チューブポンプ及び画像形成装置
【課題】 小型で簡単な構成によりコストアップすることなく、チューブを押圧するのに最低限必要な押圧力を確保しつつ、必要以上に押圧ローラに回転負荷が掛からないチューブポンプ、及びそのチューブポンプを備えたインク吐出方式の画像形成装置を提供すること。
【解決手段】 インクの流路となる弾力性を有した中空状のチューブ(102)と、このチューブを回転することで押圧する押圧ローラ21と、を備え、インクを供給又は吸引する、インク吐出方式の画像形成装置に用いられるチューブポンプにおいて、押圧ローラ21の前記チューブと当接して押圧する押圧部21cの断面内部に中空となった空隙部21bを形成する。
【解決手段】 インクの流路となる弾力性を有した中空状のチューブ(102)と、このチューブを回転することで押圧する押圧ローラ21と、を備え、インクを供給又は吸引する、インク吐出方式の画像形成装置に用いられるチューブポンプにおいて、押圧ローラ21の前記チューブと当接して押圧する押圧部21cの断面内部に中空となった空隙部21bを形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機等のインクを吐出する記録ヘッドを備えたインク吐出方式(ここで、インク吐出方式とは、インクジェット方式のものを含み、液状、泡状、コロイド状のインクを吐出して画像を記録する方式全般を指すものとする、以下同じ。)の画像形成装置に関し、詳しくは、インク吐出方式の画像形成装置に搭載されてインクの供給・排出・吸引に用いられるチューブポンプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
インク吐出方式の画像形成装置には、記録ヘッドのノズル内のインク溶媒の蒸発によりインク粘度が上昇してインクの吐出不良が発生することがあるため、記録ヘッドのメンテナンス機構が設けられている。このヘッドメンテナンス機構は、通常、記録ヘッドのノズルを覆うキャップと、該キャップに連通してキャップ内に負圧を発生させる吸引ポンプとを備え、この吸引ポンプでノズルから増粘したインクを吸引してインクの吐出不良の低減を図っている。
また、インク吐出方式の画像形成装置には、インクカートリッジから記録ヘッドへインクを供給するための供給ポンプも備えられている。
【0003】
このような吸引ポンプや供給ポンプとしては、比較的構造が簡単で小形化が図り易く、しかもインクの吸引及び供給・排出する機構部分で汚染を生じさせないことなどの理由から、従来、可撓性材料からなるチューブと、該チューブの長手方向に沿って移動しながら該チューブを順次押圧する押圧ローラとを備えたチューブポンプが用いられている(例えば、特許文献1、2)。
【0004】
このようなチューブポンプによりメインタンクからヘッドタンクへインクを供給する構造の場合、ポンプの停止時は、押圧ローラでチューブを押圧した状態のままにして、流路を遮断することで、ヘッドタンク内の負圧によるメインタンクからのインクの自然供給を阻止し、ヘッドタンクの圧力が変化しないようにしなければならず、このようにチューブの流路を遮断し負圧に耐えるためには、チューブの肉厚以上にチューブを押圧すると共に、チューブの押圧量を厳密に管理しなければならなかった。したがって、押圧ローラの押圧量のバラツキを考慮して、即ち、チューブポンプを構成する各種部品の寸法公差と組付け公差を見込んで、押圧量が安全側となるように、チューブ支持面と押圧ローラとの距離を必要以上に小さく設定しなければならず、チューブの押潰し量が増え、必要以上に押圧ローラの回転トルクに負荷が掛かってしまうという問題があった。
【0005】
このような問題を解決するため、特許文献3には、液体が流通するチューブと、チューブの外径を円弧状に規制するチューブ支持面と、回転しつつチューブの一部をチューブ支持面に押圧する押圧ローラを備え、チューブ支持面には複数の突起が形成され、ポンプ停止時に、チューブ支持面及び複数の突起の少なくとも一つと押圧ローラにチューブが押圧されることによって、チューブの流路が遮断されることを特徴としており、押圧ローラがどの位置に来た時にポンプの回転を停止してもチューブの流路を確実に遮断でき、回転トルクを犠牲にせずに、液体の自然供給を防ぐことができるチューブポンプが開示されている(特許文献3の図5等参照)。
【0006】
また、特許文献4には、インクジェット方式の画像形成装置に搭載され、コロ軸受けとバネによって押圧コロをチューブ側へ押し付ける構造のチューブポンプが開示されている(特許文献4の図2、3等参照)。
しかし、特許文献3及び4に記載のチューブポンプは、いずれも複雑で大型な構成になってしまい、そのため、部品点数が増え、組立作業も増加して高価なものとなってしまうという問題がある。
【0007】
更に、特許文献5には、排出チューブと、該排出チューブの長手方向に沿って移動しながら該排出チューブを順次押圧するローラとを備え、このローラは、弾力性を有しない非弾性層と、弾力性を有する弾性層とにより構成され、ローラによってチューブを押圧する際に、該チューブに付与される押圧力のばらつきが、前記ローラの弾性体によって吸収されるため、部品点数を増やすことなく、簡単な構成でチューブに付与される押圧力のばらつきを小さくすることができるチューブポンプが開示されている(特許文献5の図3等参照)。
【0008】
しかし、特許文献5に記載のチューブポンプは、弾性層によりローラの押圧力のバラツキを小さくすることはできるものの、弾性層の寸法公差も大きく、設置間隔などの精度誤差があった場合には、ローラの駆動機構に必要以上に負荷が掛かってしまうという問題があるだけでなく、ローラを2層構造とするため、コストアップに繋がることは否めない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は、前記問題点を解決するべく、小型で簡単な構成によりコストアップすることなく、チューブを押圧するのに最低限必要な押圧力を確保しつつ、必要以上に押圧ローラに回転負荷が掛からないチューブポンプ、及びそのチューブポンプを備えたインク吐出方式の画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、インクの流路となる弾力性を有した中空状のチューブと、このチューブを回転することで押圧する押圧ローラと、を備え、インクを供給又は吸引する、インク吐出方式の画像形成装置に用いられるチューブポンプにおいて、前記押圧ローラは、前記チューブと当接して押圧する押圧部の断面内部に中空となった空隙部が形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のチューブポンプにおいて、前記押圧ローラは、回転軸が偏芯した偏芯ローラであることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のチューブポンプにおいて、前記押圧ローラは、前記空隙部の半径方向に突出する凸部を有し、この凸部が前記空隙部の縁と当接することで前記押圧部が一定距離以上撓まないよう構成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載のチューブポンプにおいて、前記空隙部には、弾性材が挿入されていることを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項2ないし4のいずれかに記載のチューブポンプにおいて、前記押圧ローラは、外周表面の曲率が部分的に低減されていると共に、その外側に外ローラが遊嵌され、この外ローラを介して前記チューブを押圧することを特徴とする。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載のチューブポンプにおいて、前記押圧ローラは、外周表面に複数の押圧コロが取り付けられた回転軸が偏芯していないローラであり、前記押圧コロが取り付けられた部分の断面内部に中空となった空隙部が形成されていることを特徴とする。
【0016】
請求項7に記載の発明は、インクを貯留するインクカートリッジと、主走査方向に移動可能なキャリッジと、このキャリッジに搭載されて用紙にインクを吐出する記録ヘッドと、前記インクカーリッジから送られてきたインクを一時貯留して前記記録ヘッドへ送るヘッドタンクと、前記インクカートリッジと前記ヘッドタンクとに連通して前記ヘッドタンクにインクを供給又は前記ヘッドタンクからインクを吸引するポンプと、を備えたインク吐出方式の画像形成装置において、前記ポンプとして請求項1ないし6のいずれかに記載のチューブポンプを搭載していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
この発明は、前記のようであって、請求項1の発明によれば、インクの流路となる弾力性を有した中空状のチューブと、このチューブを回転することで押圧する押圧ローラと、を備え、インクを供給又は吸引する、インク吐出方式の画像形成装置に用いられるチューブポンプにおいて、前記押圧ローラは、前記チューブと当接して押圧する押圧部の断面内部に中空となった空隙部が形成されているので、押圧部が撓むまでは押圧ローラでチューブの復元力に対抗して押圧し続けることができると共に、押圧ローラの回転軸の設置位置に精度誤差があった場合であっても、押圧部の断面内部に中空となった空隙部が形成されているため、押圧部が撓むことで押圧ローラの駆動機構に不必要な回転負荷が掛からない。そのため、小型で簡単な構成によりコストアップすることなく、チューブを押圧するのに最低限必要な押圧力を確保しつつ、必要以上に回転負荷が掛からないチューブポンプを提供することができる。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載のチューブポンプにおいて、前記押圧ローラは、回転軸が偏芯した偏芯ローラであるので、前記作用効果を回転軸が偏芯した偏芯ローラを用いて達成することができる。
