チップ型アンテナ
【課題】小型化が可能で、広い送受信周波数帯域内において良好な放射特性が得られるチップ型アンテナを提供する。
【解決手段】チップ型アンテナ100において、誘電材料又は磁性材料から成る基体200の複数の基体層のうち、第1の基体層211と第2の基体層202には複数の帯状の内部電極301〜311が所定のピッチで配設され、第1の基体層211の帯状の内部電極301、303、305、307、309、311と第2の基体層202の帯状の内部電極302、304、306、308、310とは、複数の基体層201〜213の積層方向Aの投影面内において交互に配置されるとともに、スルーホール電極601〜612により直列に接続されて、巻回軸が上記積層方向Aと直交する方向になる略螺旋状の放射電極300を構成し、各帯状の内部電極301〜311の幅が0.3mm〜0.7mmのうち所定の幅に形成されている。
【解決手段】チップ型アンテナ100において、誘電材料又は磁性材料から成る基体200の複数の基体層のうち、第1の基体層211と第2の基体層202には複数の帯状の内部電極301〜311が所定のピッチで配設され、第1の基体層211の帯状の内部電極301、303、305、307、309、311と第2の基体層202の帯状の内部電極302、304、306、308、310とは、複数の基体層201〜213の積層方向Aの投影面内において交互に配置されるとともに、スルーホール電極601〜612により直列に接続されて、巻回軸が上記積層方向Aと直交する方向になる略螺旋状の放射電極300を構成し、各帯状の内部電極301〜311の幅が0.3mm〜0.7mmのうち所定の幅に形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チップ型アンテナに関し、特に、携帯電話等の移動体通信機や無線LAN(Local Area Network)等に用いられるチップ型アンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタル変調信号を送受信する無線通信装置として、携帯電話が世界的に市場を拡大しており、変調方式として様々な方式が提案されている。特に、欧州を中心として普及しているGSM方式では、送受信帯域がそれぞれ880−915MHz、925−960MHzの略900MHz帯(GSM900:以下、単にGSM帯と言う)の他に、帯域拡張版として、送受信帯域がそれぞれ1710−1785MHz、1805−1880MHzの略1.8GHz帯(DCS1800:以下、単にDCS帯と言う)や、米国における送受信帯域がそれぞれ1850−1910MHz、1930−1990MHzの略1.9GHz帯(PCS1900:以下、単にPCS帯と言う)が規定されている。更に、欧州での次世代携帯電話の標準規格として、UMTS(Universal Mobile Telecommunications Systemの略)方式も提案されている。このUMTS規格は、内容的には、現在日本国内の3G携帯で使われている「W−CDMA」という規格を含んでおり、UMTSという言葉が、「W−CDMA」という言葉の代わりに使われるケースも見られる。即ち、最近では、日本国内で、第3世代の変調方式として、3GPPで規格が定められている送受信帯域がそれぞれ1920−1980MHz、2110−2170MHzの略2GHz帯のWCDMA方式(WCDMA2000)の運用が開始されている。WCDMA方式の1チャネルの帯域幅は5MHzとなっているため、上記送受信帯域で周波数分割により12チャネルが形成され、各チャネル上に符号分割による更に多数のチャネルが形成される。
【0003】
また、近年、無線通信を用いたネットワークでパソコン等を相互に接続する無線LANが実用化され、その普及度が高まってきている。
【0004】
携帯電話やパソコンなどの通信機器・電子機器に対する小型化の要請から、これらの機器に使用されるアンテナも小型化される必要がある。特に、携帯電話では小型化・薄型化の要請が益々強くなり、一方、無線LANでは、無線通信用のアンテナを内蔵した薄手の無線LANカードをパソコン等の筐体に接続して用いることが多い。
【0005】
このため、携帯電話や無線LAN用のアンテナとしても小型のものが求められることから、誘電体や磁性体等の基体の表面或いは内部に放射電極等を設けたチップ型アンテナが多く使用されているが、携帯電話等の更なる小型化の要請からチップ型アンテナ自体の更なる小型化が強く望まれている。
【0006】
従来、かかるチップ型アンテナの小型化を図る技術として、例えば、誘電材料や磁性材料から成る複数の層が積層されて構成される基体と、複数の層のうち所定の層に形成された内部電極により構成される放射電極と、放射電極の一端が接続され、基体の表面に形成された給電端側端子と、放射電極の他端が接続され、基体の表面に形成された開放端側端子とを含むチップ型アンテナが知られている(例えば、特許文献1、特許文献2及び特許文献3参照)。
【0007】
【特許文献1】特開平5−110257号公報
【特許文献2】特開平10−98322号公報
【特許文献3】特開2005−217633号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1等に記載の従来のチップ型アンテナでは、十分な小型化を図ることができない上に、広い送受信周波数帯域幅を実現することが困難であるため、広帯域を必要とする携帯電話等の移動体通信機に用いることができなかった。即ち、小型化と広帯域化を両立させることが困難であった。
【0009】
また、上記特許文献2及び3等に記載の従来のチップ型アンテナでも、更なる小型化の要請には十分に対応できていない。一方、上述したWCDMA方式に対応する携帯電話等に用いるチップ型アンテナとしては、例えば、1500MHz〜2500MHzという周波数帯域において、良好な放射特性を備える必要があるが、上記特許文献2及び3等に記載の従来のチップ型アンテナは、かかる周波数帯域において十分に良好な放射特性を備えるものではなかった。
【0010】
尚、従来のチップ型アンテナにおいて、基体の内部等に略螺旋状に形成される放射電極等の個々のチップの構成要素が厳密な対称性を有していない場合に、チップ型アンテナを製作する工程で積層体の反りを発生してしまう場合がある。また、チップ型アンテナを携帯電話等の内部の基板に実装するときの座りが悪いと、実装安定性に問題が生じる場合もある。
【0011】
本発明の第1の課題は、従来よりも更なる小型化が可能で、送受信周波数帯域幅が広く且つ当該広い送受信周波数帯域内において良好な放射特性が得られるチップ型アンテナを提供することにある。
【0012】
本発明の第2の課題は、チップ型アンテナを製作する工程で積層体の反りを発生してしまうことが無く、且つ、実装安定性にも優れたチップ型アンテナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決するために、本発明者は、より小型化が可能であると共に、放射特性の優れた広帯域のチップ型アンテナの構成を種々研究・検討した結果、従来のチップ型アンテナに比べ更なる小型化が可能で、広帯域において放射特性の優れたチップ型アンテナの構成を見出した。また、かかる構成のチップ型アンテナにより、製作工程での積層体の反りの発生を防止でき、実装安定性も向上させ得ることを見出した。
【0014】
即ち、上記課題を解決するため、本発明のチップ型アンテナは、誘電材料及び磁性材料の少なくとも一方から成る複数の層が積層されて構成される基体と、前記複数の層のうち所定の層に形成された内部電極により構成される放射電極と、前記放射電極の一端が接続され、前記基体の表面に形成された給電端側端子と、前記放射電極の他端が接続され、前記基体の表面に形成された開放端側端子とを含み、前記複数の層のうち、第1の層と第2の層には、複数の帯状の内部電極が所定のピッチで配設され、前記第1の層の帯状の内部電極と、前記第2の層の帯状の内部電極とは、前記積層方向の投影面内において交互に配置されるとともに、スルーホール電極により直列に接続されて、巻回軸が前記積層方向と直交する方向になるような略螺旋状の放射電極を構成しており、前記帯状の内部電極の幅が0.3mm〜0.7mmであることを特徴とする。
【0015】
かかる構成によれば、チップ型アンテナを従来よりも更に小型化することができる上に、広い送受信周波数帯域内において優れた放射特性が得られる。また、基体の内部に形成される放射電極等の個々のチップの構成要素が対称性を有するので、チップ型アンテナを製作する工程で積層体の反りを発生してしまうことが無く、且つ、実装安定性にも優れたチップ型アンテナが得られる。
【0016】
また。前記略螺旋状の放射電極の巻回数が3回以上4.5回以下であることを特徴とする。かかる構成によれば、放射電極が比較的少ない巻回数で形成されることからチップ型アンテナの更なる小型化が容易になる。
【0017】
また、前記第1の層の内部電極と前記第2の層の内部電極との間隔が450μm〜1000μmであることを特徴とする。かかる構成によれば、基体内で第1の層の内部電極と第2の層の内部電極とが上記の450μm〜1000μmの間隔内に収まることから、十分にチップ型アンテナの小型化が図れる。
【0018】
更に、VSWRが最小となる周波数が1500MHz〜2500MHzの範囲であり、VSWRが3以下となる帯域幅が200MHz以上であることを特徴とする。かかる構成によれば、特に、WCDMA通信方式に実用上有効な広い送受信周波数帯域内において放射特性の優れたチップ型アンテナを実現することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、チップ型アンテナの更なる小型化が可能な上に、広い送受信周波数帯域内において放射特性の優れたチップ型アンテナを得ることが可能である。また、チップ型アンテナを製作する工程で積層体に反りを発生してしまうことを防止でき、実装安定性にも優れたチップ型アンテナを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の実施形態に係るチップ型アンテナについて図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の一実施形態に係るチップ型アンテナの透視斜視図であり、図2は図1のチップ型アンテナの分解斜視図である。また、図3は図1のチップ型アンテナの複数の層それぞれにおける電極パターン(放射電極のパターン、スルーホール電極のパターン、裏面電極のパターン)の構成を示す図である。更に、図4は、図2及び図3に示す複数の層のうち、帯状の内部電極が配設された第2基体層(層No.2)202及び第11基体層(層No.11)211を拡大して示す図であり、(a)は第2基体層(層No.2)202の拡大図、(b)は第11基体層(層No.11)211の拡大図である。
【0021】
本発明の一実施形態に係るチップ型アンテナ100は、例えば、長さが4.5mm、幅が3.2mm、高さ(厚み)が1.0mmのチップ型(極薄小片型)に形成され、主として、携帯電話のWCDMA通信方式に対応する送受信周波数帯域を有する、いわゆるシングルバンドのアンテナである。このチップ型アンテナ100は、図1乃至図3に示すように、誘電材料及び磁性材料の少なくとも一方から成る複数のシート状の基体層201〜212が積層されて構成される基体200と、複数の基体層のうち所定の基体層に形成された内部電極301〜311により構成される放射電極300と、放射電極300の一端が接続され、基体200の表面に形成された給電端側端子400と、放射電極300の他端が接続され、基体200の表面に形成された開放端側端子500とを含んでいる。
【0022】
そして、本実施形態のチップ型アンテナ100の特徴は、複数の基体層のうち、第1の基体層211と第2の基体層202には、複数の帯状の内部電極301〜311が所定のピッチで配設され、第1の基体層211の帯状の内部電極301、303、305、307、309、311と第2の基体層202の帯状の内部電極302、304、306、308、310とは、複数の基体層201〜212の積層方向A(図2参照)の投影面内において交互に配置されるとともに、スルーホール電極601〜612により直列に接続されて、巻回軸が上記積層方向A(図2参照)と直交する方向になるような略螺旋状の放射電極300を構成していることにある。
【0023】
更に、本実施形態のチップ型アンテナ100は、各帯状の内部電極301〜311の幅が0.3mm〜0.7mmのうち所定の幅に形成されていること、略螺旋状の放射電極300の巻回数が3回以上4.5回以下に形成されていること、第1の基体層211の帯状の内部電極301、303、305、307、309、311と第2の基体層202の帯状の内部電極302、304、306、308、310との間隔が450μm〜1000μmのうち所定の間隔に形成されていること、VSWRが最小となる周波数が1500MHz〜2500MHzの範囲であり、VSWRが3以下となる帯域幅が200MHz以上であるように形成されていることも特徴としている。
【0024】
図1に示した本発明の一実施形態のチップ型アンテナ100の構成についてより詳細に説明する。基体200は、誘電材料又は磁性材料の少なくとも一方により、図1に示すように、全体として矩形片状に形成されている。この基体200は、例えばアルミナ、シリカ、マグネシウム等を含む高周波数において低損失なセラミックで作製されている。尚、基体200として誘電材料を使用する場合は、誘電率と誘電損失がアンテナ特性に大きく影響する。そして、基体200は、図2及び図3に示すように、複数の基体層が積層されて構成されており、具体的には、最上層(第1層)201から最下層(第12層)212まで12の基体層が積層されて構成されている。尚、図2では、上下の基体層と同様の構成を有する一部の基体層は図示を省略している。また、図2及び図3には、最下層(第12層)212の裏面の構成も併せて示す。ここで、図2では、最下層(第12層)212の裏面212Bの投影面212bを示している。
【0025】
これら複数の基体層201〜212それぞれの構成について簡単に述べる。最上層(第1基体層、層No.1)201は、図3に示すように、表面(上面)には放射電極、入出力電極、スルーホール電極等は形成されておらず、上蓋的な基体層、即ち、次に述べる第2基体層(層No.2)202の表面に形成される放射電極等を上面から覆って基体200中に埋設させる機能を有している。尚、最上層(第1基体層、層No.1)201の表面(上面)に符号201aで示しているのは、チップ型アンテナ100を基板等に実装する際に、例えば、供給端(給電端)側を示すために形成された目印であり、銅箔等で形成されている。尚、後述するように、基体200を構成する複数の基体層201〜212は、積層後、焼成により製作するが、この第1基体層(層No.1)201の焼成後の厚み(シート厚)は50μmである。
【0026】
第2基体層(層No.2)202には、図2及び図3に示すように、その上面に帯状の内部電極302、304、306、308、310が所定のピッチで配設されている。これら帯状の内部電極302、304、306、308、310の幅は、0.3mm〜0.7mmのうち所定の幅に形成されている。また、図4(a)に示すように、帯状の内部電極302、304、306、308、310は、その両端にそれぞれ逆方向に突出したスルーホール電極接続部302aと302b、304aと304b、306aと306b、308aと308b、310aと310bを有している。これらスルーホール電極接続部302aと302b、304aと304b、306aと306b、308aと308b、310aと310bには、それぞれスルーホール電極601と602、603と604、605と606、607と608、609と610が形成されている。帯状の内部電極302、304、306、308、310は、スルーホール電極601と602、603と604、605と606、607と608、609と610を介して、後述する第11基体層(層No.11)211の帯状の内部電極301、303、305、307、309、311と電気的に接続されている。このように、第2基体層(層No.2)202は、複数の基体層201〜212のうち、帯状の内部電極302、304、306、308、310が所定のピッチで配設される「第2の層」を構成する。この第2基体層(層No.2)202の焼成後の厚み(シート厚)は50μmである。
【0027】
第3基体層(層No.3)203は、図2及び図3に示すように、表面(上面)には放射電極等は形成されておらず、当該第3基体層(層No.3)203の厚さ方向を貫通して上記スルーホール電極601と602、603と604、605と606、607と608、609と610(図2では符号を省略する)が形成されている。この第3基体層(層No.3)203の焼成後の厚み(シート厚)は50μmである。
【0028】
第4基体層(層No.4)204、第5基体層(層No.5)205、第6基体層(層No.6)206、第7基体層(層No.7)207、第8基体層(層No.8)208、及び第9基体層(層No.9)209は、基体層の厚み(シート厚)が異なる以外は上述した第3基体層(層No.3)203と全く同様に構成されており、図2[第4基体層(層No.4)204のみ示す]及び図3に示すように、表面(上面)には放射電極等は形成されておらず、厚さ方向を貫通して上記スルーホール電極601と602、603と604、605と606、607と608、609と610(図2及び図3では符号を省略する)が形成されている。これら第4基体層(層No.4)204〜第9基体層(層No.9)209までは、各基体層とも、焼成後の厚み(シート厚)は100μmである。
【0029】
第10基体層(層No.10)210は、基体層の厚み(シート厚)を含めて上述した第3基体層(層No.3)203と全く同様に構成されており、図2及び図3に示すように、表面(上面)には放射電極等は形成されておらず、厚さ方向を貫通して上記スルーホール電極601と602、603と604、605と606、607と608、609と610(図2では符号を省略する)が形成されている。この第10基体層(層No.10)210の焼成後の厚み(シート厚)は50μmである。
【0030】
第11基体層(層No.11)211には、図2及び図3に示すように、その上面に帯状の内部電極301、303、305、307、309、311が所定のピッチで配設されている。このように、この第11基体層(層No.11)211は、複数の基体層201〜213のうち、帯状の内部電極301、303、305、307、309、311が所定のピッチで配設される「第1の層」を構成する。これら帯状の内部電極301、303、305、307、309、311の幅は、0.3mm〜0.7mmのうち所定の幅に形成されている。また、帯状の内部電極309は放射電極の一部としての給電端側(放射)電極を構成し、一方、帯状の内部電極311は放射電極の一部としての開放端側(放射)電極を構成している。帯状の内部電極(給電端側電極)309は、図4(b)に示すように、その端部にスルーホール電極接続部309aを有しており、一方、帯状の内部電極(開放端側電極)311は、その端部にスルーホール電極接続部311aを有している。図2に示すように、帯状の内部電極(給電端側電極)309のスルーホール電極接続部309aは、スルーホール電極611を介して、後述する第12基体層(層No.12)212の下面(基体200の裏面)に形成された給電端側端子400に接続されている。一方、帯状の内部電極(開放端側電極)311は、スルーホール電極612を介して、第12基体層(層No.12)212の下面212B(基体200の裏面)に形成された開放端側端子500に接続されている。これにより、図2に示すように、基体200の表面に形成された給電端側端子400に放射電極300の一端が接続される一方、同じく開放端側端子500に放射電極300の他端が接続され、且つ、第1の基体層211の帯状の内部電極301、303、305、307、309、311と第2の基体層202の帯状の内部電極302、304、306、308、310とが積層方向A(図2参照)の投影面内において交互に配置されるとともに、スルーホール電極601〜612により直列に接続されて、巻回軸が上記積層方向Aと直交する方向になるような略螺旋状の放射電極300を構成している。この第11基体層(層No.11)211の焼成後の厚み(シート厚)は50μmである。
【0031】
第12基体層(層No.12)212は、基体200の最下層であり、従って、その下面(裏面)212Bはチップ型アンテナ100の実装面を構成する。まず、この第12基体層(層No.12)212の表面(上面)212Aには、図2及び図3に示すように、放射電極等は形成されておらず、当該第12基体層(層No.12)212の厚さ方向を貫通してスルーホール電極611とスルーホール電極612が形成されている。また、この第12基体層(層No.12)212の下面(裏面)212Bには、図2及び図3に示すように、長手方向の端部に、それぞれ給電端側端子400、開放端側端子500が形成されている。これら給電端側端子400、開放端側端子500は、それぞれスルーホール電極611、スルーホール電極612に接続されている。
【0032】
