説明

チェン

【課題】寿命が摩耗により短くなってしまうことを、容易かつ安価に防止することができるチェンを提供する。
【解決手段】交互に連結されるピンリンク36とローラリンク8を備え、循環経路に沿って互いに平行に走行する一対のチェン34であって、一対のチェン34の間に搬送手段30が設けられ、ピンリンク36が有する一対のピンリンクプレート10,38のうち、搬送手段30と反対側のピンリンクプレート38における搬送手段30と反対側の側面38aに、第1の肉盛溶接部40が形成されるようにした。
【効果】寿命が摩耗により短くなってしまうことを、容易かつ安価に防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉱物等の硬い搬送対象物を搬送する搬送装置に用いられるチェンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図8及び図9は、従来の搬送装置2の一部を示す側面図、及び平面図である。この従来の搬送装置2は、水平方向に伸びて互いに平行に並んで配置される2本のチェン4を備えている。この2本のチェン4は、無端チェンであり、かつ、回転軸が略水平であって略水平方向に離れて配置される不図示の複数のスプロケット間を、略水平方向に循環駆動するものである。図8及び図9のチェン4は、少なくとも図示されている範囲内で、複数のスプロケット間の循環経路におけるスプロケットの下側を略水平方向に走行している状態を示すものである。
【0003】
チェン4は、図10に示すように、交互に連結される複数のピンリンク6と複数のローラリンク8とを備えて構成されている。チェン4のピンリンク6のそれぞれは、図10及び図11に示すように、一対のピンリンクプレート10、及び2本のピン12を備えている。
【0004】
ピンリンク6における一対のピンリンクプレート10のそれぞれには、図10に示すように、2つのピン用孔14が、チェン4の長さ方向に一定間隔だけ離れて形成されている。ピンリンク6の2本のピン12のそれぞれは、図11に示すように、その長さ中間部分において、後述するローラリンク8のブシュ22を軸支しており、このブシュ22の両端からその長さ方向の両外側に突出したピン12の長さ部分が、互いに対向する一対のピンリンクプレート10のそれぞれのピン用孔14に嵌合している。
【0005】
また、ピンリンク6のピン12は、その長さ方向の両端部12a,12bのそれぞれが、一対のピンリンクプレート10のそれぞれの外側に突出している。このピン12の一方の端部12aは、他の長さ部分よりも若干太く形成されていることにより抜けないようになっている。また、ピン12の他方の端部12bには、その軸線と交差する方向に貫通する抜止めピン16が打ち込まれている。
【0006】
また、チェン4のローラリンク8のそれぞれは、一対のローラリンクプレート20、2本のブシュ22、及び2個のローラ24を備えている。ローラリンク8のローラリンクプレート20には、ピンリンク6のピンリンクプレート10のピン用孔14に対応するブシュ用孔26が形成されている。
【0007】
ローラリンク8のブシュ22は、その長さ中間部分において、ローラ24を軸支しており、このローラ24の両端からその長さ方向の両外側に突出したブシュ22の長さ部分が、互いに対向する一対のローラリンクプレート20のそれぞれのブシュ用孔26に嵌合している。このブシュ22は、その長さ方向の両端部のそれぞれが、一対のローラリンクプレート20のそれぞれの外側に突出している。
【0008】
また、チェン4のローラリンク8のローラリンクプレート20と、ピンリンク6のピンリンクプレート10との間には、計4個のオイルシール28のそれぞれが配置されている。
【0009】
また、搬送装置2は、図8及び図9に示すように、チェン4により搬送される複数のバケット30を備えている。この複数のバケット30のそれぞれは、2本のチェン4が互いに対向する方向に幅を有しており、この幅方向の両端部のそれぞれが、2本のチェン4のそれぞれに、アタッチメント32等を介して連結されている。バケット30同士は、チェン4の長さ方向に互いに一定の間隔を空けて配置されている。また、バケット30は、その進行方向(矢印S)の前側が開放されていることにより、進行方向の前側から搬送対象物を内部に取り込むようになっている。
【0010】
ここで、この搬送装置2は、上述したように、その2本のチェン4のそれぞれが、循環駆動されるようになっている。このため、搬送装置2のチェン4のそれぞれ及びバケット30は、図示しないがその全体の搬送経路の往路が下側に、復路が上側に配置されるようになっており、復路と往路では、互いの上下関係が逆転するようになっている。
【0011】
