説明

チアゾリルビフェニルアミド類

【課題】ブドウの栽培並びに果実及び野菜の作物の保護及び材料物質の保護において植物病原性菌類(Plasmodiophoromycetes、Oomycetes、Chytridiomycetesなど)、植物病原性細菌類(Pseudomonadaceae、Rhizobiaceaeなど)、及び植物病原性ウイルスなどの微生物を防除することに使用できるチアゾリルビフェニルアミド類の提供。
【解決手段】下記一般式(I)で表されるチアゾリルビフェニルアミド類。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規チアゾリルビフェニルアミド類、それらを調製するための複数の方法、並びに、作物の保護及び材料物質の保護において有害な微生物を防除するための該チアゾリルビフェニルアミド類の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの種類のカルボキシアニリド類が殺菌特性を有することは既に知られている(例えば、EP−0545099を対照されたい)。それに記載されている化合物の活性は良好であるが、場合によっては、低施用量においては、不充分である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0545099号明細書
【発明の概要】
【0004】
本発明は、式(I):
【0005】
【化1】

[式中、
、R、R、R及びRは、互いに独立して、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C〜C−アルキル、C〜C−アルケニル、C〜C−アルコキシ、C〜C−アルキルチオ、C〜C−アルキルスルホニル若しくはC〜C−シクロアルキルを表すか、又は、C〜C−ハロアルキル、C〜C−ハロアルコキシ、C〜C−ハロアルキルチオ若しくはC〜C−ハロアルキルスルホニル(ここで、これらは、それぞれの場合に、1〜5個のハロゲン原子を有する)を表し;
さらに、RとR、又は、RとRは、一緒に、アルケニレン(ここで、該アルケニレンは、場合により、ハロゲン又はC〜C−アルキルで置換されていてもよい)を表し;
は、C〜C−アルキル、C〜C−アルキルスルフィニル、C〜C−アルキルスルホニル、C〜C−アルコキシ−C〜C−アルキル若しくはC〜C−シクロアルキルを表すか、又は、C〜C−ハロアルキル、C〜C−ハロアルキルスルファニル、C〜C−ハロアルキルスルフィニル、C〜C−ハロアルキルスルホニル、ハロ−C〜C−アルコキシ−C〜C−アルキル若しくはC〜C−ハロシクロアルキル(ここで、これらは、それぞれの場合に、1〜9個のフッ素原子、塩素原子及び/又は臭素原子を有する)を表すか、又は、−COR、−CONR若しくは−CHNR1011を表し;
は、水素、C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、C〜C−アルコキシ−C〜C−アルキル若しくはC〜C−シクロアルキルを表すか、又は、C〜C−ハロアルキル、C〜C−ハロアルコキシ、ハロ−C〜C−アルコキシ−C〜C−アルキル若しくはC〜C−ハロシクロアルキル(ここで、これらは、それぞれの場合に、1〜9個のフッ素原子、塩素原子及び/又は臭素原子を有する)を表すか、又は、4−(ジフルオロメチル)−2−メチル−1,3−チアゾール−2−イルを表し;
及びRは、互いに独立して、水素、C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ−C〜C−アルキル若しくはC〜C−シクロアルキルを表すか、又は、C〜C−ハロアルキル、ハロ−C〜C−アルコキシ−C〜C−アルキル若しくはC〜C−ハロシクロアルキル(ここで、これらは、それぞれの場合に、1〜9個のフッ素原子、塩素原子及び/又は臭素原子を有する)を表し;
さらに、RとRは、それらが結合している窒素原子と一緒に、5〜8個の環原子を有する飽和ヘテロ環を形成し、その際、該ヘテロ環は、場合により、ハロゲン及びC〜C−アルキルからなる群から選択される同一であるか又は異なっている置換基により1置換又は多置換されていてもよく、また、該ヘテロ環は、さらに、酸素、硫黄及びNR12からなる群から選択される1個又は2個の隣接していないヘテロ原子を含んでいてもよく;
10及びR11は、互いに独立して、水素、C〜C−アルキル若しくはC〜C−シクロアルキルを表すか、又は、C〜C−ハロアルキル若しくはC〜C−ハロシクロアルキル(ここで、これらは、それぞれの場合に、1〜9個のフッ素原子、塩素原子及び/又は臭素原子を有する)を表し;
さらに、R10とR11は、それらが結合している窒素原子と一緒に、5〜8個の環原子を有する飽和ヘテロ環を形成し、その際、該ヘテロ環は、場合により、ハロゲン及びC〜C−アルキルからなる群から選択される同一であるか又は異なっている置換基により1置換又は多置換されていてもよく、また、該ヘテロ環は、さらに、酸素、硫黄及びNR12からなる群から選択される1個又は2個の隣接していないヘテロ原子を含んでいてもよく;
及び、
12は、水素又はC〜C−アルキルを表す]
で表される新規チアゾリルビフェニルアミド類を提供する。
【0006】
さらに、
(A) 塩基の存在下、及び、希釈剤の存在下で、式(II):
【0007】
【化2】

[式中、R、R、R、R及びRは上記で定義されているとおりである]
で表されるチアゾリルビフェニルアミドを、式(III):
−X (III)
[式中、
は、上記で定義されているとおりであり;
及び、
Xは、塩素、臭素又はヨウ素を表す]
で表されるハロゲン化物と反応させた場合、式(I)で表されるチアゾリルビフェニルアミド類が得られることが見いだされた。
【0008】
最後に、式(I)で表される新規なチアゾリルビフェニルアミドが、非常に優れた殺菌特性を有していて、作物の保護及び材料物質(materials)の保護のいずれにおいても、望ましくない微生物を防除するのに使用することが可能であることが見いだされた。
【0009】
驚くべきことに、本発明の式(I)のチアゾリルビフェニルアミドは、同じ作用標的を有する従来技術の構造的に最も類似している活性化合物と比べて、非常に優れた殺菌活性を有している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のチアゾリルビフェニルアミド類の一般的な定義は、式(I)によって与えられる。上記式及び下記式において挙げられている置換基の好ましい定義を以下に示す。それらは、前駆物質及び中間体も適用される。
【0011】
、R、R、R及びRは、互いに独立して、好ましくは、水素、フッ素、塩素、臭素、シアノ、ニトロ、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、メトキシ、エトキシ、メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、イソプロピルチオ、シクロプロピル、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、トリフルオロエチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、ジフルオロクロロメトキシ、トリフルオロエトキシ、ジフルオロメチルチオ、ジフルオロクロロメチルチオ又はジフルオロメチルチオを表す。
【0012】
さらに、RとR、又は、RとRは、一緒に、好ましくは、ブタジエンジイルを表し、ここで、該ブタジエンジイルは、場合により、フッ素、塩素、臭素又はメチルで置換されていてもよい。
【0013】
は、好ましくは、C〜C−アルキル、C〜C−アルキルスルフィニル、C〜C−アルキルスルホニル、C〜C−アルコキシ−C〜C−アルキル若しくはC〜C−シクロアルキルを表すか、又は、C〜C−ハロアルキル、C〜C−ハロアルキルスルファニル、C〜C−ハロアルキルスルフィニル、C〜C−ハロアルキルスルホニル、ハロ−C〜C−アルコキシ−C〜C−アルキル若しくはC〜C−ハロシクロアルキル(ここで、これらは、それぞれの場合に、1〜9個のフッ素原子、塩素原子及び/又は臭素原子を有する)を表すか、又は、−COR、−CONR若しくは−CHNR1011を表す。
【0014】
は、好ましくは、水素、C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、C〜C−アルコキシ−C〜Cアルキル若しくはC〜C−シクロアルキルを表すか、又は、C〜C−ハロアルキル、C〜C−ハロアルコキシ、ハロ−C〜C−アルコキシ−C〜C−アルキル若しくはC〜C−ハロシクロアルキル(ここで、これらは、それぞれの場合に、1〜9個のフッ素原子、塩素原子及び/又は臭素原子を有する)を表すか、又は、4−(ジフルオロメチル)−2−メチル−1,3−チアゾール−2−イルを表す。
【0015】
及びRは、互いに独立して、好ましくは、水素、C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ−C〜C−アルキル若しくはC〜C−シクロアルキルを表すか、又は、C〜C−ハロアルキル、ハロ−C〜C−アルコキシ−C〜C−アルキル若しくはC〜C−ハロシクロアルキル(ここで、これらは、それぞれの場合に、1〜9個のフッ素原子、塩素原子及び/又は臭素原子を有する)を表す。
【0016】
さらに、RとRは、それらが結合している窒素原子と一緒に、好ましくは、5〜8個の環原子を有する飽和ヘテロ環を形成し、その際、該ヘテロ環は、場合により、ハロゲン及びC〜C−アルキルからなる群から選択される同一であるか又は異なっている置換基により1〜4置換されていてもよく、また、該ヘテロ環は、さらに、酸素、硫黄及びNR12からなる群から選択される1個又は2個の隣接していないヘテロ原子を含んでいてもよい。
【0017】
10及びR11は、互いに独立して、好ましくは、水素、C〜C−アルキル若しくはC〜C−シクロアルキルを表すか、又は、C〜C−ハロアルキル若しくはC〜C−ハロシクロアルキル(ここで、これらは、それぞれの場合に、1〜9個のフッ素原子、塩素原子及び/又は臭素原子を有する)を表す。
【0018】
さらに、R10とR11は、それらが結合している窒素原子と一緒に、好ましくは、5〜8個の環原子を有する飽和ヘテロ環を形成し、その際、該ヘテロ環は、場合により、ハロゲン及びC〜C−アルキルからなる群から選択される同一であるか又は異なっている置換基により1置換又は多置換されていてもよく、また、該ヘテロ環は、さらに、酸素、硫黄及びNR12からなる群から選択される1個又は2個の隣接していないヘテロ原子を含んでいてもよい。
【0019】
12は、好ましくは、水素又はC〜C−アルキルを表す。
【0020】
、R、R、R及びRは、互いに独立して、特に好ましくは、水素、フッ素、塩素、臭素、シアノ、メチル、メトキシ、メチルチオ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメチルチオ又はトリフルオロメチルチオを表す。
【0021】
は、特に好ましくは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、n−プロピルスルフィニル、イソプロピルスルフィニル、n−ブチルスルフィニル、イソブチルスルフィニル、s−ブチルスルフィニル、t−ブチルスルフィニル、メチルスルホニル、エチルスルホニル、n−プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニル、n−ブチルスルホニル、イソブチルスルホニル、s−ブチルスルホニル、t−ブチルスルホニル、メトキシメチル、メトキシエチル、エトキシメチル、エトキシエチル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、トリフルオロエチル、ジフルオロメチルスルファニル、ジフルオロクロロメチルスルファニル、トリフルオロメチルスルファニル、トリフルオロメチルスルフィニル、トリフルオロメチルスルホニル、トリフルオロメトキシメチル、−COR、−CONR又は−CHNR1011を表す。
【0022】
は、特に好ましくは、水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、メトキシ、エトキシ、t−ブトキシ、シクロプロピル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ又は4−(ジフルオロメチル)−2−メチル−1,3−チアゾール−2−イルを表す。
【0023】
及びRは、互いに独立して、特に好ましくは、水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、メトキシメチル、メトキシエチル、エトキシメチル、エトキシエチル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、トリフルオロエチル又はトリフルオロメトキシメチルを表す。
【0024】
さらに、RとRは、それらが結合している窒素原子と一緒に、特に好ましくは、モルホリン、チオモルホリン及びピペラジンからなる群から選択される飽和ヘテロ環を形成し、その際、該ヘテロ環は、場合により、フッ素、塩素、臭素及びメチルからなる群から選択される同一であるか又は異なっている置換基により1〜4置換されていてもよく、また、該ピペラジンは、その第二の窒素原子がR12により置換されていてもよい。
【0025】
10及びR11は、互いに独立して、特に好ましくは、水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、メトキシメチル、メトキシエチル、エトキシメチル、エトキシエチル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、トリフルオロエチル又はトリフルオロメトキシメチルを表す。
【0026】
さらに、R10とR11は、それらが結合している窒素原子と一緒に、特に好ましくは、モルホリン、チオモルホリン及びピペラジンからなる群から選択される飽和ヘテロ環を形成し、その際、該ヘテロ環は、場合により、フッ素、塩素、臭素及びメチルからなる群から選択される同一であるか又は異なっている置換基により1〜4置換されていてもよく、また、該ピペラジンは、その第二の窒素原子がR12により置換されていてもよい。
【0027】
12は、特に好ましくは、水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル又はt−ブチルを表す。
【0028】
特に極めて好ましいのは、それぞれの場合に、ラジカルR、R、R、R及びRの内の4つが水素を表す、式(I)のチアゾリルビフェニルアミドである。
【0029】
特に極めて好ましいのは、R、R、R及びRが、それぞれ、水素を表し、且つ、Rが、上記で定義されているとおりである、式(I)のチアゾリルビフェニルアミドである。
【0030】
特に極めて好ましいのは、R、R、R及びRが、それぞれ、水素を表し、且つ、Rが、フッ素、塩素、臭素、メチル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ又はトリフルオロメチルチオを表す、式(I)のチアゾリルビフェニルアミドである。
【0031】
特に極めて好ましいのは、R、R及びRが、それぞれ、水素を表し、且つ、R及びRが、互いに独立して、上記で定義されているとおりである、式(I)のチアゾリルビフェニルアミドである。
【0032】
特に極めて好ましいのは、R、R及びRが、それぞれ、水素を表し、且つ、R及びRが、互いに独立して、フッ素、塩素、臭素、メチル又はトリフルオロメチルを表す、式(I)のチアゾリルビフェニルアミドである。
【0033】
特に極めて好ましいのは、R、R及びRが、それぞれ、水素を表し、且つ、R及びRが、互いに独立して、上記で定義されているとおりである、式(I)のチアゾリルビフェニルアミドである。
【0034】
特に極めて好ましいのは、R、R及びRが、それぞれ、水素を表し、且つ、R及びRが、互いに独立して、フッ素、塩素、臭素、メチル又はトリフルオロメチルを表す、式(I)のチアゾリルビフェニルアミドである。
【0035】
特に極めて好ましいのは、R、R及びRが、それぞれ、水素を表し、且つ、R及びRが、互いに独立して、上記で定義されているとおりである、式(I)のチアゾリルビフェニルアミドである。
【0036】
特に極めて好ましいのは、R、R及びRが、それぞれ、水素を表し、且つ、R及びRが、互いに独立して、フッ素、塩素、臭素、メチル又はトリフルオロメチルを表す、式(I)のチアゾリルビフェニルアミドである。
【0037】
特に極めて好ましいのは、Rが−CORを表し、Rが4−(ジフルオロメチル)−2−メチル−1,3−チアゾール−2−イルを表す、式(I)のチアゾリルビフェニルアミドである。
【0038】
特に極めて好ましいのは、Rが−CORを表し、Rが、メチル、エチル、シクロプロピル又はトリフルオロメチル、特に、メチルを表す、式(I)のチアゾリルビフェニルアミドである。
【0039】
特に極めて好ましいのは、Rが−CHOを表す、式(I)のチアゾリルビフェニルアミドである。
【0040】
特に極めて好ましいのは、Rが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、メチルスルフィニル、メチルスルホニル、メトキシメチル、エトキシエチル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチルスルファニル、トリフルオロメチルスルフィニル、トリフルオロメチルスルホニル又はトリフルオロメトキシメチル、特に、メチル、イソプロピル又はシクロプロピルを表す、式(I)のチアゾリルビフェニルアミドである。
【0041】
好ましい群は、式(I−a)で表されるチアゾリルビフェニルアミドである。
【0042】
【化3】