【0019】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2に記載のチューブポンプにおいて、前記押圧ローラは、前記空隙部の半径方向に突出する凸部を有し、この凸部が前記空隙部の縁と当接することで前記押圧部が一定距離以上撓まないよう構成されているので、前記作用効果に加え、凸部の半径方向に突出高さにより押圧部の撓みを一定距離以下に規定することができ、押圧部が撓み過ぎて必要なチューブの押圧量を確保できないことを防ぐことができる。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1ないし3のいずれかに記載のチューブポンプにおいて、前記空隙部には、弾性材が挿入されているので、前記作用効果に加え、弾性力を有したチューブの復元力に対抗してチューブを押圧するのに必要な最低限の押圧力を空隙部に挿入する弾性材の反発力で規定することができ、必要な押圧力の確保が容易となる。
【0021】
請求項5に記載の発明によれば、請求項2ないし4のいずれかに記載のチューブポンプにおいて、前記押圧ローラは、外周表面の曲率が部分的に低減されていると共に、その外側に外ローラが遊嵌され、この外ローラを介して前記チューブを押圧するので、前記作用効果に加え、押圧部が撓み過ぎず必要最低限の押圧力を確保することができるだけでなく遊嵌された外ローラを介して押圧するためチューブを磨耗させずに押圧することができ、チューブポンプの耐久性が向上する。
【0022】
請求項6に記載の発明によれば、請求項1に記載のチューブポンプにおいて、前記押圧ローラは、外周表面に複数の押圧コロが取り付けられた回転軸が偏芯していないローラであり、前記押圧コロが取り付けられた部分の断面内部に中空となった空隙部が形成されているので、前記作用効果を回転軸が偏芯していないローラを用いてチューブを磨耗させることなく達成することができる。
【0023】
請求項7に記載の発明によれば、インクを貯留するインクカートリッジと、主走査方向に移動可能なキャリッジと、このキャリッジに搭載されて用紙にインクを吐出する記録ヘッドと、前記インクカーリッジから送られてきたインクを一時貯留して前記記録ヘッドへ送るヘッドタンクと、前記インクカートリッジと前記ヘッドタンクとに連通して前記ヘッドタンクにインクを供給又は前記ヘッドタンクからインクを吸引するポンプと、を備えたインク吐出方式の画像形成装置において、前記ポンプとして請求項1ないし6のいずれかに記載のチューブポンプを搭載しているので、前記作用効果をインク吐出方式の画像形成装置において発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施の形態に係る画像形成装置の正面、右側面、上面を表わす外観斜視図である。
【図2】同上の画像形成装置の内部構成を左側面からの透視図で示す構成説明図である。
【図3】同上の画像形成装置の要部の構成を水平断面で示す平面図である。
【図4】従来例1に係るチューブポンプの概略構成を示す構成説明図である。
【図5】従来例2に係るチューブポンプの概略構成を示す構成説明図である。
【図6】実施の形態1に係る押圧ローラの構成を回転軸と垂直な断面で示す構成説明図である。
【図7】実施の形態2に係る押圧ローラの構成を回転軸と垂直な断面で示す構成説明図である。
【図8】実施の形態3に係る押圧ローラを示す斜視図である。
【図9】実施の形態4に係る押圧ローラの構成を回転軸と垂直な断面で示す構成説明図である。
【図10】実施の形態5に係る押圧ローラの構成を回転軸と垂直な断面で示す構成説明図である。
【図11】実施の形態6に係る押圧ローラの構成を回転軸と垂直な断面で示す構成説明図である。
【図12】実施の形態7に係る押圧ローラの構成を回転軸と垂直な断面で示す構成説明図である。
【図13】実施の形態8に係る押圧ローラの押圧部が撓み始める前の状態を回転軸と垂直な断面で示す説明図である。
【図14】同上の押圧ローラの外周面に外ローラの内周面が接触している状態を回転軸と垂直な断面で示す説明図である。
【図15】実施の形態9に係る押圧ローラの構成を回転軸と垂直な断面で示す構成説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら、この発明の実施の形態について説明する。
【0026】
(画像形成装置の全体構成)
先ず、図1〜3を用いて、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の全体構成について説明する。図中の符号1は、本発明に係る画像形成装置の一実施の形態として例示するインクジェット方式のカラープリンタであり、このカラープリンタ1は、画像形成装置全体の筐体である概略箱状の装置本体1aと、この装置本体1aの前面の右側面側に前方に突き出すように設けられ、後述のインクカートリッジを収容するカートリッジ装填部2と、このカートリッジ装填部2の上面に設けられ、カラープリンタ1の操作や表示機能を担う操作表示部3と、装置本体1a内の上部に設けられ、用紙(材質は特に限定されず、コピー用紙、OHP用の樹脂シート、厚紙、葉書などを含む給紙可能なシート状の部材であり、インクが付着・含浸可能なものを指す、以下同じ)に画像を形成する画像形成部5と、装置本体1aの下部に設けられ、用紙を給紙する給紙部6と、画像形成部5の下方に設けられ、給紙部6から画像形成部5に用紙を搬送する用紙搬送部7と、給紙部6の上方に設けられ、用紙搬送部7から用紙を排紙してストックする排紙部8などを備えている。
【0027】
カートリッジ装填部2は、縦長で幅の狭い直方体状のインクカートリッジが横並びに複数装填されている部位であり、前面部分に前カバー2aが開閉自在に取り付けられ、この前カバーを開いた状態で各インクカートリッジを前後方向に抜き差しすることで各インクカートリッジをカートリッジ装填部2に対して着脱する構成となっている。これら複数のインクカートリッジ2K,2C,2M、2Yは、有彩色の色材三原色であるシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)と、無彩色であるブラック(K)の各色のインクが色別に収容されており、画像を形成するインクのメインタンクとしての機能を有している。
【0028】
また、操作表示部3には、各インクカートリッジ2K,2C,2M、2Yのインク残量をニアーエンド、エンドで表示する残量表示部3K,3C,3M、3Yが設けられ、その他にも、電源ボタン31、用紙送り/印刷再開ボタン32、キャンセルボタン33などが配設されている。
【0029】
画像形成部5は、後述の記録ヘッドからインクを吐出して用紙に画像を形成するキャリッジ50を有している。このキャリッジ50は、装置本体1aの左右の両側面に掛け渡された丸棒材からなるガイドロッド51とステー52とでガイドロッド51上を摺動自在に支持されており、図示しない主走査モータによってタイミングベルトを介して駆動され、図の主走査方向に移動してインクの色別に設けられた記録ヘッド53K,53C,53M,53Yから対応するインクを吐出することで用紙に画像を形成する機能を有している。
【0030】
これらの記録ヘッド53K,53C,53M,53Yは、ドライバICが搭載され、図示しない制御部とハーネスhc(フレキシブルプリントケーブル)で接続された下部に図示しないノズルを有したいわゆるインクジェットヘッドであり、サブタンクであるヘッドタンク54K,54C,54M,54Yから供給された各色のインクに圧電素子などの図示しない圧電アクチュエータでエネルギーを付与することでノズルから下向きにインクを吐出する仕組みとなっている。
【0031】
なお、この圧電アクチュエータの代わりに、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどの他のエネルギー発生手段を適用することも可能である。
【0032】
ヘッドタンク54K,54C,54M,54Yは、供給チューブ2bで対応するインクカートリッジ2K,2C,2M、2Yと連通し、ポンプユニット2cを動力源として各色のインクがメインタンクである各インクカートリッジ2K,2C,2M、2Yから供給される仕組みとなっている。供給チューブ2bは、キャリッジ50が移動するため外れないように、固定リブ2dで装置本体1aの背面に固定され、固定リブ2eでキャリッジ50の本体に固定されている。
【0033】
給紙部6は、装置本体1aの下部前面に装着された給紙トレイ60と、この給紙トレイ60に揺動可能に取り付けられ、上方に付勢されながら用紙を載置する底板61と、この底板61の後端部上方に設けられ、回転駆動することで用紙を給紙する鉛直断面が半月状の給紙コロ62と、この給紙コロ62の周面に対向配置され、コイルバネなどの付勢手段で給紙コロ62に付勢された摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド63、などを備え、底板61に載置する用紙を給紙コロ62が回転することにより分離パッド63で1枚ずつに分離しながら後述の搬送ベルト70に送り出す仕組みとなっている。
【0034】
用紙搬送部7は、前述のキャリッジ50が移動可能で用紙が記録ヘッド53K,53C,53M,53Yのノズル下方に対向可能な印刷領域まで前述の給紙部6から給紙された用紙を静電吸着して搬送する搬送ベルト70を備えている。この搬送ベルト70は、駆動ローラである搬送ローラ71と搬送ベルト70に所定の張力を付与するテンションローラ72とに張架された無端状ベルトであり、図2の時計回り方向(用紙搬送方向が副走査方向)に回転駆動される。この搬送ベルト70の外周表面には、用紙を静電吸着するための帯電手段として帯電ローラ73が搬送ベルト70に接触して従動回転するように設けられており、搬送ベルト70の内側には、印刷領域に対応して搬送ベルト70がブレないように案内する印刷ガイド74が設けられている。
