説明

チェアユニット用殺菌水製造装置

【課題】殺菌水の濃度を均一にし、殺菌水の配水管への逆流を防止し、殺菌水の失活を防止し、かつ騒音の低減を図りながら、小型化したチェアユニット用殺菌水製造装置を提供する。
【解決手段】水と酸化殺菌剤水溶液とを混合した殺菌水を貯蔵する殺菌水タンク16と、外部のエアーコンプレッサから供給されるエアーを殺菌水タンク16に供給するエアー供給路18と、エアー供給路18からのエアーを三方口の一方口から逃がすことができる三方弁19と、殺菌水タンク16からチェアユニットに殺菌水を供給する殺菌水供給路20,46と、殺菌水供給路20,46に設けられる殺菌水用逆止弁21,47とを備え、エアー供給路18から殺菌水タンク16に送られ、かつ三方弁19を用いて調節されるエアーの圧力によって、貯蔵された殺菌水が殺菌水供給路20,46、及び殺菌水用逆止弁21,47を通ってチェアユニットに送られる、チェアユニット用殺菌水製造装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水と酸化殺菌剤水溶液とを混合した殺菌水を製造するためのチェアユニット用殺菌水製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
歯科用のチェアユニットには、歯科治療用のハンドピース、シリンジ、コップ給水等に使用される水として、通常2kg/cm以上の水圧により水道水が通水されている。この水道水については、日本国内の水道水質基準が美味しい水を供給することに重点を置いた結果、現状ではカルキ臭を防ぐために殺菌目的に添加する次亜塩素酸ナトリウムの量が少なくなっている。この次亜塩素酸ナトリウムの添加量は、今後も抑制されていくことが考えられる。一方で、歯科治療に関しては、チェアユニット内の水管路における細菌の増殖が、大きな問題となっている。特に、歯科用のチェアユニットは外科手術台と同様に衛生管理をする必要があるが、充分な対策がされていないことが多い。そこで、近年、このような問題に対応した殺菌水製造装置が開発されている。
【0003】
このような殺菌水製造装置の一例として、特許文献1の殺菌水製造装置では、水及び塩素系水溶液等を混合させた水溶液から殺菌水を生成する装置となっており、殺菌水の生成時にその濃度を安定させるために大量の水量が必要となっている。このように大量に生成された殺菌水を貯蔵するために大型の殺菌水タンクが設けられており、殺菌水タンクに貯蔵された殺菌水を送るためのポンプも設けられている。さらに、特許文献1の装置は、気密性を保つために、塩素系水溶液からなる原液を収容した原液タンクをそのまま取付けて、この原液タンクから原液を供給するように構成されている。この原液タンクに設けられた開口部は気密性を保つためパッキンによって塞がれており、装置に取付ける際には、このパッキンを穿孔棒によって突き破って貫通孔を開けて、この貫通孔から原液を供給するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−297174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のように、大量の水溶液を貯蔵するための殺菌水タンク、及び殺菌水をチェアユニット等に送るためのポンプが殺菌水製造装置に設けられた場合、部品が大型化し、かつ部品点数が増加して、殺菌水製造装置が大型化する要因となる。また、特許文献1の殺菌水製造装置に取付ける原液タンクについては、その流通性等の制約から大容量のものが供給されており、このような原液タンクの気密性を考慮してそのまま用いることも殺菌水製造装置が大型化する要因となっている。このような大型の殺菌水製造装置については、複数のチェアユニットに一括して通水をするための配管が治療室の床下に設置されており、このような配管を追加設置するためには改修工事等が必要となっている。
【0006】
また、殺菌水タンクに大量に貯蔵された殺菌水については、時間の経過とともに酸素を放出して、殺菌水(殺菌力)が失活するという問題がある。例えば、水と次亜塩素酸ナトリウムとを混合した殺菌水が長時間に渡って解放状態で放置されると、次亜塩素酸ナトリウムが分解して、酸素の放出とともに殺菌水の有効塩素濃度が低下し、その結果、殺菌水(殺菌力)が失活することとなる。そのため、歯科治療中に殺菌水の使用量が少ないために殺菌水が大量に貯蔵されることとなって、長時間殺菌水が滞留することになった場合、及び診療が行なわれない夜間に殺菌水が貯蔵されたままとなった場合に、特に殺菌水が失活し易くなっている。さらに、歯科治療において殺菌水が患者の口腔内に入るという点と、チェアユニットの酸化等の腐食を防ぐという点とを考慮して、極低濃度の殺菌水をチェアユニットへ通水することが要求されている。従って、殺菌力に余裕が無い状態の殺菌水が通水されることになり、有効塩素濃度のわずかな失活によっても殺菌力に大きく影響することとなる。
【0007】
さらに、殺菌水製造装置に設けられるポンプは主にモータ等を駆動源とするため、殺菌水をチェアユニットに送る際に、大きな音が発生することとなる。特に診療室等の医療環境は、医師や患者等にとって静かであることが好ましく、このような騒音を低減することが望まれる。
【0008】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、殺菌水の濃度を均一にし、殺菌水の配水管への逆流を防止し、殺菌水(殺菌力)の失活を防止し、腐食を防止し、かつ騒音の低減を図りながら、小型化したチェアユニット用殺菌水製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
課題を解決するために本発明のチェアユニット用殺菌水製造装置は、水と酸化殺菌剤水溶液とを混合して殺菌水を製造し、前記混合した殺菌水をチェアユニットに供給するように構成されるチェアユニット用殺菌水製造装置であって、前記混合した殺菌水を貯蔵可能に構成された殺菌水タンクと、外部のエアーコンプレッサから供給されるエアーを前記殺菌水タンクに供給するエアー供給路と、前記エアー供給路に設けられるとともに、前記エアー供給路からのエアーを三方口のうちの一方口から逃がすことができる三方弁と、前記殺菌水タンクからチェアユニットに殺菌水を供給する殺菌水供給路と、前記殺菌水供給路に設けられる殺菌水用逆止弁とを備え、前記エアー供給路から前記殺菌水タンクに送られ、かつ前記三方弁を用いて調節されるエアーの圧力によって、前記貯蔵された殺菌水が、前記殺菌水供給路及び前記殺菌水用逆止弁を通ってチェアユニットに送られる構成となっている。(請求項1)
【0010】
本発明のチェアユニット用殺菌水製造装置については、水を供給可能に構成された水供給路と、前記水供給路に設けられる水用弁と、所定濃度の殺菌水を生成するために前記水供給路から供給される水の量に対応して酸化殺菌剤水溶液からなる原液を所定量溜めながら、前記貯留された原液を供給する原液供給手段と、前記原液供給手段及び前記水供給路の水用弁より下流側の間を接続する原液供給路と、前記原液供給路に設けられる原液用弁とをさらに備え、前記殺菌水タンクが、前記水供給路における前記原液供給路との接続部より下流側と接続され、前記水用弁及び前記原液用弁をそれぞれ制御することによって、前記混合した殺菌水の濃度が調節されるように構成されている。(請求項2)
【0011】
本発明のチェアユニット用殺菌水製造装置については、少なくとも2つの前記殺菌水タンクが設けられ、前記水用弁と、前記原液用弁と、前記三方弁とをそれぞれ制御することによって、前記少なくとも2つの殺菌水タンクには交替で殺菌水が貯蔵され、かつ前記少なくとも2つの殺菌水タンクから交替で殺菌水がチェアユニットに送られるように構成されている。(請求項3)
【0012】
本発明のチェアユニット用殺菌水製造装置については、前記殺菌水の製造に用いる水として配水管から供給される水道水を送るように構成された送水路と、前記送水路から供給される水道水を貯留可能に構成された水道水タンクとをさらに備え、前記送水路に設けられる吐水口が、前記水道水用タンクのあふれ縁又は越流口の上方に所定の距離を置いて配置され、前記水道水タンクが前記水供給路に接続されて、前記水道水タンクからの水道水が前記殺菌水に供給されるように構成されている。(請求項4)
【0013】
本発明のチェアユニット用殺菌水製造装置については、前記殺菌水の製造に用いる水として、配水管から供給される水道水が前記水供給路に供給されるように構成され、前記水供給路の水用弁より上流側にバキュームブレーカが設けられ、前記バキュームブレーカと前記殺菌水タンクのあふれ縁とが所定の距離を置いて配置されている。(請求項5)
【0014】
本発明のチェアユニット用殺菌水製造装置については、前記殺菌水の製造に用いる水として水道の蛇口から供給される水道水が、前記水供給路に供給されるように構成され、前記水供給路に逆止弁が設けられ、水道の蛇口から供給された水道水を前記殺菌水供給路に直接送るように構成された補助水供給路が設けられ、前記補助水供給路に補助水用弁が設けられ、前記補助水供給路の前記補助水用弁より下流側に補助逆止弁が設けられ、前記水用弁と、前記原液用弁と、前記三方弁と、前記補助水用弁とを制御することによって、前記殺菌水タンクに殺菌水を貯めている間、前記補助水供給路から送られる水道水がチェアユニットに送られるように構成されている。(請求項6)
