説明

チタン材のスケール改質方法

【課題】
チタン及びその合金材料の焼鈍でその表面に発生したスケールを熱処理後酸洗前の間に酸洗での除去が容易な性状に改質する方法を提供する。
【解決手段】
チタン及びその合金材料は、焼鈍炉で焼鈍された後、板温度を450℃から650℃まで冷却制御されて、噴霧装置に導入される。噴霧装置において板表面に所定の濃度の低融点アルカリ塩と有効な酸化剤を含む水溶液を二流体噴霧ノズルにより平均粒径が50μm以下の粒径の均質な粒子にして、上記の温度範囲にある板表面に噴霧することにより、形成された溶融ソルトと酸化スケールが均質に改質反応が進行する。その後水冷(スプレイ、浸漬)によりスケールの一部は除去されると共に常温近くまで冷却される。その後酸洗工程により仕上げ酸洗された後水洗、乾燥されコイル状に巻き取られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チタンまたはチタン合金(本発明ではチタン材と略記する)の焼鈍でその表面に発生したスケールを、熱処理後酸洗前の間に、酸洗での除去が容易な性状に改質する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年チタン材は、建築材料、車両、家庭電化製品、事務機器、更に電子機器分野で多用されるようになってきた。これ等に用いられるチタン材には優れた表面性状と均質な材質特性と有する事が要望されている。この目的を達成するためには連続焼鈍酸洗ラインを用いて焼鈍、酸洗を行なうことが好ましい。この連続焼鈍酸洗ラインの酸洗では中性塩水溶液中での電解法とソルトバス法が実用化されていた。
【0003】
中性塩水溶液中での電解法(ルスナー法)では、温度が40〜80℃の中性塩水溶液、例えば硫酸ナトリウム水溶液中で焼鈍スケールが発生しているチタン材を電解処理する。しかし電解液の管理が複雑であり、チタン材の材質によっては不向きな場合があり、また処理に長時間を要するために能率が低く電解槽が極めて長くなる等の問題点がある。
【0004】
一方ソルトバス法は全てのチタン材について短時間で焼鈍スケールが除去できるために好ましい。図4はこのソルトバス法を用いた連続焼鈍酸洗ラインの例の説明図である。図中1はチタン材で、コイル状のチタン材は巻戻しリール11で巻きほどかれ矢印17方向に走行する。即ち焼鈍炉2で焼鈍され、冷却炉3で適温まで冷却され、ソルト浴槽4に浸漬された後冷却ゾーン5で冷却され、水洗装置6で水洗され、ガイドロール7を経由して酸洗槽8及び9に浸漬し、水洗乾燥装置10を通過した後巻取りリール12で巻き取られる。
【0005】
ソルト浴槽4は内部に450〜550℃に加熱された溶融ソルト13を収容し、チタン材は浸漬ロール14を介して溶融ソルト13中に浸漬される。浸漬ロール14は高温の溶融ソルト中に配されるため、耐熱性と耐食性に優れた鋼製のものが用いられる。チタン材の焼鈍スケールは酸洗のみでは除去し難いが、ソルト浴槽4を通過させると焼鈍スケールは変質し、その結果、後の酸洗槽8および9で除去が容易となる。
【0006】
しかしながら、チタン材1をこのソルト浴槽4に浸漬すると、チタン材の表面にバーニング疵が発生するという問題点がある。ASMのTitanium Symposium Feb.2-3,1963は、このバーニング疵を記載している。即ち、溶融ソルト13中で鋼製の浸漬ロール14とチタン材1の間には電位差が発生して電流が流れ、浸漬ロール14とチタン材1の接触が不適当な箇所でこの電流によりバーニング疵が発生する。また浸漬ロール14とチタン材1が直接接触しないように、表面酸化スケールを微少量残存させ、あるいは浸漬ロール14の表面にソルト中のスラッジを均一に形成させることによりバーニング疵を軽減防止する事できると記載されている。しかしながら、本発明者等の知見によると、バーニング疵を十分に低減する事は難しく、完全な解決になっていないのが現状である。
【0007】
また、ソルトバス法においては、操業中の浸漬ロール14の表面には酸化皮膜や疵が発生し易く、このためチタン材1の表面には押し疵が発生し、更に溶融ソルト13中に浮遊するスラッジが浸漬ロール14とチタン材1の間に巻き込まれて、チタン材1の表面に微少な巻き込み疵が発生するという問題点がある。
【0008】