更に、第12基体層(層No.12)212の下面(裏面)212Bには、図2及び図3に示すように、給電端側端子400及び開放端側端子500とは離間して補強用端子701〜712が形成されている。この補強用端子701〜712は、電気的な接続を取るものではなく、チップ型アンテナ100の実装面となる第12基体層(層No.12)212の下面(裏面)212Bが基板等から剥がれてしまうのを防止するために接着強度を高める端子である。従って、第12基体層(層No.12)212の下面(裏面)212Bの周縁側に沿って形成されており、給電端側端子400と開放端側端子500が形成されている部分を除いた、幅方向の端部に等間隔に形成されている。尚、第12基体層(層No.12)212の焼成後の厚み(シート厚)は50μmである。
【0033】
以上の構成によれば、図1乃至図4に示した本発明の一実施形態に係るチップ型アンテナ100においては、第1の層211の帯状の内部電極301、303、305、307、309、311と第2の層202の帯状の内部電極302、304、306、308、310との間隔(積層方向Aにおける間隔)は750μmになるように形成されている。尚、本発明のチップ型アンテナとしては、この間隔は450μm〜1000μmのうち所定の間隔に形成されているのが望ましい。
【0034】
以上のように、本実施形態のチップ型アンテナ100は、複数のシート状の基体層201〜212と、それに形成されたスルーホール電極601〜612、帯状の内部電極301〜311、給電端側端子400、開放端側端子500、及び補強用端子701〜712とを有する。各シート状の基体層201〜212は、例えば、低温焼成が可能なセラミック又は樹脂等の誘電体材料からなるグリーンシートにより形成する。また、各帯状の内部電極301〜311、給電端側端子400、開放端側端子500、及び補強用端子701〜712は、Ag又はCuを主体とする導電ペーストの印刷により形成する。各シート状の基体層201〜212を第1層〜第12層まで上述したように配置し積層した後、焼成することにより、図1乃至図4に示した多層のチップ型アンテナ100が得られる。
【0035】
さて、本発明者は、パラメータとして帯状の内部電極301〜311等の幅、これら帯状の内部電極301〜311等から構成される略螺旋状の放射電極300の電極長、略螺旋状の放射電極300の巻回数をそれぞれ変化させたチップ型アンテナを試作し、そのアンテナ特性を測定してみた。尚、以下に示す実施例1〜12までのチップ型アンテナでは、図1乃至図4に示したチップ型アンテナ100と帯状の内部電極の数等が異なる場合があるが、略同様の参照符号を用いて説明する。
【0036】
即ち、帯状の内部電極の電極幅、帯状の内部電極(等から構成される放射電極)の電極長、帯状の内部電極の電極間ピッチ、略螺旋状の放射電極の巻回数(従って、帯状の内部電極の数)を、図5、図9、図13、図17に示すように様々に変化させた実施例1〜12について、そのアンテナ特性を評価するために周波数に対する電圧定在波比(Voltage Standing Wave Ratio、以下、VSWRと言う)を測定した。図6乃至図8、図10乃至図12、図14乃至図16、図18乃至図20は、それぞれ実施例1〜12までのチップ型アンテナのVSWRと周波数の関係を表すグラフである。
【0037】
図5は、本発明の実施形態に係るチップ型アンテナの実施例の電極構成を示す図であり、(a)は実施例1、(b)は実施例2、(c)は実施例3、の電極構成をそれぞれ示す。
【0038】
実施例1のチップ型アンテナは、「第1の層」としての第11基体層(層No.11)211に配設される帯状の内部電極と「第2の層」としての第2基体層(層No.2)202に配設される帯状の内部電極を、それぞれ図5(a)に示す電極形状に形成し、同図に示すピッチで配置した。即ち、この実施例1のチップ型アンテナでは、第2基体層(層No.2)202の上面には、帯状の内部電極302a、304a、306a、308aが所定のピッチで配設されている。尚、帯状の内部電極306aと308aは、第2基体層(層No.2)202の幅方向の中央でスルーホール電極と接続されており、向きは異なるがそれぞれがL字形状に形成されている。即ち、この実施例1のチップ型アンテナは、第2基体層(層No.2)202の上面に配設された帯状の内部電極306a、308aが、それぞれスルーホール電極を介して図2及び図3に示した給電端側端子400、開放端側端子500と接続されている。従って、第2基体層(層No.2)202の上面に配設された帯状の内部電極306a、308aが、スルーホール電極接続部を有する給電端側電極、開放端側電極を構成する。
【0039】
一方、第11基体層(層No.11)211の上面には、図5(a)に示すように、帯状の内部電極301a、303a、305aが所定のピッチで配設されている。そして、第2基体層(層No.2)202の上面に配設された帯状の内部電極302a、304a、306a、308aと第11基体層(層No.11)211の上面に配設された帯状の内部電極301a、303a、305aが、スルーホール電極601〜606[図5(a)には図示せず、また、図1乃至図4に示したスルーホール電極601〜606の位置とは異なる場合がある(以下同じ)]を介して接続されることにより、略螺旋状の放射電極300を構成している。この実施例1のチップ型アンテナでは、各帯状の内部電極302a、304a、306a、308aの電極幅と各帯状の内部電極301a、303a、305aの電極幅は、いずれも0.3mmに形成した。また、略螺旋状の放射電極300の巻回数は、図5(a)から分かるように、3回であり、放射電極300の電極長は比較的短いものとした。
【0040】
この実施例1のチップ型アンテナについて、周波数に対するVSWRを測定した結果を図6に示す。図6(a)は、実施例1のチップ型アンテナのVSWRと周波数の関係を表すグラフであり、図6(b)は、その横軸の周波数の目盛りを拡大して示したものである。VSWRは、アンテナに送られる送信電力の反射の程度を表す値であり、この縦軸のVSWRの値が小さい(1に近い)程、反射が少なく投入した電力が効率よくアンテナに伝わるためアンテナ特性が優れていることを表しており、同図に示すように、ある周波数帯域でVSWRの値が示される。
【0041】
図6(a)及び(b)に示すグラフの解析結果から、この実施例1のチップ型アンテナでは、VSWRが最小となる(グラフの曲線が最も1に近くなる)周波数が、約2064MHzであり、VSWRが3以下となる帯域幅が約1941MHz〜約2170MHzまで約229MHzの幅だけ確保されていることが分かった。従って、対象とするUMTS帯域に略対応する、広い周波数帯域においてVSWRが3以下となる良好な放射特性が得られることを確認することができた。
【0042】
実施例2のチップ型アンテナは、「第1の層」としての第11基体層(層No.11)211に配設される帯状の内部電極と「第2の層」としての第2基体層(層No.2)202に配設される帯状の内部電極を、それぞれ図5(b)に示す電極形状に形成し、同図に示すピッチで配置した。即ち、この実施例2のチップ型アンテナでは、第2基体層(層No.2)202の上面には、帯状の内部電極302b、304b、306b、308bが配設されている。尚、帯状の内部電極306bと308bは、第2基体層(層No.2)202の幅方向の中央でスルーホール電極と接続されており、向きは異なるがそれぞれがL字形状に形成されているのは実施例1のチップ型アンテナと同様である。即ち、この実施例2のチップ型アンテナも、第2基体層(層No.2)202の上面に配設された帯状の内部電極306b、308bが、それぞれスルーホール電極を介して図2及び図3に示した給電端側端子400、開放端側端子500と接続されている。従って、第2基体層(層No.2)202の上面に配設された帯状の内部電極306b、308bが、スルーホール電極接続部を有する給電端側電極、開放端側電極を構成する。
【0043】
一方、第11基体層(層No.11)211の上面には、図5(b)に示すように、帯状の内部電極301b、303b、305bが配設されている。そして、第2基体層(層No.2)202の上面に配設された帯状の内部電極302b、304b、306b、308bと第11基体層(層No.11)211の上面に配設された帯状の内部電極301b、303b、305bが、スルーホール電極601〜606[図5(b)には図示せず]を介して接続されることにより、略螺旋状の放射電極300を構成している。この実施例2のチップ型アンテナでは、各帯状の内部電極302b、304b、306b、308bの電極幅と各帯状の内部電極301b、303b、305bの電極幅は、いずれも0.5mmに形成した。
【0044】
一方、略螺旋状の放射電極300の巻回数は、図5(b)から分かるように、実施例1のチップ型アンテナと同様に3回であり、放射電極300の電極長も実施例1のチップ型アンテナと同様に比較的短いものとした。従って、この実施例2のチップ型アンテナでは、「第1の層」としての第11基体層(層No.11)211に配設される帯状の内部電極と「第2の層」としての第2基体層(層No.2)202に配設される帯状の内部電極の形状は実施例1のチップ型アンテナと略同様であるが、各電極幅が実施例1の5/3倍に広くなっている。そのため、図5(a)及び(b)から明らかなように、「第1の層」としての第11基体層(層No.11)211に配設される帯状の内部電極と「第2の層」としての第2基体層(層No.2)202に配設される帯状の内部電極は、実施例1のチップ型アンテナと同様に、複数の基体層201〜213の積層方向A(図2参照)の投影面内において交互に配置されているが、図5(a)に示す実施例1のチップ型アンテナに比べて図5(b)に示す実施例2のチップ型アンテナでは、該投影面内において両者の電極の間隔がより狭くなっている。
【0045】
この実施例2のチップ型アンテナについて、周波数に対するVSWRを測定した結果を図7に示す。図7(a)は、実施例2のチップ型アンテナのVSWRと周波数の関係を表すグラフであり、図7(b)は、その横軸の周波数の目盛りを拡大して示したものである。VSWRは、アンテナに送られる送信電力の反射の程度を表す値であり、この縦軸のVSWRの値が小さい(1に近い)程、反射が少なく投入した電力が効率よくアンテナに伝わるためアンテナ特性が優れていることを表しており、同図に示すように、ある周波数帯域でVSWRの値が示される。
【0046】
図7(a)及び(b)に示すグラフの解析結果から、この実施例2のチップ型アンテナでは、VSWRが最小となる(グラフの曲線が最も1に近くなる)周波数が、約2157MHzであり、VSWRが3以下となる帯域幅が約2018MHz〜約2280MHzまで約262MHzの幅だけ確保されていることが分かった。従って、対象とするUMTS帯域に略対応する、広い周波数帯域においてVSWRが3以下となる良好な放射特性が得られることを確認することができた。
【0047】
実施例3のチップ型アンテナは、「第1の層」としての第11基体層(層No.11)211に配設される帯状の内部電極と「第2の層」としての第2基体層(層No.2)202に配設される帯状の内部電極を、それぞれ図5(c)に示す電極形状に形成し、同図に示すピッチで配置した。即ち、この実施例3のチップ型アンテナでは、第2基体層(層No.2)202の上面には、帯状の内部電極302c、304c、306c、308cが配設されている。尚、帯状の内部電極306cと308cは、第2基体層(層No.2)202の幅方向の中央でスルーホール電極と接続されており、向きは異なるがそれぞれがL字形状に形成されているのは実施例1及び2のチップ型アンテナと同様である。即ち、この実施例3のチップ型アンテナは、第2基体層(層No.2)202の上面に配設された帯状の内部電極306c、308cが、それぞれスルーホール電極を介して図2及び図3に示した給電端側端子400、開放端側端子500と接続されている。従って、第2基体層(層No.2)202の上面に配設された帯状の内部電極306c、308cが、スルーホール電極接続部を有する給電端側電極、開放端側電極を構成する。
【0048】
一方、第11基体層(層No.11)211の上面には、図5(c)に示すように、帯状の内部電極301c、303c、305cが配設されている。そして、第2基体層(層No.2)202の上面に配設された帯状の内部電極302c、304c、306c、308cと第11基体層(層No.11)211の上面に配設された帯状の内部電極301c、303c、305cが、スルーホール電極601〜606[図5(c)には図示せず]を介して接続されることにより、略螺旋状の放射電極300を構成している。この実施例3のチップ型アンテナでは、各帯状の内部電極302c、304c、306c、308cの電極幅と各帯状の内部電極301c、303c、305cの電極幅は、いずれも0.7mmに形成した。一方、略螺旋状の放射電極300の巻回数は、図5(c)から分かるように、実施例1及び2のチップ型アンテナと同様に3回であり、放射電極300の電極長も実施例1及び2のチップ型アンテナと同様に比較的短いものとした。
【0049】
従って、この実施例3のチップ型アンテナでは、「第1の層」としての第11基体層(層No.11)211に配設される帯状の内部電極と「第2の層」としての第2基体層(層No.2)202に配設される帯状の内部電極の形状は実施例1及び2のチップ型アンテナと略同様であるが、各電極幅が実施例1の7/3倍、実施例2の7/5倍に広くなっている。そのため、図5(a)、(b)及び(c)から明らかなように、「第1の層」としての第11基体層(層No.11)211に配設される帯状の内部電極と「第2の層」としての第2基体層(層No.2)202に配設される帯状の内部電極は、実施例1及び2のチップ型アンテナと同様に、複数の基体層201〜213の積層方向A(図2参照)の投影面内において交互に配置されているが、図5(c)に示す実施例3のチップ型アンテナでは、該投影面内において両者の電極の間隔は無くなり、一部重なり合っている。
【0050】
この実施例3のチップ型アンテナについて、周波数に対するVSWRを測定した結果を図8に示す。図8(a)は、実施例3のチップ型アンテナのVSWRと周波数の関係を表すグラフであり、図8(b)は、その横軸の周波数の目盛りを拡大して示したものである。VSWRは、アンテナに送られる送信電力の反射の程度を表す値であり、この縦軸のVSWRの値が小さい(1に近い)程、反射が少なく投入した電力が効率よくアンテナに伝わるためアンテナ特性が優れていることを表しており、同図に示すように、ある周波数帯域でVSWRの値が示される。
【0051】
図8(a)及び(b)に示すグラフの解析結果から、この実施例3のチップ型アンテナでは、VSWRが最小となる(グラフの曲線が最も1に近くなる)周波数が、約2261MHzであり、VSWRが3以下となる帯域幅が約2108MHz〜約2402MHzまで約294MHzの幅だけ確保されていることが分かった。従って、広い周波数帯域においてVSWRが3以下となる良好な放射特性が得られることを確認することができた。また、VSWRが3以下となる帯域幅は、やや高周波側にシフトしているが、対象とするUMTS帯域に略対応し、実用上十分な周波数帯域であることが分かった。
【0052】
図9は、本発明の実施形態に係るチップ型アンテナの実施例の電極構成を示す図であり、(d)は実施例4、(e)は実施例5、(f)は実施例6、の電極構成をそれぞれ示す。
【0053】
実施例4のチップ型アンテナは、「第1の層」としての第11基体層(層No.11)211に形成される帯状の内部電極と「第2の層」としての第2基体層(層No.2)202に形成される帯状の内部電極を、それぞれ図9(d)に示す電極形状に形成し、同図に示すピッチで配置した。即ち、この実施例4のチップ型アンテナでは、第2基体層(層No.2)202の上面には、帯状の内部電極302d、304d、306d、308dが形成されている。一方、第11基体層(層No.11)211の上面には、図9(d)に示すように、帯状の内部電極301d、303d、305d、307d、309dが形成されている。尚、帯状の内部電極307dと309dは、第11基体層(層No.11)211の幅方向の中央でスルーホール電極(図示せず)と接続されており、他の帯状の内部電極301d、303d、305dに対して略半分の長さに形成されている。
【0054】
即ち、この実施例4のチップ型アンテナは、第11基体層(層No.11)211の上面に形成された帯状の内部電極307d、309dが、それぞれスルーホール電極611、612(図2参照)を介して図2及び図3に示した給電端側端子400、開放端側端子500と接続されている。従って、第11基体層(層No.11)211の上面に形成された帯状の内部電極307d、309dが、スルーホール電極接続部を有する給電端側電極、開放端側電極を構成する。そして、第2基体層(層No.2)202の上面に形成された帯状の内部電極302d、304d、306d、308dと第11基体層(層No.11)211の上面に形成された帯状の内部電極301d、303d、305dが、スルーホール電極601〜608(図示せず)を介して接続されることにより、略螺旋状の放射電極300を構成している。この実施例4のチップ型アンテナでは、各帯状の内部電極302d、304d、306d、308d及び301d、303d、305d、307d、309dの電極幅は、0.3mmに形成した。また、略螺旋状の放射電極300の巻回数は、図9(d)から分かるように、4回であり、放射電極300の電極長は実施例1〜3のチップ型アンテナよりは長いものとした。
【0055】
この実施例4のチップ型アンテナについて、周波数に対するVSWRを測定した結果を図10に示す。図10(a)は、実施例4のチップ型アンテナのVSWRと周波数の関係を表すグラフであり、図10(b)は、その横軸の周波数の目盛りを拡大して示したものである。VSWRは、アンテナに送られる送信電力の反射の程度を表す値であり、この縦軸のVSWRの値が小さい(1に近い)程、反射が少なく投入した電力が効率よくアンテナに伝わるためアンテナ特性が優れていることを表しており、同図に示すように、ある周波数帯域でVSWRの値が示される。
【0056】
図10(a)及び(b)に示すグラフの解析結果から、この実施例4のチップ型アンテナでは、VSWRが最小となる(グラフの曲線が最も1に近くなる)周波数が、約1931MHzであり、VSWRが3以下となる帯域幅が約1830MHz〜約2020MHzまで約190MHzの幅だけ確保されていることが分かった。従って、約190MHzという広い周波数帯域においてVSWRが3以下となる良好な放射特性が得られることを確認することができた。但し、VSWRが最小となる(グラフの曲線が最も1に近くなる)周波数が約1931MHzというようにやや低周波側にシフトしており、また、VSWRが3以下となる帯域幅が約190MHzというように約200MHz以上の幅は確保できなかった。
【0057】
実施例5のチップ型アンテナは、「第1の層」としての第11基体層(層No.11)211に形成される帯状の内部電極と「第2の層」としての第2基体層(層No.2)202に形成される帯状の内部電極を、それぞれ図9(e)に示す電極形状に形成し、同図に示すピッチで配置した。即ち、この実施例5のチップ型アンテナでは、第2基体層(層No.2)202の上面には、帯状の内部電極302e、304e、306e、308eが形成されている。一方、第11基体層(層No.11)211の上面には、図9(e)に示すように、帯状の内部電極301e、303e、305e、307e、309eが形成されている。尚、帯状の内部電極307eと309eは、第11基体層(層No.11)211の幅方向の中央でスルーホール電極(図示せず)と接続されており、他の帯状の内部電極301e、303e、305eに対して略半分の長さに形成されているのは実施例4のチップ型アンテナと同様である。
【0058】
即ち、この実施例5のチップ型アンテナは、第11基体層(層No.11)211の上面に形成された帯状の内部電極307e、309eが、それぞれスルーホール電極611、612(図2参照)を介して図2及び図3に示した給電端側端子400、開放端側端子500と接続されている。従って、第11基体層(層No.11)211の上面に形成された帯状の内部電極307e、309eが、スルーホール電極接続部を有する給電端側電極、開放端側電極を構成する。そして、第2基体層(層No.2)202の上面に形成された帯状の内部電極302e、304e、306e、308eと第11基体層(層No.11)211の上面に形成された帯状の内部電極301e、303e、305eが、スルーホール電極601〜608(図示せず)を介して接続されることにより、略螺旋状の放射電極300を構成している。この実施例5のチップ型アンテナでは、各帯状の内部電極302e、304e、306e、308eの電極幅と各帯状の内部電極301e、303e、305e、307e、309eの電極幅は、いずれも0.5mmに形成した。
【0059】