【0035】
また、前述の給紙部6から搬送ベルト70までの間には、用紙を方向転換するため、用紙を案内しながら方向転換する第1搬送ガイド75と、搬送ベルト70の外周表面に圧接されて従動回転することで用紙を搬送ベルト70との間に挟持するカウンタローラ76と、用紙を案内しながら方向転換する第2搬送ガイド77と、用紙の先端を加圧してブレないように抑える先端加圧コロ78を有する押さえ部材79などが設けられている。
【0036】
排紙部8は、装置本体1aに着脱自在に装着され、前述の記録ヘッド53K,53C,53M,53Yで画像が印刷された用紙をストックする排紙トレイ80と、前述の搬送ベルト70の搬送方向の末端付近に設けられ、搬送ベルト70から用紙を分離する分離爪81と、この分離爪81付近に設けられ、回転駆動して用紙を排紙する排紙ローラ82と、この排紙ローラ82に対向配置され従動回転する排紙コロ83など、を備え、搬送ベルト70に吸着搬送されてきた用紙を分離爪81で分離して排紙ローラ82と排紙コロ83との間に挟持し、排紙ローラ82を回転駆動させることで用紙を排紙トレイ80に排紙する仕組みとなっている。
【0037】
更に、このカラープリンタ1の装置本体1aの背面部には、両面ユニット90が着脱自在に装着されており、この両面ユニット90は、搬送ベルト70(搬送ローラ71)の逆回転により用紙を取り込んだ後、反転させて前述のカウンタローラ76と搬送ベルト70との間に再度給紙することで両面印刷の際に用紙を反転させる機能を有している。この両面ユニット90の上面は、手差しトレイ91となっており、この手差しトレイ91は、両面ユニット90と同様にカウンタローラ76と搬送ベルト70との間に手差し用紙を給紙する機能を有している。
【0038】
(維持回復装置)
次に、このカラープリンタ1の記録ヘッドの維持回復装置について主に図3を参照して説明する。
図3に示すように、装置本体1a内の主走査方向の一方(図示形態では右側面側)の非印刷領域には、記録ヘッド53K,53C,53M,53Yのノズルの状態を維持・回復する維持回復装置10が配設されている。この維持回復装置10は、記録ヘッド53K,53C,53M,53Yの各ノズルをキャピングするキャップ部材としての複数のキャップ11と、ノズル面に当接してワイピングするブレード部材としてのワイパーブレード12と、増粘したインクを廃棄するため空吐出する際の廃インク受けとなる空吐出受け13と、この空吐出受け13と一体成型され、ワイパーブレード12に付着した増粘インクをクリーニングするクリーニング部材としてのワイパークリーナ(図示せず)と、このワイパークリーナにクリーニング時にワイパーブレード12を押し付けるクリーナコロ14などを備え、定期的に記録ヘッド53K,53C,53M,53Yのクリーニングを実行して、記録ヘッド53K,53C,53M,53Yのノズル内のインク溶媒の蒸発によりインク粘度が上昇してインクの吐出不良が発生することを防止する機能を有している。
【0039】
また、装置本体1a内の主走査方向の他方(図示形態では左側面側)の非印刷領域には、印刷中に空吐出を行うときに廃インクを受ける空吐出受け15が配設されており、この空吐出受け15には、記録ヘッド53K,53C,53M,53Yのノズル列に沿った複数の開口16が穿設されている。
【0040】
(画像形成動作及び維持回復動作)
次に、カラープリンタ1の画像形成動作及び維持回復動作について図2,3を用いて説明する。
カラープリンタ1は、先ず、給紙トレイ60に載置された用紙を給紙コロ62と分離パッド63で1枚ずつに分離しながら送り出す。給紙トレイ60から送り出された用紙は、第1搬送ガイド75に沿って案内されて、搬送ベルト70とカウンタローラ76との間に挟持されて搬送ローラ71の回動に伴って回転し、更に、第2搬送ガイド77で案内されて先端加圧コロ78と搬送ベルト70の間に挟持され、更なる搬送ローラ71の回動に伴って給紙トレイ60から送り出された用紙の搬送方向が略180°方向転換され、用紙が印刷領域に到達する。
【0041】
このとき、図示しない制御部のACバイアス供給部から帯電ローラ73に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返される交番電圧が印加され、搬送ベルト70が回転方向である副走査方向にプラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電された交番パターンに帯電される。このように交番パターンに帯電された搬送ベルト70上に用紙が給紙されると、用紙が搬送ベルト70に静電的に吸着される。
【0042】
印刷領域では、キャリッジ50に取り付けられたリニアエンコーダによる主走査位置情報に基づいてキャリッジ50が制御部により主走査方向に走査され、画像信号に応じて搬送ベルト70に吸着されて停止している用紙にインクを吐出して1行分の印刷(記録)が行われる。そして、印刷終了後に1行分に応じた所定量だけ搬送ベルト70を回転させ、用紙を送り、次の行の記録が行われる。制御部で印刷終了の信号又は用紙の後端が印刷領域に到達した信号を受けることにより、印刷動作を終了して、用紙を排紙トレイ80に排紙する。
【0043】
また、印刷(記録)待機中は、キャリッジ50が維持回復装置10に移動して、キャップ11で記録ヘッド53K,53C,53M,53Yのノズルがキャッピングされて、ノズルを湿潤状態に保つことによりインクが乾燥して吐出不良を起こすことを防止している。また、キャップ11で記録ヘッド53K,53C,53M,53Yをキャッピングした状態で図示しない吸引排出ポンプによってノズルから増粘したインクを吸引し、増粘したインクやインクに混入した気泡などを空吐出受け13に排出する回復動作を行う。また、印刷開始前、印刷途中などには、印刷に寄与しないインクを記録ヘッド53K,53C,53M,53Yから空吐出受け13や空吐出受け15に吐出する空吐出動作(維持動作)を行う。これらの維持回復動作によって、記録ヘッド53K,53C,53M,53Yの安定したインク吐出性能を維持している。
【0044】
(チューブポンプの概要)
次に、前述のポンプユニット2c(図3参照)や維持回復装置10の吸引排出ポンプに使用されるチューブポンプの概要を、図4,5に示す従来例1,2に係るチューブポンプを例示して説明する。図4に示す従来例1に係るチューブポンプ100は、チューブポンプの基体(本体)であるポンプユニット101と、インクの流路である適度な弾力性(硬度50〜65程度が好適)を有した可撓性材料からなる中空状のチューブ102と、このチューブ102を前記ポンプユニット101の内周面となる円弧状のチューブ支持面103にチューブ102を押し付けることでインクを供給する押圧ローラ105などから構成されている。この押圧ローラ105は、樹脂から一体成型された回転軸104が偏芯した回転ローラであり、図の矢印方向のいずれかに回転することでポンプユニット101のチューブ支持面103にチューブ102を押し付けてしごくことでチューブ102内のインクを押し出して供給する仕組みとなっている。また、吸引する場合は、押圧ローラ105を逆回転させてチューブ支持面103から押圧ローラ105の外周面を離間させることでチューブ102の復元力を利用してチューブ102内に負圧を発生させ、増粘したインクなどを吸引する構成となっている。
【0045】
図5に示す従来例2に係るチューブポンプ100’が前述の従来例1に係るチューブポンプ100と相違する点は、従来例1に係るチューブポンプ100では偏芯した押圧ローラ105だったものが、従来例2に係るチューブポンプ100’では、複数の押圧コロ106が当該押圧ローラの外周表面に設けられた回転軸104’が偏芯しない押圧ローラ105’となっている点であり、他は同様の構成のため同一符号を付して説明を省略する。この従来例2に係るチューブポンプ100’は、インクを供給・排出する場合は、押圧ローラ105’がいずれかの方向に回転することで、押圧コロ106が押圧ローラ105’の外周表面と供回りしつつチューブ102をポンプユニット101のチューブ支持面103に押し付けてしごきながら回転することでチューブ102内の圧力を変動させてインクを供給又は排出する仕組みとなっている。
【0046】
このような従来例1,2に係るチューブポンプ100,100’は、チューブ102が押し潰された後に元に戻る復元力を利用して負圧を発生させて吸引するため、ポンプを停止する時は、チューブ102の復元力で負圧が発生しないように、チューブ102の流路を遮断したまま、即ち、押圧ローラ105,105’が少なくとも一点以上でチューブ102を押圧した状態のまま維持しなければならない。このため、背景技術で述べたように、チューブ102の押圧量(押圧力)を厳密に管理しなければならず、必然的にチューブ102の押し潰し量が増え、回転トルクが犠牲になってしまうという問題が避けられなかった。
【0047】
そこで、本発明では、このチューブポンプの押圧ローラに改良を加え、必要最低限の押圧力を確保しつつ押圧ローラによってチューブを押圧する押圧力のバラツキを低減して必要以上に押圧ローラの駆動機構に負荷が掛からないようにした。
【0048】
[実施の形態1]
