説明

チオフェン化合物の製造方法

【課題】[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン誘導体の新規な高収率製造方法の提供。
【解決手段】下記式で代表される化合物を酸、好ましくはプロトン酸、さらに好ましくはトリフルオロメタンスルフォン酸と作用させて標記化合物を製造する方法。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定構造のチオフェン化合物の製造方法に関する。

【背景技術】
【0002】
従来、アモルファスシリコンや多結晶シリコンを用いてなる薄膜トランジスタ(TFT)は、液晶表示装置などのフラットパネル表示用のスイッチング素子として広く用いられている。しかし、これらシリコンを用いた薄膜トランジスタの作製に用いられるCVD装置は、高価であり、大型の薄膜トランジスタ素子の製造は、製造コストの増大を伴うという難点がある。
また、アモルファスシリコンや多結晶シリコンの成膜は、高温度下で実施されるため、基板としては、軽量で、フレキシビリティーではあるが、耐熱性に乏しいプラスチック材料などは使用できないという難点がある。
上記問題を解決するために、アモルファスシリコンや多結晶シリコンに代えて、有機化合物をチャネル半導体層(以下、有機半導体層という)に用いた有機トランジスタ(有機薄膜トランジスタ、有機TFTとも称される)が提案されている(非特許文献1)。

有機半導体層を形成する方法としては、例えば、真空蒸着法や塗布法などが知られており、これらの成膜方法によれば、製造コストを抑えつつ、有機トランジスタ素子の大型化が容易となる。
さらには、成膜時に必要となる温度を下げることができ、有機化合物を用いた有機トランジスタでは、基板にプラスチック材料を使用することが可能となり、フレキシブルな表示素子への適用が可能となり、その実用化に期待が集まっている。

実用的な有機トランジスタは、高い電荷移動度、および大きな電流オン/オフ比などの特性を有している必要がある。ここで「オン/オフ比」という用語は、有機トランジスタがオンであるときのソース電極とドレイン電極間の電流の、有機トランジスタがオフであるときのソース電極とドレイン電極間の電流に対する比を意味する。
さらには、有機トランジスタの実用化に向けては、優れた保存安定性が必要となる。

【0003】
現在までに、有機半導体層に、例えば、ペンタセンを用いた有機トランジスタが提案されている(非特許文献2)。
しかし、ペンタセンを用いてなる有機トランジスタは、大気中では有機トランジスタとしての機能は低く、且つ、保存安定性が低いという難点がある。
さらに、チオフェンオリゴマー(α−ヘキサチエニレン)を有機半導体層に用いた有機トランジスタが提案されている(非特許文献3)。しかし、該有機トランジスタも、空気中での保存安定性が低いという難点がある。

【0004】
これらの保存安定性を改良するものとして、[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン誘導体を有機半導体層に用いた有機トランジスタが提案されている。例えば、2,7−ジフェニル[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェンを有機半導体層に用いた有機トランジスタが提案されている(非特許文献4)。2,7−ジアルキル[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェンを有機半導体層に用いた有機トランジスタが提案されている(非特許文献5)。また、例えば、2,7−ジアルコキシアルキル[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェンを有機半導体層に用いた有機トランジスタが提案されている(特許文献1)。また、ジナフト[2,3−b:2’,3’−f]チエノ[3,2−b]チオフェンを有機半導体層に用いた有機トランジスタが提案されている(非特許文献6)。

【0005】
これらのチオフェン誘導体、またはこれらのチオフェン誘導体の製造中間体の製造方法に関しては、幾つか報告されている。例えば、2,7−ジエチルカルボキシレート[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェンは、化合物(A)に臭素を作用させて製造されている(非特許文献7)。

【0006】
2,7−ニトロ[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェンは、化合物(B)に過臭化ピリジンを作用させて製造されている(特許文献2)。

【0007】
ジナフト[2,3−b:2’,3’−f]チエノ[3,2−b]チオフェンは、化合物(C)にヨウ素を作用させて製造されている(非特許文献6)。

【0008】
また、ジナフト[1,2−b:1’,2’−f]チエノ[3,2−b]チオフェンは、化合物(D)にヨウ素を作用させて製造されている(非特許文献8)。

これらの製造方法は、必ずしも高収率で[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン誘導体を製造することができるものではなく、現在では、実用化に向け、[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン誘導体の一層改良された製造方法が求められている。