一方、略螺旋状の放射電極300の巻回数は、図9(e)から分かるように、実施例4のチップ型アンテナと同様に4回であり、放射電極300の電極長も、実施例4のチップ型アンテナと同様に、実施例1〜3のチップ型アンテナよりは長いものとした。従って、この実施例5のチップ型アンテナでは、「第1の層」としての第11基体層(層No.11)211に配設される帯状の内部電極と「第2の層」としての第2基体層(層No.2)202に配設される帯状の内部電極の形状は実施例4のチップ型アンテナと略同様であるが、各電極幅が実施例4の5/3倍に広くなっている。そのため、図9(d)及び(e)から明らかなように、「第1の層」としての第11基体層(層No.11)211に配設される帯状の内部電極と「第2の層」としての第2基体層(層No.2)202に配設される帯状の内部電極は、実施例4のチップ型アンテナと同様に、複数の基体層201〜213の積層方向A(図2参照)の投影面内において交互に配置されているが、図9(d)に示す実施例4のチップ型アンテナに比べて図9(e)に示す実施例5のチップ型アンテナでは、該投影面内において両者の電極の間隔がより狭くなっている。
【0060】
この実施例5のチップ型アンテナについて、周波数に対するVSWRを測定した結果を図11に示す。図11(a)は、実施例5のチップ型アンテナのVSWRと周波数の関係を表すグラフであり、図11(b)は、その横軸の周波数の目盛りを拡大して示したものである。VSWRは、アンテナに送られる送信電力の反射の程度を表す値であり、この縦軸のVSWRの値が小さい(1に近い)程、反射が少なく投入した電力が効率よくアンテナに伝わるためアンテナ特性が優れていることを表しており、同図に示すように、ある周波数帯域でVSWRの値が示される。
【0061】
図11(a)及び(b)に示すグラフの解析結果から、この実施例5のチップ型アンテナでは、VSWRが最小となる(グラフの曲線が最も1に近くなる)周波数が、約2044MHzであり、VSWRが3以下となる帯域幅が約1916MHz〜約2136MHzまで約212MHzの幅だけ確保されていることが分かった。従って、対象とするUMTS帯域に略対応する、広い周波数帯域においてVSWRが3以下となる良好な放射特性が得られることを確認することができた。
【0062】
実施例6のチップ型アンテナは、「第1の層」としての第11基体層(層No.11)211に形成される帯状の内部電極と「第2の層」としての第2基体層(層No.2)202に形成される帯状の内部電極を、それぞれ図9(f)に示す電極形状に形成し、同図に示すピッチで配置した。即ち、この実施例6のチップ型アンテナでは、第2基体層(層No.2)202の上面には、帯状の内部電極302f、304f、306f、308fが形成されている。一方、第11基体層(層No.11)211の上面には、図9(f)に示すように、帯状の内部電極301f、303f、305f、307f、309fが形成されている。尚、帯状の内部電極307fと309fは、第11基体層(層No.11)211の幅方向の中央でスルーホール電極(図示せず)と接続されており、他の帯状の内部電極301f、303f、305fに対して略半分の長さに形成されているのは実施例4及び5のチップ型アンテナと同様である。
【0063】
即ち、この実施例6のチップ型アンテナは、第11基体層(層No.11)211の上面に形成された帯状の内部電極307f、309fが、それぞれスルーホール電極611、612(図2参照)を介して図2及び図3に示した給電端側端子400、開放端側端子500と接続されている。従って、第11基体層(層No.11)211の上面に形成された帯状の内部電極307f、309fが、スルーホール電極接続部を有する給電端側電極、開放端側電極を構成する。そして、第2基体層(層No.2)202の上面に形成された帯状の内部電極302f、304f、306f、308fと第11基体層(層No.11)211の上面に形成された帯状の内部電極301f、303f、305fが、スルーホール電極601〜608(図示せず)を介して接続されることにより、略螺旋状の放射電極300を構成している。この実施例6のチップ型アンテナでは、各帯状の内部電極302f、304f、306f、308fの電極幅と各帯状の内部電極301f、303f、305f、307f、309fの電極幅は、いずれも0.7mmに形成した。
【0064】
一方、略螺旋状の放射電極300の巻回数は、図9(f)から分かるように、実施例4及び5のチップ型アンテナと同様に4回であり、放射電極300の電極長も、実施例4及び5のチップ型アンテナと同様に、実施例1〜3のチップ型アンテナよりは長いものとした。従って、この実施例6のチップ型アンテナでは、「第1の層」としての第11基体層(層No.11)211に配設される帯状の内部電極と「第2の層」としての第2基体層(層No.2)202に配設される帯状の内部電極の形状は実施例4及び5のチップ型アンテナと略同様であるが、各電極幅が実施例4の7/3倍、実施例5の7/5倍に広くなっている。そのため、図9(d)、(e)及び(f)から明らかなように、「第1の層」としての第11基体層(層No.11)211に配設される帯状の内部電極と「第2の層」としての第2基体層(層No.2)202に配設される帯状の内部電極は、実施例4及び5のチップ型アンテナと同様に、複数の基体層201〜213の積層方向A(図2参照)の投影面内において交互に配置されているが、図9(f)に示す実施例6のチップ型アンテナでは、該投影面内において両者の電極の間隔は無くなり、一部重なり合っている。
【0065】
この実施例6のチップ型アンテナについて、周波数に対するVSWRを測定した結果を図12に示す。図12(a)は、実施例6のチップ型アンテナのVSWRと周波数の関係を表すグラフであり、図12(b)は、その横軸の周波数の目盛りを拡大して示したものである。VSWRは、アンテナに送られる送信電力の反射の程度を表す値であり、この縦軸のVSWRの値が小さい(1に近い)程、反射が少なく投入した電力が効率よくアンテナに伝わるためアンテナ特性が優れていることを表しており、同図に示すように、ある周波数帯域でVSWRの値が示される。
【0066】
図12(a)及び(b)に示すグラフの解析結果から、この実施例6のチップ型アンテナでは、VSWRが最小となる(グラフの曲線が最も1に近くなる)周波数が、約2103MHzであり、VSWRが3以下となる帯域幅が約1976MHz〜約2207MHzまで約223MHzの幅だけ確保されていることが分かった。従って、対象とするUMTS帯域に略対応する、広い周波数帯域においてVSWRが3以下となる良好な放射特性が得られることを確認することができた。
【0067】
図13は、本発明の実施形態に係るチップ型アンテナの実施例の電極構成を示す図であり、(g)は実施例7、(h)は実施例8、(i)は実施例9、の電極構成をそれぞれ示す。
【0068】
実施例7のチップ型アンテナは、「第1の層」としての第11基体層(層No.11)211に形成される帯状の内部電極と「第2の層」としての第2基体層(層No.2)202に形成される帯状の内部電極を、それぞれ図13(g)に示すように形成した。即ち、この実施例7のチップ型アンテナでは、第2基体層(層No.2)202の上面には、帯状の内部電極302g、304g、306g、308gが形成されている。一方、第11基体層(層No.11)211の上面には、図13(g)に示すように、帯状の内部電極301g、303g、305g、307g、309gが形成されている。尚、帯状の内部電極307gと309gは、第11基体層(層No.11)211の幅方向のそれぞれ略2/3まで伸長した箇所でスルーホール電極と接続されており、他の帯状の内部電極301g、303g、305gに対して略2/3の長さに形成されている。
【0069】
即ち、この実施例7のチップ型アンテナは、第11基体層(層No.11)211の上面に形成された帯状の内部電極307g、309gが、それぞれスルーホール電極611、612(図2参照)を介して図2及び図3に示した給電端側端子400、開放端側端子500と接続されている。従って、第11基体層(層No.11)211の上面に形成された帯状の内部電極307g、309gが、スルーホール電極接続部を有する給電端側電極、開放端側電極を構成する。そして、第2基体層(層No.2)202の上面に形成された帯状の内部電極302g、304g、306g、308gと第11基体層(層No.11)211の上面に形成された帯状の内部電極301g、303g、305gが、スルーホール電極601〜608(図示せず)を介して接続されることにより、略螺旋状の放射電極300を構成している。この実施例7のチップ型アンテナでは、各帯状の内部電極302g、304g、306g、308gの電極幅と各帯状の内部電極301g、303g、305g、307g、309gの電極幅は、いずれも0.3mmに形成した。また、略螺旋状の放射電極300の巻回数は、図13(g)から分かるように、4.5回であり、放射電極300の電極長は実施例4〜6のチップ型アンテナよりも更に長いものとした。
【0070】
この実施例7のチップ型アンテナについて、周波数に対するVSWRを測定した結果を図14に示す。図14(a)は、実施例7のチップ型アンテナのVSWRと周波数の関係を表すグラフであり、図14(b)は、その横軸の周波数の目盛りを拡大して示したものである。VSWRは、アンテナに送られる送信電力の反射の程度を表す値であり、この縦軸のVSWRの値が小さい(1に近い)程、反射が少なく投入した電力が効率よくアンテナに伝わるためアンテナ特性が優れていることを表しており、同図に示すように、ある周波数帯域でVSWRの値が示される。
【0071】
図14(a)及び(b)に示すグラフの解析結果から、この実施例7のチップ型アンテナでは、VSWRが最小となる(グラフの曲線が最も1に近くなる)周波数が、約1910MHzであり、VSWRが3以下となる帯域幅が約1808MHz〜約1991MHzまで約183MHzの幅だけ確保されていることが分かった。従って、広い周波数帯域においてVSWRが3以下となる良好な放射特性が得られることを確認することができた。但し、VSWRが3以下となる帯域幅は対象とするUMTS帯域に略対応する周波数帯域よりも低周波側にシフトしており、また、VSWRが3以下となる帯域幅が約183MHzというように約200MHz以上の幅は確保できなかった。
【0072】
実施例8のチップ型アンテナは、「第1の層」としての第11基体層(層No.11)211に形成される帯状の内部電極と「第2の層」としての第2基体層(層No.2)202に形成される帯状の内部電極を、それぞれ図13(h)に示すように形成した。即ち、この実施例8のチップ型アンテナでは、第2基体層(層No.2)202の上面には、帯状の内部電極302h、304h、306h、308hが形成されている。一方、第11基体層(層No.11)211の上面には、図13(h)に示すように、帯状の内部電極301h、303h、305h、307h、309hが形成されている。尚、帯状の内部電極307hと309hは、第11基体層(層No.11)211の幅方向のそれぞれ略2/3まで伸長した箇所でスルーホール電極と接続されており、他の帯状の内部電極301h、303h、305hに対して略2/3の長さに形成されているのは実施例7のチップ型アンテナと同様である。
【0073】
即ち、この実施例8のチップ型アンテナも、第11基体層(層No.11)211の上面に形成された帯状の内部電極307h、309hが、それぞれスルーホール電極611、612(図2参照)を介して図2及び図3に示した給電端側端子400、開放端側端子500と接続されている。従って、第11基体層(層No.11)211の上面に形成された帯状の内部電極307h、309hが、スルーホール電極接続部を有する給電端側電極、開放端側電極を構成する。そして、第2基体層(層No.2)202の上面に形成された帯状の内部電極302h、304h、306h、308hと第11基体層(層No.11)211の上面に形成された帯状の内部電極301h、303h、305hが、スルーホール電極601〜608(図示せず)を介して接続されることにより、略螺旋状の放射電極300を構成している。この実施例8のチップ型アンテナでは、各帯状の内部電極302h、304h、306h、308hの電極幅と各帯状の内部電極301h、303h、305h、307h、309hの電極幅は、いずれも0.5mmに形成した。一方、略螺旋状の放射電極300の巻回数は、図13(h)から分かるように、実施例7のチップ型アンテナと同様に4.5回であり、放射電極300の電極長も、実施例7のチップ型アンテナと同様に、実施例4〜6のチップ型アンテナよりも更に長いものとした。従って、この実施例8のチップ型アンテナでは、「第1の層」としての第11基体層(層No.11)211に配設される帯状の内部電極と「第2の層」としての第2基体層(層No.2)202に配設される帯状の内部電極の形状は実施例7のチップ型アンテナと略同様であるが、各電極幅が実施例7の5/3倍に広くなっている。そのため、図13(g)及び(h)から明らかなように、「第1の層」としての第11基体層(層No.11)211に配設される帯状の内部電極と「第2の層」としての第2基体層(層No.2)202に配設される帯状の内部電極は、実施例7のチップ型アンテナと同様に、複数の基体層201〜213の積層方向A(図2参照)の投影面内において交互に配置されているが、図13(g)に示す実施例7のチップ型アンテナに比べて図13(h)に示す実施例8のチップ型アンテナでは、該投影面内において両者の電極の間隔がより狭くなっている。
【0074】
この実施例8のチップ型アンテナについて、周波数に対するVSWRを測定した結果を図15に示す。図15(a)は、実施例8のチップ型アンテナのVSWRと周波数の関係を表すグラフであり、図15(b)は、その横軸の周波数の目盛りを拡大して示したものである。VSWRは、アンテナに送られる送信電力の反射の程度を表す値であり、この縦軸のVSWRの値が小さい(1に近い)程、反射が少なく投入した電力が効率よくアンテナに伝わるためアンテナ特性が優れていることを表しており、同図に示すように、ある周波数帯域でVSWRの値が示される。
【0075】
図15(a)及び(b)に示すグラフの解析結果から、この実施例8のチップ型アンテナでは、VSWRが最小となる(グラフの曲線が最も1に近くなる)周波数が、約2022MHzであり、VSWRが3以下となる帯域幅が約1898MHz〜約2111MHzまで約213MHzの幅だけ確保されていることが分かった。従って、広い周波数帯域においてVSWRが3以下となる良好な放射特性が得られることを確認することができた。また、VSWRが3以下となる帯域幅は対象とするUMTS帯域に略対応する周波数帯域であることが分かった。
【0076】
実施例9のチップ型アンテナは、「第1の層」としての第11基体層(層No.11)211に形成される帯状の内部電極と「第2の層」としての第2基体層(層No.2)202に形成される帯状の内部電極を、それぞれ図13(i)に示すように形成した。即ち、この実施例9のチップ型アンテナでは、第2基体層(層No.2)202の上面には、帯状の内部電極302i、304i、306i、308iが形成されている。一方、第11基体層(層No.11)211の上面には、図13(i)に示すように、帯状の内部電極301i、303i、305i、307i、309iが形成されている。尚、帯状の内部電極307iと309iは、第11基体層(層No.11)211の幅方向のそれぞれ略2/3まで伸長した箇所でスルーホール電極と接続されており、他の帯状の内部電極301i、303i、305iに対して略2/3の長さに形成されているのは実施例7及び8のチップ型アンテナと同様である。
【0077】
即ち、この実施例9のチップ型アンテナも、第11基体層(層No.11)211の上面に形成された帯状の内部電極307i、309iが、それぞれスルーホール電極611、612(図2参照)を介して図2及び図3に示した給電端側端子400、開放端側端子500と接続されている。従って、第11基体層(層No.11)211の上面に形成された帯状の内部電極307i、309iが、スルーホール電極接続部を有する給電端側電極、開放端側電極を構成する。そして、第2基体層(層No.2)202の上面に形成された帯状の内部電極302i、304i、306i、308iと第11基体層(層No.11)211の上面に形成された帯状の内部電極301i、303i、305iが、スルーホール電極601〜608(図示せず)を介して接続されることにより、略螺旋状の放射電極300を構成している。この実施例9のチップ型アンテナでは、各帯状の内部電極302i、304i、306i、308iの電極幅と各帯状の内部電極301i、303i、305i、307i、309iの電極幅は、いずれも0.7mmに形成した。一方、略螺旋状の放射電極300の巻回数は、図13(i)から分かるように、実施例7及び8のチップ型アンテナと同様に4.5回であり、放射電極300の電極長も、実施例7及び8のチップ型アンテナと同様に、実施例4〜6のチップ型アンテナよりも更に長いものとした。従って、この実施例9のチップ型アンテナでは、「第1の層」としての第11基体層(層No.11)211に配設される帯状の内部電極と「第2の層」としての第2基体層(層No.2)202に配設される帯状の内部電極の形状は実施例7及び8のチップ型アンテナと略同様であるが、各電極幅が実施例7の7/3倍、実施例8の7/5倍に広くなっている。そのため、図13(g)、(h)及び(i)から明らかなように、「第1の層」としての第11基体層(層No.11)211に配設される帯状の内部電極と「第2の層」としての第2基体層(層No.2)202に配設される帯状の内部電極は、実施例7及び8のチップ型アンテナと同様に、複数の基体層201〜213の積層方向A(図2参照)の投影面内において交互に配置されているが、図13(i)に示す実施例9のチップ型アンテナでは、該投影面内において両者の電極の間隔は無くなり、一部重なり合っている。
【0078】
この実施例9のチップ型アンテナについて、周波数に対するVSWRを測定した結果を図16に示す。図16(a)は、実施例9のチップ型アンテナのVSWRと周波数の関係を表すグラフであり、図16(b)は、その横軸の周波数の目盛りを拡大して示したものである。VSWRは、アンテナに送られる送信電力の反射の程度を表す値であり、この縦軸のVSWRの値が小さい(1に近い)程、反射が少なく投入した電力が効率よくアンテナに伝わるためアンテナ特性が優れていることを表しており、同図に示すように、ある周波数帯域でVSWRの値が示される。
【0079】
図16(a)及び(b)に示すグラフの解析結果から、この実施例9のチップ型アンテナでは、VSWRが最小となる(グラフの曲線が最も1に近くなる)周波数が、約2074MHzであり、VSWRが3以下となる帯域幅が約1947MHz〜約2178MHzまで約225MHzの幅だけ確保されていることが分かった。従って、広い周波数帯域においてVSWRが3以下となる良好な放射特性が得られることを確認することができた。また、VSWRが3以下となる帯域幅は対象とするUMTS帯域に略対応する周波数帯域であることが分かった。
【0080】
図17は、本発明の実施形態に係るチップ型アンテナの実施例の電極構成を示す図であり、(j)は実施例10、(k)は実施例11、(l)は実施例12、の電極構成をそれぞれ示す。
【0081】
実施例10のチップ型アンテナは、「第1の層」としての第11基体層(層No.11)211に形成される帯状の内部電極と「第2の層」としての第2基体層(層No.2)202に形成される帯状の内部電極を、それぞれ図17(j)に示すように形成した。即ち、この実施例10のチップ型アンテナでは、第2基体層(層No.2)202の上面には、帯状の内部電極302j、304j、306j、308j、310j、312jが形成されている。一方、第11基体層(層No.11)211の上面には、図17(j)に示すように、帯状の内部電極301j、303j、305j、307j、309j、311j、313jが形成されている。尚、帯状の内部電極311jと313jは、第11基体層(層No.11)211の幅方向のそれぞれ略2/3まで伸長した箇所でスルーホール電極と接続されており、他の帯状の内部電極301j、303j、305j、307j、309jに対して略2/3の長さに形成されている。
【0082】
即ち、この実施例10のチップ型アンテナは、第11基体層(層No.11)211の上面に形成された帯状の内部電極311j、313jが、それぞれスルーホール電極611、612(図2参照)を介して図2及び図3に示した給電端側端子400、開放端側端子500と接続されている。従って、第11基体層(層No.11)211の上面に形成された帯状の内部電極311j、313jが、スルーホール電極接続部を有する給電端側電極、開放端側電極を構成する。そして、第2基体層(層No.2)202の上面に形成された帯状の内部電極302j、304j、306j、308j、310j、312jと第11基体層(層No.11)211の上面に形成された帯状の内部電極301j、303j、305j、307j、309j、311j、313jが、スルーホール電極601〜612(図示せず)を介して接続されることにより、略螺旋状の放射電極300を構成している。この実施例10のチップ型アンテナでは、各帯状の内部電極302j、304j、306j、308j、310j、312jの電極幅と各帯状の内部電極301j、303j、305j、307j、309j、311j、313jの電極幅は、いずれも0.3mmに形成した。また、略螺旋状の放射電極300の巻回数は、図17(j)から分かるように、6.5回であり、放射電極300の電極長は実施例7〜9のチップ型アンテナよりも更に長いものとした。
【0083】
