説明

チップコンベア

【課題】スクレーパーを支持したエンドレスチェンとチップコンベアのケーシングにおける側部内面との間の間隙に切り屑が溜ることのないチップコンベアを提供する。
【解決手段】スクレーパー形式のチップコンベアのケーシング3内において、導入口5付近に備えた複数のチェンガイド13と排出口7付近に備えた複数のチェンスプロケット19に複数本のエンドレスチェン21L,21Rを掛回して並列に備え、前記導入口5から導入された切り屑を前記排出口7へ搬送するために、前記並列なエンドレスチェン21L,21Rに両端側を支持されたスクレーパー9を備えたチップコンベアであって、前記エンドレスチェン21L,21Rの外側部に、当該エンドレスチェン21L,21Rと前記ケーシング3の側部内面3L,3Rとの間に入り込んだ切り屑を前記排出口7へ搬送するための切り屑搬送部材27を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば帯鋸盤などの切断加工機や旋盤などの切削加工機による加工時に生じた切り屑を搬送するチップコンベアに係り、さらに詳細には、並列して備えたエンドレスチェンの間にスクレーパーを備えた形式のチップコンベアであって、前記エンドレスチェンとチップコンベアにおけるケーシングの側部内面との間への切り屑の溜りを防止することのできるチップコンベアに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば切削加工機によって金属材料の切削加工を行うことにより発生した切粉、切り屑を搬送するチップコンベアには、スクリュー形式のチップコンベアやスクレーパーを備えたスクレーパー形式のチップコンベアがある。上記スクレーパー形式のチップコンベアは、箱状のケーシング内に並列に備えたエンドレスチェン間に配置したスクレーパーの両端側を前記エンドレスチェンによって支持した構成が一般的である(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−254383号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
スクレーパー形式のチップコンベアは、適宜形状の箱状のケーシング内に複数本(2本)のエンドレスチェンを並列に備え、この両エンドレスチェンの間に配置したスクレーパーの両端側を前記エンドレスチェンによって支持した構成である。したがって、前記ケーシング内に導入されて両エンドレスチェンの間に存在する切り屑はスクレーパーによって排出口側へ搬送されるものの、前記エンドレスチェンの側部と前記ケーシングの側部内面との間の間隙内に入り込んだ切り屑は、前記スクレーパーにより搬送されることがないので、大量に溜ると、前記エンドレスチェンの円滑な走行動作を阻害することがあるので、溜った切り屑を定期的に除去する必要があり、切り屑の除去作業が比較的厄介であるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、前述のごとき従来の問題に鑑みてなされたもので、箱状のケーシングの一端側上部に、切り屑を内部へ導入する導入口を備えると共に、前記ケーシングの他端側下部に、前記導入口から導入された切り屑を外部へ排出する排出口を備え、前記ケーシング内において、前記導入口付近に備えた複数のチェンガイドと前記排出口付近に備えた複数のチェンスプロケットに複数本のエンドレスチェンを掛回して並列に備え、前記導入口から導入された切り屑を前記排出口へ搬送するために、前記並列なエンドレスチェンに両端側を支持されたスクレーパーを備えたチップコンベアであって、前記エンドレスチェンの外側部に、当該エンドレスチェンと前記ケーシングの側部内面との間に入り込んだ切り屑を前記排出口へ搬送するための切り屑搬送部材を備えていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、スクレーパーを支持したエンドレスチェンとチップコンベアにおけるケーシングの側部内面との間の間隙に切り屑が入り込んだ場合であっても、エンドレスチェンに取付けた切り屑搬送部材によって前記間隙内の切り屑を排出口へ搬出することができ、前記エンドレスチェンとケーシングの側部内面との間の間隙内に切り屑が溜るようなことがないものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図1を参照するに、本発明の実施形態に係るチップコンベア1は、箱状のケーシング3を備えており、このケーシング3の一端側上部には、切削加工機械(図示省略)の切削加工によって生じた切粉,切り屑を導入するための導入口5が備えられている。また、前記ケーシング3における他端側下部には、前記導入口5から導入された切り屑を外部へ排出するための排出口7が備えられている。
【0007】
そして、前記導入口5からケーシング3内に導入された切り屑を前記排出口7へ搬送するために、前記ケーシング3内には循環移動するスクレーパー9が備えられている。より詳細には、前記導入口5付近のケーシング3内には左右方向(図1において紙面に垂直な方向)に長い回転軸11が水平に備えられており、この回転軸11には複数のチェンガイドの一例としてのスプロケット13が備えられている。また、前記排出口7付近のケーシング3内には、ケーシング3に装着したモータ15によって回転駆動される回転駆動軸17が前記回転軸11と平行にかつ回転自在に備えられている。
【0008】