チタン材の処理は記載されていないが、W001/46496.A1 はソルトバス法に換えて、苛性水溶液の液滴を表面温度が450°F(230℃)〜700°F(370℃)のスケールを有するステンレス鋼の表面にスプレーするスプレー法で、ステンレス鋼のスケールを改質する方法を記載している。しかしながらこの方法は、ステンレス鋼の表面温度が230℃以下の場合にはステンレス鋼の表面には苛性成分の溶融層が形成されないために、また370℃超ではスプレーされた液の薄膜は金属表面との間で蒸気層となり薬剤が金属表面に沈着するのを妨げるために、スケールのコンディショニングの効果が発揮できないという問題点がある。
【0009】
【特許文献1】W001/46496.A1
【0010】
【非特許文献1】ASM,Titanium Symposium Feb.2-3,1963
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上記の問題点を解決するもので、焼鈍でチタン材の表面に発生した酸洗では除去し難いスケールを、ソルト浴槽を使用しないで、高能率に改質する方法に関する。即ち、従来のソルトバス法ではその発生を防止する事が不可能であったバーニング疵や微少な巻き込み疵を発生させることなく、また従来の中性塩水溶液中での電解法よりも高能率に、チタン材の表面の熱処理スケールを除去する方法の提供を課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は(1)チタン材の表面の熱処理スケールを熱処理後酸洗前の間に酸洗での除去が容易な性状に改質する方法であって、20〜80重量%のNaOHと残部KOHよりなるアルカリベースと、該アルカリベースに対して合計で0.1〜5.0重量%の亜硝酸塩、硝酸塩、炭酸塩、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、沃素酸塩、過硫酸塩から選ばれる1種または2種以上とよりなり、その融点が170〜250℃の混合物を、該混合物の濃度が30〜60重量%となるように水に溶解した処理液を用いて、該処理液の平均粒子径が50μm以下の微細な液粒子を熱処理後の450〜650℃のチタン材の表面に噴霧する事を特徴とする、チタン材のスケールの改質方法である。
【0013】
また(2)該処理液が更に過酸化水素を0.01〜1.0重量%含有する処理液である、前記(1)に記載のチタン材のスケール改質方法である。
【0014】
また(3)該処理液が更に酸素及びまたは空気を常温で飽和量含有する処理液である、前記(1)または(2)に記載のチタン材のスケール改質方法である。
【0015】
また(4)平均粒子径が50μm以下の微細な液粒子が、二流体ノズルを用いて形成された微細な液粒子である、前記(1)〜(3)の何れかに記載のチタン材のスケール改質方法である。
【0016】
本発明者等は、ソルトバス法を行なうに際して、表面に疵がない浸漬ロールを用い、溶融ソルトの組成や温度を変えまたチタン材の通材速度を変えて、チタン材の表面のバーニング疵、押し疵、巻き込み疵の発生防止を試みた。また更に、浸漬ロールを溶融ソルトの浴面に近い浅い位置や溶融ソルトの底に近い深い位置に設置して溶融ソルト中に沈降しているスラッジがバーニング疵、押し疵、巻き込み疵に及ぼす影響の調査した。しかし浸漬ロールを用いるソルト法では、何れの場合もチタン材のこれ等の疵を十分に防止する事はできなかった。
【0017】
このため本発明者等は、浸漬ロールを用いない方法として、前記 W001/46496.A1 のステンレス鋼のスプレー法をチタン材に適用する事を試みた。通常、チタン材は750〜850℃で焼鈍され、従って苛性水溶液をスプレーする際のチタン材の表面温度は750℃以下となる。本発明者等は大凡水平に保持した200〜650℃の、熱処理スケールを有する板状チタン材の上下面に、NaOH/KOHの共晶組成の苛性アルカリの水溶液を通常のスプレーノズルを用いて散布しチタン材の焼鈍スケールの改質を調査した。
【0018】