このような従来の搬送装置2は、図示しないが、破砕した鉄鉱石もしくは銅鉱石等の鉱石、又は他の破砕した鉱物等の搬送対象物を、その集積所から他の場所や装置等まで搬送するのに用いられている。搬送装置2のバケット30は、搬送対象物の集積所内をチェン4によりほぼ水平に搬送されるようになっており、その際に、集積された搬送対象物の上層部分をほぼ水平にすくい取って、搬送対象物を内部に取り込むようになっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記従来の搬送装置2のチェン4においては、このチェン4が鉱石や鉱物等の搬送対象物と接触して摩耗してしまうため、その寿命が短くなってしまうという問題があった。
【0013】
つまり、搬送装置2は、そのチェン4を駆動してバケット30により搬送対象物をすくい取りながら、これらチェン4及びバケット30の進行方向と略直角の方向に水平移動していくようになっている。このため、搬送装置2のチェン4は、水平移動する搬送装置2全体の進行方向上にある搬送対象物に接触してしまうので、図12及び図13に示すように、ピンリンクプレート10の下部等が徐々に摩り減って変形してしまうという問題があった。
【0014】
また、このようなチェン4の摩耗対策として、このチェン4の表面に溶解した材料を吹き付けて皮膜を形成する溶射などの表面処理を施したり、チェン4自体を硬い材質で製作したりした場合には、チェン4の製作費用が高額になるため、現実的ではないという問題があった。
【0015】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みて、寿命が摩耗により短くなってしまうことを、容易かつ安価に防止することができるチェンを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために本発明は、
交互に連結されるピンリンクとローラリンクを備え、循環経路に沿って互いに平行に走行する一対のチェンであって、
前記一対のチェンの間に搬送手段が設けられ、
前記ピンリンクが有する一対のピンリンクプレートのうち、前記搬送手段と反対側のピンリンクプレートにおける搬送手段と反対側の側面に、第1の肉盛溶接部が形成されていることを特徴とするものである。
【0017】
また、本発明によるチェンは、
前記チェンがこの循環経路の少なくとも一対のスプロケットの下側を略水平方向に通る場合において、
前記リンクプレートの下面に第2の肉盛溶接部が形成されていることを特徴とするものである。
【0018】
また、本発明によるチェンは、前記リンクプレートの進行方向前側の端面に第3の肉盛溶接部が形成されていることを特徴とするものである。
【0019】
また、上記課題を解決するために本発明は、
一対の互いに対向する方向の間隔が異なるピンリンクとローラリンクが長さ方向に一体化されて、進行方向に互いに隣り合うピンリンク側の端部とローラリンク側の端部が互いに嵌合して連結される型式のオフセットリンクを備え、循環経路に沿って互いに平行に走行する一対のチェンであって、
前記一対のチェンの間に搬送手段が設けられ、
前記オフセットリンクが有する一対のオフセットリンクプレートのうち、前記搬送手段と反対側のオフセットリンクプレートの前記ピンリンク側の端部における搬送手段と反対側の側面に、第1の肉盛溶接部が形成されていることを特徴とするものである。
【0020】
また、本発明によるチェンは、
前記チェンがこの循環経路の少なくとも一対のスプロケットの下側を略水平方向に通る場合において、
前記オフセットリンクプレートの下面に第2の肉盛溶接部が形成されていることを特徴とするものである。
【0021】
また、本発明によるチェンは、
前記オフセットリンクは、前記ピンリンク側の端部が進行方向前側に、前記ローラリンク側の端部が後側に配置され、
前記オフセットリンクプレートの進行方向前側の端面に第3の肉盛溶接部が形成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0022】
このような本発明のチェンによれば、
交互に連結されるピンリンクとローラリンクを備え、循環経路に沿って互いに平行に走行する一対のチェンであって、
前記一対のチェンの間に搬送手段が設けられ、
前記ピンリンクが有する一対のピンリンクプレートのうち、前記搬送手段と反対側のピンリンクプレートにおける搬送手段と反対側の側面に、第1の肉盛溶接部が形成されていることにより、
当該チェンの寿命が摩耗により短くなってしまうことを、容易かつ安価に防止することができる。
【0023】
また、本発明のチェンによれば、
前記チェンがこの循環経路の少なくとも一対のスプロケットの下側を略水平方向に通る場合において、
