説明

チップ用容器

【課題】長期間保存しても、チップ内に収納された試験紙が、吸湿などにより劣化せず、また、検査時にチップに触れることなく、検査機本体にチップを接合することのできるチップ用容器を提供する。
【解決手段】少なくともアルミニウム箔を使用した蓋材1と、0.5g/m/day以下の水蒸気透過度を有する、高分子フィルムを成型した底材2とを使用した容器であって、前記底材2の底面3に窪み部4を設け、試験紙が装填されているチップ5の突起部6が前記窪み部4に収まることで、前記チップ5が固定可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チップ用容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ノロウイルス、性病、インフルエンザ、糖尿病、ピロリ菌、各種アレルギー、血糖値などの疾病に対する人体の状態を、簡易的に検査する医療用の検査キットが使用されるようになってきている。
【0003】
各種疾病の状態を確認する検査キットは、繰り返し、何回も検査する必要性から1回の使用で使い捨てする検査薬を含む試験紙が装填されているチップと、繰り返し測定できる検査機本体を分離することでコストを下げることが求められている。
【0004】
一方、使用時に手で触れることで、汗、汚れ、水分などにより、チップや或いは試験紙が汚染され、検査精度に影響を及ぼす恐れがあり、直接チップを振れない包装材料が求められている。
【0005】
更に、薬剤の水分による分解、反応などによる劣化が生じて起きる、検査精度のバラツキをなくすため、チップに使用される包装材料には防湿性が求められることが多い。
【0006】
チップに装填されている試験紙が剥き出しになっていると、使用状況によっては手で触れてしまう恐れがある。また、防湿目的でアルミ包材を外装として使用し、乾燥剤をチップとともに同封し密封することで、吸湿の影響をなくすことができるが、この場合は、包装後に乾燥剤が同封されたか否かの確認ができない問題がある。
【0007】
検査薬が含まれる試験紙はチップ内部に装填し、更にチップと乾燥剤をカップ成型物に装填しているため、直接手で触れることがない。但し、カップ成型物内部には乾燥剤を同封し密封しているため、包装後に乾燥剤が同封されたかの確認ができない問題があるとともに、カップ自体の防湿性は高いものの、長時間のうちに徐々に吸湿するため、製造から使用までの使用期間に制約が出てしまう問題がある。
【0008】
公知文献を以下に示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−104514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
長期間保存しても、試験紙を内蔵する成分測定用容器(以下、単に「チップ」と言う)内に収納された試験紙が、吸湿などにより劣化せず、また、検査時にチップに触れることなく、検査機本体にチップを接合することのできるチップ用容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は係る課題に鑑みなされたものであり、請求項1の発明は、少なくともアルミニウム箔を使用した蓋材と、0.5g/m/day以下の水蒸気透過度を有する、高分子フィルムを成型した底材とを使用した容器であって、
前記底材の底面に窪み部を設け、試験紙が装填されているチップの突起部が前記窪み部に収まることで、前記チップが固定可能であることを特徴とするチップ用容器である。
【0012】
本発明のチップ用容器は、以上のような構成であって、長期間保存しても、チップ内に収納された試験紙が、吸湿などにより劣化せず、また、チップが固定されるので、検査時にチップに触れることなく、検査機本体にチップを接合することができる。
【0013】
本発明の請求項2の発明は、前記蓋材の底材側に、シリカゲル、塩化カルシウム、ゼオライト、生石灰、酸化アルミニウム、硫酸マグネシウム、焼き明礬の中から選ばれる1種の、或いは2種以上を混合した乾燥剤を、重量比で5%以上、70%以下で、ポリプロピレン、または、ポリエチレンのポリオレフィン樹脂に練り込んだ混合樹脂を含む、ヒートシール性の樹脂層を設けたことを特徴とする請求項1に記載のチップ用容器である。
【0014】
本発明はさらに、蓋材の底材側に乾燥剤を練り込んだ混合樹脂層を設けたので、より長い期間、吸湿などによる劣化を防止できる。
【0015】
本発明の請求項3の発明は、前記底材が、少なくとも厚み15μm以上のアルミニウム箔の層が含まれるラミネートフィルムからなることを特徴とする請求項1または2に記載のチップ用容器である。
【0016】