次に、本発明の実施の形態に係るチューブポンプの押圧ローラの構成について図6〜図15を参照して説明する。図6に示す実施の形態1に係る押圧ローラ21は、従来例1に係る押圧ローラ105と同様に回転軸が偏芯した押圧ローラであり、従来例1に係る押圧ローラ105と相違する点は、該ローラ21の軸21aと垂直な断面(軸断面)において内部(外周表面に接しない部分)に中空となった空隙部21bが設けられている点であり、この空隙部21bは、偏芯したローラの半径方向に最も肉厚となっている部分、即ち、チューブ(図4,5の符号102参照)と当接して押圧する押圧部21cの中央部において空隙部分が最も大きくなった三日月形状となっている。
【0049】
このように、実施の形態1に係る押圧ローラ21を有するチューブポンプによれば、中空となった空隙部21bが設けられているので、押圧部21cが撓むまでの押圧力により、チューブを押圧する必要最低限の押圧力を確保しつつ、押圧ローラ21とポンプユニットのチューブ支持面との距離などの押圧ローラ21の設置位置に精度誤差があった場合であっても、空隙部21bがあるため押圧部21cが内部に撓んで応力を逃がすことができ、必要以上にチューブポンプの駆動機構に負荷を掛けることがない。また、空隙部を設けるという簡略且つ安価な構成で実現しているのでコストアップとならない。
【0050】
[実施の形態2〜5]
ここで、前述の空隙部21bは、図7に示す実施の形態2に係る押圧ローラ22のように、扇状の空隙部22bであっても構わない。また、押圧力が強すぎる場合は、図8に示す実施の形態3に係る押圧ローラ23ように、押圧部23cの軸方向の厚さYを加工して(削って)テーパー面を設けてもよいし、最初から押圧部23cの半径方向の厚さXを薄く成型してもよい。押圧力が弱すぎる場合、即ち、押圧部が撓みすぎる場合は、図9,10に示す実施の形態4,5に係る押圧ローラ24、25のように、押圧部24c,25cの裏面(内面)から空隙部24b,25bに向けて突出する凸部24d,25dを設けて、この凸部24d,25dが空隙部24b,25bの内側の縁と当接することで押圧部24c,25cが一定距離以上撓まないようにしてもよい。要するに、押圧ローラの断面内部に空隙部として空間が形成されており、押圧部の半径方向Xや軸方向の厚さYを調整するなどしてチューブを押圧することができる所望の押圧力を確保することができれば、特に空隙部の形状や押圧部の形状等は図示形態に限定されるものではない。なお、前記凸部は、空隙部の内側の縁から外側の縁に向けて突出するように設けても同様の作用効果を奏することは云うまでもない。
【0051】
[実施の形態6,7]
図11,12に示す実施の形態6,7に係る押圧ローラ26,27は、実施の形態1に係る押圧ローラ21の空隙部21bにバネSやエラストマーEなどの弾性材を挿入したものである。図11に示す実施の形態6に係る押圧ローラ26は、空隙部26bの一部に弾性材であるバネSが挿入されており、図12に示す実施の形態7に係る押圧ローラ27は、空隙部27bの全部に弾性材であるエラストマーEが挿入されている。これらの実施の形態は、弾性材を挿入しているため少々コストアップとなるが、押圧部26c,27cが撓みすぎて必要な押圧力を確保できないことを防止すると共に、押圧ローラ26,27でチューブを押圧する際の押圧力は、挿入した弾性体の反発力以上に規定(設定)できるため、必要最低限となる所望の押圧力の確保が容易というメリットがある。
【0052】
[実施の形態8]
図13,14に示す実施の形態8に係る押圧ローラ28は、実施の形態1に係る押圧ローラ21の外周面を、削り取るか又は成型時の型枠などにより、部分的に外周面の円弧の曲率を小さくした変形周面部28dを設けると共に、この押圧ローラ28の外側に外ローラ28eを遊嵌して、外ローラ28eを介して押圧ローラ28でチューブ(図4,5の符号102参照)を押圧する構成となっている。このため、チューブを押圧ローラ28で押圧する際に押圧部28cが撓んでも、図14に示すように、押圧ローラ28の外形である外周面が外ローラ28eの内周面と略同形状となり、押圧ローラ28の押圧部28cと外ローラ28eとが一体となってチューブを押圧するため、押圧部28cが必要以上に撓むことがない。
【0053】
このように、実施の形態8に係る押圧ローラ28及び外ローラ28eを有するチューブポンプによれば、押圧ローラ28の押圧部28cと外ローラ28eとが一体となってチューブを押圧するため、押圧部が撓み過ぎず必要最低限の押圧力を確保することができる。それに加え、遊嵌された外ローラ28eを介して押圧するため外ローラ28eの外周面はチューブに対して摺動しないので、チューブを磨耗させずに押圧することができ、チューブポンプの耐久性が向上する。
【0054】
[実施の形態9]
図15に示す実施の形態9に係る押圧ローラ29は、前述の従来例2に係るチューブポンプ100’の押圧コロ106と同様に、外周表面にこの外周表面と一緒に回転移動する複数の回転自在な押圧コロ29dが取り付けられた回転軸29aが軸断面の図心と一致した偏芯していないローラであり、押圧コロ29dが取り付けられた押圧部29cの断面内部に空隙部29bが形成されている。このため、実施の形態9に係る押圧ローラ29を有するチューブポンプによれば、回転自在な押圧コロ29dでチューブを押圧するためチューブを磨耗させずにチューブをしごくことができ、且つ、チューブを押圧する所望の押圧力を確保しつつ、空隙部29bを設けることにより押圧部29cを撓ませることが可能なため、回転軸29aとポンプユニット101のチューブ支持面103との設置間隔に精度誤差があった場合でも押圧ローラ29の駆動機構に必要以上の負荷を掛けることがない。
【0055】
以上のように、この発明の実施の形態に係る画像形成装置として、インクジェット方式のカラープリンタを例に挙げて説明したが、必ずしもこのようなものに限られず、複写機、ファクシミリ、プロッタ、これらの複合機等の一般的なインク吐出方式の画像形成装置であって、メインタンクからサブタンクへチューブポンプでインクを供給又は吸引する画像形成装置には、本発明を適用することができる。
【0056】
そして、実施の形態に係る画像形成装置の説明における装置本体1a、カートリッジ装填部2、操作表示部3、画像形成部5、給紙部6、用紙搬送部7、排紙部8などは、あくまでも一例を示したものであって、他の公知の装置・手段などの構成を採用することができる。その場合でも、前記課題に対して同様の作用効果を奏することは明らかである。また、図面で示した各構成部材の形状や構造等も、あくまでも好ましい一例を示すものであり、特許請求の範囲内で適宜設計変更が可能であることは云うまでもない。
【符号の説明】
【0057】
1 カラープリンタ(画像形成装置)
1a 装置本体
100,100’ チューブポンプ
102 チューブ
103 チューブ支持面
105,105’ 押圧ローラ(従来例1,2)
21,22,23,24,25,26,27,28,29 押圧ローラ(実施例1〜9)
21b,22b,23b,24b,25b,26b,27b,28b,29b 空隙部
21c,22c,23c,24c,25c,26c,27c,28c,29c 押圧部
24d,25d 凸部
28d 変形周面部
28e 外ローラ
29d 押圧コロ
S バネ(弾性材)
E エラストマー(弾性材)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0058】
【特許文献1】特開平2−238188号公報
【特許文献2】特開2007−138793号公報
【特許文献3】特開2010−138742号公報
【特許文献4】特開平11−192733号公報
【特許文献5】特開2007−138814号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機等のインクを吐出する記録ヘッドを備えたインク吐出方式(ここで、インク吐出方式とは、インクジェット方式のものを含み、液状、泡状、コロイド状のインクを吐出して画像を記録する方式全般を指すものとする、以下同じ。)の画像形成装置に関し、詳しくは、インク吐出方式の画像形成装置に搭載されてインクの供給・排出・吸引に用いられるチューブポンプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
インク吐出方式の画像形成装置には、記録ヘッドのノズル内のインク溶媒の蒸発によりインク粘度が上昇してインクの吐出不良が発生することがあるため、記録ヘッドのメンテナンス機構が設けられている。このヘッドメンテナンス機構は、通常、記録ヘッドのノズルを覆うキャップと、該キャップに連通してキャップ内に負圧を発生させる吸引ポンプとを備え、この吸引ポンプでノズルから増粘したインクを吸引してインクの吐出不良の低減を図っている。
また、インク吐出方式の画像形成装置には、インクカートリッジから記録ヘッドへインクを供給するための供給ポンプも備えられている。
【0003】
このような吸引ポンプや供給ポンプとしては、比較的構造が簡単で小形化が図り易く、しかもインクの吸引及び供給・排出する機構部分で汚染を生じさせないことなどの理由から、従来、可撓性材料からなるチューブと、該チューブの長手方向に沿って移動しながら該チューブを順次押圧する押圧ローラとを備えたチューブポンプが用いられている(例えば、特許文献1、2)。
【0004】
このようなチューブポンプによりメインタンクからヘッドタンクへインクを供給する構造の場合、ポンプの停止時は、押圧ローラでチューブを押圧した状態のままにして、流路を遮断することで、ヘッドタンク内の負圧によるメインタンクからのインクの自然供給を阻止し、ヘッドタンクの圧力が変化しないようにしなければならず、このようにチューブの流路を遮断し負圧に耐えるためには、チューブの肉厚以上にチューブを押圧すると共に、チューブの押圧量を厳密に管理しなければならなかった。したがって、押圧ローラの押圧量のバラツキを考慮して、即ち、チューブポンプを構成する各種部品の寸法公差と組付け公差を見込んで、押圧量が安全側となるように、チューブ支持面と押圧ローラとの距離を必要以上に小さく設定しなければならず、チューブの押潰し量が増え、必要以上に押圧ローラの回転トルクに負荷が掛かってしまうという問題があった。
