説明

チェックバルブ

【課題】従来より低コストで製造可能なチェックバルブを提供する。
【解決手段】本発明のチェックバルブ20は、弁体30を直動可能に収容した筒壁25の一端部に弁座壁22を備え、その弁座壁22に弁孔26を貫通形成すると共に、筒壁25に周面排出孔29を貫通形成した。これにより、弁体30が弁座壁22から離れたときに弁孔26と周面排出孔29との間が開通する。そして、本発明のチェックバルブ20では、周面排出孔29を円形にしたことで、周面排出孔が三角形であった従来のチェックバルブより低コストで製造することが可能になった。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体が通過可能な流路の途中に設けられ、流体圧力に応じて開閉するチェックバルブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のチェックバルブとして、図9に示すように、弁孔3を有した弁座壁2に一端有底の筒壁1の開放端を嵌合固定し、その筒壁1の内部に収容した弁体5をコイルバネ6にて弁座壁2側に付勢して弁孔3を閉じたものが知られている。そして、このチェックバルブは、筒壁1に三角形の周面排出孔4を貫通形成して備え、筒壁1の内部で弁体5が弁座壁2から離れるように直動すると、弁孔3が開くと共に弁孔3と周面排出孔4とが開通し、流体が弁孔3から周面排出孔4へと流れてチェックバルブを通過するようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−346217号公報(請求項4、段落[0014]、第3図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記した従来のチェックバルブでは、周面排出孔4を三角形にすることで、弁体5が弁座壁2から離れるに従って周面排出孔4の開通面積の増加率が増加するようになっている。これにより、弁体5と弁座壁2との間の距離が比較的小さいときには、弁体5の直動に応じた周面排出孔4の開通面積の変化量が僅かになりハンチングを抑えることができ、弁体5と弁座壁2との間の距離が比較的大きいときには、弁体5の直動に応じた周面排出孔4の開通面積の変化量が大きくなり、応答性が向上する。しかしながら、上述した従来のチェックバルブでは、周面排出孔4が三角形であったので加工が困難であり、製造コストがかかっていた。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、従来より低コストで製造可能なチェックバルブの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明に係るチェックバルブ(20)は、流体が通過可能な弁孔(26)を有した弁座壁(22)と、弁座壁(22)に一端部が連絡されかつ弁孔(26)を取り囲んだ筒壁(25)と、筒壁(25)の内側に直動可能に嵌合した弁体(30)と、筒壁(25)の他端部に設けられ、弁体(30)を抜け止めする底壁(34)と、底壁(34)と弁体(30)との間に設けられ、弁体(30)を弁座壁(22)に当接させて弁孔(26)を閉じるための弾性部材(33)と、筒壁(25)に貫通形成された周面排出孔(29)とを備え、弁体(30)が弁座壁(22)に当接したときに、周面排出孔(29)と弁孔(26)との間が遮断され、弁体(30)が弁座壁(22)から離れたときに、周面排出孔(29)のうち弁体(30)と弁座壁(22)との間に位置した部分が弁孔(26)に対して開通するように構成すると共に、周面排出孔(29)を円形にしたところに特徴を有する。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載のチェックバルブ(20)において、弁体(30)が直動可能な範囲で、弁体(30)が弁座壁(22)から離れるに従って、弁孔(26)に開通する周面排出孔(29)の開通面積の増加率が連続して増加するように構成したところに特徴を有する。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1に記載のチェックバルブ(20)において、周面排出孔(29)は、筒壁(25)のうち弁座壁(22)側に配置されかつ比較的小さい第1周面排出孔(29A)と、第1周面排出孔(29A)より弁座壁(22)から離して配置されかつ比較的大きい第2周面排出孔(29B)とからなるところに特徴を有する。
【0008】
請求項4の発明は、請求項3に記載のチェックバルブ(20)において、第2周面排出孔(29B)のうち弁座壁(22)側の端部(P2)を、筒壁(25)の軸方向において、第1周面排出孔(29A)の中心点(P1)より弁座壁(22)側に配置したところに特徴を有する。
【0009】