上記式中、
、R、R、R及びRは、互いに独立して、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C〜C−アルキル、C〜C−アルケニル、C〜C−アルコキシ、C〜C−アルキルチオ、C〜C−アルキルスルホニル若しくはC〜C−シクロアルキルを表すか、又は、C〜C−ハロアルキル、C〜C−ハロアルコキシ、C〜C−ハロアルキルチオ若しくはC〜C−ハロアルキルスルホニル(ここで、これらは、それぞれの場合に、1〜5個のハロゲン原子を有する)を表し;
さらに、RとR、又は、RとRは、一緒に、アルケニレン(ここで、該アルケニレンは、場合により、ハロゲン又はC〜C−アルキルで置換されていてもよい)を表し;
6aは、C〜C−アルキル、C〜C−アルキルスルフィニル、C〜C−アルキルスルホニル、C〜C−アルコキシ−C〜C−アルキル若しくはC〜C−シクロアルキルを表すか、又は、C〜C−ハロアルキル、C〜C−ハロアルキルスルファニル、C〜C−ハロアルキルスルフィニル、C〜C−ハロアルキルスルホニル、ハロ−C〜C−アルコキシ−C〜C−アルキル若しくはC〜C−ハロシクロアルキル(ここで、これらは、それぞれの場合に、1〜9個のフッ素原子、塩素原子及び/又は臭素原子を有する)を表すか、又は、−COR7a、−CONR若しくは−CHNR1011を表し;
7aは、水素若しくはC〜C−シクロアルキルを表すか、又は、C〜C−ハロシクロアルキル(ここで、該ハロシクロアルキルは、それぞれの場合に、1〜9個のフッ素原子、塩素原子及び/又は臭素原子を有する)を表すか、又は、4−(ジフルオロメチル)−2−メチル−1,3−チアゾール−2−イルを表し;
及びRは、互いに独立して、水素、C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ−C〜C−アルキル若しくはC〜C−シクロアルキルを表すか、又は、C〜C−ハロアルキル、ハロ−C〜C−アルコキシ−C〜C−アルキル若しくはC〜C−ハロシクロアルキル(ここで、これらは、それぞれの場合に、1〜9個のフッ素原子、塩素原子及び/又は臭素原子を有する)を表し;
さらに、RとRは、それらが結合している窒素原子と一緒に、5〜8個の環原子を有する飽和ヘテロ環を形成し、その際、該ヘテロ環は、場合により、ハロゲン及びC〜C−アルキルからなる群から選択される同一であるか又は異なっている置換基により1置換又は多置換されていてもよく、また、該ヘテロ環は、さらに、酸素、硫黄及びNR12からなる群から選択される1個又は2個の隣接していないヘテロ原子を含んでいてもよく;
10及びR11は、互いに独立して、水素、C〜C−アルキル若しくはC〜C−シクロアルキルを表すか、又は、C〜C−ハロアルキル若しくはC〜C−ハロシクロアルキル(ここで、これらは、それぞれの場合に、1〜9個のフッ素原子、塩素原子及び/又は臭素原子を有する)を表し;
さらに、R10とR11は、それらが結合している窒素原子と一緒に、5〜8個の環原子を有する飽和ヘテロ環を形成し、その際、該ヘテロ環は、場合により、ハロゲン及びC〜C−アルキルからなる群から選択される同一であるか又は異なっている置換基により1置換又は多置換されていてもよく、また、該ヘテロ環は、さらに、酸素、硫黄及びNR12からなる群から選択される1個又は2個の隣接していないヘテロ原子を含んでいてもよく;
及び、
12は、水素又はC〜C−アルキルを表す。
【0043】
本発明のチアゾリルビフェニルアミド類の一般的な定義は、式(I−a)によって与えられる。該式において挙げられている置換基の好ましい定義を以下に示す。
【0044】
、R、R、R、R、R、R、R10、R11及びR12は、互いに独立して、好ましくは、特に好ましくは、及び、特に極めて好ましくは、本発明の式(I)の化合物の記述に関連して、それぞれ、それらのラジカルについて、好ましい、特に好ましい、及び、特に極めて好ましいものとして既に挙げられている意味を有する。
【0045】
6aは、好ましくは、C〜C−アルキル、C〜C−アルキルスルフィニル、C〜C−アルキルスルホニル、C〜C−アルコキシ−C〜C−アルキル若しくはC〜C−シクロアルキルを表すか、又は、C〜C−ハロアルキル、C〜C−ハロアルキルスルファニル、C〜C−ハロアルキルスルフィニル、C〜C−ハロアルキルスルホニル、ハロ−C〜C−アルコキシ−C〜C−アルキル若しくはC〜C−ハロシクロアルキル(ここで、これらは、それぞれの場合に、1〜9個のフッ素原子、塩素原子及び/又は臭素原子を有する)を表すか、又は、−COR7a、−CONR若しくは−CHNR1011を表す。
【0046】
7aは、好ましくは、水素若しくはC〜C−シクロアルキルを表すか、又は、C〜C−ハロシクロアルキル(ここで、該ハロシクロアルキルは、それぞれの場合に、1〜9個のフッ素原子、塩素原子及び/又は臭素原子を有する)を表すか、又は、4−(ジフルオロメチル)−2−メチル−1,3−チアゾール−2−イルを表す。
【0047】
6aは、特に好ましくは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、n−プロピルスルフィニル、イソプロピルスルフィニル、n−ブチルスルフィニル、イソブチルスルフィニル、s−ブチルスルフィニル、t−ブチルスルフィニル、メチルスルホニル、エチルスルホニル、n−プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニル、n−ブチルスルホニル、イソブチルスルホニル、s−ブチルスルホニル、t−ブチルスルホニル、メトキシメチル、メトキシエチル、エトキシメチル、エトキシエチル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、トリフルオロエチル、ジフルオロメチルスルファニル、ジフルオロクロロメチルスルファニル、トリフルオロメチルスルファニル、トリフルオロメチルスルフィニル、トリフルオロメチルスルホニル、トリフルオロメトキシメチル、−COR7a、−CONR又は−CHNR1011を表す。
【0048】
7aは、特に好ましくは、水素、シクロプロピル又は4−(ジフルオロメチル)−2−メチル−1,3−チアゾール−2−イルを表す。
【0049】
さらに、R、R、R、R及びRの少なくとも1つは水素を表さない式(I−a)のチアゾリルビフェニルアミドも好ましい。
【0050】
さらに、R、R、R、R及びRが、上記意味を有するが、しかしハロゲンは表さない、式(I−a)の化合物も好ましい。
【0051】
さらに、R、R、R、R及びRの少なくとも1つは水素を表さず、且つ、R、R、R、R及びRが、互いに独立して、ハロゲンは表さない、式(I−a)の化合物も好ましい。
【0052】
出発物質として、N−(4’−ブロモ−1,1’−ビフェニル−2−イル)−4−(ジフルオロメチル)−2−メチル−1,3−チアゾール−5−カルボキサミド及び塩化アセチルを使用する場合、本発明による調製方法(A)の過程は、下記式により表すことができる。
【0053】
【化4】

【0054】
本発明の調製方法(A)を実施するための出発物質として必要とされるチアゾリルビフェニルアミドの一般的な定義は、式(II)によって与えられる。該式において、R、R、R、R及びRは、好ましくは、特に好ましくは、及び、特に極めて好ましくは、本発明の式(I)の化合物の記述に関連して、それぞれ、それらのラジカルについて、好ましい、特に好ましい、及び、特に極めて好ましいものとして既に挙げられている意味を有する。
【0055】
式(II)で表されるチアゾリルビフェニルアミドは、DE−A10204391において記述されている。それらは、
(a) 適切な場合には酸結合剤(例えば、トリエチルアミン)の存在下、及び、適切な場合には希釈剤(例えば、テトラヒドロフラン)の存在下で、式(IV):
【0056】
【化5】

[式中、Xは、ハロゲンを表す]
で表されるジフルオロメチルチアゾリルカルボニルハライドを、式(V):
【0057】
【化6】

[式中、R、R、R、R及びRは、上記で定義されているとおりである]
で表されるアニリン誘導体と反応させることにより調製することが可能であるか、
又は、
(b) 触媒(例えば、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウム(II)クロリド)の存在下、及び、適切な場合には酸結合剤(例えば、酢酸カリウム)の存在下、及び、適切な場合には希釈剤(例えば、ジメチルスルホキシド)の存在下で、式(VI):
【0058】
【化7】

[式中、Xは、臭素又はヨウ素を表す]
で表されるジフルオロメチルチアゾリルカルボキシハロアニリドを、式(VII):
【0059】
【化8】

[式中、R、R、R、R及びRは、上記で定義されているとおりであり、G及びGは、各々水素を表すか、又は、GとGは、一緒にテトラメチルエチレンを表す]
で表されるボロン酸誘導体と反応させることにより調製することが可能であるか、
又は、
(c) 触媒(例えば、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウム(II)クロリド)の存在下、及び、適切な場合には酸結合剤(例えば、酢酸カリウム)の存在下、及び、適切な場合には希釈剤(例えば、ジメチルスルホキシド)の存在下で、式(VIII):
【0060】
【化9】

[式中、G及びGは、各々水素を表すか、又は、GとGは、一緒にテトラメチルエチレンを表す]
で表されるチアゾリルビフェニルアミドボロン酸誘導体を、式(IX):
【0061】
【化10】