本発明はさらに、底材が、厚み15μm以上のアルミニウム箔の層が含まれるラミネートフィルムからなっているので、水蒸気透過度を確実に、0.5g/m/day以下とすることができる。
【0017】
本発明の請求項4の発明は、前記底材が、少なくとも厚み30μm以上のシクロオレフィンポリマーの層が含まれるラミネートフィルムからなることを特徴とする請求項1または2に記載のチップ用容器である。
【0018】
本発明はさらに、底材が、厚み30μm以上のシクロオレフィンポリマーの層が含まれるラミネートフィルムからなっているので、水蒸気透過度を確実に、0.5g/m/day以下とすることができる。
【0019】
本発明の請求項5の発明は、前記底材が、少なくとも厚み30μm以上のシクロオレフィンコポリマーの層が含まれるラミネートフィルムからなることを特徴とする請求項1または2に記載のチップ用容器である。
【0020】
本発明はさらに、底材が、厚み30μm以上のシクロオレフィンポリマーの層が含まれるラミネートフィルムからなっているので、水蒸気透過度を確実に、0.5g/m/day以下とすることができる。
【0021】
本発明の請求項6の発明は、前記底材が、少なくとも厚み30μm以上の塩化ビニルの層が含まれるラミネートフィルムからなることを特徴とする請求項1または2に記載のチップ用容器である。
【0022】
本発明はさらに、底材が、厚み30μm以上の塩化ビニルの層が含まれるラミネートフィルムからなっているので、水蒸気透過度を確実に、0.5g/m/day以下とすることができる。
【0023】
本発明の請求項7の発明は、前記底材が、少なくとも厚み30μm以上の塩化ビニリデンの層が含まれるラミネートフィルムからなることを特徴とする請求項1または2に記載
のチップ用容器である。
【0024】
本発明はさらに、底材が、厚み30μm以上の塩化ビニリデンの層が含まれるラミネートフィルムからなっているので、水蒸気透過度を確実に、0.5g/m/day以下とすることができる。
【0025】
本発明の請求項8の発明は、前記底材が、少なくとも塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリエチレンの各層が含まれるラミネートフィルムからなることを特徴とする請求項1または2に記載のチップ用容器である。
【0026】
本発明はさらに、底材が、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリエチレンの各層が含まれるラミネートフィルムからなっているので、水蒸気透過度を確実に、0.5g/m/day以下とすることができる。
【0027】
本発明の請求項9の発明は、前記底材が、少なくとも厚み30μm以上の未延伸ポリプロピレンの層が含まれるラミネートフィルムからなることを特徴とする請求項1または2に記載のチップ用容器である。
【0028】
本発明はさらに、底材が、厚み30μm以上の未延伸ポリプロピレンの層が含まれるラミネートフィルムからなっているので、水蒸気透過度を確実に、0.5g/m/day以下とすることができる。
【0029】
本発明の請求項10の発明は、前記底材が、シリカゲル、塩化カルシウム、ゼオライト、生石灰、酸化アルミニウム、硫酸マグネシウム、焼き明礬の中から選ばれる1種の、或いは2種以上を混合した乾燥剤を、重量比で5%以上、70%以下で、ポリプロピレン、または、ポリエチレンのポリオレフィン樹脂に練り込んだ混合樹脂の層が含まれるラミネートフィルムからなることを特徴とする請求項1または2に記載のチップ用容器である。
【0030】
本発明はさらに、底材に乾燥剤を練り込んだ混合樹脂層を設けたので、より長い期間、吸湿などによる劣化を防止できる。
【発明の効果】
【0031】
底材の底面に窪み部を設け、試験紙が装填されているチップの突起部が前記窪み部に収まるようにしているのでチップを手で触れることがなくなるとともに、チップが固定されているため、チップ用容器の底材にチップが入っている状態で、検査機本体をチップに接合することができる。
【0032】
また、水蒸気透過度の低い蓋材や、底材を用いているので、吸湿による試験紙の性能劣化をなくすことができる。また更に、乾燥剤を、ポリオレフィン樹脂に錬り込んだ混合樹脂の層を設けることによって、長期保管された後でも、吸湿による試験紙の性能劣化をなくすことができるとともに、乾燥剤を使用している場合の乾燥剤装填ミスの心配がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明のチップ用容器の一例にチップが収納されている状態を模式的に正面で示した説明図である。