請求項5の発明は、請求項1乃至4の何れかに記載のチェックバルブ(20)において、弁座壁(22)と筒壁(25)とを金属で一体形成したところに特徴を有する。
【0010】
請求項6の発明は、請求項5に記載のチェックバルブ(20)において、流体は、エアコンの冷媒としての二酸化炭素であるところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0011】
[請求項1の発明]
請求項1の構成によれば、弁孔(26)を通して弁体(30)に係る流体圧力と弁孔(26)と反対側から弁体(30)に係る流体圧力との差圧が所定値より小さいときには、弾性部材(33)の弾発力により、弁体(30)が弁座壁(22)に当接して弁孔(26)が閉じた状態になる。一方、前記差圧が所定値以上のときには、弾性部材(33)の弾発力に抗して弁体(30)が弁座壁(22)から離れる。すると、周面排出孔(29)のうち弁体(30)と弁座壁(22)との間に位置した部分が弁孔(26)に開通し、流体が弁孔(26)から周面排出孔(29)へと流れてチェックバルブ(20)を通過する。ここで、本発明では、周面排出孔(29)が円形になっているので、少なくとも周面排出孔(29)が弁座壁(22)側の端部から中心点まで開通する過程で、その周面排出孔(29)の開通面積の増加率は、弁体(30)が弁座壁(22)から離れるに従って連続して増加する。これにより、弁体(30)と弁座壁(22)との間の距離が比較的小さいときには、弁体(30)の直動に応じた周面排出孔(29)の開通面積の変化量が僅かになりハンチングを抑えることができ、弁体(30)と弁座壁(22)との間の距離が比較的大きいときには、弁体(30)の直動に応じた周面排出孔(29)の開通面積の変化量が大きくなり、大量の流体を通過させることができる。そして、本発明のチェックバルブ(20)では、周面排出孔(29)が円形になっているので、筒壁(25)を樹脂の成形品とした場合には、従来より金型制作費が抑えられ、筒壁(25)を金属の加工品とした場合には、加工時間が短くなる。これにより、チェックバルブ(20)を従来より低コストで製造することができる。
【0012】
[請求項2の発明]
周面排出孔(29)の開通面積の増加率が、弁体(30)が弁座壁(22)から離れるに従って途中まで連続して増加した後で一定或いは減少するように構成してもよいし、請求項2の構成のように、弁体(30)が直動可能な範囲で、周面排出孔(29)の開通面積の増加率が、弁体(30)が弁座壁(22)から離れるに連続して増加するように構成してもよい。そのための構成として、例えば、周面排出孔(29)の数を弁座壁(22)から離れるに従って増した構成にしてもよい。
【0013】
[請求項3の発明]
請求項3の構成によれば、周面排出孔(29)を比較的小さい第1周面排出孔(29A)と比較的大きな第2周面排出孔(29B)とで構成すると共に、第1周面排出孔(29A)を弁座壁(22)側に配置する一方、第2周面排出孔(29B)を弁座壁(22)から離して配置したので、第1周面排出孔(29A)の開通後、第2周面排出孔(29B)が開通し始めてから、周面排出孔(29)全体の開通面積が急激に増加し、大量の流体を通過させることができる。
【0014】
[請求項4の発明]
請求項4の構成によれば、第2周面排出孔(29B)のうち弁座壁(22)側の端部(P2)を、筒壁(25)の軸方向において、第1周面排出孔(29A)の中心点(P1)より弁座壁(22)側に配置したので、第1周面排出孔(29A)のみが開通した状態から、第1周面排出孔(29A)と第2周面排出孔(29B)の両方が開通した状態に移行する際に、弁体(30)の移動に伴う周面排出孔(29)の開通面積の増加率を連続して増加させることができる。
【0015】
[請求項5及び6の発明]
請求項5の構成によれば、弁座壁(22)と筒壁(25)とを、金属で形成したので樹脂で形成した場合に比べて耐熱性が向上する。これにより、エアコンの冷媒である二酸化炭素が通過する流路の途中に用いることができる(請求項6の発明)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
[第1実施形態]
以下、本発明の一実施形態を図1〜図4に基づいて説明する。
図1において、符号10は、例えば、エアコンに備えられたコンプレッサの一部であって、符号11で示した流路を有している。この流路11は、コンプレッサの図示しない吐出室と凝縮器との間を連絡しており、吐出室側に開放口を有したバルブ装着凹部12と、そのバルブ装着凹部12の内周面に一端部が開放した連絡部13とを備えている。また、バルブ装着凹部12の開放端は、段付き状に拡径しており、その段差面14から開放端側にオフセットした位置にはリング係止溝15が形成されている。