この調査により、本発明者等は、チタン材の場合はスプレーを散布する際のチタン材の表面温度が450℃未満の場合は熱処理スケールの改質は殆どみられないが、450〜650℃の場合はチタン材の焼鈍スケールもスプレー法により改質できる事を知得した。しかしながらチタン材の場合は焼鈍スケールが改質された部分と改質されない部分が斑点状に発生し、特に水平に保持したチタン材の下面には改質されない部分が多くなり工業的には実施できない事を知得した。
【0019】
この際のチタン材の焼鈍スケールの改質は、スプレーした水溶液の水分が蒸発し、チタン材の表面に溶質苛性アルカリの溶融層が形成され、この溶融層と焼鈍スケールとの下記(1)、(2)式の反応により、後工程の酸洗で除去され難い焼鈍スケールが酸洗除去が容易な成分に変化した事によると想考された。
【0020】
TiO+2NaOH+(O)→NaTiO+HO………(1)
TiO+2NaOH+(O)→NaTiO+HO ………(2)
本発明者等は、上記(1)、(2)の改質反応を活性化させるために、NaOH/KOHの共晶組成の苛性アルカリに変えて、20〜80重量%のNaOHと残部KOHよりなるアルカリベースと、該アルカリベースに対して合計で0.1〜5.0重量%の亜硝酸塩、硝酸塩、炭酸塩、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、沃素塩、過硫酸塩から選ばれる1種または2種以上とよりなり、その融点が170〜250℃となる混合物を準備し、該混合物の濃度が30〜60重量%となるように水に溶解した処理液を、通常のスプレーノズルを用いて大凡水平に保持した熱処理スケールを有する450〜650℃のチタン材の上下面に散布し、チタン材の焼鈍スケールの改質を調査した。
【0021】
この処理液は、スプレーノズルから散布された後で水分が蒸発し、チタン材の表面でスケールとの反応性が高い溶融層を形成させるために用いた。NaOHが20〜80重量%、残部KOHのアルカリベースは融点が低く、170〜250℃の低温で溶融層を形成し易い。本発明のアルカリベースはソルトバスで慣用されているソルトに比べてKOHの比率が高く、反応活性度が高い溶融層を形成する。
【0022】
上記の本発明の処理液は、溶融層の反応活性度を更に高めるために、アルカリベースに対して合計で0.1〜5.0重量%の亜硝酸塩、硝酸塩、炭酸塩、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、沃素塩、過硫酸塩から選ばれる1種または2種以上を混合する。0.1重量%以下では効果が少なく、また5%超では効果が飽和する。混合物はその濃度が30〜60重量%となるように水に溶解する。30重量%未満では水が過剰で蒸発熱が大きいため溶融層が形成され難い。また60重量%超は混合物を水に均一に溶解させ難い。
【0023】
この調査の結果、本発明者等はNaOH/KOHの共晶組成の苛性アルカリの水溶液をスプレーした際には多発していた斑点状の焼鈍スケールの未改質部分は、スプレー処理液を上記の処理液に変更する事により大幅に改善される事を知得した。しかしながらその改善は尚十分ではなく、特にチタン材の下面には許容し難い未改質部分が残存していた。
【0024】
本発明の処理液を用いても尚残存する焼鈍スケールの未改質部分の発生原因は、チタン材のスケール改質温度が450〜650℃で、ステンレス鋼のスケール改質の際の230〜370℃よりも著しく高温であり、このためスプレーされた液の薄膜はチタン材の表面との間で蒸気層となり、処理液中の溶質成分がチタン材表面に沈着するのを妨げるために、焼鈍スケールの改質に必要な溶質成分よりなる溶融層が均一には形成され難いことによるものと想考された。
【0025】
従って本発明者等は、チタン材の焼鈍スケールの改質に必要な450℃以上の高温の場合にも処理液中の溶質成分をチタン材の表面に十分な量沈着させ、溶質成分よりなる均一な溶融層を形成する方法を検討した。本発明者等は、NaOH:50重量%,KOH:50重量%のアルカリベースと、該アルカリベースに対して1重量%の亜硝酸ソーダとを混合し、この混合物の濃度が40重量%となる本発明の処理液を作成した。この処理液を図3に示す構造の二流体ノズル(微霧発生ノズルBIMシリーズ)を用いて、平均粒子径が異なる微細な液滴にして、温度が約550℃のほぼ水平に把持した熱処理スケールを有する板厚が0.8mmの純チタン薄板の上面と下面にそれぞれ15cc/mの割合でそれぞれ散布し、約3分後に、HNO:12.0重量%、HF:2.0重量%の約30℃の硝弗酸水溶液中に60秒間浸漬し、熱処理スケールの除去の状況を目視観察した。図2にその結果を示した。
