説明

チタニア含有押出し品

チタニア、カルボキシアルキルセルロース、およびヒドロキシアルキルセルロースを含む押出し品が開示される。この押出し品は、押出し機から出るときに滑らかな外表面を有する。押出し加工性が改善される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チタニア、カルボキシアルキルセルロースおよびヒドロキシアルキルセルロースを含む押出し品に関する。
【背景技術】
【0002】
チタニア(すなわち、二酸化チタン)は、よく知られた白色の無機顔料である。顔料としての他に、チタニアは他の用途も有する。例えば、チタニアは触媒または触媒の担体として用いることができる(Stiles,A.B.,“Supports Other Than Alumina(アルミナ以外の支持体)”Catalyst Supports and Supported Catalysts(1987)Butterworths Publishers,pp.57−85)。市販用としては、チタニアは細かい粉末として製造される。触媒または触媒の担体として用いるために、チタニアは、場合により球状物、タブレット、押出し物、その他同種類のものなどの粒子に成形する必要がある。チタニアの押出し品を製造するための方法を開発することに対する多くの努力にもかかわらず、それらの多くは、チタニアの加工性の低さ故に、工業的な製造のためには適切なものではない。従って、チタニアの押出し品、特にこれを触媒の担体として製造するための新たなプロセスを開発する継続した必要性が存在する(例えば、2009年12月16日に提出された同時係属出願の整理番号01−2768A(出願番号はまだ付与されていない)を参照されたい)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Stiles,A.B.,“Supports Other Than Alumina(アルミナ以外の支持体)”Catalyst Supports and Supported Catalysts(1987)Butterworths Publishers,pp.57−85
【発明の概要】
【0004】
本発明は、チタニア、カルボキシアルキルセルロース、およびヒドロキシアルキルセルロースを含む押出し品、および(a)チタニア、カルボキシアルキルセルロース、およびヒドロキシアルキルセルロースを混合し、それによりドウ(dough)を形成すること、および(b)ドウを押出し、それにより押出し品を製造することを含む、押出し品を製造するための方法である。この方法は改善された加工性を有し、そして滑らかな外表面を有する押出し品が製造される。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本発明は、チタニアを含む押出し品である。適当なチタニアは、ルチル、アナターゼ、板チタン石(ブローカイト:brookite)、またはこれらの混合物とすることができる。チタニアは、クロリド法、スルフェート法、熱水法、または四塩化チタンの火炎加水分解法によって製造することができる。適当なチタニアの例としては、Millennium Inorganic Chemicals社のTiONA(登録商標)、DT−51、DT−52、DT−51D、DT−40、およびDT−20がある。
【0006】
この押出し品はカルボキシアルキルセルロースを含む。セルロースは、スキームIで示すように、式(C10の有機化合物であり、β−1,4−結合の直鎖からなる多糖である(ここで、n=50〜20000)。セルロースは緑色植物の一次細胞膜の構造成分である。セルロースは多くの誘導体に転化することができる。
【0007】
【化1】

【0008】
カルボキシアルキルセルロースは、スキームIIで示すように、セルロースの主鎖を構成するグルコピラノースモノマーのヒドロキシル基の幾つかに結合したカルボキシアルキル基を有するセルロースの誘導体である(ここで、R=H、カルボキシアルキルであり、m=50〜20000である)。それはしばしば、そのナトリウム塩であるナトリウムカルボキシアルキルセルロースとして用いられる。カルボキシアルキルセルロースの機能特性は、セルロース構造の置換の程度(すなわち、どれだけ多くのヒドロキシル基が置換反応に加わっているか)、さらにはセルロースの主鎖の長さ、および置換基の集合の程度に依存する。セルロース誘導体におけるグルコースの単位当りの置換ヒドロキシル基の平均の数が、置換度(DS)とされる。完全な置換は3のDSを与えるだろう。好ましくは、カルボキシメチルセルロースが用いられる。好ましいカルボキシメチルセルロースは0.5〜0.9の置換度を有する(D.B.Braun and M.R.Rosen,Rheology Modifiers Handbook: Practical Use and Applications(2000) William Andrew Publishing,pp.109−131)。カルボキシメチルセルロースは押出し助剤として知られている(米国特許5884138号および6709570号、米国特許出願公開2008/0146721号)。
