説明

チコリウム属の組換え植物を得るための方法、およびそれを使用して得られる植物

本発明は、促成栽培に適し、チコリウム・インチブスL、およびチコリウム・エンディビアLそれぞれに由来する表現型の特徴の組み合わせの発現によって決定される表現型を有するチコリウム属の組換え植物類を得るための方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、促成栽培に適し、チコリウム・インチブスL、およびチコリウム・エンディビアLそれぞれに由来する表現型の特徴の組み合わせの発現によって決定される表現型を有するチコリウム属の組換え植物類を得るための方法に関する。
【0002】
促成栽培に適するチコリウム・インチブスL種由来の植物は、また、エンダイブとも呼ばれ、ヨーロッパの至る所およびアジアの温暖な地域で広く生育している。それは、お互いが離れて間隔をとって位置する堅い枝をもつ非常に枝の多い植物である。
低い位置にある葉は、通常、全裂であり、裂片(lobes)または歯突起(segments)が両側に、離れて、そして、しばしば、そり返って配置され、末端の裂片(end lobes)をもつ;先端の葉は、全縁であり、茎をそれらの基部で取り囲んでいて、高い位置にある葉は、かなり小さな包葉に減縮する。根の柔組織細胞は、それらが合成された場所である葉緑体組織(green organs)から生じる物質から、ホロサイド(澱粉、イヌリン等)を産出する。
成長相の間に、根は、塊根を形成するために、ホロサイドがその中で蓄積される柔組織の過形成の結果、たえず(たびたび)肥大する。
【0003】
チコリウム・インチブスL種の機能、およびより具体的には、例えばWiltloof型の品種類のような、そのような種のいくつかの品種の塊根を産出するための機能は、そのような植物を、暗中の<促成栽培>で、そのような植物を栽培するのに適合させる。
21日の促成栽培による栽培は、栄養液が18℃から21℃周辺の温度であり、同時に栄養液よりも1℃から3℃低い空気温度に等しい桶のなかでエンダイブを成長させる。
エンダイブは、外側にある葉がわずかに黄色であり、本質的に白い成熟した植物を産出することを目的として、葉を萎れさせるために、暗所で促成栽培をすることによって栽培される。
【0004】
エンダイブ生産者は、最終消費者への提供を多様化し、エンダイブの様々な範囲(range)でそれらを提供することができるように、新しい産物を探し続けている。
【0005】
従来の促成栽培によるエンダイブの生産は、桶が積み重ねられた部屋の中で大規模に行なわれ、エンダイブの根は、暗下、栄養液の中で、溶液温度および室温温度条件下、厳密に調整された湿度条件下で浸漬される。
このように、エンダイブの促成栽培は、種蒔き、根付け、また大規模にエンダイブを生産するために、栽培室で促成栽培をするといった多様なそれぞれのステップを成し遂げるために、装置および労働力の両方で、かなり多くの経済的投資を必要とする。
【0006】
促成栽培によりエンダイブを栽培することは、市場に出されるチコリーを生産することを意図する。チコリーは、本質的に、暗所で萎れた、根首から生じる葉で出来ている。促成栽培サイクルは、生産価格を最適化するために、きわめて厳密に管理され、計画された栽培条件、サイクルおよびスケジュールで行なわれる。
【0007】
手ごろな価格で市場化することができる、エンダイブから得られる新しく、多様な種類の範囲の植物を消費者に提供するために、その新しい植物は、従来のエンダイブに使用される生産条件に適合すべきことが必要とされる。
実際に、チコリウム種の新しい植物の生産に、特別に適用されるべき新たな産業投資は、市場と経済的に相容れないであろう。
促成栽培により、生産される予定であるどのような新しい品種でも、それゆえに、エンダイブで、すでに開発された生産システムに組み込まれることが望ましい。
【0008】
出願人が知るかぎり、商業的に有用な植物の産出を導き、また、各々の初代親系統の遺伝的特徴から発現される表現型特徴の組み合わせをもっている、塊根をもつチコリウム・インチブスLとチコリウム・エンディビアLとの間の組換え方法は、先行技術として何れにも記載されていない。
【0009】
チコリウム・インチブスLとチコリウム・エンディビアLとの間のF1世代の種間内交配は、すでに先行技術として記載されている。
チャールズ・リック(Charles RICK)により、1953年に完成された交配は、特に注目することができる(1953, Proceedings of the American Society for Horticultural Science, vol.61:459-466)、彼は、これら2つの両種間の土壌での交配の事象を記載している。またリックは、土壌でF1世代植物の自家受粉により産出されたF2世代植物を得ることも記載している。リックは、F2世代植物により発現される表現型特徴,特にそれらの丈夫さ(耐寒性)に関して、のかなり大きな変異性を観察している。
先述した著者は、このことからチコリーおよびエンダイブからそれぞれ生じる遺伝子の多数の組み合わせが、稔性や丈夫さ(耐寒性)レベルを非常に下げるため、“調和”してはいなかったとの結論を下している。
リックによると、チコリウム・インチブスLとチコリウム・エンディビアLの両種間で少しの遺伝子の組換えが例外的に認められたが、チコリウム・インチブスLとチコリウム・エンディビアLとの間の遺伝的障害はほとんど克服できないとある(1953,in Rick 464頁参照)。またリックは、チコリウム・インチブスL及びチコリウム・エンディビアLそれぞれの両ゲノム間の違いが、自家受粉による子孫で不完全な減数分裂や不稔を生じるようであると観察している。
【0010】