前記回転駆動軸17には、前記スプロケット13に対応する複数の駆動スプロケット19が取付けてあり、この各駆動スプロケット19と前記各スプロケット13には前後方向(図1において左右方向)に長い左右のエンドレスチェン21L,21Rがそれぞれ掛回してある。すなわち、左右の複数のエンドレスチェン21L,21Rは並列して設けてあり、この並列したエンドレスチェン21L,21Rの間に複数の前記スクレーパー9が配置してある。そして、各スクレーパー9の左右両端側は左右の前記エンドレスチェン21L,21Rにブラケットを介して一体的に支持されている。
【0009】
そして、前記左右のエンドレスチェン21L,21Rが循環走行する上部側,下部側は、前記ケーシング3の左右の側部内面3L,3Rにそれぞれ備えた上下の前後方向に長いチェンガイド23U,23L(図2参照)に案内支持されている。
【0010】
ところで、チェンガイドの一例としてスプロケット13を備えた場合について例示したが、チェンガイドとしては、ケーシング3内に固定した円板形状又は半円形状のチェンガイドとすることも可能である。要するに、モータ15によって回転される駆動スプロケット19によって循環走行されるエンドレスチェン21L、21Rを案内支持する機能を有すればよいものである。
【0011】
上記構成において、モータ15によって回転駆動軸17を正回転すると、エンドレスチェン21L,21Rは、図1において反時計回り方向に回転走行されることになり、導入口5からケーシング3内に導入された切り屑を、スクレーパー9でもって排出口7方向へ搬送し、前記排出口7から外部へ排出することになる。
【0012】
ところで、前記導入口5からケーシング3内に導入された切り屑は、左右のエンドレスチェン21L,21Rの間に落下導入されるとは限らず、下側のチェンガイド23Lとケーシング3における左右の側部内面3L,3Rとの間の間隙25に入り込むことがある。上記間隙25に入り込んだ切り屑は、前記スクレーパー9による搬送作用を受けることがないので、前記間隙25内に滞留することになり、大量に溜ると、エンドレスチェン21L,21Rの円滑な走行作用を阻害することになる。
【0013】
そこで、本実施形態においては、前記エンドレスチェン21L,21Rの左右方向の外側部に、図3,図4に示すように、前記間隙25に入り込んだ切り屑を前記排出口7へ搬出するための切り屑搬送部材27が適数取付けてある。なお、図4には、エンドレスチェン21L,21Rにおけるチェンリンクとは別個に切り屑搬送部材27を設けた構成として例示してあるが、チェンリンクに一体に切り屑搬送部材を設けることも可能である。
【0014】
前記構成により、前述したようにエンドレスチェン21L,21Rを走行して、スクレーパー9によって切り屑を導入口5側から排出口7側へ搬送するとき、エンドレスチェン21L,21Rの外側部に設けた前記切り屑搬送部材27は前記チェンガイド23Lとケーシング3の側部内面3L,3Rとの間の間隙25内を前後方向に移動して、前記間隙25内の切り屑を前記排出口7側へ搬送することになる。
【0015】
したがって、前記間隙25内に切り屑が大量に溜るようなことがなく、エンドレスチェン21L,21Rの円滑な走行を阻害するようなことがないものであり、前述したごとき従来の問題を解消することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係るチップコンベアの全体的構成を概念的,概略的に示した側断面説明図である。
【図2】同上の正断面説明図である。
【図3】エンドレスチェンに切り屑搬送部材を備えた部分の説明図である。
【図4】同上の断面説明図である。
【符号の説明】
【0017】
1 チップコンベア
3L,3R ケーシングの側部内面
5 導入口
7 排出口
9 スクレーパー
11 回転軸
13 スプロケット(チェンガイド)
15 モータ
17 回転駆動軸
19 駆動スプロケット
21L,21R エンドレスチェン
23U,23L チェンガイド
25 間隙
27 切り屑搬送部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱状のケーシングの一端側上部に、切り屑を内部へ導入する導入口を備えると共に、前記ケーシングの他端側下部に、前記導入口から導入された切り屑を外部へ排出する排出口を備え、前記ケーシング内において、前記導入口付近に備えた複数のチェンガイドと前記排出口付近に備えた複数のチェンスプロケットに複数本のエンドレスチェンを掛回して並列に備え、前記導入口から導入された切り屑を前記排出口へ搬送するために、前記並列なエンドレスチェンに両端側を支持されたスクレーパーを備えたチップコンベアであって、前記エンドレスチェンの外側部に、当該エンドレスチェンと前記ケーシングの側部内面との間に入り込んだ切り屑を前記排出口へ搬送するための切り屑搬送部材を備えていることを特徴とするチップコンベア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−36317(P2010−36317A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−204170(P2008−204170)
【出願日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(390014672)株式会社アマダ (548)
【出願人】(504279326)株式会社アマダカッティング (65)
【Fターム(参考)】