【0009】
【化2】

【0010】
この押出し品はヒドロキシアルキルセルロースも含んでいる。ヒドロキシアルキルセルロースはセルロースの誘導体であり、これにおいては、反復グルコース単位におけるヒドロキシル基の幾つかがヒドロキシアルキル化されている。ヒドロキシアルキルセルロースにおけるヒドロキシル基の幾つかは、アルキル化されていてもよい。ヒドロキシアルキルセルロースの典型的な構造はスキームIIで示され、ここで、R=H、アルキル、ヒドロキシアルキルであり、m=50〜20000である。好ましくは、ヒドロキシアルキル基は2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、およびこれらの混合物からなる群から選択される。より好ましくは、ヒドロキシアルキルセルロースはアルキル化されている。最も好ましくは、ヒドロキシアルキルセルロースは、メチル2−ヒドロキシエチルセルロース、メチル2−ヒドロキシプロピルセルロース、およびこれらの混合物からなる群から選択される。好ましくは、メチルの置換度は1〜2、より好ましくは1.5〜1.8であり、そして2−ヒドロキシエチルまたは2−ヒドロキシプロピルのモル置換度は0.1〜0.3である。1.4のメチル置換度と0.21のヒドロキシプロピルのモル置換度を有する、The Dow Chemical Companyの製品であるMETHOCEL(商標)K4Mセルロース誘導体が、好ましいものとして用いられる。ヒドロキシアルキルセルロースは押出し助剤として知られている(米国特許5884138号、6316383号、および6709570号)。
【0011】
この押出し品はチタニア以外の無機酸化物、例えばシリカ、アルミナ、ジルコニア、マグネシア、シリカ−アルミナ、シリカ−マグネシア、ゼオライト、クレー、その他同種類のもの、およびこれらの混合物を含んでいてもよい。適当なシリカとしては、例えばシリカゲル、沈降シリカ、およびヒュームドシリカがある。チタニアに対する他の無機酸化物の重量比は、好ましくは50:50未満、より好ましくは20:80未満、最も好ましくは10:90未満である。
【0012】
チタニアに対するカルボキシアルキルセルロースの重量比は、好ましくは0.2:100から5:100まで、より好ましくは0.5:100から4:100まで、最も好ましくは1:100から3:100までである。チタニアに対するヒドロキシアルキルセルロースの重量比は、好ましくは0.1:100から2.5:100まで、より好ましくは0.2:100から2:100まで、最も好ましくは0.5:100から1:100までである。カルボキシアルキルセルロース対ヒドロキシアルキルセルロースの重量比は、好ましくは5:1から1:2まで、より好ましくは3:1から1:1までである。
【0013】
押出し品を製造するために、チタニア、カルボキシアルキルセルロース、およびヒドロキシアルキルセルロースは十分に混合されたドウにされる。必要であれば、溶剤を用いてもよい。適当な溶剤としては、水、アルコール、エーテル、エステル、アミド、芳香族化合物、ハロゲン化化合物、その他同種類のもの、およびこれらの混合物がある。好ましい溶剤は水、アルコール、およびこれらの混合物である。適当なアルコールとしては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、tert−ブタノール、およびベンジルアルコールがある。
【0014】
チタニアの供給源としてチタニアゾルを用いてもよい。チタニアゾルは、液体中にあるチタニア粒子のコロイド懸濁液である。チタニアゾルは、チタニアの先駆物質を加水分解することによって調製することができる。適当なチタニアの先駆物質としては、チタニウム塩、ハロゲン化チタニウム、チタニウムアルコキシド、オキシハロゲン化チタニウム、その他同種類のものがある。
【0015】
本発明の押出し品は押出しによって製造され、これは、ドウがダイまたはオリフィス(孔口)から押出されて、一定の断面を有する長尺の物体を形成する加工処理である。押出しは通常、プラスチックや食品を加工処理したり、吸着剤、触媒、または触媒の担体を形成するために用いられる。任意の慣用の押出し機を用いてもよい。適当なスクリュー式の押出し機は「Particle Size Enlargement(粒子サイズの増大)」 Handbook of Powder Technology,vol.1(1980)pp.112−22に記載されている。
【0016】