【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−267132号公報
【特許文献2】特開2009−62302号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Appl.Phys.Lett.,63,1372(1993)
【非特許文献2】Appl.Phys.Lett.,72,1854(1998)
【非特許文献3】Science,268,270(1995)
【非特許文献4】J.Amer.Chem.Soc.,128、12604(2006)
【非特許文献5】J.Amer.Chem.Soc.,129、15732(2007)
【非特許文献6】J.Amer.Chem.Soc.,129、2224(2007)
【非特許文献7】J.Org.Chem.Soc.,58、5209(1993)
【非特許文献8】Bull.Chem.Soc.Jpn.,83、120(2010)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
現在までに、[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン誘導体の種々の製造方法が提案されているが、実用的に充分満足できる方法とはいい難いものであった。
本発明は、上述に鑑み、[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン誘導体を高収率で製造することができる新規な製造方法を提供することである。

【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、前記課題を解決するため、鋭意検討した結果、[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン誘導体の新規な製造方法を見出した。
すなわち、本発明は、
(i)一般式(1)で表される化合物を製造する方法において、一般式(2)または一般式(3)で表される化合物を、酸と作用させた後、生成する化合物を塩基と作用させて、一般式(1)で表される化合物を製造する方法である。
【0013】

〔式中、X〜Xはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、ニトロ基、直鎖、分岐または環状のアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、直鎖、分岐または環状のアルコキシアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシアルコキシ基、あるいは置換または未置換のアリール基を表し、さらに、X〜Xおよび/またはX〜Xの組み合わせより選ばれる隣接する2個の置換基が互いに結合して、置換している炭素原子と共に置換または未置換のベンゼン環、あるいは置換または未置換のナフタレン環を形成していてもよく、RおよびRはそれぞれ独立に、アルキル基を表す〕

【発明の効果】
【0014】
本発明により、各種の機能性材料(例えば、有機トランジスタ用材料)に有用な化合物の新規な製造方法を提供することが可能になった。

【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、一般式(2)または一般式(3)で表される化合物を、酸と作用させた後、生成する化合物を塩基と作用させて、一般式(1)で表される化合物を製造する方法である。
【0016】

〔式中、X〜Xはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、ニトロ基、直鎖、分岐または環状のアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、直鎖、分岐または環状のアルコキシアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシアルコキシ基、あるいは置換または未置換のアリール基を表し、さらに、X〜Xおよび/またはX〜Xの組み合わせより選ばれる隣接する2個の置換基が互いに結合して、置換している炭素原子と共に置換または未置換のベンゼン環、あるいは置換または未置換のナフタレン環を形成していてもよく、RおよびRはそれぞれ独立に、アルキル基を表す〕

【0017】
一般式(1)〜一般式(3)で表される化合物において、X〜Xはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、ニトロ基、直鎖、分岐または環状のアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、直鎖、分岐または環状のアルコキシアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシアルコキシ基、あるいは置換または未置換のアリール基を表す。

尚、本明細書において、アリール基とは、例えば、フェニル基、ナフチル基などの炭素環式芳香族基、例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基などの複素環式芳香族基を表す。また、アリール基の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜20の直鎖、分岐または環状のアルキル基、炭素数1〜20の直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、あるいは炭素数4〜20の前記ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基で置換されていてもよいアリール基などが挙げられる。

【0018】
一般式(1)〜一般式(3)で表される化合物において、より好ましくは、X1〜Xは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の直鎖、分岐または環状のアルキル基、炭素数1〜20の直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、炭素数2〜20の直鎖、分岐または環状のアルコキシアルキル基、炭素数2〜20の直鎖、分岐または環状のアルコキシアルコキシ基、あるいは炭素数4〜20の置換または未置換のアリール基を表す。

一般式(1)〜一般式(3)におけるX1 〜Xの具体例としては、例えば、水素原子;例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素などのハロゲン原子;水酸基、シアノ基、ニトロ基、
例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、1−メチルペンチル基、4−メチル−2−ペンチル基、3,3−ジメチルブチル基、2−エチルブチル基、n−ヘプチル基、1−メチルヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、n−オクチル基、tert−オクチル基、1−メチルヘプチル基、2−エチルヘキシル基、2−プロピルペンチル基、n−ノニル基、2,2−ジメチルヘプチル基、2,6−ジメチル−4−ヘプチル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、1−メチルデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、1−ヘキシルヘプチル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−エイコシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基、4−tert−ブチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などの直鎖、分岐または環状のアルキル基;
【0019】
例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、3,3−ジメチルブチルオキシ基、2−エチルブチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、n−トリデシルオキシ基、n−テトラデシルオキシ基、n−ペンタデシルオキシ基、n−ヘキサデシルオキシ基、n−ヘプタデシルオキシ基、n−オクタデシルオキシ基、n−エイコシルオキシ基などの直鎖、分岐または環状のアルコキシ基;