この実施例10のチップ型アンテナについて、周波数に対するVSWRを測定した結果を図18に示す。図18(a)は、実施例10のチップ型アンテナのVSWRと周波数の関係を表すグラフであり、図18(b)は、その横軸の周波数の目盛りを拡大して示したものである。VSWRは、アンテナに送られる送信電力の反射の程度を表す値であり、この縦軸のVSWRの値が小さい(1に近い)程、反射が少なく投入した電力が効率よくアンテナに伝わるためアンテナ特性が優れていることを表しており、同図に示すように、ある周波数帯域でVSWRの値が示される。
【0084】
図18(a)及び(b)に示すグラフの解析結果から、この実施例10のチップ型アンテナでは、VSWRが最小となる(グラフの曲線が最も1に近くなる)周波数が、約1590MHzであり、VSWRが3以下となる帯域幅が約1500MHz〜約1610MHzまで約150MHzの幅だけ確保されていることが分かった。従って、VSWRが3以下となる帯域幅は対象とするUMTS帯域に略対応する周波数帯域よりも大きく低周波側にシフトしていることが分かった。また、VSWRが3以下となる良好な放射特性が得られる帯域幅は、上述した実施例1〜9のチップ型アンテナに比べて狭いものになり、約150MHzというように約200MHz以上の幅は到底確保できなかった。
【0085】
実施例11のチップ型アンテナは、「第1の層」としての第11基体層(層No.11)211に形成される帯状の内部電極と「第2の層」としての第2基体層(層No.2)202に形成される帯状の内部電極を、それぞれ図17(k)に示すように形成した。即ち、この実施例11のチップ型アンテナでは、第2基体層(層No.2)202の上面には、帯状の内部電極302k、304k、306k、308k、310kが形成されている。一方、第11基体層(層No.11)211の上面には、図17(k)に示すように、帯状の内部電極301k、303k、305k、307k、309k、311kが形成されている。尚、帯状の内部電極309kと311kは、第11基体層(層No.11)211の幅方向のそれぞれ略2/3まで伸長した箇所でスルーホール電極と接続されており、他の帯状の内部電極301k、303k、305k、307kに対して略2/3の長さに形成されているのは実施例10のチップ型アンテナと同様である。
【0086】
即ち、この実施例11のチップ型アンテナも、第11基体層(層No.11)211の上面に形成された帯状の内部電極309k、311kが、それぞれスルーホール電極611、612(図2参照)を介して図2及び図3に示した給電端側端子400、開放端側端子500と接続されている。従って、第11基体層(層No.11)211の上面に形成された帯状の内部電極309k、311kが、スルーホール電極接続部を有する給電端側電極、開放端側電極を構成する。そして、第2基体層(層No.2)202の上面に形成された帯状の内部電極302k、304k、306k、308k、310kと第11基体層(層No.11)211の上面に形成された帯状の内部電極301k、303k、305k、307k、309k、311kが、スルーホール電極601〜610(図示せず)を介して接続されることにより、略螺旋状の放射電極300を構成している。この実施例11のチップ型アンテナでは、各帯状の内部電極302k、304k、306k、308k、310kの電極幅と各帯状の内部電極301k、303k、305k、307k、309k、311kの電極幅は、いずれも0.5mmに形成した。一方、略螺旋状の放射電極300の巻回数は、図17(k)から分かるように、5.5回であり、放射電極300の電極長は、実施例10のチップ型アンテナよりは短いが、実施例7〜9のチップ型アンテナよりは更に長いものとした。従って、この実施例11のチップ型アンテナでは、「第1の層」としての第11基体層(層No.11)211に配設される帯状の内部電極と「第2の層」としての第2基体層(層No.2)202に配設される帯状の内部電極の形状は実施例10のチップ型アンテナと略同様であるが、各電極幅が5/3倍に広くなっている。そして、上述した巻回数が5.5回と多い(帯状の内部電極の数が多い)ことから、図17(k)から明らかなように、「第1の層」としての第11基体層(層No.11)211に配設される帯状の内部電極と「第2の層」としての第2基体層(層No.2)202に配設される帯状の内部電極は、実施例10のチップ型アンテナと同様に、複数の基体層201〜213の積層方向A(図2参照)の投影面内において交互に配置されているが、図17(k)に示す実施例11のチップ型アンテナでは、該投影面内において両者の電極の間隔は無くなっている。
【0087】
この実施例11のチップ型アンテナについて、周波数に対するVSWRを測定した結果を図19に示す。図19(a)は、実施例11のチップ型アンテナのVSWRと周波数の関係を表すグラフであり、図19(b)は、その横軸の周波数の目盛りを拡大して示したものである。VSWRは、アンテナに送られる送信電力の反射の程度を表す値であり、この縦軸のVSWRの値が小さい(1に近い)程、反射が少なく投入した電力が効率よくアンテナに伝わるためアンテナ特性が優れていることを表しており、同図に示すように、ある周波数帯域でVSWRの値が示される。
【0088】
図19(a)及び(b)に示すグラフの解析結果から、この実施例11のチップ型アンテナでは、VSWRが最小となる(グラフの曲線が最も1に近くなる)周波数が、約1799MHzであり、VSWRが3以下となる帯域幅が約1708MHz〜約1857MHzまで約145MHzの幅だけ確保されていることが分かった。従って、VSWRが3以下となる帯域幅は対象とするUMTS帯域に略対応する周波数帯域よりも大きく低周波側にシフトしていることが分かった。また、VSWRが3以下となる良好な放射特性が得られる帯域幅は、上述した実施例1〜9のチップ型アンテナに比べて狭いものになり、約145MHzというように約200MHz以上の幅は到底確保できなかった。
【0089】
実施例12のチップ型アンテナは、「第1の層」としての第11基体層(層No.11)211に形成される帯状の内部電極と「第2の層」としての第2基体層(層No.2)202に形成される帯状の内部電極を、それぞれ図17(l)に示すように形成した。即ち、この実施例12のチップ型アンテナでは、第2基体層(層No.2)202の上面には、帯状の内部電極302l、304l、306l、308l、310l、312lが形成されている。一方、第11基体層(層No.11)211の上面には、図17(l)に示すように、帯状の内部電極301l、303l、305l、307l、309l、311lが形成されている。尚、帯状の内部電極312lは、第2基体層(層No.2)202の幅方向の略1/3まで伸長した箇所でスルーホール電極と接続されており、他の帯状の内部電極302l、304l、306l、308l、310lに対して略1/3の長さに形成されている。一方、帯状の内部電極311lは、第11基体層(層No.11)211の幅方向の略2/3まで伸長した箇所でスルーホール電極と接続されており、他の帯状の内部電極301l、303l、305l、307l、309lに対して略2/3の長さに形成されている。
【0090】
即ち、この実施例12のチップ型アンテナは、第11基体層(層No.11)211の上面に形成された帯状の内部電極311lが、スルーホール電極611(図2参照)を介して図2及び図3に示した給電端側端子400と接続されており、第2基体層(層No.2)202の上面に配設された帯状の内部電極312lが、スルーホール電極612(図2参照)を介して図2及び図3に示した開放端側端子500と接続されている。従って、第11基体層(層No.11)211の上面に形成された帯状の内部電極311lがスルーホール電極接続部を有する給電端側電極を構成する一方、第2基体層(層No.2)202の上面に配設された帯状の内部電極312lがスルーホール電極接続部を有する開放端側電極を構成する。尚、図2では給電端側電極と開放端側電極は、いずれも第11基体層(層No.11)211の上面に形成されているが、実施例12のチップ型アンテナでは、開放端側電極の方は第2基体層(層No.2)202の上面に形成されている。そして、第2基体層(層No.2)202の上面に形成された帯状の内部電極302l、304l、306l、308l、310l、312lと第11基体層(層No.11)211の上面に形成された帯状の内部電極301l、303l、305l、307l、309l、311lが、スルーホール電極601〜610(図示せず)を介して接続されることにより、略螺旋状の放射電極300を構成している。この実施例12のチップ型アンテナでは、各帯状の内部電極302l、304l、306l、308l、310l、312lの電極幅と各帯状の内部電極301l、303l、305l、307l、309l、311lの電極幅は、いずれも0.7mmに形成した。一方、略螺旋状の放射電極300の巻回数は、図17(l)から分かるように、5.5回であり、放射電極300の電極長も、実施例7〜9のチップ型アンテナよりも更に長いものとした。従って、この実施例12のチップ型アンテナでは、「第1の層」としての第11基体層(層No.11)211に配設される帯状の内部電極と「第2の層」としての第2基体層(層No.2)202に配設される帯状の内部電極の形状は実施例10及び11のチップ型アンテナと略同様であるが、各電極幅が実施例10の7/3倍、実施例11の7/5倍に広くなっている。そのため、図17(j)、(k)及び(l)から明らかなように、「第1の層」としての第11基体層(層No.11)211に配設される帯状の内部電極と「第2の層」としての第2基体層(層No.2)202に配設される帯状の内部電極は、実施例10及び11のチップ型アンテナと同様に、複数の基体層201〜213の積層方向A(図2参照)の投影面内において交互に配置されているが、図17(l)に示す実施例12のチップ型アンテナでは、該投影面内において両者の電極の間隔は無くなり、一部重なり合っている。
【0091】
この実施例12のチップ型アンテナについて、周波数に対するVSWRを測定した結果を図20に示す。図20(a)は、実施例12のチップ型アンテナのVSWRと周波数の関係を表すグラフであり、図20(b)は、その横軸の周波数の目盛りを拡大して示したものである。VSWRは、アンテナに送られる送信電力の反射の程度を表す値であり、この縦軸のVSWRの値が小さい(1に近い)程、反射が少なく投入した電力が効率よくアンテナに伝わるためアンテナ特性が優れていることを表しており、同図に示すように、ある周波数帯域でVSWRの値が示される。
【0092】
図20(a)及び(b)に示すグラフの解析結果から、この実施例12のチップ型アンテナでは、VSWRが最小となる(グラフの曲線が最も1に近くなる)周波数が、約1762MHzであり、VSWRが3以下となる帯域幅が約1674MHz〜約1821MHzまで約147MHzの幅だけ確保されていることが分かった。従って、VSWRが3以下となる帯域幅は対象とするUMTS帯域に略対応する周波数帯域よりも大きく低周波側にシフトしていることが分かった。また、VSWRが3以下となる良好な放射特性が得られる帯域幅は、上述した実施例1〜9のチップ型アンテナに比べて狭いものになり、約147MHzというように約200MHz以上の幅は到底確保できなかった。
【0093】
図21は、本発明の実施形態に係るチップ型アンテナの以上に述べた実施例1〜12の測定結果を示す表である。図21において、foはVSWRが最小値となる周波数を示す。また、帯域幅はVSWR<3となる周波数範囲を示す。尚、図21の表中において、斜線で示す範囲は、ほぼ特性を満足している結果を示したものである。
【0094】
図21から明らかなように、どの電極幅でも巻き数の増加によりfoは低くなり、帯域幅は略減少する傾向を示した。これは、巻き数の増加で隣接電極間隔が狭まり、結合容量が増加するので帯域幅が狭くなるためであると解される。また、同じ巻数で比較した場合、電極幅が大きいほど略foは高く、帯域幅は広がる傾向を示した。これは、電極幅の大きい方が、電極長が短くなるためであると解される。また、特にfo、帯域幅ともに満足する構造は、電極幅が0.5mm、巻き数が4.0回或いは4.5回であった。一方、電極幅が0.3mmならば巻数3回で良好な特性が得られ、電極幅が0.7mmならば巻数4.5回で良好な特性が得られた。
【0095】
図22は、本発明の実施形態のチップ型アンテナを実装基板に搭載した後の検査・調整方法を説明するための図であり、(a)はその導通検査方法、(b)はその中心周波数の調整方法を示す。上述したように、給電端側端子400及び開放端側端子500は、チップ型アンテナの実装面に形成されている。そこで、給電端側端子400及び開放端側端子500には、基体200内に形成された放射電極300の導通検査を行うための導通検査装置800が接続される。また、開放端側端子500には、周波数調整用の延長電極が接続される。
【0096】
即ち、本発明の実施形態のチップ型アンテナでは、給電端側端子400及び開放端側端子500がチップ型アンテナの実装面に形成されているので、基板810に給電端側端子400と接続される給電線路812、開放端側端子500と接続される導電パッド814を形成し、チップ型アンテナを給電端側端子400、開放端側端子500がそれぞれ上記給電線路812、導電パッド814に接続されるように配置して、図22(a)に示すように、それぞれ給電線路812、導電パッド814に、例えば、テスタのプローブ816、818を接続することにより、チップ型アンテナの導通検査を簡単に行うことができる。
【0097】
また、本発明の実施形態のチップ型アンテナでは、開放端側端子500がチップ型アンテナの実装面に形成されているので、図22(b)に示すように、基板810に開放端側端子500と接続される延長電極(周波数調整用の導体パターン)820を形成することにより、チップ型アンテナの中心周波数の調整を簡単に行うことができる。
【0098】
以上に述べたように、本発明のチップ型アンテナは、誘電材料及び磁性材料の少なくとも一方から成る基体を構成する複数の層のうち第1の層と第2の層に複数の帯状の内部電極が所定のピッチで、積層方向の投影面内において交互に配置されるとともに、スルーホール電極により直列に接続されて略螺旋状の放射電極を構成しており、それら帯状の内部電極の幅が0.3mm〜0.7mmである。
【0099】
かかる構成により、チップ型アンテナを従来よりも更に小型化することができる上に、広い送受信周波数帯域内において優れた放射特性が得られる。また。略螺旋状の放射電極の巻回数が3回以上4.5回以下であるので、放射電極が比較的少ない巻回数で形成されることからチップ型アンテナの更なる小型化が容易になる。更に、第1の層の内部電極と第2の層の内部電極との間隔が450μm〜1000μmであるので、基体内で第1の層の内部電極と第2の層の内部電極とが上記の450μm〜1000μmの間隔内に収まることから、十分にチップ型アンテナの小型化が図れる。
【0100】
更にまた、VSWRが最小となる周波数が1500MHz〜2500MHzの範囲であり、VSWRが3以下となる帯域幅が200MHz以上であるので、特に、WCDMA通信方式に実用上有効な広い送受信周波数帯域内において放射特性の優れたチップ型アンテナを実現することができる。
【0101】
また、本発明のチップ型アンテナは、基体内の放射電極を構成する第1の層の帯状の内部電極と第2の層の帯状の内部電極とが積層方向の投影面内において交互に配置されているので、基体内の略螺旋状の放射電極が対称性を有して形成されることから、チップ型アンテナを製作する工程で積層体の反りを発生し難くなる。その結果、チップ型アンテナを携帯電話等の内部の基板に実装するときの座りが良くなり、実装安定性が向上する。更に、チップ型アンテナの実装面を構成する第12基体層(層No.12)212の下面(裏面)には、図2及び図3に示すように、給電端側端子400及び開放端側端子500とは離間して補強用端子701〜712が形成されている。この補強用端子701〜712は、電気的な接続を取るものではなく、チップ型アンテナ100の実装面が基板等から剥がれてしまうのを防止するために接着強度を高める端子である。従って、第12基体層(層No.12)212の下面(裏面)の周縁側に沿って形成されており、給電端側端子400と開放端側端子500が形成されている部分を除いた、幅方向の端部に等間隔に形成されている。かかる構成によっても、チップ型アンテナを携帯電話等の内部の基板に実装するときの座りが良くなり、実装安定性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明の実施形態に係るチップ型アンテナの透視斜視図である。
【図2】図1のチップ型アンテナの分解斜視図である。
【図3】図1のチップ型アンテナの複数の層それぞれにおける電極パターン(放射電極のパターン、スルーホール電極のパターン、裏面電極のパターン)の構成を示す図である。
【図4】図2及び図3に示す複数の層のうち、帯状の内部電極が配設された第2基体層(層No.2)202及び第11基体層(層No.11)211を拡大して示す図であり、(a)は第2基体層(層No.2)202の拡大図、(b)は第11基体層(層No.11)211の拡大図である。
【図5】本発明の実施形態に係るチップ型アンテナの実施例の電極構成を示す図であり、(a)は実施例1、(b)は実施例2、(c)は実施例3、の電極構成をそれぞれ示す。
【図6】本発明の実施形態に係るチップ型アンテナの実施例1のVSWRと周波数の関係を表すグラフである。
【図7】本発明の実施形態に係るチップ型アンテナの実施例2のVSWRと周波数の関係を表すグラフである。
【図8】本発明の実施形態に係るチップ型アンテナの実施例3のVSWRと周波数の関係を表すグラフである。
【図9】本発明の実施形態に係るチップ型アンテナの実施例の電極構成を示す図であり、(d)は実施例4、(e)は実施例5、(f)は実施例6、の電極構成をそれぞれ示す。
【図10】本発明の実施形態に係るチップ型アンテナの実施例4のVSWRと周波数の関係を表すグラフである。
【図11】本発明の実施形態に係るチップ型アンテナの実施例5のVSWRと周波数の関係を表すグラフである。
【図12】本発明の実施形態に係るチップ型アンテナの実施例6のVSWRと周波数の関係を表すグラフである。
【図13】本発明の実施形態に係るチップ型アンテナの実施例の電極構成を示す図であり、(g)は実施例7、(h)は実施例8、(i)は実施例9、の電極構成をそれぞれ示す。
【図14】本発明の実施形態に係るチップ型アンテナの実施例7のVSWRと周波数の関係を表すグラフである。
【図15】本発明の実施形態に係るチップ型アンテナの実施例8のVSWRと周波数の関係を表すグラフである。
【図16】本発明の実施形態に係るチップ型アンテナの実施例9のVSWRと周波数の関係を表すグラフである。
【図17】本発明の実施形態に係るチップ型アンテナの実施例の電極構成を示す図であり、(j)は実施例10、(k)は実施例11、(l)は実施例12、の電極構成をそれぞれ示す。
【図18】本発明の実施形態に係るチップ型アンテナの実施例10のVSWRと周波数の関係を表すグラフである。
【図19】本発明の実施形態に係るチップ型アンテナの実施例11のVSWRと周波数の関係を表すグラフである。
【図20】本発明の実施形態に係るチップ型アンテナの実施例12のVSWRと周波数の関係を表すグラフである。
【図21】本発明の実施形態に係るチップ型アンテナの実施例1〜12の測定結果を示す表である。
【図22】図1のチップ型アンテナを実装基板に搭載した後の検査・調整方法を説明するための図であり、(a)はその導通検査方法、(b)はその中心周波数の調整方法を示す。
【符号の説明】
【0103】
100 チップ型アンテナ、 201〜212 基体層、
200 基体、 301〜311 帯状の内部電極、 300 放射電極、
400 給電端側端子、 500 開放端側端子、 A 積層方向、
601〜612 スルーホール電極
【技術分野】
【0001】
本発明は、チップ型アンテナに関し、特に、携帯電話等の移動体通信機や無線LAN(Local Area Network)等に用いられるチップ型アンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタル変調信号を送受信する無線通信装置として、携帯電話が世界的に市場を拡大しており、変調方式として様々な方式が提案されている。特に、欧州を中心として普及しているGSM方式では、送受信帯域がそれぞれ880−915MHz、925−960MHzの略900MHz帯(GSM900:以下、単にGSM帯と言う)の他に、帯域拡張版として、送受信帯域がそれぞれ1710−1785MHz、1805−1880MHzの略1.8GHz帯(DCS1800:以下、単にDCS帯と言う)や、米国における送受信帯域がそれぞれ1850−1910MHz、1930−1990MHzの略1.9GHz帯(PCS1900:以下、単にPCS帯と言う)が規定されている。更に、欧州での次世代携帯電話の標準規格として、UMTS(Universal Mobile Telecommunications Systemの略)方式も提案されている。このUMTS規格は、内容的には、現在日本国内の3G携帯で使われている「W−CDMA」という規格を含んでおり、UMTSという言葉が、「W−CDMA」という言葉の代わりに使われるケースも見られる。即ち、最近では、日本国内で、第3世代の変調方式として、3GPPで規格が定められている送受信帯域がそれぞれ1920−1980MHz、2110−2170MHzの略2GHz帯のWCDMA方式(WCDMA2000)の運用が開始されている。WCDMA方式の1チャネルの帯域幅は5MHzとなっているため、上記送受信帯域で周波数分割により12チャネルが形成され、各チャネル上に符号分割による更に多数のチャネルが形成される。