前記リンクプレートの下面に第2の肉盛溶接部が形成されていることにより、
当該チェンの寿命が摩耗により短くなってしまうことを、さらに容易かつ安価に防止することができる。
【0024】
また、本発明のチェンによれば、前記リンクプレートの進行方向前側の端面に第3の肉盛溶接部が形成されていることにより、
当該チェンの寿命が摩耗により短くなってしまうことを、さらに容易かつ安価に防止することができる。
【0025】
また、本発明のチェンによれば、
一対の互いに対向する方向の間隔が異なるピンリンクとローラリンクが長さ方向に一体化されて、進行方向に互いに隣り合うピンリンク側の端部とローラリンク側の端部が互いに嵌合して連結される型式のオフセットリンクを備え、循環経路に沿って互いに平行に走行する一対のチェンであって、
前記一対のチェンの間に搬送手段が設けられ、
前記オフセットリンクが有する一対のオフセットリンクプレートのうち、前記搬送手段と反対側のオフセットリンクプレートの前記ピンリンク側の端部における搬送手段と反対側の側面に、第1の肉盛溶接部が形成されていることにより、
オフセットリンクを用いたチェンの寿命が摩耗により短くなってしまうことを容易かつ安価に防止することができる。
【0026】
また、本発明のチェンによれば、
前記チェンがこの循環経路の少なくとも一対のスプロケットの下側を略水平方向に通る場合において、
前記オフセットリンクプレートの下面に第2の肉盛溶接部が形成されていることにより、
オフセットリンクを用いたチェンの寿命が摩耗により短くなってしまうことを、さらに容易かつ安価に防止することができる。
【0027】
また、本発明のチェンによれば、
前記オフセットリンクは、前記ピンリンク側の端部が進行方向前側に、前記ローラリンク側の端部が後側に配置され、
前記オフセットリンクプレートの進行方向前側の端面に第3の肉盛溶接部が形成されていることにより、
オフセットリンクを用いたチェンの寿命が摩耗により短くなってしまうことを、さらに容易かつ安価に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明に係るチェンを実施するための最良の形態について、図面に基づいて具体的に説明する。
図1から図4は、本発明の第1の実施の形態に係るチェン34について説明するために参照する図である。従来と同様の部分には同じ符号を用いて説明し、従来と同様の構成についての重複する説明は省略するものとする。図1及び図2のチェン34は、少なくとも図示されている範囲内で、複数のスプロケット間の循環経路におけるスプロケットの下側を略水平方向に走行している状態を示すものである。
【0029】
図1及び図2に示すように、本実施の形態に係るチェン34のそれぞれは、前記従来のチェン4におけるピンリンク6の代わりに、ピンリンク36を備えている。このピンリンク36のそれぞれは、図9に示す前記従来のチェン4におけるピンリンク6の一対のピンリンクプレート10のうちの、バケット30(搬送手段)とは反対側の(バケット30から遠い側の)ピンリンクプレート10が、ピンリンクプレート38に置き換えられている。
【0030】
このピンリンクプレート38のバケット30とは反対側の側面38a上には、図1に示すように、第1の肉盛溶接部40が形成されている。また、このピンリンクプレート38には、第1の肉盛溶接部40の他にも、第2の肉盛溶接部42及び第3の肉盛溶接部44が形成されている。
【0031】
第1の肉盛溶接部40は、図3及び図4に示すように、高さ方向(図3中上下方向)に直線状に伸びるように形成される複数の肉盛46で構成されている。この複数の肉盛46のそれぞれは、アーク溶接等により形成され、互いに進行方向(図3及び図4中左右方向)にほぼ一定の間隔だけ離れて形成されている。
【0032】
また、この複数の肉盛46のうち、ピンリンクプレート38の進行方向の全体の長さ範囲内における2本のピン12のそれぞれの先端部12aに対応する長さ範囲内の肉盛46a,46b,46c,46dのそれぞれは、図3に示すように、ピン12と互いに接触しないように形成されている。
【0033】
つまり、この肉盛46a,46b,46c,46dのそれぞれは、そのピン12側の端部が、この肉盛46a,46b,46c,46dのそれぞれをピン12側に仮想的に延長した場合におけるピン12の先端部12aの側周面との仮想交点から、ほぼ一定間隔だけ離れるように形成されている。
【0034】
また、第1の肉盛溶接部40の、上記肉盛46a,46b,46c,46d以外の他の肉盛46のそれぞれは、ピンリンクプレート38の2つのピン用孔14のそれぞれの中心点の両方を通る不図示の仮想直線と、このような不図示の仮想直線よりも下側の側面38aの縁との間にわたって形成されている。