カルボキシアルキルセルロースとヒドロキシアルキルセルロースは押出し助剤として用いられる。押出し助剤は混合、つき混ぜ、および押出しの操作に役立ち、そして圧潰強度、表面積、細孔サイズ、または細孔容積のような、押出し品の機械的および/または物理的性質を改善するだろう。チタニア、カルボキシアルキルセルロースおよびヒドロキシアルキルセルロースを含む押出し品は滑らかな外表面を有する。それらは、成形、乾燥、および焼成される間に互いに粘着しにくく、このことは大規模生産に適している。さらに、カルボキシアルキルセルロースとヒドロキシアルキルセルロースの組み合わせは「羽状化(feathering)」を最小限にする。「羽状化」という用語は、押出し品が、滑らかな外表面をもつのではなく、その表面で亀裂を呈し、そこで押出し品の小さな薄片すなわち「羽状体」が表面から分離することを意味する。「羽状化」によって貴重な材料の損失が生じるだけでなく、押出し品の物理的強度も損なわれがちとなる。
【0017】
押出し品は他の押出し助剤を含んでいてもよく、例えば、アルキルアミン、カルボン酸、アルキルアンモニウム化合物、アミノアルコール、澱粉、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(アミノ酸)、ポリエーテル、ポリ(テトラヒドロフラン)、金属カルボキシレート、その他同種類のもの、およびこれらの混合物を含んでいてもよい。好ましいポリ(アルキレンオキシド)はポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド)、またはエチレンオキシドとプロピレンオキシドのコポリマーである。有機押出し助剤は通常は焼成によって除去される。
【0018】
押出し品は一般に、成形された後に乾燥される。乾燥の操作によって一般に、押出し品から溶剤の大部分(例えば90%以上)が除去される。乾燥の操作は、大気圧または減圧下で30〜200℃において行なうことができる。乾燥は空気中または不活性雰囲気中で生じるだろう。場合により、押出し品が割れるか、あるいは弱くならないように、乾燥温度を緩やかに上昇させるのが好ましい。
【0019】
本発明は焼成された押出し品を含む。好ましくは、焼成は酸素を含有するガス中で行われ、それにより押出し品の中に含まれる有機物質(例えば残留溶剤や押出し助剤)を焼き飛ばす。焼成は400〜1000℃、より好ましくは450〜800℃、最も好ましくは650〜750℃において行なうことができる。場合により、押出し品を最初に不活性ガス(例えば窒素、ヘリウム)中で焼成することによって押出し品の中に含まれる有機化合物を熱分解し、次いで酸素含有ガス中で有機物質を焼き飛ばすのが有益である。一般に、焼成された後の焼成押出し品は0.5重量%未満の炭素を含む。好ましくは、それは0.1重量%未満の炭素を含む。
【0020】
さらに本発明は、(a)チタニア、カルボキシアルキルセルロース、およびヒドロキシアルキルセルロースを混合し、それによりドウを形成すること、および(b)ドウを押出し、それにより押出し品を製造することを含む、押出し品の製造方法を含む。その工程は前の部分で詳細に説明されている。
【実施例】
【0021】
実施例1
DT−51チタニア(2500g)、高純度のWALOCEL(商標)Cナトリウムカルボキシメチルセルロース(The Dow Chemical Company、52.5g)、ポリ(エチレンオキシド)(MW=100000、35g)、および2−ヒドロキシプロピルセルロース(METHOCEL(商標)K4M、25g)を、アイリッヒ(Eirich)ミキサーの中で5分間混合した。水(1005g)、水酸化アンモニウム水溶液(14.8M、100g)、およびベンジルアルコール(17.5g)をミキサーの中に加えた。それらを「低速度」の設定で5分間混合し、次いで、「高速度」の設定で10分間混合した。製造したドウは、1/8インチの直径を有する25個の穴のあるダイ前面を備えたボノ(Bonnot)2インチ押出し機(The Bonnot Company)のホッパーの中に置いた。約0.25kg/分の速度で押出しを行った。製造した押出し品は滑らかな外表面を有し、相互の粘着の発生は最小限となった。羽状化はほとんど認められなかった。
【0022】
押出し品を収集トレーの上に1インチの深さに積み重ね、そして空気中で80℃において12時間乾燥し、次いで空気中で焼成した。焼成温度を室温から500℃まで2℃/分の速度で上げ、500℃で2時間保持し、500℃から700℃まで10℃/分の速度で上げ、700℃に3時間保持し、次いで室温まで下げた。
【0023】