【0005】
このような問題を解決するため、特許文献3には、液体が流通するチューブと、チューブの外径を円弧状に規制するチューブ支持面と、回転しつつチューブの一部をチューブ支持面に押圧する押圧ローラを備え、チューブ支持面には複数の突起が形成され、ポンプ停止時に、チューブ支持面及び複数の突起の少なくとも一つと押圧ローラにチューブが押圧されることによって、チューブの流路が遮断されることを特徴としており、押圧ローラがどの位置に来た時にポンプの回転を停止してもチューブの流路を確実に遮断でき、回転トルクを犠牲にせずに、液体の自然供給を防ぐことができるチューブポンプが開示されている(特許文献3の図5等参照)。
【0006】
また、特許文献4には、インクジェット方式の画像形成装置に搭載され、コロ軸受けとバネによって押圧コロをチューブ側へ押し付ける構造のチューブポンプが開示されている(特許文献4の図2、3等参照)。
しかし、特許文献3及び4に記載のチューブポンプは、いずれも複雑で大型な構成になってしまい、そのため、部品点数が増え、組立作業も増加して高価なものとなってしまうという問題がある。
【0007】
更に、特許文献5には、排出チューブと、該排出チューブの長手方向に沿って移動しながら該排出チューブを順次押圧するローラとを備え、このローラは、弾力性を有しない非弾性層と、弾力性を有する弾性層とにより構成され、ローラによってチューブを押圧する際に、該チューブに付与される押圧力のばらつきが、前記ローラの弾性体によって吸収されるため、部品点数を増やすことなく、簡単な構成でチューブに付与される押圧力のばらつきを小さくすることができるチューブポンプが開示されている(特許文献5の図3等参照)。
【0008】
しかし、特許文献5に記載のチューブポンプは、弾性層によりローラの押圧力のバラツキを小さくすることはできるものの、弾性層の寸法公差も大きく、設置間隔などの精度誤差があった場合には、ローラの駆動機構に必要以上に負荷が掛かってしまうという問題があるだけでなく、ローラを2層構造とするため、コストアップに繋がることは否めない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は、前記問題点を解決するべく、小型で簡単な構成によりコストアップすることなく、チューブを押圧するのに最低限必要な押圧力を確保しつつ、必要以上に押圧ローラに回転負荷が掛からないチューブポンプ、及びそのチューブポンプを備えたインク吐出方式の画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、インクの流路となる弾力性を有した中空状のチューブと、このチューブを回転することで押圧する押圧ローラと、を備え、インクを供給又は吸引する、インク吐出方式の画像形成装置に用いられるチューブポンプにおいて、前記押圧ローラは、前記チューブと当接して押圧する押圧部の断面内部に中空となった空隙部が形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のチューブポンプにおいて、前記押圧ローラは、回転軸が偏芯した偏芯ローラであることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のチューブポンプにおいて、前記押圧ローラは、前記空隙部の半径方向に突出する凸部を有し、この凸部が前記空隙部の縁と当接することで前記押圧部が一定距離以上撓まないよう構成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載のチューブポンプにおいて、前記空隙部には、弾性材が挿入されていることを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項2ないし4のいずれかに記載のチューブポンプにおいて、前記押圧ローラは、外周表面の曲率が部分的に低減されていると共に、その外側に外ローラが遊嵌され、この外ローラを介して前記チューブを押圧することを特徴とする。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載のチューブポンプにおいて、前記押圧ローラは、外周表面に複数の押圧コロが取り付けられた回転軸が偏芯していないローラであり、前記押圧コロが取り付けられた部分の断面内部に中空となった空隙部が形成されていることを特徴とする。
【0016】
請求項7に記載の発明は、インクを貯留するインクカートリッジと、主走査方向に移動可能なキャリッジと、このキャリッジに搭載されて用紙にインクを吐出する記録ヘッドと、前記インクカーリッジから送られてきたインクを一時貯留して前記記録ヘッドへ送るヘッドタンクと、前記インクカートリッジと前記ヘッドタンクとに連通して前記ヘッドタンクにインクを供給又は前記ヘッドタンクからインクを吸引するポンプと、を備えたインク吐出方式の画像形成装置において、前記ポンプとして請求項1ないし6のいずれかに記載のチューブポンプを搭載していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
この発明は、前記のようであって、請求項1の発明によれば、インクの流路となる弾力性を有した中空状のチューブと、このチューブを回転することで押圧する押圧ローラと、を備え、インクを供給又は吸引する、インク吐出方式の画像形成装置に用いられるチューブポンプにおいて、前記押圧ローラは、前記チューブと当接して押圧する押圧部の断面内部に中空となった空隙部が形成されているので、押圧部が撓むまでは押圧ローラでチューブの復元力に対抗して押圧し続けることができると共に、押圧ローラの回転軸の設置位置に精度誤差があった場合であっても、押圧部の断面内部に中空となった空隙部が形成されているため、押圧部が撓むことで押圧ローラの駆動機構に不必要な回転負荷が掛からない。そのため、小型で簡単な構成によりコストアップすることなく、チューブを押圧するのに最低限必要な押圧力を確保しつつ、必要以上に回転負荷が掛からないチューブポンプを提供することができる。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載のチューブポンプにおいて、前記押圧ローラは、回転軸が偏芯した偏芯ローラであるので、前記作用効果を回転軸が偏芯した偏芯ローラを用いて達成することができる。
【0019】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2に記載のチューブポンプにおいて、前記押圧ローラは、前記空隙部の半径方向に突出する凸部を有し、この凸部が前記空隙部の縁と当接することで前記押圧部が一定距離以上撓まないよう構成されているので、前記作用効果に加え、凸部の半径方向に突出高さにより押圧部の撓みを一定距離以下に規定することができ、押圧部が撓み過ぎて必要なチューブの押圧量を確保できないことを防ぐことができる。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1ないし3のいずれかに記載のチューブポンプにおいて、前記空隙部には、弾性材が挿入されているので、前記作用効果に加え、弾性力を有したチューブの復元力に対抗してチューブを押圧するのに必要な最低限の押圧力を空隙部に挿入する弾性材の反発力で規定することができ、必要な押圧力の確保が容易となる。
【0021】
請求項5に記載の発明によれば、請求項2ないし4のいずれかに記載のチューブポンプにおいて、前記押圧ローラは、外周表面の曲率が部分的に低減されていると共に、その外側に外ローラが遊嵌され、この外ローラを介して前記チューブを押圧するので、前記作用効果に加え、押圧部が撓み過ぎず必要最低限の押圧力を確保することができるだけでなく遊嵌された外ローラを介して押圧するためチューブを磨耗させずに押圧することができ、チューブポンプの耐久性が向上する。
【0022】
請求項6に記載の発明によれば、請求項1に記載のチューブポンプにおいて、前記押圧ローラは、外周表面に複数の押圧コロが取り付けられた回転軸が偏芯していないローラであり、前記押圧コロが取り付けられた部分の断面内部に中空となった空隙部が形成されているので、前記作用効果を回転軸が偏芯していないローラを用いてチューブを磨耗させることなく達成することができる。
【0023】
請求項7に記載の発明によれば、インクを貯留するインクカートリッジと、主走査方向に移動可能なキャリッジと、このキャリッジに搭載されて用紙にインクを吐出する記録ヘッドと、前記インクカーリッジから送られてきたインクを一時貯留して前記記録ヘッドへ送るヘッドタンクと、前記インクカートリッジと前記ヘッドタンクとに連通して前記ヘッドタンクにインクを供給又は前記ヘッドタンクからインクを吸引するポンプと、を備えたインク吐出方式の画像形成装置において、前記ポンプとして請求項1ないし6のいずれかに記載のチューブポンプを搭載しているので、前記作用効果をインク吐出方式の画像形成装置において発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施の形態に係る画像形成装置の正面、右側面、上面を表わす外観斜視図である。
【図2】同上の画像形成装置の内部構成を左側面からの透視図で示す構成説明図である。
【図3】同上の画像形成装置の要部の構成を水平断面で示す平面図である。
【図4】従来例1に係るチューブポンプの概略構成を示す構成説明図である。
【図5】従来例2に係るチューブポンプの概略構成を示す構成説明図である。
【図6】実施の形態1に係る押圧ローラの構成を回転軸と垂直な断面で示す構成説明図である。