【0003】
また、近年、無線通信を用いたネットワークでパソコン等を相互に接続する無線LANが実用化され、その普及度が高まってきている。
【0004】
携帯電話やパソコンなどの通信機器・電子機器に対する小型化の要請から、これらの機器に使用されるアンテナも小型化される必要がある。特に、携帯電話では小型化・薄型化の要請が益々強くなり、一方、無線LANでは、無線通信用のアンテナを内蔵した薄手の無線LANカードをパソコン等の筐体に接続して用いることが多い。
【0005】
このため、携帯電話や無線LAN用のアンテナとしても小型のものが求められることから、誘電体や磁性体等の基体の表面或いは内部に放射電極等を設けたチップ型アンテナが多く使用されているが、携帯電話等の更なる小型化の要請からチップ型アンテナ自体の更なる小型化が強く望まれている。
【0006】
従来、かかるチップ型アンテナの小型化を図る技術として、例えば、誘電材料や磁性材料から成る複数の層が積層されて構成される基体と、複数の層のうち所定の層に形成された内部電極により構成される放射電極と、放射電極の一端が接続され、基体の表面に形成された給電端側端子と、放射電極の他端が接続され、基体の表面に形成された開放端側端子とを含むチップ型アンテナが知られている(例えば、特許文献1、特許文献2及び特許文献3参照)。
【0007】
【特許文献1】特開平5−110257号公報
【特許文献2】特開平10−98322号公報
【特許文献3】特開2005−217633号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1等に記載の従来のチップ型アンテナでは、十分な小型化を図ることができない上に、広い送受信周波数帯域幅を実現することが困難であるため、広帯域を必要とする携帯電話等の移動体通信機に用いることができなかった。即ち、小型化と広帯域化を両立させることが困難であった。
【0009】
また、上記特許文献2及び3等に記載の従来のチップ型アンテナでも、更なる小型化の要請には十分に対応できていない。一方、上述したWCDMA方式に対応する携帯電話等に用いるチップ型アンテナとしては、例えば、1500MHz〜2500MHzという周波数帯域において、良好な放射特性を備える必要があるが、上記特許文献2及び3等に記載の従来のチップ型アンテナは、かかる周波数帯域において十分に良好な放射特性を備えるものではなかった。
【0010】
尚、従来のチップ型アンテナにおいて、基体の内部等に略螺旋状に形成される放射電極等の個々のチップの構成要素が厳密な対称性を有していない場合に、チップ型アンテナを製作する工程で積層体の反りを発生してしまう場合がある。また、チップ型アンテナを携帯電話等の内部の基板に実装するときの座りが悪いと、実装安定性に問題が生じる場合もある。
【0011】
本発明の第1の課題は、従来よりも更なる小型化が可能で、送受信周波数帯域幅が広く且つ当該広い送受信周波数帯域内において良好な放射特性が得られるチップ型アンテナを提供することにある。
【0012】
本発明の第2の課題は、チップ型アンテナを製作する工程で積層体の反りを発生してしまうことが無く、且つ、実装安定性にも優れたチップ型アンテナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決するために、本発明者は、より小型化が可能であると共に、放射特性の優れた広帯域のチップ型アンテナの構成を種々研究・検討した結果、従来のチップ型アンテナに比べ更なる小型化が可能で、広帯域において放射特性の優れたチップ型アンテナの構成を見出した。また、かかる構成のチップ型アンテナにより、製作工程での積層体の反りの発生を防止でき、実装安定性も向上させ得ることを見出した。
【0014】
即ち、上記課題を解決するため、本発明のチップ型アンテナは、誘電材料及び磁性材料の少なくとも一方から成る複数の層が積層されて構成される基体と、前記複数の層のうち所定の層に形成された内部電極により構成される放射電極と、前記放射電極の一端が接続され、前記基体の表面に形成された給電端側端子と、前記放射電極の他端が接続され、前記基体の表面に形成された開放端側端子とを含み、前記複数の層のうち、第1の層と第2の層には、複数の帯状の内部電極が所定のピッチで配設され、前記第1の層の帯状の内部電極と、前記第2の層の帯状の内部電極とは、前記積層方向の投影面内において交互に配置されるとともに、スルーホール電極により直列に接続されて、巻回軸が前記積層方向と直交する方向になるような略螺旋状の放射電極を構成しており、前記帯状の内部電極の幅が0.3mm〜0.7mmであることを特徴とする。
【0015】
かかる構成によれば、チップ型アンテナを従来よりも更に小型化することができる上に、広い送受信周波数帯域内において優れた放射特性が得られる。また、基体の内部に形成される放射電極等の個々のチップの構成要素が対称性を有するので、チップ型アンテナを製作する工程で積層体の反りを発生してしまうことが無く、且つ、実装安定性にも優れたチップ型アンテナが得られる。
【0016】
また。前記略螺旋状の放射電極の巻回数が3回以上4.5回以下であることを特徴とする。かかる構成によれば、放射電極が比較的少ない巻回数で形成されることからチップ型アンテナの更なる小型化が容易になる。
【0017】
また、前記第1の層の内部電極と前記第2の層の内部電極との間隔が450μm〜1000μmであることを特徴とする。かかる構成によれば、基体内で第1の層の内部電極と第2の層の内部電極とが上記の450μm〜1000μmの間隔内に収まることから、十分にチップ型アンテナの小型化が図れる。
【0018】
更に、VSWRが最小となる周波数が1500MHz〜2500MHzの範囲であり、VSWRが3以下となる帯域幅が200MHz以上であることを特徴とする。かかる構成によれば、特に、WCDMA通信方式に実用上有効な広い送受信周波数帯域内において放射特性の優れたチップ型アンテナを実現することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、チップ型アンテナの更なる小型化が可能な上に、広い送受信周波数帯域内において放射特性の優れたチップ型アンテナを得ることが可能である。また、チップ型アンテナを製作する工程で積層体に反りを発生してしまうことを防止でき、実装安定性にも優れたチップ型アンテナを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の実施形態に係るチップ型アンテナについて図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の一実施形態に係るチップ型アンテナの透視斜視図であり、図2は図1のチップ型アンテナの分解斜視図である。また、図3は図1のチップ型アンテナの複数の層それぞれにおける電極パターン(放射電極のパターン、スルーホール電極のパターン、裏面電極のパターン)の構成を示す図である。更に、図4は、図2及び図3に示す複数の層のうち、帯状の内部電極が配設された第2基体層(層No.2)202及び第11基体層(層No.11)211を拡大して示す図であり、(a)は第2基体層(層No.2)202の拡大図、(b)は第11基体層(層No.11)211の拡大図である。
【0021】
本発明の一実施形態に係るチップ型アンテナ100は、例えば、長さが4.5mm、幅が3.2mm、高さ(厚み)が1.0mmのチップ型(極薄小片型)に形成され、主として、携帯電話のWCDMA通信方式に対応する送受信周波数帯域を有する、いわゆるシングルバンドのアンテナである。このチップ型アンテナ100は、図1乃至図3に示すように、誘電材料及び磁性材料の少なくとも一方から成る複数のシート状の基体層201〜212が積層されて構成される基体200と、複数の基体層のうち所定の基体層に形成された内部電極301〜311により構成される放射電極300と、放射電極300の一端が接続され、基体200の表面に形成された給電端側端子400と、放射電極300の他端が接続され、基体200の表面に形成された開放端側端子500とを含んでいる。
【0022】
そして、本実施形態のチップ型アンテナ100の特徴は、複数の基体層のうち、第1の基体層211と第2の基体層202には、複数の帯状の内部電極301〜311が所定のピッチで配設され、第1の基体層211の帯状の内部電極301、303、305、307、309、311と第2の基体層202の帯状の内部電極302、304、306、308、310とは、複数の基体層201〜212の積層方向A(図2参照)の投影面内において交互に配置されるとともに、スルーホール電極601〜612により直列に接続されて、巻回軸が上記積層方向A(図2参照)と直交する方向になるような略螺旋状の放射電極300を構成していることにある。
【0023】
更に、本実施形態のチップ型アンテナ100は、各帯状の内部電極301〜311の幅が0.3mm〜0.7mmのうち所定の幅に形成されていること、略螺旋状の放射電極300の巻回数が3回以上4.5回以下に形成されていること、第1の基体層211の帯状の内部電極301、303、305、307、309、311と第2の基体層202の帯状の内部電極302、304、306、308、310との間隔が450μm〜1000μmのうち所定の間隔に形成されていること、VSWRが最小となる周波数が1500MHz〜2500MHzの範囲であり、VSWRが3以下となる帯域幅が200MHz以上であるように形成されていることも特徴としている。
【0024】
図1に示した本発明の一実施形態のチップ型アンテナ100の構成についてより詳細に説明する。基体200は、誘電材料又は磁性材料の少なくとも一方により、図1に示すように、全体として矩形片状に形成されている。この基体200は、例えばアルミナ、シリカ、マグネシウム等を含む高周波数において低損失なセラミックで作製されている。尚、基体200として誘電材料を使用する場合は、誘電率と誘電損失がアンテナ特性に大きく影響する。そして、基体200は、図2及び図3に示すように、複数の基体層が積層されて構成されており、具体的には、最上層(第1層)201から最下層(第12層)212まで12の基体層が積層されて構成されている。尚、図2では、上下の基体層と同様の構成を有する一部の基体層は図示を省略している。また、図2及び図3には、最下層(第12層)212の裏面の構成も併せて示す。ここで、図2では、最下層(第12層)212の裏面212Bの投影面212bを示している。
【0025】
これら複数の基体層201〜212それぞれの構成について簡単に述べる。最上層(第1基体層、層No.1)201は、図3に示すように、表面(上面)には放射電極、入出力電極、スルーホール電極等は形成されておらず、上蓋的な基体層、即ち、次に述べる第2基体層(層No.2)202の表面に形成される放射電極等を上面から覆って基体200中に埋設させる機能を有している。尚、最上層(第1基体層、層No.1)201の表面(上面)に符号201aで示しているのは、チップ型アンテナ100を基板等に実装する際に、例えば、供給端(給電端)側を示すために形成された目印であり、銅箔等で形成されている。尚、後述するように、基体200を構成する複数の基体層201〜212は、積層後、焼成により製作するが、この第1基体層(層No.1)201の焼成後の厚み(シート厚)は50μmである。
【0026】
第2基体層(層No.2)202には、図2及び図3に示すように、その上面に帯状の内部電極302、304、306、308、310が所定のピッチで配設されている。これら帯状の内部電極302、304、306、308、310の幅は、0.3mm〜0.7mmのうち所定の幅に形成されている。また、図4(a)に示すように、帯状の内部電極302、304、306、308、310は、その両端にそれぞれ逆方向に突出したスルーホール電極接続部302aと302b、304aと304b、306aと306b、308aと308b、310aと310bを有している。これらスルーホール電極接続部302aと302b、304aと304b、306aと306b、308aと308b、310aと310bには、それぞれスルーホール電極601と602、603と604、605と606、607と608、609と610が形成されている。帯状の内部電極302、304、306、308、310は、スルーホール電極601と602、603と604、605と606、607と608、609と610を介して、後述する第11基体層(層No.11)211の帯状の内部電極301、303、305、307、309、311と電気的に接続されている。このように、第2基体層(層No.2)202は、複数の基体層201〜212のうち、帯状の内部電極302、304、306、308、310が所定のピッチで配設される「第2の層」を構成する。この第2基体層(層No.2)202の焼成後の厚み(シート厚)は50μmである。
【0027】
第3基体層(層No.3)203は、図2及び図3に示すように、表面(上面)には放射電極等は形成されておらず、当該第3基体層(層No.3)203の厚さ方向を貫通して上記スルーホール電極601と602、603と604、605と606、607と608、609と610(図2では符号を省略する)が形成されている。この第3基体層(層No.3)203の焼成後の厚み(シート厚)は50μmである。
【0028】
第4基体層(層No.4)204、第5基体層(層No.5)205、第6基体層(層No.6)206、第7基体層(層No.7)207、第8基体層(層No.8)208、及び第9基体層(層No.9)209は、基体層の厚み(シート厚)が異なる以外は上述した第3基体層(層No.3)203と全く同様に構成されており、図2[第4基体層(層No.4)204のみ示す]及び図3に示すように、表面(上面)には放射電極等は形成されておらず、厚さ方向を貫通して上記スルーホール電極601と602、603と604、605と606、607と608、609と610(図2及び図3では符号を省略する)が形成されている。これら第4基体層(層No.4)204〜第9基体層(層No.9)209までは、各基体層とも、焼成後の厚み(シート厚)は100μmである。
【0029】
第10基体層(層No.10)210は、基体層の厚み(シート厚)を含めて上述した第3基体層(層No.3)203と全く同様に構成されており、図2及び図3に示すように、表面(上面)には放射電極等は形成されておらず、厚さ方向を貫通して上記スルーホール電極601と602、603と604、605と606、607と608、609と610(図2では符号を省略する)が形成されている。この第10基体層(層No.10)210の焼成後の厚み(シート厚)は50μmである。
【0030】
第11基体層(層No.11)211には、図2及び図3に示すように、その上面に帯状の内部電極301、303、305、307、309、311が所定のピッチで配設されている。このように、この第11基体層(層No.11)211は、複数の基体層201〜213のうち、帯状の内部電極301、303、305、307、309、311が所定のピッチで配設される「第1の層」を構成する。これら帯状の内部電極301、303、305、307、309、311の幅は、0.3mm〜0.7mmのうち所定の幅に形成されている。また、帯状の内部電極309は放射電極の一部としての給電端側(放射)電極を構成し、一方、帯状の内部電極311は放射電極の一部としての開放端側(放射)電極を構成している。帯状の内部電極(給電端側電極)309は、図4(b)に示すように、その端部にスルーホール電極接続部309aを有しており、一方、帯状の内部電極(開放端側電極)311は、その端部にスルーホール電極接続部311aを有している。図2に示すように、帯状の内部電極(給電端側電極)309のスルーホール電極接続部309aは、スルーホール電極611を介して、後述する第12基体層(層No.12)212の下面(基体200の裏面)に形成された給電端側端子400に接続されている。一方、帯状の内部電極(開放端側電極)311は、スルーホール電極612を介して、第12基体層(層No.12)212の下面212B(基体200の裏面)に形成された開放端側端子500に接続されている。これにより、図2に示すように、基体200の表面に形成された給電端側端子400に放射電極300の一端が接続される一方、同じく開放端側端子500に放射電極300の他端が接続され、且つ、第1の基体層211の帯状の内部電極301、303、305、307、309、311と第2の基体層202の帯状の内部電極302、304、306、308、310とが積層方向A(図2参照)の投影面内において交互に配置されるとともに、スルーホール電極601〜612により直列に接続されて、巻回軸が上記積層方向Aと直交する方向になるような略螺旋状の放射電極300を構成している。この第11基体層(層No.11)211の焼成後の厚み(シート厚)は50μmである。
【0031】
第12基体層(層No.12)212は、基体200の最下層であり、従って、その下面(裏面)212Bはチップ型アンテナ100の実装面を構成する。まず、この第12基体層(層No.12)212の表面(上面)212Aには、図2及び図3に示すように、放射電極等は形成されておらず、当該第12基体層(層No.12)212の厚さ方向を貫通してスルーホール電極611とスルーホール電極612が形成されている。また、この第12基体層(層No.12)212の下面(裏面)212Bには、図2及び図3に示すように、長手方向の端部に、それぞれ給電端側端子400、開放端側端子500が形成されている。これら給電端側端子400、開放端側端子500は、それぞれスルーホール電極611、スルーホール電極612に接続されている。
【0032】
更に、第12基体層(層No.12)212の下面(裏面)212Bには、図2及び図3に示すように、給電端側端子400及び開放端側端子500とは離間して補強用端子701〜712が形成されている。この補強用端子701〜712は、電気的な接続を取るものではなく、チップ型アンテナ100の実装面となる第12基体層(層No.12)212の下面(裏面)212Bが基板等から剥がれてしまうのを防止するために接着強度を高める端子である。従って、第12基体層(層No.12)212の下面(裏面)212Bの周縁側に沿って形成されており、給電端側端子400と開放端側端子500が形成されている部分を除いた、幅方向の端部に等間隔に形成されている。尚、第12基体層(層No.12)212の焼成後の厚み(シート厚)は50μmである。
【0033】
以上の構成によれば、図1乃至図4に示した本発明の一実施形態に係るチップ型アンテナ100においては、第1の層211の帯状の内部電極301、303、305、307、309、311と第2の層202の帯状の内部電極302、304、306、308、310との間隔(積層方向Aにおける間隔)は750μmになるように形成されている。尚、本発明のチップ型アンテナとしては、この間隔は450μm〜1000μmのうち所定の間隔に形成されているのが望ましい。
【0034】
以上のように、本実施形態のチップ型アンテナ100は、複数のシート状の基体層201〜212と、それに形成されたスルーホール電極601〜612、帯状の内部電極301〜311、給電端側端子400、開放端側端子500、及び補強用端子701〜712とを有する。各シート状の基体層201〜212は、例えば、低温焼成が可能なセラミック又は樹脂等の誘電体材料からなるグリーンシートにより形成する。また、各帯状の内部電極301〜311、給電端側端子400、開放端側端子500、及び補強用端子701〜712は、Ag又はCuを主体とする導電ペーストの印刷により形成する。各シート状の基体層201〜212を第1層〜第12層まで上述したように配置し積層した後、焼成することにより、図1乃至図4に示した多層のチップ型アンテナ100が得られる。
【0035】
さて、本発明者は、パラメータとして帯状の内部電極301〜311等の幅、これら帯状の内部電極301〜311等から構成される略螺旋状の放射電極300の電極長、略螺旋状の放射電極300の巻回数をそれぞれ変化させたチップ型アンテナを試作し、そのアンテナ特性を測定してみた。尚、以下に示す実施例1〜12までのチップ型アンテナでは、図1乃至図4に示したチップ型アンテナ100と帯状の内部電極の数等が異なる場合があるが、略同様の参照符号を用いて説明する。
【0036】
即ち、帯状の内部電極の電極幅、帯状の内部電極(等から構成される放射電極)の電極長、帯状の内部電極の電極間ピッチ、略螺旋状の放射電極の巻回数(従って、帯状の内部電極の数)を、図5、図9、図13、図17に示すように様々に変化させた実施例1〜12について、そのアンテナ特性を評価するために周波数に対する電圧定在波比(Voltage Standing Wave Ratio、以下、VSWRと言う)を測定した。図6乃至図8、図10乃至図12、図14乃至図16、図18乃至図20は、それぞれ実施例1〜12までのチップ型アンテナのVSWRと周波数の関係を表すグラフである。
【0037】
図5は、本発明の実施形態に係るチップ型アンテナの実施例の電極構成を示す図であり、(a)は実施例1、(b)は実施例2、(c)は実施例3、の電極構成をそれぞれ示す。