“Castel Franco”型のF1世代雑種植物は、16世紀、イタリアで、偶発的な交配によるそれらの両種間での遺伝子組換え(gene exchange)の唯一の例であると、長い間考えられてきた(Annemieke M Kiers:Endive, Chicory and their wild relatives, Gorteria Supplement 5,July 2000)。最近の分子研究(Kiers,2000)は、両種は、関連がなく、またCastel Franco型がチコリウム・インチブスLに関連していることを明らかにしている。
【0011】
また先行文献には、チコリウム・インチブスLとチコリウム・エンディビアLとの間のF1世代雑種をクローニングにより、試験管内で、排他的に、引き続き増殖させることが、とりわけ、胚形成の研究目的(Blervaq A.S.et al., 1995,Protoplasma, vol 186:163-168)のために記載されている。
また、チコリウム・インチブスLとチコリウム・エンディビアLとの間のF1世代雑種植物が、おそらく、チコリウム・インチブスLから生じるカブモザイクウィルス(TuMV)耐性遺伝子の優性による、TuMVに対する耐性の表現型特徴をもつことも記載されている(Providenti et al.,1979,J Amer.Soc.Hort.Sci.,vol.104(6):726-728)。
【0012】
先の分析からみることができるように、出願人の知るかぎり、チコリウム・インチブスLとチコリウム・エンディビアLとの間の遺伝的組換えができるような促成栽培により栽培されるようなチコリーは、今日記載されていない。
それらの両種間の組換え植物を正常に得ることに反して、また具体的には、促成栽培に適し、それらが野菜植物として産業的に栽培できる技術的機能、丈夫さ(耐寒性)および稔性をもち、塊根をもった組換え品種を選択する目的のために、中間産物からなる影響を受けやすい組換え植物を得ることに反する、当業者の技術的先入観さえある。
【0013】
これまで、それら前記両種間で、最初の交配から生じるチコリウム型の組換え植物をえるための、そのような目的に対処することができる前記方法のステップによる順序および型である、どんな方法も開示されていない。
【0014】
チコリウム・インチブスLとチコリウム・エンディビアLとの間の塊根をもつ組換え植物を獲得し、また促成栽培に適する植物を獲得する方法が、今から本発明により提供される。
【0015】
より具体的には、出願人は、試験管内での培養および試験管内でのクローニングステップと同様に、交配並びに土壌栽培の両方よりなるチコリウム種のような組換え植物を得るための方法を開発することを試みてきた。特に、栽培および試験管内でのクローニングステップは、本発明の方法を実現するのに不可欠であり、様々な病原細菌や病原糸状菌による第一世代組換え植物の大規模な感染のために生じる非常に多くの技術的課題を克服できる。
【0016】
本発明の目的は、それにより、下記のa)〜f)のステップが含まれることで特徴づけられ、塊根を持つチコリウム型の組換え植物を得るための方法である。
a)塊根をもつチコリウム・インチブスL種の品種の雌株のバッチおよびチコリウム・エンディビアL種の品種の雄株のバッチとの間で交配し、前記交配の結果生じるF1世代雑種植物の母集団を得て、
b)ステップa)から生じるF1世代雑種植物を自家受粉させ、前記交配から得られるF2世代組換え植物を得て、
c)芽または根が、ウィルス、細菌または真菌の感染、特にエルウィニア・カルトボラ,スクレロチニア・スクレロチオラム, またはさらにフィトフィソラ・クリプトゲアにより引き起こされた、明らかな変化を何ももっていないF2世代組換え植物を選択し、
d)ステップc)で選択されたF2世代組換え植物は、10から18日間、下記の促成栽培条件下で促成栽培され、
−栄養液温度:15℃から17℃
−室温:15から17℃
e)ステップd)の結果で得られたF2植物をクローニングし、再生された芽を得て、
f)組換え幼植物体が獲得されるまで適切な培地に再生された芽を移植する。
【0017】
前記方法のステップa)において、“手作業での”交配(“manual” cross-breeding)が、塊根をもち、促成栽培に適したチコリウム・インチブスL種の品種の雌株のバッチとチコリウム・エンディビアL種の品種の雄株のバッチとの間でおこなわれる。
【0018】
チコリウム・インチブスL種の何れの品種も、ステップa)の方法で使用されることができる。
【0019】
特に、当業者は、水耕法の促成栽培に適する<VIDENA>と呼ばれるチコリウム・インチブスL品種を有利に使用することができる。VIDENA品種は、参照番号<Ref 500>およびアクセス番号925号のthe Collection Nationale du Groupe d’Etudes et de controle des Varietes Et des Semences (GEVES,Domaine de la Boisseliere, 49250, Brion, France)から公に入手できる。
【0020】
ステップa)の方法において、チコリウム・エンディビアLの何れかの品種が使われてもよい。しかし、当業者は、参照番号<Ref 13746>およびアクセス番号693号のthe Collection Nationale du GEVES(Brion,France)から公に入手できる<Grosse Pommant Seule>系を有利に使用できる。
【0021】
ステップa)の結果、F1世代雑種植物のバッチは、先に記載した種間内交配の結果、獲得される。
【0022】
ステップb)の方法において、ステップa)で得られたF1世代雑種植物の自家受粉により、交配は達成される。
【0023】
自家受粉は、有利には、従来、閉鎖された囲いの中および例えば、双翅目の昆虫(fly)のような虫の存在下でおこり、自家受粉は、その時、前記昆虫がF1世代雑種植物の花から得られた雄性配偶子を隣接するF1世代雑種植物の雌性生殖器官まで運び、雄性配偶子が接触することをもって、実行される。