[式中、R、R、R、R及びRは、上記で定義されているとおりであり、Xは、臭素、ヨウ素又はトリフルオロメチルスルホニルオキシを表す]
で表されるハロベンゼン誘導体とと反応させることにより調製することが可能である。
【0062】
本発明の調製方法(a)を実施するための出発物質として必要とされるジフルオロメチルチアゾリルカルボニルはライドの一般的な定義は、式(IV)によって与えられる。該式(IV)において、Xは、好ましくは、塩素を表す。
【0063】
式(IV)で表されるジフルオロメチルチアゾリルカルボニルハライドは、公知であるか、及び/又は、公知方法により調製することが可能である(例えば、EP−0276177を対照されたい)。
【0064】
本発明の調製方法(a)を実施するための出発物質としてさらに必要とされるアニリンの一般的な定義は、式(V)によって与えられる。該式(V)において、R、R、R、R及びRは、好ましくは、特に好ましくは、及び、特に極めて好ましくは、本発明の式(I)の化合物の記述に関連して、それぞれ、それらのラジカルについて、好ましい、特に好ましい、及び、特に極めて好ましいものとして既に挙げられている意味を有する。
【0065】
式(V)で表されるアニリン誘導体は、公知であるか、及び/又は、公知方法により調製することが可能である(例えば、以下の文献を対照されたい:Bull. Korean Chem. Soc. 2000,21,165−166;Chem. Pharm. Bull. 1992,40,240−4;JP−09132567)。
【0066】
本発明の調製方法(b)を実施するための出発物質として必要とされるジフルオロメチルチアゾリルカルボキシハロアニリドの一般的な定義は、式(VI)によって与えられる。該式(VI)において、Xは、好ましくは、臭素又はヨウ素を表す。
【0067】
式(VI)で表されるジフルオロメチルチアゾリルカルボキシハロアニリドは、
(d) 式(IV):
【0068】
【化11】

[式中、Xは、ハロゲンを表す]
で表されるジフルオロメチルチアゾリルカルボニルハライドを、2−ブロモアニリン又は2−ヨードアニリンと反応させることにより調製することが可能である。
【0069】
本発明の調製方法(d)を実施するための出発物質として必要とされる式(IV)のジフルオロメチルチアゾリルカルボニルハライドは、本発明の調製方法(a)に関連して、上記で既に記述してある。
【0070】
本発明の調製方法(d)を実施するための出発物質としてさらに必要とされる化合物2−ブロモアニリン又は2−ヨードアニリンは、合成のための公知化学薬品である。
【0071】
本発明の調製方法(b)を実施するための出発物質としてさらに必要とされるボロン酸誘導体の一般的な定義は、式(VII)によって与えられる。該式(VII)において、R、R、R、R及びRは、好ましくは、特に好ましくは、及び、特に極めて好ましくは、本発明の式(I)の化合物の記述に関連して、それぞれ、それらのラジカルについて、好ましい、特に好ましい、及び、特に極めて好ましいものとして既に挙げられている意味を有する。G及びGは、好ましくは、各々水素を表すか、又は、GとGは、一緒に、テトラメチルエチレンを表す。
【0072】
式(VII)のボロン酸誘導体は、合成のための公知化学薬品である。それらは、上記反応の直前に、ハロベンゼン誘導体とボロン酸エステルから直接調製して、後処理に付すことなくさらに反応させることも可能である(調製実施例も参照されたい)。
【0073】
本発明の調製方法(c)を実施するための出発物質として必要とされるチアゾリルビフェニルアミドボロン酸誘導体の一般的な定義は、式(VIII)によって与えられる。該式(VIII)において、G及びGは、好ましくは、各々水素を表すか、又は、GとGは、一緒に、テトラメチルエチレンを表す。
【0074】
式(VIII)で表されるチアゾリルビフェニルアミドボロン酸誘導体は、
(e) 適切な場合には酸結合剤の存在下、及び、適切な場合には希釈剤の存在下で、式(IV):
【0075】
【化12】