【0035】
また、第2の肉盛溶接部42は、ピンリンクプレート38における、その進行方向の全体の長さ範囲のうちの、中央部のくびれを有する長さ範囲よりも前方側の長さ範囲の下面38bに形成されている。この第2の肉盛溶接部42は、図3及び図4に示すように、進行方向と平行方向に伸びるように形成されている。この第2の肉盛溶接部42は、第1の肉盛溶接部40の肉盛46と同様に、アーク溶接等により形成されるものである。
【0036】
また、第3の肉盛溶接部44は、ピンリンクプレート38の下面38bに対し、この下面38bの前側端部において互いに隣り合っている、ピンリンクプレート38の前方端曲面38c上に形成されている。前方端曲面38cは、図3に示すように、ピンリンクプレート38の進行方向前側の端面であって、紙面に垂直である不図示の軸線を中心として略円弧状に形成される曲面である。
【0037】
第3の肉盛溶接部44は、ピンリンクプレート38の前方端曲面38cの円周方向に伸びるように形成されている。また、第3の肉盛溶接部44は、ピンリンクプレート38の前方端曲面38cの円周方向の長さ範囲のうち、ピンリンクプレート38の2つのピン用孔14のそれぞれの中心点の両方を通る不図示の仮想直線との交点よりも下側の長さ範囲内において形成されている。
【0038】
また、第3の肉盛溶接部44は、その第2の肉盛溶接部42側の端部が、第2の肉盛溶接部42に一体的に繋がっている。このような第3の肉盛溶接部44は、第1及び第2の肉盛溶接部40,42と同様に、アーク溶接等により形成されるものである。
【0039】
このような本実施の形態に係るチェン34によれば、そのピンリンク36のそれぞれにおける第1から第3の肉盛溶接部40,42,44が、ピンリンクプレート38よりも先に搬送対象物に接触することにより、ピンリンクプレート38の摩耗の進行を低減するようになるので、チェン34の寿命が摩耗により短くなってしまうことを、容易かつ安価に防止することができる。
【0040】
次に、図5から図7は、本発明の第2の実施の形態に係るチェン50について説明するために参照する図である。前記第1の実施の形態に係るチェン34と同様の部分には同じ符号を用いて説明し、同様の構成についての重複する説明は省略するものとする。
【0041】
本実施の形態に係るチェン50は、前記第1の実施の形態に係るチェン34の、交互に連結されるピンリンク36及びローラリンク8の代わりに、図5及び図6に示すように、互いに連結される複数のオフセットリンク52を備えて構成されている。
【0042】
このチェン50のオフセットリンク52は、図6に示すように、一対のオフセットリンクプレート54,56を備えている。この一対のオフセットリンクプレート54,56のそれぞれは、その進行方向(図6中左右方向)の長さ範囲のうちの中央の一定長さ部分が、互いに対向する方向(図6中上下方向)の間隔が後方側に向かって狭くなっていくよう傾斜して形成されている。
【0043】
そして、チェン50のオフセットリンク52は、この一対のオフセットリンクプレート54,56のそれぞれが、このように傾斜して形成される長さ部分よりも前方側の長さ部分、及び、後方側の長さ部分のそれぞれにおいて、互いに平行となるように形成されている。
【0044】
また、オフセットリンク52の一対のオフセットリンクプレート54,56は、その進行方向のほぼ前側半分が、前記第1の実施の形態に係るピンリンク36の一対のピンリンクプレート38,10間と同様の間隔に構成され、ほぼ後側半分がローラリンク8の一対のローラリンクプレート20,20間と同様の間隔に構成されている。これにより、チェン50のオフセットリンク52のそれぞれは、図6,7に示すように、そのピン12が、進行方向前方に配置されている別個のオフセットリンク52のブシュ22を軸支して次々と連結するようになっている。
【0045】
また、オフセットリンク52のそれぞれには、図5及び図6に示すように、前記第1の実施の形態に係るチェン34のピンリンク36と同様に、その一対のオフセットリンクプレート54,56のうちの、バケット30(図2参照)とは反対側のオフセットリンクプレート54に、第1の肉盛溶接部58、第2の肉盛溶接部42、及び第3の肉盛溶接部44が形成されている。
【0046】
第1の肉盛溶接部58は、この第1の肉盛溶接部58が形成されるオフセットリンクプレート54のうちの、前記第1の実施の形態に係るピンリンク36と同様に構成される側の端部、すなわち、このオフセットリンクプレート54と一対を成すオフセットリンクプレート56と互いに平行である前方側の長さ部分の、バケット30(図2参照)とは反対側の側面54aのみに形成されている。