当業者は、ヘイズら(Hayes et al)によって、玉ねぎ用に、記載されたような(植物交配の方法,Mc Grow-Hill Book Company,1955,5章,80−93頁)、従来の、自家受粉技術を有利に利用でき、チコリウム種の植物の自家受粉に直接適用できる。
【0024】
F2種子は、F1世代雑種植物の自家受粉の結果から生じて得られる。
【0025】
ステップb)の方法の結果、F2世代組換え植物が、先に記載したF2種子から得られる。
【0026】
ステップb)の結果、出願人は、かなり早期に、多くのF2世代組換え植物の欠陥および枯死を観察した。多くの他のF2世代植物は、様々な病原細菌または病原糸状菌、特に、エルウィニア・カロトボラ細菌、並びにスクレロチニア・スクレロチオラム菌類およびフィトフィソラ・クリプトゲア菌類による損傷を受けやすいことが判明した。
【0027】
実際に、ステップb)の方法の結果で得られるF2世代植物の根を抜き取ると、種間内交配から生じたものと同様にチコリウム・エンディビアLの根は、チコリウム・インチブスLの根よりも、スクレロチニア・スクレロチオラムによる損傷を受けやすいことを示した。チコリウム・インチブスLの根は、隣接する病気の植物により、次々に、コンタミされた。
【0028】
従って、ステップc)の方法は、芽または根が、ウィルス、細菌または真菌の感染によって、特にエルウィニア・カロトボラ,スクレロチニア・スクレロチオラム,またはさらにフィトフィソラ・クリプトゲアにより、引き起こされた、肉眼で、明らかな変化が何も見られないステップb)の結果で得られたF2世代組換え植物を選択することから構成される。
【0029】
ステップd)において、ステップc)で選択されたF2世代組換え植物の根は、促成栽培のd)の結果、実質的に、細菌または真菌の感染が何もないF2世代の小さな組換え植物体を得るために、特別に適用される古典的でない条件下で促成栽培により栽培された。
【0030】
ステップd)の促成栽培における特定の条件は、期間と温度との技術的特徴の組み合わせからなる。
【0031】
定められた温度条件下で、出願人は、ステップd)の促成栽培が、促成栽培の10から18日の範囲である期間に、おこなわれてもよいことを見出した。その期間は、病原菌、さらに詳細には、細菌または真菌による感染により引き起こされた、実質的に肉眼で明らかな変化が何もみられないままであって、次のステップe)においてクローン化されるために十分に生育した幼植物体を得る両方を許容する。
最も良い結果は、ステップd)の促成栽培の期間が11から17日の範囲であるとき成し遂げられ、さらにより有利な結果は、12から16日の範囲である促成栽培の期間で得られる。
細菌感染または真菌感染によって影響のある変化が何もない組換え幼植物体の最適な成長条件を実行するため、促成栽培ステップの期間は、従来の21日の促成栽培サイクルではなく、好ましくは、13から15日の範囲であり、最も好ましくは、14日である。
【0032】
促成栽培ステップd)は、従来の促成栽培で適用されている18℃から21℃の範囲の温度ではなく、15℃から17℃の範囲、好ましくは15.5℃から16.5℃の範囲、至適温度が16℃の温度で維持される従来の促成栽培の栄養液で実行される。
同時に、室温、すなわち、周囲温度は、栄養液が維持される温度と同じであり、すなわち、15℃から17℃の範囲、有利には、15.5℃から16.5℃および最も好ましくは16℃である。
【0033】
促成栽培ステップd)で使用される、短い期間や特に低い温度は、驚くべきことに、幼植物体が、その後、試験管内でクローン化されるような、満足のいく衛生的な品質の特徴をもつ幼植物体を得ることを許容する。
【0034】
促成栽培ステップd)のその他条件、特に、栄養液成分は、古典的である。これらは、具体的に、Leteinturierらにより記載されている。(L’endive-Guide Pratique. edition du CTIFL, 1991年9月,71頁)
【0035】
好ましくは、本発明の方法により、ステップc)のF2世代雑種植物の選択後、促成栽培ステップd)は、ステップc)で選択される根が、抗菌剤および抗真菌剤の組み合わせを含む消毒液への浸漬によって処理されるステップc1)によって先行される。有利には、当業者は、プロシミドン(SOPRA社により販売されているSumisclex液)は、スクレロチニアの成長を阻害するために、特に60g/hLの最終濃度、およびマンコゼブ(ROHM & HAAS社により販売されているDithane DG)は、フィトフィソラの成長を阻害するために、特に400g/hLの濃度で利用する。
【0036】
前記促成栽培ステップd)が続いて行なわれ、こうして得られた幼チコリーは、非常に多様でF2世代組換え植物の均質性がほとんどなく、母集団で生じた表現型特徴の発現の条件に基づいて、次のクローニングステップe)の前に、有利に、選択される。
【0037】
このようにステップd)の結果で得られた、F2世代幼植物体の母集団は、かなり不均質である。そのようなF2組換え母集団は、ある幼植物体は、それらが親系チコリウム・インチブスLにより多く関係するような表現型特徴をもち、他のものは、それらが親系チコリウム・エンディビアLにより多く関係するような表現型特徴をもつといった、非常に多様な表現型の特徴をもつ幼植物体よりなる。
【0038】
しかしながら、選択後に、促成栽培ステップd)が行なわれるすべてのF2世代組換え幼植物体は、共通に、本発明により達成されるべき目的である、それら植物を促成栽培に適応させるようにする塊根をもつことを共有している。
塊根をもつ組換え特徴は、最初に、親チコリウム・インチブスLのゲノムによって提供された。また、選択されたF2世代組換え幼植物体すべてが、共通に鋸歯のある葉をもっている。鋸歯のある葉をもつ組換え特徴は、最初に、親チコリウム・エンディビアLのゲノムによって提供された。