[式中、Xは、ハロゲンを表す]
で表されるジフルオロメチルチアゾリルカルボニルハライドを、式(X):
【0076】
【化13】

[式中、G及びGは、上記で定義されているとおりである]
で表されるアニリンボロン酸誘導体と反応させることにより調製することが可能である。 本発明の調製方法(e)を実施するための出発物質として必要とされる式(IV)のジフルオロメチルチアゾリルカルボニルハライドは、本発明の調製方法(a)に関連して、上記で既に記述してある。
【0077】
本発明の調製方法(e)を実施するための出発物質としてさらに必要とされるアニリンボロン酸誘導体の一般的な定義は、式(X)によって与えられる。該式(X)において、G及びGは、好ましくは、各々水素を表すか、又は、GとGは、一緒に、テトラメチルエチレンを表す。
【0078】
本発明の調製方法(e)を実施するための出発物質として必要とされる式(X)のアニリンボロン酸誘導体は、合成のための公知化学薬品である。
【0079】
本発明の調製方法(c)を実施するための出発物質としてさらに必要とされるハロベンゼン誘導体の一般的な定義は、式(IX)によって与えられる。該式(IX)において、R、R、R、R及びRは、好ましくは、特に好ましくは、及び、特に極めて好ましくは、本発明の式(I)の化合物の記述に関連して、それぞれ、それらのラジカルについて、好ましい、特に好ましい、及び、特に極めて好ましいものとして既に挙げられている意味を有する。Xは、好ましくは、臭素、ヨウ素又はトリフルオロメチルスルホニルオキシを表す。
【0080】
本発明の調製方法(A)を実施するための出発物質としてさらに必要とされるハロゲン化物の一般的な定義は、式(III)によって与えられる。該式において、Rは、好ましくは、特に好ましくは、及び、特に極めて好ましくは、本発明の式(I)の化合物の記述に関連して、それぞれ、それらのラジカルについて、好ましい、特に好ましい、及び、特に極めて好ましいものとして既に挙げられている意味を有する。Xは、好ましくは、塩素又は臭素を表す。
【0081】
式(III)で表されるハロゲン化物は、合成のための公知化学薬品である。
【0082】
本発明の調製方法(A)を実施するのに適切な希釈剤は、全ての不活性有機溶媒である。そのようなものとしては、好ましくは、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素又は芳香族炭化水素、例えば、石油エーテル、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン又はデカリンなど;ハロゲン化炭化水素、例えば、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン又はトリクロロエタンなど;エーテル類、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、メチルt−アミルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン又はアニソールなど;又は、アミド類、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルホルムアニリド、N−メチルピロリドン又はヘキサメチルリン酸トリアミドなどを挙げることができる。
【0083】
本発明の調製方法(A)は、適切な場合には、適切な酸受容体の存在下で実施する。適切な酸受容体は、全ての慣習的な無機塩基又は有機塩基である。そのようなものとしては、好ましくは、アルカリ土類金属又はアルカリ金属の水素化物、水酸化物、アミド、アルコキシド、酢酸塩、炭酸塩又は重炭酸塩、例えば、水素化ナトリウム、ナトリウムアミド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、酢酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム又は炭酸セシウムなどを挙げることができ、さらにまた、第三級アミン、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチルベンジルアミン、ピリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルアミノピリジン、ジアザビシクロオクタン(DABCO)、ジアザビシクロノネン(DBN)又はジアザビシクロウンデセン(DBU)なども挙げることができる。
【0084】
本発明の調製方法(A)を実施する場合、反応温度は比較的広い範囲で変えることができる。一般に、該調製方法は、0℃〜150℃の温度、好ましくは、20℃〜110℃の温度で実施する。
【0085】
式(I)で表される化合物を調製するために本発明の調製方法(A)を実施する場合、式(II)のチアゾリルビフェニルアミド1モル当たり、一般に、0.2〜5モル、好ましくは、0.5〜2モルの式(III)のハロゲン化物を用いる。
【0086】
本発明の調製方法(a)、調製方法(d)及び調製方法(e)を実施するのに適切な希釈剤は、全ての不活性有機溶媒である。そのようなものとしては、好ましくは、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素又は芳香族炭化水素、例えば、石油エーテル、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン又はデカリンなど;ハロゲン化炭化水素、例えば、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン又はトリクロロエタンなど;エーテル類、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、メチルt−アミルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン又はアニソールなど;又は、アミド類、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルホルムアニリド、N−メチルピロリドン又はヘキサメチルリン酸トリアミドなどを挙げることができる。
【0087】
本発明の調製方法(a)、調製方法(d)及び調製方法(e)は、適切な場合には、適切な酸受容体の存在下で実施する。適切な酸受容体は、全ての慣習的な無機塩基又は有機塩基である。そのようなものとしては、好ましくは、アルカリ土類金属又はアルカリ金属の水素化物、水酸化物、アミド、アルコキシド、酢酸塩、炭酸塩又は重炭酸塩、例えば、水素化ナトリウム、ナトリウムアミド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、酢酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム又は炭酸セシウムなどを挙げることができ、さらにまた、第三級アミン、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチルベンジルアミン、ピリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルアミノピリジン、ジアザビシクロオクタン(DABCO)、ジアザビシクロノネン(DBN)又はジアザビシクロウンデセン(DBU)なども挙げることができる。
【0088】
本発明の調製方法(a)、調製方法(d)及び調製方法(e)を実施する場合、反応温度は比較的広い範囲で変えることができる。一般に、該調製方法は、0℃〜150℃の温度、好ましくは、20℃〜110℃の温度で実施する。
【0089】
式(II)で表される化合物を調製するために本発明の調製方法(a)を実施する場合、式(IV)のジフルオロメチルチアゾリルカルボニルハライド1モル当たり、一般に、0.2〜5モル、好ましくは、0.5〜2モルの式(V)のアニリン誘導体を用いる。
【0090】
式(V)で表される化合物を調製するために本発明の調製方法(d)を実施する場合、式(IV)のジフルオロメチルチアゾリルカルボニルハライド1モル当たり、一般に、0.2〜5モル、好ましくは、0.5〜2モルの2−ブロモアニリン又は2−ヨードアニリンを用いる。
【0091】
式(VIII)で表される化合物を調製するために本発明の調製方法(e)を実施する場合、式(IV)のジフルオロメチルチアゾリルカルボニルハライド1モル当たり、一般に、0.2〜5モル、好ましくは、0.5〜2モルの式(X)のアニリンボロン酸誘導体を用いる。
【0092】
本発明の調製方法(b)及び調製方法(c)を実施するのに適切な希釈剤は、全ての不活性有機溶媒である。そのようなものとしては、好ましくは、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素又は芳香族炭化水素、例えば、石油エーテル、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン又はデカリンなど;エーテル類、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、メチルt−アミルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン又はアニソールなど;ニトリル類、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、n−ブチロニトリル、イソブチロニトリル又はベンゾニトリルなど;アミド類、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルホルムアニリド、N−メチルピロリドン又はヘキサメチルリン酸トリアミドなど;エステル類、例えば、酢酸メチル又は酢酸エチルなど;スルホキシド類、例えば、ジメチルスルホキシドなど;スルホン類、例えば、スルホランなど;アルコール類、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、エタンジオール、プロパン−1,2−ジオール、エトキシエタノール、メトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル又はジエチレングリコールモノエチルエーテルなど、それらと水との混合物、又は、純水などを挙げることができる。
【0093】
本発明の調製方法(b)及び調製方法(c)を実施する場合、反応温度は比較的広い範囲で変えることができる。一般に、該調製方法は、0℃〜150℃の温度、好ましくは、20℃〜110℃の温度で実施する。
【0094】
本発明の調製方法(b)及び調製方法(c)は、適切な場合には、適切な酸受容体の存在下で実施する。適切な酸受容体は、全ての慣習的な無機塩基又は有機塩基である。そのようなものとしては、好ましくは、アルカリ土類金属又はアルカリ金属の水素化物、水酸化物、アミド、アルコキシド、酢酸塩、フッ化物、リン酸塩、炭酸塩又は重炭酸塩、例えば、水素化ナトリウム、ナトリウムアミド、リチウムジイソプロピルアミド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム又は炭酸セシウムなどを挙げることができ、さらにまた、第三級アミン、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチルベンジルアミン、ピリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルアミノピリジン、ジアザビシクロオクタン(DABCO)、ジアザビシクロノネン(DBN)又はジアザビシクロウンデセン(DBU)なども挙げることができる。
【0095】
本発明の調製方法(b)及び調製方法(c)は、触媒、例えば、パラジウム塩又はパラジウム錯体などの存在下で実施する。そのようなものとしては、好ましくは、塩化パラジウム、酢酸パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジクロリド又は(1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウム(II)クロリド)などを挙げることができる。
【0096】
パラジウム塩及び錯体リガンド、例えば、トリエチルホスフィン、トリ−t−ブチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、2−(ジシクロヘキシルホスフィン)ビフェニル、2−(ジ−t−ブチルホスフィン)ビフェニル、2−(ジシクロヘキシルホスフィン)−2’−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル、トリフェニルホスフィン、トリス(o−トリル)ホスフィン、3−(ジフェニルホスフィノ)ベンゼンスルホン酸ナトリウム、トリス−2−(メトキシフェニル)ホスフィン、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィン)−1,1’−ビナフチル、1,4−ビス(ジフェニルホスフィン)ブタン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィン)エタン、1,4−ビス(ジシクロヘキシルホスフィン)ブタン、1,2−ビス(ジシクロヘキシルホスフィン)エタン、2−(ジシクロヘキシルホスフィン)−2’−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル、ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン又はトリス−(2,4−t−ブチルフェニル)ホスフィトなどを反応に別々に添加することにより、反応混合物中でパラジウム錯体を生成させることも可能である。
【0097】
式(II)で表される化合物を調製するために本発明の調製方法(b)を実施する場合、式(VI)のジフルオロメチルチアゾリルカルボキシハロアニリド1モル当たり、一般に、1〜15モル、好ましくは、2〜8モルの式(VII)のボロン酸誘導体を用いる。
【0098】
式(II)で表される化合物を調製するために本発明の調製方法(c)を実施する場合、式(VIII)のチアゾリルビフェニルアミドボロン酸誘導体1モル当たり、一般に、1〜15モル、好ましくは、2〜8モルの式(IX)のハロベンゼン誘導体を用いる。
【0099】
本発明の調製方法(A)、調製方法(a)、調製方法(b)、調製方法(c)及び調製方法(d)は、一般に、大気圧下で実施する。しかしながら、高圧下又は減圧下(一般に、0.1バール〜10バール)で行うことも可能である。
【0100】
本発明の化合物は、強力な殺菌活性を有し、作物の保護及び材料物質(materials)の保護において、菌類や細菌類のような望ましくない微生物を防除するのに使用することができる。
【0101】
殺菌剤(fungicide)は、作物保護において、Plasmodiophoromycetes、Oomycetes、Chytridiomycetes、Zygomycetes、Ascomycetes、Basidiomycetes、及び、Deuteromycetesを防除するのに使用することができる。
【0102】
殺細菌剤(bactericide)は、作物保護において、Pseudomonadaceae、Rhizobiaceae、Enterobacteriaceae、Corynebacteriaceae、及び、Streptomycetaceaeを防除するのに使用することができる。
【0103】
菌類病及び細菌病を引き起こす、上記で挙げた属名に属する何種類かの病原体の非限定的な例を挙げることができる:
Xanthomonas種、例えば、Xanthomonas campestris pv. oryzae;
Pseudomonas種、例えば、Pseudomonas syringae pv. lachrymans;
Erwinia種、例えば、Erwinia amylovora;
Pythium種、例えば、Pythium ultimum;
Phytophthora種、例えば、Phytophthora infestans;
Pseudoperonospora種、例えば、Pseudoperonospora humuli、又は、Pseudoperonospora cubensis;
Plasmopara種、例えば、Plasmopara viticola;
Bremia種、例えば、Bremia lactucae;
Peronospora種、例えば、Peronospora pisi、又は、P. brassicae;
Erysiphe種、例えば、Erysiphe graminis;
Sphaerotheca種、例えば、Sphaerotheca fuliginea;
Podosphaera種、例えば、Podosphaera leucotricha;
Venturia種、例えば、Venturia inaequalis;
Pyrenophora種、例えば、Pyrenophora teres、又は、P. graminea(分生子形態:Drechslera,同義語:Helminthosporium);
Cochliobolus種、例えば、Cochliobolus sativus(分生子形態:Drechslera,同義語:Helminthosporium);
Uromyces種、例えば、Uromyces appendiculatus;
Puccinia種、例えば、Puccinia recondita;
Sclerotinia種、例えば、Sclerotinia sclerotiorum;
Tilletia種、例えば、Tilletia caries;
Ustilago種、例えば、Ustilago nuda、又は、Ustilago avenae;
Pellicularia種、例えば、Pellicularia sasakii;
Pyricularia種、例えば、Pyricularia oryzae;
Fusarium種、例えば、Fusarium culmorum;
Botrytis種、例えば、Botrytis cinerea;
Septoria種、例えば、Septoria nodorum;
Leptosphaeria種、例えば、Leptosphaeria nodorum;
Cercospora種、例えば、Cercospora canescens;
Alternaria種、例えば、Alternaria brassicae;
及び、
Pseudocercosporella種、例えば、Pseudocercosporella herpotrichoides。
【0104】
本発明の活性化合物は、植物において、強力な強化作用(invigorating action)も有している。従って、本発明の活性化合物は、望ましくない微生物による攻撃に対して植物の内部防御を動員させるのに適している。
【0105】
これに関連して、植物を強化する化合物(抵抗性を誘導する化合物)は、植物の防御システムを刺激して、処理された植物が、その後で望ましくない微生物を接種されたときに、その微生物に対して実質的な抵抗性を示すことができるようにする物質を意味するものと理解される。