焼成したチタニアの押出し品の幾つかの物理的性質を表1に示す。焼成したチタニアの押出し品の圧潰強度は、チャテロン(Chatillon)圧潰強度分析器(モデルDPP50)を用いて測定した。25回の測定で破損するのに要した力を平均して、報告した値が得られた。40gの焼成した押出し品を100mLのメスシリンダー(1インチの呼称外径)の中に置くことによって、かさ密度を測定した。見掛けの容積が変化しなくなるまでメスシリンダーを軽くたたき、次いで、この値をかさ密度を計算するための質量に分割した。第二のメスシリンダーの中で50mLの水にペレットを加え、次いで全ての空隙が充填されるまで軽くたたくことによって空隙率を測定した。水の全容積から最終的な水の高さを引き算し、そしてペレットを個々に取り出すことによって、水が占める空隙容積を決定した。篩バスケットを通して混合物を注ぎ、過剰な水を除去するために振り動かし、次いで湿った押出し品を秤量することによって、トータルの細孔容積を決定した。最初の40gの押出し品を上回る質量の増大量を水の密度で割った値を、細孔容積の測定値とした。
【0024】
比較例2
表1に示す配合を用いて実施例1の手順を繰り返した。押出し品は押出し機のダイ前面を出るときに垂れる状態であり、また収集トレーの上に置くときに互いに粘着する傾向があった。
【0025】
比較例3
表1に示す配合を用いて実施例1の手順が繰り返した。押出し品は押出し機のダイ前面を出るときに垂れる状態であり、また収集トレーの上に置くときに互いに粘着する傾向があった。
【0026】
【表1】

【0027】
比較例4
実施例1の手順を繰り返したが、ただし、配合は次のようであった:DT−51(2000g)、TAMOL(商標)1124分散剤(The Dow Chemical Companyからの親水性高分子電解質コポリマー、32.6g)、METHOCEL(商標)K4M(54.6g)、乳酸(6g)、水(950g)、水酸化アンモニウム水溶液(14.8M、70g)。
【0028】
比較例5
比較例4の手順を繰り返したが、ただし、アルミナ(DISPERAL(登録商標)P2、Sasolから入手できる、20g)を用いた。押出し品は押出し機のダイ前面を出るときに垂れる状態であり、また金属トレーの上に置くときに互いに粘着する傾向があった。焼成した押出し品は1重量%のアルミナと99重量%のチタニアを含んでいた。
【0029】
【表2】

【0030】
実施例6
実施例1の手順を繰り返したが、ただし、配合は次のようであった:DT−51(300g)、TAMOL(商標)1124分散剤(5g)、WALOCEL(商標)Cセルロース(6g)、METHOCEL(商標)K4Mセルロース(6g)、乳酸(4.5g)、水(155g)、および水酸化アンモニウム水溶液(14.8M、11g)。押出し品は滑らかな外表面を有していた。最少限度の羽状化が認められた。ほとんどの押出し品が、他のものに粘着することはなかった。
【0031】
比較例7
実施例6の手順を繰り返したが、ただし、配合は表3に示す通りであった。押出し品はダイから出ると同時に崩れた。それらは収集トレーの上で互いに粘着した。
【0032】
比較例8
実施例6の手順を繰り返したが、ただし、配合は表3に示す通りであった。押出し品を収集トレーの上に置いた後、互いに粘着する傾向はなかった。しかし、それらには羽状化が生じたように見えた。
【0033】
【表3】

【0034】
実施例9
NaPdCl・3HO(31.4g)、NaAuCl・2HO(11.3g)、および水(235.4g)を含む水溶液にNaHCO粉末(27g)をゆっくり添加した。混合物を室温において10分間攪拌した。この溶液が、実施例1で調製した焼成チタニア押出し品(1000g)の上にピペットを用いて噴霧し、それと同時に押出し品を回転フラスコ中で転がした。含浸が完了すると、回転フラスコをヒートガンを用いて約100℃になるまで加熱した。含浸させた押出し品を100℃においてさらに30分間転がし、次いでオーブンの中に80℃において2時間置き、その後、室温まで冷却した。
【0035】
乾燥した押出し品を温水(50〜80℃)で洗浄し、この作業は、洗浄ろ過溶液を1重量%の硝酸銀溶液と混合して沈殿を観察することによって塩化物が検出されなくなるまで行った。洗浄が完了した後、触媒を80〜100℃で乾燥させて水を除去した。次いで、それらを空気中で230℃において3時間加熱し、そして窒素流下230℃において30分間加熱した。窒素ガス中の10モル%の水素の流れの下で温度を500℃に上げ、3時間保持し、そしてそれを室温まで冷却した。
【0036】
押出し品を、10重量%の酢酸カリウムと1重量%の水酸化カリウムを含む水溶液(10L)を用いて洗浄された。洗浄押出し品を、窒素下125℃において2時間乾燥した。パラジウム−金の触媒を得た。それは0.93重量%のPd、0.54重量%のAu、および1.5重量%のKを含んでいた。
【0037】
実施例10