本発明の方法により得られ、選択されたF2世代組換え植物すべてにより所有される表現型特徴の組み合わせは、一般的に、本発明の後に記載されているステップg)からj)のような付加的なステップの方法で、得られることができる組換え植物と同様に、ステップf)の方法の結果で得られる組換え植物を定義することができる。
【0039】
本発明によるステップb)の方法の結果、早くも得られる世代F2植物は、組換え植物であり、すなわち、チコリウム・インチブスLから由来するDNAとチコリウム・エンディビアLから生じるDNAとの間で複数の組換え事象後、両方の親植物の各々の倍数性と同じ倍数性の組換えられたゲノムをもつ植物である。
したがって本発明によるF2世代植物の組換えられたゲノムは、いくつかのチコリウム・インチブスLではじめに発せられる表現型特徴、およびいくつかのチコリウム・エンディビアLではじめに発せられる表現型特徴の組み合わせを発現する。
【0040】
このような方法による促成栽培ステップd)は、ステップd1)が続いて行なわれ、ここで、ステップd1)は、結果で得られる幼チコリーがクローニングステップe)の前に、下記3つの表現型のクラスによって選択される。
(i)PPI:皿形状である根首に非常に多くの細い葉
(ii)GPI:エンダイブと同様の表象であるが、細く鋸歯のある葉を持つ,および
(iii)TFRおよびSCA:非常に歯牙状の枝のある葉
【0041】
前述した表現型クラス(iii)によるF2世代組換え植物すべてが、葉の主脈に側脈をもっていて、これは、図1の一般的な図で示されているとおりであり、チコリウム・インチブスLではみられない特徴である。
“Barbe de Capucin”(野生チコリー)のようないくつかのエンダイブ遺伝子型では、リム(側葉身)のへりが、浅い鋸歯を示すこと、すなわち、(i)鋸歯の深さと、(ii)鋸歯の先端と葉の主脈の間の長さとの間の比率が0.25を超えない(図1参照)が観察されるが、一方、そのような比率は、本発明によるF2世代組換え植物では、かなり高い。またさらに、Barbe de Capucinのようなエンダイブ遺伝子型では、前記鋸歯は、上側3分の1の葉に存在するだけである。
【0042】
本発明によるステップd)の方法の結果で再生される手法で得られたF2世代組換え植物の3つのクラスは、それらを定義することができるいくつかの表現型特徴の測定法に言及しながら、図1で表示され、そして、それぞれ下記特徴であることが、さらに以下で記載される。
−葉の主脈(1)と葉の側脈(2);
−葉身基部の広さ(3);
−葉の高さ(4)
−鋸歯の深さ(5)と鋸歯の先端と葉の主脈の間の長さ(6);
−第二の鋸歯の存在(7);
【0043】
PPI組換え植物クラスの詳細
−促成栽培の結果、1根につき100超の葉(チコリウム・エンディビアLから生じる組換え特徴)、最大25から30である従来のエンダイブに対して;
−側脈がない;
−非常に細い各葉身基部:従来のエンダイブの最小0.25と比較して、葉身基部の広さ/葉の高さの比率が、0.06から0.10の範囲である;
−リム(側葉身)の鋸歯が深い:鋸歯の深さ/鋸歯の先端から葉の主脈までの長さの比率が、チコリウム・インチブスLのいくつかの遺伝子型の0から0.25の範囲である比率と比較して、0.60から0.85の範囲である;
鋸歯のへりが、第二の鋸歯を含む、または含まない、
−葉脈の色は、白または赤である;
−リム(側葉身)の色は、黄または赤である;
【0044】
GPI組換え植物クラスの詳細
−促成栽培の結果、従来のエンダイブと同様に、1根につき得られる葉が20から35;
−側脈がない;
−リム(側葉身)の鋸歯が葉身基部まで深い:鋸歯の深さ/鋸歯の先端から葉の主脈までの長さの比率が、チコリウム・インチブスLのいくつかの遺伝子型の0から0.25の範囲である比率と比較して、0.60から0.85範囲である;
−鋸歯のへりが、第二の鋸歯を含む、または含まない
−葉脈の色は、白または赤である;
−リム(側葉身)の色は、黄または赤である;
【0045】
TFRおよびSCA組換え植物クラスの詳細
TFR産物クラスの詳細
−促成栽培の結果、従来のエンダイブと同様に、1根につき得られる葉が20から35;
−根元から出ている半分の葉から生じる主脈に対して側脈が2から5;
−リム(側葉身)の鋸歯が深い:鋸歯の深さ/鋸歯の先端から葉の主脈までの長さの比率が、0.60から0.85範囲である;
−鋸歯のへりが、第二の鋸歯を含む、または含まない
−葉脈の色は、白または赤である;
−リム(側葉身)の色は、黄または赤である;
【0046】
SCA産物クラスの詳細
定義は、TFRクラスの組換え植物の定義と同様である。
鋸歯は、浅く、そして第二の鋸歯は、ほとんど存在しない。
TFRに関して、主なる特徴は、側脈が存在することである(いくつかのチコリウム・エンディビアLに対してのみ、発現する特徴であるが、チコリウム・インチブスLに対しては、発現しない特徴)。
【0047】
上記の3つの表現型クラス(i)から(iii)により選択されたF2組換え植物の部分母集団と同様に、F2組換え植物の母集団は、上記以外の表現型特徴の発現において、均質でない。例えば、前記F2組換え植物の部分母集団(i)から(iii)は、それらの間で、結果として幅広い表現型の品種により構成されるが、それらが同じクラスで分類された基準での、前記表現型特徴を共通にもつと理解される。
【0048】
さらに、出願人は、異なるF2植物が選択される表現型特徴を基準とした表現型特徴以外の表現型特徴の発現は、前記継続的世代すべてにわたって、すなわち、前記の部分母集団(i)から(iii)で定義される自家受粉を介することをふくむ継続的な生殖サイクルを通して、安定ではなかったことを観察することができた。
【0049】