【0015】
本発明のチェアユニット用殺菌水製造装置については、前記殺菌水の製造に用いる水として配水管から供給される水道水を送るように構成された送水路と、前記送水路に設けられる水貯留用弁と、前記送水路から供給される水道水を貯留可能に構成された水道水タンクと、所定濃度の殺菌水を生成するために前記送水路から供給される水道水の量に対応して酸化殺菌剤水溶液からなる原液を所定量溜めながら、前記貯留された原液を供給する原液供給手段と、前記原液供給手段からの原液を前記水道水タンクに送るための貯留用原液供給路と、前記貯留用原液供給路に設けられる原液貯留用弁と、前記水道水タンク及び前記殺菌水タンクの間を接続する貯蔵用殺菌水供給路とをさらに備え、前記水貯留用弁及び前記原液貯留用弁をそれぞれ制御することによって、前記混合した殺菌水の濃度が調節されるように構成され、前記水道水タンクにて混合された殺菌水が、前記貯蔵用殺菌水供給路を通って前記殺菌水タンクに供給されるように構成されている。(請求項7)
【0016】
本発明のチェアユニット用殺菌水製造装置については、前記送水路に設けられる吐水口が、前記水道水用タンクに設けられるあふれ縁又は越流口の上方に所定の距離を置いて配置され、前記貯留用原液供給路に設けられる原液吐出口が、前記水道水タンクの越流口より上方に配置されている。(請求項8)
【0017】
本発明のチェアユニット用殺菌水製造装置については、前記送水路の水貯留用弁と前記送水路に設けられる吐水口との間にバキュームブレーカが設けられ、前記水道水タンクは、少なくとも所定高さに設定された下限水位の殺菌水を貯留するように構成され、前記貯留用原液供給路に設けられる原液吐出口が、前記水道水タンクの底面と前記下限水位との間に配置されている。(請求項9)
【0018】
本発明のチェアユニット用殺菌水製造装置については、前記貯蔵用殺菌水供給路に殺菌水貯蔵用弁が設けられ、少なくとも2つの前記殺菌水タンクが設けられ、前記水貯留用弁と、前記原液貯留用弁と、前記殺菌水貯蔵用弁と、前記三方弁とをそれぞれ制御することによって、前記少なくとも2つの殺菌水タンクに交替で殺菌水が貯蔵され、かつ前記少なくとも2つの殺菌水タンクから交替で殺菌水がチェアユニットに送られるように構成されている。(請求項10)
【0019】
本発明のチェアユニット用殺菌水製造装置については、前記原液供給手段が、フローセンサを備えるとともに、前記フローセンサから前記原液供給路に原液を供給するように構成され、前記フローセンサは、第1の液面検知手段と、前記第1の液面検知手段と間隔を空けて配置された第2の液面検知手段とを備え、前記第1の液面検知手段と前記第2の検知手段との間に溜められる原液の量を検知することによって前記原液供給路に供給する原液の量を計測するように構成され、前記第1の液面検知手段と前記第2の液面検知手段との間隔が変更可能となっている。(請求項11)
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、以下の効果を得ることができる。本発明のチェアユニット用殺菌水製造装置は、水と酸化殺菌剤水溶液とを混合して殺菌水を製造し、前記混合した殺菌水をチェアユニットに供給するように構成されるチェアユニット用殺菌水製造装置であって、前記混合した殺菌水を貯蔵可能に構成された殺菌水タンクと、外部のエアーコンプレッサから供給されるエアーを前記殺菌水タンクに供給するエアー供給路と、前記エアー供給路に設けられるとともに、前記エアー供給路からのエアーを三方口のうちの一方口から逃がすことができる三方弁と、前記殺菌水タンクからチェアユニットに殺菌水を供給する殺菌水供給路と、前記殺菌水供給路に設けられる殺菌水用逆止弁とを備え、前記エアー供給路から前記殺菌水タンクに送られ、かつ前記三方弁を用いて調節されるエアーの圧力によって、前記貯蔵された殺菌水が、前記殺菌水供給路及び前記殺菌水用逆止弁を通ってチェアユニットに送られる構成となっている。
そのため、歯科診療室所に必ず設置されているエアーコンプレッサからエアーの供給を受けることによって、殺菌水がチェアユニットに送られることとなる。従って、エアー供給用のポンプを不要とし、前記殺菌水製造装置を小型化でき、例えば、チェアユニット毎に前記殺菌水製造装置を取付けることができる。この場合、診療室の床下に対して大掛かりな配管工事等をする必要がなくなる。また、従来エアー供給用のポンプから発生していた騒音が低減されこととなる。さらに、エアーの圧力は前記三方弁によって調節されるため、前記殺菌水タンク内の圧力を調節できる。前記三方弁からエアーを抜くことによって前記殺菌水タンクの内部を減圧した場合、前記殺菌水用逆止弁が殺菌水のチェアユニットに向かう流れを止めるように機能して、殺菌水を前記殺菌水タンクに貯めることができる。エアーの圧力を調節して前記殺菌水タンクの内部を高圧にした場合、前記殺菌水タンク内の酸素の溶存率が高まった状態となる。よって、殺菌水から酸素の放出が抑えられる結果、殺菌水(殺菌力)の失活を低減する効果も得られる。このように前記殺菌水製造装置が小型化されれば、
【0021】
本発明のチェアユニット用殺菌水製造装置については、水を供給可能に構成された水供給路と、前記水供給路に設けられる水用弁と、所定濃度の殺菌水を生成するために前記水供給路から供給される水の量に対応して酸化殺菌剤水溶液からなる原液を所定量溜めながら、前記貯留された原液を供給する原液供給手段と、前記原液供給手段及び前記水供給路の水用弁より下流側の間を接続する原液供給路と、前記原液供給路に設けられる原液用弁とをさらに備え、前記殺菌水タンクが、前記水供給路における前記原液供給路との接続部より下流側と接続され、前記水用弁及び前記原液用弁をそれぞれ制御することによって、前記混合した殺菌水の濃度が調節されるように構成されている。
そのため、前記所定量の水を前記殺菌水タンクに供給するタイミングに対応して、予め貯留された原液が一定の量で安定して前記水供給路に送られることとなる。その結果、前記水供給路と前記原液供給路との合流部分で一定濃度の殺菌水が安定して生成され、均一な濃度の殺菌水が前記殺菌水タンクに供給されることとなる。従って、供給される殺菌水の濃度が不安定な場合のように、多量の殺菌水を生成して大型の殺菌水タンクに貯蔵し、殺菌水の濃度を平均化する必要がなくなる。すなわち、生成される殺菌水の量が少量で、かつ前記殺菌水タンクに貯蔵する殺菌水が少量であっても、殺菌水の濃度を均一にできる。よって、前記殺菌水タンクを小型化でき、前記殺菌水製造装置を小型化できる。
【0022】
本発明のチェアユニット用殺菌水製造装置については、少なくとも2つの前記殺菌水タンクが設けられ、前記水用弁と、前記原液用弁と、前記三方弁とをそれぞれ制御することによって、前記少なくとも2つの殺菌水タンクには交替で殺菌水が貯蔵され、かつ前記少なくとも2つの殺菌水タンクから交替で殺菌水がチェアユニットに送られるように構成されている。
そのため、例えば、2つの前記殺菌水タンクが設けられた場合、一方の前記殺菌水タンクに殺菌水を貯めている間、他方の前記殺菌水タンクから殺菌水を供給し、また、他方の前記殺菌水タンクに殺菌水を貯めている間、一方の前記殺菌水タンクから殺菌水を供給することができる。これらの動作を繰り返すことによって、殺菌水を前記殺菌水製造装置からチェアユニットに連続的に供給できる。従って、連続供給のために殺菌水を大量に貯めておく必要がなくなり、小さな前記殺菌水タンクによっても殺菌水を連続的に供給できる。よって、前記殺菌水製造装置をさらに小型化できる。
【0023】
本発明のチェアユニット用殺菌水製造装置については、前記殺菌水の製造に用いる水として配水管から供給される水道水を送るように構成された送水路と、前記送水路から供給される水道水を貯留可能に構成された水道水タンクとをさらに備え、前記送水路に設けられる吐水口が、前記水道水用タンクのあふれ縁又は越流口の上方に所定の距離を置いて配置され、前記水道水タンクが前記水供給路に接続されて、前記水道水タンクからの水道水が前記殺菌水に供給されるように構成されている。
そのため、前記送水路の吐水口と前記水道水タンクのあふれ縁又は越流口とが、十分な距離、例えば、日本の法的基準で要求される25mm以上の距離離れていれば、殺菌水が、前記送水路側の負圧によって逆流することを確実に防止できる。よって、殺菌水が水道水の配水管に逆流することを防止しながら、前記殺菌水製造装置を小型化できる。
【0024】
本発明のチェアユニット用殺菌水製造装置については、前記殺菌水の製造に用いる水として、配水管から供給される水道水が前記水供給路に供給されるように構成され、前記水供給路の水用弁より上流側にバキュームブレーカが設けられ、前記バキュームブレーカと前記殺菌水タンクのあふれ縁とが所定の距離を置いて配置されている。
そのため、前記水供給路のバキュームブレーカと前記殺菌水タンクのあふれ縁とが、十分な距離、例えば、日本の法的基準で要求される150mm以上の距離離れていれば、殺菌水が前記水供給路の負圧によって逆流することを確実に防止できる。よって、殺菌水が水道水の配水管に逆流することを防止しながら、さらに前記殺菌水製造装置を小型化できる。