例えば、メトキシメチル基、エトキシメチル基、n−ブトキシメチル基、n−ペンチルオキシメチル基、n−ヘキシルオキシメチル基、(2−エチルブチルオキシ)メチル基、n−ヘプチルオキシメチル基、n−オクチルオキシメチル基、n−デシルオキシメチル基、n−ドデシルオキシメチル基、2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−n−プロポキシエチル基、2−イソプロポキシエチル基、2−n−ブトキシエチル基、2−n−ペンチルオキシエチル基、2−n−ヘキシルオキシエチル基、2−(2’−エチルブチルオキシ)エチル基、2−n−ヘプチルオキシエチル基、2−n−オクチルオキシエチル基、2−(2’−エチルヘキシルオキシ)エチル基、2−n−デシルオキシエチル基、2−n−ドデシルオキシエチル基、2−n−テトラデシルオキシエチル基、2−シクロヘキシルオキシエチル基、2−メトキシプロピル基、3−メトキシプロピル基、3−エトキシプロピル基、3−n−プロポキシプロピル基、3−イソプロポキシプロピル基、3−n−ブトキシプロピル基、3−n−ペンチルオキシプロピル基、3−n−ヘキシルオキシプロピル基、3−(2’−エチルブトキシ)プロピル基、3−n−オクチルオキシプロピル基、3−(2’−エチルヘキシルオキシ)プロピル基、3−n−デシルオキシプロピル基、3−n−ドデシルオキシプロピル基、3−n−テトラデシルオキシプロピル基、3−シクロヘキシルオキシプロピル基、4−メトキシブチル基、4−エトキシブチル基、4−n−プロポキシブチル基、4−イソプロポキシブチル基、4−n−ブトキシブチル基、4−n−ヘキシルオキシブチル基、4−n−オクチルオキシブチル基、4−n−デシルオキシブチル基、4−n−ドデシルオキシブチル基、5−メトキシペンチル基、5−エトキシペンチル基、5−n−プロポキシペンチル基、5−n−ペンチルオキシペンチル基、6−メトキシヘキシル基、6−エトキシヘキシル基、6−イソプロポキシヘキシル基、6−n−ブトキシヘキシル基、6−n−ヘキシルオキシヘキシル基、6−n−デシルオキシヘキシル基、4−メトキシシクロヘキシル基、7−メトキシヘプチル基、7−エトキシヘプチル基、7−イソプロポキシヘプチル基、8−メトキシオクチル基、8−エトキシオクチル基、9−メトキシノニル基、9−エトキシノニル基、10−メトキシデシル基、10−エトキシデシル基、10−n−ブトキシデシル基、11−メトキシウンデシル基、11−エトキシウンデシル基、12−メトキシドデシル基、12−エトキシドデシル基、12−イソプロポキシドデシル基、14−メトキシテトラデシル基、テトラヒドロフルフリル基などの直鎖、分岐または環状のアルコキシアルキル基;