【0106】
この場合は、望ましくない微生物は、植物病原性菌類、植物病原性細菌及び植物病原性ウイルスを意味するものと理解される。従って、本発明の化合物を用いて、処理後ある一定の期間、上記病原体による攻撃に対して植物を保護することができる。この保護が可能な期間は、該活性化合物による植物の処理後、一般に、1〜10日間、好ましくは、1〜7日間である。
【0107】
植物病害を防除するために必要とされる濃度の該活性化合物に対して、植物は十分な耐性を有しているという事実により、植物の地上部、繁殖用根茎及び種子、並びに、土壌に対して処理することが可能である。
【0108】
本発明の活性化合物は、ブドウの栽培並びに果実及び野菜の栽培における病害を防除するために、例えば、Venturia種、Botrytis種、Sclerotinia種、Rhizoctonia種、Uncinula種、Sphaerotheca種、Podosphaera種、Alternaria種及びColletotrichum種に対して使用して、極めて良好な結果を得ることが可能である。Pyricularia種及びPellicularia種のようなイネの病害も同様に防除可能であり、良好な結果が得られる。
【0109】
本発明の活性化合物は、作物の収量を増大するのにも適している。さらに、本発明の活性化合物は、毒性が低く、植物により十分に許容される。
【0110】
適切な場合には、本発明の活性化合物は、ある特定の濃度及び施用量において、除草剤として使用することもできるし、植物の生長を調節するために使用することもできるし、また、害虫(animal pest)を防除するために使用することもできる。適切な場合には、本発明の活性化合物は、さらに、別の活性化合物を合成するための中間体又は前駆物質として使用することもできる。
【0111】
本発明により、全ての植物及び植物の一部分を処理することができる。本明細書において、植物というのは、望ましい及び望ましくない野生植物又は作物植物(自然発生した作物植物を包含する)のような全ての植物及び植物群を意味するものと理解される。作物植物は、慣習的な育種法及び最適化法によるか、又は、生物工学的方法及び遺伝子工学的方法によるか、又は、それら方法を組み合わせたものにより得ることが可能な植物であり得る。そのような作物植物には、トランスジェニック植物や、植物育種家の証明書により保護することができるか又は保護できない植物品種などが包含される。植物の一部分は、全ての地上部分及び地下部分、並びに、植物の器官、例えば、枝条、葉、花及び根などを意味するものと理解され、挙げることができる例は、葉、針状葉、茎、幹、花、果実体(fruit−body)、果実及び種子、並びに、根、塊茎及び根茎などである。植物の一部分には、さらに、収穫物(harvested material)、並びに、栄養繁殖器官及び生殖繁殖器官(vegetative and generative propagation material)、例えば、実生、塊茎、根茎、挿し穂及び種子なども包含される。
【0112】
本発明の活性化合物による植物の処理及び植物の一部分の処理は、慣習的な処理方法により、例えば、浸漬、散布、気化、噴霧、ばらまき(broadcasting)、塗布(brushing−on)又は注入により、また、繁殖器官(propagation material)、特に種子の場合は、さらに、単層コーティング又は多層コーティングにより、直接的に行うか、又は、植物若しくは植物の一部分の周囲の環境、生育地若しくは貯蔵領域に作用させることにより行う。
【0113】
材料物質の保護においては、望ましくない微生物による感染から工業材料を保護するか、又は、望ましくない微生物による破壊から工業材料を保護するために、本発明の活性化合物を用いることができる。
【0114】
これに関連して、工業材料とは、工業において使用するために準備された非生体材料を意味するものと理解される。例えば、微生物による変化又は破壊から本発明の活性化合物で保護することが意図されている工業材料は、粘着付与剤、サイズ、紙及び板紙、織物、皮革、木材、塗料及びプラスチック製品、冷却用潤滑油、並びに、微生物により破壊され得るか又は微生物により汚染され得る別の材料などであり得る。微生物の増殖により損なわれ得る製造プラントの部品、例えば、冷却水循環路なども、保護すべき材料の範囲のものとして挙げることができる。本発明の範囲内にあるものとして挙げることができる工業材料は、好ましくは、粘着付与剤、サイズ、紙及び板紙、皮革、木材、塗料、冷却用潤滑油及び熱媒液(heat−transfer liquid)であり、特に好ましくは、木材である。
【0115】
工業材料を変化又は劣化させることができる微生物として挙げることができるものは、例えば、細菌、菌類、酵母、藻類及び粘菌(slime organism)などである。本発明の活性化合物は、好ましくは、菌類、特に、カビ、材木を脱色及び破壊する菌類(Basidiomycetes)、並びに、粘菌(slime organism)及び藻類に対して作用させる。
【0116】
以下の属の微生物を例として挙げることができる。
【0117】
Alternaria、例えば、Alternaria tenuis;
Aspergillus、例えば、Aspergillus niger;
Chaetomium、例えば、Chaetomium globosum;
Coniophora、例えば、Coniophora puetana;
Lentinus、例えば、Lentinus tigrinus;
Penicillium、例えば、Penicillium glaucum;
Polyporus、例えば、Polyporus versicolor;
Aureobasidium、例えば、Aureobasidium pullulans;
Sclerophoma、例えば、Sclerophoma pityophila;
Trichoderma、例えば、Trichoderma viride;
Escherichia、例えば、Escherichia coli;
Pseudomonas、例えば、Pseudomonas aeruginosa;
及び、
Staphylococcus、例えば、Staphylococcus aureus。
【0118】
本発明の活性化合物は、それらの特定の物理的及び/又は化学的特性に応じて、慣習的な製剤、例えば、溶液剤、エマルション剤、懸濁液剤、粉末剤、泡剤、ペースト剤、粒剤、エーロゾル剤及び高分子物質中のマイクロカプセル剤、種使用のコーティング組成物、並びに、ULV冷煙霧用製剤及びULV温煙霧用製剤などに変換することができる。
【0119】
これらの製剤は、公知方法により、例えば、場合により界面活性剤(即ち、乳化剤及び/又は分散剤及び/又は泡形成剤)を使用して、該活性化合物を増量剤(即ち、液体溶媒、加圧下の液化ガス及び/又は固体担体)と混合することにより製造する。使用する増量剤が水である場合、例えば有機溶媒を補助溶媒として使用することもできる。適する液体溶媒は、本質的に、芳香族化合物、例えば、キシレン、トルエン若しくはアルキルナフタレン類、塩素化芳香族化合物又は塩素化脂肪族炭化水素、例えば、クロロベンゼン類、クロロエチレン類若しくは塩化メチレン、脂肪族炭化水素、例えば、シクロヘキサン若しくはパラフィン類、例えば、石油留分、アルコール類、例えば、ブタノール若しくはグリコール、及びそれらのエーテル及びエステル、ケトン類、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン若しくはシクロヘキサノン、強極性溶媒、例えば、ジメチルホルムアミド若しくはジメチルスルホキシド、又は、水である。液化ガス増量剤又は担体は、標準的な温度及び大気圧下では気体である液体を意味するものと理解され、例えば、エーロゾル噴射剤、例えば、ハロゲン化炭化水素類であるか、又は、ブタン、プロパン、窒素及び二酸化炭素などである。適する固体担体は、例えば、粉砕した天然鉱物、例えば、カオリン、クレー、タルク、チョーク、石英、アタパルジャイト、モンモリロナイト又は珪藻土、並びに、粉砕した合成鉱物、例えば、微粉砕シリカ(finely divided silica)、アルミナ及びシリケートなどである。粒剤に適する固体担体は、例えば、粉砕し分別した天然岩石、例えば、方解石、軽石、大理石、海泡石及び苦灰岩、又は、無機粗挽き粉及び有機粗挽き粉からなる合成顆粒、並びに、有機材料(例えば、おがくず、ココナッツの殻、トウモロコシの穂軸及びタバコの茎など)からなる顆粒などである。適する乳化剤及び/又は泡形成剤は、例えば、非イオン性及びアニオン性乳化剤、例えば、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル類、例えば、アルキルアリールポリグリコールエーテル類、アルキルスルホネート類、アルキルスルフェート類、アリールスルホネート類、又は、タンパク質加水分解産物などである。適する分散剤は、例えば、リグノスルファイト廃液及びメチルセルロースなどである。
【0120】
上記製剤において、粘着付与剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、並びに、粉末、顆粒又はラテックスの形態にある天然又は合成ポリマー、例えば、アラビアゴム、ポリビニルアルコール及びポリ酢酸ビニル、又は、天然リン脂質、例えば、セファリン及びレシチン、並びに、合成リン脂質などを使用することができる。使用することが可能な別の添加剤は、鉱油及び植物油である。
【0121】
着色剤、例えば、無機顔料、例えば、酸化鉄、酸化チタン及びプルシアンブルー、並びに、有機染料、例えば、アリザリン染料、アゾ染料及び金属フタロシアニン染料、並びに、微量栄養素、例えば、鉄塩、マンガン塩、ホウ素塩、銅塩、コバルト塩、モリブデン塩及び亜鉛塩などを使用することができる。
【0122】
上記製剤は、一般に、0.1〜95重量%の活性化合物、好ましくは、0.5〜90重量%の活性化合物を含有する。
【0123】
本発明の活性化合物は、さらにまた、該活性化合物自体として又はその製剤において、公知の殺菌剤、殺細菌剤、殺ダニ剤、殺線虫剤又は殺虫剤と混合して使用するこが可能であり、それにより、例えば、活性スペクトルを広げたり、又は、抵抗性の発達を防止したりすることができる。多くの場合、相乗効果が得られる。即ち、該混合物の活性は、個々の成分の活性よりも大きい。
【0124】
適切な混合成分の例は、以下の化合物である。
【0125】
殺菌剤:
2−フェニルフェノール;8−ヒドロキシキノリン硫酸塩;アシベンゾラル−S−メチル;アルジモルフ;アミドフルメト;アンプロピルホス;アンプロピルホス−カリウム;アンドプリム(andoprim);アニラジン;アザコナゾール;アゾキシストロビン;
ベナラキシル;ベノダニル;ベノミル;ベンチアバリカルブ−イソプロピル;ベンザマクリル;ベンザマクリル−イソブチル;ビラナホス;ビナパクリル;ビフェニル;ビテルタノール;ブラストサイジン−S;ブロムコナゾール;ブピリメート;ブチオベート;ブチルアミン;
カルシウムポリスルフィド;カプシマイシン(capsimycin);カプタホール;キャプタン;カルベンダジム;カルボキシン;カルプロパミド;カルボン;キノメチオネート;クロベンチアゾン;クロルフェナゾール;クロロネブ;クロロタロニル;クロゾリネート;クロジラコン(clozylacon);シアゾファミド;シフルフェナミド;シモキサニル;シプロコナゾール;シプロジニル;シプロフラム;
Dagger G;デバカルブ(debacarb);ジクロフルアニド;ジクロン;ジクロロフェン;ジクロシメット;ジクロメジン;ジクロラン;ジエトフェンカルブ;ジフェノコナゾール;ジフルメトリム;ジメチリモール;ジメトモルフ;ジモキシストロビン;ジニコナゾール;ジニコナゾール−M;ジノカップ;ジフェニルアミン;ジピリチオン;ジタリムホス;ジチアノン;ドジン;ドラゾキソロン;
エジフェンホス;エポキシコナゾール;エタボキサム;エチリモール;エトリジアゾール;
ファモキサドン;フェナミドン;フェナパニル;フェナリモール;フェンブコナゾール;フェンフラム;フェンヘキサミド;フェニトロパン;フェノキサニル;フェンピクロニル;フェンプロピジン;フェンプロピモルフ;フェルバム;フルアジナム;フルベンジミン;フルジオキソニル;フルメトベル(flumetover);フルモルフ(flumorph);フルオロミド(fluoromide);フルオキサストロビン(fluoxastrobin);フルキンコナゾール;フルルプリミドール;フルシラゾール;フルスルファミド;フルトラニル;フルトリアホール;フォルペット;ホセチル−Al;ホセチル−ナトリウム;フベリダゾール;フララキシル;フラメトピル;フルカルバニル;フルメシクロックス;
グアザチン;ヘキサクロロベンゼン;ヘキサコナゾール;ヒメキサゾール;
イマザリル;イミベンコナゾール;イミノクタジン三酢酸塩;イミノクタジントリス(アルベシル);ヨードカルブ;イプコナゾール;イプロベンホス;イプロジオン;イプロバリカルブ;イルママイシン;イソプロチオラン;イソバレジオン;
カスガマイシン;クレゾキシム−メチル;
マンゼブ;マネブ;メフェリムゾン;メパニピリム;メプロニル;メタラキシル;メタラキシル−M;メトコナゾール;メタスルホカルブ;メトフロキサム;メチラム;メトミノストロビン;メトスルフォバックス;ミルディオマイシン;ミクロブタニル;ミクロゾリン;
ナタマイシン;ニコビフェン(nicobifen);ニトロタル−イソプロピル;ノビフルムロン;ヌアリモール;
オフラセ;オリサストロビン;オキサジキシル;オキソリニック酸;オキシポコナゾール;オキシカルボキシン;オキシフェンチイン(oxyfenthiin);
パクロブトラゾール;ペフラゾエート;ペンコナゾール;ペンシクロン;ホスダイフェン;フタリド;ピコキシストロビン;ピペラリン(piperalin);ポリオキシン;ポリオキソリム;プロベナゾール;プロクロラズ;プロシミドン;プロパモカルブ;プロパノシン−ナトリウム(propanosine−sodium);プロピコナゾール;プロピネブ;プロキナジド(proquinazid);プロチオコナゾール(prothioconazole);ピラクロストロビン;ピラゾホス;ピリフェノックス;ピリメタニル;ピロキロン;ピロキシフル;ピロレニトリン(pyrrolenitrine);
キンコナゾール;キノキシフェン;キントゼン;シメコナゾール;スピロキサミン;硫黄;
テブコナゾール;テクロフタラム;テクナゼン;テトシクラシス;テトラコナゾール;チアベンダゾール;チシオフェン(thicyofen);チフルザミド;チオファネート−メチル;チラム;チオキシミド;トルクロホス−メチル;トリルフルアニド;トリアジメホン;トリアジメノール;トリアズブチル;トリアゾキシド;トリシクラミド(tricyclamide);トリシクラゾール;トリデモルフ;トリフロキシストロビン;トリフルミゾール;トリホリン;トリチコナゾール;
ウニコナゾール;バリダマイシンA;ビンクロゾリン;ジネブ;ジラム;ゾキサミド;
(2S)−N−[2−[4−[[3−(4−クロロフェニル)−2−プロピニル]オキシ]−3−メトキシフェニル]エチル]−3−メチル−2−[(メチルスルホニル)アミノ]ブタンアミド;1−(1−ナフタレニル)−1H−ピロール−2,5−ジオン;2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジン;2−アミノ−4−メチル−N−フェニル−5−チアゾールカルボキサミド;2−クロロ−N−(2,3−ジヒドロ−1,1,3−トリメチル−1H−インデン−4−イル)−3−ピリジンカルボキサミド;3,4,5−トリクロロ−2,6−ピリジンジカルボニトリル;アクチノベート(actinovate);シス−1−(4−クロロフェニル)−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)シクロヘプタノール;1−(2,3−ジヒドロ−2,2−ジメチル−1H−インデン−1−イル)−1H−イミダゾール−5−カルボン酸メチル;炭酸モノカリウム(monopotassium carbonate);N−(6−メトキシ−3−ピリジニル)−シクロプロパンカルボキサミド;N−ブチル−8−(1,1−ジメチルエチル)−1−オキサスピロ[4.5]デカン−3−アミン;ナトリウムテトラチオカルボネート(sodium tetrathiocarbonate);
並びに、銅塩及び銅剤、例えば、ボルドー液;水酸化第二銅;ナフテン酸銅;塩基性塩化銅;硫酸銅;クフラネブ;酸化銅;マンカッパー;有機銅など。
【0126】
殺細菌剤:
ブロノポール;ジクロロフェン;ニトラピリン;ジメチルジチオカルバミン酸ニッケル;カスガマイシン;オクチリノン;フランカルボン酸;オキシテトラサイクリン;プロベナゾール;ストレプトマイシン;テクロフタラム;硫酸銅及び別の銅剤。
【0127】
殺虫剤/殺ダニ剤/殺線虫剤:
アバメクチン;ABG−9008;アセフェート;アセキノシル;アセタミプリド;アセトプロール;アクリナトリン;AKD−1022;AKD−3059;AKD−3088;アラニカルブ;アルジカルブ;アルドキシカルブ;アレトリン;アレトリン1R−異性体;アルファシペルメトリン(アルファメトリン);アミドフルメト;アミノカルブ;アミトラズ;アベルメクチン;AZ−60541;アザディラクチン;アザメチホス;アジンホス−メチル;アジンホス−エチル;アゾシクロチン;
Bacillus popilliae;Bacillus sphaericus;Bacillus subtilis;Bacillus thuringiensis;Bacillus thuringiensis 株EG−2348;Bacillus thuringiensis 株GC−91;Bacillus thuringiensis 株NCTC−11821;バキュロウイルス;Beauveria bassiana;Beauveria tenella;ベンクロチアズ(benclothiz);ベンダイオカルブ;ベンフラカルブ;ベンスルタップ;ベンゾキシメート;ベータ−シフルトリン;ベータ−シペルメトリン;ビフェナゼート;ビフェントリン;ビナパクリル;ビオアレトリン;ビオアレトリン−S−シクロペンチル−異性体;ビオエタノメトリン(bioethanomethrin);ビオペルメトリン;ビオレスメトリン;ビストリフルロン;BPMC;ブロフェンプロックス(brofenprox);ブロモホス−エチル;ブロモプロピレート;ブロムフェンビンホス(bromfenvinfos)(−メチル);BTG−504;BTG−505;ブフェンカルブ;ブプロフェジン;ブタチオホス;ブトカルボキシム;ブトキシカルボキシム;ブチルピリダベン(butylpyridaben);