【0026】
本発明者等の知見によると、格別の工夫を行なわないで処理液を散布した際は、スプレーした液滴の平均粒子径は70μm以上となるが、この際には図2に見られる如く、焼鈍スケールの除去は不完全となり、特にチタン薄板の下面のスケールの除去が不十分である。一方スプレーの液滴を50μm以下にして散布した場合は、チタン薄板の上面にも下面にも残存するスケールが全くなく、極めて好ましい結果であった。スプレーの液滴の平均粒子径を50μm以下とした場合に残存スケールがなくなる理由は必ずしも詳かではないが、液滴の微細化により、処理液中の溶質成分が十分な量チタン材の表面に沈着し、この結果、焼鈍スケールの改質に必要な溶質成分よりなる溶融層が均一に形成され、この溶融層により焼鈍スケールが均質に且つ十分に改質された事によるものと想考される。
【0027】
本発明者等は、前記の本発明の処理液に更に過酸化水素0.01〜1.0重量%含有する処理液を用い、また更に酸素及びまたは空気を常温での飽和量含有させた処理液を用いて、図2に示したと同様のチタン材の焼鈍スケールの改質を試みたが、これ等の際には改質反応が更に活性化し、短時間のスプレー処理で、焼鈍スケールの十分な改質が可能となる事を知得した。
【発明の効果】
【0028】
本発明は、ソルト浴槽4や浸漬ロール14を使用しないために、従来のソルトバス法で処理した場合に発生していたバーニング疵や押し疵や微少な巻き込み疵の発生を完全に防止する事ができる。
【0029】
また本発明では焼鈍した450〜650℃の高温のチタン材を処理するが、焼鈍スケールは本発明で十分に改質されるため、酸洗後は残存スケールが全くない美麗な表面のチタン材が得られる。
【0030】
また本発明では焼鈍スケールの改質が短時間で完了するため、従来のソルトバス法と同様に、チタン材の焼鈍スケールを迅速に且つ高能率で除去する事ができる。
【0031】
更に従来のソルトバス法ではソルトを溶融状態に維持するための加熱が必要であり、また溶融ソルト中のスラジの除去が必要であったが、本発明は焼鈍炉で加熱されたチタン材を適温に冷却して処理する方法であるため、加熱燃料や加熱装置は不必要でありまたスラジ除去も不必要であり、低コストで且つ簡易に焼鈍スケールを改質する事が可能となる。
【実施例】
【0032】
図1は、本発明のスケール改質方法を実施する際の連続焼鈍酸洗ラインの例の説明図である。図1に基づき本発明の実施例を説明する。
【0033】
冷間圧延されたチタン材1は、焼鈍炉2において連続焼鈍される。その温度条件は、材質によって異なるが、Ti1種、2種では、750℃、高強度Tiで850℃である。焼鈍されたチタン材は、焼鈍炉出側の冷却帯3で、汽水、又は空冷によって450〜650℃の所定板温度に冷却制御されスプレイ噴霧装置15に導かれる。スプレーの噴霧条件は、二流体ノズルヘッダーをチタン材1の上下面に配置し、幅方向に二流体ノズル16を複数個配置し、平均粒子径10から50ミクロンの範囲の液滴を噴霧する。スプレーノズルヘッダーは、必要に応じ複数列設置することも出来る。この方法でチタン材1の表面には、本発明の処理液が均一にスプレーされ、微少液滴中の水分は極短時間に蒸発逸散し、その後水洗装置6までの間、処理液中の溶質成分は溶融状態に維持されたまま焼鈍スケールとの反応が持続して進行する。その後、水洗装置6で水洗され冷却される。この時点で、改質され除去可能な表面のスケールの一部は除去される。水洗工程直後にガイドロール(ブライドルロール)7を設置し、チタン材コイルのトラッキングと必要な張力をチタン材に付与する。
【0034】
その後リンガーロールにより水分が絞られ、チタン材は、ディフレクターロールを介して酸洗槽8及び9に入り、仕上げ酸洗される。酸洗液として、硝酸−フッ酸混酸が適用される。その後水洗、乾燥装置10を経てコイルに巻き取られる。
【0035】
尚図1は、コイルを水平に置いた状態の処理形態であるが、焼鈍炉の後、所定温度に設定されたコイルをディフレクターロールを介して垂直に上方向又は下方向へ、あるいは上下傾斜方向にコイルの流れを変えて処理することも可能である。
【0036】