【図2】本発明のチップ用容器の一例に収納されたチップを検査機本体に接合する方法を、模式的に斜視で示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下本発明を実施するための形態につき説明する。
図1は、本発明のチップ用容器の一例に試験紙を内蔵する成分測定用容器(チップ)が収納されている状態を模式的に正面で示した説明図である。
【0035】
図1のように、本発明のチップ用容器は、成形された底材2と蓋材1からなっている。底材2は、底面3の中央部分に窪み部4が設けられている。そして、チップ5の突起部6が、窪み部4の内側に収まっている。これにより、チップ5が底材2に固定され、位置がずれたり、動いたりしないようになっている。
【0036】
図2は、本発明のチップ用容器の一例に収納されたチップ5を検査機本体7に接合する方法を、模式的に斜視で示した説明図である。図のように、チップ用容器にチップ5が装填されたままで、チップ5を検査機本体7に接合することができる。この場合、蓋材1の表面から検査機本体7を突き刺すか、または、蓋材1を底材2から剥がして、直接チップ5に手を触れることなく検査機本体7とチップ5を接合することができる。
【0037】
蓋材1としては、目的とする防湿性能に合わせて、高分子樹脂フィルム、アルミニウム箔、アルミニウム蒸着フィルム、無機酸化物蒸着フィルムなどから適宜選定できるが、防湿性、成型性などからアルミニウム箔を用いることが好ましい。その場合、アルミニウム箔以外にポリエチレンテレフタレート(PET)、2軸延伸ポリプロピレン(OPP)、ナイロン(Ny)などの基材フィルムを、接着剤を用いて貼り合せてもかまわない。
【0038】
また、ヒートシール性を付与するために、未延伸ポリプロピレン(CPP)、あるいは、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)などの未延伸のポリエチレン(PE)等のポリオレフィンフィルムをシーラントフィルムとして接着剤を介して貼り合せるたり、或いは押出しラミネートにて貼り合せるなどしてもかまわない。同じくヒートシール性を付与するために、ホットメルト樹脂や各種ヒートシール性ラッカー剤を塗布してもかまわない。
【0039】
蓋材1を底材2から剥がす方法を取る場合は、イージーピール性オレフィンフィルムをシーラントとして使用しても構わない。或いはイージーピール性ラッカー剤を塗布してもかまわない。
【0040】
蓋材1に水分吸収機能を付与するためには、シーラントフィルムとして乾燥剤を配合したポリオレフィンフィルムを貼り合せてもかまわない。この場合、ポリオレフィン樹脂に無機化合物からなる乾燥剤を練り込んだ樹脂をフィルム化することで実現できる。
【0041】
水分吸収機能を有する無機化合物を配合した樹脂の製造方法としては、目的に応じた水分吸収性能を有する無機化合物を5〜70wt%、熱可塑性樹脂30〜95wt%になるように調整した材料をリボンミキサー、タンブラーミキサー、ヘンシェルミキサーなどを用いてドライブレンドし、単軸押出機、二軸押出機などの押出機、バンバリーなどの混練機を用いて、融点以上280℃以下、好ましくは260℃以下で混練することで得られる。
【0042】
熱可塑性樹脂としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−αオレフィン共重合体、ポリプロピレン、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−αオレフィン共重合体、シクロペンタジエンやノルボルネンなどの環状オレフィンを共重合させた、エチレン−環状オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体あるいはその部分または完全けん化物、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体あるいはこのエステル化物、あるいはイオン架橋物、エチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル三元共重合体などから選定することが可能である。
【0043】
乾燥剤としては水分を吸収する能力を有するシリカゲル、塩化カルシウム、ゼオライト、生石灰(酸化カルシウム)、酸化アルミニウム、硫酸マグネシウムや、焼き明礬などが好ましいが、更に好ましくは、吸収能力や吸収速度などの加工性から生石灰が良い。
【0044】
乾燥剤とポリオレフィン系樹脂を配合した樹脂組成物には、分散剤としてポリオレフィン系ワックスなど、乾燥剤の表面処理剤として脂肪酸として分岐脂肪酸、環状脂肪酸、ヒドロキシル脂肪酸など、任意で添加剤を使用することができる。
【0045】