実施例9で調製したパラジウム−金触媒を、固定床反応器(ステンレス鋼、外径1インチ)の中での酢酸ビニルの製造のために試験した。反応器に、触媒(10g)と不活性アルファアルミナの円筒形ペレット(直径1/8インチ、表面積4m/g、細孔容積0.25mL/g、25g)の混合物を装填した。供給物(feed)は、46.1モル%のヘリウム、33.9モル%のエチレン、11.48モル%の酢酸、4.2モル%の酸素、および4.2モル%の窒素を含んでいた。反応器の圧力は80psigであり、また触媒の容積に対する空間速度は、標準温度と圧力において3050h−1であった。反応器を流動砂の浴を用いて冷却し、その温度を130℃に設定した。生成物の流れをガスクロマトグラフィ(GC)によって分析した。流れについての75〜100時間の間の酸素の転化率、酢酸ビニルに対する酸素の選択率と酸素の収率、および酢酸ビニルに対するエチレンの選択率をGCの結果から計算し、それらを表4に挙げる。酸素の転化率は、消費された酸素の量を、反応器に供給された酸素の総量で割ることによって計算した。酢酸ビニルに対する酸素の選択率は、酢酸ビニルを生成するのに消費された酸素の量を、消費された酸素の総量で割ったものである。酢酸ビニルに対する酸素の収率は、酸素の転化率に酸素の選択率を掛けた積である。酢酸ビニルに対するエチレンの選択率は、酢酸ビニルを生成するのに消費されたエチレンの量を、消費されたエチレンの総量で割ったものである。触媒の生産性は、触媒の1リットル当たり1時間に生成された酢酸ビニルのグラム数である。
【0038】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
チタニア、カルボキシアルキルセルロース、およびヒドロキシアルキルセルロースを含む押出し品。
【請求項2】
1:100から3:100までのカルボキシアルキルセルロース対チタニアの重量比を有する、請求項1に記載の押出し品。
【請求項3】
カルボキシアルキルセルロースはカルボキシメチルセルロースである、請求項1に記載の押出し品。
【請求項4】
0.5:100から1:100までのヒドロキシアルキルセルロース対チタニアの重量比を有する、請求項1に記載の押出し品。
【請求項5】
5:1から1:2までのカルボキシアルキルセルロース対ヒドロキシアルキルセルロースの重量比を有する、請求項1に記載の押出し品。
【請求項6】
3:1から1:1までのカルボキシアルキルセルロース対ヒドロキシアルキルセルロースの重量比を有する、請求項1に記載の押出し品。
【請求項7】
ヒドロキシアルキルセルロースは、2−ヒドロキシプロピルセルロース、2−ヒドロキシエチルセルロース、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の押出し品。
【請求項8】
ヒドロキシアルキルセルロースは、メチル2−ヒドロキシプロピルセルロース、メチル2−ヒドロキシエチルセルロース、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の押出し品。
【請求項9】
チタニアは押出し品の少なくとも10重量%を構成している、請求項1に記載の押出し品。
【請求項10】
チタニア以外の無機酸化物をさらに含む、請求項1に記載の押出し品。
【請求項11】
10:90未満の無機酸化物対チタニアの重量比である、請求項10に記載の押出し品。
【請求項12】
(a)チタニア、カルボキシアルキルセルロース、およびヒドロキシアルキルセルロースを混合し、それによりドウを形成すること、および(b)ドウを押出し、それにより押出し品を製造することを含む、押出し品を製造するための方法。
【請求項13】
押出し品は3:1から1:1までのカルボキシアルキルセルロース対ヒドロキシアルキルセルロースの重量比を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ヒドロキシアルキルセルロースは、2−ヒドロキシプロピルセルロース、2−ヒドロキシエチルセルロース、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
ヒドロキシアルキルセルロースは、メチル2−ヒドロキシプロピルセルロース、メチル2−ヒドロキシエチルセルロース、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項12に記載の方法。

【公表番号】特表2013−514174(P2013−514174A)
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−544545(P2012−544545)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【国際出願番号】PCT/US2010/057365
【国際公開番号】WO2011/075277
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(505341095)ライオンデル ケミカル テクノロジー、 エル.ピー. (61)
【氏名又は名称原語表記】LYONDELL CHEMICAL TECHNOLOGY, L.P.
【Fターム(参考)】