【0025】
本発明のチェアユニット用殺菌水製造装置については、前記殺菌水の製造に用いる水として水道の蛇口から供給される水道水が、前記水供給路に供給されるように構成され、前記水供給路に逆止弁が設けられ、水道の蛇口から供給された水道水を前記殺菌水供給路に直接送るように構成された補助水供給路が設けられ、前記補助水供給路に補助水用弁が設けられ、前記補助水供給路の前記補助水用弁より下流側に補助逆止弁が設けられ、前記水用弁と、前記原液用弁と、前記三方弁と、前記補助水用弁とを制御することによって、前記殺菌水タンクに殺菌水を貯めている間、前記補助水供給路から送られる水道水がチェアユニットに送られるように構成されている。
そのため、前記殺菌水タンクから供給される殺菌水とは別に、水道の蛇口から供給される水道水を、前記補助水供給路を通じて、そのままチェアユニットに送ることができる。そのため、前記殺菌水タンクに殺菌水を貯めている間に、歯科治療用ハンドピース、シリンジ、コップ給水等のために通水する場合、水道の蛇口から直接送られる水道水を加圧水として用いることができる。従って、治療機器の使用中に殺菌水を前記殺菌水タンクに貯める機会が得られることとなり、加圧水として用いるために殺菌水を余分に生成し、かつ貯蔵しておく必要がなくなる。よって、前記殺菌水タンクを小型化でき、前記殺菌水製造装置を小型化できる。
【0026】
本発明のチェアユニット用殺菌水製造装置については、前記殺菌水の製造に用いる水として配水管から供給される水道水を送るように構成された送水路と、前記送水路に設けられる水貯留用弁と、前記送水路から供給される水道水を貯留可能に構成された水道水タンクと、所定濃度の殺菌水を生成するために前記送水路から供給される水道水の量に対応して酸化殺菌剤水溶液からなる原液を所定量溜めながら、前記貯留された原液を供給する原液供給手段と、前記原液供給手段からの原液を前記水道水タンクに送るための貯留用原液供給路と、前記貯留用原液供給路に設けられる原液貯留用弁と、前記水道水タンク及び前記殺菌水タンクの間を接続する貯蔵用殺菌水供給路とをさらに備え、前記水貯留用弁及び前記原液貯留用弁をそれぞれ制御することによって、前記混合した殺菌水の濃度が調節されるように構成され、前記水道水タンクにて混合された殺菌水が、前記貯蔵用殺菌水供給路を通って前記殺菌水タンクに供給されるように構成されている。
そのため、原液を供給するための管路を1つにすることができ、前記貯留用原液供給路から供給される原液の調節のために少なくとも1つの前記原液貯留用弁を設ければよいので、前記殺菌水製造装置を小型化でき、かつコストダウンを図ることができる。前記貯留用原液供給路は、水と原液とを混合かつ一端貯留する水道水タンクに原液を供給するので、前記原液貯留用弁に逆圧が発生し難くなっている。前記原液貯留用弁が故障し、かつ内部リークを起こした場合に、前記原液貯留用弁に発生した逆圧によって、前記貯留用原液供給路にて原液、及び/又は前記水道水タンク内の殺菌水の逆流を確実に防止することができる。さらに、前記水道水タンク内で水及び原液が混合し、かつ拡散させた後に加圧された前記殺菌水タンク内に流入することによって、一定濃度の殺菌水を安定して生成でき、かつ均一な濃度の殺菌水を供給できる。
【0027】
本発明のチェアユニット用殺菌水製造装置については、前記送水路に設けられる吐水口が、前記水道水用タンクに設けられるあふれ縁又は越流口の上方に所定の距離を置いて配置され、前記貯留用原液供給路に設けられる原液吐出口が、前記水道水タンクの越流口より上方に配置されている。
そのため、前記送水路の吐水口と前記水道水タンクのあふれ縁又は越流口とが、十分な距離、例えば、日本の法的基準で要求される25mm以上の距離離れていれば、殺菌水が、前記送水路側の負圧によって逆流することを確実に防止できる。また、前記原液吐出口が前記水道水タンク内の殺菌水に接触することが防止されるので、前記貯留用原液供給路に前記水道水タンク内の殺菌水が逆流することを確実に防止できる。よって、殺菌水が水道水の配水管に逆流することを防止し、かつ前記貯留用原液供給路に逆流することを防止しながら、前記殺菌水製造装置を小型化できる。
【0028】
本発明のチェアユニット用殺菌水製造装置については、前記送水路の水貯留用弁と前記送水路に設けられる吐水口との間にバキュームブレーカが設けられ、前記水道水タンクは、少なくとも所定高さに設定された下限水位の殺菌水を貯留するように構成され、前記貯留用原液供給路に設けられる原液吐出口が、前記水道水タンクの底面と前記下限水位との間に配置されている。
そのため、前記送水路のバキュームブレーカによって、前記水道水タンク内の殺菌水が、前記送水路側の負圧によって逆流することを確実に防止できる。また、前記原液吐出口が前記水道水タンク内の殺菌水に常に浸されることとなり、前記貯留用原液供給路に残留した原液が乾燥し、かつ原液成分が結晶化することによって、前記貯留用原液供給路が塞がれて、原液の流れが妨げられることを防止できる。従って、前記貯留用原液供給路から所望量の原液が確実に供給されて、一定濃度の殺菌水を安定して生成でき、かつ均一な濃度の殺菌水を供給できる。
【0029】
本発明のチェアユニット用殺菌水製造装置については、前記貯蔵用殺菌水供給路に殺菌水貯蔵用弁が設けられ、少なくとも2つの前記殺菌水タンクが設けられ、前記水貯留用弁と、前記原液貯留用弁と、前記殺菌水貯蔵用弁と、前記三方弁とをそれぞれ制御することによって、前記少なくとも2つの殺菌水タンクに交替で殺菌水が貯蔵され、かつ前記少なくとも2つの殺菌水タンクから交替で殺菌水がチェアユニットに送られるように構成されている。
そのため、例えば、2つの前記殺菌水タンクが設けられた場合、一方の前記殺菌水タンクに殺菌水を貯めている間、他方の前記殺菌水タンクから殺菌水を供給し、また、他方の前記殺菌水タンクに殺菌水を貯めている間、一方の前記殺菌水タンクから殺菌水を供給することができる。これらの動作を繰り返すことによって、殺菌水を前記殺菌水製造装置からチェアユニットに連続的に供給できる。従って、連続供給のために殺菌水を大量に貯めておく必要がなくなり、小さな前記殺菌水タンクによっても殺菌水を連続的に供給できる。よって、前記殺菌水製造装置をさらに小型化できる。
【0030】
本発明のチェアユニット用殺菌水製造装置については、前記原液供給手段が、フローセンサを備えるとともに、前記フローセンサから前記原液供給路に原液を供給するように構成され、前記フローセンサは、第1の液面検知手段と、前記第1の液面検知手段と間隔を空けて配置された第2の液面検知手段とを備え、前記第1の液面検知手段と前記第2の検知手段との間に溜められる原液の量を検知することによって前記原液供給路に供給する原液の量を計測するように構成され、前記第1の液面検知手段と前記第2の液面検知手段との間隔が変更可能となっている。
そのため、前記第1の液面検知手段と前記第2の液面検知手段との間に溜められる原液の量が変更されることとなり、殺菌水の濃度が変更可能に構成されている。そのため、必要に応じて適切な濃度の殺菌水を生成できる。例えば、診療中に殺菌水が頻繁に入れ替えられる昼間には、前記殺菌水の濃度を飲用に適したレベルとするように前記原液供給手段に貯められる原液の量を設定する。一方で、診療後のように殺菌水を入れ替えることがない夜間には、殺菌水の失活を想定して、殺菌水の濃度を高くするように前記原液供給手段に貯められる原液の量を設定して、高い濃度の殺菌水を生成して前記殺菌水タンクに貯蔵しておき、診療を再開する際には、失活により飲用に適した濃度となった殺菌水をチェアユニットに供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第1実施形態におけるチェアユニット用殺菌水製造装置の概略を示す説明図である。
【図2】本発明の第2実施形態におけるチェアユニット用殺菌水製造装置の概略を示す説明図である。
【図3】本発明の第3実施形態におけるチェアユニット用殺菌水製造装置の概略を示す説明図である。
【図4】本発明の第4実施形態におけるチェアユニット用殺菌水製造装置の概略を示す説明図である。
【図5】本発明の第5実施形態におけるチェアユニット用殺菌水製造装置の概略を示す説明図である。
【図6】(a)本発明の第7実施形態において、原液貯留器から取外された状態の原液カートリッジの概略を示す縦断面図である。(b)本発明の第7実施形態において、原液貯留器に取付けられた状態の原液カートリッジの概略を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の実施形態におけるチェアユニット用殺菌水製造装置(以下、「装置」という)について説明する。この装置は、水と酸化殺菌剤水溶液とを混合した殺菌水を製造可能とする二液混合方式となっている。酸化殺菌剤水溶液は、一例として、塩素系水溶液、過酸化水素水溶液、またはこれらを混合した水溶液等であるとよい。さらに、一例として、塩素系水溶液は、次亜塩素酸ナトリウム水溶液、二酸化塩素水溶液等であるとよい。なお、本発明の実施形態では、水道水を用いて説明しているが、井戸水、河川水等の任意の水源から供給される水を用いることも可能である。
【0033】
[第1実施形態]