ステップe)の方法で、F2世代組換え植物集団、または前記定義された表現型クラス(i)から(iii)の部分母集団でさえも、クローン化され、それによって再生された芽が得られた。
【0050】
促成栽培後、F2組換え植物のクローニングおよび表現型選択、並びに必要な場合に行なわれる表現型選択は、例えば、“ER”培地のような再生された芽に適する培地上で、促成栽培d)の結果で得られる幼チコリーの葉脈の断片から、従来のように行なわれ、必要な場合は、表現型クラス(i)から(iii)で予め選択されたF2植物についても行なわれる。例として、Margaraにより記載されている技術(Margara J, 1989, Bases de la multiplication vegetative, INRA ed)がある。
好ましくは、葉脈の断片は、最適な培地上で芽を再生することを目的として、培養される前に、次亜塩素酸カルシウムで殺菌される。
【0051】
F2組換え植物のクローニングステップは、必要な場合は、上記表現型クラス(i)から(iii)により、それらが任意に選択された後に、病原細菌や病原糸状菌による促成栽培の結果で生じる幼植物体に起こりうる感染の予防的制御を可能にする。
実際に、出願人は、さらに前記促成栽培ステップが、抗微生物剤および抗菌剤の組み合わせを含む消毒液を使用する根の処理を先におこなったときでさえも、先に記載したとおり、前記促成ステップd)の結果で得られる幼チコリーが、スクレロチニア スクレロチオラムによる感染により、実質的に損傷をうけやすいことを観察することができた。
【0052】
クローニングステップe)、より好ましくは、それが、芽を再生することを目的とした培地での培養前に、葉脈の断片を殺菌することにより構成されるとき、クローン化される植物材料の衛生的な状態をかなり向上させることができる。
【0053】
クローニングステップe)は、F2世代雑種幼植物体が、獲得され、クローン化され、そして移植されるまで、従来の芽を移植する条件で、適切な培地で、このように再生された芽を移植するステップが次に行なわれる。
移植ステップf)は、それ自身、従来技術である、例えば、最終濃度0.2mg/lのAIAが豊富である<M4>特有の培地(Murashige TおよびSkoog F, 1962, Physiol. Plant., Vol. 15 : 473-497)のような任意の当業界の技術を用いて行なわれることができる。
【0054】
例えば、当業者は、有利に、本記載の実施例で説明されるような移植技術を使用してもよい。
【0055】
ステップf)の結果で得られるように、クローン化され、移植されるF2組換え幼植物体は、実施例で記載されるように、それから順化され、それから根付けされ、そして温室または土壌に置かれる。
【0056】
本発明の方法のステップf)の方法の最終産物に作られる、クローン化され、移植されたF2組換え植物は、前記表現型クラス(i)から(iii)のそれらの表現型特徴によって、最初に選択され、クローン化および移植されたF2組換え植物の部分母集団を含み、それらの表現型特徴の発現に関して、相対的にかなり不均質な母集団、または3つのかなり不均質な部分母集団を形成する。
例えば、本発明による方法の実施の具体的な説明によって、実施例で特定されるように、クローン化され、移植されたF2組換え植物、この方法のステップf)の方法の最終産物は、以下のように作られる:
−10の(i)PPIサブクラスのF2組換え植物:皿形状である根首に非常に多くの細い葉を共通にもっているが、非常に多くの他の表現型の特徴との間で異なる
−8つの(ii)GPI表現型サブクラスのF2組換え植物:細く鋸歯のある葉を持つエンダイブと同様の表象を共通にもっているが、非常に多くの他の表現型の特徴との間で異なる
−4つの(iii)SCA表現型サブクラスに属するF2組換え植物:枝のある葉を共通にもっているが、非常に多くの他の表現型の特徴との間で異なる
−3つの(iii)TFR表現型サブクラスのF2組換え植物:非常に歯牙状の枝のある葉を共通にもっているが、非常に多い他の表現型の特徴との間で異なる。
また、さらに、出願人は、本発明によるステップf)の方法の結果で得られた25のF2組換え植物のうち、それらの19だけが、自家受粉後に種子を形成し、このことは、ステップf)の結果で得られた19のうち、6つのF2組換え植物が高い自家不和合性であることを意味している。
【0057】
本発明によるチコリウム種の雑種植物を得るための方法は、さらに付加的な下記ステップを含んでいてもよい:
g)ステップf)の結果で得られた小さな組換え植物体を土壌で栽培する
h)ステップg)の結果で得られるようなF2組換え植物を自家受粉し、土壌で栽培することにより、F3世代組換え植物を得る。
【0058】
F3組換え植物の母集団は、塊根を作る、すなわち、促成栽培に適する根を生育する、共通の機能によって、表現型の観点から特徴付けされる。
【0059】
有利には、先に記載したステップh)で得られるF3世代組換え植物は、もし、ステップd)の方法で実施される促成栽培条件と同じ促成栽培条件下であることが可能であれば、すなわち、10から18日間、15℃から17℃の栄養液温度であり、好ましくは、栄養液温度と室温が同じであることが望ましい、促成栽培ステップ(i)を受ける。
【0060】
有利には、先に記載した促成栽培ステップi)は、F3世代組換え幼チコリーのクローニングステップj)が続いて行なわれ、前記クローニングステップは、促成栽培の結果で生じるF3世代幼植物体の葉脈の断片または端芽から無作為に行なわれる。
【0061】
1番目の有利な代替方法としてのクローニングステップj)は、促成栽培ステップ(i)の結果で得られる幼植物体の葉脈の断片のクローニングステップと、それに続く、F4世代組換え幼植物体の再生ステップよりなる。
【0062】
2番目の有利な代替方法としてのクローニングステップj)は、促成栽培ステップ(i)の結果で得られる幼植物体の端芽のクローニングおよびF4世代組換え幼植物体の再生ステップよりなる。