【0020】
例えば、メトキシメトキシ基、エトキシメキシ基、n−ブトキシメトキシ基、n−ペンチルオキシメトキシ基、n−ヘキシルオキシメトキシ基、(2−エチルブトキシ)メトキシ基、n−ヘプチルオキシメトキシ基、n−オクチルオキシメトキシ基、n−デシルオキシメトキシ基、n−ドデシルオキシメトキシ基、1−メトキシエトキシ基、2−メトキシエトキシ基、2−エトキシエトキシ基、2−n−プロポキシエトキシ基、2−イソプロポキシエトキシ基、2−n−ブトキシエトキシ基、2−n−ペンチルオキシエトキシ基、2−n−ヘキシルオキシエトキシ基、2−(2’−エチルブチルオキシ)エトキシ基、2−n−ヘプチルオキシエトキシ基、2−n−オクチルオキシエトキシ基、2−(2’−エチルヘキシルオキシ)エトキシ基、2−n−デシルオキシエトキシ基、2−n−ドデシルオキシエトキシ基、2−n−テトラデシルオキシエトキシ基、2−シクロヘキシルオキシエトキシ基、2−メトキシプロポキシ基、3−メトキシプロポキシ基、3−エトキシプロポキシ基、3−n−プロポキシプロポキシ基、3−イソプロポキシプロポキシ基、3−n−ブトキシプロポキシ基、3−n−ペンチルオキシプロポキシ基、3−n−ヘキシルオキシプロポキシ基、3−(2’−エチルブトキシ)プロポキシ基、3−n−オクチルオキシプロポキシ基、3−(2’−エチルヘキシルオキシ)プロポキシ基、3−n−デシルオキシプロポキシ基、3−n−ドデシルオキシプロポキシ基、3−n−テトラデシルオキシプロポキシ基、3−シクロヘキシルオキシプロポキシ基、2−メトキシブトキシ基、3−メトキシブトキシ基、4−メトキシブトキシ基、4−エトキシブトキシ基、4−n−プロポキシブトキシ基、4−イソプロポキシブトキシ基、4−n−ブトキシブトキシ基、4−n−ヘキシルオキシブトキシ基、4−n−オクチルオキシブトキシ基、4−n−デシルオキシブトキシ基、4−n−ドデシルオキシブトキシ基、5−メトキシペンチルオキシ基、5−エトキシペンチルオキシ基、5−n−プロポキシペンチルオキシ基、5−n−ペンチルオキシペンチルオキシ基、6−メトキシヘキシルオキシ基、6−エトキシヘキシルオキシ基、6−イソプロポキシヘキシルオキシ基、6−n−ブトキシヘキシルオキシ基、6−n−ヘキシルオキシヘキシルオキシ基、6−n−デシルオキシヘキシルオキシ基、4−メトキシシクロヘキシルオキシ基、7−メトキシヘプチルオキシ基、7−エトキシヘプチルオキシ基、7−イソプロポキシヘプチルオキシ基、8−メトキシオクチルオキシ基、8−エトキシオクチルオキシ基、9−メトキシノニルオキシ基、9−エトキシノニルオキシ基、10−メトキシデシルオキシ基、10−エトキシデシルオキシ基、10−n−ブトキシデシルオキシ基、11−メトキシウンデシルオキシ基、11−エトキシウンデシルオキシ基、12−メトキシドデシルオキシ基、12−エトキシドデシルオキシ基、12−イソプロポキシドデシルオキシ基、14−メトキシテトラデシルオキシ基、テトラヒドロフルフリルオキシ基などの直鎖、分岐または環状のアルコキシアルコキシ基;
【0021】
例えば、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−n−プロピルフェニル基、4−イソプロピルフェニル基、4−n−ブチルフェニル基、4−イソブチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4―n−ペンチルフェニル基、4−イソペンチルフェニル基、4−tert−ペンチルフェニル基、4−n−ヘキシルフェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基、4−n−ヘプチルフェニル基、4−n−オクチルフェニル基、4−n−ノニルフェニル基、4−n−デシルフェニル基、4−n−ウンデシルフェニル基、4−n−ドデシルフェニル基、4−n−テトラデシルフェニル基、2,3−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラメチルフェニル基、5−インダニル基、1,2,3,4−テトラヒドロ−5−ナフチル基、1,2,3,4−テトラヒドロ−6−ナフチル基、
2−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、3−エトキシフェニル基、4−エトキシフェニル基、4−n−プロポキシフェニル基、4−イソプロポキシフェニル基、4−n−ブトキシフェニル基、4−イソブトキシフェニル基、4−n−ペンチルオキシフェニル基、4−n−ヘキシルオキシフェニル基、4−シクロヘキシルオキシフェニル基、4−n−ヘプチルオキシフェニル基、4−n−オクチルオキシフェニル基、4−n−ノニルオキシフェニル基、4−n−デシルオキシフェニル基、4−n−ウンデシルオキシフェニル基、4−n−ドデシルオキシフェニル基、4−n−テトラデシルオキシフェニル基、2,3−ジメトキシフェニル基、2,4−ジメトキシフェニル基、2,5−ジメトキシフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、3,5−ジメトキシフェニル基、3,5−ジエトキシフェニル基、2−メトキシ−4−メチルフェニル基、2−メトキシ−5−メチルフェニル基、2−メチル−4−メトキシフェニル基、3−メチル−4−メトキシフェニル基、3−メチル−5−メトキシフェニル基、
2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、2−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、4−ブロモフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、3,4−ジフルオロフェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、3,5−ジフルオロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、3,4,5−トリフルオロフェニル基、2−メチル−4−クロロフェニル基、2−クロロ−4−メチルフェニル基、3−クロロ−4−メチルフェニル基、2−クロロ−4−メトキシフェニル基、3−メトキシ−4−フルオロフェニル基、3−メトキシ−4−クロロフェニル基、3−フルオロ−4−メトキシフェニル基、2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル基、4−フェニルフェニル基、3−フェニルフェニル基、4−(4’−メチルフェニル)フェニル基、4−(4’−メトキシフェニル)フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、4−メチル−1−ナフチル基、4−エトキシ−1−ナフチル基、6−n−ブチル−2−ナフチル基、6−メトキシ−2−ナフチル基、7−エトキシ−2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、2−テトラセニル基、2−フルオレニル基、9,9−ジメチル−2−フルオレニル基、9,9−ジ−n−プロピル−2−フルオレニル基、2−フリル基、2−チエニル基、5−n−プロピル−2−チエニル基、5−n−ブチル−2−チエニル基、5−n−ヘキシル−2−チエニル基、5−n−オクチル−2−チエニル基、5−n−デシル−2−チエニル基、5−n−トリデシル−2−チエニル基、5−フェニル−2−チエニル基、5−(2’−チエニル)−2−チエニル基、5−(5’−n−ブチル−2’−チエニル)−2−チエニル基、5−(5’−n−ヘキシル−2’−チエニル)−2−チエニル基、5−(5’−n−デシル−2’−チエニル)−2−チエニル基、3−チエニル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基などの置換または未置換のアリール基を挙げることができる。