本発明者等はスプレイ噴霧装置15内で下記の条件で焼鈍スケールの改質試験を行った。
条件:ライン速度:20m/min 材料:STi(1.0mmt)
焼鈍板表面温度: 噴霧装置での板表面温度:600〜550℃
噴霧圧:300ml/min、二流体ノズル、液滴:約〜40μmφ
噴霧処理後、硝酸:弗酸が重量比で15:2で、濃度が1.5%〜2%の硝弗酸水溶液(常温)に45秒間浸漬処理し、酸洗後の表面を目視評価した。
【0037】
焼鈍スケール改質試験に供した処理液及び試験結果を表1〜3に示した。表中の(A)はNaOH:KOHが重量比で20:80、(B)はNaOH:KOHが重量比で50:50、(C)はNaOH:KOHが重量比で80:20であり、処理液中の溶質の濃度は何れも40重量%である。
【0038】
また亜硝酸塩、硝酸塩、炭酸塩、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、沃素酸塩、過硫酸塩は何れもカリウム塩である。またこれ等の添加した塩のアルカリベースに対する混合割合(重量%)は表中に示した。
【0039】
表中の酸洗後表面目視評価の欄で、○は残存スケールが全くない場合、△は軽度の残存スケールがある場合、×は微細な残存スケールが散在している場合をそれぞれ示している。表1〜3にみられる如く、本発明を実施する事により、チタン材の焼鈍スケールは十分に改質され、酸洗後はスケールが完全に除去された美麗な表面のチタン材となる。
【0040】
【表1】

【0041】
【表2】

【0042】
【表3】

【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明を実施する際の連続焼鈍酸洗ライン例の説明図である。
【図2】スプレーした液滴の平均粒子径と焼鈍スケールの改質の関係を示す図である。
【図3】二流体ノズルの構造を示す説明図である。
【図4】従来のソルトバス法を用いた連続焼鈍酸洗ラインの例の説明図である。
【符号の説明】
【0044】
1:チタン材、 2:焼鈍炉、 3:冷却炉、 4:ソルト浴槽、 5:冷却ゾーン、 6:水冷装置、 7:ガイドロール、 8:酸洗槽、 9:酸洗槽、 10:水洗乾燥装置、 11:巻戻しリール、 12:巻取りリール、 13:溶融ソルト、 14:浸漬ロール、 15:スプレー噴霧装置、 16:二流体ノズル。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
チタンまたはチタン合金の表面の熱処理スケールを熱処理後酸洗前の間に酸洗での除去が容易な性状に改質する方法であって、20〜80重量%のNaOHと残部KOHよりなるアルカリベースと、該アルカリベースに対して合計で0.1〜5.0重量%の亜硝酸塩、硝酸塩、炭酸塩、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、沃素酸塩、過硫酸塩から選ばれる1種または2種以上とよりなりその融点が170〜250℃となる混合物を、該混合物の濃度が30〜60重量%となるように水に溶解した処理液を用いて、該処理液の平均粒子径が50μm以下の微細な液粒子を熱処理後の450〜650℃のチタンまたはチタン合金の表面に噴霧することを特徴とする、チタン材のスケール改質方法。
【請求項2】
該処理液が更に過酸化水素を0.01〜1.0重量%含有する処理液である、請求項1に記載のチタン材のスケール改質方法。
【請求項3】
該処理液が更に酸素及びまたは空気を常温での飽和量含有する処理液である、請求項1または2に記載のチタン材のスケール改質方法。
【請求項4】
平均粒子径が50μm以下の微細な液粒子が、二流体ノズルを用いて形成された微細な液粒子である、請求項1〜3の何れかに記載のチタン材のスケール改質方法。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2006−336051(P2006−336051A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−159851(P2005−159851)
【出願日】平成17年5月31日(2005.5.31)
【出願人】(391013106)株式会社パーカーコーポレーション (27)
【Fターム(参考)】