フィルムの厚み、内部の層構成、乾燥剤の配合量は、目的とする水分吸収能力や製膜加工しやすさなどから、適宜、厚みを設定すればよい。
【0046】
水分吸収機能を付与したシーラントフィルムは、包材の加工性から、好ましくは約10〜100μmの厚み範囲がよく、インフレーション製膜、Tダイキャスト製膜等の各種製膜法により得られるが、これに限定されるものではない。
【0047】
内部の層構成としては、加工性、衛生性の点から最内層に乾燥剤が練り込まれた層がないことが好ましく、3層以上の共押しフィルムの中間層に設定することが好ましい。
【0048】
蓋材1面から検査機本体7を直接突き刺してチップ5と接合する場合、アルミニウム箔にホットメルト樹脂や各種ヒートシール性ラッカー剤を塗布すれば良いが、高分子フィルムを貼り合せた場合は、突き刺す部分にレーザー加工などでアルミニウム表面の高分子フィルムにキズ加工を施すことで突き刺すことができる。
【0049】
底材2は、充填されたチップ容器が容器内で動かないようにするため、チップ5の突起部6が収まるように成型することが好ましい。成型方法は真空・圧空成形、プレス成型などの各種成形法に制限はないが、容器を装填する充填機内で熱プレスにて成型することが好ましい。
【0050】
底材2に成型して使用できる材質として、透湿度が0.5g/m/day以下であることが好ましく、適応できる材質としては、少なくとも底材2の層構成の中に、未延伸で厚み30μm以上のシクロオレフィンポリマー(COP)、シクロオレフィンコポリマー(COC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビにリデン(PDVC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)のフィルムが好ましい。あるいは、これらの樹脂を組み合わせて多層化したフィルムでも構わない。
【0051】
或いは、15μm以上の厚みのアルミニウム箔の片面に成型性のアモルファスポリエステル(A−PET)フィルムを貼り合せる、或いはヒートシール層として未延伸ポリプロピレン(CPP)、あるいはポリエチレン(PE)とポリプロピレン(PP)をブレンドしたイージーピール性樹脂を施し、成型しても構わない。
【0052】
更にはアルミニウム箔の片面のヒートシール層に水分吸収機能を付与するためには、シーラントフィルムとして乾燥剤を配合したポリオレフィンフィルムを貼り合せてもかまわない。この場合、ポリオレフィン樹脂に無機化合物からなる乾燥剤を練り込んだ樹脂をフィルム化することで実現できる。
【0053】
水分吸収機能を有する無機化合物を配合した樹脂の製造方法としては、目的に応じた水分吸収性能を有する無機化合物を5〜70wt%、熱可塑性樹脂30〜95wt%になるように調整した材料をリボンミキサー、タンブラーミキサー、ヘンシェルミキサーなどを用いてドライブレンドし、単軸押出機、二軸押出機などの押出機、バンバリーなどの混練機を用いて、融点以上、280℃以下、好ましくは260℃以下で混練することで得られる。
【0054】
乾燥剤としては水分を吸収する能力を有する
シリカゲル、塩化カルシウム、ゼオライト、生石灰(酸化カルシウム)、酸化アルミニウム、硫酸マグネシウムや、焼き明礬などが好ましいが、特に好ましくは、吸収能力や吸収速度などの加工性から生石灰が良い。
【0055】
熱可塑性樹脂としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−αオレフィン共重合体、ポリプロピレン、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−αオレフィン共重合体、シクロペンタジエンやノルボルネンなどの環状オレフィンを共重合させた、エチレン−環状オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体あるいはその部分または完全けん化物、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体あるいはこのエステル化物、あるいはイオン架橋物、エチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル三元共重合体などから選定することが可能である。
【0056】
乾燥剤とポリオレフィン系樹脂を配合した樹脂組成物には、分散剤としてポリオレフィン系ワックスなど、乾燥剤の表面処理剤として脂肪酸として分岐脂肪酸、環状脂肪酸、ヒドロキシル脂肪酸など、任意で添加剤を使用することができる。フィルムの厚み、内部の層構成、乾燥剤の配合量は、目的とする水分吸収能力や製膜加工しやすさなどから、適宜、厚みを設定すればよい。
【0057】