【0022】
一般式(1)〜一般式(3)において、X〜Xの組み合わせおよび/またはX〜Xの組み合わせより選ばれる隣接する2個の置換基が互いに結合して置換している炭素原子と共に置換または未置換のベンゼン環、あるいは置換または未置換のナフタレン環を形成していてもよい。

形成されるベンゼン環あるいはナフタレン環が置換基を有する場合、その置換基としては、例えば、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、ニトロ基、直鎖、分岐または環状のアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、直鎖、分岐または環状のアルコキシアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシアルコキシ基、あるいは置換または未置換のアリール基が挙げられ、
好ましくは、ハロゲン原子、炭素数1〜20の直鎖、分岐または環状のアルキル基、炭素数1〜20の直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、炭素数2〜20の直鎖、分岐または環状のアルコキシアルキル基、炭素数2〜20の直鎖、分岐または環状のアルコキシアルコキシ基、あるいは炭素数4〜20の置換または未置換のアリール基が挙げられる。
形成されるベンゼン環あるいはナフタレン環に置換していてもよい置換基の具体例としては、例えば、一般式(1)〜一般式(3)で表される化合物におけるX〜Xで例示したハロゲン原子、直鎖、分岐または環状のアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、直鎖、分岐または環状のアルコキシアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシアルコキシ基、あるいは置換または未置換のアリール基を挙げることができる。
尚、形成されるナフタレン環は、2位と3位、または1位と2位で縮環したナフタレン環である。

【0023】
一般式(2)および一般式(3)において、RおよびRはアルキル基を表し、好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基などの炭素数1〜10の直鎖、分岐または環状のアルキル基を表し、より好ましくは、メチル基を表す。

本発明に係る一般式(1)で表される化合物の具体例としては、例えば、以下の化合物を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。

【0024】

【0025】





【0026】





【0027】





【0028】




【0029】


【0030】





【0031】




【0032】




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【0040】


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【0042】




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【0044】





【0045】





【0046】


【0047】





【0048】


【0049】
[一般式(2),一般式(3)の化合物の製造法]
一般式(2)で表される化合物は、例えば、一般式(4)で表される化合物と、一般式(5)で表される化合物を、触媒として、例えば、パラジウム触媒[例えば、ビス(トリフェニルフォスフィン)パラジウムジクロライド、テトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム、酢酸パラジウム、パラジウム/炭素]、および必要に応じて塩基の存在下で作用させることにより製造することができる[例えば、Chem.Rev.,95、2457(1995)、Chem.Rev.,102、1359(2002)、Chem.Rev.,107、133(2007)、Tetrahedron,54、263(1998)に記載の方法を参考にすることができる]。
【0050】

〔式中、X〜X、Rは一般式(2)と同じ意味を表し、Mはアルカリ金属、または金属含有基を表し、Zはハロゲン原子または−OSO−R10基を表す〕

同様に、一般式(3)で表される化合物は、例えば、一般式(6)で表される化合物と、一般式(7)で表される化合物を、触媒として、例えば、パラジウム触媒[例えば、ビス(トリフェニルフォスフィン)パラジウムジクロライド、テトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム、酢酸パラジウム、パラジウム/炭素]、および必要に応じて塩基の存在下で作用させることにより製造することができる。

【0051】


〔式中、X〜X、Rは一般式(3)と同じ意味を表し、Mはアルカリ金属、または金属含有基を表し、Zはハロゲン原子または−OSO−R10基を表す〕

尚、一般式(4)および一般式(7)において、Z〜Zで表されるハロゲン原子は、好ましくは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を表し、より好ましくは、臭素原子、ヨウ素原子を表す。

【0052】
一般式(4)および一般式(7)において、Z〜Zで表される−OSO−R10基において、R10は置換または未置換のアリール基、あるいはハロゲン原子で置換されていてもよい直鎖、分岐または環状のアルキル基を表し、より好ましくは、炭素数6〜10の置換または未置換のアリール基、あるいはハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜10の直鎖、分岐または環状のアルキル基を表し、さらに好ましくは、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜8の直鎖、分岐または環状のアルキル基を表す。