図1を参照して、本発明の第1実施形態における装置を説明する。装置には、配水管(図示せず)から供給される水道水を送るための送水路1が設けられている。送水路1には、水貯留用弁2と、水貯留用弁2の下流側に配置された逆止弁3と、さらに逆止弁3の下流側で水道水を吐水するための吐水口1aとが設けられている。水貯留用弁2は、制御器4に接続されている。水貯留用弁2の一例としては、電磁弁を用いるとよい。
【0034】
装置には、水道水を貯留するための水道水タンク5が設けられており、この水道水タンク5のあふれ縁5aの上方に吐水口1aが配置されている。吐水口1aとあふれ縁5aとは、距離d1の間隔を空けて配置されている。この距離d1の一例としては、日本の法的基準で要求される25mm以上であると特によく、十分な吐水口空間が確保されることとなる。また、水道水タンク5には、その底面から高さh1の位置であって、吐水口1aから距離d2の位置に越流口5bが設けられている。そのため、水道水タンク5の内部で水道水の液面が高さh1までが達すると、さらに供給される水道水は越流口5bから放出されることとなる。このときの高さh1の液面が越流面5cとなる。また、距離d2の一例としては、距離d1が25mm以下のような場合であっても、距離d2が日本の法的基準で要求される25mm以上であれば特によく、十分な吐水口空間が確保されることとなる。
【0035】
水道水タンク5の内部には、越流面5cの下方であって水道水タンク5の底面から高さh2の位置に水道水の液面高さを検知可能な液面センサ6が設けられており、この液面センサ6は制御器4に接続されている。さらに、水道水タンク5に貯められた水道水を上方から下方に向かって落下させて供給するように構成された2つの水供給路7が設けられている。水供給路7には、水用弁8が設けられている。水用弁8は制御器4に接続されている。なお、水用弁8の一例としては、電磁弁を用いるとよい。
【0036】
装置には、酸化殺菌剤水溶液からなる原液を供給するための原液供給手段として、原液カートリッジ9と、原液貯留器10と、原液送路11と、フローセンサ12とが設けられている。原液カートリッジ9には原液が収容され、原液カートリッジ9と原液貯留器10とが着脱可能に構成されている。原液貯留器10は原液カートリッジ9から供給される原液を受け、かつ一旦貯留されるように構成されている。また、原液送路11が原液貯留器10とフローセンサ12とを接続することによって、原液貯留器10に貯留された原液が、フローセンサ12に供給されるように構成されている。さらに、原液送路11には電磁弁13が設けられており、電磁弁13は制御器4に接続されている。
【0037】
フローセンサ12には液溜部12aが設けられ、この液溜部12aは原液を貯留可能に構成されている。また、液溜部12aには、その底面から高さh3の位置に第1の液面検知手段12bが設けられ、第1の液面検知手段12bの上方であって液溜部12aの底面から高さh4の位置に第2の液面検知手段12cが設けられている。第1の液面検知手段12bと第2の液面検知手段12cとの間隔h5(=h4−h3)は、第1の液面検知手段12bと第2の液面検知手段12cとの間に貯留される原液の量が、供給される水道水の量に対応して所定の濃度の殺菌水を生成となるように設定されている。また、第1の液面検知手段12b及び第2の液面検知手段12cは、制御器4に接続されている。なお、第1の液面検知手段12b及び第2の液面検知手段12cの一例としては、液溜部12a内での気泡の発生や異物の混入を防ぐために、液溜部12a内に可動部を設けない構成であるとよい。この場合、非接触式の方式を用いるとよく、例えば、発光素子及び受光素子を用いることが可能である。
【0038】
液溜部12aの頂部には開口部12dが設けられており、開口部12dは原液貯留器10に接続されている。この開口部12dによって、原液から発生するガスが大気中に逃がされ、かつ液溜部12aでオーバーフローした原液が原液貯留器10に流れることとなる。フローセンサ12の液溜部12aと水供給路7の水用弁8の下流側とを接続する2つの原液供給路14が設けられており、水供給路7と原液供給路14との接続部分で、水道水と原液とが混合し、殺菌水が生成されることとなる。さらに、原液供給路14には原液用弁15が設けられている。原液用弁15は、制御器4に接続されている。原液用弁15の一例としては、流量制御弁が用いられるとよい。
【0039】
装置には、殺菌水を貯蔵するための2つの殺菌水タンク16が設けられている。殺菌水タンク16は、水供給路7と原液供給路14との合流部分の下流側に配置されており、水供給路7は殺菌水タンク16に接続され、殺菌水タンク16の内部には殺菌水が供給されて貯蔵されることとなる。
【0040】
さらに、殺菌水タンク16の内部には、液面センサ17が設けられている。ここでは、液面センサ17の一例として、フロート式レベルセンサを用いている。液面センサ17には、フロート部17aと、殺菌水の下限水位を検知するための下限水位検知部17bと、殺菌水の上限水位を検知するための上限水位検知部17cとが設けられている。フロート部17aは殺菌水の液面に浮くように構成され、下限水位検知部17bは殺菌水の下限水位として定めた高さh6の位置に配置され、上限水位検知部17cは殺菌水の上限水位として定めた高さh7の位置に配置されている。
【0041】
液面センサ17においては、殺菌水の液面が下限水位に達したときに、フロート部17aが下限水位検知部17bと接触して下限水位を検知し、殺菌水の液面が上限水位に達したときに、フロート部17aが上限水位検知部17cと接触して上限水位を検知するように構成されている。なお、液面センサ17は、殺菌水の上限水位及び下限水位を検知可能であれば、フロート式レベルセンサ以外のものを用いてもよい。このような液面センサ17は、制御器4に接続されている。
【0042】
装置には、外部のエアーコンプレッサ(図示せず)に接続され、かつエアーコンプレッサからエアーの供給を受けるように構成された2つのエアー供給路18が設けられている。エアー供給路18は、殺菌水タンク16の上部とエアーコンプレッサとを接続しており、エアー供給路18には三方弁19が設けられている。三方弁19の三方口のうち一方口19aは、エアーを逃がすことができるように構成され、この三方弁19によってエアーの圧力が調節可能となっている。また、三方弁19は制御器4に接続されている。
【0043】
装置には、殺菌水タンク16に貯蔵された殺菌水をチェアユニット(図示せず)に供給するための殺菌水供給路20が設けられている。2つの殺菌水供給路20は、2つの殺菌水タンク16から延びるとともに合流してチェアユニットに接続されている。殺菌水供給路20同士の合流部分より上流側に、殺菌水用逆止弁21が設けられている。
【0044】
また、装置には、殺菌水を排水するための排水口22が設けられており、この排水口22と、殺菌水供給路20における殺菌水タンク16及び殺菌水用逆止弁21の間の部分とを接続する排水路23が設けられている。排水路23には排水用弁24が設けられ、排水用弁24が制御器4に接続されている。そのため、例えば、殺菌水タンク16内の殺菌水がある一定の時間(例えば4日間)使用されずに殺菌力が失活した場合に、制御器4により排水用弁24を開くように制御すると、殺菌水を排水口22から排水することができる。この排水路23の排水用弁24より下流側と水道水タンク5の越流口5bとを接続する水道水排水路25が設けられ、越流口5bから放出される水道水が排水されるように構成されている。
【0045】
ここで、本発明の第1実施形態の装置において、殺菌水を製造してチェアユニットに供給する動作を説明する。
水道水の供給については、配水管から送水路1に水道水が供給され、送水路1の吐水口1aから水道水タンク5に水道水が供給される。水道水が水道水タンク5に貯留されて液面高さh2に達すると、液面センサ6が水道水の上限水位を検知し、液面センサ6から制御器4に信号が送られる。このとき、制御器4は水貯留用弁2を閉じるように制御し、水道水の供給が止められることとなる。なお、液面センサ6が水道水の液面を検知不能な状態に陥ったときであっても、水道水は越流口5bから放出される。水道水タンク5に所定量貯留された水道水は、制御器4により水用弁8を開くように制御すると、水供給路7と原液供給路14との合流部分を通って、殺菌水タンク16に送られることとなる。
【0046】
一方で、原液の供給については、原液カートリッジ9に収容された原液が、原液貯留器10に供給されて貯留される。原液貯留器10に一旦貯留された原液は、原液送路11を通ってフローセンサ12の液溜部12aに送られる。原液が液溜部12aに貯留されて液面高さh4まで達すると、第2の液面検知手段12cが原液の液面を検知し、制御器4に信号を送る。このとき、制御器4は電磁弁13を閉じるように制御し、原液の供給が止められることとなる。液溜部12aに所定量貯留された原液は、制御器4により原液用弁15を開くように制御すると、水供給路7に送られる。このとき、水供給路7と原液供給路14との合流部分において水道水の通過開始に対応して原液の供給を開始し、かつ水道水の通過終了に対応して原液の供給を終了するように、原液用弁15を調節し原液の流量が制御される。また、水供給路7と原液供給路14との合流部分においては、通過する水道水の水圧によって原液を水供給路7に引き込むように負圧が発生した状態となっており、このような状態で水道水と原液とが混合されることとなる。