カズサホス;カンフェクロル;カルバリル;カルボフラン;カルボフェノチオン;カルボスルファン;カルタップ;CGA−50439;キノメチオネート(quinomethionate);クロルダン;クロルジメホルム;クロエトカルブ;クロルエトキシホス;クロルフェナピル;クロルフェンビンホス;クロルフルアズロン;クロルメホス;クロロベンジレート;クロロピクリン;クロルプロキシフェン(chlorproxyfen);クロルピリホス−メチル;クロルピリホス(−エチル);クロバポルトリン(chlovaporthrin);クロマフェノジド;シス−シペルメトリン;シス−レスメトリン;シス−ペルメトリン;クロシトリン(clocythrin);クロエトカルブ;クロフェンテジン;クロチアニジン;クロチアゾベン(clothiazoben);コドレモン(codlemone);クマホス;シアノフェンホス;シアノホス;シクロプレン(cycloprene);シクロプロトリン;Cydia pomonella;シフルトリン;シハロトリン;シヘキサチン;シペルメトリン;シフェノトリン(1R−トランス−異性体);シロマジン;
DDT;デルタメトリン;ジメトン−S−メチル;ジメトン−S−メチルスルホン;ジアフェンチウロン;ジアリホス;ダイアジノン;ジクロフェンチオン;ジクロルボス;ジコホル;ジクロトホス;ジシクラニル;ジフルベンズロン;ジメフルトリン;ジメトエート;ジメチルビンホス;ジノブトン;ジノカップ;ジノテフラン;ジオフェノラン;ジスルホトン;ドクサト−ナトリウム(docusat−sodium);ドフェナピン(dofenapyn);DOWCO−439;
エフルシラネート(eflusilanate);エマメクチン;エマメクチン安息香酸塩;エムペントリン(1R−異性体);エンドスルファン;Entomopthora spp.;EPN;エスフェンバレレート;エチオフェンカルブ;エチプロール;エチオン;エトプロホス;エトフェンプロックス;エトキサゾール;エトリムホス;
ファムフール(famphur);フェナミホス;フェナザキン;酸化フェンブタスズ;フェンフルトリン(fenfluthrin);フェニトロチオン;フェノブカルブ;フェノチオカルブ;フェノキサクリム;フェノキシカルブ;フェンプロパトリン;フェンピラド;フェンピリトリン;フェンピロキシメート;フェンスルホチオン;フェンチオン;フェントリファニル(fentrifanil);フェンバレレート;フィプロニル;フロニカミド;フルアクリピリム;フルアズロン;フルベンジミン;フルブロシトリネート(flubrocythrinate);フルシクロクスロン;フルシトリネート;フルフェネリム;フルフェノクスロン;フルフェンプロックス;フルメトリン;フルピラゾホス;フルテンジン(flutenzin)(フルフェンジン(flufenzine));フルバリネート;ホノホス;ホルメタネート;ホルモチオン;ホスメチラン;ホスチアゼート;フブフェンプロックス(フルプロキシフェン);フラチオカルブ;
ガンマ−HCH;ゴシプルレ(gossyplure);グランドルレ(grandlure);グラニュローシスウイルス;
ハルフェンプロックス;ハロフェノジド(halofenozide);HCH;HCN−801;ヘプテノホス;ヘキサフルムロン;ヘキシチアゾクス;ヒドラメチルノン;ハイドロプレン;
IKA−2002;イミダクロプリド;イミプロトリン;インドキサカルブ;ヨードフェノホス(iodofenphos);イプロベンホス;イサザホス;イソフェンホス;イソプロカルブ;イソキサチオン;イベルメクチン;
ジャポニルレ(japonilure);カデトリン;核多角体病ウイルス;キノプレン;
ラムダ−シハロトリン;リンダン;ルフェニュロン;
マラチオン;メカルバム;メスルフェンホス;メタアルデヒド;メタム−ナトリウム;メタクリホス;メタミドホス;Metharhizium anisopliae;Metharhizium flavoviride;メチダチオン;メチオカルブ;メソミル;メトプレン;メトキシクロル;メトキシフェノジド;メトフルトリン;メトルカルブ;メトキサジアゾン;メビンホス;ミルベメクチン;ミルベマイシン;MKI−245;MON−45700;モノクロトホス;モキシデクチン;MTI−800;
ナレド;NC−104;NC−170;NC−184;NC−194;NC−196;ニクロサミド;ニコチン;ニテンピラム;ニチアジン;NNI−0001;NNI−0101;NNI−0250;NNI−9768;ノバルロン;ノビフルムロン;
OK−5101;OK−5201;OK−9601;OK−9602;OK−9701;OK−9802;オメトエート;オキサミル;オキシジメトン−メチル;
Paecilomyces fumosoroseus;パラチオン−メチル;パラチオン(−エチル);ペルメトリン(シス−,トランス−);ペトロレウム(petroleum);PH−6045;フェノトリン(1R−トランス−異性体);フェントエート;ホレート;ホサロン;ホスメット;ホスファミドン;ホスホカルブ(phosphocarb);ホキシム;ピペロニルブトキシド;ピリミカーブ;ピリミホス−メチル;ピリミホス−エチル;オレイン酸カリウム;プラレトリン;プロフェノホス;プロフルトリン;プロメカルブ;プロパホス;プロパルギット;プロペタムホス;プロポクスル;プロチオホス;プロトエート;プロトリフェンブテ(protrifenbute);ピメトロジン;ピラクロホス;ピレスメトリン;ピレスラム;ピリダベン;ピリダリル;ピリダフェンチオン;ピリダチオン(pyridathion);ピリミジフェン;ピリプロキシフェン;
キナルホス;レスメトリン;RH−5849;リバビリン;RU−12457;RU−15525;
S−421;S−1833;サリチオン;セブホス(sebufos);SI−0009;シラフルオフェン;スピノサド;スピロジクロフェン;スピロメシフェン(spiromesifen);スルフラミド;スルホテップ;スルプロホス;SZI−121;
タウ−フルバリネート;テブフェノジド;テブフェンピラド;テブピリムホス(tebupirimphos);テフルベンズロン;テフルトリン;テメホス;テミビンホス;ターバム;テルブホス;テトラクロルビンホス;テトラジホン;テトラメトリン;テトラメトリン(1R−異性体);テトラスル;シータ−シペルメトリン;チアクロプリド;チアメトキサム;チアプロニル;チアトリホス(thiatriphos);チオシクラムシュウ酸水素塩;チオジカルブ;チオファノックス;チオメトン;チオスルタップ−ナトリウム(thiosultap−sodium);チューリンギエンシン;トルフェンピラド;トラロシトリン(tralocythrin);トラロメトリン;トランス−フルトリン;トリアラセン;トリアザメート;トリアゾホス;トリアズロン;トリクロフェニジン(trichlophenidine);トリクロルホン;トリフルムロン;トリメタカルブ;
バミドチオン;バニリプロール(vaniliprole);ベルブチン(verbutin);Verticillium lecanii;
WL−108477;WL−40027;YI−5201;YI−5301;YI−5302;XMC;キシリルカルブ;ZA−3274;ゼータ−シペルメトリン;ゾラプロホス;ZXI−8901;
化合物3−メチルフェニルプロピルカルバメート(ツマサイドZ);化合物3−(5−クロロ−3−ピリジニル)−8−(2,2,2−トリフルオロエチル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−カルボニトリル(CAS−Reg. No.185982−80−3)及び対応する3−エンド−異性体(CAS−Reg. No.185984−60−5)(cf.WO−96/37494,WO−98/25923),
並びに、殺虫活性を有する植物抽出物、線虫、菌類又はウイルスを含有する調製物。
【0128】
除草剤のような別の公知活性化合物との混合物も可能であり、又は、肥料及び生長調節剤、薬害軽減剤及び/若しくは部分的に共通する化合物(semicochemical)との混合物も可能である。
【0129】
さらに、本発明の式(I)の化合物は、極めて優れた抗真菌活性も有する。式(I)の化合物は、非常に広い抗真菌活性スペクトルを有しており、特に、皮膚糸状菌、酵母菌、カビ、及び、二相性菌類に対して、(例えば、Candida種、例えば、Candida albicans、Candida glabrataに対して)、並びに、Epidermophyton floccosum、Aspergillus種、例えば、Aspergillus niger及びAspergillus fumigatus、Trichophyton種、例えば、Trichophyton mentagrophytes、Microsporon種、例えば、Microsporon canis及びaudouiniiに対して、非常に広い抗真菌活性スペクトルを有している。これら菌類のリストは、決してその真菌スペクトルの範囲を限定するものではなく、単に例示のためのものである。
【0130】
本発明の活性化合物は、そのままでも使用することができるし、その製剤形態でも使用することができるし、又は、それから調製される使用形態、例えば、即時使用可能な(ready−to−use)溶液剤、懸濁液剤、水和剤、ペースト剤、可溶性粉末剤、粉剤及び顆粒剤の形態でも使用することができる。施用は、慣習的な方法で、例えば、灌水、散布、噴霧、ばらまき(broadcasting)、散粉、泡状散布(foaming)、分散などにより行う。さらに、本発明の活性化合物は、微量散布法(ultra−low volume method)により施用することも可能であり、又は、該活性化合物の調製物若しくは活性化合物自体を土壌に注入することも可能である。植物の種子を処理することも可能である。
【0131】
本発明の活性化合物を殺菌剤として使用する場合、その施用量は、施用の種類に応じて、比較的広い範囲で変えることができる。植物の一部分への処理に関しては、該活性化合物の施用量は、一般に、0.1〜10,000g/ha、好ましくは、10〜1000g/haである。種子粉衣に関しては、該活性化合物の施用量は、一般に、種子1kg当たり0.001〜50g、好ましくは、種子1kg当たり0.01〜10gである。土壌の処理に関しては、該活性化合物の施用量は、一般に、0.1〜10,000g/ha、好ましくは、1〜5000g/haである。
【0132】
加工材料(engineered material)を保護するために使用される該組成物は、一般に、1〜95%、好ましくは、10〜75%の量の該活性化合物を含有する。
【0133】
本発明の活性化合物の使用濃度は、防除対象の微生物の種類と存在に依存し、また、保護対象の材料物質の組成に依存する。最適の施用量は、一連の試験により決定することが可能である。一般に、使用濃度は、保護対象の材料物質を基準にして、0.001〜5重量%の範囲、好ましくは、0.05〜1.0重量%の範囲である。
【0134】
材料物質の保護において本発明に従って使用される活性化合物の活性及び活性スペクトル、又は、該活性化合物から調製することが可能な組成物、濃厚物若しくは非常に一般的な製剤の活性及び活性スペクトルは、適切な場合には、さらに、抗菌活性を有する化合物、殺菌剤、殺細菌剤、除草剤、殺虫剤、又は、活性スペクトルを広げるか若しくは特定の効果(例えば、昆虫に対する付加的な保護)を得るための別の活性化合物を添加することにより、増大させることが可能である。このような混合物は、本発明の化合物よりも広い活性スペクトルを有し得る。
【0135】
殺虫剤として使用する場合、本発明の活性化合物は、さらに、協力剤との混合物として、本発明の活性化合物の市販製剤中に存在させることもできるし、また、そのような製剤から調製される使用形態中に存在させることもできる。協力剤は、本発明の活性化合物の効果を増大させる化合物であり、その際、添加される協力剤自体は必ずしも活性を有する必要はない。
【0136】
殺虫剤として使用する場合、本発明の活性化合物は、さらに、使用後に植物の周囲又は植物の部分の表面又は植物組織内において該活性化合物の分解を低減する抑制剤との混合物として、本発明の活性化合物の市販製剤中に存在させることもできるし、また、そのような製剤から調製される使用形態中に存在させることもできる。
【0137】
市販製剤から調製した使用形態の上記活性化合物の含有量は、広い範囲で変えることができる。使用形態における上記活性化合物の濃度は、0.0000001〜95重量%の活性化合物、好ましくは、0.0001〜1重量%の活性化合物であることができる。
【0138】
それらは、上記使用形態に適合させた慣習的な方法で施用する。
【0139】
衛生害虫及び貯蔵生産物の害虫に対して使用する場合、本発明の活性化合物は、木材及び粘土上での優れた残効性と、石灰処理されている物質上でのアルカリに対する良好な安定性を示す。
【0140】
既に上記で述べたように、本発明により、全ての植物及びその部分を処理することができる。好ましい実施形態においては、野生植物種及び植物の品種及びそれらの部分を処理するか、又は、交雑育種又はプロトプラスト融合のような慣習的な生物学的育種法を用いて得られた植物品種及びそれらの部分を処理する。好ましい別の実施形態において、適切な場合には慣習的な方法と組み合わせた、遺伝子工学により得られたトランスジェニック植物及び植物品種(Genetically Modified Organisms)及びそれらの部分を処理する。用語「部分(parts)」又は「植物の部分(parts of plants)」又は「植物の部分(plant parts)」は、上記で説明した。
【0141】
特に好ましくは、いずれの場合も商業的に入手可能であるか又は使用されている植物品種の植物を本発明により処理する。植物品種は、慣習的な育種方法、突然変異誘発又は組換えDNA技術により得られた、新しい特性(「形質」)を有する植物を意味するものと理解される。それらは、品種、変種、生物型又は遺伝子型であることができる。
【0142】
植物種又は植物品種、それらの生育場所及び生育条件(土壌、気候、生育期、養分)に応じて、本発明により処理したときに相加効果を超える効果(相乗効果)が得られる場合もある。従って、例えば、施用量の低減、及び/又は、活性スペクトルの拡大、及び/又は、本発明により使用可能な物質及び組成物の活性の増大、植物の良好な生育、高温及び低温に対する耐性の向上、干ばつ又は土壌中の水分若しくは塩含有量に対する耐性の向上、開花能力の向上、収穫の容易性の向上、より早い成熟、収穫量の増加、収穫された生産物の品質の向上及び/又は栄養価の増加、収穫された作物の貯蔵性の向上及び/又は加工性の向上などが可能であり、これらは、実際に予期された効果を超えるものである。
【0143】
本発明により処理するのが好ましいトランスジェニック植物又は植物品種(即ち、遺伝子工学により得られた植物又は植物品種)には、遺伝的修飾により特に有利で有益な特性(「形質」)を植物に付与する遺伝物質を受け取った全ての植物が包含される。そのような特性の例は、植物の良好な生育、高温若しくは低温に対する向上した耐性、乾燥又は土壌中に含有される水若しくは塩に対する向上した耐性、向上した開花能力、向上した収穫の容易性、向上した成熟速度、増加した収穫量、収穫した生産物の向上した品質及び/又は向上した栄養価、収穫した生産物の向上した貯蔵性及び/又は向上した加工性などである。そのような形質のさらに特に重要な例は、害虫及び有害な微生物に対する植物の向上した防御力、例えば、昆虫、ダニ、植物病原性菌類、細菌及び/又はウイルスに対する植物の向上した防御力である。また、特定の除草活性化合物に対する植物の向上した耐性も特に重要な例である。挙げることができるトランスジェニック植物の例は、重要な栽培植物、例えば、禾穀類(コムギ、イネ)、トウモロコシ、ダイズ、ジャガイモ、ワタ、タバコ、ナタネ、及び、果実植物(果実のリンゴ、ナシ、柑橘類及びグレープを有する植物)などがあり、トウモロコシ、ダイズ、ジャガイモ、ワタ、タバコ及びナタネは特に重要である。重要な形質は、特に、植物体内で形成された毒素による植物の昆虫類、クモ形類動物、線虫類、ナメクジ類及びカタツムリ類に対する向上した防御力であり、特に、バシルス・ツリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)に由来する遺伝物質(例えば、遺伝子CryIA(a)、CryIA(b)、CryIA(c)、CryIIA、CryIIIA、CryIIIB2、Cry9c、Cry2Ab、Cry3Bb及びCryIF並びにそれらの組合せ)により植物体内で形成された毒素による植物の昆虫類、クモ形類動物、線虫類、ナメクジ類及びカタツムリ類に対する向上した防御力である(以下、「Bt植物」と称する)。特に重要な形質は、さらに、全身獲得抵抗性(SAR)、システミン(systemin)、フィトアレキシン、誘導因子、並びに、抵抗性遺伝子及びそれにより発現されるタンパク質及び毒素による、植物の菌類、細菌及びウイルスに対する向上した防御力である。特に重要な形質は、さらに、特定の除草活性化合物、例えば、イミダゾリノン系、スルホニル尿素系、グリホセート又はホスフィノトリシンなどに対する植物の向上した耐性である(例えば、「PAT」遺伝子)。望ましい該形質を付与する遺伝子は、さらにまた、トランスジェニック植物体内において、相互に組み合わせて存在させることも可能である。挙げることができる「Bt植物」の例は、トウモロコシ品種、ワタ品種、ダイズ品種及びジャガイモ品種であり、これらは、YIELD GARD(登録商標)(例えば、トウモロコシ、ワタ、ダイズ)、KnockOut(登録商標)(例えば、トウモロコシ)、StarLink(登録商標)(例えば、トウモロコシ)、Bollgard(登録商標)(ワタ)、Nucoton(登録商標)(ワタ)、及び、NewLeaf(登録商標)(ジャガイモ)の商品名で販売されている。挙げることができる除草剤耐性植物の例は、トウモロコシ品種、ワタ品種及びダイズ品種であり、これらは、Roundup Ready(登録商標)(グリホセートに対する耐性、例えば、トウモロコシ、ワタ、ダイズ)、Liberty Link(登録商標)(ホスフィノトリシンに対する耐性、例えば、ナタネ)、IMI(登録商標)(イミダゾリノン系に対する耐性)、及び、STS(登録商標)(スルホニル尿素系に対する耐性、例えば、トウモロコシ)の商品名で販売されている。挙げることができる除草剤抵抗性植物(除草剤耐性に関して慣習的な方法で品種改良された植物)には、さらに、Clearfield(登録商標)(例えば、トウモロコシ)の商品名で販売されている品種などがある。ここで述べたことは、もちろん、これらの遺伝形質(genetic trait)又はさらに開発される遺伝形質を有し、将来において開発及び/又は販売される植物品種にも適用される。
【0144】
ここで挙げた植物は、本発明に従い、特に有利に、本発明の一般式(I)の化合物又は本発明の活性化合物の混合物で処理することができる。該活性化合物又は混合物について上記で述べた好ましい範囲も、これらの植物の処理に適用される。特に重要なのは、本明細書内で具体的に言及されている化合物又は混合物による植物の処理である。
【実施例】
【0145】
本発明の活性化合物の調製及び使用について、下記実施例により説明する。
【0146】
調製実施例
実施例1
【0147】
【化14】