【0047】
第1の肉盛溶接部58は、前記第1の実施の形態に係るチェン34の第1の肉盛溶接部40に相当するものであるが、前記第1の肉盛溶接部40のほぼ前側半分の肉盛26だけで構成されている。
【0048】
このような本実施の形態に係るチェン50によれば、そのオフセットリンク52のそれぞれにおける第1から第3の肉盛溶接部58,42,44がオフセットリンクプレート54よりも先に搬送対象物に接触することにより、オフセットリンクプレート54の摩耗の進行を低減するようになるので、チェン50の寿命が摩耗により短くなってしまうことを、容易かつ安価に防止することができる。
【0049】
なお、前記第1の実施の形態に係るチェン34においては、そのピンリンクプレート38に、第1から第3の肉盛溶接部40,42,44が形成されていたが、第2の肉盛溶接部42及び/又は第3の肉盛溶接部44が形成されないようになっていてもよい。また、第2の肉盛溶接部42及び/又は第3の肉盛溶接部44だけが形成され、第1の肉盛溶接部40が形成されないようになっていてもよい。前記第2の実施の形態に係るチェン50においても同様である。
【0050】
また、前記第1及び第2の実施の形態に係るチェン34,50においては、図3及び図5に示すように、第1の肉盛溶接部40,58が、ピンリンクプレート38の側面38a又はオフセットリンクプレート54の側面54a上において、その高さ方向(図3及び図5中上下方向)に伸びるように形成されていたが、上記側面38a、54a上において、このピンリンクプレート38又はオフセットリンクプレート54の進行方向(図3及び図5中左右方向)に伸びるように形成されていてもよい。
【0051】
或いは、第1の肉盛溶接部40,58は、このようなピンリンクプレート38又はオフセットリンクプレート54の高さ方向と進行方向との間の斜め方向(図3及び図5中、斜め左上方向又は斜め右上方向)に伸びるように形成されていてもよい。
【0052】
また、第1の肉盛溶接部40,58は、一様に一方向に向かって伸びるように形成されるものに限定されず、例えば、網目状や斑状に形成されるものであってもよい。
【0053】
また、前記第1の実施の形態に係るチェン34においては、図3に示すように、第1の肉盛溶接部40が、ピンリンクプレート38の側面38a上における、2つのピン用孔14のそれぞれの中心点の両方を通る不図示の仮想直線よりも上側の範囲には形成されないようになっていたが、かかる範囲において形成されるようになっていてもよい。前記第2の実施の形態に係るチェン50においても同様である。
【0054】
また、前記第1の実施の形態に係るチェン34においては、図3に示すように、第2の肉盛溶接部42が、ピンリンクプレート38における、その進行方向の全体の長さ範囲のうちの、中央部のくびれを有する長さ範囲よりも前方側の長さ範囲の下面38bに形成されていたが、中央部のくびれを有する長さ範囲よりも後方側の長さ範囲の下面38dに形成されていてもよい。
【0055】
また、前記第1の実施の形態に係るチェン34においては、図3に示すように、第3の肉盛溶接部44は、ピンリンクプレート38の前方端曲面38c上に形成されていたが、この前方端曲面38cとは反対側の後方端曲面38eに形成されていてもよい。
【0056】
また、前記第1及び第2の実施の形態に係るチェン34,50においては、そのピンリンクプレート38とローラリンクプレート20との間、又はオフセットリンクプレート54同士若しくは56同士の間にオイルシール28を備えていたが、オイルシール28を備えないようになっていてもよい。
【0057】
また、前記実施の形態においては、上側と下側で互いに略平行となっている循環経路のうちの、スプロケットの下側を略水平方向に走行している状態のチェンを示す場合について説明したが、チェンの循環経路は、スプロケットの下側を略水平方向に走行するものでありさえすれば、スプロケットの上側は必ずしもスプロケットの下側と平行となっている必要はなく、チェンの循環経路はスプロケットが3つ以上により構成されるものであってもよい。
【0058】
また、前記第2の実施の形態に係るチェン50のオフセットリンク52は、図5に示すように、その進行方向のほぼ前側半分が、前記第1の実施の形態に係るチェン34のピンリンク36と同様に構成され、ほぼ後側半分がローラリンク8と同様に構成されていたが、逆に、ほぼ前側半分がローラリンク8と同様に構成され、ほぼ後側半分がピンリンク36と同様に構成されていてもよい。
【0059】