【図7】実施の形態2に係る押圧ローラの構成を回転軸と垂直な断面で示す構成説明図である。
【図8】実施の形態3に係る押圧ローラを示す斜視図である。
【図9】実施の形態4に係る押圧ローラの構成を回転軸と垂直な断面で示す構成説明図である。
【図10】実施の形態5に係る押圧ローラの構成を回転軸と垂直な断面で示す構成説明図である。
【図11】実施の形態6に係る押圧ローラの構成を回転軸と垂直な断面で示す構成説明図である。
【図12】実施の形態7に係る押圧ローラの構成を回転軸と垂直な断面で示す構成説明図である。
【図13】実施の形態8に係る押圧ローラの押圧部が撓み始める前の状態を回転軸と垂直な断面で示す説明図である。
【図14】同上の押圧ローラの外周面に外ローラの内周面が接触している状態を回転軸と垂直な断面で示す説明図である。
【図15】実施の形態9に係る押圧ローラの構成を回転軸と垂直な断面で示す構成説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら、この発明の実施の形態について説明する。
【0026】
(画像形成装置の全体構成)
先ず、図1〜3を用いて、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の全体構成について説明する。図中の符号1は、本発明に係る画像形成装置の一実施の形態として例示するインクジェット方式のカラープリンタであり、このカラープリンタ1は、画像形成装置全体の筐体である概略箱状の装置本体1aと、この装置本体1aの前面の右側面側に前方に突き出すように設けられ、後述のインクカートリッジを収容するカートリッジ装填部2と、このカートリッジ装填部2の上面に設けられ、カラープリンタ1の操作や表示機能を担う操作表示部3と、装置本体1a内の上部に設けられ、用紙(材質は特に限定されず、コピー用紙、OHP用の樹脂シート、厚紙、葉書などを含む給紙可能なシート状の部材であり、インクが付着・含浸可能なものを指す、以下同じ)に画像を形成する画像形成部5と、装置本体1aの下部に設けられ、用紙を給紙する給紙部6と、画像形成部5の下方に設けられ、給紙部6から画像形成部5に用紙を搬送する用紙搬送部7と、給紙部6の上方に設けられ、用紙搬送部7から用紙を排紙してストックする排紙部8などを備えている。
【0027】
カートリッジ装填部2は、縦長で幅の狭い直方体状のインクカートリッジが横並びに複数装填されている部位であり、前面部分に前カバー2aが開閉自在に取り付けられ、この前カバーを開いた状態で各インクカートリッジを前後方向に抜き差しすることで各インクカートリッジをカートリッジ装填部2に対して着脱する構成となっている。これら複数のインクカートリッジ2K,2C,2M、2Yは、有彩色の色材三原色であるシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)と、無彩色であるブラック(K)の各色のインクが色別に収容されており、画像を形成するインクのメインタンクとしての機能を有している。
【0028】
また、操作表示部3には、各インクカートリッジ2K,2C,2M、2Yのインク残量をニアーエンド、エンドで表示する残量表示部3K,3C,3M、3Yが設けられ、その他にも、電源ボタン31、用紙送り/印刷再開ボタン32、キャンセルボタン33などが配設されている。
【0029】
画像形成部5は、後述の記録ヘッドからインクを吐出して用紙に画像を形成するキャリッジ50を有している。このキャリッジ50は、装置本体1aの左右の両側面に掛け渡された丸棒材からなるガイドロッド51とステー52とでガイドロッド51上を摺動自在に支持されており、図示しない主走査モータによってタイミングベルトを介して駆動され、図の主走査方向に移動してインクの色別に設けられた記録ヘッド53K,53C,53M,53Yから対応するインクを吐出することで用紙に画像を形成する機能を有している。
【0030】
これらの記録ヘッド53K,53C,53M,53Yは、ドライバICが搭載され、図示しない制御部とハーネスhc(フレキシブルプリントケーブル)で接続された下部に図示しないノズルを有したいわゆるインクジェットヘッドであり、サブタンクであるヘッドタンク54K,54C,54M,54Yから供給された各色のインクに圧電素子などの図示しない圧電アクチュエータでエネルギーを付与することでノズルから下向きにインクを吐出する仕組みとなっている。
【0031】
なお、この圧電アクチュエータの代わりに、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどの他のエネルギー発生手段を適用することも可能である。
【0032】
ヘッドタンク54K,54C,54M,54Yは、供給チューブ2bで対応するインクカートリッジ2K,2C,2M、2Yと連通し、ポンプユニット2cを動力源として各色のインクがメインタンクである各インクカートリッジ2K,2C,2M、2Yから供給される仕組みとなっている。供給チューブ2bは、キャリッジ50が移動するため外れないように、固定リブ2dで装置本体1aの背面に固定され、固定リブ2eでキャリッジ50の本体に固定されている。
【0033】
給紙部6は、装置本体1aの下部前面に装着された給紙トレイ60と、この給紙トレイ60に揺動可能に取り付けられ、上方に付勢されながら用紙を載置する底板61と、この底板61の後端部上方に設けられ、回転駆動することで用紙を給紙する鉛直断面が半月状の給紙コロ62と、この給紙コロ62の周面に対向配置され、コイルバネなどの付勢手段で給紙コロ62に付勢された摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド63、などを備え、底板61に載置する用紙を給紙コロ62が回転することにより分離パッド63で1枚ずつに分離しながら後述の搬送ベルト70に送り出す仕組みとなっている。
【0034】
用紙搬送部7は、前述のキャリッジ50が移動可能で用紙が記録ヘッド53K,53C,53M,53Yのノズル下方に対向可能な印刷領域まで前述の給紙部6から給紙された用紙を静電吸着して搬送する搬送ベルト70を備えている。この搬送ベルト70は、駆動ローラである搬送ローラ71と搬送ベルト70に所定の張力を付与するテンションローラ72とに張架された無端状ベルトであり、図2の時計回り方向(用紙搬送方向が副走査方向)に回転駆動される。この搬送ベルト70の外周表面には、用紙を静電吸着するための帯電手段として帯電ローラ73が搬送ベルト70に接触して従動回転するように設けられており、搬送ベルト70の内側には、印刷領域に対応して搬送ベルト70がブレないように案内する印刷ガイド74が設けられている。
【0035】
また、前述の給紙部6から搬送ベルト70までの間には、用紙を方向転換するため、用紙を案内しながら方向転換する第1搬送ガイド75と、搬送ベルト70の外周表面に圧接されて従動回転することで用紙を搬送ベルト70との間に挟持するカウンタローラ76と、用紙を案内しながら方向転換する第2搬送ガイド77と、用紙の先端を加圧してブレないように抑える先端加圧コロ78を有する押さえ部材79などが設けられている。
【0036】
排紙部8は、装置本体1aに着脱自在に装着され、前述の記録ヘッド53K,53C,53M,53Yで画像が印刷された用紙をストックする排紙トレイ80と、前述の搬送ベルト70の搬送方向の末端付近に設けられ、搬送ベルト70から用紙を分離する分離爪81と、この分離爪81付近に設けられ、回転駆動して用紙を排紙する排紙ローラ82と、この排紙ローラ82に対向配置され従動回転する排紙コロ83など、を備え、搬送ベルト70に吸着搬送されてきた用紙を分離爪81で分離して排紙ローラ82と排紙コロ83との間に挟持し、排紙ローラ82を回転駆動させることで用紙を排紙トレイ80に排紙する仕組みとなっている。
【0037】
更に、このカラープリンタ1の装置本体1aの背面部には、両面ユニット90が着脱自在に装着されており、この両面ユニット90は、搬送ベルト70(搬送ローラ71)の逆回転により用紙を取り込んだ後、反転させて前述のカウンタローラ76と搬送ベルト70との間に再度給紙することで両面印刷の際に用紙を反転させる機能を有している。この両面ユニット90の上面は、手差しトレイ91となっており、この手差しトレイ91は、両面ユニット90と同様にカウンタローラ76と搬送ベルト70との間に手差し用紙を給紙する機能を有している。
【0038】
(維持回復装置)
次に、このカラープリンタ1の記録ヘッドの維持回復装置について主に図3を参照して説明する。
図3に示すように、装置本体1a内の主走査方向の一方(図示形態では右側面側)の非印刷領域には、記録ヘッド53K,53C,53M,53Yのノズルの状態を維持・回復する維持回復装置10が配設されている。この維持回復装置10は、記録ヘッド53K,53C,53M,53Yの各ノズルをキャピングするキャップ部材としての複数のキャップ11と、ノズル面に当接してワイピングするブレード部材としてのワイパーブレード12と、増粘したインクを廃棄するため空吐出する際の廃インク受けとなる空吐出受け13と、この空吐出受け13と一体成型され、ワイパーブレード12に付着した増粘インクをクリーニングするクリーニング部材としてのワイパークリーナ(図示せず)と、このワイパークリーナにクリーニング時にワイパーブレード12を押し付けるクリーナコロ14などを備え、定期的に記録ヘッド53K,53C,53M,53Yのクリーニングを実行して、記録ヘッド53K,53C,53M,53Yのノズル内のインク溶媒の蒸発によりインク粘度が上昇してインクの吐出不良が発生することを防止する機能を有している。
【0039】
