説明

チップ形コンデンサの製造方法

【課題】 従来のチップ形電解コンデンサ(表面実装形アルミ電解コンデンサ)の製造工程の一部で行われている充電等の試験では該コンデンサの微小な半田付け端子面に針状の探触子を圧接させて行っているが、この方法では該端子と探触子先端との相互の位置決めの微小な誤差などにより当該端子が損傷したり或いは適正な接触が損なわれるなどの不具合が生じることがあり、その結果、正常品を不良品と判定して製品の歩留まりを低下させるなどの問題がある。
【解決手段】 チップ形電解コンデンサを製造する過程において、同一方向に一対のリード線が突き出た通称04タイプのコンデンサのリード線の根元を圧縮、折り曲げ、切断して半田付け端子面を形成する以前のリード線そのものに面(または線)で接触させて前記の試験等を実施する。これにより製品の歩留まりの向上が図れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解コンデンサのエージング及び特性、性能の試験に関する。
【背景技術】
【0002】
以下図面について従来の製造工程の一部を説明する。図1は一例として、回路基板に実装するVチップ形電解コンデンサ等(表面実装形アルミ電解コンデンサ)(以下コンデンサという)の完成品の外観を示す。
【0003】
図2は該コンデンサの端子面を上にしたところを示し、コンデンサ本体1に装着した座板2の表面に端子3,4を設けてある。
【0004】
この端子は図3に示すようにコンデンサ(通称04タイプ)の本体1から平行して出ているリード線11の根本に近いところをプレスして扁平な板状の部分12を形成した後、座板2を嵌め込む。然る後に90度に折り曲げ、更に座板の縁部分A−A’で2本のリード線の扁平部分を切断して前記の端子3、4を形成する。
【0005】
この工程の後、該コンデンサを加温、加圧(電圧印加)などのエージングを行って静電容量、リーク電流、等価直列抵抗(ESR)等の諸性能確認試験を実施している。
【0006】
エージング及び諸性能確認試験は図4に示すよう、該コンデンサを適当な方法で一列に並べ、試験機23に接続した信号線24に繋がる先端が針状の一対の針状探触子22を該コンデンサの端子3、4に適当な圧力で垂直方向から接触させてエージングと諸特性の試験を行っている。
【0007】
この試験は自動機により図示のようにコンデンサ1個毎に順送りで行うか或いは複数個を並行して同時に行うなど適当な方法で実施する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで問題となるのは、図3に示すように、扁平にプレスしたリード線を90度に曲げる工程において、このプレス及び「曲げ」によって内部のコンデンサ素子に機械的な歪が加わり、その結果コンデンサの特性に影響を与えることになる。
【0009】
即ち、コンデンサの素子は図5(a)に示すように電極のアルミ箔13、14との間に電解質等を含浸させるなどした隔離紙15を挟み、それを同図(b)のようにロール状に巻き込んで形成する。このロール状の素子の剛性は軟らかく、リード線11をプレスしたり、折り曲げることで素子のリード線11の付け根にストレスが加わりアルミ箔13、14に「ひずみ」などが発生し、これによってコンデンサの諸特性が変化することがある。
【0010】
このような特性の変化を修正(再化成など)するため図4で述べたような方法で、エージング等を行うが、この際に端子3,4を針先で損傷させるとか、或いは針状探触子22と端子3,4との位置決め誤差のため該端子に対する針先がずれ、その接触が不完全であるために良品を不良品と判定してしまい製品の歩留まりの低下をきたすなどの問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前項の諸問題を解決するための手段として、既述のリード線切断工程の前に当該リード線に対して面(または線)で接触するような探触子を用いて前記のエージング試験等を実施することにある。
【0012】
上記の課題解決手段による作用は次のとおりである。すなわち、切断前のリード線の長さ方向の広い範囲で面(または線)接触させるので、形成された半田付け端子と針状探触子先端の微妙な位置ずれに起因する誤判定やエージング不良などが著しく低減できる。
【発明の効果】
【0013】
このように本発明によれば上述のような諸問題が解決され、その結果コンデンサの製造過程においての製品の歩留まりが改善され、品質の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】 コンデンサの外観を示す斜視図
【図2】 コンデンサの端子面を示す斜視図
【図3】 コンデンサの加工工程の一部と加工方法を例示した模式図
【図4】 従来の試験状況の一例を示す模式図
【図5】 コンデンサの素子の構成と形状を示す概念図
【図6】 コンデンサのリード線の折り曲げ状況を示す斜視図
【図7】 本発明に係る試験の実施方法を示す模式図
【図8】 自動機のコンデンサ給電搬送治具上のコンデンサの配置例を示す斜視図
【図9】 自動機の給電搬送治具上のコンデンサの配置の改善例を示す斜視図
【図10】 本発明に係るエージング作業の実施例を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0015】
図6に示すようにその一部が扁平に加工されたリード線16を図示の如く折り曲げたものを図7に示すように自動機のコンデンサ給電搬送治具21上に並べ該コンデンサのリード線16の折り曲げた先の部分を先端が面状の一対の面状探触子25を面(または線)で接触させて逐次前記のようなエージングや諸試験を行う。リード線はこの試験を実施した後に図3に示すように切断する。
【0016】
次に第2の発明として、前記給電搬送治具21上にコンデンサを並べるに際して、コンデンサのリード線が給電搬送治具の軸線に対して図8のように直交するような配列ではなく、図9のように給電搬送治具21の軸線に対してほぼ45度斜めにして配列することにより給電搬送治具21の幅Wが狭められ、その結果、単位面積当たりのコンデンサ収容効率が向上し、多くのコンデンサをエージング実施機構に送り込め、同作業の作業効率を向上させることができる。
【0017】
このようにして給電搬送治具21に並べたコンデンサは図10に示すようにコンベアの移動テーブル28に間隔をおいて並べられ自動搬送する途中で図示のように多数の対をなす面状探蝕子25を順次コンデンサのリード線16に接触させた状態で一緒に移動する過程において、エージング等が行われる。
【符号の説明】
【0018】
1 チップ形コンデンサの本体
2 座板
3,4 端子
11 リード線
13、14 アルミ箔
15 隔離紙、
16 部分的に扁平加工後のリード線
21 給電搬送治具
22 針状探触子
23 エージング等試験機
24 信号線
25 面状探触子
28 コンベアの移動テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面実装形の電解コンデンサの製造工程において、該コンデンサの扁平にプレスして折り曲げたリード線を切断成形するまえに、その根本から離れた位置で折り曲げ、その折り曲げた部分の前または後の部分を面接触型の探触子で接触させて充放電試験その他の製品の特性測定を行い、然る後に該リード線を切断成形することを特徴とするコンデンサの製造方法。
【請求項2】
扁平にプレスされ90度に折り曲げたコンデンサのリード線の軸が、自動機の該コンデンサを並列搬送する給電搬送治具の長さ方向の軸線に対してほぼ45度の角度を成すように該コンデンサが配置されるよう構成されたことを特徴とする電解コンデンサの製造用自動機のコンデンサ並列搬送及び給電搬送治具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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