【0047】
さらに、液溜部12aに貯留された原液が消費されて、液面高さh3に達すると、第1の液面検知手段12bが原液の液面を検知し、制御器4に信号を送る。このとき、制御器4の制御によって原液用弁15を閉じることによって、原液の供給が止められることとなる。水供給路7と原液供給路14との合流部分において水道水と酸化殺菌剤水溶液とを混合した殺菌水が生成され、この殺菌水は殺菌水タンク16に送られて貯蔵される。このとき、三方弁19の一方口19aからエアーを抜くことによって殺菌水タンク16の内部を減圧すると、殺菌水用逆止弁21が殺菌水のチェアユニットに向かう流れを止めるように機能して、殺菌水が殺菌水タンク16に貯められることとなる。
【0048】
なお、殺菌水タンク16の殺菌水が液面高さh7の上限水位に達すると、液面センサ17のフロート部17aが上限水位検知部17cと接触して、液面センサ17が殺菌水の上限水位を検知し、液面センサ17から制御器4に信号が送られる。このとき、制御器4は水用弁8を閉じるように制御し、水道水の供給が止められることとなる。
【0049】
殺菌水タンク16に所定量の殺菌水が貯蔵された後、制御器4により三方弁19を制御し、エアー供給路18から殺菌水タンク16にエアーが供給されると、エアーの圧力によって、殺菌水タンク16に貯蔵された殺菌水が、殺菌水供給路20を通ってチェアユニットに送られることとなる。
【0050】
殺菌水がチェアユニットに送られて消費され、殺菌水タンク16の殺菌水が液面高さh6の下限水位に達すると、液面センサ17のフロート部17aが下限水位検知部17bと接触し、液面センサ17が殺菌水の下限水位を検知し、液面センサ17から制御器4に信号が送られる。このとき、制御器4はエアーの供給を止めるように三方弁19を制御し、殺菌水の供給が停止されることとなる。
【0051】
本発明の第1実施形態においては、2つの殺菌水タンク16に対応して、水供給路7と、原液供給路14と、エアー供給路18と、殺菌水供給路20とが設けられているため、上述のように殺菌水を生成して殺菌水タンク16に貯蔵する動作を交互に行うことができる。また、2つの殺菌水タンク16から交互にチェアユニットに殺菌水を供給することができる。
【0052】
以上のように本発明の第1実施形態によれば、歯科診療所に必ず設置されている装置外部のエアーコンプレッサからエアーの供給を受けることによって、殺菌水がチェアユニットに送られることとなる。そのため、エアー供給用のポンプを不要とし、装置を小型化でき、例えば、チェアユニット毎に装置を取付けることができる。この場合、診療室の床下に対して大掛かりな配管工事を行なう必要がなくなる。また、従来エアー供給用のポンプから発生していた騒音が低減されこととなる。さらに、エアーの圧力は三方弁19によって調節されるため、殺菌水タンク16の内部の圧力を調節できる。三方弁19からエアーを抜くことによって殺菌水タンク16の内部を減圧した場合、殺菌水用逆止弁21が殺菌水のチェアユニットに向かう流れを止めるように機能して、殺菌水を殺菌水タンク16に貯めることができる。エアーの圧力を調節して殺菌水タンク16の内部を高圧にした場合、殺菌水タンク16内の酸素の溶存率が高まった状態となる。よって、殺菌水から酸素の放出が抑えられる結果、殺菌水(殺菌力)の失活を低減する効果も得られる。
【0053】
所定量の水道水を殺菌水タンク16に供給するタイミングに対応して、予め貯留された原液が一定の量で安定して水供給路7に送られることとなるので、水供給路7と原液供給路14の合流部分で一定濃度の殺菌水が安定して生成され、均一な濃度の殺菌水が殺菌水タンク16に供給されることとなる。従って、供給される殺菌水の濃度が不安定な場合のように、多量の殺菌水を生成して大型の殺菌水タンクに貯蔵し、殺菌水の濃度を平均化する必要がなくなる。すなわち、生成される殺菌水の量が少量で、かつ殺菌水タンク16に貯蔵する殺菌水が少量であっても、殺菌水の濃度を均一にできる。よって、殺菌水タンク16を小型化でき、装置を小型化できる。
【0054】
また、本発明の第1実施形態によれば、2つの殺菌水タンク16に交互に殺菌水を貯蔵でき、かつ殺菌水を2つの殺菌水タンク16から交互にチェアユニットに送ることができる。そのため、例えば、一方の殺菌水タンク16に殺菌水を貯めている間、他方の殺菌水タンク16から殺菌水を供給し、また、他方の殺菌水タンク16に殺菌水を貯めている間、一方の殺菌水タンク16から殺菌水を供給することができる。これらの動作を繰り返すことによって、殺菌水を装置からチェアユニットに連続的に供給できる。従って、連続供給のために殺菌水を大量に貯めておく必要がなくなり、小さな殺菌水タンク16によっても殺菌水を連続的に供給できる。よって、装置をさらに小型化できる。
【0055】
さらに、本発明の第1実施形態によれば、送水路1の吐水口1aと水道水タンク5のあふれ縁5a又は越流口5bとが、十分な距離d1又は距離d2離れていれば、殺菌水が、送水路1側の負圧によって逆流することを確実に防止できる。よって、殺菌水が水道水の配水管に逆流することを防止しながら、装置を小型化できる。
【0056】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態の装置について以下に説明する。第2実施形態の装置の基本的な構成は、第1実施形態の装置の構成と同様になっている。第1実施形態と同様な要素は、第1実施形態と同様の符号及び名称を用いて説明する。ここでは、第1実施形態と異なる構成について説明する。
【0057】
図2を参照して、本発明の第2実施形態における装置を説明する。装置には、配水管(図示せず)から水道水を供給されるように構成された水供給路31が設けられている。水供給路31には、バキュームブレーカ32が設けられている。水供給路31は、バキュームブレーカ32の下流側で分岐して2つに分かれている。さらに、水供給路31には、分岐部分の下流側に配置された水用弁33と、水用弁33の下流側に配置された逆止弁34とが設けられている。水用弁33は制御器4に接続されている。
【0058】
水供給路31の逆止弁34より下流側と原液供給路14とが接続されており、水供給路31と原液供給路14との接続部分で、水道水と原液とが混合し、殺菌水が生成されることとなる。第2実施形態においては、第1実施形態と同様に2つの殺菌水タンク16が設けられている。殺菌水タンク16は、水供給路31と原液供給路14との合流部分の下流側に配置されており、水供給路31は殺菌水タンク16に接続され、殺菌水タンク16の内部では殺菌水が供給されて貯蔵されることとなる。
【0059】
また、バキュームブレーカ32と殺菌水タンク16のあふれ縁16aとが、距離d3の間隔を空けて配置されており、この距離d3の一例としては、日本の法的基準で要求される150mm以上であると特によく、十分な吐水口空間が確保されることとなる。
【0060】
ここで、本発明の第2実施形態の装置において、殺菌水を製造してチェアユニットに供給する動作を説明する。
水道水の供給については、配水管から水供給路31に水道水が供給される。水道水は、制御器4により水用弁33を開くように制御すると、水供給路31と原液供給路14との合流部分を通って殺菌水タンク16に送られる。水供給路31と原液供給路14との合流部分では、第1実施形態と同様に水道水と原液とが混合されて、殺菌水が生成されることとなる。さらに、第1実施形態と同様に、殺菌水を殺菌水タンク16に貯蔵して、殺菌水を殺菌水タンク16からチェアユニットに送る。
【0061】
なお、殺菌水タンク16の殺菌水が液面高さh7の上限水位に達すると、液面センサ17のフロート部17aが上限水位検知部17cと接触し、液面センサ17が殺菌水の上限水位を検知し、液面センサ17から制御器4に信号が送られる。このとき、制御器4は水用弁33を閉じるように制御し、水道水の供給が止められることとなる。
【0062】
また、殺菌水は第1実施形態と同様に殺菌水タンク16からチェアユニットに送られる。さらに、第1実施形態と同様に、2つの殺菌水タンク16に対応して、水供給路31と、原液供給路14と、エアー供給路18と、殺菌水供給路20とが設けられているため、上述のように殺菌水を生成して殺菌水タンク16に貯蔵する動作を交互に行うことができる。また、2つの殺菌水タンク16から交互にチェアユニットに殺菌水を供給することができる。
【0063】
以上のように本発明の第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の構成から得られる効果に加えて、水供給路31のバキュームブレーカ32と殺菌水タンク16のあふれ縁16aとが、十分な距離d3離れていれば、殺菌水が水供給路31側の負圧によって逆流することを確実に防止できる。よって、殺菌水が水道水の配水管に逆流することを防止しながら、装置を小型化できる。
【0064】
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態の装置について以下に説明する。第3実施形態の装置の基本的な構成は、第1実施形態の装置の構成と同様になっている。第1実施形態と同様な要素は、第1実施形態と同様の符号及び名称を用いて説明する。ここでは、第1実施形態と異なる構成について説明する。