水分吸収機能を付与したシーラントフィルムは、包材の加工性から、好ましくは約10〜100μmの厚み範囲がよく、インフレーション製膜、Tダイキャスト製膜等の各種製膜法により得られるが、これに限定されるものではない。層構成としては、加工性やチップ5への汚染を防止する点からチップ5に接触する最内層に乾燥剤が練り込まれた層がないことが好ましく、3層以上の共押しフィルムの中間層に設定することが好ましい。
【0058】
底材2の総厚みは、適宜選定すればよいが、100μm以上、500μm以下が好ましい。より好ましくは、150μm以上、300μm以下である。100μm以下では、窪み部4が、輸送などでつぶれやすく、また500μm以上では、小さいチップ5に合わせて、成形するのが難しく、また、コスト的にも不利になる。
【実施例】
【0059】
以下、本発明の具体的実施例について説明する。
【0060】
<チップ>
外径10mmで、長さ10mmの円筒形状で、片方の端部の円形部に外径5mmの長さ5mmの円筒形状の突起部6が設けられているチップ5をポリプロピレンにて作成した。
【0061】
<蓋材>
(A)アルミニウム箔30μmの片面にシール材として、ホットメルトを塗布量10g/mとなるように塗布して蓋材1を得た。
(B)PET12μmとアルミニウム箔30μmとイージーピール性ポリプロピレン系フィルムをこの順にそれぞれドライラミネート接着剤を介して積層して蓋材1を得た。
(C)酸化カルシウム(CaO)を50wt%混合したポリプロピレン樹脂層30μmを中間層として、その両面にそれぞれ20μmのポリプロピレン樹脂層を設けた3層の共押フィルムを作成し、PET12μmとアルミニウム箔30μmと共押フィルムを、この順にそれぞれドライラミネート接着剤を介して積層して蓋材1を得た。
【0062】
<底材>
(a)PP50μmとCOC120μmとPP50μmの3層のフィルムを成形して、底材2を得た。
(b)PP50μmとCOP120μmとPP50μmの3層のフィルムを成形して、底材2を得た。
(c)PVC220μmのフィルムを成形して、底材2を得た。
(d)PVDC220μmのフィルムを成形して、底材2を得た。
(e)PVC50μmとPVDC40μmとPE40μmとPVDC40μmとPVC50μmの5層のフィルムを成形して、底材2を得た。
(f)CPP220μmのフィルムを成形して、底材2を得た。
(g)酸化カルシウム(CaO)を50wt%混合したポリプロピレン樹脂層80μmを中間層として、その両面にそれぞれ60μmのポリプロピレン樹脂層を設けた3層の共押フィルムを作成し、PET12μmとアルミニウム箔30μmと共押フィルムを、この順にそれぞれドライラミネート接着剤を介して積層し、積層フィルムとし、この積層フィルムを成形して、底材2を得た。
【0063】
底材2の成形は、熱プレスにて行った。成形された底材2の形状は、上面の開口面は直径15mmで底面3の直径が10mmの高さが13mmの円錐台形状で、底面3には、直径6mmの底面3と同心円となる窪み部4が深さ5mmで設けられている(いずれも内寸法)。
【0064】
<実施例1>
(f)の底材2に、チップ5をチップの突起部6が底材2の窪み部4に収まるようにいれ、(A)の蓋材1でシールした。
【0065】
<実施例2>
(f)の底材2に、チップ5をチップの突起部6が底材2の窪み部4に収まるようにいれ、(B)の蓋材1でシールした。
【0066】
<実施例3>
(f)の底材2に、チップ5をチップの突起部6が底材2の窪み部4に収まるようにいれ、(C)の蓋材1でシールした。
【0067】
<実施例4>
(a)の底材2に、チップ5をチップの突起部6が底材2の窪み部4に収まるようにいれ、(C)の蓋材1でシールした。
【0068】
<実施例5>
(b)の底材2に、チップ5をチップの突起部6が底材2の窪み部4に収まるようにいれ、(C)の蓋材1でシールした。
【0069】
<実施例6>
(c)の底材2に、チップ5をチップの突起部6が底材2の窪み部4に収まるようにいれ、(C)の蓋材1でシールした。
【0070】
<実施例7>
(d)の底材2に、チップ5をチップの突起部6が底材2の窪み部4に収まるようにいれ、(C)の蓋材1でシールした。
【0071】
<実施例8>
(e)の底材2に、チップ5をチップの突起部6が底材2の窪み部4に収まるようにいれ、(C)の蓋材1でシールした。
【0072】
<実施例9>
(g)の底材2に、チップ5をチップの突起部6が底材2の窪み部4に収まるようにいれ、(C)の蓋材1でシールした。
【0073】
以下に、本発明の比較例について説明する。
【0074】
<比較例1>