【0017】
なお、このエアコンは、環境性能を考慮して、冷媒として二酸化炭素を用いている。このため、冷媒の最高温度及び最高圧力が、フロンガス(HFC−134a)を冷媒とした一般的なエアコンに比べて高くなっている。即ち、フロンガスを冷媒としたエアコンでは、冷媒最高温度が150[℃]、冷媒最高圧力が3.5[MPa]であるのに対し、本実施形態のエアコンは、二酸化炭素を冷媒としたことで、冷媒最高温度が180[℃]、冷媒最高圧力が15[MPa]になっている。
【0018】
チェックバルブ20は、バルブ本体21の内部に弁体30と圧縮コイルバネ33(本発明に係る「弾性部材」に相当する)とを収容して備えている。また、チェックバルブ20のうち後述するOリング17を除いた全ての構成部品、即ち、バルブ本体21、弁体30、圧縮コイルバネ33及び底壁34は、耐熱性を考慮して全て金属製(例えば、黄銅製、アルミ製等)になっている。
【0019】
バルブ本体21は、本発明に係る弁座壁22と筒壁25とを一体に備え、弁座壁22より筒壁25側の外径が段付き状に小さくなっている。弁座壁22のうち筒壁25から離れた側の端部からは側方に向けてフランジ22Fが張り出し形成されている。また、弁座壁22の外周面には、フランジ22Fに隣接してOリング溝22Mが形成され、そこにOリング17が装着されている。そして、チェックバルブ20は、筒壁25側からバルブ装着凹部12内に挿入され、バルブ装着凹部12の段差面14にフランジ22Fを押し付けた状態で、バルブ装着凹部12のリング係止溝15に係止したEリング16にて固定されている。また、バルブ本体21の外周面とバルブ装着凹部12の内周面との間はOリング17によって密閉され、筒壁25の外周面とバルブ装着凹部12の内周面との間には、円筒状の隙間が形成されている。
【0020】
弁座壁22の中心部には、弁孔26が貫通形成されている。また、筒壁25の内径は、弁孔26より大きくなっており、弁孔26の内面と筒壁25の内面との間の段差面が弁座22Zになっている。
【0021】
筒壁25のうち弁座壁22から離れた側の先端部には、内径を段付き状に大きくして底壁固定部25Sが形成されている。この底壁固定部25Sは、筒壁25全体に比べて内径が大きくなった分、肉厚が薄くなっている。そして、円板状の底壁34が、底壁固定部25S内に嵌合されて底壁固定部25S内の段差面に突き当てられた状態で、筒壁25の先端が内側に押し倒されるようにかしめられ、これにより底壁34が底壁固定部25S内に固定されている。また、底壁34のうち筒壁25内を向いた面の中心にはエンボス34Bが形成され、そのエンボス34Bの中心には、貫通孔が形成されている。
【0022】
弁体30は、筒壁25内に直動可能に嵌合された円筒体31の一端部を端部壁32にて閉塞した構造になっている。端部壁32は、円筒体31のうち弁座壁22側の端部に配置され、円筒体31のうち端部壁32と反対側の端部は底壁34側に向かって開放している。また、圧縮コイルバネ33は、一端部が円筒体31内に収容されて端部壁32の裏面に当接し、他端部が底壁34におけるエンボス34Bに嵌合されている。そして、通常は、圧縮コイルバネ33の弾発力によって端部壁32が弁座壁22(詳細には、弁座22Z)に密着し、弁孔26が閉塞されている。ここで、圧縮コイルバネ33の弾発力は、弁孔26を通して弁体30に係る流体圧力と弁孔26と反対側から弁体30に係る流体圧力との差圧が、予め定められた所定の基準圧力未満であった場合には、図1に示すように端部壁32が弁座壁22に密着した状態に保持可能され、基準圧力以上になった場合には、図3及び図4に示すように端部壁32が弁座壁22から離れるように設定されている。
【0023】
さて、図2及び図4に示すように、筒壁25には、複数の周面排出孔29が形成されている。それら周面排出孔29は、比較的小さい複数の第1周面排出孔29Aと、比較的大きい複数の第2周面排出孔29Bとからなり、第1周面排出孔29Aの直径は、第2周面排出孔29Bの直径の例えば2/3程度になっている。
【0024】
複数の第1周面排出孔29Aは、筒壁25の周方向の例えば4箇所に散在すると共に、筒壁25の軸方向で同じ位置に配置されている。そして、それら第1周面排出孔29Aのうち弁座壁22側の端部P3(図4参照)は、弁座22Zに接する位置に配置されている。
【0025】
一方、複数の第2周面排出孔29Bは、筒壁25の周方向の2箇所に配置されると共に、筒壁25の軸方向で同じ位置に配置されている。そして、第2周面排出孔29Bにおける弁座壁22側の端部P2(図4参照)は、筒壁25の軸方向において、第1周面排出孔29Aの中心点P1(図4参照)より、若干、弁座壁22側に配置されている。
【0026】