尚、−OSO−R10基のR10で表される置換または未置換のアリール基の具体例としては、例えば、フェニル基、4−メチルフェニル基、4−クロロフェニル基などを挙げることができる。
尚、−OSO−R10基のR10で表されるハロゲン原子で置換されていてもよい直鎖、分岐または環状のアルキル基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基などのアルキル基、トリフルオロメチル基、クロロジフルオロメチル基、ジクロロフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、n−ノナフルオロブチル基などのハロゲン原子で置換されたアルキル基を挙げることができる。
〜Zで表される−OSO−R10基としては、より好ましくは、ベンゼンスルフォニルオキシ基、p−トルエンスルフォニルオキシ基、メタンスルフォニルオキシ基、トリフルオロメタンスルフォニルオキシ基である。

【0053】
また、一般式(5)および一般式(6)において、M〜Mで表されるアルカリ金属は、好ましくは、Li、Na、Kを表す。
一般式(5)および一般式(6)において、M〜Mで表される金属含有基は、好ましくは、ホウ素金属含有基、スズ金属含有基、マグネシウム金属含有基、亜鉛金属含有基、マンガン金属含有基、ジルコニウム金属含有基、インジウム金属含有基、ゲルマニウム金属含有基、鉛金属含有基、ビスマス金属含有基、または銅金属含有基を表し、より好ましくは、ホウ素金属含有基、スズ金属含有基、マグネシウム金属含有基、または亜鉛金属含有基を表す。

ホウ素金属含有基としては、好ましくは一般式(M−1)で表される基である。
−B(OR)(OR00) (M−1)
(式中、RおよびR00は水素原子またはアルキル基を表し、さらにRとR00が互いに結合して環状のアルキレン基、あるいはアリーレン基を形成していてもよいを表す)
一般式(M−1)において、RおよびR00は、水素原子またはアルキル基を表し、好ましくは、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表す。
また、RおよびR00が互いに結合して環状のアルキレン基を表す場合、好ましくは、炭素数2〜10の環状のアルキレン基を表す。
また、RおよびR00が互いに結合してアリーレン基を表す場合、好ましくは、アルキル基で置換されていてもよい炭素数6〜10の1,2−フェニレン基を表す。

スズ金属含有基としては、好ましくは、一般式(M−2)で表される基である。
−Sn(R000 (M−2)
(式中、R000はアルキル基を表す)
一般式(M−2)において、R000はアルキル基を表し、好ましくは、炭素数1〜8のアルキル基を表す。

【0054】
マグネシウム金属含有基としては、好ましくは、一般式(M−3)で表される基である。
−MgZ (M−3)
(式中、Zはハロゲン原子を表す)
一般式(M−3)において、Zはハロゲン原子を表し、好ましくは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を表す。

亜鉛金属含有基としては、好ましくは、一般式(M−4)で表される基である。
−ZnZ00 (M−4)
(式中、Z00はハロゲン原子を表す)
一般式(M−4)において、Z00はハロゲン原子を表し、好ましくは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を表す。

【0055】
本発明の製造方法は、まず、一般式(2)または一般式(3)で表される化合物を、酸と作用させる。
係る酸としては、好ましくは、プロトン酸であり、例えば、酢酸、クロロ酢酸、フルオロ酢酸、トリフルオロ酢酸などのアルキルカルボン酸、例えば、メタンスルフォン酸、トリフルオロメタンスルフォン酸、ペンタフルオロエタンスルフォン酸、n−ノナフルオロブタンスルフォン酸などのアルキルスルフォン酸であり、より好ましくは、アルキルスルフォン酸であり、さらに好ましくは、トリフルオロメタンスルフォン酸である。

酸の使用量に関しては、特に限定するものではないが、反応に必要量があればよく、一般には、一般式(2)または一般式(3)で表される化合物に対して、1倍モル以上使用することが好ましい。
また、酸を反応溶媒として用いることもでき、一般には、酸の使用量は、一般式(2)または一般式(3)で表される化合物に対して、より好ましくは、1〜10000倍モル程度使用する。

【0056】
一般式(2)または一般式(3)で表される化合物を、酸と作用させる際の反応温度に関しては、特に限定するものではないが、一般に、−20℃〜150℃程度、好ましくは、0℃〜100℃程度で実施する。
また、酸との反応は、大気圧下で実施することも、加圧下で実施することもできる。
反応時間に関しては、特に限定するものではなく、反応経過は、原料である一般式(2)または一般式(3)で表される化合物の残存量を各種の分析方法により求め、所望の時間実施することができ、一般的には、反応温度が、−20℃〜150℃程度であれば、30分〜100時間程度で実施する。

一般式(2)または一般式(3)で表される化合物を、酸と作用させた後、反応混合物は、水、または氷水を作用させて、析出している固体を得ることができる。
本発明の製造方法においては、この固体を、さらに塩基と作用させることにより、一般式(1)で表される化合物を製造することができる。