【0038】
実施例1のチップ型アンテナは、「第1の層」としての第11基体層(層No.11)211に配設される帯状の内部電極と「第2の層」としての第2基体層(層No.2)202に配設される帯状の内部電極を、それぞれ図5(a)に示す電極形状に形成し、同図に示すピッチで配置した。即ち、この実施例1のチップ型アンテナでは、第2基体層(層No.2)202の上面には、帯状の内部電極302a、304a、306a、308aが所定のピッチで配設されている。尚、帯状の内部電極306aと308aは、第2基体層(層No.2)202の幅方向の中央でスルーホール電極と接続されており、向きは異なるがそれぞれがL字形状に形成されている。即ち、この実施例1のチップ型アンテナは、第2基体層(層No.2)202の上面に配設された帯状の内部電極306a、308aが、それぞれスルーホール電極を介して図2及び図3に示した給電端側端子400、開放端側端子500と接続されている。従って、第2基体層(層No.2)202の上面に配設された帯状の内部電極306a、308aが、スルーホール電極接続部を有する給電端側電極、開放端側電極を構成する。
【0039】
一方、第11基体層(層No.11)211の上面には、図5(a)に示すように、帯状の内部電極301a、303a、305aが所定のピッチで配設されている。そして、第2基体層(層No.2)202の上面に配設された帯状の内部電極302a、304a、306a、308aと第11基体層(層No.11)211の上面に配設された帯状の内部電極301a、303a、305aが、スルーホール電極601〜606[図5(a)には図示せず、また、図1乃至図4に示したスルーホール電極601〜606の位置とは異なる場合がある(以下同じ)]を介して接続されることにより、略螺旋状の放射電極300を構成している。この実施例1のチップ型アンテナでは、各帯状の内部電極302a、304a、306a、308aの電極幅と各帯状の内部電極301a、303a、305aの電極幅は、いずれも0.3mmに形成した。また、略螺旋状の放射電極300の巻回数は、図5(a)から分かるように、3回であり、放射電極300の電極長は比較的短いものとした。
【0040】
この実施例1のチップ型アンテナについて、周波数に対するVSWRを測定した結果を図6に示す。図6(a)は、実施例1のチップ型アンテナのVSWRと周波数の関係を表すグラフであり、図6(b)は、その横軸の周波数の目盛りを拡大して示したものである。VSWRは、アンテナに送られる送信電力の反射の程度を表す値であり、この縦軸のVSWRの値が小さい(1に近い)程、反射が少なく投入した電力が効率よくアンテナに伝わるためアンテナ特性が優れていることを表しており、同図に示すように、ある周波数帯域でVSWRの値が示される。
【0041】
図6(a)及び(b)に示すグラフの解析結果から、この実施例1のチップ型アンテナでは、VSWRが最小となる(グラフの曲線が最も1に近くなる)周波数が、約2064MHzであり、VSWRが3以下となる帯域幅が約1941MHz〜約2170MHzまで約229MHzの幅だけ確保されていることが分かった。従って、対象とするUMTS帯域に略対応する、広い周波数帯域においてVSWRが3以下となる良好な放射特性が得られることを確認することができた。
【0042】
実施例2のチップ型アンテナは、「第1の層」としての第11基体層(層No.11)211に配設される帯状の内部電極と「第2の層」としての第2基体層(層No.2)202に配設される帯状の内部電極を、それぞれ図5(b)に示す電極形状に形成し、同図に示すピッチで配置した。即ち、この実施例2のチップ型アンテナでは、第2基体層(層No.2)202の上面には、帯状の内部電極302b、304b、306b、308bが配設されている。尚、帯状の内部電極306bと308bは、第2基体層(層No.2)202の幅方向の中央でスルーホール電極と接続されており、向きは異なるがそれぞれがL字形状に形成されているのは実施例1のチップ型アンテナと同様である。即ち、この実施例2のチップ型アンテナも、第2基体層(層No.2)202の上面に配設された帯状の内部電極306b、308bが、それぞれスルーホール電極を介して図2及び図3に示した給電端側端子400、開放端側端子500と接続されている。従って、第2基体層(層No.2)202の上面に配設された帯状の内部電極306b、308bが、スルーホール電極接続部を有する給電端側電極、開放端側電極を構成する。
【0043】
一方、第11基体層(層No.11)211の上面には、図5(b)に示すように、帯状の内部電極301b、303b、305bが配設されている。そして、第2基体層(層No.2)202の上面に配設された帯状の内部電極302b、304b、306b、308bと第11基体層(層No.11)211の上面に配設された帯状の内部電極301b、303b、305bが、スルーホール電極601〜606[図5(b)には図示せず]を介して接続されることにより、略螺旋状の放射電極300を構成している。この実施例2のチップ型アンテナでは、各帯状の内部電極302b、304b、306b、308bの電極幅と各帯状の内部電極301b、303b、305bの電極幅は、いずれも0.5mmに形成した。
【0044】
一方、略螺旋状の放射電極300の巻回数は、図5(b)から分かるように、実施例1のチップ型アンテナと同様に3回であり、放射電極300の電極長も実施例1のチップ型アンテナと同様に比較的短いものとした。従って、この実施例2のチップ型アンテナでは、「第1の層」としての第11基体層(層No.11)211に配設される帯状の内部電極と「第2の層」としての第2基体層(層No.2)202に配設される帯状の内部電極の形状は実施例1のチップ型アンテナと略同様であるが、各電極幅が実施例1の5/3倍に広くなっている。そのため、図5(a)及び(b)から明らかなように、「第1の層」としての第11基体層(層No.11)211に配設される帯状の内部電極と「第2の層」としての第2基体層(層No.2)202に配設される帯状の内部電極は、実施例1のチップ型アンテナと同様に、複数の基体層201〜213の積層方向A(図2参照)の投影面内において交互に配置されているが、図5(a)に示す実施例1のチップ型アンテナに比べて図5(b)に示す実施例2のチップ型アンテナでは、該投影面内において両者の電極の間隔がより狭くなっている。
【0045】
この実施例2のチップ型アンテナについて、周波数に対するVSWRを測定した結果を図7に示す。図7(a)は、実施例2のチップ型アンテナのVSWRと周波数の関係を表すグラフであり、図7(b)は、その横軸の周波数の目盛りを拡大して示したものである。VSWRは、アンテナに送られる送信電力の反射の程度を表す値であり、この縦軸のVSWRの値が小さい(1に近い)程、反射が少なく投入した電力が効率よくアンテナに伝わるためアンテナ特性が優れていることを表しており、同図に示すように、ある周波数帯域でVSWRの値が示される。
【0046】
図7(a)及び(b)に示すグラフの解析結果から、この実施例2のチップ型アンテナでは、VSWRが最小となる(グラフの曲線が最も1に近くなる)周波数が、約2157MHzであり、VSWRが3以下となる帯域幅が約2018MHz〜約2280MHzまで約262MHzの幅だけ確保されていることが分かった。従って、対象とするUMTS帯域に略対応する、広い周波数帯域においてVSWRが3以下となる良好な放射特性が得られることを確認することができた。
【0047】
実施例3のチップ型アンテナは、「第1の層」としての第11基体層(層No.11)211に配設される帯状の内部電極と「第2の層」としての第2基体層(層No.2)202に配設される帯状の内部電極を、それぞれ図5(c)に示す電極形状に形成し、同図に示すピッチで配置した。即ち、この実施例3のチップ型アンテナでは、第2基体層(層No.2)202の上面には、帯状の内部電極302c、304c、306c、308cが配設されている。尚、帯状の内部電極306cと308cは、第2基体層(層No.2)202の幅方向の中央でスルーホール電極と接続されており、向きは異なるがそれぞれがL字形状に形成されているのは実施例1及び2のチップ型アンテナと同様である。即ち、この実施例3のチップ型アンテナは、第2基体層(層No.2)202の上面に配設された帯状の内部電極306c、308cが、それぞれスルーホール電極を介して図2及び図3に示した給電端側端子400、開放端側端子500と接続されている。従って、第2基体層(層No.2)202の上面に配設された帯状の内部電極306c、308cが、スルーホール電極接続部を有する給電端側電極、開放端側電極を構成する。
【0048】
一方、第11基体層(層No.11)211の上面には、図5(c)に示すように、帯状の内部電極301c、303c、305cが配設されている。そして、第2基体層(層No.2)202の上面に配設された帯状の内部電極302c、304c、306c、308cと第11基体層(層No.11)211の上面に配設された帯状の内部電極301c、303c、305cが、スルーホール電極601〜606[図5(c)には図示せず]を介して接続されることにより、略螺旋状の放射電極300を構成している。この実施例3のチップ型アンテナでは、各帯状の内部電極302c、304c、306c、308cの電極幅と各帯状の内部電極301c、303c、305cの電極幅は、いずれも0.7mmに形成した。一方、略螺旋状の放射電極300の巻回数は、図5(c)から分かるように、実施例1及び2のチップ型アンテナと同様に3回であり、放射電極300の電極長も実施例1及び2のチップ型アンテナと同様に比較的短いものとした。
【0049】
従って、この実施例3のチップ型アンテナでは、「第1の層」としての第11基体層(層No.11)211に配設される帯状の内部電極と「第2の層」としての第2基体層(層No.2)202に配設される帯状の内部電極の形状は実施例1及び2のチップ型アンテナと略同様であるが、各電極幅が実施例1の7/3倍、実施例2の7/5倍に広くなっている。そのため、図5(a)、(b)及び(c)から明らかなように、「第1の層」としての第11基体層(層No.11)211に配設される帯状の内部電極と「第2の層」としての第2基体層(層No.2)202に配設される帯状の内部電極は、実施例1及び2のチップ型アンテナと同様に、複数の基体層201〜213の積層方向A(図2参照)の投影面内において交互に配置されているが、図5(c)に示す実施例3のチップ型アンテナでは、該投影面内において両者の電極の間隔は無くなり、一部重なり合っている。
【0050】
この実施例3のチップ型アンテナについて、周波数に対するVSWRを測定した結果を図8に示す。図8(a)は、実施例3のチップ型アンテナのVSWRと周波数の関係を表すグラフであり、図8(b)は、その横軸の周波数の目盛りを拡大して示したものである。VSWRは、アンテナに送られる送信電力の反射の程度を表す値であり、この縦軸のVSWRの値が小さい(1に近い)程、反射が少なく投入した電力が効率よくアンテナに伝わるためアンテナ特性が優れていることを表しており、同図に示すように、ある周波数帯域でVSWRの値が示される。
【0051】
図8(a)及び(b)に示すグラフの解析結果から、この実施例3のチップ型アンテナでは、VSWRが最小となる(グラフの曲線が最も1に近くなる)周波数が、約2261MHzであり、VSWRが3以下となる帯域幅が約2108MHz〜約2402MHzまで約294MHzの幅だけ確保されていることが分かった。従って、広い周波数帯域においてVSWRが3以下となる良好な放射特性が得られることを確認することができた。また、VSWRが3以下となる帯域幅は、やや高周波側にシフトしているが、対象とするUMTS帯域に略対応し、実用上十分な周波数帯域であることが分かった。
【0052】
図9は、本発明の実施形態に係るチップ型アンテナの実施例の電極構成を示す図であり、(d)は実施例4、(e)は実施例5、(f)は実施例6、の電極構成をそれぞれ示す。
【0053】
実施例4のチップ型アンテナは、「第1の層」としての第11基体層(層No.11)211に形成される帯状の内部電極と「第2の層」としての第2基体層(層No.2)202に形成される帯状の内部電極を、それぞれ図9(d)に示す電極形状に形成し、同図に示すピッチで配置した。即ち、この実施例4のチップ型アンテナでは、第2基体層(層No.2)202の上面には、帯状の内部電極302d、304d、306d、308dが形成されている。一方、第11基体層(層No.11)211の上面には、図9(d)に示すように、帯状の内部電極301d、303d、305d、307d、309dが形成されている。尚、帯状の内部電極307dと309dは、第11基体層(層No.11)211の幅方向の中央でスルーホール電極(図示せず)と接続されており、他の帯状の内部電極301d、303d、305dに対して略半分の長さに形成されている。
【0054】
即ち、この実施例4のチップ型アンテナは、第11基体層(層No.11)211の上面に形成された帯状の内部電極307d、309dが、それぞれスルーホール電極611、612(図2参照)を介して図2及び図3に示した給電端側端子400、開放端側端子500と接続されている。従って、第11基体層(層No.11)211の上面に形成された帯状の内部電極307d、309dが、スルーホール電極接続部を有する給電端側電極、開放端側電極を構成する。そして、第2基体層(層No.2)202の上面に形成された帯状の内部電極302d、304d、306d、308dと第11基体層(層No.11)211の上面に形成された帯状の内部電極301d、303d、305dが、スルーホール電極601〜608(図示せず)を介して接続されることにより、略螺旋状の放射電極300を構成している。この実施例4のチップ型アンテナでは、各帯状の内部電極302d、304d、306d、308d及び301d、303d、305d、307d、309dの電極幅は、0.3mmに形成した。また、略螺旋状の放射電極300の巻回数は、図9(d)から分かるように、4回であり、放射電極300の電極長は実施例1〜3のチップ型アンテナよりは長いものとした。
【0055】
この実施例4のチップ型アンテナについて、周波数に対するVSWRを測定した結果を図10に示す。図10(a)は、実施例4のチップ型アンテナのVSWRと周波数の関係を表すグラフであり、図10(b)は、その横軸の周波数の目盛りを拡大して示したものである。VSWRは、アンテナに送られる送信電力の反射の程度を表す値であり、この縦軸のVSWRの値が小さい(1に近い)程、反射が少なく投入した電力が効率よくアンテナに伝わるためアンテナ特性が優れていることを表しており、同図に示すように、ある周波数帯域でVSWRの値が示される。
【0056】
図10(a)及び(b)に示すグラフの解析結果から、この実施例4のチップ型アンテナでは、VSWRが最小となる(グラフの曲線が最も1に近くなる)周波数が、約1931MHzであり、VSWRが3以下となる帯域幅が約1830MHz〜約2020MHzまで約190MHzの幅だけ確保されていることが分かった。従って、約190MHzという広い周波数帯域においてVSWRが3以下となる良好な放射特性が得られることを確認することができた。但し、VSWRが最小となる(グラフの曲線が最も1に近くなる)周波数が約1931MHzというようにやや低周波側にシフトしており、また、VSWRが3以下となる帯域幅が約190MHzというように約200MHz以上の幅は確保できなかった。
【0057】
実施例5のチップ型アンテナは、「第1の層」としての第11基体層(層No.11)211に形成される帯状の内部電極と「第2の層」としての第2基体層(層No.2)202に形成される帯状の内部電極を、それぞれ図9(e)に示す電極形状に形成し、同図に示すピッチで配置した。即ち、この実施例5のチップ型アンテナでは、第2基体層(層No.2)202の上面には、帯状の内部電極302e、304e、306e、308eが形成されている。一方、第11基体層(層No.11)211の上面には、図9(e)に示すように、帯状の内部電極301e、303e、305e、307e、309eが形成されている。尚、帯状の内部電極307eと309eは、第11基体層(層No.11)211の幅方向の中央でスルーホール電極(図示せず)と接続されており、他の帯状の内部電極301e、303e、305eに対して略半分の長さに形成されているのは実施例4のチップ型アンテナと同様である。
【0058】
即ち、この実施例5のチップ型アンテナは、第11基体層(層No.11)211の上面に形成された帯状の内部電極307e、309eが、それぞれスルーホール電極611、612(図2参照)を介して図2及び図3に示した給電端側端子400、開放端側端子500と接続されている。従って、第11基体層(層No.11)211の上面に形成された帯状の内部電極307e、309eが、スルーホール電極接続部を有する給電端側電極、開放端側電極を構成する。そして、第2基体層(層No.2)202の上面に形成された帯状の内部電極302e、304e、306e、308eと第11基体層(層No.11)211の上面に形成された帯状の内部電極301e、303e、305eが、スルーホール電極601〜608(図示せず)を介して接続されることにより、略螺旋状の放射電極300を構成している。この実施例5のチップ型アンテナでは、各帯状の内部電極302e、304e、306e、308eの電極幅と各帯状の内部電極301e、303e、305e、307e、309eの電極幅は、いずれも0.5mmに形成した。
【0059】
一方、略螺旋状の放射電極300の巻回数は、図9(e)から分かるように、実施例4のチップ型アンテナと同様に4回であり、放射電極300の電極長も、実施例4のチップ型アンテナと同様に、実施例1〜3のチップ型アンテナよりは長いものとした。従って、この実施例5のチップ型アンテナでは、「第1の層」としての第11基体層(層No.11)211に配設される帯状の内部電極と「第2の層」としての第2基体層(層No.2)202に配設される帯状の内部電極の形状は実施例4のチップ型アンテナと略同様であるが、各電極幅が実施例4の5/3倍に広くなっている。そのため、図9(d)及び(e)から明らかなように、「第1の層」としての第11基体層(層No.11)211に配設される帯状の内部電極と「第2の層」としての第2基体層(層No.2)202に配設される帯状の内部電極は、実施例4のチップ型アンテナと同様に、複数の基体層201〜213の積層方向A(図2参照)の投影面内において交互に配置されているが、図9(d)に示す実施例4のチップ型アンテナに比べて図9(e)に示す実施例5のチップ型アンテナでは、該投影面内において両者の電極の間隔がより狭くなっている。
【0060】
この実施例5のチップ型アンテナについて、周波数に対するVSWRを測定した結果を図11に示す。図11(a)は、実施例5のチップ型アンテナのVSWRと周波数の関係を表すグラフであり、図11(b)は、その横軸の周波数の目盛りを拡大して示したものである。VSWRは、アンテナに送られる送信電力の反射の程度を表す値であり、この縦軸のVSWRの値が小さい(1に近い)程、反射が少なく投入した電力が効率よくアンテナに伝わるためアンテナ特性が優れていることを表しており、同図に示すように、ある周波数帯域でVSWRの値が示される。
【0061】
図11(a)及び(b)に示すグラフの解析結果から、この実施例5のチップ型アンテナでは、VSWRが最小となる(グラフの曲線が最も1に近くなる)周波数が、約2044MHzであり、VSWRが3以下となる帯域幅が約1916MHz〜約2136MHzまで約212MHzの幅だけ確保されていることが分かった。従って、対象とするUMTS帯域に略対応する、広い周波数帯域においてVSWRが3以下となる良好な放射特性が得られることを確認することができた。
【0062】
実施例6のチップ型アンテナは、「第1の層」としての第11基体層(層No.11)211に形成される帯状の内部電極と「第2の層」としての第2基体層(層No.2)202に形成される帯状の内部電極を、それぞれ図9(f)に示す電極形状に形成し、同図に示すピッチで配置した。即ち、この実施例6のチップ型アンテナでは、第2基体層(層No.2)202の上面には、帯状の内部電極302f、304f、306f、308fが形成されている。一方、第11基体層(層No.11)211の上面には、図9(f)に示すように、帯状の内部電極301f、303f、305f、307f、309fが形成されている。尚、帯状の内部電極307fと309fは、第11基体層(層No.11)211の幅方向の中央でスルーホール電極(図示せず)と接続されており、他の帯状の内部電極301f、303f、305fに対して略半分の長さに形成されているのは実施例4及び5のチップ型アンテナと同様である。
【0063】