【0063】
ステップd)およびe)の方法に関して、先に記載したステップi)およびj)は、植物材料の衛生的な状態の制御ができ、クローニングに使用する植物材料を“消毒する”可能性とともに、促成栽培ステップの期間および温度の技術的特徴の組み合わせを可能にする。例えば、2.5重量%の最終濃度で亜硝酸カルシウムを使用する可能性は、細菌または真菌により、前記組換え植物材料に起こりうる感染を制限する効果、さらに完全に阻害する効果さえ持つことができる。
【0064】
好ましくは、先に記載したクローニングステップj)の達成の1番目の代替方法によると、F4世代組換え幼植物体の発生は、実施例に記載されるように、“NF”特異的な培地で幼植物体の葉脈の断片を栽培することにより行なわれる。
【0065】
好ましくは、先に記載したクローニングステップj)の態様に従い、F4世代組換え幼植物体を再生する、ステップk)の方法は、実施例に記載されるように、M4特異的な培地で端芽を培養することにより行なわれる。
【0066】
高い表現型多様性を維持するにもかかわらず、先に記載したステップj)の結果で得られるF4世代組換え植物は、優れた衛生的な品質をもつ。さらに好ましくは、それらは、スクレロチニア・スクレロチオラム、フィトフィソラ、またはエルウィニア・カロトボラによる感染がない。
【0067】
本明細書で定義される、異なる表現型サブクラス(i)から(iv)は、F4世代組換え植物の各々の表現型サブクラスで生じる。
【0068】
F4世代組換え植物は、Witloof型のチコリウム・インチブスLのために従来的に使用される促成栽培条件と同様の促成栽培条件下によって、容易に栽培することができることが本発明により示された。
本発明による方法の効力は、それによって、塊根のある根をもち、今までに知られていないオリジナルの植物の表象をもつ最終産物の植物材料を得るために促成栽培が適用できるチコリウム型の組換え植物を獲得するために示された。特に、最終産物の植物材料は下記植物の表象をもつ:
−深く鋸歯のある葉をもつチコリーで、エンダイブのように見えない、また葉が縮れていない。
−エンダイブ(チコリウム・インチブスL)生産者によって、従来的に使用される生産および促成栽培プロトコールで処理することができるエンダイブのような塊根を持つ。
【0069】
さらに、従来の自家受粉による方法の結果により得られる各F4世代植物の何回か継続した再生産サイクルにより、本発明の方法により得られるF4世代組換え植物の表現型特徴を固定することが期待される。その固定は、Fn世代組換え植物(nは、少なくとも6と等しい整数である)から得られる組換え植物のいくつかが安定に均質な植物品種特性を発揮するために、遺伝子型または遺伝子型の組み合わせの結果で生じる特徴の組み合わせを安定に発現させることができる組換え植物の系統を得るという観点からのものである。
【0070】
本発明のもうひとつの目的は、本明細書で先に定義されたような方法を使用することで得られる組換え植物よりなる。
前記組換え植物は、塊根をもつチコリウム・インチブスL種の品種由来の雌株とチコリウム・エンディビアL種の品種由来の雄株との間の最初の交配の結果で生じることを特徴とし、また下記4つの表現型クラスのひとつをもつことを特徴とする。:
(i)PPI:皿形状である根首に非常に多くの細い葉
(ii)GPI:エンダイブと同様の表象であるが、細く鋸歯のある葉を持つ,および
(iii)TFRおよびSCA:非常に歯牙状の枝のある葉
より好ましくは、下記1)〜4)を含む本発明による組換え植物である:
1)ステップf)の方法の結果で得られるF2世代組換え植物
2)ステップh)の方法の結果で得られるF3世代組換え植物
3)ステップi)の結果で得られるF3世代組換え植物;
4)ステップf)の方法の結果で得られるF4世代組換え植物
【0071】
本発明は、図および実施例により、さらに説明される。
【0072】
実施例
実施例1:本発明のステップa)からf)の方法によるF2世代植物の獲得
A.材料と方法
A.1.培地
実施例で使用した<NF>および<M4>培地の、質的および量的な組成は、以下の表1および表2に、それぞれ示される。
【0073】
【表1】

*イノシトール-フリーGamborg ビタミン
【0074】
【表2】

*イノシトール-フリー MS ビタミン
【0075】
A.2.試験管内でのチコリー葉脈由来の組換え幼植物体のクローニング方法
1)サンプリング
−内側のチコリー葉を選択する;
−葉脈をとる:
−そのようにした葉を滅菌容器内におく;
2)殺菌
殺菌ステップは、最終濃度が2.5%の次亜塩素酸カルシウム+数滴のTween(R)溶液で、10分間で行なわれる。それから、3連続の洗浄ステップが、層流フード下、滅菌された水を使用して実施される。
3)培養−再生
−葉脈を滅菌された吸取紙上におく;
−約1cm2の面で葉脈を切り取る;
−適切なガラスチューブ中のNF培地上で培養する
−下記温度および光度条件下、培養室中に上記チューブをおく:
−室温が25℃で、16時間日中と同等な光度;
−室温が20℃で、16時間夜間の暗条件。
4)根付け
およそ3週間のNF培地での培養の後、ひとたび再生された芽がよく発達すれば、芽は個々に区分され、各幼植物体は、根付けするために、M4培地のチューブ中に移植される。
−下記温度および光度条件下、培養室中に上記チューブをおく:
−室温が25℃で、16時間日中と同等な光度;
−室温が20℃で、16時間夜間の暗条件。
5)順化
根が発生するとすぐに、前記幼植物体は、20℃で蒸した、直径4cmの蜂の巣状のプレート中の(袋の中の)堆肥で順化される。
【0076】
B.本発明によるチコリウム種のF2世代の組換え植物を得るための方法
a)F1雑種を得るために、温室で、チコリウム インチブス <1089> 系とチコリウム エンダイブ<Grosse pommant seule>系の手作業での交配をする。