【0057】
また、一般式(2)または一般式(3)で表される化合物を、酸と作用させた後、得られる反応混合物を、引き続き、塩基と作用させることにより、一般式(1)で表される化合物を製造することができる。
係る塩基としては、特に制限するものではないが、好ましくは、ピリジン、キノリン、ピコリン、アンモニア、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンなどの含窒素の有機塩基が好ましく、より好ましくは、ピリジンである。

塩基の使用量に関しては、特に限定するものではないが、反応に必要量があればよく、一般には、一般式(2)または一般式(3)で表される化合物に対して、1倍モル以上使用することが好ましい。
また、塩基を反応溶媒として用いることもでき、一般には、塩基の使用量は、一般式(2)または一般式(3)で表される化合物に対して、より好ましくは、1〜10000倍モル程度使用する。
また、塩基と作用させる場合には、所望により、水の共存化で実施することもできる。

【0058】
塩基と作用させる際の反応温度に関しては、特に限定するものではないが、一般に、10℃〜150℃程度、好ましくは50℃〜100℃程度で実施する。
また、塩基との反応は、大気圧下で実施することも、加圧下で実施することもできる。
反応時間に関しては、特に限定するものではなく、反応経過は、生成物である一般式(1)で表される化合物の生成量を各種の分析方法により求め、所望の時間実施することができ、一般的には、反応温度が、10℃〜150℃程度であれば、10分〜50時間程度で実施する。

【0059】
さらに、本発明の製造方法において、酸または塩基と作用させる場合には、所望により、有機溶媒を併用してもよい。
係る有機溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アニソールなどのエーテル系溶媒、ヘキサン、オクタンなどの炭化水素系溶媒などの有機溶媒を挙げることができる。
これらの有機溶媒は、1種を単独で使用してもよく、あるいは複数併用してもよい。

このように製造される一般式(1)で表される化合物は、再結晶法、カラムクロマトグラフィー法、昇華精製法などの精製方法、あるいはこれらの方法を併用して、精製することができる。

一般式(1)で表される化合物は、各種の機能性材料として使用することができる。

【0060】
例えば、一般式(1)で表される化合物を、有機トランジスタに使用する場合、再結晶法、カラムクロマトグラフィー法、昇華精製法などの精製方法、あるいはこれらの方法を併用して、純度を高めた化合物を使用することは好ましいことである。
本発明の製造方法により製造される一般式(1)で表される化合物を有機半導体層に用いてなる有機トランジスタは、例えば、液晶表示素子、有機電界発光素子、電子ペーパー、各種センサー、RFIDs(radio frequency identification cards)などに使用することができる。

【実施例】
【0061】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。

【0062】
(実施例1) 例示化合物番号1の化合物の製造
窒素雰囲気下、式(2−1)で表される化合物(544mg、2ミリモル)を、トリフルオロメタンスルフォン酸(10ml)に加え、25℃で、40時間撹拌した。
【0063】

反応混合物を水(50ml)に加えた後、析出した固体を濾別した。
この固体をピリジン(40ml)に加えた後、70℃で10時間撹拌した。反応混合物に、塩化メチレン(150ml)を加え、有機層を分離した後、有機層を水(50ml)で洗浄した。
有機層から塩化メチレンを留去した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー〔展開液:トルエン/ヘキサン(体積比:3/1)〕にて分離精製し、例示化合物番号1の化合物を422mg得た。収率88%

【0064】
(実施例2) 例示化合物番号5の化合物の製造
実施例1において、式(2−1)で表される化合物の代わりに、式(2−5)で表される化合物(2ミリモル)を使用した以外は、実施例1に記載の操作に従い、例示化合物番号5の化合物を 得た。収率84%
【0065】


【0066】
(実施例3) 例示化合物番号19の化合物の製造
実施例1において、式(2−1)で表される化合物の代わりに、式(2−19)で表される化合物(2ミリモル)を使用した以外は、実施例1に記載の操作に従い、例示化合物番号19の化合物を得た。収率78%
【0067】


【0068】
(実施例4) 例示化合物番号29の化合物の製造
実施例1において、式(2−1)で表される化合物の代わりに、式(2−29)で表される化合物(2ミリモル)を使用した以外は、実施例1に記載の操作に従い、例示化合物番号29の化合物を得た。収率82%
【0069】

【0070】
(実施例5) 例示化合物番号37の化合物の製造
実施例1において、式(2−1)で表される化合物の代わりに、式(3−37)で表される化合物(2ミリモル)を使用した以外は、実施例1に記載の操作に従い、例示化合物番号37の化合物を得た。収率80%
【0071】

【0072】
(実施例6) 例示化合物番号48の化合物の製造
実施例1において、式(2−1)で表される化合物の代わりに、式(2−48)で表される化合物(2ミリモル)を使用した以外は、実施例1に記載の操作に従い、例示化合物番号48の化合物を得た。収率84%
【0073】