即ち、この実施例6のチップ型アンテナは、第11基体層(層No.11)211の上面に形成された帯状の内部電極307f、309fが、それぞれスルーホール電極611、612(図2参照)を介して図2及び図3に示した給電端側端子400、開放端側端子500と接続されている。従って、第11基体層(層No.11)211の上面に形成された帯状の内部電極307f、309fが、スルーホール電極接続部を有する給電端側電極、開放端側電極を構成する。そして、第2基体層(層No.2)202の上面に形成された帯状の内部電極302f、304f、306f、308fと第11基体層(層No.11)211の上面に形成された帯状の内部電極301f、303f、305fが、スルーホール電極601〜608(図示せず)を介して接続されることにより、略螺旋状の放射電極300を構成している。この実施例6のチップ型アンテナでは、各帯状の内部電極302f、304f、306f、308fの電極幅と各帯状の内部電極301f、303f、305f、307f、309fの電極幅は、いずれも0.7mmに形成した。
【0064】
一方、略螺旋状の放射電極300の巻回数は、図9(f)から分かるように、実施例4及び5のチップ型アンテナと同様に4回であり、放射電極300の電極長も、実施例4及び5のチップ型アンテナと同様に、実施例1〜3のチップ型アンテナよりは長いものとした。従って、この実施例6のチップ型アンテナでは、「第1の層」としての第11基体層(層No.11)211に配設される帯状の内部電極と「第2の層」としての第2基体層(層No.2)202に配設される帯状の内部電極の形状は実施例4及び5のチップ型アンテナと略同様であるが、各電極幅が実施例4の7/3倍、実施例5の7/5倍に広くなっている。そのため、図9(d)、(e)及び(f)から明らかなように、「第1の層」としての第11基体層(層No.11)211に配設される帯状の内部電極と「第2の層」としての第2基体層(層No.2)202に配設される帯状の内部電極は、実施例4及び5のチップ型アンテナと同様に、複数の基体層201〜213の積層方向A(図2参照)の投影面内において交互に配置されているが、図9(f)に示す実施例6のチップ型アンテナでは、該投影面内において両者の電極の間隔は無くなり、一部重なり合っている。
【0065】
この実施例6のチップ型アンテナについて、周波数に対するVSWRを測定した結果を図12に示す。図12(a)は、実施例6のチップ型アンテナのVSWRと周波数の関係を表すグラフであり、図12(b)は、その横軸の周波数の目盛りを拡大して示したものである。VSWRは、アンテナに送られる送信電力の反射の程度を表す値であり、この縦軸のVSWRの値が小さい(1に近い)程、反射が少なく投入した電力が効率よくアンテナに伝わるためアンテナ特性が優れていることを表しており、同図に示すように、ある周波数帯域でVSWRの値が示される。
【0066】
図12(a)及び(b)に示すグラフの解析結果から、この実施例6のチップ型アンテナでは、VSWRが最小となる(グラフの曲線が最も1に近くなる)周波数が、約2103MHzであり、VSWRが3以下となる帯域幅が約1976MHz〜約2207MHzまで約223MHzの幅だけ確保されていることが分かった。従って、対象とするUMTS帯域に略対応する、広い周波数帯域においてVSWRが3以下となる良好な放射特性が得られることを確認することができた。
【0067】
図13は、本発明の実施形態に係るチップ型アンテナの実施例の電極構成を示す図であり、(g)は実施例7、(h)は実施例8、(i)は実施例9、の電極構成をそれぞれ示す。
【0068】
実施例7のチップ型アンテナは、「第1の層」としての第11基体層(層No.11)211に形成される帯状の内部電極と「第2の層」としての第2基体層(層No.2)202に形成される帯状の内部電極を、それぞれ図13(g)に示すように形成した。即ち、この実施例7のチップ型アンテナでは、第2基体層(層No.2)202の上面には、帯状の内部電極302g、304g、306g、308gが形成されている。一方、第11基体層(層No.11)211の上面には、図13(g)に示すように、帯状の内部電極301g、303g、305g、307g、309gが形成されている。尚、帯状の内部電極307gと309gは、第11基体層(層No.11)211の幅方向のそれぞれ略2/3まで伸長した箇所でスルーホール電極と接続されており、他の帯状の内部電極301g、303g、305gに対して略2/3の長さに形成されている。
【0069】
即ち、この実施例7のチップ型アンテナは、第11基体層(層No.11)211の上面に形成された帯状の内部電極307g、309gが、それぞれスルーホール電極611、612(図2参照)を介して図2及び図3に示した給電端側端子400、開放端側端子500と接続されている。従って、第11基体層(層No.11)211の上面に形成された帯状の内部電極307g、309gが、スルーホール電極接続部を有する給電端側電極、開放端側電極を構成する。そして、第2基体層(層No.2)202の上面に形成された帯状の内部電極302g、304g、306g、308gと第11基体層(層No.11)211の上面に形成された帯状の内部電極301g、303g、305gが、スルーホール電極601〜608(図示せず)を介して接続されることにより、略螺旋状の放射電極300を構成している。この実施例7のチップ型アンテナでは、各帯状の内部電極302g、304g、306g、308gの電極幅と各帯状の内部電極301g、303g、305g、307g、309gの電極幅は、いずれも0.3mmに形成した。また、略螺旋状の放射電極300の巻回数は、図13(g)から分かるように、4.5回であり、放射電極300の電極長は実施例4〜6のチップ型アンテナよりも更に長いものとした。
【0070】
この実施例7のチップ型アンテナについて、周波数に対するVSWRを測定した結果を図14に示す。図14(a)は、実施例7のチップ型アンテナのVSWRと周波数の関係を表すグラフであり、図14(b)は、その横軸の周波数の目盛りを拡大して示したものである。VSWRは、アンテナに送られる送信電力の反射の程度を表す値であり、この縦軸のVSWRの値が小さい(1に近い)程、反射が少なく投入した電力が効率よくアンテナに伝わるためアンテナ特性が優れていることを表しており、同図に示すように、ある周波数帯域でVSWRの値が示される。
【0071】
図14(a)及び(b)に示すグラフの解析結果から、この実施例7のチップ型アンテナでは、VSWRが最小となる(グラフの曲線が最も1に近くなる)周波数が、約1910MHzであり、VSWRが3以下となる帯域幅が約1808MHz〜約1991MHzまで約183MHzの幅だけ確保されていることが分かった。従って、広い周波数帯域においてVSWRが3以下となる良好な放射特性が得られることを確認することができた。但し、VSWRが3以下となる帯域幅は対象とするUMTS帯域に略対応する周波数帯域よりも低周波側にシフトしており、また、VSWRが3以下となる帯域幅が約183MHzというように約200MHz以上の幅は確保できなかった。
【0072】
実施例8のチップ型アンテナは、「第1の層」としての第11基体層(層No.11)211に形成される帯状の内部電極と「第2の層」としての第2基体層(層No.2)202に形成される帯状の内部電極を、それぞれ図13(h)に示すように形成した。即ち、この実施例8のチップ型アンテナでは、第2基体層(層No.2)202の上面には、帯状の内部電極302h、304h、306h、308hが形成されている。一方、第11基体層(層No.11)211の上面には、図13(h)に示すように、帯状の内部電極301h、303h、305h、307h、309hが形成されている。尚、帯状の内部電極307hと309hは、第11基体層(層No.11)211の幅方向のそれぞれ略2/3まで伸長した箇所でスルーホール電極と接続されており、他の帯状の内部電極301h、303h、305hに対して略2/3の長さに形成されているのは実施例7のチップ型アンテナと同様である。
【0073】
即ち、この実施例8のチップ型アンテナも、第11基体層(層No.11)211の上面に形成された帯状の内部電極307h、309hが、それぞれスルーホール電極611、612(図2参照)を介して図2及び図3に示した給電端側端子400、開放端側端子500と接続されている。従って、第11基体層(層No.11)211の上面に形成された帯状の内部電極307h、309hが、スルーホール電極接続部を有する給電端側電極、開放端側電極を構成する。そして、第2基体層(層No.2)202の上面に形成された帯状の内部電極302h、304h、306h、308hと第11基体層(層No.11)211の上面に形成された帯状の内部電極301h、303h、305hが、スルーホール電極601〜608(図示せず)を介して接続されることにより、略螺旋状の放射電極300を構成している。この実施例8のチップ型アンテナでは、各帯状の内部電極302h、304h、306h、308hの電極幅と各帯状の内部電極301h、303h、305h、307h、309hの電極幅は、いずれも0.5mmに形成した。一方、略螺旋状の放射電極300の巻回数は、図13(h)から分かるように、実施例7のチップ型アンテナと同様に4.5回であり、放射電極300の電極長も、実施例7のチップ型アンテナと同様に、実施例4〜6のチップ型アンテナよりも更に長いものとした。従って、この実施例8のチップ型アンテナでは、「第1の層」としての第11基体層(層No.11)211に配設される帯状の内部電極と「第2の層」としての第2基体層(層No.2)202に配設される帯状の内部電極の形状は実施例7のチップ型アンテナと略同様であるが、各電極幅が実施例7の5/3倍に広くなっている。そのため、図13(g)及び(h)から明らかなように、「第1の層」としての第11基体層(層No.11)211に配設される帯状の内部電極と「第2の層」としての第2基体層(層No.2)202に配設される帯状の内部電極は、実施例7のチップ型アンテナと同様に、複数の基体層201〜213の積層方向A(図2参照)の投影面内において交互に配置されているが、図13(g)に示す実施例7のチップ型アンテナに比べて図13(h)に示す実施例8のチップ型アンテナでは、該投影面内において両者の電極の間隔がより狭くなっている。
【0074】
この実施例8のチップ型アンテナについて、周波数に対するVSWRを測定した結果を図15に示す。図15(a)は、実施例8のチップ型アンテナのVSWRと周波数の関係を表すグラフであり、図15(b)は、その横軸の周波数の目盛りを拡大して示したものである。VSWRは、アンテナに送られる送信電力の反射の程度を表す値であり、この縦軸のVSWRの値が小さい(1に近い)程、反射が少なく投入した電力が効率よくアンテナに伝わるためアンテナ特性が優れていることを表しており、同図に示すように、ある周波数帯域でVSWRの値が示される。
【0075】
図15(a)及び(b)に示すグラフの解析結果から、この実施例8のチップ型アンテナでは、VSWRが最小となる(グラフの曲線が最も1に近くなる)周波数が、約2022MHzであり、VSWRが3以下となる帯域幅が約1898MHz〜約2111MHzまで約213MHzの幅だけ確保されていることが分かった。従って、広い周波数帯域においてVSWRが3以下となる良好な放射特性が得られることを確認することができた。また、VSWRが3以下となる帯域幅は対象とするUMTS帯域に略対応する周波数帯域であることが分かった。
【0076】
実施例9のチップ型アンテナは、「第1の層」としての第11基体層(層No.11)211に形成される帯状の内部電極と「第2の層」としての第2基体層(層No.2)202に形成される帯状の内部電極を、それぞれ図13(i)に示すように形成した。即ち、この実施例9のチップ型アンテナでは、第2基体層(層No.2)202の上面には、帯状の内部電極302i、304i、306i、308iが形成されている。一方、第11基体層(層No.11)211の上面には、図13(i)に示すように、帯状の内部電極301i、303i、305i、307i、309iが形成されている。尚、帯状の内部電極307iと309iは、第11基体層(層No.11)211の幅方向のそれぞれ略2/3まで伸長した箇所でスルーホール電極と接続されており、他の帯状の内部電極301i、303i、305iに対して略2/3の長さに形成されているのは実施例7及び8のチップ型アンテナと同様である。
【0077】
即ち、この実施例9のチップ型アンテナも、第11基体層(層No.11)211の上面に形成された帯状の内部電極307i、309iが、それぞれスルーホール電極611、612(図2参照)を介して図2及び図3に示した給電端側端子400、開放端側端子500と接続されている。従って、第11基体層(層No.11)211の上面に形成された帯状の内部電極307i、309iが、スルーホール電極接続部を有する給電端側電極、開放端側電極を構成する。そして、第2基体層(層No.2)202の上面に形成された帯状の内部電極302i、304i、306i、308iと第11基体層(層No.11)211の上面に形成された帯状の内部電極301i、303i、305iが、スルーホール電極601〜608(図示せず)を介して接続されることにより、略螺旋状の放射電極300を構成している。この実施例9のチップ型アンテナでは、各帯状の内部電極302i、304i、306i、308iの電極幅と各帯状の内部電極301i、303i、305i、307i、309iの電極幅は、いずれも0.7mmに形成した。一方、略螺旋状の放射電極300の巻回数は、図13(i)から分かるように、実施例7及び8のチップ型アンテナと同様に4.5回であり、放射電極300の電極長も、実施例7及び8のチップ型アンテナと同様に、実施例4〜6のチップ型アンテナよりも更に長いものとした。従って、この実施例9のチップ型アンテナでは、「第1の層」としての第11基体層(層No.11)211に配設される帯状の内部電極と「第2の層」としての第2基体層(層No.2)202に配設される帯状の内部電極の形状は実施例7及び8のチップ型アンテナと略同様であるが、各電極幅が実施例7の7/3倍、実施例8の7/5倍に広くなっている。そのため、図13(g)、(h)及び(i)から明らかなように、「第1の層」としての第11基体層(層No.11)211に配設される帯状の内部電極と「第2の層」としての第2基体層(層No.2)202に配設される帯状の内部電極は、実施例7及び8のチップ型アンテナと同様に、複数の基体層201〜213の積層方向A(図2参照)の投影面内において交互に配置されているが、図13(i)に示す実施例9のチップ型アンテナでは、該投影面内において両者の電極の間隔は無くなり、一部重なり合っている。
【0078】
この実施例9のチップ型アンテナについて、周波数に対するVSWRを測定した結果を図16に示す。図16(a)は、実施例9のチップ型アンテナのVSWRと周波数の関係を表すグラフであり、図16(b)は、その横軸の周波数の目盛りを拡大して示したものである。VSWRは、アンテナに送られる送信電力の反射の程度を表す値であり、この縦軸のVSWRの値が小さい(1に近い)程、反射が少なく投入した電力が効率よくアンテナに伝わるためアンテナ特性が優れていることを表しており、同図に示すように、ある周波数帯域でVSWRの値が示される。
【0079】
図16(a)及び(b)に示すグラフの解析結果から、この実施例9のチップ型アンテナでは、VSWRが最小となる(グラフの曲線が最も1に近くなる)周波数が、約2074MHzであり、VSWRが3以下となる帯域幅が約1947MHz〜約2178MHzまで約225MHzの幅だけ確保されていることが分かった。従って、広い周波数帯域においてVSWRが3以下となる良好な放射特性が得られることを確認することができた。また、VSWRが3以下となる帯域幅は対象とするUMTS帯域に略対応する周波数帯域であることが分かった。
【0080】
図17は、本発明の実施形態に係るチップ型アンテナの実施例の電極構成を示す図であり、(j)は実施例10、(k)は実施例11、(l)は実施例12、の電極構成をそれぞれ示す。
【0081】
実施例10のチップ型アンテナは、「第1の層」としての第11基体層(層No.11)211に形成される帯状の内部電極と「第2の層」としての第2基体層(層No.2)202に形成される帯状の内部電極を、それぞれ図17(j)に示すように形成した。即ち、この実施例10のチップ型アンテナでは、第2基体層(層No.2)202の上面には、帯状の内部電極302j、304j、306j、308j、310j、312jが形成されている。一方、第11基体層(層No.11)211の上面には、図17(j)に示すように、帯状の内部電極301j、303j、305j、307j、309j、311j、313jが形成されている。尚、帯状の内部電極311jと313jは、第11基体層(層No.11)211の幅方向のそれぞれ略2/3まで伸長した箇所でスルーホール電極と接続されており、他の帯状の内部電極301j、303j、305j、307j、309jに対して略2/3の長さに形成されている。
【0082】
即ち、この実施例10のチップ型アンテナは、第11基体層(層No.11)211の上面に形成された帯状の内部電極311j、313jが、それぞれスルーホール電極611、612(図2参照)を介して図2及び図3に示した給電端側端子400、開放端側端子500と接続されている。従って、第11基体層(層No.11)211の上面に形成された帯状の内部電極311j、313jが、スルーホール電極接続部を有する給電端側電極、開放端側電極を構成する。そして、第2基体層(層No.2)202の上面に形成された帯状の内部電極302j、304j、306j、308j、310j、312jと第11基体層(層No.11)211の上面に形成された帯状の内部電極301j、303j、305j、307j、309j、311j、313jが、スルーホール電極601〜612(図示せず)を介して接続されることにより、略螺旋状の放射電極300を構成している。この実施例10のチップ型アンテナでは、各帯状の内部電極302j、304j、306j、308j、310j、312jの電極幅と各帯状の内部電極301j、303j、305j、307j、309j、311j、313jの電極幅は、いずれも0.3mmに形成した。また、略螺旋状の放射電極300の巻回数は、図17(j)から分かるように、6.5回であり、放射電極300の電極長は実施例7〜9のチップ型アンテナよりも更に長いものとした。
【0083】
この実施例10のチップ型アンテナについて、周波数に対するVSWRを測定した結果を図18に示す。図18(a)は、実施例10のチップ型アンテナのVSWRと周波数の関係を表すグラフであり、図18(b)は、その横軸の周波数の目盛りを拡大して示したものである。VSWRは、アンテナに送られる送信電力の反射の程度を表す値であり、この縦軸のVSWRの値が小さい(1に近い)程、反射が少なく投入した電力が効率よくアンテナに伝わるためアンテナ特性が優れていることを表しており、同図に示すように、ある周波数帯域でVSWRの値が示される。
【0084】
図18(a)及び(b)に示すグラフの解析結果から、この実施例10のチップ型アンテナでは、VSWRが最小となる(グラフの曲線が最も1に近くなる)周波数が、約1590MHzであり、VSWRが3以下となる帯域幅が約1500MHz〜約1610MHzまで約150MHzの幅だけ確保されていることが分かった。従って、VSWRが3以下となる帯域幅は対象とするUMTS帯域に略対応する周波数帯域よりも大きく低周波側にシフトしていることが分かった。また、VSWRが3以下となる良好な放射特性が得られる帯域幅は、上述した実施例1〜9のチップ型アンテナに比べて狭いものになり、約150MHzというように約200MHz以上の幅は到底確保できなかった。
【0085】
実施例11のチップ型アンテナは、「第1の層」としての第11基体層(層No.11)211に形成される帯状の内部電極と「第2の層」としての第2基体層(層No.2)202に形成される帯状の内部電極を、それぞれ図17(k)に示すように形成した。即ち、この実施例11のチップ型アンテナでは、第2基体層(層No.2)202の上面には、帯状の内部電極302k、304k、306k、308k、310kが形成されている。一方、第11基体層(層No.11)211の上面には、図17(k)に示すように、帯状の内部電極301k、303k、305k、307k、309k、311kが形成されている。尚、帯状の内部電極309kと311kは、第11基体層(層No.11)211の幅方向のそれぞれ略2/3まで伸長した箇所でスルーホール電極と接続されており、他の帯状の内部電極301k、303k、305k、307kに対して略2/3の長さに形成されているのは実施例10のチップ型アンテナと同様である。
【0086】