本実施形態の構成に関する説明は以上である。次に、本実施形態の作用効果について説明する。本実施形態のチェックバルブ20では、図示しないコンプレッサの吐出室と凝縮器との間の差圧が所定値より小さいときには、圧縮コイルバネ33の弾発力により、弁体30が弁座壁22に当接して弁孔26が閉じた状態になる。
【0027】
また、コンプレッサの吐出室と凝縮器との間の差圧が基準圧力以上になると、圧縮コイルバネ33の弾発力に抗して弁体30が弁座壁22から離れる。すると、周面排出孔29のうち弁体30と弁座壁22との間に位置した部分が弁孔26に開通し、流体が弁孔26から周面排出孔29へと流れてチェックバルブ20を通過する。
【0028】
ここで、本実施形態のチェックバルブ20では、周面排出孔29が円形になっているので、少なくとも周面排出孔29が弁座壁22側の端部から中心点まで開通する過程で、その周面排出孔29の開通面積の増加率は、弁体30が弁座壁22から離れるに従って連続して増加する。これにより、弁体30と弁座壁22との間の距離が比較的小さいときには、弁体30の直動に応じた周面排出孔29の開通面積の変化量が僅かになりハンチングを抑えることができ、弁体30と弁座壁22との間の距離が比較的大きいときには、弁体30の直動に応じた周面排出孔29の開通面積の変化量が大きくなり、大量の流体を通過させることができる。
【0029】
より詳細には、本実施形態のチェックバルブ20では、周面排出孔29を第1と第2の周面排出孔29A,29Bで構成すると共に、比較的小さい第1周面排出孔29Aを弁座壁22側に配置する一方、比較的大きい第2周面排出孔29Bを弁座壁22から離して配置したので、第1周面排出孔29Aの開通後、第2周面排出孔29Bが開通し始めてから、周面排出孔29全体の開通面積が急激に増加し、大量の流体を通過させることができる。
【0030】
しかも、第2周面排出孔29Bのうち弁座壁22側の端部P2を、筒壁25の軸方向において、第1周面排出孔29Aの中心点P2より弁座壁22側に配置したので、第1周面排出孔29Aのみが開通した状態から、第1周面排出孔29Aと第2周面排出孔29Bの両方が開通した状態(図3の状態)に移行する際に、弁体30の移動に伴う周面排出孔29の開通面積の増加率を連続して増加させることができる。
【0031】
また、本実施形態のチェックバルブ20は、Oリング17を除いた全ての構成部品、即ち、バルブ本体21、弁体30、底壁34及び圧縮コイルバネ33が金属で構成されているので、樹脂で構成した場合に比べて耐熱性に優れ、これにより、二酸化炭素を冷媒としたエアコンの流路に用いることができる。そして、本実施形態のチェックバルブ20では、周面排出孔29を円形にしたので、金属製の筒壁25に周面排出孔29を容易に加工することができる。即ち、周面排出孔29の径に合わせたドリルを選定して筒壁25に突き当てるだけで、周面排出孔29を成形することができる。これにより、周面排出孔が非円形である場合に比べて、加工時間が短くなり、チェックバルブ20の製造コストを従来より低くすることができる。
【0032】
[第2実施形態]
本実施形態は、図5に示すように、バルブ本体21のうち弁座壁22と筒壁25とが別部品となっており、筒壁25と底壁34とが樹脂の一体成形品になっている点が第1実施形態と異なる。以下、第1実施形態と異なる構成に関してのみ説明する。
【0033】
本実施形態では、筒壁25と底壁34とが、例えばナイロン66の一体成形品になっている。そして、筒壁25のうち底壁34と反対側の開口端の内側に、弁座壁22の一端部に備えた筒壁嵌合部22Wが嵌合されている。その筒壁嵌合部22Wは、弁座壁22のうちOリング17が装着されたリング装着部22Vより段付き状に径が小さくなっており、筒壁25は、リング装着部22Vと筒壁嵌合部22Wとの間の段差面に突き当てられて軸方向で位置決めされている。また、筒壁嵌合部22Wの外周面には突起22Tが形成され、この突起22Tを筒壁25に食い込ませて筒壁25が弁座壁22に固定されている。さらに、筒壁25の開口端の外周面からはフランジ25Fが張り出しており、その筒壁25のフランジ25Fと弁座壁22のフランジ22Fとの間がOリング溝22Mをなし、ここにOリング17が装着されている。
【0034】
本実施形態の構成は以上である。本実施形態のチェックバルブ20では、第1実施形態と同様に筒壁25に備えた周面排出孔29が円形になっているので、樹脂の成形品である筒壁25を成形するための金型制作費が従来より抑えられる。これにより、チェックバルブ20を従来より低コストで製造することができる。
【0035】
[他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0036】