【0074】
(実施例7) 例示化合物番号57の化合物の製造
実施例1において、式(2−1)で表される化合物の代わりに、式(2−57)で表される化合物(2ミリモル)を使用した以外は、実施例1に記載の操作に従い、例示化合物番号57の化合物を得た。収率76%
【0075】

(実施例8) 例示化合物番号69の化合物の製造
窒素雰囲気下、式(2−69)で表される化合物(848mg、2ミリモル)を、トリフルオロメタンスルフォン酸(20ml)に加え、25℃で、15時間撹拌した。
【0076】

【0077】
反応混合物を水(100ml)に加えた後、析出した固体を濾別した。
この固体をピリジン(50ml)に加えた後、70℃で5時間撹拌した。反応混合物に、水(150ml)を加えた後、析出している固体を濾別し、さらに水(50ml)およびメタノール(30ml)で洗浄した。
洗浄した固体を乾燥した後、真空下(5×10−4Pa)、250℃で昇華精製し、例示化合物番号69の化合物を610mg得た。収率78%

【0078】
(実施例9) 例示化合物番号71の化合物の製造
実施例1において、式(2−1)で表される化合物の代わりに、式(2−71)で表される化合物(2ミリモル)を使用した以外は、実施例1に記載の操作に従い、例示化合物番号71の化合物を得た。収率76%
【0079】

【0080】
(実施例10) 例示化合物番号76の化合物の製造
実施例8において、式(2−69)で表される化合物の代わりに、式(2−76)で表される化合物(2ミリモル)を使用した以外は、実施例8に記載の操作に従い、例示化合物番号76の化合物を得た。収率85%
【0081】


【0082】
(実施例11) 例示化合物番号85の化合物の製造
実施例8において、式(2−69)で表される化合物の代わりに、式(2−85)で表される化合物(2ミリモル)を使用した以外は、実施例8に記載の操作に従い、例示化合物番号85の化合物を得た。収率88%
【0083】

【0084】
(実施例12) 例示化合物番号88の化合物の製造
実施例8において、式(2−69)で表される化合物の代わりに、式(2−88)で表される化合物(2ミリモル)を使用した以外は、実施例8に記載の操作に従い、例示化合物番号88の化合物を得た。収率85%
【0085】

【0086】
(実施例13) 例示化合物番号90の化合物の製造
実施例8において、式(2−69)で表される化合物の代わりに、式(2−90)で表される化合物(2ミリモル)を使用した以外は、実施例8に記載の操作に従い、例示化合物番号90の化合物を得た。収率81%
【0087】

【0088】
(比較例) 例示化合物番号90の化合物の製造
窒素雰囲気下、式(D)で表される化合物(744mg)とヨウ素(16.1g)を、クロロホルム(60ml)に加え、11時間、環流下で撹拌した。
【0089】

【0090】
反応混合物を室温に冷却後、亜硫酸水素ナトリウムの飽和水溶液(90ml)を加え、析出した固体を濾別した。この固体を、さらに水(50ml)およびメタノール(30ml)で洗浄した。
洗浄した固体を乾燥した後、真空下(5×10−4Pa)、250℃で昇華精製し、例示化合物番号69の化合物を205mg得た。収率30%
この製造方法は、本発明の実施例13に記載の方法に比べ、収率が低いことが明らかとなった。

【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明の方法により各種の機能性材料(例えば、有機トランジスタ用の材料)として有用な化合物を高収率で製造することができる新規な方法を提供することが可能になった。
また、本発明の方法により製造される化合物を有機半導体層に用いてなる有機トランジスタは、高い電荷移動度、大きな電流オン/オフ比を有し、かつ保存安定性に優れており、液晶表示素子、有機電界発光素子、電子ペーパー、各種センサー、RFIDs (radio frequency identification cards)などに使用することができる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で表される化合物を製造する方法において、一般式(2)または一般式(3)で表される化合物を、酸と作用させた後、生成する化合物を塩基と作用させて、一般式(1)で表される化合物を製造する方法。


〔式中、X〜Xはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、ニトロ基、直鎖、分岐または環状のアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、直鎖、分岐または環状のアルコキシアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシアルコキシ基、あるいは置換または未置換のアリール基を表し、さらに、X〜Xおよび/またはX〜Xの組み合わせより選ばれる隣接する2個の置換基が互いに結合して、置換している炭素原子と共に置換または未置換のベンゼン環、あるいは置換または未置換のナフタレン環を形成していてもよく、RおよびRはそれぞれ独立に、アルキル基を表す〕


【公開番号】特開2011−256144(P2011−256144A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−133416(P2010−133416)
【出願日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(000179904)山本化成株式会社 (70)
【Fターム(参考)】