また、装置本体1a内の主走査方向の他方(図示形態では左側面側)の非印刷領域には、印刷中に空吐出を行うときに廃インクを受ける空吐出受け15が配設されており、この空吐出受け15には、記録ヘッド53K,53C,53M,53Yのノズル列に沿った複数の開口16が穿設されている。
【0040】
(画像形成動作及び維持回復動作)
次に、カラープリンタ1の画像形成動作及び維持回復動作について図2,3を用いて説明する。
カラープリンタ1は、先ず、給紙トレイ60に載置された用紙を給紙コロ62と分離パッド63で1枚ずつに分離しながら送り出す。給紙トレイ60から送り出された用紙は、第1搬送ガイド75に沿って案内されて、搬送ベルト70とカウンタローラ76との間に挟持されて搬送ローラ71の回動に伴って回転し、更に、第2搬送ガイド77で案内されて先端加圧コロ78と搬送ベルト70の間に挟持され、更なる搬送ローラ71の回動に伴って給紙トレイ60から送り出された用紙の搬送方向が略180°方向転換され、用紙が印刷領域に到達する。
【0041】
このとき、図示しない制御部のACバイアス供給部から帯電ローラ73に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返される交番電圧が印加され、搬送ベルト70が回転方向である副走査方向にプラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電された交番パターンに帯電される。このように交番パターンに帯電された搬送ベルト70上に用紙が給紙されると、用紙が搬送ベルト70に静電的に吸着される。
【0042】
印刷領域では、キャリッジ50に取り付けられたリニアエンコーダによる主走査位置情報に基づいてキャリッジ50が制御部により主走査方向に走査され、画像信号に応じて搬送ベルト70に吸着されて停止している用紙にインクを吐出して1行分の印刷(記録)が行われる。そして、印刷終了後に1行分に応じた所定量だけ搬送ベルト70を回転させ、用紙を送り、次の行の記録が行われる。制御部で印刷終了の信号又は用紙の後端が印刷領域に到達した信号を受けることにより、印刷動作を終了して、用紙を排紙トレイ80に排紙する。
【0043】
また、印刷(記録)待機中は、キャリッジ50が維持回復装置10に移動して、キャップ11で記録ヘッド53K,53C,53M,53Yのノズルがキャッピングされて、ノズルを湿潤状態に保つことによりインクが乾燥して吐出不良を起こすことを防止している。また、キャップ11で記録ヘッド53K,53C,53M,53Yをキャッピングした状態で図示しない吸引排出ポンプによってノズルから増粘したインクを吸引し、増粘したインクやインクに混入した気泡などを空吐出受け13に排出する回復動作を行う。また、印刷開始前、印刷途中などには、印刷に寄与しないインクを記録ヘッド53K,53C,53M,53Yから空吐出受け13や空吐出受け15に吐出する空吐出動作(維持動作)を行う。これらの維持回復動作によって、記録ヘッド53K,53C,53M,53Yの安定したインク吐出性能を維持している。
【0044】
(チューブポンプの概要)
次に、前述のポンプユニット2c(図3参照)や維持回復装置10の吸引排出ポンプに使用されるチューブポンプの概要を、図4,5に示す従来例1,2に係るチューブポンプを例示して説明する。図4に示す従来例1に係るチューブポンプ100は、チューブポンプの基体(本体)であるポンプユニット101と、インクの流路である適度な弾力性(硬度50〜65程度が好適)を有した可撓性材料からなる中空状のチューブ102と、このチューブ102を前記ポンプユニット101の内周面となる円弧状のチューブ支持面103にチューブ102を押し付けることでインクを供給する押圧ローラ105などから構成されている。この押圧ローラ105は、樹脂から一体成型された回転軸104が偏芯した回転ローラであり、図の矢印方向のいずれかに回転することでポンプユニット101のチューブ支持面103にチューブ102を押し付けてしごくことでチューブ102内のインクを押し出して供給する仕組みとなっている。また、吸引する場合は、押圧ローラ105を逆回転させてチューブ支持面103から押圧ローラ105の外周面を離間させることでチューブ102の復元力を利用してチューブ102内に負圧を発生させ、増粘したインクなどを吸引する構成となっている。
【0045】
図5に示す従来例2に係るチューブポンプ100’が前述の従来例1に係るチューブポンプ100と相違する点は、従来例1に係るチューブポンプ100では偏芯した押圧ローラ105だったものが、従来例2に係るチューブポンプ100’では、複数の押圧コロ106が当該押圧ローラの外周表面に設けられた回転軸104’が偏芯しない押圧ローラ105’となっている点であり、他は同様の構成のため同一符号を付して説明を省略する。この従来例2に係るチューブポンプ100’は、インクを供給・排出する場合は、押圧ローラ105’がいずれかの方向に回転することで、押圧コロ106が押圧ローラ105’の外周表面と供回りしつつチューブ102をポンプユニット101のチューブ支持面103に押し付けてしごきながら回転することでチューブ102内の圧力を変動させてインクを供給又は排出する仕組みとなっている。
【0046】
このような従来例1,2に係るチューブポンプ100,100’は、チューブ102が押し潰された後に元に戻る復元力を利用して負圧を発生させて吸引するため、ポンプを停止する時は、チューブ102の復元力で負圧が発生しないように、チューブ102の流路を遮断したまま、即ち、押圧ローラ105,105’が少なくとも一点以上でチューブ102を押圧した状態のまま維持しなければならない。このため、背景技術で述べたように、チューブ102の押圧量(押圧力)を厳密に管理しなければならず、必然的にチューブ102の押し潰し量が増え、回転トルクが犠牲になってしまうという問題が避けられなかった。
【0047】
そこで、本発明では、このチューブポンプの押圧ローラに改良を加え、必要最低限の押圧力を確保しつつ押圧ローラによってチューブを押圧する押圧力のバラツキを低減して必要以上に押圧ローラの駆動機構に負荷が掛からないようにした。
【0048】
[実施の形態1]
次に、本発明の実施の形態に係るチューブポンプの押圧ローラの構成について図6〜図15を参照して説明する。図6に示す実施の形態1に係る押圧ローラ21は、従来例1に係る押圧ローラ105と同様に回転軸が偏芯した押圧ローラであり、従来例1に係る押圧ローラ105と相違する点は、該ローラ21の軸21aと垂直な断面(軸断面)において内部(外周表面に接しない部分)に中空となった空隙部21bが設けられている点であり、この空隙部21bは、偏芯したローラの半径方向に最も肉厚となっている部分、即ち、チューブ(図4,5の符号102参照)と当接して押圧する押圧部21cの中央部において空隙部分が最も大きくなった三日月形状となっている。
【0049】
このように、実施の形態1に係る押圧ローラ21を有するチューブポンプによれば、中空となった空隙部21bが設けられているので、押圧部21cが撓むまでの押圧力により、チューブを押圧する必要最低限の押圧力を確保しつつ、押圧ローラ21とポンプユニットのチューブ支持面との距離などの押圧ローラ21の設置位置に精度誤差があった場合であっても、空隙部21bがあるため押圧部21cが内部に撓んで応力を逃がすことができ、必要以上にチューブポンプの駆動機構に負荷を掛けることがない。また、空隙部を設けるという簡略且つ安価な構成で実現しているのでコストアップとならない。
【0050】
[実施の形態2〜5]
ここで、前述の空隙部21bは、図7に示す実施の形態2に係る押圧ローラ22のように、扇状の空隙部22bであっても構わない。また、押圧力が強すぎる場合は、図8に示す実施の形態3に係る押圧ローラ23ように、押圧部23cの軸方向の厚さYを加工して(削って)テーパー面を設けてもよいし、最初から押圧部23cの半径方向の厚さXを薄く成型してもよい。押圧力が弱すぎる場合、即ち、押圧部が撓みすぎる場合は、図9,10に示す実施の形態4,5に係る押圧ローラ24、25のように、押圧部24c,25cの裏面(内面)から空隙部24b,25bに向けて突出する凸部24d,25dを設けて、この凸部24d,25dが空隙部24b,25bの内側の縁と当接することで押圧部24c,25cが一定距離以上撓まないようにしてもよい。要するに、押圧ローラの断面内部に空隙部として空間が形成されており、押圧部の半径方向Xや軸方向の厚さYを調整するなどしてチューブを押圧することができる所望の押圧力を確保することができれば、特に空隙部の形状や押圧部の形状等は図示形態に限定されるものではない。なお、前記凸部は、空隙部の内側の縁から外側の縁に向けて突出するように設けても同様の作用効果を奏することは云うまでもない。
【0051】
[実施の形態6,7]
図11,12に示す実施の形態6,7に係る押圧ローラ26,27は、実施の形態1に係る押圧ローラ21の空隙部21bにバネSやエラストマーEなどの弾性材を挿入したものである。図11に示す実施の形態6に係る押圧ローラ26は、空隙部26bの一部に弾性材であるバネSが挿入されており、図12に示す実施の形態7に係る押圧ローラ27は、空隙部27bの全部に弾性材であるエラストマーEが挿入されている。これらの実施の形態は、弾性材を挿入しているため少々コストアップとなるが、押圧部26c,27cが撓みすぎて必要な押圧力を確保できないことを防止すると共に、押圧ローラ26,27でチューブを押圧する際の押圧力は、挿入した弾性体の反発力以上に規定(設定)できるため、必要最低限となる所望の押圧力の確保が容易というメリットがある。
【0052】
[実施の形態8]