【0065】
図3を参照して、本発明の第3実施形態における装置を説明する。装置には、水道の蛇口41からホース42を介して水道水を供給されるように構成された水供給路43が設けられている。水供給路43には、逆止弁44と、逆止弁44の下流側に配置された水用弁45とが設けられている。水用弁45は制御器4に接続されている。
【0066】
水供給路43の水用弁45より下流側と原液供給路14とが接続されており、水供給路43と原液供給路14との接続部分で、水道水と原液とが混合し、殺菌水が生成されることとなる。第3実施形態においては、1つの殺菌水タンク16が設けられている。殺菌水タンク16は、水供給路43と原液供給路14との合流部分の下流側に配置されており、水供給路43は殺菌水タンク16に接続され、殺菌水タンク16の内部では殺菌水が供給されて貯蔵されることとなる。
【0067】
装置には、殺菌水タンク16に貯蔵された殺菌水をチェアユニット(図示せず)に供給するための殺菌水供給路46が設けられている。殺菌水供給路46は、殺菌水タンク16とチェアユニットとを接続している。殺菌水供給路46には、殺菌水用逆止弁47が設けられている。
【0068】
さらに、装置には、水道の蛇口41からホース42を介して水道水を供給されるように構成された補助水供給路48が設けられている。補助水供給路48は、殺菌水供給路46の殺菌水用逆止弁47より下流側に接続されている。補助水供給路48には、圧力調整器49と、圧力調整器49の下流側に補助水用弁50と、補助水用弁50の下流側に補助逆止弁51とが設けられている。補助水用弁50は、制御器4に接続されている。なお、補助水用弁50の一例として、電磁弁が用いられるとよい。
【0069】
装置には、殺菌水を排水するための排水口52が設けられており、この排水口52と、殺菌水供給路46における殺菌水タンク16及び殺菌水用逆止弁47の間の部分とを接続する排水路53が設けられている。排水路53には排水用弁54が設けられ、排水用弁54が制御器4に接続されている。そのため、例えば、殺菌水タンク16内の殺菌水がある一定の時間(例えば4日間)使用されずに殺菌力が失活した場合に、制御器4により排水用弁54を開くように制御すると、殺菌水を排水口52から排水することができる。
【0070】
ここで、本発明の第3実施形態の装置において、殺菌水を製造してチェアユニットに供給する動作を説明する。
水道の蛇口41から水供給路43に水道水が供給される。水道水は、制御器4により水用弁45を開くように制御すると、水供給路43と原液供給路14との合流部分を通って殺菌水タンク16に送られる。水供給路43と原液供給路14との合流部分では、第1実施形態と同様に水道水と原液とが混合されて、殺菌水が生成されることとなり、第1実施形態と同様に、殺菌水を殺菌水タンク16に貯蔵する。さらに、殺菌水タンク16に貯蔵された殺菌水は、殺菌水供給路46を通ってチェアユニットに送られることとなる。
【0071】
なお、殺菌水タンク16の殺菌水が液面高さh7の上限水位に達すると、液面センサ17のフロート部17aが上限水位検知部17cと接触し、液面センサ17が殺菌水の上限水位を検知し、液面センサ17から制御器4に信号が送られる。このとき、制御器4は水用弁45を閉じるように制御し、水道水の供給が止められることとなる。
【0072】
また、殺菌水は第1実施形態と同様に殺菌水タンク16からチェアユニットに送られる。さらに、殺菌水タンク16に殺菌水を貯蔵している間に歯科治療用ハンドピース等に通水する場合、制御器4が、補助水供給路48の補助水用弁50を開くように制御し、水道水が、圧力調整器49によって水圧を調整されながら、補助水供給路48からチェアユニットに直接供給される。
【0073】
以上のように本発明の第3実施形態によれば、第1実施形態と同様の構成から得られる効果に加えて、殺菌水タンク16から供給される殺菌水とは別に、水道の蛇口41から供給される水道水を、補助水供給路48を通じて、圧力調整器49により水圧を調整しながら、そのままチェアユニットに送ることができる。そのため、殺菌水タンク16に殺菌水を貯めている間だけ歯科治療用ハンドピース等に水道水を直接通水することができる。従って、治療機器の使用中に殺菌水を殺菌水タンク16に貯める機会が得られることとなり、加圧水として用いるために殺菌水を余分に生成し、かつ貯蔵しておく必要がなくなる。よって、殺菌水タンク16を小型化でき、さらに装置を小型化できる。
【0074】
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態の装置について以下に説明する。第4実施形態の装置の基本的な構成は、第1実施形態の装置の構成と同様になっている。第1実施形態と同様な要素は、第1実施形態と同様の符号及び名称を用いて説明する。
【0075】
図4を参照して、本発明の第4実施形態における装置を説明する。装置には、酸化殺菌剤水溶液からなる原液を供給するための原液供給手段として、第1実施形態と同様のフローセンサ12が設けられており、さらに、上部に大気通気孔を有する原液タンク61と、貯留用原液供給路62とが設けられている。フローセンサ12の液溜部12aでオーバーフローした原液は、原液タンク61に流れるように構成されている。貯留用原液供給路62の一端は、原液タンク61に接続され、貯留用原液供給路62の他端には、原液吐出口62aが設けられている。この原液吐出口62aは、貯留用原液供給路62からの原液を水道水タンク5に供給可能に構成され、水道水タンク5の越流口5bより上方に配置されている。そのため、水道水タンク5内で、送水路1からの水道水と貯留用原液供給路62からの原液とが混合し、殺菌水が生成されることとなる。
【0076】
また、貯留用原液供給路62の中間部には、原液タンク61から原液を汲み上げるための原液用ポンプ63が設けられている。この原液用ポンプ63は制御器4に接続されている。貯留用原液供給路62の原液用ポンプ63より下流側は、フローセンサ12の底面と接続されている。貯留用原液供給路62のフローセンサ12との接続部分より下流側には、原液貯留用弁64が設けられている。この原液貯留用弁64は、制御器4に接続されている。原液貯留用弁64の一例としては、流量制御弁が用いられるとよい。
【0077】
水道水タンク5の内部には、液面センサ65が設けられている。ここでは、液面センサ65の一例として、フロート式レベルセンサを用いている。液面センサ65には、フロート部65aと、殺菌水の下限水位を検知する下限水位検知部65bと、殺菌水の上限水位を検知する上限水位検知部65cとが設けられている。フロート部65aは殺菌水の液面に浮くように構成され、下限水位検知部65bは、底面5dを基準に殺菌水の下限水位として定めた高さh8の位置に配置され、上限水位検知部65cは、越流面5cの下方であって、底面5dを基準に殺菌水の上限水位として定めた高さh9の位置に配置されている。
【0078】
液面センサ65においては、殺菌水の液面が下限水位に達したときに、フロート部65aが下限水位検知部65bと接触して下限水位を検知し、殺菌水の液面が上限水位に達したときに、フロート部65aが上限水位検知部65cと接触して上限水位を検知するように構成されている。なお、液面センサ65は、殺菌水の上限水位及び下限水位を検知可能であれば、フロート式レベルセンサ以外のものを用いてもよい。このような液面センサ65は、制御器4に接続されている。
【0079】
さらに、水道水タンク5に貯められた殺菌水を上方から下方に向かって落下させて供給するように構成された2つの貯蔵用殺菌水供給路66が設けられている。貯蔵用殺菌水供給路66には、殺菌水貯蔵用弁67が設けられている。殺菌水貯蔵用弁67は制御器4に接続されている。なお、殺菌水貯蔵用弁67の一例としては、電磁弁を用いるとよい。
【0080】
ここで、本発明の第4実施形態の装置において、殺菌水を製造してチェアユニットに供給する動作を説明する。
水道水の供給については、配水管から送水路1に水道水が供給され、送水路1の吐水口1aから水道水タンク5に水道水が供給される。一方で、原液の供給については、原液タンク61に収容された原液が、貯留用原液供給路62を通って原液吐出口62aに向かうように、原液用ポンプ63によって汲み上げられる。原液用ポンプ63を通過した後の原液は、フローセンサ12の液溜部12aに貯留されて液面高さh4まで達すると、第2の液面検知手段12cが原液の液面を検知し、制御器4に信号を送る。このとき、制御器4は原液用ポンプ63の汲み上げ動作を止めるように制御し、原液の汲み上げが止められることとなる。液溜部12aに所定量貯留された原液は、制御器4により原液貯留用弁64を開くように制御すると、原液吐出口62aから水道水タンク5に送られる。このとき、水道水の供給開始に対応して原液の供給を開始し、かつ水道水の供給終了に対応して原液の供給を終了するように、原液貯留用弁64を調節し原液の流量が制御される。従って、送水路1から供給される水道水と貯留用原液供給路62から供給される原液とが、水道水タンク5にて混合されることとなる。
