
【0025】
本発明の段ボール箱において、二本の平行した切り込み線61,61を側板1と天板間2に物品取出補助部6を設けた具体例を以下に説明する。
本発明の段ボール箱は、まず、段ボール素材(板)を図5で太い実線で示す部分を切断し、細い実線で示す部分は圧搾棒などにより押圧して溝を設けて折り目とする。物品取出補助部6は段ボール素材を裁断する工程において設けられる。図5における物品取出補助部6の細い実線の部分は切り込み線61であり、櫛歯上に多数の鋭い歯を連続して有するミシン目形成具を段ボール素材に押圧し、段ボール素材を貫通する一連の貫通孔を設けることにより形成される。物品取出補助部6の切り込み線61は天板2と側板1との接続部(折り目)を横切って形成される。切り込み線61は、側板1と側板1の折り目に平行に設けられている。
【0026】
図4には、244×318×211mmの段ボール箱内は、244×107×107mmの寸法を有する直方体からなる化粧箱が収納されるように設計され、720mLの酒ビンが化粧箱で包装されている。物品取出補助部6は長さ110mmの二本の切り込み線61,61が45mm間隔で設けられていて、切り込み線61に直交して折り線62が設けられている。開口は収納物品の幅の約40%で設けた。また、両切り込み線の上端を結ぶ線63および下端を結ぶ線63にはそれぞれ折り線が設けられて、切り込み線61を切断した後の開口5を安定して維持できるようにしている。図2には、開口5を形成した後の段ボール箱の外観を示す。開口5からは、収納物品の側面7および上縁部4が露出している。図2における段ボール箱を真横から見たのが図3である。物品取出補助部6に設けた折り目63により屈曲した形状を維持することが容易となる。
図1には、物品を収納した段ボール箱の外観を示すが、ここでは4個の物品として図示している。本実施例の段ボール箱内から最初の化粧箱3を取り出すにあたり開口5から化粧箱3を利用して容易に掴み持ち上げることができた。
【実施例2】
【0027】
本実施例では、物品取出補助部6の形状を変更した段ボール箱を製造した。段ボール箱の製造は実施例1と同様に行った。物品取出補助部6の形状を台形とした例を図6および図7に示す。物品取出補助部6の切り込み線61は容易に切断できるように段ボール素材の断面を一部残すように直線状に切断することにより形成した。切り込み線61の両端を結ぶ線63には、切り込み線61と同様に容易に切断できるようにすることにより、物品取出補助部6を取り除いて開口5を形成させた。このとき、開口5には物品に指などで接触することが妨げられることがなく取り出しがより簡便となった。
また、実施例1と同様に両端63を切り離さない状態であっても物品の取り出しには何ら困難は生じなかった。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、段ボール箱に隙間なく複数の物品が収納されている場合に、最初に取り出す物品の把持を容易にするものであって、収納物品の上縁部の少なくとも一部およびそれに続く側面の少なくとも一部を露出するための開口の形成を可能とした物品取出補助部を配設した四角柱の外形を有する物品を収納するためのダンボール箱を提供するものである。本発明の段ボール箱を利用することにより、収納された物品の取り出しは簡便となり、輸送後の処置を効率的にまた多大な労力をかけないようになすことができる。
【符号の説明】
【0029】
1:側板
2:天板
3:収納物品
31:第1段の収納物品
32:第2段の収納物品
4:収納物品の上縁部
41:第1段集の物品の上縁部
42:第2段収納物品の上縁部
5:物品取出補助部の開口
6:物品取出補助部
61:切り込み線
62:折り目
63:切り込み線端部を結ぶ線(切り込み線または折り線)
7:収納物品の側面
71:第1段の収納物品の側面
72:第2段の収納物品の側面
8:底板





【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴部を形成する複数の側板と、該側板に連設された複数の天板と底板からなる段ボール箱であって、側板と該側板に連接された天板間にわたり二本の切り込み線を設けて、収納物品の上縁部の少なくとも一部およびそれに続く側面の少なくとも一部を露出するための開口の形成を可能とした物品取出補助部を配設したことを特徴とする物品を隙間なく収納するためのダンボール箱。
【請求項2】
二本の切り込み線の両上端を結ぶ線、および切り込み線の両下端を結ぶ線に沿っては切り込みが設けられていない物品取出補助部が形成されている請求項1に記載の物品を隙間なく収納するためのダンボール箱。
【請求項3】
二本の切り込み線の両上端を結ぶ線に沿っての切り込み、および切り込み線の両下端を結ぶ線に沿っての切り込みが設けられた物品取出補助部が形成されている請求項1に記載の物品を隙間なく収納するためのダンボール箱。
【請求項4】
側板間の接続線に平行した二本の切り込み線により物品取出補助部が形成されている請求項1から3のいずれかに記載の物品を隙間なく収納するためのダンボール箱。
【請求項5】
上端での間隔と下端での間隔が異なるように設けられた二本の切り込み線により形成された物品取出補助部を有する請求項1から3のいずれかに記載の物品を隙間なく収納するためのダンボール箱。
【請求項6】
切り込み線が、ミシン目、またはダンボール箱素材断面の一部を切断することにより形成され切断可能となっている請求項1から5のいずれかに記載の物品を隙間なく収納するためのダンボール箱。
【請求項7】
収納物品の外形が、四角柱形状または収納時に複数の収納物品の組み合わせにより形成された四角柱形状である請求項1から6のいずれかに記載の物品を隙間なく収納するためのダンボール箱。
【請求項8】
物品取出補助部の二本の切り込み線間を結ぶ屈曲用の折り目が設けられている請求項1から7のいずれかに記載の物品を隙間なく収納するためのダンボール箱。
【請求項9】
ミシン目が型の押圧により形成されている請求項6のいずれかに記載の物品を隙間なく収納するためのダンボール箱。






【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−240964(P2011−240964A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−114977(P2010−114977)
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【出願人】(000177508)三和酒類株式会社 (11)
【Fターム(参考)】