CPP220μmのフィルムを、上面の開口面の直径が15mmで、底面の直径が10mmで高さが18mmの円錐台形状(いずれも内寸法)に成形して、底材を得、チップ5を入れて、(C)の蓋材1でシールした。
【0075】
<評価項目>
評価項目1:チップが容器内で動くか、手でゆすって確認した。位置ズレの無いものを○とし、位置ズレのあるものを×とした。
評価項目2:チップを手で触れずに、直接、チップと検査機本体7をセットできるか確認した。手に触れずに、セットできたものを○とし、手に触れてしまったものを×とした。
【0076】
評価結果を表1にまとめた。
【0077】
【表1】

<比較結果>
本発明の実施例1から9は、評価項目1及び評価項目2についてはいずれも良好な結果であった。一方、比較例1は、評価項目1では、チップが容器内で動き、位置がズレてしまった。また、評価項目2では、チップを手で触れずに、直接、チップを検査機本体7にセットすることはできなかった。
【0078】
なお、本発明で用いるチップ用容器の蓋材1の底材2側には、シリカゲル、塩化カルシウム、ゼオライト、生石灰、酸化アルミニウム、硫酸マグネシウム、焼き明礬の中から選ばれる2種以上を混合した乾燥剤を重量比で5%以上、70%以下の混合比で、ポリプロピレン、または、ポリエチレンのポリオレフィン樹脂に練り込んだ混合樹脂を含む、ヒートシール性の樹脂層を設けることも可能である。
【符号の説明】
【0079】
1・・・蓋材
2・・・底材
3・・・底面
4・・・窪み部
5・・・チップ(試験紙を内蔵する成分測定用容器)
6・・・突起部
7・・・検査機本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともアルミニウム箔を使用した蓋材と、0.5g/m/day以下の水蒸気透過度を有する、高分子フィルムを成型した底材とを使用した容器であって、
前記底材の底面に窪み部を設け、試験紙が装填されているチップの突起部が前記窪み部に収まることで、前記チップが固定可能であることを特徴とするチップ用容器。
【請求項2】
前記蓋材の底材側に、シリカゲル、塩化カルシウム、ゼオライト、生石灰、酸化アルミニウム、硫酸マグネシウム、焼き明礬の中から選ばれる1種の、或いは2種以上を混合した乾燥剤を、重量比で5%以上、70%以下で、ポリプロピレン、または、ポリエチレンのポリオレフィン樹脂に練り込んだ混合樹脂を含む、ヒートシール性の樹脂層を設けたことを特徴とする請求項1に記載のチップ用容器。
【請求項3】
前記底材が、少なくとも厚み15μm以上のアルミニウム箔の層が含まれるラミネートフィルムからなることを特徴とする請求項1または2に記載のチップ用容器。
【請求項4】
前記底材が、少なくとも厚み30μm以上のシクロオレフィンポリマーの層が含まれるラミネートフィルムからなることを特徴とする請求項1または2に記載のチップ用容器。
【請求項5】
前記底材が、少なくとも厚み30μm以上のシクロオレフィンコポリマーの層が含まれるラミネートフィルムからなることを特徴とする請求項1または2に記載のチップ用容器。
【請求項6】
前記底材が、少なくとも厚み30μm以上の塩化ビニルの層が含まれるラミネートフィルムからなることを特徴とする請求項1または2に記載のチップ用容器。
【請求項7】
前記底材が、少なくとも厚み30μm以上の塩化ビニリデンの層が含まれるラミネートフィルムからなることを特徴とする請求項1または2に記載のチップ用容器。
【請求項8】
前記底材が、少なくとも塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリエチレンの各層が含まれるラミネートフィルムからなることを特徴とする請求項1または2に記載のチップ用容器。
【請求項9】
前記底材が、少なくとも厚み30μm以上の未延伸ポリプロピレンの層が含まれるラミネートフィルムからなることを特徴とする請求項1または2に記載のチップ用容器。
【請求項10】
前記底材が、シリカゲル、塩化カルシウム、ゼオライト、生石灰、酸化アルミニウム、硫酸マグネシウム、焼き明礬の中から選ばれる1種の、或いは2種以上を混合した乾燥剤を、重量比で5%以上、70%以下で、ポリプロピレン、または、ポリエチレンのポリオレフィン樹脂に練り込んだ混合樹脂の層が含まれるラミネートフィルムからなることを特徴とする請求項1または2に記載のチップ用容器。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−6650(P2012−6650A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−146270(P2010−146270)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】