【0081】
なお、送水路1から供給される水道水と、貯留用原液供給路62から供給される原液とを混合した殺菌水が水道水タンク5に貯留されて液面高さh9に達すると、液面センサ65が殺菌水の液面を検知し、液面センサ65から制御器4に信号が送られる。このとき、制御器4は水貯留用弁2を閉じるように制御し、送水路1からの水道水の供給が止められ、水道水の供給停止に対応して、貯留用原液供給路62からの原液の供給が停止する。なお、液面センサ6が殺菌水の液面を検知不能な状態に陥ったときであっても、殺菌水は越流口5bから放出される。さらに、液溜部12aに貯留された原液が消費されて、液面高さh3に達した場合には、第1の液面検知手段12bが原液の液面を検知し、制御器4に信号を送る。このとき、制御器4の制御によって原液用ポンプ63の汲み上げ動作を停止することによって、原液の供給が停止することとなる。
【0082】
このように水道水タンク5に所定量貯留された殺菌水は、制御器4により殺菌水貯蔵用弁67を開くように制御すると、貯蔵用殺菌水供給路66を通って、殺菌水タンク16に送られて、この殺菌水が殺菌水タンク16に送られて貯蔵される。このとき、三方弁19の一方口19aからエアーを抜くことによって殺菌水タンク16の内部を減圧すると、殺菌水用逆止弁21が殺菌水のチェアユニットに向かう流れを止めるように機能して、殺菌水が殺菌水タンク16に貯められることとなる。
【0083】
なお、水道水タンク5の殺菌水が液面高さh8の下限水位に達すると、液面センサ65のフロート部65aが下限水位検知部65bと接触して、液面センサ65が殺菌水の下限水位を検知し、液面センサ65から制御器4に信号が送られる。このとき、制御器4は殺菌水貯蔵用弁67を閉じるように制御し、殺菌水の供給が止められることとなる。さらに、殺菌水タンク16の殺菌水が液面高さh7の上限水位に達すると、液面センサ17のフロート部17aが上限水位検知部17cと接触して、液面センサ17が殺菌水の上限水位を検知し、液面センサ17から制御器4に信号が送られる。このとき、制御器4は殺菌水貯蔵用弁67を閉じるように制御し、殺菌水の供給が止められることとなる。
【0084】
また、殺菌水は第1実施形態と同様に殺菌水タンク16からチェアユニットに送られる。さらに、第1実施形態と同様に、2つの殺菌水タンク16に対応して、エアー供給路18と、殺菌水供給路20と、貯蔵用殺菌水供給路66とが設けられているため、上述のように殺菌水を生成して殺菌水タンク16に貯蔵する動作を交互に行うことができる。また、2つの殺菌水タンク16から交互にチェアユニットに殺菌水を供給することができる。
【0085】
以上のように本発明の第4実施形態によれば、第1実施形態と同様の構成から得られる効果に加えて、原液を供給するための貯留用原液供給路62を1つにすることができ、貯留用原液供給路62から供給される原液の調節のために少なくとも1つの原液貯留用弁64を設ければよいので、装置を小型化でき、かつコストダウンを図ることができる。貯留用原液供給路62は、水道水と原液とを混合かつ一端貯留する水道水タンク5に原液を供給するので、原液貯留用弁64に逆圧が発生し難くなっている。原液貯留用弁64が故障し、かつ内部リークを起こした場合に、原液貯留用弁64に発生した逆圧によって、貯留用原液供給路62にて原液、及び/又は水道水タンク5内の殺菌水の逆流を確実に防止することができる。さらに、水道水タンク5内で水及び原液が混合し、かつ拡散させた後に加圧された殺菌水タンク16内に流入することによって、一定濃度の殺菌水を安定して生成でき、かつ均一な濃度の殺菌水を供給できる。
【0086】
本発明の第4実施形態によれば、送水路1の吐水口1aと水道水タンク5のあふれ縁5a又は越流口5bとが、十分な距離d1又は距離d2離れていれば、殺菌水が、送水路1側の負圧によって逆流することを確実に防止できる。また、原液吐出口62aが水道水タンク5内の殺菌水に接触することが防止されるので、貯留用原液供給路62に水道水タンク5内の殺菌水が逆流することを確実に防止できる。よって、殺菌水が水道水の配水管に逆流することを防止し、かつ貯留用原液供給路62に逆流することを防止しながら、装置を小型化できる。
【0087】
[第5実施形態]
本発明の第5実施形態の装置について以下に説明する。第5実施形態の装置の基本的な構成は、第4実施形態の装置の構成と同様になっている。第4実施形態と同様な要素は、第1実施形態と同様の符号及び名称を用いて説明する。
【0088】
図5を参照して、本発明の第5実施形態における装置を説明する。送水路1の逆止弁3より下流側に、バキュームブレーカ68が設けられている。さらに、貯留用原液供給路62の原水吐出口62aが、水道水タンク5の底面5dと、水道水タンク5内の殺菌水における液面高さh8の下限水位との間に配置されている。
【0089】
本発明の第5実施形態の装置において、水道水と原液とを混合することにより殺菌水を製造して、当該殺菌水をチェアユニットに供給する動作は、第4実施形態と同様である。
【0090】
以上のように本発明の第5実施形態によれば、第4実施形態と同様の構成から得られる効果に加えて、送水路1のバキュームブレーカ68によって、水道水タンク5内の殺菌水が、送水路1側の負圧によって逆流することを確実に防止できる。また、原液吐出口62aが水道水タンク5内の殺菌水に常に浸されることとなり、貯留用原液供給路62に残留した原液が乾燥し、かつ原液成分が結晶化することによって、貯留用原液供給路62が塞がれて、原液の流れが妨げられることを防止できる。従って、貯留用原液供給路62から所望量の原液が確実に供給されて、一定濃度の殺菌水を安定して生成でき、かつ均一な濃度の殺菌水を供給できる。
【0091】
[第6実施形態]
本発明の第6実施形態の装置について以下に説明する。第6実施形態の装置の基本的な構成は、第1実施形態〜第5実施形態における装置のいずれかの構成と同様になっている。第1実施形態〜第5実施形態と同様な要素は、第1実施形態〜第5実施形態と同様の符号及び名称を用いて説明する。
【0092】
原液供給手段であるフローセンサ12の液溜部12aにおいて、第1の液面検知手段12bと第2の液面検知手段12cとの間隔h5が変更可能に構成されていており、必要に応じて殺菌水の濃度を変更できるように構成されている。また、第1の液面検知手段12bと第2の液面検知手段12cとの間隔を変更した場合でも、常時、間隔h5’に自動復帰できるように構成されていると好ましい。
【0093】
以上のように本発明の第6実施形態によれば、例えば、診療時間中には、飲用に適した殺菌水の濃度を生成するように、第1の液面検知手段12bと第2の液面検知手段12cとの間隔h5’(例えば、原液の量として2ppm)を設定し、一方で、診療後に殺菌水タンク16に殺菌水を貯蔵しておく場合には、高い濃度の殺菌水を生成するように、第1の液面検知手段12bと第2の液面検知手段12cとの間隔h5’’(例えば、原液の量として4ppm)を設定することができる。この場合、診療後に殺菌水タンク16に貯蔵した高い濃度の殺菌水を、診療を再開する際には、失活により飲用に適した濃度となった状態で、チェアユニットに供給することができる。
【0094】
[第7実施形態]
本発明の第7実施形態の装置について以下に説明する。第7実施形態の装置の基本的な構成は、第1実施形態〜第6実施形態における装置のいずれかの構成と同様になっている。第1実施形態〜第6実施形態と同様な要素は、第1実施形態〜第6実施形態と同様の符号及び名称を用いて説明する。
【0095】
図6を参照して、本発明の第7実施形態における装置を説明する。図6(a)には、原液貯留器10から取り外された状態の原液カートリッジ9が示されている。原液カートリッジ9には、原液を収容するための容器部91が設けられ、容器部91には下方に向かって開口する開口部91aが設けられている。この開口部91aには、着脱可能に構成されたキャップ部92が取付けられ、原液カートリッジ9に原液を補給する場合は、キャップ部92を容器部91から取り外した状態で、容器部91内に原液を補給可能に構成されている。キャップ部92の中央には孔部92aが設けられており、この孔部92aには、栓部93が挿通されている。栓部93は、キャップ部92内側の孔部92a周辺に付勢手段であるコイルバネ94によって押付けられており、原液カートリッジ9内の気密状態が保たれるように構成されている。なお、付勢手段としては、コイルバネ94以外に、例えば、板バネ等が用いられてもよい。
【0096】
図6(b)には、原液貯留器10に取付けられた状態の原液カートリッジ9が示されている。栓部93は、原液貯留器10に設けられた突起部10aに押付けられ、上方に向かって移動している。このとき、孔部92aと栓部93との間には隙間が生じて、この隙間から原液が原液貯留器10に向かって流れることとなる。
【0097】
以上のように本発明の第7実施形態によれば、栓部93によって原液カートリッジ9内の気密性を保つことができる。そのため、従来のように機密性を保つために大型の原液タンクをそのまま用いる必要がなくなり、例えば、原液カートリッジ9に原液を詰め替える等して使用することによって、原液カートリッジ9を小型化できる。よって、装置を小型化できる。さらに、従来使用されていた原液タンクは、密閉のためのパッキンを突き破って使用されていたため、使用後に再利用できず廃棄されていたが、本発明の第4実施形態の原液カートリッジ9は、付勢された栓部93により孔部92aを開閉して密閉するため、繰り返し使用できる。よって、廃棄物を減らすことが可能となり、環境負荷の少ない装置を提供できる。