種蒔きし、30のF1植物を3葉段階まで栽培し、続いて、薹立ちできるようにするために、5℃で8週間の春化処理をした。
b)薹立ちおよびF2種子を得るために、双翅目の昆虫の存在下で(あたためられた温室で)自家受粉。
c)土壌に、20,000のF2種子を蒔く。
それから、明らかに病気である植物または異常な植物(付随的な発芽,根の破裂・・)を取り除くため根を抜き取る。
それから、10,000の選択された根(60g/hlのプロシミドンおよび400g/hlのマンコゼブ)の処理。
促成栽培を待つ間、0℃での冷蔵庫の中で根を貯蔵する。
d)16℃で短い14日促成栽培をする。
そのような促成栽培の結果、ほぼすべての系(system)が混入された。
したがって、生存植物の根をそれぞれの系で再生することが不可能。
e)葉部の観察後、25の植物が、下記4つの異なる表象の基準で選択された:
PPI:10選択
SCA:4選択
TFR:3選択
GPI:8選択
そのように選択されたものを再生するために、萎れた葉脈の断片(1cm2)は、次亜塩素酸カルシウムを使って殺菌され、NF培地上、試験管内で培養された。1選択当たり24断片の培養。
f)3週間後、感染された断片除去後、再生された芽は、根付けするために、M4培地上に移植された。
そのようなステップのあとに、20℃で蒸される順化ステップが行なわれる。
【0077】
実施例2:ステップg)およびh)の方法による本発明に従ったF3世代植物の獲得
材料および方法は、別に定められない限り、実施例1に記載のとおりである。
g)5℃で8週間の春化処理後、植物の生育は、あたためられ温室でおこなわれる。
h)植物は、そのなかで双翅目の昆虫を置くためのクロススリーブ下で、個々に、4月中に花が咲き、自家受粉を達成した。
概して、19選択されたものがF3種子となった。その他植物は、不和合性であった。
【0078】
ステップh)で得られるF3世代組換え植物の処理および順化
F3子孫の種蒔きは、土壌でおこなわれる。
1)土壌で成長する植物を観察したとき、前記TFR表象は、かなり欠陥(葉の乾燥・・)があることが見出された。SCA選択したものは、土壌段階で早くも、スクレロチニアが攻撃するのが見られた。
短い促成栽培操作が、摂取材料を担った根のバッチ(複数)で、再び行なわれた。
根を抜き取る。
選択された根の処理(60g/hlプロシミドンおよび400g/hlのマンコゼブ)の処理。
促成栽培を待機する間、0℃での冷蔵庫の中で根を貯蔵する。
2)12月中に、根は16℃で2週間、再び促成栽培された。
3)極めて少ない植物が残された:
PPI:1選択
GPI:2選択
SCA:3選択
これら選択されたものを再生するために、萎れた葉脈の断片(1cm2)は、次亜塩素酸カルシウムを使って殺菌され、NF培地上、試験管内で培養された。1選択当たり24断片の培養。
4)3週間後、感染された断片の除去後、再生された芽は、根付けするために、M4培地上に移植された。
そのようなステップの後に、順化ステップが行なわれた。
【0079】
実施例3:ステップi)およびj)の方法による、本発明のF4世代植物の獲得
材料と方法は、他に定められていない限り、実施例1に記載したとおりである。
a)5℃で8週間の春化処理後、植物の生育は、あたためられた温室でおこなわれる。植物は、そのなかで双翅目の昆虫を置くためのクロススリーブ下で、個々に1997年4月中に花が咲き、自家受粉を達成した。
b)その次に、土壌にF4世代の種蒔きをした。
そのようなF4段階の結果で生じた植物は、土壌で欠陥は見られず、また採取された根の促成栽培は、従来の示されている生産スキーム(19℃で3週間)で行なわれることができた。そのF2およびF3世代の慎重な対応を要する期間は、終了した。
c)促成栽培の間に、選択された子孫は、促成栽培によい機能、および促成栽培されることができることにより、多様なチコリーの開始点となるよい表現型の特徴を示した。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】図1は、本発明によるチコリウム型組換え植物の萎れた葉の理論的な図である。その理論的な図は、本発明の組換え植物、またはそれのあるサブ-タイプの組換え植物を定義するために用いられる様々な表現型の特徴を示している。
【図2】図2は、PPI表現型サブ-クラスの皿型状である根首に非常に多くの細い葉をもつF4世代組換え植物の写真である。
【図3】図3は、SCA表現型サブ-クラスの枝のある葉をもつF4世代組換え植物の写真である。
【図4】図4は、TFR表現型サブ-クラスを表すかなり歯牙状の枝のある葉をもつF4世代組換え植物の写真である。
【図5】図5は、GPI表現型サブ-クラスを表す細く、鋸歯のある葉をもつエンダイブと同様の表象をもつF4世代組換え植物の写真である。
【図6】図6は、4つの本発明によるF4世代GPI型のチコリウム種の組換え植物(図の上方に、縦方向に配置された)と、チコリウム・インチブスL種の植物(図の底方に、水平に配置された)、またはエンダイブとよばれる、との間の比較を示す図である。
【図7】図7は、本発明によるF4世代GPI型のチコリウム種の組換え植物の葉の鋸歯を詳細に表す写真である。
【図8】図8は、促成栽培に適した、本発明によるF4世代GPI型のチコリウム種の組換え植物を示す写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記のa)〜f)のステップよりなることで特徴づけられ、塊根をもつチコリウム(Cichorium)型の組換え植物を得るための方法;
a)塊根をもつチコリウム・インチブスL(Cichorium intybus L)種の品種の雌株のバッチおよびチコリウム・エンディビアL(Cichorium endivia L)種の品種の雄株のバッチとの間で交配し、前記交配の結果生じるF1世代雑種植物の母集団を得て、