このような場合には、第1から第3の肉盛溶接部58,42,44等は、前記第2の実施の形態に係るチェン50のものとは、前後方向の位置や向き等が対称となるように形成されることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るチェン34の一部、及びバケット30を示す側面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るチェン34の一部、及びバケット30を示す平面図である。
【図3】図1に示すチェン34を示す拡大側面図である。
【図4】図3に示すチェン34を示す下面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係るチェン50を示す拡大側面図である。
【図6】図5に示すチェン50を示す下面図である。
【図7】図5中のチェン50のC−C線断面図である。
【図8】従来の搬送装置2のチェン4の一部、及びバケット30を示す側面図である。
【図9】従来の搬送装置2のチェン4の一部、及びバケット30を示す平面図である。
【図10】図8に示すチェン4のピンリンク6及びローラリンク8を示す拡大側面図である。
【図11】図10中のチェン4のA−A線断面図であって、そのピンリンク6及びローラリンク8を示す図である。
【図12】図8に示すチェン4のピンリンク6及びローラリンク8を示す拡大側面図であって、ピンリンク6等が摩耗により変形した状態を示す図である。
【図13】図12中のチェン4のB−B線断面図であって、ピンリンク6及びローラリンク8を示すと共にピンリンク6等が摩耗により変形した状態を示す図である。
【符号の説明】
【0061】
2 搬送装置
4 チェン
6 ピンリンク
8 ローラリンク
10 ピンリンクプレート
12 ピン
12a,12b 端部
14 ピン用孔
16 抜止めピン
20 ローラリンクプレート
22 ブシュ
24 ローラ
26 ブシュ用孔
28 オイルシール
30 バケット
32 アタッチメント
34 チェン
36 ピンリンク
38 ピンリンクプレート
38a 側面
38b 下面
38c 前方端曲面
38d 下面
38e 後方端曲面
40 第1の肉盛溶接部
42 第2の肉盛溶接部
44 第3の肉盛溶接部
46,46a,46b,46c,46d 肉盛
50 チェン
52 オフセットリンク
54 オフセットリンクプレート
54a 側面
56 オフセットリンクプレート
58 第1の肉盛溶接部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交互に連結されるピンリンクとローラリンクを備え、循環経路に沿って互いに平行に走行する一対のチェンであって、
前記一対のチェンの間に搬送手段が設けられ、
前記ピンリンクが有する一対のピンリンクプレートのうち、前記搬送手段と反対側のピンリンクプレートにおける搬送手段と反対側の側面に、第1の肉盛溶接部が形成されていることを特徴とするチェン。
【請求項2】
前記チェンがこの循環経路の少なくとも一対のスプロケットの下側を略水平方向に通る場合において、
前記リンクプレートの下面に第2の肉盛溶接部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のチェン。
【請求項3】
前記リンクプレートの進行方向前側の端面に第3の肉盛溶接部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のチェン。
【請求項4】
一対の互いに対向する方向の間隔が異なるピンリンクとローラリンクが長さ方向に一体化されて、進行方向に互いに隣り合うピンリンク側の端部とローラリンク側の端部が互いに嵌合して連結される型式のオフセットリンクを備え、循環経路に沿って互いに平行に走行する一対のチェンであって、
前記一対のチェンの間に搬送手段が設けられ、
前記オフセットリンクが有する一対のオフセットリンクプレートのうち、前記搬送手段と反対側のオフセットリンクプレートの前記ピンリンク側の端部における搬送手段と反対側の側面に、第1の肉盛溶接部が形成されていることを特徴とするチェン。
【請求項5】
前記チェンがこの循環経路の少なくとも一対のスプロケットの下側を略水平方向に通る場合において、
前記オフセットリンクプレートの下面に第2の肉盛溶接部が形成されていることを特徴とする請求項4に記載のチェン。
【請求項6】
前記オフセットリンクは、前記ピンリンク側の端部が進行方向前側に、前記ローラリンク側の端部が後側に配置され、
前記オフセットリンクプレートの進行方向前側の端面に第3の肉盛溶接部が形成されていることを特徴とする請求項4又は5に記載のチェン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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