【0148】
テトラヒドロフラン(20mL)中に、最初に、N−(4’−ブロモ−1,1’−ビフェニル−2−イル)−4−(ジフルオロメチル)−2−メチル−1,3−チアゾール−5−カルボキサミド(0.3g,0.7mmol)を投入し、水素化ナトリウム(60%,34mg,0.85mmol)を添加する。室温で15分間経過した後、塩化アセチル(50μL,0.7mmol)を添加し、得られた混合物を50℃で5時間撹拌する。
【0149】
後処理のために、この混合物を飽和重炭酸ナトリウム溶液で洗浄し、酢酸エチルで抽出し、抽出物を硫酸ナトリウムで脱水し、減圧下に濃縮する。
【0150】
これにより、0.31g(理論値の95%)のN−アセチル−N−(4’−ブロモ−1,1’−ビフェニル−2−イル)−4−(ジフルオロメチル)−2−メチル−1,3−チアゾール−5−カルボキサミドを得る(logP(pH2.3)=3.61)。
【0151】
実施例2
【0152】
【化15】

【0153】
テトラヒドロフラン中に、最初に、N−(4’−クロロ−1,1’−ビフェニル−2−イル)−4−(ジフルオロメチル)−2−メチル−1,3−チアゾール−5−カルボキサミド(0.3g,0.8mmol)を投入し、水素化ナトリウム(60%,23mg,1.0mmol)を添加する。室温で15分間経過した後、ヨウ化メチル(100μL,1.6mmol)を添加し、得られた混合物を16時間加熱還流する。
【0154】
後処理のために、この混合物を重炭酸ナトリウム溶液で洗浄し、酢酸エチルで抽出し、有機相を硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、濃縮する。
【0155】
これにより、0.25g(理論値の80%)のN−(4’−クロロ−1,1’−ビフェニル−2−イル)−4−ジフルオロメチル)−N,2−ジメチル−1,3−チアゾール−5−カルボキサミドを得る(logP(pH2.3)=3.34)。
【0156】
下記表1に挙げられている式(I)の化合物は、調製方法(A)の一般的記載に従い、実施例1及び2と同様にして得られる。
【0157】
【表1】


【0158】
式(II)で表される出発物質の調製
実施例(II−1)
【0159】
【化16】

【0160】
−10℃〜−20℃の温度で、1.0Lのテトラヒドロフラン中の23.2g(0.09mol)の4’−ブロモ−1,1’−ビフェニル−2−アミン及び26.0mL(0.19mol)のトリエチルアミンに、21.8g(0.10mol)の2−メチル−4−(ジフルオロメチル)−1,3−チアゾール−5−カルボニルクロリドを200mLのテトラヒドロフランに溶解させた溶液を徐々に加える。この反応溶液を0℃で2時間撹拌する。後処理のために、この混合物を、濃縮し、シクロヘキサン/酢酸エチルを用いるシリカゲルクロマトグラフィーに付す。
【0161】
これにより、27.8g(理論値の70%)のN−(4’−ブロモ−1,1’−ビフェニル−2−イル)−2−メチル−4−(ジフルオロメチル)−1,3−チアゾール−5−カルボキサミドを得る(logP(pH2.3)=3.34; 融点151℃)。
【0162】
実施例(II−2)
【0163】
【化17】

【0164】
−10℃〜−20℃の温度で、2.0Lのテトラヒドロフラン中の65.1g(0.32mol)の4’−ブロモ−1,1’−ビフェニル−2−アミン及び74.0mL(0.53mol)のトリエチルアミンに、56.3g(0.27mol)の2−メチル−4−(ジフルオロメチル)−1,3−チアゾール−5−カルボニルクロリドを500mLのテトラヒドロフランに溶解させた溶液を徐々に加える。この反応溶液を0℃で2時間撹拌する。後処理のために、この混合物を、濃縮し、シクロヘキサン/酢酸エチルを用いるシリカゲルクロマトグラフィーに付す。
【0165】
これにより、43.88g(理論値の44.5%)のN−(4’−クロロ−1,1’−ビフェニル−2−イル)−2−メチル−4−(ジフルオロメチル)−1,3−チアゾール−5−カルボキサミドを得る(logP(pH2.3)=3.26; 融点144℃)。 上記調製実施例及び上記表に記載されているlogP値は、EEC Directive 79/831 Annex V.A8に従い、逆相カラム(C18)を用いるHPLC(高性能液体クロマトグラフィー)により測定する。温度:43℃。
【0166】
測定は、pH2.3の酸性範囲内において、0.1%水性リン酸及びアセトニトリルの移動相(10%アセトニトリルから90%アセトニトリルまでの直線勾配)を用いて行う。
【0167】
logP値が知られている非分枝鎖アルカン−2−オン(炭素原子数3〜16)を用いて校正を行う(連続した2種類のアルカノンの間の線形補間を用いて、保持時間によりlogP値を測定する)。
【0168】
ラムダ最大値は、200nm〜400nmのUVスペクトルを用いて、クロマトグラフィーのシグナルの最大値において求めた。
【0169】
使用実施例
実施例A
Sphaerotheca試験(キュウリ)/保護
溶媒: 24.5重量部のアセトン
24.5重量部のジメチルアセトアミド
乳化剤: 1重量部のアルキルアリールポリグリコールエーテル
活性化合物の適切な調製物を製造するために、1重量部の活性化合物を上記量の溶媒及び乳化剤と混合する。得られた濃厚物を水で希釈して、所望の濃度とする。
【0170】
保護活性について試験するために、幼植物に、活性化合物の調製物を、記載されている施用量で散布する。散布によるコーティングが乾燥した後、Sphaerotheca fuligineaの胞子水性懸濁液を用いて植物に接種する。次いで、植物を、約23℃で相対大気湿度約70%の温室内に置く。
【0171】
評価は、上記接種の7日後に行う。0%は、対照に相当する効力を意味し、100%の効力は、感染が観察されなかったことを意味する。
【0172】
活性化合物、施用量及び試験の結果については、下記表に示してある。
【0173】
【表2】

【0174】
実施例B
Venturia試験(リンゴ)/保護
溶媒: 24.5重量部のアセトン
24.5重量部のジメチルアセトアミド
乳化剤: 1.0重量部のアルキルアリールポリグリコールエーテル
活性化合物の適切な調製物を製造するために、1重量部の活性化合物を上記量の溶媒及び乳化剤と混合する。得られた濃厚物を水で希釈して、所望の濃度とする。
【0175】
保護活性について試験するために、幼植物に、活性化合物の調製物を、記載されている施用量で散布する。散布によるコーティングが乾燥した後、リンゴそうか病の病原体であるVenturia inaequalisの分生子水性懸濁液を用いて植物に接種し、次いで、植物を、約20℃で相対大気湿度100%のインキュベーション室内に1日間維持する。
【0176】
次いで、植物を、約21℃で相対大気湿度約90%の温室内に置く。
【0177】
評価は、上記接種の10日後に行う。0%は、対照に相当する効力を意味し、100%の効力は、感染が観察されなかったことを意味する。
【0178】
【表3】

【0179】
実施例C
Botrytis試験(マメ)/保護
溶媒: 24.5重量部のアセトン
24.5重量部のジメチルアセトアミド
乳化剤: 1.0重量部のアルキルアリールポリグリコールエーテル
活性化合物の適切な調製物を製造するために、1重量部の活性化合物を上記量の溶媒及び乳化剤と混合する。得られた濃厚物を水で希釈して、所望の濃度とする。
【0180】
保護活性について試験するために、幼植物に、活性化合物の調製物を、記載されている施用量で散布する。散布によるコーティングが乾燥した後、Botrytis cinereaがコロニーを形成している寒天の小片2個を各葉の上に置く。接種した植物を、約20℃で相対大気湿度100%の暗室内に置く。
【0181】
上記接種の2日後、葉面の感染している領域の寸法について評価する。0%は、対照に相当する効力を意味し、100%の効力は、感染が観察されなかったことを意味する。
【0182】
【表4】