b)ステップa)から生じるF1世代雑種植物を自家受粉させ、前記交配から得られるF2世代組換え植物を得て、
c)芽または根が、ウィルス、細菌または真菌の感染、特にエルウィニア・カロトボラ(Erwinia carotovora),スクレロチニア・スクレロチオラム(Sclerotinia Sclerotiorum),またはさらにフィトフィソラ・クリプトゲア(Phytophtora cryptogea)により引き起こされた明らかな変化を何ももっていないF2世代組換え植物を選択し、
d)ステップc)で選択されたF2世代組換え植物は、10から18日間、下記の促成栽培条件下で促成栽培され、
−栄養液温度:15℃から17℃
−室温:15から17℃
e)ステップd)の結果で得られたF2植物をクローニングし、再生された芽を得て、
f)組換え幼植物体が得られるまで適切な培地に再生された芽を移植する。
【請求項2】
前記促成栽培ステップd)は、前記クローニングステップe)の前に、前記結果で得られる幼チコリーが、下記3つの表現型のクラスにより、選択されるステップd1)が続いておこなわれることを特徴とする請求項1に記載の方法;
(i)PPI:皿形状である根首(a plate-shaped root neck)に非常に多くの細い葉、
(ii)GPI:エンダイブと同様の表象であるが、細くて鋸歯のある葉を持つ、および、
(iii)TFRおよびSCA:非常に歯牙状の枝のある葉。
【請求項3】
下記の付加的なステップを備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のいずれかひとつによる方法;
g)前記ステップf)の結果で得られる小さな組換え植物を土壌で栽培し、
h)ステップg)で得られるF2組換え植物を自家受粉させ、土壌で栽培することにより、F3世代組換え植物を得る。
【請求項4】
ステップh)で得られる前記F3世代組換え植物が、10から18日間、下記の促成栽培条件:
−栄養液温度:15℃から17℃
−室温:15℃から17℃
である促成栽培ステップi)を受けることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記促成栽培ステップi)の結果で得られる前記組換え幼チコリーのクローニングステップj)をさらに備えることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記クローニングステップj)が、促成栽培ステップi)の結果で得られる幼植物体の葉脈の断片をクローニングし、前記F4世代組換え幼植物体を再生することを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記クローニングステップj)が、前記促成栽培ステップi)の結果で得られる前記幼植物体の端芽(end buds)をクローニングし、前記F4世代組換え幼植物体を再生することを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項8】
(i)塊根および(ii)鋸歯のある葉を持つことを特徴とする請求項1から7に記載のいずれかの方法により得られる組換え植物。
【請求項9】
組換え植物がクラスPPIに属し、下記の共通の表現型の特徴:
−前記促成栽培の結果、1根につき100超の葉;
−側脈(secondary axis)がない;
−非常に細い各葉身基部(leaf basis):葉身基部の広さ/葉の高さの比率が、0.06から0.10の範囲である;
−リム(側葉身)(limb)の鋸歯(indentation)が深い:鋸歯の深さ/鋸歯の先端と葉の主脈(the leaf axis)の間の長さの比率が、0.60から0.85の範囲である;
−前記鋸歯のへりが、第二の鋸歯(secondary serrations)を含むまたは含まない、
−前記葉脈の色は、白または赤である;
−前記リム(側葉身)の色は、黄または赤である;
をもつことを特徴とする請求項8に記載の組換え植物。
【請求項10】
組換え植物がクラスGPIに属し、下記の共通の表現型の特徴:
−前記促成栽培の結果、1根につき得られる葉が20から35
−側脈がない
−前記リム(側葉身)の鋸歯が葉身基部まで深い:鋸歯の深さ/鋸歯の先端と葉の主脈の間の長さの比率が、0.60から0.85範囲である
−前記鋸歯のへりが、第二の鋸歯を含むまたは含まない、
−前記葉脈の色は、白または赤である;
−前記リム(側葉身)の色は、黄または赤である;
をもつことを特徴とする請求項8に記載の組換え植物。
【請求項11】
組換え植物がクラスTFRまたはSCAに属し、下記の共通の表現型の特徴:
−前記促成栽培の結果、1根につき得られる葉が20から35;
−根元から出ている半分の葉から生じる主脈に対して側脈が2から5;
−前記リム(側葉身)の鋸歯が深い:鋸歯の深さ/鋸歯の先端と葉の主脈の間の長さの比率が、0.60から0.85範囲である;
−前記鋸歯のへりが、第二の鋸歯を含むまたは含まない、
−前記葉脈の色は、白または赤である;
−前記リム(側葉身)の色は、黄または赤である;
をもつことを特徴とする請求項8に記載の組換え植物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2006−524500(P2006−524500A)
【公表日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505879(P2006−505879)
【出願日】平成16年4月23日(2004.4.23)
【国際出願番号】PCT/FR2004/050172
【国際公開番号】WO2004/095914
【国際公開日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【出願人】(500077373)
【氏名又は名称原語表記】VILMORIN
【Fターム(参考)】