(1)前記実施形態の周面排出孔29は、径が異なる第1と第2の周面排出孔29A,29Bで構成されていたが、図6に示すように筒壁25に備えた複数の周面排出孔29の径を全て同じにしてもよい。
【0037】
(2)前記実施形態のチェックバルブ20では、周面排出孔29の開通面積の増加率が、弁体30が弁座壁22から離れるに連続して増加するように構成されていたが、周面排出孔29の開通面積の増加率は、弁体30が弁座壁22から離れるに従って途中まで連続して増加した後で一定或いは減少するように構成してもよい。具体的には、図7に示すように、弁座壁22側の周面排出孔29と弁座壁22から離れた側の周面排出孔29との間に間隔L1を介在させ、弁体30の移動によって周面排出孔29の開通面積が変化しない領域を設けてもよい。
【0038】
(3)また、図6及び図8に示すように、周面排出孔29の数を弁座壁22から離れるに従って増やした構成とし、弁体30が弁座壁22から離れるに従って周面排出孔29の開通面積の増加率が連続して増加するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の第1実施形態に係るチェックバルブの側断面図
【図2】チェックバルブの側面図
【図3】チェックバルブの側断面図
【図4】チェックバルブの側断面図
【図5】第2実施形態のチェックバルブの側断面図
【図6】変形例1のチェックバルブの側断面図
【図7】変形例2のチェックバルブの側断面図
【図8】変形例3のチェックバルブの側断面図
【図9】従来のチェックバルブの側断面図
【符号の説明】
【0040】
20 チェックバルブ
21 バルブ本体
22 弁座壁
22T 突起
22V リング装着部
22W 筒壁嵌合部
22Z 弁座
25 筒壁
26 弁孔
29 周面排出孔
29A 第1周面排出孔
29B 第2周面排出孔
30 弁体
33 圧縮コイルバネ(弾性部材)
34 底壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が通過可能な弁孔(26)を有した弁座壁(22)と、
前記弁座壁(22)に一端部が連絡されかつ前記弁孔(26)を取り囲んだ筒壁(25)と、
前記筒壁(25)の内側に直動可能に嵌合した弁体(30)と、
前記筒壁(25)の他端部に設けられ、前記弁体(30)を抜け止めする底壁(34)と、
前記底壁(34)と前記弁体(30)との間に設けられ、前記弁体(30)を前記弁座壁(22)に当接させて前記弁孔(26)を閉じるための弾性部材(33)と、
前記筒壁(25)に貫通形成された周面排出孔(29)とを備え、
前記弁体(30)が前記弁座壁(22)に当接したときに、前記周面排出孔(29)と前記弁孔(26)との間が遮断され、前記弁体(30)が前記弁座壁(22)から離れたときに、前記周面排出孔(29)のうち前記弁体(30)と前記弁座壁(22)との間に位置した部分が前記弁孔(26)に対して開通するように構成すると共に、前記周面排出孔(29)を円形にしたことを特徴とするチェックバルブ(20)。
【請求項2】
前記弁体(30)が直動可能な範囲で、前記弁体(30)が前記弁座壁(22)から離れるに従って、前記弁孔(26)に開通する前記周面排出孔(29)の開通面積の増加率が連続して増加するように構成したことを特徴とする請求項1に記載のチェックバルブ(20)。
【請求項3】
前記周面排出孔(29)は、前記筒壁(25)のうち前記弁座壁(22)側に配置されかつ比較的小さい第1周面排出孔(29A)と、前記第1周面排出孔(29A)より前記弁座壁(22)から離して配置されかつ比較的大きい第2周面排出孔(29B)とからなることを特徴とする請求項1に記載のチェックバルブ(20)。
【請求項4】
前記第2周面排出孔(29B)のうち前記弁座壁(22)側の端部(P2)を、前記筒壁(25)の軸方向において、前記第1周面排出孔(29A)の中心点(P1)より前記弁座壁(22)側に配置したことを特徴とする請求項3に記載のチェックバルブ(20)。
【請求項5】
前記弁座壁(22)と前記筒壁(25)とを金属で一体形成したことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のチェックバルブ(20)。
【請求項6】
前記流体は、エアコンの冷媒としての二酸化炭素であることを特徴とする請求項5に記載のチェックバルブ(20)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−128314(P2008−128314A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−312443(P2006−312443)
【出願日】平成18年11月20日(2006.11.20)
【出願人】(000204033)太平洋工業株式会社 (143)
【Fターム(参考)】