【0098】
ここまで本発明の実施形態について述べたが、本発明は既述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形及び変更が可能である。
【0099】
本発明の実施形態の第1変形例として、第1実施形態、第2実施形態、第4実施形態、及び第5実施形態の殺菌水用逆止弁21,47の代わりに制御器4に接続する電磁弁が用いられてもよい。本発明の第1実施形態、第2実施形態、第4実施形態、及び第5実施形態と同様の効果が得られる。
【0100】
本発明の実施形態の第2変形例として、第1実施形態、第2実施形態、第4実施形態、及び第5実施形態においては、殺菌水タンク16の数を1つ又は3つ以上とすることが可能であり、また、第3実施形態においては、殺菌水タンク16の数を2つ以上とすることが可能である。
【符号の説明】
【0101】
1 送水路
1a 吐水口
2 水貯留用弁
4 制御器
5 水道水タンク
5a あふれ縁
7,31,43 水供給路
8,33,45 水用弁
9 原液カートリッジ
10 原液貯留器
12 フローセンサ
12a 液溜部
12b 第1の液面検知手段
12c 第2の液面検知手段
14 原液供給路
15 原液用弁
16 殺菌水タンク
16a あふれ縁
18 エアー供給路
19 三方弁
19a 一方口
20,46 殺菌水供給路
21,47 殺菌水用逆止弁
32 バキュームブレーカ
41 蛇口
48 補助水供給路
50 補助水用弁
51 補助逆止弁
61 原液タンク
62 貯留用原液供給路
63 原液用ポンプ
64 原液貯留用弁
66 貯蔵用殺菌水供給路
67 殺菌水貯蔵用弁
68 バキュームブレーカ
h1〜h5,h5’,h5’’,h6〜h9 高さ
d1〜d3 距離


【特許請求の範囲】
【請求項1】
水と酸化殺菌剤水溶液とを混合して殺菌水を製造し、前記混合した殺菌水をチェアユニットに供給するように構成されるチェアユニット用殺菌水製造装置であって、
前記混合した殺菌水を貯蔵可能に構成された殺菌水タンクと、
外部のエアーコンプレッサから供給されるエアーを前記殺菌水タンクに供給するエアー供給路と、
前記エアー供給路に設けられるとともに、前記エアー供給路からのエアーを三方口のうちの一方口から逃がすことができる三方弁と、
前記殺菌水タンクからチェアユニットに殺菌水を供給する殺菌水供給路と、
前記殺菌水供給路に設けられる殺菌水用逆止弁と
を備え、
前記エアー供給路から前記殺菌水タンクに送られ、かつ前記三方弁を用いて調節されるエアーの圧力によって、前記貯蔵された殺菌水が、前記殺菌水供給路及び前記殺菌水用逆止弁を通ってチェアユニットに送られる構成となっている、チェアユニット用殺菌水製造装置。
【請求項2】
水を供給可能に構成された水供給路と、
前記水供給路に設けられる水用弁と、
所定濃度の殺菌水を生成するために前記水供給路から供給される水の量に対応して酸化殺菌剤水溶液からなる原液を所定量溜めながら、前記貯留された原液を供給する原液供給手段と、
前記原液供給手段及び前記水供給路の水用弁より下流側の間を接続する原液供給路と、
前記原液供給路に設けられる原液用弁と
をさらに備え、
前記殺菌水タンクが、前記水供給路における前記原液供給路との接続部より下流側と接続され、
前記水用弁及び前記原液用弁をそれぞれ制御することによって、前記混合した殺菌水の濃度が調節されるように構成されている、請求項1に記載のチェアユニット用殺菌水製造装置。
【請求項3】
少なくとも2つの前記殺菌水タンクが設けられ、
前記水用弁と、前記原液用弁と、前記三方弁とをそれぞれ制御することによって、前記少なくとも2つの殺菌水タンクには交替で殺菌水が貯蔵され、かつ前記少なくとも2つの殺菌水タンクから交替で殺菌水がチェアユニットに送られるように構成されている、請求項2に記載のチェアユニット用殺菌水製造装置。
【請求項4】
前記殺菌水の製造に用いる水として配水管から供給される水道水を送るように構成された送水路と、
前記送水路から供給される水道水を貯留可能に構成された水道水タンクと
をさらに備え、
前記送水路に設けられる吐水口が、前記水道水用タンクのあふれ縁又は越流口の上方に所定の距離を置いて配置され、
前記水道水タンクが前記水供給路に接続されて、前記水道水タンクからの水道水が前記殺菌水に供給されるように構成されている、請求項2又は3に記載のチェアユニット用殺菌水製造装置。
【請求項5】
前記殺菌水の製造に用いる水として、配水管から供給される水道水が前記水供給路に供給されるように構成され、
前記水供給路の水用弁より上流側にバキュームブレーカが設けられ、
前記バキュームブレーカと前記殺菌水タンクのあふれ縁とが所定の距離を置いて配置されている、請求項2又は3に記載のチェアユニット用殺菌水製造装置。
【請求項6】
前記殺菌水の製造に用いる水として水道の蛇口から供給される水道水が、前記水供給路に供給されるように構成され、
前記水供給路に逆止弁が設けられ、
水道の蛇口から供給された水道水を前記殺菌水供給路に直接送るように構成された補助水供給路が設けられ、
前記補助水供給路に補助水用弁が設けられ、
前記補助水供給路の前記補助水用弁より下流側に補助逆止弁が設けられ、
前記水用弁と、前記原液用弁と、前記三方弁と、前記補助水用弁とを制御することによって、前記殺菌水タンクに殺菌水を貯めている間、前記補助水供給路から送られる水道水がチェアユニットに送られるように構成されている、請求項2に記載のチェアユニット用殺菌水製造装置。
【請求項7】
前記殺菌水の製造に用いる水として配水管から供給される水道水を送るように構成された送水路と、
前記送水路に設けられる水貯留用弁と、
前記送水路から供給される水道水を貯留可能に構成された水道水タンクと、
所定濃度の殺菌水を生成するために前記送水路から供給される水道水の量に対応して酸化殺菌剤水溶液からなる原液を所定量溜めながら、前記貯留された原液を供給する原液供給手段と、
前記原液供給手段からの原液を前記水道水タンクに送るための貯留用原液供給路と、
前記貯留用原液供給路に設けられる原液貯留用弁と、
前記水道水タンク及び前記殺菌水タンクの間を接続する貯蔵用殺菌水供給路と
をさらに備え、
前記水貯留用弁及び前記原液貯留用弁をそれぞれ制御することによって、前記混合した殺菌水の濃度が調節されるように構成され、
前記水道水タンクにて混合された殺菌水が、前記貯蔵用殺菌水供給路を通って前記殺菌水タンクに供給されるように構成されている、請求項1に記載のチェアユニット用殺菌水製造装置。
【請求項8】
前記送水路に設けられる吐水口が、前記水道水用タンクに設けられるあふれ縁又は越流口の上方に所定の距離を置いて配置され、
前記貯留用原液供給路に設けられる原液吐出口が、前記水道水タンクの越流口より上方に配置されている、請求項7に記載のチェアユニット用殺菌水製造装置。
【請求項9】
前記送水路の水貯留用弁と前記送水路に設けられる吐水口との間にバキュームブレーカが設けられ、
前記水道水タンクは、少なくとも所定高さに設定された下限水位の殺菌水を貯留するように構成され、
前記貯留用原液供給路に設けられる原液吐出口が、前記水道水タンクの底面と前記下限水位との間に配置されている、請求項7に記載のチェアユニット用殺菌水製造装置。
【請求項10】
前記貯蔵用殺菌水供給路に殺菌水貯蔵用弁が設けられ、
少なくとも2つの前記殺菌水タンクが設けられ、
前記水貯留用弁と、前記原液貯留用弁と、前記殺菌水貯蔵用弁と、前記三方弁とをそれぞれ制御することによって、前記少なくとも2つの殺菌水タンクに交替で殺菌水が貯蔵され、かつ前記少なくとも2つの殺菌水タンクから交替で殺菌水がチェアユニットに送られるように構成されている、請求項7〜9のいずれか一項に記載のチェアユニット用殺菌水製造装置。
【請求項11】
前記原液供給手段が、フローセンサを備えるとともに、前記フローセンサから前記原液供給路に原液を供給するように構成され、
前記フローセンサは、第1の液面検知手段と、前記第1の液面検知手段と間隔を空けて配置された第2の液面検知手段とを備え、前記第1の液面検知手段と前記第2の検知手段との間に溜められる原液の量を検知することによって前記原液供給路に供給する原液の量を計測するように構成され、
前記第1の液面検知手段と前記第2の液面検知手段との間隔が変更可能となっている、請求項2〜10のいずれか一項に記載のチェアユニット用殺菌水製造装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−269138(P2010−269138A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−99746(P2010−99746)
【出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【出願人】(500491339)株式会社ファミリー・ライフ (2)
【Fターム(参考)】