【0183】
実施例D
Alternaria試験(トマト)/保護
溶媒: 49重量部のN,N−ジメチルホルムアミド
乳化剤: 1重量部のアルキルアリールポリグリコールエーテル
活性化合物の適切な調製物を製造するために、1重量部の活性化合物を上記量の溶媒及び乳化剤と混合する。得られた濃厚物を水で希釈して、所望の濃度とする。
【0184】
保護活性について試験するために、トマトの幼植物に、活性化合物の調製物を、記載されている施用量で散布する。処理1日後、Alternaria solaniの胞子水性懸濁液を用いて植物に接種した後、植物を相対湿度100%に24時間維持する。次いで、植物を、20℃で相対大気湿度約96%に維持する。
【0185】
評価は、上記接種の7日後に行う。0%は、対照に相当する効力を意味し、100%の効力は、感染が観察されなかったことを意味する。
【0186】
活性化合物、施用量及び試験の結果については、下記表に示してある。
【0187】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、
、R、R、R及びRは、互いに独立して、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C〜C−アルキル、C〜C−アルケニル、C〜C−アルコキシ、C〜C−アルキルチオ、C〜C−アルキルスルホニル若しくはC〜C−シクロアルキルを表すか、又は、C〜C−ハロアルキル、C〜C−ハロアルコキシ、C〜C−ハロアルキルチオ若しくはC〜C−ハロアルキルスルホニル(ここで、これらは、それぞれの場合に、1〜5個のハロゲン原子を有する)を表し;
さらに、RとR、又は、RとRは、一緒に、アルケニレン(ここで、該アルケニレンは、場合により、ハロゲン又はC〜C−アルキルで置換されていてもよい)を表し;
は、C〜C−アルキル、C〜C−アルキルスルフィニル、C〜C−アルキルスルホニル、C〜C−アルコキシ−C〜C−アルキル若しくはC〜C−シクロアルキルを表すか、又は、C〜C−ハロアルキル、C〜C−ハロアルキルスルファニル、C〜C−ハロアルキルスルフィニル、C〜C−ハロアルキルスルホニル、ハロ−C〜C−アルコキシ−C〜C−アルキル若しくはC〜C−ハロシクロアルキル(ここで、これらは、それぞれの場合に、1〜9個のフッ素原子、塩素原子及び/又は臭素原子を有する)を表すか、又は、−COR、−CONR若しくは−CHNR1011を表し;
は、水素、C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、C〜C−アルコキシ−C〜C−アルキル若しくはC〜C−シクロアルキルを表すか、又は、C〜C−ハロアルキル、C〜C−ハロアルコキシ、ハロ−C〜C−アルコキシ−C〜C−アルキル若しくはC〜C−ハロシクロアルキル(ここで、これらは、それぞれの場合に、1〜9個のフッ素原子、塩素原子及び/又は臭素原子を有する)を表すか、又は、4−(ジフルオロメチル)−2−メチル−1,3−チアゾール−2−イルを表し;
及びRは、互いに独立して、水素、C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ−C〜C−アルキル若しくはC〜C−シクロアルキルを表すか、又は、C〜C−ハロアルキル、ハロ−C〜C−アルコキシ−C〜C−アルキル若しくはC〜C−ハロシクロアルキル(ここで、これらは、それぞれの場合に、1〜9個のフッ素原子、塩素原子及び/又は臭素原子を有する)を表し;
さらに、RとRは、それらが結合している窒素原子と一緒に、5〜8個の環原子を有する飽和ヘテロ環を形成し、その際、該ヘテロ環は、場合により、ハロゲン及びC〜C−アルキルからなる群から選択される同一であるか又は異なっている置換基により1置換又は多置換されていてもよく、また、該ヘテロ環は、さらに、酸素、硫黄及びNR12からなる群から選択される1個又は2個の隣接していないヘテロ原子を含んでいてもよく;
10及びR11は、互いに独立して、水素、C〜C−アルキル若しくはC〜C−シクロアルキルを表すか、又は、C〜C−ハロアルキル若しくはC〜C−ハロシクロアルキル(ここで、これらは、それぞれの場合に、1〜9個のフッ素原子、塩素原子及び/又は臭素原子を有する)を表し;
さらに、R10とR11は、それらが結合している窒素原子と一緒に、5〜8個の環原子を有する飽和ヘテロ環を形成し、その際、該ヘテロ環は、場合により、ハロゲン及びC〜C−アルキルからなる群から選択される同一であるか又は異なっている置換基により1置換又は多置換されていてもよく、また、該ヘテロ環は、さらに、酸素、硫黄及びNR12からなる群から選択される1個又は2個の隣接していないヘテロ原子を含んでいてもよく;
及び、
12は、水素又はC〜C−アルキルを表す]
で表されるチアゾリルビフェニルアミド。
【請求項2】
、R、R、R及びRが、互いに独立して、水素、フッ素、塩素、臭素、シアノ、ニトロ、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、メトキシ、エトキシ、メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、イソプロピルチオ、シクロプロピル、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、トリフルオロエチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、ジフルオロクロロメトキシ、トリフルオロエトキシ、ジフルオロメチルチオ、ジフルオロクロロメチルチオ又はトリフルオロメチルチオを表し;
さらに、RとR、又は、RとRが、一緒に、ブタジエンジイル(ここで、該ブタジエンジイルは、場合により、フッ素、塩素、臭素又はメチルで置換されていてもよい)を表し;
が、C〜C−アルキル、C〜C−アルキルスルフィニル、C〜C−アルキルスルホニル、C〜C−アルコキシ−C〜C−アルキル若しくはC〜C−シクロアルキルを表すか、又は、C〜C−ハロアルキル、C〜C−ハロアルキルスルファニル、C〜C−ハロアルキルスルフィニル、C〜C−ハロアルキルスルホニル、ハロ−C〜C−アルコキシ−C〜C−アルキル若しくはC〜C−ハロシクロアルキル(ここで、これらは、それぞれの場合に、1〜9個のフッ素原子、塩素原子及び/又は臭素原子を有する)を表すか、又は、−COR、−CONR若しくは−CHNR1011を表し;
が、水素、C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、C〜C−アルコキシ−C〜Cアルキル若しくはC〜C−シクロアルキルを表すか、又は、C〜C−ハロアルキル、C〜C−ハロアルコキシ、ハロ−C〜C−アルコキシ−C〜C−アルキル若しくはC〜C−ハロシクロアルキル(ここで、これらは、それぞれの場合に、1〜9個のフッ素原子、塩素原子及び/又は臭素原子を有する)を表すか、又は、4−(ジフルオロメチル)−2−メチル−1,3−チアゾール−2−イルを表し;
及びRが、互いに独立して、水素、C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ−C〜C−アルキル若しくはC〜C−シクロアルキルを表すか、又は、C〜C−ハロアルキル、ハロ−C〜C−アルコキシ−C〜C−アルキル若しくはC〜C−ハロシクロアルキル(ここで、これらは、それぞれの場合に、1〜9個のフッ素原子、塩素原子及び/又は臭素原子を有する)を表し;
さらに、RとRが、それらが結合している窒素原子と一緒に、5〜8個の環原子を有する飽和ヘテロ環を形成し、その際、該ヘテロ環は、場合により、ハロゲン及びC〜C−アルキルからなる群から選択される同一であるか又は異なっている置換基により1〜4置換されていてもよく、また、該ヘテロ環は、さらに、酸素、硫黄及びNR12からなる群から選択される1個又は2個の隣接していないヘテロ原子を含んでいてもよく;
10及びR11が、互いに独立して、水素、C〜C−アルキル若しくはC〜C−シクロアルキルを表すか、又は、C〜C−ハロアルキル若しくはC〜C−ハロシクロアルキル(ここで、これらは、それぞれの場合に、1〜9個のフッ素原子、塩素原子及び/又は臭素原子を有する)を表し;
さらに、R10とR11が、それらが結合している窒素原子と一緒に、好ましくは、5〜8個の環原子を有する飽和ヘテロ環を形成し、その際、該ヘテロ環は、場合により、ハロゲン及びC〜C−アルキルからなる群から選択される同一であるか又は異なっている置換基により1置換又は多置換されていてもよく、また、該ヘテロ環は、さらに、酸素、硫黄及びNR12からなる群から選択される1個又は2個の隣接していないヘテロ原子を含んでいてもよく;
及び、
12が、水素又はC〜C−アルキルを表す;
請求項1に記載の式(I)のチアゾリルビフェニルアミド。
【請求項3】
、R、R、R及びRが、互いに独立して、水素、フッ素、塩素、臭素、シアノ、メチル、メトキシ、メチルチオ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメチルチオ又はトリフルオロメチルチオを表し;
が、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、n−プロピルスルフィニル、イソプロピルスルフィニル、n−ブチルスルフィニル、イソブチルスルフィニル、s−ブチルスルフィニル、t−ブチルスルフィニル、メチルスルホニル、エチルスルホニル、n−プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニル、n−ブチルスルホニル、イソブチルスルホニル、s−ブチルスルホニル、t−ブチルスルホニル、メトキシメチル、メトキシエチル、エトキシメチル、エトキシエチル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、トリフルオロエチル、ジフルオロメチルスルファニル、ジフルオロクロロメチルスルファニル、トリフルオロメチルスルファニル、トリフルオロメチルスルフィニル、トリフルオロメチルスルホニル、トリフルオロメトキシメチル、−COR、−CONR又は−CHNR1011を表し;
が、水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、メトキシ、エトキシ、t−ブトキシ、シクロプロピル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ又は4−(ジフルオロメチル)−2−メチル−1,3−チアゾール−2−イルを表し;
及びRが、互いに独立して、水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、メトキシメチル、メトキシエチル、エトキシメチル、エトキシエチル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、トリフルオロエチル又はトリフルオロメトキシメチルを表し;
さらに、RとRが、それらが結合している窒素原子と一緒に、モルホリン、チオモルホリン及びピペラジンからなる群から選択される飽和ヘテロ環を形成し、その際、該ヘテロ環は、場合により、フッ素、塩素、臭素及びメチルからなる群から選択される同一であるか又は異なっている置換基により1〜4置換されていてもよく、また、該ピペラジンは、その第二の窒素原子がR12により置換されていてもよく;
10及びR11が、互いに独立して、水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、メトキシメチル、メトキシエチル、エトキシメチル、エトキシエチル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、トリフルオロエチル又はトリフルオロメトキシメチルを表し;
さらに、R10とR11が、それらが結合している窒素原子と一緒に、モルホリン、チオモルホリン及びピペラジンからなる群から選択される飽和ヘテロ環を形成し、その際、該ヘテロ環は、場合により、フッ素、塩素、臭素及びメチルからなる群から選択される同一であるか又は異なっている置換基により1〜4置換されていてもよく、また、該ピペラジンは、その第二の窒素原子がR12により置換されていてもよく;
及び、
12が、水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル又はt−ブチルを表す;
請求項1に記載の式(I)のチアゾリルビフェニルアミド。
【請求項4】
それぞれの場合に、ラジカルR、R、R、R及びRの内の4つが水素を表す、請求項1に記載の式(I)のチアゾリルビフェニルアミド。
【請求項5】
、R、R及びRが、それぞれ、水素を表し;
及び、
が、請求項1〜3のいずれかで定義されているとおりである;
請求項1に記載の式(I)のチアゾリルビフェニルアミド。
【請求項6】
、R及びRが、それぞれ、水素を表し;
及び、
及びRが、互いに独立して、請求項1〜3のいずれかで定義されているとおりである;
請求項1に記載の式(I)のチアゾリルビフェニルアミド。
【請求項7】
、R及びRが、それぞれ、水素を表し;
及び、
及びRが、互いに独立して、請求項1〜3のいずれかで定義されているとおりである;
請求項1に記載の式(I)のチアゾリルビフェニルアミド。
【請求項8】
、R及びRが、それぞれ、水素を表し;
及び、
及びRが、互いに独立して、請求項1〜3のいずれかで定義されているとおりである;
請求項1に記載の式(I)のチアゾリルビフェニルアミド。
【請求項9】
が−CORを表し、Rが4−(ジフルオロメチル)−2−メチル−1,3−チアゾール−2−イルを表す、請求項1に記載の式(I)のチアゾリルビフェニルアミド。
【請求項10】
が−CORを表し、Rが、メチル、エチル、シクロプロピル又はトリフルオロメチル、特に、メチルを表す、請求項1に記載の式(I)のチアゾリルビフェニルアミド。
【請求項11】
が−CHOを表す、請求項1に記載の式(I)のチアゾリルビフェニルアミド。
【請求項12】
が、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、メチルスルフィニル、メチルスルホニル、メトキシメチル、エトキシエチル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチルスルファニル、トリフルオロメチルスルフィニル、トリフルオロメチルスルホニル又はトリフルオロメトキシメチル、特に、メチル、イソプロピル又はシクロプロピルを表す、請求項1に記載の式(I)のチアゾリルビフェニルアミド。
【請求項13】
請求項1に記載の式(I)のチアゾリルビフェニルアミドを調製する方法であって、
(A) 塩基の存在下、及び、希釈剤の存在下で、式(II):
【化2】

[式中、R、R、R、R及びRは請求項1で定義されているとおりである]
で表されるチアゾリルビフェニルアミドを、式(III):
−X (III)
[式中、
は、請求項1で定義されているとおりであり;
及び、
Xは、塩素、臭素又はヨウ素を表す]
で表されるハロゲン化物と反応させることを特徴とする、前記方法。
【請求項14】
望ましくない微生物を防除するための組成物であって、増量剤及び/又は界面活性剤に加えて請求項1に記載の式(I)で表される少なくとも1種のチアゾリルビフェニルアミドを含んでいることを特徴とする、前記組成物。
【請求項15】
望ましくない微生物を防除するための、請求項1に記載の式(I)で表されるチアゾリルビフェニルアミドの使用。
【請求項16】
望ましくない微生物を防除する方法であって、該望ましくない微生物及び/又はそれらの生息環境に、請求項1に記載の式(I)で表されるチアゾリルビフェニルアミドを施用することを特徴とする、前記方法。
【請求項17】
望ましくない微生物を防除するための組成物を調製する方法であって、請求項1に記載の式(I)で表されるチアゾリルビフェニルアミドを増量剤及び/又は界面活性剤と混合することを特徴とする、前記方法。

【公開番号】特開2010−195816(P2010−195816A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−106946(P2010−106946)
【出願日】平成22年5月7日(2010.5.7)
【分割の表示】特願2004−544047(P2004−544047)の分割
【原出願日】平成15年9月26日(2003.9.26)
【出願人】(302063961)バイエル・クロツプサイエンス・アクチエンゲゼルシヤフト (524)
【Fターム(参考)】