図13,14に示す実施の形態8に係る押圧ローラ28は、実施の形態1に係る押圧ローラ21の外周面を、削り取るか又は成型時の型枠などにより、部分的に外周面の円弧の曲率を小さくした変形周面部28dを設けると共に、この押圧ローラ28の外側に外ローラ28eを遊嵌して、外ローラ28eを介して押圧ローラ28でチューブ(図4,5の符号102参照)を押圧する構成となっている。このため、チューブを押圧ローラ28で押圧する際に押圧部28cが撓んでも、図14に示すように、押圧ローラ28の外形である外周面が外ローラ28eの内周面と略同形状となり、押圧ローラ28の押圧部28cと外ローラ28eとが一体となってチューブを押圧するため、押圧部28cが必要以上に撓むことがない。
【0053】
このように、実施の形態8に係る押圧ローラ28及び外ローラ28eを有するチューブポンプによれば、押圧ローラ28の押圧部28cと外ローラ28eとが一体となってチューブを押圧するため、押圧部が撓み過ぎず必要最低限の押圧力を確保することができる。それに加え、遊嵌された外ローラ28eを介して押圧するため外ローラ28eの外周面はチューブに対して摺動しないので、チューブを磨耗させずに押圧することができ、チューブポンプの耐久性が向上する。
【0054】
[実施の形態9]
図15に示す実施の形態9に係る押圧ローラ29は、前述の従来例2に係るチューブポンプ100’の押圧コロ106と同様に、外周表面にこの外周表面と一緒に回転移動する複数の回転自在な押圧コロ29dが取り付けられた回転軸29aが軸断面の図心と一致した偏芯していないローラであり、押圧コロ29dが取り付けられた押圧部29cの断面内部に空隙部29bが形成されている。このため、実施の形態9に係る押圧ローラ29を有するチューブポンプによれば、回転自在な押圧コロ29dでチューブを押圧するためチューブを磨耗させずにチューブをしごくことができ、且つ、チューブを押圧する所望の押圧力を確保しつつ、空隙部29bを設けることにより押圧部29cを撓ませることが可能なため、回転軸29aとポンプユニット101のチューブ支持面103との設置間隔に精度誤差があった場合でも押圧ローラ29の駆動機構に必要以上の負荷を掛けることがない。
【0055】
以上のように、この発明の実施の形態に係る画像形成装置として、インクジェット方式のカラープリンタを例に挙げて説明したが、必ずしもこのようなものに限られず、複写機、ファクシミリ、プロッタ、これらの複合機等の一般的なインク吐出方式の画像形成装置であって、メインタンクからサブタンクへチューブポンプでインクを供給又は吸引する画像形成装置には、本発明を適用することができる。
【0056】
そして、実施の形態に係る画像形成装置の説明における装置本体1a、カートリッジ装填部2、操作表示部3、画像形成部5、給紙部6、用紙搬送部7、排紙部8などは、あくまでも一例を示したものであって、他の公知の装置・手段などの構成を採用することができる。その場合でも、前記課題に対して同様の作用効果を奏することは明らかである。また、図面で示した各構成部材の形状や構造等も、あくまでも好ましい一例を示すものであり、特許請求の範囲内で適宜設計変更が可能であることは云うまでもない。
【符号の説明】
【0057】
1 カラープリンタ(画像形成装置)
1a 装置本体
100,100’ チューブポンプ
102 チューブ
103 チューブ支持面
105,105’ 押圧ローラ(従来例1,2)
21,22,23,24,25,26,27,28,29 押圧ローラ(実施例1〜9)
21b,22b,23b,24b,25b,26b,27b,28b,29b 空隙部
21c,22c,23c,24c,25c,26c,27c,28c,29c 押圧部
24d,25d 凸部
28d 変形周面部
28e 外ローラ
29d 押圧コロ
S バネ(弾性材)
E エラストマー(弾性材)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0058】
【特許文献1】特開平2−238188号公報
【特許文献2】特開2007−138793号公報
【特許文献3】特開2010−138742号公報
【特許文献4】特開平11−192733号公報
【特許文献5】特開2007−138814号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクの流路となる弾力性を有した中空状のチューブと、このチューブを回転することで押圧する押圧ローラと、を備え、インクを供給又は吸引する、インク吐出方式の画像形成装置に用いられるチューブポンプにおいて、
前記押圧ローラは、前記チューブと当接して押圧する押圧部の断面内部に中空となった空隙部が形成されていることを特徴とするチューブポンプ。
【請求項2】
前記押圧ローラは、回転軸が偏芯した偏芯ローラであることを特徴とする請求項1に記載のチューブポンプ。
【請求項3】
前記押圧ローラは、前記空隙部の半径方向に突出する凸部を有し、この凸部が前記空隙部の縁と当接することで前記押圧部が一定距離以上撓まないよう構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のチューブポンプ。
【請求項4】
前記空隙部には、弾性材が挿入されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のチューブポンプ。
【請求項5】
前記押圧ローラは、外周表面の曲率が部分的に低減されていると共に、その外側に外ローラが遊嵌され、この外ローラを介して前記チューブを押圧することを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載のチューブポンプ。
【請求項6】
前記押圧ローラは、外周表面に複数の押圧コロが取り付けられた回転軸が偏芯していないローラであり、前記押圧コロが取り付けられた部分の断面内部に中空となった空隙部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のチューブポンプ。
【請求項7】
インクを貯留するインクカートリッジと、主走査方向に移動可能なキャリッジと、このキャリッジに搭載されて用紙にインクを吐出する記録ヘッドと、前記インクカーリッジから送られてきたインクを一時貯留して前記記録ヘッドへ送るヘッドタンクと、前記インクカートリッジと前記ヘッドタンクとに連通して前記ヘッドタンクにインクを供給又は前記ヘッドタンクからインクを吸引するポンプと、を備えたインク吐出方式の画像形成装置において、
前記ポンプとして請求項1ないし6のいずれかに記載のチューブポンプを搭載していることを特徴とするインク吐出方式の画像形成装置。
【請求項1】
インクの流路となる弾力性を有した中空状のチューブと、このチューブを回転することで押圧する押圧ローラと、を備え、インクを供給又は吸引する、インク吐出方式の画像形成装置に用いられるチューブポンプにおいて、
前記押圧ローラは、前記チューブと当接して押圧する押圧部の断面内部に中空となった空隙部が形成されていることを特徴とするチューブポンプ。
【請求項2】
前記押圧ローラは、回転軸が偏芯した偏芯ローラであることを特徴とする請求項1に記載のチューブポンプ。
【請求項3】
前記押圧ローラは、前記空隙部の半径方向に突出する凸部を有し、この凸部が前記空隙部の縁と当接することで前記押圧部が一定距離以上撓まないよう構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のチューブポンプ。
【請求項4】
前記空隙部には、弾性材が挿入されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のチューブポンプ。
【請求項5】
前記押圧ローラは、外周表面の曲率が部分的に低減されていると共に、その外側に外ローラが遊嵌され、この外ローラを介して前記チューブを押圧することを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載のチューブポンプ。
【請求項6】
前記押圧ローラは、外周表面に複数の押圧コロが取り付けられた回転軸が偏芯していないローラであり、前記押圧コロが取り付けられた部分の断面内部に中空となった空隙部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のチューブポンプ。
【請求項7】
インクを貯留するインクカートリッジと、主走査方向に移動可能なキャリッジと、このキャリッジに搭載されて用紙にインクを吐出する記録ヘッドと、前記インクカーリッジから送られてきたインクを一時貯留して前記記録ヘッドへ送るヘッドタンクと、前記インクカートリッジと前記ヘッドタンクとに連通して前記ヘッドタンクにインクを供給又は前記ヘッドタンクからインクを吸引するポンプと、を備えたインク吐出方式の画像形成装置において、
前記ポンプとして請求項1ないし6のいずれかに記載のチューブポンプを搭載していることを特徴とするインク吐出方式の画像形成装置。
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図1】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図1】
【図2】
【公開番号】特開2012−97632(P2012−97632A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−245000(P2010−245000)
【出願日】平成22年11月1日(2010.11.1)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月1日(2010.11.1)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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