即ち、この実施例11のチップ型アンテナも、第11基体層(層No.11)211の上面に形成された帯状の内部電極309k、311kが、それぞれスルーホール電極611、612(図2参照)を介して図2及び図3に示した給電端側端子400、開放端側端子500と接続されている。従って、第11基体層(層No.11)211の上面に形成された帯状の内部電極309k、311kが、スルーホール電極接続部を有する給電端側電極、開放端側電極を構成する。そして、第2基体層(層No.2)202の上面に形成された帯状の内部電極302k、304k、306k、308k、310kと第11基体層(層No.11)211の上面に形成された帯状の内部電極301k、303k、305k、307k、309k、311kが、スルーホール電極601〜610(図示せず)を介して接続されることにより、略螺旋状の放射電極300を構成している。この実施例11のチップ型アンテナでは、各帯状の内部電極302k、304k、306k、308k、310kの電極幅と各帯状の内部電極301k、303k、305k、307k、309k、311kの電極幅は、いずれも0.5mmに形成した。一方、略螺旋状の放射電極300の巻回数は、図17(k)から分かるように、5.5回であり、放射電極300の電極長は、実施例10のチップ型アンテナよりは短いが、実施例7〜9のチップ型アンテナよりは更に長いものとした。従って、この実施例11のチップ型アンテナでは、「第1の層」としての第11基体層(層No.11)211に配設される帯状の内部電極と「第2の層」としての第2基体層(層No.2)202に配設される帯状の内部電極の形状は実施例10のチップ型アンテナと略同様であるが、各電極幅が5/3倍に広くなっている。そして、上述した巻回数が5.5回と多い(帯状の内部電極の数が多い)ことから、図17(k)から明らかなように、「第1の層」としての第11基体層(層No.11)211に配設される帯状の内部電極と「第2の層」としての第2基体層(層No.2)202に配設される帯状の内部電極は、実施例10のチップ型アンテナと同様に、複数の基体層201〜213の積層方向A(図2参照)の投影面内において交互に配置されているが、図17(k)に示す実施例11のチップ型アンテナでは、該投影面内において両者の電極の間隔は無くなっている。
【0087】
この実施例11のチップ型アンテナについて、周波数に対するVSWRを測定した結果を図19に示す。図19(a)は、実施例11のチップ型アンテナのVSWRと周波数の関係を表すグラフであり、図19(b)は、その横軸の周波数の目盛りを拡大して示したものである。VSWRは、アンテナに送られる送信電力の反射の程度を表す値であり、この縦軸のVSWRの値が小さい(1に近い)程、反射が少なく投入した電力が効率よくアンテナに伝わるためアンテナ特性が優れていることを表しており、同図に示すように、ある周波数帯域でVSWRの値が示される。
【0088】
図19(a)及び(b)に示すグラフの解析結果から、この実施例11のチップ型アンテナでは、VSWRが最小となる(グラフの曲線が最も1に近くなる)周波数が、約1799MHzであり、VSWRが3以下となる帯域幅が約1708MHz〜約1857MHzまで約145MHzの幅だけ確保されていることが分かった。従って、VSWRが3以下となる帯域幅は対象とするUMTS帯域に略対応する周波数帯域よりも大きく低周波側にシフトしていることが分かった。また、VSWRが3以下となる良好な放射特性が得られる帯域幅は、上述した実施例1〜9のチップ型アンテナに比べて狭いものになり、約145MHzというように約200MHz以上の幅は到底確保できなかった。
【0089】
実施例12のチップ型アンテナは、「第1の層」としての第11基体層(層No.11)211に形成される帯状の内部電極と「第2の層」としての第2基体層(層No.2)202に形成される帯状の内部電極を、それぞれ図17(l)に示すように形成した。即ち、この実施例12のチップ型アンテナでは、第2基体層(層No.2)202の上面には、帯状の内部電極302l、304l、306l、308l、310l、312lが形成されている。一方、第11基体層(層No.11)211の上面には、図17(l)に示すように、帯状の内部電極301l、303l、305l、307l、309l、311lが形成されている。尚、帯状の内部電極312lは、第2基体層(層No.2)202の幅方向の略1/3まで伸長した箇所でスルーホール電極と接続されており、他の帯状の内部電極302l、304l、306l、308l、310lに対して略1/3の長さに形成されている。一方、帯状の内部電極311lは、第11基体層(層No.11)211の幅方向の略2/3まで伸長した箇所でスルーホール電極と接続されており、他の帯状の内部電極301l、303l、305l、307l、309lに対して略2/3の長さに形成されている。
【0090】
即ち、この実施例12のチップ型アンテナは、第11基体層(層No.11)211の上面に形成された帯状の内部電極311lが、スルーホール電極611(図2参照)を介して図2及び図3に示した給電端側端子400と接続されており、第2基体層(層No.2)202の上面に配設された帯状の内部電極312lが、スルーホール電極612(図2参照)を介して図2及び図3に示した開放端側端子500と接続されている。従って、第11基体層(層No.11)211の上面に形成された帯状の内部電極311lがスルーホール電極接続部を有する給電端側電極を構成する一方、第2基体層(層No.2)202の上面に配設された帯状の内部電極312lがスルーホール電極接続部を有する開放端側電極を構成する。尚、図2では給電端側電極と開放端側電極は、いずれも第11基体層(層No.11)211の上面に形成されているが、実施例12のチップ型アンテナでは、開放端側電極の方は第2基体層(層No.2)202の上面に形成されている。そして、第2基体層(層No.2)202の上面に形成された帯状の内部電極302l、304l、306l、308l、310l、312lと第11基体層(層No.11)211の上面に形成された帯状の内部電極301l、303l、305l、307l、309l、311lが、スルーホール電極601〜610(図示せず)を介して接続されることにより、略螺旋状の放射電極300を構成している。この実施例12のチップ型アンテナでは、各帯状の内部電極302l、304l、306l、308l、310l、312lの電極幅と各帯状の内部電極301l、303l、305l、307l、309l、311lの電極幅は、いずれも0.7mmに形成した。一方、略螺旋状の放射電極300の巻回数は、図17(l)から分かるように、5.5回であり、放射電極300の電極長も、実施例7〜9のチップ型アンテナよりも更に長いものとした。従って、この実施例12のチップ型アンテナでは、「第1の層」としての第11基体層(層No.11)211に配設される帯状の内部電極と「第2の層」としての第2基体層(層No.2)202に配設される帯状の内部電極の形状は実施例10及び11のチップ型アンテナと略同様であるが、各電極幅が実施例10の7/3倍、実施例11の7/5倍に広くなっている。そのため、図17(j)、(k)及び(l)から明らかなように、「第1の層」としての第11基体層(層No.11)211に配設される帯状の内部電極と「第2の層」としての第2基体層(層No.2)202に配設される帯状の内部電極は、実施例10及び11のチップ型アンテナと同様に、複数の基体層201〜213の積層方向A(図2参照)の投影面内において交互に配置されているが、図17(l)に示す実施例12のチップ型アンテナでは、該投影面内において両者の電極の間隔は無くなり、一部重なり合っている。
【0091】
この実施例12のチップ型アンテナについて、周波数に対するVSWRを測定した結果を図20に示す。図20(a)は、実施例12のチップ型アンテナのVSWRと周波数の関係を表すグラフであり、図20(b)は、その横軸の周波数の目盛りを拡大して示したものである。VSWRは、アンテナに送られる送信電力の反射の程度を表す値であり、この縦軸のVSWRの値が小さい(1に近い)程、反射が少なく投入した電力が効率よくアンテナに伝わるためアンテナ特性が優れていることを表しており、同図に示すように、ある周波数帯域でVSWRの値が示される。
【0092】
図20(a)及び(b)に示すグラフの解析結果から、この実施例12のチップ型アンテナでは、VSWRが最小となる(グラフの曲線が最も1に近くなる)周波数が、約1762MHzであり、VSWRが3以下となる帯域幅が約1674MHz〜約1821MHzまで約147MHzの幅だけ確保されていることが分かった。従って、VSWRが3以下となる帯域幅は対象とするUMTS帯域に略対応する周波数帯域よりも大きく低周波側にシフトしていることが分かった。また、VSWRが3以下となる良好な放射特性が得られる帯域幅は、上述した実施例1〜9のチップ型アンテナに比べて狭いものになり、約147MHzというように約200MHz以上の幅は到底確保できなかった。
【0093】
図21は、本発明の実施形態に係るチップ型アンテナの以上に述べた実施例1〜12の測定結果を示す表である。図21において、foはVSWRが最小値となる周波数を示す。また、帯域幅はVSWR<3となる周波数範囲を示す。尚、図21の表中において、斜線で示す範囲は、ほぼ特性を満足している結果を示したものである。
【0094】
図21から明らかなように、どの電極幅でも巻き数の増加によりfoは低くなり、帯域幅は略減少する傾向を示した。これは、巻き数の増加で隣接電極間隔が狭まり、結合容量が増加するので帯域幅が狭くなるためであると解される。また、同じ巻数で比較した場合、電極幅が大きいほど略foは高く、帯域幅は広がる傾向を示した。これは、電極幅の大きい方が、電極長が短くなるためであると解される。また、特にfo、帯域幅ともに満足する構造は、電極幅が0.5mm、巻き数が4.0回或いは4.5回であった。一方、電極幅が0.3mmならば巻数3回で良好な特性が得られ、電極幅が0.7mmならば巻数4.5回で良好な特性が得られた。
【0095】
図22は、本発明の実施形態のチップ型アンテナを実装基板に搭載した後の検査・調整方法を説明するための図であり、(a)はその導通検査方法、(b)はその中心周波数の調整方法を示す。上述したように、給電端側端子400及び開放端側端子500は、チップ型アンテナの実装面に形成されている。そこで、給電端側端子400及び開放端側端子500には、基体200内に形成された放射電極300の導通検査を行うための導通検査装置800が接続される。また、開放端側端子500には、周波数調整用の延長電極が接続される。
【0096】
即ち、本発明の実施形態のチップ型アンテナでは、給電端側端子400及び開放端側端子500がチップ型アンテナの実装面に形成されているので、基板810に給電端側端子400と接続される給電線路812、開放端側端子500と接続される導電パッド814を形成し、チップ型アンテナを給電端側端子400、開放端側端子500がそれぞれ上記給電線路812、導電パッド814に接続されるように配置して、図22(a)に示すように、それぞれ給電線路812、導電パッド814に、例えば、テスタのプローブ816、818を接続することにより、チップ型アンテナの導通検査を簡単に行うことができる。
【0097】
また、本発明の実施形態のチップ型アンテナでは、開放端側端子500がチップ型アンテナの実装面に形成されているので、図22(b)に示すように、基板810に開放端側端子500と接続される延長電極(周波数調整用の導体パターン)820を形成することにより、チップ型アンテナの中心周波数の調整を簡単に行うことができる。
【0098】
以上に述べたように、本発明のチップ型アンテナは、誘電材料及び磁性材料の少なくとも一方から成る基体を構成する複数の層のうち第1の層と第2の層に複数の帯状の内部電極が所定のピッチで、積層方向の投影面内において交互に配置されるとともに、スルーホール電極により直列に接続されて略螺旋状の放射電極を構成しており、それら帯状の内部電極の幅が0.3mm〜0.7mmである。
【0099】
かかる構成により、チップ型アンテナを従来よりも更に小型化することができる上に、広い送受信周波数帯域内において優れた放射特性が得られる。また。略螺旋状の放射電極の巻回数が3回以上4.5回以下であるので、放射電極が比較的少ない巻回数で形成されることからチップ型アンテナの更なる小型化が容易になる。更に、第1の層の内部電極と第2の層の内部電極との間隔が450μm〜1000μmであるので、基体内で第1の層の内部電極と第2の層の内部電極とが上記の450μm〜1000μmの間隔内に収まることから、十分にチップ型アンテナの小型化が図れる。
【0100】
更にまた、VSWRが最小となる周波数が1500MHz〜2500MHzの範囲であり、VSWRが3以下となる帯域幅が200MHz以上であるので、特に、WCDMA通信方式に実用上有効な広い送受信周波数帯域内において放射特性の優れたチップ型アンテナを実現することができる。
【0101】
また、本発明のチップ型アンテナは、基体内の放射電極を構成する第1の層の帯状の内部電極と第2の層の帯状の内部電極とが積層方向の投影面内において交互に配置されているので、基体内の略螺旋状の放射電極が対称性を有して形成されることから、チップ型アンテナを製作する工程で積層体の反りを発生し難くなる。その結果、チップ型アンテナを携帯電話等の内部の基板に実装するときの座りが良くなり、実装安定性が向上する。更に、チップ型アンテナの実装面を構成する第12基体層(層No.12)212の下面(裏面)には、図2及び図3に示すように、給電端側端子400及び開放端側端子500とは離間して補強用端子701〜712が形成されている。この補強用端子701〜712は、電気的な接続を取るものではなく、チップ型アンテナ100の実装面が基板等から剥がれてしまうのを防止するために接着強度を高める端子である。従って、第12基体層(層No.12)212の下面(裏面)の周縁側に沿って形成されており、給電端側端子400と開放端側端子500が形成されている部分を除いた、幅方向の端部に等間隔に形成されている。かかる構成によっても、チップ型アンテナを携帯電話等の内部の基板に実装するときの座りが良くなり、実装安定性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明の実施形態に係るチップ型アンテナの透視斜視図である。
【図2】図1のチップ型アンテナの分解斜視図である。
【図3】図1のチップ型アンテナの複数の層それぞれにおける電極パターン(放射電極のパターン、スルーホール電極のパターン、裏面電極のパターン)の構成を示す図である。
【図4】図2及び図3に示す複数の層のうち、帯状の内部電極が配設された第2基体層(層No.2)202及び第11基体層(層No.11)211を拡大して示す図であり、(a)は第2基体層(層No.2)202の拡大図、(b)は第11基体層(層No.11)211の拡大図である。
【図5】本発明の実施形態に係るチップ型アンテナの実施例の電極構成を示す図であり、(a)は実施例1、(b)は実施例2、(c)は実施例3、の電極構成をそれぞれ示す。
【図6】本発明の実施形態に係るチップ型アンテナの実施例1のVSWRと周波数の関係を表すグラフである。
【図7】本発明の実施形態に係るチップ型アンテナの実施例2のVSWRと周波数の関係を表すグラフである。
【図8】本発明の実施形態に係るチップ型アンテナの実施例3のVSWRと周波数の関係を表すグラフである。
【図9】本発明の実施形態に係るチップ型アンテナの実施例の電極構成を示す図であり、(d)は実施例4、(e)は実施例5、(f)は実施例6、の電極構成をそれぞれ示す。
【図10】本発明の実施形態に係るチップ型アンテナの実施例4のVSWRと周波数の関係を表すグラフである。
【図11】本発明の実施形態に係るチップ型アンテナの実施例5のVSWRと周波数の関係を表すグラフである。
【図12】本発明の実施形態に係るチップ型アンテナの実施例6のVSWRと周波数の関係を表すグラフである。
【図13】本発明の実施形態に係るチップ型アンテナの実施例の電極構成を示す図であり、(g)は実施例7、(h)は実施例8、(i)は実施例9、の電極構成をそれぞれ示す。
【図14】本発明の実施形態に係るチップ型アンテナの実施例7のVSWRと周波数の関係を表すグラフである。
【図15】本発明の実施形態に係るチップ型アンテナの実施例8のVSWRと周波数の関係を表すグラフである。
【図16】本発明の実施形態に係るチップ型アンテナの実施例9のVSWRと周波数の関係を表すグラフである。
【図17】本発明の実施形態に係るチップ型アンテナの実施例の電極構成を示す図であり、(j)は実施例10、(k)は実施例11、(l)は実施例12、の電極構成をそれぞれ示す。
【図18】本発明の実施形態に係るチップ型アンテナの実施例10のVSWRと周波数の関係を表すグラフである。
【図19】本発明の実施形態に係るチップ型アンテナの実施例11のVSWRと周波数の関係を表すグラフである。
【図20】本発明の実施形態に係るチップ型アンテナの実施例12のVSWRと周波数の関係を表すグラフである。
【図21】本発明の実施形態に係るチップ型アンテナの実施例1〜12の測定結果を示す表である。
【図22】図1のチップ型アンテナを実装基板に搭載した後の検査・調整方法を説明するための図であり、(a)はその導通検査方法、(b)はその中心周波数の調整方法を示す。
【符号の説明】
【0103】
100 チップ型アンテナ、 201〜212 基体層、
200 基体、 301〜311 帯状の内部電極、 300 放射電極、
400 給電端側端子、 500 開放端側端子、 A 積層方向、
601〜612 スルーホール電極
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電材料及び磁性材料の少なくとも一方から成る複数の層が積層されて構成される基体と、前記複数の層のうち所定の層に形成された内部電極により構成される放射電極と、前記放射電極の一端が接続され、前記基体の表面に形成された給電端側端子と、前記放射電極の他端が接続され、前記基体の表面に形成された開放端側端子とを含むチップ型アンテナにおいて、
前記複数の層のうち、第1の層と第2の層には、複数の帯状の内部電極が所定のピッチで配設され、前記第1の層の帯状の内部電極と、前記第2の層の帯状の内部電極とは、前記積層方向の投影面内において交互に配置されるとともに、スルーホール電極により直列に接続されて、巻回軸が前記積層方向と直交する方向になるような略螺旋状の放射電極を構成しており、前記帯状の内部電極の幅が0.3mm〜0.7mmであることを特徴とするチップ型アンテナ。
【請求項2】
請求項1に記載のチップ型アンテナにおいて、前記略螺旋状の放射電極の巻回数が3回以上4.5回以下であることを特徴とするチップ型アンテナ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のチップ型アンテナにおいて、前記第1の層の内部電極と前記第2の層の内部電極との間隔が450μm〜1000μmであることを特徴とするチップ型アンテナ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載のチップ型アンテナにおいて、VSWRが最小となる周波数が1500MHz〜2500MHzの範囲であり、VSWRが3以下となる帯域幅が200MHz以上であることを特徴とするチップ型アンテナ。
【請求項1】
誘電材料及び磁性材料の少なくとも一方から成る複数の層が積層されて構成される基体と、前記複数の層のうち所定の層に形成された内部電極により構成される放射電極と、前記放射電極の一端が接続され、前記基体の表面に形成された給電端側端子と、前記放射電極の他端が接続され、前記基体の表面に形成された開放端側端子とを含むチップ型アンテナにおいて、
前記複数の層のうち、第1の層と第2の層には、複数の帯状の内部電極が所定のピッチで配設され、前記第1の層の帯状の内部電極と、前記第2の層の帯状の内部電極とは、前記積層方向の投影面内において交互に配置されるとともに、スルーホール電極により直列に接続されて、巻回軸が前記積層方向と直交する方向になるような略螺旋状の放射電極を構成しており、前記帯状の内部電極の幅が0.3mm〜0.7mmであることを特徴とするチップ型アンテナ。
【請求項2】
請求項1に記載のチップ型アンテナにおいて、前記略螺旋状の放射電極の巻回数が3回以上4.5回以下であることを特徴とするチップ型アンテナ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のチップ型アンテナにおいて、前記第1の層の内部電極と前記第2の層の内部電極との間隔が450μm〜1000μmであることを特徴とするチップ型アンテナ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載のチップ型アンテナにおいて、VSWRが最小となる周波数が1500MHz〜2500MHzの範囲であり、VSWRが3以下となる帯域幅が200MHz以上であることを特徴とするチップ型アンテナ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
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【図15】
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【図17】
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【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2008−67113(P2008−67113A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−243441(P2006−243441)
【出願日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【出願人】(000005083)日立金属株式会社 (2,051)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【出願人】(000005083)日立金属株式会社 (2,051)
【Fターム(参考)】
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